JP2011020156A - 鋳鉄用鋳造方法、押湯部、鋳型及び鋳型の造型方法 - Google Patents

鋳鉄用鋳造方法、押湯部、鋳型及び鋳型の造型方法 Download PDF

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Abstract

【課題】鋳鉄鋳造時に発生する鋳型の軟弱な部分の変形や、鋳物製品の寸法不良の発生及び引け巣の発生等を防止し、良好な鋳鉄鋳造品を製造できるようにした埋込み型押湯式の鋳造技術の提供を課題とする。
【解決手段】垂直割の鋳型であって、製品キャビティ部6に連通させて設けた埋込み型の押湯部2を、本来の押湯効果を発揮するための溶湯充満部3と、その外部にあり、溶湯凝固時に発生する増加圧力を吸収可能な圧力吸収部4と、溶湯充満部3と圧力吸収部4間に増加圧力で圧力吸収部4側へ膨出可能又は割れて開口可能な隔壁5とを設けて、溶湯充満部3内に発生する溶湯の増加圧力を圧力吸収部4へ逃がし、製品キャビティ部6に過度の圧力が加わらぬようにして鋳鉄鋳造をする。
【選択図】 図5

Description

本発明は、鋳鉄鋳造において発生する「型張り」、「収縮巣」(引け巣ともいう)、及び「焼付き」等を防止する鋳造方法、その実施に用いる押湯部、その押湯部をもつ鋳型、及びその鋳型の造型方法に係るもので、特に垂直面で分割される垂直割り鋳型を用いるものにおいて、押湯の内で埋込み型押湯(盲押湯ともいう)に属する技術に関するものである。
鋳造において、金属は一般に凝固時に収縮を伴うため、良好な湯口方案で完全に鋳型内を溶湯で満たしても、凝固後の鋳物には「収縮巣」が生じることになる。その防止のために、液体収縮と凝固収縮とで不足する溶湯を補う押湯が必要となるので、そのための手段(以下押湯部という)の設置が不可欠となっている。押湯を用いない方法も提案されているが(例えば特開平10−85924号公報参照)、造型作業や鋳造後の砂との分離に手間がかかる。
そこで、押湯を用いる方法が一般的に行われているが、特に鋳鉄は凝固時に黒鉛が晶出することで、他の金属や合金に比べて凝固収縮率は小さいけれども、黒鉛の晶出による溶湯の体積膨張が大きい。そのため、鋳鉄を用いる鋳造では押湯部の設置方法や大きさ等が他金属や合金の鋳物鋳造と異なることになる。
押湯部の設置方法を大別すると、開放型押湯と非開放型即ち埋込み型押湯がある。前者は、水平割のものにおいて図12で示したような構造をしている。これは密閉状態でないため、溶湯の体積膨張や鋳物砂の体積膨張(キャビティ容積の減少)により、溶湯圧力が増加しようとしても溶湯の圧力増加分は開放型押湯部の開放部分へ逃げる。そのため、鋳型内の溶湯圧力を増加させることがなくて、鋳型の軟弱な部分を変形させるようなことは少ないが、上部からの放熱があるので、押湯量を多くするか、又は「フリカケ保温剤」にて押湯表面を保温する必要がある等の問題点がある。
他方、後者の埋込み型押湯は、水平割のものにおいて図13で示したような構造をしている。これは密閉状態であるが故に、溶湯の体積膨張と鋳物砂の体積膨張が鋳型内の溶湯圧力を増加させて、鋳型の軟弱な部分を変形させることが多い。密閉された鋳型内での溶湯圧力の増加が想像以上に強大であることは、鋳造現場でよく知られていることである。溶湯の増加圧力によるこの現象を、上記の「型張り」と称し、鋳物製品の寸法不良をもたらすだけでなく、鋳物製品に「収縮巣」を発生させて、製品不良の要因となっている。
また、「型張り」が生じない強固な鋳型とした場合には、溶湯の体積膨張と鋳物砂の体積膨張により鋳型内の溶湯圧力が強まって、鋳型の形状によっては鋳型の砂粒間に溶湯がしみ込み、上記「焼付き」現象が生じることになる。
それなら、圧力を逃がして不良品の発生を防止するために、開放型押湯にすればよいとも考えられる。しかし上記問題点の外に、鋳型の造形は手込めによる場合は勿論のこと、生型自動造型機によっても鋳型の強度を強めるのに上型側から油圧等で圧力を加える必要があるため、開放型押湯部の設置には手数がかかる。
これらの事柄に関しては、後記非特許文献1や、非特許文献2等が、鋳造工学や鋳鉄鋳物に関して詳しく記載された文献で、開放型押湯や埋込み型押湯の長所・欠点等についても詳しい記載がある。
中江秀雄著「鋳造工学」(産業図書株式会社発行,2008年4月新版,なお特にP.104,109等に詳しい)。 加山延太郎著「鋳造鋳物教本」(1968年初版3刷,なお特にP.217等に詳しい)。
必ずしも鋳鉄鋳物に関するものではないが、鋳造における問題点の解決のために特許出願されたものとして、以下のようなものがある。
特開平8−90204号公報 ここでは、その明細書の従来の技術の項で、ウイリアムズコアを用いる方法やロストワックス鋳造方法その他を挙げると共に、それらの問題点を解決する手段として、溶融金属の最終充満部近傍の鋳型表面に吸引口を設け、この吸引口から減圧・加圧することで、「収縮巣」、その他の鋳造欠陥の無い製品を得られる鋳造方法及び鋳造設備の提案がなされている。
特許第4150764号公報 ここでは、通気型鋳型のキャビティの体積よりも小さい所望のキャビティ部分とほぼ等しい体積の溶湯を注湯開始後、注湯された溶湯が所望のキャビティに充満される前に、湯口部から圧縮ガスを送気して所望のキャビティ部分に溶湯を充満して凝固させるようにする技術が提案されている。
特公平6−96186号公報 ここでは、低圧鋳造金型の溶湯供給路からキャビティに溶湯を充満した後、キャビティに隣接する溶湯供給路箇所を急冷して該箇所の溶湯を凝固させ、次いで押湯部に設けた圧力手段によって型開き前までキャビティ内の溶湯に圧力をかけつつキャビティ壁面に接する溶湯の表層を急冷し、該溶湯の表層が殻状の凝固層に変える機能をもつようにする技術が提案されている。
その他、鋳鉄の鋳造技術で押湯部を有するものに関する特許文献には、クルマのホイール、クローラ車両のトラックシューあるいはディーゼル車両のシリンダピストンの鋳造のように、特殊な製品に限定される技術に関して、例えば次のようなものもある。
特開平5−69108号公報 特開平7−132864号公報 特開平10−85924号公報
ところが、上記従来から行われている方法や先行技術文献に記載の方法は、開放型押湯と非開放型即ち埋込み型押湯とは、それぞれ上記の問題点を有している。また上記各特許文献に記載のものは、用途が限定されると共に、押湯部に冷却回路や加熱回路、圧縮ガスの送気手段等の特別な付属装置を設ける必要があり、構造が大型化・複雑化したりする。
本発明は、上記問題点の解消を課題として鋭意検討を重ねた結果、完成を得たものである。その目的とするところは、開放型押湯と埋込み型押湯がもつ双方の長所を生かし、互いの欠点を克服し、シンプルな構成で装置が大型化したり複雑化することなく、鋳型の造型が安易であると共に、型張り・収縮巣・焼付き等の発生を低減でき、かつ押湯の保温性も向上できる鋳鉄用鋳造方法、それに使用する押湯部、その押湯部をもつ鋳型、及びその鋳型の造型方法を、垂直割の鋳型を用いるものにおいて提供することにある。
A.本発明に係る鋳鉄鋳造方法は、
埋込み型押湯部2をもつ垂直割の鋳型1を用いる方法において、
鋳型1内で製品キャビティ部6と連通する押湯部2を、
本来の押湯効果を発揮するための中空の溶湯充満部3と、その外部にあって、鋳鉄溶湯の凝固時に発生する増加圧力を吸収可能な中空の圧力吸収部4とで構成すると共に、
上記溶湯充満部3と圧力吸収部4との間に、溶湯充満部3内が一定圧を越えた際にその増加圧力で圧力吸収部4側へ変形可能な隔壁5を設けておき、
鋳鉄溶湯の凝固時に、溶湯充満部3内に発生した増加圧力を隔壁5の変形で圧力吸収部4へ逃がし、製品キャビティ部6に過度の圧力が加わらぬようにして鋳鉄鋳造するようにしたものである。
B.本発明に係る鋳鉄鋳造方法の実施に用いる押湯部の第1は、
垂直割の鋳型1に用いる埋込み型の押湯部2であって、
両側の型枠7,7の合体にて、製品キャビティ部6と連通する如く本来の押湯効果を発揮するための中空の溶湯充満部3と、その上部に、鋳鉄溶湯の凝固時の増加圧力を吸収可能な中空の圧力吸収部4とを設けると共に、
溶湯充満部3と圧力吸収部4との間に、溶湯充満部3内が一定圧を越えた際にその増加圧力で圧力吸収部4側へ変形可能な隔壁5を設けたものである(例えば図1ないし図3参照)。
C.本発明に係る鋳鉄鋳造方法の実施に用いる押湯部の第2は、
垂直割の鋳型1に用いる埋込み型の押湯部2であって、
両側の型枠7,7の合体にて、製品キャビティ部6に連通する如く本来の押湯効果を発揮するための中空の溶湯充満部3と、その上部に鋳鉄溶湯の凝固時の増加圧力を吸収可能な中空の圧力吸収部4と、両者3,4の間に鋳物砂による隔壁5を設け、
上記隔壁5を、鋳鉄溶湯の凝固で溶湯充満部3内が一定圧を越えた際にその増加圧力で圧力吸収部4側へ変形可能としたものである(例えば図4ないし図6参照)。
D.本発明に係る鋳鉄鋳造方法の実施に用いる鋳型は、
埋込み型の押湯部2をもつ垂直割の鋳型1であって、
そこでの押湯部2として、上記Bの押湯部の第1のもの、上記Cの押湯部の第2のもののいずれかを用いて垂直割の鋳型としたものである(例えば図1ないし図7参照)。
E.本発明に係る鋳鉄鋳造方法の実施に用いる鋳型の造型方法は、
生型自動造型機による造型にて垂直割の鋳型を造型するものにおいて、
各側の型枠7,7に、その合体後に製品キャビティ部6に連通して本来の押湯効果を発揮するための中空の溶湯充満部3となる縦割り半筒状の凹部8,8と、その上部に、合体後に円盤状の隔壁5となる鋳物砂の縦割り半円盤状部11,11と、同じく合体後に鋳鉄溶湯の凝固時の増加圧力を吸収可能な中空の圧力吸収部4となる縦割り半筒状の凹部9,9とを形成し、
かつ、両型枠7,7の合体で円盤状となる隔壁5が、下部の溶湯充満部3内が一定圧を越えた際の増加圧力で上部の圧力吸収部4側へ変形可能になるようにして押湯部2を形成することで、垂直割の鋳型1を造型するものである(例えば図4,図5参照)。
上記構成において、隔壁5の変形とは、開口するように割れる場合(例えば図8参照)や、割れないが圧力吸収部4側へ膨出する場合(例えば図9参照)等がある。隔壁5は鋳型1を形成する鋳物砂で形成されるものが望ましいが(例えば上記図4ないし図7参照)、円盤状の単体のものとしてそれを中空部内の上部寄り位置に嵌め入れて固定してもよい(例えば上記図1ないし図3参照)。また筒状のスリーブ15を装入するものではその上端縁に固定してもよいし、スリーブと一体形成したものでもよい。
なお、上記にいう溶湯充満部3と圧力吸収部4とは異径としてもよいが、圧力吸収部4の容積は、溶湯が凝固時に膨張して増加する体積よりも大きめに形成しておくことは勿論である。隔壁5は鋳型1の強度よりも弱く形成して、鋳型1の損壊よりも先に該隔壁5が変形、即ち圧力吸収部側へ膨出、又は割れて開口17が形成されるようにしておく。該隔壁5は1枚とは限らず、2枚以上としてもよい。
上記構成の本発明によれば、シンプルな構成ながら、鋳鉄鋳造において従来大きな問題である「型張り」、「収縮巣」及び「焼付き」等の発生を大幅に減少させて、良好な品質の鋳物製品18を製造することができるし、開放型押湯部に比べて押湯の保温性も向上できる。
これを従来のものと対比しながら説明する。
埋込み型押湯は密閉状態であるが故に、溶湯の体積膨張と鋳物砂の体積膨張が鋳型内の溶湯圧力を増加させる。そのため、従来の埋込み型押湯をもつものでは、鋳型の軟弱な部分を変形させて「型張り」現象を生じ、鋳物製品の寸法不良をもたらしたり、鋳物製品に「収縮巣」を発生させて、製品不良の要因となっていた。
また「型張り」が生じない強固な鋳型でも、同じく溶湯の体積膨張と鋳物砂の体積膨張により鋳型内の溶湯圧力が強まり、鋳型の形状によっては鋳型の砂粒間に溶湯がしみ込んで、「焼付き」現象が発生していた。さらに、「収縮巣不良」(引け巣不良)が発生した場合には、押湯部を大きくするなどしてそれらの不良対策とすることが多く、それがさらに歩留率の悪化を招いていた。
これに対して本発明は、上記の如く、鋳型1内で製品キャビティ部6に連通する如く設けた埋込み型の押湯部2を、本来の押湯効果を発揮するための溶湯充満部3と、その内部の増加圧力を吸収可能な圧力吸収部4とで構成して、それらを隣接して設けると共に、溶湯充満部3と圧力吸収部4間に、溶湯充満部3内の増加圧力で圧力吸収部4側へ変形する隔壁5を設けたものである。
したがって、本発明によれば、
イ)埋込み型押湯式の長所をもつ鋳型1を、シンプルな構成により、従来法とほぼ同等のコストで容易・迅速に造型することができる。
ロ)鋳鉄溶湯を製品キャビティ部6と共に押湯部2の溶湯充満部3へ充満させた際、溶湯の凝固による体積膨張と鋳物砂の体積膨張で鋳型1内の溶湯圧力が増加しても、隔壁5が圧力吸収部4側へ開口して、溶湯充満部3と圧力吸収部4とが連通する(例えば上記図8参照)。また隔壁5が圧力吸収部4側へ開口せず膨出するものでも、溶湯充満部3の容積が増大する(例えば上記図9参照)。いずれの場合も、溶湯充満部3の容積が増大することになり、溶湯による溶湯充満部3内の圧力を下げる。
ハ)それゆえ、密閉型の埋込み型押湯式でありながら、押湯部2や製品キャビティ部6に過度の圧力が加わらないから、鋳型1の軟弱な部分の変形・損壊を防止でき、鋳物製品の寸法不良を無くし、また収縮巣の発生も押さえられて、良好な鋳物製品18を製造することができる。
ニ)また溶湯充満部3内の圧力が過大にならないので、鋳型1の砂粒間に溶湯がしみ込むことを防止でき、「焼付き」現象も無くすことができる。
ホ)さらに、開放型押湯部と異なり上方からの放熱を避けられるから、押湯の保温性を向上できて、押湯量を少なくして溶湯量が削減できる。それによって、製品の歩留り率を向上させることもできて、省エネ効果を発揮すると共に、ひいては環境問題にも寄与することができる。
本発明に係る押湯部の一例を持つ鋳型について、両型枠を合体前の状態を示す縦断正面図である。 図1で示したもので、両型枠を合体後の状態を示す縦断正面図である。 図2で示したものの縦断側面図である。 本発明に係る押湯部の他の例を持つ鋳型について、両型枠を合体前の状態を示す縦断正面図である。 図4で示したもので、両型枠を合体後の状態を示す縦断正面図である。 図5で示したものの縦断側面図である。 図5で示したもので、スリーブを装入した例を示す縦断正面図である。 隔壁が溶湯充満部の増加圧力で割れて開口した状態を示す拡大縦断正面図である。 隔壁が溶湯充満部の増加圧力で圧力吸収部側へ膨出した状態を示す拡大縦断正面図である。 鋳物製品を評価試験時における縦断正面図である。 図10で示したものの平面図である。 開放型押湯部をもつ鋳型を示す概略縦断正面図である。 埋込み型押湯部をもつ鋳型を示す概略縦断正面図である。
本発明は、埋込み型押湯部2をもつ垂直割の鋳型1を用いるもので、両側の型枠7,7を合体させた際に、鋳型1内で製品キャビティ部6と連通する如くに形成される押湯部2を、本来の押湯効果を発揮するための中空の溶湯充満部3と、その外部にあって、鋳鉄溶湯の凝固時に発生する増加圧力を吸収可能な中空の圧力吸収部4とで構成すると共に、上記溶湯充満部3と圧力吸収部4との間に、溶湯充満部3内が一定圧を越えた際にその増加圧力で圧力吸収部4側へ変形可能な円盤状の隔壁5を設けて、鋳鉄溶湯の凝固時に溶湯充満部3内に発生した増加圧力を圧力吸収部4へ逃がし、製品キャビティ部6に過度の圧力が加わらぬようにして鋳鉄鋳造をする。
図1ないし図3は、本発明に係る押湯部を備えた鋳型の実施例の1つを示す。
この鋳型1は、公知の垂直割のものと同様に割り面が垂直面の2つの型枠7,7で構成され、生型造型機により鋳物砂を用いて造型される。上部に開口する湯口13を有して、そこから下方へ湯道14が延びて製品キャビティ部6へ連通している。ここでは、製品キャビティ部6は円筒状で、内径100mm、高さ200mmとしてある。
その製品キャビティ部6の上部に連通して押湯部2が形成されている。この押湯部2は、両側の型枠7,7を合体時に本来の押湯効果を発揮する中空円筒状の溶湯充満部3と、鋳鉄溶湯の凝固時の増加圧力を吸収可能な中空円筒状の圧力吸収部4とからなる。
即ち、上記中空円筒状の溶湯充満部3と圧力吸収部4は、各型枠7,7内に鋳物砂を用いて縦割り半円筒状の凹部10,10を形成しておき、両型枠7,7の合体時に形成される中空円筒状部分を、円盤状の隔壁5の装入により上下方向の2分割して形成する。上記中空円筒状部分の大きさが、ここでは内径95mm、高さ100mmとなるようにしてある。
そして、上記縦割り半円筒状の凹部10,10の内周壁で、その下部から65mmの位置に、型枠7,7の合体時に環状となるような半凹溝12,12を形成しておき(図1参照)、該環状の凹溝12,12内へ円盤状の隔壁5を嵌合して装入することで、隔壁5の下部を溶湯充満部3とし、上部を圧力吸収部4とする。
なお該隔壁5は、鋳鉄溶湯が凝固時に溶湯充満部3内が一定圧を越えた際に、ここでは図8で示すように増加圧力で割れて開口可能なものであり、ここでは外径110mmで厚さが7mmのシェル板製としてある。
図4ないし図6は、本発明に係る押湯部を備えた鋳型の他の実施例を示す。
この鋳型1も公知の垂直割のものと同様に、割り面が垂直面の2つの型枠7,7からなり、生型造型機で鋳物砂により成型されるものである。
上部に開口する湯口13を有し、そこから下方へ湯道14が延びて製品キャビティ部6へ連通している。ここでは、製品キャビティ部6は円筒状で内径100mm、高さ200mmとしてある。
その製品キャビティ部6の上部に連通して押湯部2が形成されているが、該押湯部2は上記実施例1のものとは異なる。両側の各型枠7,7内には、合体時に製品キャビティ部6と連通して本来の押湯効果を発揮する中空円筒状の溶湯充満部3となる縦割り半円筒状の凹部8,8と、その上部に、合体後に円盤状の隔壁5となる鋳物砂の縦割り半円盤状部11,11と、同じく合体後に鋳鉄溶湯の凝固時の増加圧力を吸収可能な中空短円筒状の圧力吸収部4となる縦割り短半円筒状の凹部9,9とを形成しておく(図4参照)。
そして両型枠7,7の合体により、円盤状となった隔壁5の下部に円筒状の溶湯充満部3が形成され、上部に円筒状の圧力吸収部4が形成されるが、ここでは溶湯充満部3が内径95mmで高さ65mm、圧力吸収部4が同じ内径で高さ28mmとしてある。また上記隔壁5は、溶湯充満部3内が一定圧を越えた際の増加圧力で圧力吸収部4側へ変形、ここでは図9で示す如く膨出可能となる強度に形成してあり、該隔壁5の厚さを15mmとしてある。このようにして、図5及び図6で示す押湯部2付きの垂直割の鋳型1を造型する。
図7は、上記実施例2の変形例を示すものであり、垂直割りの両型枠7,7を合体時に溶湯充満部3と圧力吸収部4と隔壁5を有する点は共通するが、溶湯充満部3内に円筒状のスリーブ15を装入するものである。
上記スリーブ15は、ここでは硅砂や古紙など樹脂剤をバインダーとして形成したもので、外径95mm、内径60mm、高さ65mmの円筒状をしており、またその上部に鋳物砂の隔壁5が位置するようにしてある。その他の部分は上記実施例で述べたとおりであるから、重複を避けるために記載を省略する。
図において、16は隔壁の上面中央部に形成したノッチ(切欠き溝)を示し、ここでは深さ2mmにしてあるが、このノッチ16は不可欠なものではなく、隔壁の強度によっては設ける必要はない。17は隔壁5が割れて生じた開口、18は鋳物製品を示す。
上記いずれの実施例においても、上記鋳型1内へ鋳鉄溶湯を注湯した際に、内部に設けた押湯部2の溶湯充満部3内で溶湯の凝固時に発生した増加圧力により、隔壁5が割れて開口又は圧力吸収部4側へ膨出するから、一定圧を越えた増加圧力を圧力吸収部4へ逃がすことになる。その結果、製品キャビティ部6には過度の圧力が加わらぬことになり、「型張り」、「収縮巣」(引け巣ともいう)、及び「焼付き」等を防止できて、良好な鋳鉄鋳造ができるようになる。
本発明の効果を確認する比較試験
本発明として上記実施例2で示したものを用い、それを圧力吸収部をもたない従来のもの(以下の表2,3で比較例として記載したもの)と比較した。ここで用いた鋳鉄溶湯は、下記表1に示す2種類のものを、1370±20℃にて各々5機の鋳型に鋳込み、その後十分に冷却した後に各鋳物製品18に均等にショットブラスト処理を行った。これら鋳物製品18を定盤19に載置して検品を行ったところ、鋳物製品18の製品下部になだらかな凸状の変形があることを確認した(図10参照)。
そこで、図11で示す如く、各鋳物製品18について、Ta ,Tb で示す2か所でシックネスゲージにて測定し、その合計値(Ta 〜b)を求めた。その結果を下記表2及び表3で示すが、前者は溶湯の材質がFC−200の場合の結果で、後者はFCD−450の場合の結果である。
Figure 2011020156
上記の結果、本発明の実施例の鋳型を用いて鋳造した製品には、各表の上段で示す如く殆ど変形が認められなかったが、本発明を用いない鋳型によるもの(比較例)では、各表の下段で示す如く、鋳物製品18の製品下部に変形が認められた。この変形は「型張り」によりもたらされた寸法不良である。
また上記本発明の押湯部2をもつ実施例の鋳型1で、鋳造後の押湯部2内で隔壁5が上方に膨らんで破れ、開口17が形成されていることが確認できた。これは、溶湯による圧力増加分を圧力吸収部4へ逃がして、吸収したことを意味しており、これにより良好な鋳物製品18が鋳造されることが実証された。
本発明は、密閉型の埋込み型押湯式を用いる鋳鉄鋳造において、発生する鋳型の軟弱な部分の変形防止、鋳物製品18の寸法不良の発生防止、「収縮巣」の発生も押さえて、良好な鋳物製品17を製造しようとする場合に、きわめて有効に利用することができる。
1−鋳型
2−押湯部
3−溶湯充満部
4−圧力吸収部
5−隔壁
6−製品キャビティ部
7−型枠
8−凹部
9−凹部
10−凹部
11−半円盤状部
12−凹溝
13−湯口
14−湯道
15−スリーブ
16−ノッチ
17−開口
18−鋳物製品
19−定盤

Claims (5)

  1. 埋込み型押湯部2をもつ垂直割の鋳型1を用いる方法において、
    鋳型1内で製品キャビティ部6と連通する押湯部2を、
    本来の押湯効果を発揮するための中空の溶湯充満部3と、その外部にあって、鋳鉄溶湯の凝固時に発生する増加圧力を吸収可能な中空の圧力吸収部4とで構成すると共に、
    上記溶湯充満部3と圧力吸収部4との間に、溶湯充満部3内が一定圧を越えた際にその増加圧力で圧力吸収部4側へ変形可能な隔壁5を設けておき、
    鋳鉄溶湯の凝固時に、溶湯充満部3内に発生した増加圧力を隔壁5の変形で吸収可能な圧力吸収部4へ逃がし、製品キャビティ部6に過度の圧力が加わらぬようにして鋳鉄鋳造することを特徴とする、鋳鉄鋳造方法。
  2. 垂直割の鋳型1に用いる埋込み型の押湯部2であって、
    両側の型枠7,7の合体にて、製品キャビティ部6と連通する如く本来の押湯効果を発揮するための中空の溶湯充満部3と、その上部に、鋳鉄溶湯の凝固時の増加圧力を吸収可能な中空の圧力吸収部4とを設けると共に、
    溶湯充満部3と圧力吸収部4との間に、溶湯充満部3内が一定圧を越えた際にその増加圧力で圧力吸収部4側へ変形可能な隔壁5を設けた、鋳鉄鋳造用鋳型の押湯部。
  3. 垂直割の鋳型1に用いる埋込み型の押湯部2であって、
    両側の型枠7,7の合体にて、製品キャビティ部6に連通する如く本来の押湯効果を発揮するための中空の溶湯充満部3と、その上部に、鋳鉄溶湯の凝固時の増加圧力を吸収可能な中空の圧力吸収部4を設けると共に、
    上記溶湯充満部3と圧力吸収部4との間に、鋳鉄溶湯の凝固で前者3内が一定圧を越えた際にその増加圧力で後者4側へ変形可能となるように鋳物砂による隔壁5を形成した、鋳鉄鋳造用鋳型の押湯部。
  4. 埋込み型の押湯部2をもつ垂直割の鋳型1であって、
    そこでの押湯部2として、請求項2に記載のもの、または請求項3に記載のものを用いて垂直割の鋳型とした、鋳鉄鋳造用の鋳型。
  5. 生型自動造型機による造型にて垂直割の鋳型を造型するものにおいて、
    各側の型枠7,7に、その合体後に製品キャビティ部6に連通して本来の押湯効果を発揮するための中空の溶湯充満部3となる縦割り半筒状の凹部8,8と、その上部に、合体後に円盤状の隔壁5となる鋳物砂の縦割り半円盤状部11,11と、同じく合体後に鋳鉄溶湯の凝固時の増加圧力を吸収可能な中空の圧力吸収部4となる縦割り半筒状の凹部9,9とを形成し、
    かつ、両型枠7,7の合体で円盤状となる隔壁5が、下部の溶湯充満部3内が一定圧を越えた際の増加圧力で上部の圧力吸収部4側へ変形可能となるようにして押湯部2を形成することにより、垂直割の鋳型1を造型するようにしたことを特徴とする、鋳鉄鋳造用の鋳型の造型方法。
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