JP6826751B2 - 押湯形成体及びその押湯形成体を用いた鋳物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋳造に用いる押湯形成体とその押湯形成体を用いた鋳物の製造方法に関する。
鋳造においては、鋳物となる溶湯の凝固収縮によって製品に発生する引け巣等の鋳造欠陥を防止するために、必要に応じて製品部に溶湯を補給する押湯を設けることがある。押湯が溶湯補給の効果を発揮するためには、押湯は製品部よりも凝固が遅く、溶融状態を長く保つこと、即ち優れた保温性を有することが必要である。押湯の凝固を遅延するには、その体積を大きくすればよい。しかし、押湯は、鋳造後の鋳物としては本来不要なものであり、その大型化は製品を得るのに多くの溶湯を必要として注入歩留りを低下させる。注入歩留りの低下は、溶解エネルギー等の製造コストの上昇を招く。
注入歩留りを低下させることなく、即ち小さな押湯でも十分な溶湯補給効果を得ることを目的に、押湯の溶湯を保温するための発熱性又は断熱性の高い材料からなる押湯スリーブを使用することがある。しかし、押湯スリーブは一般的に高価であり、また押湯スリーブを用いても必ずしも十分な保温効果を得られないことがあり、費用対効果の観点からその使用は限定的なものであった。
さらに押湯スリーブは、鋳造後にその残留物や燃焼カスなどの残滓が発生する。押湯スリーブの残滓は、それが押湯に付着した場合、押湯を戻り屑(リターン材)として再溶解した際にノロを増加させて溶湯の品質を悪化させる。また、押湯スリーブの残滓が押湯から剥離した場合、特に鋳型砂として生砂をシステムサンドとして繰り返し循環使用して鋳型を造型している鋳物工場では、押湯スリーブの残滓が鋳型砂に混入して鋳型の品質を悪化させる。溶湯や鋳型の品質の悪化は、製品となる鋳物に対してノロ噛みや異物噛み、鋳型壊れなど鋳造欠陥の増加を招くとういう問題点がある。
押湯スリーブの効果を向上する提案として、例えば、特許文献1には、押湯のネック部にネックダウンコアを用いて、該ネックダウンコアと砂型(鋳型)との間に空気層を形成し、さらに半球状のネックダウンコアと半球状の発熱及び断熱保温スリーブ(押湯スリーブ)を合わせて球形の押湯型部(押湯)を形成した押湯装置の記載がある。特許文献1の押湯装置によれば、ネックダウンコアと鋳型との間に空気層を形成することで溶湯の冷却速度を遅らせ、押湯型部(押湯)から鋳型部(製品部)への給湯が行われて押湯効果が向上でき、さらに半球状のネックダウンコアと押湯スリーブとにより押湯を球形とすることで注入歩留りが良好になるとしている。
しかしながら、特許文献1には押湯スリーブの残滓による鋳造欠陥の増加といった問題点を解決するための提案については開示も示唆もない。
押湯スリーブの残滓の問題点を解決する提案として、特許文献2には、押湯スリーブを鋳型砂に残留して混入しても問題がない材料として、鋳型砂と同じ砂からなるシェル鋳型、自硬性鋳型などの砂を用いた押湯の構造の開示がある。さらに特許文献2では、押湯のキャビティー部を成型後、押湯のキャビティー部より小さい押湯スリーブを挿入し、押湯のキャビティー部の下部に押湯スリーブの下部の外周を嵌合係止するとともに、その他の押湯のキャビティー部と押湯スリーブの外面の間に空気層などからなる断熱層を形成した押湯の構造の記載がある。
特許文献2の押湯の構造によれば、押湯スリーブ外面と押湯キャビティー部との間に断熱層が存在することで、押湯スリーブと鋳型とが直接接触しないので断熱性が高まり押湯の冷却が遅くなるとしている。そして該押湯の構造によれば、押湯スリーブの保温性が高まり押湯効果が大きくなるので、押湯を小さくすることができ鋳造歩留りが向上するとしている。また押湯スリーブの材質として、鋳型砂と同じ砂を用いることで安価で、かつ残留して鋳型砂に混入しても問題がないとしている。
特開昭60−227946号公報 特開2013−215799号公報
上述したとおり、特許文献2で提案されたように、押湯スリーブの残滓が生砂などの鋳型砂に混入しても問題がないように、押湯スリーブの材料として鋳型砂と同様の鋳造用の砂を骨材として用いて、しかも押湯スリーブに断熱層を形成した押湯の構造とすれば、押湯スリーブの残滓による問題点を解決して、しかも押湯の保温性を向上できて有効と考えられた。
そこで、本発明者らは、特許文献2の押湯の構造の有効性を検証すべく押湯スリーブを鋳型砂に混入してもよい鋳造用の砂を骨材として用いるとともに、押湯スリーブに空気層からなる断熱層を形成した押湯の構造としてその有効性を検討した。なお押湯スリーブは、鋳造で一般に採用される造型法であるシェルモールド法により中子として形成した。
その検討結果によれば、特許文献2の押湯の構造において新たな課題が認識された。押湯スリーブによる断熱効果を向上するには、押湯スリーブは、押湯の溶湯の熱をできるだけ奪わないことが求められるが、このためには押湯スリーブの熱容量(ヒートマス)を極力小さくすることが望ましいと考えられた。そこで押湯スリーブの肉厚を溶湯の熱と圧力に耐えうると考えられる最小限の厚さまで薄くしたところ、押湯スリーブの断熱層である空気層に溶湯が漏洩するという問題を生ずることがあった。空気層に溶湯が漏洩した押湯を観察すると、押湯スリーブの本体部に対応する部位に、押湯と空気層を連通する複数の流路が見られ、押湯の溶湯がこの流路を経由して空気層に漏洩していた。
空気層に溶湯が漏洩した原因は、押湯スリーブの肉厚を薄くしたことで、溶湯の熱と圧力に曝された押湯スリーブが、熱間強度不足又は熱膨張に起因して、その本体部に複数の亀裂を生じて、これらの亀裂を流路として空気層に溶湯が漏洩したものと推定された。
空気層に漏洩した溶湯は、凝固後に厚い外殻を形成して押湯と一体化するとともに、形成した外殻によって押湯スリーブを囲繞していた。外殻で囲繞された押湯スリーブの砂は、残滓として押湯に残留しているので、押湯を戻り屑として再溶解すると溶湯の品質を悪化させ、製品にノロ噛みなどの鋳造欠陥を発生させるとういう問題が懸念された。押湯に残留した砂を除去するには、押湯にショットブラストを施したり、外殻を外力で破壊して残留した砂を排出・分離することも考えられるが、余分な設備や工程を要し製造コストの増加を招くという問題を生ずる。
一方、空気層への溶湯の漏洩を防止するため、押湯スリーブに亀裂を生じないようにその肉厚を厚くすると、押湯スリーブの熱容量が大きくなるため押湯から押湯スリーブへの抜熱が多くなって断熱効果が抑制されて保温性が低下するという問題があった。
本発明の目的は、上記課題に鑑み、押湯スリーブを鋳造用の砂で形成しても押湯の保温性が確保されて、かつ押湯スリーブの残滓が押湯に残留して溶湯の品質を悪化させることのない押湯形成体及びその押湯形成体を用いた鋳物の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成されている。即ち、本発明の押湯形成体は、Feを主成分とし、Cr20%、Ni10%を含有する耐熱鋳鋼の鋳造において、鋳造用の砂で形成された押湯スリーブを有する、押湯を形成するための押湯形成体であって、前記押湯のうちネック部又は本体部の一方又は両方のキャビティーの外側の少なくとも一部に、空気層からなる断熱層が形成されるように前記押湯スリーブが設置されており、前記空気層の厚さが1mm以下であることを特徴とする。
前記押湯形成体は、内側スリーブと外側スリーブとが組み合わされて前記空気層が形成されていることが好ましい。また前記押湯形成体は、内側スリーブと鋳型とにより前記空気層が形成されていてもよい。
また、本発明の鋳物の製造方法は、前記押湯形成体を用いた鋳物の製造方法である。
本発明によれば、押湯スリーブが鋳造用の砂で形成されているので押湯スリーブの残滓の鋳型砂への混入による問題がなく、さらに押湯の保温性が確保されて、しかも押湯スリーブの残滓が押湯に残留して溶湯の品質を悪化させることのない押湯形成体及びその押湯形成体を用いた鋳物の製造方法を提供することができる。
実施の形態1の押湯形成体を示す概略平面図である。 実施の形態1の押湯形成体を示す概略側面図である。 実施の形態1の押湯形成体の図1での矢視Y−Y側断面図である。 実施の形態1の押湯形成体の図1での矢視X1−X1正断面図である。 実施の形態1の押湯形成体の図1での矢視X2−X2正断面図である。 実施の形態1の押湯形成体の図2での矢視Z−Z平断面図である。 実施の形態2の押湯形成体を示す側断面図である。 実施の形態3の押湯形成体を示す側断面図である。 実施の形態4の押湯形成体を示す側断面図である。 実施の形態5の押湯形成体を示す側断面図である。 実施の形態6の押湯形成体を示す側断面図である。 実施の形態7の押湯形成体を示す側断面図である。 実施の形態8の押湯形成体を示す側断面図である。 実施の形態9の押湯形成体を示す側断面図である。 実施の形態10の押湯形成体を示す正断面図である。 実施の形態11の押湯形成体を示す側断面図である。 本発明の押湯形成体を模した空気層厚さの保温性への影響を調査するための試験鋳型を示す断面図である。 本発明の押湯形成体を模した試験鋳型での空気層厚さと溶湯の冷却速度との関係を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照してさらに詳しく説明する。なお、本発明は以下の実施の形態により何ら限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1〜図6は、実施の形態1の押湯形成体を示す概略図であって、図1は平面図、図2は側面図、図3は図1での矢視Y−Y側断面図、図4は図1での矢視X1−X1正断面図、図5は図1での矢視X2−X2正断面図、図6は図2での矢視Z−Z平断面図である。
図1及び図2で、1は押湯形成体、Cは製品部、Mは鋳型を示し、鋳型Mには押湯5を形成するための押湯形成体1、製品部C、図示しない湯口及び湯道を構成するキャビティーが画成されている。押湯形成体1は、鋳造用の砂で形成された押湯スリーブ2及び押湯スリーブ3を有し、ネック部5a及び本体部5bからなる押湯5のキャビティーが形成されている。製品部Cは押湯5のネック部5a、本体部5bに連通し、押湯5は図示しない湯道及び湯口に連通されている。鋳造にあたっては、鋳物となる溶湯を図示しない湯口から注湯して、図示しない湯道及び押湯5を経由して、製品部Cとなるキャビティーに供給・充填し、その後、溶湯を凝固、冷却することで鋳物が得られる。
本発明の実施の形態においては、鋳型Mの分割面を水平面とした、所謂水平割の鋳型Mを例示したもので、図2の一点鎖線は見切り線(パーティングライン)示し、見切り線を挟んで、紙面上側が上型m2、紙面下側が下型m3を示す。押湯スリーブ2は鋳型Mの上型m2に設置され、押湯スリーブ3は鋳型Mの下型m3に設置されている。押湯スリーブ2、3には、鋳型Mに設置するために図示しない幅木を設けることが好ましい。
押湯スリーブ2、3は鋳造用の砂から形成することができ、例えば一般的な造型法であるシェルモールド法によりシェル中子として形成することができるが、これに限らずコールドボックス法、CO法、自硬性鋳型法などにより形成できる。また押湯スリーブ2、3は、骨材となる砂を珪砂とし、シェルモールド法の場合にはこれを熱硬化性樹脂(レジン)で被覆したものを使用することができるが、これに限らず珪砂を各種の造型法で用いられる粘結剤や硬化剤、硬化ガスなどと混合又は接触して使用することができる。また骨材の珪砂に替えて、ムライト、ジルコン、アルミナの少なくとも一つ以上からなる人工砂粒子を用いることもできる。
実施の形態1の押湯形成体1は、鋳造用の砂で形成された押湯スリーブ2、3で構成しているので、鋳造後に押湯スリーブ2、3の残滓が鋳型砂に混入しても、鋳型の品質を悪化させることがない。
次に図3〜図6により、実施の形態1の押湯形成体1についてさらに詳述する。実施の形態1の押湯形成体1は、ネック部5a及び本体部5bからなる押湯5のキャビティーと、押湯5のキャビティーを囲むように設置された押湯スリーブ2、3とから構成されている。そして押湯スリーブ2、3は、図3の側断面図、図4及び図5の正断面図、図6の平断面図に示すように、押湯5の部位のうちネック部5a及び本体部5bの両方のキャビティーの頂部、胴部、底部等の外側のほぼ全部を覆うように設置されている。
また、押湯形成体1は、押湯スリーブ2、3により、夫々、内側スリーブ2a、3aと外側スリーブ2b、3bとが組み合わされて、厚さ1mm以下の空気層42、43が形成されている。このように別体の内側スリーブ2a、3aと外側スリーブ2b、3bとを組み合わせて空気層を形成すれば、空気層の厚さの寸法を精度よく設定できるので好ましい。なお内側スリーブ2a、3aと外側スリーブ2b、3bとの組み合わせは、耐火性の接着剤で貼り合せることが例示できるが、両者は必ずしも接合して一体化している必要はなく、接着剤を使用せずに中子納め工程で内側スリーブ2a、3aと外側スリーブ2b、3bとを組み合わせてもよい。接着剤を使用しなければ、空気層の厚さの寸法精度をより高くできて好ましい。
上述の構成とすることで、実施の形態1では、押湯5のうち、ネック部5a及び本体部5bの両方のキャビティーの外側のほぼ全部に、厚さが1mm以下の空気層42、43からなる断熱層が形成されるように押湯スリーブ2、3が設置された押湯形成体1が得られる。
実施の形態1の押湯形成体1によれば、空気層42、43からなる断熱層が形成された押湯スリーブ2、3が設置されているので、その断熱効果によって押湯5の保温性が向上し、押湯の凝固が遅れて押湯から製品部への溶湯補給効果を大きくすることができる。従って本発明の押湯形成体1を用いない場合に較べて、押湯5を小さくできるので注入歩留りが向上する。
押湯形成体1による保温性を向上するには、押湯スリーブ2、3の熱容量を極力小さくすることが望ましい。特に、押湯スリーブ2、3のうち、押湯5の溶湯と接触する押湯スリーブ2の内側スリーブ2a及び押湯スリーブ3の内側スリーブ3aの肉厚を溶湯の熱と圧力に耐えうる最小限の厚さまで薄くすることが好ましい。押湯スリーブ2、3の肉厚は、砂の材質、形状、設置部位、押湯の大きさ、溶湯の材質、注湯温度、注湯ヘッドなどによって適宜設定できる。
実施の形態1の押湯形成体1によれば、空気層42、43の厚さを1mm以下としているので、万一、空気層に溶湯が漏洩しても、押湯スリーブ2、3の残滓が押湯5に残留して溶湯の品質を悪化させることがない。
(実施の形態2)
図7は、実施の形態2の押湯形成体を示す概略図であって、実施の形態1の図3と同様の側断面図である。なお、図7においては鋳型Mを省略し、また図1〜6を参照して説明した実施の形態1の押湯形成体等と同様な構成要素については、同一の符号を付しており詳細な説明は省略する(以下説明する実施の形態3〜11においても同様である。)。
図7に示すように、実施の形態2の押湯形成体1は、上型に設置された押湯スリーブ2と、下型に設置された押湯スリーブ3とから構成されている。押湯スリーブ2は、押湯5のネック部5a及び本体部5bの両方のキャビティーの外側のほぼ全部を覆うように設置され、一方、押湯スリーブ3は、押湯5のネック部5aのみのキャビティーの外側のほぼ全部を覆うように設置されている。また、押湯形成体1は、押湯スリーブ2、3により、夫々、内側スリーブ2a、3aと外側スリーブ2b、3bとが組み合わされて、厚さ1mm以下の空気層42、43が形成されている。
上述の構成とすることで、実施の形態2では、押湯5のうち、上型のネック部5a及び本体部5bの両方のキャビティーの外側のほぼ全部、並びに下型のネック部5aのキャビティーの外側のほぼ全部に、厚さが1mm以下の空気層42、43からなる断熱層が形成されるように押湯スリーブ2、3が設置された押湯形成体1が得られる。
(実施の形態3)
図8は、実施の形態3の押湯形成体を示す概略図であって、実施の形態1の図3と同様の側断面図である。
図8に示すように、実施の形態3の押湯形成体1は、上型に設置された押湯スリーブ2と、下型に設置された押湯スリーブ3とから構成されている。押湯スリーブ2、3は、押湯5の本体部5bのみのキャビティーの外側のほぼ全部を覆うように設置されている。また、押湯形成体1は、押湯スリーブ2、3により、夫々、内側スリーブ2a、3aと外側スリーブ2b、3bとが組み合わされて、厚さ1mm以下の空気層42、43が形成されている。
上述の構成とすることで、実施の形態3では、押湯5のうち、上型及び下型の本体部5bのキャビティーの外側のほぼ全部に、厚さが1mm以下の空気層42、43からなる断熱層が形成されるように押湯スリーブ2、3が設置された押湯形成体1が得られる。
(実施の形態4)
図9は、実施の形態4の押湯形成体を示す概略図であって、実施の形態1の図3と同様の側断面図である。
図9に示すように、実施の形態4の押湯形成体1は、上型に設置された押湯スリーブ2から構成されている。押湯スリーブ2は、押湯5の本体部5bのみのキャビティーの外側のほぼ全部を覆うように設置されている。また、押湯形成体1は、押湯スリーブ2により、内側スリーブ2aと外側スリーブ2bとが組み合わされて、厚さ1mm以下の空気層42が形成されている。
上述の構成とすることで、実施の形態4では、押湯5のうち、上型の本体部5bのキャビティーの外側のほぼ全部に、厚さが1mm以下の空気層42からなる断熱層が形成されるように押湯スリーブ2が設置された押湯形成体1が得られる。
(実施の形態5)
図10は、実施の形態5の押湯形成体を示す概略図であって、実施の形態1の図3と同様の側断面図である。
図10に示すように、実施の形態5の押湯形成体1は、下型に設置された押湯スリーブ3から構成されている。押湯スリーブ3は、押湯5の本体部5bのみのキャビティーの外側のほぼ全部を覆うように設置されている。また、押湯形成体1は、押湯スリーブ3により、内側スリーブ3aと外側スリーブ3bとが組み合わされて、厚さ1mm以下の空気層43が形成されている。
上述の構成とすることで、実施の形態5では、押湯5のうち、下型の本体部5bのキャビティーの外側のほぼ全部に、厚さが1mm以下の空気層43からなる断熱層が形成されるように押湯スリーブ3が設置された押湯形成体1が得られる。
(実施の形態6)
図11は、実施の形態6の押湯形成体を示す概略図であって、実施の形態1の図3と同様の側断面図である。
図11に示すように、実施の形態6の押湯形成体1は、上型に設置された押湯スリーブ2から構成されている。押湯スリーブ2は、押湯5の本体部5bのみのキャビティーの胴部の外側を腹巻きで覆うように設置されている。また、押湯形成体1は、押湯スリーブ2により、内側スリーブ2aと外側スリーブ2bとが組み合わされて、厚さ1mm以下の空気層42が形成されている。
上述の構成とすることで、実施の形態6では、押湯5のうち、上型の本体部5bのキャビティーの外側の一部に、厚さが1mm以下の空気層42からなる断熱層が形成されるように押湯スリーブ2が設置された押湯形成体1が得られる。
(実施の形態7)
図12は、実施の形態7の押湯形成体を示す概略図であって、実施の形態1の図3と同様の側断面図である。
図12に示すように、実施の形態7の押湯形成体1は、上型に設置された押湯スリーブ2から構成されている。押湯スリーブ2は、押湯5の本体部5bのみのキャビティーの頂部の外側を帽子で覆うように設置されている。また、押湯形成体1は、押湯スリーブ2により、内側スリーブ2aと外側スリーブ2bとが組み合わされて、厚さ1mm以下の空気層42が形成されている。
上述の構成とすることで、実施の形態7では、押湯5のうち、上型の本体部5bのキャビティーの外側の一部に、厚さが1mm以下の空気層42からなる断熱層が形成されるように押湯スリーブ2が設置された押湯形成体1が得られる。
(実施の形態8)
図13は、実施の形態8の押湯形成体を示す概略図であって、実施の形態1の図3と同様の側断面図である。
図13に示すように、実施の形態8の押湯形成体1は、上型に設置された押湯スリーブ2と、下型に設置された押湯スリーブ3とから構成されている。押湯スリーブ2、3は、押湯5のネック部5aのみのキャビティーの外側のほぼ全部を覆うように設置されている。また、押湯形成体1は、押湯スリーブ2、3により、夫々、内側スリーブ2a、3aと外側スリーブ2b、3bとが組み合わされて、厚さ1mm以下の空気層42、43が形成されている。
上述の構成とすることで、実施の形態8では、押湯5のうち、上型及び下型のネック部5aのキャビティーの外側のほぼ全部に、厚さが1mm以下の空気層42、43からなる断熱層が形成されるように押湯スリーブ2、3が設置された押湯形成体1が得られる。
(実施の形態9)
図14は、実施の形態9の押湯形成体を示す概略図であって、実施の形態1の図3と同様の側断面図である。
図14に示すように、実施の形態9の押湯形成体1は、下型に設置された押湯スリーブ3から構成されている。押湯スリーブ3は、押湯5のネック部5aのみのキャビティーの外側のほぼ全部を覆うように設置されている。また、押湯形成体1は、押湯スリーブ3により、内側スリーブ3aと外側スリーブ3bとが組み合わされて、厚さ1mm以下の空気層43が形成されている。
上述の構成とすることで、実施の形態9では、押湯5のうち、下型のネック部5aのキャビティーの外側のほぼ全部に、厚さが1mm以下の空気層43からなる断熱層が形成されるように押湯スリーブ3が設置された押湯形成体1が得られる。
(実施の形態10)
図15は、実施の形態10の押湯形成体を示す概略図であって、実施の形態1の図5と同様の正断面図である。
図15に示すように、実施の形態10の押湯形成体1は、上型に設置された押湯スリーブ2と、下型に設置された押湯スリーブ3とから構成されている。押湯スリーブ2、3は、押湯5のネック部5aのみのキャビティーの頂部及び底部の外側の一部を覆うように設置されている。また、押湯形成体1は、押湯スリーブ2、3により、夫々、内側スリーブ2a、3aと外側スリーブ2b、3bとが組み合わされて、厚さ1mm以下の空気層42、43が形成されている。
上述の構成とすることで、実施の形態10では、押湯5のうち、上型及び下型のネック部5aのキャビティーの外側の一部に、厚さが1mm以下の空気層42、43からなる断熱層が形成されるように押湯スリーブ2、3が設置された押湯形成体1が得られる。
以上、実施の形態2〜10で説明したとおり、本発明の押湯形成体1において、押湯スリーブ2は、上型のネック部5a及び/又は本体部5bのキャビティーの外側のほぼ全部又は一部を覆うように設置してもよいし、押湯スリーブ3は、下型のネック部5a及び/又は本体部5bのキャビティーの外側のほぼ全部又は一部を覆うように設置してもよい。
(実施の形態11)
上述した実施の形態1〜10では、いずれも内側スリーブと外側スリーブとを組み合わせて空気層を形成しているが、本発明はこれに限定されず、空気層からなる断熱層が形成されるように押湯スリーブが設置される構成であればいかなる態様であってもよい。例えば、押湯スリーブと鋳型Mとによって空気層が形成される構成としてもよい。
図16は、実施の形態11の押湯形成体を示す概略図であって、実施の形態1の図3と同様の側断面図である。
図16に示すように、実施の形態11の押湯形成体1は、鋳型Mの上型に設置された押湯スリーブ2と、鋳型Mの下型に設置された押湯スリーブ3とから構成されている。押湯スリーブ2、3は、押湯5のネック部5a及び本体部5bの両方のキャビティーの頂部、胴部、底部等の外側のほぼ全部を覆うように設置されている。実施の形態11の押湯形成体1は、実施の形態1で示した外側スリーブ2b、3bを有さず、内側スリーブ2a、3aのみからなる押湯スリーブ2、3が設置されている。内側スリーブ2a、3aには、鋳型Mに設置した際に厚さが1mm以下の空気層からなる断熱層が形成されるように凹部を設けている。実施の形態11の押湯形成体1においては、押湯スリーブ2、3と鋳型Mとの間に厚さ1mm以下の空気層42、43が形成されている。
上述の構成とすることで、実施の形態11では、押湯5のうち、ネック部5a及び本体部5bの両方のキャビティーの外側のほぼ全部に、厚さが1mm以下の空気層42、43からなる断熱層が形成されるように押湯スリーブ2、3が設置された押湯形成体1が得られる。
なお、押湯スリーブ2、3と鋳型Mとの間に空気層を形成する態様においても、実施の形態2〜10で説明したと同様に、押湯スリーブ2は、上型のネック部5a及び/又は本体部5bのキャビティーの外側のほぼ全部又は一部を覆うように設置してもよいし、押湯スリーブ3は、下型のネック部5a及び/又は本体部5bのキャビティーの外側のほぼ全部又は一部を覆うように設置してもよい。
実施の形態2〜11の押湯形成体1においても、押湯5の保温性が確保されて、押湯5を小さくできるので注入歩留りを向上できる。また押湯スリーブ2及び/又は3を鋳造用の砂で形成しているので押湯スリーブ2及び/又は3の残滓の鋳型砂への混入による問題がなく、しかも、押湯スリーブ2及び/又は3で形成される空気層42及び/又は43を1mm以下としているので、万一、空気層42及び/又は43に溶湯が漏洩しても、押湯スリーブ2及び/又は3の残滓が押湯5に残留して溶湯の品質を悪化させることがない。
特に実施の形態2〜10の押湯形成体1は、空気層42及び/又は43を押湯5の外側のほぼ全部に形成するのではなく、押湯5の外側に局所的に空気層42及び/又は43のない領域を設けているので、万一、空気層42及び/又は43に溶湯が漏洩しても、押湯スリーブ2及び/又は3の残滓が空気層42及び/又は43のない領域から排出し易く、押湯5に残留することがいっそう抑制される。
さらに、実施の形態2〜10の押湯形成体1は、押湯スリーブ2及び/又は3が押湯5の外側のほぼ全部を覆うのではなく一部を覆うように設置されているので、また実施の形態11の押湯形成体1は、押湯スリーブ2、3が内側スリーブ2a、3aのみで構成されているので、実施の形態1の押湯形成体1に較べて、いずれも押湯スリーブ2及び/又は3の材料となる鋳物用の砂等の使用量を削減でき、或いは押湯スリーブ2及び/又は3の組み合わせの作業工数を低減できることから製造コストの抑制が期待できる。
ところで、前述したように押湯スリーブ2、3の肉厚を最小限の厚さまで薄くすると溶湯の熱と圧力により亀裂を生じて、押湯5から空気層42、43に溶湯が漏洩する可能性が高まる。万一、空気層42、43に溶湯が漏洩して、空気層42、43の厚さを有する外殻によって押湯スリーブ2、3が囲繞されると押湯スリーブ2、3の砂が残滓として押湯5に残留する。砂が残留した押湯5を再溶解すると溶湯の品質を悪化させ、製品へのノロ噛みなど鋳造欠陥の増加が懸念される。
そこで、本発明者らは押湯スリーブ2、3の肉厚は最小限の厚さまで薄くする一方で、万一、押湯スリーブ2、3に亀裂を生じて空気層42、43に溶湯が漏洩しても、押湯スリーブ2、3の残滓が押湯5に残留しない方策について検討した。
押湯スリーブ2、3の砂が囲繞されるのは、空気層42、43の厚さと同一の厚さを有する外殻に起因することから、この外殻の厚さ、即ち空気層42、43の厚さを小さくすれば、万一、外殻を形成しても鋳造後の離型(解枠)、砂分離(シェイクアウト)、押湯切断などの後処理工程において、余分な設備や工程を追加することなく、外殻が容易に破れて押湯5に残留した砂を排出・分離できるものと想定した。
従来より押湯5の断熱効果を得るために押湯5の周囲に空気層42、43からなる断熱層を設ける場合、空気層42、43の厚さを大きくすることが望ましいとされてきた。しかしながら、必要最小限の空気層42、43の厚さとその根拠を開示した先行技術は見当たらない。このため、空気層42、43の厚さをどのように設定したら必要な断熱効果が得られるのかも明らかではなかった。そこで、本発明の押湯形成体を模擬するとともに、空気層の厚さを調整可能な試験鋳型を用いて適切な空気層の厚さを検討することとした。
図17は、本発明の押湯形成体を模した空気層厚さの保温性への影響を調査するための試験鋳型を示す断面図である。図17で試験鋳型100は、空気層104を画成するために円筒状の凹部を形成した鋳型Mと、円筒状の押湯105を模したキャビティーを中央部に画成した円筒状の押湯スリーブ102と、を有した押湯形成体101を模して構成されている。押湯形成体101は、鋳型Mと押湯スリーブ102とを一体に組み合わせることで鋳型Mと押湯スリーブ102の間に空気層104からなる断熱層を形成している。
そして、押湯スリーブ102の形状、寸法は不変として、鋳型Mの凹部の内径D及び深さHを変更するとともに、鋳型Mと押湯スリーブ102を高精度に組み合わせることで、空気層104の厚さT104を所望の厚さに高精度に調整可能としている。また、押湯スリーブ102の保温性を評価するための指標として、押湯105のキャビティーに注湯された溶湯の冷却速度を測定するための熱電対Sと、熱電対Sに接続された図示しない記録計とを取設している。鋳型M及び押湯スリーブ102は、いずれもシェルモールド法により形成した。
このように構成した押湯形成体101において、押湯105のキャビティーの内径dを40mm、高さhを55mm、肉厚tを10mmとして、鋳型Mの内径D及び深さHを変更することで、空気層104の厚さT104を種々変更した試験鋳型100について、同一寸法のものを夫々2個作製した。なお空気層の厚さT104は、径方向及び深さ方向で同一の寸法とした。また厚さT104を0mm、即ち空気層104が存在しない試験鋳型100については、鋳型Mと押湯スリーブ102とを別体ではなく一体のものとして形成した。また、熱電対Sの取設位置は、押湯105のキャビティーの径方向略中央の底部であって、押湯スリーブ102の内壁から5mm離間した部位として、全ての試験鋳型100で同一とした。
次に、図17に示す試験鋳型100を用いて空気層104の厚さT104による保温性への影響を調査した。まず、Feを主成分とし、Cr20%、Ni10%を含有する耐熱鋳鋼を溶製した。溶製後、柄杓に出湯し注湯温度を1590±20℃に調整した溶湯を、押湯スリーブ102に画成された押湯105のキャビティーに注湯するとともに、熱電対Sにより凝固、冷却する溶湯の温度の経時変化を測定して記録計に記録した。なお鋳造条件を揃えるため複数の試験鋳型100にほぼ同時期に溶湯を注湯した。
図18に、上述の本発明の押湯形成体を模した試験鋳型100を用いて得られた空気層厚さと溶湯の冷却速度との関係を示す。図18は横軸に空気層の厚さ(mm)を、縦軸に冷却速度(℃/sec)を示す。プロットのうち、2本の横棒が同一条件で得られた2つの冷却速度の実測値で、黒丸の点が2つの実測値の平均値の冷却速度である。
評価した冷却速度は、溶湯の凝固温度範囲のうち液相線温度から流動限界固相率に到達する温度までの温度領域での平均冷却速度と定義した。具体的には、試験に供した耐熱鋳鋼においては、液相線温度1360℃、流動限界固相率50%で、その時の温度は1320℃であることから、1360℃から1320℃までの温度領域での平均冷却速度を測定結果から算出して求めた。液相線温度から流動限界固相率に到達する温度までの温度領域での平均冷却速度を評価の対象としたのは、押湯による溶湯補給効果は、液相から流動限界固相率に到達するまではその効果を期待できるが、それ以降は効果が得難いと考えられるので、流動限界固相率に到達する温度までの冷却速度を評価することが押湯形成体の保温性の評価として妥当と判断した。なお、冷却速度の評価は、上記に限定されるものではなく、流動限界固相率とその時の温度は鋳物の材質によって適宜設定すればよく、また評価する温度領域は凝固温度範囲の全温度領域であってもよく、液相線温度以上の温度領域や固相線温度以下の温度領域を含めてもよい。
図18から、空気層の厚さが0mm、即ち空気層が存在しない押湯形成体に較べて、空気層の存在する押湯形成体は、いずれも冷却速度が小さいことが分かる。冷却速度が小さいほど凝固を遅延させる効果が大きく、保温性に優れるといえる。ここで注目すべきことは、空気層の厚さは、0.5〜5mmで冷却速度に大きな相違がなく、例えば1mm以下の0.5mmでも5mmと同等の冷却速度が得られることである。このことは、従来から提唱されてきた、断熱層である空気層の厚さを大きくすることが望ましいという技術常識とは異なる。
押湯形成体を模した試験鋳型による試験結果から、断熱層である空気層の厚さは、1mm以下でも十分に断熱効果が得られるという知見が得られた。また図18から分かるように、空気層の厚さ1mmと0.5mmとを比較すると、0.5mmの方が冷却速度が小さく断熱効果が向上していることが分かる。空気層の厚さをより小さくした方が断熱効果が向上するのは、空気自体の熱容量がより少なくなって蓄熱作用が大きくなるためと推察される。従って、空気層の厚さは限りなく小さくすることが望ましいものと考えられる。
次に、万一、押湯スリーブに亀裂を生じて空気層に溶湯が漏洩して外殻を形成しても、鋳造後の後処理工程で外殻が容易に破れるための外殻の厚さ、即ち空気層の厚さについて検討を加えた。
上述した、実施の形態2の押湯形成体1を用いて意図的に押湯5の溶湯を空気層42、43に漏洩させて種々の厚さの外殻を形成して鋳造した後、離型、砂分離、押湯切断などの後処理工程において外殻の破れる状況を観察した。その結果、外殻の厚さ、即ち空気層42、43の厚さが、5mmでは外殻は全く破れず、2mmでは外殻の一部が破れ、1mmでは広範囲にわたって外殻が破れていた。また0.5mmでは広範囲にわたって外殻が破れ、一部は外殻自体が押湯5から分離していた。外殻が全く破れないか、一部しか破れない状態では、押湯5に押湯スリーブ2の砂が残留していた。しかし、外殻の厚さが1mm以下で、広範囲にわたって外殻が破れた状態では、押湯5への押湯スリーブ2の砂の残留は観察されなかった。なお、空気層43を押湯5の外側のほぼ全部に形成せずに局所的に空気層43のない領域を設けた、下型に設置した押湯スリーブ3では、外殻が5mmであっても、押湯スリーブ3の砂は残留していなかった。これは空気層43のない領域に開口した部位から押湯スリーブ3の砂が排出・分離したものと考えられた。
以上の空気層厚さの保温性への影響調査結果及び外殻の厚さと押湯への砂の残留状況の観察結果から、本発明の押湯形成体1において、押湯スリーブ2及び/又は3の内部に形成した空気層42及び/又は43の厚さT42及び/又はT43を1mm以下に規定した。空気層42及び/又は43の厚さT42及び/又はT43は、1mm未満が好ましく、0.5mmがより好ましく、0.5mm未満が最も好ましい。
次に、本発明の押湯形成体を用いた鋳物の製造方法は、前述の押湯スリーブ2及び/又は3を鋳型Mに設置して押湯形成体1を構成し、次いで図示しない湯口、湯道を経由して鋳物となる溶湯を押湯5及び製品部Cとなるキャビティーに注湯、充填し、その後、溶湯が凝固、冷却した後に離型し、押湯スリーブ2及び/又は3を押湯5から分離することで鋳物を得ることができる。分離された押湯スリーブ2及び/又は3の残滓である砂は鋳型砂に混入するが、鋳型の品質を悪化させることなく、鋳型砂として再使用される。
押湯スリーブ2及び/又は3は、鋳型Mの造型後に、中子納め工程で、押湯スリーブ2及び/又は3に設けた図示しない幅木によって鋳型Mに設置するのが一般的であるが、これに限らず、鋳型Mの造型前に押湯5のキャビティーを画成する模型に載置し、造型工程で鋳型Mにより保持することで設置してもよい。
本発明によれば、押湯の保温性が確保されて、押湯を小さくできるので注入歩留りを向上できる。さらに押湯のネック部についてみれば、ネック部の保温性が向上するので、ネック部の断面積を小さくできる。ネック部の断面積の縮小により後処理工程での製品からの押湯切断の作業性改善と製造コストの低減が期待できる。また押湯スリーブを鋳造用の砂で形成しているので押湯スリーブの残滓の鋳型砂への混入による問題がなく、しかも、押湯スリーブで形成される空気層を1mm以下としているので、万一、空気層に溶湯が漏洩しても、押湯スリーブの残滓が押湯に残留して溶湯の品質を悪化させることがない。
1、101:押湯形成体
2、3、102:押湯スリーブ
2a、3a:内側スリーブ
2b、3b:外側スリーブ
42、43、104:空気層
5、105:押湯
5a:ネック部
5b:本体部
100:試験鋳型
M:鋳型
C:製品部
T42、T43、T104:空気層の厚さ
S:熱電対

Claims (4)

  1. Feを主成分とし、Cr20%、Ni10%を含有する耐熱鋳鋼の鋳造において、鋳造用の砂で形成された押湯スリーブを有する、押湯を形成するための押湯形成体であって、前記押湯のうちネック部又は本体部の一方又は両方のキャビティーの外側の少なくとも一部に、空気層からなる断熱層が形成されるように前記押湯スリーブが設置されており、前記空気層の厚さが1mm以下であることを特徴とする押湯形成体。
  2. 前記押湯形成体は、内側スリーブと外側スリーブとが組み合わされて前記空気層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の押湯形成体。
  3. 前記押湯形成体は、内側スリーブと鋳型とにより前記空気層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の押湯形成体。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の押湯形成体を用いた鋳物の製造方法。
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