JP2011016500A - 自動二輪車 - Google Patents

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Abstract

【課題】走行風で効果的にエンジンを冷却することができるフロントフェンダを提供することを課題とする。
【解決手段】フロントフェンダ34は、フロントフォーク24より前方の位置に、車体側方へ膨出する左右の膨出部36、36を備え、これらの膨出部36、36より後方で且つフロントフォーク24より前方の位置に、フロントフォーク24を収納する、分割円筒状の収納部77、77とは別に、車体中心へ窪む左右の凹部78、78を備えている。
【効果】走行風の一部は凹部78内で渦85を巻く。この渦85により、この付近が周囲より負圧になる。すると、走行風が車幅中心側へ引き寄せられる。冷却フィン84の車幅方向の幅W4は、フロントフォーク24の車幅方向の最大幅W2より狭いにも拘わらず、本発明によれば走行風を十分に冷却フィン84に当てることができる。
【選択図】図6

Description

本発明は、前輪にフロントフェンダを備えている自動二輪車に関する。
前輪が跳ね上げる泥などの飛散を防止するために、自動二輪車の前輪にフロントフェンダが備えられる。そして、フロントフェンダの形状を工夫することにより、泥よけ機能に、他の機能を付加することが提案されている(例えば、特許文献1(図5)参照。)。
特許文献1の図5に示されるように、フロントフェンダ(70)(括弧付き番号は、特許文献1に記載されている符号を示す。以下同様)は、フロントフォーク(16)より前側の前側部分(72)と、この前側部分(72)から後方へ延びる後側部分(71)と、からなる。
後側部分(71)の幅(W’)は、フロントフォーク(16)の内幅より狭い。一方、前側部分(72)は、後方ほど幅が広くなり、最大の幅(W)がフロントフォーク(16)の外幅に近似するように設定されている。
前側部分(72)が、後方ほど広がっているため、走行風がフロントフォーク(16、16)に衝突する心配がなく、空気抵抗を下げることができる。
幅(W)と幅(W’)の差を埋めるために、リブ(74、74)が幅方向へ延ばされている。
樹脂品を射出成形すると、凝固の際にリブ(74、74)で引かれて前側部分(72)に引けが出る。対策として、リブ(74、74)の付け根は、特許文献1の図11に示されるように、肉抜き部(76、76)により、薄肉とされている。これで、引けの発生を抑制することができる。
走行風は、前側部分(72)に沿って流れ、フロントフォーク(16、16)の側方を通って後方へ流れる。この際に、走行風は大きな幅(W)で拡げられているため、フロントフォーク(16、16)の後方では車幅方向に、更に広がるか又は広がったままとなる。
多くの自動二輪車では前輪の後方にエンジンが配置されているが、特許文献1の構造では、前輪の後方に配置されているエンジンに走行風が当たりにくくなる。走行風による冷却が不足するときは、エンジンの冷却手段を別途を準備する必要がある。
また、リブ(74、74)の付け根に、肉抜き部(76、76)を設けるため、構造が複雑になり、フロントフェンダ(70)の製造コストが嵩む。
自動二輪車の製造コストの低減が求められる場合には、エンジンの冷却手段を別途設ける必要が無く、且つ構造が簡単なフロントフェンダが望まれる。
特開2007−186114公報
本発明は、エンジンの冷却手段を別途設ける必要が無く、且つ構造が簡単なフロントフェンダを提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、車体フレームと、この車体フレームの先端に設けられているヘッドパイプに操舵可能に取付けられるフロントフォークと、このフロントフォークの下端に取付けられる前輪と、この前輪の上方にて前記フロントフォークに取付けられ前記前輪が跳ね上げる泥などの飛散を防ぐフロントフェンダとを備える自動二輪車において、
前記フロントフェンダは、前記フロントフォークより前方の位置に、車体側方へ膨出する左右の膨出部を備え、これらの膨出部より後方で且つ前記フロントフォークより前方の位置に、前記フロントフォークを収納する収納部とは別に、車体中心へ窪む左右の凹部を備え、前記左右の膨出部の頂部同士を結んだ車幅方向の幅からなる膨出部幅は、前記フロントフォークの車幅方向の最大幅より広く設定され、前記左右の凹部の底同士を結んだ車幅方向の幅からなる凹部幅は、前記膨出部幅より狭く設定されていることを特徴とする。
請求項2に係る発明では、凹部幅は、前記フロントフォークの車幅方向の最大幅より狭く設定されていることを特徴とする。
請求項3に係る発明では、膨出部は、前記前輪を側方から見たときに、車体前方へ突出する突部と、この突部から車体後方に向かって斜め上へ延びる上傾斜部と、前記突部から車体後方に向かって斜め下へ延びる下傾斜部とからなり、V字形状を呈していることを特徴とする。
請求項4に係る発明では、フロントフェンダは、フェンダ本体と、このフェンダ本体に取外し可能に取付けられる前記左右の膨出部と、からなることを特徴とする。
請求項5に係る発明では、車体フレームにエンジンが取付けられ、このエンジンの高温部に冷却フィンが設けられ、この冷却フィンの地上からの高さに、前記凹部の地上からの高さが合致するように、前記フロントフェンダが配置されていることを特徴とする。
請求項6に係る発明では、冷却フィンの車幅方向の幅は、前記フロントフォークの車幅方向の最大幅より狭いことを特徴とする。
請求項7に係る発明では、車幅中心側のフロントフェンダの内壁面は、前記膨出部の陰になるエリアが、平坦であり、且つ車体前後方向に延びていることを特徴とする。
請求項1に係る発明では、フロントフェンダは、フロントフォークより前方の位置に、車体側方へ膨出する左右の膨出部を備え、これらの膨出部より後方で且つフロントフォークより前方の位置に、車体中心へ窪む左右の凹部を備えた。そして、左右の膨出部の頂部同士を結んだ車幅方向の幅からなる膨出部幅は、フロントフォークの車幅方向の最大幅より広く設定し、左右の凹部の底同士を結んだ車幅方向の幅からなる凹部幅は、膨出部幅より狭く設定した。
膨出部で、走行風が車幅中心から離れる方向へ流されるが、この走行風は凹部で負圧が発生し、車幅中心側へ曲げられる。フロントフェンダの後方にエンジンがある場合には、このエンジンに走行風が当たり、エンジンは効果的に冷却される。
走行風による冷却が大きいため、別途、エンジンの冷却装置を設ける必要が無くなり、自動二輪車の製造コストを下げることができる。
加えて、膨出部及び凹部を設けるだけであるから、従来の技術で設けていたようなリブは不要となる。リブが不要であれば、フロントフェンダの構造は簡単になり、射出成形が容易になる。
請求項2に係る発明では、凹部幅は、フロントフォークの車幅方向の最大幅より狭く設定した。凹部が深いため、より大きな負圧が発生し、走行風を車幅中心へ強く曲げることができる。
請求項3に係る発明では、膨出部は、側方から見たときに、車体前方へ突出する突部と、突部から車体後方に向かって斜め上へ延びる上傾斜部と、突部から車体後方に向かって斜め下へ延びる下傾斜部とからなる。上傾斜部及び下傾斜部により走行風を、後方へ円滑に導くことができ、空気抵抗を下げることができる。
全体としてV字形状を呈し、突部に走行風が当たったときは、上傾斜部及び下傾斜部が支持作用を発揮し、上傾斜部に走行風が当たったときには、下傾斜部が支持作用を発揮し、下傾斜部に走行風が当たったときには、上傾斜部が支持作用を発揮するため、膨出部は走行風に対して十分の剛性を有する。
請求項4に係る発明では、フロントフェンダは、フェンダ本体と、このフェンダ本体に取外し可能に取付けられる左右の膨出部と、からなる。膨出部がフェンダ本体と一体である場合は、樹脂成形の制約上、形状が限定される。この点、本発明によれば、膨出部は、フェンダ本体と別体であるため、より自由に形状を設定することができる。
請求項5に係る発明では、エンジンの冷却フィンの地上高と、凹部の地上高が同じであるため、凹部に沿って流れる走行風が、効果的に冷却フィンに到達し、エンジンをより効率よく冷却することができる。
請求項6に係る発明では、冷却フィンの車幅方向の幅は、フロントフォークの車幅方向の最大幅より狭くした。すなわち、本発明によれば、走行風を車幅中心へ寄せることができるため、エンジンの車幅方向の幅を狭めることができ、エンジンの形状の自由度を高めることができる。
請求項7に係る発明では、車幅中心側のフロントフェンダの内壁面は、膨出部の陰になるエリアが、平坦であり、且つ車体前後方向に延びている。膨出部を設けると、フロントフェンダの内壁面に凹凸ができやすい。この点、本発明では、膨出部を備えているにも拘わらず、フロントフェンダの内壁面を平坦にした。フロントフェンダの内側を通る走行風が、円滑に流れるため、走行風でエンジンを十分に冷却することができる。
本発明に係る自動二輪車の左側面図である。 フロントフェンダの分解図である。 フェンダ部と膨出部との連結形態を説明する図である。 図1の4−4線断面図である。 図1の要部拡大図である。 走行風の流れを説明する図である。
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示されるように、自動二輪車10の主要部材である車体フレーム11は、ヘッドパイプ12と、このヘッドパイプ12から後方へ延ばされ燃料タンク13を支えるメインフレーム14と、このメインフレーム14から後方へ延ばされシート15を支えるシートレール16と、メインフレーム14の後端から下方に述べてスイングアーム17を支えるピボットプレート18と、ヘッドパイプ12から下へ延ばされピボットプレート18と共にエンジン19を支えるダウンフレーム21とからなる。
なお、シートレール16の途中からサブフレーム22が斜め下へ延ばされ、このサブフレーム22の下端がピボットプレート18に繋がれている。サブフレーム22で、シートレール16の撓みを防止することができる。
自動二輪車10は、車体フレーム11と、ヘッドパイプ12に操作可能に取付けられるフロントフォーク24と、このフロントフォーク24の下部に取付けられる前輪25と、フロントフォーク24の上部に取付けられる前照灯26、方向指示灯27及びステアリングハンドル28と、このステアリングハンドル28の後方に配置されている燃料タンク13と、この燃料タンク13の下方に配置されているエンジン19と、スイングアーム17に回転自在に取付けられている後輪29と、からなる。
エンジン19から排気ガスを排出する排気管31が延ばされ、この排気管31はエンジン19の前及び下を通って、後方へ延ばされる。排気管31の後端にマフラー32が取付けられている。本例では、マフラー32は後輪29の右側(左右、前後は運転者を基準にする。以下同様。)に配置されている。
車輪が跳ね上げる泥などの飛散を防止することを主たる目的に、後輪29の上方にリヤフェンダ33が設けられ、同様に前輪25の上方にフロントフェンダ34が設けられている。
このフロントフェンダ34の詳細を以下に説明する。
図2に示されるように、フロントフェンダ34は、フェンダ本体35と、このフェンダ本体35に取り外し可能に取付けられる膨出部36とからなる。膨出部36は左右各1個、合計2個が1個のフェンダ本体35に設けられるが、便宜上、左の膨出部36のみを示した。
図2では図左が車体前方になる。膨出部36は、車体前方へ突出する突部37と、この突部37から車体後方に向かって斜め上へ延びる上傾斜部38と、突部37から車体後方に向かって斜め下へ延びる下傾斜部39とからなり、全体としてV字形状を呈している。
突部37に走行風が当たったときは、上傾斜部38及び下傾斜部39が支持作用を発揮し、上傾斜部38に走行風が当たったときには、下傾斜部39が支持作用を発揮し、下傾斜部39に走行風が当たったときには、上傾斜部38が支持作用を発揮するため、膨出部36は走行風に対して十分の耐久性を有する。
突部37は、ほぼ水平に延びる第1稜線41を有し、上傾斜部38は斜め上に延びる第2稜線42を有し、下傾斜部39は斜め下に延びる第3稜線43を有し、3本の稜線41〜43が1点で交わってY字形状を呈する。Y字形状であるために、膨出部36が走行風に対して十分な耐久性を有するとも言える。
さらに、第1稜線41と第2稜線42との間が、図左から右へ登る第1登り面44となっており、第1稜線41と第3稜線43との間が、図左から右へ登る第2登り面45となっており、第2稜線42と第3稜線43との間が、図左から右へ下る下り面46となっている。
さらに、上傾斜部38の裏に第1ビス受け座47が設けられ、突部37の裏に第2ビス受け座48が設けられ、下傾斜部39の下部にビス穴49が設けられている。
次に、フェンダ本体35を説明する。
フェンダ本体35には、ほぼ中央(車体長手方向のほぼ中央)に、フェンダ本体35をフロントフォークへ止めるボルト51、51を通すボルト穴52、53が設けられ、これらのうち、車体前側のボルト穴52の下方位置に三角形状の底54が形成されている。
底54の前隅点(三角形の頂点の1つに相当)55は、膨出部36の下り面46の設けられているV字切欠き部の底点56に位置的に対応する。そのため、膨出部36の下り面46の沿って流れる走行風は、三角形状の底54に円滑に乗り移る。
また、底点56より前方(車体前方)に、略矩形の窓57が設けられ、この窓57の縁に、第1窪み部58及び第2窪み部59が形成され、第1窪み部58に第1小穴61が設けられ、第2窪み部59に第2小穴62が設けられている。
さらに、第1窪み部58及び第2窪み部59の車体前方側に円弧状の突条部63が図面表(おもて)へ突設されている。この突条部63は、膨出部36を掛ける役割を果たす(詳しくは図3で説明する。)。
膨出部36側の第1ビス受け座47を、第1窪み部58に挿入する。次に、図面奥から第1ビス64が第1小穴61に通され、第1ビス受け座47にねじ込まれる。同様に、第2ビス受け座48を、第2窪み部59に挿入する。図面奥から第2ビス65が第2小穴62に通され、第2ビス受け座48にねじ込まれる。さらに、膨出部36側のビス穴49に第3ビス66が通され、この第3ビス66は、フェンダ本体35側のビス穴67に通される。
すなわち、膨出部36は、3個のビス64、65、66でフェンダ本体35に、取り外し可能に取付けられる。ビス64、65、66は、ボルト、子ねじ、クリップなどの係合部品であれば、種類は問わない。また、個数は、4個以上であってもよい。
また、膨出部36は、フェンダ本体35と一体に射出成形することは差し支えない。しかし、一体構造であると、型抜きの制約から、膨出部36の形状を単純化する必要があり、膨出部36の形状の自由度が小さくなる。
この点、本実施例では、膨出部36をフェンダ本体35とは別個に射出成形することができる。そのため、膨出部36は、複雑な形状にすることができる。
次に、第1ビス受け座47と第1窪み部58の詳細な構造を、説明する。
図3に示すように、第1窪み部58は、フェンダ本体35の内壁面68から車体後方へ且つ車幅中心線69に向かって延びる壁部71と、この壁部71の先端から車幅外方へ延び内壁面68まで延びる底部71とからなる。この底部71に第1小穴61が設けられている。
なお、壁部71は、矢印(1)の如く流れる走行風の流れを妨げないようにするために、車幅中心線69とのなす角度θは、45°未満、好ましくは35°〜40°とする。35°未満では、底部71の確保が難しくなる。
また、膨出部36に設けられている第1ビス受け座47は、コラム部73と、このコラム部73の倒れを防止するリブ74、74とからなる。コラム部73には、射出成形の際にピンにより、下穴75が開けられている。リブ74は、コラム部73を中心に十字をなすように、4個設設けられている。
フェンダ本体35側の突条部63に、膨出部36の先端の鉤部76を引っ掛けるようにして、第1ビス受け座47の先端を底部72に当てる。次に、タッピングスクリューと呼ばれる第1ビス64を、車幅中心線69側から第1小穴61を通して下穴75にねじ込む。小穴75に雌ねじが形成され、第1ビス64で、フェンダ本体35に膨出部36を固定することができる。
第2ビス受け座48と第2窪み部59の構造は、第1ビス受け座47と第1窪み部58と同じであるため、説明は省略する。
図4に示す通りに、想像線で示す膨出部36、36が、フェンダ本体35に組み付けられることで、フロントフェンダ34が完成した。
フロントフェンダ34は、フロントフォーク24より前方の位置に、車体側方へ膨出する左右の膨出部36、36を備え、これらの膨出部36、36より後方で且つフロントフォーク24より前方の位置に、フロントフォーク24を収納する、分割円筒状の収納部77、77とは別に、車体中心へ窪む左右の凹部78、78を備えている。
フロントフェンダ34に、膨出部36、36及び凹部78、78を設けるだけであるから、従来の技術で設けていたようなリブは不要となる。リブが不要であれば、フロントフェンダ34の構造は簡単になり、射出成形が容易になる。
そして、左右の膨出部36、36の頂部79、79同士を結んだ車幅方向の幅に相当する膨出部幅W1は、フロントフォーク24の車幅方向の最大幅W2より広く設定されている。また、左右の凹部78、78の底54、54同士を結んだ車幅方向の幅に相当する凹部幅W3は、膨出部幅W1より狭く設定されている。好ましくは、凹部幅W3は、フロントフォーク24の車幅方向の最大幅W2より狭く設定される。これらの設定による作用、効果は後述する。
さらには、フロントフェンダの内壁面68、68は、膨出部36、36の陰になるエリア81、81が、平坦であり、且つ車体前後方向に延びている。内壁面68、68は、エリア81、81以外の部位も平坦であることは差し支えない。
ところで、膨出部36を設けると、フロントフェンダの内壁面68に走行風の流れを阻害するような極端な凹凸ができやすい。
この点、本実施例では、膨出部36を備えているにも拘わらず、フロントフェンダの内壁面68、68は平坦であり、フロントフェンダ34の内側を通る走行風が、円滑に流れる。この走行風は、エンジンの冷却に寄与する。
次に、膨出部36の位置とエンジン19の位置の関係を、説明する。
図5に示すように、エンジン19のクランクケース87から上へシリンダ88が延び、このシリンダ88の上にシリンダヘッド82が備えられている。このシリンダヘッド82の前面に排気管31が接続されている。シリンダヘッド82及び排気管31が高温になる。
このようなエンジン19は、フロントフェンダ34の車体後方に配置されている。エンジン19の高温部分(特に、シリンダ88及びシリンダヘッド82)に冷却フィン84が設けられている。膨出部36の地上高さをH1、冷却フィン84の地上高さをH2とする。
膨出部36の地上高さをH1は、冷却フィン84の地上高さをH2と同じ又はほぼ同じに設定されている。
膨出部36の第1登り面44を、登った走行風は、第1稜線41を乗り越えて下り面46を下って、矢印(3)のように、凹部78に至る。
膨出部36の第2登り面45を、登った走行風は、第2稜線42を乗り越えて下り面46を下って、矢印(4)のように、凹部78に至る。
凹部78に集まった走行風は、ほぼ水平に流れて冷却フィン84に到達し、冷却フィン84の冷却に供される。
エンジン19の冷却フィン84の地上高H2と、凹部78の地上高H1が同じ又はほぼ同じであるため、凹部78に沿って流れる走行風が、効果的に冷却フィン84に到達し、エンジン19をより効率よく冷却する。
次に、図4の作用を図6で説明する。
図6において、矢印付き実線で示される走行風は、フェンダ本体35の先端で左右に分かれる。分かれた走行風は、膨出部36、36で車幅外方(車幅中心から離れる方向)へ導かれ、フロントフォーク24、24の外側を通って、車両後方へ流れる。
仮に、凹部78、78が設けられていない場合には、走行風は矢印付き破線で示すように流れる。
一方、本発明では、膨出部36とフロントフォーク24との間に凹部78が設けられている。走行風の一部は凹部78内で渦85を巻く。この渦85により、この付近が周囲より負圧になる。すると、走行風が車幅中心側へ引き寄せられる。
フロントフォーク24でも後方に渦86が発生し、負圧現象を引き起こす。そのため、走行風はさらに車幅中心側へ引き寄せられる。
冷却フィン84の車幅方向の幅W4は、フロントフォーク24の車幅方向の最大幅W2より狭いにも拘わらず、本発明によれば走行風を十分に冷却フィン84に当てることができる。
すなわち、凹部78、78が無いときは、破線のように走行風が流れるため、冷却フィンに走行風が十分に当たらない。走行風が期待できないときには、別途冷却手段を準備する必要があり、自動二輪車のコストアップに繋がる。
この点、本発明では、走行風を十分に冷却フィンに当てることができ、別途冷却手段を準備する必要がない。
本発明のフロントフェンダは、自動二輪車に好適である。
10…自動二輪車、11…車体フレーム、12…ヘッドパイプ、19…エンジン、24…フロントフォーク、25…前輪、34…フロントフェンダ、35…フェンダ本体、36…膨出部、37…突部、38…上傾斜部、39…下傾斜部、68…内壁部、77…収納部、78…凹部、81…膨出部の陰になるエリア、84…冷却フィン、H1…凹部の地上高、H2…冷却フィンの地上高、W1…膨出部幅、W2…フロントフォークの最大幅、W3…凹部幅。

Claims (7)

  1. 車体フレームと、この車体フレームの先端に設けられているヘッドパイプに操舵可能に取付けられるフロントフォークと、このフロントフォークの下端に取付けられる前輪と、この前輪の上方にて前記フロントフォークに取付けられ前記前輪が跳ね上げる泥などの飛散を防ぐフロントフェンダとを備える自動二輪車において、
    前記フロントフェンダは、前記フロントフォークより前方の位置に、車体側方へ膨出する左右の膨出部を備え、これらの膨出部より後方で且つ前記フロントフォークより前方の位置に、前記フロントフォークを収納する収納部とは別に、車体中心へ窪む左右の凹部を備え、
    前記左右の膨出部の頂部同士を結んだ車幅方向の幅からなる膨出部幅は、前記フロントフォークの車幅方向の最大幅より広く設定され、前記左右の凹部の底同士を結んだ車幅方向の幅からなる凹部幅は、前記膨出部幅より狭く設定されていることを特徴とする自動二輪車。
  2. 前記凹部幅は、前記フロントフォークの車幅方向の最大幅より狭く設定されていることを特徴とする請求項1記載の自動二輪車。
  3. 前記膨出部は、前記前輪を側方から見たときに、車体前方へ突出する突部と、この突部から車体後方に向かって斜め上へ延びる上傾斜部と、前記突部から車体後方に向かって斜め下へ延びる下傾斜部とからなり、V字形状を呈していることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の自動二輪車。
  4. 前記フロントフェンダは、フェンダ本体と、このフェンダ本体に取外し可能に取付けられる前記左右の膨出部と、からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の自動二輪車。
  5. 前記車体フレームにエンジンが取付けられ、このエンジンの高温部に冷却フィンが設けられ、この冷却フィンの地上からの高さに、前記凹部の地上からの高さが合致するように、前記フロントフェンダが配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の自動二輪車。
  6. 前記冷却フィンの車幅方向の幅は、前記フロントフォークの車幅方向の最大幅より狭いことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の自動二輪車。
  7. 車幅中心側のフロントフェンダの内壁面は、前記膨出部の陰になるエリアが、平坦であり、且つ車体前後方向に延びていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の自動二輪車。
JP2009164017A 2009-07-10 2009-07-10 自動二輪車 Active JP5248430B2 (ja)

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