JP2011013402A - レンズシート用ベースフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】製膜工程で発生する微小キズを抑制し、透明性が高く、耐ブロッキング性を有し、レンズシート用ベースフィルムとして最適なフィルムを得る。
【解決手段】基材フィルムの少なくとも片面に塗布層を有してなるレンズシート用ベースフィルムであって、前記塗布層が、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂から選ばれた少なくとも1種のバインダー樹脂と、オキサゾリン基を有する樹脂とを主成分とし、前記基材フィルムは、最外層と少なくとも1層の中心層からなる3層以上の積層構成を有する二軸配向ポリエステルフィルムであり、前記最外層は平均粒径2.1〜2.5μmの不活性粒子を含有し、前記最外層の厚みは不活性粒子の平均粒径の5倍以上11倍未満であり、前記基材フィルムの最外層表面における、原子間力顕微鏡AFMによって観察される高さ2nm以上の表面突起のうち、表面突起の直径Lと表面突起の高さhの比L/hが50以下である表面突起の数の割合が30%以下であることを特徴とするレンズシート用ベースフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、レンズシート用ベースフィルムに関する。詳しくは、製膜工程で発生する微小キズが少ない、光学欠点が少なく、透明性と耐ブロッキング性に優れ、レンズシート用ベースフィルムとして使用したときに最適な二軸配向積層ポリエステルフィルムに関するものである。
近年におけるノート型パソコンのカラー化や小型軽量化に代表されるように、携帯用電気機器の小型軽量化、カラー化の普及は著しいものがある。また、例えばカラー液晶ディスプレイを用いた商品としては、カラーノート型パソコンに限らず、携帯用カラー液晶テレビ、ビデオ一体型カラー液晶テレビ、ハンディ型ラベルプリンター、携帯用通信機器モバイルギアーなどの如く、多種多様の商品が実用化されている。
このような機器においては、携帯用とするためバッテリーが用いられるが、その稼働時間には限りがある。特に液晶ディスプレイ、中でもカラー液晶ディスプレイの消費電力は、バッテリーによる稼働時間を大きく左右するもので、この消費電力を可及的に低減することは、上述したような携帯用電気機器の実用的な商品価値を高めるばかりでなく、省エネルギー化にとっても有意義なことである。
消費電力を低減する方法としては、液晶ディスプレイに用いられるバックライトの消費電力を抑制することが最も簡単な方法である。しかし、電力量を低減するとバックライトの輝度が低下するので、液晶ディスプレイの輝度も低下し、表示機能は著しく低下する。
こうした問題を解決するため、バックライトユニットの光学的効率を改善する方法が提案されている。例えば、片面にプリズム列のレンズ単位を多数形成したレンズシート、あるいはレンチキュラー列のレンズ単位を多数形成したシートなどのレンズシートをバックライトの導光体の出射光面側に設けたバックライトなどが提案されている。
これらのレンズシートは、バックライトからの出射光を屈折作用によりディスプレイ正面方向へ向けて、正面輝度を向上させるものである。通常、レンズシートはその成形性の良さからポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂などの透明な熱可塑性樹脂を基材(ベースフィルム)とする。中でもポリエステル系樹脂は、優れた透明性、寸法安定性、耐薬品性の観点から、広く採用されている。
さらに、ポリエステルフィルムは、特に延伸されたポリエステルフィルムは、密着性が乏しいという欠点があるため、レンズ層を付与する場合は、ポリエステルフィルム表面に種々の方法で易接着性を付与する方法が提案されてきた。例えば、基材のポリエステルフィルムの表面に、ポリエステル、アクリル、ポリウレタン、アクリルグラフトポリエステルなどの各種樹脂を主たる構成成分とする塗布層を設けることにより、基材フィルムに易接着性を付与する。
このような、二軸配向ポリエステルフィルムは一般に、ポリエステル樹脂を溶融押し出してシート化した後、搬送ロールを経て、フィルムの巻取り方向(MD方向)と幅方向(TD方向)に二軸延伸される。延伸方式としては逐次二軸延伸法や同時二軸延伸法が一般的に採用されるが、逐次二軸延伸法が最も広く採用されている。逐次二軸延伸法は搬送ロール間の速度差を利用してMD方向に延伸した後、テンタークリップによりTD方向に延伸する。
製膜工程中の搬送ロールをフィルムが通過する際、搬送ロール上にある異物によりフィルムに微小なキズが発生することがある。これらの異物は、製膜工程中で発生するオリゴマー等が主な原因であり、高品位のフィルムを得るために、定期的なロール掃除や、特許文献1のように低オリゴマー原料の使用等の対策が提案されている。
また、フィルム表面へ突起を付与することで、微小キズを低減させることが検討されている。キズに対する効果は、一般的に表面粗さの指標であるSRa(中心面平均粗さ)と対応していて、SRaが高いほどキズに対する効果が高いことが知られている。フィルム表面へ突起を付与する方策としては、フィルムを3層構造にし、不活性粒子をフィルム表層部に付与する方法がある。しかし不活性粒子をフィルム中に付与すると、不活性粒子と樹脂との屈折率に差があることから、フィルムの透明性の指標となるヘイズが高くなり透明性を損なう。
これらの問題に対して特許文献2、特許文献3では、粒径が異なる不活性粒子を使用して、透明性と耐スクラッチ性を両立させることが提案されている。また、特許文献4では、3層構造の表層部を非常に薄くすることにより、突起に寄与しない粒子の数を少なくし、透明性を向上させることが提案されている。
特開2007−130984号公報 特許第3311591号公報 特許第3235759号公報 特開2003−231229号公報
光学欠点となるキズ、異物の低減については、特許文献1などの開示の提案により、従来、問題なく利用されていた。ところが、ディスプレイの高精細化は飛躍的に進展しており、従来問題とされない程度の微小なキズ、異物が光学欠点として認識されるようになると考えられた。
加えて、生産性の向上から、加工工程や製膜工程におけるライン速度が飛躍的に向上しており、高速加工条件下においても光学欠点の低減が必要となった。そのため、特許文献2〜4のようにフィルム表面に突起をもたせることで、微小キズによる光学欠点の低減を図ることが検討された。しかしながら、特許文献2、3のように平均粒径1μm以下の微小粒子を用いると、微小粒子の凝集により、樹脂中に均一に分散することができず、凝集粒子によりフィッシュアイ状の欠点が発生し、上記課題を解決するレベルにまで光学欠点の抑制することができなかった。
さらに、ライン速度の高速化とロール径の大型化により、ロール巻芯部では高い圧力で圧着される。このため、易接着性を付与するために設けられた塗布層により、ブロッキングが生じやすくなっていた。
すなわち、将来きたるべき高精細化および生産性の向上に対応し得るような、光学欠点が少なく、ブロッキングし難い、高品位なレンズシート用フィルムを安定的に得るための方策は確立されていなかった。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、不活性粒子含有層の厚みと不活性粒子の粒子径を特定の範囲とし、さらに特定の突起の直径と突起の高さの比を有する表面突起を制御し、加えて、オキサゾリン基を有する樹脂を有する塗布層を設けることで、粉落ちなどによる光学欠点も少なく、耐ブロッキング性が向上することを見出した。
具体的には、塗布層が、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂から選ばれた少なくとも1種のバインダー樹脂と、オキサゾリン基を有する樹脂とを主成分とする塗布層を有し、最外層と少なくとも1層の中心層からなる3層以上の積層構成を有する二軸配向ポリエステルフィルムを基材フィルムとし、前記基材フィルムの最外層は平均粒径2.1〜2.5μmの不活性粒子を含有し、前記基材フィルムの最外層の厚みは不活性粒子の平均粒径の5倍以上11倍未満であり、前記基材フィルムの最外層表面における、原子間力顕微鏡AFMによって観察される高さ2nm以上の表面突起のうち、表面突起の直径Lと表面突起の高さhの比L/hが50以下である表面突起の数の割合が30%以下であることを特徴とすることにより、透明性に優れ光学欠点が少なく、ブロッキングし難い、レンズシート用フィルムとして最適なフィルムを得ることが可能となった。
本発明により得られるフィルムは透明性に優れ、加工工程や製膜工程での微小キズの発生が少なく、耐ブロッキング性に優れる。本発明のフィルムをレンズシート用の基材フィルムとして使用することで、光学的な欠点が少なく高性能なレンズシートを、安定的に得ることが可能となる。
本発明においてポリエステルフィルムに使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであっても良い。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを縮重合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2.6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、1.4−ブタンジオール、1.4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。かかるポリエステルとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等が例示される。中でも、物理的強度、耐熱性、耐薬品性の点からポリエチレンテレフタレートが好適に利用できる。
一方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2.6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシルカルボン酸等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピオングリコール、1.4−ブタンジオール、1.4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。何れにしても本発明でいうポリエステルとは、通常60モル%以上、好ましくは80%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレート等であるポリエステルを指す。
ポリエステルはジカルボン酸とグリコールをエステル化反応させ、次いで重縮合反応を行う重縮合法、あるいはジカルボン酸塩とグリコールをエステル交換反応させ、次いで重縮合反応を行うエステル交換法など、従来公知の方法によって製造される。
ポリエステルの代表的な重縮合触媒としては、三酸化アンチモン、アンチモングリコラート等のSb系触媒、Ge系触媒、Ti系触媒等があり、これらの内、透明性、熱安定性、価格の観点から、フィルム用ポリエステル樹脂の重合触媒としては、一般に三酸化アンチモン(Sb)が使用されている。
また、上記ポリエステルフィルムには各種の添加剤が含有されていてもよく、該添加剤としては、例えば帯電防止剤、紫外線吸収剤、安定化剤等が挙げられる。
本願発明のフィルムは、最外層と少なくとも1層の中心層からなる3層以上の積層構成を有する二軸配向ポリエステルフィルムである。3層以上の積層構成のフィルムは共押出法による好適に作製される。また、本発明の基材フィルムの両最外層には不活性粒子が含有される。例えば、最外層をB層、他の層をA層、C層とすると、フィルム厚み方向の層構成は、B/A/B、B/A/C/B、あるいはB/A/C/A/B等の構成が考えられる。A〜C層の各層は、それぞれ、ポリエステル樹脂の構成は同じであっても良いし、異なっていても良いが、バイメタル構成によるカールの発生を抑制すためには、各層のポリエステル樹脂を同構成にする、および/もしくは、B/A/B構成(2種3層構成)とすることが好ましい。
本発明では、最外層以外の中心層(例えば、B/A/B構成ではA層)を構成するポリエステル樹脂は、粒子を含有してもよいが、高い透明性を得るためには、中心層を構成するポリエステル樹脂は実質的に粒子を含有しないことが好ましい。最外層にのみ不活性粒子を含有させることで、より好適に高い透明性を得ることができる。最外層以外の中心層に粒子を添加する場合、50ppm以下、好ましくは10ppm以下であることが好ましい。
最外層に含まれる不活性粒子としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、不定形シリカ、球状シリカ、結晶性のガラスフィラー、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、シリカ−アルミナ複合酸化物粒子、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン、マイカなどの無機粒子や、架橋ポリスチレン粒子、架橋アクリル系樹脂粒子、架橋メタクリル酸メチル系粒子、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物粒子、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物粒子、ポリテトラフルオロエチレン粒子などの耐熱性高分子微粒子が挙げられる。なかでも、シリカはポリエステルと屈折率が比較的近いため、より透明性に優れたフィルムを確保し得る点で最も好適である。
本発明のフィルムの最外層に含まれる不活性粒子の平均粒径は2.1〜2.5μmであり、更に好ましくは2.2〜2.4μmである。不活性粒子の平均粒径が2.1μm以下だと粒子の凝集力が非常に大きく、粒子の凝集による粗大な異常粒子が発生しやすくなり好ましくない。さらに、後述するような表面形状を構成するためには、不活性粒子の平均粒径は2.1μm以上であることが望ましい。また、平均粒径が2.5μm以上だと、粒子単体としての粗大粒子の含有量が多くなり好ましくない。本発明では、光学欠点の要因となる粗大粒子を極限まで低減させるため、このように特定の非常に狭い範囲の粒子を用いる。
ここでいう不活性粒子の平均粒径の範囲は、後述する測定方法により測定したものである。なお、例えば後述するような、一次粒子が凝集した二次粒子の場合は、当該二次粒子の平均粒径をいう。つまり、ここでの不活性粒子の平均粒径とは、フィルム内において実際に不活性粒子として存在しうる態様での平均粒径である。
最外層中の不活性粒子の含有量は、0.015〜0.03質量%であることが望ましく、更に好ましくは0.02〜0.025質量%である。不活性粒子の含有量が0.015質量%以上の場合は、微小キズを低減する程度の有効な滑り性を奏する上で好ましい。不活性粒子の含有量が0.03質量%以下の場合は、高透明性を保持する上で好ましい。
本願発明者は、表面凹凸の付与による光学欠点の減少と、高速加工により生じる粉落ちとの如何に両立すべきかを検討した結果、特定の表面構造を有する場合に、これら両特性が顕著に両立することを見出した。すなわち、本願発明は、最外層表面における、原子間力顕微鏡AFMによって観察される高さ2nm以上の表面突起のうち、表面突起の直径Lと表面突起の高さhの比L/hが50以下である突起の数の割合が30%以下であることを特徴とする。
光学欠点を抑制する程度の、滑り性を奏するには、不活性粒子による2nm以上の突起高さを有する表面突起を有することが重要である。表面突起の高さが2nm未満では、マクロの表面形状がほぼ平坦となり、滑り性に有効に寄与することが困難である。しかしながら、表面突起が高くなると、超高速度の加工において、ロールやフィルム同士の擦れにより、突起を形成する粒子が脱落する。このような工程中の僅かな粉落ちが長期の操業により工程を汚し、微小キズが生じる要因となる。また、係るフィルムに後述の塗布層を設ける場合もまた同様である。そこで、本願発明者は、粉落ちの要因となる表面形状を検討した結果、表面突起の高さによって粒子の脱落のし易さが決まるのではなく、表面突起の山の形状が不活性粒子の脱落のし易さに影響するという新たな知見を見出し、本発明に至った。すなわち、高さ2nm以上の表面突起のうち、表面突起の直径Lと表面突起の高さhの比L/hが50を越える、なだらか裾野を有する表面突起は、粒子の脱落が生じにくい。一方、表面突起の直径Lと表面突起の高さhの比L/hが50以下である、比較的裾野の小さい表面突起が粒子の脱落が顕著に生じやすい。
本発明のフィルムは、原子間力顕微鏡AFMによって観察される高さ2nm以上の表面突起のうち、表面突起の直径Lと表面突起の高さhの比L/hが50以下である突起の数の割合が30%以下であり、好ましくは25%以下であり、より好ましくは20%以下であり、さらに好ましくは15%以下である。直径Lと高さhの比L/hが50以下である表面突起の割合が、30%を超えると、粉落ちによる光学欠点が生じやすくなる。当該形状を有する表面突起の割合は、少ない方が好ましいが、生産性の点から1%程度が下限であると考える。
上記特定の表面構成を形成するには、なだらかな山裾を有する表面突起を多くすることが望ましい。そのため、最外層の厚みは不活性粒子の平均粒径の5倍以上にすることが必要である。表面突起は、最外層中に存在する不活性粒子により形成される。なだらかな表面突起を形成するためには、不活性粒子が表面直下にあるのではなく、ある程度以上の大きさを有する粒子が、適当な深さをもって存在することが望ましい。最外層の厚みが不活性粒子の平均粒径の5倍未満であると、不活性粒子による表面突起の形状が比較的鋭利になるため、粉落ちが生じやすくなる。最外層の厚みの上限は、粉落ち発生の観点からは特に設けないが、厚みが厚くなりすぎるとフィルム内部にある不活性粒子の量が多くなりすぎ、フィルム内部で発生する光の散乱が多くなり透明性が低下するため好ましくない。最外層の厚みの上限はヘイズ上昇を許容できる範囲から、11倍未満とした。尚、ここで最外層の厚みとはフィルム両面に積層されている最外層の、片側の厚みのことである。
上述のように不活性粒子と不活性粒子含有層の厚みを制御することにより、好適にフィルム表面の突起形状をコントロールし、個々の突起の傾斜角度を極力小さくすることが出来、透明性の低下を極力抑えながら光学欠点低減効果を高めることが可能となる。
さらに、より好適に上記の特定の表面形状を形成するためには、例えば(1)ポリエステル樹脂の固有粘度を高めることで表面形状をなだらかにする方法、(2)熱固定温度を高温で処理することで表面形状をなだらかにする方法、などを組み合わせることによっても可能である。また、後述するように、(3)フィルムの延伸で追従的な変形が生じやすい不活性粒子を用いることも好適である。
フィルムの延伸で追従的な変形が生じやすい不活性粒子としては、数nmから数百nmの一次粒子が凝集した二次粒子であって、その細孔容積を1.5ml/g以上であるものが好ましい。特に透明性や取り扱い性、価格の観点から、不定形塊状シリカが好適である。不活性粒子の細孔容積を1.5ml/g以上とすることで、延伸による粒子の変形が発生しやすくなり、本発明の範囲に突起形状をコントロールしやすくなる。なお、不活性粒子の細孔容量はBJH法など公知の窒素脱吸着により算出することができる。不活性粒子がフィルム中にある場合は、例えばフェノール/テトラクロロエタン混合溶液などにより溶解し、残渣である不活性粒子を回収し、十分乾燥した後、BJH法など公知の窒素脱吸着により算出することができる。
る。
ポリエステルに上記不活性粒子を配合する方法としては、公知の方法を採用し得る。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応開始前の段階でエチレングリコール等に分散させたスラリーとして添加し、重縮合反応を進めてもよい。またベント付き混練押出機を用いエチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行うことができる。
中でも、本発明ではポリエステル原料の一部となるモノマー液中に凝集体無機粒子を均質分散させた後、濾過したものを、エステル化反応前、エステル化反応中、又はエステル化反応後のポリエステル原料の残部に添加する方法が好ましい。この方法によると、モノマー液が低粘度のため、粒子の均質分散やスラリーの高精度な濾過が容易に行えると共に、原料の残部に添加する際に、粒子の分散性が良好で、新たな凝集体も発生しにくい。
特に、前記不定形塊状シリカを用いる場合は、スラリーの添加、混合により、粒子が凝集し、凝集粗大粒子が生じる場合がある。シリカの凝集は高温で生じやすいため、光学欠点の要因となる凝集粗大粒子を低減するために、前記不定形塊状シリカを含有するエチレングリコール溶液を添加する場合は、エステル化反応もしくはエステル交換反応を行ってオリゴマーを生成する前の工程において、好ましくは10〜50℃、より好ましくは10〜30℃の範囲に保持しながら、ポリエステル原料とブレンドすることが好ましい。このタイミングでスラリーを添加することで、スラリー温度を低温に保ったまま添加することが可能となり、新たな凝集体の生成を抑制することができる。
一般的に不活性粒子の粒径はある程度の幅を有する分布を示すが、本発明で用いる不活性粒子は、好ましくは10μm以上の粒径を有する不活性粒子が全体の1%以下であることが好ましい。10μm以上の粒径を有する不活性粒子が1%を超える場合は、光学欠点の要因となる粗大粒子の数が多くなるため好ましくない。不活性粒子の分布を上記範囲にする方法としては、(1)不活性粒子を分散させたエチレングリコールもしくはポリエステルを精密濾過する方法、(2)不活性粒子を分散させたエチレングリコールもしくはポリエステルをバッチ式または間欠式の遠心分離機で処理する方法、(3)所定の粒度分布を有する不活性粒子を選定する方法、などを用いることができる。
本発明におけるレンズシート用ベースフィルムのヘイズは、3.0%以下であることが好ましく、2.5%以下であることがより好ましく、2.0%以下であることがさらに好ましい。
本発明のフィルムの三次元中心面平均粗さ(SRa)は0.008〜0.015μmであることが好ましい。また、十点平均粗さ(SRz)が0.5〜1.5μmであることが好ましく、0.6〜1.0μmであることがより好ましい。三次元中心面平均粗さ(SRa)もしくは十点平均粗さ(SRz)が上記範囲内であると、微小キズを有効に抑制しながら、光透明性を維持できるため好ましい。
本発明は、上記特定の表面構造を有し、また好ましくは上記特定の表面粗さを有するため、加工工程、製膜工程で生じる微小キズを抑制しうる程度の、良好な滑り性を奏することができる。そのため、後述の測定方法により測定する本発明のフィルムの動摩擦係数(μd)は1.5以下であることが好ましく、1以下であることがより好ましい。動摩擦係数が上記範囲内であれば、耐スクラッチ性が保持され、工程中でのキズが生じにくい。
本発明のフィルムの厚みは特に限定されないが、好ましくは75〜350μm、より好ましくは100〜300μmである。フィルムの厚みが75μm以上であると、ベースフィルムとしての強度が保持しやすい。また、フィルム厚みが350μm以下であると、レンズシートの軽量化の点で好ましい。
本発明のフィルムは上記特定の表面構造を有するため、光透明でありながら製膜中に生じる光学欠点を抑制することができる。本発明のフィルムは、後述する方法により測定した場合、高低差が0.3μmの微小キズが1m当り好ましくは2個以下、より好ましくは1個以下、さらに好ましくは0個にすることができる。高低差が0.3μmの非常に浅い深さを有する微小キズは、製膜工程中または加工工程中にフィルム同士やガイドロールと擦れることにより生じるものである。このような顕微レベルの微小なキズは、従来あまり問題となされていなかったが、今後進展するであろう高精細化に対応するためには課題とされるべき光学欠点となりうるものである。このため、本発明のフィルムは特に高精細が要求されるようなレンズシートに好適である。
また、本発明のフィルムは上記特定の粒子構成を有するため、フィルムに粒子を含有しながら、光学欠点の要因となる凝集異物を極限まで抑制することが可能となる。本発明のフィルムは、後述する方法により測定した場合、長径20μm以上の異物が1m当り好ましくは2個以下、より好ましくは1個以下、さらに好ましくは0個にすることができる。長径20μm以上の異物は、微小粒子の凝集により形成される粗大粒子に起因するものである。このため、本発明のフィルムは特に高精細が要求されるようなレンズシートに好適である
更に、本発明においては基材フィルムの少なくとも片面に、塗布層を有する。本発明の塗布層は、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂から選ばれた少なくとも1種のバインダー樹脂と、オキサゾリン基を有する樹脂とを主成分とする。ここで、「主成分」とは塗布層を構成する固形成分のうち50質量%以上である成分をいう。塗布層に含まれるオキサゾリン基の架橋反応により塗布層の強度が適度に高まり、ブロッキングの抑制を好適に行なうことができる。特に、塗布層形成時には未反応のオキサゾリン基が残存する場合はその効果が顕著である。高温高湿の環境下の保管により、基材を構成するポリエステル樹脂が加水分解を起し、エステル結合が分断され、カルボン酸基末端が発生する。ここで、塗布層中に残存した未反応のオキサゾリン基が、発生したカルボン酸末端と反応し、架橋を形成する。いわば、加水分解による密着性の低下を自己修復により防止し、架橋することで塗布層を硬くすることができると考えている。塗布層が硬くなることにより、生産時でロール状に巻き取る場合に発生するブロッキングを防ぐことができる。
オキサゾリン基を有する樹脂としては、オキサゾリン基を有する重合体、例えばオキサゾリン基を有する重合性不飽和単量体を、必要に応じその他の重合性不飽和単量体と従来公知の方法(例えば溶液重合、乳化重合等)によって共重合させることにより得られる重合体を挙げることができる。
オキサゾリン基を有する重合性不飽和単量体としては、例えば、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリンなどを挙げることができる。
上記のその他の重合性不飽和単量体としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の炭素数1〜24個のアルキルまたはシクロアルキルエステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸の炭素数2〜8個のヒドロキシアルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族化合物;(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート;N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上適宜選択される。
上記オキサゾリン基を有する重合性不飽和単量体及びその他の重合性不飽和単量体の共重合体の組成モル比は、オキサゾリン基を有する重合性不飽和単量体が30〜70モル%であることが好ましく、40〜65モル%であることがより好ましい。
本発明で用いられるオキサゾリン基を有する樹脂は、水分散性、水溶性が挙げられる。他の水溶性樹脂との相溶性がよく、塗布層の透明性や架橋反応効率を向上させることから、水溶性が好ましい。
オキサゾリン基を有する樹脂を水溶性にするために、他の重合性不飽和単量体として親水性単量体を含有させるのが好ましい。親水性単量体としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコールのモノエステル化合物等のポリエチレングリコール鎖を有する単量体、(メタ)アクリル酸2−アミノエチルおよびその塩、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、スチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。なかでも、水への溶解性の高い(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコールのモノエステル化合物等のポリエチレングリコール鎖を有する単量体を含有していることが好ましい。導入するポリエチレングリコール鎖の分子量としては、200〜900が好ましく、300〜700がより好ましい。
前記オキサゾリン基を有する樹脂は塗布層中に5質量%以上90質量%以下含有することが好ましい。レンズ層のように高い密着性が求められる場合、より好ましくは10%質量%以上70質量%以下である。オキサゾリン基を有する樹脂の含有量が多い場合には、レンズ層との密着性が低下し、逆に、含有量が少ない場合には、耐ブロッキング性が低下する場合がある。
本発明において、塗膜強度を向上させるために、塗布層中にオキサゾリン基を有する樹脂とは別の架橋剤、または、架橋基を有する樹脂を含有させても良い。架橋剤としては、尿素系、エポキシ系、メラミン系、イソシアネート系、シラノール系等が挙げられる。また、架橋反応を促進させるため、触媒等を必要に応じて適宜使用される。
また、本発明の塗布層は、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂から選ばれた少なくとも1種のバインダー樹脂を用いる。バインダー樹脂は塗布層中に10質量%以上90質量%以下含有することが好ましい。レンズ層のように高い密着性が求められる場合、より好ましくは20%質量%以上80質量%以下である。バインダー樹脂の含有量が多い場合には、耐ブロッキング性が低下し、逆に、含有量が少ない場合には密着性が低下する。
バインダー樹脂として使用するアクリル樹脂は、例えば下記のモノマー・オリゴマーを重合して得られるものである。モノマーとしては、アルキルアクリレ−ト、アルキルメタクリレ−ト(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基など)が挙げられる。そして上記モノマーを基本骨格とし、更に上記官能基を付与するため、以下の官能基を有するモノマーと共重合される。すなわちカルボキシル基、メチロ−ル基、酸無水物基、スルホン酸基、アミド基、アミノ基、水酸基、エポキシ基などの官能基を有するモノマーを例示することができる。
バインダー樹脂として使用するポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分と、分岐したグリコール成分を含有するグリコール成分とを構成成分とする樹脂である。分岐したグリコール成分としては、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、などが挙げられる。分岐したグリコール成分は、全グリコール成分の中に10モル%以上の割合で含有されることが好ましく、更に20モル%以上の割合で含有されることが好ましい。上記の分岐したグリコール成分以外のグリコール成分としては、エチレングリコールが最も好ましい。また、ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸が最も好ましい。また、少量であれば他のグリコール成分、ジカルボン酸成分を加えてもよい。
バインダー樹脂として使用するウレタン樹脂としては、構成成分として、少なくともポリオール成分、ポリイソシアネート成分を含み、さらに必要に応じて鎖延長剤を含む。本発明では、レンズ層との密着性の点からバインダー樹脂としてウレタン樹脂を用いることが好ましい。
ポリオール成分としては、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリエーテルポリオール、あるいはこれらのポリエーテルポリオールにビニル化合物を付加重合したポリマーポリオールなどが挙げられる。なかでも、接着性と耐ブロッキング性の点から、本発明のウレタン樹脂の構成成分としてレンズ層との密着性の点からポリカーボネートポリオールを有することが好ましい。なお、これらウレタン樹脂の構成成分は、核磁気共鳴分析などにより特定することが可能である。
本発明のウレタン樹脂の構成成分となるポリカーボネートポリオールとしては、ポリカーボネートジオール、ポリカーボネートトリオールなどが挙げられるが、好適にはポリカーボネートジオールを用いることができる。本発明のウレタン樹脂の構成成分であるポリカーボネートジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチルー1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,8−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノール−Aなどのジオール類の1種または2種以上と、例えば、ジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、ホスゲンなどのカーボネート類とを反応させることにより得られるポリカーボネートジオールなどが挙げられる。ポリカーボネートジオールの数平均分子量としては、好ましくは300〜5000であり、より好ましくは500〜3000である。
本発明において、ウレタン樹脂の構成成分であるポリオールの組成モル比は、ウレタン樹脂の全ポリイソシアネート成分を100モル%とした場合、3〜100モル%であることが好ましく、5〜50モル%であることがより好ましく、6〜20モル%であることがさらに好ましい。ポリオール成分がポリカーボネートポリオールの場合、前記組成モル比が低い場合は、耐久性の効果が得られない場合がある。また、前記組成モル比が高い場合は、密着性が低下する場合がある。
本発明のウレタン樹脂の構成成分であるポリイソシアネートとしては、例えば、トルイレンジイソシアネートの異性体類、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、キシリレンジイソシアネート等の芳香族脂肪族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート及び4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート、および2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類、あるいはこれらの化合物を単一あるいは複数でトリメチロールプロパン等とあらかじめ付加させたポリイソシアネート類が挙げられる。
鎖延長剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール及び1,6−ヘキサンジオール等のグリコール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトール等の多価アルコール類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、およびピペラジン等のジアミン類、モノエタノールアミンおよびジエタノールアミン等のアミノアルコール類、チオジエチレングルコール等のチオジグリコール類、あるいは水が挙げられる。
ウレタン樹脂に水溶性を付与させるためには、ウレタン分子骨格中にスルホン酸(塩)基又はカルボン酸(塩)基を導入(共重合)することができる。しかしながら、カルボン酸を導入したウレタン樹脂を用いる場合、塗布液中でオキサゾリン基と反応し、塗布層形成時の未反応のオキサゾリン基が低下する場合がある。そのため、塗布層中にカルボン酸(塩)基が実質的に有さないことが望ましい。そこで、ウレタン樹脂に水溶性を付与するため、カルボン酸塩基の代わりに、ポリオキシアルキレン基を導入することは、本発明の好ましい実施態様である。
ウレタン樹脂に導入するポリオキシアルキレン基としては、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリテトラメチレングリコール鎖などが挙げられ、これらは単独で使用できるし、2種以上併用することもできる。中でも、ポリオキシエチレン基が好適に用いることができる。
塗布層は、前記組成を有する塗布液を縦方向の1軸延伸フィルムの片面または両面に塗布した後、100〜150℃で乾燥し、さらに横方向に延伸して得ることができる。接着性改質樹脂の厚みは特に限定されないが、通常は0.01〜5μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.02〜2μm、最も好ましくは0.05〜0.5μmである。厚みが薄すぎると接着性不良となる可能性がある。また、本発明の範囲において、接着性改質樹脂を複数層積層することや、複数の接着性改質樹脂を混合して使用すること、両面に異なる接着性改質樹脂を塗工することも可能である。
塗布層には易滑性を付与するために粒子を添加することが好ましい。微粒子の平均粒径は2μm以下の粒子を用いることが好ましい。粒子の平均粒径が2μmを超えると、粒子が被覆層から脱落しやすくなる。塗布層に含有させる粒子としては、前述した微粒子と同様のものが例示される。
また、塗布液を塗布する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、リバースロール・コート法、グラビア・コート法、キス・コート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーコート法、パイプドクター法、などが挙げられ、これらの方法を単独であるいは組み合わせて行うことができる。なお、フィルム表面形状の特性を評価する場合は、例えばメチルエチルケトンなどのような溶剤のより塗布層を除去したものを用いて評価することができる。
なお、本発明の塗布層は、基材フィルムの少なくとも片面に設けるが、基材フィルムの両面に設けても構わない。また、基材フィルムの一方の面をウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂から選ばれた少なくとも1種のバインダー樹脂と、オキサゾリン基を有する樹脂とを主成分とする塗布層を設けるとともに、他方の面を他の異なる組成を有する塗布層(例えば、オキサゾリン基を有さない樹脂を含まない塗布層)を設けても構わない。
本発明においてレンズシートは、集光機能が付与された樹脂シートであって、液晶表示装置、スクリーン投影装置、その他のディスプレイ装置の光学部材として用いられるものである。レンズシートとして本発明のフィルムに付与する集光機能層は、集光機能を有するものであればよく、その形状は特定されないが、例えば、プリズムレンズ、マイクロレンズ、フレネルレンズなどが例示される。このような集光機能層を形成するための樹脂としては、例えば、紫外線硬化型または電子線硬化型アクリル系樹脂が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合する範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術範囲に包含される。また、得られたフィルムの特性や物性については以下の方法を用いて評価した。
(1)ポリエステル樹脂の固有粘度
ポリエステル0.1gをフェノール/テトラクロロエタン(容積比3/2)の混合溶液25g中に溶解させ、30℃にてオストワルド粘度計を用いて測定した。
(2)最外層(不活性粒子含有層)の厚み
レンズシート用ベースフィルムをフィルムの流れ方向に対して垂直に切り出し、光硬化樹脂で包埋した。包埋した試料をミクロトームにて70〜100nm程度の厚みの極薄切片とし、四酸化ルテニウム蒸気中で30分間染色した。この染色された極薄切片を、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、TEM2010)を用いて断面観察し、不活性粒子の位置から最外層(不活性粒子含有層)の厚みを求めた。尚、観察倍率は1500倍から10000倍の範囲で適宜設定した。
(3)最外層表面の突起形状の評価
各実施例、比較例において塗布層を設けずに作成したレンズシート用ベースフィルムを用意し、レンズシート用ベースフィルムを任意の場所で切り出した後、原子間力顕微鏡(SII社製、SPI3800)を用いて、観察モード=DFMモード、スキャナー=FS−20A、カンチレバー=DF−3、観察視野=5×5μm、分解能1024×512pixelsにて表面形態観察を行い観察像を得た。次いで同一測定視野の断面プロファイル表示モードを表示させた。断面移動画面で、カーソルの両端をつまんで高さ2nm以上の表面突起の長尺方向に沿うように、かつ、カーソルが表面突起の最高高さ位置を通るように移動させた。断面プロファイル曲線と測定範囲内の平均高さ線である高さ0nmの線とが交わった2箇所の交点間の距離を読み取り、表面突起の直径を測定した。さらに、測定範囲内の平均高さ線である高さ0nmとして表面突起の高さを測定下。こうして得られた観察像から、少なくとも100個以上の高さ2nm以上の突起について、突起の直径Lと突起の高さhを計測して直径と高さの比L/hを算出し、L/hが50以下である突起の比率を算出した。
(4)ヘイズ、全光線透過率
各実施例、比較例において塗布層を設けずに作成したレンズシート用ベースフィルム、および塗布層付きレンズシート用ベースフィルムを用意し、JIS−K7105に準じ、濁度計(NHD2000、日本電色工業製)を使用して、基材フィルムのヘイズ、全光線透過率を測定した。
(5)最外層表面の三次元表面粗さ(SRa、SRz)
各実施例、比較例において塗布層を設けずに作成したレンズシート用ベースフィルムを用意し、レンズシート用ベースフィルムの最外層表面を、触針式三次元粗さ計(SE−3AK、株式会社小阪研究所社製)を用いて、針の半径2μm、荷重30mgの条件下に、フィルムの長手方向にカットオフ値0.25mmで、測定長1mmにわたり、針の送り速度0.1mm/秒で測定し、2μmピッチで500点に分割し、各点の高さを三次元粗さ解析装置(SPA−11)に取り込ませた。これと同様の操作をフィルムの幅方向について2μm間隔で連続的に150回、すなわちフィルムの幅方向0.3mmにわたって行い、解析装置にデータを取り込ませた。次に解析装置を用いて中心面平均粗さ(SRa)、十点平均粗さ(SRz)を求めた。
(6)不活性粒子の平均粒子径、10μm以上の粒子数
不活性粒子を走査型電子顕微鏡(日立製作所製、S−51O型)で観察し、粒子の大きさに応じて適宜倍率を変え、写真撮影したものを拡大コピーした。次いで、ランダムに選んだ少なくとも200個以上の粒子について各粒子の外周をトレースし、画像解析装置にてこれらのトレース像から粒子の円相当径を測定し、これらの平均を平均粒子径とした。またこうして得られた200個以上の粒子の粒子径から、10μm以上の粒子の比率を算出した。
(7)キズ、異物の検出方法
各実施例、比較例において塗布層を設けずに作成したレンズシート用ベースフィルムを用意し、以下に説明する光学欠点検出装置により、100mm×100mmのフィルム片20枚について検査を行い、1mあたりの欠点数に換算した。
(光学欠点の検出方法)
作製したフィルム片を2枚の偏光板の間に挟みこみ、クロスニコル状態とし、消失位が保たれる状態にセットする。この状態でニコン万能投影機V‐12(投影レンズ50x、透過照明光束切り替えノブ50x、透過光検査)を用い検査を行う。フィルム片にキズ、異物が存在する場合、その部分から光が透過し、光り輝くように見える長径が20μm以上あるものを検出する。
(キズの深さ測定)
前述の光学欠点の検出方法により検出した欠点部分から、キズによる欠点を選出した。さらに適当な大きさに切り取って、三次元非接触形状計測システム Micromap MM500N−M100(菱化システム製、測定条件:waveモード、対物レンズ10倍)を用いてフィルム面に対して垂直方向から観察を行い、キズの断面形状を計測した。この断面形状よりキズの高低差(最も高い所と最も低い所の差)を算出した。このように測定した高低差0.3μm以上のキズの数を測定した。
(異物の大きさ測定)
前述の光学欠点検出方法により検出した欠点部分から、異物による欠点を選出した。さらに適当な大きさに切り取って、光学顕微鏡を用いて透過光により観察し、光学的に異常な範囲として観察される部分の最大径を異物の大きさ(長径)とした。光学的に異常な範囲とは、クロスニコル状態(暗視野)にした際に光が漏れて透過する範囲を言う。異物周辺に存在する空洞(ボイド)が光学的に異常な範囲として観察される場合は、この空洞も含めて異物の大きさとする。このように測定した大きさ20μm以上の異物の数を測定した。
(8)接着性
清浄に保った厚さ1mmのSUS板上(SUS304)に、下記光硬化型アクリル系塗布液を約5gのせ、フィルム試料の塗布層面と光硬化型アクリル系塗布液が接するように重ね合わせ、フィルム試料の上から幅10cm、直径4cmの手動式荷重ゴムローラーで光硬化型アクリル系塗布液を引き延ばすように圧着した。次いで、フィルム面側から、高圧水銀灯を用いて800mJ/cmの紫外線を照射し、光硬化型アクリル樹脂を硬化させた。厚み20μmの光硬化型アクリル層を有するフィルム試料をSUS板から剥離し、アクリル積層フィルムを得た。
光硬化型アクリル系塗布液
光硬化型アクリル樹脂 54.00質量%
(荒川化学工業製ビームセット505A−6)
光硬化型アクリル樹脂 36.00質量%
(荒川化学工業製ビームセット550)
光重合開始剤 10.00質量%
(チバスペシャリティーケミカルズ社製イルガキュア184)
得られたアクリル積層フィルムの光硬化型アクリル層面に、隙間間隔2mmのカッターガイドを用いて、光硬化型アクリル層を貫通して基材フィルムに達する100個のマス目状の切り傷をつける。次いで、セロハン粘着テープ(ニチバン社製、405番;24mm幅)をマス目状の切り傷面に貼り付け、消しゴムでこすって完全に密着させた。その後、垂直にセロハン粘着テープをアクリル積層フィルムの光硬化型アクリル層面から引き剥がす作業を5回行った後、アクリル積層フィルムの光硬化型アクリル層面から剥がれたマス目の数を目視で数え、下記の式から光硬化型アクリル層とレンズ用ベースフィルムとの密着性を求めた。なお、マス目の中で部分的に剥離しているものも剥がれたマス目として数え、下記の基準でランク分けをした。
密着性(%)=(1−剥がれたマス目の数/100)×100
◎:100%、または、光硬化型アクリル層の材破
○:99〜90%
△:89〜70%
×:69〜0%
(9)耐ブロッキング
2枚のレンズシート用ベースフィルム試料を塗布層面同士が対向するように重ね合わせ、1kgf/cmの荷重を掛け、これを50℃の雰囲気下で24時間密着させ、放置した。その後、フィルムを剥離し、その剥離状態を下記の基準で判定した。
○:塗布層の転移がなく軽く剥離できる。
△:剥離音は発生し、部分的に塗布層が相手面に転移している。
×:2枚のフィルムが固着し剥離できないもの、あるいは剥離できても基材フィルムが劈開している。
(塗布液の作製)
(ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂の重合)
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン72.96質量部、ジメチロールプロピオン酸12.60質量部、ネオペンチルグリコール11.74質量部、数平均分子量2000のポリカーボネートジオール112.70質量部、及び溶剤としてアセトニトリル85.00質量部、N−メチルピロリドン5.00質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。次に、この反応液を40℃にまで降温した後、トリエチルアミン9.03質量部を添加し、ポリウレタンプレポリマーD溶液を得た。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450gを添加して、25℃に調整して、2000min-1で攪拌混合しながら、イソシアネート基末端プレポリマーを添加して水分散した。その後、減圧下で、アセトニトリルおよび水の一部を除去することにより、固形分35%の水溶性ポリウレタン樹脂(A−1)を調製した。
(ポリエステルポリオールを構成成分とするウレタン樹脂の重合)
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン72.96質量部、ジメチロールプロピオン酸12.60質量部、ネオペンチルグリコール11.74質量部、数平均分子量2000のポリエステルジオール112.70質量部、及び溶剤としてアセトニトリル85.00質量部、N−メチルピロリドン5.00質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。次に、この反応液を40℃にまで降温した後、トリエチルアミン9.03質量部を添加し、ポリウレタンプレポリマー溶液を得た。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450gを添加して、25℃に調整して、2000min-1で攪拌混合しながら、イソシアネート基末端プレポリマーを添加して水分散した。その後、減圧下で、アセトニトリルおよび水の一部を除去することにより、固形分35%の水溶性ポリウレタン樹脂(A−2)を調製した。
(オキサゾリン基を有する樹脂の重合)
温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器、滴下ロート、および攪拌機を備えたフラスコに水性媒体としてのイオン交換水58質量部とイソプロパノール58質量部との混合物、および、重合開始剤(2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)・二塩酸塩)4質量部を投入した。一方、滴下ロートに、オキサゾリン基を有する重合性不飽和単量体としての2−イソプロペニル−2−オキサゾリン16質量部、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(エチレングリコールの平均付加モル数・9モル;新中村化学株式会社製)32質量部、およびメタクリル酸メチル32質量部の混合物を投入し、窒素雰囲気下、70℃において1時間にわたり滴下した。滴下終了後、反応溶液を9時間攪拌し、冷却することで固形分40質量%のオキサゾリン基を有する水溶性樹脂(B)を得た。
(実施例1)
(1)塗布液の調整
下記の塗剤を混合し、塗布液(C)を作成した。
水 51.00質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリウレタン樹脂(A−1) 12.58質量%
オキサゾリン基を有する樹脂(B) 4.72質量%
粒子 1.57質量%
(平均粒径40nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
粒子 0.08質量%
(平均粒径450nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
界面活性剤 0.05質量%
(シリコン系、固形分濃度100質量%)
(PETペレットBの作製)
平均粒径2.3μm、細孔容積1.6ml/gの不定形塊状シリカ粒子をエチレングリコールに分散させ、不定形塊状シリカ粒子を濃度15質量%含有するエチレングリコールスラリーを作製した。
テレフタル酸を86.4質量部及びエチレングリコールを64.4質量部、および三酸化アンチモン、酢酸マグネシウム(4水和物)を、生成ポリエチレンテレフタレート(PET)に対してSb原子として250ppm、Mg原子として65ppmを添加した後、攪拌した。その後、30℃以下に保持した状態で上記グリコールスラリーを、生成PETに対して2000ppmとなるよう添加してから、窒素で加圧し昇温を開始した。エステル化反応は、3.5Kg/cmG(ゲージ圧:0.34MPa)の加圧下で、240℃で2時間行った。得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、減圧下260℃から280℃へ徐々に昇温し、285℃で重縮合反応を行った。
重縮合反応終了後、ノズルからストランド状に押出し、予め濾過処理(孔径:1μm以下)を行った冷却水を用いて冷却、固化させ、ペレット状にカットし、不活性粒子を含有する固有粘度0.62dl/gの樹脂ペレットBを作製した。
(レンズシート用ベースフィルムの作製)
A層用原料として、不活性粒子を含有していない、固有粘度が0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂ペレットAを、135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した。次いで、乾燥後のPETペレットをA層用押出機(1)に供給した。B層用原料として、上述の樹脂ペレットAと、平均粒径2.3μm、細孔容積1.6ml/gの不定形塊状シリカ粒子を2000ppm含有した、固有粘度0.62dl/gの樹脂ペレットBを、90:10の比率で混合した後、135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した。次いで、乾燥後のPETペレットをB層用押出機(2)に供給した。押出機に供給したポリマーを、285℃に溶融した後、それぞれ濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が15μmの濾過材でろ過し、B層/A層/B層となるように積層し、積層比率が8/84/8となるように押出機の吐出量を調整した後、285℃でTダイスから層状に押出し、25℃の回転式冷却ロールに密着固化させて未延伸PETフィルムを得た。
得られた未延伸PETフィルムを、加熱されたロール群及び赤外線ヒーターで95℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で長手方向に3.5倍延伸して一軸配向PETフィルムを得た。次いで、前記の塗布液Cを濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)10μmの濾材で精密濾過し、乾燥後の塗布量が7mg/mになるようにロールコート法で一軸配向PETフィルムの両面に塗布した。
引き続き、この一軸延伸PETフィルムをクリップ方式の横延伸機に導き、130℃で横方向に4.0倍延伸し、次いで230℃で熱固定処理した後、200℃で横方向に3%緩和処理し、厚み188μmのレンズシート用ベースフィルムを得た。
(実施例2)
実施例1において、フィルム厚みを250μmとした以外は実施例1と同様の方法でレンズシート用ベースフィルムを得た。
(実施例3)
実施例1において、B層/A層/B層の比率を12/76/12とした以外は実施例1と同様の方法でレンズシート用ベースフィルムを得た。
(実施例4)
実施例1において、塗布液(C)のポリウレタン樹脂(A−1)をポリウレタン樹脂(A−2)に変更した以外は実施例1と同様の方法でレンズシート用ベースフィルムを得た。
(比較例1)
実施例1において、樹脂ペレットBの代わりに、平均粒径2.3μmの塊状シリカを篩いに掛けて粗粒を除去して得た、平均粒径1.3μmの不定形塊状シリカを2000ppm含有した、固有粘度0.62dl/gの樹脂ペレットDを使用した以外は実施例1と同様の方法でレンズシート用ベースフィルムを得た。得られたフィルムは透明性には優れるが、製膜工程で発生するキズを低減することが出来なかった。また、シリカによる凝集異物が確認された。
(比較例2)
実施例1において、B層/A層/B層の比率を3/94/3とした以外は実施例1と同様の方法でレンズシート用ベースフィルムを得た。得られたフィルムは透明性に優れるが、粒子の脱落による工程汚染が発生しやすく、製膜工程で発生するキズが増加する傾向にあった。
(比較例3)
実施例1において、樹脂ペレットBの代わりに、平均粒径2.0μm、細孔容積1.2ml/gの不定形塊状シリカを2000ppm含有した、固有粘度0.62dl/gの樹脂ペレットEを使用した以外は実施例1と同様の方法でレンズシート用ベースフィルムを得た。得られたフィルムは透明性に劣り、粒子の脱落による工程汚染が発生しやすく、製膜工程で発生するキズが増加する傾向にあった。
(比較例4)
実施例1において、樹脂ペレットBの代わりに、平均粒径3.5μm、細孔容積1.6ml/gの不定形塊状シリカを2000ppm含有した、固有粘度0.62dl/gの樹脂ペレットEを使用した以外は実施例1と同様の方法でレンズシート用ベースフィルムを得た。得られたフィルムは透明性に劣り、フィッシュアイ状の異物が多い傾向にあった。
(比較例5)
実施例1において、樹脂ペレットAと樹脂ペレットBの比率を75:25とした以外は実施例1と同様の方法でレンズシート用ベースフィルムを得た。得られたフィルムは透明性に劣る結果となった。
(比較例6)
実施例1において、塗布液(C)からオキサゾリン基を有する樹脂(B)を除いた以外は実施例1と同様の方法でレンズシート用ベースフィルムを得た。得られたフィルムは耐ブロッキング性に劣る結果となった。
Figure 2011013402
本発明によるレンズシート用フィルムを使用することで、光学欠陥が少なく輝度向上性能に優れ、耐ブロッキング性の有するレンズシートを容易に得ることが可能となる。

Claims (6)

  1. 基材フィルムの少なくとも片面に塗布層を有してなるレンズシート用ベースフィルムであって、
    前記塗布層が、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂から選ばれた少なくとも1種のバインダー樹脂と、オキサゾリン基を有する樹脂とを主成分とし、
    前記基材フィルムは、最外層と少なくとも1層の中心層からなる3層以上の積層構成を有する二軸配向ポリエステルフィルムであり、
    前記基材フィルムの最外層は平均粒径2.1〜2.5μmの不活性粒子を含有し、
    前記基材フィルムの最外層の厚みは不活性粒子の平均粒径の5倍以上11倍未満であり、
    前記基材フィルムの最外層表面における、原子間力顕微鏡AFMによって観察される高さ2nm以上の表面突起のうち、表面突起の直径Lと表面突起の高さhの比L/hが50以下である表面突起の数の割合が30%以下であることを特徴とする、
    レンズシート用ベースフィルム。
  2. 前記バインダー樹脂が、ポリカーボネート系ポリオールを構成成分とするウレタン樹脂である、請求項1に記載のレンズ用ベースフィルム。
  3. 前記最外層表面の中心面平均粗さ(SRa)が0.008〜0.015μmであり、
    十点平均粗さ(SRz)が0.5〜1.5μmである、請求項1または2に記載のレンズシート用ベースフィルム。
  4. 前記最外層中の不活性粒子が細孔容積1.5〜2.0ml/gの不定形塊状シリカであり、
    前記最外層中の不活性粒子含有量が0.015〜0.03質量%である、請求項1〜3のいずれかに記載のレンズシート用ベースフィルム。
  5. 前記不活性粒子のうち10μm以上の粒径を有する粒子の数が全体の1%以下である、請求項1〜4のいずれかに記載のレンズシート用ベースフィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載するレンズシート用ベースフィルムの前記塗布層にレンズ層を積層してなるレンズシート。
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