JP2011013402A - レンズシート用ベースフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材フィルムの少なくとも片面に塗布層を有してなるレンズシート用ベースフィルムであって、前記塗布層が、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂から選ばれた少なくとも1種のバインダー樹脂と、オキサゾリン基を有する樹脂とを主成分とし、前記基材フィルムは、最外層と少なくとも1層の中心層からなる3層以上の積層構成を有する二軸配向ポリエステルフィルムであり、前記最外層は平均粒径2.1〜2.5μmの不活性粒子を含有し、前記最外層の厚みは不活性粒子の平均粒径の5倍以上11倍未満であり、前記基材フィルムの最外層表面における、原子間力顕微鏡AFMによって観察される高さ2nm以上の表面突起のうち、表面突起の直径Lと表面突起の高さhの比L/hが50以下である表面突起の数の割合が30%以下であることを特徴とするレンズシート用ベースフィルム。
【選択図】なし
Description
る。
ポリエステル0.1gをフェノール/テトラクロロエタン(容積比3/2)の混合溶液25g中に溶解させ、30℃にてオストワルド粘度計を用いて測定した。
レンズシート用ベースフィルムをフィルムの流れ方向に対して垂直に切り出し、光硬化樹脂で包埋した。包埋した試料をミクロトームにて70〜100nm程度の厚みの極薄切片とし、四酸化ルテニウム蒸気中で30分間染色した。この染色された極薄切片を、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、TEM2010)を用いて断面観察し、不活性粒子の位置から最外層(不活性粒子含有層)の厚みを求めた。尚、観察倍率は1500倍から10000倍の範囲で適宜設定した。
各実施例、比較例において塗布層を設けずに作成したレンズシート用ベースフィルムを用意し、レンズシート用ベースフィルムを任意の場所で切り出した後、原子間力顕微鏡(SII社製、SPI3800)を用いて、観察モード=DFMモード、スキャナー=FS−20A、カンチレバー=DF−3、観察視野=5×5μm2、分解能1024×512pixelsにて表面形態観察を行い観察像を得た。次いで同一測定視野の断面プロファイル表示モードを表示させた。断面移動画面で、カーソルの両端をつまんで高さ2nm以上の表面突起の長尺方向に沿うように、かつ、カーソルが表面突起の最高高さ位置を通るように移動させた。断面プロファイル曲線と測定範囲内の平均高さ線である高さ0nmの線とが交わった2箇所の交点間の距離を読み取り、表面突起の直径を測定した。さらに、測定範囲内の平均高さ線である高さ0nmとして表面突起の高さを測定下。こうして得られた観察像から、少なくとも100個以上の高さ2nm以上の突起について、突起の直径Lと突起の高さhを計測して直径と高さの比L/hを算出し、L/hが50以下である突起の比率を算出した。
各実施例、比較例において塗布層を設けずに作成したレンズシート用ベースフィルム、および塗布層付きレンズシート用ベースフィルムを用意し、JIS−K7105に準じ、濁度計(NHD2000、日本電色工業製)を使用して、基材フィルムのヘイズ、全光線透過率を測定した。
各実施例、比較例において塗布層を設けずに作成したレンズシート用ベースフィルムを用意し、レンズシート用ベースフィルムの最外層表面を、触針式三次元粗さ計(SE−3AK、株式会社小阪研究所社製)を用いて、針の半径2μm、荷重30mgの条件下に、フィルムの長手方向にカットオフ値0.25mmで、測定長1mmにわたり、針の送り速度0.1mm/秒で測定し、2μmピッチで500点に分割し、各点の高さを三次元粗さ解析装置(SPA−11)に取り込ませた。これと同様の操作をフィルムの幅方向について2μm間隔で連続的に150回、すなわちフィルムの幅方向0.3mmにわたって行い、解析装置にデータを取り込ませた。次に解析装置を用いて中心面平均粗さ(SRa)、十点平均粗さ(SRz)を求めた。
不活性粒子を走査型電子顕微鏡(日立製作所製、S−51O型)で観察し、粒子の大きさに応じて適宜倍率を変え、写真撮影したものを拡大コピーした。次いで、ランダムに選んだ少なくとも200個以上の粒子について各粒子の外周をトレースし、画像解析装置にてこれらのトレース像から粒子の円相当径を測定し、これらの平均を平均粒子径とした。またこうして得られた200個以上の粒子の粒子径から、10μm以上の粒子の比率を算出した。
各実施例、比較例において塗布層を設けずに作成したレンズシート用ベースフィルムを用意し、以下に説明する光学欠点検出装置により、100mm×100mmのフィルム片20枚について検査を行い、1m2あたりの欠点数に換算した。
作製したフィルム片を2枚の偏光板の間に挟みこみ、クロスニコル状態とし、消失位が保たれる状態にセットする。この状態でニコン万能投影機V‐12(投影レンズ50x、透過照明光束切り替えノブ50x、透過光検査)を用い検査を行う。フィルム片にキズ、異物が存在する場合、その部分から光が透過し、光り輝くように見える長径が20μm以上あるものを検出する。
前述の光学欠点の検出方法により検出した欠点部分から、キズによる欠点を選出した。さらに適当な大きさに切り取って、三次元非接触形状計測システム Micromap MM500N−M100(菱化システム製、測定条件:waveモード、対物レンズ10倍)を用いてフィルム面に対して垂直方向から観察を行い、キズの断面形状を計測した。この断面形状よりキズの高低差(最も高い所と最も低い所の差)を算出した。このように測定した高低差0.3μm以上のキズの数を測定した。
前述の光学欠点検出方法により検出した欠点部分から、異物による欠点を選出した。さらに適当な大きさに切り取って、光学顕微鏡を用いて透過光により観察し、光学的に異常な範囲として観察される部分の最大径を異物の大きさ(長径)とした。光学的に異常な範囲とは、クロスニコル状態(暗視野)にした際に光が漏れて透過する範囲を言う。異物周辺に存在する空洞(ボイド)が光学的に異常な範囲として観察される場合は、この空洞も含めて異物の大きさとする。このように測定した大きさ20μm以上の異物の数を測定した。
清浄に保った厚さ1mmのSUS板上(SUS304)に、下記光硬化型アクリル系塗布液を約5gのせ、フィルム試料の塗布層面と光硬化型アクリル系塗布液が接するように重ね合わせ、フィルム試料の上から幅10cm、直径4cmの手動式荷重ゴムローラーで光硬化型アクリル系塗布液を引き延ばすように圧着した。次いで、フィルム面側から、高圧水銀灯を用いて800mJ/cm2の紫外線を照射し、光硬化型アクリル樹脂を硬化させた。厚み20μmの光硬化型アクリル層を有するフィルム試料をSUS板から剥離し、アクリル積層フィルムを得た。
光硬化型アクリル系塗布液
光硬化型アクリル樹脂 54.00質量%
(荒川化学工業製ビームセット505A−6)
光硬化型アクリル樹脂 36.00質量%
(荒川化学工業製ビームセット550)
光重合開始剤 10.00質量%
(チバスペシャリティーケミカルズ社製イルガキュア184)
密着性(%)=(1−剥がれたマス目の数/100)×100
◎:100%、または、光硬化型アクリル層の材破
○:99〜90%
△:89〜70%
×:69〜0%
2枚のレンズシート用ベースフィルム試料を塗布層面同士が対向するように重ね合わせ、1kgf/cm2の荷重を掛け、これを50℃の雰囲気下で24時間密着させ、放置した。その後、フィルムを剥離し、その剥離状態を下記の基準で判定した。
○:塗布層の転移がなく軽く剥離できる。
△:剥離音は発生し、部分的に塗布層が相手面に転移している。
×:2枚のフィルムが固着し剥離できないもの、あるいは剥離できても基材フィルムが劈開している。
(ポリカーボネートポリオールを構成成分とするウレタン樹脂の重合)
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン72.96質量部、ジメチロールプロピオン酸12.60質量部、ネオペンチルグリコール11.74質量部、数平均分子量2000のポリカーボネートジオール112.70質量部、及び溶剤としてアセトニトリル85.00質量部、N−メチルピロリドン5.00質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。次に、この反応液を40℃にまで降温した後、トリエチルアミン9.03質量部を添加し、ポリウレタンプレポリマーD溶液を得た。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450gを添加して、25℃に調整して、2000min-1で攪拌混合しながら、イソシアネート基末端プレポリマーを添加して水分散した。その後、減圧下で、アセトニトリルおよび水の一部を除去することにより、固形分35%の水溶性ポリウレタン樹脂(A−1)を調製した。
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン72.96質量部、ジメチロールプロピオン酸12.60質量部、ネオペンチルグリコール11.74質量部、数平均分子量2000のポリエステルジオール112.70質量部、及び溶剤としてアセトニトリル85.00質量部、N−メチルピロリドン5.00質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。次に、この反応液を40℃にまで降温した後、トリエチルアミン9.03質量部を添加し、ポリウレタンプレポリマー溶液を得た。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450gを添加して、25℃に調整して、2000min-1で攪拌混合しながら、イソシアネート基末端プレポリマーを添加して水分散した。その後、減圧下で、アセトニトリルおよび水の一部を除去することにより、固形分35%の水溶性ポリウレタン樹脂(A−2)を調製した。
温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器、滴下ロート、および攪拌機を備えたフラスコに水性媒体としてのイオン交換水58質量部とイソプロパノール58質量部との混合物、および、重合開始剤(2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)・二塩酸塩)4質量部を投入した。一方、滴下ロートに、オキサゾリン基を有する重合性不飽和単量体としての2−イソプロペニル−2−オキサゾリン16質量部、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(エチレングリコールの平均付加モル数・9モル;新中村化学株式会社製)32質量部、およびメタクリル酸メチル32質量部の混合物を投入し、窒素雰囲気下、70℃において1時間にわたり滴下した。滴下終了後、反応溶液を9時間攪拌し、冷却することで固形分40質量%のオキサゾリン基を有する水溶性樹脂(B)を得た。
(1)塗布液の調整
下記の塗剤を混合し、塗布液(C)を作成した。
水 51.00質量%
イソプロパノール 30.00質量%
ポリウレタン樹脂(A−1) 12.58質量%
オキサゾリン基を有する樹脂(B) 4.72質量%
粒子 1.57質量%
(平均粒径40nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
粒子 0.08質量%
(平均粒径450nmのシリカゾル、固形分濃度40質量%)
界面活性剤 0.05質量%
(シリコン系、固形分濃度100質量%)
平均粒径2.3μm、細孔容積1.6ml/gの不定形塊状シリカ粒子をエチレングリコールに分散させ、不定形塊状シリカ粒子を濃度15質量%含有するエチレングリコールスラリーを作製した。
A層用原料として、不活性粒子を含有していない、固有粘度が0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂ペレットAを、135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した。次いで、乾燥後のPETペレットをA層用押出機(1)に供給した。B層用原料として、上述の樹脂ペレットAと、平均粒径2.3μm、細孔容積1.6ml/gの不定形塊状シリカ粒子を2000ppm含有した、固有粘度0.62dl/gの樹脂ペレットBを、90:10の比率で混合した後、135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した。次いで、乾燥後のPETペレットをB層用押出機(2)に供給した。押出機に供給したポリマーを、285℃に溶融した後、それぞれ濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)が15μmの濾過材でろ過し、B層/A層/B層となるように積層し、積層比率が8/84/8となるように押出機の吐出量を調整した後、285℃でTダイスから層状に押出し、25℃の回転式冷却ロールに密着固化させて未延伸PETフィルムを得た。
実施例1において、フィルム厚みを250μmとした以外は実施例1と同様の方法でレンズシート用ベースフィルムを得た。
実施例1において、B層/A層/B層の比率を12/76/12とした以外は実施例1と同様の方法でレンズシート用ベースフィルムを得た。
実施例1において、塗布液(C)のポリウレタン樹脂(A−1)をポリウレタン樹脂(A−2)に変更した以外は実施例1と同様の方法でレンズシート用ベースフィルムを得た。
実施例1において、樹脂ペレットBの代わりに、平均粒径2.3μmの塊状シリカを篩いに掛けて粗粒を除去して得た、平均粒径1.3μmの不定形塊状シリカを2000ppm含有した、固有粘度0.62dl/gの樹脂ペレットDを使用した以外は実施例1と同様の方法でレンズシート用ベースフィルムを得た。得られたフィルムは透明性には優れるが、製膜工程で発生するキズを低減することが出来なかった。また、シリカによる凝集異物が確認された。
実施例1において、B層/A層/B層の比率を3/94/3とした以外は実施例1と同様の方法でレンズシート用ベースフィルムを得た。得られたフィルムは透明性に優れるが、粒子の脱落による工程汚染が発生しやすく、製膜工程で発生するキズが増加する傾向にあった。
実施例1において、樹脂ペレットBの代わりに、平均粒径2.0μm、細孔容積1.2ml/gの不定形塊状シリカを2000ppm含有した、固有粘度0.62dl/gの樹脂ペレットEを使用した以外は実施例1と同様の方法でレンズシート用ベースフィルムを得た。得られたフィルムは透明性に劣り、粒子の脱落による工程汚染が発生しやすく、製膜工程で発生するキズが増加する傾向にあった。
実施例1において、樹脂ペレットBの代わりに、平均粒径3.5μm、細孔容積1.6ml/gの不定形塊状シリカを2000ppm含有した、固有粘度0.62dl/gの樹脂ペレットEを使用した以外は実施例1と同様の方法でレンズシート用ベースフィルムを得た。得られたフィルムは透明性に劣り、フィッシュアイ状の異物が多い傾向にあった。
実施例1において、樹脂ペレットAと樹脂ペレットBの比率を75:25とした以外は実施例1と同様の方法でレンズシート用ベースフィルムを得た。得られたフィルムは透明性に劣る結果となった。
実施例1において、塗布液(C)からオキサゾリン基を有する樹脂(B)を除いた以外は実施例1と同様の方法でレンズシート用ベースフィルムを得た。得られたフィルムは耐ブロッキング性に劣る結果となった。
Claims (6)
- 基材フィルムの少なくとも片面に塗布層を有してなるレンズシート用ベースフィルムであって、
前記塗布層が、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂から選ばれた少なくとも1種のバインダー樹脂と、オキサゾリン基を有する樹脂とを主成分とし、
前記基材フィルムは、最外層と少なくとも1層の中心層からなる3層以上の積層構成を有する二軸配向ポリエステルフィルムであり、
前記基材フィルムの最外層は平均粒径2.1〜2.5μmの不活性粒子を含有し、
前記基材フィルムの最外層の厚みは不活性粒子の平均粒径の5倍以上11倍未満であり、
前記基材フィルムの最外層表面における、原子間力顕微鏡AFMによって観察される高さ2nm以上の表面突起のうち、表面突起の直径Lと表面突起の高さhの比L/hが50以下である表面突起の数の割合が30%以下であることを特徴とする、
レンズシート用ベースフィルム。 - 前記バインダー樹脂が、ポリカーボネート系ポリオールを構成成分とするウレタン樹脂である、請求項1に記載のレンズ用ベースフィルム。
- 前記最外層表面の中心面平均粗さ(SRa)が0.008〜0.015μmであり、
十点平均粗さ(SRz)が0.5〜1.5μmである、請求項1または2に記載のレンズシート用ベースフィルム。 - 前記最外層中の不活性粒子が細孔容積1.5〜2.0ml/gの不定形塊状シリカであり、
前記最外層中の不活性粒子含有量が0.015〜0.03質量%である、請求項1〜3のいずれかに記載のレンズシート用ベースフィルム。 - 前記不活性粒子のうち10μm以上の粒径を有する粒子の数が全体の1%以下である、請求項1〜4のいずれかに記載のレンズシート用ベースフィルム。
- 請求項1〜5のいずれかに記載するレンズシート用ベースフィルムの前記塗布層にレンズ層を積層してなるレンズシート。
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