JP2011012599A - 内燃機関の排ガス浄化装置 - Google Patents

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勝治 和田
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文浩 水掫
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Abstract

【課題】 排ガス流量が急激に減少するような運転状態においても、フィルタの冷却に必要な排ガス流量を確保し、フィルタの過昇温を確実に防止することができる内燃機関の排ガス浄化装置を提供する。
【解決手段】 本発明の内燃機関の排ガス浄化装置によれば、排ガス中のパティキュレートを捕集するフィルタ8の過昇温を防止するために、排ガス流量QEXが下限値QLMTLよりも小さいときに、排ガスの流量を増大側に制御する(図3のステップ19〜21)。また、排ガス減少量ΔQEXDECが所定のしきい値ΔQREF以下のときに、下限値QLMTLをより小さな第1下限値QLMTL1に設定し、排ガス減少量ΔQEXDECがしきい値ΔQREFよりも大きいときに、下限値QLMTLをより大きな第2下限値QLMTL2に設定する(図3のステップ14〜18)。
【選択図】 図3

Description

本発明は、排ガス中のパティキュレートをフィルタで捕集することにより、排ガスを浄化する内燃機関の排ガス浄化装置に関し、特にフィルタの過昇温を防止する排ガス浄化装置に関する。
従来のこの種の内燃機関の排ガス浄化装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この内燃機関は、ディーゼルエンジンであり、その排気管には、排ガス中のパティキュレート(以下「PM」という)を捕集するためのフィルタが設けられている。この排ガス浄化装置では、フィルタに堆積したPM堆積量が所定量よりも大きく、フィルタの温度が所定温度よりも高く、かつエンジンが減速状態にあるときに、フィルタの過昇温を防止するために、フィルタの冷却処理が実行される。
また、このフィルタの冷却処理として、フィルタに流入する排ガス量を増量する排ガス増量処理と、フィルタ周辺の酸素濃度を減少させる酸欠処理の一方が選択的に行われる。具体的には、排ガス増量処理を実行したと仮定したときの排ガス流量を、内燃機関の運転状態に応じてあらかじめ算出するとともに、算出された排ガス流量をしきい値と比較する。このしきい値は、フィルタの過昇温を防止することが可能な最小限の排ガス流量に相当する。このため、算出された排ガス流量がしきい値よりも大きいときに、排ガス増量処理が選択される一方、排ガス流量がしきい値以下のときには、排ガス増量処理によってはフィルタの過昇温を防止できないとして、酸欠処理が選択される。
特開2008−38821号公報
上述したように、従来の排ガス浄化装置では、排ガス増量処理を実行したときに得られる排ガス流量を算出し、算出された排ガス流量がしきい値よりも大きいときに、フィルタの過昇温を防止するのに必要な排ガス流量を確保できるとして、排ガス増量処理を実行する。しかし、そのように排ガス流量を増量したとしても、増量された排ガスがフィルタに実際に到達するまでには遅れを伴うとともに、フィルタの温度上昇は比較的短い時間で生じるため、フィルタの過昇温を確実に防止できないという問題がある。この問題は、排ガス流量が急激に減少するようなエンジンの運転状態において特に生じやすい。
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、排ガス流量が急激に減少するような運転状態においても、フィルタの冷却に必要な排ガス流量を確保し、フィルタの過昇温を確実に防止することができる内燃機関の排ガス浄化装置を提供することを目的とする。
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、内燃機関3から排出された排ガス中のパティキュレートを捕集することにより、排ガスを浄化する内燃機関の排ガス浄化装置であって、排気通路(実施形態における(以下、本項において同じ)排気管5)に設けられ、排ガス中のパティキュレートを捕集するフィルタ8と、排ガスの流量を調整する排ガス流量調整手段(インテークシャッタ9)と、排ガスの流量(排ガス流量QEX)を取得する排ガス流量取得手段(ECU2、図3のステップ12)と、取得された排ガスの流量が下限値QLMTLよりも小さいときに、排ガス流量調整手段により調整される排ガスの流量を増大側に制御する排ガス増量制御を実行する排ガス増量制御手段(ECU2、図3のステップ19〜21)と、排ガスの流量の減少度合を表す排ガス減少度合パラメータ(排ガス減少量ΔQEXDEC)を算出する排ガス減少度合パラメータ算出手段(ECU2、図3のステップ13)と、算出された排ガス減少度合パラメータにより表される排ガスの流量の減少度合が所定のしきい値ΔQREF以下のときに、下限値QLMTLとして第1下限値QLMTL1を設定し、排ガスの流量の減少度合がしきい値ΔQREFよりも大きいときに、下限値QLMTLとして第1下限値QLMTL1よりも大きな第2下限値QLMTL2を設定する下限値設定手段(ECU2、図3のステップ14〜18)と、を備えることを特徴とする。
この内燃機関の排ガス浄化装置によれば、取得された排ガス流量が下限値よりも小さいときに、排ガス流量調整手段により調整される排ガスの流量を増大側に制御する。これにより、フィルタに流入する排ガス量が増大し、排ガスによってフィルタから持ち去られる熱量が増加することで、フィルタの過昇温が防止される。
また、排ガス流量の減少度合を表す排ガス減少度合パラメータを算出するとともに、排ガス流量と比較される下限値を、排ガス減少度合パラメータで表される排ガス流量の減少度合が所定のしきい値以下のときには、より小さな第1下限値に設定し、排ガス流量の減少度合がしきい値よりも大きいときには、より大きな第2下限値を設定する。このため、例えば排ガス流量が急激に減少するような内燃機関の運転状態では、より大きな第2下限値が下限値として用いられることにより、排ガス流量が下限値を下回りやすくなるので、排ガス増量制御が確実に実行される。その結果、排ガス流量が急激に減少するような運転状態においても、フィルタの冷却に必要な排ガス流量を確保でき、フィルタの過昇温を確実に防止することができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の内燃機関の排ガス浄化装置において、フィルタ8に捕集されたパティキュレートの量を、パティキュレート堆積量(PM堆積量QPM)として取得するパティキュレート堆積量取得手段(差圧センサ13、ECU2)をさらに備え、下限値設定手段は、取得されたパティキュレート堆積量が大きいほど、第1下限値QLMTL1および第2下限値QLMTL2の少なくとも一方をより大きな値に設定すること(図3のステップ15、17、図4)を特徴とする。
フィルタに捕集されたパティキュレート堆積量が多いほど、パティキュレートの燃焼によって発生する熱量が多くなるため、フィルタの温度はより大きく上昇し、その過昇温が生じやすい。本発明によれば、取得されたパティキュレート堆積量が大きいほど、第1下限値および第2下限値の少なくとも一方をより大きな値に設定するので、パティキュレート堆積量によるフィルタの昇温状態に応じた適切なタイミングで、排ガス増量制御を実行できる。その結果、不必要な排ガス増量制御を回避しながら、フィルタの過昇温を適切に防止することができる。
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の内燃機関の排ガス浄化装置において、フィルタ8の温度(フィルタ温度TDPF)を取得するフィルタ温度取得手段(フィルタ温度センサ14)をさらに備え、下限値設定手段は、取得されたフィルタの温度が高いほど、第1下限値QLMTL1および第2下限値QLMTL2の少なくとも一方をより大きな値に設定すること(図3のステップ15、17、図4)を特徴とする。
フィルタの温度が高いほど、その後のパティキュレートの燃焼による昇温によってフィルタが最終的に到達する温度がより高くなるため、フィルタの過昇温が生じやすい。本発明によれば、取得されたフィルタの温度が高いほど、第1下限値および第2下限値の少なくとも一方をより大きな値に設定するので、フィルタの初期の温度によるフィルタの昇温状態に応じた適切なタイミングで、排ガス増量制御を実行できる。その結果、不必要な排ガス増量制御を回避しながら、フィルタの過昇温を適切に防止することができる。
請求項4に係る発明は、請求項1に記載の内燃機関の排ガス浄化装置において、排気通路に設けられ、排ガスを浄化する酸化触媒7と、排ガス増量制御の実行中、内燃機関3への燃料の噴射時期(メイン噴射時期QFMAIN)を遅角側に補正する噴射時期補正手段(ECU2、図6のステップ42、44)と、をさらに備えることを特徴とする。
排気通路にフィルタとともに酸化触媒が設けられている場合、フィルタの過昇温を防止するために排ガス増量制御を実行すると、フィルタだけでなく酸化触媒の温度も低下する。特に、排ガスの温度が低い低負荷運転やアイドル運転では、酸化触媒の温度が極端に低下し、非活性状態に至ることで、その浄化性能が低下し、排ガス特性が悪化するおそれがある。本発明によれば、排ガス増量制御の実行中、内燃機関への燃料の噴射時期を遅角側に補正するので、燃料の後燃えにより排ガス温度を上昇させることによって、酸化触媒の温度低下を防止し、その浄化性能および排ガス特性を良好に維持することができる。
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の内燃機関の排ガス浄化装置において、酸素触媒7は、フィルタ8の上流側に配置されており、内燃機関3への燃料のポスト噴射により、フィルタ8に捕集されたパティキュレートを燃焼させ、フィルタ8を再生するための再生動作を実行するフィルタ再生手段(ECU2、図5、図6のステップ49)をさらに備え、噴射時期補正手段は、排ガス増量制御の実行中で、かつ再生動作の実行中のときに、噴射時期を遅角側に補正すること(図6のステップ42〜44)を特徴とする。
上記のように、酸化触媒がフィルタの上流側に配置されるとともに、燃料のポスト噴射によって、フィルタに堆積したパティキュレートを燃焼させ、フィルタを再生する場合、酸化触媒の温度が低下していると、次のような不具合が生じるおそれがある。すなわち、ポスト噴射された燃料が酸化触媒で良好に燃焼しないことで、フィルタの昇温性が低下し、その再生に要する時間が長くなり、ポスト噴射量が増加することによって、燃費や排ガス特性、オイルダイリューションが悪化する。本発明によれば、排ガス増量制御の実行中で、かつフィルタの再生動作の実行中のときに、燃料の噴射時期を遅角側に補正するので、排ガス増量制御に伴う酸化触媒の温度の低下が防止されることで、フィルタの再生時の昇温性を維持でき、したがって、上述した不具合を確実に回避することができる。また、再生動作の実行中でないときには、フィルタの昇温性を維持する必要がないので、噴射時期の遅角側への補正を行わず、通常の噴射時期とすることによって、効率の良い燃焼を行うことができる。
請求項6に係る発明は、請求項1に記載の内燃機関の排ガス浄化装置において、内燃機関3への燃料のポスト噴射により、フィルタ8に捕集されたパティキュレートを燃焼させ、フィルタ8を再生するための再生動作を実行するフィルタ再生手段(ECU2、図5、図6のステップ49)と、ポスト噴射によるオイルの希釈度合を表すオイル希釈度合パラメータ(OD量QOD)を算出するオイル希釈度合パラメータ算出手段(ECU2、図6のステップ45、図8)と、再生動作および排ガス増量制御の実行中、算出されたオイル希釈度合パラメータに応じて、ポスト噴射による燃料噴射量(ポスト噴射量QFPOST)を制限するための上限値QFLMTHを設定する上限値設定手段(ECU2、図6のステップ51〜53)と、をさらに備えることを特徴とする。
この構成によれば、内燃機関への燃料のポスト噴射により、フィルタのパティキュレートを燃焼させ、フィルタを再生するための再生動作を実行する。このような再生動作が排ガス増量制御と同時に行われると、排ガスが増量されるのに応じて、再生動作中のフィルタの温度を維持するのに必要なポスト噴射量が増大することで、オイルダイリューションが生じやすくなる。本発明によれば、ポスト噴射によるオイルの希釈度合を表すオイル希釈度合パラメータを算出するとともに、再生動作および排ガス増量制御の実行中、算出されたオイル希釈度合パラメータに応じて、ポスト噴射による燃料噴射量を制限するための上限値を設定する。したがって、オイルの希釈度合が高いほど、上限値をより小さな値に設定し、ポスト噴射量をより厳しく制限することによって、オイルダイリューションを抑制しながら、フィルタの再生動作を適切に行うことができる。
本発明の実施形態による排ガス浄化装置を、内燃機関とともに概略的に示す図である。 排ガス浄化装置によって実行される制御処理のメインフローを示すフローチャートである。 排ガス流量制御処理を示すフローチャートである。 排ガス流量の第1下限値を算出するためのテーブルである。 フィルタの再生動作の実行判定処理を示すフローチャートである。 燃料噴射制御処理を示すフローチャートである。 ポスト噴射量の上限値を算出するためのテーブルである。 エンジンオイルの希釈量の算出サブルーチンを示すフローチャートである。 排ガス流量制御処理によって得られる動作例を示すタイミングチャートである。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について説明する。図1は、本実施形態による排ガス浄化装置1を、内燃機関3とともに示している。この内燃機関(以下「エンジン」という)3は、例えば車両(図示せず)に搭載された4気筒のディーゼルエンジンである。
エンジン3の各気筒3aには、吸気管4および排気管5が接続されるとともに、燃料噴射弁(以下「インジェクタ」という)6が、燃焼室3bに臨むように取り付けられている。インジェクタ6は、燃焼室3bの天壁に配置されており、燃料タンク(図示せず)から供給された燃料を燃焼室3bに噴射する。インジェクタ6から噴射される燃料噴射量および燃料噴射時期は、後述するECU2によって設定されるとともに、ECU2からの制御信号によりインジェクタ6の開閉タイミングを変化させることによって、制御される。
エンジン3のクランクシャフト3cには、クランク角センサ11が設けられている。クランク角センサ11は、マグネットロータおよびMREピックアップで構成されており、クランクシャフト3cの回転に伴い、パルス信号であるCRK信号およびTDC信号をECU2に出力する。
CRK信号は、所定のクランク角(例えば30゜)ごとに出力される。ECU2は、このCRK信号に基づき、エンジン3の回転数(以下「エンジン回転数」という)NEを算出する。また、TDC信号は、いずれかの気筒3aにおいて、ピストン3dが吸気行程開始時のTDC位置よりも少し前側の所定のクランク角位置に位置することを表す信号であり、本実施形態のような4気筒のエンジン3の場合には、クランク角180゜ごとに出力される。
吸気管4には、気筒3aに吸入される吸入空気量を調整するためのインテークシャッタ9が設けられている。インテークシャッタ9には、例えば直流モータで構成されたアクチュエータ10が連結されている。このアクチュエータ10に供給される電流のデューティ比をECU2で制御することによって、インテークシャッタ9の開度が制御され、吸入空気量ひいては排ガスの流量が調整される。この吸入空気量QAIRは、インテークシャッタ9の上流側に設けられたエアフローセンサ12によって検出され、その検出信号はECU2に出力される。
排気管5には、上流側から順に、酸化触媒7およびフィルタ8が設けられている。酸化触媒7は、排ガス中のHCおよびCOを酸化し、排ガスを浄化する。フィルタ8は、排ガス中の煤などのパティキュレート(以下「PM」という)を捕集することによって、大気中に排出されるPMを低減する。また、フィルタ8の表面には、酸化触媒7と同様の触媒(図示せず)が担持されている。
また、排気管5には、フィルタ8の上流側と下流側をつなぐように、圧力導入路5aが設けられており、この圧力導入路5aに差圧センサ13が取り付けられている。差圧センサ13は、フィルタ8の上流側と下流側との間の圧力差(以下「差圧」という)DPを検出し、その検出信号をECU2に出力する。ECU2は、この差圧DPに基づき、フィルタ8に捕集されたPMの量(以下「PM堆積量」という)QPMを算出する。
フィルタ8には、フィルタ温度センサ14が設けられている。フィルタ温度センサ14は、フィルタ8の温度(以下「フィルタ温度」という)TDPFを検出し、その検出信号をECU2に出力する。
また、ECU2には、水温センサ15から、エンジン3の本体内を循環する冷却水の温度(以下「エンジン水温」という)TWを表す検出信号が、油温センサ16から、エンジン3の潤滑などを行うエンジンオイルの温度(以下「油温」という)TOILを表す検出信号が、アクセル開度センサ17から、エンジン3を搭載した車両のアクセルペダル(図示せず)の操作量(以下「アクセル開度」という)APを表す検出信号が、それぞれ出力される。
ECU2は、CPU、RAM、ROMおよびI/Oインターフェースなどから成るマイクロコンピュータ(いずれも図示せず)で構成されている。前述した各種のセンサ11〜17からの検出信号はそれぞれ、I/OインターフェースでA/D変換や整形がなされた後、CPUに入力される。ECU2は、これらの検出信号に応じ、ROMに記憶された制御プログラムなどに従って、エンジン3の運転状態およびフィルタ8の状態を判別するとともに、その判別結果に応じて、各種の制御を実行する。
本実施形態では、ECU2が、排ガス流量取得手段、排ガス増量制御手段、排ガス減少度合パラメータ算出手段、下限値設定手段、パティキュレート堆積量取得手段、噴射時期補正手段、フィルタ再生手段、オイル希釈度合パラメータ算出手段、および上限値設定手段に相当する。
図2は、ECU2で実行される制御処理のメインフローを示す。本処理はTDC信号の発生に同期して実行される。本処理では、まずステップ1(「S1」と図示。以下同じ)において、排ガス流量制御処理を実行する。この排ガス流量制御処理は、PMの燃焼によるフィルタ8の過昇温を防止するために、排ガスの流量を制御するものである。
次に、フィルタ8の再生動作を実行するか否かを判定する実行判定処理を行う(ステップ2)。この再生動作は、フィルタ8へのPMの堆積による排圧の上昇に起因するエンジン3の出力の低下や燃費の悪化を防止するために、エンジン3の膨張行程中または排気行程中にインジェクタ6から燃料を噴射するポスト噴射を行うことによって、PMを燃焼させ、フィルタ8を再生するものである。
次に、燃料噴射制御処理を実行し(ステップ3)、本処理を終了する。この燃料噴射制御処理は、ステップ1および2の排ガス流量制御処理および実行判定処理の結果に応じて、インジェクタ6からの燃料のメイン噴射およびポスト噴射のそれぞれの燃料噴射量および燃料噴射時期を設定するものである。以下、これらの処理を順に説明する。
図3は、排ガス流量制御処理を示す。本処理では、まずステップ11において、目標吸入空気量の基本値QAIRBを算出する。この基本値QAIRBの算出は、エンジン回転数NEおよび要求トルクPMCMDに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって行われる。なお、要求トルクPMCMDは、エンジン回転数NEおよびアクセル開度APに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって算出される。
次に、エンジン3から排出される排ガスの流量(以下「排ガス流量」という)QEXを算出する(ステップ12)。この排ガス流量QEXの算出は、例えば、上記ステップ11で算出された目標吸入空気量の基本値QAIRBに、所定の遅れ処理を施すことによって行われる。
次に、排ガス流量QEXの減少度合を表す排ガス減少量ΔQEXDECを算出する(ステップ13)。この排ガス減少量ΔQEXDECは、例えば、上記ステップ12で算出された排ガス流量QEXが減少しているときに、その前回値QEX(n−1)と今回値QEX(n)との差(=QEX(n−1)−QEX(n))として算出される。
次に、ステップ14〜18において、排ガス流量の下限値QLMTLを設定する。この下限値QLMTLは、排ガス流量QEXがその値を下回ると、フィルタ8の過昇温が生じるような排ガス流量の限界値に相当する。
まず、ステップ14では、ステップ13で算出した排ガス減少量ΔQEXDECが、所定のしきい値ΔQREFよりも大きいか否かを判別する。この答がNOで、排ガス減少量ΔQEXDECがしきい値ΔQREF以下のときには、フィルタ8のPM堆積量QPMおよびフィルタ温度TDPFに応じ、図4に示すマップを検索することによって、排ガス流量の第1下限値QLMTL1を算出する(ステップ15)。
このマップでは、第1下限値QLMTL1は、PM堆積量QPMが大きいほど、またフィルタ温度TDPFが高いほど(T1>T2>T3)、より大きな値に設定されている。これは、PM堆積量QPMが大きいほど、PMの燃焼によって発生する熱量が多くなり、フィルタの温度がより大きく上昇することから、またフィルタ温度TDPFが高いほど、PMの燃焼による昇温によってフィルタが最終的に到達する温度がより高くなることから、いずれの場合にもフィルタ8の過昇温が生じやすいためである。
次に、算出した第1下限値QLMTL1を排ガス流量の下限値QLMTLとして設定し(ステップ16)、後述するステップ19に進む。
一方、前記ステップ14の答がYESで、排ガス減少量ΔQEXDECがしきい値ΔQREFよりも大きいときには、前記ステップ15と同様、PM堆積量QPMおよびフィルタ温度TDPFに応じ、図4のマップを用いて、第1下限値QLMTL1を算出するとともに、この第1下限値QLMTL1に所定値QREFを加算することによって、排ガス流量の第2下限値QLMTL2を算出する(ステップ17)。次に、算出した第2下限値QLMTL2を排ガス流量の下限値QLMTLとして設定し(ステップ18)、ステップ19に進む。
このステップ19では、排ガス流量QEXが、ステップ16または18で設定された下限値QLMTLよりも小さいか否かを判別する。この答がNOで、排ガス流量QEXが下限値QLMTL以上のときには、必要な排ガス流量QEXが確保され、フィルタ8の過昇温が生じるおそれがないとして、排ガス流量を増大側に制御する排ガス増量制御を実行しないものとする。そして、そのことを表すために、排ガス増量フラグF_QEXINCを「0」にセットする(ステップ20)とともに、最終的な目標吸入空気量QAIRCMDをステップ11で算出した基本値QAIRBに設定し(ステップ21)、本処理を終了する。
一方、前記ステップ19の答がYESで、排ガス流量QEXが下限値QLMTLよりも小さいときには、排ガス流量QEXが不足しており、フィルタ8の過昇温が生じるおそれがあるとして、排ガス増量制御を実行するものとする。そして、そのことを表すために、排ガス増量フラグF_QEXINCを「1」にセットする(ステップ22)とともに、目標吸入空気量QAIRCMDを下限値QLMTLに設定し(ステップ23)、本処理を終了する。
図9は、上述した排ガス増量制御によって得られる動作例を示している。この例では、図3のステップ11で算出される目標吸入空気量の基本値QAIRBは、エンジン3の運転状態に応じて、同図(d)のように変化し、それに伴い、ステップ12で算出される排ガス流量QEXもまた、(b)に示すように同様に推移している。
なお、排ガス流量QEXは、実際には目標吸入空気量の基本値QAIRBに対して遅れをもって算出されるが、図示の便宜上、この遅れを無視して示している。また、排ガス流量の第1および第2下限値QLMTL1、QLMTL2についても、実際にはPM堆積量QPMなどに応じて変化するが、図示の便宜上、直線的に減少するように示している。以下、排ガス増量制御による動作を、t1〜t7で規定される区間ごとに、経時的に説明する。
・t1以前
この区間では、排ガス流量QEXが減少しているものの、(a)に示す排ガス減少量ΔQEXDECがしきい値ΔQREFよりも小さいため(ステップ14:NO)、排ガス流量の下限値QLMTLは、より小さな第1下限値QLMTL1に設定される(ステップ15、16)。また、排ガス流量QEXがこの下限値QLMTLよりも大きいため(ステップ19:NO)、排ガス増量フラグF_QEXINCが「0」にセットされるとともに、目標吸入空気量QAIRCMDは基本値QAIRBに設定され(ステップ20、21)、排ガス増量制御は実行されない。
・t1−t2区間
排ガス流量QEXが下限値QLMTL(=QLMTL1)を下回るようになるため(ステップ19:YES)、排ガス増量フラグF_QEXINCが「1」にセットされ、目標吸入空気量QAIRCMDが下限値QLMTLに設定される(ステップ22、23)ことによって、排ガス増量制御が実行される。これにより、目標吸入空気量QAIRCMDが下限値QLMTLと基本値QAIRBとの差の分((d)のハッチング部分)増量され、それに伴って実際の排ガス流量も増量される((b)のハッチング部分)。
・t2−t3区間
排ガス流量QEXが増加し、下限値QLMTLを上回るようになるため、排ガス増量制御は実行されない。
・t3−t4区間
排ガス流量QEXが急激に減少するのに伴い、排ガス減少量ΔQEXDECがしきい値ΔQREFを上回るようになるため(ステップ14:YES)、排ガス流量の下限値QLMTLが、第1下限値QLMTL1よりも所定値QREFだけ大きな第2下限値QLMTL2に設定される(ステップ17、18)。しかし、この区間では、排ガス流量QEXがまだ下限値QLMTL(=QLMTL2)よりも大きいため、排ガス増量制御は実行されない。
・t4−t5区間
引き続き減少する排ガス流量QEXが下限値QLMTL(=QLMTL2)を下回るようになるため、排ガス増量フラグF_QEXINCが「1」にセットされ、排ガス増量制御が実行される。これにより、t1−t2区間と同様、目標吸入空気量QAIRCMDが増量され((d)のハッチング部分)、それに伴って実際の排ガス流量も増量される((b)のハッチング部分)。
・t5−t6区間
排ガス流量QEXが減少速度が小さくなるのに伴い、排ガス減少量ΔQEXDECがしきい値ΔQREFを下回るようになるため、排ガス流量の下限値QLMTLが、より小さな第1下限値QLMTL1に設定される。その結果、排ガス流量QEXが下限値QLMTLを上回るようになるため、排ガス増量制御は実行されない。
・t6−t7区間
排ガス流量QEXが急減するのに伴い、排ガス減少量ΔQEXDECがしきい値ΔQREFを上回るようになり、排ガス流量の下限値QLMTLが、より大きな第2下限値QLMTL2に再び設定される。しかし、排ガス流量QEXがこの区間に至るまでに増加していて、下限値QLMTLよりも大きいため、排ガス増量制御は実行されない。
・t7以降
排ガス流量QEXがほぼ一定になるのに伴い、排ガス減少量ΔQEXDECがしきい値ΔQREFを下回るようになるため、排ガス流量の下限値QLMTLが、より小さな第1下限値QLMTL1に設定される。このため、排ガス流量QEXが下限値QLMTLよりも大きな状態が保たれ、引き続き排ガス増量制御は実行されない。
図5は、図2のステップ2で実行される、フィルタ8の再生動作の実行判定処理を示す。本処理では、まずステップ31において、再生フラグF_POSTが「1」であるか否かを判別する。この答がNOで、再生動作の実行中でないときには、PM堆積量QPMが、再生動作の開始判定用の所定のしきい値QPOSTSよりも大きいか否かを判別する(ステップ32)。この答がNOで、QPM≦QPOSTSのときには、引き続き再生動作を実行しないものとし、そのまま本処理を終了する。
一方、ステップ32の答がYESで、PM堆積量QPMがしきい値QPOSTSを上回ったときには、再生動作を開始するものとし、再生フラグF_POSTを「1」にセットする(ステップ33)。
また、前記ステップ31の答がYESで、再生動作の実行中のときには、PM堆積量QPMが、再生動作の終了判定用の所定のしきい値QPOSTEよりも小さいか否かを判別する(ステップ34)。このしきい値QPOSTEは、非常に小さな値、例えば0に近い値に設定されている。この答がNOで、QPM≧QPOSTEのときには、そのまま本処理を終了し、再生動作を継続する。
一方、ステップ34の答がYESで、PM堆積量QPMがしきい値QPOSTEを下回ったときには、フィルタ8に堆積していたPMがほとんど燃焼し、フィルタ8の再生が完了したとして、再生動作を終了するものとし、再生フラグF_POSTを「0」にセットし(ステップ35)、本処理を終了する。
図6は、図2のステップ3で実行される燃料噴射制御処理を示す。本処理では、まずステップ40において、メイン噴射による燃料噴射量(以下「メイン噴射量」という)QFMAINを算出する。このメイン噴射は、エンジン3の圧縮行程中に燃料を噴射し、燃料の燃焼によって出力を得るためのものである。メイン噴射量QFMAINは、エンジン回転数NEおよび要求トルクPMCMDに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって算出される。
また、算出したメイン噴射量QFMAINに応じて、メイン噴射による燃料噴射時期(以下「メイン噴射時期」という)TFMAINを算出する(ステップ41)。
次に、排ガス増量フラグF_QEXINCが「1」であるか否かを判別する(ステップ42)。この答がYESで、排ガス増量制御の実行中のときには、再生フラグF_POSTが「1」であるか否かを判別する(ステップ43)。この答がYESで、フィルタ8の再生動作の実行中のときには、ステップ41で算出したメイン噴射時期TFMAINに所定の補正値CREFを加算することによって、新たなメイン噴射時期TFMAINを算出した(ステップ44)後、ステップ45に進む。これにより、メイン噴射時期TFMAINが遅角側に補正される。
一方、前記ステップ42の答がNOで、排ガス増量制御の実行中でないときには、メイン噴射時期TFMAINの補正を行わないものとし、前記ステップ44をスキップして、ステップ45に進む。また、前記ステップ43の答がNOで、フィルタ8の再生動作の実行中でないときにも、ステップ44をスキップして、ステップ45に進む。
このステップ45では、エンジンオイルの希釈量(以下「OD量」という)QODを算出する。このOD量QODは、フィルタ8の再生動作のためのポスト噴射によるエンジンオイルの希釈度合を表すものであり、その算出処理については後述する。
ステップ45に続くステップ46では、再生フラグF_POSTが「1」であるか否かを判別する。この答がNOで、フィルタ8の再生動作を実行しないときには、ポスト噴射による燃料噴射量(以下「ポスト噴射量」という)QFPOSTを0に設定する(ステップ47)とともに、ポスト噴射による燃料噴射時期(以下「ポスト噴射時期」という)TFPOSTを所定値T0に設定し(ステップ48)、本処理を終了する。
一方、前記ステップ46の答がYESで、フィルタ8の再生動作を実行するときには、ポスト噴射量QFPOSTを算出する(ステップ49)。この場合のポスト噴射量QFPOSTは、例えば、検出されたフィルタ温度TDPFがフィルタ8の再生に適した所定の目標温度になるように、フィードバック制御によって算出される。
次に、排ガス増量フラグF_QEXINCが「1」であるか否かを判別する(ステップ50)。この答がNOで、排ガス増量制御の実行中でないときには、後述するステップ54に進む。
一方、上記ステップ50の答がYESで、排ガス増量制御の実行中のときには、ステップ45で算出したOD量QODに応じ、図7に示すテーブルを検索することによって、ポスト噴射量の上限値QFLMTHを算出する(ステップ51)。この上限値QFLMTHは、ポスト噴射によるエンジンオイルの希釈を抑制するためのものであり、このテーブルでは、OD量QODが大きいほど、より小さな値に設定されている。
次に、ステップ49で算出したポスト噴射量QFPOSTが上限値QFLMTHよりも大きいか否かを判別する(ステップ52)。この答がNOで、QFPOST≦QFLMTHのときには、エンジンオイルの希釈度合が低く、ポスト噴射量QFPOSTを制限する必要がないとして、後述するステップ54に進む。
一方、ステップ52の答がYESで、ポスト噴射量QFPOSTが上限値QFLMTHを上回っているときには、ポスト噴射量QFPOSTを上限値QFLMTHに設定する(ステップ53)ことによって、ポスト噴射量QFPOSTを制限する。
次に、ステップ54では、前記ステップ49または53で設定されたポスト噴射量QFPOSTに応じて、ポスト噴射による燃料噴射時期(以下「ポスト噴射時期」という)TFPOSTを算出し、本処理を終了する。
以上のように設定されたポスト噴射量QFPOSTおよびポスト噴射時期TFPOSTに基づくポスト噴射が、膨張行程中または排気行程中に行われることにより、未燃燃料を排ガス中に含ませ、酸化触媒7などで燃焼させ、フィルタ8に堆積したPMを燃焼させることによって、フィルタ8の再生が行われる。
図8は、図6のステップ45で実行されるOD量QODの算出サブルーチンを示す。本処理では、まずステップ61において、再生フラグF_POSTが「1」であるか否かを判別する。この答がYESで、再生動作の実行中のときには、エンジン回転数NEおよびエンジン水温TWなどに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって、燃料混入率RODを算出する(ステップ62)。この燃料混入率RODは、ポスト噴射量QFPOSTに対するエンジンオイルに混入する燃料量の割合を表す。このマップでは、燃料混入率RODは、エンジン回転数NEが低いほど、またエンジン水温TWが低いほど、ポスト噴射された燃料が気化しにくく、気筒3aの壁面に付着しやすいため、より大きな値に設定されている。
次に、算出した燃料混入率RODをポスト噴射量QFPOSTに乗算することによって、エンジンオイルへの燃料混入量QAODを算出する(ステップ63)。この燃料混入量QAODは、1TDC当たりにエンジンオイルに混入する燃料量を表す。一方、前記ステップ61の答がNOで、再生動作の実行中でないときには、燃料混入量QAODを値0に設定する(ステップ64)。
上記ステップ63または64に続くステップ65では、エンジン回転数NEおよび油温TOILなどに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって、燃料蒸発率RVAFを算出する。この燃料蒸発率RVAFは、エンジンオイルに混入している総燃料量に対する燃料の蒸発量の割合を表す。このマップでは、燃料蒸発率RVAFは、エンジン回転数NEが高いほど、また油温TOILが高いほど、エンジンオイルから燃料が蒸発しやすいため、より大きな値に設定されている。
次に、算出した燃料蒸発率RVAFをそのときのO/D量QODに乗算することによって、燃料蒸発量QVAFを算出する(ステップ66)。この燃料蒸発量QVAFは、1TDC当たりにエンジンオイルから蒸発する燃料の蒸発量を表す。
次いで、ステップ63または64で算出された燃料混入量QAODとステップ66で算出された燃料蒸発量QVAFとの差を、今回の1TDC当たりのO/D量ΔQODとして算出する(ステップ67)。そして、算出したO/D量ΔQODをそのときまでに得られているO/D量QODに加算することによって、今回のO/D量QODを算出し(ステップ68)、本処理を終了する。なお、O/D量QODは、エンジンオイルの交換時に値0にリセットされる。
以上のように、本実施形態によれば、排ガス流量QEXが下限値QLMTLよりも小さいときに、目標吸入空気量QAIRCMDを増大させることによって、排ガス流量を増大側に制御する(図3のステップ19、22、23)。これにより、フィルタ8に流入する排ガス量が増大し、排ガスによってフィルタ8から持ち去られる熱量が増加することで、フィルタ8の過昇温が防止される。
また、排ガス流量QEXの下限値QLMTLを、排ガス減少量ΔQEXDECが所定のしきい値ΔQREF以下のときには、より小さな第1下限値QLMTL1に設定し、排ガス減少量ΔQEXDECがしきい値ΔQREFよりも大きいときには、より大きな第2下限値QLMTL2を設定する(図3のステップ14〜18)。したがって、排ガス流量が急激に減少するような内燃機関の運転状態では、より大きな第2下限値QLMTL2が下限値QLMTLとして用いられることにより、排ガス流量QEXが下限値QLMTLを下回りやすくなるので、排ガス増量制御が確実に実行される。その結果、排ガス流量QEXが急激に減少するような運転状態においても、フィルタ8の冷却に必要な排ガス流量を確保でき、フィルタ8の過昇温を確実に防止することができる。
また、上記の第1および第2下限値QLMT1、QLMT2を、PM堆積量QPMが大きいほど、またフィルタ温度TDPFが高いほど、より大きな値に設定する(図3のステップ15、17、図4)ので、フィルタ8のPM堆積量および温度によるフィルタ8の昇温状態に応じた適切なタイミングで、排ガス増量制御を実行できる。その結果、不必要な排ガス増量制御を回避しながら、フィルタ8の過昇温を適切に防止することができる。
さらに、排ガス増量制御の実行中で、かつフィルタ8の再生動作の実行中のときに、メイン噴射時期THMAINを遅角側に補正する(図6のステップ44)ことによって、燃料の後燃えにより排ガス温度を上昇させ、酸化触媒7の温度低下を防止する。したがって、酸化触媒7の浄化性能および排ガス特性を良好に維持できるとともに、再生動作時において、フィルタ8の昇温性を維持し、ポスト噴射量QFPOSTを抑制することによって、燃費および排ガス特性を向上させ、オイルダイリューションを抑制することができる。また、再生動作の実行中でないときには、フィルタ8の昇温性を維持する必要がないので、メイン噴射時期THMAINの遅角側への補正を行わず、ステップ41で算出したメイン噴射時期THMAINを用いることによって、効率の良い燃焼を行うことができる。
また、フィルタ8の再生動作および排ガス増量制御の実行中、OD量QODが大きいほど、ポスト噴射量QFPOSTを制限するための上限値QFLMTHをより小さな値に設定する(図6のステップ51)ので、オイルダイリューションを抑制しながら、フィルタ8の再生動作を適切に行うことができる。
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、排ガスの流量の減少度合を表す排ガス減少度合パラメータとしての排ガス減少量ΔQEXDECを、排ガス流量の前回値QEX(n−1)と今回値QEX(n)との差として求めているが、これに限らず、例えば、エアフローセンサ12で検出された吸入空気量QAIRの減少量として求めてもよい。あるいは、排ガス減少度合パラメータとして、上記のような排ガス流量QEXや吸入空気量QAIRの前回値と今回値との差に代えて、これらの比を用いてもよい。
また、実施形態では、排ガス流量QEXの第2下限値QLMTL2を、第1下限値QLMTL1に所定値QREFを加算することによって算出しているが、第1下限値QLMTL1よりも大きな値である限り、PM堆積量QPMおよびフィルタ温度TDPFに応じ、第1下限値QLMTL1とは別個のマップを用いて算出してもよい。また、実施形態では、排ガス流量QEXの下限値QLMTLを、排ガス減少量ΔQEXDECとしきい値ΔQREFとの大小関係に応じて、第1および第2上限値QLMTL1、QLMTL2のいずれかに設定しているが、これに限らず、例えば、排ガス減少量ΔQEXDECが大きいほど、下限値QLMTLをより大きな値になるように連続的に設定してもよい。
さらに、実施形態では、PM堆積量QPMを、差圧センサ13で検出された、フィルタ8の上下流間の差圧DPに基づいて求めているが、これに限らず、エンジン3の負荷や燃料噴射量などの運転状態に応じたパラメータの積算値として求めてもよい。また、フィルタ温度TDPFを、フィルタ8に直接、取り付けたフィルタ温度センサ14によって検出しているが、これに限らず、例えばフィルタ8の上下流の排ガス温度を検出し、それらの検出結果から求めてもよい。
さらに、実施形態では、オイル希釈度合パラメータとして、エンジンオイルの希釈量であるOD量QODを用いているが、エンジンオイルの希釈度合を表す他の適当なパラメータを用いてもよく、また、OD量QODの算出手法についても、実施形態に示したものに限らず、任意である。
また、実施形態では、フィルタ8の再生動作を、ポスト噴射によって行っているが、これに限らず、メイン噴射時期TFMAINをリタードさせることによって行ってもよく、あるいは、インジェクタ6とは別個の供給装置を用い、燃料を排気管5に直接、供給することによって行ってもよい。
さらに、実施形態は、本発明を車両に搭載されたディーゼルエンジンに適用した例であるが、本発明は、これに限らず、ガソリンエンジンなどの各種のエンジンに適用してもよく、また、車両用以外のエンジン、例えば、クランク軸を鉛直に配置した船外機などのような船舶推進機用エンジンにも適用可能である。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
1 排ガス浄化装置
2 ECU(排ガス流量取得手段、排ガス増量制御手段、排ガス減少度合パラメータ算 出手段、下限値設定手段、パティキュレート堆積量取得手段、噴射時期補正手段、 フィルタ再生手段、オイル希釈度合パラメータ算出手段、上限値設定手段)
3 エンジン(内燃機関)
5 排気管(排気通路)
7 酸化触媒
8 フィルタ
9 インテークシャッタ(排ガス流量調整手段)
13 差圧センサ
14 フィルタ温度センサ(フィルタ温度取得手段)
QEX 排ガス流量
ΔQEXDEC 排ガス減少量(排ガス減少度合パラメータ)
ΔQREF しきい値
QLMTL 排ガス流量の下限値
QLMTL1 第1下限値
QLMTL2 第2下限値
QPM PM堆積量(パティキュレート堆積量)
TDPF フィルタ温度(フィルタの温度)
QFMAIN メイン噴射時期(燃料の噴射時期)
QOD OD量(オイル希釈度合パラメータ)
QFPOST ポスト噴射量(ポスト噴射による燃料噴射量)
QFLMTH ポスト噴射量の上限値

Claims (6)

  1. 内燃機関から排出された排ガス中のパティキュレートを捕集することにより、排ガスを浄化する内燃機関の排ガス浄化装置であって、
    排気通路に設けられ、排ガス中のパティキュレートを捕集するフィルタと、
    排ガスの流量を調整する排ガス流量調整手段と、
    排ガスの流量を取得する排ガス流量取得手段と、
    当該取得された排ガスの流量が下限値よりも小さいときに、前記排ガス流量調整手段により調整される排ガスの流量を増大側に制御する排ガス増量制御を実行する排ガス増量制御手段と、
    排ガスの流量の減少度合を表す排ガス減少度合パラメータを算出する排ガス減少度合パラメータ算出手段と、
    当該算出された排ガス減少度合パラメータにより表される排ガスの流量の減少度合が所定のしきい値以下のときに、前記下限値として所定の第1下限値を設定し、前記排ガスの流量の減少度合が前記しきい値よりも大きいときに、前記下限値として前記第1下限値よりも大きな所定の第2下限値を設定する下限値設定手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の排ガス浄化装置。
  2. 前記フィルタに捕集されたパティキュレートの量を、パティキュレート堆積量として取得するパティキュレート堆積量取得手段をさらに備え、
    前記下限値設定手段は、前記取得されたパティキュレート堆積量が大きいほど、前記第1下限値および第2下限値の少なくとも一方をより大きな値に設定することを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
  3. 前記フィルタの温度を取得するフィルタ温度取得手段をさらに備え、
    前記下限値設定手段は、前記取得されたフィルタの温度が高いほど、前記第1下限値および第2下限値の少なくとも一方をより大きな値に設定することを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
  4. 前記排気通路に設けられ、排ガスを浄化する酸化触媒と、
    前記排ガス増量制御の実行中、前記内燃機関への燃料の噴射時期を遅角側に補正する噴射時期補正手段と、
    をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
  5. 前記酸素触媒は、前記フィルタの上流側に配置されており、
    前記内燃機関への燃料のポスト噴射により、前記フィルタに捕集されたパティキュレートを燃焼させ、前記フィルタを再生するための再生動作を実行するフィルタ再生手段をさらに備え、
    前記噴射時期補正手段は、前記排ガス増量制御の実行中で、かつ前記再生動作の実行中のときに、前記噴射時期を遅角側に補正することを特徴とする、請求項4に記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
  6. 前記内燃機関への燃料のポスト噴射により、前記フィルタに捕集されたパティキュレートを燃焼させ、前記フィルタを再生するための再生動作を実行するフィルタ再生手段と、
    前記ポスト噴射によるオイルの希釈度合を表すオイル希釈度合パラメータを算出するオイル希釈度合パラメータ算出手段と、
    前記再生動作および前記排ガス増量制御の実行中、前記算出されたオイル希釈度合パラメータに応じて、前記ポスト噴射による燃料噴射量を制限するための上限値を設定する上限値設定手段と、
    をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の排ガス浄化装置。
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