JP2012225266A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】触媒を備えた内燃機関に適用され、空燃比制御と排ガス温度制御を行う。
【解決手段】制御装置は、混合気の空燃比を目標空燃比に一致させるように定められる第1変更量に従って機関に供給される燃料の量を変更する空燃比制御手段と、排ガスの温度を低下させるように定められる第2変更量に従って内燃機関に供給される燃料の量を変更する排ガス温度制御手段と、を備える。制御装置において、第1時点にて空燃比の制御が行われており、かつ、第1時点または第1時点よりも後の第2時点から第2時点よりもの第3時点までの期間である触媒温度制御期間中に空燃比の制御および排ガスの温度の制御のうちの少なくとも排ガスの温度の制御が行われる場合、触媒温度制御期間中の第4時点における第1変更量と第2変更量との合計が第1時点における第1変更量以上であるように、第4時点における第1変更量および第2変更量が定められる。
【選択図】図5

Description

本発明は、触媒を備えた内燃機関に適用される制御装置に関する。
内燃機関の燃焼室から排出されるガス(排ガス)は、種々の物質を含んでいる。そこで、従来から、それら物質を排ガスから除去することによって排ガスを浄化する触媒を備えた内燃機関が、提案されている。このような触媒として、例えば、いわゆる三元触媒およびNOx吸蔵還元触媒などが挙げられる。これら触媒は、周知のように、触媒の温度が特定の活性温度以上であり、かつ、排ガスの酸素濃度が特定の酸素濃度(空気と燃料とが理論空燃比にて混合されて得られる混合気が燃焼したときに生じる排ガスの酸素濃度。以下、便宜上、「基準酸素濃度」とも称呼される。)の近傍の酸素濃度である場合、排ガスを高い浄化率にて浄化することができる。以下、便宜上、三元触媒およびNOx吸蔵還元触媒などは、単に「触媒」と総称される。
上述したように、排ガスが高い浄化率にて浄化されるためには、触媒の温度が活性温度以上であることが必要である。触媒の温度は、例えば、同触媒が排ガスに加熱されることによって高くなる。ところが、触媒の温度が過度に高くなると、触媒を構成する物質(例えば、貴金属、酸素吸蔵物質、および、担体など)が熱変性することなどに起因し、触媒の排ガス浄化性能が劣化する場合がある。そこで、従来の内燃機関の制御装置の一つ(以下、「従来装置」とも称呼される。)は、触媒の温度と排ガスの温度との間の相関関係に着目するとともに、混合気に含まれる燃料の量(別の言い方をすると、内燃機関に供給される燃料の量)を調整することによって触媒の温度を制御するように構成されている。
具体的に述べると、従来装置は、内燃機関の運転状態に基づいて触媒の温度を推定する。そして、従来装置は、推定された触媒の温度が所定の上限温度以上である場合、内燃機関に供給される燃料の量を、触媒の温度が上限温度以上でない場合における同燃料の量に比べて増大させる。これにより、燃料が気化するときに消費されるエネルギの量が増大されるので、排ガス中に排出されるエネルギの量が減少される。その結果、排ガスの温度が燃料の量が増大されない場合における同温度よりも低下されるので、触媒の温度が過度に高くなることが防がれ得る(例えば、特許文献1を参照。)。以下、燃料の量が増大されることによって排ガスの温度が低下されることは、「燃料冷却効果」とも称呼される。
特開2006−37921号公報
上述したように、触媒を備えた内燃機関においては、同機関に供給される燃料の量が増大されることにより、排ガスの温度が低下される。そして、排ガスの温度が低下されることにより、触媒の温度が過度に高くなることが防がれ得る。以下、便宜上、燃料の量を調整することによって排ガスの温度を低下させる制御は「排ガス温度制御」とも称呼される。
ところで、上述したように、排ガスが高い浄化率にて浄化されるためには、排ガスの酸素濃度が特定の酸素濃度(基準酸素濃度の近傍の酸素濃度)であることが求められる。排ガスの酸素濃度は、例えば、混合気の空燃比に関連して変化する。そこで、触媒を備えた内燃機関においては、例えば、排ガスの酸素濃度が基準酸素濃度の近傍の酸素濃度に一致するように、混合気に含まれる燃料の量が調整される。そして、排ガスの酸素濃度が制御されることにより、排ガスが高い浄化率にて浄化される状態が維持され得る。以下、便宜上、燃料の量を調整することによって混合気の空燃比を制御することは「空燃比制御」とも称呼される。
このように、触媒を備えた内燃機関においては、排ガス温度制御と、空燃比制御と、の双方によって燃料の量が変更され得る。逆に言うと、燃料の量は、排ガス温度制御および空燃比制御の双方に影響を与え得る。そのため、排ガス温度制御と空燃比制御との相関関係が十分に考慮されることなくこれら制御のそれぞれが独立して行われると、これら制御の一方または双方の目的が十分に達成されない可能性があると考えられる。
本発明の目的は、上記課題に鑑み、排ガス温度制御および空燃比制御の目的を出来る限り適切に達成することができる内燃機関の制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明による制御装置は、内燃機関の燃焼室から排出されるガス(排ガス)を浄化する触媒を備えた内燃機関に適用される。
上記触媒は、排ガスを浄化することができる触媒であればよく、特に制限されない。上記触媒として、例えば、触媒成分としての貴金属と、酸素吸蔵物質を含む担体と、を有する公知の三元触媒が採用され得る。さらに、上記触媒として、例えば、触媒成分としての貴金属と、酸素吸蔵物質およびNOx吸蔵物質を含む担体と、を有する公知のNOx吸蔵還元触媒が採用され得る。
なお、上記「排ガスを浄化する」とは、排ガスに含まれる窒素酸化物および未燃物などの浄化対象物質の少なくとも一部をその排ガスから除去することを意味し、必ずしも浄化対象物質の全てをその排ガスから除去することを意味しない。
上記触媒を備えた内燃機関に適用される本発明の制御装置は、空燃比制御手段と、排ガス温度制御手段と、を備える。
空燃比制御手段は、前記内燃機関に供給される混合気の空燃比の制御を行う手段である。この空燃比制御手段は、「前記空燃比を目標空燃比に一致させるように定められる第1変更量」に従い、前記内燃機関に供給される燃料の量を変更する。
上記混合気は、周知のように、空気と燃料とを含むガスである。上記空燃比は、周知のように、混合気に含まれる燃料の量(F)に対する混合気に含まれる空気の量(A)の割合(A/F)である。よって、空気の量が一定(固定値)であれば、燃料の量が増大すると空燃比が減少し、燃料の量が減少すると空燃比が増大する。
上記目標空燃比は、触媒による排ガスの浄化率などを考慮した適値に設定されればよく、特に制限されない。例えば、目標空燃比として、理論空燃比、または、理論空燃比よりもわずかに小さい値など、が採用され得る。なお、理論空燃比とは、周知のように、混合気が燃焼するときに空気と燃料とが過不足なく反応する空燃比(質量比において、約14.7)を表す。
以下、理論空燃比よりも小さい空燃比は「リッチ側の空燃比」とも称呼され、理論空燃比よりも大きい空燃比は「リーン側の空燃比」とも称呼される。すなわち、「リッチ側の空燃比」である混合気の単位量に含まれる燃料の量は、理論空燃比である混合気の単位量に含まれる燃料の量よりも、多い。逆に、「リーン側の空燃比」である混合気の単位量に含まれる燃料の量は、理論空燃比である混合気の単位量に含まれる燃料の量よりも、少ない。
上記第1変更量は、空燃比を目標空燃比に一致させるように定められる「燃料の量の変更量」であればよく、特に制限されない。第1変更量として、正の値、負の値、または、ゼロのいずれかが採用される。例えば、フィードバック制御の考え方に従って第1変更量が定められる場合、第1変更量として、排ガスの実際の酸素濃度と基準酸素濃度との差に基づいて定められるフィードバック量が採用され得る。
排ガス温度制御手段は、前記排ガスの温度の制御を行う手段である。この排ガス温度制御手段は、「前記排ガスの温度を低下させるように定められる第2変更量」に従い、前記内燃機関に供給される燃料の量を変更する。
上記第2変更量は、排ガスの温度を低下させるように定められる「燃料の量の変更量」であればよく、特に制限されない。上述したように、燃料の量が増大されると、燃料冷却効果によって排ガスの温度が低下され得る。よって、第2変更量として、正の値、または、ゼロのいずれかが採用される。例えば、第2変更量として、触媒の温度が過度に高くなる可能性がある場合などに内燃機関の運転状態に基づいて定められる変更量が採用され得る。
以上にて述べたように、本発明の制御装置においては、空燃比制御手段および排ガス温度制御手段の「双方」が内燃機関に供給される燃料の量を変更する。そのため、これら制御手段の相関関係を考慮することなく第1変更量および第2変更量が定められると、混合気の空燃比の制御および排ガスの温度の制御の一方または双方が適切に行われない可能性があると考えられる。
そこで、本発明の制御装置においては、空燃比制御手段と排ガス温度制御手段との相関関係を考慮しながら、第1変更量および第2変更量が定められる。
具体的に述べると、
(A−1)「第1時点」にて前記空燃比の制御が行われており、かつ、
(A−2)「該第1時点または該第1時点よりも後の第2時点から、該第2時点よりも後の第3時点まで、の期間である触媒温度制御期間」中に前記空燃比の制御および前記排ガスの温度の制御のうちの少なくとも前記排ガスの温度の制御が行われる場合、
(B)「前記触媒温度制御期間中の第4時点」における前記第1変更量と前記第2変更量との合計が「前記第1時点」における前記第1変更量以上であるように、「前記第4時点」における第1変更量および第2変更量が定められる。
以下、本発明の制御装置において上述したように第1変更量および第2変更量が定められる理由が説明される。なお、上記(A−1)、(A−2)および(B)から理解されるように、上記第1時点〜第4時点は、時系列において、第1時点、第2時点、第4時点、および、第3時点の順に並べられる。
まず、空燃比の制御が行われているとき(上記(A−1))、混合気の空燃比が目標空燃比に一致するように(すなわち、第1変更量に従って)燃料の量が調整される。次いで、ある時点(第1時点または第2時点)にて排ガスの温度の制御が開始されると(上記(A−2))、排ガスの温度を低下させるように(すなわち、第2変更量に従って)燃料の量が調整され始める。排ガスの温度の制御が行われる期間中、空燃比の制御は「中止」されても「継続」されてもよい。なお、空燃比の制御および排ガスの温度の制御のうちの「少なくとも排ガスの温度の制御」が行われる期間は、触媒温度制御期間とも称呼される(上記(A−2))。
例えば、排ガスの温度の制御が行われる期間(触媒温度制御期間)において空燃比の制御が「中止」されると、その期間中のある時点(第4時点)における「第1変更量」は「ゼロ」である。ここで、その時点(第4時点)における「第2変更量」が排ガスの温度の制御が開始される時点よりも前の時点または同制御が開始される時点(すなわち、同制御が開始される以前の時点。換言すると、第1時点)における燃料の量の変更量(空燃比の制御による第1変更量)よりも「小さい」場合、排ガスの温度の制御が開始される以前の燃料の量よりも、同制御が開始された後の燃料の量が「少ない」ことになる。換言すると、この場合、排ガスの温度の制御が開始されると、燃料の量が「減少する」ことになる。その結果、この場合、燃料冷却効果が適切に得られず、排ガスの温度が適切に低下されない可能性がある。
一方、例えば、触媒温度制御期間において空燃比の制御が「継続」されると、第4時点における「第1変更量」は「正の値、負の値またはゼロ」である。ここで、第4時点における「第1変更量と第2変更量との合計」が第1時点における第1変更量よりも「小さい」場合、上記同様、排ガスの温度の制御が開始される以前の燃料の量よりも、同制御が開始された後の燃料の量が「少ない」ことになる。その結果、この場合においても、排ガスの温度が適切に低下されない可能性がある。
このように、触媒温度制御期間において空燃比の制御が中止される場合においても継続される場合においても、排ガスの温度の制御が適切に行われない可能性がある。そこで、本発明の制御装置においては、「触媒温度制御期間中の第4時点における第1変更量と第2変更量との合計が、第1時点における第1変更量以上である」ように、第4時点における第1変更量および第2変更量が定められる。
これにより、触媒温度制御期間中の任意の時点(第4時点)における第1変更量と第2変更量との合計は、かならず触媒温度制御期間の以前(第1時点)における第1変更量「以上」であることになる。換言すると、触媒温度制御期間中の燃料の量は、かならず触媒温度制御期間の以前の燃料の量よりも「多い」ことになる。よって、触媒温度制御期間において燃料冷却効果が適切に得られるので、同期間において排ガスの温度が適切に低下される。したがって、触媒の温度が過度に高くなることが防がれる。これらの結果、本発明の制御装置は、本発明の制御装置による制御が行われない場合に比べ、排ガスの温度の制御および空燃比の制御の目的(なかでも、排ガスの温度の制御の目的)を適切に達成することができる。
以下、本発明の制御装置のいくつかの態様が説明される。
本発明の制御装置の一の態様において、
前記触媒温度制御期間として、「現在の時点における前記触媒の温度である触媒の現在温度」および「将来の時点において前記触媒の温度が到達すると推定される温度である触媒の収束温度」のうちの少なくとも一つが閾値温度以上であると該触媒温度制御期間中において判定される期間、が採用され得る。
上記触媒の現在温度は、現在の時点における実際の温度であってもよく、現在の時点における推定される温度であってもよい。例えば、触媒の実際の温度として、温度センサなどによって取得される温度などが採用され得る。一方、例えば、触媒の推定される温度として、内燃機関の運転状態に基づいて推定される温度、排ガスの温度に基づいて推定される温度、および、触媒の収束温度に基づいて推定される温度、などが採用され得る。
上記触媒の収束温度は、触媒の現在温度よりも高い温度であってもよく、低い温度であってもよい。なお、当然に、収束温度と現在温度とが一致する可能性もある。触媒の収束温度として、例えば、内燃機関の運転状態に基づいて推定される温度、および、排ガスの温度に基づいて推定される温度、などが採用され得る。
上記閾値温度は、触媒の耐熱性などを考慮して定められる適値であればよく、特に制限されない。例えば、閾値温度として、触媒の現在温度および触媒の収束温度のうちの少なくとも一つが同閾値温度以上である場合に触媒の排ガス浄化性能が劣化する可能性があると判断され得る温度など、が採用され得る。
上述したように、触媒温度制御期間において、排ガスの温度の制御が行われる。この排ガスの温度の制御は、触媒の温度が過度に高くなる可能性があると判定されるときに行われることが望ましい。そこで、本態様においては、触媒温度制御期間として、「触媒の現在温度、および、触媒の収束温度、のうちの少なくとも一つ」が所定の閾値温度以上であると同期間中において判定される期間が採用される。これにより、本発明の制御装置は、触媒の温度が過度に高くなることをより確実に防ぎ得る。
さらに、本発明の制御装置の他の態様において、
前記第1変更量として、前記目標空燃比に基づいて定められる燃料の量である「基本量」を基準にした変化量が採用され得る。また、前記第2変更量として、該基本量を基準にした変化量が採用され得る。
上記基本量として、例えば、内燃機関の運転状態などに基づいて定められ得る内燃機関に導入される空気の量と、目標空燃比と、に基づいて算出される燃料の量、などが採用され得る。
ところで、本発明の制御装置においては、「触媒温度制御期間中の任意の時点(第4時点)における第1変更量と第2変更量との合計が、かならず触媒温度制御期間の以前(第1時点)における第1変更量以上である」ように、第1変更量および第2変更量が定められる。以下、本発明の制御装置の態様についての説明が続られる前に、第1変更量および第2変更量を定める方法のいくつかの例が説明される。
まず、第1の例として、
前記第4時点において定められる前記第2変更量が前記第1時点における前記第1変更量よりも「小さい」場合、前記第4時点にて前記空燃比の制御および前記排ガスの温度の制御の「双方」が行われ得る。
本例においては、上記の場合、第4時点(触媒温度制御期間中の任意の時点)において、空燃比の制御および排ガスの温度の制御の「双方」が行われる。換言すると、触媒温度制御期間において空燃比の制御が「継続」される。その結果、第4時点における変更量は、空燃比の制御についての変更量(第1変更量)と排ガスの温度の制御についての変更量(第2変更量)とが合計された量となる。ここで、第4時点における第1変更量は、上記基本量が変動しない限り、第1時点における第1変更量と実質的に同一であると考え得る。よって、少なくとも上記基本量が変動しない時点において、第1変更量と第2変更量との合計が第1時点における第1変更量以上とされる。これにより、触媒の温度が過度に高くなることが適切に防がれ得る。
ところで、上述した第1の例において、
前記第4時点における前記目標空燃比として、「前記第1時点における前記目標空燃比よりも小さい空燃比」が採用され得る。
排ガスの温度の制御によって(燃料冷却効果を得るべく)燃料の量が「増大」されると、混合気の空燃比は、目標空燃比からリッチ側の空燃比に向かって離れるように(換言すると、空燃比が小さくなるように)変化する。一方、上述したように、空燃比制御手段は、混合気の空燃比を目標空燃比に一致させるように燃料の量を変更する。そのため、燃料の量が上述したように「増大」されたとき、空燃比の制御が行われると、混合気の空燃比が目標空燃比に近づくように燃料の量が「減少」される場合があると考えられる。別の言い方をすると、排ガスの温度の制御に起因する変更量(増大分)が、空燃比の制御に起因する変更量(減少分)によって削り取られる(以下、「侵食される」とも称呼される。)。その結果、排ガスの温度が適切に低下される程度に燃料の量が増大されない可能性があると考えられる。
そこで、上記第1の例において、第4時点における目標空燃比として「排ガスの温度の制御が開始される以前(第1時点)における目標空燃比よりも小さい値」が採用され得る。これにより、第4時点における目標空燃比が第1時点における目標空燃比と同一である場合に比べ、より適切に排ガスの温度が低下され得る。
さらに、上述した第1の例において、
前記第4時点における前記目標空燃比として、「前記第4時点における前記第2変更量と前記基本量との和が前記基本量によって除算されて得られる値(C)により、前記第1時点における前記目標空燃比(AF)が除算されて得られる空燃比(AF/C)」、が採用され得る。
上記「第4時点における第2変更量と基本量との和が基本量によって除算されて得られる値(C)」は、「第2変更量が基本量に対する変化割合に換算された値」と言い換えられ得る。例えば、第2変更量が基本量の所定の割合(例えば、基本量の5%)に相当する場合、上記「除算されて得られる値(C)」は、その割合に応じた値(例えば、1.05)である。そのため、上記値(C)によって第1時点における目標空燃比(AF)が除算されて得られる空燃比(AF/C)」は、第1時点における目標空燃比(AF)よりも小さい値(AF/1.05)である。このように、第4時点における目標空燃比(AF/C)は、第2変更量が大きいほど小さい。
さらに具体的に述べると、第1時点および第4時点において混合気に含まれる空気の量(GA)が同一であれば、上記除算されて得られる目標空燃比(AF/1.05)に対応する基本量(1.05×GA/AF)は、元の目標空燃比(AF)に対応する基本量(GA/AF)に上記「割合に応じた値(1.05)」が乗算された値に等しい。よって、本例によれば、第2変更量が基本量の所定の割合(5%)に相当する場合、基本量がその割合(5%)だけ変更される(1.05倍される)。
その結果、排ガスの温度の制御によって(燃料冷却効果を得るべく)燃料の量が第2変更量だけ増大されると(5%増えると)、基本量も第2変更量に応じて増大されることになる(1.05倍されることになる)。したがって、排ガスの温度の制御と並行して空燃比の制御が行われても、空燃比の制御によって「第2変更量に起因する変更量(増大分)」が侵食されることはないので、燃料の量が第2変更量だけ確実に増大される。これにより、より適切に排ガスの温度が低下され得る。
なお、上記符号「C」および「AF」、ならびに、数値「5%」および「1.05」は、それらによって本発明が容易に理解されることを意図して用いられているに過ぎず、それらによって本発明の内容が限定的に解釈にされることを意図して用いられていない。
次いで、第2の例として、
前記第4時点において定められる前記第2変更量が前記第1時点における前記第1変更量よりも小さい場合、該第2変更量が該第1変更量以上の量に「修正」された上で、前記第4時点において前記空燃比の制御および前記排ガスの温度の制御のうちの「前記排ガスの温度の制御のみ」が行われ得る。
本例においては、第4時点(触媒温度制御期間中の任意の時点)において、空燃比の制御および排ガスの温度の制御のうちの「排ガスの温度の制御のみ」が行われる。換言すると、触媒温度制御期間において空燃比の制御が「中止」される。ただし、本例においては、第4時点における第2変更量が「第1時点における第1変更量以上の値」に修正される。その結果、第4時点における第1変更量と第2変更量との合計(実際には、第2変更量のみ)は、かならず第1時点における第1変更量以上であることになる。さらに、第4時点において空燃比の制御が行われないので、空燃比の制御によって第2変更量が侵食されることもない。これにより、より適切に排ガスの温度が低下され得る。
次いで、第3の例として、
前記第4時点において定められる前記第2変更量が前記第1時点における前記第1変更量よりも小さい場合、該第2変更量が「該第2変更量と該第1変更量との和」に修正された上で、前記第4時点において前記空燃比の制御および前記排ガスの温度の制御のうちの「前記排ガスの温度の制御のみ」が行われ得る。
本例においても、第4時点において、空燃比の制御および排ガスの温度の制御のうちの「排ガスの温度の制御のみ」が行われる。ただし、本例においては、第4時点における第2変更量が「第1時点における第1変更量と、その第2変更量と、の和」に修正される。その結果、第4時点における第1変更量と第2変更量との合計(実際には、第2変更量のみ)は、第1時点における第1変更量以上であることになる。さらに、上記同様、第4時点において空燃比の制御が行われないので、空燃比の制御によって第2変更量が侵食されることもない。これにより、より適切に排ガスの温度が低下され得る。
さらに、第4の例において、
前記第2変更量として、「前記内燃機関の運転状態に基づいて定められ且つ前記第1時点における前記第1変更量よりも大きい基準変更量」に「前記触媒の現在温度が前記触媒の収束温度に近づくほど1に近づく補正係数」が乗算されて得られる「補正変更量」、が採用され得る。
上述したように、第2変更量は、排ガスの温度を低下させるように定められる燃料の量の変更量であればよい。本例においては、内燃機関の運転状態に基づいて「基準変更量」が定められるとともに、この基準変更量が触媒の温度を考慮して補正される。これにより、第4時点における第2変更量が、内燃機関の運転状態だけではなく触媒の温度にも対応する適切な量として定められ得る。
上記補正係数の定め方は、特に制限されない。例えば、上記第4の例において、
前記補正係数として、「前記触媒の現在温度(P)と前記閾値温度(T)との差」が「前記触媒の収束温度(F)と前記閾値温度(T)との差」によって除算されて得られる値((P−T)/(F−T))、が採用され得る。
以上が、本発明の制御装置における、第1変更量および第2変更量を定める方法のいくつかの例である。
本発明の制御装置の態様についての説明に戻ると、本発明の制御装置のさらに他の態様において、
前記第1時点における前記目標空燃比として、「理論空燃比」が採用され得る。
上述したように、触媒は、排ガスの酸素濃度が基準酸素濃度の近傍の酸素濃度である場合、排ガスを高い浄化率にて浄化することができる。そこで、本態様においては、第1時点(すなわち、排ガスの温度の制御が開始される以前の時点。空燃比の制御が行われている時点)における目標空燃比として、理論空燃比が採用される。これにより、本発明の制御装置は、第1時点において、排ガスを高い浄化率にて浄化することができる。
ところで、上述したいくつかの態様を含む本発明の制御装置において、
前記触媒として、「前記排ガスの酸素濃度が前記混合気の空燃比が理論空燃比であるときに生じる排ガスの酸素濃度である基準酸素濃度から「該酸素濃度が大きくなる方向に」離れる場合に該触媒による前記排ガスに含まれる「窒素酸化物」の浄化率が第1の低下率にて低下し、かつ、前記排ガスの酸素濃度が前記基準酸素濃度から「該酸素濃度が小さくなる方向に」離れる場合に前記窒素酸化物の浄化率が前記第1の低下率よりも小さい第2の低下率にて低下する」特性を有する触媒、が採用され得る。
上述したように、触媒は、排ガスに含まれる種々の物質を排ガスから除去することによって排ガスを浄化する。排ガスによるこれら物質の浄化率は、一般に、これら物質の種類に関連して異なるとともに、排ガスの酸素濃度にも関連して異なると考えられる。
そこで、なかでも排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)を効率良く浄化する観点から、本発明の制御装置に備えられる触媒として、上記特性を有する触媒が採用され得る。この触媒は、「排ガスの酸素濃度が基準酸素濃度から同酸素濃度が小さくなる方向に離れるときの浄化率の低下率(第2の低下率)が、排ガスの酸素濃度が基準酸素濃度から同酸素濃度が大きくなる方向に離れるときの同低下率(第1の低下率)よりも小さい」という特性を有する。
なお、排ガスの酸素濃度が小さくなる方向とは、空燃比が小さくなる方向(リッチ側)に相当する。また、排ガスの酸素濃度が大きくなる方向とは、空燃比が大きくなる方向(リーン側)に相当する。
上述したように、本発明の制御装置は、触媒温度制御期間中の燃料の量が触媒温度制御期間の以前の燃料の量よりも多くなる(すなわち、排ガスの酸素濃度が小さくなる。空燃比がリッチ側になる)ように、第1変更量および第2変更量を定める。そのため、例えば、触媒温度制御期間の「以前」において混合気の目標空燃比が理論空燃比に設定されている場合(この場合、排ガスの酸素濃度は基準酸素濃度であると考えられる。)、触媒温度制御期間「中」の排ガスの酸素濃度は、基準酸素濃度よりも小さい酸素濃度であると考えられる。また、触媒温度制御期間の以前における混合気の目標空燃比が理論空燃比に設定されていない場合であっても、触媒温度制御期間中における排ガスの酸素濃度が基準酸素濃度よりも小さい酸素濃度である場合があると考えられる。
触媒が上記特性を有すれば、触媒温度制御期間中の排ガスの酸素濃度が基準酸素濃度よりも小さい(リッチ側の)酸素濃度であっても、同酸素濃度が基準酸素濃度よりも大きい(リーン側)の酸素濃度である場合に比べ、より高い浄化率にて窒素酸化物を浄化することができる。その結果、本発明の制御装置は、触媒による窒素酸化物の浄化率が低下することを出来る限り抑制しながら、排ガスの温度を適切に低下させることができる。すなわち、本発明の制御装置は、排ガスの温度の制御および空燃比の制御の目的を出来る限り適切に達成することができる。
なお、上記窒素酸化物の浄化率は、窒素酸化物の浄化の程度を表す値であればよく、特に制限されない。例えば、窒素酸化物の浄化率として、触媒に導入される排ガスの単位量に含まれる窒素酸化物の量に対する触媒から排出される排ガスの単位量に含まれる窒素酸化物の量の割合など、が採用され得る。また、上記浄化率の低下率は、浄化率の低下の程度を表す値であればよく、特に制限されない。例えば、浄化率の低下率として、排ガスの酸素濃度が基準酸素濃度から離れる場合、単位酸素濃度あたりの浄化率の低下量など、が採用され得る。
本発明の第1実施形態に係る制御装置が適用される内燃機関の概略図である。 触媒による排ガスの浄化率と、空燃比と、の関係を示すグラフである。 図1に示した上流側空燃比センサの出力値と、空燃比と、の関係を示すグラフである。 図1に示した下流側空燃比センサの出力値と、空燃比と、の関係を示すグラフである。 本発明の第1の実施形態に係る制御装置の作動を示す概略フローチャートである。 参照例による制御の一例を示すタイムチャートである。 第1実施形態による制御の一例を示すタイムチャートである。 本発明の第1実施形態に係る制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係る制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係る制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係る制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 第2実施形態による制御の一例を示すタイムチャートである。 本発明の第2実施形態に係る制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 第3実施形態による制御の一例を示すタイムチャートである。 本発明の第3実施形態に係る制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 本発明の第3実施形態に係る制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 第4実施形態による制御の一例を示すタイムチャートである。 本発明の第4実施形態に係る制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。 第5実施形態による制御の一例を示すタイムチャートである。 本発明の第5実施形態に係る制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
以下、本発明による内燃機関の制御装置の各実施形態(第1実施形態〜第5実施形態)が、図面を参照しながら説明される。
(第1実施形態)
<装置の概要>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る制御装置(以下、「第1装置」とも称呼される。)が内燃機関10に適用されたシステムの概略構成を示している。内燃機関10は、4サイクル火花点火式多気筒(4気筒)機関である。図1は、複数の気筒のうちの一の気筒の断面のみを示している。なお、他の気筒も、この一の気筒と同様の構成を備えている。以下、「内燃機関10」は、単に「機関10」とも称呼される。
この機関10は、シリンダブロック部20、シリンダブロック部20の上部に固定されるシリンダヘッド部30、シリンダブロック部20に空気と燃料とが混合されたガス(混合気)を導入するための吸気系統40、シリンダブロック部20から排出されるガス(排ガス)を機関10の外部に放出するための排気系統50、アクセルペダル61、各種のセンサ71〜78、および、電子制御装置80、を備えている。
シリンダブロック部20は、シリンダ21、ピストン22、コンロッド23、および、クランクシャフト24、を有している。ピストン22はシリンダ21内を往復動し、ピストン22の往復動がコンロッド23を介してクランクシャフト24に伝達され、これにより同クランクシャフト24が回転するように構成されている。シリンダ21の内壁面、ピストン22の上面およびシリンダヘッド部30の下面は、燃焼室25を画成している。
シリンダヘッド部30は、燃焼室25に連通した吸気ポート31、吸気ポート31を開閉する吸気弁32、吸気弁32を駆動するインテークカムシャフトを有するとともに同インテークカムシャフトの位相角およびリフト量を連続的に変更する可変吸気タイミング装置33、可変吸気タイミング装置33のアクチュエータ33a、燃料を吸気ポート31内に噴射するインジェクタ34、燃焼室25に連通した排気ポート35、排気ポート35を開閉する排気弁36、排気弁36を駆動するエキゾーストカムシャフト37、点火プラグ38、および、点火プラグ38に与える高電圧を発生するイグニッションコイルを含むイグナイタ39、を有している。
吸気系統40は、吸気ポート31を介してそれぞれの気筒に連通されたインテークマニホールド41、インテークマニホールド41の上流側の集合部に接続された吸気管42、吸気管42の端部に設けられたエアクリーナ43、吸気管42の開口面積(開口断面積)を変更することができるスロットル弁(吸気絞り弁)44、および、指示信号に応じてスロットル弁44を回転駆動するスロットル弁アクチュエータ44a、を有している。吸気ポート31、インテークマニホールド41および吸気管42は、吸気通路を構成している。
排気系統50は、排気ポート35を介してそれぞれの気筒に連通されたエキゾーストマニホールド51、エキゾーストマニホールド51の下流側の集合部に接続された排気管52、および、排気管52に設けられた排ガス浄化用触媒53、を有している。排気ポート35、エキゾーストマニホールド51および排気管52は、排気通路を構成している。以下、排ガス浄化用触媒53は、単に「触媒53」とも称呼される。
触媒53は、酸素吸蔵物質としてのセリア・ジルコニア共触媒(CeO2−ZrO2)と、担体としてのアルミナなどのセラミクスと、触媒成分としての白金およびロジウムなどの貴金属と、を含む三元触媒である。触媒53は、触媒の温度が所定の活性温度以上であり、かつ、触媒53に導入される排ガスの酸素濃度が基準酸素濃度(上述したように、理論空燃比の混合気が燃焼したときに生じるガスの酸素濃度)の近傍の酸素濃度である場合、排ガス中の未燃物(HCなど)と窒素酸化物(NOx)との酸化還元反応を促進し、これらを高い浄化率にて浄化することができる。
以下、排ガスの酸素濃度は「排ガスの空燃比」とも称呼され、排ガスの酸素濃度が理論空燃比の混合気が燃焼した際に生じるガスの酸素濃度であることは「排ガスの空燃比が理論空燃比である」とも称呼される。すなわち、排ガスの空燃比が理論空燃比であることと、燃焼室に導入される混合気の空燃比が理論空燃比であることと、は実質的に同義である。なお、上述したように、理論空燃比よりも小さい空燃比は「リッチ側の空燃比」とも称呼され、理論空燃比よりも大きい空燃比は「リーン側の空燃比」とも称呼される。
図2は、触媒53の温度が活性温度以上である場合における触媒53による排ガスの浄化率を示す模式図である。図2に示すように、触媒53に導入される排ガスの空燃比A/Fが理論空燃比stoichの近傍の空燃比である場合、排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)および未燃物(HC、CO)の全てが最も効率良く浄化される。一方、排ガスの空燃比A/Fが理論空燃比stoichから離れるほど、それらの浄化率は低下する。
ここで、触媒53は、窒素酸化物(NOx)の浄化率が低下する度合い(低下率)について、「排ガスの空燃比A/Fが理論空燃比stoichからリーン側に向けて離れる場合の同低下率が、排ガスの空燃比A/Fが理論空燃比stoichからリッチ側に向けて離れる場合における同低下率よりも、大きい」という特性を有する。別の言い方をすると、窒素酸化物(NOx)の浄化率は、排ガスの空燃比A/Fが理論空燃比stoichからリーン側に向けて離れる場合には著しく低下するものの、同空燃比A/Fが理論空燃比stoichからリッチ側に向けて離れる場合には窒素酸化物(NOx)を浄化する観点において許容できない程度にまでは低下しない。
機関10において、触媒53の温度は、機関10の運転パラメータに基づいて取得(推定)される。触媒53の温度の取得(推定)方法の詳細については、後述される。そして、取得された触媒53の温度Tcatに基づき、排ガスの温度の制御が行われる。
再び図1を参照すると、機関10の外部には、機関10に加速要求および要求トルクなどを入力するためのアクセルペダル61が設けられている。アクセルペダル61は、機関10の操作者によって操作される。
さらに、各種のセンサ71〜78について具体的に述べると、第1装置は、吸入空気量センサ71、スロットル弁開度センサ72、カムポジションセンサ73、クランクポジションセンサ74、水温センサ75、上流側空燃比センサ76、下流側空燃比センサ77、および、アクセル開度センサ78、を備えている。
吸入空気量センサ71は、吸気通路(吸気管42)に設けられている。吸入空気量センサ71は、吸気管42内を流れる空気の質量流量である吸入空気量(すなわち、機関10に吸入される空気の質量)に応じた信号を出力するように構成されている。この信号に基づき、吸入空気量Gaの測定値が取得される。
スロットル弁開度センサ72は、スロットル弁44の近傍に設けられている。スロットル弁開度センサ72は、スロットル弁44の開度に応じた信号を出力するように構成されている。この信号に基づき、スロットル弁開度TAが取得される。
カムポジションセンサ73は、可変吸気タイミング装置33の近傍に設けられている。カムポジションセンサ73は、インテークカムシャフトが90°回転する毎に(すなわち、クランクシャフト24が180°回転する毎に)一つのパルスを有する信号を出力するように構成されている。この信号に基づき、インテークカムシャフトの回転位置(カムポジション)が取得される。
クランクポジションセンサ74は、クランクシャフト24の近傍に設けられている。クランクポジションセンサ74は、クランクシャフト24が10°回転する毎に幅の狭いパルスを有する信号を出力するとともに、クランクシャフト24が360°回転する毎に幅の広いパルスを有する信号を出力するように構成されている。これら信号に基づき、クランクシャフト24の単位時間あたりの回転数(以下、単に「機関回転速度NE」とも称呼される。)が取得される。
水温センサ75は、シリンダ21内を流れる冷却水の通路に設けられている。水温センサ75は、冷却水の温度に応じた信号を出力するように構成されている。この信号に基づき、冷却水の温度THWの測定値が取得される。
上流側空燃比センサ76は、触媒53の上流側の排気通路(エキゾーストマニホールド51の集合部の近傍、または、集合部よりも下流側)に設けられている。上流側空燃比センサ76は、公知の限界電流式の空燃比センサである。上流側空燃比センサ76は、図3に示すように、触媒53に導入される排ガスの空燃比A/Fに応じた出力値Vabyfsを出力するように構成されている。この出力値Vabyfsに基づき、触媒53に導入される排ガスの空燃比が取得される。
以下、触媒53に導入される排ガスは「触媒導入ガス」とも称呼される。さらに、以下、触媒導入ガスの空燃比は「触媒上流側空燃比abyfs」とも称呼される。加えて、以下、図3に示す出力値Vabyfsと空燃比A/Fとの関係は「テーブルMapabyfs」とも称呼される。
下流側空燃比センサ77は、触媒53の下流側の排気通路に設けられている。下流側空燃比センサ77は、公知の起電力式(濃淡電池型)の空燃比センサである。下流側空燃比センサ77は、図4に示すように、触媒53から排出される排ガスの空燃比に応じた出力値Voxsを出力するように構成されている。この出力値Voxsに基づき、触媒53から排出される排ガスの空燃比が取得される。
以下、触媒53から排出される排ガスは「触媒排出ガス」とも称呼される。さらに、以下、触媒排出ガスの空燃比は「触媒下流側空燃比oxs」とも称呼される。
上述したように取得される触媒上流側空燃比abyfsおよび触媒下流側空燃比oxsに基づき、機関10に供給される混合気の空燃比A/Fの制御が行われる。
再び図1を参照すると、アクセル開度センサ78は、アクセルペダル61に設けられている。アクセル開度センサ78は、アクセルペダル61の開度に応じた信号を出力するように構成されている。この信号に基づき、アクセルペダル開度Accpが取得される。
さらに、機関10は、電子制御装置80を備えている。
電子制御装置80は、CPU81、CPU81が実行するプログラム、テーブル(マップ)および定数などをあらかじめ記憶したROM82、CPU81が必要に応じて一時的にデータを格納するRAM83、電源が投入された状態でデータを格納すると共に格納したデータを電源が遮断されている間も保持するバックアップRAM84、ならびに、ADコンバータを含むインターフェース85を有する。CPU81、ROM82、RAM83、RAM84およびインターフェース85は、互いにバスで接続されている。
インターフェース85は、上記各センサと接続され、CPU81にそれらセンサから出力される信号を伝えるように構成されている。さらに、インターフェース85は、可変吸気タイミング装置33のアクチュエータ33a、インジェクタ34、イグナイタ39およびスロットル弁アクチュエータ44aなどと接続され、CPU81の指示に応じてそれらに指示信号を送るように構成されている。
以上が、第1装置が機関10に適用されたシステムの概要である。
<装置の作動の概要>
以下、第1装置の作動の概要が、図5を参照しながら説明される。図5は、第1装置の作動の概要を示す概略フローチャートである。
第1装置は、空燃比制御が行われているとき、ステップ310にて、混合気の空燃比を目標空燃比(本例においては、理論空燃比)に一致させるための燃料変更量DFaf1を決定する。空燃比制御が行われているときに排ガス温度制御が開始される場合、第1装置は、ステップ320にて「Yes」と判定する。そして、第1装置は、ステップ330にて、排ガス温度制御が行われるときの燃料変更量(空燃比制御による燃料変更量DFaf4および排ガス温度制御による燃料変更量DFex4)を定める。
具体的に述べると、第1装置は、排ガス温度制御による燃料変更量DFex4および空燃比制御による燃料変更量DFaf4を、「それらの合計(DFex4+DFaf4)が、排ガス温度制御が開始されるよりも前の時点または同制御が開始される時点(すなわち、同制御が開始される以前の時点)における燃料変更量(上記DFaf1)以上である」ように定める。
次いで、第1装置は、ステップ340およびステップ350を経由した後のステップ360にて、上述したように定めた燃料変更量DFex4,DFaf4を基本燃料噴射量Fbaseに加算することにより、最終燃料噴射量Fiを決定する。そして、第1装置は、ステップ370にて、その最終燃料噴射量Fiだけの燃料をインジェクタ34から噴射させる。
なお、排ガス温度制御が行われない場合、第1装置は、ステップ320にて「No」と判定する。この場合、ステップ380に示すように、排ガス温度制御による燃料変更量はゼロである。そして、ステップ380およびステップ350を経由した後のステップ360にて、第1装置は、空燃比制御による燃料変更量DFaf1のみを基本燃料噴射量Fbaseに加算することにより、最終燃料噴射量Fiを決定する。
以上が、第1装置の作動の概要である。
以下、便宜上、空燃比制御による燃料変更量は「空燃比関連変更量DFaf」とも称呼され、排ガス温度制御による燃料変更量は「排ガス温度関連変更量DFex」とも称呼される。さらに、上述した考え方に従って空燃比関連変更量DFafおよび排ガス温度関連変更量DFexを定めることは、「第1の制御方法」とも称呼される。
<空燃比制御>
次いで、空燃比制御の考え方が説明される。
第1装置における空燃比制御は、上流側空燃比センサ76の出力値Vabyfsに基づいて得られる上流側空燃比(触媒導入ガスの空燃比)abyfsを上流側目標空燃比abyfrに一致させるための「メインフィードバック制御」と、下流側空燃比センサ77の出力値Voxsを下流側目標出力値Voxsrefに一致させるための「サブフィードバック制御」と、から構成される。
具体的に述べると、まず、上流側空燃比センサ76の出力値Vabyfsが、「下流側空燃比センサ77の出力値Voxsと下流側目標出力値Voxsrefとの差である出力偏差量DVoxsを小さくするように算出されたサブフィードバック量Vafsfb」によって補正される。次いで、この補正によって得られた「フィードバック制御用出力値Vabyfc」がテーブルMapabyfs(図3を参照。)に適用されることにより、「フィードバック制御用空燃比(補正検出空燃比)abyfsc」が算出される。そして、このフィードバック制御用空燃比abyfscと「上流側目標空燃比abyfr」とが一致するように、最終燃料噴射量Fiが制御される。以下、この空燃比制御がより詳細に説明される。
なお、後述するように、メインフィードバック制御に関連して算出される「メインフィードバック量」が、第1装置における「空燃比関連変更量DFaf」に相当する。
1.メインフィードバック制御
まず、メインフィードバック制御が説明される。
第1装置は、下記(1)式に従い、現時点(時刻k)におけるフィードバック制御用出力値Vabyfc(k)を算出する。下記(1)式において、Vabyfsは上流側空燃比センサ76の出力値を、Vafsfbは下流側空燃比センサ77の出力値Voxsに基づいて算出されるサブフィードバック量を、表す。サブフィードバック量Vafsfbの算出方法は後述される。
Vabyfc(k)=Vabyfs(k)+Vafsfb(k) ・・・(1)
次いで、第1装置は、下記(2)式に従い、上記フィードバック制御用出力値Vabyfc(k)をテーブルMapabyfs(図3を参照。)に適用することにより、現時点におけるフィードバック制御用空燃比abyfsc(k)を決定する。
abyfsc(k)=Mapabyfs(Vabyfc(k)) ・・・(2)
次いで、第1装置は、下記(3)式に従い、現時点にて気筒内に吸入される空気の量である筒内吸入空気量Mc(k)を現時点における上流側目標空燃比abyfr(k)によって除算することにより、現時点における基本燃料噴射量Fbase(k)を算出する。例えば、上流側目標空燃比abyfr(k)として、理論空燃比stoichが採用される。
Fbase(k)=Mc(k)/abyfr(k) ・・・(3)
上記筒内吸入空気量Mcは、各気筒において吸気行程が行われる毎に、その時点の吸入空気量Gaと機関回転速度NEとに基づいて算出される。例えば、筒内吸入空気量Mcは、吸入空気量Gaに対して一次遅れ処理を施した値を機関回転速度NEによって除算することにより、算出される。この筒内吸入空気量Mcは、吸気行程が行われる各時点(時刻k−N、・・・、時刻k−1、時刻k、時刻k+1、・・・)と関連付けられたデータとして、RAM83内に格納される。なお、筒内吸入空気量Mcは、公知の吸入空気量モデル(吸気通路における空気の挙動に基づいて構築されたモデル)によって算出されてもよい。
次いで、第1装置は、下記(4)式に従い、上記基本燃料噴射量Fbase(k)を後述するメインフィードバック量DFaf(k)によって補正する(基本燃料噴射量Fbaseにメインフィードバック量DFaf(k)を加える)ことにより、最終燃料噴射量Fi(k)を算出する。そして、第1装置は、最終燃料噴射量Fi(k)だけの燃料を吸気行程が行われる気筒のインジェクタ34から噴射させる。
Fi(k)=Fbase(k)+DFaf(k) ・・・(4)
このように、メインフィードバック量DFafは、触媒導入ガスの空燃比(換言すると、混合気の空燃比)を目標空燃比に一致させるように定められる量である。すなわち、メインフィードバック量は、上述した「空燃比関連変更量DFaf」に相当する。
上記(4)式におけるメインフィードバック量DFaf(k)は、以下のように算出される。まず、第1装置は、下記(5)式に従い、現時点よりもNサイクル前の時点(時刻k−N)における筒内吸入空気量Mc(k−N)を上記フィードバック制御用空燃比(補正検出空燃比)abyfsc(k)によって除算することにより、現時点よりもNサイクル前の時点において燃焼室25に供給された燃料の量である「筒内燃料供給量Fc(k−N)」を算出する。
Fc(k−N)=Mc(k−N)/abyfsc(k) ・・・(5)
なお、上記(5)式においては、現時点からNサイクル前の筒内吸入空気量Mc(k−N)を現時点におけるフィードバック制御用空燃比abyfsc(k)で除算することにより、現時点からNサイクル前の筒内燃料供給量Fc(k−N)を算出している。これは、燃焼室25内で燃焼された混合気が上流側空燃比センサ76に到達するまでにNサイクルに相当する時間を要するからである。
次いで、第1装置は、下記(6)式に従い、現時点からNサイクル前の筒内吸入空気量Mc(k−N)を現時点からNサイクル前の上流側目標空燃比abyfr(k−N)で除算することにより、現時点からNサイクル前の「目標筒内燃料供給量Fcr(k−N)」を算出する。
Fcr(k−N)=Mc(k−N)/abyfr(k−N) ・・・(6)
次いで、第1装置は、下記(7)式に従い、目標筒内燃料供給量Fcr(k−N)から筒内燃料供給量Fc(k−N)を減算することにより、「筒内燃料供給量偏差DFc(k)」を算出する。
DFc(k)=Fcr(k−N)−Fc(k−N) ・・・(7)
次いで、第1装置は、下記(8)式に従い、メインフィードバック量DFaf(k)を算出する。下記(8)式において、Gpはあらかじめ設定された比例ゲインを、Giはあらかじめ設定された積分ゲインを、Kは所定の係数を、SDFcは筒内燃料供給量偏差DFcの積分値を、表す。
DFaf(k)=(Gp・DFc(k)+Gi・SDFc(k))・K ・・・(8)
上記(7)式および上記(8)式に示すように、第1装置は、フィードバック制御用空燃比abyfscと上流側目標空燃比abyfrとに基づく比例積分制御によってメインフィードバック量DFaf(k)を算出する。そして、上記(4)式に示すように、このように算出されるメインフィードバック量DFaf(k)が基本燃料噴射量Fbaseに加算されことにより、最終燃料噴射量Fi(k)が算出される。
以上が、第1装置が行うメインフィードバック制御である。
2.サブフィードバック制御
次いで、サブフィードバック制御が説明される。
第1装置は、下記(9)式に従い、現時点における下流側目標出力値Voxsref(k)から現時点における下流側空燃比センサ77の出力値Voxs(k)を減算することにより、現時点における出力偏差量DVoxs(k)を算出する。例えば、下流側目標出力値Voxsrefとして、理論空燃比stoichが採用される。
DVoxs(k)=Voxsref(k)−Voxs(k) ・・・(9)
次いで、第1装置は、下記(10)式に従い、現時点におけるサブフィードバック量Vafsfb(k)を算出する。下記(10)式において、Kpはあらかじめ設定された比例ゲイン(比例定数)を、Kiはあらかじめ設定された積分ゲイン(積分定数)を、SDVoxsは出力偏差量DVoxsの積分値を、表す。
Vafsfb(k)=Kp・DVoxs(k)+Ki・SDVoxs(k) ・・・(10)
上記(9)式および上記(10)式に示すように、第1装置は、下流側空燃比センサ77の出力値Voxsと下流側目標出力値Voxsrefとに基づく比例積分制御によってサブフィードバック量Vafsfbを算出する。上記(1)式に示すように、このように算出されるサブフィードバック量Vafsfb(k)が上流側空燃比センサ76の出力値Vabyfs(k)に加算されることにより、フィードバック制御用出力値Vabyfc(k)が算出される。
以上が、第1装置が行うサブフィードバック制御である。
3.空燃比制御の総括
このように、第1装置は、上流側空燃比センサ76の出力値Vabyfsにサブフィードバック量Vafsfbを加算することによって出力値Vabyfsを補正し、この補正によって得られたフィードバック制御用出力値Vabyfc(=Vabyfs+Vafsfb)に基づいてフィードバック制御用空燃比abyfscを算出する。そして、第1装置は、算出されたフィードバック制御用空燃比abyfscと、上流側目標空燃比abyfrと、が一致するように、燃料噴射量Fiを算出する。これにより、機関10に供給される混合気の空燃比が所定の目標空燃比(例えば、理論空燃比stoich)に一致される。
以上が、第1装置が行う空燃比制御である。
<排ガス温度制御>
次いで、排ガス温度制御の考え方が説明される。
第1装置における排ガス温度制御は、現時点の機関10の運転状態に基づいて算出される「将来の時点において触媒53の温度が到達すると推定される温度(収束温度)Tf」と、その収束温度Tfに基づいて算出される「現在の時点における触媒53の推定温度(現在温度)Tp」と、に関連する。
具体的に述べると、第1装置は、「機関回転速度NEと、負荷率KLと、触媒53の収束温度Tfと、の関係」をあらかじめ定めた収束温度テーブルMapTf(NE(k),KL(k))」に現時点における機関回転速度NE(k)および負荷率KL(k)を適用することにより、現時点(時刻k)における収束温度Tf(k)を算出する。
収束温度テーブルMapTf(NE(k),KL(k))は、あらかじめ行われた実験の結果などに基づいて定められ得る。なお、負荷率KLは、周知のように、機関10の負荷状態を表す値であって、燃焼室25に導入され得るガスの最大量(例えば、機関10の総排気量を燃焼室の数で除算した量)に対する燃焼室25に実際に導入されるガスの量(実際量)の割合を表す値である。例えば、負荷率を百分率にて表すと、実際量が最大量に一致する場合における負荷率は100%であり、実際量がゼロである場合における負荷率はゼロ%である。
さらに、第1装置は、下記(11)式に従い、現在温度Tp(k)を算出する。下記(11)式において、Tp(k)は現時点における現在温度、Tp(k−1)は現時点よりも1サイクル前の時点(時刻k−1)における現在温度、Pは所定の係数、を表す。
Tp(k)=Tp(k−1)+{Tf−Tp(k−1)}/P ・・・(11)
上記(11)式から理解されるように、現在温度Tpは、時間が経過するにつれて収束温度Tfに徐々に近づくように定められる。さらに、同様に理解されるように、現在温度Tpは、係数Pが小さいほど、より短い時間にて収束温度Tfに近づく。
第1装置は、上述したように算出される収束温度Tf(k)および現在温度Tp(k)の「双方」が所定の閾値温度Tcatth以上である場合、排ガス温度制御を行う。
具体的に述べると、第1装置は、「機関回転速度NEと、吸入空気量Gaと、排ガス温度関連変更量DFexと、の関係」をあらかじめ定めた排ガス温度関連変更量テーブルMapDFex(NE,Ga)に現時点における機関回転速度NE(k)および吸入空気量Ga(k)を適用することにより、現時点における排ガス温度関連変更量DFex(k)を算出する。この排ガス温度関連変更量DFexは、排ガスの温度を適切に低下し得る適値として定められる。
そして、第1装置は、下記(12)式に従い、上記(3)式に示す基本燃料噴射量Fbase(k)を排ガス温度関連変更量DFex(k)によって補正する(基本燃料噴射量Fbase(k)に排ガス温度関連変更量DFex(k)を加える)ことにより、最終燃料噴射量Fi(k)を算出する。
Fi(k)=Fbase(k)+DFex(k) ・・・(12)
このように、第1装置は、触媒53の収束温度Tfおよび現在温度Tpが所定の条件を満たす場合、基本燃料噴射量Fbaseを排ガス温度関連変更量DFexだけ増大するように補正する。これにより、燃料冷却効果により、排ガスの温度が機関10の運転状態に応じて適切に低下される。
以上が、第1装置が行う排ガス温度制御である。
以上にて説明された空燃比制御および排ガス温度制御(特に、(4)式および(12)式)から理解されるように、排ガス温度制御および空燃比制御の「双方」が同時に行われる場合、第1装置は、下記(13)式に従い、基本燃料噴射量Fbase(k)を空燃比関連変更量DFaf(k)および排ガス温度関連変更量DFexによって補正する(基本燃料噴射量Fbaseに空燃比関連変更量DFafおよび排ガス温度関連変更量DFexを加える)ことにより、最終燃料噴射量Fi(k)を算出する。
Fi(k)=Fbase(k)+DFaf(k)+DFex(k) ・・・(13)
<第1の制御方法による制御の例>
第1装置は、上述した空燃比制御および排ガス温度制御を、上記「第1の制御方法」に従って行う。以下、空燃比制御および排ガス温度制御(の双方または一方)が行われる態様の一例が、図6および図7を参照しながら説明される。図6は第1装置が第1の制御方法に従った制御を「行わない」場合の例(参考例)を示すタイムチャートであり、図7は第1装置が第1の制御方法に従った制御を「行う」場合の例を示すタイムチャートである。図6および図7においては、理解が容易になるように、実際の各値の波形が模式化された波形が示されている。なお、図6および図7は、空燃比制御が行われているときの空燃比関連変更量DFafが正の値であることを前提としたタイムチャートである。
1.第1の制御方法に従った制御が行われない場合(参考例)
図6に示すタイムチャートの時刻taにおいて、空燃比制御および排ガス温度制御のうちの「空燃比制御のみ」が行われている。
時刻taにおいて、吸入空気量Gaは値Ga1である。一方、触媒53の温度Tcatについて、吸入空気量Gaに関連するパラメータである機関回転速度NEおよび負荷率KLが上記収束温度テーブルMapTf(NE,KL)に適用されることにより、時刻taにおける触媒53の収束温度Tf(図中の実線)が算出される。時刻taにおいて、収束温度Tfは値Tf1である。この値Tf1は、閾値温度Tcatthよりも低い。さらに、この収束温度Tfが上記(11)式に適用されることにより、触媒53の現在温度Tp(図中の破線)が算出される。時刻taにおいて、現在温度Tpは、閾値温度Tcatthよりも低い。
時刻taにおいて、上述した空燃比制御に従って定められる空燃比関連変更量DFafは、値aである。一方、時刻taにおいて排ガス温度制御は行われていないので、排ガス温度関連変更量DFexはゼロである。よって、時刻taにおいて、空燃比関連変更量DFafと排ガス温度関連変更量DFexとの合計DFaf+DFexは、値aである。
時刻taにおいて、混合気の目標空燃比A/Ftgt(上流側目標空燃比abyfrと同義)は、理論空燃比stoichに設定されている。本例において、時刻taにおける実空燃比A/Fは、目標空燃比である理論空燃比stoichに一致している。なお、上述した空燃比関連変更量DFafの値aは、実際の空燃比(実空燃比)A/Fがこの目標空燃比(理論空燃比stoich)に一致するように定められている。
上述したように、触媒53は、排ガスの空燃比(混合気の空燃比と同義)が理論空燃比である場合、排ガスを効率良く浄化することができる。なかでも、排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)に着目すると、時刻taにおける混合気の空燃比は理論空燃比stoichであるので、機関10から排出されるガスに含まれる窒素酸化物(NOx)の量は、ゼロの近傍の値である。以下、機関10から排出されるガスに含まれる窒素酸化物の量は、「NOx排出量」とも称呼される。
その後、時刻tbにおいて、吸入空気量Gaが値Ga1から値Ga2に増大する。このとき、吸入空気量Gaに関連する収束温度Tfも、値Tf1から値Tf2に増大する。値Tf2は、閾値温度Tcatthよりも高い。一方、現在温度Tpは、上記(11)式に従って収束温度Tf2に徐々に近づくように上昇するので(すなわち、急激に変化しないので)、時刻tbにおいては値Tf1の近傍の値である。
時刻tbにおいては、上記同様、空燃比関連変更量DFafは値aであり、排ガス温度関連変更量DFexはゼロである。なお、実際には、時刻tbにおいて吸入空気量Gaが変更されているので、混合気の空燃比を理論空燃比stoichに保つために空燃比関連変更量DFafが増大する可能性がある。しかし、本例においては、理解が容易になるように、時刻tbの前後において空燃比関連変更量DFafの大きさは実質的に変化しないと仮定される。
その後、現在温度Tpは、時間が経過するにつれて増大し、時刻tcにおいて閾値温度Tcatth以上となる。すなわち、時刻tcにおいて、収束温度Tfおよび現在温度Tpの「双方」が閾値温度Tcatth以上となる。このとき、本例においては、空燃比制御が「中止」されるとともに、排ガス温度制御が「開始」される。
その結果、時刻tcにおいて、空燃比関連変更量DFafは値aからゼロに減少し、排ガス温度関連変更量DFexはゼロから値bに増大する。よって、時刻tcにおいて、合計DFaf+DFexは、値aから値bへと変化する。
本例において、値bは値aよりも小さいと仮定する。本仮定に従えば、時刻tcにおける合計DFaf+DFex(値b)は、時刻tc以前の時点(例えば、時刻ta、時刻tbまたは時刻tc)における合計DFaf+DFex(値a)よりも小さいことになる。そのため、時刻tcにおいて、実空燃比A/Fは、理論空燃比stoichよりも大きい値(リーン側の値)に変化する。なお、時刻tcにおいて、空燃比制御は中止されているので、目標空燃比A/Ftgtは設定されない(図中の破線を参照。)。
その結果、時刻tcにおいて、排ガスの空燃比も、理論空燃比stoichよりもリーン側の空燃比になる。そのため、燃料冷却効果が適切に得られず、排ガスの温度が適切に低下されない。さらに、上述したように、排ガスの空燃比が理論空燃比stoichからリーン側に向けて離れた場合、窒素酸化物(NOx)の浄化効率が著しく低下する。そのため、時刻tcにおいて、NOx排出量が増大する。その後、吸入空気量Gaが値Ga2である期間中(例えば、時刻tdにおいて)、NOx排出量が増大される状態が継続する。
その後、時刻teにおいて、吸入空気量Gaが値Ga2から値Ga1に低下する。このとき、収束温度Tfが値Tf2から値Tf1に低下し、現在温度Tpが収束温度Tf1に徐々に近づくように低下する。
そして、現在温度Tpは、時刻tfにおいて閾値温度Tcatthよりも小さくなる。すなわち、時刻tfにおいて、収束温度Tfおよび現在温度Tpの双方が閾値温度Tcatthよりも小さくなる。このとき、排ガス温度制御が「終了」されるとともに、空燃比制御(目標空燃比A/Ftgtは理論空燃比stoich)が「再開」される。
その結果、時刻tfにおいて、空燃比関連変更量DFafはゼロから値aに増大し、排ガス温度関連変更量DFexは値bからゼロに減少する。よって、時刻tfにおいて、合計DFaf+DFexは、値bから値aへと変化する。これにより、実空燃比A/Fが理論空燃比stoichに一致され、NOx排出量がゼロ近傍の値にまで減少する。
このように、第1の制御方法に従った制御が行われない場合、排ガス温度制御が行われる期間中、排ガスの温度が適切に低下されない場合がある。さらに、その期間中、NOx排出量が増大する場合がある。
2.第1の制御方法に従った制御が行われる場合
図7に示すタイムチャートにおける時刻taにおいて、上記同様、空燃比制御および排ガス温度制御のうちの「空燃比制御のみ」が行われている。
時刻taにおいて、上記同様、吸入空気量Gaは値Ga1であり、収束温度Tfおよび現在温度Tpはいずれも閾値温度Tcatthよりも低い。さらに、時刻taにおいて、目標空燃比A/Ftgtは理論空燃比stoichに設定されており、空燃比関連変更量DFafは値aである。また、排ガス温度関連変更量DFexはゼロである。よって、合計DFaf+DFexは、値aである。時刻taにおいて、実空燃比A/Fが目標空燃比(理論空燃比stoich)に一致している。その結果、NOx排出量は、ゼロの近傍の値である。
その後、時刻tbにおいて吸入空気量Gaが値Ga1から値Ga2に増大し、時刻tcにおいて収束温度Tfおよび現在温度Tpの双方が閾値温度Tcatth以上となる。
このとき、上述したように、時刻tcにおける合計DFaf+DFex(値b)は、時刻tc以前の時点(例えば、時刻ta、時刻tbまたは時刻tc)における合計DFaf+DFex(値a)よりも小さい。そこで、本例においては、上述した第1の制御方法に従った制御が「行われない」場合とは異なり、空燃比制御が「継続」されるとともに排ガス温度制御が開始される。
その結果、時刻tcにおいて、例えば空燃比関連変更量DFafは値aから値cへと変化し、排ガス温度関連変更量DFexはゼロから値bへと変化する。よって、時刻tcにおいて、合計DFaf+DFexは、値aから値b+cへと変化する。
ここで、空燃比関連変更量DFaf(値c)の大きさは、目標空燃比A/Ftgtに関連して定まる基本燃料噴射量Fbase(上記メインフィードバック量の説明を参照。)などに応じて異なる。そのため、時刻tbの前後において基本燃料噴射量Fbaseが著しく変化しないと仮定すれば(例えば、機関10の運転状態が実質的に変化しない定常状態である場合)、値cの大きさは、値aと実質的に同一であると考えられ得る。本仮定に従えば、時刻tcにおける合計DFaf+DFex(値b+c)は、値aよりも大きいことになる。そのため、時刻tcにおいて、実空燃比A/Fは、理論空燃比stoichよりも小さい値(リッチ側の値)になる。
その結果、時刻tcにおいて、排ガスの空燃比も、理論空燃比stoichよりもリッチ側の空燃比になる。そのため、燃料冷却効果が適切に得られ、排ガスの温度が適切に低下される。さらに、上述したように、排ガスの空燃比が理論空燃比stoichからリッチ側に向けて離れても、NOxの浄化率は許容できない程度にまでは低下しない。そのため、時刻tcにおいて、NOx排出量は実質的にゼロの近傍の値に維持される。
なお、時刻tcにおける目標空燃比A/Ftgtは、時刻tc以前の時点における目標空燃比(理論空燃比stoich)よりも小さい空燃比(リッチ側の空燃比)に適宜設定される。
その後、上記同様、時刻teにおいて吸入空気量Gaが値Ga2から値Ga1に減少し、時刻tfにおいて収束温度Tfおよび現在温度Tpの双方が閾値温度Tcatthよりも低くなる。このとき、排ガス温度制御が終了されるとともに、空燃比制御(目標空燃比A/Ftgtは理論空燃比stoich)が継続される。
このように、本発明の第1の制御方法に従った制御が行われる場合、排ガス温度制御が行われる期間中であっても、排ガスの温度が適切に低下され得る。さらに、同期間中であっても、NOx排出量が増大することが防がれ得る。
以上が、第1の制御方法による制御の例である。
<実際の作動>
以下、第1装置の実際の作動が説明される。
第1装置において、CPU81は、燃料噴射の制御についての図8、排ガス温度関連変更量の算出についての図9、メインフィードバック量の算出についての図10、および、サブフィードバック量の算出についての図11、に示した各ルーチンを所定のタイミング毎に繰り返し実行する。以下、CPU81が実行する各ルーチンが説明される。
まず、CPU81は、任意の気筒のクランク角度が吸気行程前の所定クランク角度(例えば、排気上死点前90度クランク角)θfに一致するタイミング毎に、図8にフローチャートによって示した「第1燃料噴射制御ルーチン」を繰り返し実行する。CPU81は、このルーチンにより、空燃比関連変更量DFafおよび排ガス温度関連変更量DFexを考慮して最終燃料噴射量Fiを決定するとともに、その最終燃料噴射量Fiだけの燃料をインジェクタ34から噴射させる。以下、便宜上、クランク角が上記所定クランク角θfに一致する吸気行程前の気筒は「燃料噴射気筒」とも称呼される。
具体的に述べると、CPU81は、上記タイミングにて図8のステップ800から処理を開始してステップ810に進み、「吸入空気量Gaと、機関回転速度NEと、上流側目標空燃比abyfrと、の関係」をあらかじめ定めた目標空燃比テーブルMapabyfr(Ga,NE)に現時点(時刻k)における吸入空気量Ga(k)および機関回転速度NE(k)を適用することにより、現時点における目標空燃比abyfr(k)を決定する。
上流側目標空燃比abyfrは、触媒53が効率良く排ガスを浄化することができる空燃比(理論空燃比stoichの近傍の空燃比)に設定されている。例えば、目標空燃比abyfrとして、理論空燃比stoich、および、理論空燃比stoichよりもわずかにリッチ側の空燃比などが採用される。なお、上述したように、触媒導入ガスの空燃比が理論空燃比stoichであることと、混合気の空燃比が理論空燃比stoichであることと、は実質的に同義である。
次いで、CPU81は、ステップ820に進む。CPU81は、ステップ820にて、排ガス温度関連変更量DFex(k)がゼロであるか否か(すなわち、排ガス温度制御が行われているか否か)を判定する。なお、排ガス温度関連変更量DFexの設定については、後述される(図9のルーチンを参照。)。
現時点における排ガス温度関連変更量DFex(k)がゼロである場合(すなわち、排ガス温度制御が行われていない場合)、CPU81は、ステップ820にて「Yes」と判定し、ステップ830に進む。
次いで、CPU81は、ステップ830〜ステップ850の処理を、この順に実行する。ステップ830〜ステップ850にて実行される処理は、以下の通りである。
ステップ830:CPU81は、吸入空気量Ga(k)と機関回転速度NE(k)とに基づき、燃料噴射気筒に吸入される空気の量である筒内吸入空気量Mc(k)を取得する。
ステップ840:CPU81は、上記(3)式に従い、基本燃料噴射量Fbase(k)を算出する。
ステップ850:CPU81は、上記(4)式、(12)式および(13)式に従い、基本燃料噴射量Fbase(k)を空燃比関連変更量DFaf(k)および排ガス温度関連変更量DFex(k)によって補正することにより、最終燃料噴射量Fi(k)を算出する。
ステップ850の処理を実行した後、CPU81は、ステップ860に進み、「燃料噴射量をゼロとするフューエルカット制御を行うための条件(フューエルカット制御条件)」が成立するか否かを判定する。より具体的に述べると、CPU81は、ステップ860にて、下記条件a−1およびa−2の双方が成立したとき、フューエルカット制御条件が成立すると判定する。換言すると、CPU81は、下記条件a−1およびa−2のうちの少なくとも一方が成立しないとき、フューエルカット制御条件が成立しないと判定する。
(a−1)アクセルペダル開度Accpがゼロである、または、スロットル弁開度TAがゼロである。
(a−2)機関回転速度NEが所定の閾値以上である。
条件a−1は、機関10に要求されているトルクの大きさが十分に小さいか否かを判断するために設けられている条件である。条件a−2における所定の閾値は、燃料噴射量がゼロであっても機関10の運転が継続されると判断し得る適値に設定される。
現時点においてフューエルカット制御条件が「成立しない」場合、CPU81は、ステップ860にて「No」と判定してステップ870に進む。CPU81は、ステップ870にて、最終燃料噴射量Fi(k)の燃料を噴射するよう燃料噴射気筒に設けられているインジェクタ34に指示を与える。その後、CPU81は、ステップ895に進んで本ルーチンを一旦終了する。これにより、上述した各処理によって算出された最終燃料噴射量Fi(k)の燃料が燃料噴射気筒に噴射される。
これに対し、現時点においてフューエルカット制御条件が「成立する」場合、CPU81は、ステップ860にて「Yes」と判定してステップ880に進む。CPU81は、ステップ880にて、最終燃料噴射量Fi(k)の値にゼロを格納する。その結果、ステップ880に続くステップ870にて最終燃料噴射量Fi(k)の燃料を噴射する指示がなされても、燃料は噴射されない。これにより、燃料噴射量がゼロであるフューエルカット運転が実行される。
次いで、CPU81は、燃料噴射気筒のクランク角度が上記クランク角度θfに一致するタイミング毎に、図9にフローチャートによって示した「第1排ガス温度関連変更量算出ルーチン」を繰り返し実行する。CPU81は、このルーチンにより、触媒53の収束温度Tfおよび現在温度Tpを算出するとともに、排ガス温度関連変更量DFexを算出する。
具体的に述べると、CPU81は、上記タイミングにて図9のステップ900から処理を開始してステップ910に進み、上述した「収束温度テーブルMapTf(NE,KL)」に現時点における機関回転速度NE(k)および負荷率KL(k)を適用することにより、触媒53の収束温度Tf(k)を算出する。
次いで、CPU81は、ステップ920に進む。CPU81は、ステップ920にて、上記(11)式に従い、収束温度Tf(k)に基づいて現在温度Tp(k)を算出する。なお、上記(11)式における係数Pは、触媒53の熱容量などを考慮した適値に設定されている。
次いで、CPU81は、ステップ930に進む。CPU81は、ステップ930にて、現時点にて排ガス温度制御を行うか否かを判定する。具体的に述べると、CPU81は、収束温度Tf(k)および現在温度Tp(k)が下記条件b−1およびb−2の双方を満たすか否かを判定する。下記条件b−1およびb−2において、Tcatthは所定の閾値温度を表す。
(b−1)収束温度Tf(k)が閾値温度Tcatth以上である。
(b−2)現在温度Tp(k)が閾値温度Tcatth以上である。
上記条件b−1およびb−2において、閾値温度Tcatthは、触媒53の耐熱性などを考慮して定められる値であって、収束温度Tfおよび現在温度Tpの双方が閾値温度Tcatth以上である場合に触媒53の排ガス浄化性能が劣化する可能性があると判断することができる適値に設定されている。
現時点において上記条件b−1およびb−2の少なくとも一方が満たされない場合、CPU91は、ステップ930にて「No」と判定してステップ940に進み、排ガス温度関連変更量DFex(k)にゼロを格納する。その後、CPU81は、ステップ995に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、上記条件b−1およびb−2の少なくとも一方が成立しない場合、基本燃料噴射量Fbaseを補正するための排ガス温度関連変更量DFexの値はゼロに設定される。すなわち、この場合、排ガスの温度を低下させるための燃料変更量の補正は行われない(図8のステップ850を参照。)。このように、排ガス温度制御が行われない場合、排ガス温度関連変更量DFexの値はゼロに設定される。
一方、現時点において上記条件b−1およびb−2の双方が満たされる場合、CPU91は、ステップ930にて「Yes」と判定し、ステップ950に進む。CPU81は、ステップ950にて、上述した「排ガス温度関連変更量テーブルMapDFex(NE,Ga)」に現時点における機関回転速度NE(k)および吸入空気量Ga(k)を適用することにより、現時点における排ガス温度関連変更量DFex(k)を算出する。
ところで、CPU81は、ステップ930における判定の結果が「No」から「Yes」に変化した時点(例えば、時刻k)を、参照時点krefとしてRAM83に格納する。なお、この参照時点krefは、将来の時点において新たな参照時点krefがRAM83に格納されるとき(将来の時点において、改めてステップ930における判定の結果が「No」から「Yes」に変化するとき)、その新たな参照時点krefによって上書き(更新)される。換言すると、参照時点krefは、新たな参照時点krefによって上書きされるまで、RAM83に保持される。
その後、CPU81は、ステップ995に進み、本ルーチンを一旦終了する。このように、上記条件b−1およびb−2の双方が成立する場合、排ガス温度関連変更量DFexの値が算出される。そして、この値によって基本燃料噴射量Fbaseが補正される(図8のステップ850を参照。)。
さらに、CPU81は、燃料噴射気筒のクランク角度が吸気行程前の所定クランク角度θg(例えば、上記クランク角度θfから所定の大きさだけ進角された角度)に一致するタイミング毎に、図10にフローチャートによって示した「第1空燃比関連変更量(メインフィードバック量)算出ルーチン」を繰り返し実行する。CPU81は、このルーチンにより、空燃比関連変更量DFafを算出する。
なお、上述したように、空燃比関連変更量DFafは、上記(1)〜(13)式のメインフィードバック量に相当する。そこで、以下、便宜上、空燃比関連変更量は「メインフィードバック量」とも称呼される。
図10のルーチンについて具体的に述べると、CPU81は、上記タイミングにて図10のステップ1000から処理を開始してステップ1005に進み、「触媒上流側空燃比abyfsを上流側目標空燃比abyfrに一致させるフィードバック制御を行い得る条件(メインフィードバック制御条件)」が成立するか否かを判定する。より具体的に述べると、CPU81は、ステップ1005にて、下記条件c−1〜c−5の全てが成立したとき、メインフィードバック制御条件が成立すると判定する。換言すると、CPU81は、下記条件c−1〜c−5のうちの少なくとも1つが成立しないとき、メインフィードバック制御条件が成立しないと判定する。
(条件c−1)触媒の温度Tcatが所定の活性温度以上である。
(条件c−2)冷却水温THWが所定の閾値以上である。
(条件c−3)吸入空気量Gaが所定の閾値以下ある。
(条件c−4)上流側空燃比センサ76が活性化している。
(条件c−5)フューエルカット運転(最終燃料噴射量Fiがゼロである運転)が実行中ではない。
条件c−1における活性温度は、触媒53が活性化していると判断し得る適値に設定される。条件c−2における閾値は、機関10の暖機が完了していると判断し得る適値に設定される。条件c−3における閾値は、機関10の負荷が過剰に大きくないと判断し得る適値に設定される。条件c−4は、メインフィードバック制御において上流側空燃比センサ76の出力値Vabyfsが用いられるために設けられている条件である。条件c−5は、フューエルカット運転中は燃料噴射量Fiを変化させることができないために設けられている条件である。
現時点においてメインフィードバック制御条件が「成立する」場合、CPU81は、ステップ1005にて「Yes」と判定し、ステップ1010に進む。CPU81は、ステップ1010にて、排ガス温度関連変更量DFex(k)がゼロであるか否か(すなわち、排ガス温度制御が行われているか否か)を判定する。
現時点における排ガス温度関連変更量DFex(k)がゼロである場合(すなわち、排ガス温度制御が行われていない場合)、CPU81は、ステップ1010にて「Yes」と判定する。次いで、CPU81は、ステップ1010に続くステップ1015〜ステップ1045の処理を、この順に実行する。ステップ1015〜ステップ1045にて実行される処理は、以下の通りである。
ステップ1015:CPU81は、上記(1)式に従い、フィードバック制御用出力値Vabyfc(k)を算出する。現時点におけるサブフィードバック量Vafsfb(k)は、後述する図11に示すルーチンにおいて算出される。
ステップ1020:CPU81は、上記(2)式に従い、フィードバック制御用空燃比abyfsc(k)を決定する。
ステップ1025:CPU81は、上記(5)式に従い、現時点よりもNサイクル前の時点における筒内燃料供給量Fc(k−N)を算出する。
ステップ1030:CPU81は、上記(6)式に従い、現時点よりもNサイクル前の時点における目標筒内燃料供給量Fcr(k−N)を算出する。
ステップ1035:CPU81は、上記(7)式に従い、筒内燃料供給量偏差DFc(k)を算出する。
ステップ1040:CPU81は、上記(8)式に従い、メインフィードバック量DFaf(k)を算出する。第1装置において、係数Kとして「1」が採用される。筒内燃料供給量偏差DFcの積分値SDFc(k)は、現時点までの筒内燃料供給量偏差DFcの値が積算された値である(下記ステップ1045を参照。)。
ステップ1045:CPU81は、筒内燃料供給量偏差DFcの現時点までの積分値SDFc(k−1)に筒内燃料供給量偏差DFc(k)を加算することにより、新たな筒内燃料供給量偏差の積分値SDFc(k)を算出(更新)する。
ステップ1045の処理を実行した後、CPU81は、ステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
上述した各処理により、メインフィードバック量DFaf(k)が比例積分制御により算出される。そして、このメインフィードバック量DFaf(k)を用いて最終燃料噴射量Fi(k)が補正される(図8のステップ850を参照。)。なお、現時点において排ガス温度制御は行われていない(ステップ1010にて「Yes」と判定されている)ので、最終燃料噴射量Fi(k)はメインフィードバック量DFaf(k)のみによって補正される。
一方、現時点における排ガス温度関連変更量DFex(k)がゼロはない場合(すなわち、排ガス温度制御が行われている場合)、CPU81は、ステップ1010にて「No」と判定し、ステップ1050に進む。
CPU81は、ステップ1050にて、現時点における排ガス温度関連変更量DFex(k)が参照時点krefにおけるメインフィードバック量DFaf(kref)よりも小さいか否かを判定する。
現時点における排ガス温度関連変更量DFex(k)が参照時点krefにおけるメインフィードバック量DFaf(kref)以上である場合、CPU81は、ステップ1050にて「No」と判定し、ステップ1055に進む。CPU81は、ステップ1055にて、メインフィードバック量DFaf(k)にゼロを格納し、ステップ1060に進む。CPU81は、ステップ1060にて、筒内燃料供給量偏差DFcの積分値SDFc(k)にゼロを格納する。その後、CPU81は、ステップ1095に進み、本ルーチンを一旦終了する。
このように、排ガス温度制御が行われており(DFex(k)がゼロではなく)、かつ、排ガス温度関連変更量DFex(k)が空燃比関連変更量DFaf(kref)以上である場合、空燃比関連変更量DFafはゼロに設定される。そのため、上述した「メインフィードバック量DFaf(k)による基本燃料噴射量Fbaseの補正」は行われない(図8のステップ850を参照。)。すなわち、空燃比制御は行われない。
これに対し、現時点における排ガス温度関連変更量DFex(k)が参照時点krefにおけるメインフィードバック量DFaf(kref)よりも小さい場合、CPU81は、ステップ1050にて「Yes」と判定し、上記同様、ステップ1015〜ステップ1045の処理をこの順に実行し、ステップ1095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、排ガス温度制御が行われていても、排ガス温度関連変更量DFex(k)が空燃比関連変更量DFaf(kref)よりも小さい場合、空燃比制御が行われる。すなわち、空燃比制御および排ガス温度制御の双方が行われる(図8のステップ850を参照。)。
なお、空燃比制御および排ガス温度制御の双方が行われる場合、図8のステップ820において、CPU81は、「No」と判定してステップ890に進む。CPU81は、ステップ890にて、上流側目標空燃比abyfr(k)に「参照時点krefにおける上流側目標空燃比よりも小さい空燃比abyfrsmall」を格納する。このように、この場合、上流側目標空燃比abyfr(k)が空燃比abyfrsmallに変更される。空燃比abyfrsmallは、排ガス温度関連変更量DFexなどを考慮した適値に設定されている。
ところで、現時点においてメインフィードバック制御条件が「成立しない」場合、CPU81は、図10のステップ1005にて「No」と判定する。そして、CPU81は、ステップ1055およびステップ1060を経由してステップ1095に進み、本ルーチンを一旦終了する。これにより、メインフィードバック量DFaf(k)はゼロに設定される。そのため、この場合、空燃比制御は行われない。
次いで、CPU81は、燃料噴射気筒のクランク角度が吸気行程前の所定クランク角度θh(例えば、上記クランク角度θgから所定の大きさだけ進角された角度)に一致するタイミング毎に、図11にフローチャートによって示した「第1サブフィードバック量算出ルーチン」を繰り返し実行する。CPU81は、このルーチンにより、サブフィードバック量Vafsfbを算出する。
具体的に述べると、CPU81は、上記タイミングにて図11のステップ1100から処理を開始してステップ1110に進み、「下流側空燃比センサ77の出力値Voxsを下流側目標出力値Voxsrefに一致させるサブフィードバック制御を行い得る条件(サブフィードバック制御条件)」が成立するか否かを判定する。より具体的に述べると、CPU81は、ステップ1110にて、下記条件d−1〜d−3の全てが成立したとき、サブフィードバック制御条件が成立すると判定する。換言すると、CPU81は、下記条件d−1〜d−3のうちの少なくとも1つが成立しないとき、サブフィードバック制御条件が成立しないと判定する。
(条件d−1)上記メインフィードバック条件が成立している。
(条件d−2)上流側目標空燃比abyfrが理論空燃比stoichに設定されている。
(条件d−3)下流側空燃比センサ77が活性化している。
条件d−1は、サブフィードバック制御がメインフィードバック制御と並行して実行される制御であるために設けられている条件である。条件d−2は、下流側空燃比センサ77の出力値の特性(図4を参照。)を考慮して設けられている条件である。条件d−3は、サブフィードバック制御にて下流側空燃比センサ77の出力値Voxsが用いられるために設けられている条件である。
現時点にてサブフィードバック制御条件が成立する場合、CPU81は、ステップ1110にて「Yes」と判定し、ステップ1110に続くステップ1120〜ステップ1140の処理をこの順に実行する。ステップ1120〜ステップ1140にて実行される処理は、以下の通りである。
ステップ1120:CPU81は、上記(9)式に従い、出力偏差量DVoxs(k)を算出する。第1装置においては、触媒53の排ガス浄化性能を考慮し、下流側目標出力値Voxsrefとして、理論空燃比よりもわずかにリッチ側の空燃比に対応する出力値が採用される。
ステップ1130:CPU81は、上記(10)式に従い、サブフィードバック量Vafsfb(k)を算出する。
ステップ1140:CPU81は、出力偏差量の現時点までの積分値SDVoxs(k−1)に出力偏差量DVoxs(k)を加算することにより、新たな出力偏差量の積分値SDVoxs(k)を算出(更新)する。
ステップ1140の処理を実行した後、CPU81は、ステップ1195に進んで本ルーチンを一旦終了する。
上述した各処理により、サブフィードバック量Vafsfb(k)が比例積分制御によって算出される(ステップ1130を参照。)。そして、このサブフィードバック量Vafsfb(k)を用いて上流側空燃比センサ76の出力値Vabyfs(k)が補正される(図10のステップ1015を参照。)。さらに、補正されたフィードバック制御用出力値Vabyfc(k)に基づいてメインフィードバック量DFaf(k)が算出されるとともに(図10のステップ1040を参照。)、このメインフィードバック量DFaf(k)を用いて最終燃料噴射量Fi(k)が補正される(図8のステップ850を参照。)。
これに対し、現時点にてサブフィードバック制御条件が成立しない場合、CPU81は、ステップ1110にて「No」と判定してステップ1150に進む。CPU81は、ステップ1150にて、サブフィードバック量Vafsfb(k)にゼロを格納する。次いで、CPU81は、ステップ1160に進む。CPU81は、ステップ1160にて、出力偏差量の積分値SDVoxs(k)にゼロを格納する。その後、CPU81は、ステップ1195に進んで本ルーチンを一旦終了する。
このように、サブフィードバック制御条件が成立しない場合、サブフィードバック量Vafsfbはゼロに設定される。そのため、この場合、サブフィードバック量Vafsfbによる上流側空燃比センサ76の出力値Vabyfsの補正は行われない(図10のステップ1015を参照。)。
以上、説明したように、第1装置は、触媒53の収束温度Tfおよび現在温度Tpの双方が閾値温度Tcatth以上である場合、排ガス温度制御を行う(すなわち、排ガス温度関連変更量DFexを算出するとともに、その変更量DFexによって基本燃料噴射量Fbaseを補正する。)。このとき、第1装置は、排ガス温度関連変更量DFex(k)が参照時点krefにおける空燃比関連変更量DFaf(kref)よりも小さい場合、排ガス温度制御および空燃比制御の双方を行う。これにより、現時点における排ガス温度関連変更量DFex(k)と空燃比関連変更量DFaf(k)との合計が参照時点krefにおける空燃比関連変更量DFaf(kref)以上であるように、排ガス温度関連変更量DFex(k)および空燃比関連変更量DFaf(k)が定められる。
その結果、排ガス温度制御が行われる期間における燃料の量は、排ガス温度制御が行われる以前の燃料の量よりも多いことになる。そのため、燃料冷却効果が適切に得られ、排ガスの温度が適切に低下される。さらに、排ガス温度制御が行われる期間における触媒導入ガスの空燃比が理論空燃比stoichよりもリッチ側の値であるので、NOx排出量は実質的にゼロの近傍の値に維持される。このように、第1装置は、排ガス温度制御および空燃比制御の目的を出来る限り適切に達成することができる。
なお、上記説明から理解されるように、第1装置は、参照時点krefにおける空燃比関連変更量DFaf(kref)が正の値であるか負の値であるかによらず、上記各ルーチンに従って適切な空燃比関連変更量DFafおよび排ガス温度関連変更量DFexを定めることができる。
以上が、本発明の第1の実施形態についての説明である。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る制御装置(以下、「第2装置」とも称呼される。)が説明される。
<装置の概要>
第2装置は、第1装置が適用される機関10と同様の構成を有する機関(図1を参照。以下、便宜上、「機関10」と称呼される。)に適用される。そこで、第2装置が適用される装置の概要についての説明は、省略される。
<装置の作動の概要>
第2装置は、排ガス温度制御および空燃比制御の双方が行われるとき、「上流側目標空燃比abyfrが排ガス温度関連変更量DFexを考慮して定められる」点において、第1装置と相違する。
具体的に述べると、第2装置は、排ガス温度関連変更量DFex(k)が定められたとき、「その排ガス温度関連変更量DFex(k)と基本燃料噴射量Fbase(k)との和が同基本燃料噴射量Fbase(k)によって除算されて得られる値」を算出する。さらに、第2装置は、「その算出された値によって参照時点krefにおける上流側目標空燃比abyfr(kref)が除算されて得られる値」を、上流側目標空燃比abyfr(k)として採用する。
第2装置は、そのように定められた上流側目標空燃比abyfr(k)に従って空燃比制御を行うとともに、第1装置と同様に排ガス温度制御を行う。
以上が、第2装置の作動の概要である。
以下、上述した考え方に従って空燃比関連変更量DFafおよび排ガス温度関連変更量DFexを定めることは、「第2の制御方法」とも称呼される。
<空燃比制御>
第2装置における空燃比制御の考え方は、空燃比制御および排ガス温度制御の双方が行われる場合に下記(14)式および(15)式に従って上流側目標空燃比abyfrを算出する点においてのみ、第1装置における空燃比制御の考え方と相違する。下記(14)式および(15)式において、DFexは排ガス温度関連変更量を、Fbaseは基本燃料噴射量を、abyfr(kref)は参照時点krefにおける目標空燃比を、表す。
DFexcon(k)=(DFex(k)+Fbase(k))/Fbase(k) ・・・(14)
abyfr(k)=abyfr(kref)/DFexcon(k) ・・・(15)
上記(14)式から理解されるように、同式によって算出されるDFexconは、「排ガス温度関連変更量DFexが基本燃料噴射量Fbaseに対する変化割合に換算された値」である。以下、便宜上、この値は「換算値DFexcon」とも称呼される。換算値DFexconは、排ガス温度関連変更量DFexが大きいほど大きい。さらに、上記(15)式から理解されるように、同式によって算出される目標空燃比abyfrは、換算値DFexconが大きいほど小さい(リッチ側の値になる)。
例えば、排ガス温度関連変更量DFexが基本燃料噴射量Fbaseの5%に相当する場合、換算値DFexconは1.05である。このとき、例えば、参照時点krefにおける目標空燃比abyfr(kref)が理論空燃比stoichであれば、上記(15)式によって算出される目標空燃比abyfr(k)はstoich/1.05である。
ここで、参照時点krefおよび時刻kにおける吸入空気量Gaが同一であれば、目標空燃比stoich/1.05に対応する基本燃料噴射量は、1.05×Ga/stoichである。この基本燃料噴射量1.05×Ga/stoichは、元の目標空燃比stoichに対応する基本燃料噴射量(Ga/stoich)に換算値1.05が乗算された値に等しい。このように、排ガス温度関連変更量DFexが基本燃料噴射量Fbaseの5%に相当する場合、基本燃料噴射量Fbaseが5%だけ増大される(1.05倍される)。
すなわち、排ガス温度制御によって燃料の量が増大されると、基本燃料噴射量が排ガス温度関連変更量に応じた量だけ増大される。したがって、排ガス温度制御と並行して空燃比制御が行われる場合、最終燃料噴射量Fiが排ガス温度制御に必要な量(排ガス温度関連変更量DFex)だけ確実に増大される。これにより、燃料冷却効果により、排ガスの温度が適切に低下される。
以上が、第2装置が行う排ガス温度制御である。
<排ガス温度制御>
第2装置における排ガス温度制御の考え方は、第1装置における排ガス温度制御の考え方と同一である。そこで、第2装置における排ガス温度制御についての説明は、省略される。
<第2の制御方法による制御の例>
第2装置は、上述した空燃比制御および排ガス温度制御を、上記「第2の制御方法」に従って行う。以下、空燃比制御および排ガス温度制御(の双方または一方)が行われる態様の一例が、図12を参照しながら説明される。図12は、第2装置が第2の制御方法に従った制御を「行う」場合の例を示すタイムチャートである。図12においては、理解が容易になるように、実際の各値の波形が模式化された波形が示されている。なお、図12は、空燃比制御が行われているときの空燃比関連変更量DFafが正の値であることを前提としたタイムチャートである。
図12に示すタイムチャートの時刻taにおいて、空燃比制御のみが行われている。この時刻taにおいて、上記同様、吸入空気量Gaは値Ga1であり、収束温度Tfおよび現在温度Tpはいずれも閾値温度Tcatthよりも低い。さらに、時刻taにおいて、目標空燃比A/Ftgtは理論空燃比stoichに設定されており、空燃比関連変更量DFafは値aである。また、排ガス温度関連変更量DFexはゼロである。よって、合計DFaf+DFexは、値aである。これにより、実空燃比A/Fが目標空燃比(理論空燃比stoich)に一致している。その結果、NOx排出量は、ゼロの近傍の値である。
その後、時刻tbにおいて吸入空気量Gaが値Ga1から値Ga2に増大し、時刻tcにおいて収束温度Tfおよび現在温度Tpの双方が閾値温度Tcatth以上となる。このとき、空燃比制御が「継続」されるとともに、排ガス温度制御が開始される。
具体的に述べると、まず、排ガス温度制御により、時刻tcにおいて、排ガス温度関連変更量DFexはゼロから値bへと変化する。さらに、この排ガス温度関連変更量DFexを考慮し、時刻tcにおける目標空燃比A/Ftgtが上記(14)式および(15)式に従って算出される。さらに具体的に述べると、上記(14)式に従い、排ガス温度関連変更量DFex(値b)の換算値DFexconが算出される。さらに、上記(15)式に従い、参照時点kref(本例においては、時刻ta、時刻tbまたは時刻tc)における目標空燃比A/Ftgt(理論空燃比stoich)が換算値DFexconによって除算された値が、時刻tcにおける目標空燃比A/Ftgtとして採用される。
なお、本例において、排ガス温度関連変更量DFex(値b)は正の値であり、換算値DFexconは1よりも大きい値である。よって、時刻tcにおける目標空燃比A/Ftgt(図12中のstoich/DFexcon)は、理論空燃比stoichよりも小さい値(リッチ側の値)である。
そして、この目標空燃比A/Ftgtと実空燃比A/Fとが一致するように、空燃比関連変更量DFafが決定される。ここで、上述したように、目標空燃比A/Ftgtは、排ガス温度制御と空燃比制御とが並行して行われる場合であっても、最終燃料噴射量Fiが排ガス温度関連変更量DFexだけ確実に増大される値である。よって、時刻tcにおける空燃比関連変更量DFafは、時刻tcよりも前の時点における値と同一の値aである。
そのため、時刻tcにおける合計DFaf+DFex(a+b)は、値aよりも大きいことになる。その結果、時刻tcにおいて、実空燃比A/Fは、理論空燃比stoichよりも小さい値(リッチ側の値)になる。
その結果、時刻tcにおいて、実空燃比A/Fも、理論空燃比stoichよりもリッチ側の空燃比になる。そのため、燃料冷却効果が適切に得られ、排ガスの温度が適切に低下される。さらに、上述したように、排ガスの空燃比が理論空燃比stoichからリッチ側に向けて離れても、NOxの浄化率は許容できない程度にまでは低下しない。そのため、時刻tcにおいて、NOx排出量は実質的にゼロの近傍の値に維持される。
その後、上記同様、時刻teにおいて吸入空気量Gaが値Ga2から値Ga1に減少し、時刻tfにおいて収束温度Tfおよび現在温度Tpの双方が閾値温度Tcatthよりも低くなる。このとき、排ガス温度制御が終了されるとともに、空燃比制御(目標空燃比A/Ftgtは理論空燃比stoich)が継続される。
このように、本発明の第2の制御方法に従った制御が行われる場合、排ガス温度制御が行われる期間中であっても、排ガスの温度が適切に低下され得る。さらに、同期間中であっても、NOx排出量が増大することが防がれ得る。
以上が、第2の制御方法による制御の例である。
<実際の作動>
以下、第2装置の実際の作動が説明される。
第2装置において、CPU81は、燃料噴射の制御についての図13、排ガス温度関連変更量の算出についての図9、メインフィードバック量の算出についての図10、および、サブフィードバック量の算出についての図11、に示した各ルーチンを所定のタイミング毎に繰り返し実行する。
第2装置は、CPU81が、図8に示すフローチャートに代えて「図13」に示すフローチャートを実行する点についてのみ、第1装置と相違している。そこで、以下、この相違点を中心として、CPU81が実行する各ルーチンが説明される。
CPU81は、第1装置と同様、図9のルーチンを所定のタイミング毎に繰り返し実行することにより、触媒53の収束温度Tf(k)および現在温度Tp(k)を算出するとともに、それらの双方が閾値温度Tcatth以上であるか否かに応じて排ガス温度関連変更量DFex(k)を決定する。さらに、CPU81は、第1装置と同様、図10および図11のルーチンを所定のタイミング毎に繰り返し実行することにより、排ガス温度関連変更量DFex(k)を考慮しながらメインフィードバック量(空燃比関連変更量)DFaf(k)を決定する。
さらに、CPU81は、燃料噴射気筒のクランク角度が上記クランク角度θfに一致するタイミング毎に、図13にフローチャートによって示した「第2燃料噴射制御ルーチン」を繰り返し実行する。CPU81は、このルーチンにより、図8のルーチンと同様、空燃比関連変更量DFafおよび排ガス温度関連変更量DFexを考慮して最終燃料噴射量Fiを決定するとともに、その最終燃料噴射量Fiだけの燃料をインジェクタ34から噴射させる。
図13に示したルーチンは、ステップ1310およびステップ1310が追加されている点のみにおいて、図8に示したルーチンと相違している。そこで、図13における図8に示したステップと同一の処理を行うためのステップには、図8のそのようなステップに付された符号と同一の符号が付されている。これらステップについての詳細な説明は、適宜省略される。
具体的に述べると、CPU81は、上記タイミングにて図13のステップ1300から処理を開始してステップ810に進み、現時点における目標空燃比abyfr(k)を決定する。次いで、CPU81は、ステップ820に進み、現時点における排ガス温度関連変更量DFex(k)がゼロであるか否か(すなわち、排ガス温度制御が行われているか否か)を判定する。
現時点における排ガス温度関連変更量DFex(k)がゼロである場合(すなわち、排ガス温度制御が「行われていない」場合)、CPU81は、ステップ820にて「Yes」と判定し、ステップ830〜ステップ880の処理を第1装置と同様に実行する。これにより、上流側目標空燃比abyfr(k)に基づいて定められた基本燃料噴射量Fbase(k)がメインフィードバック量DFaf(k)および排ガス温度関連変更量DFex(k)によって補正されるとともに、最終燃料噴射量Fi(k)の燃料が燃料噴射気筒に噴射される。
これに対し、現時点における排ガス温度関連変更量DFex(k)がゼロではない場合(すなわち、排ガス温度制御が「行われている」場合)、CPU81は、ステップ820にて「No」と判定してステップ1310に進む。CPU81は、ステップ1310にて、上記(14)式に従い、排ガス温度関連変更量DFex(k)の換算値DFexcon(k)を算出する。
次いで、CPU81は、ステップ1320に進む。CPU81は、ステップ1320にて、上記(15)式に従い、参照時点krefにおける目標空燃比abyfr(kref)が換算値DFexcon(k)によって除算されて得られる値を、上流側目標空燃比abyfr(k)に格納(更新)する。
その後、CPU81は、ステップ1320に続くステップ830〜ステップ880の処理を上記同様に実行する。これにより、上記更新された上流側目標空燃比abyfr(k)に応じた基本燃料噴射量Fbase(k)が算出される(ステップ840を参照。)。そして、この基本燃料噴射量Fbase(k)がメインフィードバック量DFaf(k)および排ガス温度関連変更量DFex(k)によって補正されるとともに、最終燃料噴射量Fi(k)の燃料が燃料噴射気筒に供給される。
以上、説明したように、第2装置は、排ガス温度制御が行われているとき(排ガス温度関連変更量DFexがゼロでないとき)、排ガス温度関連変更量DFexに基づいて上流側目標空燃比abyfrを補正する。その結果、排ガス温度制御と空燃比制御とが並行して行われる場合であっても、最終燃料噴射量Fiが排ガス温度制御に必要な量(排ガス温度関連変更量DFex)だけ確実に変更(増大)される。これにより、排ガスの温度が適切に低下されるとともに、NOx排出量が実質的にゼロの近傍の値に維持される。
なお、上記説明から理解されるように、第2装置は、参照時点krefにおける空燃比関連変更量DFaf(kref)が正の値であるか負の値であるかによらず、上記各ルーチンに従って適切な空燃比関連変更量DFafおよび排ガス温度関連変更量DFexを定めることができる。
以上が、本発明の第2の実施形態についての説明である。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る制御装置(以下、「第3装置」とも称呼される。)が説明される。
<装置の概要>
第3装置は、第1装置が適用される機関10と同様の構成を有する機関(図1を参照。以下、便宜上、「機関10」と称呼される。)に適用される。そこで、第3装置が適用される装置の概要についての説明は、省略される。
<装置の作動の概要>
第3装置は、排ガス温度制御が行われる場合、必要に応じて「排ガス温度関連変更量DFexを修正する」とともに「空燃比制御を行わない」点において、第1装置と相違する。
具体的に述べると、第3装置は、排ガス温度関連変更量DFex(k)が定められたとき、その排ガス温度関連変更量DFex(k)が参照時点krefにおける空燃比関連変更量DFaf(kref)よりも小さい場合、排ガス温度関連変更量DFexを「空燃比関連変更量DFaf(kref)以上の値」に修正する。
第3装置は、そのように修正された排ガス温度関連変更量DFex(k)を用いて排ガス温度制御を行うとともに、空燃比制御を「中止」する。
以上が、第3装置の作動の概要である。
以下、上述した考え方に従って空燃比関連変更量DFafおよび排ガス温度関連変更量DFexを定めることは、「第3の制御方法」とも称呼される。
<空燃比制御>
第3装置における空燃比制御の考え方は、排ガス温度制御が行われるときにメインフィードバック量DFafをゼロに設定する(すなわち、空燃比制御を行わない)点においてのみ、第1装置における空燃比制御の考え方と相違する。そこで、第3装置における空燃比制御についての詳細な説明は、省略される。
<排ガス温度制御>
第3装置は、まず、第1装置と同様の考え方に従い、現時点(時刻k)における排ガス温度関連変更量DFexを算出する。第3装置は、そのように算出された排ガス温度関連変更量DFex(k)が参照時点krefにおける空燃比関連変更量DFaf(kref)よりも小さい場合、排ガス温度関連変更量DFex(k)を「空燃比関連変更量DFaf(kref)以上の値DFexlarge」に変更(更新)する。
そして、第3装置は、上記(12)式に従い、上記変更(更新)された排ガス温度関連変更量DFex(すなわち、DFexlarge)を用いて基本燃料噴射量Fbaseを補正する。
以上が、第3装置が行う排ガス温度制御である。
<第3の制御方法による制御の例>
第3装置は、上述した空燃比制御および排ガス温度制御を、上記「第3の制御方法」に従って行う。以下、空燃比制御および排ガス温度制御(の双方または一方)が行われる態様の一例が、図14を参照しながら説明される。図14は、第3装置が第3の制御方法に従った制御を「行う」場合の例を示すタイムチャートである。図14においては、理解が容易になるように、実際の各値の波形が模式化された波形が示されている。なお、図14は、空燃比制御が行われているときの空燃比関連変更量DFafが正の値であることを前提としたタイムチャートである。
図14に示すタイムチャートの時刻taにおいて、空燃比制御のみが行われている。この時刻taにおいて、上記同様、吸入空気量Gaは値Ga1であり、収束温度Tfおよび現在温度Tpはいずれも閾値温度Tcatthよりも低い。さらに、時刻taにおいて、目標空燃比A/Ftgtは理論空燃比stoichに設定されており、空燃比関連変更量DFafは値aである。また、排ガス温度関連変更量DFexはゼロである。よって、合計DFaf+DFexは、値aである。これにより、実空燃比A/Fが目標空燃比(理論空燃比stoich)に一致している。その結果、NOx排出量は、ゼロの近傍の値である。
その後、時刻tbにおいて吸入空気量Gaが値Ga1から値Ga2に増大し、時刻tcにおいて収束温度Tfおよび現在温度Tpの双方が閾値温度Tcatth以上となる。このとき、空燃比制御が「中止」されるとともに、排ガス温度制御が開始される。
具体的に述べると、まず、空燃比制御が中止されることにより、時刻tcにおいて、空燃比関連変更量DFafは値aからゼロに減少する。さらに、上記排ガス温度関連変更量テーブルMapDFex(NE,Ga)により、排ガス温度関連変更量DFex(本例においては、値b)が定められる。このとき、参照時点kref(本例においては、時刻ta、時刻tbまたは時刻tc)における空燃比関連変更量DFaf(値a)よりも排ガス温度関連変更量DFex(値b)が小さいと仮定する。本仮定に従えば、上述したように、時刻tcにおける排ガス温度関連変更量DFex(値b)は、参照時点krefにおける空燃比関連変更量DFaf(値a)以上の値(本例においては、値d)に修正される。
そのため、時刻tcにおける合計DFaf+DFex(値d)は、値aよりも大きいことになる。その結果、時刻tcにおいて、実空燃比A/Fは、理論空燃比stoichよりも小さい値(リッチ側の値)になる。なお、時刻tcにおいて、空燃比制御は中止されているので、目標空燃比A/Ftgtは設定されない(図中の破線を参照。)。
その結果、時刻tcにおいて、触媒導入ガスの空燃比も、理論空燃比stoichよりもリッチ側の空燃比になる。そのため、燃料冷却効果が適切に得られ、排ガスの温度が適切に低下される。さらに、上述したように、排ガスの空燃比が理論空燃比stoichからリッチ側に向けて離れても、NOxの浄化率は許容できない程度にまでは低下しない。そのため、時刻tcにおいて、NOx排出量は実質的にゼロの近傍の値に維持される。
その後、上記同様、時刻teにおいて吸入空気量Gaが値Ga2から値Ga1に減少し、時刻tfにおいて収束温度Tfおよび現在温度Tpの双方が閾値温度Tcatthよりも低くなる。このとき、排ガス温度制御が終了されるとともに、空燃比制御(目標空燃比A/Ftgtは理論空燃比stoich)が再開される。
このように、本発明の第3の制御方法に従った制御が行われる場合、排ガス温度制御が行われる期間中であっても、排ガスの温度が適切に低下され得る。さらに、同期間中であっても、NOx排出量が増大することが防がれ得る。
以上が、第3の制御方法による制御の例である。
<実際の作動>
以下、第3装置の実際の作動が説明される。
第3装置において、CPU81は、燃料噴射の制御についての図8、排ガス温度関連変更量の算出についての図15、メインフィードバック量の算出についての図16、および、サブフィードバック量の算出についての図11、に示した各ルーチンを所定のタイミング毎に繰り返し実行する。
第3装置は、CPU81が、図9および図10に示すフローチャートに代えて「図15」および「図16」に示すフローチャートを実行する点についてのみ、第1装置と相違している。そこで、以下、この相違点を中心として、CPU81が実行する各ルーチンが説明される。
CPU81は、燃料噴射気筒のクランク角度が上記クランク角度θfに一致するタイミング毎に、図15にフローチャートによって示した「第3排ガス温度関連変更量算出ルーチン」を繰り返し実行する。CPU81は、このルーチンにより、排ガス温度関連変更量DFexを算出する。
図15に示したルーチンは、ステップ1510およびステップ1520が追加されている点のみにおいて、図9に示したルーチンと相違している。そこで、図15における図9に示したステップと同一の処理を行うためのステップには、図9のそのようなステップに付された符号と同一の符号が付されている。これらのステップについての詳細な説明は、適宜省略される。
具体的に述べると、CPU81は、上記タイミングにて図15のステップ1500から処理を開始すると、ステップ910およびステップ920を経由してステップ930に進む。そして、CPU81は、収束温度Tf(k)および現在温度Tp(k)の双方が閾値温度Tcatth以上であれば、ステップ950に進んで排ガス温度関連変更量DFex(k)を算出する。
次いで、CPU81は、ステップ1510に進む。CPU81は、ステップ1510にて、現時点における排ガス温度関連変更量DFex(k)が参照時点krefにおけるメインフィードバック量DFaf(kref)よりも小さいか否かを判定する。なお、上述したように、CPU81は、ステップ930における判定の結果が「No」から「Yes」に変化した時点(時刻k)を参照時点krefとしてRAM83に格納する。
現時点における排ガス温度関連変更量DFex(k)が参照時点krefにおけるメインフィードバック量DFaf(kref)「以上」である場合、CPU81は、ステップ1510にて「No」と判定し、ステップ1595に進んで本ルーチンを一旦終了する。よって、この場合、ステップ950にて算出された排ガス温度関連変更量DFex(k)を用いて基本燃料噴射量Fbase(k)が補正される(図8のステップ850を参照。)。
これに対し、現時点における排ガス温度関連変更量DFex(k)が参照時点krefにおけるメインフィードバック量DFaf(kref)よりも「小さい」場合、CPU81は、ステップ1510にて「Yes」と判定し、ステップ1520に進む。CPU81は、ステップ1520にて、排ガス温度関連変更量DFex(k)に「参照時点krefにおける空燃比関連変更量DFaf(kref)以上の変更量DFexlarge」を格納する。その後、CPU81は、ステップ1595に進んで本ルーチンを一旦終了する。よって、この場合、排ガス温度関連変更量DFex(k)が変更量DFexlargeに変更されるとともに、この変更量DFexlargeを用いて基本燃料噴射量Fbaseが補正される(図8のステップ850を参照。)。
さらに、CPU81は、燃料噴射気筒のクランク角度が上記クランク角度θgに一致するタイミング毎に、図16にフローチャートによって示した「第3空燃比関連変更量(メインフィードバック量)算出ルーチン」を繰り返し実行する。CPU81は、このルーチンにより、メインフィードバック量DFafを算出する。
図16に示したルーチンは、ステップ1050が「削除」されている点のみにおいて図10に示したルーチンと相違している。そこで、図16において図10に示したステップと同一の処理を行うためのステップには、図10のそのようなステップに付された符号と同一の符号が付されている。これらのステップについての詳細な説明は適宜省略される。
具体的に述べると、CPU81は、上記タイミングにて図16のステップ1600から処理を開始すると、メインフィードバック制御条件が成立していれば、ステップ1005を経由してステップ1010に進む。現時点における排ガス温度関連変更量DFex(k)がゼロである場合(すなわち、排ガス温度制御が行われていない場合)、CPU81は、ステップ1010にて「Yes」と判定し、ステップ1010〜ステップ1045を経由してステップ1695に進み、本ルーチンを一旦終了する。これにより、メインフィードバック量DFaf(k)が決定される。
一方、現時点における排ガス温度関連変更量DFex(k)がゼロではない場合(すなわち、排ガス温度制御が行われている場合)、CPU81はステップ1010にて「No」と判定し、ステップ1055およびステップ1060を経由してステップ1695に進み、本ルーチンを一旦終了する。これにより、メインフィードバック量DFaf(k)としてゼロが設定される。
このように、排ガス温度制御が行われている場合(ステップ1010にて「No」と判定される場合)、かならずメインフィードバック量DFaf(k)としてゼロが設定される。すなわち、空燃比制御が「中止」される。
以上、説明したように、第3装置は、排ガス温度制御が行われているとき(排ガス温度関連変更量DFexがゼロでないとき)、空燃比制御を中止する。さらに、第3装置は、必要に応じて、排ガス温度関連変更量DFexを「参照時点krefにおける空燃比関連変更量DFaf以上の量」に修正する。その結果、排ガス温度制御が行われるときに空燃比制御が中止されても、最終燃料噴射量Fiが確実に変更(増大)される。これにより、排ガスの温度が適切に低下されるとともに、NOx排出量が実質的にゼロの近傍の値に維持される。
なお、上記説明から理解されるように、第3装置は、参照時点krefにおける空燃比関連変更量DFaf(kref)が正の値であるか負の値であるかによらず、上記各ルーチンに従って適切な排ガス温度関連変更量DFexを定めることができる。
以上が、本発明の第3の実施形態についての説明である。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係る制御装置(以下、「第4装置」とも称呼される。)が説明される。
<装置の概要>
第4装置は、第1装置が適用される機関10と同様の構成を有する機関(図1を参照。以下、便宜上、「機関10」と称呼される。)に適用される。そこで、第4装置が適用される装置の概要についての説明は、省略される。
<装置の作動の概要>
第4装置は、排ガス温度制御が行われる場合、必要に応じて「排ガス温度関連変更量DFexを修正する」とともに「空燃比制御を行わなわない」点において、第1装置と相違する。さらに、第4装置は、「第3装置とは異なる考え方によって排ガス温度関連変更量DFexを修正する」点において、第3装置と相違する。
具体的に述べると、第4装置は、排ガス温度関連変更量DFex(k)が定められたとき、その排ガス温度関連変更量DFex(k)が参照時点krefにおける空燃比関連変更量DFaf(kref)よりも小さい場合、排ガス温度関連変更量DFexを「その排ガス温度関連変更量DFexと空燃比関連変更量DFaf(kref)との和」に修正する。
第4装置は、そのように修正された排ガス温度関連変更量DFex(k)を用いて排ガス温度制御を行うとともに、空燃比制御を「中止」する。
以上が、第4装置の作動の概要である。
以下、上述した考え方に従って空燃比関連変更量DFafおよび排ガス温度関連変更量DFexを定めることは、「第4の制御方法」とも称呼される。
<空燃比制御>
第4装置における空燃比制御の考え方は、排ガス温度制御が行われるときにメインフィードバック量DFafをゼロに設定する(すなわち、空燃比制御を行わない)点においてのみ、第1装置における空燃比制御の考え方と相違する。そこで、第4装置における空燃比制御についての詳細な説明は、省略される。
<排ガス温度制御>
第4装置は、まず、第1装置と同様の考え方に従い、現時点(時刻k)における排ガス温度関連変更量DFexを算出する。第4装置は、そのように算出された排ガス温度関連変更量DFex(k)が参照時点krefにおける空燃比関連変更量DFaf(kref)よりも小さい場合、排ガス温度関連変更量DFex(k)を「排ガス温度関連変更量DFex(k)と空燃比関連変更量DFaf(kref)との和」に変更(更新)する。
そして、第4装置は、上記(12)式に従い、上記変更(更新)された排ガス温度関連変更量DFex(すなわち、DFexlarge)を用いて基本燃料噴射量Fbaseを補正する。
以上が、第4装置が行う排ガス温度制御である。
<第4の制御方法による制御の例>
第4装置は、上述した空燃比制御および排ガス温度制御を、上記「第4の制御方法」に従って行う。以下、空燃比制御および排ガス温度制御(の双方または一方)が行われる態様の一例が、図17を参照しながら説明される。図17は、第4装置が第4の制御方法に従った制御を「行う」場合の例を示すタイムチャートである。図17においては、理解が容易になるように、実際の各値の波形が模式化された波形が示されている。なお、図17は、空燃比制御が行われているときの空燃比関連変更量DFafが正の値であることを前提としたタイムチャートである。
図17に示すタイムチャートの時刻taにおいて、空燃比制御のみが行われている。この時刻taにおいて、上記同様、吸入空気量Gaは値Ga1であり、収束温度Tfおよび現在温度Tpはいずれも閾値温度Tcatthよりも低い。さらに、時刻taにおいて、目標空燃比A/Ftgtは理論空燃比stoichに設定されており、空燃比関連変更量DFafは値aである。また、排ガス温度関連変更量DFexはゼロである。よって、合計DFaf+DFexは、値aである。これにより、実空燃比A/Fが目標空燃比(理論空燃比stoich)に一致している。その結果、NOx排出量は、ゼロの近傍の値である。
その後、時刻tbにおいて吸入空気量Gaが値Ga1から値Ga2に増大し、時刻tcにおいて収束温度Tfおよび現在温度Tpの双方が閾値温度Tcatth以上となる。このとき、空燃比制御が「中止」されるとともに、排ガス温度制御が開始される。
具体的に述べると、まず、空燃比制御が中止されることにより、時刻tcにおいて、空燃比関連変更量DFafは値aからゼロに減少する。さらに、上記排ガス温度関連変更量テーブルMapDFex(NE,Ga)により、排ガス温度関連変更量DFex(本例においては、値b)が定められる。このとき、参照時点kref(本例においては、時刻ta、時刻tbまたは時刻tc)における空燃比関連変更量DFaf(値a)よりも排ガス温度関連変更量DFex(値b)が小さいと仮定する。本仮定に従えば、上述したように、時刻tcにおける排ガス温度関連変更量DFex(値b)は、その排ガス温度関連変更量DFex(値b)と参照時点krefにおける空燃比関連変更量DFaf(値a)との和(本例においては、値a+b)に修正される。
そのため、時刻tcにおける合計DFaf+DFex(値a+b)は、値aよりも大きいことになる。その結果、時刻tcにおいて、実空燃比A/Fは、理論空燃比stoichよりも小さい値(リッチ側の値)になる。なお、時刻tcにおいて、空燃比制御は中止されているので、目標空燃比A/Ftgtは設定されない(図中の破線を参照。)。
その結果、時刻tcにおいて、触媒導入ガスの空燃比も、理論空燃比stoichよりもリッチ側の空燃比になる。そのため、燃料冷却効果が適切に得られ、排ガスの温度が適切に低下される。さらに、上述したように、排ガスの空燃比が理論空燃比stoichからリッチ側に向けて離れても、NOxの浄化率は許容できない程度にまでは低下しない。そのため、時刻tcにおいて、NOx排出量は実質的にゼロの近傍の値に維持される。
その後、上記同様、時刻teにおいて吸入空気量Gaが値Ga2から値Ga1に減少し、時刻tfにおいて収束温度Tfおよび現在温度Tpの双方が閾値温度Tcatthよりも低くなる。このとき、排ガス温度制御が終了されるとともに、空燃比制御(目標空燃比A/Ftgtは理論空燃比stoich)が再開される。
このように、本発明の第4の制御方法に従った制御が行われる場合、排ガス温度制御が行われる期間中であっても、排ガスの温度が適切に低下され得る。さらに、同期間中であっても、NOx排出量が増大することが防がれ得る。
以上が、第4の制御方法による制御の例である。
<実際の作動>
以下、第4装置の実際の作動が説明される。
第4装置において、CPU81は、燃料噴射の制御についての図8、排ガス温度関連変更量の算出についての図18、メインフィードバック量の算出についての図16、および、サブフィードバック量の算出についての図11、に示した各ルーチンを所定のタイミング毎に繰り返し実行する。
第4装置は、CPU81が、図9および図10に示すフローチャートに代えて「図18」および「図16」に示すフローチャートを実行する点についてのみ、第1装置と相違している。そこで、以下、この相違点を中心として、CPU81が実行する各ルーチンが説明される。なお、図16は、上記第3装置におけるメインフィードバック量算出ルーチンとして、すでに説明されている。
CPU81は、燃料噴射気筒のクランク角度が上記クランク角度θfに一致するタイミング毎に、図18にフローチャートによって示した「第4排ガス温度関連変更量算出ルーチン」を繰り返し実行する。CPU81は、このルーチンにより、排ガス温度関連変更量DFexを算出する。
図18に示したルーチンは、ステップ1810およびステップ1820が追加されている点のみにおいて、図9に示したルーチンと相違している。そこで、図18における図9に示したステップと同一の処理を行うためのステップには、図9のそのようなステップに付された符号と同一の符号が付されている。これらのステップについての詳細な説明は、適宜省略される。
具体的に述べると、CPU81は、上記タイミングにて図18のステップ1800から処理を開始すると、ステップ910およびステップ920を経由してステップ930に進む。そして、CPU81は、収束温度Tf(k)および現在温度Tp(k)の双方が閾値温度Tcatth以上であれば、ステップ950に進んで排ガス温度関連変更量DFex(k)を算出する。
次いで、CPU81は、ステップ1810に進む。CPU81は、ステップ1810にて、現時点における排ガス温度関連変更量DFex(k)が参照時点krefにおけるメインフィードバック量DFaf(kref)よりも小さいか否かを判定する。なお、上述したように、CPU81は、ステップ930における判定の結果が「No」から「Yes」に変化した時点(時刻k)を参照時点krefとしてRAM83に格納する。
現時点における排ガス温度関連変更量DFex(k)が参照時点krefにおけるメインフィードバック量DFaf(kref)「以上」である場合、CPU81は、ステップ1810にて「No」と判定し、ステップ1895に進んで本ルーチンを一旦終了する。よって、この場合、ステップ950にて算出された排ガス温度関連変更量DFex(k)を用いて基本燃料噴射量Fbase(k)が補正される(図8のステップ850を参照。)。
これに対し、現時点における排ガス温度関連変更量DFex(k)が参照時点krefにおけるメインフィードバック量DFaf(kref)よりも「小さい」場合、CPU81は、ステップ1810にて「Yes」と判定し、ステップ1820に進む。CPU81は、ステップ1820にて、排ガス温度関連変更量DFex(k)に「排ガス温度関連変更量DFex(k)と、参照時点krefにおける空燃比関連変更量DFaf(kref)と、の和」を格納する。その後、CPU81は、ステップ1895に進んで本ルーチンを一旦終了する。よって、この場合、排ガス温度関連変更量DFex(k)が上記「和」に変更されるとともに、この「和」を用いて基本燃料噴射量Fbaseが補正される(図8のステップ850を参照。)。
以上、説明したように、第4装置は、排ガス温度制御が行われるときに空燃比制御を中止するとともに、必要に応じて排ガス温度関連変更量DFexを「排ガス温度関連変更量DFexと参照時点krefにおける空燃比関連変更量DFafとの和」に修正する。その結果、排ガス温度制御が行われるときに空燃比制御が中止されても、最終燃料噴射量Fiが確実に変更(増大)されることになる。そのため、排ガスの温度が適切に低下されるとともに、NOx排出量が実質的にゼロの近傍の値に維持される。
なお、上記説明から理解されるように、第4装置は、参照時点krefにおける空燃比関連変更量DFaf(kref)が正の値であるか負の値であるかによらず、上記各ルーチンに従って適切な排ガス温度関連変更量DFexを定めることができる。
以上が、本発明の第4の実施形態についての説明である。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態に係る制御装置(以下、「第5装置」とも称呼される。)が説明される。
<装置の概要>
第5装置は、第1装置が適用される機関10と同様の構成を有する機関(図1を参照。以下、便宜上、「機関10」と称呼される。)に適用される。そこで、第5装置が適用される装置の概要についての説明は、省略される。
<装置の作動の概要>
第5装置は、排ガス温度制御が行われる場合、「排ガス温度関連変更量DFexが触媒53の温度に応じて変更される」点において、第1装置と相違する。
具体的に述べると、第5装置は、排ガス温度制御が行われる場合、排ガス温度関連変更量DFexとして「機関10の運転状態に基づいて定められる基準変更量DFexbaseに触媒53の温度を考慮して定められる補正係数CRexが乗算されて得られる量(補正変更量)」を採用する。
さらに、第5装置は、第1装置と同様、排ガス温度制御が行われる場合であっても空燃比制御を「継続」する。このとき、第5装置は、空燃比制御における上流側目標空燃比abyfr(k)として、第2装置と同様の「排ガス温度関連変更量DFexを考慮して定められる空燃比」を採用する。
第5装置は、上述したように定められた排ガス温度関連変更量DFex(k)を用いて排ガス温度制御を行うとともに、上述したように定められる上流側目標空燃比abyfr(k)に従って空燃比制御を行う。
以上が、第5装置の作動の概要である。
以下、上述した考え方に従って空燃比関連変更量DFafおよび排ガス温度関連変更量DFexを定めることは、「第5の制御方法」とも称呼される。
<空燃比制御>
第5装置における空燃比制御の考え方は、(第1装置ではなく)第2装置における空燃比制御の考え方と同一である。そこで、第5装置における空燃比制御についての詳細な説明は省略される。
<排ガス温度制御>
第5装置は、まず、機関10の運転状態に基づく基準変更量DFexbaseを算出する。具体的に述べると、第5装置は、「機関回転速度NEと、吸入空気量Gaと、基準変更量DFexbaseと、の関係」をあらかじめ定めた基準変更量テーブルMapDFexbase(NE,Ga)に現時点における機関回転速度NE(k)および吸入空気量Ga(k)を適用することにより、現時点における基準変更量DFexbase(k)を算出する。この基準変更量DFexbaseは、参照時点krefにおける空燃比関連変更量DFaf(kref)よりも大きい適値として定められる。
次いで、第5装置は、下記(16)式および(17)式に従い、基準変更量DFexbaseを補正するための補正係数CRexを算出する。下記(16)式において、Tcatthは、触媒53の閾値温度Tcatthを表す。
Tp<Tfの場合:
CRex(k)={Tp(k)−Tcatth}/{Tf(k)−Tcatth} ・・・(16)
Tp≧Tfの場合:
CRex(k)=1 ・・・(17)
次いで、第5装置は、下記(18)式に従い、排ガス温度関連変更量DFex(k)を算出する。
DFex(k)=DFexbase(k)×CRex(k) ・・・(18)
上記(16)式から理解されるように、同式によって算出される補正係数CRexは、1以下の値であって、現在温度Tpが収束温度Tfに近づくほど1に近づく値である。よって、基準変更量DFexbaseに補正係数CRexを乗算して得られる排ガス温度関連変更量DFexは、現在温度Tpが収束温度Tfに近づくほど大きいことになる。これにより、現在温度Tpが収束温度Tfに近づくほど(すなわち、現在温度Tpが収束温度Tfに向かって上昇するほど)、排ガス温度関連変更量DFexが大きいことになる(すなわち、排ガスの温度がより低下されるようになる。)。
さらに、上記(17)式から理解されるように、現在温度Tpが収束温度Tf以上である場合(すなわち、現在温度Tpが収束温度Tfに向かって低下する場合)、補正係数CRexは1に維持される。これにより、この場合、排ガス温度関連変更量DFexは基準変更量DFexbaseに維持される。
以上が、第5装置が行う排ガス温度制御である。
<第5の制御方法による制御の例>
第5装置は、上述した空燃比制御および排ガス温度制御を、上記「第5の制御方法」に従って行う。以下、空燃比制御および排ガス温度制御(の双方または一方)が行われる態様の一例が、図19を参照しながら説明される。図19は、第5装置が第5の制御方法に従った制御を「行う」場合の例を示すタイムチャートである。図19においては、理解が容易になるように、実際の各値の波形が模式化された波形が示されている。なお、図19は、空燃比制御が行われているときの空燃比関連変更量DFafが正の値であることを前提としたタイムチャートである。
図19に示すタイムチャートの時刻taにおいて、空燃比制御のみが行われている。この時刻taにおいて、上記同様、吸入空気量Gaは値Ga1であり、収束温度Tfおよび現在温度Tpはいずれも閾値温度Tcatthよりも低い。さらに、時刻taにおいて、目標空燃比A/Ftgtは理論空燃比stoichに設定されており、空燃比関連変更量DFafは値aである。また、排ガス温度関連変更量DFexはゼロである。よって、合計DFaf+DFexは、値aである。これにより、実空燃比A/Fが目標空燃比(理論空燃比stoich)に一致している。その結果、NOx排出量は、ゼロの近傍の値である。
その後、時刻tbにおいて吸入空気量Gaが値Ga1から値Ga2に増大し、時刻tcにおいて収束温度Tfおよび現在温度Tpの双方が閾値温度Tcatth以上となる。このとき、空燃比制御が「継続」されるとともに、排ガス温度制御が開始される。
具体的に述べると、まず、排ガス温度制御に関連し、時刻tcにおいて、基準変更量DFexbase(本例においては、値e)が定められる。ここで、時刻tcにおける現在温度Tpは収束温度Tfよりも低いので、上記(16)式に従って補正係数CRexが定められる。そして、基準変更量DFexbaseに補正係数CRexが乗算されることにより、排ガス温度関連変更量DFexが算出される。具体的に述べると、時刻tcにおける現在温度Tpは閾値温度Tcatthに一致しているので、補正係数CRexはゼロである。よって、時刻tcにおける排ガス温度関連変更量DFexは、ゼロである。
その後、時間が経過するにつれて、現在温度Tpが収束温度Tfに向かって上昇するので、補正係数CRexは1に向かって増大する。よって、時間が経過するにつれて、排ガス温度関連変更量DFexは増大する。このように排ガス温度関連変更量DFexが増大する期間中(時刻tcから後述する時刻tgまで)、上記「第2の制御方法による制御の例」と同様、空燃比関連変更量DFafは、時刻tcよりも前の時点における値(値a)に維持される。そのため、時刻tc以降において、合計DFaf+DFexは値aから徐々に増大し、実空燃比A/Fは理論空燃比stoichから徐々に低下する(リッチ側の値になる)。
その結果、時刻tcから後述する時刻tgまでの期間において、排ガスの温度が適切に低下されるとともに、NOx排出量は実質的にゼロの近傍の値に維持される。
その後、時刻tgにおいて、排ガス温度関連変更量DFexが参照時点kref(本例においては、時刻ta、時刻tbまたは時刻tc)における空燃比関連変更量DFaf(値a)に到達する。このとき、上記「第2の制御方法」にて述べたように、空燃比制御が「中止」される。そのため、時刻tgにおいて、空燃比関連変更量DFafは値aからゼロに減少する。よって、時刻tgにおいて、合計DFaf+DFexは、値a(排ガス温度関連変更量DFexに相当)にまで減少し、実空燃比A/Fは理論空燃比stoichにまで増大する。
その後、時間が経過するにつれて、上記同様、排ガス温度関連変更量DFexは増大する。そのため、時刻tgから後述する時刻tfまでの期間において、合計DFaf+DFexは値aから徐々に増大し、実空燃比A/Fは理論空燃比stoichから徐々に減少する。
その結果、時刻tgから後述する時刻tfまでの期間においても、排ガスの温度が適切に低下され得るとともに、NOx排出量は実質的にゼロの近傍の値に維持される。
その後、上記同様、時刻teにおいて吸入空気量Gaが値Ga2から値Ga1に減少し、時刻tfにおいて収束温度Tfおよび現在温度Tpの双方が閾値温度Tcatthよりも低くなる。このとき、排ガス温度制御が終了されるとともに、空燃比制御(目標空燃比A/Ftgtは理論空燃比stoich)が再開される。
以上が、第5の制御方法による制御の例である。
<実際の作動>
以下、第5装置の実際の作動が説明される。
第5装置において、CPU81は、燃料噴射の制御についての図13、排ガス温度関連変更量の算出についての図20、メインフィードバック量の算出についての図10、および、サブフィードバック量の算出についての図11、に示した各ルーチンを所定のタイミング毎に繰り返し実行する。
第5装置は、CPU81が、図9に示すフローチャートに代えて図20に示すフローチャートを実行する点についてのみ、第1装置と相違している。そこで、以下、この相違点を中心として、CPU81が実行する各ルーチンが説明される。なお、図13は、上記第2装置における燃料噴射制御ルーチンとして、すでに説明されている。
CPU81は、燃料噴射気筒のクランク角度が上記クランク角度θfに一致するタイミング毎に、図20にフローチャートによって示した「第5排ガス温度関連変更量算出ルーチン」を繰り返し実行する。CPU81は、このルーチンにより、排ガス温度関連変更量の基準変更量DFexbaseを算出し、基準変更量DFexbaseに補正係数CRexを乗算することによって排ガス温度関連変更量DFexを算出する。
図20に示したルーチンは、ステップ950が削除されている点、および、ステップ2010〜ステップ2050が追加されている点、において図9に示したルーチンと相違している。そこで、図20における図9に示したステップと同一の処理を行うためのステップには、図9のそのようなステップに付された符号と同一の符号が付されている。これらのステップについての詳細な説明は、適宜省略される。
具体的に述べると、CPU81は、上記タイミングにて図20のステップ2000から処理を開始すると、ステップ910およびステップ920を経由してステップ930に進む。そして、CPU81は、収束温度Tf(k)および現在温度Tp(k)の双方が閾値温度Tcatth以上であれば、ステップ930にて「Yes」と判定し、ステップ2010に進む。
CPU81は、ステップ2010にて、上述した基準変更量テーブルMapDFexbase(NE,Ga)に現時点における機関回転速度NE(k)および吸入空気量Ga(k)を適用することにより、現時点における基準変更量DFexbase(k)を算出する。
次いで、CPU81は、ステップ2020に進む。CPU81は、ステップ2020にて、現在温度Tp(k)が収束温度Tf(k)よりも小さいか否かを判定する。現在温度Tp(k)が収束温度Tf(k)よりも小さい場合、CPU81は、ステップ2020にて「Yes」と判定してステップ2030に進む。
CPU81は、ステップ2030にて、上記(16)式に従い、現在温度Tp(k)、収束温度Tf(k)および閾値温度Tcatthに基づいて補正係数CRex(k)を算出する。
次いで、CPU81は、ステップ2040に進む。CPU81は、ステップ2040にて、上記(18)式に従い、基準変更量DFexbase(k)に補正係数CRex(k)を乗算することによって排ガス温度関連変更量DFex(k)を算出する。その後、CPU81は、ステップ2095に進んで本ルーチンを一旦終了する。
一方、現時点における現在温度Tp(k)が収束温度Tf(k)以上である場合、CPU81は、ステップ2020にて「No」と判定し、ステップ2050に進む。ステップ2050にて、CPU81は、補正係数CRex(k)に「1」を格納する。
その後、CPU81は、上記同様にステップ2040に進んで、排ガス温度関連変更量DFex(k)を算出する。この場合、補正係数CRex(k)は1であるので、排ガス温度関連変更量DFex(k)は基準変更量DFexbase(k)と同一となる。すなわち、この場合、基準変更量DFexbase(k)は補正されない。
さらに、CPU81は、第2装置と同様、図13のルーチンを所定のタイミング毎に繰り返し実行する。これにより、上述したように算出された排ガス温度関連変更量DFex(k)に応じて上流側目標空燃比abyfr(k)が修正される(図13のステップ1310およびステップ1320を参照。)。そして、修正された上流側目標空燃比abyfr(k)に基づいて定められるメインフィードバック量DFaf(k)と、排ガス温度関連変更量DFex(k)と、によって基本燃料噴射量Fbase(k)が補正され、最終燃料噴射量Fi(k)が算出される(図13のステップ850を参照。)。
以上、説明したように、第5装置は、排ガス温度関連変更量DFexを触媒53の温度に応じて変更する。その結果、排ガスの温度が適切に低下される。さらに、第5装置は、排ガス温度関連変更量DFexに基づいて上流側目標空燃比abyfrを補正する。その結果、排ガス温度制御と空燃比制御とが並行して行われる場合であっても、最終燃料噴射量Fiが排ガス温度関連変更量DFexだけ確実に変更(増大)される。これにより、排ガスの温度が適切に低下されるとともに、NOx排出量が実質的にゼロの近傍の値に維持される。
なお、第5装置においては、上述した排ガス温度制御(図20のルーチンを参照。)の考え方が、第2装置に示す制御方法に適用されている。しかし、第5装置の排ガス温度制御の考え方は、第1装置、第3装置〜第4装置のいずれに適用されてもよい。
なお、上記説明から理解されるように、第5装置は、参照時点krefにおける空燃比関連変更量DFaf(kref)が正の値であるか負の値であるかによらず、上記各ルーチンに従って適切な空燃比関連変更量DFafおよび排ガス温度関連変更量DFexを定めることができる。
以上が、本発明の第5の実施形態についての説明である。
ところで、上記各実施形態に係る制御装置(第1装置〜第5装置)は、触媒53の収束温度Tfおよび現在温度Tpの「双方」が閾値温度Tcatth以上である場合に排ガス温度制御を行うように構成されている(例えば、図9のステップ930を参照。)。しかし、本発明の制御装置は、収束温度Tfおよび現在温度Tpの「少なくとも一方」が閾値温度Tcatth以上である場合に排ガス温度制御を行うように、構成され得る。すなわち、本発明の制御装置は、触媒の温度が過度に高くなる可能性があると判断されるときに排ガス温度制御を行うように、構成され得る。
<実施形態の総括>
以上、説明したように、本発明の各実施形態に係る制御装置(第1装置〜第5装置)は、触媒53を備えた内燃機関10に適用される。
本発明の第1装置は、
前記内燃機関10に供給される混合気の空燃比の制御を行う空燃比制御手段であって、前記空燃比を目標空燃比abyfrに一致させるように定められる第1変更量DFafに従って前記内燃機関10に供給される燃料の量を変更する空燃比制御手段(図8のステップ850、図10および図11のルーチン)と、
前記排ガスの温度の制御を行う排ガス温度制御手段であって、前記排ガスの温度を低下させるように定められる第2変更量DFexに従って前記内燃機関10に供給される燃料の量を変更する排ガス温度制御手段(図8のステップ850、図9のルーチン)と、を備える。
第1装置において、
第1時点(例えば、図7の時刻ta、時刻tbまたは時刻tc)にて前記空燃比の制御が行われており、かつ、該第1時点または該第1時点よりも後の第2時点(例えば、図7の時刻tc)から該第2時点よりも後の第3時点(例えば、図7の時刻tf)までの期間である触媒温度制御期間中に前記空燃比の制御および前記排ガスの温度の制御のうちの少なくとも前記排ガスの温度の制御が行われる場合、前記触媒温度制御期間中の第4時点(例えば、図7の時刻td)における前記第1変更量DFafと前記第2変更量DFexとの合計が前記第1時点における前記第1変更量DFaf以上であるように、前記第4時点における第1変更量DFafおよび第2変更量DFexが定められる。
さらに、第1装置において、
前記触媒温度制御期間は、現在の時点における前記触媒53の温度である触媒53の現在温度Tp、および、将来の時点において前記触媒53の温度が到達すると推定される温度である触媒53の収束温度Tf、のうちの少なくとも一つが閾値温度Tcatth以上であると該触媒温度制御期間中において判定される期間(図9のステップ920にて「Yes」と判定される期間)である。
さらに、第1装置において、
前記第1変更量DFafは前記目標空燃比abyfrに基づいて定められる燃料の量である基本量Fbaseを基準にした変化量であり、前記第2変更量DFexは該基本量Fbaseを基準にした変化量である(図8のステップ850を参照。)。
さらに、第1装置において、
前記第4時点において定められる前記第2変更量DFexが前記第1時点における前記第1変更量DFafよりも小さい場合(図10のステップ1050にて「Yes」と判定される場合)、前記第4時点にて前記空燃比の制御および前記排ガスの温度の制御の双方が行われる。
さらに、第1装置において、
前記第4時点における前記目標空燃比abyfrは、前記第1時点における前記目標空燃比abyfrよりも小さい空燃比に設定される(ステップ8のステップ890を参照。)。
次いで、第2装置において、
前記第4時点における前記目標空燃比abyfrが、前記第4時点における前記第2変更量DFexと前記基本量Fbaseとの和が前記基本量Fbaseによって除算されて得られる値DFexcon(図13のステップ1310を参照。)によって前記第1時点における前記目標空燃比abyfrが除算されて得られる空燃比(ステップ1320を参照。)である制御装置。
次いで、第3装置において、
前記第4時点において定められる前記第2変更量DFexが前記第1時点における前記第1変更量DFafよりも小さい場合(図15のステップ1510にて「Yes」と判定される場合)、該第2変更量DFexが該第1変更量DFaf以上の量DFexlargeに修正された上で、前記第4時点において前記空燃比の制御および前記排ガスの温度の制御のうちの前記排ガスの温度の制御のみが行われる。
次いで、第4装置において、
前記第4時点において定められる前記第2変更量DFexが前記第1時点における前記第1変更量DFafよりも小さい場合(図18のステップ1810にて「Yes」と判定される場合)、該第2変更量DFexが該第2変更量DFexと該第1変更量DFafとの和に修正された上で(ステップ1820を参照。)、前記第4時点において前記空燃比の制御および前記排ガスの温度の制御のうちの前記排ガスの温度の制御のみが行われる。
次いで、第5装置において、
前記第2変更量DFexとして、前記内燃機関10の運転状態に基づいて定められ且つ前記第1時点における前記第1変更量DFafよりも大きい基準変更量DFexbaseに前記触媒53の現在温度Tpが前記触媒53の収束温度Tfに近づくほど1に近づく補正係数CRexが乗算されて得られる補正変更量、が採用される(図20のステップ2030を参照。)。
さらに、第5装置において、
前記補正係数CRexとして、前記触媒53の現在温度Tpと前記閾値温度Tcatthとの差が前記触媒53の収束温度Tfと前記閾値温度Tcatthとの差によって除算されて得られる値DFexcon、が採用される(図20のステップ2020を参照。)。
ところで、第1装置〜第5装置において、
前記第1時点における前記目標空燃比abyfrとして、理論空燃比stoichが採用され得る(例えば、図8のステップ810を参照。)。
さらに、第1装置〜第5装置において、
前記触媒53として、前記排ガスの酸素濃度が前記混合気の空燃比が理論空燃比stoichであるときに生じる排ガスの酸素濃度である基準酸素濃度から該酸素濃度が大きくなる方向に離れる場合に該触媒53による前記排ガスに含まれる窒素酸化物NOxの浄化率が第1の低下率にて低下し、かつ、前記排ガスの酸素濃度が前記基準酸素濃度から該酸素濃度が小さくなる方向に離れる場合に前記窒素酸化物NOxの浄化率が前記第1の低下率よりも小さい第2の低下率にて低下する特性を有する触媒が、採用され得る。
<その他の態様>
本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
例えば、上記各実施形態に係る制御装置は、上流側目標空燃比abyfrとして理論空燃比stoichを採用している。しかし、本発明の制御装置は、上流側目標空燃比abyfrとして、理論空燃比stoich以外の空燃比を採用するように構成され得る。すなわち、本発明の制御装置は、触媒の排ガス浄化性能を考慮した適値に設定されればよい。
さらに、上記各実施形態に係る制御装置は、触媒53の現在温度Tpを収束温度Tfに基づいて推定する(例えば、図9のステップ920を参照。)。しかし、本発明の制御装置は、触媒の現在温度を触媒の温度を測定することができるセンサによって取得するように構成されてもよい。
さらに、上記各実施形態に係る制御装置は、1のみのインジェクタを備えている。しかし、本発明の制御装置は、複数のインジェクタを備えうる。例えば、機関10は、空燃比制御用のインジェクタと排ガス温度制御用のインジェクタとを備え得る。すなわち、本発明の制御装置が適用される内燃機関は、内燃機関に供給される(すなわち、燃焼室内に導入される)最終的な燃料の量を変更し得る構成を備えればよい。
さらに、上記各実施形態に係る制御装置は、三元触媒を備えた機関(火花点火式機関)に適用されている。しかし、本発明の制御装置は、NOx吸蔵還元触媒を備えた機関(例えば、ディーゼル機関)にも適用され得る。
さらに、上記各実施形態に係る制御装置は、1のみの触媒を備えている。しかし、本発明の制御装置は、複数の触媒を備える機関に適用され得る。
ところで、上記各実施形態に係る制御装置においては、燃料冷却効果およびNOx排出量を考慮し、排ガス温度制御が行われるときに触媒導入ガスの空燃比が常に理論空燃比stoich以下である(リッチ側の空燃比である)ように、空燃比関連変更量DFafおよび排ガス温度関連変更量DFexが定められる。ところが、NOx排出量の観点に限れば、触媒導入ガスの空燃比が理論空燃比stoichよりも大きくなる(リーン側の空燃比である)ことが許容される場合がある。
具体的に述べると、触媒53が酸素吸蔵能力(触媒導入ガスの空燃比がリーン側の空燃比であるときに同ガス中の酸素を吸蔵し、触媒導入ガスの空燃比がリッチ側の空燃比であるときに同ガス中に酸素を放出する、特性)を有する場合、触媒53が酸素を吸蔵し得る十分な余力を有していれば、触媒導入ガスの空燃比がリーン側の空燃比であっても、触媒53が酸素を吸蔵することができる期間、NOx排出量は増大しないと考えられる。
そこで、そのような特性を有する触媒を備える内燃機関に適用される制御装置として、例えば、以下の制御装置が挙げられる。
内燃機関の排ガスを浄化する触媒であって、該触媒に導入される排ガスである触媒導入ガスの酸素濃度が空気と燃料とが理論空燃比にて燃焼したときに生じるガスの酸素濃度である基準酸素濃度よりも大きいときに前記触媒導入ガス中の酸素が該触媒中に吸蔵され、前記触媒導入ガスの酸素濃度が前記基準酸素濃度よりも小さいときに該触媒中に吸蔵されている酸素が前記触媒導入ガス中に放出されることにより、該触媒中の排ガスの酸素濃度が基準酸素濃度に近づけられる特性を有する触媒、
を備えた内燃機関に適用され、
前記内燃機関に供給される混合気の空燃比の制御を行う空燃比制御手段であって、前記空燃比を目標空燃比に一致させるように定められる第1変更量に従って前記内燃機関に供給される燃料の量を変更する空燃比制御手段と、
前記排ガスの温度の制御を行う排ガス温度制御手段であって、前記排ガスの温度を低下させるように定められる第2変更量に従って前記内燃機関に供給される燃料の量を変更する排ガス温度制御手段と、
を備えた内燃機関の制御装置であって、
第1時点にて前記空燃比の制御が行われており、かつ、該第1時点または該第1時点よりも後の第2時点から該第2時点よりも後の第3時点までの期間である触媒温度制御期間中に前記空燃比の制御および前記排ガスの温度の制御のうちの少なくとも前記排ガスの温度の制御が行われる場合、前記触媒温度制御期間中の第4時点において定められる前記第2変更量が前記第1時点における前記第1変更量よりも小さいとき、前記第4時点における前記触媒から排出される排ガスである触媒排出ガスの酸素濃度が前記基準酸素濃度よりも大きければ、前記内燃機関の運転状態に基づいて定められ且つ前記第1時点における前記第1変更量よりも大きい基準変更量が前記第2変更量として採用され、前記第4時点における前記触媒排出ガスの酸素濃度が前記基準酸素濃度以下であれば、基準変更量に前記触媒の温度が前記触媒の収束温度に近づくほど1に近づく補正係数が乗算されて得られる補正変更量が前記第2変更量として採用される、
内燃機関の制御装置。
上記制御装置によれば、触媒排出ガスの酸素濃度が基準酸素濃度以下である場合(触媒排出ガスの空燃比が理論空燃比またはリッチ側の空燃比である場合)、第2変更量として「補正変更量」が採用される。この補正変更量が採用される場合、触媒温度制御期間中(第4時点)における第1変更量と第2変更量との合計が触媒温度制御期間の以前(第1時点)の第1変更量以上とならない場合がある。すなわち、触媒導入ガスの空燃比がリーン側の空燃比となる場合がある。しかし、触媒排出ガスの空燃比が「理論空燃比またはリッチ側の空燃比」であれば、触媒が酸素を吸蔵し得る十分な余力を有していると考えられるので、触媒導入ガスの空燃比がリーン側の空燃比であっても、触媒が酸素を吸蔵することができる期間、NOx排出量は増大しないと考えられる。
これにより、この制御装置は、触媒温度制御期間において、排ガスの温度の制御および空燃比の制御の双方(なかでも、空燃比の制御)を出来る限り適切に行うことができる。
10…内燃機関、25…燃焼室、34…インジェクタ、53…触媒、76…上流側空燃比センサ、77…下流側空燃比センサ、80…電子制御装置

Claims (12)

  1. 内燃機関の排ガスを浄化する触媒を備えた内燃機関に適用され、
    前記内燃機関に供給される混合気の空燃比の制御を行う空燃比制御手段であって、前記空燃比を目標空燃比に一致させるように定められる第1変更量に従って前記内燃機関に供給される燃料の量を変更する空燃比制御手段と、
    前記排ガスの温度の制御を行う排ガス温度制御手段であって、前記排ガスの温度を低下させるように定められる第2変更量に従って前記内燃機関に供給される燃料の量を変更する排ガス温度制御手段と、
    を備えた内燃機関の制御装置であって、
    第1時点にて前記空燃比の制御が行われており、かつ、該第1時点または該第1時点よりも後の第2時点から該第2時点よりも後の第3時点までの期間である触媒温度制御期間中に前記空燃比の制御および前記排ガスの温度の制御のうちの少なくとも前記排ガスの温度の制御が行われる場合、前記触媒温度制御期間中の第4時点における前記第1変更量と前記第2変更量との合計が前記第1時点における前記第1変更量以上であるように、前記第4時点における第1変更量および第2変更量が定められる、
    内燃機関の制御装置。
  2. 請求項1に記載の制御装置において、
    前記触媒温度制御期間が、現在の時点における前記触媒の温度である触媒の現在温度、および、将来の時点において前記触媒の温度が到達すると推定される温度である触媒の収束温度、のうちの少なくとも一つが閾値温度以上であると該触媒温度制御期間中において判定される期間である制御装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の制御装置において、
    前記第1変更量が前記目標空燃比に基づいて定められる燃料の量である基本量を基準にした変化量であり、前記第2変更量が該基本量を基準にした変化量である制御装置。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の制御装置において、
    前記第4時点において定められる前記第2変更量が前記第1時点における前記第1変更量よりも小さい場合、前記第4時点にて前記空燃比の制御および前記排ガスの温度の制御の双方が行われる制御装置。
  5. 請求項4に記載の制御装置において、
    前記第4時点における前記目標空燃比が、前記第1時点における前記目標空燃比よりも小さい制御装置。
  6. 請求項5に記載の制御装置において、
    前記第4時点における前記目標空燃比が、前記第4時点における前記第2変更量と前記基本量との和が前記基本量によって除算されて得られる値によって前記第1時点における前記目標空燃比が除算されて得られる空燃比である制御装置。
  7. 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の制御装置において、
    前記第4時点において定められる前記第2変更量が前記第1時点における前記第1変更量よりも小さい場合、該第2変更量が該第1変更量以上の量に修正された上で、前記第4時点において前記空燃比の制御および前記排ガスの温度の制御のうちの前記排ガスの温度の制御のみが行われる、制御装置。
  8. 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の制御装置において、
    前記第4時点において定められる前記第2変更量が前記第1時点における前記第1変更量よりも小さい場合、該第2変更量が該第2変更量と該第1変更量との和に修正された上で、前記第4時点において前記空燃比の制御および前記排ガスの温度の制御のうちの前記排ガスの温度の制御のみが行われる、制御装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の制御装置において、
    前記第2変更量が、前記内燃機関の運転状態に基づいて定められ且つ前記第1時点における前記第1変更量よりも大きい基準変更量に前記触媒の現在温度が前記触媒の収束温度に近づくほど1に近づく補正係数が乗算されて得られる補正変更量である、制御装置。
  10. 請求項9に記載の制御装置において、
    前記補正係数が、前記触媒の現在温度と前記閾値温度との差が前記触媒の収束温度と前記閾値温度との差によって除算されて得られる値である制御装置。
  11. 請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の制御装置において、
    前記第1時点における前記目標空燃比が理論空燃比である制御装置。
  12. 請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の制御装置において、
    前記触媒が、前記排ガスの酸素濃度が前記混合気の空燃比が理論空燃比であるときに生じる排ガスの酸素濃度である基準酸素濃度から該酸素濃度が大きくなる方向に離れる場合に該触媒による前記排ガスに含まれる窒素酸化物の浄化率が第1の低下率にて低下し、かつ、前記排ガスの酸素濃度が前記基準酸素濃度から該酸素濃度が小さくなる方向に離れる場合に前記窒素酸化物の浄化率が前記第1の低下率よりも小さい第2の低下率にて低下する特性を有する触媒である制御装置。
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