JP2011009127A - 荷電粒子線調整方法、及び荷電粒子線装置 - Google Patents

荷電粒子線調整方法、及び荷電粒子線装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2011009127A
JP2011009127A JP2009153178A JP2009153178A JP2011009127A JP 2011009127 A JP2011009127 A JP 2011009127A JP 2009153178 A JP2009153178 A JP 2009153178A JP 2009153178 A JP2009153178 A JP 2009153178A JP 2011009127 A JP2011009127 A JP 2011009127A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
deflector
charged particle
particle beam
sample
visual field
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009153178A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5414385B2 (ja
Inventor
Kenichi Myochin
健一 明珍
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi High Tech Corp
Original Assignee
Hitachi High Technologies Corp
Hitachi High Tech Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi High Technologies Corp, Hitachi High Tech Corp filed Critical Hitachi High Technologies Corp
Priority to JP2009153178A priority Critical patent/JP5414385B2/ja
Publication of JP2011009127A publication Critical patent/JP2011009127A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5414385B2 publication Critical patent/JP5414385B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Electron Sources, Ion Sources (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、種々の要因で対物レンズの光軸等に、ビームが斜めに入射されたときに生ずる諸問題を解決する荷電粒子線調整方法、及び荷電粒子線装置の提供を目的とする。
【解決手段】上記目的を達成するための一態様として、荷電粒子線の走査領域を試料上で移動する第1の偏向器に対し、第2の偏向器によって、荷電粒子線の第1の偏向器に対する入射位置を調整し、第1の偏向器は、前記入射位置の調整が行われた荷電粒子線を、対物レンズの光軸に沿って前記試料に入射するように偏向する方法、及び装置を提案する。当該方法、及び装置によれば、荷電粒子線を対物レンズの光軸に沿って適正に試料に入射することが可能となる。
【選択図】 図6

Description

本発明は、光軸を調整するための偏向器を備えた荷電粒子線装置、及び荷電粒子線の調整方法に係り、特に、対物レンズに対し荷電粒子線の軌道を適正化する方法、及び装置に関する。
荷電粒子線装置は、試料上に電子ビームやイオンビームを走査することによって、検出される荷電粒子(電子やイオン等)に基づいて、画像形成、或いは対象試料上のパターン等の測定や検査を行う装置として知られている。所望の個所やパターン等の画像を形成、或いは測定,検査を行うためには、荷電粒子線の走査位置と、試料上の測定位置等を一致させる必要がある。荷電粒子線の走査領域は視野(Field Of View:FOV)とも呼ばれ、当該FOVの位置を試料上の所望の位置に位置づけるための手法として、試料が配置された試料ステージを、移動することによって、FOVを試料上の所望の位置に位置づける手法、及び荷電粒子線を偏向する偏向器を用いて、FOVの位置を移動する手法がある。
荷電粒子線の偏向によって、FOVの位置を移動する手法(以下、イメージシフトと称することもある)は、試料ステージを用いたFOV移動と比較すると、高精度、且つ高速にFOVを移動できる利点がある。特許文献1には、そのようなイメージシフトをより高精度に実現する手法が説明されている。
また、対物レンズや非点補正器のような光学素子の光軸に、荷電粒子線が一致していないと、高い解像度の画像を取得することができない。特許文献2には、光学素子の光軸に荷電粒子線を一致させるために、アライメント偏向器を用いた調整を行うことが説明されている。
特開2008−84626号公報 特開2003−022771号公報
視野移動のための偏向は、収差発生を抑制するために、対物レンズの光軸と対物レンズのレンズ主面の交点を、偏向支点として行われる。このように、レンズ主面上のビーム軌道位置を維持しつつ、試料面上の視野位置を移動するため、レンズ光軸に対し、ビームが傾斜して照射されることになる。また、そのビームの傾斜角は、視野移動量に応じて変化することになる。
ビームが試料に傾斜して照射されると、ビームが光軸に沿って照射される場合と比較して、走査領域の大きさが変化することになる。特に、視野移動のための偏向器に適正にビームが入射されていない、或いは視野移動しない状態で対物レンズに適正に電子線が入射されていないと、視野移動の方向によって、走査領域の大きさが変化することになる。即ち、視野移動を行った方向によって、倍率が変化する可能性がある。仮に同じ寸法のパターンを測定したとしても、視野移動の方向によって、測定寸法が異なることになり、十分な測定精度を確保できないことが考えられる。
また、視野移動を使用しない場合であっても、ビームが対物レンズ光軸に対して斜めに入射すると、測定対象パターン等の見え方が変化する場合がある。
特許文献1に説明されているようなイメージシフト量を高精度に調整する技術によれば、適正な位置への高精度なイメージシフトを行うことが可能となるが、ビームが適正にレンズ等に入射されていないことによって生ずる倍率変動等については何等論じられていない。
また、特許文献2に説明されているような軸調整技術は、対物レンズや非点補正器への軸調整を高精度に行うことを可能とするものであるが、走査領域の移動方向によって変化する倍率誤差や寸法測定誤差等については何も論じられていない。
以下に、種々の要因で対物レンズの光軸等に、ビームが斜めに入射されたときに生ずる諸問題を解決することを目的とする荷電粒子線調整方法、及び荷電粒子線装置を説明する。
上記目的を達成するための一態様として、荷電粒子線の走査領域を試料上で移動する第1の偏向器に対し、第2の偏向器によって、荷電粒子線の第1の偏向器に対する入射位置を調整し、第1の偏向器は、前記入射位置の調整が行われた荷電粒子線を、対物レンズの光軸に沿って前記試料に入射するように偏向する方法、及び装置を提案する。
上記構成によれば、荷電粒子線を対物レンズの光軸に沿って適正に試料に入射することが可能となる。
電子線軌道を調整する工程を説明する図(その1)。 電子線軌道を調整する工程を説明する図(その2)。 電子線軌道を調整する工程を説明する図(その3)。 視野移動量と測長値との関係を示す特性カーブの一例を説明する図。 電子線軌道を調整する工程を説明する図(その4)。 2段の偏向器によって軸調整を行った電子線軌道の概念図。 電子線軌道を調整する工程を説明するフローチャート。 異なる視野移動位置にて測定を行う手法の一例を説明する図。 視野移動量と測長値との関係を示す特性カーブの一例を説明する図。 異なる視野移動位置にて測定を行う手法他の例を説明する図。 視野移動量と測長値との関係を示す特性カーブの他の一例を説明する図。 同一ピッチの凹凸部が形成されている試料の一例を示す図。 二次電子放出効率の異なる2以上の部材を交互に配列した試料を示す図。 アスペクト比の大きい試料の一例を示す図。 X方向とY方向のそれぞれの方向で特性カーブを形成可能とする試料の一例を説明する図。 ホール状のパターンが形成された試料の一例を示す図。 走査電子顕微鏡の概略構成図。 走査電子顕微鏡の走査用偏向器近傍を拡大した図。 走査電子顕微鏡の走査用偏向器近傍を拡大した図。 視野移動用の偏向器にて、視野移動を行った例を説明する図。 視野移動用偏向器による視野移動によって、走査領域の大きさが変化する例を説明する図。 視野移動を行わないときのSEM画像とラインプロファイルの一例を説明する図。 視野移動を行ったときのSEM画像とラインプロファイルの一例を説明する図。 視野移動量と測長値との関係を示す特性カーブの一例を説明する図。 視野移動用偏向器による視野移動によって、走査領域の大きさが変化する例を説明する図。 視野移動を行わないときのSEM画像とラインプロファイルの一例を説明する図。 視野移動を行ったときのSEM画像とラインプロファイルの一例を説明する図。 視野移動量と測長値との関係を示す特性カーブの一例を説明する図。 光軸調整用の偏向器を備えた光学系の一例を説明する図。 傾斜した電子線と高アスペクト比のパターンとの関係を説明する図。 傾斜しない電子線の照射に基づいて得られた高アスペクト比のパターンの画像例を説明する図。 傾斜電子線の照射に基づいて得られた高アスペクト比のパターンの画像例を説明する図。 試料に垂直入射する電子線を視野移動用の偏向器にて偏向して視野移動した例を説明する図。 試料に垂直入射する電子線を視野移動用の偏向器にて偏向して視野移動したときに得られる視野移動量と、走査領域との関係を示す特性カーブの一例を説明する図。 傾斜電子線を視野移動用の偏向器にて偏向して視野移動した例を説明する図。 傾斜電子線を視野移動用の偏向器にて偏向して視野移動したときに得られる視野移動量と、走査領域との関係を示す特性カーブの一例を説明する図。
荷電粒子を用いた顕微鏡の一態様として、電子線を用いた走査電子顕微鏡を図17に示す。なお、以下の説明では走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を例に採って説明するが、以下の実施例は、走査電子顕微鏡以外の他の荷電粒子線装置にも適用が可能である。例えば、ヘリウムイオン、或いはガリウム等の液体金属イオン源から放出されるイオンビームを試料に照射するイオン顕微鏡等への適用も可能である。
電子銃制御部1015は、電子源1001等への印加電圧を制御するために用いられる。電子源1001から図示しない引出電極及び加速電極によって引き出された電子線は、第1レンズ制御部1016によって制御される第一コンデンサレンズ1002によって収束され、絞り1029によって、所望の電流量に調整される。
絞り1029を通過した電子線は、第2レンズ制御部1017に制御される第二コンデンサレンズ1003によって収束され、対物レンズ制御部1023によって制御される対物レンズ1009に入射する。対物レンズ1009によって集束された電子線は、試料ステージ1011上に載置された試料のパターン1010上に照射される。試料ステージ1011は、試料ステージ制御部1025によって制御され、試料上の所望の位置に電子線が制御されるよう、試料を移動する。なお、図17の例では、各レンズが電磁レンズであるものを例に採って説明しているが、これに限られることはなく、静電レンズを用いるようにしても良い。
試料に対する電子線照射によりパターン1010から放出される電子(二次電子,後方散乱電子等)を、検出器1014で検出し、演算処理装置1026で電子線走査タイミングと同期をとって、モニター1028上に観察画像として表示する。検出器1014で検出された電子に基づく信号は、検出器制御部1024によって増幅され、演算処理装置1026に送られる。演算処理装置1026には、入力装置1027が接続され、当該入力装置1027からの入力情報に基づいて、パターンの測定,検査等の処理を行うように動作する。
次に、パターン1010上での電子線走査方法を、図17の走査用偏向器近傍を拡大した図18を交えて説明する。図18に図示するように電子線は、走査用上段偏向器1005、及び走査用下段偏向器1007の二段の偏向器によって偏向される。この偏向の際には、対物レンズ1009で発生する収差の影響が少なくなるように、対物レンズの中心1104(対物レンズの主面と対物レンズ光軸の交点)を、支点として電子線が走査される。外郭線1105は、電子線が走査されるときの電子線軌道の外郭を示している。
電子線走査の際には、走査用上段偏向器1005の偏向角度θU_DEFと、走査用下段偏向器1007の偏向角度θL_DEF1102との角度比率が維持された状態で、電子線が往復偏向される。観察倍率の調整は、上下段の偏向器の偏向角度の大きさを変えることによって行われる。偏向角度の大きさが変化すると、試料上での走査領域1103の大きさが変わり、結果としてモニター上の観察倍率が変わる。走査用上段偏向器1005と、走査用下段偏向器1007は、それぞれ走査用上段走査制御器1019,走査用下段走査制御器1020によって制御される。
観察すべき試料1201(例えば測定対象パターン)が、電子線走査領域1103の中心、即ち観察視野の中心にない場合、観察視野を移動する方法としては、試料を物理的に移動する視野移動法と、電子線を偏向することによる電磁式視野移動法がある。試料移動による視野移動方法を図19に示す。試料ステージ制御部1025で試料ステージ1011の移動量,方向を制御し、物理的に観察すべき試料1201を、走査領域1103の中心となるように、図中矢印の方向に移動する。
次に、電子線を偏向することによって、視野を移動する視野移動法について説明する。なお、以下の説明では、偏向コイルを用いた電磁式視野移動法を例に採って説明するが、これに限られることはなく、例えば静電偏向による視野移動法を採用しても良い。試料移動による視野移動法は、試料ステージ1011の機構的な精度,移動量の再現性,移動時間等の問題から、数十ナノメートルオーダーが一般的に限界である。そこで、精度,速度を向上させるなどを目的に、電磁式の偏向器により、走査領域を電磁気的に移動することで視野を移動する電磁式視野移動法が使用される。
電磁式視野移動偏向器を使用した電磁式視野移動法の例を図20に例示する。電磁式視野移動法においても、電子線の走査と同様に対物レンズの収差等の問題から、走査時の中心軌道1304が対物レンズの中心1104を通るように、電磁式視野移動用上段偏向器1006,電磁式視野移動用下段偏向器1008の二段で偏向する。これらの偏向器はそれぞれ上段用視野位置制御器1021,下段用視野位置制御器1022によって制御される。
上段の偏向角度θU_IS,下段の偏向角度θL_ISを調整し、その角度比率を維持したまま、偏向角度を制御し、電子線の中心軌道1013を偏向することで試料1201上に走査領域1103を移動し、観察視野を移動する。電子線が対物レンズの中心1104を通過する状態を維持しつつ、試料上の視野を移動することになるため、電子線は対物レンズ光軸、及び試料表面方向に対し斜めに照射されることになる。
この入射角度θISを、試料傾斜が可能な試料ステージにて補正することも考えられるが、一般的に視野移動速度,移動精度の点で、電磁式視野移動に劣る機械的な補正手段を介入させることは、電磁式視野移動を採用する効果を損ねることになる。
電子線が試料に対し傾斜して入射することで生じる現象を以下に説明する。図21〜図24は、視野移動前後のパターンの測定寸法値の変動現象を説明する図である。図21は、対物レンズ1009のレンズ中心を偏向支点とした視野移動を行う前の視野の大きさと、視野移動を行った後の視野の大きさに違いが生ずる原理を説明するための図である。視野移動を行わない場合には、中心軌道1402(視野中心1408)を中心として電子線が走査される。一方、視野移動を行うと、中心軌道1403(視野中心1409)を中心として電子線が走査される。
視野移動を行わない場合の対物レンズのレンズ中心を走査支点とした走査偏向角度はθDEF1である。一方、視野移動を行ったとしても、走査信号が一定であれば、走査偏向角度は実質的に変わらないため、θDEF2はθDEF1と等しくなる。そのため、傾斜して照射される分、走査領域1407は、走査領域1406より大きくなる。
走査領域が大きければ、相対的に倍率が低くなるため、視野移動を行えば、倍率が低くなり、更に視野移動量が大きいほど、倍率が低くなることがわかる。図22は、視野移動を行わない状態で取得した画像、図23は視野移動を行った状態で取得した画像の一例を説明する図である。図22と図23では同じパターン1418を画像化した例を説明しているが、画像の水平方向の信号プロファイルに基づいて、パターンの寸法測定値L1とL2を比較してみると、L1>L2となることがわかる。
一方、図25〜図28では、アスペクト比が大きいパターン(電子線光軸方向を高さ方向、光軸に垂直な方向を幅方向としたときに、高さ方向の寸法/幅方向の寸法が所定値以上(例えば3以上)となるようなパターン)の視野移動前後の測定寸法値の変動現象を説明する図である。図21での説明と同様に、視野移動を行うと走査領域が大きくなるが、電子線を傾斜して走査するため、パターンの側壁が画像上で表現され、側壁部分から放出された電子の影響により、パターンが太く測定されることがある。即ち、L3<L4となる場合がある。
以上の現象を統括すると、アスペクト比が小さいパターンを測定するときに、電子線偏向による視野移動を行うと、視野が対物レンズ中心から離間するに従って、寸法値も減少していくことがわかる。即ち、縦軸を測長値、横軸を視野移動量とした場合の測長値の変化は図24のようになることがわかる。一方、アスペクト比が大きいパターンを測定すると、パターン側壁が測長値に含まれることがあるため、図28のように、視野移動量が大きくなるにつれて、測長値も大きくなる場合がある。
以上のように、試料のアスペクト比や、測長時における信号プロファイルのエッジの決め方により、電磁式視野移動量に対する測長値変化の特性は、凹凸形状や、視野移動量に対する変化率などが変化する。
以上のような前提において、以下に電子光学系の軸合わせ(以下、アライメントと称することもある)の必要性について説明する。まず、荷電粒子を使用した観察装置は、図17に示した走査型電子顕微鏡のように、電子源1001,第一コンデンサレンズ1002,第二コンデンサレンズ1003,対物レンズ1009,試料ステージ1011などの構成要素からなり、これらの構成要素は、装置の設計思想に基づいた光学的な距離を持って配置される。このように複数の構成要素が複合しているため、電子光学系の機械的な公差や、電磁レンズの電磁気的な中心ズレが存在する場合には、それを補正するためにも、電子ビームの軸合わせを行う必要がある。
そのための電子光学的な軸合わせ調整手法を図29に例示する。図29は、電子源1001,第一コンデンサレンズ1002,第二コンデンサレンズ1003に共通する電子光学的な軸1501が、対物レンズ1009の電子光学的な軸1502とずれている例を説明する図である。軸ずれ量(本例の場合、軸ずれ量1505)の合わせ込みには、物理的にレンズを移動することが考えられるが物理的な移動であることから、その調整精度や、レンズ自身の傾きにより完全には調整することは困難である。また、図29の例では、第二コンデンサレンズ1003までの電子光学的な軸1501が、対物レンズの電子光学的な軸1502と平行であると仮定したが、不平行である場合には、レンズ条件を変えた場合も考慮するとさらに調整は困難になる。
そこで、最終的な追い込みとして、偏向器1004を使用し、電子線の中心軌道1013が対物レンズ1009のレンズ中心を通るように、電磁気的な手段で調整することが考えられる。
しかしながら、偏向器1004の偏向作用を用いて調整することから、電子線の中心軌道1013は、偏向器1004で角度θALOだけ傾斜させることになる。その結果、図29の例では、試料に対する電子線は入射角度θALIだけ傾斜することになる。図29の例では、第二コンデンサレンズ1003までの電子光学的な軸1501が水平方向にずれていた場合の例であることから、偏向角度θALOと試料への入射角度θALIは等しいが、電子光学的な軸1501が、電子光学的な軸1502に対し、不平行な場合もあり偏向角度θALOと入射角度θALIは一致しない場合もある。電子源1001をはじめ、各レンズ群の製作精度や、軸調整する際の調整者の癖,スキルといった問題も考慮すると、入射角度θALIを零にするということは困難であり、結果として複数の装置間においても、装置毎にこの角度は不定なものとなる。
また、軸合わせが適正に行われていないと、イメージシフトを行っていないような場合でも、試料に対しビームが傾斜して照射されてしまう場合もある。例えば、図30に例示するように、ホールパターンが含まれる試料1601に電子線がθAL1だけ傾斜して入射すると、図32に例示するようにホール開口部1604は見えるものの、ホール開口部より小さい穴底1603の一部は、開口部1604に隠れて見えなくなる。図31は、電子線が対物レンズ光軸に沿って入射した場合のSEM画像を例示するものであり、穴底1603の全体がSEM画像上に表示されている。
一般的に、高い分解能で観察しようとした場合には、電磁式視野移動用上段偏向器1006,走査用下段偏向器1007の電磁気的な外乱や、電子線の中心軌道1013を傾斜することによる、対物レンズ1009の収差や、電磁式視野移動偏向器で発生する偏向収差等の影響をさけるために、電磁式視野移動は極力使用しないことが望ましい。
ところが、軸合わせが適正に行われていないと、電磁式視野移動を使用しなくとも、電子線が傾斜して照射される場合があり、高精度測定や、高アスペクトパターンの測定において、十分な精度を確保できない可能性がある。
更に、イメージシフトを用いて視野移動を行ったときにも、以下のような現象が発生する可能性がある。図33,図34は、イメージシフトを用いて視野移動を行った場合に、走査領域の大きさ(或いはパターンの寸法値)が変化することを説明する図である。試料位置A1704,試料位置B1705、及び試料位置C1706に配置されているパターンは同寸法のものである。図33は、電子線の入射角度(図29のθAL1)が0[度]で調整された状態を示すものである。
図34は、横軸を電磁式視野移動量、縦軸に走査領域の大きさとしたグラフであって、電磁式視野移動量の変化と走査領域の大きさの変化との関係を説明する図である。パターン1010が、試料位置A1704,試料位置B1705,試料位置C1706に存在するときに、これらの位置に視野を移動するために、電磁式視野移動を使用すると、電子線中心軌道は、それぞれ中心軌道A1703,中心軌道B1701,中心軌道C1702となり、電子線の試料への入射角度θISは変化する。
特性曲線1716は、走査領域の大きさの変化の推移を示しており、試料位置A1704時の走査領域はLA1、試料位置B1705時はLB1、試料位置C1706時はLC1に対応する。
特性曲線1716から明らかなように、電磁式視野移動量が0のときが最も走査領域が狭く、かつ移動量が0の位置を中心とした線対称な特性を示す。図33の状態で、電磁式視野移動を領域Wの範囲で行った場合、そのときの走査領域の変化幅はΔL1となる。
図35,図36は、電子線の入射角度θALIが0度でない光学条件で、視野移動を行ったとき場合における走査領域の大きさの推移を説明する図である。図35の例では、試料位置B1705において、電子線は入射角度θALIの角度で傾斜している。
電子線が対物レンズ光軸に平行に入射されている場合と異なり、視野移動の方向によって、走査領域の大きさ変化の程度が異なることがある。具体的には、図33と図35を比較すると、試料位置A1704に入射する電子線の入射角は図35の方が小さくなり、試料位置C1706では大きくなる。
特性曲線1724は、図35の光学条件における走査領域の大きさの変化の推移を示しており、試料位置A1704時の走査領域はLA2、試料位置B1705時はLB2、試料位置C1706時はLC2に対応する。
図34に例示した特性曲線と異なり、視野移動量がゼロのときに走査領域の大きさが最小とはならず、図36に例示するように、視野移動量がゼロ以外の位置(点1717)の点で、走査領域の大きさが最小値となる。図34の例と同様に、視野移動をWの範囲で行ったとすると、そのときの走査領域の変化幅はΔL2となる。
以上のことから、図33の光学条件の場合と、図35の光学条件との場合では、電磁式視野移動量にともなう走査領域の変化による倍率の変化幅,測長機能を有する装置であれば測長値の変化幅が異なり、また、視野移動量にともなうそれらの変化率も異なる。上記問題は、倍率,測長機能に特化した測長SEMにおいては、特に無視できない問題となりつつある。
昨今の半導体デバイスに対するプロセス管理においては、小数点2桁オーダーの倍率変化率で、かつ、測長再現性,測定装置間の測長値に対する誤差など、数百ピコメートルオーダーの精度が要求されてきており、これまで許容できていた試料への入射角度に依存するそれらに対する影響が無視できなくなりつつある。
また、試料から得られる信号のプロファイルを用いた測長を実施する場合においては、観察対象の形状により図24,図28に例示するように特性カーブの形が変化することに加え、図34,図36に例示するように、装置毎に最小点となる電磁式視野移動量が異なると、視野移動量に対する測長値の変化に対する補正が複雑となり、仮に補正を実施した場合でも、再調整等により光学条件を変更するとその都度、補正のための特性評価を実施しなければならないといった問題がある。
上記各種課題に対し、本実施例では以下のような手法を提案する。本実施例では、視野移動を行った際に、倍率或いはパターン測定値の変化の推移が、対物レンズ光軸を中心として対称となるように、電子線を偏向する。このような構成によれば、視野移動を行わない状態で、電子線を試料に垂直に入射するように光軸を調整することになり、視野移動に対する走査領域の変化量,装置毎における入射角度のばらつきの発生を抑えることが可能となる。更に、電磁式視野移動に対する倍率、試料に依存した測長値変化を、自動的に補正する機能を設けるようにしても良い。
図1〜図6は、電子線軌道を調整する工程を説明する図である。本実施例では、偏向器1004と、イメージシフトに用いられる電磁式視野移動用上段偏向器1006を用いて、光軸調整を行う例について説明するが、例えば、イメージシフトに用いられる偏向器ではない他の偏向器を用いて、軸調整を行うようにしても良い。この場合、当該他の偏向器は、電磁式視野移動用上段偏向器1006と同じ高さに配置される。また、走査用の偏向器と視野移動用の偏向器を共通化し、当該偏向器に走査用信号と視野移動用信号を重畳するようにしても良い。図7は調整工程を説明するフローチャートである。
図1は、偏向器1004で電子線の中心軌道1013を対物レンズ1009の中心1104を通るように調整した光学系を説明する図であり、特に偏向器1004より下の電子軌道の概略を説明する図である。図1に例示するような光学条件にて、電磁式視野移動を使用すると、そのときの視野移動量と走査領域の関係は、例えば図36のようになってしまう。そこで、図7に例示する調整ステップにて、パターン1010に電子線が垂直に入射するように、光学条件の調整を行う。
本例では、最終的に電磁式視野移動量が0の状態で、電子線軌道が対物レンズ光軸に一致するように、電磁式視野移動用上段偏向器1006を調整すべく、その前段階で、偏向器1004の偏向角度(θAL0)を調整する。以下にその具体的な調整法を説明する。
まず、図2に示すように、観察条件での対物レンズ物点0101を、電磁式視野移動用上段偏向器1006の偏向開始点と一致する位置0102に移動する。一致させる方法としては、シミュレーション等による計算によってレンズ条件を制御する方法もあるが、手動で実施する場合、或いは演算処理装置1026の図示しない記憶媒体に記憶されたプログラムを用いて制御を行う場合には、例えば図7のSTEP1からSTEP4を実行すればよい。
STEP1で、電磁式視野移動用上段偏向器1006の一段偏向で往復偏向を開始し、更に対物レンズ物点0101を下げる(STEP2)。その状態で観察画像が移動するか評価する(STEP3)。観察画像が移動している状態とは、電磁式視野移動用上段偏向器1006の偏向開始点と対物レンズ物点が一致していてない状態であるため、さらに対物レンズ物点を下方に移動する(STEP4)。対物レンズ物点0101が、あらかじめ電磁式視野移動用上段偏向器(1006)の下にある場合は、上方に移動することになる。STEP3で観察画像が移動しなくなるまで、対物レンズ物点の移動を繰り返す。観察画像が移動しなくなった位置が、電磁式視野移動用上段偏向器1006の偏向開始点と対物レンズ物点とが一致した時であり、電磁式視野移動用上段偏向器1006での往復偏向を中止する(STEP5)。
なお、何等かの事情により、対物レンズ物点と上段偏向器の偏向支点の位置が最初から一致している場合には、STEP1〜STEP5の処理を省略することができる。
次に、パターン1010に対する電子線入射角度の確認方法、及び電子線の入射角度を補正するために求められる電磁式視野移動量に対する走査領域の変化特性の取得方法について、図3,図4および、図7のフローチャート中のSTEP6〜STEP9を例にして説明する。なお、図4では視野移動量が大きくなるにつれて測長値が増大する例を説明しているが、上述したように、視野移動量が大きくなるにつれて、測長値が小さくなる場合もある。
図3に例示するように位置0107に、パターン1010を。試料ステージ等を用いて移動する(STEP6)。当該パターンに視野が位置づけられるように、電磁式視野移動用上段偏向器1006を用いて視野移動を行う(STEP7)。そして当該視野位置にて走査用偏向器を用いて電子線を走査し、パターン1010の寸法を測長する(STEP8)。
このときの測長値は電子線の傾斜による走査領域の大きさ変化を反映した結果が得られる。図4に例示するように、横軸0112に電磁式視野移動量、縦軸0113に測長値をとって電磁式視野移動量に対する測長値変化特性を取得するために、例えば試料位置0106,0108等に対し、STEP6からSTEP9を繰り返す。STEP6からSTEP9を特性カーブ0114で最小点0115の存在が確認できるまで繰り返す。ここでは、最小点0115を測定した際の視野移動量ΔISを検出することが目的であり、最小点0115が求まるまで測長を繰り返しても良いし、数点の測長結果から特性カーブを外挿し、最小となる視野移動量0116を求めてもかまわない。このとき最小点0115が電磁式視野移動量の0のところにあれば、電子線が傾斜していないと判断する(STEP10)。なお、図7のフローチャートでは、STEP6にてステージ移動を行っているが、例えば複数のパターン1010が所定間隔毎に配列されているような試料を用いる場合には、ステージ移動を省略することができる。この場合、複数のパターンは必ずしも等間隔で配置されている必要はなく、特性カーブ1114を形成するのに必要なパターンが配列されていれば良い。また、複数のパターン1010が同寸法である必要もなく、複数のパターンの寸法関係が明らかであれば、その関係から、特性カーブ1114を導き出すようにしても良い。
上述のようにして求められた最小点0115を測定したときの電磁式視野移動量0116から、対物レンズ中心1104を通る軸0117と、電子線の中心軌道1013との離軸量ΔWOを求める。離軸量ΔWOは、そのときの電磁式視野移動量ΔISを対物レンズ1009の光学倍率MOBJで除算すればよく、式で表すとΔWO=ΔIS/MOBJで求まる。
次に、図5に例示するように離軸量ΔWOの分だけ、荷電粒子源と電磁式視野移動用上段偏向器1006との間に配置された偏向器1004で補正偏向角ΔθAL偏向する(STEP11)。ΔθALは、偏向器1004と電磁式視野移動用上段偏向器1006との物理的な距離LISと、離軸量ΔWOとの関係から求めることができる。偏向器1004の制御信号に対する偏向感度K1を求めておけば、偏向角度が小さい領域では計算で偏向信号量を求めることができる。また、ΔWO等と偏向器の制御信号との関係をテーブル化しておいても良い。
以上のように偏向器1004によって、補正偏向角ΔθAL分、電子線を偏向することで、電子線の中心軌道は、軌道0120を通ることになる。即ち、電子線は、電磁式視野移動用上段偏向器1006の偏向開始点(偏向支点)を通る反面、対物レンズの中心1104を通らない軌道となる。そこで、電磁式視野移動用上段偏向器1006を使って、試料ステージに対して垂直かつ対物レンズの中心を通る軸0117と一致するようにΔθISだけ偏向補正する(STEP12)。
図5は電磁式視野移動制御部0122の出力信号に、ΔθIS分,電子線を偏向する傾斜補正制御部0123の出力信号を加算して、電磁式視野移動用上段偏向器1006に供給する構成を例示するものである。なお、本例では傾斜補正用の信号と、視野移動用の信号を重畳して電磁式視野移動用上段偏向器1006に供給する例を説明しているが、これに限られることはなく、例えば、傾斜補正用の偏向器を別に設け、傾斜補正制御部0123の出力信号を重畳することなく、当該偏向器に供給するようにしても良い。
傾斜補正制御部0123の出力信号は、対物レンズ1009の焦点を徐々に変化させたときの画像の変化をモニターすることによって求められる。具体的には、対物レンズ1009が磁界型レンズの場合、焦点を変化すると、画像が回転する。画像が回転するときにその回転中心(視野中心)が固定であれば、電子線軌道と対物レンズ中心が一致した状態であることがわかる。よって、当該条件を見出すために、焦点変化を繰り返した状態で、傾斜補正制御部0123の出力信号を変化させ、回転中心の移動が止まった信号を、補正信号(θIS)とする。
なお、ΔθALとΔθISとの関係を示す係数K2を求めておけば、対物レンズの倍率MOBJ,偏向感度K1から、測長点が最小となるΔISを測定することで、偏向器1004,電磁式視野移動用上段偏向器1006の補正量が計算で求まり、自動化が図れる。
STEP11までの制御により、試料に電子線が垂直に入射する条件として調整できたので、対物レンズの物点を通常の観察条件に戻す(STEP12)。最終的に調整された電子線の軌道の概念図は図6となる。
図3,図4に例示した電磁式視野移動量に対する測長値変化特性の取得方法の他の例を、図8,図9に示す。図8及び図9の例示では、変化特性の取得方法が分かりやすいように、電磁式視野移動量を使用していない状態で電子線入射角度が0[度]に調整された場合を示してある。図8では、同一のパターン1011を、試料位置1(位置0304),試料位置2(位置0305),試料位置n−1(位置0306),試料位置n(位置0307)に移動しながら、そのときの電磁式視野移動量と測長値から図9のような電磁式視野移動量に対する測長値変化の特性カーブを取得する。試料ステージの精度上、同一間隔での移動が困難である場合は、そのときの移動幅L1〜Lnには特にこだわらず、各々の試料位置の時に使用した視野移動量と測長値の関係から、図9に例示するような特性カーブを取得する。図9の例では下方に凸状の特性例を示したが、前記したように、試料の形状によっては、前述したように、上方に凸状の特性カーブとなる場合もある。上に凸の場合は、値が最大となる電磁式視野移動量に着目すればよい。
図10,図11は、試料ステージ等による試料移動を行わずに特性カーブを取得する例を説明する図である。本例では、寸法校正用などに使用される同一のピッチ幅の凹凸部0317が刻まれた試料0316を使用する。本例では、試料ステージによる試料移動を伴わず電磁式視野移動のみで、測長するピッチを移動しながら測長し、図11に例示するような特性カーブを取得する。
電磁式視野移動にともなう測長値の変化特性を得るための試料としては、例えば図12〜図16に例示するような形状に特徴のある試料を用いることも可能である。図12は同一ピッチの凹凸部0401が形成されている試料の一例を示す図である。図13は、二次電子放出効率の異なる2以上の部材を交互に配列した試料を示す図である。具体的には、材料A0402と材料B0403が交互に配列されている。このような試料によれば、凹凸状の形状変化がなくとも、走査領域の大きさの変化を検出することが可能である。図14は、例えば図12に例示した試料と比較して、アスペクト比を大きくした試料を示す図である。当該試料はアスペクト比を大きいため、電子線の傾斜に対し、より傾斜に対する影響を受けやすくなっている。よって、特性カーブの変化を、感度高く検出することができる。図15は、X方向とY方向のそれぞれの方向で特性カーブを形成可能とする試料の一例を説明する図である。図16はホール状のパターンが形成された試料の一例を示す図である。
上記実施例では、種々の視野移動量の検出例を説明したが、図13に例示した試料の場合、電磁式視野移動にともない走査領域は大きくなるため、測長値は小さくなるのでこの場合は最大点に着目すればよい。同様に、観察画像の左右のエッジの幅,コントラスト比等や、画像の重ね合わせによる差分抽出などにより画像の変化を数値化しても同様の目的は達成できる。
また、本実施例では、垂直入射のために偏向器1004と電磁式視野移動用上段偏向器1006で補正しているが、補正のために新たな偏向器を設けても、既存のその他の偏向器で代用しても同様の機能が達成できる。
電磁式視野移動量に対する走査領域の変化から倍率変化及び測長値の変化を補正する手法を以下に説明する。図35に例示するように電磁式視野移動量を使用していない状態であるにもかかわらず、試料1011に電子線が垂直に入射してない状態では、電磁式視野移動に対する測長値の変化特性は図36のようになる。即ち、最小点1717が視野移動量が0の位置にならず、視野移動量が0の点に対し線対称な特性を示さないこととに加え、試料の凹凸といった形状の違いによる影響や、あるいは、複数の装置間で試料に対する入射角度が一定に調整されていないという影響により、装置毎においてもこの特性は全く異なったものになる。装置毎に特性が異なる影響は、同一試料を用いているにもかかわらず、電磁式視野移動量の使用状態によって、同倍率観察、同一測長値とならないことを意味する。
そこで、試料毎及び/又は装置毎に、図36に例示するような特性曲線を求め、当該特性曲線に基づいて補正式を作成する。より具体的には、特性曲線が測長値の特性曲線であれば、特性曲線から視野移動量に対する測長値の変化を表す関数を求め、その関数から、視野移動量にかかわらず、補正後の測定値が視野移動量ゼロのときの値と同じとなるような、補正のための逆関数を求める。
逆関数が求まったら、図17の演算処理装置1026に上記逆関数を保存し、使用する視野移動量に応じて、走査用上段走査制御器1019,走査用下段走査制御器1020で偏向角θU_DEF及びθL_DEFを補正し、電子線走査領域1103の大きさを、電磁式視野移動量に応じて補正する。
もしくは、電子線走査で得られる試料の信号情報を処理して得られる画像や処理結果に対して係数をかけるなどして、観察用モニター(1028)上で拡大表示したり、測長値のような数値結果であれば数値に対し補正する。このとき補正するためのテーブルないし関数の数としては、電磁式視野移動にともなう特性が、試料の形状や、装置毎の調整状態によって変わる可能性があるため、試料毎,装置毎、のすべての組み合わせでテーブル等を作成することが望ましい。また、試料の種類がN1[個]、装置の数がN2[台]あるとすると、N1×N2[回]の補正情報の作成,管理を行うことが望ましい。
電子顕微鏡は、電子源から試料に至るまで、複数の構成が複合しており、例えば、装置の電子線絞りの移動等、種々の電子光学系の変動要因が存在する。また、試料の種類によっても適正な光学条件が変化する可能性がある。
上述したような視野移動用の偏向器を使用しない状態にて、電子線が対物レンズ光軸と同軸(或いは試料表面に垂直)となるような光学調整を行うことによって、種々の電子光学系の変動要因や試料の種類の変化によらず、安定して適正な光学条件の設定が可能となる。
上述のような手法によって、試料に対し電子線が垂直に入射するように自動調整を行うことによって、複数の装置間における電子線の入射角度を統一することが可能となり、更に、電子光学条件を変えたときであっても、複数の装置間の補正テーブルや上記関数を共通化することができる。例えば、図24や図28に例示するような試料形状等に依存した特性カーブのみを取得し、複数装置間の共通データとした上で、各装置固有の補正テーブルや関数を準備することで、装置間の機差を抑制するようにしても良い。その関数等を、例えば、試料選択のためのボタンや、ツマミ等に連動して、その情報を演算処理装置1026にて判断し、走査用偏向器の走査量に補正したり、測定値自体に係数をかけて補正したりすることで、装置,視野移動量、或いは試料の種類等によらず、特定試料に対し一定の倍率,一定の測長結果を得ることが可能となる。
複数台の装置間における管理としては、稼動開始前に電子線の試料に対する入射角が垂直になるように調整することに加え、定期的に、電子式視野移動量に対する測長値の特性カーブを評価し、軸条件の補正を実行すれば、複数台の装置を常に同一特性で稼動させることが可能となる。
更に、演算処理装置1026、或いは外部の記憶媒体に、測定或いは検査対象の試料に関する設計データを記憶しておき、その設計データのレイアウトデータ上で、上述のような軸調整を実行する個所を選択するようにしても良い。この場合、軸調整のプロセスは、レシピと呼ばれる電子顕微鏡の自動制御プログラムに書き込まれ、電子顕微鏡は当該プログラムに従って、軸調整を実行する。
また、レイアウトデータを参照すれば、軸調整に好適なパターン(例えば図10に例示した試料0316)の位置を特定することができるため、所定のパターン条件を予め設定しておき、当該設定に基づいて、試料上の軸調整領域を自動設定したり、推奨個所を表示装置上に表示することで、レシピを作成するオペレータに、その情報を知らしめるようにしても良い。更に、自動設定を行う場合には、実際のパターンの測定個所に近い位置に軸調整用パターンが存在する場合(例えば、測定対象パターンから所定の距離内に、軸調整用パターンが存在する場合)に、当該パターンを軸調整用パターンとして自動選択するようにしても良い。
上述のような軸調整法によれば、視野移動を行っていない状態で、電子線を試料に垂直に入射することが可能となる。また、装置毎における視野移動に対する倍率の変化,測長値の変化のばらつきを抑えることが可能となる。また、視野移動に対する、倍率,試料に依存した測長値変化の自動補正が容易になる。
1001 電子源
1002 第一コンデンサレンズ
1003 第二コンデンサレンズ
1004 偏向器
1005 電磁式視野移動用上段偏向器
1006 電磁式視野移動用上段偏向器
1007 走査用下段偏向器
1008 電磁式視野移動用下段偏向器
1009 対物レンズ
1010 パターン
1011 試料ステージ
1012 電子線外周軌道
1013 中心軌道
1014 検出器
1015 電子銃制御部
1016 第1レンズ制御部
1017 第2レンズ制御部
1018 偏向器制御部
1019 走査用上段走査制御器
1020 走査用下段走査制御器
1021 上段用視野位置制御器
1022 下段用視野位置制御器
1023 対物レンズ制御部
1024 検出器制御部
1025 試料ステージ制御部
1026 演算処理装置
1028 モニター

Claims (10)

  1. 荷電粒子線の走査領域を試料上で移動する第1の偏向器を備えた荷電粒子線の荷電粒子線調整方法において、
    当該第1の偏向器に対する前記荷電粒子線の入射位置を偏向する第2の偏向器によって、前記荷電粒子線の前記第1の偏向器に対する入射位置を調整し、前記第1の偏向器は、当該調整が行われた前記荷電粒子線を、前記荷電粒子線を集束する対物レンズの光軸に沿って前記試料に入射するように偏向することを特徴とする荷電粒子線調整方法。
  2. 請求項1において、
    前記第2の偏向器は、前記第1の偏向器によって前記走査領域を移動させたときに、前記荷電粒子線の走査によって得られる画像の倍率、或いは当該走査に基づいて測定されるパターンの測長値の変化が、前記対物レンズ光軸を中心として、線対称に変化するように、前記荷電粒子線を偏向することを特徴とする荷電粒子線調整方法。
  3. 請求項2において、
    前記第1の偏向器による前記走査領域の移動のときに、前記対物レンズの物点を、前記第1の偏向器の偏向支点と一致させることを特徴とする荷電粒子線調整方法。
  4. 請求項1において、
    前記第2の偏向器は、前記荷電粒子線が、前記第1の偏向器の偏向支点を通過するように、当該荷電粒子線を偏向することを特徴とする荷電粒子線調整方法。
  5. 請求項1において、
    前記第1の偏向器は、前記試料上で視野移動を行う視野移動用偏向器の上段の偏向器であることを特徴とする荷電粒子線調整方法。
  6. 荷電粒子源と、当該荷電粒子源から放出される荷電粒子線の走査領域を移動する第1の偏向器と、前記荷電粒子線を集束して試料に照射する対物レンズを備えた荷電粒子線装置において、
    前記荷電粒子源と前記第2の偏向器との間に、前記荷電粒子線を偏向する第2の偏向器を備え、当該第2の偏向器は、前記第1の偏向器に対する入射位置を調整し、前記第1の偏向器は、当該調整が行われた前記荷電粒子線を、前記荷電粒子線を、前記対物レンズの光軸に沿って前記試料に入射するように偏向することを特徴とする荷電粒子線装置。
  7. 請求項6において、
    前記第2の偏向器は、前記第1の偏向器によって前記走査領域を移動させたときに、前記荷電粒子線の走査によって得られる画像の倍率、或いは当該走査に基づいて測定されるパターンの測長値の変化が、前記対物レンズ光軸を中心として、線対称に変化するように、前記荷電粒子線を偏向することを特徴とする荷電粒子線装置。
  8. 請求項7において、
    前記第1の偏向器による前記走査領域の移動のときに、前記対物レンズの物点を、前記第1の偏向器の偏向支点と一致させることを特徴とする荷電粒子線装置。
  9. 請求項6において、
    前記第2の偏向器は、前記荷電粒子線が、前記第1の偏向器の偏向支点を通過するように、当該荷電粒子線を偏向することを特徴とする荷電粒子線装置。
  10. 請求項6において、
    前記第1の偏向器は、前記試料上で視野移動を行う視野移動用偏向器の上段の偏向器であることを特徴とする荷電粒子線装置。
JP2009153178A 2009-06-29 2009-06-29 荷電粒子線調整方法、及び荷電粒子線装置 Expired - Fee Related JP5414385B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009153178A JP5414385B2 (ja) 2009-06-29 2009-06-29 荷電粒子線調整方法、及び荷電粒子線装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009153178A JP5414385B2 (ja) 2009-06-29 2009-06-29 荷電粒子線調整方法、及び荷電粒子線装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011009127A true JP2011009127A (ja) 2011-01-13
JP5414385B2 JP5414385B2 (ja) 2014-02-12

Family

ID=43565540

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009153178A Expired - Fee Related JP5414385B2 (ja) 2009-06-29 2009-06-29 荷電粒子線調整方法、及び荷電粒子線装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5414385B2 (ja)

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6298544A (ja) * 1985-10-25 1987-05-08 Hitachi Ltd 荷電粒子線装置
JPS63231851A (ja) * 1987-03-19 1988-09-27 Jeol Ltd 電子銃の自動アライメント補正方法
JPH0973871A (ja) * 1995-09-04 1997-03-18 Jeol Ltd 走査電子顕微鏡
JPH09245703A (ja) * 1996-03-13 1997-09-19 Jeol Ltd 荷電粒子ビームの軸合わせ装置
JPH10247465A (ja) * 1997-03-03 1998-09-14 Jeol Ltd 走査型荷電粒子ビーム装置
WO2002075246A1 (fr) * 2001-03-16 2002-09-26 Hitachi, Ltd. Procede de mesure des dimensions d'un motif
JP2004319235A (ja) * 2003-04-16 2004-11-11 Hitachi High-Technologies Corp 走査電子顕微鏡
JP2009043533A (ja) * 2007-08-08 2009-02-26 Hitachi High-Technologies Corp 収差補正器およびそれを用いた荷電粒子線装置

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6298544A (ja) * 1985-10-25 1987-05-08 Hitachi Ltd 荷電粒子線装置
JPS63231851A (ja) * 1987-03-19 1988-09-27 Jeol Ltd 電子銃の自動アライメント補正方法
JPH0973871A (ja) * 1995-09-04 1997-03-18 Jeol Ltd 走査電子顕微鏡
JPH09245703A (ja) * 1996-03-13 1997-09-19 Jeol Ltd 荷電粒子ビームの軸合わせ装置
JPH10247465A (ja) * 1997-03-03 1998-09-14 Jeol Ltd 走査型荷電粒子ビーム装置
WO2002075246A1 (fr) * 2001-03-16 2002-09-26 Hitachi, Ltd. Procede de mesure des dimensions d'un motif
JP2004319235A (ja) * 2003-04-16 2004-11-11 Hitachi High-Technologies Corp 走査電子顕微鏡
JP2009043533A (ja) * 2007-08-08 2009-02-26 Hitachi High-Technologies Corp 収差補正器およびそれを用いた荷電粒子線装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP5414385B2 (ja) 2014-02-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6838667B2 (en) Method and apparatus for charged particle beam microscopy
JP5164355B2 (ja) 荷電粒子ビームの走査方法及び荷電粒子線装置
US8766183B2 (en) Charged particle beam device
JP5525528B2 (ja) パターン評価方法、その装置、及び電子線装置
US7807980B2 (en) Charged particle beam apparatus and methods for capturing images using the same
JP5941704B2 (ja) パターン寸法測定装置、及びコンピュータプログラム
US7241996B2 (en) Charged particle beam apparatus
US20030006371A1 (en) Charged-particle beam apparatus and method for automatically correcting astigmatism of charged-particle beam apparatus
US20220246388A1 (en) Multiple particle beam microscope and associated method with an improved focus setting taking into account an image plane tilt
WO2010038369A1 (ja) 走査電子顕微鏡に用いられるレシピの診断装置
JP5777967B2 (ja) 荷電粒子線装置及び計測方法
WO2011152303A1 (ja) 自動収差補正法を備えた荷電粒子線装置
JP2005310602A (ja) 荷電粒子線調整方法、及び荷電粒子線装置
JP4928987B2 (ja) 荷電粒子線調整方法及び荷電粒子線装置
US20180261423A1 (en) Control Method and Control Program for Focused Ion Beam Device
US11756764B2 (en) Charged particle beam apparatus and method of controlling charged particle beam apparatus
JP2020512656A (ja) ディスプレイ製造用基板上での自動限界寸法測定方法、ディスプレイ製造用大面積基板の検査方法、ディスプレイ製造用大面積基板の検査装置及びその操作方法
JP5414385B2 (ja) 荷電粒子線調整方法、及び荷電粒子線装置
US20220148845A1 (en) Stage Movement Control Apparatus and Charged Particle Beam System
JP4431624B2 (ja) 荷電粒子線調整方法、及び荷電粒子線装置
JP3911407B2 (ja) 荷電粒子線走査式装置
WO2014109163A1 (ja) 荷電粒子線装置
US20200411281A1 (en) Pattern Measurement Device and Non-Transitory Computer Readable Medium Having Stored Therein Program for Executing Measurement
JP5389124B2 (ja) 走査荷電粒子線装置
JPH0963937A (ja) 荷電ビーム描画装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120227

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120227

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130717

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130723

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130924

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131015

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131112

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees