JP3911407B2 - 荷電粒子線走査式装置 - Google Patents

荷電粒子線走査式装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3911407B2
JP3911407B2 JP2001357108A JP2001357108A JP3911407B2 JP 3911407 B2 JP3911407 B2 JP 3911407B2 JP 2001357108 A JP2001357108 A JP 2001357108A JP 2001357108 A JP2001357108 A JP 2001357108A JP 3911407 B2 JP3911407 B2 JP 3911407B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
scanning
charged particle
image
particle beam
electron
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2001357108A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003157784A (ja
Inventor
健次郎 山本
雅嗣 亀谷
康弘 郡司
裕史 宮井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi High Tech Corp
Original Assignee
Hitachi High Technologies Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi High Technologies Corp filed Critical Hitachi High Technologies Corp
Priority to JP2001357108A priority Critical patent/JP3911407B2/ja
Publication of JP2003157784A publication Critical patent/JP2003157784A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3911407B2 publication Critical patent/JP3911407B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Measuring Leads Or Probes (AREA)
  • Electron Sources, Ion Sources (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、荷電粒子線の測定方法及び荷電粒子走査式装置に係り、とくにメモリ、LSI等の半導体装置や液晶、ホトマスク等の微細パターンの加工、検査、観察、計測などに用いる荷電粒子線の測定方法及び荷電粒子線走査式装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置は、半導体ウェハやホトマスクなどの基板に形成された回路パターンをリソグラフィー処理およびエッチング処理などにより転写する工程を繰り返すことにより製造される。このような製造過程での異物発生や各工程での不良が発生すると、半導体装置の歩留まりを悪化させるから、異物発生や工程の異常を早期あるいは事前に検知するために、製造過程における各工程毎に、形成されたパターンの検査が行われる。このようなことから、半導体装置の製造過程には、微細パターンの加工、検査、観察、計測などを行うための数多くの装置が用いられる。
【0003】
微細パターンの加工、検査、観察、計測などを行う装置には、レーザ等の光を利用した装置も多く使用されてきたが、回路パターンの微細化や回路パターン形状の複雑化、材料の多様化に伴い、必要な加工、計測等の精度が得られなくなっている。例えば光学式検査装置で検出困難な欠陥としては、光透過性材料であるシリコン酸化膜や感光性フォトレジスト材料を表面に有するパターンの残渣や欠陥、光学系の分解能を超える微細なエッチング残りや微小導通穴の非開口不良、配線パターンの段差底部に発生した欠陥、外見からでは判断できない導通不良やショート欠陥などが挙げられる。そこで、光学画像よりも高い分解能が望める荷電粒子線、特に、電子線の走査によって取得された画像を用いて回路パターンを比較検査する装置が開発されており、例えば、特開昭59−192943号公報、特開平5−258703号公報、米国特許第5,502,306号公報に記載されたものがある。以下では記述を簡単にするため、粒子線は主に電子線であるとして説明する。
【0004】
電子線を用いた装置で実用的なスループットを得るためには、非常に高速に画像を取得し、かつ高速で取得した画像の所要SN比を確保する必要があり、このために通常の走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscopy、以下SEMと略す)の100倍以上(10nA以上)の電子線電流を用い、実用的な検査速度を維持しながら画像のSN比を確保している。このとき、電子線の径は通常のSEMに比べてかなり広がっており、0.05μm〜0.2μm程度になっている。これは、電子線電流が大きいために電子銃の輝度とクーロン効果により制限される値である。このような電子光学系により取得した画像信号は、適宜の画像処理系に送られ、1つの領域に対し1つの画像を得、隣接する同一パターン部の画像との間で比較検査が実施される。画像を比較したときに異なる明るさの箇所が存在すれば、その部分を欠陥とみなしてその座標を記憶する。このような構成により、0.05〜0.1μm程度のサイズの欠陥を自動検出する。
【0005】
上記した電子線を用いた装置において、微細なサイズの欠陥検出を精度良く行うためには、ウェハに照射される電子線は安定して細く絞られていなければならず、かつウェハ上の電子線形状、寸法、密度が一定していなければならない。電子光学系には、このような電子線の状態を保つためにアパーチャ、光軸、非点収差、焦点などの調整を行う調整装置が備えられている。これらの調整装置には、初期設定において静的に調整を行うものと、非点や焦点などに代表されるように電子線走査中においてもウェハ高さや走査位置の変化に伴い調整を行うものがある。これらの調整が適切でないと、電子線画像のSN比やパターンのコントラストあるいは解像度などが低下し、得られる電子線画像の質の劣化を招き、欠陥検出精度が悪化する。
【0006】
電子線走査式装置での調整装置の細部は装置ごとに異なるが、代表的な機能は同様な構成になっている。まず、画像のSN比を確保する目的で、電子線発生源中央付近からの電子密度の高い部分を電子線として使用するため、電子線源の位置あるいはアパーチャを調整する必要がある。この機能は寿命による電子線源の交換時など、取り付け誤差を調整するために必要であり、例えば特開平10−134746号公報には、イオンビームの場合であるが、イオンビームを試料に照射し、試料から発生する2次荷電粒子量が極大となるようにイオン源の位置あるいはアパーチャを調整する方法が示されている。
【0007】
また、電子線の焦点や非点などを正確に調整するためには、電子光学系の幾何学的中心軸と電子線の中心軸を合わせる光軸調整、つまりアライナ調整が必要である。この機能は電子線源の交換時などの初期調整以外にも、電子光学系鏡体内の汚れなどに起因する経時変化を修正するために必要である。例えば特開平8−83585号公報では、スティグマ(非点調整装置)調整量の極小となる様に光軸を合わせる方法が示されている。また特開平6−203777号公報では、焦点を変化させたときに電子ビーム照射位置が動かないように光軸を合わせる方法が示されている。さらに、安定して電子線を細く集束させるため、焦点(フォーカス)や非点(スティグマ)の調整が必要である。焦点や非点は経時変化があり、定期的に調整が必要である。この調整は例えば特開平9−82257号公報では、2次元画像のフーリエ変換を用い、焦点位置、非点収差の方向を求める方法が示されている。
【0008】
上記のように電子線、一般には荷電粒子を用いた装置では、光軸、焦点、非点など荷電粒子線の状態を調整することが必須である。その調整は、従来例に示したような方法での手動調整を所定の精度が得られるまで何度も繰り返し行う必要があった。また自動調整である場合も、所定の精度が得られるまで繰り返したり、手動で微調整したりする必要があった。調整は、荷電粒子源の交換時、試料(ウェハ)の交換時、経時変化などにより誤差が大きくなったとき、検査や観察、加工などの事前の試し過程で所定の精度が得られないときに実施される。調整作業の確認は、オペレータが取得した所定パターンの画像の鮮明さをもって判断している。これらの作業は、オペレータの経験に左右する部分が多くまた、調整結果に個人差があり問題となっていた。
【0009】
さらに、電子線の走査により得られる画像の質は、上記の光軸、焦点、非点のみならず、加速電圧などの照射エネルギ、ビーム電流、画素サイズ、二次電子信号検出系の感度やフィルタ定数、チャージアップ制御値、走査条件などにも左右され、単純に絶対的な尺度で比較や判断ができないという問題があった。
【0010】
また、ウェハ等の検査装置では、欠陥検出率を高めるように調整することが必要となる。検査対象のプロセス(検査試料の材質など)やパターンサイズ、検出したい欠陥の種類によって最適値が異なるため、検査前に試行検査を実施し、検出された欠陥座標の画像を表示させ、検出したい欠陥が検出されているかを確認しながら調整の最適値を設定している。調整を実施したことにより、状態が変わり検出率が低下する場合もあり、調整の最適値を導出するためには、調整を何度も繰り返し行う必要があった。そのため、高い検出精度を得るために多大な時間と煩雑な作業を要するという問題があった。
【0011】
このような問題を解決するために、電子線の状態、即ち電子線のウェハなど所定の試料に照射される領域の形状、寸法、密度分布を測定し、その測定情報を用いて焦点、非点、集束度などを分析して各種調整に利用することが行われており、また前記測定情報を管理することにより、 所定の装置における電子光学系の状態変化(測定情報の時系列変化)から異常予測が可能となる。また、前記測定情報を複数の装置で共有することにより、所定の検査に最適な設定に確実に調整可能となる。即ち、オペレータの経験に頼っていた電子光学系の調整や診断を測定情報を用いて評価できるようになる。
【0012】
このためには電子線の状態を正確に検出する必要があり、従来から多くの技術が開発されている。それらの従来技術のうち、電子ビーム描画装置で用いられる矩形ビームのサイズ、位置、矩形ビーム四辺のエッジシャープネス、四辺の傾き、電流分布(密度分布)等を求める技術が特開平11−271458号公報に開示されている。この技術は、ピン状の標識の画像をビーム走査により取得し、予め用意したモデル波形とのフィッティング処理を行ってノイズが除去された画像信号を生成し、その解析から上記のようなビーム状態を検出している。
【0013】
また、特開平10−223502号公報には、電子線描画装置で用いられる面積ビームの形状を、直角の角を持つマークで、かつそのマーク領域に面積ビームが入ってしまう大きさのマークを用いて検出する技術が開示されている。即ち、面積ビームを上記マーク上とその角を含む範囲で二次元走査させ、こうして得られた画像信号に対して微分処理やフィルタリング処理を行って形状を検出している。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上記したような従来技術を用いて電子線の状態を検出すれば、ビーム調整を経験だけに頼らずに、より合理的・効率的に行える。しかし特開平11−271458号公報の技術は主として矩形ビームを対象としており、この場合は矩形ビームの辺のエッジを近似する2つの関数と矩形ビーム端面を近似する1つの平面関数を用いてモデル波形を与えている。同公報には、このモデル波形を変えることでスポットビームにも適用できることを指摘しているが、その具体的内容の記載はなく、また何らかのモデル波形を与えるにしても近似度を上げるのが難しく、特に正確な分布密度を得るのが困難になる。また、特開平10−223502号公報の技術によれば、ビーム形状をその形状に関係なく同様な精度で検出できるが、電子流の密度分布検出については記載がない。
【0015】
本発明の目的は、荷電粒子、とくに半導体装置の製造過程にあるウェハ上の回路パターン等の同一設計パターン間の画像情報の比較から、欠陥、異物、残渣等を電子流のスポットビームにより検査する装置の電子流の形状、寸法、密度などの照射状態を正確に測定するための荷電粒子線の測定方法と、この測定方法を具備し、測定結果の表示、ファイル化を行って調整確認作業の簡略化と確実性の向上、画質の維持、荷電粒子線状態の早期異常検出などを可能とする荷電粒子線走査式装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、走査対象物の上に設けられた測定用パターンの周辺上の、その接線方向が平行でない少なくとも2つの点を含む領域を走査領域として単一荷電粒子線により走査し、この走査により生じた生成物を検出して前記走査領域上の前記生成物の量をその輝度レベルとして持つ平面ディジタル画像情報を取得し、
この平面ディジタル画像情報の互いに平行でない2つの方向の輝度レベル微分値を算出することにより前記単一荷電粒子線の粒子密度分布画像をもとめ、この粒子密度分布画像から前記単一荷電粒子線の形状、寸法、及び密度分布を算出することを特徴とする荷電粒子線の測定方法を開示する。
【0017】
更に本発明は、前記平面ディジタル画像を取得するときの走査方向及びそれと直角な方向の画素間隔は、測定対象とする単一荷電粒子線の寸法よりも小さくなるように設定したことを特徴とする荷電粒子線の測定方法を開示する。
【0018】
更に本発明は、前記測定用パターンは、測定対象とする単一荷電粒子線の形状を内包する大きさを持つように設定したことを特徴とする荷電粒子線の測定方法を開示する。
【0019】
更に本発明は、前記測定用パターンは、1又は複数の矩形パターンであり、前記走査領域は前記矩形パターンの頂点を含む領域としたことを特徴とする荷電粒子線の測定方法を開示する。
【0020】
更に本発明は、単一荷電粒子線によって走査対象物の面を走査する走査手段と、この手段による走査により生じた生成物を検出する検出手段と、この手段により検出された生成物の量をその輝度レベルとして持つ平面ディジタル画像情報を取得する画像処理手段とを備えた荷電粒子線走査式装置において、
走査対象物の面上に設けられた測定用パターンの周辺上の、その接線方向が平行でない少なくとも2つの点を含む領域を走査領域として走査するように前記走査手段を制御する走査制御手段と、
この走査制御手段により前記走査手段を制御したときに前記画像処理手段により取得された平面ディジタル画像情報の互いに平行でない2つの方向の輝度レベル微分値を算出することにより前記単一荷電粒子線の粒子密度分布画像を算出する第1の算出手段と、
この第1の算出手段により算出された粒子密度分布画像から前記単一荷電粒子線の形状、寸法、及び密度分布を算出する第2の算出手段と、
を備えたことを特徴とする荷電粒子線走査式装置を開示する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図2は、本発明の荷電粒子線走査式装置の構成例を示しており、荷電粒子線は電子ビームとしているが、他の荷電粒子でも同様である。また、ここに示す構成例は検査装置を示しているが、観察、計測装置、あるいは画像取得可能な加工装置(例えば描画装置)であっても適応可能である。また検査方法は、試料上の1つの領域に対する画像を得、隣接する同一パターン部の画像との間で比較を行い、その差異をもって欠陥を検出する装置としている。
【0022】
図2において、本装置は大別して電子光学系システム3と光学顕微鏡部4と試料室8とからなる検査室2と、画像処理部5と、制御部6と、二次電子検出部7と、予備室(図示せず)とからなる。予備室は、室内が真空排気される検査室2内に被検査基板9を搬送するために、検査室2とは独立して真空排気できるように構成されている。
【0023】
電子光学系システム3は、電子銃10,電子線の引き出し電極11,コンデンサレンズ12,非点補正収差補正器53,ブランキング偏向器13,絞り14,走査偏向器15,対物レンズ16,反射板17,ExB(イー・クロス・ビー)偏向器18から構成されており、電子銃10で発生し引き出し電極11で引き出された電子線19がコンデンサレンズ12,絞り14,非点補正収差補正器53,対物レンズ16を通って試料9へ照射される。電子線19は細く絞られたビームであり、走査偏向器15によって試料9上を走査され、試料9から反射電子,二次電子51が発生する。二次電子はExB偏向器18によって軌道を曲げられて反射板17を照射し、第二の二次電子52が発生し、二次電子検出器20で検出される。また電子線19の試料9への照射を制限する場合は、ブランキング偏向器13で電子線19を絞り14の開口部の外に向けることによって実施する。
【0024】
試料室8は、試料台30,Xステージ31,Yステージ32,回転ステージ33,位置モニタ測長器34,試料高さ測定器35から構成されている。位置モニタ測長器34は、Xステージ31,Yステージ32,回転ステージ33の位置を実時間でモニタし、制御部6にその位置情報が送れるようになっている。また、図示していないが、Xステージ31,Yステージ32,回転ステージ33のモータの回転数等のデータも同様に、各々のドライバから制御部6に送られるように構成されている。制御部6はこれらのデータに基づいて電子線19が照射されている領域や位置が正確に把握できるようになっており、必要に応じて実時間で電子線19の照射位置の位置ずれを補正制御回路43を用いて補正できるようになっている。また、試料9がかわっても、試料毎に電子線を照射した領域を記憶できるようになっている。試料高さ測定器35には、電子線以外の測定方式である光学式測定器、例えばレーザ干渉測定器や反射光の位置で変化を測定する反射光式測定器が使用されており、Xステージ31,Yステージ32に搭載された試料9の高さを実時間で測定できるように構成されている。本構成例では、スリットを通過した細長い白色光を透明な窓越しに試料9に照射し、反射光の位置を位置検出モニタにて検出し、位置の変動から高さの変化量を算出する方式を用いた。この試料高さ測定器35の測定データに基づいて、電子線19を細く絞るための対物レンズ16の焦点距離と電子線19の照射位置の位置ずれがダイナミックに補正され、常に被検査領域に焦点が合った電子線19を照射できるようになっている。また、試料9の反りや高さ歪みを電子線照射前に予め測定してあり、そのデータをもとに対物レンズ16の検査領域毎の補正条件を設定するように構成することも可能である。
【0025】
装置各部の動作命令および動作条件は、制御部6から入力される。制御部6には、あらかじめ電子線発生時の加速電圧、電子線偏向幅、偏向速度、二次電子検出装置の信号取り込みタイミング、試料台移動速度等々の条件が、目的に応じて任意にあるいは選択して設定できるよう入力されている。制御部6は、補正制御回路43を用いて、位置モニタ測長器34、被検査基板高さ測定器35の信号から位置や高さのずれをモニタし、その結果より補正信号を生成し、電子線19が常に正しい位置に照射されるよう非点補正回路54や対物レンズ電源45や走査信号発生器44に補正信号を送る。Xステージ31,Yステージ32上には試料9が搭載されており、検査実行時にはXステージ31,Yステージ32を静止させて電子線19を二次元に走査する方法と、検査実行時にXステージ31,Yステージ32をY方向に連続して一定速度で移動するようにして、電子線19をX方向に直線的に走査する方法のいずれかを選択できる。ある特定の比較的小さい領域を検査する場合には前者の方法、比較的広い領域を検査するときは、後者の方法が有効である。
【0026】
光学顕微鏡部4は、検査室2の室内における電子光学系システム3の近傍であって、互いに影響を及ぼさない程度離れた位置に設備されており、電子光学系システム3と光学顕微鏡部4の間の距離は既知である。そして、Xステージ31またはYステージ32が電子光学系システム3と光学顕微鏡部4の間の既知の距離を往復移動するようになっている。また光学顕微鏡部4は、白色光源40,光学レンズ41,CCDカメラ42により構成されており、図示されていないが、後述する電子線画像の場合と同様に取得画像が画像処理部5へ送られる。取り込まれた光学画像はモニタ50に表示される。
【0027】
以上に各部の構成を説明したが、次にこれら各部の概略動作を説明する。まず、細く絞った電子線19を試料9に照射し、二次電子51を発生させ、これらを電子線19の走査およびXステージ31,Yステージ32の移動と同期させて検出することで試料9の画像を取得する。ここで自動検査を行うためには検査速度が速いことが必須となる。特に精度よりも高速性が要求される用途や、絶縁材料への帯電を抑制する用途では、多数回の走査および各々の画像の重ね合せは行わないため、少なくとも一回の高速電子線走査により画像が取得できる装置構成としなければならない。そこで前述のように、通常SEMに比べ約100倍以上の、例えば10〜100nAの大電流電子線を用い、実用的な検査速度を維持しながら画像のSNを確保している。ビーム径は、ビーム電流が大きいために電子銃の輝度とクーロン効果により制限され、通常のSEMに比べてかなり広がっており、0.05μm〜0.2μm程度になっている。画像を形成する走査幅の標準値は100μmとし、1画素の標準値は0.05μm〜0.1μmとし、1回の走査の標準時間を約10μsで行うようにした。但し、これらの値は、設定により変更可能である。
【0028】
電子銃10には拡散補給型の熱電界放出電子源が使用されている。この電子銃10を用いることにより、従来の例えばタングステン(W)フィラメント電子源や、冷電界放出型電子源に比べて安定した電子線電流を確保することができるため、明るさ変動の少ない電子線画像が得られる。そしてこの電子銃10により上記のような大きい電子線電流を得られる。電子線19は、電子銃10と引き出し電極11との間に電圧を印加することで電子銃10から引き出される。電子線19の加速は、電子銃10に高電圧の負の電位を印加することでなされる。これにより、電子線19はその電位に相当するエネルギで試料台30の方向に進み、コンデンサレンズ12で収束され、さらに対物レンズ16により細く絞られて試料台30上のXステージ31,Yステージ32,回転ステージ33の上に搭載された試料9に照射される。
【0029】
非点収差補正器53は、コイルあるいは電極により構成され、各レンズの歪などに起因する収差を補正する。ブランキング偏向器13には走査信号およびブランキング信号を発生する走査信号発生器44が接続され、コンデンサレンズ12および対物レンズ16には対物レンズ電源45、非点収差補正器53には非点補正回路54が接続されている。試料9には、リターディング電源36により負の電圧を印加できるようになっている。このリターディング電源36の電圧を調節することにより一次電子線を減速し、電子銃10の電位を変えずに試料9への電子線照射エネルギを最適な値に調節することができる。電子線19をブランキングする必要がある時には、ブランキング偏向器13により電子線19が偏向されて、電子線19が絞り14を通過しないように制御できる。
【0030】
試料9上に電子線19を照射することによって発生した二次電子51は、試料9に印加された負の電圧により加速される。試料9の上方に、ExB偏向器18が配置され、これにより加速された二次電子51は所定の方向へ偏向される。ExB偏向器18にかける電圧と磁界の強度により、偏向量を調整することができる。また、この電磁界は、試料に印加した負の電圧に連動させて可変させることができる。ExB偏向器18により偏向された二次電子51は、所定の条件で反射板17に衝突する。この反射板17は円錐形状をしており、その中央に設けられた開口部を電子線19が通過する。この反射板17に加速された二次電子51が衝突すると、反射板17からは数Vから50eVのエネルギーを持つ第二の二次電子52が発生する。
【0031】
二次電子検出部7において、二次電子検出器20は検査室2内の対物レンズ16の上方に配置され、第二の二次電子52を検出し、二次電子検出器20の出力信号は、検査室2の外に設置されたプリアンプ21で増幅され、AD変換器22によりデジタルデータとなり、光変換手段23から光伝送手段24によって、画像処理部5の電気変換手段25へ送られる。このように、検出したアナログ信号を検出直後にデジタル化して伝送するので、高速で且つSN比の高い信号を得ることができる。なお、反射板17を設けない場合には、第二の二次電子52でなく二次電子51を二次電子検出器20で検出してもよい。
【0032】
高圧電源26は、プリアンプ21を駆動するプリアンプ駆動電源27,AD変換器22を駆動するAD変換器駆動電源28、第二の二次電子を吸引するために二次電子検出器20に加える電圧を供給する逆バイアス電源29への電源を供給する。反射板17に衝突して発生した第二の二次電子52は、逆バイアス電源29の供給により二次電子検出器20で発生する吸引電界により、二次電子検出器20へ導かれる。二次電子検出器20は、電子線19が試料9に照射されている間に発生した二次電子51がその後加速されて反射板17に衝突して発生した第二の二次電子52を、電子線19の走査のタイミングと連動して検出するように構成されている。なお、上記の本構成例では、二次電子検出器20は逆バイアス電源29により逆バイアス電圧を印加されているが、逆バイアス電圧を印加しない構成にしても良い。また、本実施例では二次電子検出器20にPIN型半導体検出器を用いたが、他のタイプの半導体検出器、例えばショットキー型半導体検出器やアバランシェ型半導体検出器等を用いても良い。また、応答性,感度等の条件を満たせば、MCP(マイクロ・チャンネル・プレート)を検出器として用いることも可能である。
【0033】
画像処理部5は、第一記憶部46と第二記憶部47,演算部48,欠陥判定部49,モニタ50により構成されている。光ファイバ24によって伝送された試料9の画像信号は、電気変換手段25によって再び電気信号に変換された後に第一記憶部46あるいは第二記憶部47に記憶される。演算部48は、この2つの記憶部46,47に記憶された画像信号の位置合わせ、信号レベルの規格化、ノイズ信号除去などの各種画像処理を施したのち、双方の画像信号を比較演算する。欠陥判定部49は、演算部48にて比較演算された差画像信号の絶対値を所定のしきい値と比較し、所定のしきい値よりも差画像信号レベルが大きい場合にその画素を欠陥候補と判定し、モニタ50にその位置や欠陥数等を表示する。また、取り込まれた電子線画像あるいは光学画像をそのままモニタ50に表示する機能も搭載されている。
【0034】
図6は、以上にその構成と概略動作を述べた図2の検査装置における、電子光学系の調整手順を示した図である。まず手順601では、画像のSN比を確保する目的で、電子源中央付近からの電流密度の高い部分を電子ビームとして引き出すため、荷電粒子源の位置あるいはアパーチャ(絞り)を調整する。この調整は寿命による電子源の交換時など取り付け誤差を調整するためにも必要である。また、荷電粒子線の焦点や非点などの補正装置を正確に機能させるために、電子光学系の幾何学的中心軸と荷電粒子線の中心軸を合わせる光軸調整、つまりアライナ調整を行う。この調整は荷電粒子源の交換時などの初期調整以外にも電子光学系鏡体内の汚れなどに起因する経時変化を修正するために必要である。上記調整は、一度設定するとあまり大きく変動することがないため、毎回設定する必要はない。次の手順602では、検査するウェハのパターンの種類に応じて電子ビームの照射エネルギや画素サイズ、ビーム電流等を設定する。最適な電子ビームの照射エネルギは、パターンの材質により異なる。通常、導電性材料では高分解能が得られるように数keV以上の高目のエネルギとし、絶縁物を含むパターンでは帯電防止のために1.5keV以下に設定するとよい。また図1においては、試料9にリターディング電源36により電子線19の一次電子を減速するための負の電圧を印加し、この電圧を調整することにより電子線19の照射エネルギを適宜調整できるように構成している。手順602はこの調整も含む。次の手順603では、特に注目したい欠陥サイズに応じた画素サイズを設定する。無意味に画素サイズを小さくすると検査所要時間が増大してしまう。次の手順604では、ビーム電流を設定する。デフォルトの値は装置固有に存在するが、特に帯電しやすいウェハでは小さめの電流に設定するとよい。また、検出したい欠陥のコントラストが大きいことが予めわかっていれば電流を小さめにすることで電子ビームをより小さく絞ることが可能となり、高分解能の検査ができる。次の手順605では、検査するウェハの電子線による画像を表示させ、焦点や非点収差の補正を実施する。この焦点および非点補正は画像を取り込んで計算機上またはそれ専用の画像処理装置により自動化することが可能である。
【0035】
以上のように、電子光学系には、アパーチャ、光軸、非点収差、焦点、その他多数の調整を行う制御装置が備えられている。これらの調整が良くないと、電子線画像のSN比やパターンのコントラストあるいは解像度などが低下し、得られる電子線画像の質の劣化を招き、欠陥検出精度が悪化する。微細な欠陥の検出を精度良く行うためには、ウェハに照射される電子線は、ウェハ上での照射形状と寸法が一定し、かつ安定して絞られていなければならない。
【0036】
上記のように、電子光学系の調整は非常に多数の要素がある。調整は、荷電粒子源の交換時、試料の交換時、経時変化などにより誤差が大きくなったとき、検査や観察、加工などの事前の試し過程で所定の精度が得られないときに実施される。調整を実施する判断はその装置のオペレータが行い、取得した所定パターンの画像の鮮明さをもって判断している。電子線画像の質は、光軸、焦点、非点、加速電圧などの照射エネルギ、ビーム電流、画素サイズ、二次電子信号検出系の感度やフィルタ定数、チャージアップ制御値、走査条件などにも左右される。取得画像は、これらすべての条件に関係するため、単純に絶対的な尺度で比較できない。さらに、検査対象のプロセス(検査試料の材質など)やパターンサイズ、検出したい欠陥の種類によって最適値が異なるため、検査前に試行検査を実施し、検出された欠陥座標の画像を表示させ、検出したい欠陥が検出されているかを確認しながら調整の最適値を設定している。調整を実施したことにより、複雑なバランスがくずれ検出率が低下する場合もあり、調整の最適値を導出するためには、少しずつ調整値を変化させ、試行錯誤的に調整を何度も繰り返し行う必要がある。
【0037】
上記のような多数の調整要素をウェハのパターンや検出欠陥の特性を考慮した上、高い検出精度を得るための最適値に調整することは、煩雑な、高度な熟練を要する作業であり、部分的に自動調整機能があっても、多大な時間が必要である。さらに調整には個人差が認められ、各補正装置の経時変化、帯電や汚れが原因の電子光学系自体の経時変化もあり、電子線の状態は時々刻々と変化するため、常に微調整が必要となっている。また、調整の評価は、取得したパターンの画像の鮮明さをもとに行っているが、パターン境界のうすくぼやけて見える不鮮明さを評価するのは熟練の必要な困難な作業であり、記録管理もできないので、取得したパターンの画像から電子線の状態がより明確かつ確実に評価できる方法が望まれていた。
以上のような観点から、本発明では以下のようにして、電子線の状態を正確かつ効率的に測定してその測定情報を表示して確認評価できるようにし、さらに測定情報を記録管理することで調整作業の効率化を行う。
【0038】
図1は、本発明の荷電粒子線の測定方法を実現する装置の構成を示しており、図2の荷電粒子線走査式装置の構成から関連部分を取り出したものである。また図3はこの測定装置の動作説明図である。本発明では、既知パターンの取得画像から荷電粒子線の状態を計測することを目的としているが、図3では、ウェハなど所定の試料に照射される単一荷電粒子線の形状、寸法、密度(分布)の測定の場合を示している。図1において、荷電粒子源101から発生した荷電粒子線106は、実際は複数存在する補正装置102、走査装置103を通過し、試料台105上の試料104に照射される。試料104から反射した、あるいは2次的に生成した荷電粒子は検出装置107に捕らえられ、試料の情報を明暗情報として検出する。ここで補正装置102は、図2のコンデンサレンズ12,絞り14,非点補正収差補正器53,対物レンズ16に、検出装置107は二次電子検出部7に相当する。走査装置103は、走査信号生成装置108によって制御され、荷電粒子線106を偏向走査し、試料104上の荷電粒子線106の照射位置を移動させる。ここで、走査装置103は図2の走査偏向器15、走査信号生成装置108は図2の走査信号発生器44に相当する。走査信号生成装置108が生成する走査シーケンスには種々のものがあるが、以下の説明では、荷電粒子線106を試料104上の所定の距離だけ一方向に走査(以下ラインと呼ぶ)し、その方向と垂直方向に少しずつずらして同じ走査を繰り返す、図3(a)に示すような方法を用いる。画像処理装置109は、検出装置107により検出された前記明暗情報と、走査信号生成装置108からのタイミング信号とから、試料の2次元(明暗)画像を生成するもので、この画像処理装置109は図2の画像処理部5に相当する。
【0039】
荷電粒子線測定制御装置110は、電子線の状態測定手段121と、測定情報を確認評価するための表示制御手段122、管理するための記録手段123を有し、図2の制御部6及び補正回路43に相当する。状態測定手段121は、荷電粒子線測定制御装置110は、荷電粒子線の状態を測定するため、試料104もしくは試料台105上の例えば図4(a)のような既知パターン115が描かれた部分を荷電粒子線106の直下(走査できる範囲)に来るように試料台105を移動させ、荷電粒子線の状態を測定するための前記走査シーケンスを走査信号生成装置108に設定する。このとき、ライン間隔は荷電粒子線の照射領域であるスポットの大きさより小さく設定し、同様に1ライン中の検出間隔(画素寸法)もスポットの大きさより小さく設定する。その大きさは要求される測定精度に依存するが、1/10程度が良い。例えば検査のスポット寸法を0.1μmに設定したい場合は、走査シーケンスの画素寸法は0.01μmに設定する。
【0040】
この設定条件下で電子線の走査を行い、画像処理装置109でノイズ除去等を行って得られた画像情報から、状態測定手段121は以下のようにして単一電子線の状態を検出する。図3(a)において、電子線のスポット116で走査したときのあるラインの検出信号117を図3(b)、次のラインの検出信号118を図3(c)、検出信号118と検出信号117の差分信号119を図3(d)、差分信号119の微分あるいは隣接する画素との差分データ(の絶対値)120を図3(e)に示す。差分信号119はそのライン位置での図3(a)縦方向の微分値であり、差分信号120はその横方向の微分値である。このデータ120は、スポット116の図3(f)に示す黒ぬり部分116′(上記2つのラインにおけるスポット116と既知パターンが重なる領域の差)の荷電粒子密度分布を表している。この過程をスポット116が既知パターン115を横切り始めてから、完全に横切り終わりまで複数ライン繰り返すと、スポット116の形状、寸法、密度分布が測定できる。ここで既知パターンはスポット寸法よりも大きいことが望ましい。そこで状態測定手段121では、前記走査シーケンスを設定した後、検出装置107より得られた既知パターンの画像データの各ライン間の差分を求め、その連続データの微分あるいは隣接する画素との差分を算出する。この過程を複数ラインにつき繰り返すと、スポット116の密度分布画像が得られる。
【0041】
なお、これらの演算自体は画像処理装置109内で行っても良い。この場合、既知パターンの画像を図2の第一記憶部46もしくは第二記憶部47に記憶しておき、演算部48にて各ラインの差画像を求め、更にその差画像の1ライン内の隣接する画素の差画像を演算する。その結果の電子線の密度分布画像は制御部6に転送し、その後の表示あるいは管理処理を行い、モニタ50にて表示を行う。
【0042】
表示制御手段122は、電子線の測定情報を確認評価するために、例えば図3(g)のように表示手段111へ密度分布を示す画像を表示する。ここで、密度の表示には色や等高線を用いても、指定した線上の分布のグラフを用いても、3D表示を用いても良い。この表示画像から単一電子線の形状、寸法、密度(明暗分布)がわかり、少なくとも焦点、非点、集束度などの状態が客観的に評価分析できる。また、記録手段123では、この画像と加速電圧などの照射エネルギ、ビーム電流、画素サイズ、二次電子信号検出系の感度やフィルタ定数、チャージアップ制御値、走査条件などのデータを1つのファイルとして記録する。ここで記録したファイルは履歴管理を行い、ファイル間での比較を行うなどのファイル操作を実施することで、装置管理が可能となる。また、前記スポット画像をリアルタイムに表示することで、補正装置102の調整に利用できる。この場合例えばスポット形状は、非点調整では楕円から円形になるように、焦点調整ではスポット寸法が小さくなるように調整する。また密度分布では図3(h)に示すように、分布に偏りがあるものは光軸調整によって左右対称になるように調整し、また、分布がなだらかなものは中央に集中するように画像を見ながら調整する。取得画像と表示画像の位置関係を固定すると、調整中の位置変動も測定できる。これは光軸調整に有効である。さらにスポット形状は、走査装置103の制御回路のオフセット調整不良などの要因により、円や楕円のみならず、三角や矩形を呈している場合がある。この場合もリアルタイム表示を行いながら、表示が円形になるように調整することでオフセットを調整容易に実施できる。
【0043】
このような調整は荷電粒子線測定制御装置110から調整値を補正制御装置112に送り、補正装置102を駆動することで実現される。補正制御装置112は図2において非点補正回路54や対物レンズ電源45に相当する。ここで、前記測定情報と調整手法の関係が明確なものに関しては、荷電粒子線測定制御装置110に補正装置の選択処理手段と補正量算出手段を設ければ、自動的に補正可能である。例えば光軸、焦点、非点などの調整は、自動化可能である。以上のように、電子線の状態をより正確に測定し、記録管理することにより、経験に頼っていた電子光学系の調整作業を、ばらつきが少なく、確実に、かつ簡易化することができる。また、所定の装置における電子光学系の状態変化(測定情報の時系列変化)から、調整すべき補正装置の特定や調整量、あるいは経時変化した補正装置の特定など、変化の原因の特定や電子源の寿命などの異常予測が可能となる。さらに測定情報を複数の装置で共有し、管理された他の装置の電子線の状態に近づける作業を行うことで、所定の検査に最適な設定にばらつきなく確実に調整可能となる。上記のような調整確認作業の簡略化と確実性の向上、画質の維持、荷電粒子線状態の早期異常検出などを実現することは、検査の高精度化と信頼性を向上させる。
【0044】
図4は、荷電粒子線測定用の既知パターンについて説明した図である。本発明は既知パターンを限定するものではないが、ここではいくつかの例を用いて説明する。上述の図3に示した既知パターンでは、2方向の直線を持つ例を示した。図4(a)は、矩形の既知パターン401と荷電粒子線スポット402、観察画像の境界403を図示している。矩形パターンの場合、図3を用いて説明した方法により、荷電粒子線密度分布画像が4つの頂点でそれぞれ計測される。但し各頂点での計測を可能とするには、矩形パターンの大きさはスポットが完全に重なる大きさ以上にする。
【0045】
図4(b)は、矩形の既知パターンが回転している場合を示している。この場合、図に示すように、得られた画像を回転させ、回転させた状態で上記の方法にてスポット画像を得、そのスポット画像を先に回転させた分だけ戻すことで、正確なスポット画像が得られる。図4(c)は、既知パターンが平行四辺形のパターン404の場合を示している。この場合は、図に示すように、得られた画像を水平方向にずらし、図4(a)の状態にしてからスポット画像を算出し、ずらした分だけ戻す処理により正確なスポット画像が得られる。図4(d)(e)(f)は、既知パターンを分布して配置する場合の例を示している。図4(d)は、矩形を分布させた場合で、偏向領域中でのスポット変化を確認する場合に有効である。いずれも1度の画像取得で複数の測定ができ、加算、平均化処理を行うことにより精度の向上が図れる。また、図4(g)は、既知パターンが円形パターン405の場合を示している。この場合、中心から境界までの距離と既知パターンの半径との差分から、スポットの境界の位置が中心からの距離として求まるので、スポット形状と寸法は容易に算出できるが、密度分布の算出は複雑である。以上のように本発明では、既知パターンを厳密に特定するものではないが、2方向の直線を持つ形状の方が演算が容易であり望ましい。
【0046】
図5は、本発明の荷電粒子走査式装置において、荷電粒子線の状態を測定およびその測定情報を利用する場合のトータルな操作手順の例を示すフローチャートである。本発明においては、検査装置のディスプレなど操作パネルの詳細、あるいは、検査動作の指定方法を限定するものではない。但し、本発明の荷電粒子線の測定を行う場合、必ず操作パネルなどでの操作が必要であるので、ここでは簡単に述べる。まず、既知パターンを選定し、試料台を目的の位置に移動する(ステップ501)。ただし、前記既知パターンをあらかじめ登録し、自動的に試料台を送るようにしても良い。次に測定パラメータを設定する(ステップ502)。例えば目標とするスポットの大きさから、画像取得のための画素の大きさを指定し、選定した既知パターンに対応した算出方法を指定する。前記既知パターンがあらかじめ登録されている場合は、自動的に算出方法を決定してもよい。次に荷電粒子線状態の測定を行い(ステップ503)、スポット画像の表示方法を選択する(ステップ504)。このとき、実時間表示あるいは、画像の取得回数を指定する必要がある。次に、過去の履歴ファイルあるいは、他の装置のファイルを参照する場合は、そのファイルとの比較処理を行う(ステップ505)。ここでは、例えば内容の異なる項目と内容を明示する処理を行う。この結果、測定および表示などの設定変更の必要がある場合は(ステップ506でYes)、再度設定を行う。各設定が完了すれば(ステップ506でNo)、荷電粒子光学系再調整の必要有無を調べ(ステップ507)、必要あれば表示を見ながらスポット形が円形かつ小さく、更に分布密度が集中するように調整する(ステップ508)。この調整が終わると、最終的なスポット画像およびその他の補正値、測定値をファイルに記録する(ステップ509)。ファイルはスポット画像とテキスト形式にて記録しても良いし、特別なファーマットを作成しても良い。このファイルを共有、管理することで、検査装置の信頼性、再現性を管理することが可能となる。
【0047】
【発明の効果】
本発明の主な効果は以下の通りである。
1)荷電粒子線の状態(例えば形状、寸法、密度)を測定することが可能となる。
2)電子光学系の調整作業をばらつきが少なく、確実かつ容易にすることが可能となる。
3)測定情報を複数の装置で共有することにより、電子光学系の状態を装置間においても、ばらつきなく確実に調整可能となる。
4)調整すべき補正装置の特定や調整量、あるいは経時変化した補正装置の特定など、変化の原因の特定や電子源の寿命などの異常予測が可能となる。
5)鮮明な画質の維持、荷電粒子線状態の早期異常検出が実現でき、検査の高精度化と信頼性を向上させる。
6)検査装置において高い検査感度の維持、安定化、欠陥誤検出の低減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の荷電粒子線の測定装置の構成例を示す図である。
【図2】本発明の荷電粒子線走査装置の構成例を示す図である。
【図3】本発明の荷電粒子線測定方法の説明図である。
【図4】荷電粒子線測定用既知パターンの説明図である。
【図5】荷電粒子線測定の操作手順を示すフローチャートである。
【図6】電子光学系の調整手順の例を示した図である。
【符号の説明】
2 検査室
3 電子光学系
4 光学顕微鏡部
5 画像処理部
6 制御部
7 二次電子検出部
8 試料室
9 被検査基板
46 第一画像記憶部
47 第二画像記憶部
48 演算部
49 欠陥判定部
50 モニタ
101 荷電粒子源
102 補正装置
103 走査装置
104 試料
105 試料台
106 荷電粒子線
107 検出装置
108 走査信号生成装置
109 画像処理装置
110 荷電粒子線測定制御装置
111 表示手段
112 補正制御装置
115 既知パターン
116 スポット
117、118 検出信号
119 差分信号
120 差分データ
121 状態測定手段
122 表示制御手段
123 記録手段

Claims (1)

  1. 単一荷電粒子線によって走査対象物の面を走査する走査手段と、この手段による走査により生じた生成物を検出する検出手段と、この手段により検出された生成物の量をその輝度レベルとして持つ平面ディジタル画像情報を取得する画像処理手段とを備えた荷電粒子線走査式装置において、
    走査対象物の面上に設けられた測定用パターンの周辺上の、その接線方向が平行でない少なくとも2つの点を含む領域を走査領域として走査するように前記走査手段を制御する走査制御手段と、前記単一荷電粒子線で走査したときのラインの検出信号と、次のラインの検出信号と、それらの差分信号と、該差分信号の微分信号とを得て、該微分信号を荷電粒子密度分布とする手段と、前記単一荷電粒子線の走査が前記走査領域を横切り始めてから、完全に横切り終わりまで複数ライン繰り返すことで前記単一荷電粒子線の粒子密度分布画像を得て、表示する手段と、を備え、前記単一荷電粒子線の非点調整では前記粒子密度分布画像としてのスポット形状が楕円から円形になるように、焦点調整ではスポット寸法が小さくなるように調整することを特徴とする荷電粒子線走査式装置。
JP2001357108A 2001-11-22 2001-11-22 荷電粒子線走査式装置 Expired - Fee Related JP3911407B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001357108A JP3911407B2 (ja) 2001-11-22 2001-11-22 荷電粒子線走査式装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001357108A JP3911407B2 (ja) 2001-11-22 2001-11-22 荷電粒子線走査式装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003157784A JP2003157784A (ja) 2003-05-30
JP3911407B2 true JP3911407B2 (ja) 2007-05-09

Family

ID=19168501

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001357108A Expired - Fee Related JP3911407B2 (ja) 2001-11-22 2001-11-22 荷電粒子線走査式装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3911407B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012103289A1 (en) * 2011-01-27 2012-08-02 Trustees Of Boston University Optical devices with spiral aperiodic structures for circularly symmetric light scattering

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5397060B2 (ja) * 2009-07-17 2014-01-22 富士通株式会社 荷電粒子顕微鏡及び解析方法
JP5459145B2 (ja) * 2010-08-18 2014-04-02 株式会社島津製作所 X線発生装置
JP2017010608A (ja) 2013-10-03 2017-01-12 株式会社日立ハイテクノロジーズ 荷電粒子線の傾斜補正方法および荷電粒子線装置

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04370641A (ja) * 1991-06-19 1992-12-24 Nissin Electric Co Ltd イオンビームスポット形状認識装置
JPH07307136A (ja) * 1994-05-12 1995-11-21 Nikon Corp 荷電粒子線の照射装置
JP2959710B2 (ja) * 1997-02-04 1999-10-06 株式会社日立製作所 面積ビーム形状検出システムとそれを具備した荷電粒子線描画装置と電子線描画装置およびその電子線描画方法
JPH11271458A (ja) * 1998-03-26 1999-10-08 Jeol Ltd ビームの測定方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012103289A1 (en) * 2011-01-27 2012-08-02 Trustees Of Boston University Optical devices with spiral aperiodic structures for circularly symmetric light scattering
US9360597B2 (en) 2011-01-27 2016-06-07 Trustees Of Boston University Optical devices with spiral aperiodic structures for circularly symmetric light scattering

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003157784A (ja) 2003-05-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3951590B2 (ja) 荷電粒子線装置
US7276693B2 (en) Inspection method and apparatus using charged particle beam
JP5164317B2 (ja) 電子線による検査・計測方法および検査・計測装置
JP5103033B2 (ja) 荷電粒子線応用装置
JP4795883B2 (ja) パターン検査・計測装置
JP3996774B2 (ja) パターン欠陥検査方法及びパターン欠陥検査装置
US7521679B2 (en) Inspection method and inspection system using charged particle beam
JP4922962B2 (ja) 回路パターンの検査方法及び検査装置
JP4997076B2 (ja) 荷電粒子線装置、及び荷電粒子線装置における画像生成方法
JP4154282B2 (ja) 回路パターンの検査装置
JPH11238484A (ja) 投射方式の荷電粒子顕微鏡および基板検査システム
JP4253576B2 (ja) パターン欠陥検査方法及び検査装置
JP2004014485A (ja) ウェハ欠陥検査方法及びウェハ欠陥検査装置
JP3836735B2 (ja) 回路パターンの検査装置
JP4537891B2 (ja) 回路パターンの検査装置および検査方法
JP3911407B2 (ja) 荷電粒子線走査式装置
JP4746659B2 (ja) 回路パターンの検査方法
JP2002353279A (ja) 回路パターン検査方法とその装置
US20090261251A1 (en) Inspection apparatus and inspection method
JP3751841B2 (ja) 電子線を用いた検査装置及び電子線を用いた検査方法
JP3601382B2 (ja) 荷電粒子線を用いた検査装置および検査方法
JP4230899B2 (ja) 回路パターン検査方法
US20220328279A1 (en) Charged Particle Beam Device and Inspection Method
JP4603448B2 (ja) 回路パターンの検査装置
JP4484860B2 (ja) パターン欠陥検査方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040427

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050831

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051004

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20051202

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070123

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070129

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100202

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110202

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120202

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130202

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130202

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140202

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees