JPH07307136A - 荷電粒子線の照射装置 - Google Patents

荷電粒子線の照射装置

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JPH07307136A
JPH07307136A JP6098919A JP9891994A JPH07307136A JP H07307136 A JPH07307136 A JP H07307136A JP 6098919 A JP6098919 A JP 6098919A JP 9891994 A JP9891994 A JP 9891994A JP H07307136 A JPH07307136 A JP H07307136A
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JP
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astigmatism
axis
charged particle
particle beam
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JP6098919A
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English (en)
Inventor
Hiroyasu Shimizu
弘泰 清水
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Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 非点収差を精度良く補正できる荷電粒子線の
照射装置を提供する。 【構成】 XY方式の電磁非点収差補正器6を備えた電
子線の照射装置において、非点収差補正器6に与える励
磁電流を二次元に変化させつつ、試料4上で第1の方向
のビーム径に対応する値を検出し、試料4で第1の方向
と直交する方向に焦線を生じさせる補正値(Ix0x,
Iy0x)を求める。また、非点収差補正器6に与える
励磁電流を二次元に変化させつつ、試料4上で第1の方
向とほぼ直交する第2の方向のビーム径に対応する値を
検出し、試料4で第2の方向と直交する方向に焦線を生
じさせる補正値(Ix0y,Iy0y)を求める。これら
の補正値の平均値に補正値を設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子顕微鏡等に用いら
れる荷電粒子線の照射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、荷電粒子線の照射装置では、対物
レンズの励磁電流を調整して荷電粒子線を正焦点に設定
し、その後、非点収差補正器の励磁電流を調整して非点
収差を補正している。以下、従来の焦点調整および非点
収差の補正手順を図12〜図19に基づいて説明する。
説明を簡単にするため、荷電粒子線は、図12(a)示
すように矩形状のアパーチャーAP上をそのナイフエッ
ジEx,Eyと直交する方向(図のX軸,Y軸方向)に
走査されるものとする。アパーチャーAPで遮られるこ
となく下方へ通過した荷電粒子線は不図示のファラデー
カップに入射し、入射した荷電粒子線の電流値がファラ
デーカップと接続された電流計で検出される。荷電粒子
線を図12(a)のX軸方向に走査したときは、図12
(b)に示すようにX軸と直交するナイフエッジExの
位置でビーム電流がビーム径に応じた傾きで増減する。
荷電粒子線を図12(a)のY軸方向に走査したときに
は、図12(c)に示すようにY軸と直交するナイフエ
ッジEyの位置でビーム電流がビーム径に応じた傾きで
増減する。ビーム電流が適当な閾値TH1〜TH2間で
変化するときの走査距離dx,dyは、図12(d)に
示すX軸方向およびY軸方向におけるビーム径Lx,L
yと対応する。このため、走査距離dx,dyからビー
ム径Lx,Lyを求めることができる。なお、荷電粒子
線をナイフエッジEx,Eyに対して斜めに傾く方向へ
走査してもナイフエッジEx,Eyと直交する方向のビ
ーム径が検出できるが、ここでは簡単のためにナイフエ
ッジEx,Eyと直交する方向と走査方向とが一致する
ものとした。
【0003】以上のようにビーム径検出を可能とした上
で、照射装置の対物レンズ(焦点位置を変化させるレン
ズ)の励磁電流を変化させつつビーム径Lx,Lyを検
出する。このときの励磁電流の変化とX軸方向およびY
軸方向のビーム径Lx,Lyの変化との関係は図13に
示すようになる。また、励磁電流の変化に伴うビーム形
状の変化の一例を図13の上部に示した。ビーム径Lx
が最小となる励磁電流I1,ビーム径Lyが最小となる
励磁電流I2を検出し、これらの平均値(I1+I2)/
2に励磁電流を設定する。これにより荷電粒子線が正焦
点に設定される。この段階では非点収差が残っているた
め、ビーム形状は非点収差の大きさに対応した円(最小
錯乱円)となる。
【0004】次に非点収差を補正する。この手順を図1
4により説明する。図14(a)では、非点収差補正器
の空間を座標系Ix−Iyで、非点収差の空間を座標系
Sx−Syで示した。非点収差補正器の空間とは、電磁
非点収差補正器に与える二次元の励磁電流(Ix,I
y)をそれぞれX座標、Y座標とする座標系であり、現
実の空間で光軸と直交する平面内での直交座標系(例え
ば図12のX−Y座標系)に対しては角度2倍の座標系
となる。すなわち、図15に示すように、非点収差の補
正に用いるxy方式の電磁非点収差補正器は、光軸AX
の回りに90゜ピッチで配置される4極のX軸補正コイ
ルCxと、コイルCxに対して光軸AXの回りに45゜
回転させて配置される4極のY軸補正コイルCyとを備
える。コイルCxによる非点収差のビーム形状変化は、 Fx・cos2θ で表わされる。ここに、FxはコイルCxの励磁電流I
xに比例した量、θは励磁電流Ixを増加させたときの
楕円になったビーム形状の長軸方向である。同様に、コ
イルCyによる非点収差によるビーム形状の変化は、 Fy・sin2θ で表わされる。一方、非点収差によるビーム形状の変化
は、 Sx・cos2θ+Sy・sin2θ と表わされ、非点収差を補正するには、 Fx+Sx=0 Fy+Sy=0 となるようにする。このため、非点収差補正を考えるに
は、励磁電流(Ix,Iy)を座標値とする角度2倍の
座標系で表わすのが最も都合がよい。
【0005】非点収差ベクトルSも同じく角度2倍の座
標系で表わすことができるが、その軸Sx,Syは非点
収差補正器の空間に拘束されることなく自由に設定でき
る。そこで、図示の例では、非点収差の空間の座標系S
x−Syを原点で非点収差が0となるように設定した。
また、非点収差補正器の空間は、Ixの方向が非点収差
の空間のSxの方向に一致するように設定した。
【0006】図14(a)において、非点収差補正器の
Y軸補正コイルCyの励磁電流を一定値Iyiに保った
ままX軸補正コイルCxの励磁電流Ixを変化させ、こ
の間のビーム径(Lx,Lyのいずれでもよい)を検出
する。このときの励磁電流Ixとビーム径との関係を図
14(b)に示す。また、ビーム形状の変化は図14
(a)のIy=Iyi上に示した通りである。ビーム径
が最小となる励磁電流Ix0を検出し、X軸補正コイル
Cxの励磁電流をその値に保持する。次に、Y軸補正コ
イルCyの励磁電流Iyを変化させ、この間のビーム径
を検出する。このときの励磁電流Iyとビーム径との関
係を図14(c)に示す。また、ビーム形状の変化は図
14(a)のIx=Ix0上に示した通りである。ビー
ム径が最小となる励磁電流Iy0を検出し、その値にY
軸補正コイルCyの励磁電流を設定する。これにより、
非点収差が完全に補正される。
【0007】なお、以上の調整手順を説明した文献とし
ては、例えば特公昭61−34221号公報、特公昭6
1−51377号公報がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の調整の
問題点を明らかにするため、焦点ずれ、非点収差が残る
ときにビーム形状がどのようになるか説明する。図16
において、X軸,Y軸はビームの走査方向で、Z軸は光
軸方向を示す。Z=0が試料面(焦点を合わせたい面)
であり、Z=±δで焦線となる。焦線方向はZ=δでX
軸に対してθだけ回転している。ビーム開き角をαとす
れば、ビーム形状は、Z=δのときX軸に対してθだけ
回転した長さ4αδの線分、Z=0で半径αδの円(最
小錯乱円)、Z=−δではX軸に対してθ+90゜回転
した長さ4αδの線分となり、その他の部分では長軸お
よび短軸がθおよびθ+90゜方向で長さがそれぞれ焦
線からの距離に比例した楕円となる。ビーム形状を式で
表わせば以下のようになる。
【数1】
【0009】簡単のため、非点収差の空間を、原点で非
点収差が0、Sxの方向がビームの走査方向のX軸に一
致するように設定したとき、非点収差ベクトル(Sx,
Sy)は、図17に示すように、
【数2】tan2θ=Sy/Sx δ=√(Sx2+Sy2) このときのX軸方向およびY軸方向のビーム径Lx,L
yは、
【数3】 Lx=2・α・√((z−Sx)2+Sy2) ……(1) Ly=2・α・√((z+Sx)2+Sy2) ……(2) となる。
【0010】上述した焦点調整における対物レンズの励
磁変化は、上式(1),(2)においてzを変化させる
ことに対応する。対物レンズの励磁電流とビーム径L
x,Lyとの関係は図18に示すようになる。なお、ビ
ーム形状を図の上部に示した。Lx,Lyをそれぞれ最
小にした時は、一般にはビーム形状が楕円で焦線になっ
ていない。zを変化させるとき、まだ非点収差は補正さ
れていないので上式(1),(2)でSx,Syは0で
はなく、したがってz=±Sxのとき最小値2|Sy|
が得られ、その近傍ではビーム径Lx,Lyが二次で緩
やかに変化する。このため、ビーム径Lx,Lyの最小
値を与える励磁電流I1,I2を検出する際に図18に示
すように誤差が生じやすく、焦点ずれΔIが残る。ま
た、仮にI1,I2を精度良く決めることができても、対
物レンズの励磁を変化させるとビーム形状が回転するこ
とや、励磁電流と像点位置とは一次関数にならないた
め、単純にI1,I2の平均値に設定したのでは正焦点に
ならない。
【0011】焦点ずれΔIが残ったままX軸方向への走
査で非点収差を補正すれば、上式(1)にしたがって
(Sx,Sy)を変化させることになる。このときの非
点収差補正器の励磁電流とビーム径との関係を図19に
示す。なお、図19での非点収差補正器の空間の座標系
Ix−Iy、非点収差の空間の座標系Sx−Syは上述
した図14と同じである。図19(a),(b)に示す
ように、非点収差補正器の励磁電流IyをIyiに固定
して励磁電流Ixを変化させたとき、ビーム径LxはS
x=0でなく、Sx=z(Ix=Ix0´)の位置で最
小値となる。この後、図19(b),(c)に示すよう
に励磁電流Ix0´を固定して励磁電流Iyを変化させ
てビーム径が最小となる励磁電流Iy0´を検出して
も、そのときの非点収差(Sx,Sy)=(z,0)と
なり、非点収差が残ってしまう。なお、励磁電流Ix,
Iyの調整に伴うビーム形状の変化を図19(a)のI
y=Iyi,Ix=Ix0´上に示した。
【0012】本発明の目的は、非点収差を精度良く補正
できる荷電粒子線の照射装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】一実施例を示す図1およ
び図4に対応付けて説明すると、請求項1の発明は、荷
電粒子線の非点収差を補正する非点収差補正器6を備え
た荷電粒子線の照射装置に適用される。そして、非点収
差補正器6に与える補正値(Ix,Iy)を二次元に変
化させつつ、荷電粒子線の光軸とほぼ直交する平面上で
互いにほぼ直交する第1の方向および第2の方向のビー
ム径に対応する値を検出するビーム径検出手段11と、
検出された第1の方向および第2の方向のビーム径に対
応する値に基づいて、特定の平面上で荷電粒子線が第1
および第2の方向の焦線となる非点収差補正器6の一対
の二次元の補正値(Ix0x,Iy0x)、(Ix0y,
Iy0y)を検出する補正値検出手段11とを具備して
上述した目的を達成する。請求項2の装置は、非点収差
補正器6に与える二次元の補正値(Ix,Iy)を、焦
線となる一対の二次元の補正値(Ix0x,Iy0x)、
(Ix0y,Iy0y)の平均値に設定する補正値設定手
段11を備える。請求項3の装置は、焦点となる一対の
二次元の補正値(Ix0x,Iy0x)、(Ix0y,I
y0y)のずれ量2zに基づいて、照射対象4に対する
荷電粒子線の焦点のずれ量を検出する焦点ずれ量検出手
段11を備える。請求項4の照射状態の補正方法では、
荷電粒子線の非点収差補正器6に与える補正値(Ix,
Iy)を二次元に変化させつつ荷電粒子線の光軸とほぼ
直交する平面上で互いにほぼ直交する第1の方向および
第2の方向のビーム径に対応する値を検出し、検出され
た第1の方向および第2の方向のビーム径に対応する値
に基づいて、特定の平面上で荷電粒子線が第1および第
2の方向の焦線となる非点収差補正器6の一対の二次元
の補正値(Ix0x,Iy0x)、(Ix0y,Iy0y)
を検出し、非点収差補正器6に与える二次元の補正値
(Ix,Iy)を、検出された焦線となる一対の二次元
の補正値(Ix0x,Iy0x)、(Ix0y,Iy0y)
の平均値に設定して上述した目的を達成する。請求項5
の方法では、焦点となる一対の二次元の補正値(Ix0
x,Iy0x)、(Ix0y,Iy0y)のずれ量2zに
基づいて照射対象4に対する荷電粒子線の焦点のずれ量
を検出し、検出されたずれ量に基づいて焦点調整を行な
う。
【0014】
【作用】非点収差の空間のSxの方向が第1の方向に一
致すると仮定した場合、第1の方向のビーム径Lxが最
も小さくなるのは、ビーム形状が第1の方向と直交する
焦線となるときで、そのとき上述した(1)式において
Lx=0、非点収差は(Sx,Sy)=(z,0)とな
る。この付近で第1の方向のビーム径Lxが非点収差
(Sx,Sy)に対して1次で変化するので、焦線とな
る一つの補正値(Ix0x,Iy0x)を正確に求めるこ
とができる。次に、第2の方向のビーム径Lyが最も小
さくなるのは、ビーム形状が第2の方向と直交する焦線
となるときで、そのとき上述した(2)式においてLy
=0、非点収差は(Sx,Sy)=(−z,0)とな
る。この付近で第2の方向のビーム径Lyが非点収差
(Sx,Sy)に対して1次で変化するので、焦線とな
る他の一つの補正値(Ix0y,Iy0y)も正確に求め
ることができる。非点収差が完全に補正されるのは(S
x,Sy)=(0,0)であるから、上述した一対の二
次元の補正値(Ix0x,Iy0x)、(Ix0y,Iy0
y)の平均値に非点収差補正器6の補正値を設定すれば
非点収差が完全に補正される。荷電粒子線の焦点位置
は、一対の焦線が生じる光軸方向の位置の中間点にある
ので、平面上に焦線を生じさせる一対の補正値(Ix0
x,Iy0x)、(Ix0y,Iy0y)のずれ量2z
は、平面に対する焦点のずれ量と相関する。したがっ
て、一対の補正値(Ix0x,Iy0x)、(Ix0y,
Iy0y)のずれ量2zから焦点ずれ量を検出し、その
値から焦点調整を行なうことができる。ずれ量2zを求
めるとき、対物レンズの励磁を変更していないため、2
つの焦線の方向が回転のため直交しないという不都合は
起こらない。また、焦点ずれ量と対物レンズの励磁との
関係を求めておくので、従来技術のように励磁電流の平
均をとるよりも精度良く焦点を合わせられる。
【0015】なお、本発明の構成を説明する上記課題を
解決するための手段と作用の項では、本発明を分かり易
くするために実施例の図を用いたが、これにより本発明
が実施例に限定されるものではない。
【0016】
【実施例】
−第1実施例− 図1〜図5により、本発明を走査型電子顕微鏡に適用し
た一実施例を説明する。図1は本実施例の走査型電子顕
微鏡の光学系の概略を示し、1は電子銃、2は対物レン
ズである。電子銃1から射出された電子ビームは対物レ
ンズ2により試料ホルダ3に載置された非点収差補正用
の試料4上に集束される。試料4は図2(a)に示すよ
うに矩形状に形成され、電子線の照射に対する二次電子
の放出率は試料ホルダ3(図中の斜線部)よりも十分に
高く設定されている。
【0017】図1に示すように、電子銃1と対物レンズ
2との間には走査コイル5および非点収差補正器6が設
けられている。また、試料ホルダ3の上方には電子ビー
ムの照射に反応して試料4から放出される二次電子を捕
捉してその電流値に対応した検出信号を出力する検出器
7が設けられている。走査コイル5は、電子銃1から射
出された電子ビームをその光軸と直交する一方向へ走査
するX軸走査コイル5Xと、電子ビームをX軸走査コイ
ル5Xの走査方向と直交する方向へ走査するY軸走査コ
イル5Yとを備える。X軸走査コイル5Xによる電子ビ
ームの走査方向は試料4のエッジExと直交する方向
(図2(a)のX軸方向)に、Y軸走査コイル5Yによ
る電子ビームの走査方向はエッジEyと直交する方向
(図2(a)のY軸方向)にそれぞれ合わせられてい
る。
【0018】X軸走査コイル5Xにより電子ビームをエ
ッジExと直交する方向へ走査すると、図2(b)に示
すようにエッジExの位置で検出器7の検出電流の波形
が変化する。また、Y軸走査コイル5Yにより電子ビー
ムをエッジEyと直交する方向へ走査すると、図2
(c)に示すようにエッジEyの位置で検出器7の検出
電流の波形が変化する。エッジEx,Eyの位置での波
形はビーム径Lx,Ly(図12(d)参照)に応じて
変化するので、これらの波形の最大値、最大値−最小
値、差分和、差分2乗和等を評価することによりビーム
径Lx,Lyを求めることができる。
【0019】非点収差補正器6は電子ビームの非点収差
を補正するもので、X軸補正器6Xと、Y軸補正器6Y
とを備える。X軸補正器6Xは、上述した図15のX軸
補正コイルCxと同様に4極のコイルを光軸の回りに9
0゜ピッチで配置したもので、Y軸補正器6Yは図15
のY軸補正コイルCxと同様に4極のコイルをX軸補正
器6Xのコイルに対して45゜ずらして配置したもので
ある。
【0020】検出器7の検出信号は増幅回路8で増幅さ
れてフレームメモリ9に入力される。フレームメモリ9
は、入力した信号をデジタルデータに変換して記憶す
る。フレームメモリ9の画素数は、例えば512×51
2画素に設定される。フレームメモリ9に記憶されたデ
ータは、CRT10で試料像を表示するための画像信号
に使用されるとともに、非点収差補正器6に与える励磁
電流を決定するデータにも使用される。11は、上述し
たフレームメモリ9、走査コイル5および非点収差補正
器6の動作を制御するとともに、後述する非点収差の補
正に必要な各種の演算処理を行なうCPUである。CP
U11にはインターフェース回路12および走査信号発
生回路13が接続されている。
【0021】非点収差補正器6のX軸補正器6Xに与え
る励磁電流IxおよびY軸補正器6Yに与える励磁電流
IyはCPU11で設定され、これらの設定値がインタ
ーフェース回路12を介して非点収差補正回路14のX
軸補正回路14XおよびY軸補正回路14Yに与えられ
る。X軸補正回路14XおよびY軸補正回路14Yは、
CPU11から与えられた補正値をX軸補正器6Xおよ
びY軸補正器6Yの励磁電流に変換して非点収差補正器
6X,6Yに供給する。
【0022】走査コイル5による試料4の走査方向や走
査速度もCPU11で設定され、それらの設定値は走査
信号発生回路13に出力される。走査信号発生回路13
は、CPU11の指令に対応した走査電圧を走査回路1
5のX軸走査回路15XおよびY軸走査回路15Yに出
力する。X軸走査回路15Xは、走査信号発生回路13
から送られたX軸方向の走査電圧を励磁電流に変換して
X軸走査コイル5Xに供給する。Y軸走査回路15Y
は、走査信号発生回路13から送られたY軸方向の走査
電圧を励磁電流に変換してY軸走査コイル5Yに供給す
る。なお、走査信号発生回路13の発生する走査電圧は
フレームメモリ9にも供給され、X軸走査回路15Xの
走査電圧はX軸補正回路14Xに、Y軸走査回路15Y
の走査電圧はY軸補正回路14Yにそれぞれ供給され
る。
【0023】また、CPU11にはインターフェース回
路16を介して焦点調整回路17が接続されている。後
述する処理により、対物レンズ2の焦点ずれ量が演算さ
れると、そのずれ量に対応した信号がインターフェース
回路16から焦点調整回路17に出力される。焦点調整
回路17は与えられた焦点ずれ量に対応して対物レンズ
2の励磁電流を変化させて焦点調整を行なう。
【0024】次に、図3〜図5を参照してCPU11に
よる非点収差の補正手順を説明する。図4および図5で
は、上述した図13以下の例と同じく、非点収差補正器
6の空間を座標系Ix−Iy、非点収差の空間を座標系
Sx−Syで示している。座標系Ix−Iyは、非点収
差補正器6のX軸補正器6Xに与える励磁電流Ix、Y
軸補正器6Yに与える励磁電流IyをそれぞれX座標、
Y座標とする角度2倍の座標系である。非点収差の空間
の座標系Sx−Syは角度2倍かつ原点で非点収差が0
となるように設定した。また、非点収差の空間のSx軸
は、走査コイル5による電子ビームの走査方向(図2
(a)でエッジEx,Eyと直交する方向)に一致させ
ている。すなわち、試料4のエッジExに平行な方向と
楕円状の電子ビームの長軸方向とが一致するようにSx
の正方向(+Sxの方向)を選び、エッジEyに平行な
方向と電子ビームの長軸方向とが一致するようにSxの
負方向(−Sxの方向)を選んでいる。
【0025】図3に示すように、非点収差の補正が指示
されるとCPU11はまずステップS1にてY軸補正器
6Yに与える励磁電流Iyを適当な値(通常は非点収差
の補正に入る前のY軸補正器6Yの励磁電流の設定値)
に固定し、X軸補正器6Xの励磁電流Ixを変化させ
る。この操作は、図4(a)においてIy=Iyi上で
励磁電流Ixを変化させることに相当する。このときの
ビーム形状の変化の例をIy=Iyi上に示した。励磁
電流Ixが適当な量だけ変化する毎に、走査コイル5に
より電子ビームを試料4のエッジEx,Ey(図2)と
直交する方向へそれぞれ走査してビーム径Lx,Lyを
演算し、図4(b)に示すように励磁電流Ixとビーム
径Lx,Lyとの関係を求める。ビーム径Lx,Ly
は、図2で説明したように、走査時の検出器7の検出信
号をフレームメモリ9から読み込み、その波形の最大値
等から求める。走査速度や走査経路は予めCPU11に
与えられている。
【0026】次のステップS2では、ステップS1での
検出結果に基づいて、ビーム径Lxの最小値を与えるX
軸補正器6Xの励磁電流Ix0x、ビーム径Lyの最小
値を与えるX軸補正器6Xの励磁電流Ix0yを検出す
る(図4(b)参照)。続くステップS3では、X軸補
正器6Xの励磁電流をIx0xに固定してY軸補正器6
Yの励磁電流Iyを変化させる。この操作は、図4
(a)においてIx=Ix0x上で励磁電流Iyを変化
させることに相当する。このときのビーム形状の変化の
例をIx=Ix0x上に示した。励磁電流Iyが適当な
量だけ変化する毎に、X軸走査コイル5Xにより電子ビ
ームを試料4のエッジExと直交する方向へ走査してビ
ーム径Lxを検出し、図4(c)に示すように励磁電流
Iyとビーム径Lxとの関係を求める。
【0027】次のステップS4ではステップS3の検出
結果に基づいて、ビーム径Lxの最小値を与える励磁電
流Iy0xを検出する(図4(c)参照)。図4
(a),(c)から明らかなように、励磁電流(Ix0
x,Iy0x)の位置ではビーム径Lx=0で試料4上
のビーム形状は焦線となり、このときの非点収差ベクト
ル(Sx,Sy)=(z,0)である。
【0028】ステップS5ではX軸補正器6Xの励磁電
流をIx0yに固定して、Y軸補正器6Yの励磁電流I
yを変化させる。この操作は、図4(a)においてIx
=Ix0y上で励磁電流Iyを変化させることに相当す
る。このときのビーム形状の変化の例をIx=Ix0y
上に示した。励磁電流Iyが適当な量だけ変化する毎
に、Y軸走査コイル5Yにより電子ビームを試料4のエ
ッジEyと直交する方向へ走査してビーム径Lyを検出
し、図4(d)に示すように励磁電流Iyとビーム径L
yとの関係を求める。次のステップS6ではステップS
5の検出結果に基づいて、ビーム径Lyの最小値を与え
る励磁電流Iy0yを検出する(図4(d)参照)。図
4(a),(d)から明らかなように、励磁電流(Ix
0y,Iy0y)の位置ではビーム径Ly=0で試料4上
のビーム形状は励磁電流(Ix0x,Iy0x)のときと
は90゜回転した焦線となる。このときの非点収差ベク
トル(Sx,Sy)=(−z,0)である。
【0029】続くステップS7では、ステップS4,6
で検出した一対の励磁電流(Ix0x,Iy0x),(I
x0y,Iy0y)の中点の座標(Ix,Iy)を下式に
より求め、その値にX軸補正器6X、Y軸補正器6Yの
励磁電流を設定する。
【数4】Ix=(Ix0x+Ix0y)/2 Iy=(Iy0x+Iy0y)/2
【0030】図4(a)から明らかなように、励磁電流
(Ix0x,Iy0x),(Ix0y,Iy0y)の中点で
は非点収差ベクトル(Sx,Sy)=(0,0)であ
り、非点収差が完全に補正される。
【0031】非点収差の補正後は、ステップS8にて下
式により焦線を与える励磁電流(Ix0x,Iy0x),
(Ix0y,Iy0y)の距離2zを求め(図4(a)参
照)、その値から試料4に対する電子ビームの焦点ずれ
量を算出する。
【数5】2z=√((Ix0x−Ix0y)2+(Iy0x
−Iy0y)2
【0032】焦点ずれ量を算出した後は、ステップS9
にて焦点ずれ量を焦点調整回路17に出力し、電子ビー
ムが試料4上で焦点を結ぶように対物レンズ2の焦点調
整を行なう。この後処理を終了する。
【0033】図5は非点収差補正器6の励磁電流とビー
ム径Lx,Lyとの関係を示したものである。ビーム径
Lx,Lyは、焦線位置を中心としてどの方向にも等し
く1次で変化するため、ビーム径Lx,Lyの等高線は
円形となる。したがって、ビーム径Lx,Lyがそれぞ
れ最小となるように非点収差補正器6X,6Yの励磁電
流の調整を繰り返すことで焦線位置を高精度に検出でき
る。焦点調整のために別にビーム径の検出等を行なう必
要がないので、焦点調整も短時間でかつ精度良く行なう
ことができる。
【0034】以上の実施例では、CPU11が行なう各
種の処理のうち、図3のステップS1,ステップS3お
よびステップS5がビーム径検出手段を、ステップS
2,ステップS4およびステップS6が補正値検出手段
を、ステップS7が補正値設定手段を、ステップS8が
焦点ずれ量検出手段を構成する。
【0035】−第2実施例− 図6〜図8により本発明の第2実施例を説明する。本実
施例は、上述した第1実施例に対して非点収差の調整方
法を変更したものである。したがって、以下の説明では
走査型電子顕微鏡の構成要素に第1実施例と同一符号を
付し、調整手順のみを説明する。
【0036】本実施例では、非点収差の補正に先立っ
て、非点収差補正器6のX軸を走査コイル5のX軸およ
びY軸と計算または実験によって一致させる。すなわ
ち、X軸補正器6Xの励磁電流Ixを変化させたとき、
走査コイル5のX軸方向およびY軸方向に楕円ビームの
長軸および短軸が増減するようにX軸補正器6Xの軸方
向を設定する。このときの非点収差補正器6の空間の座
標系Ix−Iyと、非点収差の空間の座標系Sx−Sy
との関係は図6および図7に示した通りである。非点収
差の空間のSx軸の正方向および非点収差補正器6の空
間のIx軸の正方向は、X軸走査コイル5Xによる電子
ビームの走査方向と一致し、非点収差の空間のSx軸の
負方向および非点収差補正器6の空間のIx軸の負方向
はY軸走査コイル5Yによる電子ビームの走査方向と一
致する。
【0037】図7は本実施例におけるCPU11の非点
収差補正手順を示すものである。非点収差の補正が指示
されると、CPU11はまずステップS11にてY軸補
正器6Yに与える励磁電流Iyを適当な値(通常は非点
収差の補正に入る前のY軸補正器6Yの励磁電流の設定
値)に固定し、X軸補正器6Xの励磁電流Ixを変化さ
せる。この操作は、図6(a)においてIy=Iyi上
で励磁電流Ixを変化させることに相当する。このとき
のビーム形状の変化の例をIy=Iyi上に示した。励
磁電流Ixが適当な量だけ変化する毎に、走査コイル5
により電子ビームを試料4のエッジEx,Eyと直交す
る方向へそれぞれ走査してビーム径Lx,Lyを検出
し、図6(b)に示すように励磁電流Ixとビーム径L
x,Lyとの関係を求める。
【0038】次のステップS12では、ステップS11
での検出結果に基づいて、ビーム径Lxの最小値を与え
るX軸補正器6Xの励磁電流Ix0x、ビーム径Lyの
最小値を与えるX軸補正器6Xの励磁電流Ix0yを検
出する(図6(b)参照)。続くステップS13では、
X軸補正器6Xの励磁電流をIx0xに固定してY軸補
正器6Yの励磁電流Iyを変化させる。この操作は、図
6(a)においてIx=Ix0x上で励磁電流Iyを変
化させることに相当する。このときのビーム形状の変化
の例をIx=Ix0x上に示した。励磁電流Iyが適当
な量だけ変化する毎に、X軸走査コイル5Xにより電子
ビームを試料4のエッジExと直交する方向へ走査して
ビーム径Lxを検出し、図6(c)に示すように励磁電
流Iyとビーム径Lxとの関係を求める。
【0039】次のステップS14ではステップS13の
検出結果に基づいて、ビーム径Lxの最小値を与える励
磁電流Iy0を検出する(図6(c)参照)。図6
(a),(c)から明らかなように、励磁電流(Ix0
x,Iy0)の位置ではビーム径Lx=0で試料4上の
ビーム形状は焦線となり、このときの非点収差ベクトル
(Sx,Sy)=(z,0)である。また、非点収差の
空間のSx軸の方向と非点収差補正器6のIx軸の方向
とが一致しているので、励磁電流(Ix0y,Iy0)の
位置でビーム径Ly=0となり、試料4上のビーム形状
は励磁電流(Ix0x,Iy0)のときとは90゜回転し
た焦線となる。このときの非点収差ベクトル(Sx,S
y)=(−z,0)である。
【0040】続くステップS15では、ステップS14
で検出した一対の励磁電流(Ix0x,Iy0),(Ix
0y,Iy0)の中点の座標(Ix,Iy)を下式により
求め、その値にX軸補正器6X、Y軸補正器6Yの励磁
電流を設定する。
【数6】Ix=(Ix0x+Ix0y)/2 Iy=Iy0
【0041】図6(a)から明らかなように、励磁電流
(Ix0x,Iy0),(Ix0y,Iy0)の中点では非
点収差ベクトル(Sx,Sy)=(0,0)であり、非
点収差が完全に補正される。
【0042】非点収差の補正後は、ステップS16にて
下式により焦線を与える励磁電流(Ix0x,Iy0),
(Ix0y,Iy0)の距離2zを求め(図6(a)参
照)、その値から試料4に対する電子ビームの焦点ずれ
量を算出する。
【数7】2z=|Ix0x−Ix0y|
【0043】焦点ずれ量を算出した後は、ステップS1
7にて焦点ずれ量を焦点調整回路17に出力し、電子ビ
ームが試料4上で焦点を結ぶように対物レンズ2の焦点
調整を行なう。この後処理を終了する。以上の手順によ
れば、ステップS12でビーム径Lxの最小値を与える
励磁電流Ix0x,Ix0yを特定した後、ステップS1
3およびステップS14で一方の励磁電流Ix0xに関
してのみ励磁電流Iyを変化させて焦線を与える励磁電
流Iy0を求めるだけで一対の励磁電流(Ix0x,Iy
0),(Ix0y,Iy0)が得られるので、上述した第
1実施例と比べて短時間で補正を終了できる。
【0044】図8は本実施例における非点収差補正器6
の励磁電流とビーム径Lx,Lyとの関係を示したもの
である。この図から明らかなように、本実施例でもビー
ム径Lx,Lyが、焦線位置を中心としてどの方向にも
等しく1次で変化するため、ビーム径Lx,Lyの等高
線は円形となる。したがって、ビーム径Lx,Lyがそ
れぞれ最小となるように非点収差補正器6X,6Yの励
磁電流の調整を繰り返すことで焦線位置を高精度に検出
できる。
【0045】なお、図7のステップS13では、X軸補
正器6Xの励磁電流をビーム径Lxの最小値を与えるI
x0xで固定したが、ビーム径Lyの最小値を与える励
磁電流Ix0yに固定してもよい。この場合は、Y軸補
正器6Yの励磁電流Iyとビーム径Lyとの関係を検出
し、ステップS14でビーム径Lyの最小値を与える励
磁電流Iy0を検出する。励磁電流Ix0yに固定して励
磁電流Iyを変化させたときのビーム形状の変化は図6
(a)のIx=Ix0y上に例示した。
【0046】以上の実施例では、CPU11が行なう各
種の処理のうち、図7のステップS11およびステップ
S13がビーム径検出手段を、ステップS12およびス
テップS14が補正値検出手段を、ステップS15が補
正値設定手段を、ステップS16が焦点ずれ量検出手段
を構成する。
【0047】−第3実施例− 図9および図10により本発明の第3実施例を説明す
る。本実施例は、上述した第1実施例に対して非点収差
の調整方法を変更したものである。したがって、以下の
説明では走査型電子顕微鏡の構成要素に第1実施例と同
一符号を付し、調整手順のみを説明する。
【0048】図9は本実施例における非点収差補正器6
の空間と、非点収差の空間とを示すもので、これらの関
係は第1実施例と同じである。ただし、本実施例ではX
軸補正器6XおよびY軸補正器6Yに与える励磁電流
(Ix,Iy)をそれぞれ独立して変化させるのではな
く、図9(a)に示すように、非点収差補正器6の空間
内で半径Irの円を描くように励磁電流(Ix,Iy)
を変化させる、いわゆるR−θ方式で補正を行なう。R
−θ座標系での励磁電流(Ir,θ)に対応する励磁電
流(Ix,Iy)の設定はCPU11が行なう。
【0049】図10は本実施例におけるCPU11の非
点収差補正手順を示すものである。非点収差の補正が指
示されると、CPU11はステップS21にて非点収差
補正器6の空間内の適当な点(Ixi,Iyi)を中心と
して半径Irの円を描くように励磁電流(Ix,Iy)
を変化させる。そして、回転角θが適当な量だけ変化す
る毎に、走査コイル5により電子ビームを試料4のエッ
ジEx,Eyと直交する方向へそれぞれ走査してビーム
径Lx,Lyを演算し、図9(b)に示すように回転角
θとビーム径Lx,Lyとの関係を求める。このときの
ビーム形状の変化の例を図9(a)の半径Irの円周上
に示した。
【0050】次のステップS22では、ステップS21
での検出結果に基づいて、ビーム径Lxの最小値を与え
る回転角θx、ビーム径Lyの最小値を与えるθyを検
出する(図9(b)参照)。続くステップS23では、
中心点(Ixi,Iyi)から角度θxの方向に沿って半
径Irを増減させる。この操作は、図9(a)におい
て、θx方向の軸Aθxに沿って励磁電流(Ix,I
y)を変化させることに相当する。このときのビーム形
状の変化の例を図9(a)の軸Aθx上に示した。励磁
電流(Ir,θx)が適当な量だけ変化する毎に、X軸
走査コイル5Xにより電子ビームを試料4のエッジEx
と直交する方向へ走査してビーム径Lxを検出し、図9
(c)に示すように励磁電流Irとビーム径Lxとの関
係を求める。
【0051】次のステップS24では、ステップS23
の検出結果に基づいてビーム径Lxの最小値を与える励
磁電流Ir0xを検出する(図9(c)参照)。図9
(a),(c)から明らかなように、励磁電流(Ir0
x,θx)の位置ではビーム径Lx=0で試料4上のビ
ーム形状は焦線となり、このときの非点収差ベクトル
(Sx,Sy)=(z,0)である。
【0052】ステップS25では、中心点(Ixi,I
yi)から角度θyの方向に沿って半径Irを増減させ
る。この操作は、図9(a)において、θy方向の軸A
θyに沿って励磁電流(Ix,Iy)を変化させること
に相当する。このときのビーム形状の変化の例を図9
(a)の軸Aθy上に示した。励磁電流(Ir,θy)
が適当な量だけ変化する毎に、Y軸走査コイル5Yによ
り電子ビームを試料4のエッジEyと直交する方向へ走
査してビーム径Lyを検出し、図9(d)に示すように
励磁電流Irとビーム径Lyとの関係を求める。
【0053】次のステップS26では、ステップS25
の検出結果に基づいてビーム径Lyの最小値を与える励
磁電流Ir0yを検出する(図9(d)参照)。図9
(a),(d)から明らかなように、励磁電流(Ir0
y,θy)の位置ではビーム径Ly=0で試料4上のビ
ーム形状は励磁電流(Ir0x,θx)のときとは90
゜回転した焦線となる。このときの非点収差ベクトル
(Sx,Sy)=(−z,0)である。
【0054】続くステップS27では、ステップS2
4,26で検出した一対の励磁電流(Ir0x,θ
x),(Ir0y,θy)の中点の座標(Ir,θ)を
下式により求め、その値にX軸補正器6X、Y軸補正器
6Yの励磁電流を設定する。
【数8】
【0055】図9(a)から明らかなように、励磁電流
(Ir0x,θx),(Ir0y,θy)の中点では非点
収差ベクトル(Sx,Sy)=(0,0)であり、非点
収差が完全に補正される。
【0056】非点収差の補正後は、ステップS28にて
下式により焦線を与える励磁電流(Ir0x,θx),
(Ir0y,θy)の距離2zを求め(図9(a)参
照)、その値から試料4に対する電子ビームの焦点ずれ
量を算出する。
【数9】
【0057】焦点ずれ量を算出した後は、ステップS2
9にて焦点ずれ量を焦点調整回路17に出力し、電子ビ
ームが試料4上で焦点を結ぶように対物レンズ2の焦点
調整を行なう。この後処理を終了する。
【0058】以上の実施例では、CPU11が行なう各
種の処理のうち、図10のステップS21,ステップS
23およびステップS25がビーム径検出手段を、ステ
ップS22,ステップS24およびステップS26が補
正値検出手段を、ステップS27が補正値設定手段を、
ステップS28が焦点ずれ量検出手段を構成する。
【0059】以上説明した第1〜第3実施例では、試料
4を走査したときの二次電子の波形からビーム径Lx,
Lyを求めたが、反射電子の波形を用いてもよい。図1
2に示した方法で求めてもよい。また、現実の観察対象
の試料を用いてもビーム径Lx,Lyの検出は可能であ
る。例えば図11(a)に示す試料20を観察する場
合、互いにほぼ直交する方向に延びるエッジEx,Ey
を抽出し、これらのエッジEx,Eyと直交する方向に
電子ビームを走査して図11(b),(c)に示すよう
に二次電子や反射電子の電流波形を検出すればよい。こ
の場合、ビーム径Lx=0となる励磁電流の検出時には
エッジExのみを走査し、ビーム径Ly=0となる励磁
電流の検出時にはエッジExのみを走査するので、エッ
ジEx,Eyの形状や材質が同一でなくても何等問題は
ない。
【0060】また、以上の実施例ではCPU11で焦点
調整を行なったが、焦点ずれ量をCRT10等で表示
し、その値をオペレータが読み取って手動で対物レンズ
2の焦点を調整してもよい。本発明は走査型電子顕微鏡
に限らず、例えば半導体のパターン形成に用いる電子線
描画装置等、荷電粒子線を照射する各種の装置に適用で
きる。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では光軸と
直交する特定の平面上でビーム形状が焦線となる一対の
補正値を検出するので、これらの一対の補正値の平均値
に非点収差補正器の補正値を設定することで、精度良く
非点収差を補正できる。また一対の補正値のずれ量から
焦点ずれ量を検出できるので、焦点調整のためのみにビ
ームの走査やビーム径の検出等を行なう必要がなくな
り、短時間で高精度に焦点調整を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例にかかる走査型電子顕微鏡
の概略構成を示す図。
【図2】ビーム径の検出原理を説明する図で、(a)は
試料の平面図、(b)はX軸方向に電子ビームを走査し
たときの二次電子の電流値の波形を示す図、(c)はY
軸方向に電子ビームを走査したときの二次電子の電流値
の波形を示す図。
【図3】第1実施例のCPU11による非点収差の補正
手順を示すフローチャート。
【図4】第1実施例における非点収差の補正動作を非点
収差補正レンズの空間および非点収差の空間上で示す
図。
【図5】第1実施例でのビーム径の変化を示す等高線
図。
【図6】第2実施例における非点収差の補正動作を非点
収差補正レンズの空間および非点収差の空間上で示す
図。
【図7】第2実施例のCPU11による非点収差の補正
手順を示すフローチャート。
【図8】第2実施例でのビーム径の変化を示す等高線
図。
【図9】第3実施例における非点収差の補正動作を非点
収差補正レンズの空間および非点収差の空間上で示す
図。
【図10】第3実施例のCPU11による非点収差の補
正手順を示すフローチャート。
【図11】観察対象の試料を用いたビーム径の検出を説
明する図で、(a)は試料の平面図、(b)はX軸方向
に電子ビームを走査したときの二次電子の電流値の波形
を示す図、(c)はY軸方向に電子ビームを走査したと
きの二次電子の電流値の波形を示す図。
【図12】ナイフエッジを備えるアパーチャーを利用し
たビーム径の検出を説明する図で、(a)はアパーチャ
ーの平面図、(b)はX軸方向に電子ビームを走査した
ときにアパーチャーを通過した電子線の電流値の波形を
示す図、(c)はY軸方向に電子ビームを走査したとき
にアパーチャーを通過した電子線の電流値の波形を示す
図、(d)はビーム形状とビーム径との関係を示す図。
【図13】従来の焦点調整手順を説明するための図。
【図14】従来の非点収差の補正動作を非点収差補正レ
ンズの空間および非点収差の空間上で示す図。
【図15】電磁非点収差補正器のコイルの配置を示す
図。
【図16】光軸方向の位置に応じた非点収差ベクトルの
変化を示す図。
【図17】非点収差ベクトルとその座標系Sx−Syと
を示す図。
【図18】従来の焦点調整時の問題点を図13に対応さ
せて示す図。
【図19】従来の非点収差の補正時の問題点を図14に
対応させて示す図。
【符号の説明】 1 電子銃 2 対物レンズ 3 試料ホルダ 4,20 試料 5 走査コイル 6 非点収差補正器 6X X軸補正器 6Y Y軸補正器 7 検出器 9 フレームメモリ 11 CPU

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 荷電粒子線の非点収差を補正する非点収
    差補正器を備えた荷電粒子線の照射装置において、 前記非点収差補正器に与える補正値を二次元に変化させ
    つつ、荷電粒子線の光軸とほぼ直交する平面上で互いに
    ほぼ直交する第1の方向および第2の方向のビーム径に
    対応する値を検出するビーム径検出手段と、 検出された第1の方向および第2の方向のビーム径に対
    応する値に基づいて、前記平面上で前記荷電粒子線が前
    記第1および第2の方向の焦線となる前記非点収差補正
    器の一対の二次元の補正値を検出する補正値検出手段
    と、を具備することを特徴とする荷電粒子線の照射装
    置。
  2. 【請求項2】 前記非点収差補正器に与える二次元の補
    正値を、前記焦線となる一対の二次元の補正値の平均値
    に設定する補正値設定手段を備えることを特徴とする請
    求項1記載の荷電粒子線の照射装置。
  3. 【請求項3】 前記焦点となる一対の二次元の補正値の
    ずれ量に基づいて、照射対象に対する荷電粒子線の焦点
    のずれ量を検出する焦点ずれ量検出手段を備えることを
    特徴とする請求項1または2記載の荷電粒子線の照射装
    置。
  4. 【請求項4】 荷電粒子線の非点収差補正器に与える補
    正値を二次元に変化させつつ荷電粒子線の光軸とほぼ直
    交する平面上で互いにほぼ直交する第1の方向および第
    2の方向のビーム径に対応する値を検出し、 検出された第1の方向および第2の方向のビーム径に対
    応する値に基づいて、前記特定の平面上で前記荷電粒子
    線が前記第1および第2の方向の焦線となる前記非点収
    差補正器の一対の二次元の補正値を検出し、 前記非点収差補正器に与える二次元の補正値を、検出さ
    れた前記焦線となる一対の二次元の補正値の平均値に設
    定する荷電粒子線の照射状態の補正方法。
  5. 【請求項5】 前記焦点となる一対の二次元の補正値の
    ずれ量に基づいて照射対象に対する荷電粒子線の焦点の
    ずれ量を検出し、検出されたずれ量に基づいて焦点調整
    を行なうことを特徴とする請求項4記載の荷電粒子線の
    照射状態の補正方法。
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