発明の分野
本発明は、一般には荷電粒子かラムに関し、より詳細には荷電粒子のビームの収差のアライメントおよび補正のための方法および装置に関する。より詳細には、本発明は荷電粒子のビームの自動アライメントと、収差の自動補正に関する。
発明の背景
試料をナノメートルスケール以内で構築および探査するために、産業界ではマイクロエレクトロニクス、マイクロメカニクスおよびバイオテクノロジなどの技術の需要が高まっている。このような小さなスケールでの探査または構築は、しばしば電子ビームを用いて行われるが、電子ビームは、電子顕微鏡や電子ビームパターン発生器などの荷電粒子ビーム装置において発生および集束される。荷電粒子ビームは波長が短いために、例えば光子ビームなどに比べて優れた空間解像度を与える。
しかしながら、例えば0.01nm未満などの波長に基づいて達成されうる空間解像度は、荷電粒子のビームの固有の収差とミスアライメントによる制限をうけ、その結果、解像度が低下する。
例えば、走査電子顕微鏡(SEM)において、ビームは1.5nm前後の大きさの小さなスポット上に集束される。試料の上方からビームによる走査が行われる。したがって、得られる画像の解像度は、試料表面の平面内のビーム径による制限を受ける。
ビーム径は、例えば、ビームのアライメントとは無関係であるが、電子ビームのエネルギ分散に依存する色収差などの収差によって制限されることもある。更に、結像レンズの絞りがゼロでないときに発生する球面収差もある。しかしながら、個々の結合要素の光軸に関するビームのミスアライメントによって収差が悪化したり、収差が導入されることもある。高い空間解像度を達成するには、歪みも非常に小さくなければいけないので、個々の光学要素に対して定期的にビームのアライメントを行う必要がある。
従来、操作者が荷電粒子カラムのアライメントを実施する必要があった。したがって、操作者は、測定した画像に基づいてアライメント補正装置に与えられる各信号を調節する。この手法の1つの欠点は、その判断が操作者にゆだねられていることである。したがって、不正確さと操作者による差異が生じる。更に、手動調整には時間がかかり、特に高い装置処理能力を必要とするオンライン検査装置に対してはこれが欠点となっている。
米国特許第5,627,373号には、走査電子顕微鏡において、電子ビーム軸を自動的に対物レンズにアライメントするための方法が記載されている。したがって、対物レンズの集束範囲の第1および第2の点における試料の画像が測定される。それぞれの画像に対して、顕微鏡の視野内の直定規の位置の指示信号が発生される。画像の横移動を上記2つの信号から検出し、自動的にアライメントを調整した後、直行方向に対してこの手順を繰り返す。ミスアライメントによって起こる画像シフトが所定の閾値未満になるまで、完全な操作手順を繰り返す。
更に、走査電子顕微鏡において電子ビーム非点収差を自動的に補正するための方法が米国特許第5,627,373号に示唆されている。非点収差補正に対しては、試料全周にわたり30度間隔で境界部分がサンプリングされる。ビーム歪みの軸は、試料間での鮮鋭度を示す指示信号に基づいて特定される。歪みは、反復するうちに、このような軸に沿って調整されて改良される。
米国特許第6,025,600号は、荷電粒子ビーム装置における非点収差誤差の計算および補正方法を教示している。荷電粒子装置の対物レンズの設定を一掃する間(during a single sweep)に画像が収集される。異なる方向の画像の特徴、例えば、非点補正標的内の直線が解析される。最良の鮮鋭度または最良の焦点値は、対物レンズ設定の関数として得られる。非点収差補正装置の設定に対する適当な変更は、異なる方向の画像特徴に伴う最良の鮮鋭度値の直線的な組み合わせを取り込むことによって算出される。
米国特許第6,067,167号には、走査電子顕微鏡などの電子光学装置内の電子光学系の自動調整を実現するための構想が記載されている。この構想においては、電子光学装置によって、対物レンズの屈折率を変えることで連続的に調整された焦点において、連続的に得られた所定の数の画像が記憶される。試料画像の移動量を計算する。それにより、算出された移動量に基づいて調整が必要か否かが判定され、もし必要であれば調整が行われる。更に、走査電子顕微鏡などの電子光学装置の荷電粒子ビーム光学系において非点収差補正を実現するためのスキームについても開示されている。
しかしながら、荷電粒子ビームカラムのアライメントに関しては更なる問題があり、従来の技術において与えられた改良には、特にオンライン検査装置またはオンラインビームライターを考慮した場合には更なる完璧性が求められる。
発明の概要
本発明は、上述の問題を克服することを目的としている。本発明のいくつかの態様に従えば、独立請求項1、13に記載の荷電粒子ビームの非点収差を補正する方法が提供される。
本発明の更なる利点、特徴、態様および詳細については、従属項、明細書、および添付の図面から明らかである。
本発明に従えば、荷電粒子ビームのエネルギを変えて、アライメントに要する時間を短縮という利点がある。更に、より必要性の高いアライメントステップを自動化し、更なる向上を図れるという利点もある。
したがって、従来技術に関係する以下の欠点を克服することができる。例えば、従来技術のなかでは、それぞれのミスアライメントに対して反復調整を行うことが示唆されている。それにより、荷電粒子のビームの自動調整が行われる場合でさえ、装置を調整する操作者の挙動が模倣される。このように操作者の反復手順を模倣することによって、アライメント時間を幾分改良できるかもしれないが、荷電粒子装置を調整するのに必要な時間はまだなお5〜10秒の範囲である。このことは、従来技術において、対物レンズの電流の変化により焦点を変えることが教示されていることから、特に事実と反しない。しかしながら、対物レンズは磁気または磁気静電レンズの形態で構築されることが多い。したがって、コイルの自己インダクタンスによって焦点の迅速な変化が妨げられ、これにより、荷電粒子ビームの調整に必要な時間をそれ以上改善することに限界が生じている。
更に、従来技術において、荷電粒子カラムのアライメントの自動化は部分的にだけ実現されている。したがって、個々のアライメントステップしか自動的に実施することができず、全カラムの完全なアライメントを自動的に実現するには、操作者が必要となることが更に多くなる。このため、特にオンライン測定装置においては、操作者の責任や必要とされる技量は軽減されるかもしれないが、それでもなお操作者は必要である。
本発明は一般に荷電粒子かラム関し、より詳細には荷電粒子ビームの収差のアライメントおよび補正のための方法および装置に関する。より具体的には、本発明は、荷電粒子ビームの自動アライメントおよび収差の自動補正にも関する。
本発明の更なる態様に従えば、荷電粒子ガンによって放射された荷電粒子ビームを絞りに対してアライメントする方法が提供される。これにより、ビームは絞りの第1エッジ上の絞りによって塞がれるように偏向され、減光を行うのに必要とされる第1の偏向信号が測定される。更に、ビームは、絞りの第2エッジ上の絞りによって塞がれるように偏向され、更に減光を行うのに必要な第2の偏向信号が測定される。第1および第2の偏向信号から、絞りの中心位置に対応する信号が計算され、ビームのアライメントのために提供される。本願において、このアライメント方法は、ガンアライメントのこともさす。
したがって、荷電粒子ビームカラムの基本調整が、光軸への荷電粒子ビームのアライメントを作動させるのに十分でない場合、操作者が関与する必要性は小さくなる。上述のアライメントにより、荷電粒子ビームのアライメント不良が自動的に改善されて、高い精度を導く更なるビームアライメントを、操作者の介入なしに開始することが可能になる。更に、操作者によるアライメントと比較しての自動アライメントに関する上記利点は、本発明の方法にも当てはまる。
本願で用いる「荷電粒子ビームカラム」という表現は、荷電粒子のビームをアライメントする必要のある全ての種類の装置のことをいう。これは電子顕微鏡、電子ビーム書込装置、またはイオンを用いた相当する装置であってもよい。本願において言及する絞りは、ビーム規定絞りであってもよいし、あるいは、別個の異なる真空チャンバに組み込まれた絞りであってもよい。しかしながら、絞りは荷電粒子ビームカラムの最終絞りのことを指すことが好ましい。例えば特定の実施形態において、特に注記しない限り、ビーム偏向フィールドとビーム偏向部は、静電的、磁気的または磁気電気的なものである。このような偏向部はバイアスプレート、コイルまたはそれらの組み合わせの形態で実現することができる。試料からの分散または二次微粒子の測定は、光増幅管などに接続されたシンチレータの形態の検出器を用いて実施することができる。信号の測定方法は、一般に本発明の理念に影響しないので、このことが本発明を限定することはない。
ガンアライメントの好ましい詳細と利点について以下に説明する。
上述の本発明に従う態様を利用して、それぞれの偏向フィールドを変え、同時に好ましくはフレームの形態の連続した画像を測定する。生成されるフレームのグレーレベルを計算する。このグレーレベルに応じて、延長(extension)を得るのに必要な信号が測定される。より好ましくは、荷電粒子ビームを該ビームが絞りによって塞がれていない位置から絞りによって塞がれている位置まで偏向するのに必要な信号を、上記グレーレベルに対する閾値を用いるか、あるいはグレーレベルグラフへの曲線の当嵌め(curve fit)を用いることによって測定する。このようにして、第1および第2の信号を自動的に効率よく正確に得ることができる。
更に、本願において、フレームという語は、荷電粒子ビーム装置の視野の1回の走査として用いられる。これによって、画像が得られる。しかしながら、一般に画像は、例えば、2つ以上のフレームを平均することによって得られる。更に、フィルタ機能などを用いて最終画像を得るようにしてもよい。
連続するフレームの場合、すなわち、一連のフレームは、偏向部に与えられる偏向信号を変えながら取得(撮影)または生成される。ランプの形で偏向フィールドを得るような方法で信号を与え、1回のランプ周期の間にフレームを測定することが好ましい。ランプ、すなわちランプの形態を有する信号またはフィールドの変化を、フレームの撮影と同期化することがより好ましい。したがって、測定を反復し、互いに対応する画像を平均することが可能であり、より好ましい。
本願において、ランプ関数とは、好ましくは明確な勾配を有する単調な関数であると理解すべきである。ランプ関数は、好ましくは明確な高さと長さをもつ段差を有する階段状関数であってもよい。
上述したように、ガンアライメントの態様は、本発明に従って自動化すべきである。したがって、種々な可能な事象を、例えばCPUからなる処理制御部上で反応させるか、および/または該処理制御部によって制御する必要がある。そのため、本発明に従えば、第1のステップとして、絞りが荷電粒子ビームを塞がないようにする偏向信号を与えることが好ましい。これにより、より好ましくはビームが最初に絞りを通過していない場合にエラー通知を送信する、処理制御のフローチャートが簡単になる。このようなエラー通知は、例えば、更なる方法フローを停止するか、あるいは単に操作者に現在の荷電粒子装置のアライメント状態を知らせるために用いることができる。
上記の方法を別の第2の方向において行うことが更に好ましい。この第2の方向は第1の方向に直交することがより好ましい。
本発明の更なる態様によれば、荷電粒子ビームを荷電粒子かラムの光軸に自動的にアライメントする方法が提供される。これにより、ビームのエネルギが変えられる。これによって導入されたデフォーカシングが、ミスアライメントの場合には画像の横移動を与える。画像の横移動が測定および評価される。このことから、荷電粒子ビームを光軸にアライメントするための補正信号が推定され、偏向部に供給される。本願において、このアライメント方法は絞りアライメントのことも指す。
本願において、荷電粒子のビームのエネルギの変更には、対物レンズ内の荷電速度に影響を及ぼす荷電粒子ビームカラム内のあらゆる電位の変更が含まれる。したがって、ガン内の加速電圧は、他の任意の電位、例えば試料の電位を変化させることによって変えることができる。カラムのミスアライメントに関連付けうるように、対物レンズのフォーカシング特性に影響を及ぼす、他の任意の電圧または電流の変更も用いることができる。本願において、エネルギの変化およびこれによるデフォーカシングは周期的に行われる。ビームのエネルギのこの周期的な変化は、本願においては、操作者支援型アライメントから知られるレンズ電流を用いた周期的デフォーカシングに対して用いられる言い回しと類似した「ウォブル(wobble)」または「ウォブリング(wobbling)」とも呼ぶ。エネルギの変化、およびそれによるデフォーカシングを周期的に行うのは、単に既存の電子駆動装置(ウォブル正弦波発生器)の限界によるものである。現代の電子装備を想定して、エネルギ変化を1つの線形ランプとして行うことが好ましい。
更に、本願において、「評価する」という表現は、例えばコンピュータによって用いられるアルゴリズムの計算のことも指す。
上述のように絞りアライメントを利用することにより、利点が得られる。特に、製造ライン中に操作される装置は高い可用性と高い長期精度を必要とするので、迅速なアライメント処理を提供することは重要である。記載の方法においては、対物レンズ内の電流を変える必要が全くないので、対物レンズのコイル内にはいかなる自己インダクタンスも誘導されない。このことが、焦点の周期的変更に対する可能な周波数を遅くすると考えられる。したがって、アライメント処理を迅速化することができ、これにより、可用性を高めるか、あるいはアライメントを更に定期的に行って、長期精度を改善することができる。
更に、レンズ電流を変えることによる磁気または磁気電気対物レンズの屈折率の変化によって、ヒステリシスが導入される。このため、印加する電流に計算補正値を加えるか、ヒステリシスを回避するための電流制御技術によってアライメント処理を更に遅くすることにより、このヒステリシスを部分的に補償する必要がある。したがって、ビームのエネルギを変化させることは上記の更なる理由から有利であると考えられる。
絞りアライメントでは、ゴールデンテンプレートを基準として測定することが好ましい。画像横移動の間に(エネルギを変えながら)行われる測定とは対照的に、ゴールデン画像は、エネルギを一定に維持しながら生成される。いくつかの連続するフレームを平均することにより、ゴールデン画像は高い信号対雑音比を示す。画像処理モジュール「パターン分析器」は、この画像を分析し、水平および垂直方向に強いエッジ情報を示す小さな画像領域を検索する。選択された領域は「ゴールデンテンプレート」と呼ばれる。これらの領域はパターン認識処理において基準として用いられる。
これに対し、画像シフト、すなわちミスアライメントに起因する画像の横移動の測定に対しては、迅速な画像列を有することが好ましい。単一のフレームを測定し、これらの画像(フレーム)の疑似連続的シフトを算出することが好ましい。これにより、1つのフレームから次のフレームまでの画像の小さな横移動しか有していなくてもよい。したがって、2つの連続するフレーム間での画像シフトをより容易にかつ正確に追うことができる。それにより、2つの連続する画像間の画像シフトは20画素未満であることが好ましく、2つの連続する画像間の画像シフトは10画素未満であることが更に好ましく、5画素未満であることが更に好ましい。
画像シフトを得るために測定された一連のフレームのそれぞれの特徴を、ゴールデンテンプレートと比較することが更に好ましい。画像シフトは好ましくはパターントラッキングを用いて測定される。再帰パターン認識を用いることが、より好ましい。したがって、連続的に測定されたフレームから、ゴールデンテンプレートに最も近い特徴を有する初期フレームを選択することが好ましい。この初期フレームにより、2つのフレーム間の同期化が、測定の開始とウォブリングの開始との同期化に比べて通常は良好であるという事実から、利点を得ることができる。更に、画像シフトを測定するために用いる各特徴をより正確かつ高い確実性で見つけだすことができる。これは、特に再帰パターン認識に対しては、直前の画像から小さい偏差しか起こり得ないからである。荷電粒子ビームの周期的デフォーカシングもまた画像のブレを引き起こすために、上記のことは特に重要である。このように、画像をデフォーカスすればするほど、パターン認識において画像の選択された特徴を自動的に検出させることが難しくなる。こうした問題は、上述の好ましい態様によって補償することができる。
連続する画像の画像シフトから、フレーム位置ベクトルを計算することが好ましい。フレームインデックスは、時間に対するフレーム位置のベクトルを与える時間ドメイン内で直接横移動させることができる。実施したエネルギの変化と、フレーム位置ベクトルは、直線関係(同期化されている)にある。したがって、エネルギ変化の周期的挙動に基づく関数を、フレーム位置ベクトルに当嵌めすることができる。当嵌め処理の結果、画像シフトの振幅パラメータが得られ、ビーム偏向部に対する補正値だけ横移動される。
較正に基づいて偏向部に与える信号を計算することが好ましい。この較正は、検出された画像シフトに従属する、与えるべき信号の関数を与える。このような較正は、荷電粒子かラムの製造中に1度行うだけでも、定期的に繰り返し行うこともできる。
上述の態様および詳細に鑑みて、測定速度と測定精度との比を改善することができる。したがって、より短い時間で同等の精度を達成することができる。絞りアライメントと呼ばれるアライメントは、3秒以内、好ましくは1秒以内、より好ましくは0.5秒以内で行われる。したがって、アライメントタイム、すなわち手順の総時間を短縮することができ、これにより、装置の可用性を高めることができる。
ビームシフトに対して必要な信号に対する較正を用いることができるので、反復は一般に不可避な要件ではない。このような較正は、荷電粒子ビームを光軸に関して純粋に反復して調整するよりも効果的であり、アライメントは少なくとも1回繰り返して、アライメントの精度を高めるようにすることが好ましい。
更に、第2の方向においてアライメントを行うことが好ましい。好ましくは、第2の方向は第1のアライメント方向に概ね直交する。
様々な機器設定を較正することが更に好ましい。したがって、使用中の装置パラメータとは独立してアライメントを行うことができる。
本発明の更なる態様に従えば、荷電粒子ビーム装置の非点収差を補正するための方法が提供される。荷電粒子のビームのエネルギを、ビームの焦点を自動的に試料に合わせるように変化させる。更に、非点補正装置における電流を変化させることにより、フレームが撮影される。撮影されたフレームの鮮鋭度を評価し、最も鮮鋭な画像に対応する電流を非点補正装置に対して設定する。
本発明の方法を用いると、利点が得られる。特に、製造ライン中に操作される装置は高い可用性と高い長期精度を必要とするので、迅速なアライメント処理を提供することは重要である。記載の方法においては、対物レンズ内の電流を変える必要が全くないので、対物レンズのコイル内にはいかなる自己インダクタンスも誘導されない。このことが、焦点の周期的変更に対する可能な周波数を遅くすると考えられる。したがって、アライメント処理を迅速化することができ、これにより、可用性を高めるか、あるいはアライメントを更に定期的に行って、長期精度を改善することができる。
更に、レンズ電流を変えることによる磁気または磁気電気対物レンズの屈折率の変化によって、ヒステリシスが導入される。このため、印加する電流に計算補正値を加えるか、ヒステリシスを回避するための電流制御技術によってアライメント処理を更に遅くすることにより、このヒステリシスを部分的に補償する必要がある。したがって、ビームのエネルギを変化させることは上記の更なる理由から有利であると考えられる。
電流を変化させ、撮影されたフレームの鮮鋭度を評価するステップを、第2の非点補正装置に対して繰り返すことが好ましい。2つの非点補正装置は、それぞれ、1つの方向に対する四極子構成をもつことが好ましく、より好ましくは、これらの2方向を互いに45°回転させた場合に八極子を構成することがより好ましい。
非点補正装置に印加される電流はランプの形で変化させることが好ましい。これにより、フレーム数と、各フレームの撮影時に印加される電流との同期化をより容易に行うことができる。
上記の方法を用いて、非点補正装置の電流の変化によって、更に画像の横移動ももたらされる。一般に、画像の鮮鋭度を評価する2つの異なる原理を区別する必要がある。一般に、個々の特徴を画像から選択し、画像の鮮鋭度をこれらの特徴の鮮鋭度に基づいて評価する。しかしながら、上記画像の横移動は、分析すべき個々の特徴も移動させる。この特徴のシフトを考慮しない場合、画像鮮鋭度の判定ミスが起こりやすくなる。したがって、フレームまたは画像の鮮鋭度をそれぞれ焦点ヒストグラムを用いて決定することが好ましい。これにより、個々の特徴ではなく、画像全体または画像の一部が分析される。したがって、導入された画像シフトに関してフォーカスマークを補正する必要がなくなる。画像の鮮鋭度を評価するために2ランプ焦点分析を用いることが更に好ましい。これにより、類似の条件下で測定された少なくとも2つの画像を互いに比較して、この比較に基づいた鮮鋭度が得られる。したがって、個々のフレームの共分散を計算することが好ましい。これらの少なくとも2つのフレームは、2つの別のランプ周期の間に測定することが好ましい。ランプは階段形状を有し、少なくとも2つの画像は1ランプ周期の間に測定されることがより好ましい。この態様を用いて、一般には、画像の横移動を考慮する必要なく、特徴の画像の鮮鋭度に関する評価が行われる
更に良好な精度が必要とされるか、画像シフトの影響を回避するための上記方法を適用できない場合には、好ましくは、非点補正装置電流の変化によって導入された画像シフトを、パターン認識を用いて検出して補正することもできる。
撮影装置の非点収差を補正するための方法に関する、上記の好ましい態様および詳細は、以下に記載する非点収差の補正に関する本発明に従う更に2つの態様にも応用できる。
本発明の更なる態様に従えば、荷電粒子ビームの非点収差を補正するための方法が提供される。この方法は、第1群の非点補正コイルの電流を変えながら、一連のフレームを撮影するステップと、連続するフレームの鮮鋭度を評価して、最も鮮鋭な画像に関連する電流を見つけだすステップと、第1群の非点補正コイルの電流を最も鮮鋭な画像に関連する電流に設定するステップとを含み、焦点ヒストグラムを用いて鮮鋭度が評価される。したがって、これは試料の表面上の荷電粒子ビームを最初にフォーカスするのに好適な第1の非点収差補正方法と同等である。
本発明の更なる態様に従えば、荷電粒子ビームの非点収差を補正するための方法が提供される。この方法は、第1群の非点補正コイルの電流を変えながら、一連のフレームを撮影するステップと、連続するフレームの鮮鋭度を評価して、最も鮮鋭な画像に関連する電流を見つけだすステップと、第1群の非点補正コイルの電流を最も鮮鋭な画像に関連する電流に設定するステップとを含み、これにより、2ランプ焦点分析を用いて鮮鋭度が評価される。これは試料の表面上の荷電粒子ビームを最初にフォーカスするのに好適な第1の非点収差補正方法と同等である。
本発明の更なる態様に従えば、荷電粒子装置内の荷電粒子のビームを自動的にアライメントする方法が提供される。これにより、ビームは絞りの第1のエッジにおいて絞りによって塞がれるように偏向され、消光を得るために必要とされる第1の偏向信号が測定される。更に、ビームは、絞りの第2のエッジにおいて絞りによって塞がれるように偏向され、更なる消光を得るために必要な第2の偏向信号が測定される。第1および第2の偏向信号から、絞りの中心位置に対応する信号が算出され、ビームのアライメントのために提供される。更に、試料面に関する焦点は周期的に変えられる。このデフォーカシングは、ミスアライメントの際に画像の横移動をもたらす。画像の横移動を測定し評価する。これにより、荷電粒子のビームを光軸にアライメントするための補正信号が推測され、偏向部に提供される。更に、非点補正装置における電流を変えながら、フレームを撮影する。撮影フレームの鮮鋭度を評価し、非点補正装置を最も鮮鋭な画像に対応する電流に設定する。
荷電粒子装置内で荷電粒子のビームを自動的にアライメントするための装置を利用して、操作者の判断に応じて、あるいは応じずに開始される拙劣なアライメントではあるが、荷電粒子カラムのアライメントを行うことができる。これには速度の改善も伴うため、装置の可用性を高めることができる。
更に、ガンアライメント、絞りアライメントおよび非点収差補正の態様に関して上述したすべての有利な特徴および発明の詳細は、個々に、あるいは組み合わせて、完全に自動化されたカラムアライメントにも適用することができる。
本発明は、記載の各方法ステップを実施するための装置部分を含む、開示された方法を実施するための装置も対象とする。これらの方法ステップは、ハードウェア要素、適当なソフトウェアによってプログラムされたコンピュータ、両者の任意の組み合わせを用いて実施してもよいし、あるいは、他の任意の方法で実施してもよい。更に、本発明は、記載の装置の動作方法も対象とする。これには、装置の各機能を実施するための方法ステップが含まれる。
本発明の他の態様に係るアライメントするための方法は、荷電粒子のビームを、荷電粒子カラムの光軸に自動的にアライメントするための方法であって、a)荷電粒子のビームのエネルギを変えることにより、色収差を導入し、デフォーカシングを得るステップと、b)画像シフトを測定するステップと、c)第1の絞りアライメント偏向部に信号与えて、必要なビームシフトに慕ってビームをシフトさせるステップと、を含む。
この場合、荷電粒子のビームのエネルギを、加速電圧の変調によって変えることが可能である。また、エネルギの変化周期的であり、周期的デフォーカシングが得られる。さらに、周期的デフォーカシングは、2Hzよりも速い、好ましくは10Hzよりも速い、より好ましくは100Hzよりも速い周波数を有する。信号は第2の絞りアライメント部に与えられて、荷電粒子のビームを再指向してもよい。この場合、第1の偏向部前の光軸に関するビーム角度が再確立されてもよい。なお、試料表面上の荷電粒子のビームをフォーカスするステップは、ステップa)〜c)の実施前に行うことができる。また、ゴールデンテンプレートを得るために高画質の画像を測定してもよい。さらに、一連フレームを測定して、疑似連続画像シフトを得ることができる。この場合、一連のフレームの2つの連続するフレーム間の画層シフトは20画素未満、好ましくは10画素未満、より好ましくは5画素未満である。さらに、一連のフレームのそれぞれの特徴が、ゴールデンテンプレートと比較されてもよい。また、画像シフトはパターントラッキングを用いて測定されてもよい。さらに、画像シフトは再帰パターン認識によって測定されてもよい。ゴールデンテンプレートに最も近い初期フレームが一連のフレームから選択されてもよい。この場合、フレーム位置ベクトルが、連続するフレーム間の画像シフトから計算されてもよい。ここで、フレーム位置ベクトルは、荷電粒子のビームのエネルギの変化に当嵌めされてもよい。また、ステップc)は、デフォーカシングにわたる画像シフトの較正に基づいてもよい。さらに、アライメントは、3秒より速く、好ましくは1秒より速く、より好ましくは0.5秒より速く行われる。また、自動的アライメントは、少なくとも1回の反復によって向上させてもよい。すべてのステップは第2の方向において実施されてもよい。なお、較正は様々な設定に対して行われてもよい。
本発明の別の態様に係る荷電粒子ビーム装置は、荷電粒子(101)を放出するための供給源(103)と、荷電粒子のビームで試料の上を走査する走査偏向部(102)と、ビームを、荷電粒子装置の光軸に関してシフトさせる第1の絞りアライメント偏向部(110)と、ビームを、荷電粒子装置の光軸に関して再指向するために第2の絞りアライメント偏向部(111)と、荷電粒子装置の光軸を規定する対物レンズ(112)と、荷電粒子のビームのエネルギを変える電源(21)と、フレームを撮影するための検出器(16)と、電圧供給の周波数と、フレームの撮影周波数とを同期化する制御部(32)と、を含む。
この場合、第1の絞りアライメント偏向部と第2の絞りアライメント偏向部は互いに電気的に接続されてもよい。また、第1および第2の絞りアライメント偏向部のそれぞれは、コイルセットを備えてもよい。さらに、第1および第2の絞りアライメント偏向部のそれぞれは、静電偏向モジュールを備えることができる。
本発明の更なる態様に係る荷電粒子ビーム装置は、荷電粒子のビームを放射する荷電粒子供給源(103)と、試料上を荷電粒子ビームで走査するための走査偏向部(102)と、試料上に荷電粒子ビームを集束させるための対物レンズ(112)と、第1方向におけるビーム歪みを補償する第1群の非点補正コイル(902)と、第2方向におけるビーム歪みを補償する第2群の非点補正コイル(903)と、第1群および第2群の非点補正コイルのいずれか一方内の電流を変化させる場合に導入されるビームシフトを補償するための補償偏向部(110,111)と、第1群および第2群の非点補正コイルのそれぞれに対する電流供給源(28)と、を備える。
この場合、第1群および第2群の非点補正コイルは、磁気八極子でもよい。また、第1および第2の方向は、約45°の角度で互いに回転されてもよい。
好ましい実施形態の説明)
本発明の上記および他のより詳細な態様のいくつかについて、以下の説明において記載し、図面を参照して部分的に図示する。
まず最初に、当業者は本発明があらゆる荷電粒子装置とともに使用できることを認識すべきである。しかしながら、本発明は便宜上、走査電子顕微鏡(SEM)における実施に関して説明する。当業者は、本文中で電圧および電位に関するすべての検討が、絶対的ではなく相対的に言及されていることを認識すべきである。例えば、陰極を「アース」に接続することによってビームを加速して、試料に3kVを印加することは、陰極に−3kVを印加して、試料をアースに配置することと等価である。したがって、便宜上、いくつかの検討は具体的な電圧に換算して提供されているが、基準は相対電位であると理解すべきである。
電子顕微鏡のブロック図が図1に概略的に示されている。電子顕微鏡100は、陽極104によって抽出された電子ビーム101を放出する電子銃103を含む。対物レンズ112は、試料表面105a上に電子ビームを集束する。全視野から画像を得るためには、ビームによって走査偏向部102を用いて試料上を走査する。絞り106または光軸113に対するビームのアライメントはそれぞれ、偏向部108および111によって達成することができる。偏向部として、コイル、荷電プレートの形態またはコイルと静電偏向器の組み合わせの形態としての静電モジュールのいずれかを用いることができる。後方散乱電子または二次電子を検出器16で検出し、検出信号を電子ビームの走査と同期化することにより、走査電子顕微鏡(SEM)内に画像が形成される。
試料の検査または画像形成にとって大きな重要性をもつ第2の製品は、比較的低エネルギ(3〜50eV)で様々な角度において、試料105から逸脱した二次電子である。これらの二次電子は検出器16に到達し、検出される。試料105上の電子ビーム101を走査し、検出器16の出力を表示/記録することにより、試料105aの表面の画像が形成される。
装置の様々な部分は、対応する供給装置、高電圧供給装置21、銃アライメント偏向制御装置22、絞りアライメント偏向制御装置23、走査コイル供給装置27、対物レンズ供給装置24、非点補正装置制御(および電流供給)装置28、試料電圧供給装置25および試料台供給装置26に接続されており、これらはパラメータ調整装置31によって制御されている。パラメータ調整装置31は、標準設定装置35と、パラメータ調整装置31に基本のパラメータセットを提供する分析および/または同期化制御装置32とに接続されている。
図2aおよび図2bは、本発明の実施形態に従うガンアライメントの態様の説明図である。ガンアライメントは、絞り106に関する電子ビームの対称性の試験および調整である。これにより、電子ビーム101は絞り106とアライメントされる。すなわち、電子ビーム101は、絞りの中心を通過するようにアライメントされる。このアライメントは以下のステップを含む。第1のガンアライメント偏向部108を駆動して、ビームを方向205に偏向させる。電子ビームが絞りを通過する場合には、ビームが試料に照射されて、二次または後方散乱信号を撮影することができる。このようにして、明るい画像を見ることができる。第1のガンアライメント偏向部を駆動して、絞りのエッジにおいてビームの消光が起こるまで、ビームを偏向させる。これにより、画像の輝度が減少する。このようにして、偏向信号202aに対して画像のグレーレベルがビーム偏向または偏向フィールド強度の関数として示される場合には、グレーレベルは閾値203未満に収まる。この第1のガンアライメント偏向部に対するそれぞれの信号は、例えば、第1信号として記憶される。この手順を反対方向207において繰り返す。これにより、絞りの他のエッジ上で電子ビームの消光が起こり、偏向信号202bに対して、グレーレベルは再度閾値未満になり、これにより第2信号が得られる。2つの信号から、電子ビーム101を絞りの中心106に案内するのに必要とされるビームシフトが計算され、第1のガンアライメント偏向部108に与えられる。上記文中の中心(一次元)は、x方向のアライメントについて説明しているので、x−z平面内の絞りの凸部の中間と理解される。
しかしながら、本発明は絞りに関しては二次元オブジェクトであるとする。したがって、上述のアライメントは第2の方向で実施されると有益である。xおよびyの両方向でアライメントを行うことにより、電子ビームが絞りの中心にアライメントされる。この第2の方向は、少なくとも第1の方向と異なっているべきである。したがって、上述のx方向のガンアライメント方法は、y方向においても繰り返すことが好ましい。したがって、例えば円形絞りのxおよびy方向における中心を見つけることができる。絞りは好ましくは円である。y方向のアライメントのために、第3および第4のガンアライメント偏向を、第2の方向における対応する偏向を実現できるように配置すると有益である。
しかしながら、第1のガンアライメント偏向部108は、ビームを絞り106の中心位置に向けて変位させることはないが、ビームを偏向させてビームに傾斜を導入する。すなわち、例えば光軸に関するビームの角度が偏向によって変化する。このビーム偏向は、少なくとも部分的に、第2のガンアライメント偏向部109によって補償される。第2のガンアライメント偏向部109は、第1のガンアライメント偏向部と同じ角度だけ反対方向にビームを傾けることが好ましい。このことは、例えば、2つの類似した偏向部を設け、それらを同じ絶対値を持つ偏向フィールドが反対方向に来るように電気的に接続することによって実現される。しかしながら、本発明は類似の第1および第2のガンアライメント偏向部108,109に限定されることはない。偏向部に与えられる同一の信号に対する偏向角度の差異もまた、補正因子などによって均一にすることができる。
一般に、ビームシフトに関する上述の事実は、本発明中のすべての態様、アライメント方法、および偏向部を用いる実施形態のすべてについてあてはまる。すなわち、荷電粒子ビームを1つの偏向部において偏向させると、そのビームは更に傾斜される。これにより、荷電粒子ビームのアライメントに影響を及ぼす2つの自由度が互いに結合される。この結合によって、ビームのアライメントが複雑化する。これを回避するために、ビームをその元の方向に再指向するための第2の偏向部を用いることが好ましい。したがって、再指向は、第1の偏向部前の荷電粒子ビームの方向を実質的に(第2の偏向部後に)再確立するものとする。ビームをその元の方向に沿って伝播するように再指向することがより好ましい。
本方法が自動的なものとして提案されているという事実から、進んだステータス通知処理が必要となる。アライメントの開始条件を正確に決定することができないので、図4に示したフローチャートは、自動化装置において起こりうるあらゆる状況を含むべきである。可能性のあるいくつかの測定状況が図3に示されている。
図3において、絞りの平面内のビーム偏向経路301が矢印の形で示されている。上から下へ向けて、以下の状況が図示されている。ビーム偏向経路301aは、絞り板303の開口部(絞り)の外側から始まる。ビームが塞がれる。絞り106の中心に向けて移動する間に、ガンアライメントグラム201aに見られるように、塞がれていないビームへの移行が起こる。ビーム偏向経路301bは、ビーム偏向経路301aと同様に始まる。しかしながら、ビームは、絞り106のエッジを横切ることはない。したがって、ガンアライメントグラム201bは、測定されたすべての画像に対して低い輝度しか有しない。ビーム偏向経路301acは、ビームの消光なしに始まる。しかしながら、ビームはその偏向経路に沿って絞り板303によって塞がれることはない。したがって、ガンアライメントグラム201cは、フレームが生成されるすべての読みとり地点に対して明るい。最後に、ビーム偏向経路301dは、本発明に従って好ましい偏向オプションを示す。このことは、このビーム偏向経路がエラー通知を発生しないことから、図4を参照して見ることができる。ビーム偏向経路301dは、消光のないビーム位置で始まり、電子ビーム101が絞り板303によって塞がれるビーム位置で終わる。ガンアライメントグラム201dは、高輝度から低輝度への移行を介する対応する関数的挙動を示す。
自動化に必要な状態通知を考慮したフローチャートを図4に示す。フローチャートは、一方向のガンアライメント偏向部による偏向を行うために必要なステップを示している。したがって、フローチャートは、x方向の両側の2つのエッジと、y方向の両側の2つのエッジを測定するために、4回実行される。ステップ401において、例えば、外部コンピュータなどから与えられたコマンドによって手順が開始される。ステップ402において測定が行われる。これにより、いくつかのフレームが生成され、例えばフレームに送られるとともに、第1および第2のガンアライメント偏向部が、偏向フィールドを連続的に変えるように操作される。したがって、ステップ403において、それぞれ偏向フィールド強度に対応するフレームのグレーレベル計算することにより、個々のフレームを評価することができる。これにより、図2bまたは図3に示されるようなガンアライメントグラムが得られる。測定の間に偏向フィールド、好ましくはランプの形の変化が限界に達した場合、すなわち、制御器によって要求されるランプを続けてもそれ以上の偏向に達することができない場合、ステップ405において、エラーIIIがホスト制御器に送られる。それぞれの判定ステップ404は更なる判定ステップ406を続ける。消光が達成されている場合、すなわち、明るいグレーレベルから暗いグレーレベルへの移行が達成されている場合、手順はステップ407で終了する。判定ステップ408においてすべての画像が暗いかどうかが判定される。もしそうでなければ(したがって「消光無し」および「すべての画像が暗いわけでない」)、最終ランプを継続する更なるランプが制御器によって計算され、電子顕微鏡100は、ステップ402まで継続して、この制御器の更なる偏向コマンドを用いて測定を行う。判定ステップ408が「yes」を続ける場合、これが最初の反復であったかどうか、すなわち、これまでに手順がステップ408からステップ402へ進行していかたどうかを判定する更なる判定ステップ409に入る。第1回目の反復の場合、条件は図3のガンアライメントグラフ201bに従い、エラーIがステップ410において制御器に送られる。したがって、消光を開始するための好ましい以前の条件が満たされない。それまでに更なる反復ステップが行われていた場合には、エラーIIがステップ411に送られる。エラーIIは、消光は起こっているが、装置によって確認されていないことを知らせるものである。
特定の実施形態とは独立して、偏向フィールドのランプ形状は、初期値と振幅とによって定義されると有益である。これにより、解像度を、1回のランプ周期および/またはランプの振幅の間に測定されたフレームの総数の関数として定義することができる。この態様に鑑みて、少なくとも1回の更なる測定を行わせて、連続するランプの偏向フィールドの強度が重複するようにすることがより好ましい。したがって、第1のランプに対応する偏向フィールドが絞りのエッジを横切るようにビームを偏向しなかったというエラー通知を採用した場合に、処理フローを簡略化することができる。このことは、更に他の処理フローに比べてアライメント時間を短縮することができるとともに、アリメント方法を改良することができる。
電子ビーム101を図1に示した電子顕微鏡100にアライメントする更なる実施形態について、図5a,5b,6,7aおよび7bに関して説明する。対物レンズ112は、電子ビーム101を試料上に集束させる。電子ビーム101は絞りおよび集光レンズによって前もって形成されている。対物レンズ112には、主として、解像度を制限する第1のスポットサイズを達しする役割があるので、ビームは対物レンズに対して正確にアライメントされなければならない。一般に、対物レンズは光軸を規定する。上述のようにビームを絞り106にアライメントした後でも、通常は、対物レンズ112によって規定されたこの光軸113にはまだアライメントされていない。
ビームが正確にアライメントされているかどうかの原理は、図5aを参照すると理解しやすいであろう。左側には、光軸113に関して対照的にアライメントされた電子ビーム101aの輪郭が描かれている。デフォーカシングが故意に誘導された場合には、焦点は試料の面と垂直な方向に移動する。ウォブリングと呼ばれる周期的デフォーカシング中に測定を行った場合、得られるそれぞれの画像の印象は以下の通りである。焦点の合った画像の特徴と焦点の合っていない画像の特徴とが周期的に描かれることになる。しかしながら、電子ビーム101aの焦点が試料表面に垂直な方向にのみ変化することから、画像が横移動されることはない。画像のブレまたは対応する画像の特徴だけが見られる。
一方、図5aの右側の電子ビーム101bに対して示したように、ビームのアライメントが良好でない場合、焦点は試料表面に垂直な方向に移動するだけだなく、表面に平行な方向にも移動する。したがって、連続画像の場合、画像のブレまたは特徴に加えて、画像の横移動/シフトも見られる。このことについて図5bに更に示す。視野501内でうまく焦点の合った画像の特徴502が、図5aの焦点条件に対応する。焦点503bへのデフォーカシングが実現されている場合、画像特徴は視野に関してシフトし、デフォーカシングのためにぶれてしまう。このように、画像特徴は、例えば502bと同様に見える。一方、503cに従う焦点の場合、画像特徴は502cに対して示したのと反対方向に横移動される。この場合も、ブレに加えてこの横移動が起こる。
しかしながら、第1の絞りアライメント偏向部110は、ビームを光軸113に向けてシフトさせるのではなく、ビームを偏向させて、ビーム傾斜を導入する。すなわち、例えば光軸に関するビームの角度が偏向によって変化する。このビーム偏向は、少なくとも部分的に、第2の絞りアライメント偏向部111によって補償される。好ましくは、第2の絞りアライメント偏向部111が、第1の絞りアライメント偏向部と同一の角度で反対方向にビームを傾ける。このことは、例えば、類似した2つの偏向部を有し、同じ絶対値を有する偏向フィールドが反対の方向を有するように、これらを電気的に接続することによって実現することができる。しかしながら、本発明は、類似した第1および第2の絞りアライメント偏向部110および111には限定されない。偏向部に与えられた同一の信号に対する偏向角の違いも、補正因子などによって均一にすることもできる。
本発明に従えば、電子ビーム101のエネルギの変化と、これにより対物レンズ内に導入された色収差とによって、周期的フォーカシングを実現できるので有益である。このことは、対物レンズ電流を用いるデフォーカシング全体に有益である。これにより、焦点の周期的変化の周波数は、レンズ内の自己インダクタンスによって限定されることはない。更に、対物レンズ内でヒステリシスが起こることはない。
次に、一例として、自動手順について図6に関して記載する。主制御装置などアライメント動作の開始をステップ601において初期化する。まず最初に、ステップ602において、オートフォーカスが作動される。これにより、焦点が試料の表面上に設定される。したがって、現在のアライメント条件によって限定されるが、一般に画質を高めることができる。オートフォーカスは、判定ステップ603において判定された失敗または成功のステータスを送り返す。失敗通知の場合(ステップ604)、SEMの撮影状態における大きな問題が予想されるので、エラーメッセージとともにアライメント手順を終了する。成功通知の場合、アライメント手順はステップ605に進む。
一般に言うと、荷電粒子のビームの焦点を調整する更なるステップを追加すると有益である。これにより、フォーカシングステップの結果を評価することが好ましい。すなわち、ステータス通知の結果に基づいて、装置アライメント条件が自動アライメントを更に進めていくのに十分であるかどうかを判断することができる。したがって、例えば、フォーカシング手順の失敗ステータスを用いて、予め操作者に、装置の状態が自動調整には不十分であるかもしれないことを警告することができる。このことにより、装置が完全にミスアライメント状態にある場合の時間の無駄を無くすこともできる。
ステップ605において、好ましくは高品質の画像が生成される。これにより、基準画像を例えばいくつかのフレームの平均を用いることによって生成し、信号対雑音比を改善する。更に、画質を改善するための更なる方法を適用してもよい。これはフィルタリング方法であっても、他の任意の適当な方法であってもよい。この高品質の画像、すなわちバースト画像は、ステップ606においてパターン分析器に対して用いられる。ステップ606において、例えば基準画像特徴として用いるのに必要なコントラストを有するパターンに関して画像を分析する。パターン分析器は、いわゆるゴールデンテンプレートの位置と方向を決定する。このゴールデンテンプレートの位置およびゴールデンテンプレートそのものは、後述するパターントラッキングのための入力として用いられるとともに、ステップ611を介してパターントラッキングに提供される。十分なコントラストなどの条件を満たすゴールデン画像がパターン分析器によって見つからなかった場合には、適当な方向または適当な輝度、エラー通知が主制御器に送られる。したがって、主制御器には、ステップ608において、ウエハ上で検出された現在の視野が、アライメント処理にとって適切でないことが知らされる。主制御器は、この通知に基づいて、例えば、試料が置かれるステージを移動させて、手順を開始する。このように、判定ステップ607において、アライメント処理に適した試料の位置が撮影されたことを確認することができる。
ステップ609において、すなわち、画像シフトを導入する周期的デフォーカシングと、画像生成とが作動される。これにより、一連のフレームが生成され、画像処理プロセッサによって収集される。荷電粒子ビームのエネルギまたはビームエネルギに影響を及ぼす任意の電位が正弦波で変えられることが好ましい。撮影は、1回のウォブル振動に対する時間よりも長い時間かけて行われることが好ましい。例えば、周期的ウォブリングの1.5振動の間に、32フレームが収集される。
ステップ610において、パターントラッキングアルゴリズムは、32画像(フレーム)と、ゴールデンテンプレートと、その位置を受信する。パターントラッキングルーチンは、ブレに関係なく、焦点の垂直方向移動によって導入された基準画像特徴の横移動に追従しなければならない。これにより、視野内の2つ以上の画像の特徴を基準として用いることができる。好ましくは、パターントラッキングアルゴリズムは、まず最初にゴールデンテンプレートを32フレームの全てと比較し、ゴールデン画像に最も近いフレームを見つけだす。このゴールデン画像に最も近いフレームを初期フレームと呼ぶ。このフレームを見つけることに加えて、それぞれのフレームインデックスも見つけだされる。このような手順は、ウォブルの作動と画像生成の作動の同期化を制御することがあまり必要でなくなるという利点をもつ。ウォブルがオフに切り替えられているかのごとく、初期フレームはバースト画像と類似しているのが理想である。画像生成の頻度が十分に高い場合には、初期フレームは、バースト画像に非常に類似している。画像のほんの小さい部分にすぎない、個々のフレームがそれぞれゴールデンプレートと比較されることから、評価に用いられる時間が短くなる。
一般に、パターン認識は、テンプレート画像に対する相関評点、分類、ニューラルネットワークまたは他のパターン認識ルーチンなどのいくつかの可能性の1つを用いて実施することができる。
連続するフレームには小さな画像シフトしか存在しないため、再帰パターントラッキングを用いることが好ましい。これにより、インデックスkを有する初期フレームを、次のインデックスk+1を持つフレームと比較する。したがって、一連のフレームの2つの連続するフレーム間での不整合は、数画素、好ましくは10画素未満に限定される。フレームk内のテンプレート位置から、フレームk+1内の個々の画像特徴の位置までを指すxおよびy要素を有するベクトルが記録される。次の再帰はテンプレートとしてフレームk+1を用いて行われる。各フレームの各テンプレートは、識別された後、ゴールデンテンプレートと比較される。一定の閾値を下回る低い相関性の場合、フレームは有効でないとされる。したがって、例えばブレが大きすぎるなどによって不適当な画像は、評価のためには考慮されない。
不整合に対するベクトルは、ステップ610において、最終的にフレーム位置ベクトルに変換され、ステップ613において、ステップ612のウェーブマッチングルーチンに送られる。
ステップ612において、観察された周期的現象および誘導された周期的変化が違いに当嵌めされる。これにより、ウォブル発生の周期と、観察される現象とが同じになる。時間tとウォブル周期Tを用いて、エネルギは次のように表すことができる。
したがって、Φは任意の相である。撮影された離れたフレームに対して同等の式を有するために、フレームインデックスIおよび、1回のウォブル周期内に生成されたフレーム数Nを用いることができ、これにより、以下の式が得られる。
インデックスベクトル位置は、各フレームに対する標的パターンの位置の尺度となる。これにより、PxおよびPyと標識されるxおよびy軸上の投射を別々に見ることができる。PxおよびPyがともに正弦波であると仮定すると、例えばPxは次のように表すことができる。
離散型フーリエ変換から、以下の式を得ることができる。
および
パラメータAx(=Ax)、ΦおよびCx(=Cx)の変形は、以下のようにして算出することができる。
上記のパラメータは、第2の当で嵌め方法のための初期値として用いられる。これにより、有効なフレームのみが考慮され、平均二乗当嵌め動作は、Ax,ΦおよびCxを見つけることにより、以下の式を最小化する。
それぞれの結果がx方向に対しては図7aに、y方向に対しては図7bに示されている。グラフ703は、円で標示される有効なフレームを含む測定されたフレーム値を示す。これらの有効なフレームは、平均二乗当嵌めのために用いられる。グラフ701は、測定値に当嵌めされた正弦関数を示す。絞りアライメント偏向部110,111に導入すべきそれぞれの信号を、振幅から計算することができる。いずれの値も図7aおよび図7bのそれぞれの頂点で与えられる。したがって、以前に行われた較正が用いられる。較正から、ΔI=f(Δx/ΔVacc)の関数的挙動が分かり、これにより、Iが偏向コイルに適用すべき電流となり、xが画像の横移動であり、Vaccがビームのエネルギを変える加速電圧となる。このような較正は、カラムの製造時に一度だけ行ってもよいし、定期的に行ってもよい。様々な装置パラメータに対する較正セットを利用すると好ましい。較正関数は多項関数であってもよいが、一次較正関数を用いることが好ましい。
更なる実施形態について図8〜図11bに関してより詳細に説明する。ガンアライメントと絞りアライメントの他に、荷電粒子カラムによって達成しうる画質を向上するために、対物レンズの非点収差を補正することが更に好ましい。非点収差の記述において、xまたはy方向という用語の使用は必ずしもこの2つの方向が互いに直交することを含意しない。更に、xおよびy方向は、非点収差の補正に言及する場合には、互いに45度回転されているものをいうことが好ましい。
図8を参照して非点収差について説明する。非点収差が起こっている場合には、第1の画像面803における焦点が、第2の画像面805における焦点811と一致しないために、瞬間オブジェクトは理想的には撮影されない。したがって、最良焦点807の点を見つけるためには、妥協しなければならない。このため、最適焦点の地点における画像808の直径は大きくなる。デフォーカシングの場合には、点対点荷電粒子ビームの画像は既に円形ではなく、楕円形になっている。楕円の方向は、画像面が最適焦点807の地点よりも前にあるか後ろにあるかに依存する。更に、画像の焦点が合っていない場合、第1および第2の画像面によって規定される2方向における解像度は互いに異なることになる。
電子ビーム装置において、ビームの歪みは非点補正装置によって補正される。この補正は、点対点結像が電子ビームカラム内の電子ビーム101のアライメントに依存して変化するために、アライメントを実施する度に行うことが好ましい。x方向の歪みは、コイルセット902に対して補正される。コイルセットは好ましくは四極子の形態で配置される。一般に、コイルは四極子を形成するために用いられる。しかしながら、コイルと静電プレートの組み合わせを用いることもできる。x方向と独立した方向における補正を行うために、コイルセット903として第2の四極子構造物を用いることが好ましい。このように、ビーム歪みは、それぞれの方向について、上記のようにして形成される八極子構造物によって補正することができる。しかしながら、回転させて、ビーム101の歪みのそれぞれの方向に調整され得る四極子非点補正装置のみを用いることもできる。
図9に示したように、ビームは必ずしも非点補正装置の中心901を通過しなくてもよい。更に、コイルに電流が印加されると、電界が発生して、電子ビーム101をシフトさせる。この意味について以下に記載する。
非点収差を補正するために、全体が視野内に収まる十分に小さい特徴を撮影することが好ましい。この特徴は、好ましくは、いくつかの独立した方向で画像のコントラストを得るためのエッジを示すべきである。これは、例えば、その位置が視野内でわかるような円形特徴などとすることができる。自動的に非点収差を補正するために、以下の手順が実施される。まず、視野を設定し、特徴を配置する。次に、ビームエネルギを変えることにより色収差を導入しながら、画像をオートフォーカスする。オートフォーカスが成功した後、第1のセットの非点補正コイル902内の電流を変えることにより、いくつかの画像が生成される。画像の鮮鋭度を、フォーカスマークを計算することによって評価し、第1の非点補正コイル902を、最良のフォーカスマークを持つ値に設定する。フォーカスマークは画像の鮮鋭度の尺度である。その後、第2のセットの非点補正コイル903について、この手順を繰り返す。2度目の反復に対しては、視野を狭め、走査方向を好ましくは45°回転させる。それぞれの特徴を配置するために画像を精密にシフトさせた後、オートフォーカスの手順と両方の非点補正装置に対する補正が繰り返される。随意で、視野を更に狭め、走査方向を更に回転させて、3度目の繰り返しを2度目の繰り返しと同様に行ってもよい。
上述のように、x補正およびy補正における非点補正装置のための第1および第2のセットのコイル内の電流を変えることによっても、画像のシフトが駆動される。フォーカスマークを計算することにより鮮鋭度を評価するための1つの可能性は、2つの連続するフレームの共分散を観察することである。しかしながら、視野内における画像のシフトは共分散に影響する。そのため、画像のシフトは、例えば2または3画素など、小さい場合に限り無視することができる。したがって、これを超える画像シフトに対しては、鮮鋭度の評価は更に改良された方法を用いて行わなければならない。
本発明の更なる実施形態に従えば、以下の手順を行うことができる。まず最初に、視野を設定し、特徴を配置する。次に、画像をオートフォーカスする。オートフォーカスが成功した後、第1のセットの非点補正コイル902内の電流を変えることにより、いくつかの画像が生成される。これらの画像の鮮鋭度を、後述のようにフォーカスマークを計算することによって評価し、第1のセットの非点補正コイル902内の電流を、最小のフォーカスマークを有する値に設定する。その後、第2のセットの非点補正コイル903について、この手順を繰り返す。2度目の反復に対しては、視野を狭め、走査方向を好ましくは45°回転させる。それぞれの特徴を配置するために画像を精密にシフトさせた後、オートフォーカスの手順と両方の非点補正装置に対する補正が繰り返される。随意で、視野を更に狭め、走査方向を更に回転させて、3度目の繰り返しを2度目の繰り返しと同様に行ってもよい。
これにより、フォーカスマークが算出され、画像のシフトが絞りアライメントに適応されるビームシフトの測定値と同様に記録される。これにより、様々なパターン認識ルーチンの1つを用いることができる。画像シフトを補正した後、連続するフレームの相関性を計算する。補正により、フォーカスマーク図を改善することができる。すなわち、一定の雑音レベルを超えるより多くの測定値を含み、最も鮮鋭な画像を見つけだす精度および再現性が高められる。このことは、元もフォーカスマークグラフ908aおよび908bと、図10の修正されたフォーカスグラム909aおよび909bとを比較することによって分かる。
本発明の更なる実施形態に従えば、以下の手順が行われる。まず最初に、視野を設定し、特徴を配置する。次に画像をオートフォーカスする。オートフォーカスが成功した後に、第1のセットの非点補正コイル902内の電流を変え、これによりいくつかの画像を生成させる。画像の鮮鋭度を、後述のようにフォーカスマークを計算することにより評価し、第1のセットの非点補正コイル902内の電流を、最良のフォーカスマークを持つ値に設定する。その後、第2のセットの非点補正コイル903について、この手順を繰り返す。2度目の反復に対しては、視野を狭め、走査方向を好ましくは45°回転させる。それぞれの特徴を配置するために画像を精密にシフトさせた後、オートフォーカスの手順と両方の非点補正装置に対する補正を繰り返す。随意で、視野を更に狭め、走査方向を更に回転させて、3度目の繰り返しを2度目の繰り返しと同様に行ってもよい。
これにより、グレーレベルヒストグラムを用いてフォーカスマークが計算される。これにより、画像全体が評価のために用いられる。評価は画像内の高いコントラスト勾配の両の分析に基づいている。画像が鮮鋭であればあるほど、ブレが少なくなるために、一定のコントラスト勾配を有するエッジの量が大きくなると想定している。更に、鮮鋭度が良好であれば、一次導関数のグレーレベルヒストグラム内で撮影された特徴の雑音とエッジを良好に分離できると想定している。この方法は画像内の特徴の位置とは独立しているので、画像シフトへの依存性が全くといっていいほど存在しない。試料上のエッジが視野の領域内で均一に分布されている場合、視野の移動が撮影可能なエッジの数を変えることがないために、画像シフトには全く依存性がない。
グレーレベルヒストグラムは、例えば、構成された方向の導関数から計算することができる。
これにより、フォーカスマークは、kが一定のグレーレベル百分率αとして与えると、
に従って計算される。「hi」はグレーレベルiにおける画素数を全画素数で割った数として与えられるヒストグラム値である。個々のフレームをグレーレベル分布に関して正規化した場合、フレームは好ましく個々に独立して評価することができる。
本発明の更なる実施形態において、以下の手順を行う。まず最初に、視野を設定し、特徴を配置する。次に画像をオートフォーカスする。オートフォーカスが成功した後に、第1のセットの非点補正コイル902内の電流を変え、これによりいくつかの画像を生成させる。画像の鮮鋭度を、後述のようにフォーカスマークを計算することにより評価し、第1のセットの非点補正コイル902内の電流を、最良のフォーカスマークを持つ値に設定する。その後、第2のセットの非点補正コイル903について、この手順を繰り返す。2度目の反復に対しては、視野を狭め、走査方向を好ましくは45°回転させる。それぞれの特徴を配置するために画像を精密にシフトさせた後、オートフォーカスの手順と両方の非点補正装置に対する補正を繰り返す。随意で、視野を更に狭め、走査方向を更に回転させて、3度目の繰り返しを2度目の繰り返しと同様に行ってもよい。
これにより、非点補正装置内の電流の変化による画像シフトの影響は、以下のように鮮鋭度の評価中に補償される。図11bに示すような2ランプ904の非点補正装置電流が発生する。図11aのように生成されたフレーム907は、互いに同様の条件で生成される。したがって、同様の条件を有するそれぞれのフレーム間での相関関係を計算することができる。これらの2つのフレームについて、補正を必要とするような互いに対するシフトは殆ど若しくは全く生じない。比較されるフレームは連続していない。比較されるフレームはそれぞれのランプからの同等のフレームである。したがって、分析すべき個々の特徴の横移動の問題が克服される。より多くのフレームを蓄積するか、あるいは3つより多くのランプを用いることにより、信号対雑音比を更に高めることができることが好ましい。ランプをその初期値905と振幅906とによって定義できると有益であると考えられる。したがって、ランプの一方がフォーカスマーク内で最大値を見つけだすのに十分でない場合には、2つのランプを互いに重複するように容易に合体させることができる。2つのランプ904からの一対のフレームまたは一セットのフレームの分析を用いることにより、上述の理由から、フォーカスマークを有意に改善することができる。
本発明の更なる実施形態において、同様の条件下で取得されたフレームを比較する概念を更に拡張する。視野を設定し、特徴を配置した後、画像をオートフォーカスする。オートフォーカスが成功した後に、第1のセットの非点補正コイル902内の電流を変え、これによりいくつかの画像を生成させる。画像の鮮鋭度を、後述のようにフォーカスマークを計算することにより評価し、第1のセットの非点補正コイル902内の電流を、最良のフォーカスマークを持つ値に設定する。その後、第2のセットの非点補正コイル903について、この手順を繰り返す。2度目の反復に対しては、視野を狭め、走査方向を好ましくは45°回転させる。それぞれの特徴を配置するために画像を精密にシフトさせた後、オートフォーカスの手順と両方の非点補正装置に対する補正を繰り返す。随意で、視野を更に狭め、走査方向を更に回転させて、3度目の繰り返しを2度目の繰り返しと同様に行ってもよい。
フレームの拡張比較について、図12aおよび図12bに関して説明する。この実施形態において、非点補正装置に与えられるランプ904は、階段状関数である。別々のランプ内の類似したフレームを取り出す代わりに、階段状ランプの1段内で2つまたはそれ以上のフレーム907を生成させる。ランプ904の各段に対してできるだけ類似した条件を得るために、緩和時間を考慮しなければならない。この緩和時間は、点線で示した角張った段とは対照的に、図12bにおいて丸いエッジを有するものとして示されている。
図12aに示されるように、この実施形態は以下のようにして実現することができる。非点補正装置電流の各レベルにおいて、2つのフレーム907が生成され、フレームグラバに引き渡される。ランプの終了後、奇数および偶数フレーム1および1’,2および2’などを用いて、非点補正装置電流ランプの各レベルに対するフォーカスマークを計算する。これにより、それぞれ2つのフレーム間の共分散、ならびにフレーム雑音レベルが計算される。フォーカスマークは以下の式に従って計算される。
IkおよびI’kは、対応する画像であり、NxおよびNyはそれぞれの方向における画素の総数である。
一般に、以下に示すような手順が好ましいと考えられる。好ましくは自動化され、本発明の態様で実施されるフォーカシングステップの間に、画像処理装置などが画像の結果を評価することができる。このフォーカスマークは、フォーカシングによって平均的な装置性能に比べて良い結果が得られているか悪い結果が得られているかを判断するプロセスを与えるために用いることができる。したがって、フォーカスマークに基づいて、荷電粒子装置のリフレシングまたはチューニングを行うべきかどうかを、装置に判断させることが好ましい。リフレシングのあいだ、古い装置パラメータを開始値として用い、この開始値から例えば非点補正装置電流が変えられる。フォーカスマークの評価が悪い結果を示す場合、例えば非点補正装置電流のデフォルト値から始まるチューニングを行うことが好ましい。これにより、例えば、非点補正装置の偏向のための開始点として例えば装置値を使用することができる。したがって、装置性能を異なる作業ゾーンに分割することがより好ましい。このように、フォーカスマーク結果に基づいて、得られた作業ゾーンに応じた更なる処置を選ぶことができる。
本発明の更なる実施形態である上記の一般的な態様に鑑みて、非点補正装置電流が変えられる前のフォーカシングステップの評価結果を以下のようにして用いる。オートフォーカスによって発生するフォーカスマークに基づいて、非点収差補正をリフレッシュまたはチューニングすべきかどうかが決定される。しかしながら、この決定は操作者によって手動で行ってもよい。リフレシングを行う場合には、最新のアライメントまたは補正の間に最良であると検出された電流値を開始値として用いる。ランプ904の振幅は、チューニングに用いられる振幅よりも小さい。チューニングに対しては、装置はその元のパラメータにリセットされ、スクラッチからアライメントまたは補正がそれぞれ開始される。したがって、ランプに対して大きな振幅を用いるほど、より正確ではあるものの時間のかかるアライメントまたは補正がそれぞれ行われる。これにより、正確な装置設定のためには、例えば、視野内のエッジの数などを考慮しなければならない。その評価、すなわち、視野を狭めることができるか、そしてその視野内でなおも十分な数のエッジが得られるかという事実に基づいて、試料上の試料の位置が装置によって排除される。エラー処理プロセスにおいて、操作者は、それぞれ試料または試料の位置を変更することが求められる。
本発明の更なる実施形態において、ガンアライメント、絞りアライメントおよび非点収差の補正の態様を組み合わせて、電子ビーム装置の場合にアライメントを完結する。これにより、まず最初にビームを絞りの中心に関してアライメントし(ガンアライメント)することが好ましい。その後、ビームを対物レンズによって規定される光軸にアライメントする(絞りアライメント)。この絞りアライメントは、撮影挙動に関して、ガンアライメントよりも重要である。したがって、上記の実施形態のいくつかの中で既に記載したように、アライメントは非常に正確でなければならない。最後に非点収差が補正される。このようにして、いくつかの基本条件が達成されてさえすれば、荷電粒子装置をスクラッチから自動的にアライメントすることができる。
例えば偏向部に与えられる信号の変化のランプ形状に関する有利な特徴、パターン認識およびパターントラッキングの詳細、ビーム傾斜ではなくビームシフトを得るための2つの偏向器の使用法および接続、または、本発明の方法の1つに関して記載した、荷電粒子のビームの焦点を変えるための電位の変化は、この態様に対してのみだけ適用しうるものではなく、伝送可能であれば、他の発明態様に対しても用いることができる。
本発明の様々な態様を実施するのに適した荷電粒子ビーム装置のブロック図である。
ガンアライメントの原理を示すブロック図である。
ガンアライメントグラム、すなわち、ビーム偏向の関数としてのグレーレベルである。
ガンアライメントにおけるビーム偏向の原理の可能性のいくつかと、対応するガンアライメントグラムのいくつかを示す図である。
ガンアライメントの処理を説明するフローチャートである。
ミスアライメントしたビームがどのようにして生成画像に横移動を導入するかを示した、絞りアライメントの原理を示す図である。
ミスアライメントしたビームがどのようにして生成画像に横移動を導入するかを示した、絞りアライメントの原理を示す図である。
絞りアライメントの処理のフローチャートである。
測定横移動ベクトルのウェーブマッチング曲線当嵌めの説明図である。
測定横移動ベクトルのウェーブマッチング曲線当嵌めの説明図である。
非点収差の原理の説明図である。
組み合わせて八極子の非点補正装置になった2方向に対する2つの四極子非点補正装置のブロック図である。
フォーカスマークの実験的結果と、補正によって達成しうる改良を示した図である。
画像の鮮鋭度を評価するための2ランプ分析の原理の説明図である。
画像の鮮鋭度を評価するための2ランプ分析の原理の説明図である。
1ランプ中に2つの対応するフレームが生成される、2ランプ分析の拡張原理の説明図である。
1ランプ中に2つの対応するフレームが生成される、2ランプ分析の拡張原理の説明図である。
符号の説明
16…検出器、21…電源、22…制御部、28…電流供給源、32…評価部、101…荷電粒子、102…走査偏向部、103…供給源、106…絞り、108…第1のガンアライメント偏向部、109…第2のガンアライメント偏向部、110…第1の絞りアライメント偏向部、111…第2の絞りアライメント偏向部、112…対物レンズ、902…第1群の非点補正コイル、903…第2群の非点補正コイル。