JP2011008950A - リチウム二次電池用活物質、リチウム二次電池及びリチウム二次電池用活物質の製造方法 - Google Patents

リチウム二次電池用活物質、リチウム二次電池及びリチウム二次電池用活物質の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電池容量及び熱的安定性をより向上する。
【解決手段】リチウムイオン二次電池10は、集電体11に正極活物質12を形成した正極シート13と、集電体14の表面に負極活物質17を形成した負極シート18と、正極シート13と負極シート18との間に設けられたセパレータ19と、正極シート13と負極シート18の間を満たす非水系電解液20と、を備えたものである。正極活物質12は、遷移金属としてニッケルを含むリチウム遷移金属複合酸化物である。この正極活物質12は、活物質表面の酸素の少なくとも一部がハロゲン元素に置換されており、活物質表面に存在する遷移金属の価数をVSとし、活物質のバルクにおける遷移金属の価数をVBとすると、0.9≦VS/VB<1.0を満たすものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウム二次電池用活物質、リチウム二次電池及びリチウム二次電池用活物質の製造方法に関する。
従来、リチウム二次電池用正極活物質として、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24などが知られている。このようなリチウム含有遷移金属酸化物を正極活物質とする非水電解液系のリチウム二次電池においては、高エネルギー密度が得られるが、例えば60℃以上などの高温条件下における電池容量や熱的安定性が著しく低下することがあった。
このような問題を解決するため、例えば、例えば特許文献1では、リチウム二次電池において、リチウム−マンガン含有遷移金属ハロゲン化酸化物を主成分とするリチウム二次電池用正極活物質として、正極活物質の粒子の表層側から内部に向かって酸素原子を置換したハロゲンの濃度が減少してゆく濃度傾斜層を有するものを用いることが提案されている。この特許文献1では、フッ化リチウムを沈殿させたのち、炭酸ガスを吹き込み炭酸リチウムを沈殿させ、更に水酸化マグネシウム及び水酸化コバルトを沈殿させ、これにマンガン化合物を混合したのち480℃で熱処理し、700℃〜800℃で焼成することによりリチウム−マンガン含有遷移金属ハロゲン化酸化物を作製する。このような正極活物質を用いると、マンガンイオンの溶出が抑制され、電池容量の低下を抑制することができるとしている。
特開2000−203843号公報
しかしながら、特許文献1に記載のリチウム二次電池では、リチウム−マンガン含有遷移金属ハロゲン化酸化物の前駆体としてフッ化リチウムを含むものであり、ハロゲンの濃度傾斜が存在するにしても、充放電を阻害すると考えられるハロゲン化合物を正極活物質の全体に含むものとなるため、初期の電池容量などが低下してしまう問題があった。また、特許文献1に記載のリチウム二次電池では、電池の熱的安定性をより向上することが可能であるものの、更なる電池の熱的安定性の向上が望まれていた。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、電池容量及び熱的安定性をより向上することができるリチウム二次電池用活物質、リチウム二次電池及びリチウム二次電池用活物質の製造方法を提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために、本発明者らは、ニッケルを含むリチウム遷移金属複合酸化物に対して、比較的熱分解しやすいフッ素化合物を混合し、このフッ素化合物が熱分解する温度以上の熱処理温度で熱処理して得たものを正極活物質として用いて二次電池を作製したところ、電池容量の低下を抑制し、熱的安定性をより向上することができることを見いだし、本発明を完成するに至った
即ち、本発明のリチウム二次電池用活物質は、
リチウム遷移金属複合酸化物を主成分とするリチウム二次電池用活物質であって、
前記遷移金属としてニッケルを含み、
前記リチウム二次電池用活物質は表面の酸素の少なくとも一部がハロゲン元素に置換されており、
前記リチウム二次電池用活物質の表面に存在する遷移金属の価数をVSとし、前記リチウム二次電池用活物質のバルクにおける遷移金属の価数をVBとすると、0.9≦VS/VB<1.0を満たすものである。
また、本発明のリチウム二次電池は、
上述したリチウム二次電池用活物質を正極活物質とする正極と、
リチウムを吸蔵・放出可能な負極活物質を有する負極と、
前記正極と前記負極との間に介在しリチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体と、
を備えたものである。
また、本発明のリチウム二次電池用活物質の製造方法は、
遷移金属としてニッケルを含むリチウム遷移金属複合酸化物と、該リチウム遷移金属複合酸化物中のリチウムに対して0.2mol%以上15mol%以下のハロゲン化合物と、を混合する混合工程と、
前記ハロゲン化合物が熱分解する温度以上、且つ100℃を超え600℃より低い熱処理温度で熱処理する熱処理工程と、
を含むものである。
本発明のリチウム二次電池用活物質、リチウム二次電池及びリチウム二次電池用活物質の製造方法では、リチウム二次電池の電池容量の低下をより抑制し、熱的安定性をより向上することができる。このような効果が得られる理由は明らかではないが、以下のように推測される。例えば、原料に混合したハロゲン化合物が熱処理時に熱分解によって分解するため、このハロゲン化合物がリチウム遷移金属複合酸化物内に残存してしまうのをより抑制可能であることが考えられる。また、ハロゲン化合物とリチウム遷移金属複合酸化物とを混合して熱処理することにより、熱分解によって生じたハロゲン成分によりリチウム遷移金属複合酸化物の表面のみ酸素がハロゲン元素により置換されるため、バルク内部までハロゲン元素を含むものに比して電池容量の低下をより抑制することができると考えられる。また、本発明では、酸素とハロゲン元素との単純なアニオン置換であると考えられ、結晶構造をより維持しやすく、リチウムイオンの挿入脱離サイトの減少をより抑制することができると推察される。また、このように、リチウム遷移金属複合酸化物の表面のみハロゲン元素により置換されるから、リチウム遷移金属複合酸化物表面に存在するNi4+ の一部がより安定なNi2+ となり、化学的に安定な表面が形成されて充電時に正極から脱離して生じる酸素の発生が抑制されるためと考えられる。
リチウム二次電池10の一例を示す模式図である。 S/VBと、初期容量・容量維持率・DSC発熱開始温度との関係を示すグラフである。 NH4Fの混合量と、初期容量・容量維持率・DSC発熱開始温度との関係を示すグラフである。 熱処理温度と、初期容量・容量維持率・DSC発熱開始温度との関係を示すグラフである。
本発明のリチウム二次電池は、リチウムを吸蔵放出可能な正極活物質を有する正極と、リチウムを吸蔵・放出可能な負極活物質を有する負極と、正極と負極との間に介在しリチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体と、を備えている。
本発明のリチウム二次電池の正極活物質は、リチウム遷移金属複合酸化物を主成分とするものである。ここで、「主成分」とは正極活物質のうち50mol%以上含まれていることをいい、70mol%以上含まれていることがより好ましい。また、本発明のリチウム二次電池の正極活物質は、遷移金属としてニッケルを含むものである。ニッケルは、遷移金属のうち50mol%以上含まれていることが好ましく、70mol%以上含まれていることがより好ましい。この正極活物質において、ニッケルは、電池反応としてのNi2+/Ni4+の酸化還元反応を担うものである。このリチウム遷移金属複合酸化物は、表面の酸素の少なくとも一部がハロゲン元素に置換されている。ハロゲン元素としては、例えば、塩素、フッ素、臭素などが挙げられ、このうち酸素との置換を考慮するとフッ素であることが好ましい。この正極活物質において、リチウム二次電池用活物質の表面に存在する遷移金属の価数をVSとし、リチウム二次電池用活物質のバルクにおける遷移金属の価数をVBとすると、0.9≦VS/VB<1.0を満たすものである。ここで、価数VS はXAFSスペクトルを転換電子収量法で測定して得られたものであり、価数VBは前記転換電子収量法と同時にXAFSスペクトルを透過法で測定して得られたものである。転換電子収量法では、表面に存在する遷移金属の価数VSとして表面90nm以内に存在する遷移金属の価数を測定することができる。この正極活物質では、表面の酸素の一部がハロゲン元素に置換されたことにより、活物質表面に存在する不安定なNi4+ の一部がNi2+ となり安定化するから、充電時における活物質表面からの酸素の放出を抑制することができると考えられる。一方、リチウム遷移金属複合酸化物の酸素とハロゲン元素との置換量が過剰となると、ハロゲン元素により酸化還元反応が阻害されるため、電池容量の低下を招く。このような観点から、活物質表面に存在する遷移金属の価数VSは、正極活物質のバルクにおける遷移金属の価数VBより小さいことが好ましく、0.9≦VS/VB<1.0の範囲であることが好ましい。このVS/VB値は、0.90≦VS/VB≦0.98を満たすことがより好ましく、0.90<VS/VB≦0.98を満たすことが更に好ましい。VS/VB値が0.90以上0.98以下では、リチウム二次電池を加熱した際における発熱を開始する温度(以下発熱開始温度とも称する)をより高める、即ち電池の安定性をより高めることができる。また、VS/VB値が0.90を超えると、繰り返し充放電を行った際に初期の電池容量に対して維持される電池容量の率を表す容量維持率の低下をより抑制することができる。
この正極活物質の主成分であるリチウム遷移金属複合酸化物は、特に限定されるものではなく、例えば、Mn,Al,Mg,Ti,V,Cu,Zn,Cr,Zr,Sr,Siから選ばれる1種以上を含むものであってもよい。また、一般式LiNi1-x-yCoxy2(MはAl,B,Fe,Cr,Ti,Ga,Mgから選ばれる1種以上。0.01≦x≦0.3,0.001≦y≦0.2)で表されるものであってもよい。このように、遷移金属のニッケル以外の元素を含むものとしてもよい。また、リチウム遷移金属複合酸化物は、層状岩塩型構造を有するものであることが好ましい。本発明のリチウム遷移金属複合酸化物は、形状は特に限定されるものではないが、例えば、平均粒子径が0.1μm以上20μm以下であることが好ましい。
本発明のリチウム二次電池の正極は、例えば上述した正極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の正極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。導電材は、正極の電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば特に限定されず、例えば、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛)や人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカ、ニードルコークス、炭素繊維、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金など)などの1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。これらの中で、導電材としては、電子伝導性及び塗工性の観点より、カーボンブラック及びアセチレンブラックが好ましい。結着材は、活物質粒子及び導電材粒子を繋ぎ止める役割を果たすものであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンマー(EPDM)、スルホン化EPDM、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。炭素材料、導電材、結着材を分散させる溶剤としては、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどの有機溶剤を用いることができる。また、水に分散剤、増粘剤等を加え、SBRなどのラテックスで活物質をスラリー化してもよい。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどの多糖類を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。塗布方法としては、例えば、アプリケータロールなどのローラコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレイド方式、スピンコーティング、バーコータなどが挙げられ、これらのいずれかを用いて任意の厚さ・形状とすることができる。集電体としては、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、鉄、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラスなどのほか、接着性、導電性及び耐酸化性向上の目的で、アルミニウムや銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものを用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状については、箔状、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体などが挙げられる。
本発明のリチウム二次電池において、負極は、リチウムイオンを吸蔵放出する材料を負極活物質として含んでいるものであれば、特に限定されるものではない。ここで、リチウムイオンを吸蔵放出する材料としては、例えば金属リチウムやリチウム合金のほか、金属酸化物、金属硫化物、リチウムイオンを吸蔵放出する炭素質物質などが挙げられる。リチウム合金としては、例えば、アルミニウムやシリコン、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウムなどとリチウムとの合金が挙げられる。金属酸化物としては、例えばスズ酸化物、ケイ素酸化物、リチウムチタン酸化物、ニオブ酸化物、タングステン酸化物などが挙げられる。金属硫化物としては、例えばスズ硫化物やチタン硫化物などが挙げられる。リチウムイオンを吸蔵放出する炭素質物質としては、例えばハードカーボン、ソフトカーボンを用いることができ、あるいはこれらと、天然又は人造の黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、メソフェーズピッチ系炭素繊維、気相法炭素化繊維、フェノール樹脂等の有機化合物焼成体、コークス等とを混合したものを用いることができる。
本発明のリチウム二次電池において、イオン伝導媒体は、電解質を有機溶媒に溶かした非水電解液やイオン性液体、ゲル電解質、固体電解質などを用いることができる。このうち、非水電解液を用いることが好ましい。電解質としては、例えば、LiPF6,LiClO4,LiAsF6,LiBF4,Li(CF3SO22N,Li(CF3SO3),LiN(C25SO22などの公知の電解質を用いることができる。電解質の濃度としては、0.1〜2.0Mであることが好ましく、0.8〜1.2Mであることがより好ましい。有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)など従来の二次電池やキャパシタに使われる有機溶媒が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。また、イオン性液体としては、特に限定されるものではないが、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロスルホニル)イミドや1−エチル−3−ブチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートなどを用いることができる。ゲル電解質としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリフッ化ビニリデンやポリエチレングリコール、ポリアクリロニトリルなどの高分子類又はアミノ酸誘導体やソルビトール誘導体などの糖類に、電解質を含む電解液を含ませてなるゲル電解質が挙げられる。固体電解質としては、無機固体電解質や有機固体電解質などが挙げられる。無機固体電解質としては、例えば、Liの窒化物、ハロゲン化物、酸素酸塩などがよく知られている。なかでも、Li4SiO4、Li4SiO4−LiI−LiOH、xLi3PO4−(1−x)Li4SiO4、Li2SiS3、Li3PO4−Li2S−SiS2、硫化リン化合物などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリホスファゼン、ポリエチレンスルフィド、ポリヘキサフルオロプロピレンなどやこれらの誘導体が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
本発明のリチウム二次電池は、負極と正極との間にセパレータを備えていてもよい。セパレータとしては、リチウム二次電池の使用範囲に耐え得る組成であれば特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン製不織布やポリフェニレンスルフィド製不織布などの高分子不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の薄い微多孔膜が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
リチウム二次電池の形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型などが挙げられる。また、例えば、本発明のリチウムイオン二次電池を複数直列に接続するなどして電気自動車やハイブリッド電気自動車などに用いる大型の電気自動車用電源などとしてもよい。また、本発明のリチウムイオン二次電池は、携帯端末、携帯電子機器、小型電力貯蔵装置などに用いることができる。図1は、本発明のリチウムイオン二次電池10の一例を示す模式図である。このリチウムイオン二次電池10は、集電体11に正極活物質12を形成した正極シート13と、集電体14の表面に負極活物質17を形成した負極シート18と、正極シート13と負極シート18との間に設けられたセパレータ19と、正極シート13と負極シート18の間を満たす非水系電解液20と、を備えたものである。このリチウムイオン二次電池10では、正極シート13と負極シート18との間にセパレータ19を挟み、これらを捲回して円筒ケース22に挿入し、正極シート13に接続された正極端子24と負極シートに接続された負極端子26とを配設して形成されている。ここでは、正極活物質12には、リチウム遷移金属複合酸化物を主成分とし、遷移金属としてニッケルを含み、活物質表面の酸素の少なくとも一部がフッ素に置換されたものであり、活物質の表面に存在する遷移金属の価数をVSとし、活物質のバルクにおける遷移金属の価数をVBとすると、0.9≦VS/VB<1.0を満たすものが含まれている。
本発明の、リチウム二次電池用活物質の製造方法は、(1)遷移金属としてニッケルを含むリチウム遷移金属複合酸化物とハロゲン化合物とを混合する混合工程と、(2)混合工程で得られた混合物をハロゲン化合物が熱分解する温度以上の所定範囲の熱処理温度で熱処理する熱処理工程と、を含むものである。
(1)混合工程
遷移金属として用いるニッケルを含むリチウム遷移金属複合酸化物は、特に限定されるものではないく、例えば、Mn,Al,Mg,Ti,V,Cu,Zn,Cr,Zr,Sr,Siから選ばれる1種以上を含むものを用いることができる。また、例えば、一般式LiNi1-x-yCoxy2(MはAl,B,Fe,Cr,Ti,Ga,Mgから選ばれる1種以上。0.01≦x≦0.3,0.001≦y≦0.2)で表されるものを用いることができる。また、リチウム遷移金属複合酸化物は、層状岩塩型構造を有するものであることが好ましい。本発明において、リチウム二次電池用活物質は、形状は特に限定されるものではないが、例えば、平均粒子径が0.1μm以上20μm以下であることが好ましい。このようなリチウム遷移金属複合酸化物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、それぞれの金属塩(硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、水酸化物、有機塩等)を原料とし、固相反応法、共沈法、噴霧熱分解法、水熱法等で合成することができる。
混合するハロゲン化合物は、特に限定されるものではないが、後の熱処理工程で行う熱処理の熱処理温度より低い温度で熱分解するものであることが好ましい。このハロゲン化合物としては、例えば、ハロゲン元素として塩素、フッ素及び臭素などを含むものが挙げられ、このうちフッ素を含むものを用いることがより好ましい。このハロゲン化合物は、比較的低い温度範囲、例えば50℃以上600℃未満の温度範囲で熱分解するものが好ましい。例えば、ハロゲン化アンモニウムなどが比較的低温で熱分解するため、より好ましい。このハロゲン化合物は、後の熱処理温度以下の温度でハロゲン化水素を生じるものであることが好ましい。このようなハロゲン化合物としては、塩化アンモニウム、フッ化アンモニウム及び臭化アンモニウムなどが挙げられ、このうちフッ化アンモニウムを用いることが好ましい。NH3は後の熱処理工程において気化して反応系外に放出され、HFによってリチウム遷移金属複合酸化物の表面の酸素がフッ素により置換されるからである。
上述したリチウム遷移金属複合酸化物を混合する。混合方法は、特に限定されるものではないが、乾式混合であることが好ましい。こうすれば、ハロゲン化合物がリチウム遷移金属複合酸化物のバルク内部にまで浸透するのを抑制することができる。リチウム遷移金属複合酸化物とハロゲン化合物との混合比率は、リチウム遷移金属複合酸化物中のリチウムに対してハロゲン元素が0.2mol%以上15mol%以下であることが好まく、2mol%以上10mol%以下であることがより好ましい。0.2mol%以上では、リチウム遷移金属複合酸化物表面の酸素の一部をハロゲン元素に置換するのに十分であり、15mol%以下では、ハロゲン元素が過剰とならないからである。また、2mol%以上10mol%以下では、発熱開始温度をより高めると共に、容量維持率をより高めることができる。
(2)熱処理工程
次に、混合工程で得られた混合物を熱処理する。熱処理工程では、ハロゲン化合物が熱分解する温度以上、且つ100℃を超え600℃より低い熱処理温度で熱処理する。熱処理温度は、ハロゲン化合物が熱分解する温度以上でありハロゲン化合物の熱分解で生じたハロゲン元素を含む熱分解成分とリチウム遷移金属複合酸化物とが反応可能な温度以上であり、且つ、リチウム二次電池用活物質の表面に存在する遷移金属の価数VSが3.00以上となる高温側での温度(例えば600℃)未満の温度範囲とすることができる。また、この熱処理温度は、200℃以上500℃以下であることがより好ましく、350℃以上450℃以下であることが更に好ましい。この温度が200℃以上であれば、リチウム遷移金属複合酸化物の表面のハロゲン元素との置換が十分であり、500℃以下であればハロゲン元素がリチウム遷移金属複合酸化物の内部まで拡散してしまうのを抑制することができる。また、350℃以上450℃以下では、発熱開始温度を更に高めることができると共に、容量維持率を更に高めることができる。熱処理方法は、特に限定されないが、例えば酸化雰囲気中で行うものとしてもよいし、還元雰囲気中で行うものとしてもよいが、不活性雰囲気中で熱処理することがより好ましい。不活性雰囲気としては、例えば、ヘリウム雰囲気、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などが挙げられるが、このうちアルゴン雰囲気がより好ましい。また、熱処理工程では、上述した熱処理温度での熱処理時間が1時間以上3時間以下であることが好ましい。熱処理時間が1時間以上では、リチウム遷移金属複合酸化物の表面のハロゲン化が十分であり、3時間以下であればリチウム遷移金属複合酸化物の内部までハロゲン元素が拡散しにくく好ましい。
このような製造方法により得られた本発明のリチウム二次電池用活物質では、リチウム二次電池の電池容量の低下をより抑制し、熱的安定性をより向上することができる。この理由は、例えば、原料に混合したハロゲン化合物が熱分解によって分解するため、このハロゲン化合物がリチウム遷移金属複合酸化物内に残存してしまうのをより抑制可能であることが考えられる。また、熱分解により生じたハロゲン成分によりリチウム遷移金属複合酸化物の表面のみ酸素がハロゲン元素により置換されるため、バルク内部までハロゲン元素を含むものに比して電池容量の低下をより抑制することができると考えられる。また、本発明では酸素とハロゲン元素との単純なアニオン置換であると考えられ、結晶構造をより維持しやすく、リチウムイオンの挿入脱離サイトの減少をより抑制することができると推察される。また、このように、リチウム遷移金属複合酸化物の表面のみハロゲン元素により置換されるため、リチウム遷移金属複合酸化物の表面に存在するNi4+ の一部がより安定なNi2+ となり、化学的に安定な表面が形成されて充電時に正極から脱離して生じる酸素の発生が抑制されるためと考えられる。そして、本発明のリチウム二次電池用活物質では、活物質表面に存在する遷移金属の価数VSと正極活物質のバルクにおける遷移金属の価数VBとの比が0.9≦VS/VB<1.0の範囲であるから、2価の酸素が1価のハロゲンにより置換された電荷補償のため遷移金属の価数が低下しているものと推察される。これにより、他の元素組成及び結晶構造が維持されているものと考えられる。特に、本発明では、熱分解により共に気体となるハロゲン化アンモニウムを利用するためハロゲン元素以外の元素がリチウム遷移金属複合酸化物内に残存しにくく、従来提案されている遷移金属フッ化物、アルカリ金属フッ化物及びアルカリ土類金属フッ化物などを用いるものとは明確に異なるものといえる。また、本発明では、100℃を超え600℃未満の温度範囲で熱処理をするため、母相の結晶構造が変化してしまったり内部までフッ素が拡散したりする600℃以上1000℃以下の温度範囲で処理する従来の処理とは明確に異なるものといえる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、ニッケルを含み、表面の酸素の少なくとも一部がハロゲン元素に置換されたリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質に用いるものとしたが、リチウム遷移金属複合酸化物をこの電極活物質として用いるものとすれば特に限定されず、負極活物質として用いるものとしてもよい。
以下には、本発明のリチウム二次電池を具体的に作製した例を、実施例として説明する。
[リチウム遷移金属複合酸化物(正極活物質)の合成]
(実施例1)
リチウム遷移金属複合酸化物を以下のように作成した。まず、LiNi0.80Co0.15Al0.052の組成となるように各金属の硝酸塩を原料として周知の共沈法で前駆体を合成し、この前駆体を焼成することにより遷移金属としてのニッケルを主成分として含むリチウム遷移金属複合酸化物を作製した。次に、得られたこのLiNi0.80Co0.15Al0.052とフッ化アンモニウム(NH4F)とをモル比で100:0.2となるように秤量し、自動乳鉢を用いて20分間、乾式混合して混合物を得た。得られた混合物を400℃のアルゴンガスフロー中で2時間熱処理して熱処理物を得た。得られた熱処理物を徐冷後、乳鉢で解砕して、その表面の酸素をフッ素で置換した実施例1のリチウム遷移金属複合酸化物を得た。
(実施例2〜6)
LiNi0.80Co0.15Al0.052とNH4Fとのモル比を100:0.5としたこと以外は実施例1と同様にして実施例2のリチウム遷移金属複合酸化物を得た。また、LiNi0.80Co0.15Al0.052とNH4Fとのモル比を100:1としたこと以外は実施例1と同様にして実施例3のリチウム遷移金属複合酸化物を得た。また、LiNi0.80Co0.15Al0.052とNH4Fとのモル比を100:2としたこと以外は実施例1と同様にして実施例4のリチウム遷移金属複合酸化物を得た。また、LiNi0.80Co0.15Al0.052とNH4Fとのモル比を100:5としたこと以外は実施例1と同様にして実施例5のリチウム遷移金属複合酸化物を得た。また、LiNi0.80Co0.15Al0.052とNH4Fとのモル比を100:10としたこと以外は実施例1と同様にして実施例6のリチウム遷移金属複合酸化物を得た。
(実施例7〜9)
熱処理温度を200℃としたこと以外は実施例5と同様にして実施例7のリチウム遷移金属複合酸化物を得た。また、熱処理温度を300℃としたこと以外は実施例5と同様にして実施例8のリチウム遷移金属複合酸化物を得た。また、熱処理温度を500℃としたこと以外は、実施例1と同様にして実施例9のリチウム遷移金属複合酸化物を得た。
(比較例1)
LiNi0.80Co0.15Al0.052をそのまま比較例1のリチウム遷移金属複合酸化物とした。
(比較例2,3)
LiNi0.80Co0.15Al0.052とNH4Fとのモル比を100:0.1としたこと以外は実施例1と同様にして比較例2のリチウム遷移金属複合酸化物を得た。また、LiNi0.80Co0.15Al0.052とNH4Fとのモル比を100:20としたこと以外は実施例1と同様にして比較例3のリチウム遷移金属複合酸化物を得た。
(比較例4,5)
熱処理温度を100℃としたこと以外は実施例5と同様にして比較例4のリチウム遷移金属複合酸化物を得た。また、熱処理温度を600℃としたこと以外は実施例5と同様にして比較例5のリチウム遷移金属複合酸化物を得た。
[評価電池の作製]
上述ようにして作製したリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質として評価電池を作製した。まず、正極活物質を85重量%、導電材としてのカーボンブラックを10重量%、結着材としてのポリフッ化ビニリデンを5重量%混合し、分散材としてN−メチル−2−ピロリドンを適量添加、分散してスラリー状正極合材とした。このスラリー状正極合材を20μm厚のアルミニウム箔集電体の両面に塗布、乾燥させたあと、ロールプレスで高密度化し、52mm幅×450mm長の形状に切り出したものを正極シートとした。なお、正極活物質の付着量は片面当たり7mg/cm2程度とした。次に、負極活物質として人造黒鉛を95重量%(ただし、比較例1においては正極活物質としての人造黒鉛を85重量%と導電材としてのカーボンブラック10重量%とした)、結着材としてのポリフッ化ビニリデンを5重量%混合し、分散材としてN−メチル−2−ピロリドンを適量添加、分散してスラリー状負極合材とした。このスラリー状負極合材を10μm厚の銅箔集電体の両面に塗布、乾燥させたあと、ロールプレスで高密度化し、54mm幅×500mm長の形状に切り出したものを負極シートとした。このようにして作製した正極シート及び負極シートを56mm幅で25μm厚のポリエチレン製セパレータを挟んで捲回し、ロール状電極体を作製した。この電極体を18650型円筒ケースに挿入し、非水電解液を含侵させたあとに密閉して円筒型リチウムイオン二次電池を作製した(図1参照)。非水電解液には、エチレンカーボネート(EC)及びジエチルカーボネート(DEC)を用い、その体積比が30:70となるように混合した混合溶媒に、電解質のLiPF6が1mol/Lとなるように溶解したもの用いた。
[電池の評価]
(初期容量)
作製した電池について、0.2C(100mA)の電流で、上限4.1V、下限3.0Vとして充放電を5サイクル実行するコンディショニングを行った。次に、20℃の温度条件下で電流密度0.2mA/cm2の定電流・低電圧充電方式で充電上限電圧である4.1Vまで7時間かけて充電した。次いで、電流密度0.1mA/cm2の定電流で放電下限電圧である3.0Vまで放電を実施した。このときの正極活物質当たりの放電容量(mAh/g)を電池初期容量とした。
(容量維持率)
2mA/cm2の定電流で充電上限電圧である4.1Vまで充電し、次いで電流密度2mA/cm2の定電流で放電下限電圧である3.0Vまで放電を行う充放電を1サイクルとし、このサイクルを60℃の温度条件下で500サイクル行った。この充放電サイクル試験前後において、20℃の温度条件下で、電流密度0.2mA/cm2での放電容量を測定し、充放電サイクル試験後の放電容量を、充放電サイクル試験前の放電容量で除したものに100を乗じて容量維持率(%)を求めた。
[遷移金属価数評価]
各正極活物質について、転換電子収量法XAFSによって遷移金属(Ni)の表面の価数を求めた。また、透過法XAFSによって遷移金属(Ni)のバルクの価数を求めた。XAFSのデータはSPring8のBL16B2を用いて収集した。このXAFSのデータについて、検量線を用いて変換して正極活物質表面(表面から約90nm以内)及び正極活物質バルクのNi価数とを求めた。詳細な算出方法については、既報の論文(T.Nonaka,C.Okuda,Y.Seno,K.koumoto,and Y.Ukyo,J.Electrochem.Soc.,154,A353(2007))に準じた。検量線は、2価のNiの標準サンプルとしてNiOを、3価のNiの標準サンプルとしてLiNiO2を、4価のNiの標準サンプルとしてKNiIO6を用い、各々についてNi−K吸収端エネルギーを収集して作成した。
[DSC発熱開始温度評価]
正極活物質を加圧密閉セルにて4.2Vまで充電したあと、正極活物質3mgと電解液(LiPF6/EC+DEC(3:7))1.5mgをDSC測定用容器に封入し、示差走査熱量計(NT06−0106,Rigaku社製)を用いて昇温速度10℃/minで室温から350℃まで発熱挙動を測定した。発熱開始温度は、熱流量ピークの立ち上がりが最大値の1/2となる温度とした。標準的活物質である比較例1の発熱開始温度を基準としてその温度差をDSC評価の結果とした。
[実験結果]
表1に、実施例1〜9及び比較例1〜5についての、NH4Fの熱処理前の混合量、熱処理温度、遷移金属価数(表面)、初期容量、容量維持率、DSC発熱開始温度を示した。フッ素による表面処理を行わなかった比較例1と比較して、実施例1〜9ではすべての条件において60℃でのサイクル容量維持率及び、DSC発熱開始温度が良好となった。また、初期容量の低下も少なかった。NH4Fの混合量が0.1mol%の比較例2では、容量維持率が低下し、DSC発熱温度も低下した。これは、フッ素置換量が少なく十分な効果が得られなかったためと推察された。また、NH4Fの混合量が20mol%の比較例3では、容量維持率及びDSC発熱開始温度が向上したものの、初期容量の低下が大きかった。これは、フッ素によるニッケルの価数低下で2価のニッケルが増加して可逆的な酸化還元反応に寄与できるNiが減少したためと推察された。また、熱処理温度を100℃とした比較例4では、容量維持率が低下し、DSC発熱開始温度も低下した。これは熱処理温度が低く十分なフッ素置換が行われなかったためと推察された。また、熱処理温度を600℃とした比較例5では、容量維持率及びDSC発熱開始温度が向上したものの、初期容量の低下が大きかった。これは、熱処理温度が高すぎてフッ素置換が表面にとどまらず内部まで浸透したためであると推察された。以上のことから、VS/VB値は、0.9以上1.0未満であることが好ましいことがわかった。NH4Fの混合量は0.1mol%より大きく20mol%未満であることが好ましいことがわかった。また、熱処理温度は100℃より高く600℃未満であることが好ましいことがわかった。なお、熱処理を行ったものでは(例えば200℃以上など)、NH4Fは熱分解してリチウム遷移金属複合酸化物に残存していないものと推察された。
Figure 2011008950
図2は、VS/VBと、初期容量・容量維持率・DSC発熱開始温度との関係を示すグラフであり、図3は、NH4Fの混合量と、初期容量・容量維持率・DSC発熱開始温度との関係を示すグラフであり、図4は、熱処理温度と、初期容量・容量維持率・DSC発熱開始温度との関係を示すグラフである。図2に示すように、VSとVBとは、0.90≦VS/VB≦0.98を満たすものであれば、発熱開始温度が比較例1に対して+10℃以上向上することがわかった。なかでも、0.90<VS/VB≦0.98を満たすものであれば、更に89%以上の容量維持率が得られることがわかった。また、図3に示すように、NH4Fの混合量は、0.2mol%以上15mol%以下であることがより好ましく、2mol%以上10mol%以下であれば、容量維持率が90%以上であり、発熱開始温度が比較例1に対して+10℃以上向上することがわかった。また、図4に示すように、熱処理温度は、200℃以上500℃以下であれば、リチウム遷移金属酸化物の表面のフッ化が十分であることがわかった。さらに、350℃以上450℃以下であれば、容量維持率90%以上、発熱開始温度+15℃以上とすることができることがわかった。
なお、特許文献1(特開2000−203843号公報)に記載のリチウムマンガン複合酸化物では、ハロゲンを添加することによって遷移金属であるマンガンの価数は上昇する傾向を示すことから、別組成の化合物が生成していると推察される。また、マンガンがMn3+/Mn4+の酸化還元反応を担い、高価数状態であるMn4+が安定なマンガン系のリチウム遷移金属複合酸化物においては、酸素放出の問題が生じにくいと考えられる。これに対して、リチウムニッケル複合酸化物を主成分とする本発明では、遷移金属であるニッケルの価数は低下しているため、リチウムマンガン複合酸化物とは異なるメカニズムにより電池特性が向上しているものと推察される。また、高価数状態のNi4+ が不安定であるニッケル系のリチウム遷移金属複合酸化物は、充電時においてその表面に存在する酸素を放出しやすく、酸素発生に伴う電池容量の低下や熱的安定性の低下を生じやすいと考えられる。このように、マンガン系のリチウム遷移金属複合酸化物とニッケル系のリチウム遷移金属複合酸化物とは異なるメカニズムによりその効果が発現していると考えられる。
10 リチウム二次電池、11 集電体、12 正極活物質、13 正極シート、14 集電体、17 負極活物質、18 負極シート、19 セパレータ、20 非水電解液、22 円筒ケース、24 正極端子、26 負極端子。

Claims (7)

  1. リチウム遷移金属複合酸化物を主成分とするリチウム二次電池用活物質であって、
    前記遷移金属としてニッケルを含み、
    前記リチウム二次電池用活物質は表面の酸素の少なくとも一部がハロゲン元素に置換されており、
    前記リチウム二次電池用活物質の表面に存在する遷移金属の価数をVSとし、前記リチウム二次電池用活物質のバルクにおける遷移金属の価数をVBとすると、0.9≦VS/VB<1.0を満たす、
    リチウム二次電池用活物質。
  2. 前記価数VS はXAFSスペクトルを転換電子収量法で測定して得られたものであり、前記価数VBは前記転換電子収量法と同時にXAFSスペクトルを透過法で測定して得られたものである、請求項1に記載のリチウム二次電池用活物質。
  3. 前記価数VSと前記価数VBとは、0.90≦VS/VB≦0.98を満たす、請求項1又は2に記載のリチウム二次電池用活物質。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用活物質を正極活物質とする正極と、
    リチウムを吸蔵・放出可能な負極活物質を有する負極と、
    前記正極と前記負極との間に介在しリチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体と、
    を備えたリチウム二次電池。
  5. 遷移金属としてニッケルを含むリチウム遷移金属複合酸化物と、該リチウム遷移金属複合酸化物中のリチウムに対して0.2mol%以上15mol%以下のハロゲン化合物と、を混合する混合工程と、
    前記ハロゲン化合物が熱分解する温度以上、且つ100℃を超え600℃より低い熱処理温度で熱処理する熱処理工程と、
    を含むリチウム二次電池用活物質の製造方法。
  6. 前記ハロゲン化合物はフッ化アンモニウムである、請求項5に記載のリチウム二次電池用活物質の製造方法。
  7. 前記熱処理温度は、200℃以上500℃以下である、請求項5又は6に記載のリチウム二次電池用活物質の製造方法。
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