JP2011007913A - トナー - Google Patents

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Takeshi Yamaguchi
山口  剛
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Abstract

【課題】オフィスレベルを超えた大量連続プリントや夏期の高温下でのプリント作製等が想定されるオンデマンド印刷環境下におかれても、ワックスからの気化成分が発生することのないトナーを提供する。
【解決手段】少なくとも、樹脂及び少なくとも炭化水素化合物を含有するワックスを含有してなるトナーで、炭化水素化合物がGPC法により分子量750以下の成分の含有率が6%以下であるトナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成方法に使用されるトナーに関し、特に、ワックスとして分子量分布を規定した炭化水素化合物を含有してなるトナーに関する。
電子写真方式の画像形成装置においては、近年、消費電力の低減化や高速のプリント作製を実現させるため、従来よりも低い温度でトナー画像を定着するいわゆる低温定着法による画像形成技術が検討されている。低温定着を実現するためには、設定定着温度の下でトナーを構成する樹脂及びワックスを溶融、固化する必要があり、そのため溶融粘度の低いトナーの設計が検討されている。そして、溶融粘度の低いトナーを実現する方法の1つとして、融点の低い有機化合物をワックスに用いたトナーが検討される様になった(たとえば、特許文献1、2参照)。
ところで、低融点のワックスを含有したトナーを用いてプリント作製を行うと、作製したプリント上に帯状あるいはスジ状の画像欠陥が頻繁に発生した。この原因を追求したところ、低融点のワックスが画像形成装置内で気化し、気化したワックス分子が画像形成装置を構成する帯電部材や露光ミラーに付着し、帯電性の阻害やミラーの汚染を引き起こして画像欠陥を発生させていたことがわかった。この様に、ワックスからの気化成分による画像形成装置の汚染は、従来の知見では低融点ワックスはその沸点が非常に高いので発生しないと考えられていただけに全く予想外のことであった。
研究者は、ワックスが複数の成分から構成されるものであることに着目し、その中には比較的気化し易い成分も含まれていて、画像形成装置内で発生する熱の作用で気化して帯電部材のワイヤやポリゴンミラーに付着し、部材を汚染していることに気付いた。この知見から研究者は、気化し易い成分を含まないワックスを用いることにより、ワックスからの気化成分による汚染に起因する画像欠陥の発生がないトナーを実現させることができると考えた。
ワックス中より気化し易い成分をなくす技術の1つに、たとえば、分岐構造や環状構造を有する炭化水素化合物をワックスに用いる方法が挙げられる(たとえば、特許文献3、4参照)。たとえば、特許文献3には分岐構造や環状構造を有する炭化水素化合物と特定のモノエステル化合物とを併用したワックスを含有するトナーが開示され、気化成分の発生防止に加えて、モノエステル化合物の極性作用により転写材への接着性向上を実現している。また、特許文献4には、特定の融点を有する直鎖炭化水素化合物と分岐構造や環状構造を有する炭化水素化合物とをワックスとして併用したトナーが開示され、これら炭化水素化合物分子同士の絡み合いにより直鎖炭化水素化合物の気化が抑制されると記載されている。そして、前記特許文献3と4には、20℃の温度環境下で1万枚のプリント作製を行ったときに、上記構成のワックスを含有するトナーを用いることにより、気化成分の発生が防止されて画像欠陥の発生を防止できることが開示されている。
ところで、近年のデジタル技術の進展やトナーの小径化技術により、写真画像の様な高精細な画像形成を電子写真方式の画像形成方法で行える様になってきた。この形成画像の高画質化により、従来は印刷により作成されていたプリント物もトナーを用いて作成することができる様になり、オンデマンド印刷と呼ばれる新しいプリントビジネスが展開される様になった。このオンデマンド印刷と呼ばれるプリントビジネスは、版を起こす手間をかけずに必要枚数分のプリント物をタイムリーに提供できることがセールスポイントになっている。
しかしながら、印刷物を作成する作業環境は、従来より電子写真方式の画像形成装置が使用されてきたオフィス環境に比べるとその条件は多岐にわたるものになることが想定される。たとえば、20頁前後の両面プリント物からなる冊子を1000部以上連続で作製するケースも想定され、この様な作製環境はプリント作製枚数が連続で2万枚を超える大量プリントを行う環境である。このプリント作成条件を満足するには、少なくとも2万枚を超える連続プリントを行っても、機内温度上昇の影響でワックスからの気化成分が発生せず、画像欠陥のないプリントを安定して作製することができる性能が求められる。また、夏期に連続プリントを実施する際、冷房を効かした環境を設定しても30℃を超える温度環境になることが想定され、この様な高温環境でプリントを作成してもワックスから気化成分が発生しないトナーが求められる。
また、オンデマンド印刷市場におかれては、プリント物の迅速な作成が求められることから、トナーに含有されるワックスも高速のプリント作成に適した短時間での溶融や固着が可能であり、トナー画像を形成した用紙が装置よりスムーズに搬出される分離性が求められていた。さらに、大きめの用紙に出力されたプリントが折り込まれた形態の冊子を作製することもあり、トナー画像上に折り目が入ってもトナー画像が折り目に沿って脱離することのない強度を有することが求められていた。
前記特許文献3と4には、30℃を超える高温環境下や2万枚を超える様な大量のプリントを実施することも想定されるオンデマンド印刷を示唆する記載がなく、開示されたトナーがこの様なプリント作製環境に耐え得るものなのか否か判断できなかった。この様に、高温環境下で2万枚を超えるプリント作成を行う可能性があるオンデマンド印刷で想定される環境下でワックスから気化成分が発生せず、画像欠陥のない安定したプリント作製が行えるトナーが求められていた。
特開2000−321815号公報 特開2000−275908号公報 特開2006−206179号公報 特開2007−212749号公報
本発明は、たとえば、オンデマンド印刷を行う環境下におかれても、ワックスより気化成分が発生することのないトナーを提供することを目的とするものである。すなわち、オンデマンド印刷分野で想定される環境、たとえば、2万枚以上の連続プリント作成や夏期の高温下での大量のプリント作製を行う環境でも、ワックスより気化成分が発生することのないトナーを提供することを目的とするものである。そして、気化成分が発生しないワックスを含有するトナーを用いることにより、高温環境下や大量プリントを行う様なオンデマンド印刷に供しても画像欠陥のない良好な画質のプリント物を安定して作成するトナーを提供することを目的とする。
また、本発明はオンデマンド印刷市場で想定される高速のプリント作成に対応可能な短時間で溶融、固着が可能で、分離性能に優れたトナーを提供することを第2の目的とする。さらに、印刷市場で冊子を作製する際、大きめの用紙を折り曲げて製本する場合等に想定されるトナー画像上を折り曲げるプリント物を作製しても、折り目に沿ってトナー画像が脱落することのない耐久性を有するトナーを提供することを第3の目的とする。
本発明者は、検討を重ねた末、上記課題が以下に記載のいずれかの構成により解消されることを見出した。すなわち、請求項1に記載の発明は、
『少なくとも炭化水素化合物を含有するワックスを含有するトナーであって、
前記炭化水素化合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により分子量750以下の成分の含有率が6%以下のものであることを特徴とするトナー。』というものである。
請求項2に記載の発明は、
『前記炭化水素化合物は、
重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比Mw/Mnが1.00以上1.20以下であり、
かつ、数平均分子量Mnが900以上2000以下のものであることを特徴とする請求項1に記載のトナー。』というものである。
請求項3に記載の発明は、
『前記ワックスは、炭素原子数が13以上30以下の炭化水素基を少なくとも1つ含有するエステル化合物を含有するものであることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー。』というものである。
本発明では、ワックスとして使用される炭化水素化合物を構成する分子量750以下の成分の含有率が6%以下の炭化水素化合物よりなるワックスを含有するトナーにより、高温下で大量プリントを連続で行う過酷なプリント作製環境下でも画像欠陥のない良好な画質のプリント物を安定して提供できる様になった。具体的には、30℃以上の高温環境下で2万枚以上のプリント物を連続作製しても、ワックスからの気化成分の発生がなく、画像欠陥のない良好な画質のプリント物を連続作製できる様になった。
本発明に係るトナーが使用可能な画像形成装置の一例である。 本発明に係るトナーが使用可能なカラー画像形成装置の一例である。 本発明に係るトナーが使用可能なカラー画像形成装置の他の一例である。
本発明に係るトナーは、少なくとも樹脂、着色剤、炭化水素化合物を含有するワックスよりなり、当該ワックスを構成する炭化水素化合物の低分子量成分の比率を低めの方向に特定する様にしたものである。この構成により、本発明に係るトナーはワックスからの気化成分の発生を防ぎ、気化成分に起因する画像欠陥の発生を防止できる様になった。また、本発明では、ワックスを構成する低分子量成分の比率を低くしたトナーを用いて低温定着を行っても、ワックスはスムーズに溶融、固化して安定した低温定着が行えることを見出した。さらに、低分子量成分の比率が低いワックスを用いても良好な分離性が発現されて安定したプリント作製が行えることを見出した。この様に、本発明に係るトナーは、ワックス成分で気化し易いとされる低分子量成分の比率を低めにすることで、気化成分の帯電器ワイヤやポリゴンミラー等への付着をなくして画像不良の発生をなくし、かつ、低温定着性と分離性の確保も可能にした。
本発明者は、ワックスを構成する炭化水素化合物が気化する原因について、炭素原子と水素原子で構成される非極性の構造により分子同士が凝集しにくいことや、分子量の低いものは分子鎖長が短いので、分子鎖同士がうまく絡み合えないこと等によると考えた。そこで、本発明者は、炭化水素化合物がある程度の分子鎖長を有するもので構成されていれば、分子鎖同士の絡み合いが促進されて気化の発生が抑制されると考えた。
しかしながら、分子鎖の長いものばかりでワックスを構成すると、分子鎖同士の絡み合いによる気化の抑制は促進されるが、分子鎖の絡み合いを解除するのに時間がかかる様になりスムーズな溶融に支障をきたすことが懸念された。とりわけ、従来よりも低めの温度で定着を行う低温定着では、供給熱量が少なくなる分、ワックスの溶融に支障をきたすと考えられた。また、低分子量成分の存在はトナー画像の離型性に寄与するものなので、低分子量成分が少なくするとそれだけプリント物の分離性に影響が顕れると懸念された。
本発明者は、ワックスを構成する炭化水素化合物について、分子鎖同士の絡み合いが行えて低い定着温度の下で分子鎖同士の絡み合いを解除でき、適度な分離性を付与する成分と気化する成分とを分離することを考えた。そして、炭化水素化合物の分子量と各分子量成分の含有率に基づいて両者の分離を行うことを考え、検討を重ねた末、分子量750以下の成分の含有率を6%以下にすることで、上記課題が解消されることを見出した。
炭化水素化合物の分子量750以下の成分の含有率を6%以下にすることにより、気化成分が発生せず、しかも、スムーズな低温定着と良好な分離性が得られる様になった理由は、炭化水素化合物のもつ以下の性質に起因するものと考えられる。すなわち、ワックスに使用される炭化水素化合物分子がある程度の鎖長を有することにより、分子鎖同士が絡み合い易い構造になっているためと考えられる。そして、分子鎖が非極性の性質を有しているので、分子鎖同士が絡み合っていても相互作用が低い分だけ絡み合いの解除が行い易くなっていると考えられる。その結果、低い定着温度でも分子鎖同士の絡み合いがスムーズに解除されてワックスの溶融性が確保されるものと考えられる。また、プリント作製時に画像形成装置内の温度が上昇して分子鎖のミクロブラウン運動が活発化することにより絡み合いの解除が促進されることも考えられる。
また、分子量750以下の成分の含有率が6%以下でも良好な分離性が得られるが、これは、分子量750以上の成分中の比較的低分子量の成分が存在することにより、良好な分離性が確保されているものと考えられる。
この様に、本発明ではワックスを構成する炭化水素化合物の分子量750以下の比率を6%以下にすることにより、ワックスからの気化成分の発生に起因する画像不良の発生が抑えられ、かつ、低温定着性と分離性の確保が行えることを見出したのである。そして、上述した性能を有するので、たとえば、夏期の高温下でのプリント作製や大量プリントを連続で行う様なケースも十分想定されるオンデマンド印刷で画像不良を発生させず、良好な低温定着性と分離性を発現するプリント作製が期待できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係るトナーは、少なくとも、樹脂、着色剤及びワックスを含有してなり、前記ワックスは炭化水素化合物より構成されるものである。そして、前記炭化水素化合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法によれば、分子量750以下の成分の含有率が6%以下であるものである。
本発明に係るトナーに含有されるワックスを構成する「炭化水素化合物」は、一般にパラフィン系化合物あるいはパラフィンワックスとも呼ばれるもので、炭素原子と水素原子の飽和結合で構成される1次構造を有する有機化合物のことである。これら炭化水素化合物は、たとえば、原材料となる石油減圧蒸留残さ油や重質留出油を溶媒抽出法により分離して得られるものである。前述の条件に適合する炭化水素化合物には、たとえば、分子構造上に分岐構造や環状構造を有さない直鎖構造のもの(直鎖状炭化水素化合物)、分子構造上に分岐構造を有するもの(分岐鎖状炭化水素化合物)、分子構造上に環状構造を有する炭化水素化合物がある。
本発明に係るトナーにワックスとして使用される炭化水素化合物は、分子量750以下の成分の含有率が6%以下のものである。分子量750以下の成分の含有率が6%以下の炭化水素化合物は、原料となるパラフィンワックス等の炭化水素化合物より公知の方法で分子量750以下の成分を分離、除去することにより作製することができる。すなわち、「分子ふるいクロマトグラフィ」等の「分子ふるい」の効果を発現する公知の分離方法を用いることにより、様々な値の分子量を有する成分より構成される上記の炭化水素化合物から特定の分子量成分が分離されて前述の炭化水素化合物が得られる。
ここで、「分子ふるい」とは、タンパク質や合成高分子等の様々な分子量の成分から構成される化合物より、分子の大きさ(分子量)に基づいて特定の分子量成分を分離、除去する性質のことをいうもので、この効果のことを「分子ふるい効果」という。この様に、種々の分子量成分から構成される化合物より特定の分子量成分を除去する具体的な手段としては、「分子ふるいクロマトグラフィ」や「ゲルろ過」が代表的なものである。これらは、化合物(担体という)を当該手段(カラム充填剤)に通過させるときに化合物を構成する各成分の分子間力の強弱を利用して分離を行うものが多い。
また、「分子ふるいクロマトグラフィ」の1つに「サイズ排除クロマトグラフィ(分子排斥クロマトグラフィともいう)」と呼ばれるものがあり、これはカラム充填剤と化合物を構成する各成分との間に直接分子間力を作用させずに分離を行うことができる。「サイズ排除クロマトグラフィ」では、カラム充填剤に細孔(ポア)と呼ばれる空洞が設けられ、細孔に入り込んだ成分はカラムからの溶出に時間がかかり移動が遅れてしまう。この様に、細孔の存在により化合物を構成する成分のカラム中の移動速度に差をつけることにより分離を行っている。つまり、分子量の小さな成分は細孔に入り込んでその中で寄り道をしている間、細孔に入ることのできない分子量の大きな成分は排除されてカラム内を通過することになり、化合物中には分子量の大きな成分が残り、分子量の小さな成分は分離、除去される。
さらに、上述した「分子ふるいクロマトグラフィ」や「ゲルろ過」の他に、「ろ過」や「電気泳動」を利用した方法もある。「ろ過」を利用する方法としては、たとえば、「限外ろ過」に代表される様に高分子製の細孔を有する膜を用い、ある分子量以上の成分は膜に保持させておき、それ以下の成分は膜を通過させて分離、除去するものが挙げられる。また、「電気泳動」を利用する方法としては、化合物をたとえばゲル等の溶融状態にしておき、この状態で電位をかけることにより化合物構成成分が移動できる様になる。このとき、分子量の大きな成分ほど移動しにくく、また、分子量の小さな成分ほど容易に移動することができる。この方法で低分子量成分を除去することができる。
本発明に係るトナーにワックスとして使用される炭化水素化合物の分子量750以下の成分の含有率が6%以下であることは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により検知することができる。ゲルパーミエーションクロマトグラフ法は、トナーを構成する樹脂やワックスの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)等の分子量測定方法の代表例の1つである。以下に、テトラヒドロフラン(THF)をカラム溶媒として用いるゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC)による分子量測定手順を説明する。
具体的には、測定試料を1mgに対してTHF(脱気処理したものを使用)を1ml添加し、室温下にてマグネチックスターラを用いて撹拌処理して充分に溶解させる。次に、ポアサイズ0.45μm〜0.50μmのメンブランフィルタで処理した後、GPC装置に注入する。
GPCの測定条件は、40℃にてカラムを安定化させ、THFを毎分1mlの流速で流し、1mg/mlの濃度の試料を約100μl注入して測定する。カラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを組み合わせて使用することが好ましい。たとえば、昭和電工社製のShodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807の組み合せや、東ソー社製のTSKgelG1000H、G2000H、G3000H、G4000H、G5000H、G6000H、G7000H、TSK guard columnの組み合せ等がある。
検出器としては、屈折率検出器(RI検出器)、あるいはUV検出器が好ましく用いられる。試料の分子量測定では、試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて作成した検量線を用いて算出する。検量線作成用のポリスチレンとしては10点程度用いることが好ましい。
本発明では、下記の測定条件にて分子量測定を行った。
(測定条件)
装置:HLC−8020(東ソー社製)
カラム:GMHXLx2、G2000HXLx1
検出器:RI及びUVの少なくともいずれか一方
溶出液流速:1.0ml/分
試料濃度:0.01g/20ml
試料量:100μl
検量線:標準ポリスチレンにて作製
本発明に係るトナーは、分子量750以下の成分の含有量が6%以下の炭化水素化合物をワックスとして使用するものであるが、本発明でいう「分子量」は上述の様にゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定、算出される分子量である。ここで「分子量750の成分」という場合、これはGPC法により算出結果に基づいて横軸に分子量、縦軸に当該分子量の頻度を示す分子量分布のグラフを作成したとき、横軸の分子量で750となる点の分子の頻度を示すものである。したがって、「分子量750以下の成分の含有量」とは、分子量分布のグラフにおいて、横軸の分子量で750以下における分子の頻度の総和を表すものである。
本発明に係るトナーにワックスとして使用される上記炭化水素化合物の好ましい態様としては、たとえば、数平均分子量Mnが900以上2,000以下であり、かつ、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比Mw/Mnが1.0以上1.2以下のものがある。数平均分子量Mnと重量平均分子量Mwが上記関係を有する炭化水素化合物は、分子量分布が揃っているので、定着時の加熱による溶融や加熱後の冷却による固化がムラなく均一に行える様になる。したがって、形成されるトナー画像の品質を一定レベルのばらつきのないものにできるので、ある程度の部数のプリント物を作製することの多いオンデマンド印刷市場でプリント物の画質や耐久性を高いレベルで維持できる様にするのに好ましい。また、プリント物の分離性向上にも好ましく寄与するものと考えられる。
なお、炭化水素化合物の数平均分子量Mn、重量平均分子量Mwは公知の分子量測定方法により算出することが可能である。その中でも、前述したテトラヒドロフラン(THF)をカラム溶媒として用いるゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC)は好ましい分子量測定方法の1つである。
本発明に係るトナーに含有されるワックスを構成する「炭化水素化合物」について、さらに説明する。前述した様に、本発明に係るトナーに使用可能な炭化水素化合物は、その分子構造から、直鎖状炭化水素化合物、分岐鎖状炭化水素化合物、分子構造上に環状構造を有する炭化水素化合物がある。
直鎖状炭化水素化合物には、たとえば、主成分がノルマルパラフィンと呼ばれるパラフィンワックスより構成される石油ワックスや、フィッシャートロプスワックス、ポリエチレンワックス等の合成ワックスがある。ここで、パラフィンワックスとは、減圧蒸留抽出油より公知の方法で分離して得られたものである。また、フィッシャートロプスワックスとは、一酸化炭素と水素とからなる合成ガスより合成される炭化水素の蒸留から、またはこれらに水素添加して得られる炭素数が16〜78の炭化水素化合物のことである。さらに、ポリエチレンワックスは、エチレンの重合やポリエチレンの熱分解により得られるものである。
次に、分岐鎖状炭化水素化合物と分子構造上に環状構造を有する炭化水素化合物には、たとえば、以下に示すマイクロクリスタリンワックスやイソパラフィンが主成分であるワックスが挙げられる。マイクロクリスタリンワックスの具体例には、たとえば、HNP−0190、Hi−Mic−1045、Hi−Mic−1070、Hi−Mic−1080、Hi−Mic−1090、Hi−Mic−2045、Hi−Mic−2065、Hi−Mic−2095等(いずれも日本精蝋(株)製)がある。ここで、マイクロクリスタリンワックスとは、石油ワックスの中で主成分がイソパラフィンと呼ばれる分岐鎖状炭化水素化合物やシクロパラフィンと呼ばれる環状炭化水素化合物の割合が高いワックスである。マイクロクリスタリンワックスは、低結晶性のイソパラフィンやシクロパラフィンを多く含有するため、パラフィンワックスに比べて結晶が小さく、分子量が大きいものである。マイクロクリスタリンワックスは、一般に、炭素原子数が60〜150、数平均分子量Mnが900以上2000以下、融点が60〜90℃である。
また、イソパラフィンが主成分であるワックスの具体例には、たとえば、EMW−0001、EMW−0003等がある。
分岐鎖状炭化水素化合物と分子構造上に環状構造を有する炭化水素化合物における分岐の割合は、公知の方法で算出することが可能である。公知の算出方法の具体例としては、たとえば、下記条件による13C−NMR測定方法が代表的なもので、前記測定方法により得られるスペクトルに基づいて下記式より算出することが可能である。すなわち、
式:分岐の割合(%)=〔(C3+C4)/(C1+C2+C3+C4)〕×100
式中、C3は3級炭素原子に係るピーク面積、C4は4級炭素原子に係るピーク面積、C1は1級炭素原子に係るピーク面積、C2は2級炭素原子に係るピーク面積を表す。
また、13C−NMR測定方法の条件は、たとえば、以下に示すものを用いることができる。すなわち、
測定装置 :FT NMR装置 Lambda400(日本電子(株)製)
測定周波数 :100.5MHz
パルス条件 :4.0μs
データポイント:32768
遅延時間 :1.8sec
周波数範囲 :27100Hz
積算回数 :20,000回
測定温度 :80℃
溶媒 :ベンゼン−d/o−ジクロロベンゼン−d=1/4(v/v)
試料濃度 :3質量%
試料管 :φ5mm
測定モード :1H完全デカップリング法
また、本発明に係るトナーにワックスとして使用される上記炭化水素化合物の融点は、炭化水素化合物の吸熱ピークトップの温度を公知の方法で測定することにより算出することができる。上記炭化水素化合物の融点を測定する装置としては、たとえば、「DSC−7示差走査カロリメーター(パーキンエルマー社製)」、「TAC7/DX熱分析装置コントローラー(パーキンエルマー社製)」等がある。
前述の「DSC−7示差走査カロリメーター」による融点測定は以下の手順で行う。先ず、炭化水素化合物4.00mgを小数点以下2桁まで精秤し、アルミニウム製パン(KITNO.0219−0041)に封入し、DSC−7サンプルホルダーにセットする。
測定条件は、測定温度0〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−Cool−Heatの温度制御で行い、その2nd Heatにおけるデータをもとに解析を行う。ここで、リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用する。
本発明に係るトナーにワックスとして使用される上記炭化水素化合物は、公知のパラフィンワックス製造方法により作製することが可能である。具体的には、溶剤分別法、蒸留分別法、尿素脱蝋法等の公知のパラフィンワックス製造法が挙げられる。
溶剤分別法は、石油留分より得られるスラックワックスを溶剤中に溶解させた後、徐々に冷却して結晶を析出させ、析出した結晶物を除去して得られる抽出物より炭化水素化合物含有物を得る方法である。また、蒸留分別法は石油ワックスを蒸留することにより含有されるパラフィンワックス留分を分留して得られる残渣より炭化水素化合物含有物を得る方法である。
これらの方法により得られた炭化水素化合物含有物を水素添加、活性炭処理、活性白土処理、フルフラール溶剤抽出、珪藻土または硫酸洗浄等の公知の精製処理を施すことにより、本発明に係るトナーに使用可能な炭化水素化合物を得ることができる。
次に、本発明に係るトナーにワックスとして上記炭化水素化合物とともに使用可能なエステル化合物について説明する。本発明に係るトナーは、ワックスとして前述した炭化水素化合物を含有するものであるが、分子中に炭素数が13以上30以下の炭化水素基を少なくとも1つ有するエステル化合物を併用することが好ましい。この様に、炭素原子数が13以上30以下の炭化水素基を少なくとも1つ有するエステル化合物をワックスとして併用したトナーでは、定着後のトナー画像の強度を向上させることが可能になった。具体的には、作製したプリント物を折り曲げたとき、折り目に沿って定着画像が剥離しなくなったのである。これは、エステル系化合物の分子構造中に存在する極性基の作用により、トナー画像を構成する各種分子間の内部凝集力を増大させる様に、エステル化合物が寄与するためと考えられるものである。
この様に、作製したプリント物を折り曲げてもトナー画像の剥離が起きないので、折り目をつけたプリント物の画質を維持する上で好ましいものである。すなわち、折り目に沿ってトナー画像が剥離しないので、折り曲げたプリント物でもトナー剥離による白線状の画像故障が折り目に沿って発生せず、画質を維持することができる。
本発明に係るトナーに使用可能なエステル化合物としては、以下に示す様な従来より公知のエステル化合物が挙げられる。具体的には、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート、ベヘン酸ベヘニル等のエステル化合物がある。
以下、本発明に係るトナーに使用可能なエステル化合物の具体例を下記に示す。
Figure 2011007913
Figure 2011007913
Figure 2011007913
上記エステル化合物の融点は、通常40〜160℃であり、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜90℃である。融点を上記範囲内にすることにより、トナーの耐熱保存性を確保するとともに、低温で定着を行う場合でもコールドオフセット等の問題を起こさずに安定したトナー画像形成が行える様になる。
なお、本発明に係るトナーに添加されるワックスの含有量は、前述した炭化水素化合物や上記エステル化合物を合わせて、1質量%〜30質量%が好ましく、5質量%〜20質量%がより好ましいものである。
次に、本発明に係るトナーの粒径等の物性について説明する。
本発明は、安定したオンデマンド印刷を可能にするトナーを提供することを目的とするものであるが、オンデマンド印刷で作製されるプリント物には写真画像を有するものもある。この様な微細なドットからなる画像を忠実に再現する上で、トナーの小径化は必須条件といえるもので、たとえば、粒径を体積基準におけるメディアン径(D50v)で3μm以上8μm以下とすることが好ましい。本発明に係るトナーの体積基準メディアン径を上記範囲とすることにより、たとえば、1200dpi(dpi;1インチ(2.54cm)あたりのドット数)レベルの微小なドット画像の忠実な再現を可能にするものとみられる。
この様な微小なドット画像を再現するトナーとすることにより、微小ドット画像からなる写真画像の画質向上が可能になり、数百部から数千部レベルでプリント注文を受けるオンデマンド印刷の分野において、高精細な写真画像入りの高画質のプリント物作製を可能にするものと期待される。
なお、トナーの体積基準メディアン径(D50v径)は、「マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)」に、データ処理用のコンピューターシステムを接続した装置を用いて測定、算出することができる。
測定手順としては、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20ml(トナーの分散を目的として、たとえば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を作製する。このトナー分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII(ベックマン・コールター社製)」の入ったビーカーに、測定濃度5〜10%になるまでピペットにて注入し、測定機カウントを2500個に設定して測定する。なお、マルチサイザー3のアパチャー径は50μmのものを使用する。
また、本発明に係るトナーは、その体積基準の粒度分布における変動係数(CV値)が2%以上21%以下のものが好ましく、5%以上15%以下のものがより好ましい。
体積基準の粒度分布における変動係数(CV値)は、トナー粒子の粒度分布における分散度を体積基準で表したもので、以下の式によって定義される。
CV値(%)=(体積基準の粒度分布における標準偏差)/(体積基準の粒度分布におけるメディアン径(D50v))×100
このCV値の値が小さい程、粒度分布がシャープであることを示し、それだけトナー粒子の大きさがそろっていることを意味する。すなわち、大きさの揃ったトナーが得られることになるので、デジタル画像形成で求められる微細なドット画像や細線をより高精度に再現することが可能である。また、写真画像をプリントするにあたり、大きさの揃った小径トナーを用いることにより、印刷インクで作製された画像レベルあるいはそれ以上の高画質の写真画像を作成することができる。
また、本発明に係るトナーは、その軟化点温度(Tsp)が70℃以上110℃以下となるものが好ましく、70℃以上100℃以下となるものがより好ましい。本発明に係るトナーに使用される着色剤は、熱の影響を受けてもスペクトルが変化することのない安定した性質を有するものであるが、軟化点を前記範囲とすることで定着時にトナーに加わる熱の影響をより低減させることができる。したがって、着色剤に負担をかけずに画像形成が行えるので、より広く安定した色再現性を発現させることが期待される。
また、トナーの軟化点を前記範囲とすることにより、従来技術よりも低い温度でトナー画像定着が行える様になり、電力消費の低減を実現した環境に優しい画像形成を可能にする。
なお、トナーの軟化点は、たとえば、以下の方法を単独で、あるいは、組み合わせることにより制御が可能である。すなわち、
(1)樹脂形成に用いる単量体の種類や組成比を調節する。
(2)連鎖移動剤の種類や添加量により樹脂の分子量を調節する。
(3)ワックス等の種類や添加量を調節する。
また、トナーの軟化点温度の測定方法は、具体的には「フローテスターCFT−500(島津製作所社製)」を用い、高さ10mmの円柱形状に成形し、昇温速度6℃/分で加熱しながらプランジャーより1.96×10Paの圧力を加え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出すようにし、これにより当該フローテスターのプランジャー降下量−温度間の曲線(軟化流動曲線)を描き、最初に流出する温度を溶融開始温度、降下量5mmに対する温度を軟化点温度とするものが挙げられる。
次に、本発明に係るトナーに使用可能な樹脂や着色剤等のトナー構成材料について具体例を挙げて説明する。本発明に係るトナーは、前述した様に、少なくとも、樹脂、着色剤及びワックスとして少なくとも炭化水素化合物を含有するものである。
先ず、本発明に係るトナーを構成する樹脂は、樹脂の形成が可能な公知の重合性単量体を用いて形成することができる。たとえば、単独あるいは複数種類組み合わせた公知のビニル系単量体と前述した樹脂成分を形成する重合性単量体とを組み合わせて作製することができる。
以下に、ビニル系の重合性単量体の具体例を示す。
(1)スチレンあるいはスチレン誘導体
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等
(2)メタクリル酸エステル誘導体
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等
(3)アクリル酸エステル誘導体
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等
(4)オレフィン類
エチレン、プロピレン、イソブチレン等
(5)ビニルエステル類
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等
(6)ビニルエーテル類
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等
(7)ビニルケトン類
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等
(8)N−ビニル化合物類
N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等
(9)その他
ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体等。
また、本発明に係るトナーを構成する樹脂を形成するビニル系重合性単量体には、以下に示すカルボキシル基やスルホン酸基、リン酸基等のイオン性解離基を有するものを使用することが好ましい。
先ず、カルボキシル基を有するものとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等がある。また、スルホン酸基を有するものとしては、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸等があり、リン酸基を有するものとしてはアシドホスホオキシエチルメタクリレート等がある。
また、以下に示す多官能性ビニル類は、架橋構造の樹脂を作製する上で好ましいものである。以下に多官能性ビニル類の具体例を示す。
エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等。
また、本発明に係るトナーは着色剤を含有したものとすることも可能で、公知の着色剤を使用することが可能である。本発明に係るトナーに使用可能な着色剤の具体例を以下に示す。
黒色の着色剤としては、たとえば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、さらにマグネタイト、フェライト等の磁性粉も使用することができる。
マゼンタもしくはレッド用の着色剤としては、C.I.ピグメントレッド2、同3、同5、同6、同7、同15、同16、同48:1、同53:1、同57:1、同60、同63、同64、同68、同81、同83、同87、同88、同89、同90、同112、同114、同122、同123、同139、同144、同149、同150、同163、同166、同170、同177、同178、同184、同202、同206、同207、同209、同222、同238、同269等がある。
また、オレンジもしくはイエロー用の着色剤としては、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー12、同14、同15、同17、同74、同83、同93、同94、同138、同155、同162、同180、同185等がある。
さらに、グリーンもしくはシアン用の着色剤としては、C.I.ピグメントブルー2、同3、同15、同15:2、同15:3、同15:4、同16、同17、同60、同62、同66、C.I.ピグメントグリーン7等がある。
また、染料としては、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー2、同6、同14、同15、同16、同19、同21、同33、同44、同56、同61、同77、同79、同80、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等がある。
これらの着色剤は必要に応じて単独もしくは2つ以上を選択併用することも可能である。また、着色剤の添加量はトナー全体に対して1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%の範囲で、これらの混合物も用いることができる。数平均1次粒子径は種類により多様であるが、概ね10〜200nm程度が好ましい。
着色剤の添加方法としては、樹脂微粒子を凝集剤の添加にて凝集させる段階で添加し重合体を着色する。なお、着色剤は表面をカップリング剤等で処理して使用することも可能である。
また、本発明に係るトナーは、後述する製造工程で外部添加剤(=外添剤)として数平均一次粒径が4〜800nmの無機微粒子や有機微粒子等の粒子を添加してトナーとすることが可能である。外添剤を添加することにより、トナーの流動性や帯電性が改良され、また、クリーニング性を向上させることも可能になる。外添剤の種類は特に限定されるものではなく、たとえば、以下に示す無機微粒子や有機微粒子及び滑剤等がある。
無機微粒子としては、従来公知のものを使用することが可能で、たとえば、シリカ、チタニア、アルミナ、チタン酸ストロンチウム微粒子等が好ましいものとして挙げられる。また、必要に応じてこれらの無機微粒子を疎水化処理したものも使用可能である。
シリカ微粒子の具体例としては、たとえば、日本アエロジル社製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト社製のHVK−2150、H−200、キャボット社製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5、MS−5等が挙げられる。
チタニア微粒子としては、たとえば、日本アエロジル社製の市販品T−805、T−604、テイカ社製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン社製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産社製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等が挙げられる。
アルミナ微粒子としては、たとえば、日本アエロジル社製の市販品RFY−C、C−604、石原産業社製の市販品TTO−55等が挙げられる。
また、有機微粒子としては数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子を使用することができる。具体的には、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体を使用することができる。
また、クリーニング性や転写性をさらに向上させるために滑剤を使用することも可能であり、たとえば、以下の様な高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。すなわち、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩が挙げられる。
これら外添剤や滑剤の添加量は、トナー全体に対して、あるいは、クリアトナー全体に対して0.1〜10.0質量%が好ましい。また、外添剤や滑剤の添加方法としては、タービュラミキサ、ヘンシェルミキサ、ナウタミキサ、V型混合機などの種々の公知の混合装置を使用して添加する方法が挙げられる。
次に、本発明に係るトナーの製造方法について説明する。
本発明に係るトナーを構成する粒子の作製方法は、特に限定されるものではなく、公知の電子写真方式の画像形成に使用されるトナーの製造方法を適用することができる。すなわち、混練、粉砕、分級工程を経てトナーを作製するいわゆる粉砕法や、重合性単量体を重合させ、同時に、形状や大きさを制御しながら粒子形成を行ういわゆる重合法によるトナー製造方法を適用することができる。
その中でも、重合法により作製されるトナーは、均一な粒度分布や形状分布、シャープな帯電分布等の特性を得られ易いものとされる。重合法によるトナー製造方法では、たとえば、懸濁重合、乳化重合等の重合反応により樹脂粒子を形成する工程を有するものであり、その中でも重合反応を経て作製した樹脂粒子を凝集、融着させて粒子を形成する会合工程を経て作製されるものが特に好ましい。
また、会合工程を経てトナーを作製する際、低温定着性と耐熱保管性の両立が可能な構造であるコアシェル構造のトナーを作製することも可能である。コアシェル構造のトナーは、最初に、軟化点温度やガラス転移温度の低い樹脂粒子でコアを形成した後、コア表面に軟化点温度やガラス転移温度の高い樹脂粒子を凝集、融着させてシェルを形成することにより作製することができる。
以下に、本発明に係るトナーの作製方法の一例として、乳化重合により樹脂粒子を形成した後、当該樹脂粒子を凝集、融着させる工程を経てトナーを作製する乳化会合法によるトナーの作製方法について説明する。乳化会合法によるトナーの作製方法は、たとえば、以下の工程を経て行われる。
(1)樹脂粒子分散液の作製工程
(2)着色剤粒子分散液の作製工程
(3)樹脂粒子の凝集・融着工程
(4)熟成工程
(5)冷却工程
(6)洗浄工程
(7)乾燥工程
(8)外添剤処理工程
以下、各工程について説明する。
(1)樹脂粒子分散液の作製工程
この工程は、本発明に係るトナーを構成する樹脂粒子を形成するラジカル重合性モノマーを水系媒体中に投入して重合を行うことにより、100nm程度の大きさの樹脂粒子を形成する工程である。ここで、「水系媒体」という言葉が用いられているが、本発明でいう「水系媒体」とは、水50〜100質量%と水溶性有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体のことをいう。水溶性の有機溶剤には、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン等の公知のものがある。
この工程で行われる重合処理の好適な一例としては、たとえば、臨界ミセル濃度(CMC)以下の界面活性剤を含有した水系媒体中に、必要に応じてワックスや荷電制御剤等を含有させた重合性単量体溶液を添加し、機械的エネルギーを加えて液滴を形成する。次いで、水溶性の重合開始剤を添加して当該液滴中で重合反応を進行させることにより樹脂粒子を形成する。なお、前記液滴中に油溶性重合開始剤を含有させておいてもよい。この工程では、機械的エネルギーを付与して強制的に乳化(液滴の形成)処理を行うことが必須となり、機械的エネルギーの付与手段としては、ホモミキサ、超音波、マントンゴーリン等の強い撹拌または超音波振動エネルギーの付与手段が挙げられる。
(2)着色剤粒子分散液の作製工程
本発明で使用するトナーを作製する場合、トナー中に着色剤を含有させる必要がある。この工程は、前述した手順により、水系媒体中に着色剤を分散させて、着色剤粒子分散液を作製する工程である。たとえば、数平均1次粒径が30nm〜200nmの着色剤を用いて着色剤粒子分散液を作製することができる。
(3)樹脂粒子の凝集・融着工程
この工程は、前記工程で作製した樹脂粒子を水系媒体中で凝集させるとともに、加熱により樹脂粒子の凝集界面を融着させて、トナーを構成する母体粒子を作製する工程である。ここで、母体粒子とは、外添処理をする前の樹脂、着色剤及びワックスを含有してなる粒子のことをいうものである。この工程では、前記樹脂粒子を存在させた水系媒体中に、塩化マグネシウム等に代表されるアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等の凝集剤を添加することにより、前記樹脂粒子を凝集させる。次いで、水系媒体中を前記樹脂粒子のガラス転移温度以上に加熱して凝集を進行させると同時に凝集させた樹脂粒子同士の融着を行う。そして、凝集を進行させて粒子の大きさが目標になったときに、食塩等の塩を添加して凝集を停止させて母体粒子を形成するものである。なお、トナーの母体粒子を作製する場合は、着色剤粒子を添加して樹脂粒子を凝集させるものである。
(4)熟成工程
この工程は、上記凝集・融着工程に引き続き、反応系を加熱処理することによりトナーの母体粒子の形状を所望の平均円形度になるまで熟成させるいわゆる形状制御工程とも呼ばれる工程である。
(5)冷却工程
この工程は、前述したトナー母体粒子の分散液を冷却処理(急冷処理)する工程である。冷却処理条件としては、1〜20℃/分の冷却速度で冷却する。冷却処理方法としては特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法を例示することができる。
(6)洗浄工程
この工程は、上記工程で所定温度まで冷却処理した前記トナー母体粒子の分散液より粒子を固液分離する工程と、固液分離されてウェットのトナーケーキと呼ばれるケーキ状集合体となったトナー母体粒子より界面活性剤や凝集剤等の付着物を洗浄により除去する工程からなるものである。
洗浄処理は、濾液の電気伝導度がたとえば10μS/cm程度になるまで水洗浄する。固液分離方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用する減圧ろ過法、フィルタプレス等を使用するろ過法等があり、本発明では特に限定されるものではない。
(7)乾燥工程
この工程は、洗浄処理された前記トナー母体粒子を乾燥処理し、乾燥処理を施したトナー母体粒子を得る工程である。この工程で使用される乾燥機としては、スプレイドライヤ、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを使用することが好ましい。
また、乾燥処理されたトナー母体粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは2質量%以下とされる。なお、乾燥処理されたトナー母体粒子同士が弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサ、コーヒーミル、フードプロセッサ等の機械式の解砕装置を使用することができる。
(8)外添剤処理工程
この工程は、乾燥処理したトナー母体粒子に前述した外添剤や滑剤を添加する工程である。前記乾燥工程を経たトナー母体粒子はそのままトナー粒子として画像形成に使用することができるものであるが、外添剤を添加することにより帯電性や流動性、クリーニング性を向上させることができる。これら外添剤には、公知の無機微粒子や有機微粒子、脂肪族金属塩を使用することができ、その添加量はトナー全体に対して0.1〜10.0質量%、好ましくは0.5〜4.0質量%である。また、外添剤は種々のものを組み合わせて添加することができる。なお、外添剤を添加する際に使用する混合装置としては、たとえば、タービュラミキサ、ヘンシェルミキサ、ナウタミキサ、V型混合機、コーヒーミル等の公知の機械式の混合装置がある。
以上の工程を経ることにより、乳化会合法を用いて本発明に係るトナーを作製することができる。
次に、本発明に係るトナーを乳化会合法で作製する場合に使用する重合開始剤、分散安定剤、界面活性剤等について説明する。
本発明に係るトナーを構成する樹脂をビニル系重合性単量体を用いて形成する場合、公知の油溶性あるいは水溶性の重合開始剤を使用することができる。油溶性の重合開始剤としては、具体的には、以下に示すアゾ系またはジアゾ系重合開始剤や過酸化物系重合開始剤がある。すなわち、
(1)アゾ系またはジアゾ系重合開始剤
2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等
(2)過酸化物系重合開始剤
ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジン等
また、乳化重合法で樹脂粒子を形成する場合は水溶性ラジカル重合開始剤が使用可能である。水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸及びその塩、過酸化水素等がある。
また、樹脂粒子の分子量調整のために、公知の連鎖移動剤を用いることもできる。具体的には、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル、ターピノーレン、四臭化炭素、α−メチルスチレンダイマー等がある。
乳化会合法によるトナー作製では、水系媒体中に分散させた重合性単量体を重合したり、水系媒体中に分散させた樹脂粒子等を凝集、融着させて粒子を形成するので、これらトナー材料を水系媒体中に安定して分散させる分散安定剤を使用することが好ましい。分散安定剤としては、たとえば、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等のものがある。また、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、エチレンオキサイド付加物、高級アルコール硫酸ナトリウム等、一般に界面活性剤として使用されるものも分散安定剤として使用することができる。
また、水系媒体中で重合性単量体を用いて重合を行う場合、界面活性剤を使用して前記重合性単量体の油滴を水系媒体中に均一に分散させる必要がある。このとき、使用可能な界面活性剤は、特に限定されるものではないが、たとえば、以下に示すイオン性界面活性剤が好ましいものとして使用できる。イオン性界面活性剤には、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、脂肪酸塩等があり、スルホン酸塩には、たとえば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等がある。
また、硫酸エステル塩には、たとえば、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等があり、脂肪酸塩には、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等がある。
また、ノニオン性界面活性剤を使用することも可能で、具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等がある。
次に、本発明に係るトナーを用いた現像剤について説明する。本発明に係るトナーは、キャリアとトナーより構成される二成分現像剤として、また、トナーのみから構成される非磁性一成分現像剤として使用することが可能である。
キャリアは、たとえば平均粒径が10〜50μm、飽和磁化10〜80emu/gを有しトナーは粒径4〜10μmである。2成分現像剤は、これらキャリアとトナーとをトナー濃度が4質量%〜10質量%にとなる様に混合、調整したものである。2成分現像剤として使用されるトナーでは、その帯電特性は、たとえば、負帯電性の場合にはキャリアにより平均電荷量を−20〜−60μC/gにすることが好ましい。
本発明に係るトナーを二成分現像剤として使用する場合、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の公知の材料からなる磁性粒子を用いることが可能で、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとして、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアやバインダ樹脂中に磁性体微粉末を分散してなるバインダ型キャリア等を使用することも可能である。
コートキャリアを構成する被覆樹脂としては、特に限定はないが、たとえば、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル系共重合体樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。また、バインダ型キャリアを構成するバインダ樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することが可能で、たとえば、スチレン−アクリル系共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂等を使用することが可能である。
キャリアは、高画質の画像が得られること、及びキャリアかぶりが抑止されることから、体積基準のメディアン径で20〜100μmであることが好ましく、さらに好ましくは20〜60μmとされる。キャリアの体積基準のメディアン径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
好ましいキャリアとしては、耐スペント性の観点から、被覆樹脂としてシリコーン系樹脂、オルガノポリシロキサンとビニル系単量体との共重合樹脂(グラフト樹脂)またはポリエステル樹脂を用いたコートキャリアが挙げられ、特に、耐久性、耐環境安定性及び耐スペント性の観点から、オルガノポリシロキサンとビニル系単量体との共重合樹脂(グラフト樹脂)に、イソシアネートを反応させて得られた樹脂で被覆したコートキャリアを好ましく挙げられる。上記のコートキャリアを形成するビニル系単量体は、イソシアネートと反応性を有する水酸基などの置換基を有する単量体である。
また、キャリアを使用せずに画像形成を行う非磁性一成分現像剤として使用する場合、画像形成時にトナーは帯電部材や現像ローラ面に摺擦、押圧して帯電が行われる。非磁性一成分現像方式による画像形成は、現像装置の構造を簡略化できるので、画像形成装置全体をコンパクト化できるメリットがある。したがって、本発明に係るトナーを非磁性一成分現像剤として使用すると、コンパクトなカラープリンタでフルカラーのプリント作成が実現され、スペース的に制限のある作業環境でも色再現性に優れたフルカラープリントの作成が可能である。
次に、本発明に係るトナーが使用可能な画像形成方法について説明する。本発明に係るトナーが使用可能な画像形成方法は、少なくとも下記工程を経ることにより転写紙上にトナー画像を形成してプリント作製を行うものである。
(1)電子写真感光体表面に潜像を形成する潜像形成工程
(2)電子写真感光体表面に形成された静電潜像を現像剤担持体に担持させた現像剤で現像してトナー画像を形成する現像工程
(3)トナー画像を転写体表面に転写する転写工程
(4)転写体表面に転写させたトナー画像を熱定着する定着工程。
図1は、本発明に係るトナーを用いてプリント作製を行うモノクロタイプの画像形成装置の一例である。図1に示す画像形成装置1は、デジタル方式の画像形成装置で、画像読取部A、画像処理部B、画像形成部C、転写紙搬送部Dより構成される。
画像読取部Aの上部には、原稿を自動搬送する自動原稿送り手段が設けられている。自動原稿送り手段では、原稿載置台11上に原稿を載置させ、載置した原稿は搬送ローラ12により1枚ずつ分離、搬送されて、読取位置13aで画像の読取りが行われる。読取りを終えた原稿は搬送ローラ12により原稿排紙皿14上に排出される。
一方、プラテンガラス13上に原稿を置いて読取りを行う場合、原稿画像は走査光学系を構成する照明ランプと複数のミラーより構成される複数のミラーユニット15、16により読み取られる。
画像読取部Aで読み取られた画像は、投影レンズ17を通して撮像素子CCDの受光面に結像される。撮像素子CCD上に結像した光学像は、順次電気信号(輝度信号)に変換された後A/D変換され、画像処理部Bで濃度変換やフィルタ処理等の処理が施されて画像データとして一旦メモリに記憶される。
画像形成部Cは、像担持体であるドラム状の電子写真感光体1を有する。感光体1の外周に感光体1を帯電させる帯電手段2、帯電した感光体の表面電位を検出する電位検出手段220、現像手段4、転写手段5、クリーニング手段6、光除電手段であるPCL(プレチャージランプ)8が各々動作順に配置されている。また、現像手段4の下流側に感光体1上に形成されるパッチ画像の反射濃度を測定する濃度検出手段222が設けられている。感光体1は図示の時計方向に駆動回転する。
感光体1は帯電手段2により一様帯電がなされた後、像露光手段3により画像処理部Bのメモリからの画像信号に基づいて像露光される。像露光手段3が感光体1に対してAoの位置で像露光を行うことにより感光体1表面に静電潜像が形成される。
次に、感光体1上に形成された静電潜像は現像手段4により現像され、感光体1表面にトナー像が形成される。
転写紙搬送部Dは、異なるサイズの転写紙Pを収納する給紙ユニット41(A)、41(B)、41(C)を有し、また、手差給紙を行うための手差給紙ユニット42を側方に有し、これら給紙ユニットより適切な転写紙Pが選択される。転写紙Pは案内ローラ43により搬送路40に沿って搬送され、レジストローラ44により傾きと偏りが修正される。レジストローラ44により修正された転写紙Pは、再び搬送路40に沿って搬送され、転写前ローラ43a、給紙経路46及び進入ガイド板47に案内される。感光体1上のトナー画像は、転写位置Boで転写極24と分離極25により転写紙Pに転写され、転写紙Pは感光体21面より分離し、転写手段5より定着手段50に搬送される。
定着手段50は定着ローラ51と加圧ローラ52を有し、転写紙Pを定着ローラ51と加圧ローラ52の間に通過させて、加熱、加圧を行いトナー画像を定着する。トナー画像の定着を終えた転写紙Pは排紙トレイ64上に排出される。
以上は、転写紙Pの片面に画像形成を行う説明であるが、両面に画像形成を行う場合は排紙切換部材170、転写紙案内部177の作動により、転写紙Pは破線矢印方向に搬送される。さらに、搬送機構178により転写紙Pは下方に搬送されてスイッチバック搬送されて転写紙P後端部が先端部になって両面プリント用給紙ユニット130を搬送する。そして、両面プリント用給紙ユニット130の搬送ガイド131、給紙ローラ132の作動により転写紙Pは搬送路40を再度搬送され、前述した手順により転写紙Pの裏面にもトナー画像を形成することができる。
上記画像形成装置では、感光体、現像手段、クリーニング手段等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体構成のものとしてユニット化し、ユニット単位で装置本体に自在に着脱できる構成にすることもできる。また、帯電手段、像露光手段、現像手段、転写または分離手段、及び、クリーニング手段を感光体と一体化したプロセスカートリッジとし、装置本体に自在に着脱できる単一ユニットにすることもできる。
また、図2は本発明に係るトナーを用いてカラー画像を形成することが可能な画像形成装置の一例を示す概略図である。
図2において、1Y、1M、1C、1Bkは感光体、4Y、4M、4C、4Bkは現像装置、5Y、5M、5C、5Bkは1次転写手段としての1次転写ロール、5Aは2次転写手段としての2次転写ロール、6Y、6M、6C、6Bkはクリーニング装置、7は中間転写体ユニット、50は熱ロール式定着装置、70は中間転写体を示す。
この画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、複数組の画像形成部10Y、10M、10C、10Bkと、転写部としての無端ベルト状中間転写体ユニット7と、記録部材Pを搬送する無端ベルト状の給紙搬送手段21及び定着手段としての熱ロール式定着装置50とを有する。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読取装置SCが配置されている。
各感光体に形成される異なる色のトナー像の1つとして、イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、第1の感光体としてのドラム状の感光体1Y、該感光体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、1次転写手段としての1次転写ロール5Y、クリーニング手段6Yを有する。
また、別の異なる色のトナー像の1つとして、マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、第1の感光体としてのドラム状の感光体1M、該感光体1Mの周囲に配置された帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、1次転写手段としての1次転写ロール5M、クリーニング手段6Mを有する。また、更に別の異なる色のトナー像の1つとして、シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、第1の感光体としてのドラム状の感光体1C、該感光体1Cの周囲に配置された帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、1次転写手段としての1次転写ロール5C、クリーニング手段6Cを有する。
さらに、他の異なる色のトナー像の1つとして、黒色画像を形成する画像形成部10Bkは、第1の感光体としてのドラム状の感光体1Bk、該感光体1Bkの周囲に配置された帯電手段2Bk、露光手段3Bk、現像手段4Bk、1次転写手段としての1次転写ロール5Bk、クリーニング手段6Bkを有する。
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のロールにより巻回され、回動可能に支持された中間転写エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体70を有する。
画像形成部10Y、10M、10C、10Bkより形成された各色の画像は、1次転写ロール5Y、5M、5C、5Bkにより、回動する無端ベルト状中間転写体70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された転写材として用紙等の記録部材Pは、給紙搬送手段21により給紙され、複数の中間ロール22A、22B、22C、22D、レジストロール23を経て、2次転写手段としての2次転写ロール5Aに搬送され、記録部材P上にカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された記録部材Pは、熱ロール式定着装置50により定着処理され、排紙ロール25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
一方、2次転写ロール5Aにより記録部材Pにカラー画像を転写した後、記録部材Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写体70は、クリーニング手段6Aにより残留トナーが除去される。
画像形成処理中、1次転写ロール5Bkは常時、感光体1Bkに圧接している。他の1次転写ロール5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに圧接する。
2次転写ロール5Aは、ここを記録部材Pが通過して2次転写が行われるときにのみ、無端ベルト状中間転写体70に圧接する。
この様に感光体1Y、1M、1C、1Bk上に帯電、露光、現像によりトナー像を形成し、無端ベルト状中間転写体70上で各色のトナー像を重ね合わせ、一括して記録部材Pに転写し、定着装置50で加圧及び加熱により固定して定着する。トナー像を記録部材Pに転移させた後の感光体1Y、1M、1C、1Bkは、クリーニング装置6Aで転写時に感光体に残されたトナーを清掃した後、上記の帯電、露光、現像のサイクルに入り、次の像形成が行われる。
次に、図3も図2と同様、カラー画像形成装置の構成断面図であるが、図2の画像形成装置とは異なる形態のものである。図3の画像形成装置は、有機感光体の周辺に帯電手段、露光手段、複数の現像手段、転写手段、クリーニング手段及び中間転写体を有する。ベルト状の中間転写体70は中程度の抵抗の弾性体を使用している。
1は像形成体として繰り返し使用される回転ドラム型の感光体であり、矢印方向で示す反時計方向に所定の周速度で回転駆動する。感光体1は回転しながら、帯電手段2により所定の極性・電位に一様帯電処理され、次いで、不図示の像露光手段3により画像露光を受けることにより目的のカラー画像のイエロー(Y)の色成分像(色情報)に対応した静電潜像が形成される。
次いで、静電潜像がイエロー(Y)の現像手段4Yにより第1色であるイエロートナーにより現像される。この時、第2〜第4の現像手段であるマゼンタ、シアン、ブラックの各現像手段4M、4C、4Bkは作動オフになっており感光体1に作用せず、第1色目のイエロートナー画像は第2〜第4の現像手段からの影響を受けない。
中間転写体70はローラ79a、79b、79c、79d、79eで張架されて時計方向に感光体1と同じ周速度をもって回転駆動されている。
感光体1上に形成担持された上記第1色目のイエロートナー画像が、感光体1と中間転写体70とのニップ部を通過する過程で、1次転写ローラ5aから中間転写体70に印加される1次転写バイアスにより形成される電界により、中間転写体70の外周面に順次中間転写(1次転写)されていく。
中間転写体70に対応する第1色のイエロートナー画像の転写を終えた感光体1の表面は、クリーニング装置6aにより清掃される。
以下、同様に第2色のマゼンタトナー画像、第3色のシアントナー画像、第4色のクロ(ブラック)トナー画像が順次中間転写体70上に重ね合わせて転写され、目的のカラー画像に対応した重ね合わせカラートナー画像が形成される。
2次転写ローラ5bで、2次転写対向ローラ79bに対応し平行に軸受させて中間転写体70の下面部に離間可能な状態に配設してある。
感光体1から中間転写体70への第1〜第4色のトナー画像の順次重畳転写のための1次転写バイアスはトナーとは逆極性で、バイアス電源から印加される。その印加電圧は、たとえば+100V〜+2kVの範囲である。
感光体1から中間転写体70への第1〜第3色のトナー画像の1次転写工程において、2次転写ローラ5b及び中間転写体クリーニング手段6bは中間転写体70から離間することも可能である。
ベルト状の中間転写体70上に転写された重ね合わせカラートナー画像の第2の画像担持体である転写紙Pへの転写は、2次転写ローラ5bが中間転写体70のベルトに当接されるとともに、対の給紙レジストローラ23から転写紙ガイドを通って、中間転写体70のベルトに2次転写ローラ5bとの当接ニップに所定のタイミングで転写紙Pが給送される。2次転写バイアスがバイアス電源から2次転写ローラ5bに印加される。この2次転写バイアスにより中間転写体70から第2の画像担持体である転写紙Pへ重ね合わせカラートナー画像が転写(2次転写)される。トナー画像の転写を受けた転写紙Pは定着手段24へ導入され加熱定着される。
本発明に係るトナーにより画像形成が可能な転写材は、一般に、転写紙、画像支持体あるいは用紙等とも呼ばれるもので、たとえば上述の画像形成方法に代表される公知の方法を用いて画像を形成するものである。本発明で使用可能な転写材としては、公知のものが挙げられ、たとえば、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙、あるいは、コート紙等の塗工された印刷用紙、市販の和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布等がある。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の様態は以下のものに限定されるものではない。なお、下記文中「部」は「質量部」を表すものである。
1.炭化水素化合物の準備、調製
(1)炭化水素化合物の準備
石油減圧蒸留残渣油または重質留出油を原料とし、前述の溶剤抽出法と公知の精製処理を経て作製される数平均分子量Mnが異なる5種類の炭化水素化合物を専門の製造業者(たとえば、日本製蝋(株)等)より購入した。前記専門の製造業者より購入した前記炭化水素化合物は、前述のゲルパーミエーションクロマトグラフ法による分子量測定で、数平均分子量800、900、1500、2000、2500の個所に各々ピークを有し、かつ、Mw/Mnが1.20で、分子量750以下の成分の含有量が10%となる様に調製したものを納品させた。
(2)炭化水素化合物の調製
上記炭化水素化合物を市販の分子ふるいクロマトグラフ装置を用いて処理することにより、分子量750以下の成分含有量を変化させた15種類の「炭化水素化合物1〜15」を用意した。なお、「炭化水素化合物1〜15」を調製で使用した上記分子ふるいクロマトグラフ装置用のカラム充填剤は共通のもので、処理時間を変化させて分子量750以下の成分の含有量を変化させた。「炭化水素化合物1〜15」を調製するにあたり使用した炭化水素化合物の数平均分子量Mn、Mw/Mn、処理時間、分子量750以下の成分の含有量を下記表1に示す。なお、表中の「炭化水素化合物4、8、11、14」は上記分子ふるいクロマトグラフ装置による処理を行わずに購入したものをそのまま利用したものである。
Figure 2011007913
2.「トナー1〜30」の作製
以下の手順により評価用の「トナー1〜30」を作製した。
2−1.「樹脂粒子1〜30」の作製
(1)「樹脂粒子1」の作製
(a)「樹脂粒子分散液1H」の作製
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させて界面活性剤水溶液を調製した。前記界面活性剤水溶液を窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、温度を80℃に昇温させた。
昇温後、過硫酸カリウム(KPS)10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた溶液を添加して再度液温を80℃にして、
スチレン 480質量部
n−ブチルアクリレート 250質量部
メタクリル酸 68質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 16質量部
よりなる単量体混合溶液を、1時間かけて滴下した。
前記単量体混合溶液を滴下後、80℃にて2時間加熱、撹拌することにより重合反応を行った後、40℃まで冷却して「樹脂粒子分散液1H」を作製した。
(b)「樹脂粒子分散液1HM」の作製
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器にポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム7質量部をイオン交換水800質量部に溶解させて界面活性剤水溶液を調製し、前記界面活性剤水溶液を80℃に昇温させた。
昇温後、
樹脂粒子分散液1H 260質量部
スチレン 245質量部
n−ブチルアクリレート 120質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 1.5質量部
炭化水素化合物1 130質量部
を70℃にて溶解させた単量体混合溶液を添加し、循環経路を有する機械式分散装置「クリアミクス(エム・テクニック社製)」により1時間混合分散させて乳化粒子を含有してなる分散液を調製した。
次いで、この分散液に過硫酸カリウム(KPS)6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた溶液を添加し、82℃にて1時間にわたり加熱、撹拌処理することにより重合反応を行った後、40℃まで冷却して「樹脂粒子分散液1HM」を作製した。
(c)「樹脂粒子分散液1」の作製
上記「樹脂粒子分散液1HM」に過硫酸カリウム(KPS)11質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下で
スチレン 435質量部
n−ブチルアクリレート 130質量部
メタクリル酸 33質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8質量部
からなる単量体溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後2時間にわたり加熱、撹拌することにより重合反応を行った後、28℃まで冷却して「樹脂粒子分散液1」を作製した。上記「樹脂粒子分散液1」を構成する「樹脂粒子1」の粒子径を電機泳動光散乱光度計「ELS−800(大塚電子社製)」で測定したところ、体積基準メディアン径で150nmであった。
(2)「樹脂粒子2〜30」の作製
前記「樹脂粒子1」の作製において、「樹脂粒子分散液1H」の作製で使用した「炭化水素化合物1」100質量部に代えて、炭化水素化合物とエステル化合物を表2に示す様に種類と添加量を変えた。それ以外は同じ手順を採ることにより「樹脂粒子分散液2〜30」を作製した。この様にして作製した「樹脂粒子分散液2〜30」中の「樹脂粒子2〜30」の含有量は「樹脂粒子分散液1」中の「樹脂粒子1」の含有量と同じものであった。また、「樹脂粒子2〜30」の体積基準メディアン径を上記方法で測定したところ、いずれも「樹脂粒子1」と同じものになった。
Figure 2011007913
2−2.「シアン着色剤粒子分散液」の調製
n−ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解して界面活性剤水溶液を調製した。この界面活性剤水溶液に、
C.I.ピグメントブルー15:3 420質量部
を徐々に添加し、次いで、「SCミル(三井鉱山(株)製)」を用いて分散処理を行い、「シアン着色剤粒子分散液」を調製した。「シアン着色剤粒子分散液」におけるシアン着色剤粒子の体積基準メディアン径を電機泳動光散乱光度計「ELS−800(大塚電子社製)」で測定したところ210nmであった。
2−3.「トナー1〜30」の作製
(1)「トナー1」の作製
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、
「樹脂粒子分散液1」 300質量部(固形分換算)
イオン交換水 1600質量部
「シアン着色剤粒子分散液」 70質量部(固形分換算)
を投入した。さらに、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム3質量部をイオン交換水1200質量部に溶解させた溶液を投入し、液温を30℃に調整した後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pHを10に調整した。
次いで、塩化マグネシウム・6水和物35質量部をイオン交換水35質量部に溶解させた水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加し、3分間放置後に昇温を開始し、この系を60分間かけて90℃まで昇温させた。そして、系を90℃に保持させた状態で上記粒子の凝集、融着を継続した。この状態で「マルチサイザー3(ベックマンコールター社製)」を用いて凝集、融着により得られた粒子の粒径測定を行い、粒子の体積基準メディアン径が6.5μmになったときに、塩化ナトリウム150質量部をイオン交換水600質量部に溶解させた水溶液を添加して粒子の凝集、融着を停止させた。
凝集及び融着を停止させた後、さらに熟成処理として液温を98℃にして加熱撹拌を行いながら「FPIA−2100(シスメックス社製)」を用いて凝集粒子の平均円形度を測定し、平均円形度が0.965になるまで熟成処理を進行させて「トナー母体粒子1」を形成させた。その後、液温を30℃まで冷却し、塩酸を使用して液のpHを2に調整して撹拌を停止させた。
上記工程を経て作製した「トナー母体粒子1」の分散液をバスケット型遠心分離機「MARKIII 型式番号60×40(松本機械(株)製)」で固液分離し、「トナー母体粒子1」のウェットケーキを形成した。
このウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機でろ液の電気伝導度が5μS/cmになるまで45℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤ(セイシン企業(株)製)」に移し、水分量が0.5質量%になるまで乾燥処理を行うことにより「トナー母体粒子1」を作製した。
作製した「トナー母体粒子1」に下記外添剤を添加して、ヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)にて外添処理を行うことにより「トナー1」を作製した。
ヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm)
1.0質量部
n−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒径20nm)
0.3質量部
なお、ヘンシェルミキサによる外添処理は、撹拌羽根の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分の条件の下で行った。
(2)「トナー2〜30」の作製
前記「トナー1」の作製において使用した「樹脂粒子分散液1」に代えて、前述の「樹脂粒子分散液2〜30」を用いて作製を行った他は同じ手順で「トナー2〜30」を作製した。
以上の手順により評価用の「トナー1〜30」を作製した。
2.評価実験
(1)「現像剤1〜30」の調製
前記「トナー1〜30」に対して、シリコーン樹脂を被覆してなる体積平均粒径60μmのフェライトキャリアをトナー濃度が6質量%になる様に混合して、2成分現像剤の形態をとる「現像剤1〜30」を調製した。
(2)評価条件
前記「現像剤1〜30」について、図2に示す画像形成装置の構成を有し、オンデマンドプリントが実施可能な仕様の市販のデジタルカラー複合機「bizhub C652(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)」に以下の定着装置を搭載したものを用いて評価を行った。ここで、本発明の構成を満たすトナーを用いた「現像剤1〜21」を「実施例1〜21」、本発明の構成から外れるトナーを用いた「現像剤22〜30」を「比較例1〜9」とした。
高温高湿(温度30℃、相対湿度80%RH)環境下で上記デジタルプリンタにより、各トナーについて4万枚の連続プリントを行い、1万枚目、2万枚目及び4万枚目に作成した試料を用いて下記に示す「画像欠陥」を、2万枚目と4万枚目の試料を用いて「折り目定着強度」を評価した。また、下記に記載の方法で「定着分離性」を評価した。連続プリントで作成した評価用画像は、画素率7%の文字画像、人物顔写真画像、相対画像濃度0.8のベタ画像、及び、相対画像濃度0.6のハーフトーンベタ画像からなる混合画像で、64g/mの市販のA4サイズ用紙「Jペーパー(コニカミノルタビジネステクノロジー(株)製)」上に出力した。
(定着装置)
以下の構成からなる加熱ローラと加圧ローラから構成される接触加熱方式の定着装置を使用した。加熱ローラは、円筒状のアルミニウム合金製の芯金(内径40mm、肉厚1.0mm、全幅310mm)表面に厚さ120μmのPTFE(テトラフルオロエチレン)層を形成し、芯金中央部にヒータを内蔵させた構造を有するものである。また、加圧ローラは、円筒状の鉄製芯金(内径40mm、肉厚2.0mm)表面にアスカーC硬度48°のスポンジ状シリコーンゴム層を厚さ2mmに被覆させた構造を有するものである。加熱ローラ及び加圧ローラを150Nの総荷重で当接させて、幅5.8mmの定着ニップ部を形成してなるものにした。
〈画像欠陥〉
1万目、2万枚目及び4万枚目に作成した前記試料を目視観察して、当該画像上に帯状または白スジ状の画像欠陥が発生しているか否かを以下の様に評価した。すなわち、
◎:全ての画像上に画像欠陥の発生はみられなかった
○:ハーフトーンベタ画像上に濃度が白スジ状に若干薄くなっている箇所があるが問題ないレベルで、かつ、他の画像上には画像欠陥の発生はみられなかった
△:ハーフトーンベタ画像上に白スジが数本あるが、文字画像や人物顔写真画像では目立たなく使用上問題ないレベル
×:ハーフトーンベタ画像上にはっきりとした白スジや帯状の画像欠陥が発生し、文字画像や人物顔写真画像上にも画像欠陥が確認され、実質上、使用不可のレベル。
〈折り目定着強度〉
前記画像欠陥の評価に使用した2万枚目と4万枚目の作成試料の折り目定着強度を以下の手順で評価した。折り目定着強度は、トナー画像が形成された面(プリント画像面)を内側にして折り曲げ、その折り曲げ部分でのトナーはがれの程度を定着率、すなわち、折り目定着率を算出して評価したもので、以下の測定方法に基づいて行った。測定方法は、ベタ画像部(画像濃度が0.8)の個所に折り目を入れて内側に折り曲げ、3回指で擦った後、画像を開いて「JKワイパー(株式会社クレシア製)」で3回ふき取り、ベタ画像の折り目箇所の折り曲げ前後の画像濃度から下記式により算出した値である。
折り目定着率(%)=(折り曲げ後画像濃度/折り曲げ前画像濃度)×100
得られた折り目定着率の値から下記の評価基準に示す様に折り目定着強度を評価した。なお、◎と○を合格とした。すなわち、
評価基準:
◎:折り目定着率が90〜100%で折り目定着強度が優れている
○:折り目定着率が80〜90%未満で折り目定着強度が良好
×:折り目定着率が80%未満で折り目定着強度が不良。
〈定着分離性〉
前記連続プリントを開始する際、最初の3000枚までは1000枚毎に前記デジタルプリンタの搬送速度を変化させてプリント作成速度上昇に伴う定着分離性の評価を行った。すなわち、1枚目から1000枚目までは前記デジタルプリントの標準仕様の搬送速度で連続プリントを行い、1001枚目から2000枚目までは搬送速度を標準仕様の50%アップの搬送速度に設定し、2001枚目から3000枚目までは標準仕様の搬送速度の90%アップの搬送速度に設定して連続プリントを行った。そして、3001枚目以降はもとの標準仕様の搬送速度に戻して連続プリントを継続させた。
この間、プリント画像として上記画像上に搬送方向に対して垂直方向に5mm幅のベタ黒帯状画像を加えたA4画像を作成し、連続搬送時における加熱ローラと用紙との分離性を評価した。なお、前記A4画像は、分離爪跡が発生し易いとされる位置に前述の5mm幅のベタ黒帯状画像を作成したものである。評価は各搬送速度でプリント作成を行ったときの最終10枚の用紙搬送性と当該用紙上に分離爪跡が存在するか否かを以下の評価基準に基づいて目視で行い、◎、○、△を合格にした。すなわち、
評価基準:
◎:10枚の用紙が全て加熱ローラと分離爪に接触せずに分離され、かつ、用紙上に分離爪の跡は全くみられない
○:10枚の用紙中3枚まで加熱ローラと分離爪に接触して分離したが、全ての用紙上に分離爪の跡がみられなかった
△:10枚の用紙の4枚以上が加熱ローラと分離爪に接触して分離したが、用紙10枚とも分離爪の跡はほとんど目立たない
×:10枚の用紙は加熱ローラと分離爪の作用で分離できるが、用紙上に分離爪の跡が残る、もしくは、加熱ローラに巻きつきを起こす用紙があり当該加熱ローラから分離できない。
以上の結果を表3に示す。すなわち、
Figure 2011007913
表3に示す様に、本発明の構成を満たす「実施例1〜21」は4万枚にわたる連続プリントを行った後もトナー画像上に帯状または白スジ状の画像欠陥を発生させることはなく、また、折り目定着強度も安定して維持されることが確認された。また、用紙の搬送速度を高速に設定して連続プリントを行った場合でも、用紙が加熱ローラに巻き付くことがなく、良好な定着分離性を有することが確認できた。特に、エステル化合物を含有させたトナーでは、エステル化合物構造中の炭化水素基を構成する炭素原子数が13〜30のものが安定した分離性を発現するものであることが本実施例の結果からも確認された。一方、本発明の構成を満たさない「比較例1〜9」は、いずれも2万枚を超えるプリント作成を行うことにより画像欠陥が発生することが確認され「実施例1〜21」とは性能が明らかに異なるものであることが確認された。
1(1Y、1M、1C、1Bk) 感光体
2(2Y、2M、2C、2Bk) 帯電手段
3(3Y、3M、3C、3Bk) 像露光手段
4(4Y、4M、4C、4Bk) 現像手段
5(5Y、5M、5C、5Bk、5A) 転写手段(1次転写ロール、2次転写ロール)
6(6Y、6M、6C、6Bk) クリーニング手段
7 中間転写体ユニット
70 中間転写ベルト
10(10Y、10M、10C、10Bk) 画像形成部
50 定着手段(熱ロール式定着装置)
A 画像読取部
B 画像処理部
C 画像形成部
D 転写紙転送部
P 転写材(転写紙、記録部材)

Claims (3)

  1. 少なくとも炭化水素化合物を含有するワックスを含有するトナーであって、
    前記炭化水素化合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により分子量750以下の成分の含有率が6%以下のものであることを特徴とするトナー。
  2. 前記炭化水素化合物は、
    重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比Mw/Mnが1.00以上1.20以下であり、
    かつ、数平均分子量Mnが900以上2000以下のものであることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 前記ワックスは、炭素原子数が13以上30以下の炭化水素基を少なくとも1つ含有するエステル化合物を含有するものであることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017111283A (ja) * 2015-12-16 2017-06-22 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 静電潜像現像用トナー

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