JP2011006796A - ヘキセンウロン酸の除去方法 - Google Patents

ヘキセンウロン酸の除去方法 Download PDF

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Abstract

【課題】パルプ中のヘキセンウロン酸を、パルプ繊維にダメージを与えることなく、簡便かつ低コストに除去することができ、なおかつ環境負荷が少ない方法を提供すること。
【解決手段】漂白済みパルプに、pH4以下の条件下で、波長100〜300nmの紫外光を照射する。本発明の方法は、特にヘキセンウロン酸が残存しやすいECF漂白またはTCF漂白済みの広葉樹クラフトパルプに行なうことが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、漂白済みのパルプから、退色の原因となるヘキセンウロン酸を除去する方法に関する。
紙パルプ工場の漂白工程から排出される物質が環境に与える影響に関心が集まる中、従来の塩素や次亜塩素酸塩を主に用いた漂白方法から、塩素や次亜塩素酸塩を使わずに、二酸化塩素や過酸化水素、酸素、オゾンなど有機塩素化合物を生成しない漂白薬品を使用するECF(Elemental Chlorine Free)漂白が全世界的に主流となりつつあり、塩素元素の入った漂白薬品を一切使わないTCF(Total Chlorine Free)漂白も一部で行なわれている。これらの無塩素漂白は、有害な有機塩素化合物であるダイオキシン類やクロロホルムを発生させないため、環境にやさしい漂白方法であるといえる。しかし、無塩素漂白パルプを用いて抄造した紙、特に酸性抄造した紙は、従来の塩素漂白パルプを用いて抄造した紙に比べて、退色しやすいという問題がある。この無塩素漂白パルプの退色には、パルプ中に残留するヘキセンウロン酸が関与していると考えられている。ヘキセンウロン酸は、ヘミセルロースのキシラン側鎖におけるメチルグルクロン酸が、蒸解工程において脱メチルすることにより生成する物質である。ヘキセンウロン酸を除去する方法の一つとして、漂白前のパルプを約85〜150℃の高温下、pH2〜5の酸性下で処理する方法が知られており(特許文献1)、既に実用化されている。しかしながら、この加温酸処理法により、ヘキセンウロン酸を、塩素漂白で得られるパルプと同等のレベル(例えば、1mmol/kg絶乾パルプ)にまで分解・除去しようとすると、パルプを低pH、高温下で長時間処理する必要があり、ヘキセンウロン酸のみではなくセルロースも一部加水分解され、パルプ繊維が損傷するという問題がある。
また、パルプ中のヘキセンウロン酸を除去する方法として、担子菌または糸状菌から生産される酵素グルクロニダーゼでパルプを処理する方法も開示されている(特許文献2)。しかし、酵素は一般的に高価であり実用的でない。
以上のように、現在のところ、パルプ繊維にダメージを与えずに、ヘキセンウロン酸を塩素漂白パルプと同等のレベルにまで除去できる、低コストな方法は見出されていない。
特表平10−508346号公報 特開2006−219767号公報
本発明は、パルプ中のヘキセンウロン酸を、パルプ繊維にダメージを与えることなく、簡便かつ低コストに除去することができ、なおかつ、環境負荷が少ない方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、漂白済みのパルプに、pH4以下の条件下で、波長100〜300nmの紫外光を照射することにより、パルプに残存するヘキセンウロン酸を非常に効率良く除去することができることを見出し、本発明に至ったものである。
本発明によれば、漂白済みのパルプ中のヘキセンウロン酸を、環境負荷が少なくかつ温和な条件で、パルプ繊維にダメージを与えることなく、比較的短時間で、簡便かつ低コストに、塩素漂白したパルプと同等のレベルにまで分解・除去することができる。本発明の方法は、パルプ中のヘキセンウロン酸を充分に除去することができ、また、パルプ繊維へのダメージが少ないため、本発明の方法により得られたパルプを用いれば、退色しにくく、かつ紙力(紙の強度など)が充分に高い紙を製造することができる。
また、本発明の方法は、漂白済みのパルプの中からヘキセンウロン酸の除去が必要となるパルプを選択して処理することができるという利点も有する。従来の、パルプを85〜150℃でpH2〜5の酸性下で処理する加温酸処理法は、通常、ECF漂白やTCF漂白の前段階として行なわれてきた。これは、酸処理により、パルプ中の金属類を除去して、後の漂白効率を高めるためである。したがって、加温酸処理は、漂白前のパルプの全量について行なうのが通常であった。しかし、パルプのその後の用途によっては、ヘキセンウロン酸が残留していても良い場合もある。例えば、中性抄紙を行なう場合には、退色の問題が生じにくいので、ヘキセンウロン酸を厳密に除去する必要がない場合がある。したがって、漂白するパルプの全量について一律に処理を行なう加温酸処理は、時として無駄なコストとなる場合が多い。これに対し、本発明の方法は、通常の方法で漂白した後のパルプについて行なうことができ、ヘキセンウロン酸の除去が必要となるパルプを選択して処理することができるので、コスト面から有利である。
発明の実施するための形態
本発明では、漂白済みのパルプに、pH4以下の酸性条件下で、波長100〜300nmの紫外光を照射する。これにより、パルプから、非常に効率良くヘキセンウロン酸を分解・除去することができる。
(パルプ)
本発明の方法には、漂白済みのパルプを使用する。パルプとしては、蒸解工程を経てヘキセンウロン酸が生成されたパルプ、すなわち化学パルプであればいずれも用いることができる。特にクラフトパルプ(KP)は好ましい。パルプ原料としては、いずれの原料も使用することができ、広葉樹木材あるいは針葉樹木材の他、ケナフ、麻、イネ、バカス、竹等の植物も用いることができる。中でも、広葉樹木材は、ヘキセンウロン酸の前駆物質であるメチルグルクロン酸を多く含有するので、本発明の方法で処理するパルプの原料として好適である。特に、広葉樹木材の中でもアカシアから製造されるパルプは、漂白後にもヘキセンウロン酸が多く残存する傾向があるため、本発明の方法で処理するのに最適である。
(パルプの漂白)
本発明では、漂白済みのパルプを使用する。パルプの漂白は、慣用される通常の方法で行なうことができ、その種類や方法は特に限定されない。しかし、パルプ中にヘキセンウロン酸が残留しやすいECF漂白やTCF漂白といった無塩素漂白を行なったパルプは、本発明の方法に特に好適であるといえる。
無塩素漂白とは、塩素(Cl2)を用いずに行なう漂白方法である。無塩素漂白の種類としては、塩素(Cl2)を用いずに、二酸化塩素(ClO2)、過酸化水素、酸素、オゾンなどを用いて漂白を行なうECF(Elemental Chlorine Free)漂白、及び塩素元素を含有する漂白剤を一切使用しないTCF(Total Chlorine Free)漂白が挙げられる。
ECF漂白は、オゾンによる漂白処理、アルカリによる処理、過酸化水素(及び場合により酸素)による漂白処理、二酸化塩素による漂白処理を適宜組み合わせて行なうことができる。
オゾンによる漂白処理は、0.5〜50質量%、好ましくは2〜15質量%の濃度のパルプスラリーに、20〜100℃、好ましく40〜80℃程度の温度下で、pH1〜5、好ましくは2〜4の酸性条件下で、パルプ絶乾質量に対して0.1〜1質量%のオゾンを0.1秒〜1時間程度、好ましくは1秒〜10分程度吹き込むことにより、行なうことができる。この処理により、パルプのカッパー価が2.0〜5.0、好ましくは2.5〜4.5程度となる。ここで、カッパー価(Kappa number)とは、パルプが消費する過マンガン酸カリウムの量に相当し、パルプの蒸解度を示す指標の1つである。カッパー価は、JIS P 8211に準じて測定することができる。
アルカリによる抽出処理は、0.5〜50質量%、好ましくは8〜15質量%の濃度のパルプスラリーに、パルプ絶乾質量に対して0.5〜3.0質量%のアルカリを添加して、60〜120℃程度の温度下で、pH10〜12程度のアルカリ性条件下とすることにより行なうことができる。この際、パルプ絶乾質量に対して0.05〜2.0質量%の過酸化水素、及び0〜3質量%の酸素ガスを、15〜120分間程度吹き込むことにより、過酸化水素(及び場合により酸素)による漂白処理を行なうことができる。
二酸化塩素による漂白処理は、0.5〜50質量%、好ましくは8〜15質量%の濃度のパルプスラリーに、30〜80℃程度の温度下で、pH2〜6程度の酸性条件下で、パルプ絶乾質量に対して0.1〜3質量%の二酸化塩素を、5〜180分間程度吹き込むことにより、行なうことができる。
ECF漂白シーケンスとしては、特に限定されず、例えば、オゾン処理段(Z)−アルカリ処理段(E)−二酸化塩素処理段(D)−過酸化水素処理段(P)、Z/D−アルカリ性過酸化水素処理段(Ep)−D、Z/D−Ep−D−P、D−Ep−D、D−Ep−D−P、D−Ep−P−D、Z−アルカリ性過酸化水素・酸素処理段(Eop)−D−D、Z/D−Eop−D、Z/D−Eop−D−E−Dなど、上記の漂白処理を様々に組み合わせて用いることができる。なお、シーケンス中の「/」は、「/」の前後の処理を洗浄なしで連続して行なうことを意味する。
TCF漂白は、ECF漂白シーケンスから二酸化塩素による漂白処理を除いたものであればよく、特に限定されない。
ECF漂白及びTCF漂白を行なうのに先立ち、パルプを予め酸処理して、パルプ中の金属類を除去することが好ましい。金属類を除去することにより、後の漂白の効率を高めることができる。酸処理の条件は、金属類を除去できる条件であればよく、特に限定されないが、金属の除去の程度と、パルプへのダメージの程度とを考慮すれば、一般には、60〜150℃、好ましくは80〜110℃、さらに好ましくは85〜95℃程度の温度で、pH2〜3、好ましくはpH2〜2.5程度の酸性下で、0.5〜50質量%、好ましくは8〜15質量%程度の濃度のパルプスラリーを、20分〜5時間程度処理するのがよい。処理後のパルプのカッパー価は、好ましくは5〜10程度である。酸処理に使用できる酸の種類としては、硫酸、塩酸、硝酸、亜硫酸、亜硝酸や、二酸化塩素発生装置の残留酸などの鉱酸が挙げられる。好適には硫酸である。
本発明の方法に用いる漂白済みのパルプのISO白色度は、好ましくは78〜90%程度、特に好ましくは83〜87%程度がよい。
(漂白済みパルプへの紫外光照射)
本発明では、漂白済みのパルプに、酸性条件下で、紫外光を照射する。
本発明において、紫外光照射時のpHは、4以下であり、好ましくは2〜4であり、さらに好ましくは2〜3である。pHが4を超えると、ヘキセンウロン酸の除去率が大幅に低下する。pHの調整は、無機酸または有機酸をパルプスラリーに添加することにより行なうことができる。酸の種類は特に限定されないが、例えば、無機酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、亜硫酸、亜硝酸、リン酸や、二酸化塩素発生装置の残留酸などの鉱酸を使用することができ、また、有機酸としては、酢酸、乳酸、蓚酸、クエン酸、蟻酸などを使用することができる。これらの中でも硫酸が好ましい。
本発明の紫外光照射処理で使用する紫外光の波長は、100〜300nmであり、より好ましくは180〜260nmである。100nm未満の波長では、セルロースが光分解され、パルプが損傷し、パルプ強度が著しく低下する。また300nmを超える波長では、ヘキセンウロン酸の光励起が不十分であるため除去率が大幅に低下する。
紫外光照射時の光源としては、100〜300nmの波長領域の光を照射できるものを使用することができ、具体的には、低圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノン灯等の通常の光源や、各種エキシマランプや各種レーザー等を用いることができる。中でも、高出力であり、大量のパルプを処理できる低圧水銀ランプを用いることが望ましい。また、これらを2種類以上組み合わせて用いてもよい。
パルプスラリーを収納する容器としては、300nm以下の紫外光を透過させるのに適した石英ガラス製のものを用いるとよい。なお、容器の光透過反応に関与しない部分の材質については、用いる光の波長に対して劣化の少ない材質の中から適切なものを選定することができる。
紫外光照射時のパルプ温度は、10〜60℃が好ましく、20〜40℃がより好ましい。温度が60℃を超えるとパルプの種類によっては白色度が低下する場合がある。
紫外光処理時のパルプスラリーの濃度は、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%、更に好ましくは1〜3質量%である。このような濃度であれば、パルプの流動性が良好であり、光反応の効率も良好である。
紫外光照射処理においてパルプに与える照射の程度は、照射反応装置内でのパルプの滞留時間を調節することや、照射光源のエネルギー量を調節すること等により、任意に設定できる。また、例えば、照射装置内のパルプの濃度を、水希釈や、あるいは空気や窒素等の不活性気体を吹き込むことによって調節することにより、照射反応装置内でパルプが受ける紫外光の照射量を、任意に制御することができる。これらの滞留時間や濃度などの条件は、目標とする紫外光照射反応後のパルプの品質(ヘキセンウロン酸の除去量、ならびに、パルプの白色度、粘度、カッパー価等)にあわせて、適宜設定することができる。
また、本発明における紫外光照射処理では、ヘキセンウロン酸の除去を促進させるために、パルプスラリー中に公知の酸化剤を添加することができる。そのような酸化剤としては、酸素、オゾン、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、過酢酸等を挙げることができる。酸化剤の使用量は、好ましくはパルプの絶乾質量に対して、0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜2質量%が適当である。
本発明において、特に135〜242nmの波長領域の紫外光を照射する場合、例えば、波長185nmの紫外光を主として照射する低圧水銀灯を用いる場合には、ランプを冷却するために光源周辺に連続的に供給される空気中の酸素から、紫外光によりオゾンガスが発生する。この光源周辺部に発生したオゾンを抜き出し、酸化剤として、パルプスラリー中に注入してもよい。すなわち、本発明では、紫外光照射反応装置で副次的に発生するオゾンを酸化剤として用いてもよい。ただし、パルプ中のヘキセンウロン酸を除去するのに最も有効な紫外光は、波長254nmの紫外光であるため、オゾンを過剰に供給し過ぎるとオゾンにより波長254nmの紫外光が遮蔽され、ヘキセンウロン酸の除去効率が低下する場合がある。また、オゾンの濃度が高すぎると、オゾン自体、およびオゾンに由来する活性酸素種によりパルプ繊維の損傷が進む。従って、オゾンのパルプスラリーへの供給量は、高すぎてはならず、その量はパルプ中のヘキセンウロン酸の量によって適宜調整すべきであるが、通常は、パルプの絶乾質量に対して、0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜2質量%である。
本発明において、紫外光照射処理は、複数回繰り返すことができる。繰り返しの回数は目標とするパルプの品質などに応じて適宜設定することができ、例えば、特に制限されないが、波長100〜300nm、好ましくは180〜260nmの紫外光を、1〜10回、1回あたり数分〜3時間くらいの長さで、照射することができる。
(本発明の作用)
酸性条件下で紫外光を照射することによりヘキセンウロン酸が効率良く除去できる理由は、明白ではないが、以下のように推測される。ヘキセンウロン酸と同じ不飽和カルボン酸であるアクリル酸は、酸解離定数が4.26(25℃)であり、ヘキセンウロン酸も同様の酸解離定数を有していると考えられる。そうであるとすると、ヘキセンウロン酸は、pH4以下の酸性領域で、カルボキシル基のプロトンが解離していない状態で存在していると考えられる。非解離状態の低分子カルボン酸に254nmの紫外光を照射すると、脱炭酸化反応や分子内で炭素−炭素間の結合開裂反応が起こることが知られており、本発明でも、ヘキセンウロン酸に紫外光を照射することにより、同様の反応が進んでいるものと推察される。
次に実施例に基づき、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ヘキセンウロン酸の定量方法:完全洗浄したパルプにより調製したpH1.8(希硫酸により調整)、10質量%の濃度のパルプスラリー50gを、耐熱性プラスチックバッグに入れ、95℃にて4時間、酸加水分解処理した。処理後、パルプスラリーをろ過し、ろ過液中の2−フランカルボン酸(2-furan carboxylic acid)及び5−ホルミル−2−フランカルボン酸(5-formyl-2-furan carboxylic acid)(ともに、ヘキセンウロン酸の酸加水分解物である。)の量をHPLC(高速液体クロマトグラフィー、株式会社島津製作所製、LC−10シリーズ)にて測定し、そのモル量の合計から元のヘキセンウロン酸量を求めた。また、ヘキセンウロン酸の除去率を下記の式より求めた。
100−(反応後のヘキセンウロン酸量/反応前のヘキセンウロン酸量)×100(%)。
パルプの白色度測定:パルプを離解し、Tappi試験法T205os−71(JISP 8209)に従って坪量60g/m2のシートを作製し、JIS P 8148に準じて(白色度計:株式会社色彩技術研究所製、CMS−35SPX)パルプのISO白色度を測定した。
パルプの粘度測定:Tappi試験法T230om−89に準じて測定した。
[実施例1]
広葉樹クラフトパルプ(ユーカリ100%)を以下の条件でECF漂白した。
ECF漂白シーケンス:D−Ep−D
得られた漂白済みパルプは、ヘキセンウロン酸量23.4mmol/kg、ISO白色度85.7%であった。この漂白済みパルプを10g(絶乾)採取し、0.5質量%のスラリーを調製した。希硫酸でpHを2とし、16W低圧水銀ランプ(日本フォトサイエンス社製AY−1)で254nmの紫外光を2時間室温にて照射した。処理後のパルプを水洗し、ヘキセンウロン酸と粘度を測定した。結果を表1に示す。
[実施例2]
紫外光照射時のpHを3とした以外は実施例1と同じである。
[実施例3]
紫外光照射時のpHを4とした以外は実施例1と同じである。
[実施例4]
広葉樹クラフトパルプ(ユーカリ:アカシア=60:40)を以下の条件でECF漂白した。
ECF漂白シーケンス:酸処理(A)−D−Ep−D
酸処理:パルプ濃度10質量%、pH2、85℃、120分間
得られた漂白済みパルプは、ヘキセンウロン酸量3.8mmol/kg、ISO白色度85.6%であった。このECF漂白済みパルプを、実施例2と同様の条件で紫外光照射処理した。
[実施例5]
紫外光照射時間を30分とした以外は実施例2と同じである。
[実施例6]
185nmと254nmの紫外光を照射できる20W低圧紫外線ランプ(セン特殊光源社製、UVD−20DS−2)を使用した以外は実施例2と同じである。
[実施例7]
酸化剤としてオゾンを絶乾パルプ質量に対して1質量%添加した以外は実施例2と同じである。
[実施例8]
酸化剤として過酸化水素を絶乾パルプ質量に対して1質量%添加した以外は実施例2と同じである。
[比較例1]
紫外光照射時のpHを5とした以外は実施例1と同じである。
[比較例2]
紫外光照射時のpHを7とした以外は実施例1と同じである。
[比較例3]
紫外光照射時のpHを9とした以外は実施例1と同じである。
[比較例4]
紫外光照射時のpHを11とした以外は実施例1と同じである。
[比較例5]
紫外光照射時のpHを13とした以外は実施例1と同じである。
[比較例6]
305〜320nmの波長域を有し、310nmに主ピークを有する紫外光を照射できる20W低圧水銀ランプ(フィリップス社製、TL−01)を使用した以外は実施例2と同じである。
[比較例7]
300〜420nmの波長域を有し、350nmに主ピークを有する紫外光を照射できる20W低圧水銀ランプ(フィリップス社製、CLEO Performance)を使用した以外は実施例2と同じである。
[比較例8]
紫外光を照射しない以外は実施例6と同じである。
[比較例9]
実施例1に記載の条件でECF漂白を行なったECF漂白済みの広葉樹クラフトパルプ(ヘキセンウロン酸量23.4mmol/kg、ISO白色度85.7%)を10g(絶乾)採取し、希硫酸によってpH2、パルプ濃度10質量%のスラリーに調整し、耐熱性プラスチックバッグに入れ、85℃にて2時間加温した。処理後のパルプを水洗し、ヘキセンウロン酸量とパルプの粘度を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2011006796
表1の結果より、pH4以下で波長100〜300nmの紫外光を照射する本発明の方法(実施例1〜8)は、紫外光照射時のpHが4よりも大きい比較例1〜5、波長が300nmよりも大きい比較例6及び7、ならびに紫外光を照射しない比較例8に比べて、ヘキセンウロン酸の除去率が顕著に高いことがわかる。また、従来行なわれてきた加温酸処理による方法(比較例9)と同等のレベルにまでヘキセンウロン酸を除去できることがわかる。また、本発明の方法(実施例1〜8)は、加温酸処理法(比較例9)に比べて、パルプの粘度の低下が少ない。これは、パルプ繊維の損傷が少なかったことを示す。本発明の方法により得られたパルプは、ヘキセンウロン酸量が充分に少なく、また、パルプ繊維の損傷も少ないため、退色しにくく、かつ、高い紙力を有する紙の製造に用いることができる。

Claims (4)

  1. 漂白済みのパルプに、pH4以下の条件下で、波長100〜300nmの紫外光を照射することを特徴とするパルプ中のヘキセンウロン酸の除去方法。
  2. 紫外光照射処理を、酸化剤の存在下で行う、請求項1に記載の方法。
  3. 漂白が、ECF漂白またはTCF漂白である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 漂白済みのパルプのISO白色度が、78〜90%である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
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