JP2011002517A - ポジ型感放射線性組成物、層間絶縁膜及びその形成方法 - Google Patents

ポジ型感放射線性組成物、層間絶縁膜及びその形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】放射線感度及び耐メルトフロー性が優れると共に、高い耐熱性、透明性等を有する層間絶縁膜を形成可能なポリシロキサン系ポジ型感放射線性組成物の提供。
【解決手段】[A]加水分解性シラン化合物及び/又はその加水分解縮合物であるシロキサンポリマー、[B]C1〜6のアルキレン基、フェニレン基、1,4-ジアルキルフェニレン基で結合された構造のビスシラン化合物、並びに[C]キノンジアジド化合物を含有するポジ型感放射線性組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶表示素子(LCD)の層間絶縁膜を形成するための材料として好適なポジ型感放射線性組成物、その組成物から形成された層間絶縁膜、及びその層間絶縁膜の形成方法に関する。
液晶表示素子等には、一般に層状に配置される配線の間を絶縁するために層間絶縁膜が設けられている。層間絶縁膜を形成する材料としては、必要とするパターン形状を得るための工程数が少なく、しかも十分な平坦性を有するものが好ましいことから、感放射線性組成物が幅広く使用されている。
また、液晶表示素子の層間絶縁膜は、配線用のコンタクトホールのパターン形成が必要である。ネガ型組成物では、実用上使用できるレベルのホール径を有したコンタクトホールを形成することは困難であることから、液晶表示素子の層間絶縁膜を形成するために、ポジ型感放射線性組成物が幅広く使用されている(特開2001−354822号公報参照)。
一方、層間絶縁膜形成用の感放射線性組成物の成分としてアクリル系樹脂が主に使用されている。これに対し、アクリル系樹脂よりも耐熱性及び透明性に優れたポリシロキサン系材料を、感放射線性組成物の成分として用いる試みがなされている(特開2000−1648号公報、特開2006−178436号公報参照)。しかし、ポリシロキサン系の感放射線性組成物は、放射線の照射及び現像の後の加熱工程(ポストベーク処理工程)において、パターンのメルトフロー(パターンの形状が熱で溶解し変形すること)が生じやすいという不都合がある。
特開2006−276598号公報には、シロキサンポリマー、キノンジアジド化合物及び架橋促進剤を含有するポジ型の感光性シロキサン組成物が開示されており、このような組成物は、熱硬化中にパターンがリフローすることがなく、高解像度、高硬度、高耐熱性、高透明性等の特性を有する硬化膜を形成可能であることが記載されている。また、特開2006−293337号公報には、ポリシロキサン、キノンジアジド化合物及び熱架橋性化合物を含有する感光性シロキサン組成物が開示されており、このような感光性シロキサン組成物を用いることによって、高耐熱性、高透明性、低誘電率性、高耐薬品性、及び高解像度を併せもった硬化膜を形成可能であることが記載されている。しかし、これらの公報の感光性シロキサン組成物を用いた場合でも、層間絶縁膜の形成材料として実用的に十分なレベルの耐メルトフロー性は得られないことが分かっている。
このような状況下、層間絶縁膜として一般的に要求される耐熱性、透明性、耐溶剤性及び低誘電性が優れた硬化膜、並びに電圧保持率が高い液晶セルを形成可能であり、かつ放射線感度及び保存安定性に加えて、現像後の加熱工程における耐メルトフロー性が優れたポリシロキサン系のポジ型感放射線性組成物の開発が強く望まれている。
特開2001−354822号公報 特開2000−1648号公報 特開2006−178436号公報 特開2006−276598号公報 特開2006−293337号公報
本発明は以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、耐熱性、透明性、耐溶剤性及び低誘電性が優れた層間絶縁膜、並びに電圧保持率が高い液晶セルを形成するために好適に用いられ、かつ十分な放射線感度、保存安定性及び現像後の加熱工程における耐メルトフロー性が優れたポリシロキサン系ポジ型感放射線性組成物、その組成物から形成された層間絶縁膜、並びにその層間絶縁膜の形成方法を提供することである。
上記課題を解決するためになされた発明は、
[A]シロキサンポリマー、
[B]下記式(1)又は(3)で示されるシラン化合物、並びに
[C]キノンジアジド化合物
を含有するポジ型感放射線性組成物である。
Figure 2011002517
Figure 2011002517
Figure 2011002517
(式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に炭素数が1〜4のアルキル基であり、Rは炭素数1〜6のアルキレン基、フェニレン基又は式(2)で示される基であり、式(2)中、aは1〜4の整数である。式(3)中、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素数が1〜4のアルキル基であり、bは1〜6の整数である。)
当該ポジ型感放射線性組成物は、ポジ型の感放射線特性を有し、上記[A]及び[C]成分に加えて、特定の構造を有するシラン化合物の[B]成分を含んでいることによって、耐熱性、透明性、耐溶剤性及び低誘電性という一般的な要求特性をバランス良く満たす液晶表示素子用層間絶縁膜、並びに高い電圧保持率を有する液晶セルを形成することが可能であり、また、優れた放射線感度、保存安定性と共に、現像後の加熱工程における高い耐メルトフロー性を有する。
当該ポジ型感放射線性組成物の[A]シロキサンポリマーは、下記式(4)で示される加水分解性シラン化合物の加水分解縮合物であることが好ましい。
Figure 2011002517
(式(4)中、Rは炭素数が1〜20の非加水分解性の有機基であり、Rは炭素数が1〜4のアルキル基であり、qは0〜3の整数である。)
当該ポジ型感放射線性組成物において、上記[B]成分と共に、[A]シロキサンポリマーとして上記式(4)で示される加水分解性シラン化合物の加水分解縮合物を用いることによって、放射線感度及び現像後の加熱工程における耐メルトフロー性をさらに高めることができる。
当該ポジ型感放射線性組成物は、[D]感熱性酸発生剤又は感熱性塩基発生剤をさらに含むことが好ましい。このような感熱性の酸又は塩基発生剤を用いることによって、ポジ型感放射線性組成物の現像後の加熱工程における[A]成分及び[B]成分の縮合反応をより促進し、同工程における耐メルトフロー性をさらに改善することが可能となる。
当該ポジ型感放射線性組成物は、[E]脱水剤をさらに含有することが好ましい。このように、脱水剤をさらに含有することによって、当該ポジ型感放射線性組成物の保存安定性をより高めることが可能となる。
また、本発明の液晶表示素子用層間絶縁膜の形成方法は、
(1)当該ポジ型感放射線性組成物の塗膜を基板上に形成する工程、
(2)工程(1)で形成した塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程、
(3)工程(2)で放射線を照射された塗膜を現像する工程、及び
(4)工程(3)で現像された塗膜を加熱する工程
を含んでいる。
当該方法においては、優れた放射線感度を有する上記ポジ型感放射線性組成物を用い、感放射線性を利用した露光・現像・加熱によってパターンを形成することによって、容易に微細かつ精巧なパターンを有する液晶表示素子用層間絶縁膜を形成することができる。また、こうして形成された層間絶縁膜は、一般的な要求特性、すなわち、耐熱性、透明性、耐溶剤性及び低誘電性の全てがバランス良く優れていると共に、電圧保持率が高い液晶セルを形成可能である。
以上説明したように、本発明のポジ型感放射線性組成物は、上記[A]、[B]及び[C]成分を含んでいることによって、耐熱性、透明性、耐溶剤性及び低誘電性という一般的な要求特性をバランス良く満たす液晶表示素子用層間絶縁膜、並びに高い電圧保持率を有する液晶セルを形成することができる。また、当該ポジ型感放射線性組成物は、放射線感度及び保存安定性が優れていると同時に、現像後の加熱工程におけるメルトフローに対する十分な耐性を有する。
本発明のポジ型感放射線性組成物は、[A]シロキサンポリマー、[B]上記式(1)又は(3)で示されるシラン化合物、[C]キノンジアジド化合物、及びその他の任意成分([D]感熱性酸発生剤又は感熱性塩基発生剤等)を含有する。
[A]成分:シロキサンポリマー
[A]成分のシロキサンポリマーは、シロキサン結合を有する化合物のポリマーである限りは特に限定されるものではない。この[A]成分は、後述する[B]成分のシラン化合物と共に縮合し、硬化物を形成する。任意成分である後述の[D]感熱性酸発生剤又は感熱性塩基発生剤をポジ型感放射線性組成物に加えた場合、熱をかけることによって酸性活性物質又は塩基性活性物質が発生し、これが触媒となって[A]及び[B]成分の縮合がさらに促進される。
[A]成分のシロキサンポリマーとしては、下記式(4)で示される加水分解性シラン化合物の加水分解縮合物であることが好ましい。
Figure 2011002517
(式(4)中、Rは炭素数が1〜20の非加水分解性の有機基であり、Rは炭素数が1〜4のアルキル基であり、qは0〜3の整数である。)
本願における加水分解性シラン化合物の「加水分解性の基」とは、通常、無触媒、過剰の水の共存下、室温(約25℃)〜約100℃の温度範囲内で加熱することにより、加水分解してシラノール基を生成することができる基、又は、シロキサン縮合物を形成することができる基を指す。それに対して、「非加水分解性の基」とは、そのような加水分解条件下で、加水分解又は縮合を起こさず、安定に存在する基を指す。
上記式(4)で示される加水分解性シラン化合物の加水分解反応においては、一部の加水分解性基が未加水分解の状態で残っていてもよい。また、ここで言う「加水分解性シラン化合物の加水分解縮合物」は、加水分解されたシラン化合物の一部のシラノール基同士が反応・縮合した加水分解縮合物を意味する。
上記Rで表される炭素数が1〜20である非加水分解性の有機基としては、炭素数1〜12の無置換、もしくはビニル基、(メタ)アクリロイル基又はエポキシ基で1個以上置換されたアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基等が挙げられる。これらは、直鎖状、分岐状、又は環状であってよく、同一分子内に複数のRが存在するときはこれらの組み合わせであってもよい。また、Rは、ヘテロ原子を有する構造単位を含んでいてもよい。そのような構造単位としては、例えばエーテル、エステル、スルフィド等が挙げられる。
上記Rで表される炭素数が1〜4のアルキル基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピル基、i−プロピル基、ブチル基等が挙げられる。これらのRの中でも、加水分解の容易性の観点から、メトキシ基及びエトキシ基が好ましい。また、添え字qは0〜3の整数であるが、より好ましくは0〜2の整数であり、特に好ましくは0又は1であり、最も好ましくは1である。qが0〜2の整数である場合には、加水分解・縮合反応の進行がより容易となり、その結果、[A]成分と[B]成分との硬化反応の速度がさらに大きくなり、ひいては当該組成物の現像後の加熱工程における耐メルトフロー性を向上させることができる。
上記式(4)で表される加水分解性シラン化合物は、4個の加水分解性基で置換されたシラン化合物、1個の非加水分解性基と3個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物、2個の非加水分解性基と2個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物、3個の非加水分解性基と1個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物、又はそれらの混合物を挙げることができる。
このような上記式(4)で表される加水分解性シラン化合物の具体例としては、
4個の加水分解性基で置換されたシラン化合物として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラベンジロキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン等;
1個の非加水分解性基と3個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物として、クロロトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−i−プロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−i−プロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−プロポキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等;
2個の非加水分解性基と2個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物として、ジクロロジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン等;
3個の非加水分解性基と1個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物として、トリクロロメトキシシラン、トリブチルメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリブチルエトキシシラン等をそれぞれ挙げることができる。
これらの上記式(4)で表される加水分解性シラン化合物のうち、4個の加水分解性基で置換されたシラン化合物、及び1個の非加水分解性基と3個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物が好ましく、1個の非加水分解性基と3個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物が特に好ましい。好ましい加水分解性シラン化合物の具体例としては、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−i−プロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランが挙げられる。このような加水分解性シラン化合物は、一種単独で使用しても、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記式(4)で表される加水分解性シラン化合物を加水分解・縮合させる条件は、上記式(4)で表される加水分解性シラン化合物の少なくとも一部を加水分解して、加水分解性基をシラノール基に変換し、縮合反応を起こさせるものである限り、特に限定されるものではないが、一例として以下のように実施することができる。
上記式(4)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解・縮合に用いられる水は、逆浸透膜処理、イオン交換処理、蒸留等の方法により精製された水を使用することが好ましい。このような精製水を用いることによって、副反応を抑制し、加水分解の反応性を向上させることができる。水の使用量は、上記式(4)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解性基(−OR)の合計量1モルに対して、好ましくは0.1〜3モル、より好ましくは0.3〜2モル、さらに好ましくは0.5〜1.5モルの量である。このような量の水を用いることによって、加水分解・縮合の反応速度を最適化することができる。
上記式(4)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解・縮合に使用することができる溶剤としては、特に限定されるものではないが、通常、後述するポジ型感放射線性組成物の調製に用いられる溶剤と同様のものを使用することができる。このような溶剤の好ましい例としては、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピオン酸エステル類が挙げられる。これらの溶剤の中でも、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート又は3−メトキシプロピオン酸メチルが、特に好ましい。
上記式(4)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解・縮合反応は、好ましくは酸触媒(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、蟻酸、シュウ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、リン酸、酸性イオン交換樹脂、各種ルイス酸)、塩基触媒(例えば、アンモニア、1級アミン類、2級アミン類、3級アミン類、ピリジンなどの含窒素化合物;塩基性イオン交換樹脂;水酸化ナトリウムなどの水酸化物;炭酸カリウムなどの炭酸塩;酢酸ナトリウムなどのカルボン酸塩;各種ルイス塩基)、又は、アルコキシド(例えば、ジルコニウムアルコキシド、チタニウムアルコキシド、アルミニウムアルコキシド)等の触媒の存在下で行われる。例えば、アルミニウムアルコキシドとしては、テトラ−i−プロポキシアルミニウムを用いることができる。触媒の使用量としては、加水分解・縮合反応の促進の観点から、加水分解性シラン化合物のモノマー1モルに対して、好ましくは0.2モル以下であり、より好ましくは0.00001〜0.1モルである。
上記式(4)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解・縮合における反応温度及び反応時間は、適宜に設定される。例えば、下記の条件が採用できる。反応温度は、好ましくは40〜200℃、より好ましくは50〜150℃である。反応時間は、好ましくは30分〜24時間、より好ましくは1〜12時間である。このような反応温度及び反応時間とすることによって、加水分解・縮合反応を最も効率的に行うことができる。この加水分解・縮合においては、反応系内に加水分解性シラン化合物、水及び触媒を一度に添加して反応を一段階で行ってもよく、あるいは、加水分解性シラン化合物、水及び触媒を、数回に分けて反応系内に添加することによって、加水分解及び縮合反応を多段階で行ってもよい。なお、加水分解・縮合反応の後には、脱水剤を加え、次いでエバポレーションにかけることによって、水及び生成したアルコールを反応系から除去することができる。この段階で用いられる脱水剤は、一般的に、過剰の水を吸着又は包接して脱水能が完全に消費されるか、またはエバポレーションにより除去されるため、ポジ型感放射線性組成物に添加される後述の[E]成分の脱水剤の範疇には入らないものとする。
上記式(4)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解縮合物の分子量は、移動相にテトラヒドロフランを使用したGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用い、ポリスチレン換算の数平均分子量として測定することができる。そして、加水分解縮合物の数平均分子量は、通常500〜10000の範囲内の値とするのが好ましく、1000〜5000の範囲内の値とするのがさらに好ましい。加水分解縮合物の数平均分子量の値を500以上とすることによって、ポジ型感放射線性組成物の塗膜の成膜性を改善することができる。一方、加水分解縮合物の数平均分子量の値を10000以下とすることによって、ポジ型感放射線性組成物の感放射線性の低下を防止することができる。
[B]成分:シラン化合物
[B]成分は、下記式(1)又は(3)で示されるシラン化合物である。この[B]成分は、上述の[A]成分のシロキサンポリマー(好ましくは上記式(4)で表される加水分解性シラン化合物及び/又はその加水分解縮合物)と共に縮合し、硬化物を形成する。
Figure 2011002517
(式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に炭素数が1〜4のアルキル基であり、Rは炭素数1〜6のアルキレン基、フェニレン基又は式(2)で示される基である。)
Figure 2011002517
(式(2)中、aは1〜4の整数である。)
Figure 2011002517
(式(3)中、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素数が1〜4のアルキル基であり、bは1〜6の整数である。)
式(1)のR及びRの好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。これらのアルキル基の中でも、メチル基、エチル基がより好ましい。式(1)のRの好ましい具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、フェニレン基が挙げられる。これらの基の中でも、メチレン基、エチレン基、フェニレン基がより好ましい。また、Rが式(2)で示される基である場合、式(2)中のaとしては1又は2が好ましい。[B]成分として、このような好ましい構造の式(1)のシラン化合物を用いることによって、[A]成分との反応性が向上する。
式(3)のR、R及びRの好ましい具体例としては、[A]成分との反応性の観点から、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。これらのアルキル基の中でも、メチル基がより好ましい。また、式(3)中のbは、[A]成分との反応性や相溶性の観点から、1〜3の整数であることが好ましい。
当該ポジ型感放射線性組成物において、[B]成分は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。式(1)及び(3)のシラン化合物のうち、式(3)で示されるイソシアヌル環を有するシラン化合物がより好ましい。このように一分子中に3個のトリアルコキシシリル基が結合したイソシアヌル環を有するシラン化合物を用いることによって、高い放射線感度を示すポジ型感放射線性組成物が得られると共に、その組成物から形成される層間絶縁膜の架橋度を向上させることができる。さらに、このようなイソシアヌル環含有シラン化合物を含むポジ型感放射線性組成物は、現像後の加熱工程におけるメルトフローに対する高い耐性を示す。
式(1)及び(3)で示されるシラン化合物の具体例としては、ビストリエトキシシリルエタン、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス−1,2−(トリメトキシシリル)エタン、ビス−1,2−(トリエトキシシリル)エタン、ビス−1,6−(トリメトキシシリル)ヘキサン、ビス−1,6−(トリエトキシシリル)ヘキサン、ビス−1,4−(トリメトキシシリル)ベンゼン、ビス−1,4−(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリメトキシシリルメチル)ベンゼン、1,4−ビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリルメチル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリルエチル)ベンゼン、トリス−(3−トリメトキシシリルメチル)イソシアヌレート、トリス−(3−トリエトキシシリルメチル)イソシアヌレート、トリス−(3−トリメトキシシリルエチル)イソシアヌレート、トリス−(3−トリエトキシシリルエチル)イソシアヌレート、トリス−(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、トリス−(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。これらのうち、放射線感度、及び現像後の加熱工程における耐メルトフロー性向上の観点から、1,4−ビス(トリメトキシシリルメチル)ベンゼン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、トリス−(3−トリメトキシシリルエチル)イソシアヌレート、トリス−(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、トリス−(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレートが特に好ましい。
当該ポジ型感放射線性組成物中の[B]成分の使用量は、[A]成分100質量部に対して、好ましくは5質量部〜70質量部、さらに好ましくは10質量部〜50質量部である。[B]成分の使用量を5質量部〜70質量部とすることによって、放射線感度、及び現像後の加熱工程における耐メルトフロー性がバランス良く優れたポジ型感放射線性組成物を得ることができる。
[C]成分:キノンジアジド化合物
[C]成分は、放射線の照射によってカルボン酸を発生するキノンジアジド化合物である。このようなキノンジアジド化合物を含有するポジ型感放射線性組成物は、放射照射工程における露光部分が現像工程で除去されるポジ型の感放射線特性を有する。[C]成分のキノンジアジド化合物として、好ましくは、フェノール性水酸基を有する化合物及びナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドをエステル化反応させることによって得られる化合物を用いることができる。フェノール性水酸基を有する化合物の例としては、フェノール性水酸基のオルト位及びパラ位が、それぞれ独立して水素もしくは下記式(5)で表される置換基のいずれかである化合物が挙げられる。
Figure 2011002517
(式中、R、R10及びR11は、各々独立して炭素数1〜10のアルキル基、カルボキシル基、フェニル基、置換フェニル基のいずれかを表す。また、R、R及びRによって環が形成されていてもよい。)
上記式(5)で表される置換基において、R、R10、R11が、炭素数1〜10のアルキル基である場合、当該アルキル基は、置換されていても、置換されていなくてもよい。このようなアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、トリフルオロメチル基、2−カルボキシエチル基が挙げられる。また、置換フェニル基の置換基としては、水酸基が挙げられる。また、R、R10及びR11によって形成される環状基の例としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、アダマンタン環、フルオレン環が挙げられる。
フェノール性水酸基を有する化合物の例としては、下記式(6)及び(7)で表される化合物群が挙げられる。
Figure 2011002517
Figure 2011002517
フェノール性水酸基を有する化合物の他の例としては、4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、1,1,1−トリ(p−ヒドロキシフェニル)エタン等を挙げることができる。
ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとしては、4−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドあるいは5−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドを用いることができる。4−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドから得られたエステル化合物(キノンジアジド化合物)は、i線(波長365nm)領域に吸収を持つため、i線露光に適している。また、5−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドから得られたエステル化合物(キノンジアジド化合物)は、広範囲の波長領域に吸収が存在するため、広範囲の波長での露光に適している。露光する波長によって4−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドから得られたエステル化合物、あるいは5−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドから得られたエステル化合物を選択することが好ましい。特に好ましいキノンジアジド化合物の例としては、4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール(1.0モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(3.0モル)との縮合物、1,1,1−トリ(p−ヒドロキシフェニル)エタン(1.0モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(3.0モル)との縮合物を挙げることができる。
ナフトキノンジアジド化合物の分子量は、好ましくは300〜1500、さらに好ましくは350〜1200とすることができる。ナフトキノンジアジド化合物の分子量を300以上とすることにより、形成される層間絶縁膜の透明性を高く維持することができる。一方、ナフトキノンジアジド化合物の分子量を1500以下とすることによって、ポジ型感放射線性組成物のパターン形成能の低下を抑制することができる。
これらの[C]成分は、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。ポジ型感放射線性組成物における[C]成分の使用量は、[A]成分100質量部に対して、好ましくは5〜100質量部であり、より好ましくは10〜50質量部である。[C]成分の使用量を5〜100質量部とすることによって、現像液となるアルカリ水溶液に対する放射線の照射部分と未照射部分との溶解度の差が大きく、パターニング性能が良好となり、また得られる層間絶縁膜の耐溶剤性も良好となる。
[D]成分:感熱性酸発生剤又は感熱性塩基発生剤
[D]成分の感熱性酸発生剤又は感熱性塩基発生剤は、熱をかけることによって、[A]成分のシロキサンポリマー(好ましくは上記式(4)で表される加水分解性シラン化合物及び/又はその加水分解縮合物)と、[B]成分のシラン化合物とを縮合・硬化反応させる際の触媒として作用する酸性活性物質又は塩基性活性物質を放出することができる化合物と定義される。このような[D]成分の化合物を用いることによって、ポジ型感放射線性組成物の耐メルトフロー性を高め、得られる層間絶縁膜の耐熱性を向上させることができる。なお、[D]成分の感熱性酸発生剤又は感熱性塩基発生剤としては、ポジ型感放射線性組成物の塗膜形成工程における比較的低温(例えば70〜120℃)のプレベーク時には酸性活性物質又は塩基性活性物質を放出せず、現像後の加熱工程における比較的高温(例えば120〜250℃)のポストベーク時に酸性活性物質又は塩基性活性物質を放出する性質を有するものが好ましい。
[D]成分の感熱性酸発生剤としては、ジフェニルヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩、及び、スルホニウム塩、ベンゾチアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩などのオニウム塩が挙げられる。
ジフェニルヨードニウム塩の例としては、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、ジフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホナート、ジフェニルヨードニウムブチルトリス(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロアセテート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム−p−トルエンスルホナート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムカンファースルホン酸等が挙げられる。
トリフェニルスルホニウム塩の例としては、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホン酸、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、トリフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホナート、トリフェニルスルホニウムブチルトリス(2、6−ジフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
スルホニウム塩の例としては、アルキルスルホニウム塩、ベンジルスルホニウム塩、ジベンジルスルホニウム塩、置換ベンジルスルホニウム塩などを挙げることができる。
これらのスルホニウム塩としては、
アルキルスルホニウム塩として、例えば4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ジメチル−4−(ベンジルオキシカルボニルオキシ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル−4−(ベンゾイルオキシ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジメチル−4−(ベンゾイルオキシ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ジメチル−3−クロロ−4−アセトキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートなど;
ベンジルスルホニウム塩として、例えばベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−4−メトキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−2−メチル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−3−クロロ−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェートなど;
ジベンジルスルホニウム塩として、例えばジベンジル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジベンジル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−アセトキシフェニルジベンジルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジベンジル−4−メトキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジベンジル−3−クロロ−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ジベンジル−3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−4−メトキシベンジル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェートなど;
置換ベンジルスルホニウム塩として、例えば、p−クロロベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、p−ニトロベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、p−クロロベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、p−ニトロベンジル−3−メチル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、3,5−ジクロロベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、o−クロロベンジル−3−クロロ−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートなどをそれぞれ挙げることができる。
ベンゾチアゾニウム塩の例としては、3−ベンジルベンゾチアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、3−ベンジルベンゾチアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、3−ベンジルベンゾチアゾニウムテトラフルオロボレート、3−(p−メトキシベンジル)ベンゾチアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、3−ベンジル−2−メチルチオベンゾチアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、3−ベンジル−5−クロロベンゾチアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。
テトラヒドロチオフェニウム塩の例としては、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム−1,1,2,2−テトラフルオロ−2−(ノルボルナン−2−イル)エタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム−2−(5−t−ブトキシカルボニルオキシビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム−2−(6−t−ブトキシカルボニルオキシビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(4,7−ジブトキシ−1−ナフタレニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホナート等が挙げられる。
これらの感熱性酸発生剤の中でも、ポジ型感放射線性組成物の耐メルトフロー性及び得られる層間絶縁膜の耐熱性の向上の観点から、トリフェニルスルホニウム塩、スルホニウム塩、ベンゾチアゾニウム塩、及び、テトラヒドロチオフェニウム塩が好ましく用いられる。この中でも特に、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホン酸、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジベンジル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、3−ベンジルベンゾチアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、1−(4,7−ジブトキシ−1−ナフタレニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホナートが好ましく用いられる。
[D]成分の感熱性塩基発生剤の例としては、2−ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、[〔(2,6−ジニトロベンジル)オキシ〕カルボニル]シクロヘキシルアミン、N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジン、ビス[〔(2−ニトロベンジル)オキシ〕カルボニル]ヘキサン−1,6−ジアミン、トリフェニルメタノール、O−カルバモイルヒドロキシアミド、O−カルバモイルオキシム、4−(メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、ヘキサアンミンコバルト(III)トリス(トリフェニルメチルボレート)等が挙げられる。これらの[D]成分の感熱性塩基発生剤の中でも、ポジ型感放射線性組成物の耐メルトフロー性及び得られる層間絶縁膜の耐熱性の向上の観点から、2−ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート及びO−カルバモイルヒドロキシアミドが特に好ましい。
[D]成分の感熱性酸発生剤又は感熱性塩基発生剤は、酸あるいは塩基のいずれかが使用され、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。[D]成分を使用する場合の量は、[A]成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部〜20質量部、更に好ましくは1質量部〜10質量部である。[D]成分の使用量を0.1質量部〜20質量部とすることによって、耐メルトフロー性、及び形成される層間絶縁膜の耐熱性がバランス良く優れたポジ型感放射線性組成物を得ることができ、また、塗膜の形成工程において析出物の発生を防止し、塗膜形成を容易にすることが可能となる。
その他の任意成分
本発明のポジ型感放射線性組成物は、上記の[A]〜[C]成分及び[D]成分(任意成分)に加え、所期の効果を損なわない範囲で、必要に応じて[E]脱水剤、[F]界面活性剤等の他の任意成分を含有することができる。
[E]成分の脱水剤は、水を化学反応により水以外の物質に変換することができるか、又は水を物理吸着もしくは包接によりトラップすることができる物質として定義される。当該ポジ型感放射線性組成物に、任意に[E]脱水剤を含有させることにより、環境から浸入する水分、又はポジ型感放射線性組成物の現像後の加熱工程における[A]及び[B]成分の縮合の結果発生する水分を低減することができる。従って、[E]脱水剤を用いることによって、組成物中の水分を低減することが可能であり、その結果、組成物の保存安定性を向上させることができる。さらに、[A]及び[B]成分の縮合の反応性を高め、ポジ型感放射線性組成物の耐メルトフロー性を向上させることができると考えられる。このような[E]脱水剤としては、カルボン酸エステル、アセタール類(ケタール類を含む)、及びカルボン酸無水物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物が好ましく使用できる。
カルボン酸エステルの好ましい例としては、オルトカルボン酸エステル、カルボン酸シリルエステル等が好ましい。オルトカルボン酸エステルの具体例としては、オルト蟻酸メチル、オルト蟻酸エチル、オルト蟻酸プロピル、オルト蟻酸ブチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル、オルト酢酸プロピル、オルト酢酸ブチル、オルトプロピオン酸メチル、オルトプロピオン酸エチル等が挙げられる。また、これらのオルトカルボン酸エステルのうち、オルト蟻酸メチル等のオルト蟻酸エステルが特に好ましい。カルボン酸シリルエステルの具体例としては、酢酸トリメチルシリル、酢酸トリブチルシリル、蟻酸トリメチルシリル、シュウ酸トリメチルシリル等が挙げられる。
アセタール類の好ましい例としては、ケトン類とアルコールとの反応物、ケトン類とジアルコールとの反応物、ケテンシリルアセタール類を挙げることができる。ケトン類とアルコールとの反応物の具体例としては、ジメチルアセタール、ジエチルアセタール、ジプロピルアセタール等を挙げることができる。
カルボン酸無水物の好ましい例としては、無水蟻酸、無水酢酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水安息香酸、酢酸安息香酸無水物等が挙げられる。これらのカルボン酸無水物の中でも、脱水効果の点で、無水酢酸及び無水コハク酸が好ましい。
[E]脱水剤を使用する場合の量は、[A]成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜50質量部であり、さらに好ましくは0.5〜30質量部であり、特に好ましくは1〜10質量部である。[E]脱水剤の使用量を0.1〜50質量部とすることによって、ポジ型感放射線性組成物の保存安定性を最適化することができる。
[F]成分の界面活性剤は、ポジ型感放射線性組成物の塗布性の改善、塗布ムラの低減、放射線照射部の現像性を改良するために添加することができる。好ましい界面活性剤の例としては、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアリールエーテル類;ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジアルキルエステル類;(メタ)アクリル酸系共重合体類などが挙げられる。(メタ)アクリル酸系共重合体類の例としては、市販されている商品名で、ポリフローNo.57、同No.95(共栄社化学(株)製)等を挙げることができる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば1,1,2,2−テトラフルオロオクチル(1,1,2,2−テトラフルオロプロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフルオロオクチルヘキシルエーテル、オクタエチレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフルオロブチル)エーテル、ヘキサエチレングリコール(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロペンチル)エーテル、オクタプロピレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフルオロブチル)エーテル、ヘキサプロピレングリコールジ(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロペンチル)エーテル等のフルオロエーテル類;パーフルオロドデシルスルホン酸ナトリウム;1,1,2,2,8,8,9,9,10,10−デカフルオロドデカン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロデカン等のフルオロアルカン類;フルオロアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム類;フルオロアルキルオキシエチレンエーテル類;フルオロアルキルアンモニウムヨージド類;フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル類;パーフルオロアルキルポリオキシエタノール類;パーフルオロアルキルアルコキシレート類;フッ素系アルキルエステル類等を挙げることができる。
これらのフッ素系界面活性剤の市販品としては、エフトップEF301、303、352(新秋田化成(株)製)、メガファックF171、172、173(大日本インキ(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC−101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)、FTX−218((株)ネオス製)等を挙げることができる。
シリコーン系界面活性剤の例としては、市販されている商品名で、SH200−100cs、SH28PA、SH30PA、ST89PA、SH190(東レダウコーニングシリコーン(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
[F]界面活性剤を使用する場合の量は、[A]成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.05〜5質量部である。[F]界面活性剤の使用量を0.01〜10質量部とすることによって、ポジ型感放射線性組成物の塗布性を最適化することができる。
ポジ型感放射線性組成物
本発明のポジ型感放射線性組成物は、上記の[A]成分のシロキサンポリマー、[B]成分のシラン化合物、及び[C]成分のキノンジアジド化合物、並びに任意成分([D]成分の感熱性酸発生剤又は感熱性塩基発生剤等)を混合することによって調製される。通常、ポジ型感放射線性組成物は、好ましくは適当な溶剤に溶解又は分散させた状態に調製され、使用される。例えば溶剤中で、[A]、[B]及び[C]成分、並びに任意成分を所定の割合で混合することにより、溶液又は分散液状態のポジ型感放射線性組成物を調製することができる。
当該ポジ型感放射線性組成物の調製に用いることができる溶剤としては、各成分を均一に溶解又は分散し、各成分と反応しないものが好適に用いられる。このような溶剤としては、例えばエーテル類、ジエチレングリコールアルキルエーテル類、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルプロピオネート類、芳香族炭化水素類、ケトン類、エステル類等を挙げることができる。
これらの溶剤としては、
エーテル類として、例えばテトラヒドロフラン等;
ジエチレングリコールアルキルエーテル類として、例えばジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等;
エチレングリコールアルキルエーテルアセテート類として、例えばメチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等;
プロピレングリコールモノアルキルエーテル類として、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等;
プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類として、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等;
プロピレングリコールモノアルキルエーテルプロピオネート類として、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノブチルエーテルプロピオネート等;
芳香族炭化水素類として、例えばトルエン、キシレン等;
ケトン類として、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等;
エステル類として、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸メチル、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、3−ヒドロキシプロピオン酸メチル、3−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−ヒドロキシプロピオン酸プロチル、3−ヒドロキシプロピオン酸ブチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸プロピル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸プロピル、エトキシ酢酸ブチル、プロポキシ酢酸メチル、プロポキシ酢酸エチル、プロポキシ酢酸プロピル、プロポキシ酢酸ブチル、ブトキシ酢酸メチル、ブトキシ酢酸エチル、ブトキシ酢酸プロピル、ブトキシ酢酸ブチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸ブチル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル等をそれぞれ挙げることができる。
これらの溶剤の中でも、溶解性あるいは分散性が優れていること、各成分と非反応性であること、及び塗膜形成の容易性の観点から、ジエチレングリコールアルキルエーテル類、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ケトン類及びエステル類が好ましく、特に、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、酢酸プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチルが好ましい。これらの溶剤は、単独で又は混合して用いることができる。
上記した溶剤に加え、さらに必要に応じて、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート等の高沸点溶剤を併用することもできる。
ポジ型感放射線性組成物を溶液又は分散液状態として調製する場合、液中に占める溶剤以外の成分(すなわち[A]、[B]及び[C]成分並びにその他の任意成分の合計量)の割合は、使用目的や所望の膜厚等に応じて任意に設定することができるが、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜40質量%、さらに好ましくは15〜35質量%である。
層間絶縁膜の形成
次に、上記のポジ型感放射線性組成物を用いて、基板上に層間絶縁膜の硬化膜を形成する方法について説明する。当該方法は、以下の工程を以下の記載順で含む。
(1)本発明のポジ型感放射線性組成物の塗膜を基板上に形成する工程、
(2)工程(1)で形成した塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程、
(3)工程(2)で放射線を照射された塗膜を現像する工程、及び
(4)工程(3)で現像された塗膜を加熱する工程。
(1)ポジ型感放射線性組成物の塗膜を基板上に形成する工程
上記(1)の工程において、基板上に本発明のポジ型感放射線性組成物の溶液又は分散液を塗布した後、好ましくは塗布面を加熱(プレベーク)することにより溶剤を除去して、塗膜を形成する。使用できる基板の例としては、ガラス、石英、シリコン、樹脂などを挙げることができる。樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド、環状オレフィンの開環重合体及びその水素添加物などを挙げることができる。
組成物溶液又は分散液の塗布方法としては、特に限定されず、例えばスプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法などの適宜の方法を採用することができる。これらの塗布方法の中でも、特にスピンコート法又はスリットダイ塗布法が好ましい。プレベークの条件は、各成分の種類、配合割合などによっても異なるが、好ましくは70〜120℃で1〜10分間程度とすることができる。
(2)塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程
上記(2)の工程では、形成された塗膜の少なくとも一部に露光する。この場合、塗膜の一部に露光する際には、通常所定のパターンを有するフォトマスクを介して露光する。露光に使用される放射線としては、例えば可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を使用できる。これらの放射線の中でも、波長が190〜450nmの範囲にある放射線が好ましく、特に365nmの紫外線を含む放射線が好ましい。
当該工程における露光量は、放射線の波長365nmにおける強度を、照度計(OAI model356、OAI Optical Associates Inc.製)により測定した値として、好ましくは100〜10,000J/m、より好ましくは500〜6,000J/mである。
(3)現像工程
上記(3)の工程では、露光後の塗膜を現像することにより、不要な部分(放射線の照射部分)を除去して、所定のパターンを形成する。現像工程に使用される現像液としては、アルカリ(塩基性化合物)の水溶液が好ましい。アルカリの例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア等の無機アルカリ;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩等を挙げることができる。
また、このようなアルカリ水溶液には、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。現像方法としては、例えば液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法、シャワー法等の適宜の方法を利用することができる。現像時間は、ポジ型感放射線性組成物の組成によって異なるが、好ましくは10〜180秒間程度である。このような現像処理に続いて、例えば流水洗浄を30〜90秒間行った後、例えば圧縮空気や圧縮窒素で風乾させることによって、所望のパターンを形成することができる。
(4)加熱工程
上記(4)の工程では、ホットプレート、オーブン等の加熱装置を用い、パターニングされた薄膜を比較的高温で加熱することによって、上記[A]及び[B]成分の縮合反応を促進し、確実に硬化物を得ることができる。特に、[D]成分の感熱性酸発生剤又は感熱性塩基発生剤を用いる場合には、加熱工程において酸性活性物質又は塩基性活性物質が発生し、これが触媒となって[A]及び[B]成分の縮合反応がさらに促進される。当該工程における加熱温度は、例えば120〜250℃である。加熱時間は、加熱機器の種類により異なるが、例えば、ホットプレート上で加熱工程を行う場合には5〜30分間、オーブン中で加熱工程を行う場合には30〜90分間とすることができる。2回以上の加熱工程を行うステップベーク法等を用いることもできる。このようにして、目的とする層間絶縁膜に対応するパターン状薄膜を基板の表面上に形成することができる。
層間絶縁膜
このように形成された層間絶縁膜の膜厚は、好ましくは0.1〜8μm、より好ましくは0.1〜6μm、さらに好ましくは0.1〜4μmである。
本発明のポジ型感放射線性組成物から形成された層間絶縁膜は、下記の実施例からも明らかにされるように、耐熱性、透明性、耐溶剤性及び低誘電性という一般的な要求特性をバランス良く満たすと共に、電圧保持率が高い液晶パネルを形成することができる。そのため、当該層間絶縁膜は、液晶表示素子用として好適に用いられる。
以下に合成例、実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の各合成例から得られた加水分解性シラン化合物の加水分解縮合物の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、下記の仕様によるゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。
装置:GPC−101(昭和電工(株)製)
カラム:GPC−KF−801、GPC−KF−802、GPC−KF−803及びGPC−KF−804(昭和電工(株)製)を結合したもの
移動相:テトラヒドロフラン
[A]成分の加水分解性シラン化合物の加水分解縮合物の合成例
[合成例1]
撹拌機付の容器内に、プロピレングリコールモノメチルエーテル25質量部を仕込み、続いて、メチルトリメトキシシラン30質量部、フェニルトリメトキシシラン23質量部、及びテトラ−i−プロポキシアルミニウム0.1質量部を仕込み、溶液温度が60℃になるまで加熱した。溶液温度が60℃に到達後、イオン交換水18質量部を仕込み、75℃になるまで加熱し、3時間保持した。次いで脱水剤としてオルト蟻酸メチル28質量部を加え、1時間攪拌した。さらに溶液温度を40℃にし、温度を保ちながらエバポレーションすることで、イオン交換水及び加水分解縮合で発生したメタノールを除去した。以上により、加水分解縮合物(A−1)を得た。加水分解縮合物(A−1)の固形分濃度は40.5質量%であり、得られた加水分解縮合物の数平均分子量(Mn)は1,500であり、分子量分布(Mw/Mn)は2であった。
[合成例2]
撹拌機付の容器内に、プロピレングリコールモノメチルエーテル25質量部を仕込み、続いて、メチルトリメトキシシラン18質量部、テトラエトキシシラン15質量部、フェニルトリメトキシシラン20質量部、及びシュウ酸0.5質量部を仕込み、合成例1と同様の方法により、加水分解縮合物(A−2)を得た。加水分解縮合物(A−2)の固形分濃度は40.8質量%であり、得られた加水分解縮合物の数平均分子量(Mn)は1,200であり、分子量分布(Mw/Mn)は2であった。
[合成例3]
撹拌機付の容器内に、プロピレングリコールモノメチルエーテル25質量部を仕込み、続いて、メチルトリメトキシシラン22質量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン12質量部、フェニルトリメトキシシラン20質量部、及びテトラ−i−プロポキシアルミニウム0.1質量部を仕込み、合成例1と同様の方法により、加水分解縮合物(A−3)を得た。加水分解縮合物(A−3)の固形分濃度は39.8質量%であり、得られた加水分解縮合物の数平均分子量(Mn)は1,600であり、分子量分布(Mw/Mn)は2であった。
[合成例4]
撹拌機付の容器内に、プロピレングリコールモノメチルエーテル25質量部を仕込み、続いて、メチルトリメトキシシラン22質量部、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン12質量部、フェニルトリメトキシシラン20質量部、及びシュウ酸0.5質量部を仕込み、合成例1と同様の方法により、加水分解縮合物(A−4)を得た。加水分解縮合物(A−4)の固形分濃度は39.8質量%であり、得られた加水分解縮合物の数平均分子量(Mn)は1,200であり、分子量分布(Mw/Mn)は2であった。
[合成例5]
撹拌機付の容器内に、プロピレングリコールモノメチルエーテル25質量部を仕込み、続いて、メチルトリメトキシシラン17質量部、テトラエトキシシラン15質量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン12質量部、フェニルトリメトキシシラン15質量部、及びテトラ−i−プロポキシアルミニウム0.1質量部を仕込み、合成例1と同様の方法により、加水分解縮合物(A−5)を得た。加水分解縮合物(A−5)の固形分濃度は40.8質量%であり、得られた加水分解縮合物の数平均分子量(Mn)は1,600であり、分子量分布(Mw/Mn)は2であった。
[合成例6]
撹拌機付の容器内に、プロピレングリコールモノメチルエーテル25質量部を仕込み、続いて、メチルトリメトキシシラン17質量部、テトラエトキシシラン15質量部、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン12質量部、フェニルトリメトキシシラン15質量部、及びシュウ酸0.5質量部を仕込み、合成例1と同様の方法により、加水分解縮合物(A−6)を得た。加水分解縮合物(A−6)の固形分濃度は40.8質量%であり、得られた加水分解縮合物の数平均分子量(Mn)は1,600であり、分子量分布(Mw/Mn)は2であった。
ポジ型感放射線性組成物の調製
[実施例1]
合成例1で得られた加水分解縮合物(A−1)を含む溶液(加水分解縮合物(A−1)100質量部(固形分)に相当する量)に、[B]成分として(B−3)トリス−(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート15質量部、[C]成分として(C−1)4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール(1.0モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(3.0モル)の縮合物10質量部、[E]成分としてオルト蟻酸メチル0.05質量部、[F]成分としてフッ素系界面活性剤((株)ネオス製の「FTX−218」)0.1質量部を加え、固形分濃度が25質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルを添加し、ポジ型感放射線性組成物を調製した。
[実施例2〜17及び比較例1〜7]
各成分の種類及び量を表1に記載の通りとした他は、実施例1と同様にしてポジ型感放射線性組成物を調製した。
物性評価
上記のように調製したポジ型感放射線性組成物を使用し、以下のように当該組成物、層間絶縁膜及び液晶セルとしての各種の特性を評価した。
〔ポジ型感放射線性組成物の放射線感度の評価〕
シリコン基板上に、実施例1〜3及び5〜17並びに比較例1〜7については、スピンナーを用いて各組成物を塗布した後、100℃にて2分間ホットプレート上でプレベークすることにより膜厚4.0μmの塗膜を形成した。実施例4については、スリットダイコーターを用いて組成物を塗布した後、室温で15秒かけて0.5Torrまで減圧し、溶媒を除去した後、100℃にて2分間ホットプレート上でプレベークすることにより膜厚4.0μmの塗膜を形成した。得られた塗膜に対し、キヤノン(株)製PLA−501F露光機(超高圧水銀ランプ)を用い、3.0μmのライン・アンド・スペース(10対1)のパターンを有するマスクを介して露光時間を変化させて露光を行った後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液にて25℃、80秒間、液盛り法で現像した。次いで、超純水で1分間流水洗浄を行い、乾燥させてシリコン基板上にパターンを形成した。このとき、スペース線幅(底部)が0.30μmとなるのに必要な最小露光量を測定した。この最小露光量を放射線感度として表1に示す。最小露光量が600(J/m)以下の時、感度は良好であると言える。
〔ポジ型感放射線性組成物の加熱工程におけるパターン形状の耐メルトフロー性評価〕
上記「放射線感度の評価」で形成したスペース線幅(底部)が0.30μmとなるパターンについて、現像後クリーンオーブン内にて220℃で1時間ポストベークを行った。さらに230℃で10分間加熱して、パターンをメルトフローさせ、SEM(走査型電子顕微鏡)によりパターン底部の寸法を測定した。この時、パターン底部の寸法が0.30μmを超え0.35μm未満であるとき、耐メルトフロー性が良好であるといえる。一方、パターン底部の寸法が0.35μm以上の場合、耐メルトフロー性は不良であるといえる。このパターン底部の寸法測定結果を、耐メルトフロー性の評価として表1に示す。
〔層間絶縁膜の耐溶剤性の評価〕
上記「放射線感度の評価」と同様に、シリコン基板上に塗膜を形成した。得られた塗膜に、それぞれキヤノン(株)製PLA−501F露光機(超高圧水銀ランプ)を用いて、積算照射量が3,000J/mとなるように露光を行った後、クリーンオーブン内にて220℃で1時間加熱することにより硬化膜を得た。得られた硬化膜の膜厚(T1)を測定した。そして、この硬化膜が形成されたシリコン基板を70℃に温度制御されたジメチルスルホキシド中に20分間浸漬した後、当該硬化膜の膜厚(t1)を測定し、浸漬による膜厚変化率{|t1−T1|/T1}×100〔%〕を算出した。この膜厚変化率の結果を、耐溶剤性の評価として表1に示す。この値が4%以下の時、耐溶剤性は良好であると言える。なお、耐溶剤性の評価においては、形成する膜のパターニングは不要のため、現像工程を省略し、塗膜形成工程、放射線照射工程及び加熱工程のみ行い評価に供した。
〔層間絶縁膜の耐熱性の評価〕
上記「耐溶剤性の評価」と同様にしてシリコン基板上に硬化膜を形成し、得られた硬化膜の膜厚(T2)を測定した。次いで、この硬化膜が形成されたシリコン基板を、クリーンオーブン内にて240℃で1時間追加ベークした後、当該硬化膜の膜厚(t2)を測定し、追加ベークによる膜厚変化率{|t2−T2|/T2}×100〔%〕を算出した。この膜厚変化率の結果を、耐熱性の評価として表1に示す。この値が3%未満の時、耐熱性は良好であると言える。
〔層間絶縁膜の光線透過率(透明性)の評価〕
上記「耐溶剤性の評価」において、シリコン基板の代わりにガラス基板「コーニング7059」(コーニング社製)を用いたこと以外は同様にして、ガラス基板上に硬化膜を形成した。この硬化膜が形成されたガラス基板の光線透過率を、分光光度計「150−20型ダブルビーム」((株)日立製作所製)を用いて400〜800nmの範囲の波長で測定した。そのときの最低光線透過率の値を表1に示す。最低光線透過率が95%以上の時、光線透過率は良好であると言える。
〔層間絶縁膜の比誘電率(低誘電性)の評価〕
研磨したSUS304製基板上に、実施例1〜3及び5〜17並びに比較例1〜7については、スピンナーを用いて各組成物を塗布した後、100℃にて2分間ホットプレート上でプレベークすることにより膜厚3.0μmの塗膜を形成した。実施例4については、スリットダイコーターを用いて組成物を塗布した後、室温で15秒かけて0.5Torrまで減圧し、溶媒を除去した後、100℃にて2分間ホットプレート上でプレベークすることにより膜厚3.0μmの塗膜を形成した。得られた塗膜に対し、キヤノン(株)製PLA−501F露光機(超高圧水銀ランプ)を用い、積算照射量が3,000J/mとなるように露光を行った後、クリーンオーブン内にて220℃で1時間加熱することにより、基板上に硬化膜を形成した。この硬化膜上に、蒸着法によりPt/Pd電極パターンを形成し、比誘電率測定用サンプルを作成した。得られたサンプルにつき、横河・ヒューレットパッカード(株)製HP16451B電極及びHP4284AプレシジョンLCRメーターを用い、CV法により周波数10kHzの周波数における比誘電率を測定した。結果を表1に示す。なお、比誘電率の評価においては、形成する膜のパターニングは不要のため、現像工程を省略し、塗膜形成工程、放射線照射工程及び加熱工程のみ行い評価に供した。
〔液晶セルの電圧保持率の評価〕
表面にナトリウムイオンの溶出を防止するSiO膜が形成され、さらにITO(インジウム−酸化錫合金)電極を所定形状に蒸着したソーダガラス基板上に、スピンナーを用いて表1に記載の各組成物を塗布し、100℃のホットプレート上で2分間プレベークを行って、膜厚2.0μmの塗膜を形成した。2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液にて、25℃、80秒間、ディップ法による現像を行った。次いで、高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介さずに、塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を3,000J/mの積算照射量で露光した。さらに220℃で1時間ポストベークを行い、硬化膜を形成した。次いで、この硬化膜を有する基板上に5.5μm径のビーズスペーサーを散布後、これと表面にITO電極を所定形状に蒸着しただけのソーダガラス基板とを対向させた状態で、液晶注入口を残して4辺を0.8mmのガラスビーズを混合したシール剤を用いて貼り合わせ、メルク社製の液晶MLC6608(商品名)を注入した後に液晶注入口を封止することにより、液晶セルを作製した。
この液晶セルを60℃の恒温層に入れて、東陽テクニカ製の液晶電圧保持率測定システムVHR−1A型(商品名)により、印加電圧を5.5Vの方形波とし、測定周波数を60Hzとして液晶セルの電圧保持率を測定した。結果を表1に示す。なお、ここで電圧保持率とは、下記式で求められる値である。液晶セルの電圧保持率の値が低いほど、液晶パネル形成時に「焼き付き」と呼ばれる不具合を起こす可能性が高くなる。一方、電圧保持率の値が高くなるほど、「焼き付き」発生の可能性が低くなり、液晶パネルの信頼性が高くなると言える。
電圧保持率(%)=(基準時から16.7ミリ秒後の液晶セル電位差)/(0ミリ秒〔基準時〕で印加した電圧)×100
〔ポジ型感放射線性組成物の保存安定性の評価〕
粘度計(東京計器(株)製の「ELD型粘度計」)を用い、25℃におけるポジ型感放射線性組成物の粘度を測定した。その後、この組成物を25℃にて静置しつつ、25℃における粘度を24時間毎に測定した。調製直後のポジ型感放射線性組成物の粘度を基準に5%増粘するのに要した日数を求め、この日数を保存安定性の評価として表1に示した。この日数が15日以上のとき、ポジ型感放射線性組成物の保存安定性は良好であると言える。
なお、表1において、[B]シラン化合物、[C]キノンジアジド化合物、[D]感熱性酸発生剤又は感熱性塩基発生剤、[E]脱水剤の略称は、それぞれ以下のものを表す。
B−1:1,4−ビス(トリメトキシシリルメチル)ベンゼン
B−2:ビス(トリエトキシシリル)エタン
B−3:トリス−(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート
C−1:4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール(1.0モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(3.0モル)との縮合物
C−2:1,1,1−トリ(p−ヒドロキシフェニル)エタン(1.0モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(3.0モル)との縮合物
D−1:トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート
D−2:2−ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート
D−3:ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート
E−1:オルト蟻酸メチル
F−1:フッ素系界面活性剤((株)ネオス製の「FTX−218」)
b−1:N,N,N,N−テトラ(メトキシメチル)グリコールウリル(三和ケミカル(株)製の「ニカラックMX−270」)
b−2:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
c−1:N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルジカルボキシルイミド(みどり化学(株)製の「NAI−105」)
Figure 2011002517
表1の結果から明らかなように、[A]、[B]及び[C]成分を含む実施例1〜17のポジ型感放射線性組成物は、[B]成分を含まない比較例1〜7のポジ型感放射線性組成物と比べて、現像後の加熱工程におけるメルトフローに対する耐性が格段に高く、放射線感度及び保存安定性がバランス良く優れていると共に、耐熱性、透明性、耐溶剤性及び低誘電性という一般的な要求特性の全てを満足する層間絶縁膜を形成可能であり、さらに高い電圧保持率を有する液晶セルが得られることが分かった。
本発明のポジ型感放射線性組成物は、上述のように、放射線感度及び保存安定性に加えて、加熱工程における耐メルトフロー性が優れており、かつ耐熱性、透明性等の一般的な要求特性を全て満足する層間絶縁膜を形成可能であり、また高い電圧保持率を有する液晶セルを得ることができる。従って、当該ポジ型感放射線性組成物は、液晶表示素子用の層間絶縁膜を形成するために好適に用いられる。

Claims (7)

  1. [A]シロキサンポリマー、
    [B]下記式(1)又は(3)で示されるシラン化合物、並びに
    [C]キノンジアジド化合物
    を含有するポジ型感放射線性組成物。
    Figure 2011002517
    Figure 2011002517
    Figure 2011002517
    (式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に炭素数が1〜4のアルキル基であり、Rは炭素数1〜6のアルキレン基、フェニレン基又は式(2)で示される基であり、式(2)中、aは1〜4の整数である。式(3)中、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素数が1〜4のアルキル基であり、bは1〜6の整数である。)
  2. [A]シロキサンポリマーが、下記式(4)で示される加水分解性シラン化合物の加水分解縮合物である請求項1に記載のポジ型感放射線性組成物。
    Figure 2011002517
    (式(4)中、Rは炭素数が1〜20の非加水分解性の有機基であり、Rは炭素数が1〜4のアルキル基であり、qは0〜3の整数である。)
  3. [D]感熱性酸発生剤又は感熱性塩基発生剤をさらに含む請求項1又は請求項2に記載のポジ型感放射線性組成物。
  4. [E]脱水剤をさらに含有する請求項1、請求項2又は請求項3に記載のポジ型感放射線性組成物。
  5. 液晶表示素子の層間絶縁膜を形成するために用いられる請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のポジ型感放射線性組成物。
  6. (1)請求項5に記載のポジ型感放射線性組成物の塗膜を基板上に形成する工程、
    (2)工程(1)で形成した塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程、
    (3)工程(2)で放射線を照射された塗膜を現像する工程、及び
    (4)工程(3)で現像された塗膜を加熱する工程
    を含む液晶表示素子用層間絶縁膜の形成方法。
  7. 請求項5に記載のポジ型感放射線性組成物から形成された液晶表示素子の層間絶縁膜。
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