JP2011001567A - ガスワイピングノズル及びガスワイピング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガスワイピングノズルのスリット隙間gを液圧により調整する。
【解決手段】ガスワイピングノズル100は、上ノズルリップ金物102と下ノズルリップ金物103とが接合されて構成されており、静圧チャンバ104内に供給されたワイピングガスが、スリット101を介して帯鋼に向けて噴射される。下ノズルリップ金物103には、鋼板の幅方向に沿い伸びる液圧孔105が穿設されている。液圧孔105の、下ノズルリップ金物103の厚さ方向の位置は中心からずれており、厚さAが厚さBよりも薄くなっている。液圧孔105に圧油を供給すると、液圧孔105の径が膨張し、A,Bでの膨張差により下ノズルリップ金物103が弾性変形し、スリット101のスリット隙間gが大きくなる。
【選択図】図2

Description

本発明は、連続溶融めっき設備のガスワイピングノズルに関し、液圧を利用して、ガスワイピングノズルのスリット隙間を任意に調整することができるように工夫した、ガスワイピングノズル及びガスワイピング装置に関する。
亜鉛やアルミニウム等をはじめとする溶融金属のめっき方法は、古くから実用化されている。特に、これらの溶融金属でめっきした溶融金属めっき鋼板は、自動車用、家電用、建材用の防錆鋼板として、その需要が増加している。そして、自動車、家電、建材等の最終製品の品質向上に伴い、そのめっき付着量の均一化や表面欠陥の抑制等、更に高品質な製品が求められている。
現在、連続した帯鋼に対して溶融金属をめっきする方法としては、例えば、ガスワイピング法が一般的である。このガスワイピング法では、溶融金属のめっき浴中に連続的に浸漬させた帯鋼(帯板)をめっき浴から上方に引き上げて、この上昇過程の帯鋼に対して、ガスワイピングノズルからワイピングガスを吹き付けるようにしている。これにより、帯鋼の表面に余剰に付着した溶融金属が除去されて、帯鋼は所定のめっき付着量に調整される。
このようなガスワイピング法では、搬送される帯鋼の幅方向両側部、即ち、エッジ部よりも外側の空間においては、対向するガスワイピングノズルから噴射されるワイピングガス流同士が衝突することになる。これにより、その空間においてガス流の乱れが発生し、帯鋼のエッジ部付近におけるガス衝突圧が低下することに起因して、このエッジ部付近のめっき付着量が多くなるという、いわゆる、エッジオーバーコートと称せられる現象が発生する。つまり、エッジ部におけるガス衝突圧が中央部におけるガス衝突圧に比べて弱くなり、エッジ部のめっき付着量が中央部のめっき付着量よりも多くなってしまう。
そして、このようにエッジオーバーコートが生じた溶融金属めっき鋼板をコイル状に巻き取ると、エッジ部付近の巻取径が中央部の巻取径よりも大きくなり、コイルの巻取形状不良となる。また、これに伴って、その幅方向における巻取径の差と巻取張力との作用によって、エッジ部が塑性変形を受けることになる。
そこで、従来のガスワイピング法では、スリット隙間を、帯鋼の両エッジ部に位置する部分で広くしたワイピングノズル(スマイルピースノズルと称される)が用いられ、このスリット間隔を調整する手段が提案されている。
前記ワイピングノズルのスリット間隔により、中央部より両エッジ部でワイピングガスを多く噴出させ、帯鋼の両エッジ表面に付着した溶融金属を多く除去することができる。その効果によって、前記エッジオーバーコートを防止している。
例えば、特許文献1に示す技術では、ガスワイピングノズルのスリットの幅方向に沿う複数箇所に、電熱ヒータを備えたギャップ調整用のボルトを配置し、各電熱ヒータの加熱量を個別に調整することにより、各ボルトを個別に熱膨張させている。このように各ボルトの熱膨張を個別に調整することにより、下リップを弾性変形させて、スリット隙間をスマイルピースノズルのプロフィールに調整している。
また特許文献2に示す技術では、ガスワイピングノズルのスリットの幅方向に沿う複数箇所に、下リップを押すロッドを配置し、更に、電動機又はシリンダーのストロークにより楔を前後する調整機構を備え、楔を前後に調整することでノズルリップを弾性変形させて調整している。
特許第3201260号 特許第3702213号
ところで、電熱ヒータを備えたギャップ調整用のボルトを備えた従来技術では、電熱ヒータの温度でストロークを制御するため誤差が生じ易く正確な調整をすることが難しい。また、多くのヒータの温度を計測したり、ヒータの伸び量を計測したりする必要があるため、多数の計測センサが必要であると共に、制御が煩雑となる。
また、電動機又はシリンダーのストロークにより楔を前後する調整機構を備えた従来技術では、楔の滑り部の焼き付きの心配があると共に、機械的なバックラッシュが発生して正確な調整をすることが難しい。
本発明は、上記従来技術に鑑み、液圧を利用して、ガスワイピングノズルのスリット隙間を調整することができる、ガスワイピングノズル及びガスワイピング装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明のガスワイピングノズルの構成は、
溶融金属めっき浴から連続して引き上げられる帯板に対し、ワイピングガスを吹き付けることにより、前記帯板の表面に余剰に付着した溶融金属を除去して、所定のめっき付着量に制御するガスワイピングノズルにおいて、
前記ガスワイピングノズルは、上ノズルリップ金物と下ノズルリップ金物とが接合して形成されており、前記上ノズルリップ金物のうち前記帯板側に位置する先端部と、前記下ノズルリップ金物のうち前記帯板側に位置する先端部とが、スリット隙間を介して対向することにより前記ワイピングガスを吹き出すスリットが形成されており、
前記ガスワイピングノズルの上ノズルリップ金物と下ノズルリップ金物のうちの少なくとも一方のノズルリップ金物には、前記スリットの長手方向に沿い伸びる液圧孔が穿設されており、前記液圧孔に加圧流体を導くことにより、前記液圧孔が形成されたノズルリップ金物を弾性変形させて前記スリットのスリット隙間を調整することを特徴とする。
また本発明のガスワイピングノズルの構成は、
前記ノズルリップ金物の厚さ方向に関して、偏芯した位置に前記液圧孔を穿設することにより、液圧孔の上下で前記ノズルリップ金物の肉厚が異なっていることを特徴とする。
また本発明のガスワイピングノズルの構成は、
前記液圧孔を複数穿設したことを特徴とする。
また本発明のガスワイピング装置の構成は、
前記のガスワイピングノズルと、
前記液圧孔内に移動自在に配置された第1のピストン及び第2のピストンと、
第1のピストン及び第2のピストンを前記液圧孔内で移動させるピストン移動手段と、
前記液圧孔の一方の端面と前記第1のピストンとの間で形成される第1の液圧室と、前記液圧孔の他方の端面と前記第1のピストンとの間で形成される第2の液圧室とに、加圧した液体を供給する加圧液体供給手段と、
を有することを特徴とする。
本発明では、ノズルリップ金物に液圧孔を穿設し、この液圧孔に供給する液圧を調整することにより、ノズルリップ金物を弾性変形させてスリット隙間を調整するため、機械的な摺動部が無くなり、スリット隙間のスムーズな調整ができる。また、液圧孔に供給する流体を循環させることでガスワイピングノズルの冷却も図ることができる。
ガスワイピングノズルを備えた溶融金属めっき装置を示す構成図。 本発明の実施例1に係るガスワイピングノズルを示す断面図。 本発明の実施例2に係るガスワイピングノズルを示す断面図。 本発明の実施例3に係るガスワイピングノズルを示す断面図。 本発明の実施例4に係るガスワイピングノズルを示す断面図。 本発明の実施例5に係るガスワイピング装置を、ガスワイピングノズルを側面側から見た断面状態で示す断面図。 本発明の実施例5に係るガスワイピング装置を、ガスワイピングノズルを図6のvii−vii断面状態で示す断面図。 ガスワイピングノズルの変形状態を、コンピュータシミュレーションによって解析した状態を示す解析図。
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき詳細に説明する。
本発明の実施例1に係るガスワイピングノズル100の詳細を説明するのに先立ち、このガスワイピングノズル100を備えた溶融金属めっき装置1を、図1を参照して説明する。この溶融金属めっき装置1は、連続的に搬送される帯鋼(帯板)Sに対して、例えば、亜鉛やアルミニウム等の溶融金属をめっきするものである。
図1に示すように、溶融金属めっき装置1の下方には、高温に保持された溶融金属2が貯溜された浴槽(図示省略)が配置されている。溶融金属2が貯溜された浴槽内には、シンクロール3が回転自在に支持されている。溶融金属2内に浸漬された帯鋼Sは、シンクロール3に巻き掛けられることにより、その搬送方向がほぼ鉛直上方に方向転換される。これにより、溶融金属2の液面よりも上方に搬送される(引き上げられる)帯鋼Sの表面には、溶融金属2が付着する。
溶融金属2の液面上方には、帯鋼Sを間に挟んで、一対のガスワイピングノズル100が配置されている。各ガスワイピングノズル100の先端部(帯鋼S側の端部)には、帯鋼Sの幅方向に沿いスリット101が形成されている。
ガスワイピングノズル100は、スリット101から帯鋼Sに対してワイピングガスを吹き付けることにより、帯鋼Sの表面に余剰に付着していた溶融金属を除去して、帯鋼Sに付着するめっき量を調整している。
ここで、実施例1に係るガスワイピングノズル100の詳細構造を、断面図である図2を参照して説明する。
図2に示すように、ガスワイピングノズル100は、上ノズルリップ金物102と下ノズルリップ金物103とが接合して形成されている。両ノズルリップ金物102,103は、弾性を有する金属系材料により形成されている。
このガスワイピングノズル100の内部には、ワイピングガスを鋼帯幅方向に均等な圧力で供給するための静圧チャンバ104が形成されている。
つまり、静圧チャンバ104の周囲を、上ノズルリップ金物102と下ノズルリップ金物103とで囲いつつ、上ノズルリップ金物102と下ノズルリップ金物103とが接合されている。
静圧チャンバ104には、ガス供給管(図示省略)を介してワイピングガスが供給される。静圧チャンバ104内に供給されたワイピングガスは、この静圧チャンバ104に連通したスリット101を介して噴出され、帯鋼に吹き付けられる。
上ノズルリップ金物102の先端部(帯鋼側に位置する部分、図2では左側部分)と、下ノズルリップ金物103の先端部(帯鋼側に位置する部分、図2では左側部分)とは、隙間を介して対向しており、この隙間が、スリット101となっている。
このスリット101は、帯鋼の幅方向(図2では紙面に対して垂直方向)に沿い形成されている。
なお、スリット101において、帯鋼の搬送方向(図2では上下方向)に沿う長さを「スリット隙間g」とする。
下ノズルリップ金物103には、帯鋼の幅方向(スリット101の長手方向)に沿って伸びる液圧孔105が穿設されている。この液圧孔105の両端(帯鋼の幅方向に沿う両端)は閉塞されており、この液圧孔105には、加圧した圧油が油供給管(図示省略)を介して供給されるようになっている。
液圧孔105の形成位置は、下ノズルリップ金物103の厚さ方向(鋼板の搬送方向に沿う方向、図2では上下方向)に関して、中央位置からずれている。
本例では、液圧孔105と静圧チャンバ104(下ノズルリップ金物103の上面)との間の肉厚をA、液圧孔105と外部空間(下ノズルリップ金物103の下面)との間の肉厚をBとすると、A<Bとなるようにしている。
上記構成となっているガスワイピングノズル100は、ノズル固定部110に固定されている。
このガスワイピングノズル100の液圧孔105に、圧油を供給すると、液圧孔105はその径が増大する方向に膨張する。このとき、肉厚Aが肉厚Bよりも薄くなっているため、肉厚Aの部分の伸びが、肉圧Bの部分の伸びよりも大きくなり、下ノズルリップ金物103が弾性変形し、下ノズルリップ金物103の先端部は、上ノズルリップ金物102の先端部から離れる方向に移動する。
これにより、スリット隙間gが大きくなる。
一方、ガスワイピングノズル100の液圧孔105に供給していた圧油の圧力を低減していくと、膨張していた液圧孔105はその径が減少する。したがって、下ノズルリップ金物103の弾性変形量が減少し、下ノズルリップ金物103の先端部は、上ノズルリップ金物102の先端部に近づく方向に移動する。
これにより、スリット隙間gを減少させ、最終的にはスリット隙間gを初期長に戻すことができる。
従って、液圧孔105に供給する圧油の圧力を調整することにより、スリット101のスリット隙間gを調整することができ、その結果、スリット101を介して帯鋼に吹き付けるワイピングガスの量を調整することができる。
なお上記の例では、肉厚A<肉圧Bとしていたが、肉厚A>肉厚Bとなるように、液圧孔105の形成位置を設定することもできる。
このように、肉厚A>肉厚Bとなるように液圧孔105の形成位置を設定した場合には、液圧孔105内に圧油を供給することにより、スリット隙間gが狭くなり、圧油の圧力を低下していくことにより、スリット隙間gが初期長に戻る。
なお、図2の例では、液圧孔105を下ノズル金物103に形成したが、液圧孔105を上ノズル金物102に形成するようにしてもよい。また、圧油の代わりに、加圧した他の流体を使用することもできる。
本発明の実施例2に係るガスワイピングノズル120を、断面図である図3を基に説明する。なお、図2に示す実施例1と同一機能を果たす部分には、同一符号を付し重複する説明は省略する。
図3に示すようにこのガスワイピングノズル120の下ノズルリップ金物103には、帯鋼の幅方向に沿って伸びる液圧孔121が穿設されている。この液圧孔121の両端(帯鋼の幅方向に沿う両端)は閉塞されており、この液圧孔121には、加圧した圧油が油供給管(図示省略)を介して供給されるようになっている。
更に、下ノズルリップ金物103の静圧チャンバ104に臨む面(図3では上側の面)には、静圧チャンバ側に突出する突出部122が形成されている。この突出部122は、液圧孔121に対面した位置に形成されている。つまり、液圧孔121の形成位置から、下ノズルリップ金物103の厚さ方向(帯鋼の搬送方向)に沿い上側に移動した位置に、突出部122を形成している。
突出部122は、静圧チャンバ104内において、帯鋼の幅方向に沿って伸びており、その表面は円弧状になっている。
他の部分の構成は、図2に示す実施例1と同様である。
このガスワイピングノズル120の液圧孔121に、圧油を供給すると、液圧孔121はその径が増大する方向に膨張する。このとき、表面が湾曲している突出部122の部分は他の部分に比べて大きく膨張するため、下ノズルリップ金物103が弾性変形して、下ノズルリップ金物103の先端部は、上ノズルリップ金物102の先端部から離れる方向に移動する。
これにより、スリット隙間gが大きくなる。
一方、ガスワイピングノズル120の液圧孔121に供給していた圧油の圧力を低減していくと、膨張していた液圧孔121はその径が減少する。したがって、下ノズルリップ金物103の弾性変形量が減少し、下ノズルリップ金物103の先端部は、上ノズルリップ金物102の先端部に近づく方向に移動する。
これにより、スリット隙間gを減少させ、最終的にはスリット隙間gを初期長に戻すことができる。
従って、液圧孔121に供給する圧油の圧力を調整することにより、スリット101のスリット隙間gを調整することができ、その結果、スリット101を介して帯鋼に吹き付けるワイピングガスの量を調整することができる。
なお、図3の例では、液圧孔121及び突出部122を下ノズルリップ金物103に形成したが、液圧孔121及び突出部122を上ノズルリップ金物102に形成するようにしてもよい。また、圧油の代わりに、加圧した他の流体を使用することもできる。
本発明の実施例3に係るガスワイピングノズル130を、断面図である図4を基に説明する。なお、図2に示す実施例1と同一機能を果たす部分には、同一符号を付し重複する説明は省略する。
図4に示すように、このガスワイピングノズル130の下ノズルリップ金物103には、帯鋼の幅方向に沿って伸びる2つの独立した液圧孔131,133が並んで形成されている。この例では、液圧孔131,133の並び方向は、下ノズルリップ金物103の厚み方向に直交する方向(図4では左右方向)である。
両液圧孔131、133の両端(帯鋼の幅方向に沿う両端)は閉塞されており、各液圧孔131,133には、加圧した圧油が油供給管(図示省略)を介して供給されるようになっている。
更に、下ノズルリップ金物103の静圧チャンバ104に臨む面(図4では上側の面)には、静圧チャンバ側に突出する突出部132,134が形成されている。突出部132は液圧孔131に対面した位置に形成され、突出部134は液圧孔133に対面した位置に形成されている。つまり、液圧孔131,133の形成位置から、下ノズルリップ金物103の厚さ方向(帯鋼の搬送方向)に沿い上側に移動した位置に、突出部132,134を形成している。
突出部132,134は、静圧チャンバ104内において、帯鋼の幅方向に沿って伸びており、その表面は円弧状になっている。
他の部分の構成は、図2に示す実施例1と同様である。
このガスワイピングノズル130の液圧孔131,133に、圧油を供給すると、液圧孔131,133はその径が増大する方向に膨張する。このとき、表面が湾曲している突出部132,134の部分は他の部分に比べて大きく膨張するため、下ノズルリップ金物103が弾性変形して、下ノズルリップ金物103の先端部は、上ノズルリップ金物102の先端部から離れる方向に移動する。
これにより、スリット隙間gが大きくなる。
一方、ガスワイピングノズル130の液圧孔131,133に供給していた圧油の圧力を低減していくと、膨張していた液圧孔131,133はその径が減少する。したがって、下ノズルリップ金物103の弾性変形量が減少し、下ノズルリップ金物103の先端部は、上ノズルリップ金物102の先端部に近づく方向に移動する。
これにより、スリット隙間gを減少させ、最終的にはスリット隙間gを初期長に戻すことができる。
従って、液圧孔131,133に供給する圧油の圧力を調整することにより、スリット101のスリット隙間gを調整することができ、その結果、スリット101を介して帯鋼に吹き付けるワイピングガスの量を調整することができる。
しかも、2つの液圧孔131,133及び2つの突出部132,134を備えたため、下ノズルリップ金物103の弾性変形量を大きくすることができ、この結果、スリット隙間gの調整幅が大きくなり、スリット101を介して帯鋼に吹き付けるワイピングガスの量の調整幅が大きくなる。
なお、図4の例では、液圧孔131,133及び突出部132,134を下ノズルリップ金物103に形成したが、液圧孔131,133及び突出部132,134を上ノズルリップ金物102に形成するようにしてもよい。また、圧油の代わりに、加圧した他の流体を使用することもできる。
更に液圧孔の数は2個に限らず、3個以上にしてもよい。
本発明の実施例4に係るガスワイピングノズル140を、断面図である図5を基に説明する。なお、図2に示す実施例1と同一機能を果たす部分には、同一符号を付し重複する説明は省略する。
図5に示すように、このガスワイピングノズル140の下ノズルリップ金物103には、帯鋼の幅方向に沿って伸びる2つの独立した液圧孔141,143が並んで穿設されている。この例では、液圧孔141,143の並び方向は、下ノズルリップ金物103の厚さ方向に沿う方向(図4では上下方向)である。
両液圧孔141、143の両端(帯鋼の幅方向に沿う両端)は閉塞されており、各液圧孔141,143には、加圧した圧油が油供給管(図示省略)を介して独立して供給されるようになっている。
更に、下ノズルリップ金物103の静圧チャンバ104に臨む面(図5では上側の面)には、静圧チャンバ側に突出する突出部142が形成されている。突出部142は液圧孔141に対面した位置に形成されている。また下ノズルリップ金物103の外部空間に臨む面(図5では下側の面)には、外部空間側に突出する突出部144が形成されている。
つまり、液圧孔141の形成位置から、下ノズルリップ金物103の厚さ方向(帯鋼の搬送方向)に沿い上側に移動した位置に、突出部142を形成し、液圧孔143の形成位置から、下ノズルリップ金物103の厚さ方向(帯鋼の搬送方向)に沿い下側に移動した位置に、突出部144を形成している。
突出部142,144は、帯鋼の幅方向に沿って伸びており、その表面は円弧状になっている。
他の部分の構成は、図2に示す実施例1と同様である。
このガスワイピングノズル140の液圧孔141に、圧油を供給すると、液圧孔141はその径が増大する方向に膨張する。このとき、表面が湾曲している突出部142の部分は他の部分に比べて大きく膨張するため、下ノズル金物103が弾性変形して、下ノズル金物103の先端部は、上ノズルリップ金物102の先端部から離れる方向に移動する。
これにより、スリット隙間gが大きくなる。
一方、ガスワイピングノズル140の液圧孔143に、圧油を供給すると、液圧孔143はその径が増大する方向に膨張する。このとき、表面が湾曲している突出部144の部分は他の部分に比べて大きく膨張するため、下ノズルリップ金物103が弾性変形して、下ノズルリップ金物103の先端部は、上ノズルリップ金物102の先端部に近づく方向に移動する。
これにより、スリット隙間gが小さくなる。
従って、液圧孔141に圧油を供給することによりスリット隙間gを大きくすることができ、液圧孔143に圧油を供給することによりスリット隙間gを小さくすることができ、スリット隙間gを増加する方向にも減少する方向にも正確・迅速に調整することが可能となった。
なお、図5の例では、液圧孔141,143及び突出部142,144を下ノズルノズルリップ金物103に形成したが、液圧孔141,143及び突出部142,144を上ノズルリップ金物102に形成するようにしてもよい。また、圧油の代わりに、加圧した他の流体を使用することもできる。
次に本発明の実施例5にかかるガスワイピング装置500を、ガスワイピングノズルを側面側から見た断面図で示す図6と、ガスワイピングノズルを図6のvii−vii断面状態で示す図7を参照して説明する。
ガスワイピングノズル100は、図2に示す実施例1のものと同様である。即ち図6に示すように、ガスワイピングノズル100は、上ノズルリップ金物102と下ノズルリップ金物103とで構成されている。両ノズルリップ金物102,103は、弾性を有する金属系材料により形成されている。
このガスワイピングノズル100の内部には、ワイピングガスを鋼帯幅方向に均等な圧力で供給するための静圧チャンバ104が形成されている。
つまり、静圧チャンバ104の周囲を、上ノズルリップ金物102と下ノズルリップ金物103とで囲いつつ、上ノズルリップ金物102と下ノズルリップ金物103とが接合されている。
静圧チャンバ104には、ガス供給管(図示省略)を介してワイピングガスが供給される。静圧チャンバ104内に供給されたワイピングガスは、この静圧チャンバ104に連通したスリット101を介して噴出され、帯鋼に吹き付けられる。
上ノズルリップ金物102の先端部(帯鋼側に位置する部分、図6では左側部分)と、下ノズルリップ金物103の先端部(帯鋼側に位置する部分、図6では左側部分)とは、隙間を介して対向しており、この隙間が、スリット101となっている。
このスリット101は、帯鋼の幅方向(図6では紙面に対して垂直方向)に沿い形成されている。
なお、スリット101において、帯鋼の搬送方向(図2では上下方向)に沿う長さを「スリット隙間g」とする。
下ノズルリップ金物103には、帯鋼の幅方向に沿って伸びる液圧孔105が穿設されている。この液圧孔105の両端(帯鋼の幅方向に沿う両端)は閉塞されており、この液圧孔105には、加圧した圧油が油供給管(詳細は後述)を介して供給されるようになっている。
液圧孔105の形成位置は、下ノズルリップ金物103の厚さ方向(鋼板の搬送方向に沿う方向、図6では上下方向)に関して、中央位置からずれている。
本例では、液圧孔105と静圧チャンバ104(下ノズルリップ金物103の上面)との間の肉厚をA、液圧孔105と外部空間(下ノズルリップ金物103の下面)との間の肉厚をBとすると、A<Bとなるようにしている。
図7に示すように、ガスワイピングノズル100の液圧孔105内には、第1のピストン501と第2のピストン502が配置されている。両ピストン501,502は、液圧孔105内において移動自在に配置されている。
更に、液圧孔105内には、ねじ軸503が軸受504a,504bにより回転自在に配置されると共に、ねじ軸505が軸受506a,506bにより回転自在に配置されている。
第1のピストン501にはねじ軸503が螺合しており、ねじ軸503が回転すると、第1のピストン501が液圧孔105内で移動する。また、第2のピストン502にはねじ軸505が螺合しており、ねじ軸505が回転すると、第2のピストン502が液圧孔105内で移動する。
ねじ軸503には歯車507が取り付けられ、ねじ軸505には歯車508が取り付けられている。
ガスワイピングノズル100には、図6に示すように、モータ509が配置されており、このモータ509により歯車510が回転駆動されるようになっている。この歯車510は、ねじ軸503,505に取り付けた歯車507,508に螺合している。
このため、モータ509により歯車510を正転回転させると、この回転が歯車507,508を介してねじ軸503,505に伝わり、ねじ軸503,505が正転回転して、ピストン501,502は相互に近接する方向に移動する。
逆に、モータ509により歯車510を逆転回転させると、この回転が歯車507,508を介してねじ軸503,505に伝わり、ねじ軸503,505が逆転回転して、ピストン501,502は相互に離反する方向に移動する。
液圧孔105の一方の端面と第1のピストン501との間には、第1の液圧室R1が形成され、液圧孔105の他方の端面と第2のピストン502との間には、第2の液圧室R2が形成され、第1のピストン501と第2のピストン502との間には第3の液圧室R3が形成される。
液圧室R1には油供給路511が連結しており、液圧室R2には油供給路512が連通している。
油槽520には油が貯溜されており、モータ521により駆動する油圧ポンプ522は、油槽520に貯溜した油を加圧して送出する。
油圧ポンプ522から送出された圧油は、液圧調整装置523,油供給管524,油供給路511を介して液圧室R1に供給されると共に、液圧調整装置525,油供給管526,油供給路512を介して液圧室R2に供給される。
液圧室R1に供給された圧油は、絞り弁527及び戻り管529を介して油槽520に排出されると共に、液圧室R2に供給された圧油は、絞り弁528及び戻り管529を介して油槽520排出される。
また液圧室R1に供給された圧油は、ピストン501と液圧孔105の内周面との間に隙間を介して液圧室R3側に少しずつ漏れ出ると共に、液圧室R2に供給された圧油は、ピストン502と液圧孔105の内周面との間に隙間を介して液圧室R3側に少しずつ漏れ出る。液圧室R3に漏れ出た油は、戻り管529を通って油槽520に戻る。
上記構成となっているガスワイピング装置500では、圧油を液圧室R1,R2に供給すると、スリット101のうち、液圧室R1,R2が存在する部分において、下ノズルリップ金物103が変形して、スリット隙間gが大きくなる。つまり、スリット101の幅方向(帯鋼の幅方向)に関して、液圧室R1,R2が存在する両端部分において、スリット隙間gが大きくなり、この部分から吹き出されるワイピングガスの量が増加する。
このとき、液圧調整装置523,525により、液圧室R1,R2に供給する圧油の圧力を調整することにより、スリット隙間gの大きさを調整して、ワイピングガスの吹き出し量を調整することができる。
更に、モータ509を駆動してピストン501,502の配置位置を変更して、液圧室R1,R2の長さを変更することにより、スリット101の幅方向(帯鋼の幅方向)に関して、スリット隙間gを大きくする範囲を変更することができる。
このようにして、スリット101の幅方向(帯鋼の幅方向)に関して、スリット隙間 gを大きくする範囲を変更でき、しかも、スリット隙間gの大きさも調整することができるので、帯鋼の幅に合わせて最適な範囲に、最適量のワイピングガスを吹き付けることができる。
また液圧室R1,R2から油槽520に圧油が排出されるようにしているため、液圧室R1,R2には新たな圧油が順次供給される結果、ガスワイピングノズル100を油冷却することができる。これにより、帯鋼や溶融金属からの輻射熱による熱変形を防止することができる。
なお、上記例では、ねじ軸503,505を同一の駆動機構(モータ509,歯車510)により駆動しているが、ねじ軸503とねじ軸505を独立した別の駆動機構により駆動するようにしてもよい。
このように独立してねじ軸503とねじ軸505を駆動するようにすれば、液圧室Rと液圧室R2の位置や幅を独立して制御することができ、
また、ガスワイピングノズル100の代わりに、図3,図4,図5に示すガスワイピングノズル120,130,140を使用することもできる。
なお図8は、実施例2に係るガスワイピングノズル120の下ノズルリップ金物103の変形状態を、コンピュータシミュレーションによって解析した状態を示す解析図である。図8の(a)は全体図、図8の(b)は先端部分を拡大した図である。
図8からも、下ノズルリップ金物103が変形することにより、スリット隙間gを可変にすることが可能であることが実証できた。
なお、この例では、下ノズルリップ金物103の変位量は、0.01mm〜0.05mm程度であった。
1 溶融金属めっき装置
2 溶融金属
3 シンクロール
100,120,130,140 ガスワイピングノズル
101 スリット
102 上ノズルリップ金物
103 下ノズルリップ金物
104 静圧チャンバ
105 液圧孔
110 ノズル固定部
121 液圧孔
122 突出部
131,133 液圧孔
132,134 突出部
141,143 液圧孔
142,144 突出部
500 ガスワイピング装置
501,502 ピストン
503,505 ねじ軸
507,508,510 歯車
509 モータ
520 油槽
521 モータ
522 油圧ポンプ
523,525 液圧調整装置
524,526 油供給管
S 鋼板

Claims (4)

  1. 溶融金属めっき浴から連続して引き上げられる帯板に対し、ワイピングガスを吹き付けることにより、前記帯板の表面に余剰に付着した溶融金属を除去して、所定のめっき付着量に制御するガスワイピングノズルにおいて、
    前記ガスワイピングノズルは、上ノズルリップ金物と下ノズルリップ金物とが接合して形成されており、前記上ノズルリップ金物のうち前記帯板側に位置する先端部と、前記下ノズルリップ金物のうち前記帯板側に位置する先端部とが、スリット隙間を介して対向することにより前記ワイピングガスを吹き出すスリットが形成されており、
    前記ガスワイピングノズルの上ノズルリップ金物と下ノズルリップ金物のうちの少なくとも一方のノズルリップ金物には、前記スリットの長手方向に沿い伸びる液圧孔が穿設されており、前記液圧孔に加圧流体を導くことにより、前記液圧孔が形成されたノズルリップ金物を弾性変形させて前記スリットのスリット隙間を調整することを特徴とするガスワイピングノズル。
  2. 請求項1において、
    前記ノズルリップ金物の厚さ方向に関して、偏芯した位置に前記液圧孔を穿設することにより、液圧孔の上下で前記ノズルリップ金物の肉厚が異なっていることを特徴とするガスワイピングノズル。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記液圧孔を複数穿設したことを特徴とするガスワイピングノズル。
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載のガスワイピングノズルと、
    前記液圧孔内に移動自在に配置された第1のピストン及び第2のピストンと、
    第1のピストン及び第2のピストンを前記液圧孔内で移動させるピストン移動手段と、
    前記液圧孔の一方の端面と前記第1のピストンとの間で形成される第1の液圧室と、前記液圧孔の他方の端面と前記第1のピストンとの間で形成される第2の液圧室とに、加圧した液体を供給する加圧液体供給手段と、
    を有することを特徴とするガスワイピング装置。
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