JP2011001543A - 硬化性樹脂組成物、透明積層体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明性が良好であり、透明基板と硬化樹脂の層との密着性および硬化樹脂の層の耐引き裂き性に優れる透明積層体を提供する。
【解決手段】水酸基数2、水酸基価15〜40mgKOH/gのポリオール(a1)および水酸基数2または3、水酸基価55〜1,830mgKOH/gのポリオール(a2)を含むポリオール成分(A1)とポリイソシアネート(A2)と不飽和ヒドロキシ化合物(A3)との反応物である不飽和ウレタンオリゴマー(A)と、CH=C(R)C(O)O−R(R=水素原子またはメチル基、R=水酸基数1〜2、炭素数3〜4のヒドロキシアルキル基)で表される単量体(B)とを含む硬化性樹脂組成物14を、一対の透明基板10、16の間に狭持させ、硬化させて透明積層体を得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、一対の透明基板の間に狭持された硬化性樹脂組成物を硬化させて透明積層体を製造する方法に好適な硬化性樹脂組成物、該硬化性樹脂組成物の硬化物からなる硬化樹脂の層を有する透明積層体、および該硬化性樹脂組成物を用いた透明積層体の製造方法に関する。
一対の透明基板と、該透明基板の間に挟まれた接着性樹脂層とを有する透明積層体としては、一対のガラス板を、接着性樹脂層を介して一体化した合わせガラスが知られている。該合わせガラスは、破損したガラスがフィルム状の接着性樹脂層に付着して飛散しないことから、自動車の風防ガラスとして用いられている。また、該合わせガラスは、貫通し難く、強度が優れていることから、建物の窓ガラス(安全ガラス、防犯ガラス等。)として用いられている。したがって、該透明積層体の接着性樹脂層には、透明性に優れるほかに、透明基板との密着性および耐引き裂き性が良好であることが要求される。
合わせガラスの製造方法としては、下記の方法が知られている。
(1)一対の透明基板の間に接着性樹脂フィルムを挟み、この積層物を加熱圧着して合わせガラスを製造する方法。
(2)周辺をシールした一対の透明基板の間に液状の硬化性樹脂を注入した後、硬化性樹脂を硬化して合わせガラスを製造する方法(特許文献1)。
(2)の方法は、(1)の方法に比べ、硬化性樹脂のバリエーションが広く、目的に応じて種々の物性の硬化物を得やすいこと、硬化容易な硬化性樹脂(特に光硬化性樹脂)を用いることにより製造プロセスを簡略化できる等の特徴を有する。
しかし、(2)の方法は、硬化性樹脂の注入に際し、樹脂中に気泡が残存しやすいという欠点を有する。
気泡の発生を防ぐ方法としては、減圧積層方法が知られている。減圧積層方法による合わせガラスの製造方法としては、たとえば、下記の方法が知られている。
(3)一枚の透明基板上に光硬化性樹脂組成物の層を形成し、減圧下にもう一枚の透明基板を該光硬化性樹脂組成物の層の上に重ねて、一対の透明基板の間に光硬化性樹脂組成物を密閉した後、大気圧下で該光硬化性樹脂組成物を光硬化させる合わせガラスの製造方法(特許文献2)。
光硬化性樹脂としては、不飽和ウレタンオリゴマーを含む光硬化性樹脂組成物が提案されている(特許文献1)。また、減圧積層方法に適した光硬化性樹脂としては、不飽和ウレタンオリゴマーを含む光硬化性樹脂組成物が知られている(特許文献3)。
特開2005−041747号公報 国際公開第08/081838号パンフレット 国際公開第09/016943号パンフレット
前記光硬化性樹脂組成物においては、不飽和ウレタンオリゴマーの原料となるポリオール成分やポリイソシアネートを好適に設計することで、硬化物の特性を調整できる。たとえば、水酸基価の小さい(水酸基あたりの分子量が高い)ポリオールを用いることで、柔軟な硬化物が得られる。また、不飽和ウレタンオリゴマーとともにさらに各種のモノマー類を併用することにより、硬化物の特性をさらに調整できる。
しかし、水酸基価の小さいポリオールのみを用いた場合、得られる不飽和ウレタンオリゴマーとモノマー類との相溶性が著しく低下してしまうため、硬化物の透明性が充分ではなく、高いヘイズ値を示すことがある。また、透明基板と硬化物との密着性が不充分となりやすい。
また、硬化物が良好な耐引き裂き性を発揮するためには、硬化物の強度と伸びとのバランスが重要となる。しかし、水酸基価の小さい(水酸基あたりの分子量が高い)ポリオールを用いると、架橋点の数が減って強度が不充分となり、一方、水酸基価の大きい(水酸基あたりの分子量が低い)ポリオールを用いると、伸びが不充分となる。そのため、耐引き裂き性に優れる硬化物を得るためのポリオール成分の設計が難しい。
本発明は、透明性が良好であり、透明基板との密着性および耐引き裂き性に優れる硬化物を得ることができる硬化性樹脂組成物を提供する。また、透明積層体を製造する方法に用いられる硬化性樹脂組成物を提供する。さらに、透明性が良好であり、透明基板と硬化樹脂の層との密着性および硬化樹脂の層の耐引き裂き性に優れる透明積層体およびその製造方法を提供する。
本発明は、下記[1]〜[9]の発明である。
[1]下記不飽和ウレタンオリゴマー(A)を含む、硬化性樹脂組成物。
不飽和ウレタンオリゴマー(A):下記ポリオール成分(A1)とポリイソシアネート(A2)と下記不飽和ヒドロキシ化合物(A3)との反応生成物であって、下記硬化性官能基を1分子あたり平均2〜4個有する不飽和ウレタンオリゴマー。
ポリオール成分(A1):下記ポリオール(a1)と、該ポリオール(a1)の1モルに対して0.5〜3モルの下記ポリオール(a2)とを含むポリオール成分。
ポリオール(a1):活性水素数が2の開始剤にモノエポキサイドを反応させて得られた、水酸基価が15〜40mgKOH/gであるポリオキシアルキレンポリオール。
ポリオール(a2):活性水素数が2または3の開始剤にモノエポキサイドを反応させて得られたポリオキシアルキレンポリオール、または水酸基を2または3つ有する多価アルコールであり、水酸基価が55〜1,830mgKOH/gであるポリオール。
不飽和ヒドロキシ化合物(A3):下記硬化性官能基と水酸基とを有する化合物。
硬化性官能基:CH=C(R)C(O)O−で表される基(ただし、Rは水素原子またはメチル基を表す)。
[2]下記単量体(B)をさらに含む、上記[1]に記載の硬化性樹脂組成物。
単量体(B):CH=C(R)C(O)O−Rで表される化合物(ただし、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは水酸基数が1〜2であり、炭素数が3〜4のヒドロキシアルキル基を表す)。
[3]一対の透明基板の間に狭持された硬化性樹脂組成物を硬化させて透明積層体を製造する方法に用いられる硬化性樹脂組成物である、上記[1]または[2]に記載の硬化性樹脂組成物。
[4]下記単量体(C)をさらに含む、上記[3]に記載の硬化性樹脂組成物。
単量体(C):CH=C(R)C(O)O−Rで表される化合物(ただし、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは炭素数が8〜22のアルキル基を表す)。
[5]光重合開始剤(D)をさらに含む、上記[3]または[4]に記載の硬化性樹脂組成物。
[6]一対の透明基板と、該透明基板の間に挟まれた硬化樹脂の層とを有する透明積層体であって、前記硬化樹脂が、上記[3]〜[5]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物の硬化物である、透明積層体。
[7]減圧雰囲気中で、一対の透明基板間に、上記[3]〜[5]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を内部に収容した密閉空間を形成して、一対の透明基板と該一対の透明基板間に密閉された前記硬化性樹脂組成物とを有する積層前駆体を製造する第1の工程と、前記積層前駆体を、前記減圧雰囲気よりも圧力が高い雰囲気に置き、その雰囲気下で前記硬化性樹脂組成物を硬化させる第2の工程とを有する、透明積層体の製造方法。
[8]前記減圧雰囲気が100Pa以下の圧力雰囲気であり、前記減圧雰囲気よりも圧力が高い雰囲気が大気圧雰囲気である、上記[7]に記載の透明積層体の製造方法。
[9]前記硬化性樹脂組成物が光硬化性樹脂組成物であり、第2の工程において前記積層前駆体に光を照射して前記硬化性樹脂組成物を硬化させる、上記[7]または[8]に記載の透明積層体の製造方法。
本発明の硬化性樹脂組成物によれば、透明性が良好であり、透明基板との密着性および耐引き裂き性に優れる硬化物を得ることができる。
本発明の透明積層体は、透明性が良好であり、透明基板と硬化樹脂の層との密着性および硬化樹脂の層の耐引き裂き性に優れる。
本発明の透明積層体の製造方法によれば、透明性が良好であり、透明基板と硬化樹脂の層との密着性および硬化樹脂の層の耐引き裂き性に優れる透明積層体を製造できる。
透明積層体の製造における一工程を示す断面図である。
本明細書におけるCH=C(R)C(O)O−(ただし、Rは水素原子またはメチル基を表す。)で表される硬化性官能基は、アクリロイルオキシ基(Rが水素原子の場合)またはメタクリロイルオキシ基(Rがメチル基の場合)であり、以下に該式で表される基を(メタ)アクリロイルオキシ基ともいう。同様に、「アクリレート」と「メタクリレート」の総称として、「(メタ)アクリレート」を用いる。
<硬化性樹脂組成物>
本発明の硬化性樹脂組成物は、不飽和ウレタンオリゴマー(A)を含む硬化性樹脂組成物であり、一対の透明基板の間に狭持された硬化性樹脂組成物を硬化させて透明積層体を製造する方法に用いられる硬化性樹脂組成物として好適なものである。
(不飽和ウレタンオリゴマー(A))
不飽和ウレタンオリゴマー(A)は、ポリオール成分(A1)とポリイソシアネート(A2)と不飽和ヒドロキシ化合物(A3)との反応生成物であって、硬化性官能基を1分子あたり平均2〜4個有する不飽和ウレタンオリゴマーである。以下、不飽和ウレタンオリゴマー(A)をオリゴマー(A)ともいう。
不飽和ウレタンオリゴマー(A)は、硬化性官能基(すなわち(メタ)アクリロイルオキシ基)を1分子あたり平均2〜4個有する。1分子中に複数存在する硬化性官能基は異なっていてもよい(すなわち、1分子中にアクリロイルオキシ基とメタクロイルオキシ基が存在してもよい)。しかし、通常は、1分子中の複数の硬化性官能基は同一の硬化性官能基であることが好ましく、オリゴマー(A)中の硬化性官能基はアクリロイルオキシ基であることが好ましい。オリゴマー(A)中の硬化性官能基は、オリゴマー(A)が高分子量であることから反応性が低くなりやすく、相対的に低分子量のモノマー類と併用した場合、両者の硬化性官能基の反応性の差を少なくするためには、オリゴマー(A)の硬化性官能基の反応性が高いことが好ましい。そのため、オリゴマー(A)の硬化性官能基としては、メタクリロイルオキシ基よりも反応性の高いアクリロイルオキシ基が好ましい。
オリゴマー(A)の1分子あたりの平均硬化性官能基数は、2〜4であり、2〜3が好ましい。オリゴマー(A)の1分子あたりの平均硬化性官能基数が2以上であれば、硬化物が高温にさらされても変形しにくい。オリゴマー(A)の1分子あたりの平均硬化性官能基数が4以下であれば、硬化物が脆くなりにくい。
オリゴマー(A)の1分子あたりの平均硬化性官能基数は、後述するポリオール成分(A1)の水酸基数、ポリイソシアネート(A2)のイソシアネート基数、不飽和ヒドロキシ化合物(A3)の硬化性官能基数および水酸基数により調整される。ポリイソシアネート(A2)としてはイソシアネート基数が2であるジイソシアネートが好ましいこと、不飽和ヒドロキシ化合物(A3)としては硬化性官能基数が1である不飽和モノオールが好ましいことから、これらを用いて得られるオリゴマー(A)の1分子あたりの平均硬化性官能基数は、通常、ポリオール成分(A1)1分子あたりの平均水酸基数とほぼ同じとなる。たとえば、ポリオール成分(A1)としてジオールのみを用いることにより1分子あたりの平均硬化性官能基数が2のオリゴマー(A)が得られる。同様に、ポリオール成分(A1)としてジオールとトリオールを用いることにより平均硬化性官能基数が2と3の間の数のオリゴマー(A)が得られ、ポリオール成分(A1)としてトリオールのみを用いることにより平均硬化性官能基数が3のオリゴマー(A)が得られる。
オリゴマー(A)は、前記3種の原料化合物の反応生成物であり、その反応生成物を得る方法としては、たとえば、下記(1)〜(3)の方法が挙げられ、(3)の方法が好ましい。
(1)ポリオール成分(A1)、ポリイソシアネート(A2)および不飽和ヒドロキシ化合物(A3)を同時反応させる方法。
(2)ポリイソシアネート(A2)と不飽和ヒドロキシ化合物(A3)とを化学量論的にイソシアネート基が過剰の条件で反応させた後、得られた反応物にさらにポリオール成分(A1)を反応させる方法。
(3)ポリオール成分(A1)とポリイソシアネート(A2)とを化学量論的にイソシナネート基が過剰の条件で反応させた後、得られた反応物にさらに不飽和ヒドロキシ化合物(A3)を反応させる方法。
(3)の方法としては、下記の工程(3−1)、工程(3−2)を有する方法が挙げられる。
(3−1)必要に応じてウレタン化触媒の存在下、ポリオール成分(A1)とポリイソシアネート(A2)を化学量論的にイソシアネート基が過剰な条件で反応させ、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを得る工程。
(3−2)必要に応じて重合禁止剤の存在下、不飽和ヒドロキシ化合物(A3)をイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの末端のイソシアネート基と反応させる工程。
工程(3−1):
ウレタン化触媒としては、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、ジブチル錫ジラウレート、2−エチルヘキサン酸錫、トリエチルアミン、1,4−ジアビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
ポリオール成分(A1)とポリイソシアネート(A2)との割合は、イソシアネート基:水酸基のモル比が1.2:1〜3:1となる割合が好ましく、1.2:1〜2:1となる割合がより好ましい。反応温度は、通常のウレタン化反応における温度、すなわち30〜90℃が好ましい。
工程(3−2):
重合禁止剤としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−tert−ブチル−ヒドロキノン、o−ニトロトルエン等が挙げられる。重合禁止剤の量は、不飽和ヒドロキシ化合物(A3)に対して50〜5,000ppmが好ましい。
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと不飽和ヒドロキシ化合物(A3)との割合は、イソシアネート基:水酸基のモル比が1:1〜1:1.5となるような割合が好ましい。反応温度は、30〜90℃が好ましい。
なお、(1)の方法でオリゴマー(A)を得る場合は、ポリイソシアネート(A2)とポリオール成分(A1)および不飽和ヒドロキシ化合物(A3)とを、イソシアネート基:水酸基のモル比が0.8:1〜2:1となるような割合で使用するのが好ましい。
(ポリオール成分(A1))
ポリオール成分(A1)は、ポリオール(a1)とポリオール(a2)とを必須成分として含むポリオール成分であり、必要に応じて他のポリオール(a3)を含んでいてもよい。
(ポリオール(a1))
ポリオール(a1)は、活性水素数が2の開始剤にモノエポキサイドを反応させて得られた、水酸基価が15〜40mgKOH/gであるポリオキシアルキレンポリオールである。
ポリオール(a1)は、オキシアルキレン基からなるポリオキシアルキレン鎖を有するポリオールであり、触媒の存在下、開始剤にモノエポキサイドを反応させて得られるポリオキシアルキレンポリオールであることが好ましい。特に、複合金属シアン化物錯体を触媒として、開始剤にアルキレンオキサイドを反応させて得られたポリオキシアルキレンポリオールが好ましい。ポリオール(a1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
触媒としては、ジエチル亜鉛、塩化鉄、金属ポルフィリン、複合金属シアン化物錯体、セシウム化合物、アルカリ(土類)金属化合物等が挙げられ、複合金属シアン化物錯体が好ましい。汎用のアルカリ金属化合物触媒(水酸化カリウム等。)を用いてプロピレンオキサイドを反応させて水酸基価の低いポリオキシアルキレンポリオールを得ると、プロピレンオキサイドの異性化反応が起こりやすくなり、不飽和度が高くなる。不飽和度の高いポリオキシアルキレンポリオールを用いて得られるオリゴマー(A)を含む硬化物は機械的物性が不充分となるおそれがある。ポリオール(a1)の不飽和度(USV)は0.05meq/g以下が好ましい。
複合金属シアン化物錯体としては、亜鉛ヘキサシアノコバルテートを主成分とする錯体が好ましく、亜鉛ヘキサシアノコバルテートのエーテルおよび/またはアルコール錯体が特に好ましい。亜鉛ヘキサシアノコバルテートのエーテルおよび/またはアルコール錯体としては、特公昭46−27250号公報に記載のものが挙げられる。エーテルとしては、エチレングリコールジメチルエーテル(グライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル等が好ましく、錯体の製造時の取り扱いやすさの点から、グライムが特に好ましい。アルコールとしては、tert−ブタノール、tert−ブチルセロソルブ等が好ましい。
開始剤の活性水素数は、2である。活性水素とは、水酸基の水素原子、アミノ基の水素原子等、モノエポキサイドが反応しうる活性な水素原子をいう。活性水素としては、水酸基の水素原子が好ましい。したがって、開始剤としては、水酸基数が2のポリヒドロキシ化合物が好ましい。開始剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、これらにアルキレンオキサイドを反応させて得られる、ポリオール(a1)よりも低分子量のポリオキシアルキレンポリオール等が挙げられる。複合金属シアン化物錯体を使用する場合、開始剤の分子量は500〜1,500が好ましい。開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
モノエポキサイドは、1個のエポキシ環を有する化合物である。モノエポキサイドとしては、アルキレンオキサイド、グリシジルエーテル、グリシジルエステル等が挙げられ、アルキレンオキサイドが好ましい。アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等が挙げられ、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドが好ましい。モノエポキサイドは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリオール(a1)としては、モノエポキサイドとしてプロピレンオキサイドのみを用いて得られるポリオキシプロピレンポリオール、またはモノエポキサイドとしてプロピレンオキサイドと少量のエチレンオキサイドを用いて得られるポリ(オキシプロピレン・オキシエチレン)ポリオールが好ましい。
ポリオール(a1)の1分子あたりの水酸基数は、2である。ポリオール(a1)の1分子あたりの水酸基数が2であれば、1分子あたりの平均硬化性官能基数が2〜4のオリゴマー(A)が容易に得られる。
ポリオール(a1)の水酸基価は、15〜40mgKOH/gであり、16.8〜30mgKOH/gが好ましい。ポリオール(a1)の水酸基価が15mgKOH/g以上であれば、硬化物の強度が良好となる。また、ポリオール(a1)の分子量が大きくなりすぎないため、ポリオール(a1)の粘度が大きくなりすぎず、作業性に問題が生じない。
ポリオール(a1)の水酸基価が40mgKOH/g以下であれば、硬化物の柔軟性が良好となる。
ポリオール(a1)の水酸基価は、JIS K1557−1(2007年版)にしたがって測定する。他のポリオールの水酸基価も同様である。
(ポリオール(a2))
ポリオール(a2)は、活性水素数が2または3の開始剤にモノエポキサイドを反応させて得られたポリオキシアルキレンポリオール、または水酸基を2または3つ有する多価アルコールであり、水酸基価が55〜1,830mgKOH/gであるポリオールである。
ポリオール(a2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリオキシアルキレンポリオールであるポリオール(a2)としては、触媒の存在下、開始剤にモノエポキサイドを反応させて得られるポリオキシアルキレンポリオールが好ましく、複合金属シアン化物錯体を触媒として、開始剤にアルキレンオキサイドを反応させて得られたポリオキシアルキレンポリオールが特に好ましい。
開始剤の活性水素数は、2または3である。活性水素としては、水酸基の水素原子が好ましい。したがって、開始剤としては、水酸基数が2または3のポリヒドロキシ化合物が好ましい。開始剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、これらにアルキレンオキサイドを反応させて得られる、ポリオール(a2)よりも低分子量のポリオキシアルキレンポリオール等が挙げられる。開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリオキシアルキレンポリオールとしては、モノエポキサイドとしてプロピレンオキサイドのみを用いて得られるポリオキシプロピレンポリオールが好ましい。
多価アルコールであるポリオール(a2)としては、アルキレングリコール、ジアルキレングリコール、アルカントリオールが好ましい。多価アルコールの炭素数は10以下が好ましい。多価アルコールとしては、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
ポリオール(a2)の1分子あたりの水酸基数は2またが3である。水酸基数が2または3であれば、1分子あたりの平均硬化性官能基数が2〜4のオリゴマー(A)が容易に得られる。
ポリオール(a2)の水酸基価は、55〜1,830mgKOH/gである。水酸基価が55mgKOH/g以上であるポリオール(a2)を加えることにより、透明基板(ガラス板)の表面の水酸基との親和性が向上し、硬化物と透明基板との密着性が向上する。また、分子の結合力上、強固な結合であるウレタン架橋密度が増えることにより、硬化物が強靭になる。ただし、ポリオール(a2)の水酸基価が1,830mgKOH/gを超えると、親水性が高くなり過ぎて単量体(B)等との相溶性が低下し、硬化物にヘイズが発生することがある。またウレタン架橋密度が著しく増加してしまうので、硬くて脆い硬化物が得られてしまう。
ポリオール(a2)の割合は、ポリオール(a1)の1モルに対して0.5〜3モルであり、1〜3モルが好ましい。ポリオール(a2)の割合が0.5モル以上であれば、硬化物の透明基板等との密着性が良好となる。また、ウレタン架橋密度が増えることにより、硬化物が強靭になる。ただし、ポリオール(a2)の割合が4モルを超えるとオリゴマー(A)の粘度が高くなり工業的に不利になる。また硬化物が硬くなりすぎて、脆くなる。
(ポリオール(a3))
ポリオール(a3)は、ポリオール(a1)、ポリオール(a2)のいずれでもないポリオールである。ポリオール(a3)としては、たとえば、水酸基数が3以上で、水酸基価が55mgKOH/g未満のポリオキシアルキレンポリオール等が挙げられる。また、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール等のポリオールが挙げられる。
ポリオール(a3)は必須成分ではなく、ポリオール(a3)を用いる場合はポリオール成分(A1)中のその質量割合は少量とする。ポリオール成分(A1)に対するポリオール(a3)の割合は25質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
(ポリイソシアネート(A2))
ポリイソシアネート(A2)としては、1分子あたりの平均イソシアネート基数が2以上の、脂環族系ポリイソシアネート、脂肪族系ポリイソシアネート、芳香環含有脂肪族系ポリイソシアネート、これらを変性して得られる変性ポリイソシアネート系等が挙げられる。芳香環に結合したイソシアネート基を有する芳香族系ポリイソシアネートは、硬化樹脂の黄変をもたらすおそれが大きいため、用いないことが好ましい。
ポリイソシアネート(A2)の1分子あたりの平均のイソシアネート基数は、2〜4が好ましく、2が特に好ましい。すなわち、ポリイソシアネート(A2)としては、ジイソシアネートが好ましい。ポリイソシアネート(A2)は、1種を単独でも用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリイソシアネート(A2)の具体例としては、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート等のジイソシアネート、該ジイソシアネートのプレポリマー変性体、ヌレート変性体、ウレア変性体、カルボジイミド変性体等が挙げられ、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートが特に好ましい。
(不飽和ヒドロキシ化合物(A3))
不飽和ヒドロキシ化合物(A3)は、硬化性官能基と水酸基とを有する化合物であり、1分子中に硬化性官能基が2以上存在していてもよく、1分子中に水酸基が2以上存在していてもよい。硬化性官能基を平均2〜4個有するオリゴマー(A)を製造するためには1分子中に硬化性官能基と水酸基をそれぞれ1つ有する化合物が好ましい。
不飽和ヒドロキシ化合物(A3)としては、炭素数が1〜10のヒドロキシアルキルを有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数が1〜5のヒドロキシアルキルを有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートがより好ましい。反応性の高いオリゴマー(A)を得るためには硬化性官能基はアクリロイルオキシ基であることが好ましい。したがって、不飽和ヒドロキシ化合物(A3)としては、炭素数が1〜5のヒドロキシアルキルを有するヒドロキシアルキルアクリレートがさらに好ましい。
不飽和ヒドロキシ化合物(A3)の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられ、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが好ましく、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートが特に好ましい。不飽和ヒドロキシ化合物(A3)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(その他の成分)
不飽和ウレタンオリゴマー(A)を含む硬化性樹脂組成物は、接着剤、コーティング剤、その他の用途に用いることができる。硬化性樹脂組成物には、用途に応じて種々の添加剤を添加できる。硬化性樹脂組成物を硬化させるための硬化剤の配合は通常必須であり、硬化剤としてはラジカル発生剤や光重合開始剤が好ましい。熱によりラジカルを発生する硬化剤が配合された硬化性樹脂組成物は熱硬化型となり、光重合開始剤が配合された硬化性樹脂組成物は光硬化型となる。
不飽和ウレタンオリゴマー(A)を含む硬化性樹脂組成物には、硬化物の物性調整のために後述する単量体(B)、他の単量体(F)等の単量体が配合されることが好ましい。
単量体としては、硬化性官能基の数が1〜6である化合物が好ましく、硬化性官能基の数が1〜2である化合物がより好ましい。硬質の硬化物を得る点では、硬化性官能基の数が3〜6である化合物が好ましい。また、硬化性樹脂組成物の塗布性を高める点から、単量体としては、低粘度の化合物が好ましい。粘度の低い単量体は反応性希釈剤と呼ばれることもある。さらに、後述の他のオリゴマー(E)等の上記単量体以外の硬化性化合物を配合してもよい。
硬化性樹脂組成物には反応に関与しない各種添加剤を配合してもよい。該添加剤としては、たとえば、後述の添加剤(G)等が挙げられる。また、塗布性を高めるために、硬化性樹脂組成物の構成成分以外の成分として溶剤を用いてもよい。溶剤を用いて硬化性樹脂組成物を塗布し、その後溶剤を除いて硬化性樹脂組成物を硬化させる。ただし、後述の透明積層体の製造に好適な硬化性樹脂組成物としては、揮発性成分を有することは好ましくないので、溶剤は用いない。
(透明積層体の製造に好適な硬化性樹脂組成物)
本発明の、一対の透明基板の間に狭持された硬化性樹脂組成物を硬化させて透明積層体を製造する方法に用いられる硬化性樹脂組成物は、オリゴマー(A)と単量体(B)とを必須成分として含み、単量体(C)および/または光重合開始剤(D)をさらに含むことが好ましく、必要に応じて他のオリゴマー(E)、他の単量体(F)、添加剤(G)等をさらに含んでいてもよい。
オリゴマー(A)の割合は、硬化性樹脂組成物100質量%のうち、20〜60質量%が好ましく、30〜50質量%がより好ましい。オリゴマー(A)の割合が20質量%以上であれば、硬化物が高温にさらされても変形しにくい。オリゴマー(A)の割合が75質量%以下であれば、硬化物が脆くなりにくい。
単量体(B)の割合は、硬化性樹脂組成物100質量%のうち、25〜50質量%が好ましく、35〜40質量%がより好ましい。単量体(B)の割合が25質量%以上であれば、硬化物の透明基板との密着性および耐引き裂き性が良好となる。
単量体(C)を含ませる場合の割合は、硬化性樹脂組成物100質量%のうち、3〜50質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましい。単量体(C)の割合が3質量%以上であれば、硬化物の柔軟性が良好となる。
光重合開始剤(D)を含ませる場合の量は、オリゴマー(A)100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.1〜2.5質量部がより好ましい。
他の成分(他のオリゴマー(E)、他の単量体(F)、添加剤(G)等の合計)の割合は、硬化性樹脂組成物100質量%のうち、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
(単量体(B))
単量体(B)は、CH=C(R)C(O)O−Rで表される化合物(ただし、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは水酸基数が1〜2であり、炭素数が3〜4のヒドロキシアルキル基を表す。)である。単量体(B)は、硬化性組成物の硬化物の親水性を高めて硬化物と透明基材(ガラス板)の表面との親和性を向上させる成分として有効であり、単量体(B)を用いることにより硬化物と透明基板との密着性が向上する。また、硬化物の強度も向上する。
単量体(B)は、ヒドロキシアルキル基またはジヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリレートであり、オリゴマー(A)との反応を均一に進めるためにはメタクリレートであることが好ましい。すなわち、オリゴマー(A)の硬化性官能基はたとえアクリロイルオキシ基であっても反応性が低く、単量体(B)の硬化性官能基がアクリロイルオキシ基であると両硬化性官能基の反応性の差が大きくなり、均一な硬化が得られないおそれがある。よって、オリゴマー(A)の硬化性官能基がアクリロイルオキシ基であり、単量体(B)の硬化性官能基がメタクリロイルオキシ基である組み合わせが好ましい。単量体(B)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体(B)の水酸基数が2を超えると、硬化物の親水性はより高くなるが、硬化物がより硬くなり、脆くなりやすい。したがって、Rの水酸基数は1〜2であり、1がより好ましい。
の炭素数が3未満では、水酸基密度が高くなりやすく、長鎖構造のオリゴマー(A)と組み合わせて硬化性樹脂組成物を得た場合に、硬化反応の過程で一部相分離が生じやすくなり、硬化物にヘイズが発生し、透明性が低下しやすい。Rの炭素数が4を超えると、水酸基密度が低下し、充分な密着性が得られなくなる場合がある。したがって、Rの炭素数は3〜4である。
単量体(B)としては、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等が挙げられ、2−ヒドロキシブチルメタクリレートが好ましい。
(単量体(C))
単量体(C)は、CH=C(R)C(O)O−Rで表される化合物(ただし、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは炭素数が8〜22のアルキル基を表す。)である。単量体(B)と同様の理由により単量体(C)はメタクリレートであることが好ましいが、単量体(C)は単量体(B)よりも高分子量であることから、場合によりアクリレートであってもよい。単量体(C)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化性樹脂組成物が単量体(C)を含むことにより、硬化物の弾性率が低下し、耐引き裂き性が向上しやすい。また、アルキル基の炭素数が8以上であれば、揮発性が少なく、また硬化物のガラス転移温度を低下させることができる。アルキル基の炭素数が22以下であれば、原料のアルコール成分を天然物経由で容易に入手でき、より工業的である。
単量体(C)としては、n−ドデシルメタクリレート、n−オクタデシルメタクリレート、n−ベヘニルメタクリレート等が挙げられ、n−ドデシルメタクリレート、n−オクタデシルメタクリレートが特に好ましい。
(光重合開始剤(D))
本発明の硬化性樹脂組成物が光重合開始剤(D)を含むことにより、光硬化性樹脂組成物となる。
光重合開始剤(D)としては、可視光線または紫外線(波長300〜400nm)の照射により励起され、活性化して硬化反応を促進するものが好ましく、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、α−ヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤等が挙げられる。
光重合開始剤(D)の具体例としては、ベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4、4’−ジメトキシベンゾフェノン、4、4’−ジアミノベンゾフェノン、アセトフェノン、3−メチルアセトフェノン、ベンゾイル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、アントラキノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられ、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が好ましく、微量の添加においても充分に硬化性樹脂組成物を硬化できる点から、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤が特に好ましい。光重合開始剤(D)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(他のオリゴマー(E))
本発明の硬化性樹脂組成物は、得られる硬化物の物性を調整する目的で、オリゴマー(A)以外の他のオリゴマー(E)を少量含んでいてもよい。
他のオリゴマー(E)としては、ポリオール成分(A1)以外のポリオールを用いて得られるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリオキシアルキレンポリオールのポリ(メタ)アクリレート、ポリエステルポリオールのポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(他の単量体(F))
本発明の硬化性樹脂組成物は、得られる硬化物の物性を調整する目的で、単量体(B)および単量体(C)以外の他の単量体(F)((メタ)アクリレート類等)を少量含んでいてもよい。他の単量体(F)としては、多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ただし、後述の減圧積層方法で透明積層体を製造する場合は、硬化性樹脂組成物が低沸点の化合物を含むことは好ましくない。周辺をシールした一対の透明基板の間に液状の硬化性樹脂組成物を注入して硬化させる方法では、たとえ透明基板の間を減圧にして注入する場合であっても、注入時に減圧にさらされる硬化性樹脂組成物の表面の面積は狭く、また、減圧度もさほど高くする必要がないことから、硬化性樹脂組成物が比較的低沸点の化合物を含んでいてもその揮発が問題となることは少ない。一方、減圧積層方法では、透明基板の周縁部を除くほぼ全面に硬化性樹脂組成物が広がった状態で減圧にさらされることから、硬化性樹脂組成物が低沸点の化合物を含んでいるとその揮発による消失が激しく、硬化性樹脂組成物の組成が大きく変化するおそれがある。加えて、揮発性化合物の揮発により必要な減圧度の減圧雰囲気を維持することが困難となる。
硬化性樹脂組成物中の低沸点となりやすい成分は主に単量体である。単量体(B)は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートであり、その沸点は充分に高い。また、単量体(C)は、アルキル(メタ)アクリレートであってもアルキル基の炭素数が大きいことより高い沸点を有する。アルキル基の炭素数の低いアルキル(メタ)アクリレートは低沸点であることが多く、このような低沸点のアルキル(メタ)アクリレートを他の単量体(F)として含む硬化性樹脂組成物は、減圧積層方法で透明積層体を製造するための硬化性樹脂組成物として用いることができない。減圧積層方法に用いることができる硬化性樹脂組成物は、常圧の沸点が150℃以下、好ましくは200℃以下の単量体を含まないことが好ましい。
(添加剤(G))
添加剤(G)としては、紫外線吸収剤(ベンゾトリアゾール系、ヒドロキシフェニルトリアジン系等。)、光安定剤(ヒンダードアミン系等。)、顔料、染料、金属酸化物微粒子、フィラー等が挙げられる。
(硬化性樹脂組成物の粘度)
本発明の、透明積層体を製造する方法に用いられる硬化性樹脂組成物の粘度は、他の用途に使用できる本発明の硬化性樹脂組成物の粘度も同様に、40℃での粘度V40で50Pa・s以下であることが好ましい。また、25℃での粘度V25は0.05Pa・s以上であることが好ましい。
粘度測定は、E型粘度計(東機産業社製、RE−85U)を用いて測定する。ただし、硬化性樹脂組成物の粘度が100Pa・s以下の場合は、ロータとして1°34’×R24を用い、それ以上の粘度の場合は、ロータとして3°×R9.7を用いる。
粘度V40が50Pa・sを超えると流動性が低下し、たとえ後述する減圧積層方法に用いる場合であっても硬化性樹脂組成物中に消失しにくい気泡が生成しやすい。ただし、硬化性樹脂組成物を、溶剤を用いることができる用途に用いる場合は、溶剤を配合して流動性を高めて塗布等を行い、その後溶剤を除いて得られる硬化性樹脂組成物を硬化させることができる。硬化性樹脂組成物のV25を0.05Pa・s未満とするためには通常多量の低分子量の単量体を必要とすることから、硬化物の物性が低下しやすい。また、通常低分子量の単量体は低沸点であることから、後述する減圧積層方法に用いることは困難となりやすい。
以上説明した本発明の、透明積層体を製造する方法に用いられる硬化性樹脂組成物にあっては、上述した特定のポリオール成分(A1)を用いて得られた特定の不飽和ウレタンオリゴマー(A)と、特定の単量体(B)とを含んでいるため、該組成物を硬化した場合には、透明性が良好であり、透明基板との密着性および耐引き裂き性に優れる硬化物となる。
<透明積層体>
本発明の透明積層体は、一対の透明基板と、該透明基板の間に挟まれた硬化樹脂の層とを有する。
透明基板としては、ガラス板または樹脂板が挙げられる。ガラス板を用いれば、合わせガラスが得られる。樹脂板としてポリカーボネート板を用いれば、衝撃性が高く軽量な透明パネルが得られる。また、ガラス板と樹脂板とを組み合わせて用いてもよい。
透明基板の大きさは、特に限定されないが、300mm以上、より好ましくは600mm以上の辺を少なくとも1つ有する透明基板であれば、建築用や車両用の開口部に設置する透明部材として広く利用できる。通常の用途においては、4m以下の大きさが適当である。
硬化樹脂の層は、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物からなる層である。
硬化樹脂の層の厚さは、0.2〜4.0mmが好ましい。硬化樹脂の層の厚さが0.2mm以上であれば、透明積層体の機械的強度が良好となる。
以上説明した本発明の透明積層体にあっては、透明基板の間に挟まれた硬化樹脂の層が本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物からなるため、透明性が良好であり、透明基板と硬化樹脂の層との密着性および硬化樹脂の層の耐引き裂き性に優れる。
<透明積層体の製造方法>
本発明の透明積層体は、公知の製造方法(たとえば、一対の透明基板の間に硬化性樹脂組成物を狭持させ、該硬化性樹脂組成物を硬化させる方法等。)によって製造でき、減圧積層方法による製造方法によって製造することが好ましい。減圧積層方法自体は、国際公開第08/081838号パンフレットや国際公開第09/016943号パンフレットに記載されている。
減圧積層方法の特徴は、1枚の透明基板上に硬化性樹脂組成物の層を形成し、減圧雰囲気下で硬化性樹脂組成物の層の上にもう1枚の透明基板を重ねて2枚の透明基板の間に硬化性樹脂組成物を密閉し、その後前記減圧雰囲気よりも高い圧力雰囲気(通常は大気圧雰囲気)に置いて硬化性樹脂組成物を硬化させることにある。このため、本発明の透明積層体の製造方法は下記第1の工程と第2の工程とを必須とする。
第1の工程:減圧雰囲気中で、一対の透明基板間に硬化性樹脂組成物を内部に収容した密閉空間を形成して、一対の透明基板と該一対の透明基板間に密閉された前記硬化性樹脂組成物とを有する積層前駆体を製造する工程。
第2の工程:前記積層前駆体を、前記減圧雰囲気よりも圧力が高い雰囲気に置き、その雰囲気下で前記硬化性樹脂組成物を硬化させる工程。
第1の工程における減圧雰囲気は、1kPa以下の圧力雰囲気が好ましく、100Pa以下の圧力雰囲気がより好ましい。また、減圧雰囲気の圧力があまりに低すぎると単量体等の硬化性樹脂組成物の揮発のおそれが生じることから、減圧雰囲気は、1Pa以上の圧力雰囲気が好ましく、10Pa以上の圧力雰囲気がより好ましい。
第2の工程における、上記減圧雰囲気よりも圧力が高い雰囲気としては、50kPa以上の圧力雰囲気が好ましく、100kPa以上の圧力雰囲気がより好ましい。第2の工程における圧力雰囲気は、通常、大気圧雰囲気である。以下、上記減圧雰囲気よりも圧力が高い雰囲気が大気圧雰囲気である場合を例としてこの製造方法を説明する。
第1の工程において、密閉空間内の硬化性樹脂組成物に気泡が残存しても硬化性樹脂組成物が硬化する前にその気泡は消失しやすく、気泡のない硬化樹脂の層が得られやすい。
第1の工程で形成された積層前駆体を大気圧下に置くと、大気圧下の透明基板からの圧力により密閉空間内の硬化性樹脂組成物にも圧力がかかる。一方、硬化性樹脂組成物中の気泡内部は第1の工程の減圧雰囲気圧力にあることから、第2の工程では硬化性樹脂組成物にかかる圧力によりこの気泡の体積が縮小し、また気泡内の気体が硬化性樹脂組成物に溶解することにより、気泡が消失するに至る。気泡を消失させるために、硬化性樹脂組成物を硬化させる前に積層前駆体をしばらく大気圧下に保持することが好ましい。保持時間は5分以上が好ましいが、気泡がない場合や気泡が微小で速やかに消失する場合などでは保持時間はさらに短時間であってもよい。
第1の工程において、減圧雰囲気は密閉空間を形成する段階で必要とし、それ以前の段階では必要としない。たとえば、一方の透明基板の一方の面の周辺部全周に所定の厚さのシール材を設け、シール材に囲まれた透明基板表面に硬化性樹脂組成物を供給して硬化性樹脂組成物の層を形成する場合、これらの段階では大気圧雰囲気で行うことができる。密閉空間の形成は以下のように行うことが好ましい。
上記で得られた硬化性樹脂組成物の層を有する透明基板と、他方の透明基板とを減圧チャンバーに入れ、所定の配置とする。すなわち、硬化性樹脂組成物の層を有する透明基板は、硬化性樹脂組成物の層を上にして水平な定盤上に乗せ、他方の透明基板は上下しうるシリンダーの先に取り付けられた水平な定盤の下面に取り付け、硬化性樹脂組成物の層が他方の透明基板に接触させることなく、両透明基板を平行に位置させる。その後減圧チャンバーを閉じて排気し、減圧チャンバー内を所定の減圧雰囲気とする。減圧チャンバー内が所定の減圧雰囲気となった後、シリンダーを作動させて両透明基板を硬化性樹脂組成物の層を介して重ね、両透明基板とシール材で囲まれた空間内に硬化性樹脂組成物を密閉し、積層前駆体を形成する。積層前駆体を形成後、減圧チャンバー内を大気圧雰囲気の戻し、減圧チャンバーから積層前駆体を取り出す。
両透明基板とシール材との密着強度は、積層前駆体を大気圧下に置いたとき、透明基板とシール材の界面から気体が進入しない程度であればよい。たとえば、シール材表面に感圧接着剤の層を設けて透明基板とシール材とを密着させることができる。また必要な場合は、透明基板とシール材の界面に硬化性の接着剤を設け、またはシール材を硬化性の樹脂で形成し、積層前駆体を形成した後、減圧チャンバー内でまたは減圧チャンバーから取り出した後にこれら接着剤や硬化性樹脂を硬化させて透明基板とシール材との密着強度を高めることができる。
第2の工程は、前記積層前駆体を大気圧下で硬化性樹脂組成物を硬化させる工程である。硬化性樹脂組成物は熱硬化性の硬化性樹脂である場合は熱硬化させる。より好ましくは、硬化性樹脂組成物として光硬化性樹脂組成物を用い、光硬化させる。光硬化は紫外線ランプ等の光源から光を、透明基板を通して照射することによって行うことができる。前記のように、積層前駆体を大気圧下でしばらく保持した後、硬化性樹脂組成物を硬化させることが好ましい。硬化性樹脂組成物を硬化させることにより硬化性樹脂組成物は硬化樹脂となって前記のような透明積層体が得られる。
以下に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
例1〜9は、実施例であり、例10〜13は、比較例である。
(ヘイズ値)
透明積層体の硬化樹脂の層が存在する部分の透明性の評価としてヘイズ値を測定した。ヘイズ値は、ヘイズガードII(東洋精機製作所社製)を用い、ASTM D1003に準じて測定した。
(密着性)
透明積層体の一方の透明基板の一部を除去して硬化樹脂の層を露出させ、他方の透明基板に密着した長さ30mm×幅10mmの硬化樹脂の層を試験片とし、該試験片を、長さ10mmを残して透明基板から引き剥がす際の密着強度を、試験機としてボンドテスター(SESHIN社製、SS−15KP)を用い、測定温度:25℃、相対湿度:50%、標線間:20mm、引張速度:50mm/minの条件にて測定した。
(耐引き裂き性)
透明積層体の一方の透明基板の一部を除去して硬化樹脂の層を露出させ、他方の透明基板から硬化樹脂の層の一部(10mm×30mm程度の大きさ)を剥離して試験片とした。得られた試験片の長辺のほぼ中央に約1mmの切れ目を入れて引き裂く操作を、ボンドテスター(SESHIN社製、SS−15KP)を用い、測定温度:25℃、相対湿度:50%、標線間:20mm、引張速速度:50mm/minの条件にて行い、樹脂を上下からの応力にて破断するときの抵抗力を強度として測定した。
また、柔軟性の指標として、破断時の歪み(以下、破断歪みという。)を測定した。
(粘度)
E型粘度計(東機産業社製、RE−85U)を用いて硬化性組成物の25℃での粘度V25を測定した。ただし、組成物の粘度が100Pa・s以下の場合は、ロータとして1°34’×R24を用い、それ以上の粘度の場合は、ロータとして3°×R9.7を用いた。
(ポリオール(c−1))
亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライム錯体を触媒とし、開始剤にプロピレンオキサイドを反応させ、ついでエチレンオキサイドを反応させた。触媒を失活させた後、精製して、表1に示すポリオール(c−1)を得た。
(ポリオール(c−2))
亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライム錯体を触媒とし、開始剤にプロピレンオキサイドを反応させた。触媒を失活させた後、精製して、表1に示すポリオール(c−2)を得た。
(ポリオール(d−1))
亜鉛ヘキサシアノコバルテート−tert−ブタノール錯体を触媒とし、開始剤にプロピレンオキサイドを反応させた。触媒を失活させた後、精製して、表1に示すポリオール(d−1)を得た。
(ポリオール(d−2))
純正化学社製のエチレングリコール(ポリオール(d−2))を用意した。
(ポリオール(d−3))
関東化学社製のグリセリン(ポリオール(d−3))を用意した。
Figure 2011001543
(ポリオール成分(b−1)〜(b−4)、(b−7))
表2に示すモル比で、ポリオール(c−1)とポリオール(d−1)〜(d−3)とを混合し、ポリオール成分(b−1)〜(b−4)、(b−7)を得た。
(ポリオール成分(b−5)、(b−6))
ポリオール(c−1)、(c−2)を単独で用いて、それぞれポリオール成分(b−5)、(b−6)とした。
Figure 2011001543
〔例1〕
ポリオール成分(b−1)の100質量部(0.05モル)にイソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと記す。)の13.2質量部(0.06モル)を加え、ジブチル錫ジラウレート(以下、DBTDLと記す。)の0.01質量部の存在下、80℃で4時間反応させ、ウレタンプレポリマーを得た。該ウレタンプレポリマーにDBTDLの0.05質量部、ヒドロキノンモノメチルエーテル(以下、HQMEと記す。)の0.05質量部を加え、50℃にて2−ヒドロキシエチルアクリレート(以下、HEAと記す。)の2.4質量部(0.02モル)を加え、60℃で撹拌し、JIS K1603−1に則ったNCO滴定にてイソシアネート基含有率の測定を行いながら、イソシアネート基がなくなるまで反応を行い、ウレタンアクリレートオリゴマー(オリゴマー(e−1))を得た。
オリゴマー(e−1)の40質量部、2−ヒドロキシブチルメタクリレート(以下、HBMAと記す。)の40質量部、n−ドデシルメタクリレート(以下、DMAと記す。)の20質量部を混合し、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(以下、HCHPKと記す。)の1質量部を加え、光硬化性樹脂組成物を調製した。
〔例2〕
ポリオール成分(b−2)の100質量部(0.05モル)にIPDIの17.0質量部(0.065モル)を加え、DBTDLの0.01質量部の存在下、80℃で4時間反応させ、ウレタンプレポリマーを得た。該ウレタンプレポリマーにDBTDLの0.05質量部、HQMEの0.05質量部を加え、50℃にてHEAの4.5質量部(0.03モル)を加え、60℃で撹拌し、JIS K1603−1に則ったNCO滴定にてイソシアネート基含有率の測定を行いながら、イソシアネート基がなくなるまで反応を行い、ウレタンアクリレートオリゴマー(オリゴマー(e−2))を得た。
オリゴマー(e−2)の40質量部、HBMAの40質量部、DMAの20質量部を混合し、HCHPKの1質量部を加え、光硬化性樹脂組成物を調製した。
〔例3〕
ポリオール成分(b−2)の代わりに、ポリオール成分(b−3)を用いた以外は、例2と同様にして光硬化性樹脂組成物を調製した。
〔例4〕
ポリオール成分(b−2)の代わりに、ポリオール成分(b−4)を用いた以外は、例2と同様にして光硬化性樹脂組成物を調製した。
〔例5〕
ポリオール成分(b−4)の100質量部(0.05モル)にヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIと記す。)の6.2質量部(0.06モル)を加え、DBTDLの0.01質量部の存在下、80℃で4時間反応させ、ウレタンプレポリマーを得た。該ウレタンプレポリマーにDBTDLの0.05質量部、HQMEの0.05質量部を加え、50℃にてHEAの1.5質量部(0.02モル)を加え、60℃で撹拌し、JIS K1603−1に則ったNCO滴定にてイソシアネート基含有率の測定を行いながら、イソシアネート基がなくなるまで反応を行い、ウレタンアクリレートオリゴマー(オリゴマー(e−5))を得た。
オリゴマー(e−5)の40質量部、HBMAの40質量部、DMAの20質量部を混合し、HCHPKの1質量部を加え、光硬化性樹脂組成物を調製した。
〔例6〕
オリゴマー(e−1)の30質量部、HBMAの30質量部、DMAの40質量部を混合し、HCHPKの1質量部を加え、光硬化性樹脂組成物を調製した。
〔例7〕
オリゴマー(e−1)の30質量部、HBMAの50質量部、DMAの20質量部を混合し、HCHPKの1質量部を加え、光硬化性樹脂組成物を調製した。
〔例8〕
オリゴマー(e−1)の50質量部、HBMAの40質量部、DMAの10質量部を混合し、HCHPKの1質量部を加え、光硬化性樹脂組成物を調製した。
〔例9〕
オリゴマー(e−1)の40質量部、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(以下、HPMAと記す。)の40質量部、DMAの20質量部を混合し、HCHPKの1質量部を加え、光硬化性樹脂組成物を調製した。
〔例10〕
ポリオール成分(b−5)の100質量部(0.05モル)にHDIの7.6質量部(0.065モル)を加え、DBTDLの0.01質量部の存在下、80℃で4時間反応させ、ウレタンプレポリマーを得た。該ウレタンプレポリマーにDBTDLの0.05質量部、HQMEの0.05質量部を加え、50℃にてHEAの2.0質量部(0.03モル)を加え、60℃で撹拌し、JIS K1603−1に則ったNCO滴定にてイソシアネート基含有率の測定を行いながら、イソシアネート基がなくなるまで反応を行い、ウレタンアクリレートオリゴマー(オリゴマー(e−6))を得た。
オリゴマー(e−6)の40質量部、HBMAの40質量部、DMAの20質量部を混合し、HCHPKの1質量部を加え、光硬化性樹脂組成物を調製した。
〔例11〕
ポリオール成分(b−5)の100質量部(0.05モル)にIPDIの6.8質量部(0.06モル)を加え、DBTDLの0.01質量部の存在下、80℃で4時間反応させ、ウレタンプレポリマーを得た。該ウレタンプレポリマーにDBTDLの0.05質量部、HQMEの0.05質量部を加え、50℃にてHEAの1.2質量部(0.02モル)を加え、60℃で撹拌し、JIS K1603−1に則ったNCO滴定にてイソシアネート基含有率の測定を行いながら、イソシアネート基がなくなるまで反応を行い、ウレタンアクリレートオリゴマー(オリゴマー(e−7))を得た。
オリゴマー(e−7)の40質量部、HBMAの40質量部、DMAの20質量部を混合し、HCHPKの1質量部を加え、光硬化性樹脂組成物を調製した。
〔例12〕
ポリオール成分(b−2)の代わりに、ポリオール成分(b−6)を用いた以外は、例2と同様にして光硬化性樹脂組成物を調製した。
〔例13〕
ポリオール成分(b−2)の代わりに、ポリオール成分(b−7)を用いた以外は、例2と同様にして光硬化性樹脂組成物を調製した。
(積層体の製造)
例1〜13で得られた各硬化性樹脂組成物を用いて合わせガラス(透明積層体)を製造した。製造方法を図1を用いて説明する。
各硬化性樹脂組成物は、容器に入れたまま開放状態で減圧チャンバー内に収容し、減圧チャンバー内を約200Pa・sに減圧して10分保持することで脱泡処理を行ってから用いた。
透明基板として、長さ:610mm、幅:610mm、厚さ:2mmのソーダライムガラスを2枚用意した。一方の透明基板の4辺の端部に沿って、厚さ:1mm、幅:10mmの両面接着テープ(シール材)を貼った後、該両面接着テープの上面の離型フィルムを除去した。
あらかじめウレタンアクリレートオリゴマー(共栄社化学社製、UF8001G)の100質量部とベンゾインイソプロピルエーテル(重合開始剤)の1質量部を均一に混合して調製したシール用紫外線硬化性樹脂を、前記両面接着テープの上面に、塗布厚さ約0.3mmでディスペンサーにて塗布し、シール用紫外線硬化性樹脂の層を形成した。
透明基板の両面接着テープを貼った面上の、両面接着テープで囲まれた領域内に硬化性樹脂組成物を、ディスペンサーを用いて総質量が380gとなるように複数個所に滴下した。
図1に示すように、両面接着テープ12(シール材)で囲まれた領域内に硬化性樹脂組成物14を滴下した透明基板10を、減圧チャンバー26内に水平に載置した。
他方の透明基板16を、減圧チャンバー26内の上定盤30に吸着パッド32を用いて保持させるとともに、透明基板10と平行に対向し、かつ透明基板10との距離が10mmとなるように保持させた。
減圧チャンバー26を密封状態とし、真空ポンプ28を作動させて減圧チャンバー26内が約30Paとなるまで排気した。このとき、硬化性樹脂組成物14は発泡が継続することはなかった。
シリンダー34によって上定盤30を降下させ、透明基板10と透明基板16とを2kPaの圧力で圧着し、1分間保持した。
約30秒で減圧チャンバー26内を大気圧に戻し、透明基板10と透明基板16とが硬化性樹脂組成物14の未硬化層を介して密着している積層前駆体を得た。
シリンダー34によって上定盤30を上昇させ、上定盤30の吸着パッド32に貼着している積層前駆体を上定盤30から剥離させた。
積層前駆体の外周部の両面接着テープ12が存在する部分に対して、透明基板16越しに高圧水銀ランプを光源とするファイバー光源から紫外線を照射し、両面接着テープ12の上面のシール用紫外線硬化性樹脂36を硬化させた。この後、積層前駆体を水平に保って約1時間静置した。
積層前駆体の両面方向から、均一に高圧水銀ランプにより、それぞれ1mW/cmの強度の紫外線を10分間照射して、硬化性樹脂組成物14を硬化させることにより透明積層体(合わせガラス)を得た。透明積層体の評価結果を表3に示す。
Figure 2011001543
表3の結果に示されるように、本発明にかかる例1〜9において、ヘイズ値が1.0%以下と透明な硬化性組成物が得られた。また、基材への密着性および耐引き裂き性のいずれも良好であった。本発明にかかる例1〜9において、透明性、基材への密着性および耐引き裂き性の良好なバランスの取れた透明積層体を得ることができた。特に例1においては、密着性においても強度においても著しい向上が図られており、合わせガラスに好適な透明積層体が得られた。
例10、11は、ポリオール成分(A1)がポリオール(a2)を含んでいないため、密着性が劣っていた。また、例10は、耐引き裂き性の強度も若干劣っていた。
例12は、水酸基価が大きいポリオールのみを含んでいるため、耐引き裂き性の破断歪みが低く、柔軟性が劣っていた。また、密着性も劣っていた。
例13は、硬化性樹脂組成物の粘度が高く、透明積層体を製造できなかった。
本発明の硬化性樹脂組成物は、合わせガラスの接着性樹脂層の原料として有用であり、本発明の透明積層体は、合わせガラス(風防ガラス、安全ガラス、防犯ガラス等。)、デイスプレイ用、太陽電池モジュール用等として有用である。
10 透明基板
12 両面接着テープ
14 硬化性樹脂組成物
16 透明基板
26 減圧チャンバー
28 真空ポンプ
30 上定盤
32 吸着パッド
34 シリンダー
36 シール用紫外線硬化性樹脂

Claims (9)

  1. 下記不飽和ウレタンオリゴマー(A)を含む、硬化性樹脂組成物。
    不飽和ウレタンオリゴマー(A):下記ポリオール成分(A1)とポリイソシアネート(A2)と下記不飽和ヒドロキシ化合物(A3)との反応生成物であって、下記硬化性官能基を1分子あたり平均2〜4個有する不飽和ウレタンオリゴマー。
    ポリオール成分(A1):下記ポリオール(a1)と、該ポリオール(a1)の1モルに対して0.5〜3モルの下記ポリオール(a2)とを含むポリオール成分。
    ポリオール(a1):活性水素数が2の開始剤にモノエポキサイドを反応させて得られた、水酸基価が15〜40mgKOH/gであるポリオキシアルキレンポリオール。
    ポリオール(a2):活性水素数が2または3の開始剤にモノエポキサイドを反応させて得られたポリオキシアルキレンポリオール、または水酸基を2または3つ有する多価アルコールであり、水酸基価が55〜1,830mgKOH/gであるポリオール。
    不飽和ヒドロキシ化合物(A3):下記硬化性官能基と水酸基とを有する化合物。
    硬化性官能基:CH=C(R)C(O)O−で表される基(ただし、Rは水素原子またはメチル基を表す)。
  2. 下記単量体(B)をさらに含む、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
    単量体(B):CH=C(R)C(O)O−Rで表される化合物(ただし、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは水酸基数が1〜2であり、炭素数が3〜4のヒドロキシアルキル基を表す)。
  3. 一対の透明基板の間に狭持された硬化性樹脂組成物を硬化させて透明積層体を製造する方法に用いられる硬化性樹脂組成物である、請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 下記単量体(C)をさらに含む、請求項3に記載の硬化性樹脂組成物。
    単量体(C):CH=C(R)C(O)O−Rで表される化合物(ただし、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは炭素数が8〜22のアルキル基を表す)。
  5. 光重合開始剤(D)をさらに含む、請求項3または4に記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 一対の透明基板と、該透明基板の間に挟まれた硬化樹脂の層とを有する透明積層体であって、
    前記硬化樹脂が、請求項3〜5のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物の硬化物である、透明積層体。
  7. 減圧雰囲気中で、一対の透明基板間に、請求項3〜5のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を内部に収容した密閉空間を形成して、一対の透明基板と該一対の透明基板間に密閉された前記硬化性樹脂組成物とを有する積層前駆体を製造する第1の工程と、
    前記積層前駆体を、前記減圧雰囲気よりも圧力が高い雰囲気に置き、その雰囲気下で前記硬化性樹脂組成物を硬化させる第2の工程と
    を有する、透明積層体の製造方法。
  8. 前記減圧雰囲気が100Pa以下の圧力雰囲気であり、前記減圧雰囲気よりも圧力が高い雰囲気が大気圧雰囲気である、請求項7に記載の透明積層体の製造方法。
  9. 前記硬化性樹脂組成物が光硬化性樹脂組成物であり、第2の工程において前記積層前駆体に光を照射して前記硬化性樹脂組成物を硬化させる、請求項7または8に記載の透明積層体の製造方法。
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