JP2011000747A - 耐プラズマ性を有する透明フィルム及びそれを使用した透明ガスバリア性フィルム - Google Patents

耐プラズマ性を有する透明フィルム及びそれを使用した透明ガスバリア性フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】プラズマ処理に付した後も、黄変せず、優れた透明性を示し、且つ経時劣化を起こしにくく、長期間にわたって層間の高い密接着性及び耐候性を示すことができる透明フィルム、及びそれを使用した透明ガスバリア性フィルムを提供する。
【解決手段】プラスチック材料からなる基材フィルム1の一方の面に、プライマー樹脂層2、及び耐プラズマ保護層3を順に設けた透明フィルムであって、該耐プラズマ保護層3が、一般式R1 nM(OR2mで表される1種又はそれ以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂とを含有し、更に、ゾルゲル法によって重縮合して得られる耐プラズマ性組成物による耐プラズマ性塗布膜からなる層である上記透明フィルム。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラスチック材料からなる基材フィルム上に、プライマー樹脂層、及び耐プラズマ保護層を順に設けた透明フィルム、特にプラズマ化学気相成長法(PE-CVD法)による無機酸化物蒸着膜の支持基材フィルムとして好適な透明フィルムに関する。さらに詳しくは、耐プラズマ性に優れ、層間の高い密接着性を示し、且つ透明性に優れた透明フィルムに関する。
プラズマ化学気相成長法により基材フィルム上に蒸着膜を形成し、蒸着フィルムを製造する工程において、基材フィルムは、高エネルギーのプラズマに暴露されるため、物理的及び化学的なダメージを受ける。その結果、当該方法により製造される蒸着フィルムは、経時劣化が進行し易くなる。したがって、このような蒸着フィルムを、ソーラーパネルやディスプレー等の製品においてガスバリア性フィルムとして用いる場合、基材フィルムと蒸着膜との密着強度が低下し易く、ガスバリア性を長期間にわたって提供することができない。また、プラスチックからなる基材フィルムは、プラズマ照射時に黄変を起こす。黄変を起こした基材フィルムを有する蒸着フィルムは、光線透過率が低い。したがって、高い透明性が要求される用途、例えばディスプレー用途に使用するには適しない。
基材フィルムをプラズマ処理から保護し、望まない物理的及び化学的変化を防ぐために、例えば特許文献1及び特許文献2には、プラズマ処理の前に、アクリル、ポリウレタン、ポリエステル、硝化綿等の樹脂と硬化剤とからなる耐プラズマ保護層を基材フィルム上に設けることが開示されている。しかしながら、これらの発明は、長期使用に伴うフィルム劣化及び耐候性低下に焦点を置くものではない。また、ここで開示される耐プラズマ保護層は、ソーラーパネル用途やディスプレー用途に使用するのに要求される高い耐黄変性を示すものではない。
また、特許文献3には、基材フィルム上に、物理気相成長法(PVD法)により蒸着膜を設け、次いでPE-CVD法により蒸着膜を設けることにより、PE-CVD法のプラズマ照射から基材フィルムを保護することが開示されている。この発明では、PVD法により設けられた蒸着膜が、耐プラズマ保護層として機能することにより、プラズマ照射による基材フィルムの黄変を防ぐ。しかしながら、該蒸着膜からなる耐プラズマ保護層自身が、プラズマ照射によるダメージを受け、経時劣化が進行し易くなる。したがって、ここで開示される蒸着フィルムは、長期間にわたって高温・高湿度環境下に置いた場合、層間の密着強度が低下し、高いガスバリア性を示すことができない。
特開2006−168340号公報 特許第3953598号公報 特開2007−303000号公報
上記の問題に対し、本発明は、プラズマ処理に付した後も黄変せず、優れた透明性を示し、且つ経時劣化を起こしにくく、長期間にわたって層間の高い密接着性及び耐候性を示すことができる透明フィルム、及びそれを使用した透明ガスバリア性フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究し、プラスチック材料からなる基材フィルムの一方の面に、プライマー樹脂層、及び耐プラズマ保護層を順に設けた透明フィルムであって、該耐プラズマ保護層が、一般式R1 nM(OR2m(ただし、式中、R1、R2は炭素数1〜8の有機基を表し、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を表す)で表される1種又はそれ以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及びエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂のいずれか一方又は両方とを含有し、更に、ゾルゲル法によって重縮合して得られる耐プラズマ性組成物による耐プラズマ性塗布膜からなる層である場合に、当該透明フィルムが、上記目的を達成することを見出した。
従来の、樹脂と硬化剤とからなる硬化性樹脂組成物を主体とした耐プラズマ保護層とは異なり、本発明の透明フィルムを構成する耐プラズマ保護層は、金属アルコキシドの加水分解・重縮合物からなる耐プラズマ性組成物による耐プラズマ性塗布膜からなる層である。本発明において、耐プラズマ保護層は、プラズマ処理によるエッチングやインプランテーションから基材フィルムを保護し、黄変を防ぎ、且つ、長期間にわたって優れた層間密着強度を保持する。本発明の透明フィルムは、プラズマ照射による影響から内部を保護するためのプラズマ遮断フィルムとして適用することができる。さらに、本発明の透明フィルムの耐プラズマ保護層側の面に、プラズマ化学気相成長法により無機酸化物蒸着膜を設けて透明ガスバリア性フィルムとする場合、耐プラズマ保護層と無機酸化物蒸着膜とが高い密接着性を示し、且つ、この密接着性は長期間にわたって保持される。したがって、本発明の透明ガスバリア性フィルムは、長期間にわたって高いガスバリア性を維持し続ける必要がある種々の用途に適用することができる。
本発明の透明フィルムの層構成の一例を示す概略的断面図である。 本発明の方法に使用する低温プラズマ化学気相成長装置の概略的構成図である。
本発明について、以下に図面等を用いてさらに詳しく説明する。以下、本明細書において使用される樹脂名は、業界において慣用されるものが用いられる。
<1>本発明の透明フィルムの層構成
まず、本発明の透明フィルムの層構成について説明する。
図1は、本発明の透明フィルムの層構成の一例を示す概略的断面図である。本発明に係る透明フィルムは、図1に示すように、プラスチック材料からなる基材フィルム1の一方の面に、プライマー樹脂層2、耐プラズマ保護層3を順に積層した構成を基本構造とするものである。
また、耐プラズマ保護層3の面に、無機酸化物蒸着膜を設けて、透明ガスバリア性フィルムとすることができる。本発明において、無機酸化物蒸着膜は、単層であっても、2層以上からなる多層であってもよい。
<2>基材フィルム
本発明において、基材フィルムとして、化学的ないし物理的強度に優れ、無機酸化物蒸着膜を形成する条件等に耐え、それら無機酸化物蒸着膜の特性を損なうことなく良好に保持し得ることができるプラスチックフィルムを使用することができる。
このようなプラスチックフィルムとしては、具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等の各種のプラスチック材料からなるフィルムを使用することができる。
特に、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂からなるフィルムは、良好な層間密接着性を得るために好ましい。さらに、ポリエチレンナフタレートフィルムは、他の樹脂フィルムに比べて、フィルム自体に高い耐候性及び耐加水分解性が備わっているため、本発明において、耐プラズマ保護層、及びPE-CVD法により設けられる無機酸化物蒸着膜と組み合わせて用いることにより、極めて高い効果が達成される。
本発明において、基材フィルムとなるプラスチックフィルムは、例えば、上記の樹脂1種又はそれ以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等の製膜化法により、又は、2種以上の樹脂を使用して多層共押し出し製膜化法により製造することができる。さらに、所望により、例えば、テンター方式、あるいは、チューブラー方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸することができる。
なお、上記の製膜化に際して種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数十%まで、その目的に応じて任意に添加することができる。一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料等を使用することができ、さらには、改質用樹脂等も使用することができる。
また、基材フィルムは、必要ならば、その表面に、コロナ処理やフレーム処理等の表面活性処理を任意に施すことができる。
<3>プライマー樹脂層
本発明の透明フィルムの基材フィルム上に、プライマー樹脂層が設けられる。該プライマー樹脂層は、基材フィルム上にプライマー樹脂を塗布し、乾燥させることにより形成される層である。
プライマー樹脂として、ポリウレタン系樹脂またはポリエステル系樹脂をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を用いるのが好ましい。また好ましくは、プライマー樹脂は、該ポリウレタン系樹脂またはポリエステル系樹脂1〜30質量%に対し、シランカップリング剤0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%、充填剤0.1〜20質量%、好ましくは1〜10質量%を添加し、更に、必要ならば、安定剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、紫外線吸収剤等の添加剤を任意に添加し、溶媒、希釈剤等を加えて充分に混合して調製した樹脂組成物である。
上記で調製したプライマー樹脂を使用し、これを、例えば、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプーコート等のコーティング法により、前述の基材フィルムの一方の面上にコーティングし、しかる後、コーティング膜を乾燥させて溶媒、希釈剤等を除去し、更に、要すれば、エージング処理等を行って、本発明に係るプライマー樹脂層を形成することができる。なお、本発明において、プライマー樹脂層の層厚としては、例えば、0.1〜5.0g/m2(乾燥状態)の範囲が望ましい。
上記プライマー樹脂からなるプライマー樹脂層は、本発明の透明フィルムを構成する基材フィルムの表面及び耐プラズマ保護層の表面と相互作用し、高い層間結合強度を提供し、フィルムの伸長度を向上させる。したがって、本発明の透明フィルムは、ラミネート加工や製袋加工等の後加工に高い適性を示し、後加工時における層間剥離等の発生を防止するものである。
上記において、プライマー樹脂を構成するポリウレタン系樹脂としては、例えば、多官能イソシアネートとヒドロキシル基含有化合物との反応により得られるポリウレタン系樹脂を使用することができる。具体的には、例えば、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアナート等の芳香族ポリイソシアナート、あるいは、ヘキサメチレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート等の脂肪族ポリイソシアナート等の多官能イソシアネートと、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアクリレートポリオール等のヒドロキシル基含有化合物との反応により得られる一液ないし二液硬化型のポリウレタン系樹脂を使用することができる。而して、本発明において、上記のようなポリウレタン系樹脂を使用することにより、その密接着性等を向上させると共にプライマー樹脂層の伸長度を向上させる。
また、プライマー樹脂を構成するポリエステル系樹脂としては、例えば、テレフタル酸等のベンゼン核を基本骨格とする芳香族飽和ジカルボン酸の1種またはそれ以上と、飽和二価アルコールの1種またはそれ以上との重縮合により生成する熱可塑性のポリエステル系樹脂を使用することができる。上記において、ベンゼン核を基本骨格とする芳香族飽和ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジフェニルエーテル−4,4−ジカルボン酸等を使用することができる。また、上記において、飽和二価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、2,2−ビス(4'−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ナフタレンジオール等の芳香族ジオールを使用することができる。
本発明において、上記のポリエステル系樹脂としては、具体的には、例えば、テレフタル酸とエチレングリコールとの重縮合により生成する熱可塑性ポリエチレンテレフタレート樹脂、テレフタル酸とテトラメチレングリコールとの重縮合により生成する熱可塑性ポリブチレンテレフタレート樹脂、テレフタル酸と1,4−シクロヘキサンジメタノールとの重縮合により生成する熱可塑性ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂、テレフタル酸とイソフタル酸とエチレングリコールとの共重縮合により生成する熱可塑性ポリエチレンテレフタレート樹脂、テレフタル酸とエチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノールとの共重縮合により生成する熱可塑性ポリエチレンテレフタレート樹脂、テレフタル酸とイソフタル酸とエチレングリコールとプロピレングリコールとの共重縮合により生成する熱可塑性ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエステルポリオール樹脂等を使用することができる。なお、本発明においては、上記のようなベンゼン核を基本骨格とする飽和芳香族ジカルボン酸に、更に、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン酸等の脂肪族飽和ジカルボン酸の1種ないしそれ以上を添加して共重縮合することもでき、その使用量としては、ベンゼン核を基本骨格とする芳香族飽和ジカルボン酸に対し、1〜10質量%を添加して使用することが好ましい。
次にまた、上記において、プライマー樹脂を構成するシランカップリング剤としては、二元反応性を有する有機官能性シランモノマー類を使用することができ、例えば、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルシリコーンの水溶液等の1種ないしそれ以上を使用することができる。
本発明においては、シランカップリング剤が有する無機性と有機性とを利用し、基材フィルムと耐プラズマ保護層との密接着性を向上させ、これにより、本発明の透明フィルム全体としての強度等を高めるものである。
次に、本発明において、プライマー樹脂を構成する充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナホワイト、シリカ、タルク、ガラスフリット、樹脂粉末等のものを使用することができる。而して、上記の充填剤は、上記のプライマー樹脂の粘度等を調製し、そのコーティング適性を向上させると共にバインダーとしてのポリウレタン系樹脂またはポリエステル系樹脂とシランカップリング剤を介して結合し、コーティング膜の凝集力を向上させるものである。
なお、本発明においては、上記のプライマー樹脂層としては、前述のプライマー樹脂によるコーティング膜からなるプライマー樹脂層の他に、更に、例えば、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、またはその共重合体ないし変性樹脂、セルロース系樹脂等をビヒクルの主成分とするプライマー樹脂を使用することもできる。而して、本発明においては、上記と同様に、上記のプライマー樹脂を、例えば、ロールコート、グラビアロールコート、キスコート等のコーティング法を用いてコーティングしてプライマー樹脂層を形成することができ、更に、そのコーティング量としては、0.1〜5.0g/m2(乾燥状態)が望ましい。しかし、本発明において、プライマー樹脂層としては、上記のポリウレン系樹脂またはポリエステル系樹脂をビヒクルの主成分とするプライマー樹脂によるプライマー樹脂層を使用することが最も望ましいものである。
<4>耐プラズマ保護層
次に、上記プライマー樹脂層の上に、耐プラズマ性塗布膜からなる耐プラズマ保護層を設けて、透明フィルムを得る。本発明において、耐プラズマ保護層は、特に、プラズマ化学気相成長法により無機酸化物蒸着膜を製膜化する際に、プラズマによるエッチングやインプランテーション等の影響から基材フィルムを保護し、基材フィルムの物理的及び化学的変化を防ぐ。これにより、プラズマ照射による基材フィルムの黄変を防ぎ、また、長期使用に伴う劣化、無機酸化物蒸着膜との間の密接着性の低下、及びそれに基くガスバリア性の低下を防ぐことができる。
本発明において、耐プラズマ保護層は、一般式R1 nM(OR2m(ただし、式中、R1、R2は炭素数1〜8の有機基を表し、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を表す)で表される1種又はそれ以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂とを含有し、更に、ゾルゲル法触媒、酸、水、および有機溶剤の存在下で、ゾルゲル法によって重縮合して得られる耐プラズマ性組成物を調製する工程、上記のプライマー樹脂層の上に該耐プラズマ性組成物を塗工して塗工膜を設ける工程、塗工膜を設けたフィルムを、20℃〜200℃で、且つ基材フィルムの融点以下の温度で30秒〜10分間加熱処理して、耐プラズマ性塗布膜を形成する工程を包含する製造工程により製造することができるものである。
あるいは、本発明において、上記耐プラズマ性組成物を、プライマー樹脂層の上に、2回またはそれ以上塗工して、塗工膜を2層以上重層し、該2層以上重層した塗工膜を設けたフィルムを、同様に加熱処理して、耐プラズマ性塗布膜を2層以上重層した複合ポリマー層からなる耐プラズマ保護層としてもよい。
上記において、本発明に係る透明フィルムを構成する耐プラズマ性塗布膜を形成する一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドとしては、アルコキシドの部分加水分解物、アルコキシドの加水分解縮合物の少なくとも1種以上を使用することができ、また、上記のアルコキシドの部分加水分解物としては、アルコキシ基のすべてが加水分解されている必要はなく、1個以上が加水分解されているもの、および、その混合物であってもよく更に、加水分解の縮合物としては、部分加水分解アルコキシドの2量体以上のもの、具体的には2〜6量体のものを使用される。
上記の一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドにおいて、Mで表される金属原子としては、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム等を使用することができる。而して、本発明において、好ましい金属としては、例えば、ケイ素を挙げることができる。
また、本発明において、アルコキシドの用い方としては、単独又は2種以上の異なる金属原子のアルコキシドを同一溶液中に混合して使うこともできる。
また、上記の一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドにおいて、R1で表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基等のアルキル基を挙げることができる。
また、上記の一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドにおいて、R2で表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基等を挙げることができる。
なお、本発明において、同一分子中にこれらのアルキル基は同一であっても、異なってもよい。
而して、本発明において、上記の一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドとしては、例えば、MがSiであるアルコキシシランを使用することが好ましいものである。
上記のアルコキシシランの具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン Si(OCH34、テトラエトキシシラン Si(OC254、テトラプロポキシシラン Si(OC374、テトラブトキシシラン Si(OC49 4等を使用することができる。
また、本発明において、上記の一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドとしては、例えば、一般式RbnSi(ORc)4-m(ただし、式中、nは、0以上の整数を表し、mは、1、2または3の整数を表し、Rb、Rcは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等を表わす)で表されるアルキルアルコキシシランを使用することができる。
上記のアルキルアルコキシシランの具体例としては、例えば、メチルトリメトキシシラン CH3Si(OCH33、メチルトリエトキシシラン CH3Si(OC253、ジメチルジメトキシシラン (CH32Si(OCH32、ジメチルジエトキシシラン (CH32Si(OC252等を使用することができる。アルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン等は、単独又は2種以上を混合しても用いることができる。
また、本発明において、上記のアルコキシシランの縮重合物も使用することができ、具体的には、例えば、ポリテトラメトキシシラン、ポリテトラエメトキシシラン等を使用することができる。
次に、本発明において、上記の一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドとしては、例えば、MがZrであるジルコニウムアルコキシドを使用することができる。
上記のジルコニウムアルコキシドの具体例としては、例えば、テトラメトキシジルコニウム Zr(OCH34、テトラエトキシジルコニウム Zr(OC254、テトライソプロポキシジルコニウム Zr(iso−OC374、テトラ−n−ブトキシジルコニウムZr(OC49 4等を使用することができる。
また、本発明において、上記の一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドとしては、例えば、MがTiであるチタニウムアルコキシドを使用することができる。
上記のチタニウムアルコキシドの具体例としては、例えば、テトラメトキシチタニウムTi(OCH34、テトラエトキシチタニウム Ti(OC254、テトライソプロポキシチタニウム Ti(iso−OC374、テトラ−n−ブトキシチタニウム Ti(OC49 4等を使用することができる。
更に、本発明において、上記の一般式R1 nM(OR2mで表されるアルコキシドとしては、例えば、MがAlであるアルミニウムアルコキシドを使用することができる。
上記のアルミニウムアルコキシドの具体例としては、例えば、テトラメトキシアルミニウム Al(OCH34、テトラエトキシアルミニウム Al(OC254、テトライソプロポキシアルミニウム Al(iso−OC374、テトラ−n−ブトキシアルミニウムAl(OC49 4等を使用することができる。
なお、本発明においては、上記のようなアルコキシドは、その2種以上を混合して用いてもよいものである。
而して、本発明において、特に、アルコキシシランとジルコニウムアルコキシドを混合して用いることによって、得られる透明フィルムの靭性、耐熱性等を向上させることができる。
上記のジルコニウムアルコキシドの使用量は、上記のアルコキシシラン100質量部に対して10質量部以下の範囲であり、好ましくは約5質量部が好ましいものである。
上記において、10質量部を越えると、形成される耐プラズマ性塗布膜が、ゲル化し易くなり、また、その膜の脆性が大きくなり、基材フィルムを被覆した際に耐プラズマ性塗布膜が剥離し易くなる傾向にあることから好ましくないものである。
また、本発明において、特に、アルコキシシランとチタニウムアルコキシドを混合して用いることによって、得られる耐プラズマ性塗布膜の熱伝導率が低くなり、透明フィルムの耐熱性が著しく向上するという利点がある。
上記において、チタニウムアルコキシドの使用量は、上記のアルコキシシラン100質量部に対して5質量部以下の範囲であり、好ましくは約3質量部が好ましいものである。
上記において、5質量部を越えると、形成される耐プラズマ性塗布膜の脆性が大きくなり、基材フィルムを被覆した際に、耐プラズマ性塗布膜が剥離し易くなる傾向にあることから好ましくないものである。
次に、本発明に係る透明フィルムを構成する耐プラズマ性塗布膜を形成するポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体としては、ポリビニルアルコール系樹脂、または、エチレン・ビニルアルコール共重合体を単独で各々使用することができ、あるいは、ポリビニルアルコール系樹脂とエチレン・ビニルアルコール共重合体とを組み合わせて使用することができ、而して、本発明において、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体を使用することにより、耐プラズマ性塗布膜の耐プラズマ性、耐水性、耐候性等の物性を著しく向上させることができるものである。
本発明において、ポリビニルアルコール系樹脂とエチレン・ビニルアルコール共重合体とを組み合わせて使用する場合、それぞれの配合割合としては、質量比で、ポリビニルアルコール系樹脂:エチレン・ビニルアルコール共重合体=10:0.05〜10:6であることが好ましく、更には、約10:1の配合割合で使用することが更に好ましいものである。
また、本発明において、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体の含有量は、上記のアルコキシドの合計量100質量部に対して5〜500質量部の範囲であり、好ましくは約20〜200質量部の配合割合で耐プラズマ性組成物を調製することが好ましいものである。
上記において、500質量部を越えると、耐プラズマ性塗布膜の脆性が大きくなり、得られる透明フィルムの耐水性および耐候性等も低下する傾向にあることから好ましくなく、更に、5質量部を下回ると耐プラズマ性が低下することから好ましくないものである。
本発明において、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体としては、まず、ポリビニルアルコール系樹脂としては、一般に、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られるものを使用することができる。
上記のポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸基が数十%残存している部分ケン化ポリビニルアルコール系樹脂でも、もしくは、酢酸基が残存しない完全ケン化ポリビニルアルコールでも、あるいは、OH基が変性された変性ポリビニルアルコール系樹脂でもよく、特に限定されるものではない。
上記ポリビニルアルコール系樹脂の具体例としては、株式会社クラレ製のRSポリマーであるRS−110(ケン化度=99モル%、重合度=1,000)、同社製のクラレポバールLM−20SO(ケン化度=40モル%、重合度=2,000)、日本合成化学工業株式会社製のゴーセノールNM−14(ケン化度=99%、重合度=1,400)等を使用することができる。
また、本発明において、エチレン・ビニルアルコール共重合体としては、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体のケン化物、すなわち、エチレン−酢酸ビニルランダム共重合体をケン化して得られるものを使用することができる。
具体的には、酢酸基が数十モル%残存している部分ケン化物から、酢酸基が数モル%しか残存していないかまたは酢酸基が残存しない完全ケン化物まで含み、特に限定されるものではないが、耐プラズマ性の観点から好ましいケン化度は、80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上であるものを使用することが望ましいものである。また、上記のエチレン・ビニルアルコール共重合体中のエチレンに由来する繰り返し単位の含量(以下「エチレン含量」ともいう)は、通常、0〜50モル%、好ましくは20〜45モル%であるものを使用することが好ましいものである。
上記のエチレン・ビニルアルコール共重合体の具体例としては、株式会社クラレ製、エバールEP−F101(エチレン含量;32モル%)、日本合成化学工業株式会社製、ソアノールD2908(エチレン含量;29モル%)等を使用することができる。
上記の耐プラズマ性組成物を調製するに際し、例えば、シランカップリング剤等も添加することができる。
而して、上記のシランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができる。
本発明においては、特に、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好適であり、それには、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、あるいは、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を使用することができる。
本発明において、上記のようなシランカップリング剤の使用量は、上記のアルコキシシラン100質量部に対して1〜20質量部の範囲内で使用することができる。
上記において、20質量部を超えて使用すると、形成される耐プラズマ性塗布膜の剛性と脆性とが大きくなり、また、耐プラズマ性塗布膜の加工性が低下する傾向にあることから好ましくないものである。
次に、上記の耐プラズマ性組成物において用いられる、ゾルゲル法触媒、主として、重縮合触媒としては、水に実質的に不溶であり、かつ有機溶媒に可溶な第三級アミンが用いられる。具体的には、例えば、N,N−ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン等を使用することができる。本発明においては、特に、N,N−ジメチルべンジルアミンが好適である。その使用量は、アルコキシド、および、シランカップリング剤の合計量100質量部当り、0.01〜1.0質量部、好ましくは約0.03質量部使用することが好ましいものである。
また、上記の耐プラズマ性組成物において用いられる酸は、上記ゾルゲル法の触媒、主として、アルコキシドやシランカップリング剤などの加水分解のための触媒として用いられる。上記の酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸、ならびに、酢酸、酒石酸な等の有機酸等を使用することができる。上記の酸の使用量は、アルコキシドおよびシランカップリング剤のアルコキシド分(例えばシリケート部分)の総モル量に対し0.001〜0.05モル、好ましくは約0.01モルを使用することが好ましいものである。
更に、上記の耐プラズマ性組成物においては、上記のアルコキシドの合計モル量1モルに対して0.1〜100モル、好ましくは0.8〜2モルの割合の水を用いることができる。水の量が2モルを越えると、アルコキシシランと金属アルコキシドとから得られるポリマーが球状粒子となり、更に、この球状粒子同士が3次元的に架橋し、密度の低い多孔性のポリマーとなり、而して、そのような多孔性のポリマーは、プラズマ照射によるダメージから基材フィルムを保護することができないため、好ましくないものである。また、上記の水の量が0.8モルを下回ると、加水分解反応が進行しにくくなる傾向にあることから好ましくないものである。
更にまた、上記の耐プラズマ性組成物において用いられる有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール等を用いることができる。更に、上記の耐プラズマ性組成物において、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体は、上記のアルコキシドやシランカップリング剤などを含む塗工液中で溶解した状態であることが好ましく、そのため上記の有機溶媒の種類が適宜選択されるものである。
ポリビニルアルコール系樹脂とエチレン・ビニルアルコール共重合体とを組み合わせて使用する場合には、n−ブタノールを使用することが好ましい。
本発明において、溶媒中に可溶化されたエチレン・ビニルアルコール共重合体は、例えば、ソアノール(商品名)として市販されているものを使用することができる。
上記の有機溶媒の使用量は、通常、上記のアルコキシド、シランカップリング剤、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体、酸およびゾルゲル法触媒の合計量100質量部当り30〜500質量部である。
次に、本発明においては、耐プラズマ保護層は、具体的には、例えば、以下のようにして製造される。
まず、上記のアルコキシシラン等のアルコキシド、シランカップリング剤、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体、ゾルゲル法触媒、酸、水、有機溶媒、および、必要に応じて、金属アルコキシド等を混合して耐プラズマ性組成物(塗工液)を調製する。
次に、上記の耐プラズマ性組成物(塗工液)中では次第に重縮合反応が進行する。
次いで、基材フィルムの一方の面に形成したプライマー樹脂層の上に、常法により、上記の耐プラズマ性組成物(塗工液)を通常の方法で塗布し、乾燥する。
而して、上記の乾燥により、上記のアルコキシシラン等のアルコキシド、金属アルコキシド、シランカップリング剤およびポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体等の重縮合が進行し、塗工膜が形成される。
更に、好ましくは上記の塗布操作を繰り返して、2層以上からなる複数の塗工膜を積層する。
次に、本発明に係る透明フィルムの製造法について、アルコキシドとして、アルコキシシランを使用する場合を事例としてその作用を説明すると、まず、アルコキシシランおよび金属アルコキシドは、添加された水によって、加水分解される。
その際、酸が加水分解の触媒となる。次いで、ゾルゲル法触媒の働きによって、生じた水酸基からプロトンが奪取され、加水分解生成物同士が脱水重縮合する。このとき、酸触媒により同時にシランカップリング剤も加水分解されて、アルコキシ基が水酸基となる。また、塩基触媒の働きにより、エポキシ基の開環も起こり、水酸基が生じる。加水分解されたシランカップリング剤と加水分解されたアルコキシドとの重縮合反応も進行する。
さらに、反応系にはポリビニルアルコール系樹脂、または、エチレン・ビニルアルコール共重合体、または、ポリビニルアルコール系樹脂とエチレン・ビニルアルコール共重合体とが存在するため、ポリビニルアルコール系樹脂およびエチレン・ビニルアルコール共重合体が有する水酸基との反応も生じる。
生成する重縮合物は、例えば、Si−O−Si、Si−O−Zr、Si−O−Ti、その他等の結合からなる無機質部分と、シランカップリング剤に起因する有機部分とを含有する複合ポリマーを構成する。上記の反応においては、例えば、下記の式(III)に示される部分構造式を有し、更に、シランカップリング剤に起因する部分を有する直鎖状のポリマーがまず生成する。
このポリマーは、OR基(エトキシ基などのアルコキシ基)が、直鎖状のポリマーから分岐した形で有する。
このOR基は、存在する酸が触媒となって加水分解されてOH基となり、ゾルゲル法触媒(塩基触媒)の働きにより、まず、OH基が、脱プロトン化し、次いで、重縮合が進行する。すなわち、このOH基が、下記の式(I)に示されるポリビニルアルコール系樹脂、または、下記の式(II)に示されるエチレン・ビニルアルコール共重合体と重縮合反応し、Si−O−Si結合を有する、例えば、下記の式(IV)に示される複合ポリマー、あるいは、下記の式(V)及び(VI)に示される共重合した複合ポリマーが生じると考えられるものである。
Figure 2011000747
Figure 2011000747
上記の反応は常温で進行し、耐プラズマ性組成物(塗工液)は、調製中に粘度が増加する。この耐プラズマ性組成物(塗工液)を、基材フィルムの一方の面に設けたプライマー樹脂層の上に塗布し、加熱して溶媒および重縮合反応により生成したアルコールを除去すると、重縮合反応が完結し、基材フィルムの一方の面に設けたプライマー樹脂層の上に透明な塗工層が形成される。上記の塗工層を複数層積層する場合には、層間の塗工層中の複合ポリマー同士も縮合し、層と層との間が強固に結合する。更に、シランカップリング剤の有機反応性基や、加水分解によって生じた水酸基が、次いで積層される無機酸化物の蒸着膜の表面の水酸基等と結合するため、無機酸化物の蒸着膜表面と、塗工層との接着性も良好なものとなるものである。
本発明の方法においては、添加される水の量が、アルコキシド類1モルに対して0.8〜2モル、好ましくは、1.5モルに調節されているため、上記の直鎖状のポリマーが形成される。このような直鎖状ポリマーは結晶性を有し、非晶質部分の中に多数の微小の結晶が埋包された構造をとる。このような結晶構造は、結晶性有機ポリマー(例えば、塩化ビニリデンやポリビニルアルコール)と同様であり、さらに極性基(OH基)が部分的に分子内に存在し、分子の凝集エネルギーが高く分子鎖剛性も高いため良好な耐プラズマ性を示す。
<5>無機酸化物蒸着膜
本発明において、無機酸化物蒸着膜は、当業者に一般的に知られるプラズマ化学気相成長法により形成される。
具体的には、上記の耐プラズマ保護層の上に、有機ケイ素化合物や有機アルミニウム化合物等の蒸着用モノマーガスを原料とし、キャリヤーガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用し、さらに酸素を供給ガスとして使用し、かつプラズマ発生装置等を利用するプラズマ化学気相成長法を用いて無機酸化物蒸着膜を形成することができる。
上記において、プラズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することができるが、本発明においては、高活性の安定したプラズマを得るために、高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが望ましい。
具体的に、上記のプラズマ化学気相成長法による無機酸化物蒸着膜の形成法について、その一例を例示して説明する。図2は、上記のプラズマ化学気相成長法による無機酸化物蒸着膜の形成法についてその槻要を示す低温プラズマ化学気相成長装置の概略的構成図である。
図2に示すように、本発明において、低温プラズマ化学気相成長装置21の真空チャンバー22内に配置された巻き出しロール23から、基材フィルム上にプライマー樹脂層及び耐プラズマ保護層を順に設けた本発明の透明フィルム、すなわち被蒸着フィルムを繰り出し、さらに、該被蒸着フィルムを、補助ロール24を介して所定の速度で冷却・電極ドラム25周面上に搬送する。
本発明においては、ガス供給装置26、27および原料揮発供給装置28から酸素ガス、不活性ガス、蒸着用モノマーガス等を供給し、それらからなる蒸着用混合ガス組成物を調整しなから原料供給ノズル29を通して真空チャンバー22内に該蒸着用混合ガス組成物を導入し、そして、上記の冷却・電極ドラム25周面上に搬送された被蒸着フィルムの耐プラズマ保護層の上に、グロー放電プラズマによってプラズマを発生させ、これを照射して、無機酸化物蒸着膜を形成し、製膜化し、本発明の透明ガスバリア性フィルムを得る。
本発明においては、その際に、冷却・電極ドラム25は、チャンバー外に配置されている電源31から所定の電力が印加されており、また、冷却・電極ドラム25の近傍には、マグネット32を配置してプラズマの発生が促進されている。次いで、得られた本発明の透明ガスバリア性フィルムをガイドロール33を介して巻き取りロール34に巻き取る。なお、図中、35は真空ポンプを表す。
上記の例示は、その一例を例示するものであり、これによって本発明は限定されるものではない。
図示しないが、本発明において、無機酸化物蒸着膜の層は、単層であっても、2層以上からなる多層であってもよく、また、使用する無機酸化物は、単独で使用しても、2種以上の混合物として使用してもよい。
一方、冷却・電極ドラムには、電極から所定の電圧が印加されているため、真空チャンバー内の原料供給ノズルの開口部と冷却・電極ドラムとの近傍でグロー放電プラズマが生成され、このグロー放電プラズマは、蒸着用混合ガス組成物中の1つ以上のガス成分から導出されるものであり、この状態において、被蒸着フィルムを一定速度で搬送させ、グロー放電プラブマによって、冷却・電極ドラム周面上の被蒸着フィルムの上に、無機酸化物蒸着膜を形成することができる。
また、上記のプラズマ化学気相成長装置において、無機酸化物蒸着膜の形成は、被蒸着フィルムの上に、プラズマ化した原料ガスを酸素ガスで酸化しながら薄膜状になされるので、得られる無機酸化物蒸着膜は、緻密で、隙間の少ない、可撓性に富む連続層となる。
従って、無機酸化物蒸着膜のガスバリア性は、従来の真空蒸着法等によって形成される無機酸化物蒸着膜と比較してはるかに高いものとなり、薄い膜厚で十分なガスバリア性を得ることができる。
また、本発明においては、基材フィルムと無機酸化物蒸着膜との間に、プライマー樹脂層及び耐プラズマ保護層を設けることにより、プラズマ処理により基材フィルムが受けるエッチングやインプランテーションの影響を防ぎ、フィルムの黄変を防ぎ、また、長期にわたって、層間の高い密接着性及びそれに基く高いガスバリア性を維持することができる。
本発明において、無機酸化物蒸着膜を構成する無機酸化物としては、例えば酸化ケイ素、酸化アルミニウム、及び種々の金属酸化物が挙げられる。
また本発明において、無機酸化物蒸着膜の膜厚は5〜400nmであることが望ましく、特に10〜100nmが望ましい。400nmより厚いと、クラック等が発生し易くなるので好ましくなく、また5nm未満であると、ガスバリア性の効果を期待できない。
本発明において、無機酸化物蒸着膜の形成のために、蒸着用モノマーガスの原料として、例えば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等の有機ケイ素化合物、及びトリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウム等の有機アルミニウム化合物、及びその他一般的に用いられる有機金属化合物を用いることができる。
また、キャリヤーガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス等の一般的に用いられる不活性ガスを使用することができる。
本発明においては、蒸着用混合ガス組成物の各ガス成分の混合比としては、例えば、蒸着用モノマーガスが1〜40体積%、酸素ガスが10〜70体積%、及び不活性ガスが10〜60体積%程度とすることができるが、用いる原料化合物の種類、チャンバー内に残留する酸素ガス及び水、プラズマのエネルギー等種々の条件に応じて変化する。
<6>積層体
上記の基材フィルム/プライマー樹脂層/耐プラズマ保護層/無機酸化物蒸着膜からなる本発明の透明ガスバリア性フィルムの無機化合物蒸着膜側の面に、適宜、各種フィルム、例えばポリオレフィン系樹脂からなるフィルムをラミネート層として1層又は2層以上積層し、積層体を得ることができる。本発明の透明ガスバリア性フィルムに上記のようなラミネート層を積層することにより、フィルムの物理的強度が向上される。
ラミネート層は、例えばドライラミネート法、無溶剤型ラミネーション法、押し出しラミネーション法、共押し出しラミネーション法等により積層することができる。
また、本発明において使用するのに好適なラミネート用接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチル、2−エチルヘキシルエステル等のホモポリマー、又は、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤等の接着剤を使用することがてきる。
上記の接着剤の組成系は、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの組成物形態でもよく、また、その性状は、フィルム・シート状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよく、更に、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよいものである。
本発明においては、積層する両者の一方の面に、上記のラミネート用接着剤を、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法等のコート法、あるいは、印刷法等によって施し、次いで、溶剤等を乾燥させる。そのコーティングないし印刷量としては、0.1〜10g/m2(乾燥状態)が望ましい。
[実施例1]
(1)基材フィルムとして、片面がコロナ処理された2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ12μm)を用いた。該基材フィルムのコロナ処理面に、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(シランカップリング剤)1.2質量%、ポリウレタン系樹脂(三井化学社製、RA1328)15質量%、ニトロセルロース4質量%、トルエン33.8質量%、メチルエチルケトン(MEK)30質量%、イソプロピルアルコール(IPA)16%からなるポリウレタン系プライマー樹脂を、グラビアコート法を利用してコーティングし、次いで80℃で20秒間乾燥させて、膜厚0.5g/m2(乾燥状態)のプライマー樹脂層を形成した。
(2)他方、下記に示す組成に従って、調製した組成b.のポリビニルアルコール、N,N−ジメチルベンジルアミン32質量%エタノール溶液及びイオン交換水からなる混合液に、予め調製した組成a.のエチルシリケート(テトラエトキシシラン)、エタノール、2N塩酸、イオン交換水及びシランカップリング剤(エポキシシリカSH6040) からなる加水分解液を加えて攪拌し、無色透明の耐プラズマ性組成物を得た。
Figure 2011000747
(3)次に、上記の(1)で形成したプライマー樹脂層の上に、上記(2)で製造した耐プラズマ性組成物を使用し、これをグラビアコート法によりコーティングし、次いで、100℃で30秒間加熱処理して、厚さ0.4g/m2(乾操状態)の耐プラズマ性塗布膜からなる耐プラズマ保護層を形成して、本発明に係る透明フィルムを製造した。
(4)次いで、上記(3)で製造した透明フィルムを、プラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着し、下記に示す条件で、透明フィルムの耐プラズマ保護層側の面に、厚さ20nmの炭素含有酸化珪素(SiOxy)の蒸着膜を形成し、本発明に係る透明ガスバリア性フィルムを製造した。
(蒸着条件)
反応ガス混合比;へキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1.2:5.0:2.5(単位:Slm)
到達圧力;5.0×10-5mbar
製膜圧力;7.0×10-2mbar
ライン速度;150m/分
冷却・電極ドラム供給電力;35kw
さらに、上記で厚さ20nmの炭素含有酸化珪素の蒸着膜を形成した直後に、その蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kw、酸素ガス(O2):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:Slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6.0×10-2mbar、処理速度420m/分で酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させたプラズマ処理面を形成した。
(5)次いで、上記(4)で製造した透明ガスバリア性フィルムを、ドライラミネートコーター機の一方の送り出しロールに装着し、その蒸着膜面にウレタン系接着剤(ロックペイント株式会社製、ロックボンドRU-77T及びH-7)を4.0g/m2(乾燥状態)となるようにコーティングし、接着剤層を形成した。次いで、該接着剤層の面に、シーラントフィルムである厚さ100μmの無延伸ポリプロピレンフィルムを重ね合わせ、ドライラミネートにより積層し、「基材フィルム/プライマー樹脂層/耐プラズマ保護層/無機酸化物蒸着膜/接着剤層/シーラントフィルム」の仕様を有する本発明に係る積層体を製造した。
[実施例2]
(1)基材フィルムとして、片面がコロナ処理された2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ12μm)を用いた。該基材フィルムのコロナ処理面に、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(シランカップリング剤)1.2質量%、ポリウレタン系樹脂(三井化学社製、RA1328)15質量%、ニトロセルロース4質量%、トルエン33.8質量%、メチルエチルケトン(MEK)30質量%、イソプロピルアルコール(IPA)16%からなるポリウレタン系プライマー樹脂を、グラビアコート法を利用してコーティングし、次いで80℃で20秒間乾燥させて、膜厚0.5g/m2(乾燥状態)のプライマー樹脂層を形成した。
(2)他方、下記に示す組成に従って、組成a.エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH、エチレン共重合比率29%)をイソプロピルアルコールおよびイオン交換水の混合溶媒にて溶解したEVOH溶液に、予め調製した組成b.のエチルシリケート40(コルコート社製)、イソプロピルアルコール、アセチルアセトンアルミニウム、イオン交換水からなる加水分解液を加えて撹拌し、更に、予め調製した組成c.のポリビニルアルコール系樹脂水溶液、酢酸、イソプロピルアルコール及びイオン交換水からなる混合液を加えて撹拌し、無色透明の耐プラズマ性組成物を得た。
Figure 2011000747
(3)次に、上記の(1)で形成したプライマー樹脂層の上に、上記(2)で製造した耐プラズマ性組成物を使用し、これをグラビアコート法によりコーティングして、次いで、100℃で30秒間、加熱処理して、厚さ0.4g/m2(乾操状態)の耐プラズマ性塗布膜からなる耐プラズマ保護層を形成して、本発明に係る透明フィルムを製造した。
(4)以下、実施例1と同様にして、本発明に係る透明ガスバリア性フィルム及び積層体を製造した。
[実施例3]
(1)基材フィルムとして、片面がコロナ処理された2軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム(厚さ12μm)を用いた。該基材フィルムのコロナ処理面に、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(シランカップリング剤)1.2質量%、ポリエステル系樹脂(日本合成化学社製、TP−235)15質量%、ニトロセルロース4質量%、トルエン33.8質量%、メチルエチルケトン(MEK)30質量%、イソプロピルアルコール(IPA)16%からなるポリエステル系プライマー樹脂を、グラビアコート法を利用してコーティングし、次いで80℃で20秒間乾燥させて、膜厚0.5g/m2(乾燥状態)のプライマー樹脂層を形成した。
(2)他方、下記に示す組成に従って、組成a.エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH、エチレン共重合比率29%)をイソプロピルアルコールおよびイオン交換水の混合溶媒にて溶解したEVOH溶液に、予め調製した組成b.のエチルシリケート40(コルコート社製)、イソプロピルアルコール、アセチルアセトンアルミニウム、イオン交換水からなる加水分解液を加えて撹拌し、更に、予め調製した組成c.のポリビニルアルコール系樹脂水溶液、シランカップリング剤(エポキシシリカSH6040) 、酢酸、イソプロピルアルコール及びイオン交換水からなる混合液を加えて撹拌し、無色透明の耐プラズマ性組成物を得た。
Figure 2011000747
(3)次に、上記の(1)で形成したプライマー樹脂層の上に、上記(2)で製造した耐プラズマ性組成物を使用し、これをグラビアコート法によりコーティングして、次いで、100℃で30秒間、加熱処理して、厚さ0.4g/m2(乾操状態)の耐プラズマ性塗布膜からなる耐プラズマ保護層を形成して、本発明に係る透明フィルムを製造した。
(4)次いで、上記(3)で製造した透明フィルムを、プラズマ化学気相成長装置の送り出しロールに装着し、下記に示す条件で、透明フィルムの耐プラズマ保護層側の面に、厚さ20nmの炭素含有酸化珪素(SiOxy)の蒸着膜を形成し、本発明に係る透明ガスバリア性フィルムを製造した。
(蒸着条件)
反応ガス混合比;へキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1:11:10(単位:Slm)
到達圧力;5.2×10-6mbar
製膜圧力;5.1×10-2mbar
ライン速度;100m/分
冷却・電極ドラム供給電力;30kw
以下、実施例1と同様にして、本発明に係る透明ガスバリア性フィルム及び積層体を製造した。
[実施例4]
(1)基材フィルムとして、片面がコロナ処理された2軸延伸6ナイロンフィルム(厚さ12μm)を用いた。該基材フィルムのコロナ処理面に、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(シランカップリング剤)1.2質量%、ポリエステル系樹脂(日本合成化学社製、商品名TP−235)15質量%、ニトロセルロース4質量%、トルエン33.8質量%、メチルエチルケトン(MEK)30質量%、イソプロピルアルコール(IPA)16%からなるポリウレタン系プライマー樹脂を、グラビアコート法を利用してコーティングし、次いで80℃で20秒間乾燥させて、膜厚0.5g/m2(乾燥状態)のプライマー樹脂層を形成した。
(2)他方、下記に示す組成に従って、組成a.エチレン−ビニルアルコ−ル共重合体(EVOH、エチレン共重合比率29%)をイソプロピルアルコールおよびイオン交換水の混合溶媒にて溶解したEVOH溶液に、予め調製した組成b.のエチルシリケート40(コルコート社製)、イソプロピルアルコール、アセチルアセトンアルミニウム、イオン交換水からなる加水分解液を加えて攪拌し、無色透明の耐プラズマ性組成物を得た。
Figure 2011000747
(3)次に、上記の(1)で形成したプライマー樹脂層の上に、上記(2)で製造した耐プラズマ性組成物を使用し、これをグラビアコート法によりコーティングして、次いで、100℃で30秒間、加熱処理して、厚さ0.4g/m2(乾操状態)の耐プラズマ性塗布膜からなる耐プラズマ保護層を形成して、本発明に係る透明フィルムを製造した。
(4)以下、実施例1と同様にして、本発明に係る透明ガスバリア性フィルム及び積層体を製造した。
[比較例1]
(1)主剤としての硝化綿/ポリエステル系樹脂(東京インキ株式会社製、LG−IB、固形分25質量%)と、硬化剤としてのイソシアネート(東京インキ株式会社製、LG硬化剤、固形分75%)とを、100:5の割合で混合し、硬化性樹脂組成物を調製した。
(2)基材フィルムとして、片面がコロナ処理された2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ12μm)を使用し、このコロナ処理面に、上記(1)で調製した硬化性樹脂組成物を、グラビアコート法によりコーティングして、次いで、100℃で30秒間、加熱処理して、厚さ0.4g/m2(乾操状態)の硬化性樹脂組成物からなる耐プラズマ保護層を形成して、透明フィルムを製造した。
(3)以下、実施例1と同様にして、上記透明フィルムに無機酸化物蒸着膜を形成してガスバリア性フィルムを得、さらに、シーラントフィルムをドライラミネートにより積層し、「基材フィルム/耐プラズマ保護層/無機酸化物蒸着膜/接着剤層/シーラントフィルム」の仕様を有する積層体を製造した。
[比較例2]
(1)基材フィルムとして、片面がコロナ処理された2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ12μm)を用いた。この基材フィルムを、エレクトロンビーム(EB)加熱方式のPVD真空蒸着機の送り出しロールに装着し、下記に示す条件で、基材フィルムのコロナ処理面に、厚さ19nmの酸化アルミニウムの蒸着膜を形成し、耐プラズマ保護層とした(特許文献3参照)。
(蒸着条件)
蒸着原料:アルミニウム
真空チャンバー内の真空度:2.5×10-3mbar
酸素導入前の蒸着チャンバー内の真空度:2.2×10-4mbar
酸素導入後の蒸着チャンバー内の真空度:3.1×10-4mbar
フィルムの搬送速度:580m/分
EBpowere:0.8A
蒸着面:コロナ処理面
酸素プラズマ処理:有り(酸素導入量=150mL/分)
蒸着膜の厚さ:19nm(蛍光X線分析法)
(2)次に、上記(1)で調製した耐プラズマ保護層を有するフィルムの耐プラズマ保護層側の面に、実施例1と同様にして、PE-CVD法により無機酸化物蒸着膜を形成してガスバリア性フィルムを得、さらに、シーラントフィルムをドライラミネートにより積層し、「基材フィルム/耐プラズマ保護層/無機酸化物蒸着膜/接着剤層/シーラントフィルム」の仕様を有する積層体を製造した。
[評価結果]
上記実施例1〜4及び比較例1〜2で製造した積層体の透明性及び耐候性試験を下記条件にて行った。
<透明性試験>
目視による着色観察およびマクベス濃度計による測定で評価した。
目視による着色観察は、積層体を10枚重ねて目視により、直接観察した。
マクベス濃度計による測定は、積層体1枚について、波長が500nmの全光線透過率で測定した。
<耐候性試験>
機械:キセノンロングライフウェザーメーター(スガ試験機株式会社製)
温度:63℃ 湿度:50% 照度:320W/m2 経過時間:300時間
評価は、酸素透過度および水蒸気透過度、並びに層間の接着強度を以下の条件下で測定することにより行った。
(1)酸素透過度の測定
これは、温度23℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、オクストラン(OXTRAN)〕にて測定した。
(2)水蒸気透過度の測定
これは、温度40℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、パ−マトラン(PERMATRAN)〕にて測定した。
(3)接着強度の測定
これは、積層体について、300時間経過後、テンシロンで測定した。
剥離強度:50mm/分
結果は、下記の表1〜3に示すとおりであった。
Figure 2011000747
上記の表2において、酸素透過度は、cc/m2・day・atmの単位であり、また、水蒸気透過度は、g/m2・dayの単位である。
Figure 2011000747
透明性:上記の表1〜3の結果より明らかなように、実施例1〜4の積層体については、黄変は確認されなかった。一方、比較例1の積層体は、目視により黄変が確認され、また、低い全光線透過率を示した。
ガスバリア性:実施例1〜4の積層体は、300時間経過前後で、酸素透過度及び水蒸気透過度は変化せず、常に高いガスバリア性を示した。これに対し、比較例1の積層体は、300時間経過後に、ガスバリア性が低下した。また比較例2の積層体のガスバリア性は、試験開始時は高い値を示したが、300時間経過後は著しく低下した。
接着強度:実施例1〜4の積層体の層間の接着強度は、300時間経過後も高い値を示した。これに対し、比較例1及び2の積層体では、より小さな負荷で剥離が観察された。
1 基材フィルム
2 プライマー樹脂層
3 耐プラズマ保護層
21 低温プラズマ化学気相成長装置
22 真空チャンバー
23 巻き出しロール
24 補助ロール
25 冷却・電極ドラム
26、27 ガス供給装置
28 原料揮発供給装置
29 原料供給ノズル
30 グロー放電プラズマ
31 電源
32 マグネット
33 ガイドロール
34 巻き取りロール
35 真空ポンプ

Claims (3)

  1. プラスチック材料からなる基材フィルムの一方の面に、プライマー樹脂層、及び耐プラズマ保護層を順に設けた透明フィルムであって、
    該耐プラズマ保護層は、一般式R1 nM(OR2m(ただし、式中、R1、R2は炭素数1〜8の有機基を表し、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を表す)で表される1種又はそれ以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及びエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂のいずれか一方又は両方とを含有し、更に、ゾルゲル法によって重縮合して得られる耐プラズマ性組成物による耐プラズマ性塗布膜からなる層である、上記透明フィルム。
  2. 請求項1に記載の透明フィルムの耐プラズマ保護層側の面に、プラズマ化学気相成長法により無機酸化物蒸着膜を設けてなる透明ガスバリア性フィルム。
  3. 請求項2に記載の透明ガスバリア性フィルムの無機酸化物蒸着膜側の面に、ポリオレフィン系樹脂からなるラミネート層を積層した積層体。
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