かかるQT間隔は、人の患者の心電図(ECG)波形信号について得られる測定値である。このECGは、患者の肋骨及び胴体に配置された仮設の電極に付けられた導線を備えた電子装置(例えば、心電計、患者モニタ、無線遠隔測定装置)により取得される。ECG信号は、規格上、P波(心房性脱分極)、QRS群(心室脱分極)及びT波(心室再分極)と称される波形成分を含む。QT間隔は、QRS群(心室脱分極)の開始からT波の終了(心室再分極の終了)のまでの時間間隔である。
このQT間隔は、遺伝的配置、薬剤/薬物性副作用、電解質不均衡などの多数の理由により異常に「長く」なる場合がある。患者のQT間隔が長くなると、致命的になりかねない不整脈(異常な心調律)のリスクが高まっていることが分かる。この不整脈は、「心室性不整脈」(torsade de pointes)と呼ばれ、心室頻拍(高レート)の形態である。この不整脈がそのまま終了せず、又は患者の心調律が除細動装置を用いて正常に戻らない場合、死亡する可能性がある。
QT間隔は、患者の心拍数に応じて所定の患者において変化することになる。通常、心拍数が増加すると、QT間隔が短くなり、心拍数が減少すると、QT間隔が長くなる。したがって、QT間隔が特定の患者について「長く」なった時期を判定することは難しい場合がある。この問題を克服するため、多数の既知の心拍数補正式のいずれかを適用することができ、かかる式は、当該QT間隔測定値を当該心拍数が60拍/分(bpm)であったところのものに「補正」又は正常化するよう測定された心拍数で測定されたQT間隔につき用いることができるものである。補正されたQT間隔は、一般的に「QTc」と称される。Bazettにより展開される補正式は、臨床診療において一般的に用いられる。QT間隔は、秒にて測定される観察される心拍間(R−R)間隔の平方根により測定されたQT間隔を割ることによって、この式により補正される。用いることのできる他の補正式は、Fridericiaにより展開されるものであり、これは、QT間隔を心拍間間隔の立方根で除算するものである。したがって、これは、患者の異常なQT間隔の伸長があるかどうかを判定するよう一般的に計算されるQTc間隔となる。QTc値は、男性は470ミリ秒より大きい場合、女性は480ミリ秒より大きい場合に長いとみなすことができる。一般的な規定として、患者のQTc間隔が500ミリ秒を超える場合、又は(例えば、投薬管理の開始から)60ミリ秒を超えるQTc増加が観察される場合、当該QTcは、危険に「長い」ものとみなされる。
多数の投薬がQTの伸長を生じさせることが分かっているので(恐らくは不整脈に関する薬剤)、合衆国食品医薬品局は、全ての薬剤に、それらがQT間隔を長くする可能性があるかどうかを判定するための試験をすることを要求している。製薬会社又は開発業務受託機関(CRO;contract research organization)は、心電計又はホルタモニタリング装置を用いて規定通りにECGを集め、薬物臨床試験に登録された主題の物に関するQTc間隔を測定する。
病院においても、QT間隔の監視は重要である。何故なら、多くの病院の患者は、不整脈に関する作用を奏しうる、又はQT間隔を長くさせる可能性又はファクタの組み合わせにより影響を受ける可能性のある電解質不均衡を被りうる薬剤を摂取しているからである。これら状況は、米国心臓協会(AHA;American Heart Association)の作成グループにより対処されており、このグループは、病院における患者のECGモニタリングのための実施基準を保証するための科学的声明を発表している。ECG監視実務における最初の時について、このガイダンスは、恐らくは不整脈に関する薬剤について患者のQT間隔監視の推奨を含んでいる。また、米国救命救急診療看護士協会(AACN;American Association of Critical Care Nurses)は、QT間隔の監視の必要性に特に対応する実務的警告を発した。
AHAの科学的声明は、どのようにしてQT間隔がマニュアルで測定されることが可能かについての提案を示し、QTcを「薬物が投与される前とその後少なくとも8時間毎の心電図記録例を用いることによって」立証することができると示唆している。当該AHA実施基準に従う病院は、大抵、4ないし8時間毎に各患者から1つのQT間隔測定値を必要とするQT間隔監視のためのプロトコルを有する。臨床医療関係者は、単一のECGリードによるECGストリップを印刷し、この1つのリードにおける1つの心拍に関するQT間隔をマニュアルで測定することによってこれを行うのが普通である。幾つかの監視システムは、マニュアルQT間隔測定を行う際の臨床医を支援するよう電子的キャリパ機能を有する。そこでは、Bazett補正式は、単一の(そしてしばしば先行する)R−R間隔に基づいてQTcを計算するように用いられる。しかしながら、QT間隔の稀なマニュアル測定には問題がはらんでいる。「An algorithm for continuous real-time QT interval monitoring」と題された我々の論文(J. Electrocardiology vol. 39 (2006) at pp S123-S127)において、我々は、PhysioNetのQTデータベースのQT間隔の心臓専門医によるマニュアルの注釈における心拍間の変動性を解析した。この解析の結果は、複数の医師によりマニュアルで注釈された1つのQT間隔の平均QTレンジは76msecであり、中心値は68msecであったことを明らかにしている。最小の変動量の場合には、24msecのレンジで、最悪の場合には、236msecの変動があった。この大きな変化は、心拍間QT変動性及び手動測定誤差によるものと考えられる。大きな変動は、不規則に選択された心拍は代表的なものではなく、正常な変動及び/又は測定エラーの量は、臨床医療スタッフが検出しようとしているQT伸長(大抵は60msec)よりも大きいことを意味している。
図1は、本発明によるQT間隔監視のためのECGデータの取得のために適したECGシステムをブロック図形式で示している。複数の電極20は、患者の皮膚に付着するために提供される。大抵、これら電極は、当該皮膚に貼り付く導電性粘着ゲル表面を備えた使い捨て導電体である。各導電体は、ECGシステムの電極線へスナップ留め又はクリップ留めするスナップ又はタブを有する。電極20は、当該各電極により受信される信号の前提条件を調整するECG取得モジュール22に結合される。この前提条件調整は、一般的に、当該各電極が受けた体の電気信号の増幅及びディジタル化を含む。これら電極信号は、一般には衝撃の危険性から患者を保護し、また患者が例えば除細動を受けているときにECGシステムを保護する電気的絶縁装置24によって、ECG処理モジュール26に結合される。光アイソレータは、一般的には電気的絶縁のために用いられる。処理されたECG情報は、ECGデータ記憶装置27にディジタルで記憶され、現在の又は以前記憶されたECGデータは、画像ディスプレイに表示され、或いは、出力装置28によりECGレポートに印刷される。この出力装置も、以下に説明するようにアラームを起動するために適している。
図2は、代表的モニタリングECGシステムの処理又は解析部のブロック図である。ペースパルス検出器42は、ペースメーカを1つ装着している患者のペースメーカにより生じる電気的スパイク及び他の電気的異常を識別し除外する。QRS検出器44は、電気トレースの有力なパルスを検出する。ECG波形又はトレースのQ−R−Sセグメントは、心室の収縮をシミュレートするパルスである当該トレースの主要な電気パルスの輪郭を描く。このQRS群の輪郭描写は、波形セグメンタ46により行われる当該トレースの比較的小さい動揺を検出するための基礎を形成する。この波形セグメンタは、ECGトレースのP波及びQないしTセグメントを含むトレースセグメントの全シーケンスの輪郭描写をするものである。各波形がここで全て輪郭描写されて、心拍分類器48は、新しい心拍の各々を前の心拍と比較し、各心拍を当該個人にとって正常(規則正しい)又は異常(転位)と分類する。かかる心拍の分類により、平均心拍分析器52は、正常な心拍の特徴を規定することができ、平均心拍の振幅及びセグメント持続長は、54で測定される。心拍分類は、56で心調律を測定するために用いられる。図3は、このECGトレース処理の部分の機能的な図である。図3において、当該リードの平均心拍トレース64は、66で示される様々な特性について測定され、かかる特性には、Q波、R波及びT波の振幅及び持続長、及びQRS及びQTのような波間間隔がある。かかる測定値は、測定テーブル68に記録されるように示される。
本発明のQT監視システムは、心電図又は診断用ECGシステムにおいて実現可能であるが、好ましくは、上述したECG機能を組み込んでいる、マサチューセッツ州、アンドーバのフィリップス・メディカル・システムズから入手可能なIntelliVue(R)患者モニタのような患者監視システムにおいて実現されるのが良い。この監視システムはまた、単一のベッド脇モニタにより構成可能であり、或いは監視中央ステーションと一般に称されるものに接続される複数のベッドサイドモニタからなるものとしてもよい。この監視システムは、当該中央監視ステーションに接続されるアンテナ網にECG信号を送信するウェラブル遠隔測定ECG装置を有することができるので、患者が監視を受けながら当該病院内を歩行可能となる。本発明はまた、ホルタモニタに具現化されてもよく、これにより、QT間隔監視を外来患者向けに行うことができる。
図4は、QT間隔のマニュアル測定値に適合した患者監視システムの表示スクリーンを示している。この表示スクリーンの上部には、病院内の4つのベッド、Bed1、Bed2、Bed3及びBed4に割り当てられた患者からの患者データの表示のための領域がある。最後に述べたベッドは、使われておらず、当該表示に「ベッド無し」と示している。患者が歩行可能で無線モニタを装着しているとき、稲妻アイコンは、この例ではBed3の場合のように、ベッド番号の近くに表示される。この例において、ECGストリップ14は、Bed2の仮想の患者、ビル・スミス氏のために記録されており、測定値は、患者スミス氏のQT間隔につき作成されている。図4の表示スクリーンは、QT間隔の測定をなす際に医師又は看護士を支援する「E−Caliper」と呼ばれる特徴を示している。上述したように、現在の実務は、ECGトレースを取り込み、4ないし8時間毎に患者のQT間隔を測定することである。ECGストリップ14は、QT間隔が測定されることのできる多数の心拍を有する。医師は、この表示の下部の近くのボックス12をクリックすることによって、このE−Caliper機能をオンとする。そして、キャリパ測定ボックス30のリストは、当該スクリーンの右側に現れ、測定カーソル16は、ECGトレース上に現れる。医師は、図4に示されるように、心拍のQポイントに位置合わせされるまで、カーソル16を水平に動かすようにマウス又は他のポインティング装置を用いる。医師は、このポインティング装置をクリックし、点線17により示されるように心拍のTポイントにおいて医師が水平に位置づける第2のカーソルが現れる。医師が両方のカーソルの位置に満足すると、スクリーンの右側にあるQTボックス32がクリックされ、2つのカーソルの間隔が測定されQTボックス32に現れる。これはこの例では0.36秒となっている。そして、医師は、カーソル18に示されるように、前の心拍のQポイントにおいて第3のカーソルを位置づける。したがって、カーソル18と16との間隔は、前の心拍のR−R間隔を特定し、これが心拍数の補正に用いられる。当該カーソルが図4に示されるように位置づけられると、医師は、RRボックス34をクリックし、R−R間隔が測定され表示される。この例ではこの間隔は0.98秒である。そして、測定されたQT間隔は、患者の心拍数(前の心拍のR−R間隔)に対して補正され、結果として得られるQTc値がボックス36に示される。医師はここで、4又は8時間前の前回測定値と比較すべき補正されたQTc値を把握し、その期間においてQT間隔の伸長が、少なくともこれら測定値により明らかとなる程度においてあるかどうかを確認することができる。
本発明の原理により、患者のQT間隔は、リアルタイムで連続的に監視される。アラームは、QTcなどのQTパラメータが所望の限界を超えると、ケアをする人に警告する。好適実施例において、患者のECGは、通常は病院における多リード(大抵は7又は8リード)のECGシステムにより、連続的に監視される。このECGシステムは、各電極における各心拍のECG波形を取得する。当該リード信号は、計算され、各リードにおける心拍の全ては、そのリードの平均信号を作るように平均がとられる。このことは、心拍分類を伴う形でも又は伴わない形でも行うことができる。そして、リード信号の全ては、RMS信号を計算することによって合成される。ECGサンプル毎に、全ての利用可能なリードからの各代表的複素数の2乗が合計され、リードの数で除算され、そしてその平方根がその結果について得られる。これにより、時間の1分につき代表の心拍が生成される。そして、QT間隔は、Qの到来及びTオフセットを識別することによって測定される。これは、勾配遮断技術、Swatzell技術又は他の適切な処理を用いて行うことができる。その時のQT間隔は、当該時点のQTc値を生成するよう補正アルゴリズムのうちの1つを用いて補正される。
この処理は、5分毎にこのような測定値を5つ累算するように毎分繰り返される。この5つの測定値は、その後に、当該5分期間における測定値の単一の集合を生成するために用いられる。平均的又は平均の値を計算することができ、又は何らかの他の集合を用いることができるが、好適実施例においてはQTc間隔の中心値及び対応するQT値は、当該5分期間の代表値として選択される。QT監視システムは、このようにして、5分毎に、更新された値を生成し続ける。
QT監視システムが初期時にオンに切り換えられると、各新しい1分値は、それが生成されると表示される。動作の最初の5分の後には、5分測定に必要な値の5つの集合が累算されており、5分値の集合が表示される。その後、これら値は、5分毎に更新される。
図5は、本発明の原理により構成される患者監視システムの制御スクリーンを示している。この表示スクリーンの下半分は、ECG監視装置が行うことのできる種々の監視及び診断タスクについての様々な制御ボタンを含んでいる。特に本発明によるQT監視は、図6の下のQT設定スクリーンにアクセスするQT Setupボタン90、Trend Reviewボタン92、Alarm Reviewボタン94、及びEvent Reviewボタン96であり、これらは後続の図面において説明されるような表示スクリーンにアクセスするものである。
図6は、図5におけるQT Setupボタンを押すことによりアクセスされるQT監視用の設定スクリーンを示している。このスクリーンの中央に示されるように、この表示は、Bed2における患者の「ビル・スミス氏」に対する設定値のものである。複数の患者は、監視される患者のECGの全てがレポートされる、患者監視のための中央ステーションから同時にQT監視をうけることができる。QT監視設定値は、当該スクリーンの下半分に示される。「QT Analysis On」のボックス70は、ビル・スミス氏のECGがQT伸長につき監視されるときにチェックされる。このラインの下には、QT解析のために用いられるECGリードを識別するボックス72がある。このとき、全てのECGリードが解析に用いられる。このラインの下には、QTc及びdQTc、補正されたQT間隔測定値及びベースラインQTc間隔に対する補正されたQT間隔の変化についてのアラーム限度ボックスがある。ボックス74は、QTcのアラームをオンにするようチェックされている。この例のQTcのアラームは、500msecのアラーム設定によりオンとされる。これは、患者のQTc測定値が500msecを超えると、アラームに、中央ステーションにおいて音声を発生させることになる。前述したように、患者のQTc間隔が、投薬管理の開始から500msecを超えると、QTcは危険なほどに延長しているとみなされる。470〜480msecの範囲におけるQTc値は、幾つかの標準により延長しているとみなされ、低めのアラーム設定を促すことになると思われる。500msecのアラーム設定は、当該設定を含むボックスの右に上下カラットをクリックすることによって変更可能である。同様に、ボックス76は、dQTcのアラームをオンにするようチェックされる。図示の例において、dQTcアラームレベルは、60msecに設定されている。
この表示のアラーム設定ボックスの下には、Unit Settingsと呼ばれるボタン88があり、これは、当該Unit Settingsにおいて構成されるものに当該アラーム限度を設定する。User Settingsの設定は、図5におけるUnit Settingsボタン95によりアクセスされる(All Controls)。Unit Settingsボタン95は、QTcを計算する際に使われるべき補正の種類のための設定スクリーンにユーザを差し向ける。この表示スクリーンは、図8に示され、これが以下に説明される。
QT設定スクリーンの左側には、Baselineボックス82及びCurrent Valuesボックス80がある。このCurrent Valuesボックス80は、QT間隔、心拍数(QT−HR)、上述したような前に完成した5分時間期間について計算されたQTc及びdQTcの各値を示している。QT監視の開始において、前の期間は、全5分期間が完了するまで1分だけである。当該ボックスの底部には、そうした値の計算に用いられるリードのリストがある。この例において、リードI、II及びVは、現在の値を計算するために用いられた。QT設定スクリーンを観察する医師は、QT監視の開始期間の後に5分毎に更新される現在値を確認すると思われる。
左のボックス82は、dQTcを測定するために用いられるベースライン値を示している。dQTcはベースラインに対する増加分であるので、用いられるベースラインは、このボックス82に示される。初期時には、ベースライン値は、最初の5分解析期間のものである。これらベースライン値は、任意の時点で「Set QT Baseline」をクリックすることにより現在値に変更することができ、これにより、現在値がBaselineボックス82に現れるようになり、新しいベースライン値になる。図示の例において、ベースラインQTc値は、416msecであり、このdQTcアラーム設定は、60msecである。これは、dQTcアラームがQTcが476msec(416+60)を超えた場合に発生することになることを意味するものである。この例は、QTcの現在値が431msecであり、これが、dQTc値が直下に示すものとして、416msecのベースラインQTc値について15msecのdQTc増加分である。図示のスクリーン値を持つ「Set QT Beseline」をクリックすることは、新しいベースラインQTc値が431msecになるようにするもの思われる。
図7は、ユーザがリード選択のためにメニュー86をプルダウンしたときのQT設定スクリーンを示している。この例において、ユーザは、QT間隔の測定に用いられるべき全てのリード、主リード、又はECGの個々のリードのうちのもう1つからの各信号を選択することができる。ユーザは、選択をクリックして選択したリード又はリードグループをリードボックス72に出現させるようにする。
図8は、図5の設定スクリーンにおいてユーザが「Unit Settings」ボタン95をクリックすると現れるQTユニット設定表示スクリーンを示している。この例では、QTユニット設定スクリーンは、QT解析がオンとされ、ECGリードの全てがQT解析に用いられており、QTc及びdQTcの双方のアラームが設定されることを示している。このスクリーンはまた、ユーザがQTc補正のための補正式を選択することを可能にする手段としてのプルダウンメニュー98を示している。この例において、ユーザは、Bazettか又はFridericiaの補正式を選択することができる。
当該スクリーンの底部におけるAlarm Reviewボタン100がクリックされると、ユーザは、監視されるECG状態のアラームが発生したときにセーブされたECGストリップの全てを確認することができる。図9には、Bed2における患者のビル・スミス氏のこのようなECGアラームストリップの例が示される。この例では、「ALL ALARMS」が、アラーム状態の間にセーブされる3つのストリップと医師によりマニュアルでセーブされた2つの他のストリップとを表示する、当該スクリーンの右側にあるプルダウンメニューを用いて選択された。第1のストリップ104は、患者が、8/1/2007の11:06:30に徐脈(低心拍数)状態を示したときにセーブされた。このストリップの上の注釈が示すように、このアラームが発生した。何故なら、40bpmよりも下回るアラーム設定を超える、30bpmに患者の心拍数が落ちたからである。次のストリップ106は、患者の心拍数が120bpmを上回るアラーム設定を超えたので発生したアラームを示している。第3のストリップ108は、患者のQTc間隔が370msecのアラーム設定を超えたのでセーブされた。したがって、アラーム状態が中央監視ステーションにおいて即座に気づかれなかったとしても、イベントのときに自動的にセーブされたECGストリップを呼び出すことによってアラームイベントが発生した後に被監視患者のグラフィカルなECG波形を確認することができる。この例において、前の12時間の期間の間に患者に対して発生したアラーム状態の全ては、当該スクリーンの右下側におけるメニューボックス110における「12 Hours」を選択することによって確認される。
医師がより詳細にアラームストリップと当該アラームの時における患者の他の監視された状態とを見たいと望む場合には、医師は、図10に示されるように詳細な確認のためにアラームストリップのうちの1つを選択することができる。この例において、医師は、370msecのアラーム限度を上回る376msecにQTc間隔が延びた時における患者の身体機能を確認するために選択をなしている。図10の例において、記憶されたECGストリップは、アラームの時におけるリードII及びV1並びに患者の呼吸のECG波形を示す。図11は、当該スクリーンのボックス112における徐脈状態の時点における患者の身体機能の詳細な表示と、ボックス120における患者のアラームの全ての表形式のリストを伴う表示スクリーンを示している。当該アラームの全ての表形式のリストは、プルダウンメニュー102における「ALL ALARMS」及び当該スクリーンのライン122における「Tabular Display」チェックボックスを選択することによって選択される。
本発明の他の実施例によれば、患者のQT間隔情報は、時間とともに監視されることが可能であり、表示され確認されるQT間隔における動向を示す。ある種の患者との投薬の作用は、高度に漸進的に発生するQT間隔の変化とともに微細なものとすることができるので、このような動向表示は、患者の状態のこうした微細な長期変化を、より良好に明らかにすることができる。図12は、本発明の動向確認表示の例を示している。この例において、医師は、メニューボックス140においてこの選択をなすことによりQT変化の表示動向を選択している。医師は、メニューボックス142において確認のための4時間監視期間を選択している。表示領域150において、医師は、この選択をメニューボックス144において行うことによって当該4時間期間にわたりQTc及びdQTc値の動向を表示するような選択をなしている。この表示領域152において、医師は、この選択をメニュー146において行うことによりQT間隔及び心拍数の表示を選択している。そして、この表示は、前の4時間の期間におけるこれら心臓パラメータの変化を示している。当該表示におけるライン132は、dQTcの動向ラインであり、ライン134は、QTcの動向ラインであり、ライン136は、心拍数の動向ラインであり、ライン138は、QT間隔の動向ラインである。
この図示の4時間期間において、特定の時点における特定のパラメータ値を高精度に認識することは難しい。したがって、医師が特定の値が所望される動向ライン上の特定点を見る場合、医師は、動向ラインに沿って垂直カーソルライン130をスライドする。この例において、カーソル130は、表示された4時間の期間において、時刻13:00:00に位置づけられる。この表示は、表示領域150及び152の上部におけるカーソル130の時間位置における動向ラインの厳密なパラメータ値を示す。例えば、この例において、カーソル130の時間位置における値は、QTc=436msec、dQTc=20msecであり、QT間隔は、360msecであり、心拍数(QT−HR)は、88bpmである。したがって、カーソル130により、医師は、QT間隔動向付けにおける関心の正確な瞬間に焦点を絞ることができる。
図13は、QTc及びdQTcの動向が表示領域150にグラフィカルに示され、多数のQTパラメータが表示領域154において表形式で示される動向確認におけるもう1つの変形例を示している。表示すべきパラメータは、ボックス148における所望のパラメータをチェックすることにより選択され、表形式表示の測定間隔は、プルダウンメニュー149から選択される。この例において、dQTc、QT、QT−HR及びQTcは、時刻13:00で開始する5分間隔で記録されるようにして示される。この表形式表示の時間期間は、グラフィカル表示領域150において少し陰影がつけられ又は色づけされ、カーソル130の時間位置におけるQTパラメータ値は、この陰影付けされ又は色づけされた領域に示されるように位置づけられるとき、表形式表示領域154において時刻13:10で強調表示される。この表示技術により、医師は、カーソル130の位置の正確な時刻におけるQTパラメータ値だけでなく、当該表形式表示領域におけるこの時刻の前及び後の双方における量子化されたQTパラメータ値を確認することができる。
図14のグラフィカルな動向表示は、本例がユーザがカーソル130を位置付け直す度に現れるポップアップ時間ボックス131を示していることを除き、図12のものと同様である。このポップアップ時間ボックスにより、ユーザは、カーソル130の厳密な時間位置を、当該グラフィカル動向表示の4時間タイムウィンドウにわたり移動させながら確認することができる。
図14のグラフィカル動向表示も、本例が確認期間メニューボックス142のプルダウンメニュー143の選択を示すことを除き、図12のものと同様である。この例において、ユーザは、QTパラメータの動向を確認するための表示時間期間について1時間から24時間に及ぶ選択を有する。