JP2005000409A - 心電計および心電波形表示方法 - Google Patents
心電計および心電波形表示方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】心電波形の全体において特定された異常波形をその位置を特定して表示する。
【解決手段】測定して取得した心電波形データに基づく全体波形が領域ＥＡに縮小されて、同一画面の領域ＥＢには全体波形において異常と特定された部分３０Ｄの波形が、異常波形を識別可能な態様で拡大表示される。領域ＥＡの全体波形においては同時表示されている領域ＥＢの波形の部分３０Ｄの位置が指示される。全体波形において異常波形を含む部分波形が複数個存在するときは、矢印ＡＬまたはＡＲ方向に移動して、領域ＥＢに拡大表示される部分３０Ｄの波形（異常波形）を移動方向に位置する部分３０Ｄのそれに順次切替えることができる。
【選択図】 図７
【解決手段】測定して取得した心電波形データに基づく全体波形が領域ＥＡに縮小されて、同一画面の領域ＥＢには全体波形において異常と特定された部分３０Ｄの波形が、異常波形を識別可能な態様で拡大表示される。領域ＥＡの全体波形においては同時表示されている領域ＥＢの波形の部分３０Ｄの位置が指示される。全体波形において異常波形を含む部分波形が複数個存在するときは、矢印ＡＬまたはＡＲ方向に移動して、領域ＥＢに拡大表示される部分３０Ｄの波形（異常波形）を移動方向に位置する部分３０Ｄのそれに順次切替えることができる。
【選択図】 図７
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は心電計および心電波形表示方法に関し、特に、測定した心電信号による心電波形を表示する心電計およびそのための心電波形表示方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
患者が日常的に携行するタイプの携帯式心電計は心臓疾患による成人病の増加に伴い広く普及しつつある。
【０００３】
従来の携帯式心電計には、動悸、息切れなどの自覚症状（イベント）が生じたときに測定して心電信号を入力する方式（イベント方式という）に従う測定をするものと、測定された心電波形と予め記憶している標準（安静時）の心電波形とを比較する方式に従い測定するものがある。
【０００４】
イベント方式としては、心拍数トレンドデータとイベント波形データを時刻情報とともに記憶して、表示モードをトレンド／波形で切換える際にデータ時刻を同一に保つ（トレンド表示範囲を２４時間・６０分・１０分と切換える）構成が提案されている（特許文献１参照）。また、心拍数トレンドデータとイベント波形データを時刻情報とともに記憶し、イベント波形とトレンドグラフを上下２段に同時表示（時刻指示マーク表示／同期）してスクロールするものが提案されている（特許文献２参照）。
【０００５】
標準波形と比較する方式としては、予め記憶した標準心電波形と、電極により検出した心電波形とを比較し、比較結果に応じて検出した波形データを記憶するものが提案されている（特許文献３参照）。
【０００６】
また正常な心電データを記憶し、心電センサで検出したデータが不整脈かどうかを判定し結果を表示する構成において、不整脈を検出すれば自動的に記憶するものが提案されている（特許文献４参照）。
【０００７】
また、メモリループ方式で格納された心電図データが異常か否かを判定し、一定時間ごとの異常発生頻度と異常時の心電図波形を記憶し再生するものが提案されている（特許文献５参照）。
【０００８】
また、上述のような方式にかかわらず、表示に関する技術を提案するものとして、記憶した心電図データの表示手段と透明タッチパネルを一体的に構成して、心電図波形の表示倍率とタッチキーが指定する座標を基準にして、心電図データを拡大・縮小表示するものが提案されている（特許文献６参照）。
【０００９】
【特許文献１】
特許２６９１８１４号公報
【００１０】
【特許文献２】
特許２６９１８１５号公報
【００１１】
【特許文献３】
特開平９−５６６８７号公報
【００１２】
【特許文献４】
特開２０００−２７９３８５号公報
【００１３】
【特許文献５】
特許２７００７２５号公報
【００１４】
【特許文献６】
特開平５−１６１６１９号公報
【００１５】
【発明が解決しようとする課題】
上述の特許文献１および２に開示のイベント方式に従う測定方法では、患者はイベント波形が提示されるけれども、その波形の中に異常の波形があるか否かを識別することはできなかった。
【００１６】
また、標準波形と比較する方式に従う測定方法に関しては、特許文献３に開示の方法では、心電計単体では、異常と判定された波形を見ることができず、別途、心電波形を受信・表示する診断装置が必要とされていた。また、特許文献４および５に開示の測定方法では、記憶した心電データのうち、どの区間の波形が異常か特定することができなかった。また、特許文献６に開示の方法では、ユーザは記憶されたデータのうち、どの波形を拡大表示しているかを把握することができなかった。
【００１７】
それゆえにこの発明の目的は、心電波形において異常などの特徴的波形があるかをわかりやすく提示することのできる心電計および心電波形表示方法を提供することである。
【００１８】
この発明の他の目的は、心電計単体で、特徴的波形の特定と特定された特徴的波形の表示とを可能とする心電計を提供することである。
【００１９】
この発明のさらに他の目的は、心電波形データのうち、どの部分のデータに基づく波形を拡大表示しているかを識別可能なように表示することのできる心電計および心電波形表示方法を提供することである。
【００２０】
【課題を解決するための手段】
この発明のある局面に従う心電計は、時系列の心電信号に基づく心電波形データを取得する手段と、表示手段と、取得した心電波形データに基づく情報を表示手段に表示するための処理手段とを備える。処理手段は、取得した心電波形データから特徴的な波形を含む部分のデータを特定する特徴波形特定手段と、特定された部分データに基づく波形における特徴的波形と他の波形とを、特徴的波形を他の波形とは異なる表示態様としながら、表示部に表示する波形表示手段とを有する。
【００２１】
好ましくは、特徴的波形は心電波形の異常を示す波形である。
したがって、心電波形データに基づく波形が表示されるとき、その中で特定された特徴的波形とその他の波形とが相互に異なる態様で表示されるから、心電波形において異常などの特徴的な波形を他の波形とは識別して、わかりやすく表示できる。
【００２２】
好ましくは、特定された部分データに基づく波形は拡大されて表示される。したがって、部分データの波形の特徴的波形も拡大表示されるから、その特徴を容易に確認できる。
【００２３】
好ましくは、波形表示手段は、同一画面において、特徴的波形と他の波形とを同時に表示する。したがって、特徴的波形を他の波形と比較しながら確認することができる。
【００２４】
好ましくは、波形表示手段は、同一画面において、特定された部分データに基づく部分波形について拡大後の波形と拡大前の波形とを同時に表示する。したがって、同一画面において部分波形およびその中の特徴波形を、拡大する前の状態と拡大した後の状態とで、比較しながら確認できる。
【００２５】
好ましくは、波形表示手段は、部分波形と、心電波形データ全体に基づく全体波形とを同一画面の別領域に同時に表示し、表示される全体波形においては、同時表示されている部分波形の位置が指示される。
【００２６】
したがって、同時表示される特徴的波形を含む部分の波形が、全体波形のどの位置のものであるかを簡単に確認できる。
【００２７】
好ましくは、波形表示手段は、特徴波形特定手段により特定された特徴的波形を含む複数の部分データのうちから、表示手段に表示する特徴的波形の部分データを選択する。
【００２８】
したがって、心電波形データにおいて、特徴的波形を含む部分データが複数個特定されると、表示すべき部分データの波形（特徴的波形）を、この特定された複数の部分データのうちから選択することができる。
【００２９】
好ましくは、部分データは外部から入力する指示に基づき選択される。したがって、ユーザなどは外部から指示を入力することにより、表示を所望する部分データの波形（特徴的波形）を選択して表示させることができる。
【００３０】
好ましくは、前述の拡大のスケールは任意に設定される。したがって、部分データの波形およびそれに含まれる特徴的波形の拡大倍率を任意に変更することができる。
【００３１】
好ましくは、表示手段と処理手段とは心電計において同時に搭載される。したがって、心電計の処理手段の特徴波形特定手段により特定された特徴的波形を、別の装置を介さずとも同一心電計の表示手段を介して確認することができる。
【００３２】
好ましくは、上述の心電波形データの取得手段は、人体の心電信号を検出して心電波形データを測定する心電測定手段をさらに備える。
【００３３】
したがって、同一の心電計を用いて心電波形データの測定と、測定された心電波形データに基づく情報の表示とを行なうことができる。
【００３４】
好ましくは、特徴的波形を解析する手段をさらに備えて、この解析結果に基づくデータを表示手段に表示する。したがって、特徴的波形を確認できるとともに、それに関する解析結果のデータも確認できる。
【００３５】
好ましくは、解析結果に基づくデータは医家への受診の必要性に関するコメントを含む。したがって、コメントを確認することにより、今回、提示された特徴的波形の深刻さに関するアドバイス的情報も得ることができて、受診の要否に関して一応の目安を得ることができる。
【００３６】
この発明の他の局面に従う心電波形表示方法は、時系列の心電信号に基づく心電波形データを取得するステップと、取得した心電波形データに基づく情報を予め準備された表示部に表示するための処理ステップとを備え、処理ステップは、取得した心電波形データから特徴的な波形を含む部分のデータを特定する特徴波形特定ステップと、特定された部分データに基づく波形における特徴的波形と他の波形とを、特徴的波形を他の波形とは異なる表示態様としながら、表示部に表示する波形表示ステップとを有する。
【００３７】
したがって、心電波形データに基づく波形が表示されるとき、その中で特定された特徴的波形とその他の波形とが相互に異なる態様で表示されるから、心電波形において異常などの特徴的な波形を他の波形とは識別して、わかりやすく表示できる。
【００３８】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施の形態では、携帯型の心電計を例にして、その表示態様を説明するが、ここに述べる表示態様の適用は携帯型の心電計に限定されず、たとえば据置型の心電計であってもよい。
【００３９】
図１には、本実施の形態に係る心電計１の機能構成が示され、図２には図１の心電計１の外観が示される。
【００４０】
図２を参照して心電計１は、第１電極１０、滑り止め部２１を表面に形成した第２電極２０、表示部３０、電源をＯＮ／ＯＦＦするために操作される電源スイッチ１１、測定を開始するために操作される測定ボタン１２、各種情報（指示、データを含む）を設定するために操作される設定ボタン１３、表示部３０に情報を表示させるために操作される表示ボタン１４ならびにスクロールボタン１５および１６を備える。スクロールボタン１５は表示部３０に表示される情報を左側に移動させるのに操作されて、スクロールボタン１６は右側に移動させるのに操作される。
【００４１】
図１を参照して、心電計１は、該心電計１による心電測定を含む各部の動作を集中的に監視および制御するためのＣＰＵ（中央処理装置の略）５０、グラフィック表示機能を有する表示部３０に対応のＬＣＤ（ｌｉｑｕｉｄ Ｃｒｙｓｔａｌ Ｄｉｓｐｌａｙ）３１、第１および第２電極１０および２０に対応の電極部４１、電極部４１による電圧信号を入力してその電位差を増幅してＣＰＵ５０に出力するＡＭＰ（増幅器）４２、各種プログラムおよびデータを格納するためのメモリ４３、心電計１と他の装置または外部の通信ネットワーク（図示されない）との間で通信するために設けられる通信Ｉ／Ｏ（インターフェイス）４４、電池などからなる電源部４５および電源スイッチ１１、測定ボタン１２、設定ボタン１３、表示ボタン１４およびスクロールボタン１５ならびに１６に対応する操作入力部４６を備える。
【００４２】
心電波形の測定動作時においては、心電計１を携帯した患者などの測定者は電源スイッチ１１をＯＮして、自身で第２電極２０を、滑り止め部２１で手が滑らないようにして右手で握りながら、第１電極１０を右手以外の肢体や胸部などに押し当てる。この状態で、測定ボタン１２を操作すると心電計１は測定モードに移行して、心電波形の測定が開始される。１回の心電測定は３０秒ほどで終了するので、測定開始されてから３０秒ほど経過すると、自動的に測定モードは終了する。
【００４３】
心電測定が開始されると、第１電極１０と第２電極２０との電位信号（電圧信号）はＡＭＰ４２に入力して、差動的に増幅される。ＡＭＰ４２から出力された電位差信号（アナログ信号）はＣＰＵ５０に与えられるので、ＣＰＵ５０はこれを入力してＡ／Ｄ（アナログ／デジタル）変換して、心電波形データ（デジタルデータ）を導出する。導出された心電波形データによる情報は、表示ボタン１４が操作されて表示モードに移行したときに表示部３０に表示される。
【００４４】
図３には、図１のメモリ４３に格納される測定結果を示すデータが示される。本実施の形態に係る心電計１は複数のユーザにより共用可能でありメモリ４３には共用する各ユーザに対応してデータ群７０が格納されている。データ群７０は、１つ以上のイベント発生時の心電波形の測定結果を示す測定データ６０、対応のユーザを識別するための氏名などを示すユーザ識別データ６３および標準時（安静時）の心電波形の測定結果を示す測定データ６４を含む。
【００４５】
測定データ６４はイベント発生していない安静時（標準時）の心電波形の測定データを示し、測定の日時データ６５と安静時の測定モードにおいて約３０秒間測定して得られた標準の心電波形データ６６を含む。
【００４６】
測定データ６０はイベント発生時に測定したデータを示し、測定の日時データ６１とイベント発生時の測定モードにおいて約３０秒間測定して得られた心電波形データ６２を含む。心電波形データ６２および６６は心電波形をトレンドグラフ（連続波形）として示すための測定時間経過に従う心電信号のレベルを示す。ユーザ識別データ６３は設定ボタン１３などを操作することにより設定（指示）できると想定する。
【００４７】
図４には本実施の形態に係る心電計１の測定モードおよび表示モードを含む動作の概略フローチャートが示される。図４を参照して、心電計１による心電測定動作について説明する。
【００４８】
まず、ユーザは心電計１を携帯して電源スイッチ１１をＯＮ操作して、第１電極１０を右手以外の肢体や胸部などに当てがい第２電極２０を右手で持って安定した状態となったところで、測定ボタン１２をＯＮするので（ステップＳ（以下、単にＳと略す）１）。これにより、測定モードに移行して心電波形が測定される（Ｓ２）。心電波形の測定は公知の手順に従うものである。簡単にいえば、電極部４１から出力の電圧信号はＡＭＰ４２においてその差分が増幅された後にＣＰＵ５０に与えられる。ＣＰＵ５０は逐次入力する電位差信号をＡ／Ｄ変換して心電波形データ（デジタルデータ）を検出する。検出された心電波形データ（時系列の心電信号のレベルを示すデータ）はメモリ４３の該ユーザに対応のデータ群７０の測定データ６０の心電波形データ６２として時系列に格納される。
【００４９】
ＣＰＵ５０は図示されない内部タイマにより測定開始から３０秒を経過したことを検出するまでは（Ｓ３でＮＯ）、Ｓ２の計測を繰返し実行する。３０秒経過した時点で計測終了を判定して（Ｓ３でＹＥＳ）、ＣＰＵ５０は内部タイマが計時する現在時刻データを読出し測定データ６０の測定日時データ６１として格納する。これにより、該ユーザの測定データ６０を該ユーザに対応のデータ群７０に登録完了する。その後、心電測定のための一連の動作は終了する。なお、図４の概略フローチャートには示していないが、Ｓ１で設定ボタン１３を操作して安静時の測定であることを指定して、測定ボタン１２を操作すると、Ｓ２以降と同様の処理で安静時のデータを測定することとなる。測定結果はメモリ４３の該ユーザに対応のデータ群７０の測定データ６４の標準の心電波形データ６６として測定日時データ６５とともに格納される。また安静時の測定データ６４は上述の手順を繰返すことにより任意に書換え（変更）可能である。
【００５０】
ここで、イベントが発生してイベント時の心電測定をするときは、急を要するので設定ボタン１３が操作されないままに、測定ボタン１２がＯＮされることで、ＣＰＵ５０はイベント発生時の測定モードに移行する。
【００５１】
イベント発生時の測定モードでは、同様にして、３０秒間の時系列の心電波形データが得られるので（Ｓ２、Ｓ３）これに基づき該ユーザに対応の新たな波形データ６２が検出されて、該波形データ６２とそのときの測定日時データ６１とともに測定データ６０として追加登録される。
【００５２】
次に、図５の手順に従う表示モードについて説明する。電源がＯＮされた後に表示ボタン１４がＯＮされると（Ｓ１）、表示モード（Ｓ７）に移行する。
【００５３】
図５を参照して、表示モードでは、ユーザが設定ボタン１３を操作して、表示したい測定データ６０を選択するための要求を入力するので、ＣＰＵ５０は該要求の入力に応じて、メモリ４３からユーザごとのデータ群７０のデータを読出して表示部３０に表示する。そのときの表示画面例が図６に示される。
【００５４】
図６の画面では、メモリ４３に格納されていた各ユーザのデータ群７０ごとに各測定データ６０の測定日時データ６１とユーザ識別データ６３とが表示部３０の画面の領域Ｅ１とＥ２とに分けて一覧表示されている。
【００５５】
図６の一覧画面を確認したユーザが表示を所望する自己の測定データ６０をカーソル１５または１６を操作して選択する。図６では、データ３２で示す測定データ６０がカーソル操作により選択されて、選択されたことを報知するために反転表示されている（Ｓ２０）。
【００５６】
所望の測定データ６０が選択されると、ＣＰＵ５０は該ユーザのデータ群７０から選択された測定データ６０を読出して、読出された測定データ６０を表示するためにデータ処理して表示部３０に与えるので、表示部３０にはたとえば図７のような画面が表示される（Ｓ２１）。
【００５７】
図７の画面においては、電源部４５に関するバッテリ残量のデータ３０Ａ、選択された測定データ６０の測定日時データ６１によるデータ３０Ｂ、および選択された測定データ６０の心電波形データ６２に基づいて公知の手順に従い算出された心拍数／分（ＢＰＭ）のデータ３０Ｃが表示されている。また、図７の画面は領域ＥＡと領域ＥＢを有し、領域ＥＡにおいては選択された所望の測定データ６０の心電波形データ６２に基づく測定時間（３０秒）にわたる心電波形の全体が必要に応じて縮小して示され、領域ＥＢにおいては特徴のある波形（以下、特徴波形という）とその周辺の波形からなる部分３０Ｄの波形が全体波形から抽出されて拡大されて表示されている。ここで、特徴波形とは、波形の立上がり・立下がりが正常でない異常波形（たとえば心臓疾患（不整脈など）に特有の波形）などである。この正常でない波形は、イベント時の該波形データ６２を所定手順で解析することにより特定してもよいし、該ユーザの測定データ６４中の標準波形データ６６と比較照合することにより特定してもよいし、また、メモリ４３に予め心臓疾患（不整脈など）に特有の波形パターンを登録しておき、これと比較照合することにより特定してもよい。
【００５８】
ＣＰＵ５０は、上述のようにして全体波形において特徴波形を含む１つ以上の部分３０Ｄを特定すると、領域ＥＡの全体波形において特定された各部分３０Ｄが枠で囲まれるなどしてまたは部分３０Ｄの波形がハイライト表示されるなどして強調表示されて他の波形とは識別可能なように提示される。そして、ＣＰＵ５０は特定した部分３０Ｄのうちの選択されている１つの部分３０Ｄの波形を拡大して領域ＥＢに表示する。選択された部分３０Ｄ（図７の領域ＥＡの左から２番目の部分３０Ｄ）は他の部分３０Ｄとは異なる態様で表示される。このとき、領域ＥＢでは部分３０Ｄの波形のうち特徴波形となっている波形３０Ｅを強調表示（ブリンク表示、ハイライト表示など）して、ユーザが特徴波形を識別可能なようにする。
【００５９】
ＣＰＵ５０により特定された部分３０Ｄが全体波形において複数個存在している場合には、ユーザがスクロールボタン１５を操作すると図７の矢印ＡＬ方向に位置する他の部分３０Ｄを指定することができ、逆にスクロールボタン１６を操作すると矢印ＡＲ方向に位置する他の部分３０Ｄを切替えて選択的に指定することができる（Ｓ２１〜Ｓ２３）。部分３０Ｄが切替指定されて選択される毎に、選択された部分３０Ｄの領域ＥＡにおける表示態様は他の部分３０Ｄとは異なるように切替られて、またその波形が領域ＥＢに拡大表示されるとともに、拡大表示された部分波形において特徴波形３０Ｅはその他の波形（その周囲の波形）とは識別可能な態様で表示（強調表示）される。
【００６０】
なお、領域ＥＢおよび領域ＥＡにおける波形に関する縦軸方向（μＶ、ｍＶ）、横軸方向（時間：ｓｅｃ）のスケールは、すなわち波形の拡大または縮小の倍率は、表示の都度、ＣＰＵ５０により算出されて決定され、決定されたスケールに従い波形表示される。このスケールの決定は表示部３０の表示可能な画面の大きさに基づいて決定してもよいし、ユーザからの外部入力値に従い、その入力値に応じたユーザ所望の倍率でスケールを決定するようにしてもよい。
【００６１】
図７において特定された部分３０Ｄの波形を拡大表示した後に、ユーザが表示ボタン１４を操作すると、ＣＰＵ５０は領域ＥＢに表示している部分３０Ｄの心電波形データに基づくＲ−Ｒ値を算出して図８のように表示する（Ｓ２４）。Ｒ−Ｒ値の算出は次のようにしてなされる。つまり、心電波形データの解析を行なって１心拍の区切りとなるＲ波頂点を特定し、１回前の心拍のＲ波頂点から今回の心拍のＲ波頂点までの時間の逆算を求めてそれを心拍数とする。このような心拍数の変化がＲ−Ｒ値のトレンドグラフとして示されている。
【００６２】
Ｒ−Ｒ値のトレンドグラフを確認したユーザが表示ボタン１４を操作すると、ＣＰＵ５０はＲ−Ｒ値および心電波形データを公知の手順で解析して、次に、表示ボタン１４が操作されるとＣＰＵ５０はデータ解析の結果を図９のようにコメント表示する（Ｓ２５、Ｓ２６）。
【００６３】
このコメントは、イベント発生時の心電波形データを解析した結果、専門家（医家）の診断を仰ぐことが必要であるとのメッセージや、安静時の波形との差異は少なく必要に応じて受診を受けるように促すアドバイス的なメッセージなどである。通常、測定者は波形を見ただけでは、発生したイベントの深刻さの程度を判断することはできないから、このようなコメントが提示されることで診察を受けるか否かなどの対応に関して判断の目安を得ることができる。
【００６４】
コメントを確認したユーザが表示ボタン１４を操作すると、ＣＰＵ５０はコメントの対象となった異常波形を含む部分３０Ｄの波形データを全体波形データから抽出して表示する（Ｓ２７）。
【００６５】
表示された異常な心電波形のデータを確認したユーザがカーソル１５または１６を操作すると、コメントの対象となった異常な心電波形を含む部分３０Ｄが新たに切替えて提示される（Ｓ２８、Ｓ２９）。
【００６６】
心電波形を確認したユーザが他の測定データ６０の波形データ６２についても表示を所望して表示ボタン１４を操作すると、Ｓ２０の処理に戻り、以下同様に他の測定データ６０の波形データ６２について処理が繰返される。表示ボタン１４が操作されないまま所定時間が経過すると、表示モードは終了して図４の処理に戻る。
【００６７】
（他の表示例）
図７の表示態様は、部分３０Ｄの拡大された波形と縮小された全体波形とを同一画面において同時に表示しているけれども、図１０（Ａ）と（Ｂ）のように部分３０Ｄの拡大された波形のみを表示するようにしてもよい。
【００６８】
図７の領域ＥＡの全体波形では特徴波形を含むとして特定された部分３０Ｄが４つ存在している。ＣＰＵ５０は図７の表示に代替して、図１０（Ａ）のようにこれら４つの部分３０Ｄのうちの１つ目の部分３０Ｄの拡大波形における特徴波形を他の波形（その周辺波形）とともに表示して、その場合に特徴波形を異なる態様（ハイライト表示など）で強調表示させている。
【００６９】
図１０（Ａ）の画面のデータ３０Ｆの“１／４”は、特定された部分３０Ｄの総数は４つあり現在表示されているのはその１番目の（時系列上で１番古い）部分３０Ｄの特徴波形データであることを示している。次にカーソルボタン１６が操作されると、図１０（Ｂ）のようにデータ３０Ｆは“２／４”となって、その次の（２番目）の部分３０Ｄの特徴波形のデータが切替え表示される。ここで、さらにカーソル１５が操作されると、図１０（Ａ）に示す１つの前の部分３０Ｄの波形データが再度表示される。
【００７０】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【００７１】
【発明の効果】
発明によれば、心電波形データに基づく波形が表示されるとき、その中で特定された特徴的波形とその他の波形とが相互に異なる態様で表示されるから、心電波形において異常などの特徴的な波形を他の波形とは識別して、わかりやすく表示できる。
【００７２】
また、心電計単体で、特徴的波形の特定と特定された特徴的波形の表示とを行なうことができる。
【００７３】
また、取得した心電波形データのうち、どの部分のデータに基づく波形を拡大表示しているかを識別可能な態様で表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本実施の形態に係る心電計の機能構成図である。
【図２】本実施の形態に係る心電計の外観図である。
【図３】図１のメモリに格納される測定結果データを説明する図である。
【図４】本実施の形態に係る心電計の動作の概略フローチャートである。
【図５】本実施の形態に係る表示モードの処理フローチャートである。
【図６】本実施の形態に係る表示画面例を示す図である。
【図７】本実施の形態に係る表示画面例を示す図である。
【図８】本実施の形態に係る表示画面例を示す図である。
【図９】本実施の形態に係る表示画面例を示す図である。
【図１０】（Ａ）と（Ｂ）は本実施の形態に係る表示画面例を示す図である。
【符号の説明】
１ 心電計、１０ 第１電極、１１ 電源スイッチ、１２ 測定ボタン、１３設定ボタン、１４ 表示ボタン、１５，１６ スクロールボタン、２０ 第２電極、２１ 滑り止め部、３０ 表示部、５０ ＣＰＵ、４３ メモリ、７０ データ群、６０，６４ 測定データ、３０Ｄ 部分。
【発明の属する技術分野】
この発明は心電計および心電波形表示方法に関し、特に、測定した心電信号による心電波形を表示する心電計およびそのための心電波形表示方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
患者が日常的に携行するタイプの携帯式心電計は心臓疾患による成人病の増加に伴い広く普及しつつある。
【０００３】
従来の携帯式心電計には、動悸、息切れなどの自覚症状（イベント）が生じたときに測定して心電信号を入力する方式（イベント方式という）に従う測定をするものと、測定された心電波形と予め記憶している標準（安静時）の心電波形とを比較する方式に従い測定するものがある。
【０００４】
イベント方式としては、心拍数トレンドデータとイベント波形データを時刻情報とともに記憶して、表示モードをトレンド／波形で切換える際にデータ時刻を同一に保つ（トレンド表示範囲を２４時間・６０分・１０分と切換える）構成が提案されている（特許文献１参照）。また、心拍数トレンドデータとイベント波形データを時刻情報とともに記憶し、イベント波形とトレンドグラフを上下２段に同時表示（時刻指示マーク表示／同期）してスクロールするものが提案されている（特許文献２参照）。
【０００５】
標準波形と比較する方式としては、予め記憶した標準心電波形と、電極により検出した心電波形とを比較し、比較結果に応じて検出した波形データを記憶するものが提案されている（特許文献３参照）。
【０００６】
また正常な心電データを記憶し、心電センサで検出したデータが不整脈かどうかを判定し結果を表示する構成において、不整脈を検出すれば自動的に記憶するものが提案されている（特許文献４参照）。
【０００７】
また、メモリループ方式で格納された心電図データが異常か否かを判定し、一定時間ごとの異常発生頻度と異常時の心電図波形を記憶し再生するものが提案されている（特許文献５参照）。
【０００８】
また、上述のような方式にかかわらず、表示に関する技術を提案するものとして、記憶した心電図データの表示手段と透明タッチパネルを一体的に構成して、心電図波形の表示倍率とタッチキーが指定する座標を基準にして、心電図データを拡大・縮小表示するものが提案されている（特許文献６参照）。
【０００９】
【特許文献１】
特許２６９１８１４号公報
【００１０】
【特許文献２】
特許２６９１８１５号公報
【００１１】
【特許文献３】
特開平９−５６６８７号公報
【００１２】
【特許文献４】
特開２０００−２７９３８５号公報
【００１３】
【特許文献５】
特許２７００７２５号公報
【００１４】
【特許文献６】
特開平５−１６１６１９号公報
【００１５】
【発明が解決しようとする課題】
上述の特許文献１および２に開示のイベント方式に従う測定方法では、患者はイベント波形が提示されるけれども、その波形の中に異常の波形があるか否かを識別することはできなかった。
【００１６】
また、標準波形と比較する方式に従う測定方法に関しては、特許文献３に開示の方法では、心電計単体では、異常と判定された波形を見ることができず、別途、心電波形を受信・表示する診断装置が必要とされていた。また、特許文献４および５に開示の測定方法では、記憶した心電データのうち、どの区間の波形が異常か特定することができなかった。また、特許文献６に開示の方法では、ユーザは記憶されたデータのうち、どの波形を拡大表示しているかを把握することができなかった。
【００１７】
それゆえにこの発明の目的は、心電波形において異常などの特徴的波形があるかをわかりやすく提示することのできる心電計および心電波形表示方法を提供することである。
【００１８】
この発明の他の目的は、心電計単体で、特徴的波形の特定と特定された特徴的波形の表示とを可能とする心電計を提供することである。
【００１９】
この発明のさらに他の目的は、心電波形データのうち、どの部分のデータに基づく波形を拡大表示しているかを識別可能なように表示することのできる心電計および心電波形表示方法を提供することである。
【００２０】
【課題を解決するための手段】
この発明のある局面に従う心電計は、時系列の心電信号に基づく心電波形データを取得する手段と、表示手段と、取得した心電波形データに基づく情報を表示手段に表示するための処理手段とを備える。処理手段は、取得した心電波形データから特徴的な波形を含む部分のデータを特定する特徴波形特定手段と、特定された部分データに基づく波形における特徴的波形と他の波形とを、特徴的波形を他の波形とは異なる表示態様としながら、表示部に表示する波形表示手段とを有する。
【００２１】
好ましくは、特徴的波形は心電波形の異常を示す波形である。
したがって、心電波形データに基づく波形が表示されるとき、その中で特定された特徴的波形とその他の波形とが相互に異なる態様で表示されるから、心電波形において異常などの特徴的な波形を他の波形とは識別して、わかりやすく表示できる。
【００２２】
好ましくは、特定された部分データに基づく波形は拡大されて表示される。したがって、部分データの波形の特徴的波形も拡大表示されるから、その特徴を容易に確認できる。
【００２３】
好ましくは、波形表示手段は、同一画面において、特徴的波形と他の波形とを同時に表示する。したがって、特徴的波形を他の波形と比較しながら確認することができる。
【００２４】
好ましくは、波形表示手段は、同一画面において、特定された部分データに基づく部分波形について拡大後の波形と拡大前の波形とを同時に表示する。したがって、同一画面において部分波形およびその中の特徴波形を、拡大する前の状態と拡大した後の状態とで、比較しながら確認できる。
【００２５】
好ましくは、波形表示手段は、部分波形と、心電波形データ全体に基づく全体波形とを同一画面の別領域に同時に表示し、表示される全体波形においては、同時表示されている部分波形の位置が指示される。
【００２６】
したがって、同時表示される特徴的波形を含む部分の波形が、全体波形のどの位置のものであるかを簡単に確認できる。
【００２７】
好ましくは、波形表示手段は、特徴波形特定手段により特定された特徴的波形を含む複数の部分データのうちから、表示手段に表示する特徴的波形の部分データを選択する。
【００２８】
したがって、心電波形データにおいて、特徴的波形を含む部分データが複数個特定されると、表示すべき部分データの波形（特徴的波形）を、この特定された複数の部分データのうちから選択することができる。
【００２９】
好ましくは、部分データは外部から入力する指示に基づき選択される。したがって、ユーザなどは外部から指示を入力することにより、表示を所望する部分データの波形（特徴的波形）を選択して表示させることができる。
【００３０】
好ましくは、前述の拡大のスケールは任意に設定される。したがって、部分データの波形およびそれに含まれる特徴的波形の拡大倍率を任意に変更することができる。
【００３１】
好ましくは、表示手段と処理手段とは心電計において同時に搭載される。したがって、心電計の処理手段の特徴波形特定手段により特定された特徴的波形を、別の装置を介さずとも同一心電計の表示手段を介して確認することができる。
【００３２】
好ましくは、上述の心電波形データの取得手段は、人体の心電信号を検出して心電波形データを測定する心電測定手段をさらに備える。
【００３３】
したがって、同一の心電計を用いて心電波形データの測定と、測定された心電波形データに基づく情報の表示とを行なうことができる。
【００３４】
好ましくは、特徴的波形を解析する手段をさらに備えて、この解析結果に基づくデータを表示手段に表示する。したがって、特徴的波形を確認できるとともに、それに関する解析結果のデータも確認できる。
【００３５】
好ましくは、解析結果に基づくデータは医家への受診の必要性に関するコメントを含む。したがって、コメントを確認することにより、今回、提示された特徴的波形の深刻さに関するアドバイス的情報も得ることができて、受診の要否に関して一応の目安を得ることができる。
【００３６】
この発明の他の局面に従う心電波形表示方法は、時系列の心電信号に基づく心電波形データを取得するステップと、取得した心電波形データに基づく情報を予め準備された表示部に表示するための処理ステップとを備え、処理ステップは、取得した心電波形データから特徴的な波形を含む部分のデータを特定する特徴波形特定ステップと、特定された部分データに基づく波形における特徴的波形と他の波形とを、特徴的波形を他の波形とは異なる表示態様としながら、表示部に表示する波形表示ステップとを有する。
【００３７】
したがって、心電波形データに基づく波形が表示されるとき、その中で特定された特徴的波形とその他の波形とが相互に異なる態様で表示されるから、心電波形において異常などの特徴的な波形を他の波形とは識別して、わかりやすく表示できる。
【００３８】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施の形態では、携帯型の心電計を例にして、その表示態様を説明するが、ここに述べる表示態様の適用は携帯型の心電計に限定されず、たとえば据置型の心電計であってもよい。
【００３９】
図１には、本実施の形態に係る心電計１の機能構成が示され、図２には図１の心電計１の外観が示される。
【００４０】
図２を参照して心電計１は、第１電極１０、滑り止め部２１を表面に形成した第２電極２０、表示部３０、電源をＯＮ／ＯＦＦするために操作される電源スイッチ１１、測定を開始するために操作される測定ボタン１２、各種情報（指示、データを含む）を設定するために操作される設定ボタン１３、表示部３０に情報を表示させるために操作される表示ボタン１４ならびにスクロールボタン１５および１６を備える。スクロールボタン１５は表示部３０に表示される情報を左側に移動させるのに操作されて、スクロールボタン１６は右側に移動させるのに操作される。
【００４１】
図１を参照して、心電計１は、該心電計１による心電測定を含む各部の動作を集中的に監視および制御するためのＣＰＵ（中央処理装置の略）５０、グラフィック表示機能を有する表示部３０に対応のＬＣＤ（ｌｉｑｕｉｄ Ｃｒｙｓｔａｌ Ｄｉｓｐｌａｙ）３１、第１および第２電極１０および２０に対応の電極部４１、電極部４１による電圧信号を入力してその電位差を増幅してＣＰＵ５０に出力するＡＭＰ（増幅器）４２、各種プログラムおよびデータを格納するためのメモリ４３、心電計１と他の装置または外部の通信ネットワーク（図示されない）との間で通信するために設けられる通信Ｉ／Ｏ（インターフェイス）４４、電池などからなる電源部４５および電源スイッチ１１、測定ボタン１２、設定ボタン１３、表示ボタン１４およびスクロールボタン１５ならびに１６に対応する操作入力部４６を備える。
【００４２】
心電波形の測定動作時においては、心電計１を携帯した患者などの測定者は電源スイッチ１１をＯＮして、自身で第２電極２０を、滑り止め部２１で手が滑らないようにして右手で握りながら、第１電極１０を右手以外の肢体や胸部などに押し当てる。この状態で、測定ボタン１２を操作すると心電計１は測定モードに移行して、心電波形の測定が開始される。１回の心電測定は３０秒ほどで終了するので、測定開始されてから３０秒ほど経過すると、自動的に測定モードは終了する。
【００４３】
心電測定が開始されると、第１電極１０と第２電極２０との電位信号（電圧信号）はＡＭＰ４２に入力して、差動的に増幅される。ＡＭＰ４２から出力された電位差信号（アナログ信号）はＣＰＵ５０に与えられるので、ＣＰＵ５０はこれを入力してＡ／Ｄ（アナログ／デジタル）変換して、心電波形データ（デジタルデータ）を導出する。導出された心電波形データによる情報は、表示ボタン１４が操作されて表示モードに移行したときに表示部３０に表示される。
【００４４】
図３には、図１のメモリ４３に格納される測定結果を示すデータが示される。本実施の形態に係る心電計１は複数のユーザにより共用可能でありメモリ４３には共用する各ユーザに対応してデータ群７０が格納されている。データ群７０は、１つ以上のイベント発生時の心電波形の測定結果を示す測定データ６０、対応のユーザを識別するための氏名などを示すユーザ識別データ６３および標準時（安静時）の心電波形の測定結果を示す測定データ６４を含む。
【００４５】
測定データ６４はイベント発生していない安静時（標準時）の心電波形の測定データを示し、測定の日時データ６５と安静時の測定モードにおいて約３０秒間測定して得られた標準の心電波形データ６６を含む。
【００４６】
測定データ６０はイベント発生時に測定したデータを示し、測定の日時データ６１とイベント発生時の測定モードにおいて約３０秒間測定して得られた心電波形データ６２を含む。心電波形データ６２および６６は心電波形をトレンドグラフ（連続波形）として示すための測定時間経過に従う心電信号のレベルを示す。ユーザ識別データ６３は設定ボタン１３などを操作することにより設定（指示）できると想定する。
【００４７】
図４には本実施の形態に係る心電計１の測定モードおよび表示モードを含む動作の概略フローチャートが示される。図４を参照して、心電計１による心電測定動作について説明する。
【００４８】
まず、ユーザは心電計１を携帯して電源スイッチ１１をＯＮ操作して、第１電極１０を右手以外の肢体や胸部などに当てがい第２電極２０を右手で持って安定した状態となったところで、測定ボタン１２をＯＮするので（ステップＳ（以下、単にＳと略す）１）。これにより、測定モードに移行して心電波形が測定される（Ｓ２）。心電波形の測定は公知の手順に従うものである。簡単にいえば、電極部４１から出力の電圧信号はＡＭＰ４２においてその差分が増幅された後にＣＰＵ５０に与えられる。ＣＰＵ５０は逐次入力する電位差信号をＡ／Ｄ変換して心電波形データ（デジタルデータ）を検出する。検出された心電波形データ（時系列の心電信号のレベルを示すデータ）はメモリ４３の該ユーザに対応のデータ群７０の測定データ６０の心電波形データ６２として時系列に格納される。
【００４９】
ＣＰＵ５０は図示されない内部タイマにより測定開始から３０秒を経過したことを検出するまでは（Ｓ３でＮＯ）、Ｓ２の計測を繰返し実行する。３０秒経過した時点で計測終了を判定して（Ｓ３でＹＥＳ）、ＣＰＵ５０は内部タイマが計時する現在時刻データを読出し測定データ６０の測定日時データ６１として格納する。これにより、該ユーザの測定データ６０を該ユーザに対応のデータ群７０に登録完了する。その後、心電測定のための一連の動作は終了する。なお、図４の概略フローチャートには示していないが、Ｓ１で設定ボタン１３を操作して安静時の測定であることを指定して、測定ボタン１２を操作すると、Ｓ２以降と同様の処理で安静時のデータを測定することとなる。測定結果はメモリ４３の該ユーザに対応のデータ群７０の測定データ６４の標準の心電波形データ６６として測定日時データ６５とともに格納される。また安静時の測定データ６４は上述の手順を繰返すことにより任意に書換え（変更）可能である。
【００５０】
ここで、イベントが発生してイベント時の心電測定をするときは、急を要するので設定ボタン１３が操作されないままに、測定ボタン１２がＯＮされることで、ＣＰＵ５０はイベント発生時の測定モードに移行する。
【００５１】
イベント発生時の測定モードでは、同様にして、３０秒間の時系列の心電波形データが得られるので（Ｓ２、Ｓ３）これに基づき該ユーザに対応の新たな波形データ６２が検出されて、該波形データ６２とそのときの測定日時データ６１とともに測定データ６０として追加登録される。
【００５２】
次に、図５の手順に従う表示モードについて説明する。電源がＯＮされた後に表示ボタン１４がＯＮされると（Ｓ１）、表示モード（Ｓ７）に移行する。
【００５３】
図５を参照して、表示モードでは、ユーザが設定ボタン１３を操作して、表示したい測定データ６０を選択するための要求を入力するので、ＣＰＵ５０は該要求の入力に応じて、メモリ４３からユーザごとのデータ群７０のデータを読出して表示部３０に表示する。そのときの表示画面例が図６に示される。
【００５４】
図６の画面では、メモリ４３に格納されていた各ユーザのデータ群７０ごとに各測定データ６０の測定日時データ６１とユーザ識別データ６３とが表示部３０の画面の領域Ｅ１とＥ２とに分けて一覧表示されている。
【００５５】
図６の一覧画面を確認したユーザが表示を所望する自己の測定データ６０をカーソル１５または１６を操作して選択する。図６では、データ３２で示す測定データ６０がカーソル操作により選択されて、選択されたことを報知するために反転表示されている（Ｓ２０）。
【００５６】
所望の測定データ６０が選択されると、ＣＰＵ５０は該ユーザのデータ群７０から選択された測定データ６０を読出して、読出された測定データ６０を表示するためにデータ処理して表示部３０に与えるので、表示部３０にはたとえば図７のような画面が表示される（Ｓ２１）。
【００５７】
図７の画面においては、電源部４５に関するバッテリ残量のデータ３０Ａ、選択された測定データ６０の測定日時データ６１によるデータ３０Ｂ、および選択された測定データ６０の心電波形データ６２に基づいて公知の手順に従い算出された心拍数／分（ＢＰＭ）のデータ３０Ｃが表示されている。また、図７の画面は領域ＥＡと領域ＥＢを有し、領域ＥＡにおいては選択された所望の測定データ６０の心電波形データ６２に基づく測定時間（３０秒）にわたる心電波形の全体が必要に応じて縮小して示され、領域ＥＢにおいては特徴のある波形（以下、特徴波形という）とその周辺の波形からなる部分３０Ｄの波形が全体波形から抽出されて拡大されて表示されている。ここで、特徴波形とは、波形の立上がり・立下がりが正常でない異常波形（たとえば心臓疾患（不整脈など）に特有の波形）などである。この正常でない波形は、イベント時の該波形データ６２を所定手順で解析することにより特定してもよいし、該ユーザの測定データ６４中の標準波形データ６６と比較照合することにより特定してもよいし、また、メモリ４３に予め心臓疾患（不整脈など）に特有の波形パターンを登録しておき、これと比較照合することにより特定してもよい。
【００５８】
ＣＰＵ５０は、上述のようにして全体波形において特徴波形を含む１つ以上の部分３０Ｄを特定すると、領域ＥＡの全体波形において特定された各部分３０Ｄが枠で囲まれるなどしてまたは部分３０Ｄの波形がハイライト表示されるなどして強調表示されて他の波形とは識別可能なように提示される。そして、ＣＰＵ５０は特定した部分３０Ｄのうちの選択されている１つの部分３０Ｄの波形を拡大して領域ＥＢに表示する。選択された部分３０Ｄ（図７の領域ＥＡの左から２番目の部分３０Ｄ）は他の部分３０Ｄとは異なる態様で表示される。このとき、領域ＥＢでは部分３０Ｄの波形のうち特徴波形となっている波形３０Ｅを強調表示（ブリンク表示、ハイライト表示など）して、ユーザが特徴波形を識別可能なようにする。
【００５９】
ＣＰＵ５０により特定された部分３０Ｄが全体波形において複数個存在している場合には、ユーザがスクロールボタン１５を操作すると図７の矢印ＡＬ方向に位置する他の部分３０Ｄを指定することができ、逆にスクロールボタン１６を操作すると矢印ＡＲ方向に位置する他の部分３０Ｄを切替えて選択的に指定することができる（Ｓ２１〜Ｓ２３）。部分３０Ｄが切替指定されて選択される毎に、選択された部分３０Ｄの領域ＥＡにおける表示態様は他の部分３０Ｄとは異なるように切替られて、またその波形が領域ＥＢに拡大表示されるとともに、拡大表示された部分波形において特徴波形３０Ｅはその他の波形（その周囲の波形）とは識別可能な態様で表示（強調表示）される。
【００６０】
なお、領域ＥＢおよび領域ＥＡにおける波形に関する縦軸方向（μＶ、ｍＶ）、横軸方向（時間：ｓｅｃ）のスケールは、すなわち波形の拡大または縮小の倍率は、表示の都度、ＣＰＵ５０により算出されて決定され、決定されたスケールに従い波形表示される。このスケールの決定は表示部３０の表示可能な画面の大きさに基づいて決定してもよいし、ユーザからの外部入力値に従い、その入力値に応じたユーザ所望の倍率でスケールを決定するようにしてもよい。
【００６１】
図７において特定された部分３０Ｄの波形を拡大表示した後に、ユーザが表示ボタン１４を操作すると、ＣＰＵ５０は領域ＥＢに表示している部分３０Ｄの心電波形データに基づくＲ−Ｒ値を算出して図８のように表示する（Ｓ２４）。Ｒ−Ｒ値の算出は次のようにしてなされる。つまり、心電波形データの解析を行なって１心拍の区切りとなるＲ波頂点を特定し、１回前の心拍のＲ波頂点から今回の心拍のＲ波頂点までの時間の逆算を求めてそれを心拍数とする。このような心拍数の変化がＲ−Ｒ値のトレンドグラフとして示されている。
【００６２】
Ｒ−Ｒ値のトレンドグラフを確認したユーザが表示ボタン１４を操作すると、ＣＰＵ５０はＲ−Ｒ値および心電波形データを公知の手順で解析して、次に、表示ボタン１４が操作されるとＣＰＵ５０はデータ解析の結果を図９のようにコメント表示する（Ｓ２５、Ｓ２６）。
【００６３】
このコメントは、イベント発生時の心電波形データを解析した結果、専門家（医家）の診断を仰ぐことが必要であるとのメッセージや、安静時の波形との差異は少なく必要に応じて受診を受けるように促すアドバイス的なメッセージなどである。通常、測定者は波形を見ただけでは、発生したイベントの深刻さの程度を判断することはできないから、このようなコメントが提示されることで診察を受けるか否かなどの対応に関して判断の目安を得ることができる。
【００６４】
コメントを確認したユーザが表示ボタン１４を操作すると、ＣＰＵ５０はコメントの対象となった異常波形を含む部分３０Ｄの波形データを全体波形データから抽出して表示する（Ｓ２７）。
【００６５】
表示された異常な心電波形のデータを確認したユーザがカーソル１５または１６を操作すると、コメントの対象となった異常な心電波形を含む部分３０Ｄが新たに切替えて提示される（Ｓ２８、Ｓ２９）。
【００６６】
心電波形を確認したユーザが他の測定データ６０の波形データ６２についても表示を所望して表示ボタン１４を操作すると、Ｓ２０の処理に戻り、以下同様に他の測定データ６０の波形データ６２について処理が繰返される。表示ボタン１４が操作されないまま所定時間が経過すると、表示モードは終了して図４の処理に戻る。
【００６７】
（他の表示例）
図７の表示態様は、部分３０Ｄの拡大された波形と縮小された全体波形とを同一画面において同時に表示しているけれども、図１０（Ａ）と（Ｂ）のように部分３０Ｄの拡大された波形のみを表示するようにしてもよい。
【００６８】
図７の領域ＥＡの全体波形では特徴波形を含むとして特定された部分３０Ｄが４つ存在している。ＣＰＵ５０は図７の表示に代替して、図１０（Ａ）のようにこれら４つの部分３０Ｄのうちの１つ目の部分３０Ｄの拡大波形における特徴波形を他の波形（その周辺波形）とともに表示して、その場合に特徴波形を異なる態様（ハイライト表示など）で強調表示させている。
【００６９】
図１０（Ａ）の画面のデータ３０Ｆの“１／４”は、特定された部分３０Ｄの総数は４つあり現在表示されているのはその１番目の（時系列上で１番古い）部分３０Ｄの特徴波形データであることを示している。次にカーソルボタン１６が操作されると、図１０（Ｂ）のようにデータ３０Ｆは“２／４”となって、その次の（２番目）の部分３０Ｄの特徴波形のデータが切替え表示される。ここで、さらにカーソル１５が操作されると、図１０（Ａ）に示す１つの前の部分３０Ｄの波形データが再度表示される。
【００７０】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【００７１】
【発明の効果】
発明によれば、心電波形データに基づく波形が表示されるとき、その中で特定された特徴的波形とその他の波形とが相互に異なる態様で表示されるから、心電波形において異常などの特徴的な波形を他の波形とは識別して、わかりやすく表示できる。
【００７２】
また、心電計単体で、特徴的波形の特定と特定された特徴的波形の表示とを行なうことができる。
【００７３】
また、取得した心電波形データのうち、どの部分のデータに基づく波形を拡大表示しているかを識別可能な態様で表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本実施の形態に係る心電計の機能構成図である。
【図２】本実施の形態に係る心電計の外観図である。
【図３】図１のメモリに格納される測定結果データを説明する図である。
【図４】本実施の形態に係る心電計の動作の概略フローチャートである。
【図５】本実施の形態に係る表示モードの処理フローチャートである。
【図６】本実施の形態に係る表示画面例を示す図である。
【図７】本実施の形態に係る表示画面例を示す図である。
【図８】本実施の形態に係る表示画面例を示す図である。
【図９】本実施の形態に係る表示画面例を示す図である。
【図１０】（Ａ）と（Ｂ）は本実施の形態に係る表示画面例を示す図である。
【符号の説明】
１ 心電計、１０ 第１電極、１１ 電源スイッチ、１２ 測定ボタン、１３設定ボタン、１４ 表示ボタン、１５，１６ スクロールボタン、２０ 第２電極、２１ 滑り止め部、３０ 表示部、５０ ＣＰＵ、４３ メモリ、７０ データ群、６０，６４ 測定データ、３０Ｄ 部分。
Claims (12)
- 時系列の心電信号に基づく心電波形データを取得する手段と、
表示手段と、
取得した前記心電波形データに基づく情報を前記表示手段に表示するための処理手段とを備え、
前記処理手段は、
前記取得した心電波形データから特徴的な波形を含む部分のデータを特定する特徴波形特定手段と、
前記特定された部分データに基づく波形における前記特徴的波形と他の波形とを、前記特徴的波形を前記他の波形とは異なる表示態様としながら、前記表示部に表示する波形表示手段とを有する、心電計。 - 前記特定された部分データに基づく波形は拡大されて表示されることを特徴とする、請求項１に記載の心電計。
- 前記波形表示手段は、
同一画面において、前記特徴的波形と前記他の波形とを同時に表示することを特徴とする、請求項１または２に記載の心電計。 - 前記波形表示手段は、
同一画面において、前記特定された部分データに基づく部分波形について拡大後の波形と拡大前の波形とを同時に表示することを特徴とする、請求項１から３のいずれか１項に記載の心電計。 - 前記波形表示手段は、
前記部分波形と、前記取得された心電波形データ全体に基づく全体波形とを同一画面の別領域に同時に表示し、
表示される前記全体波形においては、同時表示されている前記部分波形の位置が指示されることを特徴とする、請求項４に記載の心電計。 - 前記波形表示手段は、
前記特徴波形特定手段により特定された前記特徴的波形を含む複数の前記部分データのうちから、前記表示手段に表示する前記特徴的波形の前記部分データを選択することを特徴とする、請求項１から５のいずれか１項に記載の心電計。 - 前記部分データは外部から入力する指示に基づき選択されることを特徴とする、請求項６に記載の心電計。
- 前記拡大のスケールは任意に設定されることを特徴とする、請求項４から７のいずれか１項に記載の心電計。
- 前記表示手段と前記処理手段とは前記心電計において同時に搭載されることを特徴とする、請求項１から８のいずれか１項に記載の心電計。
- 前記特徴的波形を解析する手段をさらに備えて、この解析結果に基づくデータを前記表示部に表示することを特徴とする、請求項１から９のいずれか１項に記載の心電計。
- 前記解析結果に基づくデータは医家への受診の必要性に関するコメントを含む、請求項１０に記載の心電計。
- 時系列の心電信号に基づく心電波形データを取得するステップと、
取得した前記心電波形データに基づく情報を予め準備された表示部に表示するための処理ステップとを備え、
前記処理ステップは、
前記取得した心電波形データから特徴的な波形を含む部分のデータを特定する特徴波形特定ステップと、
前記特定された部分データに基づく波形における前記特徴的波形と他の波形とを、前記特徴的波形を前記他の波形とは異なる表示態様としながら、前記表示部に表示する波形表示ステップとを有する、心電波形表示方法。
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