JP2010536941A - 優れた断熱および難燃効果を有する発泡性ポリスチレンビーズおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
粒径1〜50μmの金属または非金属酸化物、金属または非金属水酸化物、ケイ酸塩、ホウ酸塩、および炭酸塩の中から選ばれた1種または2種以上の物質を10〜60重量%含有する、多様な分野に幅広く使用できる、難燃性および断熱性発泡性ポリスチレンビーズとその製造方法。
Description
本発明は、断熱性および難燃性が向上した発泡性ポリスチレンビーズおよびその製造方法に係り、より詳しくは、難燃剤として、金属または非金属酸化物、金属または非金属水酸化物、ケイ酸塩、ホウ酸塩および炭酸塩の中から選ばれた1種または2種以上の物質を10〜60重量%含有する、断熱性および難燃性が向上した発泡性ポリスチレンビーズおよびその製造方法に関する。
発泡ポリスチレンフォーム(スタイロフォーム)は、建築物の断熱のための断熱材として広く用いられている。スタイロフォームは、価格が低く、加工性および軽量性に優れるという利点があるが、火に対して非常に脆弱であり、押出法ポリスチレンボード(XPSボード)に比べて断熱性に劣るという問題点がある。断熱性が足りなければ、所望レベルの断熱性を得るためにはさらに厚い断熱材を使用しなければならないため、スタイロフォームの製造コストが上昇し且つ建築物の内外壁の厚さが厚くなるという欠点を持つ。
上述した問題点を解決するために、膨張性黒鉛をスチレン重合の際に添加する従来の技術が開示されている。
上述した問題点を解決するために、膨張性黒鉛をスチレン重合の際に添加する従来の技術が開示されている。
例えば、韓国公開特許第10−2006−0030155号(発明の名称:断熱特性に優れた発泡性ポリスチレン粒子の製造方法)では、黒鉛粒子をスチレン重合過程で含ませ、難燃剤として有機臭素化合物を含ませて断熱性能を向上させる製造方法を開示し、韓国公開特許第10−2006−0030155号(発明の名称:断熱特性に優れた発泡性ポリスチレン粒子の製造方法)は、スチレン重合過程を経て得られたポリスチレン粒子を水性懸濁し、懸濁剤、黒鉛、有機難燃剤および溶剤(トルエン)を投入し、120℃の温度に加熱し、発泡剤を投入して5時間維持することにより、黒鉛含有の発泡性ポリスチレンビーズを製造する方法であり、韓国公開特許10−2007−0053953号(発明の名称:断熱特性に優れた発泡性ポリスチレン粒子の製造方法)は、ポリスチレン粒子に黒鉛を5重量%混合して220℃で溶融し、ポリスチレンを押し出してミニペレットを作った後、黒鉛含有のポリスチレンビーズを反応器へ移送し、水、懸濁剤、有機難燃剤および気泡調節剤を投入混合して120℃の温度に加熱し、発泡剤(ペンタン)を投入して5時間維持した後、脱水乾燥を行うことにより、黒鉛含有の発泡性ポリスチレンを製造する方法を開示する。
これらの技術は、製造工程にのみ変化があるばかりで、黒鉛をポリスチレンに含ませるという点においては共通し、発泡性ポリスチレンビーズを1次発泡して熟成させ、公知の粒子法で成形してスタイロフォームを製造するときに共通的に粒子間の融着性が不良であって成形が難しいという欠点がある。また、最終成形体は、含まれた黒鉛の吸収性により、時間が経つほど断熱性が低下するという欠点があり、経済性が足りなくて未だ本格的に実用化されていない。
これらの技術は、製造工程にのみ変化があるばかりで、黒鉛をポリスチレンに含ませるという点においては共通し、発泡性ポリスチレンビーズを1次発泡して熟成させ、公知の粒子法で成形してスタイロフォームを製造するときに共通的に粒子間の融着性が不良であって成形が難しいという欠点がある。また、最終成形体は、含まれた黒鉛の吸収性により、時間が経つほど断熱性が低下するという欠点があり、経済性が足りなくて未だ本格的に実用化されていない。
かかる問題点を解決するために、発泡性ポリスチレンビーズにアルミニウム粉末をコートする技術として、韓国公開特許10−2007−0076026号は、アルミニウム粒子でコートされた発泡性ポリスチレンビーズおよびその製造方法を開示している。この技術は、板状アルミニウム粉体をレジン(接着剤)で1次コートし、この板状アルミニウム粉体0.1〜25重量%を発泡性ポリスチレンビーズにポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックスまたはポリスチレンワックスでコートする技術である。
この技術は、アルミニウムが赤外線を反射する作用を利用したものである。ところが、この技術は、高価のアルミニウム粉末を使用したが、断熱性能の向上は微弱であり、工程も複雑であって経済性が足りないため、実用化されていない。
この技術は、アルミニウムが赤外線を反射する作用を利用したものである。ところが、この技術は、高価のアルミニウム粉末を使用したが、断熱性能の向上は微弱であり、工程も複雑であって経済性が足りないため、実用化されていない。
発泡性ポリスチレンビーズの他の脆弱点である難燃性の不足を解決するための従来の技術は次のとおりである。
韓国特許公報第1999−000001号(発明の名称:難燃ポリスチレン系樹脂およびその製造方法)には、ポリスチレン系樹脂に難燃剤として塩素化パラフィン、酸化アンチモン、熱膨張性黒鉛などを添加して難燃ポリスチレンを製造する方法が開示されている。
韓国公開特許第1995−018241号(発明の名称:非ハロゲン系難燃ポリスチレン系樹脂およびその製造方法)には、ポリスチレン樹脂に難燃剤として熱膨張性黒鉛、赤リン、ゴムなどを混合し、加熱して押し出す製造方法が開示されている。
韓国公開特許第2007−0043839号(発明の名称:ポリスチレン発泡体用相乗的難燃性混合物)には、有機臭素化合物を難燃剤として使用し、難燃性向上剤としてヘキサブロモシクロドデカンを使用し、220℃で溶融押出する方法が開示されている。
韓国特許公報第1999−000001号(発明の名称:難燃ポリスチレン系樹脂およびその製造方法)には、ポリスチレン系樹脂に難燃剤として塩素化パラフィン、酸化アンチモン、熱膨張性黒鉛などを添加して難燃ポリスチレンを製造する方法が開示されている。
韓国公開特許第1995−018241号(発明の名称:非ハロゲン系難燃ポリスチレン系樹脂およびその製造方法)には、ポリスチレン樹脂に難燃剤として熱膨張性黒鉛、赤リン、ゴムなどを混合し、加熱して押し出す製造方法が開示されている。
韓国公開特許第2007−0043839号(発明の名称:ポリスチレン発泡体用相乗的難燃性混合物)には、有機臭素化合物を難燃剤として使用し、難燃性向上剤としてヘキサブロモシクロドデカンを使用し、220℃で溶融押出する方法が開示されている。
これらの技術は、共通的にポリスチレン樹脂に各種有機難燃剤、黒鉛などを添加する技術である。これらの技術は、共通的に最終物性が安定的でなく、燃焼の際に有毒ガスが発生し、難燃性の向上効果が微弱であるという欠点がある。
このような欠点を解決するための従来の技術としては、韓国公開特許第2006−0069721号(発明の名称:膨張黒鉛を含有した不燃性難燃ポリスチレン発泡体樹脂粒子の製造方法)がある。この技術は、発泡性ポリスチレンビーズにスチームを加えて80倍〜130倍に1次発泡された発泡ビーズに膨張黒鉛を熱硬化性フェノール系バインダーを用いてコートし、適切に有機難燃剤を添加する製造方法である。
この技術は、夥しい体積の発泡粒子に難燃材料をコートする製造工程の特徴により、莫大な機械設備費用が要求されるが、生産性および経済性が足りないうえ、最終製品の品質が不均一であり、難燃性の向上効果も微々であり、成形が難しいという欠点があって、実用化されていない。
このような欠点を解決するための従来の技術としては、韓国公開特許第2006−0069721号(発明の名称:膨張黒鉛を含有した不燃性難燃ポリスチレン発泡体樹脂粒子の製造方法)がある。この技術は、発泡性ポリスチレンビーズにスチームを加えて80倍〜130倍に1次発泡された発泡ビーズに膨張黒鉛を熱硬化性フェノール系バインダーを用いてコートし、適切に有機難燃剤を添加する製造方法である。
この技術は、夥しい体積の発泡粒子に難燃材料をコートする製造工程の特徴により、莫大な機械設備費用が要求されるが、生産性および経済性が足りないうえ、最終製品の品質が不均一であり、難燃性の向上効果も微々であり、成形が難しいという欠点があって、実用化されていない。
このような欠点を改善しようとする試みとして、韓国公開特許第10−2007−0013367号(発明の名称:難燃スタイロフォームおよびその製造方法)があるが、この技術は、ケイ酸ソーダ溶液に珪藻土、珪石、三酸化アンチモンなどを混合した液体を、成形されたスタイロフォームに注入することである。この技術は、注入された液体の乾燥が容易でないため、生産効率が非常に低いという問題点、およびスタイロフォームに注入されたケイ酸ソーダ液と各種混合物との化学反応により時間が経つほどスタイロフォームが酸化し、注入された水分が乾燥すれば難燃性能が消滅するという欠点がある。
前述した全ての従来の技術の問題点を解決するための技術として、本発明者による韓国特許出願第10−2006−131769号(発明の名称:難燃性が向上した発泡性ポリスチレンビーズ、これを用いたポリスチレン発泡体、およびこれらの製造方法)を挙げることができる。
この技術では、発泡性ポリスチレンビーズに亜鉛粉末を0.5〜50重量%含有させるため、作業性が非常に優れるうえ、難燃性も相当向上したが、比較的高価の亜鉛粉末が使用されることにより製品のコストがあまり上昇するという問題点、および難燃性の向上のために亜鉛粉末を多量投入する場合には軽量性が低下するという問題点を持っている。
この技術では、発泡性ポリスチレンビーズに亜鉛粉末を0.5〜50重量%含有させるため、作業性が非常に優れるうえ、難燃性も相当向上したが、比較的高価の亜鉛粉末が使用されることにより製品のコストがあまり上昇するという問題点、および難燃性の向上のために亜鉛粉末を多量投入する場合には軽量性が低下するという問題点を持っている。
本発明は、上述したような問題点を解決するためのもので、その目的とするところは、断熱性が向上した発泡性ポリスチレン(EPS)ビーズを提供することにある。
本発明の他の目的は、粒子間の融着性に優れた発泡性ポリスチレンビーズを提供することにある。
本発明の別の目的は、難燃性が著しく向上した発泡性ポリスチレンビーズを提供することにある。
本発明の別の目的は、断熱性および難燃性が同時に向上した発泡性ポリスチレンビーズを提供することにある。
本発明の別の目的は、優れた作業性および低い製造コストを有する、断熱性および難燃性が向上した発泡性ポリスチレンビーズを提供することにある。
本発明の他の目的は、粒子間の融着性に優れた発泡性ポリスチレンビーズを提供することにある。
本発明の別の目的は、難燃性が著しく向上した発泡性ポリスチレンビーズを提供することにある。
本発明の別の目的は、断熱性および難燃性が同時に向上した発泡性ポリスチレンビーズを提供することにある。
本発明の別の目的は、優れた作業性および低い製造コストを有する、断熱性および難燃性が向上した発泡性ポリスチレンビーズを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、難燃剤として、粒径1〜50μmの金属または非金属酸化物、金属または非金属水酸化物、ケイ酸塩、ホウ酸塩、および炭酸塩の中から選ばれた1種またはそれ以上の物質を10〜60重量%含有することを特徴とする、発泡性ポリスチレンビーズを提供する。
以下、本発明を詳細に説明する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用可能な金属酸化物としては、酸化鉄(FeO)、三酸化二鉄(Fe2O3)、四酸化三鉄(Fe3O4)、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウムなどの大部分の金属酸化物を挙げることができる。本発明で使用可能な非金属酸化物の例としては、酸化カルシウム(CaO)、ホウ酸(H3BO3)、ケイ砂(SiO2)などを挙げることができる。
使用可能な金属水酸化物の例としては水酸化マグネシウムまたは水酸化アルミニウムを挙げることができ、非金属水酸化物の例としては水酸化カルシウムを挙げることができる。
使用可能なケイ酸塩の例としてはケイ酸ナトリウム乾燥物、珪藻土などを挙げることができ、ホウ酸塩の例としてはホウ砂を挙げることができ、炭酸塩の例としては炭酸カルシウムを挙げることができる。
本発明で使用される前記物質の粉末は、効果を向上させるためには微細であるほどよく、1〜50μmの粒径を有することが好ましい。粉末の含量は10〜60重量%の範囲、好ましくは15〜50重量%である。この範囲未満の場合には、難燃性の向上効果が足りなく、この範囲超過の場合には、難燃性の向上効果は微々たり、軽量性が低下し、製品の製造コストがあまり上昇する。
使用可能な金属水酸化物の例としては水酸化マグネシウムまたは水酸化アルミニウムを挙げることができ、非金属水酸化物の例としては水酸化カルシウムを挙げることができる。
使用可能なケイ酸塩の例としてはケイ酸ナトリウム乾燥物、珪藻土などを挙げることができ、ホウ酸塩の例としてはホウ砂を挙げることができ、炭酸塩の例としては炭酸カルシウムを挙げることができる。
本発明で使用される前記物質の粉末は、効果を向上させるためには微細であるほどよく、1〜50μmの粒径を有することが好ましい。粉末の含量は10〜60重量%の範囲、好ましくは15〜50重量%である。この範囲未満の場合には、難燃性の向上効果が足りなく、この範囲超過の場合には、難燃性の向上効果は微々たり、軽量性が低下し、製品の製造コストがあまり上昇する。
難燃剤を発泡性ポリスチレンビーズに含ませる方法は、発泡性ポリスチレンビーズを製造するとき、重合前または重合後に難燃剤をビーズの内部に含ませるか、或いは通常の発泡性ポリスチレンビーズにバインダーを用いて難燃剤をコートする方法を取ることができる。本発明において、発泡ポリスチレンビーズの重合前とはスチレン単量体の重合完了が100%となる前をいう。
難燃剤を発泡性ポリスチレンビーズに含有させる具体的な方法は、本発明者による韓国公開特許第10−2007−0080205号に記載された次の方法を用いることができる。
難燃剤を発泡性ポリスチレンビーズに含有させる具体的な方法は、本発明者による韓国公開特許第10−2007−0080205号に記載された次の方法を用いることができる。
すなわち、(1)スチレンを重合する過程でスチレン単量体の重合が90%以上行われてビーズがゲル化されるまで粉末を含ませる方法、(2)スチレン重合が90%以上行われた完結前の発泡性ポリスチレンビーズを他の反応器へ移送する途中で粉末をスプレー混合コートする方法、(3)スチレン重合済みの発泡性ポリスチレンビーズに、接着性バインダーと混合された難燃剤を噴射することにより、難燃剤が発泡性ポリスチレンビーズにコートされるようにする方法などを適用することができる。
前記(1)および(2)の方法では、通常、難燃剤が5重量%以上含有されることが難しく、幾ら多くても10重量%以上含有できない。その理由は、この範囲以上含有される場合には得られた発泡性ポリスチレンビーズの物性が著しく低下するためである。
したがって、所望レベルの難燃度を得るためには、前記(1)および(2)の方法を取る場合には10重量%、好ましくは5重量%以内の難燃剤が含有されるようにした後、不足分は前記(3)の方法によって補充しなければならない。
前記(3)の方法は、前記(1)および(2)の方法を取らなくても、直ちに適用することができる。すなわち、難燃剤が含有されていない通常の発泡性ポリスチレンビーズに難燃剤を繰り返しコートすることにより、所望レベルの難燃剤を含有させることができる。
したがって、所望レベルの難燃度を得るためには、前記(1)および(2)の方法を取る場合には10重量%、好ましくは5重量%以内の難燃剤が含有されるようにした後、不足分は前記(3)の方法によって補充しなければならない。
前記(3)の方法は、前記(1)および(2)の方法を取らなくても、直ちに適用することができる。すなわち、難燃剤が含有されていない通常の発泡性ポリスチレンビーズに難燃剤を繰り返しコートすることにより、所望レベルの難燃剤を含有させることができる。
この際、接着性バインダーの投入量は5〜20重量%であることが好ましく、難燃剤を発泡性ポリスチレンビーズの表面に強く結合させることができれば、公知のシリコン、液状ケイ酸ソーダ、油性接着剤、水性接着剤、熱硬化性接着剤、熱可塑性接着剤などを選択的にまたは2種以上適切に混合して全て使用することができる。ところが、発泡性ポリスチレンビーズは1次発泡の際に80倍以上に膨張するので、熱可塑性接着剤の使用が好ましい。また、使用される接着剤はポリスチレンと類似の軟化点を有することが好ましい。これは、軟化点の差異が大きい場合には1次発泡の際にコートされた皮膜が剥離するおそれがあるためである。
この他に、スタイロフォーム(EPS)を有機溶剤、例えばトルエン、MEK、アセトン、またはこれらの組み合わせからなる有機溶剤に溶解させてなるバインダーを用いて、難燃剤を発泡性ポリスチレン(EPS)ビーズにコートすることができる。この種のバインダーを使用する場合には、バインダーの固形分が発泡性ポリスチレン(EPS)ビーズと同一の成分なので、最終製品の物性に悪影響を及ぼさず、水溶性の他の接着性バインダーを使用するときよりコーティング時間が短縮されるうえ、廃スタイロフォームを溶かして使用することができて廃資材をリサイクルすることができるという利点がある。
前述した方法によって得られた発泡性ポリスチレンビーズは、極めて優れた融着性を有する。その理由は、正確には分からないが、発泡成形の際に難燃剤粒子が隣接の発泡性ポリスチレンビーズに浸透し、ビーズはさらに強く相互結合するためであると推測される。融着性の向上により、得られたスタイロフォームは断熱性も自然に増加する。
難燃性を増加させるためには金属粉末を適量添加することもできる。亜鉛、アルミニウムなどが難燃剤の5〜20重量%の範囲で添加される場合には難燃性をさらに上昇させることができる。
難燃性をさらに向上させるための別の方法として、難燃剤含有ビーズに液状ケイ酸ナトリウムでコートすることを挙げることができる。これにより、難燃性はさらに向上する。但し、液状ケイ酸ナトリウムは、耐水性が足りないので、韓国公開特許第10−2006−0103056号に開示されているように、カリウムまたはカルシウムを含有させて耐水性を向上させたものを使用することが好ましい。ケイ酸ナトリウム系バインダー単独でコートしても難燃性の向上効果は格段に高いが、このバインダーに前記難燃剤を混合してコートすることもできる。
難燃性を増加させるためには金属粉末を適量添加することもできる。亜鉛、アルミニウムなどが難燃剤の5〜20重量%の範囲で添加される場合には難燃性をさらに上昇させることができる。
難燃性をさらに向上させるための別の方法として、難燃剤含有ビーズに液状ケイ酸ナトリウムでコートすることを挙げることができる。これにより、難燃性はさらに向上する。但し、液状ケイ酸ナトリウムは、耐水性が足りないので、韓国公開特許第10−2006−0103056号に開示されているように、カリウムまたはカルシウムを含有させて耐水性を向上させたものを使用することが好ましい。ケイ酸ナトリウム系バインダー単独でコートしても難燃性の向上効果は格段に高いが、このバインダーに前記難燃剤を混合してコートすることもできる。
本発明は、発泡性ポリスチレンビーズだけでなく、発泡ポリプロピレン(EPP)粒子にも適用することができる。発泡ポリプロピレン粒子は、発泡性ポリスチレンビーズとは異なり、予め発泡された粒子であるが、本発明のように難燃剤を粒子の表面にコートしても、発泡性ポリスチレンビーズと同様に難燃性を向上させることができる。
前述した工程によって得られる本発明の発泡性ポリスチレンビーズは、大型設備、例えば大型コーティング設備や大型乾燥設備などをさらに必要とした従来の技術とは異なり、通常のスタイロフォーム製造設備をそのまま活用して成形体を生産することができる。
前述した工程によって得られる本発明の発泡性ポリスチレンビーズは、大型設備、例えば大型コーティング設備や大型乾燥設備などをさらに必要とした従来の技術とは異なり、通常のスタイロフォーム製造設備をそのまま活用して成形体を生産することができる。
本発明によれば、製造コスト上昇の負担があまりないうえ、生産性および難燃性が向上したスタイロフォームを得ることができ、これにより、スタイロフォームは建築物外装材および建築物内装としても使用可能になった。
また、本発明によれば、スタイロフォームの難燃性が自由に調節できるので、高度の難燃性が要求される分野、例えば防火扉、船舶または飛行機の断熱材などにも効果的に適用できる。
この他にも、本発明によれば、微細粒子である発泡性ポリスチレンビーズに直接難燃剤を含有させることにより、1次発泡された粒子に難燃剤をコートさせる従来の技術に比べて生産所要設備を格段に小型化することができ、火災の際に有毒ガスを発生する有機難燃剤を全く使用しなくても所望の難燃剤を得ることができる。
また、本発明によれば、スタイロフォームの難燃性が自由に調節できるので、高度の難燃性が要求される分野、例えば防火扉、船舶または飛行機の断熱材などにも効果的に適用できる。
この他にも、本発明によれば、微細粒子である発泡性ポリスチレンビーズに直接難燃剤を含有させることにより、1次発泡された粒子に難燃剤をコートさせる従来の技術に比べて生産所要設備を格段に小型化することができ、火災の際に有毒ガスを発生する有機難燃剤を全く使用しなくても所望の難燃剤を得ることができる。
以下、本発明の下記の実施例によってさらに詳しく説明する。
(比較例1)
発泡性ポリスチレンビーズ100Kgと三酸化二鉄粉末5Kgを撹拌器に入れて撹拌した後、トルエンに廃スタイロフォームを溶解させて固形分含量が20%となるように調節したバインダー2Kgをスプレーし、30〜60rpmで15分間撹拌しながら40℃の熱風で乾燥させることにより、三酸化二鉄でコートされた発泡性ポリスチレンビーズを得た。粒子の絡み合いを防止するために、撹拌の際に撹拌器に直径50mm前後の絡み合い防止用プラスチックボールを50個投入し、コーティング過程中の発泡性ポリスチレンビーズの絡み合いを防止した。
コートされた発泡性ポリスチレン(EPS)ビーズを温度100〜105℃のスチームで1次発泡した後、成形型に入れて2次発泡、成形する通常のビーズ法でスタイロフォームを得た。得られたスタイロフォームは、色相が薄い赤色であり、各粒子間の融着性が極めて優秀であり、火がよく付かない程度の難燃性が発現されたが、KSF ISO5660−1燃焼性能試験の「建築物内部仕上げ材料の難燃性能試験方法」で規定している難燃3級材料基準には及ばなかった。
発泡性ポリスチレンビーズ100Kgと三酸化二鉄粉末5Kgを撹拌器に入れて撹拌した後、トルエンに廃スタイロフォームを溶解させて固形分含量が20%となるように調節したバインダー2Kgをスプレーし、30〜60rpmで15分間撹拌しながら40℃の熱風で乾燥させることにより、三酸化二鉄でコートされた発泡性ポリスチレンビーズを得た。粒子の絡み合いを防止するために、撹拌の際に撹拌器に直径50mm前後の絡み合い防止用プラスチックボールを50個投入し、コーティング過程中の発泡性ポリスチレンビーズの絡み合いを防止した。
コートされた発泡性ポリスチレン(EPS)ビーズを温度100〜105℃のスチームで1次発泡した後、成形型に入れて2次発泡、成形する通常のビーズ法でスタイロフォームを得た。得られたスタイロフォームは、色相が薄い赤色であり、各粒子間の融着性が極めて優秀であり、火がよく付かない程度の難燃性が発現されたが、KSF ISO5660−1燃焼性能試験の「建築物内部仕上げ材料の難燃性能試験方法」で規定している難燃3級材料基準には及ばなかった。
(実施例1)
比較例1と同様に行うが、1次コーティングの後、亜鉛粉末5Kg、珪藻土粉末10Kgおよび水酸化マグネシウム粉末15Kgを追加投入してバインダーをスプレーしながら撹拌し、金属、金属酸化物および珪藻土でコートされたビーズを得た。このビーズで製造されたスタイロフォームは、色相が実施例1と同様の薄い赤色であり、各粒子間の融着性が非常に優秀であった。難燃性が向上したため、両面に0.8mmの鉄板を付着させて試験した結果、難燃3級材料基準を通過した。
比較例1と同様に行うが、1次コーティングの後、亜鉛粉末5Kg、珪藻土粉末10Kgおよび水酸化マグネシウム粉末15Kgを追加投入してバインダーをスプレーしながら撹拌し、金属、金属酸化物および珪藻土でコートされたビーズを得た。このビーズで製造されたスタイロフォームは、色相が実施例1と同様の薄い赤色であり、各粒子間の融着性が非常に優秀であった。難燃性が向上したため、両面に0.8mmの鉄板を付着させて試験した結果、難燃3級材料基準を通過した。
(実施例2)
実施例1と同様に行うが、1次コーティングの後、乾燥ケイ酸ソーダ粉末15Kgを投入し、バインダーをスプレーしながらさらに撹拌して2次コーティングを行った。この発泡性ポリスチレンビーズから成形して得られたスタイロフォームは、色相が実施例1と類似の赤色であったが、良好な融着性および優れた難燃性を有するため、両面に0.5mmの鉄板を付着させて難燃試験を行った結果、難燃3級材料基準を通過した。
実施例1と同様に行うが、1次コーティングの後、乾燥ケイ酸ソーダ粉末15Kgを投入し、バインダーをスプレーしながらさらに撹拌して2次コーティングを行った。この発泡性ポリスチレンビーズから成形して得られたスタイロフォームは、色相が実施例1と類似の赤色であったが、良好な融着性および優れた難燃性を有するため、両面に0.5mmの鉄板を付着させて難燃試験を行った結果、難燃3級材料基準を通過した。
(比較例2)
比較例1と同様に行うが、バインダーを水溶性酢酸ビニル樹脂(固形分含量20重量%)で代替した。コートされたビーズから成形して得られたスタイロフォームは、色相が比較例1と類似の薄い赤色であり、各粒子間の融着性は良好であったが実施例1よりは多少低下した。このスタイロフォームの難燃性は、通常のスタイロフォームよりは増加したが、難燃3級材料基準には及ばなかった。
比較例1と同様に行うが、バインダーを水溶性酢酸ビニル樹脂(固形分含量20重量%)で代替した。コートされたビーズから成形して得られたスタイロフォームは、色相が比較例1と類似の薄い赤色であり、各粒子間の融着性は良好であったが実施例1よりは多少低下した。このスタイロフォームの難燃性は、通常のスタイロフォームよりは増加したが、難燃3級材料基準には及ばなかった。
(比較例3)
比較例1と同様に行うが、酸化鉄粉末の代わりにアルミニウム粉末を使用した。得られた粒子から製造されたスタイロフォームの難燃性は、通常のスタイロフォームよりは若干向上したが、比較例1によって得られたものよりは足りなかった。
比較例1と同様に行うが、酸化鉄粉末の代わりにアルミニウム粉末を使用した。得られた粒子から製造されたスタイロフォームの難燃性は、通常のスタイロフォームよりは若干向上したが、比較例1によって得られたものよりは足りなかった。
(実施例3)
実施例1と同様に行うが、亜鉛粉末の代わりに長石粉末(SiO290%以上)を使用した。2次コートされた粒子から製造されたスタイロフォームの物性は、実施例1によって得られたものと類似であった。
実施例1と同様に行うが、亜鉛粉末の代わりに長石粉末(SiO290%以上)を使用した。2次コートされた粒子から製造されたスタイロフォームの物性は、実施例1によって得られたものと類似であった。
(比較例4)
比較例1と同様に行うが、三酸化二鉄の代わりに黒色の四酸化三鉄を使用した。得られた粒子から成形されたスタイロフォームは、粒子間の融着性が比較例1より多少向上し且つ外観が薄い黒色である以外は、その他の物性は比較例1によって得られたものと類似であった。
比較例1と同様に行うが、三酸化二鉄の代わりに黒色の四酸化三鉄を使用した。得られた粒子から成形されたスタイロフォームは、粒子間の融着性が比較例1より多少向上し且つ外観が薄い黒色である以外は、その他の物性は比較例1によって得られたものと類似であった。
(実施例4)
実施例2によって得られた粒子にホウ砂5Kgを投入してさらにコートした。得られた粒子から成形されたスタイロフォームは、粒子間の融着性に優れるうえ、実施例2によって得られたものより難燃性が向上した。
実施例2によって得られた粒子にホウ砂5Kgを投入してさらにコートした。得られた粒子から成形されたスタイロフォームは、粒子間の融着性に優れるうえ、実施例2によって得られたものより難燃性が向上した。
(実施例5)
実施例2によって得られた粒子に、固形分含量35%の液状カリウム系ケイ酸ソーダ20Kgで追加コーティングを施した。得られた粒子から成形されたスタイロフォームは、粒子間の融着性に優れるうえ、実施例2によって得られたものより難燃性が向上するため、両面に0.5mmの鉄板を付着させて難燃試験を行った結果、難燃2級材料基準を通過した。
実施例2によって得られた粒子に、固形分含量35%の液状カリウム系ケイ酸ソーダ20Kgで追加コーティングを施した。得られた粒子から成形されたスタイロフォームは、粒子間の融着性に優れるうえ、実施例2によって得られたものより難燃性が向上するため、両面に0.5mmの鉄板を付着させて難燃試験を行った結果、難燃2級材料基準を通過した。
(比較例5)
ポリスチレン2.5Kgをスチレン17Kgに溶解させ、平均粒径10μmの水酸化マグネシウム粉末1Kgを添加し、過酸化ジクミル60gおよび過酸化ジベンゾイル20gを添加して溶液中に均一に添加した。有機相を50Lの撹拌容器で20Lの脱イオン水に混入させ、200gのペンタンを懸濁液として添加した後、80℃で加熱した。150分の後、3.5gの乳化剤K30/40(Bayer AG)を添加した。30分の後、1190gのペンタンをさらに添加し、135℃で重合を完結した。水層を分離して平均粒径0.87mmのビーズを得た。
得られたビーズから成形したスタイロフォームは、難燃性が通常のスタイロフォームよりは向上したが、難燃3級材料基準には及ばなかった。融着性も通常のスタイロフォームより多少足りなかった。
ポリスチレン2.5Kgをスチレン17Kgに溶解させ、平均粒径10μmの水酸化マグネシウム粉末1Kgを添加し、過酸化ジクミル60gおよび過酸化ジベンゾイル20gを添加して溶液中に均一に添加した。有機相を50Lの撹拌容器で20Lの脱イオン水に混入させ、200gのペンタンを懸濁液として添加した後、80℃で加熱した。150分の後、3.5gの乳化剤K30/40(Bayer AG)を添加した。30分の後、1190gのペンタンをさらに添加し、135℃で重合を完結した。水層を分離して平均粒径0.87mmのビーズを得た。
得られたビーズから成形したスタイロフォームは、難燃性が通常のスタイロフォームよりは向上したが、難燃3級材料基準には及ばなかった。融着性も通常のスタイロフォームより多少足りなかった。
(実施例6)
比較例5によって得られた粒子に実施例1と同様のコーティング工程をさらに行い、コートされたビーズを得た。得られたビーズから成形したスタイロフォームは難燃3級材料基準を通過した。融着性は比較例2の場合と類似であった。
比較例5によって得られた粒子に実施例1と同様のコーティング工程をさらに行い、コートされたビーズを得た。得られたビーズから成形したスタイロフォームは難燃3級材料基準を通過した。融着性は比較例2の場合と類似であった。
(実施例7)
実施例5と同様に行うが、追加コーティング工程において難燃剤を炭酸カルシウムで代替した。得られた粒子から成形したスタイロフォームの難燃性および融着性は実施例5の場合と類似であった。
実施例5と同様に行うが、追加コーティング工程において難燃剤を炭酸カルシウムで代替した。得られた粒子から成形したスタイロフォームの難燃性および融着性は実施例5の場合と類似であった。
(実施例8)
実施例5と同様に行うが、追加コーティング工程において水酸化マグネシウムと珪藻土をタルクで代替した。得られた粒子から成形したスタイロフォームの難燃性および融着性は実施例5の場合と類似であった。
実施例5と同様に行うが、追加コーティング工程において水酸化マグネシウムと珪藻土をタルクで代替した。得られた粒子から成形したスタイロフォームの難燃性および融着性は実施例5の場合と類似であった。
(実施例9)
実施例5と同様に行うが、追加コーティング工程においてホウ酸を追加コートした。得られた粒子から成形したスタイロフォームの難燃性および融着性は実施例5の場合より向上した。
実施例5と同様に行うが、追加コーティング工程においてホウ酸を追加コートした。得られた粒子から成形したスタイロフォームの難燃性および融着性は実施例5の場合より向上した。
Claims (15)
- 難燃性発泡性ポリスチレンビーズにおいて、難燃剤として、粒径1〜50μmの金属または非金属酸化物、金属または非金属水酸化物、ケイ酸塩、ホウ酸塩、および炭酸塩の中から選ばれた1種または2種以上を10〜60重量%含有することを特徴とする発泡性ポリスチレン(EPS)ビーズ。
- 前記金属酸化物は、酸化鉄、三酸化二鉄、四酸化三鉄、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、および酸化マグネシウムを含むことを特徴とする請求項1に記載の発泡性ポリスチレンビーズ。
- 前記非金属酸化物は、酸化カルシウム、ホウ酸、およびケイ砂を含むことを特徴とする請求項1に記載の発泡性ポリスチレンビーズ。
- 前記金属水酸化物は、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムを含むことを特徴とする請求項1に記載の発泡性ポリスチレンビーズ。
- 前記非金属水酸化物は、水酸化カルシウムを含むことを特徴とする請求項1に記載の発泡性ポリスチレンビーズ。
- 前記ケイ酸塩は、ケイ酸ナトリウム乾燥物および珪藻土を含むことを特徴とする請求項1に記載の発泡性ポリスチレンビーズ。
- 前記ホウ酸塩は、ホウ砂を含むことを特徴とする請求項1に記載の発泡性ポリスチレンビーズ。
- 前記炭酸塩は、炭酸カルシウムを含むことを特徴とする請求項1に記載の発泡性ポリスチレンビーズ。
- 前記難燃剤は、発泡性ポリスチレンビーズの内部に含まれ、或いは粒子の外部にコートされたことを特徴とする請求項1に記載の発泡性ポリスチレンビーズ。
- 前記難燃剤を15〜50重量%含有することを特徴とする請求項1に記載の発泡性ポリスチレンビーズ。
- 発泡性ポリスチレンビーズの表面に、難燃剤として、粒径1〜50μmの金属または非金属酸化物、金属または非金属水酸化物、ケイ酸塩、ホウ酸塩、および炭酸塩の中から選ばれた1種または2種以上の粉末を接着剤を用いて10〜60重量%コートすることを特徴とする発泡性ポリスチレンビーズの製造方法。
- 前記接着剤は酢酸ビニル樹脂、スタイロフォーム溶解液、アクリル樹脂、および液状ケイ酸ソーダ溶液を含むことを特徴とする請求項11に記載の発泡性ポリスチレンビーズの製造方法。
- 前記液状ケイ酸ソーダ溶液は、カリウムまたはカルシウムを含むことを特徴とする請求項12に記載の発泡性ポリスチレンビーズの製造方法。
- 前記液状ケイ酸ソーダ溶液は、粒径1〜50μmの金属または非金属酸化物、金属または非金属水酸化物、ケイ酸塩、ホウ酸塩、および炭酸塩の中から選ばれた1種または2種以上の難燃剤を含むことを特徴とする請求項12に記載の発泡性ポリスチレンビーズの製造方法。
- 前記難燃剤の含量は、15〜50重量%であることを特徴とする請求項11に記載の発泡性ポリスチレンビーズの製造方法。
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