JP2010528417A - 電子薄膜素子のための封入部 - Google Patents
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Abstract
本発明は、電子薄膜素子のための封入部であって、第1の障壁層108と、第2の障壁層112と、後続する障壁層におけるピンホールの形成を低減させるための第1の平坦化層110'と、を有し、前記第1の平坦化層は、前記第1の障壁層108と前記第2の障壁層112との間に配置される封入部において、前記第1の平坦化層110'は、互いの間に領域を形成された第1の複数の平坦化セグメント114から構成され、前記封入部は更に、前記第2の障壁層112と第3の障壁層120との間に配置された第2の平坦化層116を有し、前記第2の平坦化層116は、前記第1の複数の平坦化セグメント114間の領域上に延在するように配置された第2の複数の平坦化セグメント118から構成され、これにより前記封入部を通る通路を提供するピンホールの数を更に低減させる封入部に関する。本発明によれば、障壁層と平坦化層とを水平方向の多層封入積層に配置し、これら層のそれぞれにおける平坦化セグメントが本質的に互いから分離され、実際に互いとは相互接続しないようにすることにより、平坦化層を通る水及び酸素の横方向の輸送を制限することが可能となる。水/酸素が最も上の障壁層に入り、最終的に平坦化セグメントに入ると、平坦化セグメントの「球」に閉じ込められ、後続する障壁層におけるピンホールに入る可能性を最小化する。本発明はまた、電子薄膜素子のための封入部の形成のための対応する方法に関する。
Description
本発明は、電子薄膜素子のための封入部、及び電子薄膜素子のための封入部の形成のための対応する方法に関する。
周囲の雰囲気に電子薄膜素子をさらすことは、該素子の実用的な寿命の短縮に帰着する。有機LED(小分子LEDであっても高分子LEDであっても)の場合には、この相互作用の結果としての最も目立つ障害は、エレクトロルミネセンスにおける黒いスポットの形成である。周囲の雰囲気からの水分が、陰極層におけるピンホールを通して侵入する。陰極−高分子間のインタフェースにおける金属の酸化が、該素子の動作の間の有機層への陰極からの電子射出を防ぎ、射出のない局所的なスポット、即ちエレクトロルミネセンスの明るい領域における黒いスポットをもたらすのである。
従来、有機LEDは典型的に、窒素又はアルゴンのような不活性雰囲気において封入(encapsulation)され、金属か又はガラスでできた独立のカバーを持つ。該カバーは、素子の厚さを凡そ2のファクタだけ増大させる。封入工程により生成された若しくはガラスから脱着した水蒸気、又はエッジシールとして利用される接着剤を通して漏れた水蒸気を吸収するために、該素子と金属又はガラスの蓋との間の空洞に、ゲッタが配置される。安価な大面積光源に対しては、この従来の封入は利用され得ない。エッジの支持が不十分となり得、封入材料のたるみに帰着するのである。そのうえ、ゲッタを持つ空洞ガラス又は金属の適用は、あまりに高価である。更に、この概念は柔軟な素子に対する可能性を阻害する。
改善された信頼性を提供するため、及びパッケージをより薄く及び/又は軽く及び/又は機構的に柔軟にするため、製造工程におけるコストを低減するために、直接薄膜封入(TFE)の使用が提案されてきた。直接薄膜封入の利用により、OLED素子の例において、一般に金属酸化物、誘電体層、又はいずれかの高障壁の誘電体又は導電性の酸化物を有する、平坦化層と障壁層との交番及び反復する層が、OLED素子の活性領域の上に形成される。例えば有機アクリレート層等の形をとる平坦化層は、一般に粒子のような粒子状物質の封入部として働き、これら粒子が後続する障壁層におけるピンホールを誘発させることを防ぐ。中間の平坦化層がないと、第1の障壁層におけるピンホールは隣接する第2の障壁層において同様となり、該ピンホールは該素子の底部から上部へと遮られることなく成長し、OLED素子の活性領域における上述した不活性部分を生成する。
上述したTFE手法を用いて封入されたOLED素子の一例が米国特許US6,911,667に開示されており、ここでは平坦化層がOLED素子の活性領域全体の上に配置され、その後障壁層により完全にカバーされる。一実施例においては、増大させられた数の交番する平坦化層と障壁層とが利用され、OLED素子が更に保護される。
しかしながら、現在の障壁層は完全にピンホールのないものとはなり得ず、水及び酸素が最終的に素子の活性領域に侵入してくることとなる(即ち外部環境から電子薄膜素子の活性領域への自由な通路のため)。このことは、平坦化層が水及び酸素に対して非常に透過性が高く、それ故2つの障壁層間に配置された平坦化層が、第1の障壁層におけるピンホールから第2の障壁層におけるピンホールへと水/酸素を透過させ、最終的には該素子の活性領域へと到達することとなる。このように、黒いスポットの形成において遅延が導入されるに過ぎない。増大させられた数の交番する平坦化/障壁層は、水/酸素が通過する、長い「迷路」を提供するに過ぎない。黒いスポットの成長における最終的な遅延は、追求される該素子の(保管)寿命に対して、十分とは考えられない。更に、ピンホールは障壁層を全て通して成長し続けるため、障壁層の厚さの増大は、カバーされていないピンホールの数の減少には帰着しない。
それ故、電子薄膜素子のための改善された封入部、より具体的には、水/酸素の漏れ/ピンホールに伴う先行技術の問題が最小化されるように適合された封入部に対するニーズがある。
本発明の一態様によれば、以上の目的は、電子薄膜素子のための封入部であって、第1の障壁層と、第2の障壁層と、後続する障壁層におけるピンホールの形成を低減させるための第1の平坦化層と、を有し、前記第1の平坦化層は、前記第1の障壁層と前記第2の障壁層との間に配置される封入部において、前記第1の平坦化層は、互いの間に領域を形成された第1の複数の平坦化セグメントから構成され、前記封入部は更に、前記第2の障壁層と第3の障壁層との間に配置された第2の平坦化層を有し、前記第2の平坦化層は、前記第1の複数の平坦化セグメント間の領域上に延在するように配置された第2の複数の平坦化セグメントから構成され、これにより前記封入部を通る通路を提供するピンホールの数を更に低減させる封入部により達成される。
先行技術の電子薄膜素子においては、第1の障壁層と連続する第2の障壁層との間に配置された連続的な平坦化層から形成された水平方向の多層封入積層が、電子薄膜素子全体をカバーするように配置される。平坦化層の特性のため、第1の障壁層におけるピンホールを通り侵入する水/酸素は、平坦化層を通り第2の障壁層のピンホールへと輸送され、最終的に電子薄膜素子を部分的に破壊する。
しかしながら、本発明によれば、障壁層と平坦化層とを水平方向の多層封入積層に配置し、ここでこれら層のそれぞれにおける平坦化セグメントが、本質的に互いと分離され、実際には互いと相互接続しないようにすることにより、平坦化層を通る水/酸素の横方向の輸送を制限することが可能となる。その代わり、水/酸素が上端の障壁層に侵入し、最終的に平坦化セグメントに侵入した場合には、水/酸素は、平坦化セグメントの「球」に閉じ込められ、後続する障壁層におけるピンホールへの侵入の可能性を最小化する。直接薄膜封入を用いることによる他の利点は、上述したように、より薄い及び/又は軽量な及び/又は機構的に柔軟なパッケージである。
第1及び第2の複数の平坦化セグメントは互いから分離されていると述べられたが、当業者は、平坦化セグメントを形成するために利用される製造方法に依存して、必然的に平坦化セグメントを少なくとも部分的に互いに相互接続させてしまい得ることを理解するであろう。例えば、インクジェット工程を用いて平坦化セグメントを塗布する場合には、「漏れ」が平坦化セグメント間の微視的な相互接続をもたらし得る。しかしながら、平坦化セグメントの「球」に実際に侵入する水/酸素が当該球に閉じ込められるように、該相互接続は好適には最低限に保たれるべきである。
更に、平坦化セグメントを有する2つの平坦化層のみが議論されたが、それぞれが複数の平坦化セグメントを有する2つよりも多い平坦化層を利用することも、勿論可能である。また、2つの異なる平坦化層における平坦化セグメントの数は等しくても良いし異なっていても良く、このことは利用される製造工程に依存し得る。
好適には、電子薄膜素子は基板と該基板上に形成される活性層とを有し、該活性層の上に第1の障壁層が形成される。即ち、好適な実施例においては、本発明による封入部は、電子薄膜素子の活性領域の上に直接配置される。しかしながら、幾つかの実施例においては、封入部は「予め製造」されても良く、その後に電子薄膜素子の活性領域の上に配置されても良い。更に、本発明による封入部と電子薄膜素子の活性領域との間に中間層を配置することも可能であり得る。
活性層の生じ得る汚れを最小化するため、即ちセグメントを封入/被覆する下部及び上部の障壁がピンホールを含む可能性を最小化するため、平坦化セグメントは可能な限り小さく保たれるべきであり、本発明の好適な実施例においては、平坦化セグメントの幅は10μmよりも小さい。しかしながら、現在10μmは平坦化セグメントには比較的小さい幅であると思われるが、将来は、更に小さいサイズも考えられ得る。当業者には理解されるように、幾つかの場合においては該幅は10μmより大きくても良い。更に、平坦化セグメントは完全な正方形である必要はなく、平坦化セグメントは広がった帯状、楕円形、円形、又はその他のいずれの異なる形状であっても良い。
本発明の一実施例においては、活性領域は発光層、陽極及び陰極を有し、それにより発光ダイオード(LED)を形成する。斯かるLEDは例えば、小分子発光ダイオード(OLED)であっても良いし、又は高分子発光ダイオード(PLED)等であっても良い。以上に述べたように、OLED素子の適切な封入は、該素子の高い製造量及び長い寿命を達成するために、極めて重要である。OLED/PLED素子においては、水/酸素が陰極に触れると(該素子中の粒子に誘発されたピンホールを通して)、相互作用がOLED/PLEDにおける不活性部分(黒いスポット)に帰着することとなる。これらスポットは完全な球であり、面積は時間とともに線形に成長する。
それ故、発光ダイオードの封入のために本発明による封入部を利用することにより、ミクロン以下のスケールである陰極におけるピンホールにおける水/酸素の不在が、裸眼により可視である欠陥の形成に帰着しないこととなる。更に、ピンホールの存在が、黒いスポットの出現に基づく素子の破棄に対応する初期の障害による発光素子の固有寿命の短縮に帰着しないこととなる。
好適には、障壁層の少なくとも1つが、窒化ケイ素(SiN)層により形成される。窒化ケイ素を用いて形成された単一の障壁層は一般に粒子/ピンホールの90乃至99%をカバーし、SiNの酸素/水障壁特性は、何万時間もの間、水/酸素がSiN障壁層を通り侵入することを防ぐに十分である。しかしながら、残りの1乃至10%のカバーされないピンホールが問題であり、それ故、本発明による分離された平坦化セグメントの利用が、先行技術における水/酸素の問題となるピンホールにより誘発される電子素子の活性領域への通路に対する、有望な解決方法を提供する。他の障壁物質もまた考えられ得るが、適切な障壁特性を提供するためには、障壁層についての透水度は、好適には約1μg/m2/日であるべきである。しかしながら、透水度は、5乃至0.1μg/m2/日の範囲に亘っても良い。
本発明の更なる態様によれば、電子薄膜素子のための封入部の形成のための方法であって、第1の障壁層を形成するステップと、後続する障壁層におけるピンホールの形成を低減させるために備えられる第1の平坦化層を、前記第1の障壁層の上に配置するステップと、前記第1の平坦化層の上に第2の障壁層を形成するステップと、を有する方法において、前記第1の平坦化層は、互いの間に領域を形成された第1の複数の平坦化セグメントから構成され、前記方法は更に、前記第2の障壁層の上に第2の平坦化層を配置するステップと、前記第2の平坦化層の上に第3の障壁層を形成するステップと、を有し、前記第2の平坦化層は、前記第1の複数の平坦化セグメント間の領域上に延在するように配置された第2の複数の平坦化セグメントから構成され、これにより前記封入部を通る通路を提供するピンホールの数を更に低減させる方法が提供される。
本発明の本態様は、改善される寿命と同時に、電子薄膜素子におけるピンホールにより誘発される不活性部分の形をとる欠陥の数が低減される点を含む、以上に議論された電子薄膜素子のための封入によるものと同様の利点を提供する。
異なる障壁層及び複数の平坦化セグメントを有する異なる平坦化層は、本分野において知られた異なる方法を用いて形成/配置されても良い。これら方法は例えば、窒化ケイ素を用いて形成される障壁層に関連して、化学蒸着(CVD)法、又はプラズマ化学蒸着(PECVD)のような化学蒸着法の変形を含む。平坦化セグメントも同様の方法を用いて配置/形成されても良いし、又は、従来のインクジェット「印刷」、フォトリソグラフィー及びドライエッチングを含む方法を用いて配置/形成されても良い。しかしながら、現在及び将来において、別の方法も考えられ得、本発明の範囲内である。
本発明のこれらの及び他の態様は、本発明の現在の好適な実施例を示す添付図面を参照しながら、更に詳細に説明される。
本発明は、本発明の現在好適な実施例が示される添付図面を参照しながら、以下に更に完全に説明される。しかしながら、本発明は多くの別の形態で実施化され得、ここで開示される実施例に限定されるものと解釈されるべきではない。これら実施例は徹底さ及び完全さのために与えられるものであり、本発明の範囲を当業者に完全に伝えるものである。同様の参照文字は、図面を通して同様の要素を示す。
ここで図面、とりわけ図1を参照すると、先行技術の封入部を用いて封入された、本例においては有機発光素子(OLED)である、電子薄膜素子の一部が示されている。該OLEDは、透明基板100、該基板の上に形成された第1の透明電極層102、放出性有機高分子物質の層104、及び有機層104の上に形成された第2の電極層106を有する。好適には、第1の電極層102(陽極)は例えばITO等からできたものであり、第2の電極層106(陰極)はMgAg又はBaAlのような金属からできたものであっても良い。陰極106の上には、例えば窒化ケイ素からできた第1の障壁層108が形成される。第1の障壁層108の上に平坦化層110が堆積され、平坦化層110の上には第2の障壁層112が形成される。平坦化層110は例えば有機アクリレート等の形をとり、粒子のような粒子状物質の封入部として働き、これら粒子状物質が後続する障壁層におけるピンホールを誘発することを防ぐ。平坦化層110はまた、後続する障壁層のための平坦な表面を提供する。
第2の(最上部の)障壁層112はピンホールP112を有するため、水及び酸素が該素子の陰極106へと漏れる(矢印により示される)。このことは、平坦化層110が水及び酸素に対して非常に透明であるという事実による。斯くして、平坦化層110は、第2の(最上部の)障壁層112におけるピンホールP112から、第1の障壁層108におけるピンホールP108へと水/酸素を輸送し、最終的に該素子の陰極106へと到達することとなる。水/酸素が該電子薄膜素子の陰極106におけるピンホールに到達するとすぐに、OLEDのエレクトロルミネセンスにおける黒いスポットの形成が起こることとなる。このことは、OLED素子の動作の間、陰極−有機高分子間の界面における金属の酸化が、陰極から有機層104への電子注入を防ぐという事実による。図1aにおいて示されるように、種々の層が複数のピンホールP106、P108、P108,106及びP112を有する。
しかしながら、OLEDのエレクトロルミネセンスにおける黒いスポットによる問題は、本発明による封入部により対処される。図1bにおいて、本実施例においても有機発光素子である電子薄膜素子は、本発明による封入部を利用して封入されている。図1aと同様に、OLEDは透明基板100、該基板の上に形成された第1の透明電極層102(例えばガラス又はプラスチック等)、放出性有機高分子物質の層104、及び有機層104の上に形成された第2の電極層106を有する。第2の電極層106の上には本発明による多層封入積層が形成され、該積層は、第1の障壁層108と、互いに横方向に分離された第1の複数の平坦化セグメント114とを有し、ここで該平坦化セグメントのそれぞれの間に領域が形成され、第1の障壁層108と平坦化セグメント114とが合わせて第1の平坦化層110'を形成し、該積層は更に、第1の複数の平坦化セグメント114を封入/被覆する第2の障壁層112と、互いに横方向に分離された第2の複数の平坦化セグメント118とを有し、ここで該平坦化セグメントのそれぞれの間に領域が形成され、第2の障壁層112と平坦化セグメント118とが合わせて第2の平坦化層116を形成し、該積層は更に、第2の平坦化セグメント118を封入/被覆する第3の障壁層120を有する。図1aと同様の物質が利用される。本実施例による上述した多層封入積層の順序は、第1の複数の平坦化セグメント114が第2の電極層106の上に配置される視点からみて、下から上である。
好適には、第1の複数の平坦化セグメント114は約10μmの幅を持つように選択され、これら平坦化セグメント114の間に形成される領域は幾分小さくなるように選択され、約10μmの同様の幅を持つ第2の平坦化層116中の第2の複数の平坦化セグメント118が、第1の平坦化層110'中の第1の複数の平坦化セグメント114にオーバラップするようにされる。これにより、活性領域の全体の幅が、全体の平坦化層によりカバーされる。本開示に基づき、当業者は、平坦化セグメントのサイズは最小限に保たれるべきであり、従って平坦化セグメントは10μmよりも小さいサイズを持ち得ることを理解する。しかしながら、これら平坦化セグメントはより大きくても良く、上述したように、異なる平坦化層においては異なるサイズを持っても良く、ことによると異なる平坦化層において異なる数の平坦化セグメントに帰着しても良い。更に、陰極106と多層封入積層との間に1つ以上の更なる中間層を含ませることも可能であり、加えて又は代わりに、多層封入積層を予め製造してその後に該積層を陰極層106に配置しても良い。多層封入積層は、加えて又は代わりに、本発明の他の実施例においては、2つの平坦化層110'及び116と3つの障壁層108、112及び120とよりも多くを、例えば3つの平坦化層と4つの障壁層とを含む。いずれの態様においても、水/酸素が最上部の(第3の)障壁層120におけるピンホールP120、P120,112に入り、最終的に平坦化セグメント118へと入ると、該水/酸素は当該平坦化セグメント118の「球」に閉じ込められ、陰極層106に最も近い障壁層108におけるピンホールP112,108に侵入する可能性を最小化する。図1bに示されるように、種々の層が複数のピンホール(P106、P108,106、P112,108、P120及びP120,112)を有する。
図1a及びbにおけるOLED素子の動作の間、該OLED素子は、外部電源(図示されていない)により電極102、106の間に電位差を印加される。これら電極102、106の間の電位差は、有機放出性物質層104を通る電流を流し、該放出性物質層104に透明電極102及び透明基板100を通して光を射出させる。
ここで、図1bにおけるOLED素子のような電子薄膜素子の封入のための、本発明の実施例による方法の基本ステップを示すフロー図である図2を参照する。
最初に、ステップ201において、OLED素子のような電子薄膜素子が準備され、該OLED素子は、基板と、第1の透明基板と、前記基板の上に形成された第1の透明電極層と、第1の電極層と第2の電極層との間に形成された放出性有機高分子物質の層と、を有する。
ステップ203において、好適にはSiN層の形をとる第1の障壁層が、第2の電極の上に蒸着させられる。該SiN障壁層の蒸着は、好適にはプラズマ化学蒸着(PECVD)を用いることにより実行される。しかしながら、現在及び将来、本分野において既知の及び開発されている他の方法も、本目的のために利用され得る。PECVD工程は、封入されるべき全体の領域を定義するためにシャドウマスクを必要とする。
ステップ205において、第1の複数の平坦化セグメントが、第1の障壁層の上に形成される(即ち、これにより第1の平坦化層を形成する)。好適には、該平坦化セグメントは、μmのレンジで局所的な構造を生成することが可能な本質的に局所的な蒸着手法であるインクジェット印刷を用いて、第1の障壁層の上に形成される。平坦化セグメントは横方向に分離され互いに離されているため、平坦化セグメント間に小さな領域が形成される。平坦化セグメントの幅は好適には10μmのレンジであり、平坦化セグメント間の領域は該レンジよりも幾分小さい。図1bから分かるように、平坦化セグメントは完全な長方形ではなく、インクジェット印刷手法は「小滴」として平坦化セグメントを形成することとなる。しかしながら当業者は、該小滴の外形は本発明に必須なものではなく、フォトリソグラフィー及びドライエッチングを含む、平坦化セグメントを形成するための他の形態及び方法が可能である点を理解する。
ステップ207において、第1の複数の平坦化セグメントが、第1の障壁層と第2の障壁層との間を完全にカバーし封入するように、第2の障壁層が第1の複数の平坦化セグメントの上に蒸着させられる。第2の障壁層は好適には、ステップ203における第1の障壁層の蒸着に類似する態様で、平坦化セグメント上に形成される。しかしながら、ステップ203と同様な方法を利用すること、又は更には同じ物質を利用することさえ、必須ではない。
ステップ209において、第2の複数の平坦化セグメント(これにより第2の平坦化層を形成する)が、第2の障壁層の上に蒸着させられる。該第2の複数の平坦化セグメントの位置は、インクジェット印刷手法を利用する場合に小滴が第1の平坦化層の複数の平坦化セグメント間に形成される領域と一致する位置に「落ち」、それにより互いに僅かにオーバラップするように僅かにシフトされている。ステップ205に関してと同様に、第2の複数の平坦化セグメントは、異なる蒸着方法を用いて第2の障壁層の上に形成されても良い。
最後に、ステップ211において、第2の複数の平坦化セグメントが、第2の障壁層と第3の障壁層との間を完全にカバーし封入するように、第3の障壁層が第2の複数の平坦化セグメントの上に蒸着させられる。ステップ203及び207におけるものと同様の手法が、蒸着のために利用されても良い。上述したように、最も上の(第3の)障壁層に水/酸素が侵入し、最終的に第2の平坦化層の平坦化セグメントへと侵入すると、該平坦化セグメントの「球」に閉じ込められ、最も上の電極層に最も近い第1の(底部の)障壁層におけるピンホールに侵入する可能性を最小化する。
種々の層(例えば陽極層、陰極層、障壁層、平坦化層/セグメント)の厚さは、封入されたOLED素子を製造するために利用される製造方法に基づいて選択されても良い。例えば、数百nm及び好適には約300nmのレンジの厚さを持つようにSiN障壁層が選択されても良く、平坦化セグメントが約数μmの厚さを持っても良いが、当業者には明白であるように、これらの厚さは勿論より大きくても良いし小さくても良い。
更に当業者は、本発明は決して上述した好適な実施例に限定されるものではないことを理解する。反対に、添付する請求項の範囲内で、多くの変更及び変形が可能である。例えば、封入部は電子薄膜素子の活性領域の上に連続して蒸着されるものとして説明されたが、封入部は予め製造され後に電子薄膜素子の上に配置されても良い。また、障壁層及び平坦化層は光学的に透明であっても良く、それ故本発明はいわゆるボトムエミッタに限定されるものではない。透明な陰極が適用される場合には、その結果の透明な素子は、その機能を失うことなく、本発明による封入積層により封入され得る。明らかに、該積層は、透明な陰極と不透明な陽極とを持つ、いわゆるトップエミッタ素子にも適用され得る。
結論として、本発明によれば、障壁層におけるピンホールが、水/酸素に対して透明な平坦化層と共に、電子薄膜素子の活性部分へと水及び酸素が漏れるような通路を提供しないように適合された、電子薄膜素子のための封入部を提供することが可能となる。LEDの例においては、ミクロン以下のスケールである陰極におけるピンホールが、裸眼により可視である欠陥の形成に帰着しない。それ故、ピンホールの存在が、黒いスポットの出現に基づく素子の破棄に対応する、早期の障害による素子の固有の寿命の短縮に帰着しないこととなる。
Claims (12)
- 電子薄膜素子のための封入部であって、
第1の障壁層と、
第2の障壁層と、
後続する障壁層におけるピンホールの形成を低減させるための第1の平坦化層と、
を有し、前記第1の平坦化層は、前記第1の障壁層と前記第2の障壁層との間に配置される封入部において、
前記第1の平坦化層は、互いの間に領域を形成された第1の複数の平坦化セグメントから構成され、前記封入部は更に、前記第2の障壁層と第3の障壁層との間に配置された第2の平坦化層を有し、前記第2の平坦化層は、前記第1の複数の平坦化セグメント間の領域上に延在するように配置された第2の複数の平坦化セグメントから構成され、これにより前記封入部を通る通路を提供するピンホールの数を更に低減させることを特徴とする封入部。 - 前記電子薄膜素子は、基板と前記基板上に形成される活性層とを有し、前記第1の障壁層は、前記活性層の上に形成される、請求項1に記載の封入部。
- 前記平坦化セグメントの幅は10μmよりも小さい、請求項1又は2に記載の封入部。
- 前記活性層は、発光層、陽極及び陰極を有する、請求項2に記載の封入部。
- 前記電子薄膜素子は、有機発光素子である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の封入部。
- 前記障壁層の少なくとも1つは、窒化ケイ素により形成される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の封入部。
- 前記障壁層の少なくとも1つは、約1マイクログラム/m2/日の透水度を持つ障壁層により形成される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の封入部。
- 電子薄膜素子のための封入部の形成のための方法であって、
第1の障壁層を形成するステップと、
後続する障壁層におけるピンホールの形成を低減させるために備えられる第1の平坦化層を、前記第1の障壁層の上に配置するステップと、
前記第1の平坦化層の上に第2の障壁層を形成するステップと、
を有する方法において、前記第1の平坦化層は、互いの間に領域を形成された第1の複数の平坦化セグメントから構成され、前記方法は更に、
前記第2の障壁層の上に第2の平坦化層を配置するステップと、
前記第2の平坦化層の上に第3の障壁層を形成するステップと、
を有し、前記第2の平坦化層は、前記第1の複数の平坦化セグメント間の領域上に延在するように配置された第2の複数の平坦化セグメントから構成され、これにより前記封入部を通る通路を提供するピンホールの数を更に低減させることを特徴とする方法。 - 前記電子薄膜素子は、基板と前記基板上に形成される活性層とを有し、前記第1の障壁層は、前記活性層の上に形成される、請求項8に記載の方法。
- 前記平坦化セグメントの幅は10μmよりも小さい、請求項8又は9に記載の方法。
- 前記活性層は、発光層、陽極及び陰極を有する、請求項9又は10に記載の方法。
- 有機発光素子であって、
基板と、
前記基板の上に形成された、発光層、陽極及び陰極を有する多層積層と、
前記有機発光素子を封入するために前記多層積層の上に配置された、請求項1に記載の封入部と、
を有する有機発光素子。
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