JP4034561B2 - 発光装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光装置に関するものであり、特に、有機発光層を有する発光装置の封止の技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、発光装置として、電極間に配置された有機薄膜を有し、該電極間に電圧を印加することによって有機薄膜を発光させる発光装置が注目されている。
図16の符号101に、従来の有機発光層を用いた発光装置を示す。
【0003】
この発光装置101は、基板111と、基板111上に配置された有機EL素子105とを有している。この有機EL素子105は、アノード電極114と、少なくとも一部がアノード電極114上に配置された有機薄膜116と、少なくとも一部が有機薄膜116上に配置されたカソード電極119とを有しており、有機薄膜116はカソード電極119とアノード電極114とで上下から挟まれている。
【0004】
有機薄膜116はアノード電極114表面に密着配置されたホール輸送層117と、ホール輸送層117の表面に配置され、カソード電極119に密着された電子輸送層118とを有しており、アノード電極114が正に、カソード電極119が負になる電圧が印加されると、ホール輸送層117で正の電荷を持つホールが生成されると同時に電子輸送層118に電子が注入され、ホール輸送層117と電子輸送層118との界面でホールと電子が結合して光が発生する。基板111とアノード電極114とは透明であり、発生した光はアノード電極114とその下方の基板111とを透過し、発光装置110の外部へ放射される。
【0005】
有機薄膜116が大気中の水や酸素等と接触すると酸化、分解などの劣化が起こりやすいので、発光装置110には容器状の封止缶125が設けられており、その封止缶125により有機EL素子105が封止されている。
【0006】
有機EL素子105は平面形状が矩形にされ、その四辺の縁近くの部分には、光硬化性接着剤126が配置されている。この光硬化性接着剤126はリング状になっており、容器状の封止缶106の縁部分が光硬化性接着剤126に押しつけられ、その状態で光硬化性接着剤126に紫外線が照射され、封止缶106が有機EL素子105に固定されており、容器状の封止缶106の内部に、有機EL素子105が封入されている。
【0007】
しかしながら、封止は樹脂から成る光硬化性接着剤126によって行われるため、大気中に存在する水蒸気が光硬化性接着剤126を透過し(透湿)、封止缶125内に侵入しやすい。
【0008】
また、電極114、119の一部はともに封止膜125の外へ突き出されており、封止膜125と電極114、119との界面、電極114、119と基板111との界面等から大気中の水分や酸素が有機薄膜116へと侵入する。封止缶125内に一旦水蒸気が侵入すると、有機薄膜116が酸化されたり分解されたりしてしまい、有機薄膜表示装置102の寿命が短くなる。仮に光硬化性接着剤125を厚く塗り固め、透湿を防止しようとしても、水蒸気に対する樹脂のバリア性は極めて低いため、透湿の問題は解決できない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来技術の不都合を解決するために創作されたものであり、その目的は、長寿命で放熱性が良好な有機薄膜表示装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、第1の電極と、前記第1の電極と対向配置され、前記第1の電極と絶縁された第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された有機薄膜とを備えた有機発光素子が、基板の第一の表面である素子形成面に配置され、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧が印加されると、前記有機薄膜が発光するように構成された発光装置を製造する発光装置製造方法であって、前記第1、第2の電極に第1、第2の引出電極をそれぞれ固定し、前記第1、第2の引出電極を把持して少なくとも前記基板の素子形成面側に有機樹脂を吹き付け、前記第1、第2の電極の上部を表面から突出させた状態で、前記素子形成面上に第1の封止膜を形成し、前記素子形成面を前記第1の封止膜で被覆する発光装置の製造方法である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発光装置の製造方法であって、前記基板の前記素子形成面とは反対側の表面である発光面に有機樹脂を吹き付け、前記発光面上に第2の封止膜を形成し、前記発光面を前記第2の封止膜で被覆する発光装置の製造方法である。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発光装置の製造方法であって、前記基板の側面に有機樹脂を吹き付け、前記側面上に第3の封止膜を形成する発光装置の製造方法である。
【0011】
本発明の発光装置によれば、基板の一表面である素子形成面側に有機発光素子を配置し、素子形成面側に吹き付けられた有機樹脂で第1の封止膜を形成し、その第1の封止膜で有機発光素子を被覆している。吹き付けで形成されることにより、第1の封止膜の膜厚は厚くなり、しかも第1の封止膜と基板の素子形成面や有機発光素子の表面との密着性は高いので、第1の封止膜を介して水分やガスが有機発光素子内部に侵入することはなく、また、第1の封止膜と基板の素子形成面又は有機発光素子との間の界面からも水分やガスが有機発光素子内部に侵入することはほとんどないので、発光装置の寿命が長くなる。
【0012】
有機樹脂からなる厚い封止膜を形成する方法としては、本発明のように有機樹脂を吹き付けて厚い封止膜を形成する方法以外に、例えば有機樹脂等からなる厚い樹脂フィルムを有機発光素子の表面に貼付し、有機発光素子を被覆する方法が考えられるが、有機発光素子や基板の素子形成面には凹凸があるので、その表面に厚い樹脂フィルムを貼り付けると、樹脂フィルムと基板の素子形成面や有機発光素子の表面との間に隙間ができてしまい、その隙間から空気が有機発光素子内部へと侵入してしまい、封止膜としては不適切である。
【0013】
基板の素子形成面や有機発光素子の表面との間に隙間ができないようにするには、貼付する樹脂フィルムの膜厚を薄くすればよいが、膜厚が薄いと、樹脂フィルム自体を水分やガスが透過するので、やはり封止膜として用いることはできない。これに対し、吹き付けで封止膜を成膜した場合には、その膜厚を数mm程度にしても、かかる隙間ができずに密着性が良好なので、厚い封止膜を成膜するには、本発明のように有機樹脂を吹き付ける必要がある。
【0014】
なお、本発明において、基板の側面に有機樹脂からなる第2の封止膜を形成し、有機発光素子の配置された側と反対側の面に有機樹脂からなる第3の封止膜を形成してもよい。このように構成すると、第1、第2、第3の封止膜により、基板と有機発光素子の全部が被覆されるので、有機発光素子の配置された側の表面のみが第1の封止膜によって被覆された装置よりも有機発光素子内部に水分やガスが侵入しにくくなり、寿命が長くなる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下で図面を参照し、本発明の一実施形態の発光装置を説明する。
最初に、本発明の一実施形態の発光装置の製造方法について説明する。
まず、図1に示すガラス等の透明な基板11を用意する。この基板11を図示しないスパッタ装置内に搬入し、その基板11の表面に、ITO(Indium tin oxide)薄膜を成膜した後エッチングしてパターニングし、図2に示すようにITO薄膜からなる矩形のアノード電極14を、基板11表面に形成する。
【0016】
次いで、基板11を真空蒸着装置内へと搬入し、有機材料を蒸着法で基板11の表面とアノード電極14の表面とに成膜した後にエッチングでパターニングし、図3に示すようにアノード電極14の表面に、有機材料からなるホール輸送層17を、平面形状が矩形になるように形成する。次に、ホール輸送層17とは異なる有機材料を基板11とアノード電極14とホール輸送層17の各表面に蒸着して電子輸送層18を成膜した後、電子輸送層18とホール輸送層17とをエッチングでパターニングし、電子輸送層18とホール輸送層17との平面形状が同じ矩形になるようにする。
【0017】
次いで、基板11、アノード電極14、電子輸送層18の各表面に蒸着法でアルミニウム等の金属膜を成膜した後、エッチングして平面形状が矩形になるようにパターニングし、図4に示すように、電子輸送層18の表面から基板11の表面に亘って金属膜からなるカソード電極19を形成する。
【0018】
すると、基板11の表面に、アノード電極14、電子輸送層18、カソード電極19及びカソード電極19からなる有機発光素子5が形成される。電子輸送層18とホール輸送層17との縁はアノード電極14の縁よりも外側に位置しており、電子輸送層18の上に形成されたカソード電極19は、アノード電極14とは直接接触しないようになっている。
【0019】
次いで、図5に示すようにアルミニウム等の金属からなる棒状の引出電極21、22の一端をそれぞれアノード電極14とカソード電極19上に固定し、鉛直に配置する。各引出電極21、22の長さはともに有機発光素子5の高さよりも高くされており、各引出電極21、22の各上端部は、ともに有機発光素子5の上端部よりも上方に位置している。
【0020】
次に、各引出電極21、22の上端部を図示しない支持具で把持し、図6に示すように、表面に有機発光素子5が配置された基板11を、後述するノズルが配置された図示しない処理室内に搬入する。これらのノズル23a、23bは図示しない材料供給系にそれぞれ接続され、各材料供給系を動作させると、有機樹脂を各ノズル23a、23bの射出口からそれぞれ射出することができるようになっている。各ノズル23a、23bの射出口は互いに向き合った状態で上下に配置されており、引出電極21、22の上端部を把持して、搬入された基板11を、各ノズル23a、23bの射出口の間に水平に配置した状態で材料供給系を動作させると、各ノズル23a、23bから、基板11の有機発光素子5が配置された側の面(以下で素子形成面と称する。)と、その反対側の面(以下で発光面と称する。)とにそれぞれ異なる有機樹脂が吹き付けられる。ここでは、基板11の素子形成面と、発光面とに、それぞれシリコーンゴムと、紫外線吸収剤の粒子が分散されたシリコーンゴムとが吹き付けられている。ここでは紫外線吸収剤の粒子として酸化チタンの粒子を用いている。
【0021】
すると、吹き付けられたシリコーンゴムと、紫外線吸収剤の粒子が分散されたシリコーンゴムが固化することにより、図7に示すように、基板11の素子形成面及び有機発光素子5と、基板11の発光面とにそれぞれ第1、第2の封止膜30a、30bが形成され、基板11の素子形成面と有機発光素子5が第1の封止膜30aにより被覆され、第2の封止膜30bにより基板11の発光面が被覆される。第1、第2の封止膜30a、30bはともにシリコーンゴムで構成され、基板11の発光面側に配置された第2の封止膜30b中には、紫外線吸収剤の粒子が分散されている。
【0022】
次に、図8に示すように基板11を、二本のノズル23c、23dが水平に配置された図示しない処理室内に搬入する。これらのノズル23c、23dは、図6で説明した各ノズル23a、23bと同様、材料供給系に接続され、各ノズル23c、23dはそれぞれの射出口が互いに対向して水平方向を向いており、搬入された基板11を、各ノズル23c、23dの射出口の間に水平配置した状態で材料供給系を動作させると、有機樹脂が基板11の側面へと射出される。この有機樹脂は、図6で説明し、有機発光素子5が配置された側にある上方のノズル23aから射出される樹脂と同じく、シリコーンゴムである。
【0023】
こうして、液状の有機樹脂を各ノズル23c、23dの各射出口から基板11の側面へと射出しながら、基板11を水平面内で回転させると、基板11の全部の側面にシリコーンゴムが吹き付けられる。その結果、図9に示すように吹き付けられたシリコーンゴムが固化し、シリコーンゴムから成る第3の封止膜30cが形成され、基板11の側面が第3の封止膜30cで被覆される。以上の工程を経て、図9に示す有機発光装置1が完成する。
【0024】
この有機発光装置1では、上述したように各引出電極21、22の各上端部は有機発光素子5の上端部より上方に位置しており、有機発光素子5が第1の封止膜30aで被覆されても、各引出電極21、22の各上端部は第1の封止膜30a内に埋没せず、第1の封止膜30aの表面から突出している。突出した各引出電極21、22の上端部を図示しない電源にそれぞれ接続し、電源を起動して、アノード電極14に正電圧を、カソード電極19に負電圧をそれぞれ印加すると、アノード電極14とカソード電極19とに挟まれた部分では、ホール輸送層17で正の電荷を持つホールが生成されると同時に電子輸送層18に電子が注入され、ホール輸送層17と電子輸送層18との界面でホールと電子が結合して光が発生する。基板11とアノード電極14と第2の封止膜30bは透明であり、発生した光はアノード電極14とその下方の基板11及び第2の封止膜30bを透過し、発光装置1の外部へと放出される。アノード電極14は基板のほぼ全面に矩形状に配置され、ホール輸送層17、電子輸送層18及びカソード電極19はアノード電極14のほぼ全部に配置されているので、基板11のほぼ全面から光が放出される。
【0025】
本発明の有機発光装置1によれば、基板11の素子形成面に配置された有機発光素子5が、第1の封止膜30aで被覆され、また、基板11の発光面及び側面はそれぞれ第2、第3の封止膜30b、30cで被覆されており、基板11と有機発光素子5とは、全て厚い第1、第2、第3の封止膜30a、30b、30cの内部に封入されているので、第1、第2、第3の封止膜30a、30b、30cを介して水分やガス等がほとんど有機発光素子5へと侵入しない。また、第1の封止膜30aからは、金属製の引出電極22、23の先端部が露出しており、引出電極22、23と第1の封止膜30aとの間の界面から水分やガスが侵入する可能性もありうるが、金属とシリコーンゴムとの密着性は高いので、各引出電極22、23と第1の封止膜30aとの間からは水分やガス等は侵入しにくい。このように、有機発光素子5の内部には、水分やガスがほとんど侵入しないので、従来に比して有機発光素子5の寿命は長くなる。実測によると、本発明の有機薄膜表示装置1では、有機発光素子5への酸素の透過度が10-6cc/m2/day以下であり、水蒸気の透過度が10-6g/m2/day以下になった。
【0026】
また、有機発光装置1によれば、上述したように、基板11の発光面に配置された第2の封止膜30bは、有機発光素子5が発した光を透過するために、透明な膜で構成されており、透明な第2の封止膜30bから、その上方の透明な基板11、アノード電極14を通って紫外線が有機発光素子5へと達してしまうと、紫外線により有機発光素子5が劣化し、有機発光装置の寿命が短くなってしまうが、上述したように第2の封止膜30bの内部には、紫外線吸収剤の粒子が分散されている。
【0027】
このため、透明な第2の封止膜30bに紫外線が入射しても、入射した紫外線はそのほとんどが封止膜中の紫外線吸収剤の粒子で吸収されるので、入射した紫外線が有機薄膜まで到達することはほとんどない。従って、紫外線により有機薄膜が劣化し、発光装置の寿命が短くなることはない。
【0028】
また、上述した実施形態では、第1、第2、第3の封止膜30a、30b、30cを形成する際に、液状の有機樹脂を吹き付けることで形成している。液状の有機樹脂を吹き付けることで成膜すると、第1、第2、第3の封止膜30a、30b、30cの膜厚を厚くすることができ、水分やガスがこれらの封止膜30a、30b、30cを透過しにくくなり、しかも、封止膜30a、30b、30cと、基板11又は有機発光素子5との間の密着性は高いので、その間から有機発光素子5の内部へと水分やガスが侵入しにくくなる。
【0029】
なお、上述した実施形態では、基板11の発光面に配置された第2の封止膜30bのみを第1、第3の封止膜30a、30cと異なる材料としているが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、図10に示す有機発光装置2のように、有機発光素子5と、基板11の素子形成面、側面及び発光面との全部を、同じ有機樹脂で構成された封止膜30で封入してもよい。この場合には、有機発光素子5で発せられた光を透過させるため、封止膜30を透明な有機樹脂で構成する必要がある。
【0030】
また、上述した実施形態では、液状の有機樹脂を吹き付けて厚い封止膜を成膜しているが、本発明はこれに限られるものではなく、少なくとも有機発光素子5が配置された側の基板11の表面が、有機樹脂が吹き付けられて形成された厚い封止膜で被覆されていればよく、他の部分すなわち、基板11の側面や、有機発光素子5が配置された側と反対側の面は、厚い封止膜で被覆する必要はなく、例えば図11に示すように、有機発光素子5が配置された側と反対側の基板11の表面には、樹脂製の透明なフィルムを貼付して封止膜35とし、その封止膜35と、基板の側面に配置された第3の封止膜30cとを密着させて封止してもよい。この場合に、貼付された封止膜35を、第1、第3の封止膜30a、30cと同じ材料にしておけば、封止膜35と、第3の封止膜30cとの間の密着性が高くなるので、水分やガスが侵入しにくくなる。また、フィルム状の封止膜35は透明にする必要があるが、酸化チタン等の紫外線吸収剤が分散されていれば、フィルムを介して紫外線が有機薄膜に達することはない。
【0031】
また、少なくとも有機発光素子5が配置された側の基板11の一表面が、有機樹脂が吹き付けられることで形成された厚い膜で構成されていればよく、例えば図12に示すように、有機発光素子5が配置された側と反対側の基板11の表面には、封止膜を配置せずに、基板11が露出するように構成してもよい。このように構成すると、基板11が露出しているので、基板11が例えば樹脂フィルム等で構成された場合に基板11を通して水分やガスが有機発光素子5へと侵入することがあるので、樹脂フィルム等のように、水分やガスを非常に透過しやすいもので基板を構成した場合には、基板11及び有機発光素子5の両方を、有機樹脂からなる封止膜で被覆することが好ましい。
【0032】
また、有機樹脂としてシリコーンゴムを用いているが、本発明の有機樹脂はこれに限られるものではなく、例えば天然ゴム、フッ素ゴム等、ガス透過性の低いゴム類等を用いてもよい。
【0033】
また、紫外線吸収剤として酸化チタンを用いているが、紫外線吸収剤はこれに限られるものではなく、例えばITOの粉末などのように紫外線を良く吸収する透明な微粒子等を用いてもよい。
【0034】
また、上述した実施形態では、有機発光素子として、その全面が発光し、照明器具等に用いられる発光装置について説明したが、本発明の有機発光素子はこれに限られるものではなく、一部を選択的に発光させることで画像表示が可能な表示装置にも適用可能である。
【0035】
図12の符号6に、その表示装置を示す。
この表示装置6は、ガラス基板11の一表面に設けられたパッシブマトリクス型の有機EL素子8がガラス基板11の一表面に配置され、基板11及び有機EL素子8が、有機樹脂からなる封止膜30内に封入されて成る。
【0036】
有機EL素子8は、ガラス基板11上に形成されたアノード電極膜52と、アノード電極膜52上に配置された発光性有機薄膜55aと、該発光性有機薄膜55a上に配置されたカソード電極膜56aとを有している。
【0037】
アノード電極膜52は、ITO薄膜によって構成されており、そのITO薄膜がパターニングされ、互いに絶縁された複数本数の直線状の配線に成形されている。各アノード電極膜52は、互いに平行に所定間隔で配置されている。
【0038】
また、発光性有機薄膜55aとカソード電極膜56aとは、それぞれ有機EL薄膜と金属薄膜とで構成されており、絶縁物53上に形成されたリブ54によって、それぞれ複数本数の直線状の配線に分離されている。アノード電極膜52と、発光性有機薄膜55a及びカソード電極膜56aとは、互いに垂直な方向に延設されている。
【0039】
符号55b、56bは、それぞれ構造絶縁体54上に成膜された部分の有機EL薄膜と金属薄膜であり、構造絶縁体54の段差により、発光性有機薄膜55a同士の間、及びカソード電極膜56a同士の間を分離させている部分であるが、有機EL素子8の動作には寄与しない。
【0040】
各アノード電極膜52と各カソード電極膜56aには、それぞれ金属からなる棒状の引出電極57、58の一端が固定されており、各引出電極57、58の他端は、封止膜30の表面から突出している。図12には、アノード電極膜52とカソード電極膜56aにそれぞれ接続される引出電極57、58は一本ずつしか図示していないが、実際には、アノード電極膜52とカソード電極膜56aとそれぞれ同数の引出電極57、58が封止膜30の表面から突出しており、各引出電極57、58のうちから、一本ずつ、又は一方を1本、他方を複数本選択して、アノード電極膜12とカソード電極膜16aとを1本ずつ、又は一方を1本、他方を複数本数選択し、選択したアノード電極膜12とカソード電極膜16aに、それぞれ正電圧と負電圧を印加すると、選択したアノード電極膜12及びカソード電極膜16aとが交差する部分に位置する発光性有機薄膜15aが発光し、透明なアノード電極膜12、基板11及び封止膜30を通過した光が、封止膜30の外部へと放出される。
【0041】
このとき、選択したアノード電極膜12とカソード電極膜16a以外のアノード電極膜12とカソード電極膜16aには電圧が印加されないため、選択したアノード電極膜12とカソード電極膜16aとの間に位置する発光性有機薄膜15a以外の部分に位置する発光性有機薄膜15aは発光しない。
【0042】
上述した表示装置6は、パッシブマトリクス型の有機EL素子8が厚い封止膜30の内部に封入されて成り、水分やガスが有機EL素子8へほとんど侵入しないので、その寿命が長くなる。
【0043】
また、有機発光素子として、いわゆるアクティブマトリクス型の有機EL素子を封止膜の内部に封入してもよい。
図14は、そのアクティブマトリクス型の有機EL素子28の模式図を示している。
【0044】
図14中符号61は、長方形形状の透明なガラス基板から成る基板を示している。この基板61の表面には、矩形状のアノード電極64が複数設けられており、各アノード電極64は、行列状に配置されている。
【0045】
アノード電極64の間には、導電材料からなる電源線66aが一本ずつ延設されており、その結果、複数の電源線66aが配置されている。各電源線66aは同じ方向に配置されている。アノード電極64の間には、各電源線66aと垂直な方向に、導電材料からなる制御線66bが一本ずつ延設されており、その結果、複数の制御線66bが配置されている。各電源線66aと各制御線66bは互いに絶縁され、ともにアノード電極64を横切らないようになっている。
【0046】
各アノード電極64の近傍には、低温ポリシリコンTFTからなる選択トランジスタ12が、アノード電極64の一個につき一個ずつ配置されている。各選択トランジスタ62のドレイン端子は、電源線66aに接続され、ソース端子は、アノード電極14に接続され、ゲート端子は制御線66bに接続されている。電源線66a、制御線66bには図示しない制御回路が接続されている。
【0047】
この制御回路が、各制御線66bのうち任意の一本の制御線66bを選択し、各電源線66aのうち任意の一本の電源線66aを選択すると、一個の選択トランジスタ62が選択されるようになっている。選択トランジスタ62が選択されると、その選択トランジスタ62のソース端子に接続されたアノード電極64と電源線66aとが接続され、そのアノード電極64に、電源線66aの電圧が印加されるように構成されている。
【0048】
各アノード電極64の上には、有機EL薄膜65が配置されている。この有機EL薄膜65はR(赤)、G(緑)、B(青)の三種類があり、この三種類のうちいずれか一種類が、一個のアノード電極64上に配置されている。
【0049】
各有機EL薄膜65上には、カソード電極膜68が密着して配置されている。このカソード電極膜68は、全部の画素の有機EL薄膜65を覆っている。カソード電極膜68の、有機EL薄膜65に密着した部分であるカソード電極68は、上述したアノード電極64及び有機EL薄膜65とともに、本発明の画素73を構成している。ある画素73の選択トランジスタ62が選択されて、アノード電極64に電源線66aの電圧が印加されると、アノード電極64とカソード電極68との間に電圧が印加され、その画素73の有機EL薄膜65に電流が流れ、有機EL薄膜65が発光するようになっている。
【0050】
上述したアノード電極64は透光性を有する導電膜で構成されており、有機EL薄膜15が発光すると、その光はアノード電極64と、その下方の基板61とを透過して基板61の裏面側に達する。ここではアノード電極64として、ITO薄膜が用いられている。
【0051】
図15(a)、(b)に、図14で説明した有機EL素子28を有する表示装置9の断面図の一例を示す。なお、図15(a)、(b)は、図14のA−A線断面図とB−B線断面図とにそれぞれ対応している。
【0052】
上述した各画素73は図15(a)、(b)に示す絶縁材63で互いに分離されている。上述した各電源線66a及び各制御線66bは、図15(a)、(b)に示すように絶縁材13の下方に配置されており、絶縁材13の形成された部分では、絶縁材63によって電源線16a及び制御線16bとカソード電極膜68とが絶縁されるようになっている。
【0053】
上述した構成の、アクティブマトリクス型の有機EL素子28は、図15(a)、(b)に示すように、有機樹脂が吹き付けられて形成された封止膜30によって全部が被覆されている。
【0054】
各電源線66aと各制御線66bの上には、それぞれ金属からなる棒状の引出電極77、78の一端が固定されており、各引出電極77、78の他端は、封止膜30の表面から突出している。図12には、アノード電極膜62とカソード電極膜66aにそれぞれ接続される引出電極77、78は一本ずつしか図示していないが、実際には、アノード電極膜62とカソード電極膜66aとそれぞれ同数の引出電極77、78の端部が封止膜30の表面から突出している。
【0055】
突出した各引出電極77、78のそれぞれの端部は、上述した図示しない制御回路に接続されており、制御回路を動作させると、上述したように、特定の画素の選択トランジスタ62が選択され、その画素における有機EL薄膜65が発光する。
【0056】
かかる構成の表示装置9では、アクティブマトリクス型の有機EL素子28が厚い封止膜30の内部に封入されているので、水分やガスが有機EL素子28へほとんど侵入しなくなり、その寿命が長くなる。
【0057】
【発明の効果】
本発明によって、酸素、水分に対して高い封止能カを発揮し、かつ、放熱性が良好な有機EL素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法を説明する第1の断面図
【図2】本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法を説明する第2の断面図
【図3】本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法を説明する第3の断面図
【図4】本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法を説明する第4の断面図
【図5】本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法を説明する第5の断面図
【図6】本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法を説明する第6の断面図
【図7】本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法を説明する第7の断面図
【図8】本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法を説明する第8の断面図
【図9】本発明の一実施形態に係る発光装置を説明する断面図
【図10】本発明の他の実施形態に係る発光装置を説明する断面図
【図11】発光面を樹脂フィルムで被覆した本発明の実施形態に係る発光装置を説明する断面図
【図12】発光面の基板を露出させた本発明の実施形態に係る発光装置を説明する断面図
【図13】本発明のパッシブマトリクス型の表示装置を説明する断面図
【図14】本発明のアクティブマトリクス型の表示装置を模式的に説明する図
【図15】(a):本発明のアクティブマトリクス型の表示装置を説明する第1の断面図
(b):本発明のアクティブマトリクス型の表示装置を説明する第2の断面図
【図16】従来の発光装置を説明する断面図
【符号の説明】
11……基板
12……アノード電極膜(第1の電極)
18……カソード電極(第2の電極)
23……画素
30a……第1の封止膜
30b……第2の封止膜
30c……第3の封止膜
Claims (3)
- 第1の電極と、
前記第1の電極と対向配置され、前記第1の電極と絶縁された第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された有機薄膜とを備えた有機発光素子が、基板の第一の表面である素子形成面に配置され、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧が印加されると、前記有機薄膜が発光するように構成された発光装置を製造する発光装置製造方法であって、
前記第1、第2の電極に第1、第2の引出電極をそれぞれ固定し、
前記第1、第2の引出電極を把持して少なくとも前記基板の素子形成面側に有機樹脂を吹き付け、前記第1、第2の電極の上部を表面から突出させた状態で、前記素子形成面上に第1の封止膜を形成し、前記素子形成面を前記第1の封止膜で被覆する発光装置の製造方法。 - 前記基板の前記素子形成面とは反対側の表面である発光面に有機樹脂を吹き付け、前記発光面上に第2の封止膜を形成し、前記発光面を前記第2の封止膜で被覆する請求項1記載の発光装置の製造方法。
- 前記基板の側面に有機樹脂を吹き付け、前記側面上に第3の封止膜を形成する請求項2記載の発光装置の製造方法。
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