JP2010526796A - 植物油の触媒開裂方法 - Google Patents

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Abstract

不飽和脂肪酸の酸化開裂を含む、不飽和脂肪酸のトリグリセリドを有する未修飾の植物油から出発して、飽和モノカルボン酸及び1より多くの酸官能基を有する飽和カルボン酸のトリグリセリドを製造するための方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、不飽和脂肪酸の酸化開裂を含む、不飽和脂肪酸のトリグリセリドを有する未修飾の植物油から出発して、飽和モノカルボン酸と1より多くの酸官能基を有する飽和カルボン酸のトリグリセリドとを製造するための方法に関する。
不飽和脂肪酸、又は例えば不飽和脂肪酸のエステルのようなそれらの誘導体から出発する酸化開裂方法は、文献でよく知られている。典型的には、それらは、不飽和脂肪酸のオレフィンの二重結合を酸化して、隣接するジオール(vicinal diol)を形成する第1工程(a)、及び隣接するジオール部分の2つの炭素原子間の結合を開裂する第2工程(b)を含む。
このタイプの方法は、EP0666838に記載されている。このような方法では、酸化開裂は、工程(a)と(b)の両方がいずれの有機溶媒も加えられることなく行われることと、工程(b)の間、水を工程(a)の反応生成物に加えることにより、1:1〜5:1の間の水/ジオール比の混合物を得、次いで触媒としてのコバルト化合物の存在下に、該混合物と酸素又は酸素を含む化合物とを反応させることとを特徴とする。この方法は、中間生成物(隣接するジオール)のいかなる精製も必要とせず、ジオールを酸化するのに溶媒を添加することも必要とせず、水の存在下で行われる。
それにもかかわらず、第1工程の終了時に形成する中間生成物の特徴、特にその高い粘性は、前記方法の第2工程を行うのに多量の水を加えることを必要とする。工業的な製造の観点から、前記方法は大容量の反応器を必要とするため、この事実は特に不利である。さらに、プロセス終了時の多量の残留水及び有機残留物の存在は、溶解した触媒を回収し、それを処理する煩わしい処置を必要とする。
酸化開裂による飽和カルボン酸の異なった製造方法が、特許出願WO2007/039481A1に記載されている。
前記出願によれば、酸化開裂方法は、出発原料としての一価不飽和脂肪酸の誘導体−特にメチルエステル−の使用を特徴とする。出発原料としての前記誘導体の使用は、EP 0666838に記載の方法より粘性の低い反応中間体を生成し、その結果必要な水の量を低減することを可能ならしめる。
しかしながら、出発原料としての前記誘導体の使用は、原料の植物油中に含まれるトリグリセリドのエステル交換反応が方法の上流で行われることを必要とする。酸化開裂方法の上流での前記エステル交換反応の必要性は、明らかに不利な経済的な性質を有する。
また、メチルアルコールのような有害な溶媒を使用することの必要性は、コストに重大な影響を与える適当な安全対策を要求する。
他方、反応の副生成物としてのグリセロールの製造は、後者に対するアウトレット・マーケットを見出すことの必要性を示している。さらに、この方法の終了時に存在する成分は、それらを分離するための、水に対するそれらの溶解度の違いを利用する技術の使用、及びそれらを精製するための、例えば分留のような蒸留プロセスの使用を必要とする。
不飽和脂肪族カルボン酸の酸化開裂による飽和脂肪族カルボン酸を製造するための方法は、EP0128484A1に記載されている。前記方法は、不飽和脂肪族モノカルボン酸、植物油を加水分解することにより製造される脂肪酸混合物、トール油脂肪酸及びこれら脂肪酸のエステルを、過酸化物との最初の反応、次いで、少なくとも1つの重金属化合物並びに臭素化合物及び塩素化合物の群から選択される少なくとも1つを含む触媒の存在下での酸素による酸化に付すことを含む。
それ故に、前記の公知の方法の欠点を回避する方法についての必要性が感じられている。
本発明の方法で、驚くべきことに、例えば植物油中に含まれるトリグリセリドのエステル交換のような予備的な修飾をする必要なく、植物油から直接出発して、飽和モノカルボン酸、及び1より多くの酸官能基を有する飽和カルボン酸のトリグリセリドを製造することができることを見出した。さらに、本発明の方法は、多量の水を加える必要なく行われ、このことは、工業的な観点からも前記方法をより有利とする。
本発明は、次の工程:
a)不飽和脂肪酸のトリグリセリドと酸化剤とを、不飽和脂肪酸のオレフィンの二重結合の酸化反応のための触媒の存在下に反応させ、中間生成物として、隣接するジオールを得て;
b)工程(a)で得られる前記中間生成物と酸素又は酸素を含む化合物とを、前記隣接するジオールの2つのヒドロキシ基の、カルボン酸基への酸化反応のための触媒の存在下に反応させ、飽和モノカルボン酸(i)と1より多くの酸官能基を有する飽和カルボン酸のトリグリセリド(ii)とを含む反応生成物を得て;該工程(b)は1:1より低い水/ジオール比を有し;
c)1より多くの酸官能基を有する飽和カルボン酸の前記トリグリセリド(ii)から前記飽和モノカルボン酸(i)を分離する
を含むことを特徴とする、不飽和脂肪酸のトリグリセリドを含む未修飾の植物油から出発して、飽和モノカルボン酸及び1より多くの酸官能基を有する飽和カルボン酸のトリグリセリドを製造するための方法に関する。
本発明のもう1つの観点では、前記工程(b)は1:3より低い水/ジオール比を有する。
本発明のもう1つの観点では、前記工程(b)の間、反応生成物は、好ましくは、水相及び有機相の形態で存在する。
本発明のもう1つの観点では、工程(a)で得られる前記中間生成物は、酸素又は酸素を含む化合物と、いずれの精製処理を行う必要もなく、工程(b)において反応される。
本発明のさらなる観点では、前記工程(b)は、触媒が溶解している水の他に、水を加えることなく行われる。
本発明のよりさらなる観点では、工程(a)と(b)の両方が、有機溶媒を加えることなく行われる。
本発明の方法のための出発原料は、不飽和脂肪酸のトリグリセリドの混合物を含む植物油である。植物油の例は、大豆油、オリーブ油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ピーナッツ油、ベニバナ油、トウモロコシ油、ヤシ油、ジャトロファ油、クフェア油、アビシニアンキャベツ(Crambe abyssinica)、アビシニアガラシ(Brassica carinata)、セイヨウアブラナ(Brassica napus)(コルツァ(colza))、レスクェレラ(Lesquerella)のようなアブラナ科(Brassicaceae)からの油、高一価不飽和酸含量の油などである。ヒマワリ油及びアブラナ科からの油の使用が特に有利である。高オレイン酸含量のヒマワリ油及び高エルカ酸含量のアブラナ科からの油の使用がさらにより有利である。
トリグリセリドの脂肪酸は、一価不飽和又は多価不飽和であり得る。不飽和脂肪酸の例は、9−テトラデセン酸(ミリストレイン酸)、9−ヘキサデセン酸(パルミトレイン酸)、9−オクタデセン酸(オレイン酸)、12−ヒドロキシ−9−オクタデセン酸(リシノール酸)、9−エイコセン酸(ガドレイン酸)、13−ドコセン酸(エルカ酸)、15−テトラコセン酸(ネルボン酸)、9,12−オクタデカジエン酸(リノール酸)及び9,12,15−オクタデカトリエン酸(リノレン酸)である。一価不飽和脂肪酸が特に好ましい。
本発明の方法では、オレイン酸及びエルカ酸の使用が特に有利である。そのような場合では、飽和モノカルボン酸としてペラルゴン酸が、最終生成物として高収率で得られる。
本発明の方法の工程(a)を行うのに用いられる酸化剤は、30〜70重量%の間の、好ましくは35〜60重量%の間の、より好ましくは40〜50重量%の間の濃度の過酸化水素の水溶液が好ましい。工程(a)で得られるジオールを、−工程(b)において−酸素又は酸素を含む化合物と反応させる。空気の使用は特に有利であり、酸素富化空気の使用はさらにより有利である。
有利には、工程(a)の触媒は、タングステン、モリブデン並びにそれらの酸及びアルカリ塩からなる群に属する。タングステン酸又はリンタングステン酸の使用が、特に好ましい。前記触媒は、不飽和脂肪酸に対して、0.03モル%〜3モル%の間の、好ましくは0.05モル%〜1.8モル%の間の、より好ましくは0.06モル%〜1.5モル%の間の量で存在する。
工程(b)の触媒に関して、それは水溶液として反応混合物に加えることができ、有利には、例えば、酢酸塩、塩化物、硫酸塩、臭化物及び硝酸塩のような、コバルト及び/又はマンガンをベースとする化合物及びそれらの混合物の群に属し、工程(a)で製造されるジオールに対して、0.05モル%〜3モル%の間の、好ましくは0.1モル%〜2モル%の間の、より好ましくは0.3モル%〜1.5モル%の間の量で用いられる。酢酸コバルト及び塩化コバルトの使用が特に好ましい。
有利には、無機酸を、工程(b)のコバルトをベースとするか又はコバルト及びマンガンをベースとする触媒に加え得る。無機酸の例は、リン酸、塩酸及び過塩酸並びにそれらの混合物である。
工程(b)の触媒として、有利には、マンガンをベースとする化合物を、コバルトをベースとする化合物との混合物として用い得る。好ましくは、前記混合物は、5:1〜10:1の間のCo:Mnのモル比を有する。
本発明の方法の好ましい形態では、形成する中間体の工程初期での存在は反応の活性化を促進するので、工程(a)の初期に、工程(a)の終了時に形成する少量の中間体(いわゆる反応活性化剤)が添加される。「反応活性化剤」は、原料の油に対して≦5重量%、好ましくは≦3重量%の量で添加される。
有利には、反応活性化剤が入手できない場合、ある量のH22を反応初期の混合物に加え、プロセス内での発熱により温度が上昇するのを待つのが有用である。このことが起こったとき、トリグリセリドの不飽和脂肪酸の部分とH22との反応が起こり、その結果、反応を活性化するジハイドロキサイドが形成したことを意味する。
本発明の方法の好ましい形態では、工程(a)の間、プロセスの水の一部を蒸留するのに窒素をフラックスさせる。このことはH22の過剰な希釈を防ぐ。窒素流の代わりは減圧下での蒸発である。
本発明の方法の好ましい形態では、工程(a)の終了時に触媒を除去しない。
本発明の工程(a)及び工程(b)の反応温度は、有利には45〜95℃の間、好ましくは50〜90℃の間である。工程(a)の反応温度は、55〜70℃の間が有利である。工程(b)の反応温度は、有利には55〜90℃の間、より有利には60〜70℃の間である。
本発明の工程(a)の反応に必要な時間は、2〜10時間の間であり、他方、工程(b)に必要な時間は3〜12時間の間である。
有利には、本発明の方法を常圧で又は低酸素分圧下で行うことができ、その結果、工業的な生産の観点から特に有利である。好ましくは、工程(a)は、常圧で行われる。工程(b)は、常圧より高い圧力、好ましくは≦20atm、より好ましくは≦15atmで行われる。
水相が存在する場合、有機相からのそれの分離は、工程(a)の終了時又は工程(b)の終了時のいずれかに行われ得る。
有利には、前記分離は工程(b)の終了時に行われる。
水相は、必要であれば工程(a)の触媒との混合物で、工程(b)の触媒を含み、該触媒は、次いで回収され、工程(b)の触媒として任意に再利用されてもよい。
有機相は、飽和モノカルボン酸、及び1より多くの酸官能基を有する飽和カルボン酸を含むトリグリセリド、原料混合物中に存在する飽和モノカルボン酸並びに工程(a)の終了時に形成する隣接するジオールを実質的に含む混合物からなる澄明な油である。
有利には、トリグリセリドは、後者の蒸留方法により、飽和モノカルボン酸から分離され得る。水蒸気蒸留が特に好ましい。
1より多くの酸官能基を有する飽和カルボン酸を含む前記トリグリセリドは、そのままで又は化学修飾された形態で、ポリマー、界面活性剤、潤滑剤、潤滑共調製剤及び薬剤のキャリアの製造における中間体として用いられ得る。トリグリセリド1モル当たり1.5〜2.5モルの間の酸性基を有する飽和カルボン酸を含むトリグリセリドが好ましい。
飽和カルボン酸を含む前記トリグリセリドは、例えば、トリグリセリドのカルボン酸単位がヒドロキシ基又はアミノ基に変換される還元反応により、化学的に修飾され得る。トリグリセリド1モル当たり1.5〜2.5モルの範囲で、ヒドロキシ、アミノ及びその他の官能基を含む中間体が好ましい。そのような化学修飾された中間体は、よく知られた化学反応により得ることができる。
そのような化学修飾された中間体と、飽和カルボン酸を含む前記トリグリセリドは、ポリエステル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリウレタン、ポリエステル−ウレタンのようなポリマーを製造するためのモノマーとして用いられ得る。1〜2.5モルの間のアゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸及びそれらの混合物を含むトリグリセリドが特に好ましい。
1より多くの酸官能基を有する飽和カルボン酸を含むトリグリセリドは、次いで、グリセロール及び飽和カルボン酸に加水分解され得る。加水分解反応は、水での加水分解、強酸性イオン交換樹脂での加水分解及び酵素触媒による加水分解のような種々の方法で行われ得る。
水での加水分解(1:1〜1:5の間の水/油比)は、加水分解触媒を添加するか又はせずに、蒸気の平衡圧と同一の圧力で、150〜300℃の間の、好ましくは180〜270℃の間の温度で行われる。加水分解は、100〜120℃の温度で、強酸性イオン交換樹脂で行われる。そのような樹脂の例は、アンバーリスト(Amberlyst 商標)及びアンバーライト(Amberlite 商標)のタイプの樹脂である(共にローム アンド ハース社製)。
酵素触媒による加水分解は、リパーゼで行われる。有利には、前記リパーゼは、次の群:カンジダ シリンドラッシー(Candida cylindracea)、カンジダ アンタールチカ(Candida antartica)、シュードモナス スピーシーズ、豚膵リパーゼ、カンジダ ルゴサ(Candida rugosa)、ゲオトリカム カンジダム(Geotrichum candidum)、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)、ムコール ミーテイ(Mucor mietei)、リゾプス アリツス(Rhizopus arrhizus)、リゾプス デルマー(Rhizopus delemar)、リゾプス ニベウス(Rhizopus niveus)、クロモバクテリウム ビスコーサム(Chromobacterium viscosum)、サーモミセス ラヌギノサス(Thermomyces lanuginosus)、ペニシリウム シクロピウム(Penicillum cyclopium)から選択できる。
原料油のタイプにより、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、ブラシル酸、テトラデカンジカルボン酸、ペンタデカンジカルボン酸のような、種々のカルボン酸を得ることができる。
本発明の方法の好ましい形態では、アゼライン酸及びブラシル酸が、1より多くの酸官能基を有する飽和カルボン酸の理論収量に対して、80%までの収率で、加水分解反応により主に得られる。
本発明の方法を、ここで、以下の限定しない実施例により説明する。
実施例1
・工程(a)(H22との反応)
次の物質:
−高オレイン酸含量のヒマワリ油1000g(オレイン酸82%、リノール酸10%、パルミチン酸4.5%、ステアリン酸3.5%)
−タングステン酸5g(不飽和脂肪酸に対して0.7モル%)
−原料のヒドロキシル化した油50g(前の反応の工程(a)の終了時に得られた中間体、いわゆる「反応活性化剤」)
を反応器中に入れた。温度を60℃〜65℃に上げ、49.9%のH22溶液280ccを3時間で加えた。反応の間、プロセスの水の一部を蒸留し、H22の過度な希釈を防ぐために窒素をフラックスさせた。H22の添加終了後、反応を65℃で、3時間継続した。
・工程(b)(空気との反応)
工程(a)の終了時に得られた混合物を、攪拌装置を備えたオートクレーブに移した。1%酢酸コバルト水溶液300gを加えた(工程(a)で製造されたジオールに対して0.4モル%)。温度を70℃に上げ、反応器を空気で圧力12atmとした。酸素を十分に供給するために、空気を継続的にフラックスさせた。反応の開始は、酸化開裂の発熱による混合液の温度上昇により明確となった。反応を8時間継続した。
工程(b)の終了時に、有機相から水相の熱分離を行った。水相は最初の2つの反応工程の触媒(タングステン酸及びコバルト塩)を含み、次いで該触媒を回収できた。有機相(酸化された油)は、ペラルゴン酸及び短鎖遊離モノカルボン酸との混合物中に、(少量のパルミチン酸、ステアリン酸及びジヒドロステアリン酸と一緒になった)アゼライン酸を主に含むトリグリセリドからなっていた。
・工程(c)
ペラルゴン酸及び短鎖遊離モノカルボン酸360gからなる軽い留分を分離するのに、水蒸気蒸留により油相を蒸留した。蒸留残渣(790g)は、アゼライン酸のトリグリセリドから主になっていた。
実施例2
実施例1の工程(c)の蒸留終了時に蒸留装置内に残留するトリグリセリドを、180℃で、圧力下、3時間、1:1の比で水を加えることにより加水分解反応に付した。この反応は、グリセロールから一価及び二価の飽和脂肪酸を遊離させた。アゼライン酸及びグリセロールを、90℃で、水を用いた連続抽出により、脂肪酸の混合物から分離した。水溶液を冷却することにより、アゼライン酸370gを結晶化させた。残留水を、塩基性イオン交換樹脂を通過させ、次いで蒸発させ、グリセロール100gを回収した。得られたアゼライン酸の量は、ガスクロマトグラフィ分析により確認すると、アゼライン酸の理論収量に対して約70%に等しいオレイン酸の開裂収量に相当した。

Claims (30)

  1. 次の工程:
    a)不飽和脂肪酸のトリグリセリドと酸化剤とを、不飽和脂肪酸のオレフィンの二重結合の酸化反応のための触媒の存在下に反応させ、中間生成物として隣接するジオールを得て;
    b)工程(a)で得られる前記中間生成物と酸素又は酸素を含む化合物とを、前記隣接するジオールの2つのヒドロキシ基のカルボン酸基への酸化反応のための触媒の存在下に反応させ、飽和モノカルボン酸(i)及び1より多くの酸官能基を有する飽和カルボン酸のトリグリセリド(ii)を含む反応生成物を得て、該工程(b)は1:1より低い水/ジオール比を有し;
    c)1より多くの酸官能基を有する飽和カルボン酸の前記トリグリセリド(ii)から前記飽和モノカルボン酸(i)を分離する
    を含むことを特徴とする、不飽和脂肪酸のトリグリセリドを含む未修飾の植物油から出発して、飽和モノカルボン酸及び1より多くの酸官能基を有する飽和カルボン酸のトリグリセリドを製造するための方法。
  2. 前記工程(b)が1:3より低い水/ジオール比を有する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記工程(b)の間、前記反応生成物が水相及び有機相の形態で存在する、請求項1に記載の方法。
  4. 前記工程(b)の終了時に、前記水相が前記有機相から分離される、請求項3に記載の方法。
  5. 前記植物油が、大豆油、オリーブ油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、ピーナッツ油、トウモロコシ油、ヤシ油、ジャトロファ油、クフェア油、高一価不飽和酸含量のアブラナ科からの油からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記油がヒマワリ油である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記油が高オレイン酸含量のヒマワリ油である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記油が、アビシニアンキャベツ、アビシニアガラシ、セイヨウアブラナ(コルツァ)、レスクェレラ、の油からなる群から選択されるアブラナ科からのものである、請求項5に記載の方法。
  9. 前記油が、アブラナ科からのものであり、高エルカ酸含量を有する、請求項8に記載の方法。
  10. 前記植物油中に含まれるトリグリセリドの前記不飽和脂肪酸が、9−テトラデセン酸(ミリストレイン酸)、9−ヘキサデセン酸(パルミトレイン酸)、9−オクタデセン酸(オレイン酸)、12−ヒドロキシ−9−オクタデセン酸(リシノール酸)、9−エイコセン酸(ガドレイン酸)、13−ドコセン酸(エルカ酸)、15−テトラコセン酸(ネルボン酸)、9,12−オクタデカジエン酸(リノール酸)及び9,12,15−オクタデカトリエン酸(リノレン酸)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  11. 前記不飽和脂肪酸が一価不飽和カルボン酸である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記不飽和脂肪酸が9−オクタデセン酸(オレイン酸)又は13−ドコセン酸(エルカ酸)である、請求項10に記載の方法。
  13. 工程(a)の前記触媒が、タングステン、モリブデン並びにそれらの酸及びアルカリ塩からなる群から選択され、前記不飽和脂肪酸に対して0.03モル%〜3モル%の間の量で存在する、請求項1に記載の方法。
  14. 前記触媒がタングステン酸又はリンタングステン酸である、請求項13に記載の方法。
  15. 工程(b)の前記触媒が、前記工程(b)の開始時に水溶液として加えられる、請求項1に記載の方法。
  16. 工程(b)の前記触媒が、前記ジオールに対して0.05モル%〜3モル%の間の量で存在し、前記触媒が、酢酸塩、塩化物、硫酸塩、臭化物及び硝酸塩を含む、コバルト又はマンガンの誘導体からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  17. 前記触媒が、酢酸コバルト、塩化コバルトであるか、又はそれがコバルトの誘導体の群に属し、5:1〜10:1の間のCo:Mnのモル比のマンガンをベースとする化合物との混合物である、請求項16に記載の方法。
  18. リン酸、塩酸、過塩酸又はそれらの混合物からなる群から選択される1以上の化合物が、工程(b)の前記触媒に加えられる、請求項1に記載の方法。
  19. 工程(a)の前記酸化剤が、30〜70重量%の間の濃度の過酸化水素の水溶液である、請求項1に記載の方法。
  20. 工程(b)の前記酸化剤が空気である、請求項1に記載の方法。
  21. 前記工程(a)及び前記工程(b)の反応温度が45〜95℃の間である、請求項1に記載の方法。
  22. 前記工程(a)が常圧で行われる、請求項1に記載の方法。
  23. 前記工程(b)が常圧より高い圧力で行われる、請求項1に記載の方法。
  24. 請求項1に記載の方法で得られる、1より多くの酸官能基を有する飽和カルボン酸のトリグリセリド。
  25. ポリマー、界面活性剤、潤滑剤、潤滑共調製剤及び医薬放出剤を製造するための中間体としての、請求項24に記載の飽和カルボン酸のトリグリセリドのそのまま、又は化学修飾された形態での使用。
  26. 1より多くの酸官能基を有する飽和カルボン酸の前記トリグリセリド(ii)を、グリセロール及び1より多くの酸官能基を有する飽和カルボン酸に加水分解する工程を含む、請求項1に記載の方法。
  27. 前記加水分解が、水、強酸性イオン交換樹脂又はリパーゼからなる群から選択される物質で行われる、請求項26に記載の方法。
  28. 1より多くの酸官能基を有する前記飽和カルボン酸が、アゼライン酸又はブラシル酸である、請求項26に記載の方法。
  29. ポリエステル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリウレタン、ポリエステル−ウレタンを製造するためのモノマーとしての、請求項24に記載のトリグリセリドの使用。
  30. 前記トリグリセリドが、トリグリセリド1モル当たり1.5〜2.5モルの酸性基を有する飽和カルボン酸を含む、請求項24に記載のトリグリセリドの使用。
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