JP2010523885A - ロータリーエンジン - Google Patents

Abstract

ロータリーエンジン（１）は、シリンダ（２６）内で行なわれる内燃を動力源として、ピストン（５０）を駆動する駆動出力シャフト（３０）と、固定歯車リング（８８）と歯合する逆回転駆動歯車（１０、１２）を担持するクランクシャフト（７０、８０）とを特徴とし、歯車（１０、１２）の回転は、ピストン（５０）およびシリンダ（２６）、歯車ケージ基部（３２）、歯車（１０、１２）、出力シャフト（３０）へと回転運動を伝達する。それぞれのクランクシャフト（７０、８０）上の歯車（１０、１２）の逆回転は、釣り合った動力伝達を提供する。

Description

（発明の分野）
本発明は、内燃エンジンに関し、より具体的には、ロータリーエンジンに分類されるエンジンに関する。

従来の内燃エンジンは、１つ以上のシリンダを使用し、それぞれ火花または圧縮を利用して誘発される燃料の燃焼による爆発力によって駆動されるピストンを往復運動させる。そのようにして産生される動力は、輸送において、例えば、自動車において使用するために、または他の機械類における定位使用のために、軸を駆動するか、あるいは実際に、例えば発電機の配備によってさらなる動力を産生するために使用される。

例えば、駆動軸上に搭載される１つ以上の特殊形状の回転子を使用し、燃料が燃焼され、回転子を旋回させて、軸を駆動する原動力を提供するＷａｎｋｅｌ Ｅｎｇｉｎｅ（ヴァンケルエンジン）等、このような動作方法を改変するための種々の提案がなされてきた。ロータリーエンジンの別の実施例は、第一次世界大戦中の初期軍用機の一部において使用されるものであって、クランクシャフト自体ではなく、ピストンケーシングがプロペラを駆動することを特徴としていた。他のロータリーエンジンは、オートバイおよび初期の道路車両において、プロトタイプ形態として試験された。主な生き残った種類のロータリーエンジンは、Ｗａｎｋｅｌ Ｅｎｇｉｎｅであって、今もＭａｚｄａ（登録商標）の自動車に商業的に利用されている。

ロータリーエンジンの利点は、従来の内燃エンジンと比べて強化された出力荷重比と、改良された平衡性である。しかしながら、コストは重要な要因であって、概して、市販のユニットでは、その複雑さが高生産費の負担を課して販売価格に反映される。

したがって、このような汎用型エンジンに付随する利点を提示しながらも、低製造コストであって、こうして、手頃な製品販売価格である、改良型ロータリーエンジンの必要性が存在する。

よって、本発明の全体的な目的は、改良型ロータリーエンジンを提供することである。

本発明のさらなる目的は、経済的な製造コストで独特の構成要素および動作要素を有し、魅力的かつ手頃な価格で消費者に利用可能な信頼性および効率性をもたらすエンジンを提案することである。

本発明のさらなる目的は、本質的にモジュール構造のロータリーエンジンを提供することであって、したがって、部品の交換の容易性および互換性を可能にする。加えて、モジュール構造は、伝動機構の設計および機能における多用途性を可能にする。

さらに、本発明の重要な目的は、強化された平衡性、低摩擦、および低騒音出力を備えるロータリーエンジンを提供することである。

本発明によると、ロータリーエンジンは、シリンダケーシングと、ケーシング内で軸方向に回転可能なシリンダと、シリンダの頂部とともに回転可能であって、それに添着されるシリンダヘッドと、シリンダヘッド内に提供される少なくとも１つの開口と、ケーシングに固定され、シリンダヘッドと整合し、関連ポートを提供する弁ブロックと、シリンダ内で往復運動可能なピストンと、それぞれ少なくとも１つのスローを有する少なくとも２つの逆回転可能なクランクシャフトと、対応するクランクシャフトの各スローおよびピストンに取設される接続ロッドと、シリンダに取設される歯車ケージ基部と、各クランクシャフトに対し剛性であって、反対方向回転のために基部内に回転可能に搭載されるピニオンと、ケーシングに取設される固定歯車リングと、歯車リングと歯合する各ピニオンと、歯車ケージ基部に接続される出力シャフトと、を特徴とする。

便宜的に、各ピニオンは、傘歯車の形態であって、固定歯車リングは、それに応じた傾斜歯である。

クランクケーシングは、弁ブロックから離れて、シリンダケーシングの端部に提供および取設され、シリンダケーシングは、クランクシャフトおよび歯車ケージを格納し、歯車リングは、シリンダケーシングとクランクケーシングとの間に挟着および固定され、その周辺におけるクランクケーシング内に延在する。

歯車ケージ基部は、クランクシャフトのそれぞれに提供される軸受レースと、出力シャフトのための接続部とを有する。

使用時、シリンダおよびピストンが、その縦軸を中心として回転すると、歯車がクランクシャフトによって旋回され、歯車が、固定歯車リングと歯合するように、歯車ケージ基部は、弁ブロックから離れて、シリンダの端部を形成する歯車ケージクレードルと結合する。

出力シャフトは、単に、歯車ケージ基部に接続されてもよく、または代替として遊星歯車アセンブリが、出力シャフトのために提供されてもよい。好適な軸受レースは、好ましくは、出力シャフトのための歯車ケージ基部内に提供される。

各クランクシャフトは、各スローに対して平衡錘を備えてもよい。

シリンダヘッドは、使用時、弁ブロック内の対応する入口および出口と逐次整合する好適な開口を備え、ブロックに対するシリンダの回転は、内燃エンジンが４行程または２行程であるかによって決定される適切な配列における整合をもたらす。

本発明の他の目的および利点は、添付の図面を適切に参照し、本明細書に提供される発明を実施するための形態を熟読することによって明白となるであろう。

本発明のさらなる側面および利点は、以下の図と関連する説明を参照することによって、さらに理解されるであろう（異なる図で使用される類似参照番号は、類似構成要素を示す）。
図１は、本発明の実施形態による、ロータリーエンジンの垂直断面図であって、そのシリンダ内の下死点におけるピストンを示す。 図２は、図１に対応する図であるが、上死点におけるピストンを示す。 図３は、図１および２に示されるロータリーエンジンの斜視外観図である。 図４は、下死点におけるピストンを備える、ロータリーエンジンの回転部の断面図である 図５は、下死点における２つのクランクシャフトの断面図である。 図６は、図５に類似する代替駆動軸の断面図である。 図７は、そのシリンダ内のピストンの中間行程における、クランクシャフト、接続ロッド、および駆動歯車の図である。 図８は、図９の線Ｂ−Ｂに沿った断面図である。 図９は、そのシリンダ内のピストンの中間行程における、接続ロッドを備えるピストンおよびクランクシャフトの図である 図１０は、中間行程における、ピストンおよびクランクアセンブリの斜視図である。 図１１は、弁配列の詳細図である。図１２の線Ａ−Ａに沿った図であって、シリンダヘッドの端部を示す。 図１２は、弁配列の詳細図である。弁ブロックアセンブリの図である。 図１３は、弁配列の詳細図である。弁配列およびシリンダの分解図である。 図１４は、弁配列の詳細図である。図１５の線Ｃ−Ｃに沿った吸気および排気弁配列の図である。 図１５は、弁配列の詳細図である。本発明に従って組み立てられたロータリーエンジンの図である。 図１６は、出力シャフトのための遊星歯車ボックスとともに組み立てられるエンジンの回転部すべての斜視図である。 図１７は、図１６に類似するが、図６の単純な出力シャフトの配列を備える図である。

添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を記載するが、例示目的であって、決して限定するものではない。

ここで、図１および２を参照すると、本発明の実施形態によるロータリーエンジンが、全体的に１として示され、冷却フィン８５を備える回転可能なシリンダ２６をその空洞内に収容するシリンダまたはエンジンケーシング２２を含み、この冷却フィンは、空洞内におけるシリンダ２６の円滑な回転運動を保証する滑り嵌めである。シリンダ２６は、後述されるように、好適な開口２８を有するシリンダヘッド２７を備える。

クランクケーシング２４は、シリンダケーシング２２に取設され、示されるように、その間に歯車リング８８を備え、出力シャフト３０のための出口ボールレース３１を提供する。

ヘッド２７から離れたその端部のシリンダ２６は、歯車ケージクレードル基部３２およびクランクシャフト外側支持部３６に取設する歯車ケージクレードル２９を形成し、軸受４４は、クレードル２９および基部３２の両方と、クランクシャフト７０、８０との間に提供される。図１および２では、遊星歯車ボックス４０は、軸受４４の範囲内の歯車ケージ基部３２に取設され、出力シャフト３０は、ボックスの他の歯車と歯合係合するために、その比較的内側の端に歯６０を有し、軸３０は、この歯車ボックス４０から延在する。他の実施形態では、例えば、図６に示されるように、動力の伝達のために、軸３０と歯車ケージ基部３３との間に機械継手等の単純な接続が成される。

ピストン５０は、図１に参照されるように、燃焼空間５１を画定するシリンダ２６内で往復運動可能である。ピストン５０は、２つの別個の逆回転クランクシャフト７０、８０上に担持されるそれぞれのスロー（ｔｈｒｏｗ）またはクランクピン４５、４７から延在する２つの接続ロッド４８、４９によって、ピストンピン５２の作用を介して担持される。軸７０、８０はそれぞれ、傘歯車ピニオン１０、１２を担持し、順に、シリンダケーシング２２とクランクケーシング２４との間に固定される傘歯車リング８８と歯合する。特に、図７および８に示されるように、軸７０、８０は、クランクシャフト支持部３６の軸受９０、９２内に担持され、また、軸受４４内に搭載される。

図９は、特に、接続ロッド４８、４９が個別に作用し、それぞれのクランクシャフト７０、８０に逆回転を伝達する様子を示す。また、本図は、中間行程位置にそのピストンを備えるエンジンを示し、接続ロッド４８、４９は、ピストン５０およびシリンダ２６の壁（本図では図示せず）からの側面荷重の大幅な低減を可能にする。

図１１から１５は、エンジン１の弁配列を成す３つの構成要素を示す。図１１は、その回転の間にシリンダ２６とともに回転する円盤形態のシリンダヘッド２７を示し、ヘッドは、シリンダケーシング２２の一端内に保持される固定弁ブロック７８内の適切な入口および出口ポートと逐次整合するように意図される開口２８を有する。弁ブロック７８は、少なくとも２つ（ディーゼル型エンジンの場合、１つは入口、１つは出口用）、典型的には、本明細書に示されるように、３つのポート（火花点火型エンジンの場合、１つは入口、１つは出口、１つは点火用）を含む。本実施形態は、４行程エンジンに関するが、開口２８の数を変更することによって、２行程エンジンも可能である。

図１３から１５では、より具体的には、図１３では、本発明の弁配列の分解図が示され、特に、包括的シールは、それぞれの入口および出口ポートの周囲と、その内側および外側周辺において、弁ブロック７８内に形成される対応する溝７１内に整合する、リング７２、７３、７５、および７６を備える。図示されないが、溝７１は、典型的には、波形または波状の板バネを備えるその基部内に提供され、弁ブロック７８とヘッド２７との間の適切かつ効果的なシールを形成するように、適切な圧力が付与されることを保証する。さらに、必要ではないが、図１３の図から分かるように、ブロック７８の溝７１内に効率的シーリングを可能にするように、シールは、切れ目を伴って提供される。使用時、ヘッド２７の機械加工表面と接触するのはリングシールであることが理解されるであろう。図１４から、シールリング７２、７３、７５、および７６は、シリンダヘッド２７に対して偏心しており、したがって、回転時、ヘッド２７内の開口２８が、常に囲まれ、シールリングは、常に、シリンダヘッド２７内の同一領域と接触しないことを保証することが分かるであろう。

動作時、本発明のロータリーエンジン１は、回転力を必要とするある種類の負荷に連結されるであろう。供給燃料は、例えば、気化器等の適切な燃料分配器を介して、弁ブロック７８に連結され、火花点火装置（図示せず）は、点火に必要な起爆を生じさせ、それによって、シリンダ２６内でピストン５０を縦方向に駆動させるために提供される。このように、クランクシャフト７０および８０は、接続ロッド４８および４９上のピクトンの推力によって、反対方向に同時に回転させられる。クランクシャフト７０および８０の回転は、逆回転する傘歯車１０、１２の回転を誘発し、静的傘歯車リング８８の歯合係合を介して、ピストン５０およびシリンダ２６は、他の可動部とともにシリンダ軸（図示せず）の周りを回転し、このようにして、歯車ケージクレードル２９および歯車ケージ基部３２は、出力シャフト３０を回転させ、使用負荷（図示せず）に駆動力を伝達する。接続ロッド４８、４９の逆回転は、平衡動力伝達を提供し、振動を最小にし、したがって、騒音の発生も最小にする。図４、５、および１６に示される全構成要素は、エンジン１の動作時に、シリンダ軸の周りを回転し、図６および１７の実施形態に対しても同様である。故に、燃料の経済性は、本明細書で開示される発明の構成によって得られる利点である。

他の実施形態（図示せず）では、シールリング７２、７３、７５、および７６は、ヘッド開口２８を囲む対応する溝と整合し、弁ブロック２８の機械加工表面とシーリング接触する、単一シールリングによって置換させられ得る。そのような実施形態では、部品が少なく、シーリングリングによって摩耗させられる場合、シリンダヘッド２７の代わりに、弁ブロック２８のみが交換される。

１つを上回るシリンダが提供され得る他の構成が採用可能であるが、しかしながら、単一シリンダによって達成される釣合い負荷は、維持されるべきであるであることを理解されたい。エンジンは、本質的にモジュール式であるため、このような一連のモジュールは、好適な配列で組み立てられ、任意の所与の状況で必要とされる動力を提供することができる。

本発明のロータリーエンジンについての特定の実施形態が記載されたが、当業者は、本発明の精神内において、多くの変更が成され得ることを認識するであろう。本明細書に提供される説明は、例示の目的のためだけに提供されるものであって、限定の目的のためのものではない。

Claims (15)

1. シリンダケーシング（２２）と、該ケーシング（２２）内で軸方向に回転可能なシリンダ（２６）と、該シリンダ（２６）の頂部とともに回転可能であって、それに添着されるシリンダヘッド（２７）と、該シリンダヘッド（２７）に提供される少なくとも１つの開口（２８）と、該ケーシング（２２）に固定され、該シリンダヘッド（２７）と整合して、関連ポートを提供する弁ブロック（７８）と、該シリンダ（２６）内で往復運動可能であるピストン（５０）と、各々少なくとも１つのスロー（４５、４７）を有する少なくとも２つの逆回転可能であるクランクシャフト（７０、８０）と、該対応するクランクシャフト（７０、８０）の各スロー（４５、４７）および該ピストン（５０）に取設される接続ロッド（４８、４９）と、該シリンダ（２６）に取設される歯車ケージ基部（３２）と、各クランクシャフト（７０、８０）に対して剛であって、反対の向きの回転のために該基部（３２）内に回転可能に搭載される歯車ピニオン（１０、１２）と、該ケーシング（２２）に取設される固定歯車リング（８８）と、該歯車リング（８８）と歯合する各歯車ピニオン（１０、１２）と、該歯車ケージ基部（３２）に接続される出力シャフト（３０）とを特徴とする、ロータリーエンジン（１）。
2. 各ピニオン（１０、１２）は、傘歯車の形態であって、前記固定歯車リング（８８）は、対応して傾斜していることを特徴とする、請求項１に記載のロータリーエンジン。
3. クランクケーシング（２４）は、前記弁ブロック（７８）から離れて、前記ケーシング（２２）に提供および取設されることを特徴とする、請求項１または２に記載のロータリーエンジン。
4. 前記歯車ケージ基部（３２）は、前記クランクシャフト（７０、８０）の各々に提供される軸受レース（４４）を有することを特徴とする、請求項１から３のいずれか一項に記載のロータリーエンジン。
5. 前記歯車ケージ基部（３２）は、前記出力シャフト（３０）のための接続部を備えることを特徴とする、請求項４に記載のロータリーエンジン。
6. 使用時に、前記シリンダ（２６）および前記ピストン（５０）が、その縦方向軸の周りを回転すると、前記歯車（１０、１２）が前記クランクシャフト（７０、８０）によって旋回させられ、該歯車（１０、１２）が、前記固定歯車リング（８８）と歯合するように、前記歯車ケージ基部（３２）は、前記弁ブロック（７８）から離れて、該シリンダ（２６）の端部を形成する歯車ケージクレードル（２９）と結合することを特徴とする、請求項４または５に記載のロータリーエンジン。
7. 前記出力シャフト（３０）は、単純な機械継手によって、前記歯車ケージ基部（３２）に接続されることを特徴とする、請求項４から６のいずれか一項に記載のロータリーエンジン。
8. 前記出力シャフト（３０）は、遊星歯車アセンブリ（４０）の作用を介して、前記歯車ケージ基部（３２）に接続されることを特徴とする、請求項４から６のいずれか一項に記載のロータリーエンジン。
9. 前記弁ブロック（７８）は、前記シリンダヘッド（２７）の開口（２８）との逐次整合のための少なくとも２つのポートを備えることを特徴とする、請求項１から８のいずれか一項に記載のロータリーエンジン。
10. 前記シリンダヘッド（２７）は、その中に形成される対応する溝内に受容するように適合されるシールリングを前記開口（２８）の周囲に備えることを特徴とする、請求項９に記載のロータリーエンジン。
11. 前記弁ブロック（７８）は、それの中に形成される対応する溝（７１）の中に受容するように適合されるシールリング（７５、７６）をそれの入口および出口ポートの周囲に備えることを特徴とする、請求項９に記載のロータリーエンジン。
12. 前記シールリング（７５、７６）は、前記シリンダヘッド（２７）に対して偏心していることを特徴とする、請求項１１に記載のロータリーエンジン。
13. 前記溝（７１）は、板バネを備えることを特徴とする、請求項１０、請求項１１、および請求項１２のいずれか一項に記載のロータリーエンジン。
14. 前記シリンダ（２６）は、その外部に冷却フィン（８５）を備えることを特徴とする、請求項１から１３のいずれか一項に記載のロータリーエンジン。
15. 前記エンジンは、火花点火エンジンであって、点火プラグが、前記シリンダ（２６）内の燃料の燃焼を誘発するために備えられていることを特徴とする、請求項１から１４のいずれか一項に記載のロータリーエンジン。

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