JP2010516694A - 新規な伝統的葉酸拮抗剤 - Google Patents
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Abstract
本発明は、式(I)
【化1】
(式中、Xが、CHR9またはNR9であり、Y1、Y2およびY3が、独立して、OまたはSであり、V1およびV2が、独立して、O、SまたはNZであり、Zが、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、またはアルカリールであり、R1およびR2が、独立して、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、またはアルカリールであり、R3が、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、任意に置換されるアルコキシ、ヒドロキシル、またはハロであり、R4、R5、R6、R7、RsおよびR9が、独立して、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、アシル、−C(O)−アルキル、−C(O)−アルケニル、または−C(O)−アルキニルである)の構造を有する葉酸拮抗化合物、並びにその製薬上許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物およびプロドラッグに関する。この化合物は、異常細胞増殖、炎症性疾患、喘息、および関節炎を含む複数の状態を治療する医薬組成物および方法に有用である。
【化1】
(式中、Xが、CHR9またはNR9であり、Y1、Y2およびY3が、独立して、OまたはSであり、V1およびV2が、独立して、O、SまたはNZであり、Zが、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、またはアルカリールであり、R1およびR2が、独立して、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、またはアルカリールであり、R3が、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、任意に置換されるアルコキシ、ヒドロキシル、またはハロであり、R4、R5、R6、R7、RsおよびR9が、独立して、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、アシル、−C(O)−アルキル、−C(O)−アルケニル、または−C(O)−アルキニルである)の構造を有する葉酸拮抗化合物、並びにその製薬上許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物およびプロドラッグに関する。この化合物は、異常細胞増殖、炎症性疾患、喘息、および関節炎を含む複数の状態を治療する医薬組成物および方法に有用である。
Description
本出願は、薬学的に活性な化合物に関し、より詳細には、新規な伝統的葉酸拮抗化合物に関する。
葉酸は、その系統名N−[4(2−アミノ−4−ヒドロキシ−プテリジン−6−イルメチルアミノ)−ベンゾイル]−L(+)−グルタミン酸により公知の水溶性ビタミンBであり、下の式(1)中に規定される構造を有する。
式(1)に見られるように、葉酸構造は、一般に、プテリジン環、パラ−アミノ安息香酸部分、およびグルタミン酸部分から形成されると説明することができる。葉酸およびその誘導体は、特に身体のチミジル酸、アミノ酸、およびプリンの合成に関与する、代謝および成長に必要である。葉酸の誘導体、例えば天然に存在する葉酸塩などは、葉酸に匹敵する生化学的作用を有することが知られている。葉酸は、例えば1,4−ジアジン環などでの水素化により誘導体化されることが知られており、あるいは、メチル化、ホルムアルデヒジル化(formaldehydylated)、または架橋され、この際、置換は一般にN5またはN10位で起こる。葉酸塩は、先天性欠損症、心疾患、卒中、記憶喪失、および加齢性認知症の重篤度または罹患率の低下を含む、様々な使用における有効性が研究されている。
葉酸塩などの葉酸拮抗化合物は、構造的に葉酸に類似している.しかし、葉酸拮抗化合物は、葉酸代謝を妨害する働きをする。葉酸拮抗剤の概説は、参照により本明細書に援用される、Takamoto(1996)The Oncologist,1:68−81に記載されている。一つの具体的な葉酸拮抗剤の群、いわゆる「従来型の葉酸拮抗剤」は、葉酸p−アミノベンゾイルグルタミン酸側鎖、またはその側鎖の誘導体の存在により特徴づけられる。もう一つの葉酸拮抗剤の群、いわゆる「非従来型の葉酸拮抗剤」は、p−アミノベンゾイルグルタミン基の固有の不在により特徴づけられる。葉酸拮抗剤は、葉酸の作用とは反対の生理学的作用を有するので、葉酸拮抗剤は、有用な生理学的機能、例えばアポトーシスを引き起こすことにより癌細胞を破壊する能力などを提示することが示されている。
葉酸のモノグルタミル酸塩(Folate monoglutamylates)および葉酸拮抗剤のモノグルタミル酸塩(antifolate monoglutamylates)は、それぞれの形態に特異的なキャリアにより、還元型または非還元型のいずれかで細胞膜を通過して輸送される。これらの輸送系の発現は、細胞種および細胞増殖条件によって変化する。細胞に進入後、大部分の葉酸塩、および多くの葉酸拮抗剤は、ポリグルタミル化により修飾され、この際、1つのグルタミン酸残基は、ペプチド結合を介してαカルボキシ基で第2のグルタミン酸残基に結合する。これにより、通常、3〜6個のグルタミン酸残基の添加による、ポリ−L−γ−グルタミル酸の形成がもたらされる。葉酸塩で働く酵素は、ポリグルタミル化した形態に対して高い親和性を有する。したがって、ポリグルタミル化した葉酸塩は、一般に細胞内でより長い保持時間を示す。
無傷の葉酸酵素経路は、DNAのビルディングブロック、ならびに多くの重要なアミノ酸のデノボ合成を維持するために重要である。葉酸拮抗剤の標的としては、葉酸代謝に関与する様々な酵素が挙げられ、それには、(i)ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)、(ii)チミジル酸シンターゼ(TS)、(iii)ホリルポリグルタミンン酸(folylpolyglutamyl)シンターゼ、および(iv)グリシンアミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼ(glycinamide ribonucleotide transformylase)(GARFT)およびアミノイミダゾールカルボキサミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼ(aminoimidazole carboxamide ribonucleotide transformylase)(AICART)が含まれる。
膜貫通糖タンパク質である、還元型葉酸キャリア(RFC)は、(受容体に媒介される機構とは対照的に)キャリアに媒介される機構を介して還元された葉酸塩を哺乳類細胞の中に輸送する葉酸経路において積極的な役割を果たす。RFCはまた、葉酸拮抗剤、例えばメトトレキサートなどを輸送する。したがって、RFCの機能する能力を媒介することは、細胞の還元された葉酸塩を取り込む能力に影響を及ぼし得る。
ポリグルタミル化した葉酸は、酵素補因子として機能することができ、一方、ポリグルタミル化した葉酸拮抗剤は、一般に、酵素阻害剤として機能する。さらに、葉酸代謝の妨害は、DNAおよび一部のアミノ酸のデノボ合成を阻止し、それにより葉酸拮抗剤選択的な細胞障害性を可能にする。メトトレキサート(その構造は式(2)に示される)は、癌治療、特に急性白血病、非ホジキンリンパ腫、乳癌、頭頸部癌、絨毛癌、骨原性肉腫、および膀胱癌の治療における使用が示されている1つの葉酸拮抗剤である。
参照により本明細書に援用される、Nair et al.(J.Med.Chem.(1991)34:222−227)は、従来型の葉酸拮抗剤のポリグルタミル化が抗腫瘍活性に必要でなく、ポリグルタミル化が薬剤の薬理活性および標的特異性の喪失を引き起こし得るという点で望ましくない可能性さえもあることを実証した。これに、多数のポリグルタミル化不可能な(nonpolyglutamylatable)従来型の葉酸拮抗剤の発見が続いた。参照により本明細書に援用される、Nair et al.(1998)Proc.Amer.Assoc.Cancer Research 39:431を参照のこと。ポリグルタミル化不可能な葉酸拮抗剤の1つの特定の群は、グルタミン酸部分の4位のメチリデン基(すなわち、=CH2置換基)により特徴づけられる。この化学基の存在は、葉酸拮抗化合物の生物活性に影響を及ぼすことが示されている。参照により本明細書に援用されるNair et al.(1996)Cellular Pharmacology 3:29を参照のこと。
さらなる葉酸誘導体も、より少ない用量および患者へのより低い投与頻度を可能にする、代謝安定性の増加した葉酸拮抗剤の探求において研究されている。例えば、ジデアザ(すなわちキナゾリン系の)類似体は、プテリジン環系での生理学的水酸化を回避することが示されている。さらに、第二級アミン窒素原子を、任意に置換される炭素原子で置換することは、生理学的切断から隣接する結合を保護することが示されている。
二級アミン窒素の炭素の置換を有する葉酸拮抗剤の一例は、4−アミノ−4−デオキシ−10−デアザプテロイル(deazapteroyl)−γ−メチレングルタミン酸(より一般的にはMDAMと称される)であり、その構造は式(3)に示される。
MDAMのL−鏡像異性体は、増加した生理活性を提示することが示されている。参照により本明細書に援用される、米国特許第5,550,128号を参照のこと。代謝安定性のために設計された従来型の葉酸拮抗剤のもう一つの例は、ZD1694であり、式(4)に示される。
式(5)に示される構造の一群の葉酸拮抗化合物は、上記の分子の特徴のいくつかを組み合わせ、この化合物の群は、Mobile Trexate、Mobile Trex、Mobiltrex、またはM−Trexの名前で公知である。
式(5)に示されるように、M−Trexは、Xが、CH2、CHCH3、CH(CH2CH3)、NH、またはNCH3であってよい、一群の化合物を包含する。参照により本明細書に援用される、米国特許第5,912,251号に開示されるように、X=CH2であるM−TREX種は、異常細胞増殖、炎症性疾患および自己免疫疾患の治療のための活性を示している。この化合物は、式(6)に示され、様々な名前で公知であり、それには以下のものが含まれる:2−{4−[2−(2,4−ジアミノ−キナゾリン−6−イル)−エチル]−ベンゾイルアミノ}−4−メチリデン−ペンタン二酸、γメチレングルタミン酸5,8,10−トリデアザアミノプテリン、および5,8−ジデアザMDAM。式(6)の化合物は、ポリグルタミル化不可能で、ヒドロキシル化不可能であり(non−hydroxylatable)、葉酸代謝を妨害することができる。この化合物はまた、治療上関連する濃度で培養中の多数のヒト白血病細胞およびヒト固形腫瘍細胞を死滅させる際に有効性を示し、喘息の動物モデルにおいて抗炎症剤としての活性をさらに示す。
葉酸拮抗剤の医薬化合物としての有効性は、上記のように、代謝不活性に加えてその他の要素に起因する。身体内の葉酸代謝に関与する酵素が複数であることにより、葉酸拮抗剤の阻害標的の選択が提示される。言い換えれば、葉酸拮抗剤をそれらの阻害する酵素(1または複数)について変化させることができる。例えば、一部の葉酸拮抗剤は主にジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)阻害するのに対し、その他の葉酸拮抗剤は主にチミジル酸シンターゼ(TS)、グリシンアミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼ(GARFT)、またはアミノイミダゾールカルボキサミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼを阻害し、さらにその他の葉酸拮抗剤は、これらの酵素の組合せを阻害する。この酵素による阻害の「選択」は、図1に図解される。
葉酸拮抗剤は、それらの有効性および特異性の点で実質的に変動し得る。さらに、葉酸拮抗剤の改良、例えば毒性レベルの低下、保存期間の増加、および身体内の標的部位への送達しやすさなど、に対して継続的必要性が存在する。各々の実際の化合物を試験するよりも前に生理学的特性の全部の範囲を確実に予測することは困難であるので、葉酸拮抗剤の設計における改良に対する必要性も残っている。
本発明は、改良された特性をもつ新規な従来型の葉酸拮抗化合物を提供する。本発明はまた、かかる化合物を含む医薬組成物およびかかる化合物を合成するための方法を提供する。本発明はさらに、限定されるものではないが、異常細胞増殖、喘息およびその他の炎症性疾患、ならびに関節リウマチおよびその他の自己免疫疾患を含む、様々な状態および疾患のための治療の方法を提供する。
一実施形態では、本発明は、式(7)
(式中、
Xは、CHR9またはNR9であり、
Y1、Y2およびY3は、独立して、OまたはSであり、
V1およびV2は、独立して、O、S、またはNZであり、
Zは、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、またはアルカリールであり、
R1およびR2は、独立して、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、またはアルカリールであり、
R3は、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、任意に置換されるアルコキシ、ヒドロキシル、またはハロであり、
R4、R5、R6、R7、R8、およびR9は、独立して、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、アシル、−C(O)−アルキル、−C(O)−アルケニル、または−C(O)−アルキニルである)
に示される構造を有する新規な従来型の葉酸拮抗化合物、ならびにその製薬上許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物、鏡像異性体、およびプロドラッグに関する。
Xは、CHR9またはNR9であり、
Y1、Y2およびY3は、独立して、OまたはSであり、
V1およびV2は、独立して、O、S、またはNZであり、
Zは、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、またはアルカリールであり、
R1およびR2は、独立して、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、またはアルカリールであり、
R3は、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、任意に置換されるアルコキシ、ヒドロキシル、またはハロであり、
R4、R5、R6、R7、R8、およびR9は、独立して、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、アシル、−C(O)−アルキル、−C(O)−アルケニル、または−C(O)−アルキニルである)
に示される構造を有する新規な従来型の葉酸拮抗化合物、ならびにその製薬上許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物、鏡像異性体、およびプロドラッグに関する。
特定の実施形態では、本発明に従って提供される化合物は、実質的にグルタミン酸部分である末端を有する。例えば、化合物は、式(8)
(式中、
Xは、CHR9またはNR9であり、
R3は、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、任意に置換されるアルコキシ、ヒドロキシル、またはハロであり、
R4、R5、R6、R7、R8、およびR9は、独立して、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、アシル、−C(O)−アルキル、−C(O)−アルケニル、または−C(O)−アルキニル)を有するものであり、ならびにその製薬上許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物、鏡像異性体、またはプロドラッグでもよい。
Xは、CHR9またはNR9であり、
R3は、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、任意に置換されるアルコキシ、ヒドロキシル、またはハロであり、
R4、R5、R6、R7、R8、およびR9は、独立して、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、アシル、−C(O)−アルキル、−C(O)−アルケニル、または−C(O)−アルキニル)を有するものであり、ならびにその製薬上許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物、鏡像異性体、またはプロドラッグでもよい。
さらなる実施形態では、本発明に従って提供される化合物は、実質的にジアミノ−ピロロピリミジン部分である末端を有する。例えば、化合物は、式(10)
(式中、
Xは、CHR9またはNR9であり、
Y1、Y2、およびY3は、独立して、OまたはSであり、
V1およびV2は、独立して、O、S、またはNZであり、
Zは、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、またはアルカリールであり、
R1およびR2は、独立して、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、またはアルカリールであり、
R3は、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、任意に置換されるアルコキシ、ヒドロキシル、またはハロであり、
R9は、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、アシル、−C(O)−アルキル、−C(O)−アルケニル、または−C(O)−アルキニルである)を有するものであり、並びにその製薬上許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物、鏡像異性体、またはプロドラッグでもよい。
Xは、CHR9またはNR9であり、
Y1、Y2、およびY3は、独立して、OまたはSであり、
V1およびV2は、独立して、O、S、またはNZであり、
Zは、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、またはアルカリールであり、
R1およびR2は、独立して、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、またはアルカリールであり、
R3は、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、任意に置換されるアルコキシ、ヒドロキシル、またはハロであり、
R9は、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、アシル、−C(O)−アルキル、−C(O)−アルケニル、または−C(O)−アルキニルである)を有するものであり、並びにその製薬上許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物、鏡像異性体、またはプロドラッグでもよい。
一実施形態では、本発明は、式(11)
の化合物、またはその製薬上許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物、鏡像異性体、若しくはプロドラッグを提供する。
具体的な実施形態では、新規な葉酸拮抗化合物は、製薬上許容される塩の形態である。特に、化合物はアルカリ金属塩の形態であってよい。具体的な一実施形態では、本発明は、その二ナトリウム塩、または鏡像異性体の形態である、式(12)の葉酸拮抗化合物に関する。
その他の実施形態によれば、本発明は、本明細書に開示される1以上の化合物を含む医薬組成物に関する。例えば、本発明は、式(7)の化合物を含む医薬組成物を提供する。特定の実施形態では、本発明は、XがCH2であり、Y1、Y2、およびY3がOであり、V1およびV2がOであり、R1およびR2がHであり、R3がHであり、R4がHであり、R5がHであり、R6がHであり、R7がHであり、かつ、R8がHである、式(7)の化合物を含む医薬組成物を提供する。さらにその他の実施形態では、本発明の医薬組成物は、製薬上許容される塩、例えばアルカリ金属塩、特に二ナトリウム塩などの形態の、本明細書に記載される化合物を含む。さらなる実施形態では、本発明は、本明細書に記載される1以上の化合物を1以上のさらなる有効成分と組み合せて含む医薬組成物を提供する。
本発明は、さらに、本発明に係る1以上の化合物を、単独で、または1以上のさらなる有効成分と組み合せて投与することを含む、様々な治療方法を提供する。特定の実施形態では、本発明は、異常細胞増殖、炎症、関節炎、および喘息などの状態を治療するための方法を提供する。したがって、本発明は、異常細胞増殖、炎症、喘息、および関節炎からなる群から選択される状態を治療するための方法を提供し、該方法は、治療を必要とする被験体に、異常細胞増殖、炎症、喘息、または関節炎を治療するために治療上有効な、本発明に係る化合物の量を投与することを含む。
これまで、本発明を一般用語で説明してきたが、以下では添付の図面を参照した説明を行う。この図面は必ずしも縮尺通り描かれていないことに注意されたい。
以下、様々な実施形態を参照することにより、本発明をより完全に説明する。これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であるように提供され、本発明の範囲を当業者に完全に伝えるものである。確かに、本発明は多くの異なる形態で具体化されてよく、本明細書に示される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用される法的必要条件を満足するように提供される。本明細書、および添付される特許請求の範囲で用いられる、単数形の対象には、文脈上明らかに指示されている場合を除いて、複数の対象が含まれる。
本発明は、新規な従来型の葉酸拮抗剤およびその調製方法を提供する。これらの新規な化合物は、直接に、またはそれらの薬学的に活性なエステル、アミド、塩、溶媒和物、またはプロドラッグの形態で、医薬組成物中で用いることができる。新規な化合物は、多数の状態および疾患の治療、特に異常細胞増殖、炎症、関節炎、または喘息の治療に有用である。
(I.定義)
用語「代謝的に不活性の葉酸拮抗剤」とは、本明細書において、(i)葉酸代謝を妨害することのできる葉酸類似体および(ii)ポリグルタミル化不可能な化合物を意味する。特定の実施形態では、この用語は、(iii)ヒドロキシル化も不可能な(non−hydroxylatable)化合物を意味し得る。
用語「代謝的に不活性の葉酸拮抗剤」とは、本明細書において、(i)葉酸代謝を妨害することのできる葉酸類似体および(ii)ポリグルタミル化不可能な化合物を意味する。特定の実施形態では、この用語は、(iii)ヒドロキシル化も不可能な(non−hydroxylatable)化合物を意味し得る。
用語「アルカリ金属」とは、本明細書において、IA族元素を意味し、特にナトリウム、リチウム、およびカリウムが含まれる。用語「アルカリ金属塩」とは、本明細書において、該化合物のカチオン部分がアルカリ金属、特に、ナトリウム、リチウム、またはカリウムを含む、イオン化合物を意味する。
用語「アルキル」とは、本明細書において、線状、分枝状、または環状の飽和炭化水素基を意味する。特定の実施形態では、アルキルとは、1〜10個の炭素原子を含む基(「C1-10アルキル」)をさす。さらなる実施形態では、アルキルとは、1〜8個の炭素原子(「C1-8アルキル」)、1〜6個の炭素原子(「C1-6アルキル」)、または1〜4個の炭素原子(「C1-4アルキル」)を含む基をさす。具体的な実施形態では、アルキルとは、メチル、トリフルオロメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、3−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチル(dimethybutyl)、および2,3−ジメチルブチルをさす。置換アルキルとは、ハロ(例えば、Cl、F、Br、およびI)、ハロゲン化アルキル(例えば、CF3、2−Br−エチル、CH2F、CH2Cl、CH2CF3、またはCF2CF3、ヒドロキシル、アミノ、カルボン酸塩、カルボキサミド、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、アジド、シアノ、チオ、スルホン酸、硫酸塩、ホスホン酸、リン酸塩、およびホスホン酸塩からなる群から選択される1以上の部分で置換されているアルキルをさす。
用語「アルケニル」とは、本明細書において、少なくとも1つの飽和C−C結合が二重結合で置換されているアルキル部分を意味する。特定の実施形態では、アルケニルとは、1〜10個の炭素原子を含む基(「C1-10アルケニル」)をさす。さらなる実施形態では、アルキルとは、1〜8個の炭素原子(「C1-8アルケニル」)、1〜6個の炭素原子(「C1-6アルケニル」)、または1〜4個の炭素原子(「C1-4アルケニル」)を含む基をさす。具体的な実施形態では、アルケニルは、ビニル、アリル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、または5−ヘキセニルであってよい。
用語「アルキニル」とは、本明細書において、少なくとも1つの飽和C−C結合が三重結合で置換されているアルキル部分を意味する。特定の実施形態では、アルキニルとは、1〜10個の炭素原子を含む基(「C1-10アルキニル」)をさす。さらなる実施形態では、アルキルとは、1〜8個の炭素原子(「C1-8アルキニル」)、1〜6個の炭素原子(「C1-6アルキニル」)、または1〜4個の炭素原子(「C1-4アルキニル」)を含む基をさす。具体的な実施形態では、アルキニルは、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、または5−ヘキシニルであってよい。
用語「アルコキシ」とは、本明細書において、アルキルが上記の通りである、酸素原子に結合した直鎖または分枝鎖アルキル基(すなわち、−O−アルキル)を意味する。特定の実施形態では、アルコキシとは、1〜10個の炭素原子を含む酸素結合基(「C1-10アルコキシ」)をさす。さらなる実施形態では、アルコキシとは、1〜8個の炭素原子(「C1-8アルコキシ」)、1〜6個の炭素原子(「C1-6アルコキシ」)、または1〜4個の炭素原子(「C1-4アルコキシ」)を含む酸素結合基をさす。
用語「ハロ」または「ハロゲン」とは、本明細書において、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味する。
用語「アリール」とは、本明細書において、各々の環に最大8個の環員をもつ安定な単環、二環、または三環の炭素環を意味し、この際、少なくとも1つの環が、ヒュッケルの4n+2則により規定される芳香族である。例示的な本発明に係るアリール基には、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、およびビフェニルが含まれる。アリール基は、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、硫酸塩、ホスホン酸、リン酸塩、またはホスホン酸塩からなる群から選択される1以上の部分で置換されてよい。
用語「アラルキル」および「アリールアルキル」とは、本明細書において、上記定義のアルキル基を通じて分子に結合される上記定義のアリール基を意味する。
用語「アルカリール」および「アルキルアリール」とは、本明細書において、上記定義のアリール基を通じて分子に結合される上記定義のアルキル基を意味する。
用語「アシル」とは、本明細書において、エステル基の非カルボニル部分が、線状、分枝状、または環状のアルキルまたは低級アルキル、メトキシメチルを含むアルコキシアルキル、ベンジルを含むアラルキル、フェノキシメチルなどのアリールオキシアルキル、所望により、ハロゲン、C1-C6アルキルまたはC1-C6アルコキシで置換されているフェニルを含むアリール、メタンスルホニルを含むアルキルまたはアラルキルスルホニルなどのスルホン酸エステル、モノ−、ジ−、またはトリリン酸エステル、トリチルまたはモノメトキシトリチル、置換ベンジル、ジメチル−t−ブチルシリルまたはジフェニルメチルシリルなどのトリアルキルシリルから選択されるカルボン酸エステルを意味する。エステル中のアリール基は所望によりフェニル基を含む。
用語「アミノ」とは、本明細書において、構造NR2により表される部分を意味し、アルキルで置換されている第一級アミン、ならびに第二級および第三級アミン(すなわちアルキルアミノ)が含まれる。したがって、R2は、2つの水素原子、2つのアルキル部分、または1つの水素原子と1つのアルキル部分を表し得る。
用語「アルキルアミノ」および「アリールアミノ」とは、本明細書において、それぞれ、1または2つのアルキルもしくはアリール置換基を有するアミノ基を意味する。
用語「類似体」とは、本明細書において、1以上の個々の原子または官能基が、異なる原子または異なる官能基のいずれかで置換され、一般に同じ特性をもつ化合物を生じる、化合物を意味する。
用語「誘導体」とは、本明細書において、同様の開始化合物から、別の分子または原子を該開始化合物に結合させることにより形成される化合物を意味する。さらに、本発明に係る誘導体は、前駆体化合物から、1以上の原子または分子の付加によって、または2以上の前駆体化合物を合することによって、形成された1以上の化合物を包含する。
用語「プロドラッグ」とは、本明細書において、哺乳類に投与される場合に、全体または一部において本発明の化合物に変換される任意の化合物を意味する。
用語「活性代謝物」とは、本明細書において、かかる化合物またはプロドラッグが哺乳類に投与される場合に、本発明の化合物またはそのプロドラッグの代謝の結果生じる生理活性化合物を意味する。
用語「治療上有効な量」または「治療上有効量」は、本明細書において置き換え可能であり、本明細書に記載される治療方法に従う所望の治療効果を引き出すために十分な、本発明に係る化合物、またはその生物活性変異体の濃度を意味する。
用語「製薬上許容されるキャリア」とは、本明細書において、生物活性剤の保存、投与、および/または治癒効果を促進するために従来当分野で使用されるキャリアを意味する。
用語「間欠投与」とは、本明細書において、治療上有効量の本発明に係る組成物の投与、その後に中断期間が続き、次に別の治療上有効量の投与が続く、というような投与を意味する。
用語「抗増殖性薬剤」とは、本明細書において、細胞の過剰増殖を低下させる化合物を意味する。
用語「異常細胞増殖」とは、本明細書において、その疾患または状態に罹っていない個体におけるその1または複数の細胞種の増殖と比較して、1以上の細胞種の不適切な増殖または増大を特徴とする疾患または状態を意味する。
用語「癌」とは、本明細書において、局所的にまたは血流およびリンパ系を通じて身体のその他の部位に伝播し得る、制御されていない細胞の異常増殖を特徴とする疾患または状態を意味する。この用語には、腫瘍形成癌と非腫瘍形成癌の両方が含まれ、様々な種類の癌、例えば原発腫瘍および腫瘍転移などが含まれる。
用語「腫瘍」とは、本明細書において、制御されていない進行性の過剰な細胞分裂の結果生じる、多細胞生物の内部の細胞の異常な塊を意味し、新生物とも称される。腫瘍は良性であっても悪性であってもよい。
用語「線維性疾患」とは、本明細書において、線維症および、全体または一部において線維芽細胞の増殖の結果生じる、その他の医学的な線維症の合併症を意味する。
用語「関節炎」とは、本明細書において、感染性、自己免疫性、または外傷性起源であってよい、関節を冒す炎症性疾患を意味する。
(II.化合物)
本発明の化合物は、代謝的に不活性の葉酸拮抗剤を含む。当分野で認識されているように、葉酸拮抗剤は葉酸代謝の様々な段階を妨害する化合物である。したがって、本発明の化合物は、葉酸代謝の妨害に関連する、あるいは葉酸代謝の妨害により治療可能である、疾患および状態、またはその他の葉酸代謝に関連する生物学的機構の治療に有用な医薬品において特に使用することができる。
本発明の化合物は、代謝的に不活性の葉酸拮抗剤を含む。当分野で認識されているように、葉酸拮抗剤は葉酸代謝の様々な段階を妨害する化合物である。したがって、本発明の化合物は、葉酸代謝の妨害に関連する、あるいは葉酸代謝の妨害により治療可能である、疾患および状態、またはその他の葉酸代謝に関連する生物学的機構の治療に有用な医薬品において特に使用することができる。
一実施形態では、本発明の新規な化合物は、式(7)
(式中、
Xは、CHR9またはNR9であり、
Y1、Y2、およびY3は、独立して、OまたはSであり、
V1およびV2は、独立して、O、S、またはNZであり、
Zは、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、またはアルカリールであり、
R1およびR2は、独立して、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、またはアルカリールであり、
R3は、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、任意に置換されるアルコキシ、ヒドロキシル、またはハロであり、かつ
R4、R5、R6、R7、R8、およびR9は、独立して、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、アシル、−C(O)−アルキル、−C(O)−アルケニル、または−C(O)−アルキニルである)に示される構造を有する化合物、ならびにその製薬上許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物、およびプロドラッグを含む。
Xは、CHR9またはNR9であり、
Y1、Y2、およびY3は、独立して、OまたはSであり、
V1およびV2は、独立して、O、S、またはNZであり、
Zは、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、またはアルカリールであり、
R1およびR2は、独立して、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、またはアルカリールであり、
R3は、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、任意に置換されるアルコキシ、ヒドロキシル、またはハロであり、かつ
R4、R5、R6、R7、R8、およびR9は、独立して、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、アシル、−C(O)−アルキル、−C(O)−アルケニル、または−C(O)−アルキニルである)に示される構造を有する化合物、ならびにその製薬上許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物、およびプロドラッグを含む。
もう一つの実施形態では、本発明の新規な化合物は、式(8)
(式中、
Xは、CHR9またはNR9であり、
R3は、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、任意に置換されるアルコキシ、ヒドロキシル、またはハロであり、かつ
R4、R5、R6、R7、R8、およびR9は、独立して、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、アシル、−C(O)−アルキル、−C(O)−アルケニル、または−C(O)−アルキニルである)に示される構造を有する化合物、ならびにその製薬上許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物、およびプロドラッグを含む。
Xは、CHR9またはNR9であり、
R3は、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、任意に置換されるアルコキシ、ヒドロキシル、またはハロであり、かつ
R4、R5、R6、R7、R8、およびR9は、独立して、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、アシル、−C(O)−アルキル、−C(O)−アルケニル、または−C(O)−アルキニルである)に示される構造を有する化合物、ならびにその製薬上許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物、およびプロドラッグを含む。
さらなるもう一つの実施形態では、本発明の新規な化合物は、式(8)
(式中、
Y1、Y2、およびY3は、独立して、OまたはSであり、
V1およびV2は、独立して、O、S、またはNZであり、
Zは、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、またはアルカリールであり、
R1およびR2は、独立して、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、またはアルカリールであり、かつ
R4、R5、R6、R7、およびR8は、独立して、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、アシル、−C(O)−アルキル、−C(O)−アルケニル、または−C(O)−アルキニルである)に示される構造を有する化合物、ならびにその製薬上許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物、およびプロドラッグを含む。
Y1、Y2、およびY3は、独立して、OまたはSであり、
V1およびV2は、独立して、O、S、またはNZであり、
Zは、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、またはアルカリールであり、
R1およびR2は、独立して、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、またはアルカリールであり、かつ
R4、R5、R6、R7、およびR8は、独立して、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、アシル、−C(O)−アルキル、−C(O)−アルケニル、または−C(O)−アルキニルである)に示される構造を有する化合物、ならびにその製薬上許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物、およびプロドラッグを含む。
さらにもう一つの実施形態では、本発明の新規な化合物は、式(10)
(式中、
Xは、CHR9またはNR9であり、
Y1、Y2、およびY3は、独立して、OまたはSであり、
V1およびV2は、独立して、O、S、またはNZであり、
Zは、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、またはアルカリールであり、
R1およびR2は、独立して、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、またはアルカリールであり、
R3は、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、任意に置換されるアルコキシ、ヒドロキシル、またはハロであり、かつ
R9は、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、アシル、−C(O)−アルキル、−C(O)−アルケニル、または−C(O)−アルキニルである)に示される構造を有する化合物ならびにその製薬上許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物、およびプロドラッグを含む。
Xは、CHR9またはNR9であり、
Y1、Y2、およびY3は、独立して、OまたはSであり、
V1およびV2は、独立して、O、S、またはNZであり、
Zは、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、またはアルカリールであり、
R1およびR2は、独立して、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、またはアルカリールであり、
R3は、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、任意に置換されるアルコキシ、ヒドロキシル、またはハロであり、かつ
R9は、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、アシル、−C(O)−アルキル、−C(O)−アルケニル、または−C(O)−アルキニルである)に示される構造を有する化合物ならびにその製薬上許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物、およびプロドラッグを含む。
式(7)〜(10)に関して、Xの好ましい例としては、−CH2−、−NH−、−CH(C1-6アルキル)−、−N(C1-6アルキル)−、−CH(C(O)−C1-6アルキル)−、および−N(C(O)−C1-6アルキル)−が挙げられる。Zの好ましい例としては、HおよびC1-6アルキルが挙げられる、R1およびR2の好ましい例としては、独立して、HおよびC1-6アルキルが挙げられる、R3の好ましい例としては、H、C1-6アルキル、ヒドロキシル、およびハロが挙げられる、さらに、R4、R5、R6、R7、R8、およびR9の好ましい例としては、独立して、H、C1-6アルキル、および−C(O)−C1-6アルキルが挙げられ、この際、各々のC1-6アルキルは、所望により1以上のハロ(例えば、Cl、F、Br、およびI)、ハロゲン化アルキル(例えば、CF3、2−Br−エチル、CH2F、CH2Cl、CH2CF3、またはCF2CF3、ヒドロキシル、アミノ、カルボン酸塩、カルボキサミド、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、アジド、シアノ、チオ、スルホン酸、硫酸塩、ホスホン酸、リン酸塩、およびホスホン酸塩で置換されていてよい。
特定の一実施形態では、本発明は、本明細書においてCHL−003と称され得る、式(11)に示される構造を有する、新規な従来型の葉酸拮抗化合物を提供する。式(11)中のアスタリスクはキラル原子を示す。下により十分に説明されるように、キラリティーのこのポイントは、化合物の鏡像異性的に精製された形態の調製のための焦点であってよい。鏡像異性的に精製された形態が具体的に識別されないときは、化合物はラセミ体であると予期されるであろう。
葉酸拮抗化合物を合成するための多様なプロセスは、米国特許第4,996,207号、米国特許第5,550,128号、米国特許第5,593,999号、Abraham et al.(1991) J.Med.Chem.34:222−227、およびRosowsky et al.(1991) J.Med.Chem.34:203−208に開示され、その全ては参照により本明細書に援用される。合成法の一つの例として、式(11)の化合物は、Xがハロゲンである、下に示される反応スキームIに従って調製することができる。
反応スキームI
反応スキームI
(III.生物活性変異体)
上記に示す化合物の生物活性変異体も、特に本発明に包含される。かかる変異体は、元の化合物の一般的な生物活性を保持するはずである。しかし、さらなる活性の存在も、本発明におけるその使用を必ずしも制限しない。かかる活性は、一般にかかる活性を識別するために有用であるとして当業者が認識できる標準的な試験法および生物検定法を用いて評価することができる。
上記に示す化合物の生物活性変異体も、特に本発明に包含される。かかる変異体は、元の化合物の一般的な生物活性を保持するはずである。しかし、さらなる活性の存在も、本発明におけるその使用を必ずしも制限しない。かかる活性は、一般にかかる活性を識別するために有用であるとして当業者が認識できる標準的な試験法および生物検定法を用いて評価することができる。
本発明の一実施形態によれば、適した生物活性変異体は、上記の化合物の1以上の類似体または誘導体を含む。実際に、単一の化合物、例えば上記の化合物などは、類似の活性、したがって本発明に係る有用性を有する類似体または誘導体の全ファミリーを生じることができる。同様に、単一の化合物、例えば上記の化合物などは、本発明に従い有用な化合物のより大きなクラスの単一のファミリーメンバーを表し得る。したがって、本発明は、上記の化合物だけでなく、かかる化合物の類似体および誘導体、特に当分野で一般的に公知の方法により識別可能であり、当業者に認識できるものを完全に包含する。
本明細書に開示される化合物は、キラル中心を含んでよく、キラル中心は(R)または(S)配置のいずれであってもよく、その混合物を含んでもよい。したがって、本発明はまた、本明細書に記載される化合物の立体異性体を、適用できる場合には、個別に、または任意の割合で混合されて含む。立体異性体としては、限定されるものではないが、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ混合物、およびその組合せが含まれ得る。かかる立体異性体は、従来法を用いて、鏡像異性体出発物質を反応させることによるか、または本発明の化合物の異性体を分離することにより、調製および分離することができる。異性体には幾何異性体が含まれてよい。幾何異性体の例としては、限定されるものではないが、二重結合をはさんだシス異性体またはトランス異性体が挙げられる。その他の異性体は、本発明の化合物の中に含めて考えられる。これらの異性体は、純粋な形態で、または本明細書に記載される化合物のその他の異性体と混合されて使用され得る。
光学活性形態を調製し、活性を決定するための多様な方法が当分野で公知である。かかる方法としては、本明細書に記載される標準的な試験および当分野で周知のその他の同様の試験が含まれる。本発明に係る化合物の光学異性体を得るために用いることのできる方法の例には、以下が含まれる:
i)個々の鏡像異性体の肉眼で見える結晶を手作業で分離する、結晶の物理的分離。この技法は、特に、別個の鏡像異性体の結晶が存在し(すなわち、その物質が集合体である)、その結晶が視覚によって識別できる場合に用いられ得る、
ii)個々の鏡像異性体が、ラセミ化合物の溶液から別々に結晶化した、後者が固体状態の集合体である場合に限り可能な、同時結晶化、
iii)酵素を用いる鏡像異性体に対する反応の速度を違えることによるラセミ化合物の部分的または完全分離による、酵素分割、
iv)少なくとも1つ合成段階で酵素反応を使用して、鏡像異性的に純粋であるかまたは濃縮された所望の鏡像異性体の合成前駆体を得る合成法である、酵素による不斉合成、
v)キラル触媒またはキラル補助剤を用いて達成され得る、不斉(すなわちキラリティー)を生成物中にもたらす条件下で、所望の鏡像異性体をアキラル前駆体から合成する、化学不斉合成、
vi)個々の鏡像異性体をジアステレオマーに変換する鏡像異性的に純粋な試薬(キラル補助剤)とラセミ化合物を反応させる、ジアステレオマー分離。結果として得られるジアステレオマーは、次に、今やより明確なそれらの構造の相違によってクロマトグラフィーまたは結晶化により分離され、キラル補助剤をその後除去して所望の鏡像異性体を得る、
vii)ラセミ化合物からジアステレオマーを平衡化して所望の鏡像異性体からジアステレオマーの溶液の優勢を得るか、または最終的に原理上全ての物質が所望の鏡像異性体から結晶性ジアステレオマーに変換されるように鏡像異性体からのジアステレオマーの優先的結晶化により平衡を乱す、一次および二次不斉転換。所望の鏡像異性体は、次にジアステレオマーから放出される、
viii)動的条件下、鏡像異性体とキラル、非ラセミ試薬または触媒との反応速度が一定でないことよる、ラセミ化合物の部分的または完全分割(または部分的に分割された化合物のさらなる分割)を含む動的分割、
ix)所望の鏡像異性体が非キラル出発物質から得られ、かつ、立体化学的完全性が合成の過程にわたって損なわれないか、またはごく最小限しか損なわれない、非ラセミ前駆体からのエナンチオ特異的合成、
x)ラセミ化合物の鏡像異性体が、その固定相との相互作用が異なることによって、液体移動相中で分離される、キラル液体クロマトグラフィー。異なる相互作用を誘発するために、固定相はキラル物質から形成されてよく、または移動相はさらなるキラル物質を含んでよい、
xi)ラセミ化合物を揮発させ、ガス移動相中での固定された非ラセミキラル吸着相を含むカラムとのその相互作用が異なることによって、鏡像異性体を分離する、キラルガスクロマトグラフィー、
xii)一種類の鏡像異性体を特別なキラル溶媒の中に優先的に溶解することによって、鏡像異性体を分離する、キラル溶媒による抽出、ならびに
xiii)ラセミ化合物を薄膜バリアと接触させて置く、キラル膜を通過する輸送。このバリアは一般に、一方がラセミ化合物を含有する2つの混和性流体を分離し、濃度または圧力差などの駆動力により膜バリアを通過する優先的輸送をもたらす。分離は、ラセミ化合物のただ1種類の鏡像異性体のみを通過させる、膜の非ラセミのキラル性
の結果として起こる。
i)個々の鏡像異性体の肉眼で見える結晶を手作業で分離する、結晶の物理的分離。この技法は、特に、別個の鏡像異性体の結晶が存在し(すなわち、その物質が集合体である)、その結晶が視覚によって識別できる場合に用いられ得る、
ii)個々の鏡像異性体が、ラセミ化合物の溶液から別々に結晶化した、後者が固体状態の集合体である場合に限り可能な、同時結晶化、
iii)酵素を用いる鏡像異性体に対する反応の速度を違えることによるラセミ化合物の部分的または完全分離による、酵素分割、
iv)少なくとも1つ合成段階で酵素反応を使用して、鏡像異性的に純粋であるかまたは濃縮された所望の鏡像異性体の合成前駆体を得る合成法である、酵素による不斉合成、
v)キラル触媒またはキラル補助剤を用いて達成され得る、不斉(すなわちキラリティー)を生成物中にもたらす条件下で、所望の鏡像異性体をアキラル前駆体から合成する、化学不斉合成、
vi)個々の鏡像異性体をジアステレオマーに変換する鏡像異性的に純粋な試薬(キラル補助剤)とラセミ化合物を反応させる、ジアステレオマー分離。結果として得られるジアステレオマーは、次に、今やより明確なそれらの構造の相違によってクロマトグラフィーまたは結晶化により分離され、キラル補助剤をその後除去して所望の鏡像異性体を得る、
vii)ラセミ化合物からジアステレオマーを平衡化して所望の鏡像異性体からジアステレオマーの溶液の優勢を得るか、または最終的に原理上全ての物質が所望の鏡像異性体から結晶性ジアステレオマーに変換されるように鏡像異性体からのジアステレオマーの優先的結晶化により平衡を乱す、一次および二次不斉転換。所望の鏡像異性体は、次にジアステレオマーから放出される、
viii)動的条件下、鏡像異性体とキラル、非ラセミ試薬または触媒との反応速度が一定でないことよる、ラセミ化合物の部分的または完全分割(または部分的に分割された化合物のさらなる分割)を含む動的分割、
ix)所望の鏡像異性体が非キラル出発物質から得られ、かつ、立体化学的完全性が合成の過程にわたって損なわれないか、またはごく最小限しか損なわれない、非ラセミ前駆体からのエナンチオ特異的合成、
x)ラセミ化合物の鏡像異性体が、その固定相との相互作用が異なることによって、液体移動相中で分離される、キラル液体クロマトグラフィー。異なる相互作用を誘発するために、固定相はキラル物質から形成されてよく、または移動相はさらなるキラル物質を含んでよい、
xi)ラセミ化合物を揮発させ、ガス移動相中での固定された非ラセミキラル吸着相を含むカラムとのその相互作用が異なることによって、鏡像異性体を分離する、キラルガスクロマトグラフィー、
xii)一種類の鏡像異性体を特別なキラル溶媒の中に優先的に溶解することによって、鏡像異性体を分離する、キラル溶媒による抽出、ならびに
xiii)ラセミ化合物を薄膜バリアと接触させて置く、キラル膜を通過する輸送。このバリアは一般に、一方がラセミ化合物を含有する2つの混和性流体を分離し、濃度または圧力差などの駆動力により膜バリアを通過する優先的輸送をもたらす。分離は、ラセミ化合物のただ1種類の鏡像異性体のみを通過させる、膜の非ラセミのキラル性
の結果として起こる。
本発明の葉酸拮抗化合物は、鏡像異性的に濃縮された形態、例えば1種類の鏡像異性体が過剰に(モル分または重量分率として示される)存在している鏡像異性体の混合物などで提供され得る。鏡像体過剰率は、化学物質が同じ化合物の2つの鏡像異性体を含み、一方の鏡像異性体がもう一方の鏡像異性体よりも大量に存在する場合に存在すると理解される。ラセミ混合物とは違って、これらの混合物は正味の(net)旋光度を示す。混合物の比旋光度と純粋な鏡像異性体の比旋光度を知った上で、鏡像体過剰率(「ee」と略される)を公知の方法により決定することができる。混合物中に存在する各々の鏡像異性体の量の直接定量は、NMR分光分析法およびキラルカラムクロマトグラフィーを用いて可能である。
式(11)に関して、本発明の化合物は、ラセミ体あるいは(R)または(S)異性体の鏡像異性的に精製された形態で提供され得る。下の実施例2には、式(12)の化合物の鏡像異性的に精製された(S)異性体の合成が記載される。実施例3には、式(11)の化合物のラセミ体の合成が記載される。
具体的な実施形態では、本発明の化合物は、少なくとも約75%の単一の鏡像異性体に対する鏡像異性体純度を有する葉酸拮抗化合物を含み得る。さらなる実施形態では、本発明の葉酸拮抗化合物は、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約99.5%の鏡像異性体純度を有する。一実施形態では、本発明の化合物は、(S)異性体に対するかかる鏡像異性体純度を有する葉酸拮抗化合物を含む。もう一つの実施形態では、本発明の化合物は、(R)異性体に対するかかる鏡像異性体純度を有する葉酸拮抗化合物を含む。具体的な実施形態では、本発明は、化合物(S)−N−{4−[2−(2,4−ジアミノ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]ベンゾイル}−4−メチレン−L−グルタミン酸二ナトリウム塩を包含する。
本明細書に記載される化合物はまた、それらが本発明に係る薬理活性を維持するならば、エステル、アミド、塩、溶媒和物、プロドラッグ、または代謝産物の形態であってもよい。本発明の化合物のエステル、アミド、塩、溶媒和物、プロドラッグ、およびその他の誘導体は、一般に当分野で公知の方法、例えば、参照により本明細書に援用される、J.March,Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms and Structure,4th Ed.(New York:Wiley−Interscience,1992)により記載される方法に従って調製されてよい。
本発明により有用な化合物の製薬上許容される塩の例としては、酸付加塩が挙げられる。しかし、製薬上許容されない酸の塩は、例えば、化合物の調製および精製において、有用であり得る。本発明に係る、適した酸付加塩としては、有機酸および無機酸が挙げられる。好ましい塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピルビン酸、酢酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、オキサロ酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸(benzesulfonic)、およびイセチオン酸から形成された塩が挙げられる。その他の有用な酸付加塩としては、プロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、サリチル酸、および同類のものが挙げられる。製薬上許容される塩の特定の例としては、限定されるものではないが、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、蟻酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオル酸、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−ジオエート、ヘキシン−1,6−ジオエート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩(methoxyenzoates)、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、およびマンデル酸塩が挙げられる。
酸付加塩は、適した塩基で処理することにより遊離塩基に再変換され得る。本発明によって有用な化合物に存在し得る酸部分の塩基性塩の調製は、製薬上許容される塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、トリエチルアミン、または同種のものなどを用いて同じように調製することができる。
本発明に係る化合物のエステルは、該化合物の分子構造の中に存在し得るヒドロキシル基および/またはカルボキシル基の官能基化によって調製することができる。アミドおよびプロドラッグも、当業者に公知の技法を用いて調製することができる。例えば、アミドは、適したアミン反応体を用いてエステルから調製するか、あるいは、それらは無水物または酸塩化物からアンモニアまたは低級アルキルアミンとの反応により調製することができる。さらに、本発明の化合物のエステルおよびアミドは、適した有機溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、アセトン、メタノール、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド)中、0℃〜60℃の温度で、カルボニル化剤(carbonylating agent)(例えば、蟻酸エチル、無水酢酸、メトキシ塩化アセチル、塩化ベンゾイル、イソシアン酸メチル、エチルクロロホルメート、塩化メタンスルホニル)と適した塩基(例えば、4−ジメチルアミノピリジン、ピリジン、トリエチルアミン、炭酸カリウム)との反応により作製することができる。プロドラッグは、一般に、部分の共有結合により調製され、その結果、個体の代謝系により修飾されるまで治療上不活性である化合物がもたらされる。製薬上許容される溶媒和物の例としては、限定されるものではないが、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、またはエタノールアミンと組み合せた、本発明に係る化合物が挙げられる。
固体組成物の場合、本発明の組成物中に用いられる化合物は様々な形態で存在する可能性があると理解される。例えば、化合物は安定および準安定結晶形ならびに同位体および非晶形で存在してよく、その全ては本発明の範囲内にあることが意図される。
本発明によって有用な化合物が塩基である場合、所望の塩は、当分野で公知の任意の適した方法により調製することができ、それには、遊離塩基を、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸および同類のものなどで処理すること、あるいは、有機酸、例えば酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸(グルクロン酸およびガラクツロン酸など)、α−ヒドロキシ酸(クエン酸および酒石酸など)、アミノ酸(アスパラギン酸およびグルタミン酸など)、芳香族酸(安息香酸および桂皮酸)、スルホン酸(p−トルエンスルホン酸またはエタンスルホン酸など)、または同種のもので処理することが含まれる。
本発明の化合物が酸である場合、所望の塩は、当分野で公知の任意の適した方法により調製することができ、それには、遊離酸の、無機もしくは有機塩基、例えばアミン(第一級、第二級または第三級)、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属水酸化物または同種のものでの処理が含まれる。適した塩の説明となる例としては、グリシンおよびアルギニンなどのアミノ酸、アンモニア、第一級、第二級および第三級アミン、ならびにピペリジン、モルホリンおよびピペラジンなどの環状アミンから誘導される有機塩基、ならびにナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウムおよびリチウムから誘導される無機塩が挙げられる。
特定の一実施形態では、本発明に係る葉酸拮抗化合物は塩の形態である。例えば、化合物は、R1、R2、およびZの中の1つまたは全てが適した塩形成カチオンで置換される、式(7)、式(9)、または式(10)の化合物であってよい。優先的に、この塩はアルカリ金属塩、特にナトリウムまたはカリウムである。具体的な実施形態では、この塩は二ナトリウム塩である。本発明の医薬組成物において有用な、特に好ましい二ナトリウム塩は、下の式(12)に示される。当然、その他のカチオン性部分、特にその他のアルカリ金属が塩化合物中で使用され得ることは理解される。例えば、特定の一実施形態では、本発明は、式(11)の化合物のカリウム塩を包含する。式(12)の化合物の合成のための一方法は、下の実施例2に記載される。
具体的な一実施形態では、式(12)の化合物は、鏡像異性的に精製された(S)形態で提供される。特に、本発明は、(S)−N−{4−[2−(2,4−ジアミノ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]ベンゾイル}−4−メチレン−L−グルタミン酸二ナトリウム塩(本明細書においてCHL1007と称され得る)を包含する。
本発明には、さらに本発明の化合物のプロドラッグおよび活性代謝物が含まれる。本明細書に記載される化合物のいずれもが、化合物の活性、バイオアベイラビリティ、または安定性を増加させるため、またあるいは化合物の特性を変更するためのプロドラッグとして投与され得る。プロドラッグの典型的な例としては、活性化合物の官能成分上に生物学的に不安定な保護基を有する化合物が挙げられる。プロドラッグには、酸化、還元、アミノ化、脱アミノ化、水酸化、脱水酸化、加水分解、脱加水分解(dehydrolyzed)、アルキル化、脱アルキル化、アシル化、脱アシル化、リン酸化、および/または脱リン酸化されて活性化合物を生成することのできる化合物が含まれる。好ましい実施形態では、本発明の化合物は、異常に増殖する細胞に対する抗増殖活性を有するか、またはかかる活性を示す化合物へと代謝される。
多数のプロドラッグリガンドが公知である。一般に、化合物、例えば遊離アミンまたはカルボン酸残基、の1以上のヘテロ原子のアルキル化、アシル化、またはその他の親油性修飾極性を低下させ、細胞の中への通過を可能にする。遊離アミンおよび/またはカルボン酸部分の1以上の水素原子を置換することのできる置換基の例としては、限定されるものではないが、以下が挙げられる:アリール、ステロイド、炭水化物(糖を含む)、1,2−ジアシルグリセロール、アルコール、アシル(低級アシルを含む)、アルキル(低級アルキルを含む)、スルホン酸エステル(アルキルまたはアリールアルキルスルホニル、例えばメタンスルホニルおよびベンジルを含む、この際、フェニル基は所望により本明細書に記載されるアリールの定義で示されるような1以上の置換基で置換されている)、任意に置換されるアリールスルホニル、脂質(リン脂質を含む)、ホスホチジルコリン(phosphotidylcholine)、ホスホコリン、アミノ酸残基もしくは誘導体、アミノ酸アシル残基もしくは誘導体、ペプチド、コレステロール、あるいは、インビボで投与されると遊離アミンおよび/またはカルボン酸部分をもたらす、その他の製薬上許容される脱離基。これらのどれもが、所望の効果を達成するために本開示の化合物と組み合せて使用され得る。
(IV.医薬組成物)
本発明の組成物中で用いられる個々の化合物が未加工の化学形態で投与されることは可能であるが、化合物は医薬組成物として送達されることが好ましい。したがって、本発明により、本明細書に記載される1以上の化合物を含む医薬組成物が提供される。そのようなものとして、本発明の組成物は、上記のような、薬学的に活性な化合物、あるいはその製薬上許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物、類似体、誘導体、またはプロドラッグを含む。さらに、本発明の組成物は、様々な組合せで調製され、送達することができる。例えば、組成物は、全ての有効成分を含有する単一の組成物を含んでよい。あるいは、組成物は、別々の有効成分を含むが、同時に、連続して、または近く接近した時間に投与することが意図される複数の組成物を含んでよい。
本発明の組成物中で用いられる個々の化合物が未加工の化学形態で投与されることは可能であるが、化合物は医薬組成物として送達されることが好ましい。したがって、本発明により、本明細書に記載される1以上の化合物を含む医薬組成物が提供される。そのようなものとして、本発明の組成物は、上記のような、薬学的に活性な化合物、あるいはその製薬上許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物、類似体、誘導体、またはプロドラッグを含む。さらに、本発明の組成物は、様々な組合せで調製され、送達することができる。例えば、組成物は、全ての有効成分を含有する単一の組成物を含んでよい。あるいは、組成物は、別々の有効成分を含むが、同時に、連続して、または近く接近した時間に投与することが意図される複数の組成物を含んでよい。
本発明の化合物は、1以上の製薬上許容されるキャリアとともに、したがって、さらに所望によりその他の治療成分とともに調製され、送達されてよい。キャリアは、組成物の任意のその他の成分に適合し、そのレシピエントに有害でないという点で許容可能であるべきである。キャリアはまた、その薬剤の任意の望ましくない副作用を低下させることもできる。かかるキャリアは当分野で公知である。参照によりその全文が本明細書に援用される、Wang et al.(1980) J.Parent.Drug Assn.34(6):452−462を参照のこと。
本発明の組成物には、短期、急速作用発現(rapid−onset)、急速消失(rapid−offset)、制御放出、持続放出、遅延放出、およびパルス放出組成物が含まれてよく、本明細書に記載される化合物の投与を達成する組成物をもたらす。参照によりその全文が本明細書に援用される、Remington’s Pharmaceutical Sciences (18th ed.、Mack Publishing Company,Eaton,Pennsylvania,1990)、を参照のこと。
本発明に係る医薬組成物は、経口、非経口(静脈内、筋肉内、皮下、皮内、関節内、滑膜内、くも膜下腔内、動脈内、心臓内、皮下、眼窩内の、関節内の、脊髄内、胸骨内、および経皮を含む)、局所(真皮、口内、および舌下)、膣、尿道、ならびに直腸投与を含む、様々な送達様式に適している。投与はまた、鼻腔スプレー、外科的移植、内部手術用ペイント(internal surgical paint)、輸液ポンプ経由であっても、あるいは、カテーテル、ステント、バルーンまたはその他の送達装置を経てもよい。最も有用かつ/または有益な投与様式は、特にレシピエントの状態および治療される障害によって、変動し得る。
医薬組成物は、好都合に単位投与形で利用可能に作成されてよく、かかる組成物は、医薬分野で一般に公知のいずれの方法により調製されてもよい。一般的に言えば、かかる調製方法は、本発明の活性化合物を(様々な方法により)適したキャリアまたは1以上の成分からなってよいその他のアジュバントと組み合せることを含む。次に、有効成分と1以上のアジュバントとの組合せを物理的に処理して、組成物を送達に適した形態で提示する(例えば、錠剤への成形または水性懸濁液の形成)。
経口投薬に適した本発明に係る医薬組成物は、様々な形態、例えば各々が所定の量の活性薬剤を含有する、錠剤、カプセル剤、カプレット、およびオブラート(急速溶解または発泡するものを含む)など、をとってよい。組成物はまた、粉末または顆粒、水性もしくは非水性液体中の溶液または懸濁液の形態であっても、および液体乳濁液(水中油型および油中水型)として存在してもよい。活性薬剤はまた、ボーラス、舐剤、またはペースト剤として送達されてよい。上記の投薬形態の調製方法が一般に当分野で公知であり、かかる方法はどれも本発明に係る組成物の送達で用いる個別の投薬形態の調製に適し得ることは一般に理解される。
一実施形態では、化合物は、不活性希釈剤または食用キャリアなどの製薬上許容されるビヒクルと組み合せて経口的に投与されてよい。経口組成物は、硬質もしくは軟質のシェルゼラチンカプセルに封入されてよいし、錠剤に圧縮されてもよいし、患者の食事の食物と直接組み合せてもよい。組成物および調製物の割合は変動し得る。しかし、かかる治療上有用な組成物中の物質の量は、効果的な投薬レベルが得られるようなものであることが好ましい。
化合物を含有する硬カプセルは、生理学的に分解性の組成物、例えばゼラチンなどを用いて作製され得る。かかる硬カプセルは化合物を含み、さらに例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、またはカオリンなどの不活性の固体希釈剤を含む、さらなる成分を含んでよい。化合物を含有する軟ゼラチンカプセルは、生理学的に分解性の組成物、例えばゼラチンなどを用いて作製され得る。かかる軟カプセルは化合物を含み、化合物は水、あるいはピーナッツ油、流動パラフィン、またはオリーブ油などの油性媒質と混合されてよい。
舌下錠は、非常に急速に溶けるように設計されている。かかる組成物の例としては、酒石酸エルゴタミン、硝酸イソソルビド、およびイソプロテレノール塩酸塩が挙げられる。これらの錠剤の組成物には、薬剤に加えて、様々な可溶性賦形剤、例えばラクトース、粉末スクロース、デキストロース、およびマンニトールが含まれる。本発明の固体投薬形態は、所望によりコーティングされてよく、適したコーティング材料の例としては、限定されるものではないが、セルロースポリマー(例えば酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、酢酸フタル酸ポリビニル、アクリル酸ポリマーおよびコポリマー、ならびにメタクリル樹脂(例えばEUDRAGIT(登録商標)の商品名で市販されているもの)、ゼイン、セラック、および多糖が挙げられる。
本発明の医薬品の粉末および顆粒組成物は、公知の方法を用いて調製されてよい。かかる組成物は直接患者に投与されるか、または、例えば錠剤を形成する、カプセル剤を充填する、または水性もしくは油性ビヒクルをそれに付加することにより水性もしくは油性懸濁液もしくは溶液を調製するなどのための、さらなる投薬形態の調製に用いられ得る。これらの組成物の各々は、1以上の添加剤、例えば分散もしくは湿潤剤、沈殿防止剤、および防腐剤などをさらに含んでよい。さらなる賦形剤(例えば、増量剤、甘味料、香味料、または着色剤)をこれらの組成物に含めてもよい。
経口投与に適した本発明の医薬組成物の液体組成物は、液体形態か、あるいは、使用前に水または別の適したビヒクルで再構成するための乾燥製品の形態のいずれかで、調製され、包装され、販売されてよい。
本発明に係る1以上の化合物を含有する錠剤は、当業者に公知の任意の標準的なプロセスにより、例えば、所望により1以上のアジュバントまたは副成分とともに、圧縮または成形により、製造することができる。錠剤は、所望によりコーティングするかまたは溝をつけて(scored)よく、さらに、活性薬剤の遅延放出または制御放出をもたらすように処方されてよい。
本発明の組成物で用いるアジュバントまたは副成分には、当分野で一般に許容されると考えられる任意の薬剤成分、例えば結合剤、増量剤、滑沢剤、崩壊剤、希釈剤、界面活性剤、安定剤、防腐剤、香味料および着色剤、ならびに同類のものなどが含まれてよい。結合剤は、一般に錠剤の粘着性を促進し、錠剤を確実に圧縮後も無傷のままにしておくために用いられる。適した結合剤としては、限定されるものではないが、デンプン、多糖、ゼラチン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、蝋、ならびに天然および合成ゴムが挙げられる。許容される増量剤としては、二酸化ケイ素、二酸化チタン、アルミナ、タルク、カオリン、粉末セルロース、および微晶質セルロース、ならびに可溶性物質、例えばマンニトール、尿素、スクロース、ラクトース、デキストロース、塩化ナトリウム、およびソルビトールが挙げられる。滑沢剤は、錠剤の製造を促進するために有用であり、植物油、グリセリン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、およびステアリン酸が挙げられる。錠剤の崩壊を促進するために有用な崩壊剤としては、一般にデンプン、粘土、セルロース、アルギン、ゴム、および架橋ポリマーが挙げられる。一般に錠剤の嵩を増すために含められる希釈剤としては、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、セルロース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、および粉糖が挙げられ得る。本発明に係る組成物中での使用に適した界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、両性、または非イオン性界面活性剤であってよい。安定剤を組成物中に含めて、活性薬剤の分解を導く反応、例えば酸化反応を阻害または低減してもよい。
固体投薬形態は、例えばコーティングを施すことなどにより、活性薬剤の遅延放出がもたらされるように処方することができる。遅延放出コーティングは当分野で公知であり、それを含む投薬形態は、任意の公知の適法により調製されてよい。かかる方法には、一般に、固体投薬形態(例えば、錠剤またはカプレット)の調製の後、遅延放出コーティング組成物を塗布する。塗布は、例えばエアレススプレー、流動床コーティング、コーティングパンの使用、または同種のものなどの方法によるものであってよい。遅延放出コーティングとして使用する材料は、本来ポリマー性のもの、例えばセルロース系材料(例えば、酪酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびカルボキシメチルエチルセルロース)、ならびにアクリル酸、メタクリル酸、およびそのエステルのポリマーおよびコポリマーなどであってよい。
本発明に係る固体投薬形態は、持続放出(すなわち活性薬剤を長時間にわたって放出する)であってもよく、かつ、遅延放出であってもなくてもよい。持続放出組成物は当分野で公知であり、一般に、徐々に分解可能なまたは加水分解可能な材料、例えば不溶性プラスチック、親水性ポリマー、または脂肪族化合物などのマトリックス内に薬剤を分散させることにより調製される。あるいは、固体投薬形態をそのような材料でコーティングしてもよい。
非経口投与のための組成物には、水性および非水性滅菌注射液が含まれ、それらはさらなる薬剤、例えば抗酸化剤、バッファー、制菌剤、および、組成物を対象レシピエントの血液と等張にする溶質などをさらに含んでよい。組成物には、沈殿防止剤および増粘剤を含む、水性および非水性滅菌懸濁液が含まれてよい。かかる非経口投与のための組成物は、単位用量または多用量容器、例えば、密封されたアンプルおよびバイアルなどに入れて提示されてよく、使用直前に滅菌液体キャリア、例えば、水(注射用)を添加することのみを要するフリーズドライの(凍結乾燥した)状態で保存されてよい。即時注射液および懸濁液は、既に記載した種類の滅菌粉末、顆粒剤、および錠剤から調製されてよい。
本発明に係る組成物はまた、経皮的に投与されてよく、この際、活性薬剤は、レシピエントの表皮に長時間密着したままになるように適合させた積層構造(一般に「パッチ」と呼ばれる)の中に組み込まれる。一般に、かかるパッチは、単一層の「薬剤入り粘着剤」パッチとして、または活性薬剤が粘着剤層とは別の層に含まれている多層パッチとして利用可能である。両方の種類のパッチはまた、一般に、裏打ち層、および、レシピエントの皮膚へ貼付する前に取り除かれるライナーを含む。経皮薬剤送達パッチはまた、レシピエントの皮膚から半透膜および粘着剤層で隔てられている裏打ち層の裏にあるリザーバからなる。経皮薬剤送達は、受動拡散によって生じさせるか、電気輸送またはイオン導入法を用いて促進させてもよい。
本発明の組成物の直腸送達のための組成物としては、直腸坐剤、クリーム、軟膏、および液体が挙げられる。坐剤は、一般に当分野で公知のキャリア、例えばポリエチレングリコールなどと組み合せた活性薬剤として提示されてよい。かかる投薬形態は、急速に、または長時間かけて崩壊するように設計することができ、崩壊の完了する時間は、短時間、例えば約10分などから、長時間、例えば約6時間などまで変動し得る。
局所組成物は、経皮、口内、および舌下を含む、身体表面への活性薬剤の送達のために適し、当分野で容易に分かる、いずれの形態であってもよい。局所組成物の典型的な例としては、軟膏、クリーム、ゲル、ペースト、および溶液が挙げられる。口内の局所投与のための組成物にはトローチ剤も含まれる。
特定の実施形態では、本明細書に開示される化合物および組成物は、医療用具を介して送達され得る。かかる送達は、一般に任意の挿入可能または埋め込み可能な医療用具を介するものであってよく、それには、限定されるものではないが、ステント、カテーテル、バルーンカテーテル、シャント、またはコイルが含まれる。一実施形態では、本発明は、医療用具、例えばその表面が本明細書に記載される化合物または組成物でコーティングされるステントなどを提供する。本発明の医療用具は、例えば、疾患または状態、例えば本明細書に開示されるものなどの治療、予防、またはその他では経過に影響を及ぼすためのいずれの用途でも使用することができる。
本発明のもう一つの実施形態では、本明細書に記載される1以上の化合物を含む医薬組成物は間欠的に投与される。治療上有効量の投与は、例えば持続放出組成物を用いるような継続的な方法で達成してもよいし、あるいは、例えば1日あたり1回、2回、3回、またはそれ以上の投与を用いるような所望の一日の投与計画に従って達成してもよい。「中断期間」は、組成物の連続する持続放出または連日投与の中断を意図する。中断期間は、連続する持続放出または連日投与の期間よりも長くても短くてもよい。中断期間の間、当該組織における組成物の成分のレベルは、治療中に得られる最大レベルよりも実質的に低い。好ましい中断期間の長さは、有効量の濃度および使用する組成物の形態によって決まる。中断期間は少なくとも2日、少なくとも4日または少なくとも1週間であってよい。その他の実施形態では、中断期間は少なくとも1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月またはそれ以上である。持続放出組成物を使用する場合、中断期間は、身体での組成物のより長い滞留時間を考慮して延長する必要がある。あるいは、有効量の持続放出組成物の投与頻度はそれに応じて低下し得る。本発明の組成物の投与の間欠的なスケジュールは、所望の治療効果、および最終的に疾患または障害の治療が達成されるまで継続されてよい。
本発明に係る組成物の投与は、単一の本明細書に記載されるような薬学的活性化合物を投与すること、本明細書に記載されるような薬学的活性化合物を1以上のさらなる本明細書に記載される薬学的活性化合物とともに投与すること、または1以上の本明細書に記載される薬学的活性化合物を1以上のさらなる薬学的活性化合物と一緒に投与すること(すなわち同時投与)、を含む。したがって、本発明の組成物中の薬学的活性化合物は、固定された組合せ(すなわち、両方の活性物質を含む単一の医薬組成物)で投与され得ることが認識される。あるいは、薬学的活性化合物は同時に投与されてよい(すなわち、別個の組成物が同時に投与される)。もう一つの実施形態では、薬学的活性化合物は順次に投与される(すなわち、1以上の薬学的活性化合物の投与の後に1以上の薬学的活性化合物の別の投与が続く)。当業者は、最も好ましい投与方法が所望の治療効果を可能にすることを認識するであろう。
治療上有効な量の本発明に係る組成物の送達は、治療上有効量の組成物の投与によって得ることができる。したがって、一実施形態では、治療上有効な量は、異常細胞増殖を治療するために効果的な量である。もう一つの実施形態では、治療上有効な量は、炎症を治療するために効果的な量である。さらにもう一つの実施形態では、治療上有効な量は、関節炎を治療するために効果的な量である。さらなるもう一つの実施形態では、治療上有効な量は、喘息を治療するために効果的な量である。
活性化合物は、重大な毒作用の不在下で、インビボで本発明の化合物の治療量を患者に送達するために十分な量で医薬組成物に含められる。薬剤組成物中の活性化合物の濃度は、薬剤の吸収、不活性化、および排泄速度ならびに当業者に公知のその他の要因によって決まる。投与量の値も、軽減されるべき状態の重篤度とともに変動することに留意されたい。任意の特定の被験体に関して、具体的な投与計画は、個々の必要性および組成物を投与するかまたは組成物の投与を監督する人物の専門的な判断に従って経時的に調節されるべきであり、本明細書に示される投与量の範囲は単なる例であり、特許請求されている組成物の範囲または実施を限定するものではないこともさらに理解されるべきである。有効成分は、同時に投与されてもよいし、変動する時間間隔で投与される予定の多数のより小さい用量に分割されてもよい。
本発明に係る治療上有効量は、レシピエントの体重に基づいて決定することができる。例えば、一実施形態では、本発明の1以上の化合物の治療上有効量は、1日あたり約0.1μg/体重kg〜約5mg/体重kgの範囲である。あるいは、治療上有効な量は、固定された用量に関して説明することができる。そのため、もう一つの実施形態では、本発明の1以上の化合物の治療上有効量は、1日あたり約0.01mg〜約500mgの範囲である。当然、そのような量は1日を通じて投与される多数のより少量の投与量に分割され得ることは理解される。製薬上許容される塩およびプロドラッグの効果的な投与量範囲は、送達されるべき親ヌクレオシド重量に基づいて計算することができる。塩またはプロドラッグがそれ自体活性を示す場合、効果的な投与量は、塩またはプロドラッグの重量を用いて、または当業者に公知のその他の手段により上のように推定することができる。
本明細書に記載される1以上の化合物を含む本発明の組成物は、治療上有効な量で哺乳類、好ましくはヒトに投与されることが企図される。本明細書に記載されるあらゆる状態または疾患の治療のための化合物または組成物の有効量は、従来技法を用いることにより、かつ、同じような状況下で得られる結果を観察することにより、容易に決定することができる。有効量の組成物は、被験体の体重、性別、年齢、および病歴によって変動することが予期され得る。当然、その他の要因も送達されるべき組成物の有効量に影響を及し得、それには、限定されるものではないが、関与する具体的な疾患、疾患の関与もしくは重篤度の程度、個々の患者の応答、投与される特定の化合物、投与様式、投与される調製物のバイオアベイラビリティ特性、選択される用量計画(dose regimen)、および併用薬物療法の使用が含まれる。化合物は、望ましくない症状および治療される状態に関連する臨床徴候を軽減するために十分な時間、優先的に投与される。有効性および投与量を決定するための方法は当業者に公知である。例えば、参照により本明細書に援用される、Isselbacher et al.(1996) Harrison’s Principles of Internal Medicine 13 ed.,1814−1882を参照のこと。
(V.活性薬剤の組合せ)
本発明に係る様々な疾患または状態を治療する際に、本明細書に開示される化合物は様々な組合せで投与することができる。例えば、一実施形態では、本発明に係る組成物は、本明細書に記載される単一の化合物を含んでよい。もう一つの実施形態では、本発明に係る組成物は、2以上の本発明に係る化合物を含んでよい。なおさらなる実施形態では、本発明に係る組成物は、本明細書に記載される1以上の化合物を、治療特性を有すると公知の1以上のさらなる化合物をともに含んでよい。例えば、本明細書に記載される化合物は、1以上の毒性を低下させる化合物(例えば、葉酸またはロイコボリン)とともに投与され得る。さらなる実施形態では、本明細書に記載される化合物は、抗炎症薬、抗関節炎薬、抗生物質、抗真菌薬、または抗ウイルス薬として公知の1以上の化合物とともに投与され得る。かかるさらなる化合物は、本発明の化合物と組み合せて、または交互に提供され得る。特定の実施形態では、本発明の化合物は、下に記載される群から選択される1以上の化合物と組み合せて提供され得る。
本発明に係る様々な疾患または状態を治療する際に、本明細書に開示される化合物は様々な組合せで投与することができる。例えば、一実施形態では、本発明に係る組成物は、本明細書に記載される単一の化合物を含んでよい。もう一つの実施形態では、本発明に係る組成物は、2以上の本発明に係る化合物を含んでよい。なおさらなる実施形態では、本発明に係る組成物は、本明細書に記載される1以上の化合物を、治療特性を有すると公知の1以上のさらなる化合物をともに含んでよい。例えば、本明細書に記載される化合物は、1以上の毒性を低下させる化合物(例えば、葉酸またはロイコボリン)とともに投与され得る。さらなる実施形態では、本明細書に記載される化合物は、抗炎症薬、抗関節炎薬、抗生物質、抗真菌薬、または抗ウイルス薬として公知の1以上の化合物とともに投与され得る。かかるさらなる化合物は、本発明の化合物と組み合せて、または交互に提供され得る。特定の実施形態では、本発明の化合物は、下に記載される群から選択される1以上の化合物と組み合せて提供され得る。
前述の説明において、本発明の化合物と組み合せて有用な特定の化合物は、記述された化合物を用いて一般に治療される具体的な疾患または状態に関して説明され得る。かかる疾患または状態の開示は、本発明の範囲を制限することを意図するものではなく、特に本明細書に開示される組合せを用いて治療することのできる疾患または状態を制限しない。むしろ、かかる例示的な疾患または状態は、さらなる化合物を用いて一般に治療される疾患および状態の種類を例示するためだけに提供される。
本発明の化合物は、特定の実施形態において、抗増殖性薬と組み合せて、または交互に用いることができる。増殖性障害は、現在、アルキル化剤、代謝拮抗剤、天然物、酵素、生物反応修飾物質、種々の物質、放射性医薬品(例えば、Y−90標識されたホルモンまたは抗体)、ホルモンおよびアンタゴニストを含む、多様なクラスの化合物により治療される。下に列挙されるいずれかの抗増殖性薬、または、例えば、DeVita,V.T.,Jr.,Hellmann,S.,Rosenberg,S.A.、Cancer:Principles & Practice of Oncology,5th ed.,Lippincott−Raven Publishers (1997)に記載される任意のその他のかかる治療薬および原則は、本発明の化合物と組み合せて使用することができる。
本発明の化合物と組み合せて使用するために適した血管新生阻害剤の代表的な限定されない例としては、限定されるものではないが、レチノイド酸およびその誘導体、2−メトキシエストラジオール、アンギオスタチン(商標)タンパク質、エンドスタチン(商標)タンパク質、スラミン、スクアラミン、メタロプロテイナーゼ−Iの組織阻害剤、メタロプロテイナーゼ−2の組織阻害剤、プラスミノゲンアクチベーターインヒビター−1、プラスミノゲンアクチベーターインヒビター−2、軟骨由来阻害剤、パクリタキセル、血小板因子4、プロタミンサルフェート(クルペイン)、硫酸化キチン誘導体(クイーンクラブシェル(queen crab shells)より調製)、硫酸化多糖プチドグリカン複合体(sp−pg)、スタウロスポリン、マトリックス代謝の修飾因子(例えば、プロリン類似体(I−アゼチジン−2−カルボン酸(LACA)、シス−ヒドロキシプロリン)、d、1−3,4−デヒドロプロリン、チアプロリン、α,α−ジピリジル、β−アミノプロピオニトリルフマラート、4−プロピル−5−(4−ピリジニル)−2(3h)−オキサゾロン、メトトレキサート、ミトキサントロン、ヘパリン、インターフェロン、2マクログロブリン−血清、チンプ−3(chimp−3)、キモスタチン、β−シクロデキストリンテトラデカサルフェート、エポネマイシン、フマギリン、金チオリンゴ酸ナトリウム、d−ペニシラミン(CDPT)、β−1−抗コラゲナーゼ−血清、α−2−抗プラスミン、ビサントレン、ロベンザリット二ナトリウム、n−(2−カルボキシフェニル−4−クロロアントラニル酸(chloroanthronilic acid)二ナトリウムまたは「CCA」、サリドマイド、血管新生抑制(angostatic)ステロイド、カルボキシアミノイミダゾール(cargboxynaminolmidazole)、BB94などのメタロプロテイナーゼ阻害剤を含む)が挙げられる。その他の血管新生阻害剤としては、抗体、好ましくはこれらの血管新生増殖因子に対するモノクローナル抗:bFGF、aFGF、FGF−5、VEGFイソ型、VEGF−C、HGF/SFおよびAng−1/Ang−2が挙げられる。Ferrara N.and Alitalo,K.“Clinical application of angiogenic growth factors and their inhibitors”(1999) Nature Medicine 5:1359−1364。
本発明の化合物と組み合せて使用するために適したアルキル化剤の代表的な限定されない例としては、これに限定されるものではないが、ナイトロジェンマスタード、例えばメクロレタミン(ホジキン病、非ホジキンリンパ腫)、シクロホスファミド、イフォスファミド(急性および慢性リンパ性白血病、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、神経芽腫、乳房、卵巣、肺、ウィルムス腫瘍、子宮頸部、精巣、軟部組織肉腫)、メルファラン(L−サルコリシン)(多発性骨髄腫、乳房、卵巣)、クロラムブシル(慢性リンパ性白血病、原発性マクログロブリン血症、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫)、エチレンイミンおよびメチルメラミン、例えばヘキサメチルメラミン(卵巣)、チオテパ(膀胱、乳房、卵巣)、スルホン酸アルキル、例えばブスルファン(慢性顆粒球白血病)、ニトロソウレア、例えばカルムスチン(BCNU)(ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、原発性脳腫瘍、多発性骨髄腫、悪性黒色腫)、ロムスチン(CCNU)(ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、原発性脳腫瘍、小細胞肺)、セムスチン(メチル−CCNU)(原発性脳腫瘍、胃、結腸)、ストレプトゾシン(STR)(悪性膵インスリノーマ、悪性カルシノイン(carcinoin))、トリアゼン、例えばダカルバジン(DTIC−ジメチルトリアゼノイミダゾール−カルボキサミド)(悪性黒色腫、ホジキン病、軟部組織肉腫)が挙げられる。
本発明の化合物と組み合せて使用するために適した代謝拮抗薬の代表的な限定されない例としては、限定されるものではないが、葉酸類似体、例えば、メトトレキサート(アメトプテリン)(急性リンパ性白血病、絨毛癌、菌状息肉症、乳房、頭頸部、肺、骨原性肉腫)、ピリミジン類似体、例えばフルオロウラシル(5−フルオロウラシル−5−FU)フロクスウリジン(フルオロデオキシウリジン−FUdR)(乳房、結腸、胃、膵臓、卵巣、頭頸部、膀胱、前癌性皮膚病変)(局所)、シタラビン(シトシンアラビノシド)(急性顆粒球および急性リンパ性白血病)、プリン類似体および関連阻害剤、例えば、メルカプトプリン(6−メルカプトプリン−6−MP)(急性リンパ性、急性顆粒球および慢性顆粒球白血病)、チオグアニン(6−チオグアニン−TG)(急性顆粒球、急性リンパ性および慢性顆粒球白血病)、ペントスタチン(2’−デオキシコホルマイシン(deoxycyoformycin))(毛様細胞白血病、菌状息肉症、慢性リンパ性白血病)、ビンカアルカロイド、例えば、ビンブラスチン(VLB)(ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、乳房、精巣)、ビンクリスチン(急性リンパ性白血病、神経芽腫、ウィルムス腫瘍、横紋筋肉腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、小細胞肺)、エピポドフィロトキシン(Epipodophylotoxins)、例えばエトポシド(精巣、小細胞肺およびその他の肺、乳房、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、急性顆粒球白血病、カポジ肉腫)、テニポシド(精巣、小細胞肺およびその他の肺、乳房、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、急性顆粒球白血病、カポジ肉腫)が挙げられる。
本発明の化合物と組み合せて使用するために適した細胞傷害性薬の代表的な限定されない例としては、これらに限定されるものではないが、ドキソルビシン、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、シタラビンUSP、シクロホスファミド、エストラムスチン(estramucine)リン酸ナトリウム、アルトレタミン、ヒドロキシ尿素、イフォスファミド、プロカルバジン、マイトマイシン、ブスルファン、シクロホスファミド、ミトキサントロン、カルボプラチン、シスプラチン、インターフェロンα−2a組換え型、パクリタキセル、テニポシド、およびストレプトゾシン(streptozoci)が挙げられる。
本発明の化合物と組み合せて使用するために適した天然物の代表的な限定されない例としては、限定されるものではないが:抗生物質、例えば、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)(絨毛癌、ウィルムス腫瘍、横紋筋肉腫、精巣、カポジ肉腫)、ダウノルビシン(ダウノマイシン−ルビドマイシン)(急性顆粒球および急性リンパ性白血病)、ドキソルビシン(軟部組織、骨原性、およびその他の肉腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、急性白血病、乳房、尿生殖器、甲状腺、肺、胃、神経芽腫)、ブレオマイシン(精巣、頭頸部、皮膚および食道肺、ならびに尿生殖器系、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫)、プリカマイシン(ミトラマイシン)(精巣、悪性高カルシウム血症)、マイトマイシン(マイトマイシンC)(胃、子宮頸部、結腸、乳房、膵臓、膀胱、頭頸部)、酵素、例えば、L−アスパラギナーゼ(急性リンパ性白血病)、生物反応修飾物質、例えば、インターフェロン−α(毛様細胞白血病、カポジ肉腫、黒色腫、カルチノイド、腎細胞、卵巣、膀胱、非ホジキンリンパ腫、菌状息肉症、多発性骨髄腫、慢性顆粒球白血病)が挙げられる。
本明細書に開示される化合物および組成物と組み合せて、または交互に使用することのできるさらなる薬剤としては、これらに限定されるものではないが、プラチナ錯体、例えば、シスプラチン(シス−DDP)カルボプラチン(精巣、卵巣、膀胱、頭頸部、肺、甲状腺、子宮頸部、子宮内膜、神経芽腫、骨原性肉腫)、アントラセンジオン、例えばミクストザントロン(Mixtozantrone)(急性顆粒球白血病、乳房)、置換尿素、例えば、ヒドロキシ尿素(慢性顆粒球白血病、真性赤血球増加症、本態性血小板増加症、悪性黒色腫)、メチルヒドラジン誘導体、例えば、プロカルバジン(N−メチルヒドラジン、MIH)(ホジキン病)、副腎皮質抑制剤、例えば、(副腎皮質ホルモン合成阻害薬)ミトタン(o,p’−DDD)(副腎皮質)、アミノグルテチミド(乳房)、副腎皮質ステロイド(Adrenorticosteriods)、例えば、プレドニゾン(急性および慢性リンパ性白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、乳房)、プロゲスチン、例えば、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン(Hydroxprogesterone caproate)、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール(子宮内膜、乳房)、ステロイド(例えば、リン酸ベタメタゾンナトリウムおよび酢酸ベタメタゾンを含む)が挙げられる。
本発明の化合物と組み合せて使用するために適したホルモンおよびアンタゴニストの代表的な限定されない例としては、これらに限定されるものではないが、エストロゲン剤:ジエチルスチルベストロール(Diethylstibestrol)エチニルエストラジオール(乳房、前立腺)、抗エストロゲン剤:タモキシフェン(乳房)、アンドロゲン剤:プロピオン酸テストステロンフルオキシメステロン(Fluxomyesterone)(乳房)、抗アンドロゲン剤:フルタミド(前立腺)、ゴナドトロピン放出ホルモン類似体:ロイプロリド(前立腺)が挙げられる。その他のホルモンとしては、酢酸メドロキシプロゲステロン、エストラジオール、酢酸メゲストロール、酢酸オクトレオチド、ジエチルスチルベストロール二リン酸、テストラクトン、および酢酸ゴセレリンが挙げられる。
本発明の化合物は、関節炎を治療するために用いる治療薬と組み合せて、または交互に使用することができる。かかる薬剤の例としては、限定されるものではないが、以下のものが挙げられる。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、例えばシクロオキシゲナーゼ(cylcooxygenase)−2(COX−2)阻害剤、アスピリン(アセチルサリチル酸)、イブプロフェン、ケトプロフェン、およびナプロキセンなど、
鎮痛薬、例えばアセトアミノフェン、オピオイド鎮痛薬、および経皮フェンタニルなど、
生物反応修飾物質、例えばエタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、アナキンラ、アバタセプト、リツキシマブ(tiruximab)、セルトリズマブ・ペゴル、およびトシリズマブなど、
副腎皮質ステロイドまたはステロイド、例えばグルココルチコイド(GC)、フルチカゾン、ブデソニド、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、アドレナリン、アルドステロン、酢酸コルチゾン、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、フルオコルトロン、ヒドロコルチゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレドニリデン、プロシノニド、リメキソロン、および副腎皮質など、
疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)、例えばヒドロキシクロロキン、シクロホスファミド(cyclosphosphamide)、クロラムブシル、金化合物オーラノフィン、スルファサラジン、ミノサイクリン、シクロスポリン、トル様受容体アゴニストおよびアンタゴニスト、キナーゼ阻害剤(例えば、p38 MAPK)免疫抑制剤および腫瘍壊死因子(TNF)ブロッカー(例えば、エタネルセプト、インフリキシマブ、およびアダリムマブ)など、
線維筋痛症薬物、例えばアミトリプチリン、フルオキセチン、デュロキセチン、ミルナシプラン、シクロベンザプリン(cylobenzaprine)、トラマドール、ガバペンチン、プレガバリン、および二重再取り込み阻害剤など、
骨粗しょう症薬物、例えばエストロゲン、副甲状腺ホルモン、ビスホスホネート、選択的受容体分子、および骨形成剤など、
痛風薬物、例えばアロプリノール、プロベネシド、ロサルタン、およびフェノフィブラートなど、
乾癬薬物、例えばアシトレチンなど、ならびに
局所治療薬、例えば局所NSAIDおよびカプサイシンなど。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、例えばシクロオキシゲナーゼ(cylcooxygenase)−2(COX−2)阻害剤、アスピリン(アセチルサリチル酸)、イブプロフェン、ケトプロフェン、およびナプロキセンなど、
鎮痛薬、例えばアセトアミノフェン、オピオイド鎮痛薬、および経皮フェンタニルなど、
生物反応修飾物質、例えばエタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、アナキンラ、アバタセプト、リツキシマブ(tiruximab)、セルトリズマブ・ペゴル、およびトシリズマブなど、
副腎皮質ステロイドまたはステロイド、例えばグルココルチコイド(GC)、フルチカゾン、ブデソニド、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、アドレナリン、アルドステロン、酢酸コルチゾン、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、フルオコルトロン、ヒドロコルチゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレドニリデン、プロシノニド、リメキソロン、および副腎皮質など、
疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)、例えばヒドロキシクロロキン、シクロホスファミド(cyclosphosphamide)、クロラムブシル、金化合物オーラノフィン、スルファサラジン、ミノサイクリン、シクロスポリン、トル様受容体アゴニストおよびアンタゴニスト、キナーゼ阻害剤(例えば、p38 MAPK)免疫抑制剤および腫瘍壊死因子(TNF)ブロッカー(例えば、エタネルセプト、インフリキシマブ、およびアダリムマブ)など、
線維筋痛症薬物、例えばアミトリプチリン、フルオキセチン、デュロキセチン、ミルナシプラン、シクロベンザプリン(cylobenzaprine)、トラマドール、ガバペンチン、プレガバリン、および二重再取り込み阻害剤など、
骨粗しょう症薬物、例えばエストロゲン、副甲状腺ホルモン、ビスホスホネート、選択的受容体分子、および骨形成剤など、
痛風薬物、例えばアロプリノール、プロベネシド、ロサルタン、およびフェノフィブラートなど、
乾癬薬物、例えばアシトレチンなど、ならびに
局所治療薬、例えば局所NSAIDおよびカプサイシンなど。
本発明の化合物はまた、喘息を治療するために用いられる治療薬と組み合せて、または交互に使用することができる。かかる薬剤の例としては、限定されるものではないが、以下のものが挙げられる。
抗アレルギー薬、例えばクロモグリク酸ナトリウムおよびフマル酸ケトチフェンなど、
抗炎症薬、例えばNSAIDおよびステロイド性抗炎症薬(例えば、二プロピオン酸ベクロメタゾン、ブデソニド、リン酸デキサメタゾンナトリウム、フルニソリド、プロピオン酸フルチカゾン、およびトリアムシノロンアセトニド)など、
抗コリン薬、例えばイプラトピウム臭化物、ベラドンナアルカロイド、アトロピン、およびオキシトロピウム臭化物など、
抗ヒスタミン薬、例えばクロロフェニラミン、ブロムフェニラミン、ジフェンヒドラミン、クレマスチン、ジメンヒドリナート、セチリジン、ヒドロキシジン、メクリジン、フェキソフェナジン、ロラタジン、およびエナジン(enadine)など、
β2−アドレナリン作動薬(β作動薬)、例えばアルブタモール(albutamol)、テルブタリン、エピネフリン、メタプロテレノール、イプラトピウム臭化物、麻黄(アルカロイド源)、エフェドリン、およびシュードエフェドリンなど、
ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、例えばザフィルルカストおよびジレウトンモンテルカストなど、
キサンチン(気管支拡張薬)、例えばテオフィリン、ジフィリン、およびオクストリフィリンなど、
種々の抗喘息薬、例えばキサンチン、メチルキサンチン、オクストリフィリン、アミノフィリン、ザルダベリンなどのホスホジエステラーゼ阻害剤、ニフェジピンなどのカルシウム拮抗薬、およびクロマカリムなどのカリウム活性化剤、ならびに
予防薬(1または複数)、例えばクロモグリク酸ナトリウム、クロモグリク酸ナトリウム、ネドクロミル、およびケトチフェンなど。
抗アレルギー薬、例えばクロモグリク酸ナトリウムおよびフマル酸ケトチフェンなど、
抗炎症薬、例えばNSAIDおよびステロイド性抗炎症薬(例えば、二プロピオン酸ベクロメタゾン、ブデソニド、リン酸デキサメタゾンナトリウム、フルニソリド、プロピオン酸フルチカゾン、およびトリアムシノロンアセトニド)など、
抗コリン薬、例えばイプラトピウム臭化物、ベラドンナアルカロイド、アトロピン、およびオキシトロピウム臭化物など、
抗ヒスタミン薬、例えばクロロフェニラミン、ブロムフェニラミン、ジフェンヒドラミン、クレマスチン、ジメンヒドリナート、セチリジン、ヒドロキシジン、メクリジン、フェキソフェナジン、ロラタジン、およびエナジン(enadine)など、
β2−アドレナリン作動薬(β作動薬)、例えばアルブタモール(albutamol)、テルブタリン、エピネフリン、メタプロテレノール、イプラトピウム臭化物、麻黄(アルカロイド源)、エフェドリン、およびシュードエフェドリンなど、
ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、例えばザフィルルカストおよびジレウトンモンテルカストなど、
キサンチン(気管支拡張薬)、例えばテオフィリン、ジフィリン、およびオクストリフィリンなど、
種々の抗喘息薬、例えばキサンチン、メチルキサンチン、オクストリフィリン、アミノフィリン、ザルダベリンなどのホスホジエステラーゼ阻害剤、ニフェジピンなどのカルシウム拮抗薬、およびクロマカリムなどのカリウム活性化剤、ならびに
予防薬(1または複数)、例えばクロモグリク酸ナトリウム、クロモグリク酸ナトリウム、ネドクロミル、およびケトチフェンなど。
さらに、本発明の化合物と組み合せて、または交互に使用することのできる活性薬剤の限定されない例としては、抗乾癬剤、抗炎症性腸疾患(抗IBD)剤、抗慢性閉塞性肺疾患(抗COPD)剤、抗多発性硬化症剤が挙げられる。
(VI.製造物品)
本発明には、本明細書に記載される1以上の化合物を含む組成物をもたらす製造物品も含まれる。製造物品は、本明細書に記載される化合物の1以上を、1以上のさらなる治療薬と組み合せて含んでよい。製造物品には、本発明に係る使用に適した組成物を任意のキャリアとともに、乾燥形態または液体形態のいずれかで収容するバイアルまたはその他の容器が含まれてよい。特に、製造物品は、本発明に係る組成物とともに容器を含むキットを含んでよい。そのようなキットでは、組成物は多様な組合せで送達され得る。例えば、組成物は有効成分全てを含む単一の投与量からなってよい。あるいは、1より多くの有効成分が提供される場合、組成物は各々が1以上の有効成分を含む複数の投与量からなってよく、該投与量は、一緒に、連続して、またはその他の近接する時間での投与を目的とする。例えば、投与量は、各々が単一の有効成分を含む、固体形態(例えば、錠剤、カプレット、カプセル剤、または同種のもの)または液体形態(例えば、バイアル)であるべきであるが、一緒に投与するためのブリスター包装、バッグ、または同種のものに提供される。
本発明には、本明細書に記載される1以上の化合物を含む組成物をもたらす製造物品も含まれる。製造物品は、本明細書に記載される化合物の1以上を、1以上のさらなる治療薬と組み合せて含んでよい。製造物品には、本発明に係る使用に適した組成物を任意のキャリアとともに、乾燥形態または液体形態のいずれかで収容するバイアルまたはその他の容器が含まれてよい。特に、製造物品は、本発明に係る組成物とともに容器を含むキットを含んでよい。そのようなキットでは、組成物は多様な組合せで送達され得る。例えば、組成物は有効成分全てを含む単一の投与量からなってよい。あるいは、1より多くの有効成分が提供される場合、組成物は各々が1以上の有効成分を含む複数の投与量からなってよく、該投与量は、一緒に、連続して、またはその他の近接する時間での投与を目的とする。例えば、投与量は、各々が単一の有効成分を含む、固体形態(例えば、錠剤、カプレット、カプセル剤、または同種のもの)または液体形態(例えば、バイアル)であるべきであるが、一緒に投与するためのブリスター包装、バッグ、または同種のものに提供される。
製造物品には、本発明の方法を実行するための説明書がさらに含まれる。かかる説明書は、様々な形態、例えば容器のラベル、容器が包装されている箱に含まれる挿入物、または多様なコンピュータで読み取り可能なフォーマットなどであってよい。説明書はまた、バイアルが包装されている箱に印刷されてもよい。説明書には、被験体または当業者が医薬組成物を投与できるようにするための、十分な投与量などの情報および投与情報が含まれる。当業者には、組成物を投与し得るあらゆる医師、看護師、技師、配偶者、またはその他の介護者が含まれると予測される。医薬組成物は、被験体によって自己投与されてもよい。
(VII.治療の方法)
既に記したように、葉酸拮抗剤は、それにより阻害される、葉酸に依存する代謝過程に関して変動することができ、多くの葉酸拮抗剤は様々な酵素に作用する。ペメトレキセド(ALIMTA(登録商標)またはL−グルタミン酸、N−[4−[2−(2−アミノ−4,7−ジヒドロ−4−オキソ−1H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]ベンゾイル−、二ナトリウム塩、七水和物としても公知)は、複数の酵素で作用し、式(13)に示される構造を有すると知られている葉酸拮抗剤の一例である。ペメトレキセドは、TS、DHFR、およびGARFTを阻害することにより抗腫瘍作用を示すことが知られている。
既に記したように、葉酸拮抗剤は、それにより阻害される、葉酸に依存する代謝過程に関して変動することができ、多くの葉酸拮抗剤は様々な酵素に作用する。ペメトレキセド(ALIMTA(登録商標)またはL−グルタミン酸、N−[4−[2−(2−アミノ−4,7−ジヒドロ−4−オキソ−1H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]ベンゾイル−、二ナトリウム塩、七水和物としても公知)は、複数の酵素で作用し、式(13)に示される構造を有すると知られている葉酸拮抗剤の一例である。ペメトレキセドは、TS、DHFR、およびGARFTを阻害することにより抗腫瘍作用を示すことが知られている。
チミジル酸シンターゼ(TS)は、ピリミジン新規デオキシヌクレオチド生合成の律速酵素であり、したがって多くの場合化学療法戦略の標的である。DNA合成では、TSは、デオキシウリジン−5’−一リン酸(dUMP)のデオキシチミジン−5’−一リン酸(dUMP)への還元的メチル化において中心的な役割を果たす。したがって、TS阻害は、dTMPおよびその後の、DNAの必須前駆体である2’−デオキシチミジン−5’−三リン酸(dTTP)の欠乏に直接つながる。その結果、2’−デオキシウリジン−5’−三リン酸塩(dUTP)の蓄積が間接的にもたらされ、したがって、dUTPのDNAへの誤組み込みに起因するいわゆる「チミン飢餓死」およびその後のウラシル−DNAグリコシラーゼにより触媒される切除が引き起こされ、それがDNAに損傷をもたらす。このDNA損傷と記したdTTP/dUTPの不均衡の両方は、下流のイベントを誘導し、アポトーシス(細胞死)を引き起こし得る。
ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)は、7,8−ジヒドロ葉酸塩(DHFまたはH2F)の5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸塩(THFまたはH4F)へのNADPH依存性還元を触媒する。したがって、DHFRは、プリン、チミジル酸、およびいくつかのアミノ酸の合成経路の必須補因子である、THFの細胞内レベルを維持するために必要である。
グリシンアミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼ(GARFT)は、細胞分裂および増殖に重大な意味を持つ新規なプリン生合成経路における葉酸依存性酵素である。具体的に、GARFTは10−ホルミルテトラヒドロ葉酸塩(10−FTHF)のTHFへの反応からのプリンの形成を触媒する。GARFTを阻害する結果、細胞内プリンレベルの欠乏が生じ、それは次にDNAおよびRNA合成を阻害する。最終的に、GARFT阻害によるDNAおよびRNA合成の妨害の結果として細胞死がもたらされる。GARFT阻害に関連する抗増殖性効果は、それを抗腫瘍薬の特に望ましい標的とする。
葉酸拮抗剤、例えばペメトレキセドなどは、還元型葉酸キャリア系および膜葉酸結合タンパク質(membrane folate binding protein)輸送系などの機構により細胞の中に輸送され得る。細胞内に入ると、ペメトレキセドはホリルポリグルタミン酸シンターゼによりポリグルタミル酸塩(polyglutamylate)形態に変換される。ポリグルタミル酸塩形態は細胞内で保持され、TSおよびGARFTの阻害剤である。ポリグルタミル化(polyglutamylation)は、腫瘍細胞に起こり、それより少ない程度で、正常組織にも起こる時間および濃度依存性過程である。ポリグルタミル化代謝産物は、増加した細胞内半減期を有し、その結果、悪性細胞において長期の薬物作用がもたらされる。
多くの場合、複数の酵素に対する広範な作用は望ましくない。例えば、ペメトレキセドは、DHFR、TS、およびGARFTを阻害する。上記のように、TSおよびGARFTの阻害は細胞死に強く関連し、したがってTSおよびGARFT阻害剤を抗腫瘍薬として使用することが望ましい。しかし、薬物、例えばペメトレキセドなどの、アポトーシスを誘導する能力はその薬物の毒性を増大させる(すなわち、腫瘍細胞だけでなく健康な細胞の死)。
化合物、例えばペメトレキセドなどの、TSおよびGARFTの阻害剤としての機能は、細胞内部での化合物のポリグルタミル化から生じる。本発明によれば、ポリグルタミル化不可能な化合物は必ずしもTS阻害剤またはGARFT阻害剤として機能しないことが特定されている。しかし、ポリグルタミル化による阻害は、一般に化合物がDHFR阻害剤として機能する能力に影響を及ぼさない。例えば、ペメトレキセドは、ペメトレキセドのポリグルタミン酸塩形態と比較して同等のDHFR阻害を有することが示されている。
式(7)〜(11)に見られるように、本発明の化合物は、4−メチリデン基を化合物のグルタミン酸部分に含む。それはγメチレングルタミン酸部分とも称される。メチレン基が存在することにより、本発明の化合物はポリグルタミル化できない。したがって、本発明の化合物はDHFR阻害に特異的である(すなわち、細胞内部のポリグルタミル化が欠如しているためにTSまたはGARFTを阻害しない)。かかる特異性は、毒性を回避または低下させ、その化合物、例えばさらなる酵素、例えばTSおよびGARFTなどで作用するペメトレキセドなどにより一般的に関連する副作用を最小化すると同時に、より特異的な治療を提供するために望ましい。
本発明の化合物は、一般に状態の症状または状態を治療するために葉酸代謝の妨害が有益である、様々な状態の治療において特に有用である。したがって、さらなる実施形態では、本発明は、様々な疾患または状態を治療する方法に関する。特定の実施形態では、本発明は、葉酸代謝の妨害により治療可能であることが公知であるか見出された疾患または状態を治療する方法を提供する。さらなる実施形態では、本発明は、DHFRの阻害を通じて様々な疾患または状態を治療する方法を提供する。特定の実施形態では、かかるDHFRの阻害は選択的である。特に、DHFRの特異的阻害は、TSまたはGARFTを阻害しないDHFRの阻害を含む。具体的な実施形態では、本発明は、状態、例えば異常細胞増殖、炎症(炎症性腸疾患を含む)、関節炎(特に関節リウマチ)、乾癬、および喘息などを治療する方法を提供する。
(A.異常細胞増殖)
異常細胞増殖は、深刻な健康への脅威を示す癌および非癌障害を含む、多くの疾患および状態の根源であることが示されている。一般に、異常な細胞の増殖、例えば腫瘍におけるものなどは、正常細胞の増殖を上回り、かつ、正常細胞と協調しない。さらに、腫瘍細胞の異常増殖は、一般に、本来細胞の増殖に異常を引き起こした刺激が停止した後も異常な(すなわち、過剰な)方法で持続する。良性腫瘍は、それらの分化した特徴を保持し、完全に制御されない方法で分裂しない細胞が特徴である。良性腫瘍は通常局在し非転移性である。悪性腫瘍(すなわち、癌)は、分化しておらず、身体の増殖制御シグナルに応答せず、かつ制御されない方法で増殖する細胞が特徴である。悪性腫瘍は侵襲性であり転移可能である。
異常細胞増殖は、深刻な健康への脅威を示す癌および非癌障害を含む、多くの疾患および状態の根源であることが示されている。一般に、異常な細胞の増殖、例えば腫瘍におけるものなどは、正常細胞の増殖を上回り、かつ、正常細胞と協調しない。さらに、腫瘍細胞の異常増殖は、一般に、本来細胞の増殖に異常を引き起こした刺激が停止した後も異常な(すなわち、過剰な)方法で持続する。良性腫瘍は、それらの分化した特徴を保持し、完全に制御されない方法で分裂しない細胞が特徴である。良性腫瘍は通常局在し非転移性である。悪性腫瘍(すなわち、癌)は、分化しておらず、身体の増殖制御シグナルに応答せず、かつ制御されない方法で増殖する細胞が特徴である。悪性腫瘍は侵襲性であり転移可能である。
異常細胞増殖の疾患または状態の治療は、異常増殖性細胞を死滅させる、阻害する、または、異常増殖性細胞(腫瘍もしくは癌性増殖を含む)の本体または集団の増殖またはサイズの増大を遅らせる、異常増殖性細胞集団の細胞の数を減少させる、あるいは異常増殖性細胞のその他の解剖学的部位への拡大を防ぐ、かつ異常増殖性細胞の増殖のサイズを低下させる、方法を含む。用語「治療」は、必ずしも異常細胞増殖の障害の治癒または完全な消滅を意味するものではない。異常細胞増殖の予防は、治療の不在下で起こり得るそれと比較して、異常細胞増殖の発生の可能性または異常細胞増殖の障害の発病を減速する、遅延する、制御するまたは低下させる方法を含む。
異常な細胞増殖、特に過剰増殖は、遺伝子突然変異、感染、毒への暴露、自己免疫障害、および良性または悪性腫瘍誘発を含む、幅広い種類の要因の結果として起こり得る。過剰増殖性細胞障害としては、限定されるものではないが、皮膚障害、血管障害、心血管障害、線維障害(fibrotic disorder)、糸球体間質(mesangial)障害、自己免疫障害、移植片対宿主拒絶、腫瘍、および癌が挙げられる。
本発明を用いて治療することのできる、代表的な、限定されない種類の非腫瘍性異常細胞増殖障害としては、乾癬、湿疹(eczerma)、角化症、基底細胞癌、および扁平上皮癌などの皮膚障害、高血圧症および血管閉塞性疾患(vasculo−occlusive diseases)(例えば、アテローム性動脈硬化症、血栓症および再狭窄)などの心血管系の障害、結果的に血管の異常な増殖、例えば血管新生(antiogenesis)などをもたらす血管原性(形成)および血管新生(伝播性(spreading))障害などの血管増殖性障害、ならびに、肥満症および真性糖尿病(1型および2型)を含む、インスリン抵抗性の状態などの内分泌系に関連する障害が挙げられる。
本発明の組成物および方法は、非腫瘍性異常細胞増殖に関連する炎症性疾患を治療するためにも有用である。これらとしては、限定されるものではないが、炎症性腸疾患(IBD)、関節リウマチ(RA)、多発性硬化症(MS)、増殖性糸球体腎炎、紅斑性狼瘡、強皮症、側頭動脈炎、閉塞性血栓性血管炎、粘膜皮膚リンパ節症候群、喘息、宿主対移植片(host versus graft)、甲状腺炎、グレーブス病、抗原誘導性気道過敏症(antigen−induced airway hyperactivity)、肺好酸球増加症、ギラン・バレー症候群、アレルギー性鼻炎、重症筋無力症、ヒトT−リンパ好性ウイルス1型関連脊髄症、単純ヘルペス脳炎、炎症性筋疾患、アテローム性動脈硬化症、およびグッドパスチャー症候群が挙げられる。
特定の実施形態では、本発明の化合物は乾癬の治療において有用である。乾癬は、皮膚で抗原提示細胞(APC)による慢性的なT細胞の刺激が起こることを特徴とする、免疫介在性皮膚障害である。乾癬の様々な種類としては、例えば、尋常性乾癬(すなわち、尋常性の乾癬)、膿疱性乾癬、滴状乾癬、逆乾癬(inverse psoriasis)、乾癬性紅皮症、乾癬性関節炎、頭皮乾癬および爪乾癬が挙げられる。乾癬の一般的な全身治療としては、メトトレキサート、シクロスポリンおよび経口レチノイドが挙げられるが、それらの使用は毒性により制限される。40%までの乾癬患者はまた、乾癬性関節炎を発症する(Kormeili T et al.Br J Dermatol.(2004) 151(1):3−15)。
さらなる実施形態では、本発明の化合物は、結果的に血管の異常な増殖をもたらす血管原性(形成)および血管新生(伝播)障害を含む、血管増殖性障害の治療において有用である。その他の血管増殖性障害としては、関節炎および糖尿病性網膜症などの眼疾患が挙げられる。異常な新血管新生はまた、固形腫瘍にも関連する。特定の実施形態では、本発明の化合物は、制御されない血管形成に関連する疾患の治療において有用である。代表的な限定されない異常な血管形成の疾患としては、関節リウマチ、虚血再潅流関連脳浮腫および障害、皮質虚血、卵巣過形成および血管過多、(多嚢胞性卵巣症候群)、子宮内膜症、乾癬、糖尿病性網膜症、およびその他の眼血管新生疾患(未熟児網膜症(後水晶体線維増殖症(retrolental fibroplastic))、黄斑変性症、角膜移植拒絶、血管新生緑内障(neuroscular glaucoma)、およびOster Webber症候群)が挙げられる。異常な血液細胞増殖に関連する癌としては、血管内皮腫、血管腫、およびカポジ肉腫が挙げられる。
さらなる実施形態では、本発明の化合物は、異常細胞増殖を伴う心血管系の障害の治療において有用である。かかる障害としては、例えば、高血圧症、血管閉塞性疾患(vasculo−occlusive diseases)(例えば、アテローム性動脈硬化症、血栓症、および血管形成術後の再狭窄)、急性冠動脈症候群(例えば不安定狭心症、心筋梗塞、虚血性および非虚血性心筋症、心筋梗塞後心筋症、および心筋線維症)、および物質誘発性心筋症が挙げられる。
血管損傷はまた、結果的に内皮および血管の平滑筋細胞増殖をもたらし得る。損傷は、外傷性事象またはインターベンション(例えば、血管形成術、血管移植、吻合、臓器移植)により引き起こされ得る(Clowes A et al.A.J.Vase.Surg (1991) 13:885)。再狭窄(例えば、冠動脈、頸動脈、および大脳の病変)は、成功した冠動脈のバルーン血管形成術の主な合併症である。それは、冠動脈を裏打ちする内皮細胞に対する機械的損傷の結果としての増殖因子の放出により引き起こされると考えられる。
本発明の手段により治療または予防することのできるその他のアテローム硬化性の状態としては、内皮および/または血管の平滑筋細胞の増殖を伴う動脈壁疾患が挙げられ、それには、糖尿病、糖尿病性糸球体硬化症、および糖尿病性網膜症の合併症が含まれる。
さらなる実施形態では、本発明の化合物は、内分泌系に関連する異常細胞増殖障害の治療において有用である。かかる障害としては、例えば、肥満症を含むインスリン抵抗性の状態、真性糖尿病(1型および2型)、糖尿病性網膜症、糖尿病に関連する黄斑変性症、妊娠糖尿病、耐糖能異常、多嚢胞性卵巣症候群、骨粗しょう症、骨減少症、ならびにウェルナー症候群を含む組織および器官の加齢促進が挙げられる。
さらなる実施形態では、本発明の化合物は、泌尿生殖器系の異常細胞増殖障害の治療において有用である。これらとしては、例えば、子宮内膜症(edometriosis)、良性前立腺肥大、平滑筋腫(eiomyoma)、多発性嚢胞腎疾患、および糖尿病性腎症が挙げられる。
さらなる実施形態では、本発明の化合物は、線維障害の治療において有用である。線維症を伴う医学的状態としては、外科手術または損傷の結果生じる望ましくない組織癒着が挙げられる。線維障害の限定されない例としては、肝硬変および糸球体間質の(mesangial)増殖性細胞障害が挙げられる。
なおさらなる実施形態では、組織および関節の異常細胞増殖障害は、本発明にしたがって治療され得る。かかる障害としては、例えば、レイノー現象/病、シェーグレン症候群 全身性硬化症、全身性紅斑性狼瘡、血管炎、強直性脊椎炎、変形性関節症、反応性関節炎、乾癬性関節炎、および線維筋痛症が挙げられる。
特定の実施形態では、肺の系統の異常細胞増殖障害も、本発明に従って治療され得る。これらの障害としては、例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、反応性気道疾患、肺線維症、および肺高血圧症が挙げられる。
本発明に従って治療され得る異常細胞増殖成分を含むさらなる障害としては、ベーチェット症候群、乳腺線維嚢胞症、線維腺腫、慢性疲労症候群、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、虚血性心疾患、透析後症候群、白血病、後天性免疫不全症候群、血管炎、脂質組織球増殖症、敗血性ショック、およびガードナー症候群などの家族性腸ポリープ症が挙げられる。また、本発明の組成物および方法により治療され得る障害の範囲に含められるものは、ウイルス誘発性過剰増殖性疾患であり、それには、例えば、ヒトパピローマウイルス誘発性疾患(例えば、ヒトパピローマウイルス感染に起因する病変)、エプスタイン−バーウイルス誘発性疾患、瘢痕形成、性器疣贅、皮膚疣贅、および同類のものが含まれる。
本発明の化合物は、原発腫瘍および腫瘍転移などの様々な種類の癌を含む、異常細胞増殖の状態および疾患の治療においてさらに有用である。本発明に従って治療することのできる良性腫瘍の具体的な限定されない種類としては、血管腫、肝細胞腺腫、海綿状血管腫、限局性結節性過形成、聴神経腫瘍、神経線維腫、胆管腺腫、胆管嚢胞腺腫(bile duct cystanoma)、線維腫、脂肪腫、平滑筋腫、中皮腫、奇形腫、粘液腫、結節性再生性過形成、トラコーマ、および化膿性肉芽腫が挙げられる。
本発明に従って治療可能な代表的な限定されない癌としては、乳癌、皮膚癌、骨癌、前立腺癌、肝癌、肺癌、脳癌、喉頭、胆嚢、膵臓、直腸、上皮小体、甲状腺、副腎、神経組織、頭頸部、結腸、胃、気管支、腎臓の癌、基底細胞癌、潰瘍性および乳頭型の両方の扁平上皮癌、転移性皮膚癌、骨肉腫、ユーイング肉腫、細網肉腫、骨髄腫、巨細胞腫、小細胞肺腫瘍、胆石、膵島腫瘍、原発性脳腫瘍、急性および慢性のリンパ腫および顆粒球腫、毛様細胞腫、腺腫、過形成、髄様癌、褐色細胞腫、粘膜神経腫、腸管神経節腫(intestinal ganglloneuromas)、過形成性角膜神経腫瘍、マルファン症候群様体質腫瘍(marfanoid habitus tumor)、ウィルムス腫瘍、精上皮腫、卵巣腫瘍、平滑筋腫瘍、子宮頚部異形成および上皮内癌、神経芽腫、網膜芽細胞腫、軟部組織肉腫、悪性カルチノイド、局所皮膚病変、菌状息肉腫、横紋筋肉腫、カポジ肉腫、骨原性およびその他の肉腫、悪性高カルシウム血症、腎細胞腫瘍、真性赤血球増加症、腺癌、多形神経膠芽腫、白血病、リンパ腫、悪性黒色腫、類表皮癌、ならびにその他の癌腫および肉腫が挙げられる。
本発明の化合物はまた、拒絶反応またはその他の合併症の一因となる、臓器移植に関連する増殖応答を予防または治療する際に有用である。例えば、増殖応答は、心臓、肺、肝臓、腎臓、およびその他の体臓器または臓器系の移植の間に起こり得る。
(B.炎症)
本発明の化合物はまた、炎症を特徴とする疾患の治療においても有用である。有意な炎症性の成分を有する疾患および状態は偏在性であり、例えば、皮膚障害、腸障害、特定の神経変性疾患、関節炎、自己免疫疾患および様々なその他の疾病が挙げられる。これらの疾患の一部は、上記のように、炎症性および増殖性の成分の両方を有する。特定の実施形態では、化合物は、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病(CD)、潰瘍性大腸炎(UC)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、サルコイドーシス、または乾癬を治療するために用いられる。本開示の化合物は、その他の炎症性疾患、例えば、アレルギー障害、皮膚障害、移植拒絶、連鎖球菌感染後および自己免疫性腎不全、敗血性ショック、全身性炎症反応症候群(SIRS)、成人性呼吸窮迫症候群(ARDS)、毒物注入、紅斑性狼瘡、橋本甲状腺炎、自己免疫性溶血性貧血、インスリン依存性真性糖尿病、およびリウマチ熱、骨盤内炎症性疾患(PID)、結膜炎、皮膚炎、および気管支炎の治療においても有用である。
本発明の化合物はまた、炎症を特徴とする疾患の治療においても有用である。有意な炎症性の成分を有する疾患および状態は偏在性であり、例えば、皮膚障害、腸障害、特定の神経変性疾患、関節炎、自己免疫疾患および様々なその他の疾病が挙げられる。これらの疾患の一部は、上記のように、炎症性および増殖性の成分の両方を有する。特定の実施形態では、化合物は、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病(CD)、潰瘍性大腸炎(UC)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、サルコイドーシス、または乾癬を治療するために用いられる。本開示の化合物は、その他の炎症性疾患、例えば、アレルギー障害、皮膚障害、移植拒絶、連鎖球菌感染後および自己免疫性腎不全、敗血性ショック、全身性炎症反応症候群(SIRS)、成人性呼吸窮迫症候群(ARDS)、毒物注入、紅斑性狼瘡、橋本甲状腺炎、自己免疫性溶血性貧血、インスリン依存性真性糖尿病、およびリウマチ熱、骨盤内炎症性疾患(PID)、結膜炎、皮膚炎、および気管支炎の治療においても有用である。
炎症性腸疾患(IBD)には、クローン病(CD)および潰瘍性大腸炎(UC)を含むいくつかの慢性炎症状態が含まれる。CDとUCは両方とも、それらの病因が不明であるので「特発性」であると考えられる。クローン病と潰瘍性大腸炎は多くの症状(例えば、下痢、腹痛、熱、疲労)を共有するが、潰瘍性大腸炎は結腸に限定され、一方のクローン病は胃腸管のあらゆる部分に関係し得る。両方の疾患は、関節炎、眼の疾患(例えば、上強膜炎および虹彩炎)、皮膚疾患(例えば、結節性紅斑および壊疽性膿皮症)、尿路合併症、胆石、および貧血を含む、腸外の徴候に関与し得る。卒中、網膜血栓症(retinal thrombi)、および肺塞栓症は、多くの患者が過凝固状態にあるため珍しくない。
特定の実施形態では、本発明の化合物(その製薬上許容される塩、プロドラッグおよびエステルを含む)は、炎症性腸疾患の治療において有用である。好ましい実施形態では、炎症性腸疾患はクローン病である。
慢性閉塞性肺疾患、またはCOPDは、進行性であり、肺の異常な炎症反応に関連する、不完全な可逆性気流制限を特徴とする。それは、慢性的な罹患率および死亡率の主な原因である、成人の最も一般的な呼吸状態の一つであり、世界的な、実質的な経済および社会的負担に相当する(Pauwels R A.Lancet.(2004) 364(9434):613−20)。この障害のその他の名称としては、例えば、慢性閉塞性気道疾患、(COAD)、慢性閉塞性肺疾患、(COLD)、慢性気流制限、(CALまたはCAFL)および慢性気道閉塞(COA)が挙げられる。
COPDは、気道、柔組織、および肺の脈管構造にわたる慢性炎症を特徴とする。炎症は、多数の細胞、介在物質、および炎症作用を伴う。介在物質としては、例えば、プロテアーゼ、酸化剤および毒性ペプチドが挙げられる。経時的に、炎症は肺を損傷し、COPDに特徴的な病態変化を引き起こす。疾患の徴候には、慢性気管支炎と肺気腫の両方が含まれる。慢性気管支炎は長期にわたる気道の炎症であり、多くの粘液を生じ、喘鳴音および感染を引き起こす。被験体が1年に少なくとも3ヶ月の間かつ連続して2年間、定期的に咳および粘液を有するならば、慢性であると考えられる。肺気腫は、肺胞および/または気管支を破壊し、気嚢を拡張させ、したがって呼吸を困難にする疾患である。COPD患者で最も一般的なものは、肺気腫の小葉中心性の型である。特定の実施形態では、本発明の化合物は、慢性閉塞性肺疾患の治療において有用である。
サルコイドーシスは、異常細胞増殖に関連するさらに別の慢性炎症性疾患である。サルコイドーシス(Sarcoidois)は、炎症細胞の一定供給をもたらす血管新生毛細血管芽により作り出される多システム肉芽腫症である。
上に記したように、炎症はまた、再狭窄、プラーク破綻の結果生じるアテローム硬化性の合併症、重度の組織虚血、および心不全を含む、心血管疾患の発病において重要な役割を果たす。例えば、動脈壁の炎症性変化は、再狭窄およびアテローム性動脈硬化症の進行に主な役割を果たすと考えられる(Ross R.N Engl J Med.(1999)340:115−126)。プラークの形成の際に生じる局所炎症はまた、進行したプラークの繊維性皮膜(fibrous cap)を弱体化させることにも貢献し、最終的にプラーク破綻および急性冠動脈症候群をもたらす(Lind L.Atherosclerosis.(2003)169(2):203−14)。
多発性硬化症(MS)は、中枢神経系に影響を及ぼす、慢性の、しばしば消耗性の自己免疫疾患である。MSは、脳および脊髄において神経を分離する脂肪物質であるミエリン鞘のタンパク質に対して抗体および白血球を産生させる時に結果的に生じる炎症を特徴とする。この結果は、筋肉の協調、視覚およびその他の神経シグナルを遅らせるかまたは阻止する、複数領域の瘢痕(硬化症)であり得る。特定の実施形態では、本発明の化合物は、多発性硬化症の治療において有用である。
炎症は、パーキンソン病およびアルツハイマー病を含む神経疾患の病変形成に関連することが示されている(Mirza B.et al.Neuroscience (2000) 95(2):425−32、Gupta A.Int J Clin Pract.(2003) 57(l):36−9、Ghatan E.et al.Neurosci Biobehav Rev.(1999) 23(5):615−33)。
本発明はまた、例えば、アレルギー障害、アレルギー性鼻炎、皮膚障害、移植拒絶、連鎖球菌感染後および自己免疫性の腎不全、敗血性ショック、全身性炎症反応症候群(SIRS)、成人性呼吸窮迫症候群(ARDS)、毒物注入、紅斑性狼瘡、重症筋無力症、グレーブス病、橋本甲状腺炎、自己免疫性溶血性貧血、インスリン依存性真性糖尿病、糸球体腎炎、およびリウマチ熱、骨盤内炎症性疾患(PID)、結膜炎、皮膚炎、気管支炎、および鼻炎の治療においても有用である。
(C.喘息)
本明細書に開示される化合物は喘息の治療に用いることができる。近年、喘息の主な基礎病理は気道組織の炎症であることが明らかになっている(Lemanke (2002) Pediatrics 109(2):368−372、Nagayama et al.(1995) Pediatr Allergy Immunol.6:204−208)。喘息は、喘鳴音、咳、胸部絞扼感、息切れおよび痰の生成を含む、広範囲の症状および徴候に関連する。気道炎症は、喘息の病理およびその臨床徴候の重要な特色である。肥満細胞、好酸球、およびリンパ球を含む炎症細胞は、軽度の喘息をもつ若年の患者の気道にさえも存在する。
本明細書に開示される化合物は喘息の治療に用いることができる。近年、喘息の主な基礎病理は気道組織の炎症であることが明らかになっている(Lemanke (2002) Pediatrics 109(2):368−372、Nagayama et al.(1995) Pediatr Allergy Immunol.6:204−208)。喘息は、喘鳴音、咳、胸部絞扼感、息切れおよび痰の生成を含む、広範囲の症状および徴候に関連する。気道炎症は、喘息の病理およびその臨床徴候の重要な特色である。肥満細胞、好酸球、およびリンパ球を含む炎症細胞は、軽度の喘息をもつ若年の患者の気道にさえも存在する。
炎症はまた、喘息の有無に関わらず、喘鳴音障害においても役割を果たす。喘息は、喘息エピソード(または喘息発作)を引き起こし得る誘因、または特定の個体において喘息を悪化させる事物により分類される場合があり、例えば職業性喘息、運動誘発性喘息、夜間喘息、またはステロイド抵抗性喘息などである。したがって、本発明の化合物は、一般に喘鳴音障害の治療においても使用することができる。
(D.関節炎および変形性関節症)
4000万人を超えるアメリカ人が、関節炎を様々な形態で患っており、それには100種類を上回るリウマチ性疾患が含まれる(すなわち、関節、筋肉、および結合組織を侵す疾患であり、腱、軟骨、血管、および内臓を含む身体の様々な構造を構成または支持する)。代表的な種類の関節炎としては、関節リウマチ(例えば軟部組織リウマチおよび関節以外のリウマチ)、線維筋痛症、結合織炎、筋肉リウマチ、筋筋膜痛(myofascil pain)、上腕骨上顆炎、五十肩(frozen shoulder)、ティーツェ症候群、筋膜炎、腱炎、腱鞘炎、滑液包炎)、若年性慢性関節炎、脊椎関節症(強直性脊椎炎)、変形性関節症、高尿酸血症ならびに急性痛風、慢性痛風、および全身性紅斑性狼瘡に関連する関節炎が挙げられる。
4000万人を超えるアメリカ人が、関節炎を様々な形態で患っており、それには100種類を上回るリウマチ性疾患が含まれる(すなわち、関節、筋肉、および結合組織を侵す疾患であり、腱、軟骨、血管、および内臓を含む身体の様々な構造を構成または支持する)。代表的な種類の関節炎としては、関節リウマチ(例えば軟部組織リウマチおよび関節以外のリウマチ)、線維筋痛症、結合織炎、筋肉リウマチ、筋筋膜痛(myofascil pain)、上腕骨上顆炎、五十肩(frozen shoulder)、ティーツェ症候群、筋膜炎、腱炎、腱鞘炎、滑液包炎)、若年性慢性関節炎、脊椎関節症(強直性脊椎炎)、変形性関節症、高尿酸血症ならびに急性痛風、慢性痛風、および全身性紅斑性狼瘡に関連する関節炎が挙げられる。
過増殖性関節炎または変形性関節症は、関節炎の最も一般的な形態であり、関節の軟骨の破壊を特徴とする。変形性関節症は65歳以上の人に多く見られるが、数十年早く見られることもあり得る。軟骨の破壊により骨が互いに擦れ、疼痛および運動の低下をもたらす。最近では、炎症が変形性関節症に重要な役割を果たす証拠が増加している。関節を取り囲み、保護する滑液に重大な炎症のある患者のほぼ3分の1が、変形性関節症(OA)のための関節置換手術を受ける用意がある。一実施形態では、本発明の化合物は、変形性関節症の治療において有用である。
関節炎の次に一般的な形態は関節リウマチである。それは身体全体を冒す自己免疫疾患であり、脱力、疲労、食欲不振、および筋肉痛をもたらす。一般に、発症年齢は変形性関節症よりもはるかに早く、20歳〜50歳の間である。炎症は滑膜で始まり、関節全体に広がり得る。もう一つの実施形態では、本発明の化合物は、関節リウマチの治療において有用である。
(実験)
本発明をこれから様々な実施例を具体的に参照して説明する。以下の実施例は本発明の制限を意図するものではなく、むしろ例となる実施形態として提供される。
本発明をこれから様々な実施例を具体的に参照して説明する。以下の実施例は本発明の制限を意図するものではなく、むしろ例となる実施形態として提供される。
(実施例1)
(葉酸拮抗化合物の酵素阻害活性)
本明細書中でCHL−003およびCHL1007と名付けられる、新規な本発明に係る葉酸拮抗化合物を、様々な酵素活性測定法で使用するために調製した。CHL−003およびCHL1007の式は、上記式(11)および(12)に示され、その合成方法は下の実施例に示される。CHL1007は、二ナトリウム塩の(S)鏡像異性体であり、CHL−003はラセミ体である。酵素活性測定法を用いる、CHL−003およびCHL1007の様々な酵素に対する活性を、公知の葉酸拮抗剤であるメトトレキサート、アミノプテリン、およびMobiltrexに関して査定した。
(葉酸拮抗化合物の酵素阻害活性)
本明細書中でCHL−003およびCHL1007と名付けられる、新規な本発明に係る葉酸拮抗化合物を、様々な酵素活性測定法で使用するために調製した。CHL−003およびCHL1007の式は、上記式(11)および(12)に示され、その合成方法は下の実施例に示される。CHL1007は、二ナトリウム塩の(S)鏡像異性体であり、CHL−003はラセミ体である。酵素活性測定法を用いる、CHL−003およびCHL1007の様々な酵素に対する活性を、公知の葉酸拮抗剤であるメトトレキサート、アミノプテリン、およびMobiltrexに関して査定した。
CCRF−CEMヒト白血病細胞でのDHFRに対する阻害効力を、DHFRを5段階の類似体濃度のNADPHの存在下、37℃にて3分間プレインキュベートすることにより評価し、DHFRを添加することにより反応を開始させ、残りのDHFR活性を定量した。化合物に関してnMで表される50%相対活性(IC50)に相当する阻害剤濃度を下の表1に示す。
CCRF−CEMヒトT−リンパ芽球性白血病細胞でのTSに対する阻害効力を、5段階までの濃度の化合物を反応混合物に導入することにより評価し、TSの添加により反応を開始させ、残りのTS活性を定量した。化合物に関してμMで表されるIC50を下の表2に示す。
2つの輸送系が、ヒト細胞での還元型葉酸および葉酸拮抗剤の取り込みを担う。すなわち、還元型葉酸キャリア(RFC)および葉酸結合タンパク質(FBP)ファミリーである。RFCは最も広く分布し、一般に還元型葉酸および葉酸拮抗剤の輸送の主な機構であると考えられる。CCRF−CEM細胞はRFCだけしか発現しないので、このキャリアの様々な化合物との相互作用は、[3H]MTX流入の阻害剤としてのそれらの効力により測定することができる。
アミノプテリン、Mobiltrex、およびCHL−003のCCRF−CEMヒト白血病細胞のRFC取り込みの阻害効力は、インタクト細胞の2μM[3H]MTXによる取り込みの阻害により評価される(したがってアミノプテリンをメトトレキサートの代わりに査定した)。化合物に関してnM-1で表されるIC50を下の表3に示す。
上記のデータは、酵素阻害における新規な葉酸拮抗剤の選択性を説明する。表1〜表3に見られるように、CHL−003はDHFRに対して良好な活性を示す(nMの範囲で測定されたIC50値)が、TSに対してあまり活性を示さない(μMの範囲まで測定されたIC50値)。同様の試験により、CHL−003がAICARTまたはGARFTに対する活性をほとんどもたらさない(IC50値>50μM)ことが示された。既に記したように、かかる活性の選択性は、望ましくない副作用を回避すると同時に具体的な状態に対して活性を向上させために有用であり得る。本発明の葉酸拮抗剤CHL−003もRFC取り込みに対し非常に良好な活性を示し、相当に、かつ驚くべきことにアミノプテリンとMobiltrexの両方を凌ぐ。
(実施例2)
(CHL1007の合成)
化合物(S)−N−{4−[2−(2,4−ジアミノ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]ベンゾイル}−4−メチレン−Z−グルタミン酸二ナトリウム塩(CHL1007)を、市販のエチル−4−ヨードベンゾエートおよび(S)−ジエチル−2−アミノ−4−メチレンペンタンジオネートヒドロクロライドから出発して、HPLCにより測定した時に>99%より高い純度で、8段階で合成した。
(CHL1007の合成)
化合物(S)−N−{4−[2−(2,4−ジアミノ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]ベンゾイル}−4−メチレン−Z−グルタミン酸二ナトリウム塩(CHL1007)を、市販のエチル−4−ヨードベンゾエートおよび(S)−ジエチル−2−アミノ−4−メチレンペンタンジオネートヒドロクロライドから出発して、HPLCにより測定した時に>99%より高い純度で、8段階で合成した。
ステップ1
トルエン(1.5L)中、エチル−4−ヨードベンゾエート(180g、0.65モル)、アリルアルコール(67mL、0.98モル)、NaHCO3(137g、1.63モル)、Pd(OAc)2(4.39g、0.02モル)、およびn−Bu4NBr(210g、0.652モル)の混合物を還流にて5時間攪拌した。反応混合物をセライト(登録商標)濾過材料で濾過し、EtOAcですすぎ、濾液を水(各500mLの水で2回洗浄)およびブライン塩溶液(500mL)で洗浄した。有機相を濃縮し、EtOAcと石油エーテルを1:6の比で用いるシリカでのフラッシュクロマトグラフィーにより残渣を精製した。無色の油状物質を次のステップで使用するために回収した。ステップ1の全体的な反応スキームを下に示す。
トルエン(1.5L)中、エチル−4−ヨードベンゾエート(180g、0.65モル)、アリルアルコール(67mL、0.98モル)、NaHCO3(137g、1.63モル)、Pd(OAc)2(4.39g、0.02モル)、およびn−Bu4NBr(210g、0.652モル)の混合物を還流にて5時間攪拌した。反応混合物をセライト(登録商標)濾過材料で濾過し、EtOAcですすぎ、濾液を水(各500mLの水で2回洗浄)およびブライン塩溶液(500mL)で洗浄した。有機相を濃縮し、EtOAcと石油エーテルを1:6の比で用いるシリカでのフラッシュクロマトグラフィーにより残渣を精製した。無色の油状物質を次のステップで使用するために回収した。ステップ1の全体的な反応スキームを下に示す。
ステップ2
EtOH(1.7L)中、ステップ1の生成物(193.4g、0.94モル)を、パラホルムアルデヒド(28g、0.94モル)、N−エチルベンゾチアゾリウムブロマイド(46g、0.19モル)、Et3N(26mL、0.19モル)、および4オングストロームモレキュラーシーブスを合し、還流にて24時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、その残基を、EtOAcと石油エーテルを1:2の比で用いるシリカでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製されて反応生成物を得る。ステップ2の全体的な反応スキームを下に示す。
EtOH(1.7L)中、ステップ1の生成物(193.4g、0.94モル)を、パラホルムアルデヒド(28g、0.94モル)、N−エチルベンゾチアゾリウムブロマイド(46g、0.19モル)、Et3N(26mL、0.19モル)、および4オングストロームモレキュラーシーブスを合し、還流にて24時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、その残基を、EtOAcと石油エーテルを1:2の比で用いるシリカでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製されて反応生成物を得る。ステップ2の全体的な反応スキームを下に示す。
ステップ3
ステップ2からの反応生成物(46g、0.19モル)のMeOH(560mL)中溶液を、MeOH(190mL)中のマロニトリル(12.6g、0.19モル)およびEt3N(26mL、0.19モル)の混合物と合し、得られる溶液を周囲温度にて24時間攪拌した。固体生成物を濾過により回収し、MeOHで洗浄し、乾燥させて白色の固体反応生成物を得た。ステップ3の全体的な反応スキームを下に示す。
ステップ2からの反応生成物(46g、0.19モル)のMeOH(560mL)中溶液を、MeOH(190mL)中のマロニトリル(12.6g、0.19モル)およびEt3N(26mL、0.19モル)の混合物と合し、得られる溶液を周囲温度にて24時間攪拌した。固体生成物を濾過により回収し、MeOHで洗浄し、乾燥させて白色の固体反応生成物を得た。ステップ3の全体的な反応スキームを下に示す。
ステップ4
ステップ3のアミノニトリル反応生成物(20g、70ミリモル)を、グアニジン遊離塩基(109ミリモル、10.4gの塩酸グアニジンおよび7.7g(109ミリモル)のNaOEtからのもの)の無水EtOH(600mL)中溶液に加え、混合物を還流にて48時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、アセトン中6%水を溶出剤として用いるシリカでのフラッシュクロマトグラフィーにより残渣を精製して反応生成物を形成した。ステップ4の全体的な反応スキームを下に示す。
ステップ3のアミノニトリル反応生成物(20g、70ミリモル)を、グアニジン遊離塩基(109ミリモル、10.4gの塩酸グアニジンおよび7.7g(109ミリモル)のNaOEtからのもの)の無水EtOH(600mL)中溶液に加え、混合物を還流にて48時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、アセトン中6%水を溶出剤として用いるシリカでのフラッシュクロマトグラフィーにより残渣を精製して反応生成物を形成した。ステップ4の全体的な反応スキームを下に示す。
ステップ5
0.7gNaOHの35mLの水中溶液を、ステップ4からの反応生成物(5.55g、17.1ミリモル)のMeOH(73mL)中の混合物に添加し、混合物を還流下で2時間加熱した。次に、反応混合物を周囲温度まで冷却し、AcOH(1.2mL)で酸性化させて沈殿を形成し、それに水(100mL)を添加した。次に、沈殿を濾過し、水(150mL)で洗浄し、乾燥させた。ステップ5の全体的な反応スキームを下に示す。
0.7gNaOHの35mLの水中溶液を、ステップ4からの反応生成物(5.55g、17.1ミリモル)のMeOH(73mL)中の混合物に添加し、混合物を還流下で2時間加熱した。次に、反応混合物を周囲温度まで冷却し、AcOH(1.2mL)で酸性化させて沈殿を形成し、それに水(100mL)を添加した。次に、沈殿を濾過し、水(150mL)で洗浄し、乾燥させた。ステップ5の全体的な反応スキームを下に示す。
ステップ6
HOBt×H2O(1.52g、11.2ミリモル)および二塩化エチレン(EDC)(2.15g、11.2ミリモル)を、ステップ5からの反応生成物(3.34g、11.2ミリモル)のDMF(70mL)中溶液に添加し、10分間攪拌させたままにした。(S)−ジエチル−2−アミノ−4−メチレンペンタンジオネート×HCl(2.85g、11.2ミリモル)(鏡像異性体純度99.8%)およびEt3N(3.12mL、22.5ミリモル)を添加し、反応混合物を2時間攪拌した。周囲温度まで冷却した後、反応混合物を水(350mL)で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。有機抽出物を合し、ブライン塩溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮した。粗生成物をトルエンから再結晶化し、濾別し、Et2Oで洗浄し、真空乾燥させて白色の固体反応生成物を得た。ステップ6の全体的な反応スキームを下に示す。
HOBt×H2O(1.52g、11.2ミリモル)および二塩化エチレン(EDC)(2.15g、11.2ミリモル)を、ステップ5からの反応生成物(3.34g、11.2ミリモル)のDMF(70mL)中溶液に添加し、10分間攪拌させたままにした。(S)−ジエチル−2−アミノ−4−メチレンペンタンジオネート×HCl(2.85g、11.2ミリモル)(鏡像異性体純度99.8%)およびEt3N(3.12mL、22.5ミリモル)を添加し、反応混合物を2時間攪拌した。周囲温度まで冷却した後、反応混合物を水(350mL)で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。有機抽出物を合し、ブライン塩溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮した。粗生成物をトルエンから再結晶化し、濾別し、Et2Oで洗浄し、真空乾燥させて白色の固体反応生成物を得た。ステップ6の全体的な反応スキームを下に示す。
ステップ7
ステップ6からの反応生成物(3.6g、7.28ミリモル)のアセトニトリル(85mL)中の懸濁液に、0.25N NaOH(aq.)(85mL)を加え、混合物を16時間攪拌した。次に、pH5〜6に達するように2N HClを添加した。形成された白色の沈殿を濾別し、水およびアセトニトリルで洗浄し、真空乾燥させて淡黄色の固体生成物を得た。ステップ7の全体的な反応スキームを下に示す。
ステップ6からの反応生成物(3.6g、7.28ミリモル)のアセトニトリル(85mL)中の懸濁液に、0.25N NaOH(aq.)(85mL)を加え、混合物を16時間攪拌した。次に、pH5〜6に達するように2N HClを添加した。形成された白色の沈殿を濾別し、水およびアセトニトリルで洗浄し、真空乾燥させて淡黄色の固体生成物を得た。ステップ7の全体的な反応スキームを下に示す。
ステップ8
NaOH(0.42g、10.5ミリモル)の水(20mL)中溶液を、ステップ7からの反応生成物(2.29g、5.23ミリモル)のエタノール(40mL)中の懸濁液に加えた、混合物を1時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、アセトニトリル(20mL)を添加し、得られるスラリーを一晩攪拌した。沈殿を濾別し、真空乾燥させて、HPLCにより254nmでの評価がされた時に99%を上回る純度を有する、2.45g(収率97%)の灰白色の固体反応生成物を得た。ステップ8の全体的な反応スキームを下に示す。
NaOH(0.42g、10.5ミリモル)の水(20mL)中溶液を、ステップ7からの反応生成物(2.29g、5.23ミリモル)のエタノール(40mL)中の懸濁液に加えた、混合物を1時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、アセトニトリル(20mL)を添加し、得られるスラリーを一晩攪拌した。沈殿を濾別し、真空乾燥させて、HPLCにより254nmでの評価がされた時に99%を上回る純度を有する、2.45g(収率97%)の灰白色の固体反応生成物を得た。ステップ8の全体的な反応スキームを下に示す。
鏡像異性的に純粋な(5)−ジエチル−2−アミノ−4−メチレンペンタンジオネートのステップ6における使用は、鏡像異性的に純粋でもある最終生成物を調製するために特に有用である。本合成において、形成された生成物は、(S)異性体に関して鏡像異性的に純粋である。
(実施例3)
(CHL−003の合成)
化合物N−{4−[2−(2,4−ジアミノ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]ベンゾイル}−4−メチレン−グルタミン酸(CHL−003)を、市販のエチル−4−ヨードベンゾエートおよびジエチル−2−アミノ−4−メチレンペンタンジオネートヒドロクロライドから出発して、HPLCにより測定した時に>99%より高い純度で、8ステップで合成した。ステップ1〜5、7および8は上の実施例2に記載されるように後に続いた。下に記載されるステップ6、ジエチル−2−アミノ−4−メチレンペンタンジオネート×HClのラセミ体を(S)異性体の代わりに使用した。
(CHL−003の合成)
化合物N−{4−[2−(2,4−ジアミノ−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]ベンゾイル}−4−メチレン−グルタミン酸(CHL−003)を、市販のエチル−4−ヨードベンゾエートおよびジエチル−2−アミノ−4−メチレンペンタンジオネートヒドロクロライドから出発して、HPLCにより測定した時に>99%より高い純度で、8ステップで合成した。ステップ1〜5、7および8は上の実施例2に記載されるように後に続いた。下に記載されるステップ6、ジエチル−2−アミノ−4−メチレンペンタンジオネート×HClのラセミ体を(S)異性体の代わりに使用した。
ステップ6では、HOBt×H2O(1.52g、11.2ミリモル)およびEDC(2.15g、11.2ミリモル)を、ステップ5からの反応生成物(3.34g、11.2ミリモル)のDMF(70mL)溶液に添加し、10分間攪拌させたままにした。ジエチル−2−アミノ−4−メチレンペンタンジオネート×HCl(2.85g、11.2ミリモル)およびEt3N(3.12mL、22.5ミリモル)を添加し、反応混合物を2時間攪拌した。周囲温度まで冷却した後、反応混合物を水(350mL)で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。有機抽出物を合し、ブライン塩溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮した。粗生成物をトルエンから再結晶化し、濾別し、Et2Oで洗浄し、真空乾燥させて白色の固体反応生成物を得た。
本明細書に示される本発明の多くの変更形態およびその他の実施形態は、前述の説明に示される教示の利益を有する当業者に思い浮かぶであろう。そのため、本発明が、開示される具体的な実施形態に制限されるものでなく、変更形態およびその他の実施形態は添付される特許請求の範囲内に含まれることが意図されることは当然理解される。具体的な用語が本明細書において用いられているが、それらは一般的かつ説明的な意味でのみ使用され、限定を意図するものではない。
Claims (39)
- 式
Xは、CHR9またはNR9であり、
Y1、Y2およびY3は、独立して、OまたはSであり、
V1およびV2は、独立して、O、S、またはNZであり、
Zは、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、またはアルカリールであり、
R1およびR2は、独立して、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、またはアルカリールであり、
R3は、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、任意に置換されるアルコキシ、ヒドロキシル、またはハロであり、
R4、R5、R6、R7、R8およびR9は、独立して、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、アシル、−C(O)−アルキル、−C(O)−アルケニル、または−C(O)−アルキニルである)
で表わされる化合物、またはその製薬上許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物、鏡像異性体もしくはプロドラッグ。 - 前記化合物が、製薬上許容される塩の形態である請求項1に記載の化合物。
- 前記化合物が、アルカリ金属塩の形態である請求項2に記載の化合物。
- 前記化合物が、二ナトリウム塩の形態である請求項3に記載の化合物。
- R1、R2およびZの中の1以上が、塩形成カチオンで置換される請求項2に記載の化合物。
- 前記塩形成カチオンがアルカリ金属カチオンを含む請求項5に記載の化合物。
- V1およびV2がOであり、R1およびR2がともに、独立して、塩形成カチオンで置換される請求項2に記載の化合物。
- 前記塩形成カチオンがアルカリ金属カチオンを含む請求項7に記載の化合物。
- 式
Xは、CHR9またはNR9であり、
R3は、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、任意に置換されるアルコキシ、ヒドロキシル、またはハロであり、
R4、R5、R6、R7、R8およびR9は、独立して、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、アシル、−C(O)−アルキル、−C(O)−アルケニル、または−C(O)−アルキニルである)
を有する請求項1に記載の化合物、またはその製薬上許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物、鏡像異性体もしくはプロドラッグ。 - 前記化合物が、製薬上許容される塩の形態である請求項9に記載の化合物。
- 前記化合物が、アルカリ金属塩の形態である請求項10に記載の化合物。
- 前記化合物が、二ナトリウム塩の形態である請求項11に記載の化合物。
- 式
Xは、CHR9またはNR9であり、
Y1、Y2およびY3は、独立して、OまたはSであり、
V1およびV2は、独立して、O、S、またはNZであり、
Zは、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、またはアルカリールであり、
R1およびR2は、独立して、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、またはアルカリールであり、
R3は、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、任意に置換されるアルコキシ、ヒドロキシル、またはハロであり、
R9は、H、任意に置換されるアルキル、任意に置換されるアルケニル、任意に置換されるアルキニル、アシル、−C(O)−アルキル、−C(O)−アルケニル、または−C(O)−アルキニルである)
を有する請求項1に記載の化合物、またはその製薬上許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物、鏡像異性体もしくはプロドラッグ。 - 前記化合物が、製薬上許容される塩の形態である請求項13に記載の化合物。
- 前記化合物が、アルカリ金属塩の形態である請求項14に記載の化合物。
- 前記化合物が、二ナトリウム塩の形態である請求項15に記載の化合物。
- R1、R2およびZの中の1以上が、塩形成カチオンで置換される請求項14に記載の化合物。
- 前記塩形成カチオンが、アルカリ金属カチオンを含む請求項17に記載の化合物。
- V1およびV2がOであり、R1およびR2がともに、独立して、塩形成カチオンで置換される請求項14に記載の化合物。
- 前記塩形成カチオンが、アルカリ金属カチオンを含む請求項19に記載の化合物。
- 式
- 前記化合物が、製薬上許容される塩の形態である請求項21に記載の化合物。
- 前記化合物が、アルカリ金属塩の形態である請求項22に記載の化合物。
- 前記化合物が、二ナトリウム塩の形態である請求項22に記載の化合物。
- 式
- 前記化合物が、(S)鏡像異性体に関して鏡像異性的に純粋である請求項21に記載の化合物。
- 前記化合物が、少なくとも約80%の鏡像異性体純度を有する請求項26に記載の化合物。
- 前記化合物が、少なくとも約95%の鏡像異性体純度を有する請求項26に記載の化合物。
- 前記化合物が、(R)鏡像異性体に関して鏡像異性的に純粋である請求項21に記載の化合物。
- 前記化合物が、少なくとも約80%の鏡像異性体純度を有する請求項29に記載の化合物。
- 前記化合物が、少なくとも約95%の鏡像異性体純度を有する請求項29に記載の化合物。
- 前記化合物が、(S)鏡像異性体に関して鏡像異性的に純粋である請求項25に記載の化合物。
- 前記化合物が、少なくとも約80%の鏡像異性体純度を有する請求項32に記載の化合物。
- 前記化合物が、少なくとも約95%の鏡像異性体純度を有する請求項32に記載の化合物。
- 前記化合物が、(R)鏡像異性体に関して鏡像異性的に純粋である請求項25に記載の化合物。
- 前記化合物が、少なくとも約80%の鏡像異性体純度を有する請求項35に記載の化合物。
- 前記化合物が、少なくとも約95%の鏡像異性体純度を有する請求項35に記載の化合物。
- 請求項1〜37のいずれか一項に記載の化合物と、製薬上許容されるキャリアとを含む医薬組成物。
- 異常細胞増殖、炎症、喘息、および関節炎からなる群から選択される状態を治療するための方法であって、治療を必要とする対象に、治療上有効な量の請求項1〜37のいずれか一項に記載の化合物を投与するステップを含む方法。
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