JP2011516560A - 葉酸拮抗組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、葉酸拮抗化合物を含む医薬組成物を提供する。本組成物は、改良されたバイオアベイラビリティを示し、本組成物は特に、溶解度およびバイオアベイラビリティを増大させる有益な賦形剤、例えばシクロデキストリンまたはグリセロールおよびポリエチレングリコールエステルの脂肪酸エステルから形成される化合物などを組み込む。本医薬組成物は、異常細胞増殖、炎症性疾患、喘息、および関節炎を含む、複数の状態の治療において有用である。

Description

本出願は、活性化合物を含む医薬組成物に関する。より具体的には、医薬組成物は葉酸拮抗化合物を含む。
葉酸は、N−[4(2−アミノ−4−ヒドロキシ−プテリジン−6−イルメチルアミノ)−ベンゾイル]−L(+)−グルタミン酸という組織名で公知であり、下の式(1)に規定される構造を有する水溶性のB群ビタミンである。
Figure 2011516560
式(1)に見られるように、葉酸の構造は、一般に、プテリジン環、パラ−アミノ安息香酸部分、およびグルタミン酸部分から形成されているものと説明することができる。葉酸およびその誘導体は、代謝と成長に必要であり、特に身体のチミジル酸、アミノ酸、およびプリンの合成に関与する。葉酸の誘導体、例えば天然に存在する葉酸塩などは、葉酸に匹敵する生化学的作用を有することが知られている。葉酸は、例えば1,4−ジアジン環などでの水素化により誘導体化されるか、またはメチル化、ホルムアルデヒド化(formaldehydylated)、または架橋されることが公知であり、この際、置換は一般にNまたはN10位で起こる。葉酸塩は、先天性欠損症、心疾患、卒中、記憶喪失、および加齢性認知症の重篤度または罹患率の低下を含む、様々な用途での有効性について研究されている。
葉酸塩などの葉酸拮抗化合物は、構造上葉酸に類似している。しかし葉酸拮抗化合物は葉酸代謝を乱す働きをする。葉酸拮抗薬の概説は、引用により本明細書の一部となすものとするTakamoto(1996)The Oncologist,1:68−81に記載されている。一つの具体的な葉酸拮抗薬の群、いわゆる「従来型の葉酸拮抗薬」は、葉酸p−アミノベンゾイルグルタミン酸側鎖、またはその側鎖の誘導体の存在を特徴とする。もう一つの葉酸拮抗薬の群、いわゆる「非従来型の葉酸拮抗薬」は、p−アミノベンゾイルグルタミン基の特定の不在を特徴とする。葉酸拮抗薬は葉酸の作用とは反対の生理学的作用を有するので、有用な生理学的機能、例えばアポトーシスを引き起こすことによる癌細胞を破壊する能力などを葉酸拮抗薬が提示することが示されている。
葉酸のモノグルタミル酸塩(folate monoglutamylates)および葉酸拮抗薬のモノグルタミル酸塩(antifolate monoglutamylates)は、それぞれの形態に特異的なキャリアにより、還元型または非還元型のいずれかで細胞膜を通過して輸送される。これらの輸送系の発現は、細胞種および細胞増殖条件によって変動する。細胞に進入後、大部分の葉酸塩、および多くの葉酸拮抗薬は、ポリグルタミル化により修飾され、この際、1つのグルタミン酸残基は、ペプチド結合を介してαカルボキシ基で第2のグルタミン酸残基に結合される。これにより、通常3〜6個のグルタミン酸残基の添加による、ポリ−L−γ−グルタミル酸の形成がもたらされる。葉酸塩に作用する酵素は、ポリグルタミル化した形態に対して高い親和性を有する。したがって、ポリグルタミル化した葉酸塩は、一般に細胞内でより長い保持時間を示す。
無傷の葉酸酵素経路は、DNAのビルディングブロック、ならびに多くの重要なアミノ酸のデノボ合成を維持するために重要である。葉酸拮抗薬の標的としては、葉酸代謝に関与する様々な酵素が挙げられ、それには、(i)ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)、(ii)チミジル酸シンターゼ(TS)、(iii)ホリルポリグルタミルシンターゼ、ならびに(iv)グリシンアミドリボヌクレオチドトランスホルミラーゼ(GARFT)およびアミノイミダゾールカルボキサミドリボヌクレオチドトランスホルミラーゼ(AICART)が含まれる。
膜貫通糖タンパク質である、還元型葉酸キャリア(RFC)は、(受容体に媒介される機構とは対照的に)キャリアに媒介される機構を介して還元された葉酸塩を哺乳類細胞の中に輸送する葉酸経路において積極的な役割を果たす。RFCはまた、葉酸拮抗薬、例えばメトトレキサートなどを輸送する。従って、RFCの機能する能力を媒介することは、還元された葉酸塩を取り込む細胞の能力に影響を及ぼし得る。
ポリグルタミル化した葉酸塩は、酵素補因子として機能することができ、一方、ポリグルタミル化した葉酸拮抗薬は、一般に酵素阻害剤として機能する。さらに、葉酸代謝への干渉は、DNAおよび一部のアミノ酸のデノボ合成を阻害し、それにより葉酸拮抗薬選択的な細胞障害性を可能にする。その構造が式(2)に規定されるメトトレキサートは、癌治療、特に急性白血病、非ホジキンリンパ腫、乳癌、頭頸部癌、絨毛癌、骨原性肉腫、および膀胱癌の治療における使用が示されている1種の葉酸拮抗薬である。
Figure 2011516560
引用により本明細書の一部となすものとする、Nair et al.(J.Med.Chem.(1991)34:222−227)は、従来型の葉酸拮抗薬のポリグルタミル化は抗腫瘍活性に必須ではなく、ポリグルタミル化が、薬物の薬理活性および標的特異性の喪失を引き起こし得るという点で望ましくない可能さえもあることを実証した。これに、多数のポリグルタミル化不可能な(nonpolyglutamylatable)従来型の葉酸拮抗薬の発見が続いた。引用により本明細書の一部となすものとする、Nair et al.(1998)Proc.Amer.Assoc.Cancer Research 39:431を参照されたい。一つの特定のポリグルタミル化不可能な葉酸拮抗薬の群は、グルタミン酸部分の4位のメチリデン基(すなわち、=CH置換基)を特徴とする。この化学基の存在は、葉酸拮抗化合物の生物活性に影響を及ぼすことが示されている。引用により本明細書の一部となすものとする、Nair et al.(1996)Cellular Pharmacology 3:29を参照されたい。
より少ない用量および患者へのより低い投与頻度を可能にする、代謝安定性の増加した葉酸拮抗剤の探求において、さらなる葉酸誘導体も研究されている。例えば、ジデアザ(すなわちキナゾリン系の)類似体は、プテリジン環系での生理学的水酸化を回避することが示されている。さらに、第二級アミン窒素原子を、場合により置換されている炭素原子で置換することは、隣接する結合を生理学的切断から保護することが示されている。
第二級アミン窒素の炭素置換を有する葉酸拮抗薬の一例は、4−アミノ−4−デオキシ−10−デアザプテロイル−γ−メチレングルタミン酸(より一般的にはMDAMと称される)であり、その構造は式(3)に規定される。
Figure 2011516560
MDAMのL−鏡像異性体は、増加した生理活性を提示することが示されている。引用により本明細書の一部となすものとする、米国特許第5,550,128号明細書を参照されたい。代謝安定性のために設計される従来型の葉酸拮抗薬のもう一つの例は、ZD1694であり、式(4)に示される。
Figure 2011516560
式(5)に示される構造に従う葉酸拮抗化合物の一つの群は、上記の分子の特徴のいくつかを組み合わせていて、この化合物群は、Mobile Trexate、Mobile Trex、Mobiltrex、またはM−Trexの名前で公知である。
Figure 2011516560
式(5)に示されるように、この化合物群は、Xが、CH、CHCH、CH(CHCH)、NH、またはNCHであってよい、M−Trexを包含する。
上記のように、葉酸拮抗薬の医薬化合物としての有効性は、代謝不活性に加えてその他の要素に起因する。身体内の葉酸代謝に複数の酵素が関与することにより、葉酸拮抗薬の阻害標的の選択の範囲が提示される。言い換えれば、葉酸拮抗薬をそれらの阻害する酵素(1または複数)に関して変化させることが可能である。例えば、一部の葉酸拮抗薬は主にジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)を阻害するのに対し、その他の葉酸拮抗薬は主にチミジル酸シンターゼ(TS)、グリシンアミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼ(GARFT)、またはアミノイミダゾールカルボキサミドリボヌクレオチドトランスホルミラーゼを阻害し、さらにその他の葉酸拮抗剤はこれらの酵素の組合せを阻害する。
多様な状態を治療する際の葉酸拮抗薬の有用性を踏まえて、治療を必要とする患者に葉酸拮抗薬を安全かつ効果的に送達することのできる医薬組成物が当技術分野でなお必要とされている。
本発明は、葉酸拮抗化合物を含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、葉酸拮抗化合物を優れたバイオアベイラビリティを提示する形態で提供する。具体的な実施形態では、組成物中で使用される葉酸拮抗化合物は塩の形態である。かかる塩は、特に低いpH範囲で改良された溶解度を提供する。葉酸拮抗化合物の塩形態はまた、その組成物が少ない量の活性葉酸拮抗化合物を含む場合でさえ、経口投与された場合に生物活性に利用される活性化合物の量を増加させるので有益である。本発明の医薬組成物は、限定されるものではないが、異常細胞増殖、喘息およびその他の炎症性疾患、ならびに関節リウマチおよびその他の自己免疫疾患を含む、多様な状態の治療において有用である。
一実施形態では、本発明は、式(6):
Figure 2011516560
(式中、
Xは、CHRまたはNRであり、
、Y、およびYは、独立に、OまたはSであり、
およびVは、独立に、O、S、またはNZであり、
Zは、H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、またはアルカリールであり、
およびRは、独立に、H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、またはアルカリールであり、
は、H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、場合により置換されているアルコキシ、ヒドロキシル、またはハロであり、かつ
、R、R、R、およびRは、独立に、H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、アシル、−C(O)−アルキル、−C(O)−アルケニル、または−C(O)−アルキニルである)に従う葉酸拮抗化合物、あるいはその製薬上許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物、鏡像異性体、またはプロドラッグを含む医薬組成物に関する。具体的な実施形態では、医薬組成物は、葉酸拮抗化合物の溶解度とバイオアベイラビリティの一方または両方を増大させる賦形剤をさらに含む。特に、賦形剤は、グリセロールおよびポリエチレングリコールエステルの脂肪酸エステルおよび/またはシクロデキストリンを含んでよい。ある種の実施形態では、賦形剤は、GELUCIRE(登録商標)、および特にGELUCIRE(登録商標)44/14を含む。
その他の実施形態では、本発明の医薬組成物は式(7):
Figure 2011516560
(式中、
Xは、CHRまたはNRであり、
は、H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、場合により置換されているアルコキシ、ヒドロキシル、またはハロであり、かつ
、R、R、R、およびRは、独立に、H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、アシル、−C(O)−アルキル、−C(O)−アルケニル、または−C(O)−アルキニルである)に従う葉酸拮抗化合物、あるいはその製薬上許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物、鏡像異性体、またはプロドラッグを含む。
なおさらなる実施形態では、本発明に従う医薬組成物は式(9):
Figure 2011516560
に従う葉酸拮抗化合物あるいはその製薬上許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物、鏡像異性体、またはプロドラッグを含む。具体的な実施形態では、葉酸拮抗化合物は、式(9)に従う化合物の塩、好ましくは化合物のアルカリ金属塩、および特に好ましくは式(9)に従う化合物の二ナトリウム塩または二カリウム塩を含む。ある種の実施形態では、塩は結晶形態である。
その他の実施形態では、医薬組成物は、(S)鏡像異性体形態の葉酸拮抗化合物を含むことが有益である。好ましくは、葉酸拮抗化合物は、少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95%、さらにより好ましくは少なくとも約99%の(S)鏡像異性体の鏡像異性体純度を示す。具体的な一実施形態では、本発明は、葉酸拮抗化合物(式(9)の化合物など)を含む医薬組成物を、(S)鏡像異性体形態の結晶性二ナトリウム塩として提供し、化合物は、少なくとも約99%の(S)鏡像異性体の鏡像異性体純度を提示する。
一部の実施形態では、本発明は特に、式(12):
Figure 2011516560
(式中、各々のXは、独立に塩形成対イオンである)に従う化合物を含む葉酸拮抗化合物を含み、この際、葉酸拮抗化合物が(S)鏡像異性体形態である、医薬組成物を提供する。より特に、葉酸拮抗化合物は、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%の(S)鏡像異性体の鏡像異性体純度を示し得る。さらに、式(12)に従う化合物は、規定された(S)鏡像異性体の鏡像異性体純度(例えば、少なくとも約99%)を示す(S)鏡像異性体形態の結晶性二ナトリウム塩であってよい。さらに、式(12)に従う化合物は、規定された(S)鏡像異性体の鏡像異性体純度(例えば、少なくとも約99%)を示す(S)鏡像異性体形態の結晶性二カリウム塩であってよい。
一部の実施形態では、本発明に従う医薬組成物は、さらなる成分を含んでよい。かかる成分の限定されない例としては、増量剤(例えば、マンニトール)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)、および抗付着剤(anti-adherents)(例えば、二酸化ケイ素)が挙げられる。
一実施形態では、本発明は、(S)−2−{4−[2−(2,4−ジアミノ−キナゾリン−6−イル)−エチル]−ベンゾイルアミノ}−4−メチレン−ペンタン二酸のアルカリ金属塩を含む医薬組成物を提供し、化合物は少なくとも約95%の(S)鏡像異性体の鏡像異性体純度を示す。組成物は、アルカリ金属塩化合物の溶解度とバイオアベイラビリティの一方または両方を増大させる賦形剤をさらに含んでよい。
本発明はまた、さらなる活性薬剤を含む医薬組成物を提供する。特に、医薬組成物は、本明細書に記載される1以上の葉酸拮抗化合物を1以上のさらなる有効成分と組み合わせて含むことができる。
さらなる実施形態では、本発明はまた、様々な状態を治療する方法を提供する。例えば、ある種の実施形態では、本発明は、異常細胞増殖、炎症、喘息、および関節炎からなる群から選択される状態を治療する方法を提供する。好ましくは、方法は、治療を必要とする被験体に医薬組成物、例えば本明細書に記載される医薬組成物を投与することを含む。
さらにその他の実施形態では、本発明は、医薬組成物を調製する方法を提供する。一実施形態では、方法は、式(6):
Figure 2011516560
(式中、
Xは、CHRまたはNRであり、
、Y、およびYは、独立に、OまたはSであり、
およびVは、独立に、O、S、またはNZであり、
Zは、H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、またはアルカリールであり、
およびRは、独立に、H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、またはアルカリールであり、
は、H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、場合により置換されているアルコキシ、ヒドロキシル、またはハロであり、かつ
、R、R、R、およびRは、独立に、H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、アシル、−C(O)−アルキル、−C(O)−アルケニル、または−C(O)−アルキニルである)に従う葉酸拮抗化合物、あるいはその製薬上許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物、鏡像異性体、またはプロドラッグを含む医薬組成物を調製することに関する。具体的に、方法は、次の工程:葉酸拮抗化合物、溶融ポリグリコール化グリセリド、最初の量の増量剤、および最初の量の滑沢剤の混合物を形成する工程、形成された混合物を粒状化する工程、ならびに粒状混合物と第2の量の増量剤および第2の量の滑沢剤を混合する工程を含んでよい。
このように本発明を一般用語で説明したが、必ずしも縮尺通りに描かれていない添付の図面を参照する。
本発明の特定の実施形態に従う医薬組成物において有用な葉酸拮抗化合物に関するpH溶解度のグラフであり、化合物は遊離酸形態かまたはナトリウム塩形態のいずれかの形態である。 本発明の特定の実施形態に従う医薬組成物において有用な葉酸拮抗化合物の経時的溶解比較のグラフである。化合物は遊離酸形態かまたはナトリウム塩形態のいずれかの形態である。 本発明の特定の実施形態に従う医薬組成物において有用な葉酸拮抗化合物の経時的溶解比較のグラフである。化合物は、化合物単独での遊離酸形態、化合物単独でのナトリウム塩形態、またはGELUCIRE(登録商標)44/14を含む医薬組成物中の化合物のナトリウム塩形態である。 本発明の特定の実施形態に従う医薬組成物において有用な葉酸拮抗化合物の経時的溶解比較のグラフである。化合物は、化合物単独での遊離酸形態、化合物単独でのナトリウム塩形態、またはβ−シクロデキストリンを含む医薬組成物中の化合物のナトリウム塩形態である。 本発明の一実施形態に従う医薬組成物において有用な塩化合物のX線粉末回折パターンのグラフである。
本発明を、下文で様々な実施形態への言及を通してより詳細に説明する。これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、本発明の範囲を当業者に完全に伝えるために提供される。実際に、本発明は多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に示される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、適用される法的必要条件を本開示が満たすために提供される。本明細書、および添付される特許請求の範囲で用いられる、単数形の「a」、「an」、「the」には、文脈上明らかに指示されている場合を除いて、複数形への言及が含まれる。
本発明は、葉酸拮抗化合物を含む医薬組成物を提供する。これらの化合物は、直接的に、またはそれらの薬学的に活性なエステル、アミド、塩、溶媒和物、またはプロドラッグの形態のいずれかで医薬組成物中に使用されてよい。好ましい実施形態では、葉酸拮抗化合物は、塩、特にアルカリ金属塩の形態である。本医薬組成物は、たとえ活性葉酸拮抗化合物の投薬を減少させても、活性およびバイオアベイラビリティの増大をもたらし、また、本医薬組成物は、多数の状態および疾患の治療において、特に異常細胞増殖、炎症、関節炎、または喘息の治療に有用である。
I.定義
用語「代謝的に不活性の葉酸拮抗剤」とは、本明細書において、(i)葉酸代謝を妨害することのできる葉酸類似体および(ii)ポリグルタミル化不可能な化合物を意味する。ある種の実施形態では、この用語はまた、(iii)ヒドロキシル化不可能な(non−hydroxylatable)化合物を意味し得る。
用語「アルカリ金属」とは、本明細書において、IA族元素を意味し、特にナトリウム、リチウム、およびカリウムが含まれる。用語「アルカリ金属塩」とは、本明細書において、該化合物のカチオン部分がアルカリ金属、特に、ナトリウム、リチウム、またはカリウムを含むイオン化合物を意味する。
用語「アルキル」とは、本明細書において、線状、分枝状、または環状の飽和炭化水素基を意味する。特定の実施形態では、アルキルとは、1〜10個の炭素原子を含む基(「C1−10アルキル」)をさす。さらなる実施形態では、アルキルとは、1〜8個の炭素原子(「C1−8アルキル」)、1〜6個の炭素原子(「C1−6アルキル」)、または1〜4個の炭素原子(「C1−4アルキル」)を含む基をさす。具体的な実施形態では、アルキルとは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、3−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチル、および2,3−ジメチルブチルをさす。置換アルキルとは、ハロ(例えば、Cl、F、Br、およびI)、ハロゲン化アルキル(例えば、CF、2−Br−エチル、CHF、CHCl、CHCF、またはCFCF、ヒドロキシル、アミノ、カルボン酸塩、カルボキサミド、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、アジド、シアノ、チオ、スルホン酸、硫酸塩、ホスホン酸、リン酸塩、およびホスホン酸塩からなる群から選択される1以上の部分で置換されているアルキルをさす。
用語「アルケニル」とは、本明細書において、少なくとも1つの飽和C−C結合が二重結合で置換されているアルキル部分を意味する。特定の実施形態では、アルケニルとは、1〜10個の炭素原子を含む基(「C1−10アルケニル」)をさす。さらなる実施形態では、アルキルとは、1〜8個の炭素原子(「C1−8アルケニル」)、1〜6個の炭素原子(「C1−6アルケニル」)、または1〜4個の炭素原子(「C1−4アルケニル」)を含む基をさす。具体的な実施形態では、アルケニルは、ビニル、アリル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、または5−ヘキセニルであってよい。置換アルケニルとは、ハロ(例えば、Cl、F、Br、およびI)、ハロゲン化アルキル(例えば、CF、2−Br−エチル、CHF、CHCl、CHCF、またはCFCF、ヒドロキシル、アミノ、カルボン酸塩、カルボキサミド、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、アジド、シアノ、チオ、スルホン酸、硫酸塩、ホスホン酸、リン酸塩、およびホスホン酸塩からなる群から選択される1以上の部分で置換されているアルケニルをさす。
用語「アルキニル」とは、本明細書において、少なくとも1つの飽和C−C結合が三重結合で置換されているアルキニル部分を意味する。特定の実施形態では、アルキニルとは、1〜10個の炭素原子を含む基(「C1−10アルキニル」)をさす。さらなる実施形態では、アルキニルとは、1〜8個の炭素原子(「C1−8アルキニル」)、1〜6個の炭素原子(「C1−6アルキニル」)、または1〜4個の炭素原子(「C1−4アルキニル」)を含む基をさす。具体的な実施形態では、アルキニルは、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、または5−ヘキシニルであってよい。置換アルキニルとは、ハロ(例えば、Cl、F、Br、およびI)、ハロゲン化アルキル(例えば、CF、2−Br−エチル、CHF、CHCl、CHCF、またはCFCF、ヒドロキシル、アミノ、カルボン酸塩、カルボキサミド、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、アジド、シアノ、チオ、スルホン酸、硫酸塩、ホスホン酸、リン酸塩、およびホスホン酸塩からなる群から選択される1以上の部分で置換されているアルキニルをさす。
用語「アルコキシ」とは、本明細書において、アルキルが上記の通りである、酸素原子に結合した直鎖または分枝鎖アルキル基(すなわち、−O−アルキル)を意味する。特定の実施形態では、アルコキシとは、1〜10個の炭素原子を含む酸素結合基(「C1−10アルコキシ」)をさす。さらなる実施形態では、アルコキシとは、1〜8個の炭素原子(「C1−8アルコキシ」)、1〜6個の炭素原子(「C1−6アルコキシ」)、または1〜4個の炭素原子(「C1−4アルコキシ」)を含む酸素結合基をさす。置換アルコキシとは、ハロ(例えば、Cl、F、Br、およびI)、ハロゲン化アルキル(例えば、CF、2−Br−エチル、CHF、CHCl、CHCF、またはCFCF、ヒドロキシル、アミノ、カルボン酸塩、カルボキサミド、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、アジド、シアノ、チオ、スルホン酸、硫酸塩、ホスホン酸、リン酸塩、およびホスホン酸塩からなる群から選択される1以上の部分で置換されているアルコキシをさす。
用語「ハロ」または「ハロゲン」とは、本明細書において、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味する。
用語「アリール」とは、本明細書において、各々の環に最大8個の環員をもつ安定した単環、二式、または三環式炭素環を意味し、この際少なくとも1つの環がヒュッケルの4n+2則により規定される芳香族である。例示的な本発明に従うアリール基には、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、およびビフェニルが含まれる。アリール基は、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、硫酸塩、ホスホン酸、リン酸塩、またはホスホン酸塩からなる群から選択される1以上の部分で置換されてよい。
用語「アラルキル」および「アリールアルキル」は、本明細書において、上に定義されるアルキル基を通じて分子に結合されている、上に定義されるアリール基を意味する。
用語「アルカリール」および「アルキルアリール」は、本明細書において、上に定義されるアリール基を通じて分子に結合されている上に定義されるアルキル基を意味する。
用語「アシル」は、本明細書において、エステル基の非カルボニル部分が、線状、分枝状、または環状のアルキルまたは低級アルキル、メトキシメチルを含むアルコキシアルキル、ベンジルを含むアラルキル、フェノキシメチルなどのアリールオキシアルキル、場合によりハロゲンで置換されているフェニル、C−CアルキルまたはC−Cアルコキシを含むアリール、メタンスルホニルを含む、アルキルもしくはアラルキルスルホニルなどのスルホン酸エステル、モノ−、ジ−、もしくはトリリン酸エステル、トリチルまたはモノメトキシトリチル、置換ベンジル、ジメチル−t−ブチルシリルまたはジフェニルメチルシリルなどのトリアルキルシリルから選択されるカルボン酸エステルを意味する。エステル中のアリール基は、最も有利にはフェニル基を含む。
用語「アミノ」は、本明細書において、構造NRで表される部分を意味し、それには、アルキルで置換された第一級アミン、ならびに第二級および第三級アミン(すなわちアルキルアミノ)が含まれる。従って、Rは、2個の水素原子、2個のアルキル部分、または1個の水素原子と1個のアルキル部分を表し得る。
用語「アルキルアミノ」および「アリールアミノ」は、本明細書において、それぞれ1または2個のアルキルもしくはアリール置換基を有するアミノ基を意味する。
用語「類似体」は、本明細書において、1以上の個々の原子または官能基が異なる原子かまたは異なる官能基で置換されている化合物を意味し、一般に類似した特性をもつ化合物を生じる。
用語「誘導体」は、本明細書において、類似した開始化合物から、別の分子または原子を該開始化合物に結合させることにより形成される化合物を意味する。さらに、本発明に従う誘導体は、前駆体化合物から、1以上の原子または分子の添加によるか、あるいは2以上の前駆体化合物を化合させることにより形成される1以上の化合物を包含する。
用語「プロドラッグ」は、本明細書において、哺乳類に投与されると、全部または一部において本発明の化合物に変換されるあらゆる化合物を意味する。
用語「活性代謝物」は、本明細書において、かかる化合物またはプロドラッグが哺乳類に投与される場合に、本発明の化合物またはそのプロドラッグの代謝の結果起こる生理活性化合物を意味する。
用語「治療上有効量」または「治療上有効な用量」は、本明細書において相互に交換可能であり、本明細書に記載される治療方法に従って所望の治療効果を誘起するために十分な、本発明に従う化合物、またはその生物活性変異体の濃度を意味する。
用語「製薬上許容されるキャリア」は、本明細書において、生理活性物質の保存、投与、および/または治癒効果を促進するために従来当技術分野で使用されているキャリアを意味する。
用語「間欠投与」は、本明細書において、治療上有効量の本発明に従う組成物の投与、続いて中断期間、その後に別の治療上有効量の投与が続く、というような投与を意味する。
用語「抗増殖性薬剤」は、本明細書において、細胞の過剰増殖を低下させる化合物を意味する。
用語「異常細胞増殖」は、本明細書において、疾患または状態に罹患していない個体における1またはそれ以上の細胞種の成長と比較して、1以上の細胞種の不適切な成長または増殖を特徴とする疾患または状態を意味する。
用語「癌」は、本明細書において、局所的に伝播するかまたは血流およびリンパ系を通じて身体のその他の部位に伝播し得る、制御されない細胞の異常増殖を特徴とする疾患または状態を意味する。この用語には、腫瘍形成癌および非腫瘍形成癌が含まれ、様々な種類の癌、例えば原発腫瘍および腫瘍転移などが含まれる。
用語「腫瘍」は、本明細書において、制御されない進行性の過剰な細胞分裂の結果生じる多細胞生物内の細胞の異常な塊を意味し、新生物とも呼ばれる。腫瘍は良性であっても悪性であってもよい。
用語「線維性疾患」は、本明細書において、線維症およびその他の医学的な線維症の合併症を意味し、それらは全部または一部において線維芽細胞の増殖の結果生じる。
用語「関節炎」は、本明細書において、感染性、自己免疫性、または外傷性起源であってよい、関節を冒す炎症性疾患を意味する。
記号「D」および「L」または「R」および「S」を用いる化学命名法は、中心(通常は原子である)、軸、または面であり得るキラル要素の周囲の原子または基の絶対配置、または三次元配置に関連することが理解される。本明細書において、「D/L」系および「R/S」系は、前者の系における「D」が後者の系における「R」に対応し、前者の系における「L」が後者の系における「S」に対応するように、同義的に使用されることが意図される。
II.化合物
本発明の医薬組成物は、1以上の葉酸拮抗化合物を含む。具体的な実施形態では、葉酸拮抗化合物は代謝的に不活性の葉酸拮抗薬である。当技術分野で認識されるように、葉酸拮抗薬は、葉酸代謝の様々な段階を妨害する化合物である。従って、本発明の化合物は、特に葉酸代謝、または葉酸代謝に関連するその他の生物学的機構に関連するか、あるいはそれらの崩壊により治療することのできる疾患および状態の治療に有用な医薬組成物に使用することができる。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、式(6)
Figure 2011516560
(式中、
Xは、CHRまたはNRであり、
、Y、およびYは、独立に、OまたはSであり、
およびVは、独立に、O、S、またはNZであり、
Zは、H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、またはアルカリールであり、
およびRは、独立に、H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、またはアルカリールであり、
は、H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、場合により置換されているアルコキシ、ヒドロキシル、またはハロであり、かつ
、R、R、R、およびRは、独立に、H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、アシル、−C(O)−アルキル、−C(O)−アルケニル、または−C(O)−アルキニルである)に示される構造を有する葉酸拮抗化合物、ならびにその製薬上許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物、鏡像異性体、およびプロドラッグを含む。
もう一つの実施形態では、本発明の医薬組成物は、式(7)
Figure 2011516560
(式中、
Xは、CHRまたはNRであり、
は、H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、場合により置換されているアルコキシ、ヒドロキシル、またはハロであり、かつ
、R、R、R、およびRは、独立に、H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、アシル、−C(O)−アルキル、−C(O)−アルケニル、または−C(O)−アルキニルである)に示される構造を有する化合物、ならびにその製薬上許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物、鏡像異性体、およびプロドラッグを含む。
さらにもう一つの実施形態では、本発明の医薬組成物は、式(8)
Figure 2011516560
(式中、
Xは、CHRまたはNRであり、
、Y、およびYは、独立に、OまたはSであり、
およびVは、独立に、O、S、またはNZであり、
Zは、H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、またはアルカリールであり、
およびRは、独立に、H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、またはアルカリールであり、
は、H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、場合により置換されているアルコキシ、ヒドロキシル、またはハロであり、かつ
は、H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、アシル、−C(O)−アルキル、−C(O)−アルケニル、または−C(O)−アルキニルである)に示される構造を有する葉酸拮抗化合物、ならびにその製薬上許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物、鏡像異性体、およびプロドラッグを含む。
特定の一実施形態では、本発明は、式(9)に示される構造を有する葉酸拮抗化合物を含む医薬組成物を提供する。
Figure 2011516560
式(9)の化合物は、異常細胞増殖、炎症障害、および自己免疫疾患の治療のための活性を有することが示されている。この化合物は、特に2−{4−[2−(2,4−ジアミノ−キナゾリン−6−イル)−エチル]−ベンゾイルアミノ}−4−メチレン−ペンタン二酸の名称で公知であり得る。この化合物は、γメチレングルタミン酸5,8,10−トリデアザアミノプテリンまたは5,8−ジデアザMDAMとしても公知であり得る。式(9)の葉酸拮抗化合物は、ポリグルタミル化不可能であり、ヒドロキシル化不可能であり、葉酸代謝を妨害する能力がある。この化合物はまた、治療上関連する濃度で培養中の多数のヒト白血病細胞およびヒト固形腫瘍細胞を死滅させる有効性が示され、さらに、喘息の動物モデルにおいて抗炎症薬としての活性が示されている。残念ながら、下にさらに説明するように、この化合物はバイオアベイラビリティが低く、酸形態は低い溶解度を示す。
上に示す化合物の生物活性変異体も、特に本発明に包含される。かかる変異体は、元の化合物の一般的な生物活性を保持するべきである、しかし、さらなる活性が存在することは本発明において必ずしもその使用が制限されるものではない。かかる活性は、一般にかかる活性を特定するために有用であると当業者に認識できる標準的な試験方法およびバイオアッセイを用いて評価することができる。
本発明の一実施形態によれば、適した生物活性変異体は、上記の化合物の1以上の類似体または誘導体を含む。実際に、単一の化合物、例えば上記の化合物などは、類似した活性、従って、本発明に従う有用性を有する類似体または誘導体の全ファミリーを生じさせることができる。同様に、単一の化合物、例えば上記の化合物などは、本発明に従って有用な化合物のより大きなクラスの単一のファミリーメンバー表すことができる。したがって、本発明は、上記の化合物だけでなく、かかる化合物の類似体および誘導体、特に当技術分野で一般的に公知であり、当業者に認識できる方法によって識別できるものも完全に包含する。
本明細書に開示される化合物は、(R)または(S)配置のいずれであってよいキラル中心を含んでよく、あるいはその混合物を含んでよい。したがって、本発明には、適用可能な場合には、個別に、または任意の比で混合された、本明細書に記載される化合物の立体異性体も含まれる。立体異性体としては、限定されるものではないが、鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ混合物、およびそれらの組合せを挙げることができる。かかる立体異性体は、従来の技法を用いて、鏡像異性体出発物質を反応させることによるか、または本発明の化合物の異性体を分離することにより、調製し、分離することができる。異性体には幾何異性体が含まれてよい。幾何異性体の例としては、限定されるものではないが、二重結合を挟んだシス異性体またはトランス異性体が挙げられる。その他の異性体は、本発明の化合物の中に企図される。これらの異性体は純粋な形態で、または本明細書に記載される化合物のその他の異性体と混合して使用されてよい。
式(9)の化合物は、特に、キラル化合物であり、キラル中心はアスタリスクで示される。したがって、式(9)の葉酸拮抗化合物は、2つの別個の鏡像異性体−(R)鏡像異性体かまたは(S)鏡像異性体として存在し得る。一般に、式(9)の葉酸拮抗化合物は、2つの鏡像異性体のラセミ混合物として存在する。
光学活性形態を調製するため、かつ活性を決定するための様々な方法が当技術分野で公知である。かかる方法には、本明細書に記載される標準的な試験および当技術分野で周知のその他の類似した試験が含まれる。本発明に従う有用な化合物の光学異性体を得るために用いることのできる方法の例としては、次のものが挙げられる:
i)結晶の物理的分離−個々の鏡像異性体の肉眼で見える結晶を手作業で分離する技法。この技法は、特に、別個の鏡像異性体の結晶が存在し(すなわち、その物質は集合体である)、その結晶が視覚によって識別できる場合に使用することができる、
ii)同時結晶化−個々の鏡像異性体が、ラセミ化合物の溶液から別々に結晶化される技法、後者が固体状態で集合体である場合に限り可能である、
iii)酵素分割−酵素を用いて鏡像異性体の異なる反応速度によってラセミ化合物を部分的または完全に分離する技法、
iv)酵素不斉合成−少なくとも1つの合成段階で酵素反応を用いて所望の鏡像異性体の鏡像異性的に純粋であるかまたは濃縮された合成前駆体を得る合成法、
v)化学不斉合成−キラル触媒またはキラル補助剤を用いて実現することのできる、生成物中に不斉(すなわちキラリティー)を形成する条件下でアキラル前駆体から所望の鏡像異性体を合成する技法、
vi)ジアステレオマー分離−ラセミ化合物を、個々の鏡像異性体をジアステレオマーに変換する鏡像異性的に純粋な試薬(キラル補助剤)と反応させる技法。結果として得られるジアステレオマーは、次に、今やより明確なそれらの構造の相違によってクロマトグラフィーまたは結晶化により分離され、キラル補助剤は所望の鏡像異性体を得るためにその後除去される、
vii)一次および二次不斉転換−ラセミ化合物からジアステレオマーを平衡化して所望の鏡像異性体からジアステレオマーの溶液の優勢を得るか、または最終的に原理上全ての材料が所望の鏡像異性体から結晶性ジアステレオマーに変換されるように鏡像異性体からのジアステレオマーの優先晶出により平衡を混乱させる技法。所望の鏡像異性体は、次にジアステレオマーから放出される、
viii)動的分割−動的条件下、鏡像異性体とキラル、非ラセミ試薬または触媒との反応速度が一定でないことよる技法で、ラセミ化合物の部分的もしくは完全分割(または部分的に分割された化合物のさらなる分割)を含む、
ix)非ラセミ前駆体からのエナンチオ特異的合成−所望の鏡像異性体が非キラル出発物質から得られ、かつ、立体化学的完全性が合成の過程にわたって損なわれないか、またはごく最小限しか損なわれない合成法、
x)キラル液体クロマトグラフィー−ラセミ化合物の鏡像異性体が、その固定相との異なる相互作用によって、液体移動相中で分離される技法。固定相はキラル材料から作製することができ、または移動相は異なる相互作用を誘発するためにさらなるキラル材料を含むことができる、
xi)キラルガスクロマトグラフィー−ラセミ化合物を揮発させ、気体移動相における固定された非ラセミキラル吸着相を含有するカラムとの異なる相互作用によって、鏡像異性体を分離する技法、
xii)キラル溶媒による抽出−一種類の鏡像異性体を特定のキラル溶媒の中に優先的に溶解させることによって鏡像異性体を分離する技法、ならびに
xiii)キラル膜を通過する輸送−ラセミ化合物を薄膜バリアと接触下に置く技法。このバリアは一般に、一方がラセミ化合物を含有する2つの混和性流体を分離し、濃度または圧力差などの駆動力により膜バリアを通過する優先的輸送を引き起こす。分離は、ラセミ化合物の1種類の鏡像異性体のみを通過させる、膜の非ラセミキラル性の結果として起こる。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、式(10)に示される(S)−2−{4−[2−(2,4−ジアミノ−キナゾリン−6−イル)−エチル]−ベンゾイルアミノ}−4−メチレン−ペンタン二酸を含む。式(10)の化合物は、式(9)に示される化合物の(S)鏡像異性体である。この(S)鏡像異性体は、(R)鏡像異性体と比較してその活性の増加を考えると、本発明の医薬組成物において特に有用である。このことは、この文書に添付される実施例において説明される。
Figure 2011516560
本発明の医薬組成物で使用される葉酸拮抗化合物は、場合により、鏡像異性的に濃縮された形態、例えば1種類の鏡像異性体が過剰に存在する(モル分率または重量分率として示される)鏡像異性体の混合物などで提供されてよい。鏡像体過剰率は、化学物質が同じ化合物の2つの鏡像異性体を含み、一方の鏡像異性体がもう一方の鏡像異性体よりも大量に存在する場合に存在すると理解される。ラセミ混合物とは違って、これらの混合物は正味の旋光度を示す。混合物の比旋光度と純粋な鏡像異性体の比旋光度を知ることにより、鏡像体過剰率(「ee」と略される)を公知の方法により決定することができる。混合物中に存在する各々の鏡像異性体の量の直接定量(例えば、重量%として)は、NMR分光分析法およびキラルカラムクロマトグラフィーを用いて可能である。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は式(9)に従う化合物を含み、この際、式(10)に示される(S)鏡像異性体は、鏡像体過剰で存在する。かかる実施形態では、組成物は、(S)鏡像異性体に関して光学的に精製された形態で式(9)の化合物を含んでいるとみなされ得る。同様に、鏡像体過剰の(S)鏡像異性体を含む組成物は、特有の(specific)鏡像異性体純度を有するとみなされ得る。
好ましくは、本発明の医薬組成物中の葉酸拮抗化合物は、組成物中に存在する化合物の50%より多くが(S)鏡像異性体であるように、(S)鏡像異性体に関して鏡像異性的に純粋である。具体的な実施形態では、本発明の医薬組成物は、(S)鏡像異性体の鏡像異性体純度が少なくとも約75%である、式(9)に従う葉酸拮抗化合物を含む。言い換えれば、組成物中に存在する葉酸拮抗化合物の少なくとも約75%が(S)体である。さらなる実施形態では、本発明の医薬組成物中で用いられる式(9)の葉酸拮抗化合物の(S)鏡像異性体の鏡像異性体純度は、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.6%、少なくとも約99.7%、または少なくとも約99.8%である。
本発明の医薬組成物で用いる本明細書に記載される化合物は、ある種の実施形態では、それらが本発明に従う薬理活性を維持するという条件で、エステル、アミド、塩、溶媒和物、プロドラッグ、または代謝産物の形態であってよい。本発明の化合物のエステル、アミド、塩、溶媒和物、プロドラッグ、およびその他の誘導体は、一般に当技術分野で公知の方法、例えば、引用により本明細書の一部となすものとする、J.March,Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms and Structure,4th Ed.(New York:Wiley−Interscience,1992)に記載される方法などに従って調製されてよい。
本発明に従う有用な化合物の製薬上許容される塩の例としては、酸付加塩が挙げられる。しかしながら、製薬上許容されない酸の塩は、例えば、化合物の調製および精製において有用であり得る。本発明に従う適切な酸付加塩としては、有機酸および無機酸が挙げられる。好ましい塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピルビン酸、酢酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、オキサロ酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、およびイセチオン酸から形成される塩が挙げられる。その他の有用な酸付加塩としては、プロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、サリチル酸、および同類のものが挙げられる。製薬上許容される塩の特定の例としては、限定されるものではないが、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、蟻酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−ジオエート、ヘキシン−1,6−ジオエート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、およびマンデル酸塩が挙げられる。酸付加塩は、適した塩基で処理することにより遊離塩基に再変換することができる。
本発明の化合物が酸である場合、所望の塩は、遊離酸を無機塩基または有機塩基で、例えばアミン(第一級、第二級または第三級)、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属水酸化物または同類のもので処理することを含む、当分野で公知の任意の適した方法により調製することができる。適した塩の説明となる例としては、グリシンおよびアルギニンなどのアミノ酸、アンモニア、第一級、第二級および第三級アミン、ならびに、ピペリジン、モルホリンおよびピペラジンなどの環状アミンから誘導される有機塩基、ならびに、ナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウムおよびリチウムから誘導される無機塩が挙げられる。
本発明に従って有用な化合物が塩基である場合、所望の塩は、遊離塩基を無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸および同類のものなど、または有機酸、例えば酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸(例えばグルクロン酸およびガラクツロン酸など)、α−ヒドロキシ酸(例えばクエン酸および酒石酸など)、アミノ酸(例えばアスパラギン酸およびグルタミン酸など)、芳香族酸(例えば安息香酸および桂皮酸など)、スルホン酸(例えば、p−トルエンスルホン酸またはエタンスルホン酸など)、または同類のもので処理することを含む、当分野で公知の任意の適した方法により調製することができる。
本発明に従う化合物のエステルは、該化合物の分子構造内に存在し得るヒドロキシル基および/またはカルボキシル基の官能化によって調製することができる。アミドおよびプロドラッグも当業者に公知の技法を用いて調製することができる。例えば、アミドは、エステルから、適したアミン反応体を用いて調製することができ、またはアミドは無水物または酸塩化物からアンモニアまたは低級アルキルアミンとの反応により調製することができる。さらに、本発明の化合物のエステルおよびアミドは、カルボニル化剤(例えば、蟻酸エチル、無水酢酸、メトキシ塩化アセチル、塩化ベンゾイル、イソシアン酸メチル、クロロ蟻酸エチル、塩化メタンスルホニル)および適した塩基(例えば、4−ジメチルアミノピリジン、ピリジン、トリエチルアミン、炭酸カリウム)の0℃〜60℃の温度での適した有機溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、アセトン、メタノール、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド)中の反応により作製することができる。プロドラッグは、一般に、部分の共有結合により調製され、その結果、個体の代謝系により修飾されるまで治療上不活性である化合物がもたらされる。製薬上許容される溶媒和物の例としては、限定されるものではないが、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、またはエタノールアミンと組み合わせた、本発明に従う化合物が挙げられる。
特定の実施形態では、医薬組成物で用いる葉酸拮抗化合物は、上記の葉酸拮抗化合物の塩を含む。好ましい実施形態では、本発明は、式(11)に従う化合物の塩を含む医薬組成物を提供する。
Figure 2011516560
式(11)において、アスタリスクはこの場合もキラル中心を示し、Xは、任意の適した塩形成対イオンであってよく、各々のXは、同一であっても異なっていてもよい。具体的な実施形態では、Xは、アルカリ金属である。好ましい一実施形態では、Xは、ナトリウムカチオンである。もう一つの好ましい実施形態では、Xは、カリウムカチオンである。具体的な実施形態では、本発明の組成物は、式(11)に従う二ナトリウム塩を含む。さらに別の具体的な実施形態では、本発明の組成物は、式(11)に従う二カリウム塩を含む。当然、その他のカチオン性部分は、式(11)の化合物中でXとして用いられることもあり得ると理解される。さらに、本発明はまた、(R)鏡像異性体に対して鏡像異性的に純粋であるか、(S)鏡像異性体に対して鏡像異性的に純粋であるか、またはラセミ体であってよい、式(11)に従う塩形態も包含する。かかる鏡像異性体純度は、既に上に記載した通りであってよい。
葉酸拮抗化合物、例えば式(11)の化合物などの塩は、それらの好ましい物理化学特性を考えると本発明の医薬組成物において特に有用であり得る。実施例1(本文書に添付される)には、19種類の異なる製薬上許容される酸および6種類の塩基を用いる式(9)のラセミ遊離酸化合物の塩スクリーニング(salt screen)が記載されている。
式(11)の化合物の二ナトリウム塩は、特に、式(9)に示される二酸型と比較して、改良された溶解度特性を有することが示されている。このことは、図1においてpHを関数として溶解度を示すグラフにより図示される。図1中、「遊離型」とは、式(9)に従う葉酸拮抗化合物であり、「ナトリウム塩」とは、式(11)に従う化合物の二ナトリウム塩である。図1に見られるように、葉酸拮抗化合物のナトリウム塩は、生理学的pHに関してより近いpHでより大きな溶解度を示す。
本発明において有用な葉酸拮抗化合物のナトリウム塩、例えば式(11)の化合物の二ナトリウム塩などの溶解度の上昇が図2でさらに説明される。図中、式(9)の化合物(「CH−1504遊離酸」で示される)と式(11)の化合物の二ナトリウム塩(「CH−1504ナトリウム塩」で示される)の溶解比較が示されている。時間を関数とした、両方の化合物の0.1N塩酸中の溶解パーセントを、標準的なUSP溶解装置および高速液体クロマトグラフィー(HPLC)試験装置を用いて評価した。約15分の時間の後、ナトリウム塩化合物は明らかにはるかに高い溶解度を示す。45分の時間までに、ナトリウム塩化合物は、酸化合物のわずか45%と比較して約70%の溶解パーセントを示す。このことは、組成物が酸性環境、例えば胃の中などに遭遇する経口送達のための本発明の医薬組成物の場合に、特に関連性がある。ナトリウム塩化合物の溶解度のほうが高いことは、より多くの量の活性化合物が吸収に利用できることを示す。
本発明は、ラセミ混合物で提供される塩形態の化合物を含む組成物を明らかに包含するが、本発明のある種の実施形態では、塩形態であり、かつ(S)鏡像異性体に関して鏡像異性的に精製された、葉酸拮抗化合物を含む医薬組成物を提供することが特に有用である。例えば、一実施形態では、本発明は、上記のように、(S)鏡像異性体に関して鏡像異性的に精製された、2−{4−[2−(2,4−ジアミノ−キナゾリン−6−イル)−エチル]−ベンゾイルアミノ}−4−メチレン−ペンタン二酸の二ナトリウム塩または二カリウム塩を含む医薬組成物を提供する。したがって、好ましい実施形態では、本発明は、(S)−2−{4−[2−(2,4−ジアミノ−キナゾリン−6−イル)−エチル]−ベンゾイルアミノ}−4−メチレン−ペンタン二酸の塩であり、この際、Xは、式(11)に関して上に定義される通りである、式(12)に従う化合物を含む医薬組成物を提供する。好ましくは、組成物は、(S)鏡像異性体について少なくとも95%純粋であり、より好ましくは、少なくとも97%純粋であり、さらにより好ましくは、少なくとも98%純粋であり、さらにより好ましくは、少なくとも99%純粋であり、最も好ましくは、(S)鏡像異性体について少なくとも99.5%純粋である。
Figure 2011516560
固体組成物の場合、本発明の組成物で用いられる化合物が異なる形態で存在する可能性があることは理解される。例えば、化合物は安定結晶形および準安定結晶形ならびに等方性形および非晶質形で存在してよく、それらは全て本発明の範囲内に入ることが意図される。
本発明の化合物の結晶形態および非晶質形態は、その物質の特有のX線粉末回折パターン(すなわちオングストロームで表される面間隔ピーク)を特徴とし得る。かかるデータを測定するために有用な装置は、Shimadzu XRD−6000X線回折計など、当技術分野で公知であり、そのような装置を用いて本発明に従う化合物を測定することができる。
具体的な実施形態では、本発明は、葉酸拮抗化合物を含む医薬組成物を上記のように安定した結晶形で含む。具体的な実施形態では、医薬組成物は、式(11)に従う塩化合物を安定した結晶形で含む。好ましい実施形態では、医薬組成物は、式(12)に従う化合物塩を安定した結晶形で含み、この際、化合物は、本明細書に記載される(S)鏡像異性体の鏡像異性体純度を有する。
本発明の一実施形態では、本発明の組成物で用いられる葉酸拮抗化合物は、次の近似するX線粉末回折「d−間隔」ピーク(すなわち、2°θでの面間隔ピーク)を特徴とする二ナトリウム塩である:4.8750、7.3490、8.1221、10.5019、11.8701、12.4449、14.5270、16.0326、17.1551、20.6738、21.1909、21.7468、22.5306、23.2841、23.9665、24.4918、28.3375、29.1428、30.8958、32.2118、33.5960、34.5226、および35.4153。この形態の二ナトリウム塩に対するX線粉末回折パターンを図5に例示する(下の実施例1でより詳細に考察される)。
本発明の医薬組成物には、本発明の葉酸拮抗化合物のプロドラッグおよび活性代謝物がさらに含まれる。本明細書に記載される化合物はいずれもプロドラッグとして投与され、化合物の活性、バイオアベイラビリティ、または安定性を増加させるか、またあるいは化合物の特性を変化させることができる。プロドラッグの典型的な例としては、活性化合物の官能部分に生物学的に不安定な保護基を有する化合物が挙げられる。プロドラッグには、酸化、還元、アミノ化、脱アミノ化、ヒドロキシル化、脱ヒドロキシル化、加水分解、脱加水分解、アルキル化、脱アルキル化、アシル化、脱アシル化、リン酸化、および/または脱リン酸化されて活性化合物を生じることのできる化合物が含まれる。好ましい実施形態では、本発明の化合物は、異常増殖細胞に対する抗増殖活性を有するか、またはかかる活性を示す化合物へと代謝される。
多数のプロドラッグリガンドが公知である。一般に、化合物の1以上のヘテロ原子、例えば遊離アミンまたはカルボン酸残基などのアルキル化、アシル化、またはその他の親油性修飾により、極性が低下し、細胞への通過が可能となる。遊離アミンおよび/またはカルボン酸部分の1以上の水素原子を置換することのできる置換基の例としては、限定されるものではないが、次のものが挙げられる:アリール、ステロイド、炭水化物(糖を含む)、1,2−ジアシルグリセロール、アルコール、アシル(低級アシルを含む)、アルキル(低級アルキルを含む)、スルホン酸エステル(アルキルもしくはアリールアルキルスルホニル、例えばメタンスルホニルおよびベンジルなどを含む、この際フェニル基は場合により本明細書に記載されるアリールの定義に記載される1以上の置換基で置換されている)、場合により置換されているアリールスルホニル、脂質(リン脂質を含む)、ホスホチジルコリン、ホスホコリン、アミノ酸残基または誘導体、アミノ酸アシル残基または誘導体、ペプチド、コレステロール、あるいは、インビボで投与されると遊離アミンおよび/またはカルボン酸部分をもたらすその他の製薬上許容される脱離基。これらのいずれもが、所望の効果を達成するために開示される化合物と組み合わせて使用することができる。
葉酸拮抗化合物を合成するための様々なプロセスは、米国特許第4,996,207号明細書、米国特許第5,550,128号明細書、Abraham et al.(1991)J.Med.Chem.34:222−227、およびRosowsky et al.(1991)J.Med.Chem.34:203−208に開示され、その全ては引用により本明細書の一部となすものとする。合成法の一例として、式(12)に従う化合物は、下に示す反応スキームIに従って調製することができる。
反応スキームI
Figure 2011516560
Figure 2011516560
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反応スキームIによれば、6−ニトロ−m−トルイル酸を、カルボキシレート活性化剤(carboxylate activator)、例えばクロロ蟻酸イソブチル、およびトリエチルアミンを用いる反応を介して中間体化合物I−01に変換する。次に、化合物I−01を、例えばジメチルホルムアミド中のオキシ塩化リンと反応させることにより、シアン酸塩形態に変換する(I−02)。段階3では、化合物I−02を、求核性の有機触媒、例えば1,1,3,3−テトラメチルグアニジンなどの存在下、適した溶媒、例えばテトラヒドロフランなど中の4−メトキシカルボニル−ベンズアルデヒドと反応させて化合物I−03を形成する。次に、この化合物を適した触媒、例えば炭素担持パラジウムなどの存在下、好ましくは適した溶媒、例えばテトラヒドロフランなどの中で水素化して化合物I−04を形成する。段階5では、化合物I−04(スルホランの溶液中)とクロロ塩酸ホルムアミジンを反応させることにより縮合環化合物I−05を形成する。化合物I−05は、カルボン酸化合物I−06(4−[2−(−2,4−ジアミノ−キナゾリン−6−イル)エチル]安息香酸)に、例えば塩基および有機溶媒中で還流し、溶媒を蒸発させ、残留物質を酸性化することなどにより、変換される。段階7では、ヒンダード塩基、例えばN,N’−ジイソプロピルエチルアミンなどの存在下、適した溶媒、例えばジメチルホルムアミドなどの中で、化合物I−06を(S)−2−アミノ−4−メチレン−ペンタン二酸ジメチルエステル塩酸塩、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、および4−ジメチルアミノピリジンと反応させる。この反応の結果、所望の鏡像異性体形態(すなわち(S)鏡像異性体)の化合物I−07の形成がもたらされる。好ましくは、残りの反応段階はこの立体化学を保存するようなやり方で実行する。段階8では、(S)−2−{4−[2−(2,4−ジアミノ−キナゾリン−6−イル)−エチル]ベンゾイルアミノ}−4−メチレン−ペンタン二酸ジメチルエステル(化合物I−07)を塩基と適した溶媒、例えばアセトニトリルなどの中で反応させて化合物I−08の対応する二酸を形成する。段階9では、適当な溶媒、例えばメタノールなどを用いて溶液を形成し、適当な塩基を添加して所望のカチオン、例えば水酸化ナトリウムなどを得ることにより、塩化合物I−09を形成する。次に、この塩化合物を従来の手段により沈殿させることができる。一実施形態では、前述の方法を用いて式(12)に従う化合物を(S)鏡像異性体に対して99.8%の鏡像異性体純度を有する二ナトリウム塩または二カリウム塩として調製することができる。
III.医薬組成物
本発明は、特に、本明細書に記載される1以上の葉酸拮抗化合物あるいはその製薬上許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物、類似体、誘導体、またはプロドラッグを含む医薬組成物を提供する。さらに、本発明の組成物は、多様な組合せで調製および送達することができる。例えば、組成物は、有効成分を全て含有する単一の組成物を含んでよい。あるいは、組成物は、別々の有効成分を含むが、同時に、連続して、またあるいは極めて接近した間隔に投与されることが意図される複数の組成物を含んでよい。
医薬組成物は、1以上の葉酸拮抗化合物を、その1以上の製薬上許容されるキャリア、および場合によりその他の治療成分と共に送達するために調製することができる。キャリアは、組成物の任意のその他の成分に相溶性であり、そのレシピエントに有害でないという点で許容可能であるべきである。キャリアはまた、その薬剤の何らかの望ましくない副作用を低下させることもできる。本発明に従って使用され得るキャリアの限定されない例は、参照によりその全文が本明細書に援用される、Wang et al.(1980)J.Parent.Drug Assn.34(6):452−462に記載されている。
ある種の実施形態では、本発明の医薬組成物は、本明細書に記載される1以上の葉酸拮抗化合物を、該葉酸拮抗化合物(1または複数)の溶解度を増大させるため、かつ/または該葉酸拮抗化合物(1または複数)のバイオアベイラビリティを促進するために有用な1以上の添加剤と組み合わせて含む。ある種の実施形態では、本発明の医薬組成物は、本明細書に記載される1以上の葉酸拮抗化合物を、表面活性賦形剤、優先的にはGELUCIRE(登録商標)化合物と組み合わせて含む。その他の実施形態では、本発明の医薬組成物は、本明細書に記載される1以上の葉酸拮抗化合物を、錯化剤、優先的にはシクロデキストリン化合物と組み合わせて含む。なおさらなる実施形態では、その他の溶解度/バイオアベイラビリティ向上剤を使用することもあり得る。さらなる溶解度/バイオアベイラビリティ向上剤の限定されない例としては、トコフェロール(すなわち、ビタミンE)、ポリエチレングリコール化合物(例えば、PEG−4000)、ポリエチレングリコールエステル(例えば、LABRAFIL(著作権)1944CS)、ポリビニルピロリドン(例えば、ポビドンK29/32)、ポリエチレンオキシド共重合体(例えば、LUTROL(著作権)F68)、アルキル−ピロリドン(例えば、PHARMASOLVE(登録商標)およびPHARMASOLVE(登録商標)−ポリソルベート80)、脂肪酸のポリオキシエチレンエステル、例えばヒマシ油のポリオキシルエステル(例えば、CREMOPHOR(著作権)EL)、ソルベート化した植物油(例えば、オリーブ油−ポリソルベート80)、カプリル酸の塩およびエステル(例えば、CAPTEX(登録商標)355−ポリソルベート80およびACCONON(著作権)MC8−2)など、ならびに微晶質セルロース(例えば、AVICEL(著作権)PH101)が挙げられる。
Gattefosse s.a.,Saint−Priest Cedex,FranceおよびWestwood,NJ,USAの製品である、GELUCIRE(登録商標)、は、様々な用途において有用であり、一連の特性を有する複数の形態で利用可能な賦形剤である。それはグリセロールおよびポリエチレングリコールエステルの脂肪酸エステル(「PEGエステル」)から形成された半固体賦形剤であり、ポリグリコール化グリセリドと称され得る。したがって、これらの用語も本明細書において相互に交換可能であることが意図され、GELUCIRE(登録商標)組成物を包含することが意図される。ポリグリコール化グリセリドは、特性においては両親媒性であり、様々な物理的特性とともに利用可能である不活性の半固体のワックス状物質である。それらは本来表面活性があり、ミセル、顕微鏡レベルの小球、または小胞を形成する水性媒体中で分散または可溶化する。それらはその融点/HLB値により確認される。融点は摂氏温度で表され、HLB(親水性−親油性バランス)は、1からおよそ20まで広がる数値スケールである。HLB値が低いほど、親油性が高く疎水性物質であることを示し、値が高いほど親水性が高く疎油性物質であることを示す。水に対する、または油性の物質に対する化合物の親和性を決定し、そのHLB値を実験的に割り当てる。1種類のまたは異なる等級のポリグリコール化グリセリド賦形剤の混合物を選択して、所望の融点および/またはHLB値の特性を達成することができる。ポリグリコール化グリセリドまたはポリグリコール化グリセリド組成物の混合物の融点/HLB値を適切に選択することにより、特定の機能、例えば、即時放出、持続放出、および同類のものに必要な送達特性が得られる。
ある種の実施形態では、特有の特性を有するポリグリコール化グリセリド化合物を使用することが好ましい。例えば、具体的な実施形態では、約50℃未満の融点を有する特定のポリグリコール化グリセリド化合物を選択することが有用である。その他の実施形態では、ポリグリコール化グリセリドは、約33℃〜約50℃の範囲の融点を有し得る。さらなる実施形態では、ポリグリコール化グリセリド化合物は、そのHLB値に基づいて選択することができる。具体的な実施形態では、ポリグリコール化グリセリド化合物は、約8より大きいHLB値を有する。その他の実施形態では、ポリグリコール化グリセリド化合物は、約8〜約14のHLB値を有する。なおさらなる実施形態では、ポリグリコール化グリセリドは、使用する脂肪酸の種類またはPEG化合物の種類に基づいて選択され得る。例えば、脂肪酸は、グリセリルエステル、例えばラウリン酸グリセリルなどになることが有用であるが、任意のC14−C20脂肪酸エステルも使用され得る。その他の実施形態では、PEG化合物は、PEG化合物の分子量(ポリマー中に存在するエチレングリコール基の総数に基づく)に基づいて選択されてよい。例えば、PEG化合物の数平均分子量は、約1,200〜約2,500Da(すなわち、PEG1,000〜約PEG2,000)であり得る。その他の実施形態では、PEG化合物は、約PEG1200〜約PEG1800、約PEG1300〜約PEG1800、または約PEG1400〜約PEG1600の範囲であってよい。GELUCIRE(登録商標)44/14は、本発明の特定の実施形態に従って特に有用であり、融点が44℃であり、HLBが14である、ラウリン酸グリセリルのPEG1500エステルである。
固体ポリグリコール化グリセリド組成物の多くが低融点であることにより、それらのそれぞれの融点よりも高い約0℃〜約50℃の温度で薬学的に活性な成分をそれらの中に組み込む手段が得られる。溶融体は、例えば、硬ゼラチンカプセル剤に充填されて最終の送達形態を作製することができる。溶融体は室温まで冷却されるとカプセル剤の内部で凝固する。一実施形態では、本発明の医薬組成物は、ポリグリコール化グリセリド成分を溶融すること、および含める葉酸拮抗化合物を合することにより調製することができる。組成物の残留成分はいずれもポリグリコール化グリセリドがまだ溶融状態である間に添加することができる。本発明の一実施形態に従う、ポリグリコール化グリセリドを組み込む医薬製剤およびその調製法は、実施例9に記載される。
特定の実施形態では、製剤の特定の成分を「顆粒内」部分および「顆粒外」部分に分割する特定の技法を用いて製剤を調製することが有用であり得る。例えば、一部の増量剤および滑沢剤(顆粒内部分)は、薬学的に活性な葉酸拮抗化合物を含む溶融したポリグリコール化グリセリド混合物に添加されてよい。この混合物中で、増量剤の量および滑沢剤の量は、各々の成分の「最初の量」と呼ぶことができる。この混合物は、粒状化されてよく、増量剤および滑沢剤の残留部分(顆粒外部分または各々の成分の「第2の量」)を次に添加して混合物を粒状化して最終組成物を形成する。第2の量の増量剤および滑沢剤は各々の成分の最初の量と同じであっても異なっていてもよい(すなわち、増量剤の最初の量および第2の量は、同じ増量剤であってもよいし、異なる増量剤であってもよく、滑沢剤の最初の量および第2の量は、同じ滑沢剤であってもよいし、異なる滑沢剤であってもよい)。
製造プロセスの別個の段階で添加するために、特定の成分を顆粒内部分と顆粒外部分に分けることは、所望の特性を有する最終生成物を調製する際に特に有益であり得る。例えば、顆粒外相に一部の増量剤を含めることは、完成した組成物に嵩を与えるために有用である。しかし、一部の増量剤を顆粒内相に添加することも、溶融相内の薬剤分散を増大する利点を有する。従って、組成物全体を増強することが可能である。
本発明の医薬組成物中で使用されるポリグリコール化グリセリド化合物の量は変化し得る。ある種の実施形態では、ポリグリコール化グリセリド化合物の量は、使用する葉酸拮抗化合物の量に関連する。例えば、ポリグリコール化グリセリドの葉酸拮抗化合物に対する比は、約0.1:1〜約80:1の範囲であってよい。具体的な実施形態では、ポリグリコール化グリセリド化合物の葉酸拮抗化合物に対する比は、約1:1〜約50:1、約2:1〜約40:1、約5:1〜約25:1、または約10:1〜約20:1の範囲内である。
その他の実施形態では、本発明の医薬製剤で用いられるポリグリコール化グリセリド化合物の量は、組成物の総重量に基づく。例えば、ある種の実施形態では、本発明の医薬組成物は、ポリグリコール化グリセリド化合物を、全組成物1グラムあたり約250mgまでの量で含む。さらなる実施形態では、本発明の医薬組成物は、医薬組成物全体の重量に基づいて、約1mg/g〜約250mg/g、約5mg/g〜約200mg/g、約25mg/g〜約175mg/g、または約50mg/g〜約150mg/gのポリグリコール化グリセリド化合物を含む。
シクロデキストリン(最初はセルロシンと呼ばれたが、今は時々シクロアミロースと呼ばれる)は、アミロース(デンプンの断片)などにおいて見られるような、α−(1,4)グリコシド結合により結合された5またはそれ以上のα−D−グルコピラノシド単位からなる環状オリゴ糖のファミリーを構成する。最小のもの(かつ天然に存在しないシクロデキストリン)は、5員の大員環である。最大の十分特徴付けられたシクロデキストリンは、32個の1,4−アンヒドログルコピラノシド単位を含むが、少なくとも150員の環状オリゴ糖も公知である(とはいえ、一般にあまり特徴付けられていない混合物として公知である)。最も一般的に公知であるシクロデキストリンは、環内に6〜8単位に及ぶ多数のグルコースモノマーを含む。3種類の天然に存在するシクロデキストリンは、6、7、および8個の糖環分子であり、一般にそれぞれα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、およびγ−シクロデキストリンとして公知である。代表目的のため、β−シクロデキストリンの化学構造を下の式(13)に示す。
Figure 2011516560
溶媒中で最も安定したシクロデキストリンの三次元分子構造は、溶媒環境に対して、それぞれ、二級ヒドロキシル基および一級ヒドロキシル基を示すトロイドの上部(大きい方)の開口部および下部(小さい方)の開口部を有するトロイドの形態をとる。トロイドの内部は、グリコシド酸素原子によって大部分が提供される電子が豊富な環境の結果として、疎水性である。シクロデキストリンは多くの化合物と安定した水性複合体を形成することができ、シクロデキストリンの空洞の無極環境にある間に、化学物質と形成することのできる安定した複合体の主な原因となると一般に考えられるのは、原子間力(ファンデルワールス)、熱力学的力(水素結合)、および溶媒(疎水性)の力である。シクロデキストリンを、葉酸拮抗化合物の溶解度およびバイオアベイラビリティを強化するために本発明に従って特に有用にするのがこの複合体形成機能である。この目的のため、シクロデキストリンは、薬物保護のための微小環境の形成を促進し、安定した均一な分布を作成しかつ維持し、より便宜な物理的形態(例えば、懸濁液から溶液、または油状物質から固体)をもたらし、かつ、薬物の物理的特性(例えば、臭いおよび風味)を変化させることができる。シクロデキストリンは、参照によりその全文が本明細書に援用される、Comprehensive Supramolecular Chemistry,Volume 3,Cyclodextrins(Lehn,Jean−Marie and Osa,Tetsuo,editors),Elsevier Science,Inc.,においてさらに一般的に記載されている。
一般に上記のように機能するあらゆるシクロデキストリン化合物を、本発明の組成物で用いてよい。特に、6〜12のグルコース単位を含むシクロデキストリンを本発明で使用することができる。好ましい実施形態では、本発明の組成物で用いられるシクロデキストリンは、β−シクロデキストリン(BCD)、またはその塩もしくは誘導体を含む。さらなる実施形態では、本発明で用いられるシクロデキストリンは、α−シクロデキストリン(ACD)、またはその塩もしくは誘導体、またはγ−シクロデキストリン(GCD)、またはその塩もしくは誘導体を含んでよい。さらにまた、本発明で用いられるシクロデキストリンは、1以上のBCD、ACD、またはGCD(またはその塩もしくは誘導体)の様々な組合せを含んでよい。
非置換シクロデキストリンに加えて、本発明の組成物には、1以上のシクロデキストリン誘導体、例えばヒドロキシプロピルBCDなどが含まれてよい。本明細書において、シクロデキストリン誘導体とは、1以上の異なる化学部分をシクロデキストリン分子の中に導入するためにヒドロキシル基の1以上が化学反応によって変更されたシクロデキストリンをさす。本発明に従って有用なシクロデキストリン誘導体の限定されない例は、その全てが参照によりその全文が本明細書に援用される、米国特許第4,727,064号明細書、米国特許第5,376,645号明細書、および米国特許第6,001,343号明細書に記載されている。
シクロデキストリンは、混合の容易さのために、溶解度およびバイオアベイラビリティを増加させるために特に有用である。例えば、β−シクロデキストリンは、一般に、追加の組成物成分と簡単にブレンドすることができる粉末形態で利用可能である。一実施形態に従う、シクロデキストリンを組み込む本発明の医薬製剤およびその調製方法は、実施例10に記載される。
本発明の医薬組成物中で使用されるシクロデキストリン化合物の量は変化し得る。ある種の実施形態では、シクロデキストリン化合物の量は、使用する葉酸拮抗化合物の量に関連する。例えば、シクロデキストリンの葉酸拮抗化合物に対する比は、約1:1〜約80:1の範囲であってよい。具体的な実施形態では、シクロデキストリン化合物の葉酸拮抗化合物に対する比は、約2:1〜約50:1、約5:1〜約40:1、約10:1〜約25:1、または約10:1〜約20:1の範囲内である。
その他の実施形態では、本発明の医薬製剤で用いられるシクロデキストリン化合物の量は、組成物の総重量に基づく。例えば、ある種の実施形態では、本発明の医薬組成物は、シクロデキストリン化合物を、全組成物1グラムあたり約250mgまでの量で含む。さらなる実施形態では、本発明の医薬組成物は、医薬組成物全体の重量に基づいて、約1mg/g〜約250mg/g、約5mg/g〜約200mg/g、約25mg/g〜約175mg/g、または約50mg/g〜約150mg/gのシクロデキストリン化合物を含む。
葉酸拮抗化合物(1または複数)および、溶解度/バイオアベイラビリティを増大させるために添加される化合物(1または複数)に加えて、本発明の医薬組成物は、さらなる成分も含んでよい。かかるさらなる成分の例は、下文に詳細に記載される。ある種の実施形態では、本発明に従う医薬組成物は、本明細書に記載される葉酸拮抗化合物、溶解度/バイオアベイラビリティ向上剤(例えば、ポリグリコール化グリセリド化合物またはシクロデキストリン)、ならびに1以上の増量剤、滑沢剤、および抗付着剤(anti-adherent)を含むことが特に有用である。
増量剤は、最終剤形が適した嵩となるように(例えば、標準サイズの丸剤またはカプセル剤の形態となるように)、組成物の全体的な容量を増大させるために有用である。本発明の組成物中で有用であり得る増量剤の限定されない例としては、炭水化物およびセルロース系材料が挙げられる。増量剤のさらなる説明は本明細書中に別に記載されている。具体的な実施形態では、特に有用な増量剤は、マンニトール(例えばPEARLITOL(登録商標)100SDの名称で入手可能)である。本発明の組成物中に含められる増量剤の含量は、変動し得る。ある種の実施形態では、増量剤は、約10%〜約95重量%、約50%〜約90重量%、または約80%〜約90重量%の範囲で存在する。
本発明に従う有用な滑沢剤も、さらに下文に記載されている。ある種の実施形態では、ステアリン酸およびそのエステルを滑沢剤として含めることが有用である。使用することのできる1種類の具体的な滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムである。本発明の組成物中に含められる滑沢剤の含量は、変動し得る。ある種の実施形態では、滑沢剤は、約0.25%〜約2重量%、約0.5%〜約1重量%、または約0.75%〜約1重量%の範囲で存在する。
本明細書により詳細に記載されるように、1以上の抗付着性化合物を製剤、特に経口剤形に含めることも有益である。本発明に従う有用な抗付着剤の一例は、コロイド状二酸化ケイ素である。本発明の組成物中に含められる抗付着剤の含量も変動し得る。ある種の実施形態では、抗付着剤は、約0.5%〜約5重量%、約0.5%〜約3重量%、または約0.5%〜約2重量%の範囲で存在する。
ポリグリコール化グリセリド化合物と式(11)に従う二ナトリウム葉酸拮抗化合物の組合せは、二ナトリウム葉酸拮抗化合物単独と比較して、かつ、二酸形態(例えば、式(9)の化合物)中の葉酸拮抗化合物と比較して著しく増加した溶解度を提示したことが示されている。かかる改良された溶解度は、葉酸拮抗化合物の溶解比較が時間を関数として溶解パーセントとして示される図3において説明される。葉酸拮抗化合物は、二酸形態(「CH−1504遊離酸」で示される)で、ナトリウム塩形態(「CH−1504ナトリウム塩」で示される)で、そして、GELUCIRE(登録商標)44/14(「CH−1504製剤」で示される)を含む本発明に従う医薬組成物中のナトリウム塩形態として試験された。溶解は0.1N塩酸を用いて試験した。15分後、本発明の製剤はおよそ80%溶解を提示したが、塩単独および二酸単独は、この時間量の後、およそ35%溶解しか提示しなかった。本発明の製剤は、90%溶解を30分で、そして100%溶解を45分で実現した。90分後、塩単独および二酸単独は、それぞれ約75%溶解および約50%溶解しか実現しなかった。
本発明に従うシクロデキストリンを用いる組成物も、同様の有益な結果を示した。葉酸拮抗化合物およびシクロデキストリンを含む本発明の組成物の改良された溶解度は、葉酸拮抗化合物の溶解比較が、この場合も時間を関数として溶解パーセントとして示される図4において説明される。葉酸拮抗化合物は、この場合も、二酸形態(「遊離酸」で示される)で、ナトリウム塩形態(「二ナトリウム塩」で示される)で、そして本発明に従うシクロデキストリンを含む医薬組成物(「シクロデキストリン製剤」で示される)中のナトリウム塩形態として、試験された。15分後、本発明の製剤はおよそ95%溶解を提示したが、塩単独および二酸単独は、この時間量の後、およそ30〜35%溶解しか提示しなかった。本発明の製剤は30分以内に100%溶解に近づいた。45分後、塩単独および二酸単独は、それぞれ約70%溶解および約45%溶解しか実現しなかった。
本発明の医薬組成物には、好ましくは葉酸拮抗化合物が、下文においてさらに説明されるように治療上有効量で含まれる。ある種の実施形態では、組成物中の葉酸拮抗化合物の量は、組成物の総重量に基づく。例えば、ある種の実施形態では、医薬組成物は、葉酸拮抗化合物を約0.01mg/g〜約100mg/gの量で含む。さらなる実施形態では、医薬組成物は、葉酸拮抗化合物を約0.02mg/g〜約80mg/g、約0.05mg/g〜約75mg/g、約0.08mg/g〜約50mg/g、約0.1mg/g〜約30mg/g、約0.25mg/g〜約25mg/g、または約0.5mg/g〜約20mg/gの量で含む。薬物の量は、単位用量を基準としてもよい(例えば、単一のカプセル剤またたは錠剤中の薬物の量)。葉酸拮抗化合物の含量は、塩の含量を基準としてもよい。その他の実施形態では、たとえ塩形態が使用されている場合であっても、葉酸拮抗化合物の量は、存在する遊離酸の含量を基準とすることができる。
本発明の組成物には、その組成物が本明細書に記載される化合物の投与を実現するという条件で、短期、急速作用発現、急速消失、制御放出、持続放出、遅延放出、およびパルス放出組成物が含まれてよい。参照によりその全文が本明細書に援用される、Remington’s Pharmaceutical Sciences(18th ed.、Mack Publishing Company,Eaton,Pennsylvania,1990)を参照されたい。
本発明に従う医薬組成物は、様々な送達様式に適し、それには、経口、非経口(静脈内、筋肉内、皮下、皮内、関節内、滑膜内、くも膜下腔内、動脈内、心臓内、皮下、眼窩内、関節内、脊髄内、胸骨内、および経皮を含む)、局所(経皮、口内、および舌下を含む)、肺、膣、尿道、および直腸の投与が含まれる。投与はまた、鼻腔スプレー、外科用インプラント、内部外科ペイント(internal surgical paint)、輸液ポンプを介して、あるいはカテーテル、ステント、バルーンまたはその他の送達装置を介するものであってよい。最も有用かつ/または有益な投与様式は、特に治療されるレシピエントおよび障害の状態によって変動し得る。好ましい実施形態では、本発明の組成物は、下文でより詳細に説明されるように、経口剤形で提供される。
医薬組成物は、かかる組成物が一般に製薬分野で公知の方法のいずれかにより調製され得る単位剤形で、便宜に利用可能とすることができる。一般的に言えば、かかる調製方法は、(様々な方法によって)本発明の活性化合物を適したキャリアまたは1以上の成分で構成されてよいその他のアジュバントと混合することを含む。有効成分と1以上のアジュバントの組合せは、その後物理的に処理されて送達に適した形態の組成物を提示する(例えば、錠剤に成形するかまたは水性懸濁液を形成する)。
経口投薬に適した、本発明に従う医薬組成物は、様々な形態、例えば各々が所定量の活性剤を含有する錠剤、カプセル剤、カプレット、およびウエハー(急速溶解または起沸性のものを含む)などをとってよい。また、組成物は、粉末または顆粒の形態、水性もしくは非水性液中の溶液または懸濁液の形態、そして液体乳濁液(水中油型および油中水型)として存在してよい。また、活性剤は、ボーラス、舐剤、またはペーストとして送達されてよい。上記剤形の調製方法が一般に当技術分野で公知であり、かかる方法がどれも本発明に従う組成物の送達で使用するそれぞれの剤形の調製に適していることは一般に理解される。
一実施形態では、化合物は、不活性希釈剤または食用キャリアなどの製薬上許容されるビヒクルと組み合わせて経口投与されてよい。経口組成物は、硬もしくは軟シェルゼラチンカプセルに封入されてよく、錠剤に圧縮されてよく、または患者の食事の食材に直接組み込んでもよい。組成物および調製物の割合は多様であり得る、しかし、かかる治療上有用な組成物の物質量は、効果的な投薬レベルが得られるようなものであることが好ましい。
化合物を含有する硬カプセル剤は、生理学的に分解可能な組成物、例えばゼラチンなどを用いて作製されてよい。かかる硬カプセル剤は化合物を含み、かつ、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、またはカオリンなどの不活性固体希釈剤を含む、追加の成分をさらに含んでよい。化合物を含有する軟ゼラチンカプセル剤は、生理学的に分解可能な組成物、例えばゼラチンなどを用いて作製されてよい。かかる軟カプセル剤は化合物を含み、水あるいは、ピーナッツ油、流動パラフィン、またはオリーブ油などの油媒体と混合することができる。
舌下錠は、非常に急速に溶解するように設計されている。かかる組成物の例としては、酒石酸エルゴタミン、硝酸イソソルビド、およびイソプロテレノールHCLが挙げられる。これらの錠剤の組成物は、薬剤に加えて、様々な水溶性賦形剤、例えばラクトース、粉末スクロース、デキストロース、およびマンニトールなどを含む。本発明の固体剤形は、場合によりコーティングされてよく、適したコーティング材料の例としては、限定されるものではないが、セルロースポリマー(例えば酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネートなど)、ポリビニルアセテートフタレート、アクリル酸ポリマーおよび共重合体、およびメタクリル樹脂(例えばEUDRAGIT(登録商標)の商標名で市販されているもの)、ゼイン、セラック、および多糖が挙げられる。
本発明の医薬品の粉末および粒状組成物は、公知の方法を用いて調製することができる。かかる組成物は、患者に直接投与してもよいし、あるいは、例えば錠剤を形成する、カプセルを充填するか、あるいは水性もしくは油性ビヒクルを組成物に添加することにより水性もしくは油性の懸濁液または溶液を調製するなど、さらなる剤形の調製に使用してもよい。これらの組成物の各々は、1以上の添加剤、例えば分散もしくは湿潤剤、沈殿防止剤、および防腐剤などをさらに含んでよい。さらなる賦形剤(例えば、充填剤、甘味料、香味料、または着色剤)をこれらの組成物に含めてもよい。
経口投与に適した本発明の医薬組成物の液体組成物は、液体形態で、あるいは使用前に水または別の適したビヒクルで再構成するための乾燥製品の形態で、調製され、包装され、販売されてよい。
本発明に従う1以上の化合物を含有する錠剤は、例えば、場合により1以上のアジュバントまたは副成分とともに圧縮または成形することによるなど、当業者に容易に公知の任意の標準的な工程により製造されてよい。錠剤は、場合によりコーティングされても、刻み目をつけられてもよく、活性剤の徐放もしくは制御放出をもたらすように処方されてよい。
上文で考察したものに加えて、本発明の組成物で使用するためのアジュバントまたは副成分としては、当技術分野で一般に許容可能であると考えられる任意の薬剤成分、例えば結合剤、充填剤、滑沢剤、崩壊剤、希釈剤、界面活性剤、安定剤、防腐剤、香味料および着色剤、ならびに同類のものなどが挙げられる。結合剤は、一般に錠剤の凝集性を促進するため、かつ圧縮後に錠剤を確実に無傷のままにするために使用される。適した結合剤としては、限定されるものではないが:デンプン、多糖、ゼラチン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ワックス、ならびに天然および合成ゴムが挙げられる。許容される充填剤としては、二酸化ケイ素、二酸化チタン、アルミナ、タルク、カオリン、粉末セルロース、および微結晶性セルロース、ならびに水溶性材料、例えばマンニトール、尿素、スクロース、ラクトース、デキストロース、塩化ナトリウム、およびソルビトールなどが挙げられる。滑沢剤は、錠剤の製造を促進するために有用であり、滑沢剤には植物油、グリセリン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、およびステアリン酸が挙げられる。錠剤の崩壊を促進するために有用な崩壊剤には、一般に、デンプン、クレイ、セルロース、アルギン、ゴム、および架橋ポリマーが挙げられる。一般に錠剤に嵩を与えるために含められる希釈剤には、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、セルロース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、および粉糖を挙げることができる。本発明に従う組成物の使用に適した界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、両性、または非イオン性界面活性剤であってよい。安定剤は、活性剤の分解を引き起こす反応、例えば酸化反応などを阻害するかまたは低減するために組成物中に含めることができる。
固体剤形は、例えばコーティングを適用するなど、活性剤の遅延放出をもたらすように処方されてよい。遅延放出コーティングは、当技術分野で公知であり、そのようなコーティングを含む剤形は、任意の公知の適した方法により調製されてよい。かかる方法は、一般に、固体剤形(例えば、錠剤またはカプレット)の調製後、遅延放出コーティング組成物を適用することを含む。適用は、例えば、エアレススプレー、流動床コーティング、コーティングパンの使用、または同類の方法などによってよい。遅延放出コーティングとして使用するための材料は、本来ポリマー性のもの例えばセルロース系材料(例えば、酪酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびカルボキシメチルエチルセルロース)、ならびにアクリル酸、メタクリル酸、およびそのエステルのポリマーおよび共重合体などであってよい。
また、本発明に従う固体剤形は、持続放出(すなわち、活性剤を長期間にわたって放出する)であってもよく、かつ、遅延放出であってもなくてもよい。持続放出組成物は、当技術分野で公知であり、一般に、徐々に分解可能なまたは加水分解可能な材料、例えば不溶性プラスチック、親水性ポリマー、または脂肪族化合物などのマトリックス内に薬剤を分散させることにより調製される。あるいは、固体剤形をそのような材料でコーティングしてもよい。
ある種の実施形態では、本明細書に開示される化合物および組成物は、医療用具を介して送達することができる。かかる送達は、一般に任意の挿入可能または埋め込み可能な医療用具を介するものであってよく、それには、限定されるものではないが、ステント、カテーテル、バルーンカテーテル、シャント、またはコイルが含まれる。一実施形態では、本発明は、医療用具、例えばその表面が本明細書に記載される化合物または組成物でコーティングされるステントなどを提供する。本発明の医療用具は、例えば、疾患または状態、例えば本明細書に開示されるものなどの治療、予防、またあるいは経過に影響を与えるためのいずれの用途でも使用することができる。
本発明のもう一つの実施形態では、本発明の医薬組成物は、間欠的に投与することができる。治療上有効量の投与は、継続的な様式で、例えば持続放出組成物で達成してもよいし、または所望の一日の投与計画に従って、例えば1日あたり1回、2回、3回、またはそれ以上の投与によって達成してもよい。「中断期間」は、組成物の継続的な持続放出または連日投与の中断を意図する。中断期間は、継続的な持続放出または連日投与の期間よりも長くても短くてもよい。中断期間の間、当該組織における組成物の成分のレベルは、治療中に得られる最大レベルよりも実質的に低い。好ましい中断期間の長さは、有効量の濃度および使用する組成物の形態によって決まる。中断期間は少なくとも2日、少なくとも4日または少なくとも1週間であってよい。その他の実施形態では、中断期間は少なくとも1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月またはそれ以上である。持続放出組成物を用いる場合、中断期間は、身体での組成物の滞留時間がより長いことを考慮して延長する必要がある。あるいは、有効量の持続放出組成物の投与頻度をそれに応じて減少させてよい。本発明の組成物の投与の間欠的なスケジュールは、所望の治療効果、および疾患または障害の最終的な治療が達成されるまで継続することができる。
本発明の医薬組成物は、本明細書に記載される単一の薬学的に活性な葉酸拮抗化合物を含むことができ、本明細書に記載される2以上の薬学的に活性な葉酸拮抗化合物を含むことができ、または本明細書に記載される1以上の薬学的に活性な葉酸拮抗化合物を1以上のさらなる薬学的に活性な化合物とともに(すなわち、同時投与)含むことができる。したがって、本発明の組成物中の薬学的に活性な化合物は、固定された組合せ(すなわち、両方の活性剤量を含む単一の医薬組成物)で投与することができると認識される。あるいは、薬学的に活性な化合物は、同時に投与されてよい(すなわち別個の組成物を同時に投与する)。もう一つの実施形態では、薬学的に活性な化合物は順次に投与される(すなわち、1以上の薬学的に活性な化合物の投与の後に、1以上の薬学的に活性な化合物の別個の投与が続く)。当業者は、最も好ましい投与方法が所望の治療効果を可能にすることを認識する。
本発明に従う治療上有効量の組成物の送達は、治療上有効量の組成物の投与によって得ることができる。したがって、一実施形態では、治療上有効量は、異常細胞増殖を治療するために効果的な量である。もう一つの実施形態では、治療上有効量は、炎症を治療するために効果的な量である。さらにもう一つの実施形態では、治療上有効量は、関節炎を治療するために効果的な量である。さらにもう一つの実施形態では、治療上有効量は、喘息を治療するために効果的な量である。
活性化合物は、重大な毒作用の不在下、インビボで、治療量の本発明の化合物を患者に送達するために十分な量で医薬組成物に含められる。薬物組成物中の活性化合物の濃度は、薬物の吸収、不活性化、および排出速度ならびに当業者に公知のその他の要因によって決まる。投与量値が、軽減されるべき状態の重篤度によって変化することにも注意するべきである。任意の特定の被験体に関して、具体的な投与計画は、個々の必要性および組成物を投与するかまたは組成物の投与を投与または監督する人物の専門的な判断に従って経時的に調節されるべきであること、ならびに、本明細書に示される投与量の範囲は単なる例であり、特許請求される組成物の範囲または実施を限定するものではないこともさらに当然理解される。有効成分は、同時に投与されてもよいし、様々な時間間隔で投与される多数のそれより少ない用量に分割されてもよい。
本発明に従う治療上有効量は、レシピエントの体重に基づいて決定することができる。例えば、一実施形態では、本発明の1以上の化合物の治療上有効量は、1日あたり約0.1μg/体重kg〜約5mg/体重kgの範囲である。あるいは、治療上有効量は、固定された用量に関して説明することができる。したがって、もう一つの実施形態では、本発明の1以上の化合物の治療上有効量は、1日あたり約0.01mg〜約500mgの範囲である。当然、そのような量は1日を通じて投与される多数のそれより少ない投薬量に分割され得ることは理解される。製薬上許容される塩およびプロドラッグの効果的な投薬量範囲は、送達される親葉酸拮抗薬の重量に基づいて計算することができる。塩またはプロドラッグがそれ自体活性を示す場合、塩またはプロドラッグの重量を用いて、または当業者に公知のその他の手段により、効果的な投薬量を上のように見積もることができる。
本明細書に記載される1以上の化合物を含む本発明の組成物は、治療上有効量で哺乳類、好ましくはヒトに投与されることが企図される。本明細書に記載される状態または疾患のいずれかの治療のための化合物または組成物の有効量は、従来技法を用いることにより、かつ、類似する状況下で得られる結果を観察することにより、容易に決定することができる。組成物の効果的な量は、被験体の体重、性別、年齢、および病歴によって変化することが予期される。当然、その他の要因も送達される組成物の効果的な量に影響を及ぼすことがあり得、それには、限定されるものではないが、関与する具体的な疾患、疾患の関与もしくは重篤度の程度、個々の患者の応答、投与される調製物の特性、投与様式、投与される調製物のバイオアベイラビリティ特性、選択される用量計画、および併用薬物療法の使用が含まれる。化合物は、望ましくない症状および治療される状態に関連する臨床徴候を軽減するために十分な時間、優先的に投与される。有効性および投薬量を決定するための方法は当業者に公知である。例えば、引用により本明細書の一部となすものとする、Isselbacher et al.(1996)Harrison’s Principles of Internal Medicine 13 ed.,1814−1882を参照されたい。
IV.活性薬剤の組合せ
様々な疾患または状態を治療する際に使用するため、本発明の医薬組成物には、上記の葉酸拮抗化合物を様々な組合せで含むことができる。例えば、一実施形態では、本発明に従う医薬組成物は、本明細書に記載される単一の葉酸拮抗化合物、例えば、式(12)に従う化合物などを含んでよい。もう一つの実施形態では、本発明に従う医薬組成物は、2以上の本明細書に開示される葉酸拮抗化合物を含んでよい。なおさらなる実施形態では、本発明に従う医薬組成物は、本明細書に記載される1以上の葉酸拮抗化合物を1以上の治療特性を有することが公知のさらなる化合物と共に含んでよい。例えば、本明細書に記載される医薬組成物は、1以上の毒性を低下させる化合物(例えば、葉酸またはロイコボリン)とともに投与されてよい。さらなる実施形態では、本発明の医薬組成物は、抗炎症薬、抗関節炎薬、抗生物質、抗真菌薬、または抗ウイルス薬であることが公知の1以上の化合物とともに投与されてよい。かかるさらなる化合物は、医薬組成物の一成分として提供されてもよいし、本発明の組成物と交互に提供されてもよい。言い換えれば、本発明の医薬組成物は、本明細書に開示される葉酸拮抗化合物を含む同じ組成物中で追加の活性薬剤(1または複数)とともに投与されてよく、または追加の活性薬剤(1または複数)は、別個の送達形態で本発明の医薬組成物から投与されてよい。特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、下に記載される群から選択される1以上の化合物と組み合わせて提供することができる。
以下の説明において、上に開示される葉酸拮抗化合物を含む本発明の医薬組成物においてさらなる活性剤として有用な特定の化合物は、上記の化合物を用いて一般に治療される特定の疾患または状態に関して記載され得る。かかる疾患または状態の開示は本発明の範囲を限定するものではなく、特に、本明細書に開示される医薬組成物を用いて治療される疾患または状態を限定するものではない。むしろ、かかる例となる疾患または状態は、追加の化合物を用いて一般に治療される疾患および状態の種類を説明するためだけに提供される。
追加の活性剤として、本発明の医薬組成物は、ある種の実施形態では、抗増殖性薬剤とともに投与されてよい。増殖性障害は、現在、アルキル化剤、代謝拮抗剤、天然物、酵素、生物反応修飾物質、種々の薬剤、放射性医薬品(例えば、ホルモンまたは抗体へのY−90標識)、ホルモンおよびアンタゴニストを含む、多様なクラスの化合物により治療されている。下に列挙される抗増殖性薬剤のいずれか、または、例えば、De Vita,V.T.,Jr.,Hellmann,S.,Rosenberg,S.A.、Cancer:Principles & Practice of Oncology,5th ed.,Lippincott−Raven Publishers(1997)に記載される任意のその他のかかる治療薬および原則を、本発明の医薬組成物とともに使用することができる。
本発明の医薬組成物とともに使用するために適した血管新生阻害剤の代表的な、限定されない例としては、限定されるものではないが、レチノイド酸およびその誘導体、2−メトキシエストラジオール、アンギオスタチン(商標)タンパク質、エンドスタチン(商標)タンパク質、スラミン、スクアラミン、メタロプロテイナーゼ−Iの組織阻害剤、メタロプロテイナーゼ−2の組織阻害剤、プラスミノゲンアクチベーター阻害剤−1、プラスミノゲンアクチベーター阻害剤−2、軟骨由来阻害剤、パクリタキセル、血小板因子4、プロタミンサルフェート(クルペイン)、硫酸化キチン誘導体(ズワイガニ殻より調製)、硫酸化多糖ペプチドグリカン複合体(sp−pg)、スタウロスポリン、マトリックス代謝の修飾因子(例えば、プロリン類似体(I−アゼチジン−2−カルボン酸(LACA)、シス−ヒドロキシプロリン)、d,l−3,4−デヒドロプロリン、チアプロリン、α,α−ジピリジル、β−アミノプロピオニトリルフマラート、4−プロピル−5−(4−ピリジニル)−2(3h)−オキサゾロン、メトトレキサート、ミトキサントロン、ヘパリン、インターフェロン、2マクログロブリン−血清、チンプ−3(chimp-3)、キモスタチン、β−シクロデキストリンテトラデカサルフェート、エポネマイシン、フマギリン、金チオリンゴ酸ナトリウム、d−ペニシラミン(CDPT)、β−1−抗コラゲナーゼ−血清、α−2−抗プラスミン、ビサントレン、ロベンザリット二ナトリウム、n−(2−カルボキシフェニル−4−クロロアントロニル酸二ナトリウムまたは「CCA」、サリドマイド、血管新生抑制ステロイド、カルグボキシンアミノルミダゾール(cargboxynaminolmidazole)、および、BB94などのメタロプロテイナーゼ阻害剤を含む)が挙げられる。その他の血管新生阻害剤としては、抗体、好ましくはこれらの血管新生増殖因子:bFGF、aFGF、FGF−5、VEGFイソ型、VEGF−C、HGF/SFおよびAng−1/Ang−2に対するモノクローナル抗体が挙げられる。Ferrara N.and Alitalo,K.「Clinical application of angiogenic growth factors and their inhibitors」(1999)Nature Medicine 5:1359−1364。
本発明の医薬組成物とともに使用するために適したアルキル化剤の代表的な、限定されない例としては、限定されるものではないが、ナイトロジェンマスタード、例えばメクロレタミン(ホジキン病、非ホジキンリンパ腫)、シクロホスファミド、イフォスファミド(急性および慢性リンパ性白血病、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、神経芽腫、乳房、卵巣、肺、ウィルムス腫瘍、子宮頸部、精巣、軟部組織肉腫)、メルファラン(L−サルコリシン)(多発性骨髄腫、乳房、卵巣)、クロラムブシル(慢性リンパ性白血病、原発性マクログロブリン血症、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫)、エチレンイミンおよびメチルメラミン、例えばヘキサメチルメラミン(卵巣)、チオテパ(膀胱、乳房、卵巣)、スルホン酸アルキル、例えばブスルファン(慢性顆粒球白血病)、ニトロソウレア、例えばカルムスチン(BCNU)(ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、原発性脳腫瘍、多発性骨髄腫、悪性黒色腫)、ロムスチン(CCNU)(ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、原発性脳腫瘍、小細胞肺)、セムスチン(メチル−CCNU)(原発性脳腫瘍、胃、結腸)、ストレプトゾシン(STR)(悪性膵インスリノーマ、悪性カルシノイン(carcinoin))、およびトリアゼン、例えばダカルバジン(DTIC−ジメチルトリアゼノイミダゾール−カルボキサミド)(悪性黒色腫、ホジキン病、軟部組織肉腫)が挙げられる。
本発明の医薬組成物とともに使用するために適した代謝拮抗薬剤の代表的な、限定されない例としては、限定されるものではないが、葉酸類似体、例えば、メトトレキサート(アメトプテリン)(急性リンパ性白血病、絨毛癌、菌状息肉症、乳房、頭頸部、肺、骨原性肉腫)、ピリミジン類似体、例えばフルオロウラシル(5−フルオロウラシル−5−FU)フロクスウリジン(フルオロデオキシウリジン−FUdR)(乳房、結腸、胃、膵臓、卵巣、頭頸部、膀胱、前癌性皮膚病変)(局所)、シタラビン(シトシンアラビノシド)(急性顆粒球および急性リンパ性白血病)、プリン類似体および関連阻害剤、例えば、メルカプトプリン(6−メルカプトプリン−6−MP)(急性リンパ性、急性顆粒球および慢性顆粒球白血病)、チオグアニン(6−チオグアニン−TG)(急性顆粒球、急性リンパ性および慢性顆粒球白血病)、ペントスタチン(2’−デオキシシオホルマイシン(deoxycyoformycin))(毛様細胞白血病、菌状息肉症、慢性リンパ性白血病)、ビンカアルカロイド、例えば、ビンブラスチン(VLB)(ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、乳房、精巣)、ビンクリスチン(急性リンパ性白血病、神経芽腫、ウィルムス腫瘍、横紋筋肉腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、小細胞肺)、エピポドフィロトキシン、例えばエトポシド(精巣、小細胞肺およびその他の肺、乳房、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、急性顆粒球白血病、カポジ肉腫)、およびテニポシド(精巣、小細胞肺およびその他の肺、乳房、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、急性顆粒球白血病、カポジ肉腫)が挙げられる。
本発明の医薬組成物とともに使用するために適した細胞傷害性薬剤の代表的な、限定されない例としては、限定されるものではないが:ドキソルビシン、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、シタラビンUSP、シクロホスファミド、エストラムスチンリン酸エステルナトリウム、アルトレタミン、ヒドロキシ尿素、イフォスファミド、プロカルバジン、マイトマイシン、ブスルファン、シクロホスファミド、ミトキサントロン、カルボプラチン、シスプラチン、インターフェロンα−2a組換え型、パクリタキセル、テニポシド、およびストレプトゾシンが挙げられる。
本発明の医薬組成物とともに使用するために適した天然物の代表的な、限定されない例としては、限定されるものではないが:抗生物質、例えば、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)(絨毛癌、ウィルムス腫瘍、横紋筋肉腫、精巣、カポジ肉腫)、ダウノルビシン(ダウノマイシン−ルビドマイシン)(急性顆粒球および急性リンパ性白血病)、ドキソルビシン(軟部組織、骨原性、およびその他の肉腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、急性白血病、乳房、尿生殖器甲状腺、肺、胃、神経芽腫)、ブレオマイシン(精巣、頭頸部、皮膚および食道肺、ならびに尿生殖器系、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫)、プリカマイシン(ミトラマイシン)(精巣、悪性高カルシウム血症)、マイトマイシン(マイトマイシンC)(胃、子宮頸部、結腸、乳房、膵臓、膀胱、頭頸部)など、酵素、例えば、L−アスパラギナーゼ(急性リンパ性白血病)など、ならびに生物反応修飾物質、例えば、インターフェロン−α(毛様細胞白血病、カポジ肉腫、黒色腫、カルチノイド、腎細胞、卵巣、膀胱、非ホジキンリンパ腫、菌状息肉症、多発性骨髄腫、慢性顆粒球白血病)などが挙げられる。
本明細書に開示される医薬組成物とともに使用することのできる追加の薬剤としては、限定されるものではないが:プラチナ錯体、例えば、シスプラチン(シス−DDP)カルボプラチン(精巣、卵巣、膀胱、頭頸部、肺、甲状腺、子宮頸部、子宮内膜、神経芽腫、骨原性肉腫など)、アントラセンジオン、例えばミクストザントロン(Mixtozantrone)(急性顆粒球白血病、乳房)など、置換尿素、例えば、ヒドロキシ尿素(慢性顆粒球白血病、真性赤血球増加症、本態性血小板増加症、悪性黒色腫)など、メチルヒドラジン誘導体、例えば、プロカルバジン(N−メチルヒドラジン、MIH)(ホジキン病)など、副腎皮質抑制剤、例えば、(副腎皮質ホルモン合成阻害薬)ミトタン(o,p’−DDD)(副腎皮質)、アミノグルテチミド(乳房)など、副腎皮質ステロイド、例えば、プレドニゾン(急性および慢性リンパ性白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、乳房)など、プロゲスチン、例えば、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール(子宮内膜、乳房)など、およびステロイド、例えば、リン酸ベタメタゾンナトリウムおよび酢酸ベタメタゾンなどが挙げられる。
本発明の医薬組成物とともに使用するために適したホルモンおよびアンタゴニストの代表的な、限定されない例としては、限定されるものではないが、エストロゲン剤:ジエチルスチルベストロールエチニルエストラジオール(乳房、前立腺)、抗エストロゲン剤:タモキシフェン(乳房)、アンドロゲン剤:プロピオン酸テストステロンフルオキシメステロン(乳房)、抗アンドロゲン剤:フルタミド(前立腺)、ゴナドトロピン放出ホルモン類似体:およびロイプロリド(前立腺)が挙げられる。その他のホルモンとしては、酢酸メドロキシプロゲステロン、エストラジオール、酢酸メゲストロール、酢酸オクトレオチド、ジエチルスチルベストロール二リン酸、テストラクトン、および酢酸ゴセレリンが挙げられる。
本発明の医薬組成物は、関節炎を治療するために使用する治療薬とともに使用することができる。かかる薬剤の例としては、限定されるものではないが、以下のものが挙げられる:
非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、例えばシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤、アスピリン(アセチルサリチル酸)、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、およびアセトアミノフェンなど、
鎮痛薬、例えばアセトアミノフェン、オピオイド鎮痛薬、および経皮フェンタニルなど、
生物反応修飾物質、例えばエタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、アナキンラ、アバタセプト、リツキシマブ、セルトリズマブ・ペゴル、およびトシリズマブなど、
コルチコステロイドまたはステロイド、例えばグルココルチコイド(GC)、フルチカゾン、ブデソニド、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、アドレナリン、アルドステロン、酢酸コルチゾン、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、フルオコルトロン、ヒドロコルチゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレドニリデン、プロシノニド、リメキソロン、および副腎皮質など、
疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)、例えばヒドロキシクロロキン、シクロホスファミド、クロラムブシル、金化合物オーラノフィン、スルファサラジン、ミノサイクリン、シクロスポリン、トル様受容体アゴニストおよびアンタゴニスト、キナーゼ阻害剤(例えば、p38 MAPK)免疫抑制剤および腫瘍壊死因子(TNF)ブロッカー(例えば、エタネルセプト、インフリキシマブ、およびアダリムマブ)など、
線維筋痛症薬物、例えばアミトリプチリン、フルオキセチン、シクロベンザプリン、トラマドール、ガバペンチン、プレガバリン、および二重再取り込み阻害剤など、
骨粗しょう症薬物、例えばエストロゲン、副甲状腺ホルモン、ビスホスホネート、選択的受容体分子、および骨形成剤など、
痛風薬物、例えばアロプリノール、プロベネシド、ロサルタン、およびフェノフィブラートなど、
乾癬薬物、例えばアシトレチンなど、ならびに
局所治療、例えば局所NSAIDおよびカプサイシンなど。
本発明の医薬組成物はまた、喘息を治療するために使用される治療薬とともに使用することができる。かかる薬剤の例としては、限定されるものではないが、以下のものが挙げられる:
抗アレルギー薬、例えばクロモグリク酸ナトリウムおよびフマル酸ケトチフェンなど、
抗炎症薬、例えばNSAIDおよびステロイド性抗炎症薬(例えば、二プロピオン酸ベクロメタゾン、ブデソニド、リン酸デキサメタゾンナトリウム、フルニソリド、プロピオン酸フルチカゾン、およびトリアムシノロンアセトニド)など、
抗コリン薬、例えばイプラトロピウム臭化物、ベラドンナアルカロイド、アトロピン、およびオキシトロピウム臭化物など、
抗ヒスタミン薬、例えばクロロフェニラミン、ブロムフェニラミン、ジフェンヒドラミン、クレマスチン、ジメンヒドリナート、セチリジン、ヒドロキシジン、メクリジン、フェキソフェナジン、ロラタジン、およびエナディン(enadine)など、
β−アドレナリン受容体刺激薬(β刺激薬)、例えばサルブタモール、テルブタリン、エピネフリン、メタプロテレノール、イプラトロピウム臭化物、麻黄(アルカロイドの源)、エフェドリン、およびシュードエフェドリンなど、
ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、例えばザフィルルカストおよびジレウトンモンテルカストなど、
キサンチン(気管支拡張薬)、例えばテオフィリン、ジフィリン、およびオクストリフィリンなど、
種々の抗喘息薬、例えばキサンチン、メチルキサンチン、オクストリフィリン、アミノフィリン、ザルダベリンなどのホスホジエステラーゼ阻害剤、ニフェジピンなどのカルシウム拮抗薬、および、クロマカリムなどのカリウム活性化剤など、ならびに
予防薬(1または複数)、例えばクロモグリク酸ナトリウム、クロモグリク酸ナトリウム、ネドクロミル、およびケトチフェンなど。
さらに、本発明の医薬組成物とともに使用することのできる活性剤の限定されない例としては、抗乾癬薬、抗炎症性腸疾患(抗IBD)剤、抗慢性閉塞性肺疾患(抗COPD)剤、抗多発性硬化薬が挙げられる。
V.製造物品
本発明にはまた、本明細書に開示される1以上の葉酸拮抗化合物を、場合により1以上のさらなる活性剤を組み合わせて含む医薬組成物を提供する製造品が含まれる。製造品には、本発明に従う使用に適した組成物を任意のキャリアとともに、乾燥形態かまたは液体形態のいずれかで収容するバイアルまたはその他の容器が含まれてよい。特に、製造品は、本発明に従う組成物と容器を含むキットを含んでよい。そのようなキットでは、組成物を多様な組合せで送達することができる。例えば、組成物は、全ての有効成分を含む単一の投薬量からなってよい。あるいは、1より多くの有効成分が提供される場合、組成物は各々が1以上の有効成分を含む複数の投与量からなってよく、投薬量は、一緒に、連続して、またはその他の極めて接近した間隔での投与を目的とする。例えば、投薬量は、各々が単一の有効成分を含む、固体形態(例えば、錠剤、カプレット、カプセル剤、または同類のもの)または液体形態(例えば、バイアル)であり得るが、一緒に投与するためのブリスター包装、バッグ、または同類のもので提供される。
製造品には、容器上のラベルの形態および/または容器が包装されている箱に含められた挿入物の形態の本発明の方法を実行するための使用説明書がさらに含まれる。この使用説明書はまた、バイアルが包装されている箱に印刷されてもよい。使用説明書には、被験体または当業者が医薬組成物を投与できるようにするための十分な投薬量などの情報および投与情報が含まれる。当業者には、組成物を投与する可能性のあるあらゆる医師、看護師、技師、配偶者、またはその他の介護者が含まれると予測される。医薬組成物は、被験体によって自己投与することもできる。
VI.治療方法
既に記述したように、葉酸拮抗薬は、それにより阻害される葉酸依存性代謝過程に応じて異なる可能性があり、多くの葉酸拮抗薬は多様な酵素で作用する。ペメトレキセド(ALIMTA(登録商標)またはL−グルタミン酸、N−[4−[2−(2−アミノ−4,7−ジヒドロ−4−オキソ−1H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−5−イル)エチル]ベンゾイル−、二ナトリウム塩、七水和物としても公知)は、複数の酵素で作用することが知られている葉酸拮抗薬の一例である。特に、ペメトレキセドは、TS、DHFR、およびGARFTを阻害することにより抗悪性腫瘍活性を提示することが知られている。
チミジル酸シンターゼ(TS)は、ピリミジン新規デオキシヌクレオチド生合成における律速酵素であり、従って化学療法戦略の標的である場合が多い。DNA合成では、TSはデオキシウリジン−5’−一リン酸塩(dUMP)のデオキシチミジン−5’−一リン酸塩(dTMP)への還元的メチル化において中心的役割を果たす。従って、TS阻害は、dTMPの欠乏およびその後のDNAの必須前駆体である2’−デオキシチミジン−5’−三リン酸塩(dTTP)の欠乏を直接的に引き起こす。この結果、2’−デオキシウリジン−5’−三リン酸塩(dUTP)の蓄積が間接的にもたらされ、従って、dUTPのDNAへの誤取り込みに起因するいわゆる「チミン飢餓死」およびその後のDNA損傷の原因となる、ウラシル−DNAグリコシラーゼにより触媒される切除が引き起こされる。このDNA損傷および記述したdTTP/dUTPの不均衡は下流のイベントを誘導し、アポトーシス(細胞死)を引き起こす可能性がある。
ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)は、7,8−ジヒドロ葉酸塩(DHFまたはH2F)の5,6,7,8−テトラヒドロ葉酸塩(THFまたはH4F)へのNADPH依存性還元を触媒する。従って、DHFRは、プリン、チミジル酸、およびいくつかのアミノ酸の合成経路における必須補因子であるTHFの細胞内レベルを維持するために必要である。
グリシンアミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼ(GARFT)は、細胞分裂および増殖に重大な意味を持つ新規プリン生合成経路における葉酸依存性酵素である。具体的に、GARFTは、10−ホルミルテトラヒドロ葉酸塩(10−FTHF)のTHFへの反応からプリンの形成を触媒する。GARFTの阻害によって、細胞内プリンレベルが欠乏し、それは次にDNAおよびRNA合成を阻害する。最終的に、GARFT阻害によるDNAおよびRNA合成の途絶の結果、細胞死がもたらされる。GARFT阻害に関連する抗増殖性効果により、GARFTは腫瘍薬の特に望ましい標的となる。
葉酸拮抗薬、例えばペメトレキセドなどは、還元型葉酸キャリア系および膜葉酸結合タンパク質輸送系などの機構により細胞の中へ輸送され得る。細胞に入った時点で、ペメトレキセドはホリルポリグルタミン酸シンターゼによりポリグルタミル酸形態に変換される。このポリグルタミル酸形態は細胞内で保持され、TSおよびGARFTの阻害剤である。ポリグルタミル化は、腫瘍細胞で起こり、かつ、程度は低いが正常組織でも起こる、時間および濃度依存性の過程である。ポリグルタミル化した代謝産物は、細胞内半減期が増加し、その結果悪性細胞において長期の薬物作用がもたらされる。
多くの場合、複数の酵素に対する広範な作用は望ましくない可能性がある。例えば、ペメトレキセドはDHFR、TS、およびGARFTを阻害する。上記のように、TSおよびGARFTの阻害は細胞死に強く関連し、従ってTSおよびGARFT阻害剤を抗腫瘍薬物として使用することが望ましい。しかし、薬物、例えばペメトレキセドなどのアポトーシスを誘導する能力は、その薬物の毒性を増大させる(すなわち、健常な細胞ならびに腫瘍細胞の死)。
化合物、例えばペメトレキセドなどのTSおよびGARFTの阻害剤としての機能は、細胞の内部の化合物のポリグルタミル化から生じる。したがって、ポリグルタミル化不可能な化合物は、TS阻害剤またはGARFT阻害剤として機能することが予期され得る。しかし、ポリグルタミル化の阻害は、一般にDHFR阻害剤として機能する化合物の能力に影響を及ぼさない。例えば、ペメトレキセドは、ペメトレキセドのポリグルタミン酸形態と比較して、同等のDHFR阻害を有することが示されている。
本発明の医薬組成物で用いられる葉酸拮抗化合物は、化合物のグルタミン酸部分に4−メチリデン基を含む。当該部分は、γ−メチレングルタミン酸部分とも呼ばれ得る。メチレン基の存在により葉酸拮抗化合物はポリグルタミル化不可能となる。したがって、本発明の化合物は、DHFR阻害に特異的である(すなわち、細胞内部にポリグルタミル化が欠如しているためにTSまたはGARFTを阻害しない)。かかる特異性は、より特異的な治療を提供し、それと同時に毒性を回避または低減し、さらなるの酵素、例えばTSおよびGARFTなどで作用する化合物、例えばペメトレキセドなどにより一般的に関連する副作用を最小化するために望ましい。
本発明の医薬組成物で用いられる葉酸拮抗化合物は、葉酸代謝の途絶が該状態の症状または一般に該状態を治療するために有益である、様々な状態の治療において特に有用である。したがって、さらなる実施形態では、本発明は、様々な疾患または状態の治療方法に関する。特定の実施形態では、本発明は、葉酸代謝の途絶により治療可能であることが公知であるか見出された疾患または状態の治療方法を提供する。具体的な実施形態では、本発明は、状態、例えば異常細胞増殖、炎症(炎症性腸疾患を含む)、関節炎(特に関節リウマチ)、乾癬、および喘息などを治療する方法を提供する。
A.異常細胞増殖
異常細胞増殖は、深刻な健康への脅威を示す癌および非癌障害を含む、多くの疾患および状態の根源であることが示されている。一般に、異常細胞の増殖、例えば腫瘍での増殖は、正常細胞の増殖を上回り、正常細胞と協調しない。さらに、腫瘍細胞の異常増殖は、一般に、最初に細胞の増殖に異常を引き起こした刺激が停止した後も、異常な(すなわち、過剰な)方法で持続する。良性腫瘍は、細胞がその分化した特性を保持し、全く制御不能な方法で分裂しない細胞が特徴である。良性腫瘍は通常局在し非転移性である。悪性腫瘍(すなわち、癌)は、未分化で、身体の増殖制御シグナルに応答せず、かつ制御不能な方法で増殖する細胞が特徴である。悪性腫瘍は侵襲性であり転移可能である。
異常細胞増殖の疾患または状態の治療は、異常増殖性細胞を死滅させる、阻害する、または異常増殖性細胞(腫瘍または癌性増殖を含む)の本体または集団の増殖またはサイズの増大を遅らせる、異常増殖性細胞集団の細胞の数を減少させるか、あるいは異常増殖性細胞のその他の解剖学的部位への伝播を防ぐ、ならびに異常増殖性細胞の増殖のサイズを低下させる方法を含む。用語「治療」は、必ずしも異常細胞増殖の障害の治癒または完全な消滅を意味するものではない。異常細胞増殖の予防は、治療の不在下で起こる異常細胞増殖と比較して、異常細胞増殖の発生率の可能性または障害の発症を遅くする、延期する、制御する、または低下させる方法を含む。
異常細胞増殖、とりわけ過剰増殖は、遺伝子突然変異、感染、毒物への曝露、自己免疫障害、および良性または悪性腫瘍誘発を含む、幅広い種類の要因の結果として起こり得る。過剰増殖性細胞障害としては、限定されるものではないが、皮膚障害、血管障害、心血管障害、線維性障害、糸球体間質障害、自己免疫障害、移植片対宿主拒絶、腫瘍、および癌が挙げられる。
本発明を用いて治療することのできる、代表的な、限定されない種類の非腫瘍性異常細胞増殖障害としては:皮膚障害、例えば乾癬、湿疹、角化症、基底細胞癌、および扁平上皮癌、高血圧症および血管閉塞性疾患(例えば、アテローム性動脈硬化症、血栓症および再狭窄)などの心血管系の障害、血管の異常増殖、例えば血管新生などをもたらす血管原性(形成)および血管新生(伝播性)障害などの血管増殖性障害、ならびに、肥満症および真性糖尿病(1型および2型)を含む、インスリン抵抗性の状態などの内分泌系に関連する障害が挙げられる。
本発明の組成物および方法は、非腫瘍性異常細胞増殖に関連する炎症性疾患を治療するためにも有用である。これらには、限定されるものではないが、炎症性腸疾患(IBD)、関節リウマチ(RA)、多発性硬化症(MS)、増殖性糸球体腎炎、紅斑性狼瘡、強皮症、側頭動脈炎、閉塞性血栓性血管炎、粘膜皮膚リンパ節症状群、喘息、宿主体移植片、甲状腺炎、グレーブス病、抗原誘導性気道過敏症、肺好酸球増加症、ギラン・バレー症状群、アレルギー性鼻炎、重症筋無力症、ヒトTリンパ好性ウイルス1型関連脊髄症、単純ヘルペス脳炎、炎症性筋疾患、アテローム性動脈硬化症、およびグッドパスチャー症状群が含まれる。
特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は乾癬の治療において有用である。乾癬は、抗原提示細胞(APC)による慢性的T細胞刺激が皮膚で起こることを特徴とする、免疫介在性皮膚障害である。乾癬の様々な種類としては、例えば、尋常性乾癬(すなわち、尋常性の乾癬)、膿疱性乾癬、滴状乾癬、逆乾癬、乾癬性紅皮症、乾癬性関節炎、頭皮乾癬および爪乾癬が挙げられる。乾癬の一般的な全身治療としては、メトトレキサート、シクロスポリンおよび経口レチノイドが挙げられるが、それらの使用は毒性により制限される。40%までの乾癬患者はまた、乾癬性関節炎も発症する(Kormeili T et al.Br J Dermatol.(2004)151(1):3−15)。
さらなる実施形態では、本発明の医薬組成物は、血管の異常増殖をもたらす血管原性(形成)および血管新生(伝播)障害を含む、血管増殖性障害の治療において有用である。その他の血管増殖性障害としては、関節炎および糖尿病性網膜症などの眼疾患が挙げられる。異常な新血管新生は、固形腫瘍にも関連している。特定の実施形態では、本発明の組成物は、制御されない血管形成に関連する疾患の治療において有用である。代表的な、限定されない異常血管形成の疾患としては、関節リウマチ、虚血再潅流関連脳浮腫および障害、皮質虚血、卵巣過形成および血管過多、(多嚢胞性卵巣症状群)、子宮内膜症、乾癬、糖尿病性網膜症、および、未熟児網膜症(後水晶体線維増殖症)、黄斑変性症、角膜移植拒絶、血管新生緑内障、およびOster Webber症候群などのその他の眼血管新生疾患が挙げられる。異常な血液細胞増殖に関連する癌としては、血管内皮腫、血管腫、およびカポジ肉腫が挙げられる。
さらなる実施形態では、本発明の医薬組成物は、異常細胞増殖を伴う心血管系の障害の治療において有用である。かかる障害としては、例えば、高血圧症、血管閉塞性疾患(例えば、アテローム性動脈硬化症、血栓症、および血管形成術後の再狭窄)、急性冠動脈症状群(例えば不安定狭心症、心筋梗塞、虚血性および非虚血性心筋症、心筋梗塞後心筋症、および心筋線維症など)、および物質誘発性心筋症が挙げられる。
血管損傷はまた、内皮および血管の平滑筋細胞増殖をもたらし得る。損傷は、外傷性イベントまたはインターベンション(例えば、血管形成術、血管移植、吻合、臓器移植)により引き起こされ得る(Clowes A et al.A.J.Vase.Surg(1991)13:885)。再狭窄(例えば、冠動脈、頸動脈、および大脳病変)は、成功した冠動脈のバルーン血管形成術の主な合併症である。それは、冠動脈の内側を覆う内皮細胞に対する機械的損傷の結果として増殖因子を放出することにより引き起こされると考えられる。
本発明の手段により治療または予防することのできるその他のアテローム硬化性の状態としては、内皮および/または血管の平滑筋細胞の増殖を伴う動脈壁疾患が挙げられ、それには、糖尿病、糖尿病性糸球体硬化症、および糖尿病性網膜症の合併症が含まれる。
さらなる実施形態では、本発明の医薬組成物は、内分泌系に関連する異常細胞増殖障害の治療において有用である。かかる障害としては、例えば、肥満症を含むインスリン抵抗性の状態、真性糖尿病(1型および2型)、糖尿病性網膜症、糖尿病に関連する黄斑変性症、妊娠糖尿病、耐糖能異常、多嚢胞性卵巣症状群、骨粗しょう症、骨減少症、ならびにウェルナー症候群を含む組織および器官の加齢促進が挙げられる。
さらなる実施形態では、本発明の医薬組成物は、泌尿生殖器系の異常細胞増殖障害の治療において有用である。これらとしては、例えば、子宮内膜症、良性前立腺肥大、平滑筋腫、多発性嚢胞腎疾患、および糖尿病性腎症が挙げられる。
さらなる実施形態では、本発明の医薬組成物は、線維性疾患の治療において有用である。線維症を伴う医学的状態としては、外科手術または損傷の結果生じる望ましくない組織癒着が挙げられる。線維性疾患の限定されない例としては、肝硬変およびメサンギウム増殖性細胞障害が挙げられる。
なおさらなる実施形態では、組織および関節の異常細胞増殖障害は、本発明に従って治療することができる。かかる障害としては、例えば、レイノー現象/病、シェーグレン症状群全身性硬化症、全身性紅斑性狼瘡、血管炎、強直性脊椎炎、変形性関節症、反応性関節炎、乾癬の関節炎、および線維筋痛症が挙げられる。
ある種の実施形態では、肺系統の異常細胞増殖障害も、本発明に従って治療することができる。これらの障害としては、例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、反応性気道疾患、肺線維症、および肺高血圧症が挙げられる。
本発明に従って治療され得る異常細胞増殖成分を含むさらなる障害としては、ベーチェット症候群、乳腺線維嚢胞症、線維腺腫、慢性疲労症候群、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、虚血性心疾患、透析後症候群、白血病、後天性免疫不全症候群、血管炎、脂質組織球増殖症、敗血性ショック、およびガードナー症候群などの家族性腸ポリープ症が挙げられる。また、本発明の組成物および方法により治療され得る障害の範囲に含められるものは、ウイルス誘発性過剰増殖性疾患であり、それには、例えば、ヒトパピローマウイルス誘発性疾患(例えば、ヒトパピローマウイルス感染に起因する病変)、エプスタイン−バーウイルス誘発性疾患、瘢痕形成、性器疣贅、皮膚疣贅、および同類のものが挙げられる。
本発明の医薬組成物は、原発腫瘍および腫瘍転移などの様々な種類の癌を含む、異常細胞増殖の状態および疾患の治療においてさらに有用である。本発明に従って治療することのできる、具体的な、限定されない種類の良性腫としては、血管腫、肝細胞腺腫、海綿状血管腫、限局性結節性過形成、聴神経腫瘍、神経線維腫、胆管腺腫、胆管腺腫、線維腫、脂肪腫、平滑筋腫、中皮腫、奇形腫、粘液腫、結節性再生性過形成、トラコーマ、および化膿性肉芽腫が挙げられる。
本発明に従って治療可能な代表的な限定されない癌としては、乳癌、皮膚癌、骨癌、前立腺癌、肝癌、肺癌、脳癌、喉頭、胆嚢、膵臓、直腸、上皮小体、甲状腺、副腎、神経組織、頭頸部、結腸、胃、気管支、腎臓の癌、基底細胞癌、潰瘍性および乳頭型両方の扁平上皮癌、転移性皮膚癌、骨肉腫、ユーイング肉腫、細網肉腫、骨髄腫、巨細胞腫、小細胞肺腫瘍、胆石、膵島腫瘍、原発性脳腫瘍、急性および慢性のリンパ球性および顆粒球性腫瘍、毛様細胞腫瘍、腺腫、過形成、髄様癌、褐色細胞腫、粘膜神経腫、腸管神経節腫、過形成性角膜神経腫瘍、マルファン症候群様体質腫瘍、ウィルムス腫瘍、精上皮腫、卵巣腫瘍、平滑筋腫瘍、子宮頚部異形成および上皮内癌、神経芽腫、網膜芽細胞腫、軟部組織肉腫、悪性カルチノイド、局所皮膚病変、菌状息肉腫、横紋筋肉腫、カポジ肉腫、骨原性およびその他の肉腫、悪性高カルシウム血症、腎細胞腫瘍、真性赤血球増加症、腺癌、多形神経膠芽腫、白血病、リンパ腫、悪性黒色腫、類表皮癌、ならびにその他の癌腫および肉腫が挙げられる。
本発明の化合物はまた、拒絶反応またはその他の合併症の一因となる臓器移植に関連する増殖応答を予防または治療する際にも有用である。例えば、増殖応答は、心臓、肺、肝臓、腎臓、およびその他の身体臓器または臓器系の移植の間に起こる可能性がある。
B.炎症
本発明の医薬組成物は、炎症を特徴とする疾患の治療においても有用である。重要な炎症成分を有する疾患および状態は広範に存在し、それには、例えば、皮膚障害、腸障害、特定の神経変性疾患、関節炎、自己免疫疾患および多様なその他の疾患が挙げられる。これらの疾患の一部は、上記のように、炎症性および増殖性の成分の両方を有する。特定の実施形態では、化合物は、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病(CD)、潰瘍性大腸炎(UC)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、サルコイドーシス、または乾癬を治療するために用いられる。開示される医薬組成物は、その他の炎症性疾患、例えば、アレルギー障害、皮膚障害、移植拒絶、連鎖球菌感染後のおよび自己免疫性腎不全、敗血性ショック、全身性炎症反応症状群(SIRS)、成人性呼吸窮迫症状群(ARDS)、毒物注入、紅斑性狼瘡、橋本甲状腺炎、自己免疫性溶血性貧血、インスリン依存性真性糖尿病、およびリウマチ熱、骨盤内炎症性疾患(PID)、結膜炎、皮膚炎、および気管支炎の治療においても有用である。
炎症性腸疾患(IBD)には、クローン病(CD)および潰瘍性大腸炎(UC)を含むいくつかの慢性炎症状態が含まれる。CDとUCは両方とも、それらの病因が不明であるために「特発性」であると考えられる。クローン病と潰瘍性大腸炎は多くの症状(例えば、下痢、腹痛、熱、疲労)を共有するが、潰瘍性大腸炎は結腸に限定され、一方、クローン病は胃腸管のあらゆるセグメントに関与し得る。両方の疾患は、関節炎、眼の疾患(例えば、上強膜炎および虹彩炎)、皮膚疾患(例えば、結節性紅斑および壊疽性膿皮症)、尿路合併症、胆石、および貧血を含む、腸外の徴候に関与し得る。卒中、網膜血栓症、および肺塞栓症は、多くの患者が過凝固状態にあるため珍しくない。
特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、炎症性腸疾患の治療において有用である。好ましい実施形態では、炎症性腸疾患はクローン病である。
慢性閉塞性肺疾患、またはCOPDは、進行性であり、かつ肺の異常炎症反応に関連する不完全な可逆性気流制限を特徴とする。それは成人の最も一般的な呼吸状態の一つであり、慢性的な罹患率および死亡率の主な原因であり、世界規模の相当な経済および社会的負担に相当する(Pauwels R A.Lancet.(2004)364(9434):613−20)。この障害のその他の名称としては、例えば、慢性閉塞性気道疾患(COAD)、慢性閉塞性肺疾患(COLD)、慢性気流制限(CALまたはCAFL)ならびに慢性気道閉塞(COA)が挙げられる。
COPDは、気道、柔組織、および肺の脈管構造全体にわたる慢性炎症を特徴とする。炎症は、多数の細胞、メディエーター、および炎症作用を伴う。メディエーターとしては、例えば、プロテアーゼ、酸化剤および毒性ペプチドが挙げられる。経時的に、炎症は肺を損傷し、COPDに特有の病理変化を導く。疾患の発現には慢性気管支炎と肺気腫の両方が含まれる。慢性気管支炎は、長年にわたる気道の炎症であり、大量の粘液を生じ、喘鳴音および感染をもたらす。被験体が1年に少なくとも3ヶ月の間かつ連続して2年間、定期的に咳および粘液を有するのであれば、それは慢性であると考えられる。肺気腫は、肺胞および/または気管支を破壊し、気嚢を拡張させ、従って呼吸を困難にする疾患である。COPD患者において最も一般的なものは、小葉中心型の肺気腫である。特定の実施形態では、本発明の組成物は、慢性閉塞性肺疾患の治療において有用である。
サルコイドーシスは、異常細胞増殖に関連するさらに別の慢性炎症性疾患である。サルコイドーシスは、肉芽腫が炎症細胞の一定供給をもたらす血管新生毛細血管芽により作り出される、多システム肉芽腫性障害である。
上に記載したように、炎症はまた、再狭窄、プラーク破綻の結果生じるアテローム硬化性合併症、重篤な組織虚血、および心不全を含む、心血管疾患の病変形成において重要な役割を果たす。動脈壁の炎症変化、例えば、再狭窄およびアテローム性動脈硬化症の発生に主な役割を果たすと考えられる(Ross R.N Engl J Med.(1999)340:115−126)。プラークの形成の際に生じる局所炎症はまた、進行したプラークの繊維性被膜を弱めることにも寄与し、最終的にプラーク破綻および急性冠動脈症候群をもたらす(Lind L.Atherosclerosis.(2003)169(2):203−14)。
多発性硬化症(MS)は、中枢神経系に影響を及ぼす慢性でしばしば消耗性の自己免疫疾患である。MSは、脳および脊髄において神経を分離する脂肪物質であるミエリン鞘のタンパク質に対して身体が抗体および白血球を指示する時に結果的に生じる炎症を特徴とする。この結果は、筋肉の協調、視覚およびその他の神経シグナルを遅らせるかまたは阻止する、複数領域の瘢痕(硬化症)であってよい。特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、多発性硬化症の治療において有用である。
炎症は、パーキンソン病およびアルツハイマー病を含む神経疾患の病変形成に関係していることが示された(Mirza B.et al.Neuroscience(2000)95(2):425−32;Gupta A.Int J Clin Pract.(2003)57(1):36−9;Ghatan E.et al.Neurosci Biobehav Rev.(1999)23(5):615−33)。
本発明はまた、例えば、アレルギー障害、アレルギー性鼻炎、皮膚障害、移植拒絶、連鎖球菌感染後および自己免疫性腎不全、敗血性ショック、全身性炎症反応症候群(SIRS)、成人性呼吸窮迫症候群(ARDS)、毒物注入、紅斑性狼瘡、重症筋無力症、グレーブス病、橋本甲状腺炎、自己免疫性溶血性貧血、インスリン依存性真性糖尿病、糸球体腎炎、およびリウマチ熱、骨盤内炎症性疾患(PID)、結膜炎、皮膚炎、気管支炎、および鼻炎の治療においても有用である。
C.喘息
特定の実施形態では、医薬組成物は喘息の治療に使用することができる。近年、喘息の主要な根底にある病理が気道組織炎症であることが明らかとなってきた(Lemanke(2002)Pediatrics 109(2):368−372;Nagayama et al.(1995)Pediatr Allergy Immunol.6:204−208)。喘息は、多数の症状および徴候(例えば、喘鳴音、咳、胸苦しさ、息切れおよび痰が出ること)に関連する。気道炎症は喘息の病変形成およびその臨床発現の重要な特色である。肥満細胞、好酸球、およびリンパ球を含む、炎症細胞は、軽度の喘息をもつ若年の患者の気道にさえも存在する。
炎症はまた、喘息の有無に関わらず、喘鳴音障害においても役割を果たす。喘息は時々喘息エピソード(または喘息発作)を引き起こし得るトリガーまたは特定の個体において喘息を悪化させる事物で分類され、例えば職業性喘息、運動誘発性喘息、夜間喘息、またはステロイド抵抗性喘息などがある。従って、本発明の医薬組成物は、一般に喘鳴音障害の治療においても使用することができる。
D.関節炎および変形性関節症
4000万人を超えるアメリカ人が、関節炎を様々な形態で患っていて、それには100種類を上回るリウマチ性疾患が含まれる(すなわち、関節、筋肉、および結合組織を冒す疾患であり、腱、軟骨、血管、および内臓を含む身体の様々な構造を構成または支持する)。関節炎の代表的な種類としては、関節リウマチ(例えば軟部組織リウマチおよび関節以外のリウマチ)、線維筋痛症、結合織炎、筋肉リウマチ、筋膜痛、上腕骨上顆炎、五十肩、ティーツェ症候群、筋膜炎、腱炎、腱鞘炎、滑液包炎)、若年性慢性関節炎、脊椎関節症(強直性脊椎炎)、変形性関節症、高尿酸血症ならびに、急性痛風、慢性痛風、および全身性紅斑性狼瘡に関連する関節炎が挙げられる。
過増殖性関節炎または変形性関節症は、関節炎の最も一般的な形態であり、関節の軟骨の破壊を特徴とする。変形性関節症は66歳以上の人に多く見られるが、数十年早く出現することもあり得る。軟骨の破壊により骨が互いに擦れ、疼痛および運動の喪失を引き起こす。最近では、炎症が変形性関節症に重要な役割を果たすという証拠が増加している。変形性関節症(OA)のための関節置換手術を受ける用意のある患者のほぼ3分の1が、関節を取り囲み保護する滑液に重篤な炎症を有していた。特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、変形性関節症の治療において有用である。
次に一般的な関節炎の形態は関節リウマチである。それは身体全体を冒す可能性のある自己免疫疾患であり、脱力感、疲労、食欲不振、および筋肉痛を引き起こす。一般に、発症年齢は変形性関節症よりもはるかに早く、20歳〜50歳の間である。炎症は滑膜で始まり、関節全体に広がり得る。もう一つの実施形態では、本発明の医薬組成物は、関節リウマチの治療において有用である。
実験
本発明をこれから様々な実施例を具体的に参照して説明する。以下の実施例は、本発明の限定を意図するものではなく、むしろ例となる実施形態として提供する。下の1以上の実施例で使用される、「CH−1504」とは、式(9)の化合物をさし、かかる列挙は、同化合物をラセミ体または「DL」あるいは精製された鏡像異性体(すなわち、L体またはD体)とさらに定義する。「MTX」は、メトトレキサートをさす。
[実施例1]
塩スクリーニング
式(9)の葉酸拮抗化合物の遊離酸形態は結晶構造を有するが、低い溶解度を示す。この化合物の塩スクリーニングを、様々な製薬上許容される対イオンを用いて行って、形成された塩の水溶解度を分析した。使用した対イオンを表1に記載する。塩を形成すると推測される形成された塩をX線粉末回折(XRPD)により分析した。
Figure 2011516560
試験した様々な無機酸、スルホン酸、およびカルボン酸から、HCl、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、およびエタンスルホン酸を用いて結晶塩を生成した。塩形成は、H NMR分析を用いて確認した。1,2−エタンジスルホン酸、1,5−ナフタレンジスルホン酸、硫酸、およびトルエンスルホン酸を用いて、大部分が非晶質のXRPDパターンまたは幅広い低強度のピークを提示する固体を得た。安息香酸、クエン酸、グリコール酸、マレイン酸、DL−リンゴ酸、シュウ酸、フマル酸、リン酸、コハク酸、またはDL−酒石酸を用いて反応は観察されなかった。これらの酸を用いて得た固体のXRPDパターンは、式(9)の結晶性の酸化合物のXRPDパターンに類似した。
試験した様々な塩基から、カルシウムメトキシドを用いて結晶塩を生成した。水酸化アンモニウムおよび水酸化カリウムを用いて、大部分が非晶質のXRPDパターンまたは幅広い低強度のピークを提示する固体を得た。ナトリウム塩から得た固体のXRPDパターンは、約5.0 2°θで1つのピークを提示した。L−アルギニンおよびL−リジンを用いる塩で試みると、大部分が非晶質のXRPDパターンまたは幅広いピークを提示する固体をもたらした。
アンモニウム、ベシル酸塩、カルシウム、エシル酸塩、硫酸塩、HCl、メシル酸塩、ナプシル酸塩、カリウム、二ナトリウム、およびトシル酸塩の水性および緩衝溶液中の吸湿性およびおおよその溶解度を比較した。吸湿性試験において、塩を5日間75%の相対湿度に供した。カルシウム塩から新規な形態を得た。アンモニウム、ベシル酸塩、エシル酸塩、HCl、メシル酸塩、およびナプシル酸塩は変わらないままであったが、ピーク変化をアンモニウムおよびナプシル酸塩で観察した。複屈折および吸光を提示しない粘着性またはゴム質の1つまたは複数の固体を、非晶質の硫酸塩、カリウム、二ナトリウム、およびトシル酸塩から得た。
塩を、水溶解度ならびにpH5、6、および7の緩衝溶液中の溶解度についてスクリーニングした。溶解度を視覚観察に基づいて評価し、必ずしも平衡溶解度を反映しない。一部のサンプルにおいて、固体が残っている場合、スラリーを1日および2日後に観察して溶解を決定した。二ナトリウム塩は、116mg/mLより大きいおおよその水溶解度を提示し、カリウム塩は、98mg/mLより大きいおおよその溶解度を提示した。残りの塩は0.4mg/mLまたはそれ以下のおおよその水溶解度を提示した。
pH7(20mM リン酸)バッファー溶液で試験した場合、溶解度傾向は、水で観察したものに類似した。二ナトリウムおよび二カリウム塩は、最大の溶解度(それぞれ32mg/mL以上および16mg/mL以上)を明示した。ナプシル酸塩の溶解度は1.1mg/mL以上、ベシル酸塩の溶解度は2.0mg/mL以上であった。調査したその他の塩は全て0.2mg/mLより小さい溶解度を示した。
上記のデータに基づいて、ベシル酸塩、ナプシル酸塩、カリウム、およびナトリウム塩をさらなる溶解度試験において試験した。pH5および6の溶液中のおおよその溶解度を決定した。溶解度はまた、pH7のバッファー中で緩衝能を増加させて決定した。ベシル酸塩とナプシル酸塩の両方は、すべてのpH範囲で0.4mg/mLの溶解度を明示した。二ナトリウム塩の溶解度は、pH7で37mg/mL以上、pH5および6で40mg/mL以上であった。pH7で測定した二カリウム塩の溶解度は、16mg/mL以上であった。
二ナトリウムおよび二カリウム塩を大量に調製し、水/IPAおよび水/アセトン中で結晶化させた。式(11)の化合物の結晶性二ナトリウム塩(Form A(Na)と指定される)を、両方の溶媒系から得た。式(11)の化合物の弱結晶性の二カリウム塩(Form A(K)と指定される)を、水/IPAから得た。水/アセトンから得た固体は、わずかに改良された結晶化度を示したが、この固体はなお弱結晶性であった。
式(9)の化合物の二ナトリウム塩の省略された多形体のスクリーニングを実施し、2つの結晶形を単離し、特徴付けた(形態AおよびBと命名)。非晶質形体も生成された。二ナトリウム塩Form Aは、式(11)の化合物の二ナトリウム塩1モルあたりおよそ4.5モルの水を含有する結晶性の非吸湿性固体である。上記のように、二ナトリウム塩Form Aは、水/IPA系または水/アセトン系を用いて得た結晶性固体であった。カール・フィッシャー分析により、含水量が14.8%であることを確認した(1モルの二ナトリウム塩あたり同等〜約4.75モルの水)。吸湿性試験は、58%および75%の相対湿度で14日間貯蔵した場合に視覚的評価により決定して、該材料が非吸湿性であることを示したが、XRPDパターンは75%のRHでの貯蔵後の結晶化度の低下を示した。VT−XRPDは、該材料が窒素パージ下で70℃まで加熱されると結晶化度を失うことを示した。加熱を継続して90℃の温度を達成した。結晶化度は周囲温度まで冷却しても回復しなかった。
二ナトリウム塩Form Bは、メタノールおよびトリフルオロエタノールを用いる高速蒸発から得た結晶性の六水和物であった。カール・フィッシャー分析により、17.5%の水(約6モル)が示された。
式(11)の化合物のラセミ体、二ナトリウム塩−上記の二ナトリウム塩Form A−のX線粉末回折パターンのグラフ(CuKα線)を、2°θでのシグナル強度を示す図5に図示する。具体的な(specific)2°θ度の面間隔ピーク、図5に図示される様々なピークの絶対ピーク高さ、D−間隔、およびピーク相対強度を下の表2に記載する。
Figure 2011516560
[実施例2〜8]
本発明の製剤を使用する薬物動態の改良
単一経口用量の本発明に従う葉酸拮抗化合物の薬物動態パラメータを評価した。比較例2〜7では、1〜20mgの式(9)に従う葉酸拮抗化合物をラセミ遊離酸形態で(すなわち、医薬製剤の一部としてではなく)投与した。製剤は、3種類の活性剤強度(1.0mg、2.5mgおよび5.0mg)の粉末を充填したゼラチンカプセル剤として供給し、各々のカプセル剤は総カプセル剤重量を288mgとするために十分な微晶質セルロースを含む。実施例8(本発明の製剤)では、たった1mgの式(11)に従う葉酸拮抗化合物(ラセミ二ナトリウム塩)を、GELUCIRE(登録商標)44/14、マンニトール、ステアリン酸マグネシウム、およびコロイダルシリカを含む、本発明に従う医薬製剤として投与した。実施例2〜8では、試験物質を健康な雌性被験体に投与し、血液試料を投薬前および投薬後0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、5、6、8、10、12、16、24、および48時間に採取した。計算した薬物動態値を下の表3に記載する。
Figure 2011516560
表3において、Cmaxは、投与された葉酸拮抗化合物の最大測定血漿濃度であり、tmaxは、Cmaxまでの時間である。上記から分かるように、遊離酸形態の1mgの葉酸拮抗化合物単独の投与は、わずかに0.69ng/mLのCmaxをもたらしたが、本発明の医薬組成物の一部としての二ナトリウム塩形態の1mgの葉酸拮抗化合物の投与は、Cmaxの13倍超の増加である9.05のCmaxをもたらした。さらに、1mgの本発明の葉酸拮抗二ナトリウム塩医薬組成物(実施例8)の投与は、二酸の葉酸拮抗化合物単独(実施例7)の20倍の量を投与する場合よりも大きなCmaxをもたらした。従って、本発明の医薬製剤は、被験体に投与される葉酸拮抗化合物の量を大いに減少させると同時に、実際に治療作用に利用できる化合物の量を増加させる。その上、表3で明らかなように、本発明の組成物の一部として葉酸拮抗化合物を投与することにより、tmaxが小さくなる。
[実施例9]
医薬組成物およびその調製方法
マンニトールおよびコロイド状二酸化ケイ素を、高剪断造粒機ボウルでブレンドして均質ブレンドを形成した。GELUCIRE(著作権)44/14を、組成物を形成する際に使用するための2つの部分(すなわち、「分散部分」と「リンス部分」)に分割した。GELUCIRE(著作権)44/14の分散部分をおよそ60℃に加熱して、その後およそ50℃に還元した。薬物成分(式(11)に従う二ナトリウム塩の4.5水和物)をGELUCIRE(著作権)44/14にゆっくり添加し、同時に(例えば、ポリトロンホモジナイザ−(モデルPT 10/35)を用いて)均質化する。薬物の全含量を添加し、GELUCIRE(著作権)マトリックスの中に分散させるとすぐに、ブレンドしている間に溶融混合物をマンニトールおよびコロイド状二酸化ケイ素の粒状化混合物に添加した。
GELUCIRE(著作権)44/14のリンス部分をおよそ60℃に加熱し、原薬(API)およびGELUCIRE(著作権)44/14を収容する容器に添加して、容器に残留するAPIをゆすぎ落とした。次に、このリンス部分を造粒機ボウルに添加すると同時にブレンドして、薬物成分、GELUCIRE44/14(著作権)の全含量、マンニトール、およびコロイド状二酸化ケイ素の混合物を形成した。造粒機ボウルの内容物を排出し、ウェットスクリーニングし、および室温にて乾燥させた。
乾燥が完了した後、乾燥した造粒材料をスクリーニングした。スクリーニングした材料を、次に追加の(「顆粒外の」)コロイド状二酸化ケイ素、追加の(「顆粒外の」)マンニトール、およびステアリン酸マグネシウムとともにV−ブレンダーでブレンドした。このブレンドを、In−Capカプセル充填機(Dott.BONAPACE&C.,Milan,Italyより入手可能)を用いて硬ゼラチンカプセル剤の中に封入した。調製した組成物の成分を下の表4に記載する。
Figure 2011516560
[実施例10]
医薬組成物およびその調製方法
マンニトール、シクロデキストリン(CAVAMAX(著作権)W7、Wacker Chemie,AGより入手可能)、および薬物成分(式(11)に従う二ナトリウム塩の4.5水和物)をバッグブレンドし(bag−blended)、および80メッシュ篩(およそ180μm)でスクリーニングして高剪断造粒機ボウルに入れた。残っているマンニトールを手でスクリーニングして造粒機ボウルに入れた。高剪断造粒機ボウルの内容物をブレンドし、コロイド状二酸化ケイ素を添加した後にさらにブレンドした。次に、ステアリン酸マグネシウムを添加し、それに続いてさらにブレンドした。このブレンドを、In−Capカプセル充填機を用いて硬ゼラチンカプセル剤の中に封入した。調製した組成物の成分を下の表5に記載する。
Figure 2011516560
[実施例11]
H]MTX輸送阻害
37°での無傷のCCRF−CEMヒトT細胞白血病による2μM[H]MTX(メトトレキサート)の輸送を、氷冷生理食塩水洗浄の反復を利用して細胞外薬物を除去するマイクロ法によりアッセイした。かかる方法は、McGuire JJ,et al.,Cancer Res 1989;49:4517−25およびMcGuire JJ,et al.,Cancer Res 2006;66:3836−44に開示され、その両方が参照により全文が本明細書に援用される。洗浄した細胞ペレットを、1mlの0.3% Triton X−100中37℃にて1時間、シンチレーションバイアルに移す前に可溶化した;10ml Ecoscint液体シンチレーション流体(National Diagnostics,Atlanta,GA)を添加し、Beckman LS6500シンチレーションカウンターで放射能を定量した。細胞内放射能標識をHPLCにより分析し、それが少なくとも79%、一般に90%より多くのMTXであることが示された。類似体の阻害能力を、細胞で250μLに希釈すると、最終[H]MTX濃度が2μM(2μCi/mL)であり、化合物濃度が要求通りであるように、[H]MTXと、50μl中5段階の濃度の類似体とを事前混合することにより評価した。200μLの細胞を約2.5×107細胞/mLで添加することにより取り込みを開始させ、2アリコート(100μL)を氷冷生理食塩水に取り出し、および5分で処理した。偶発的な[H]MTX結合を、200μlの細胞を管内の25μlのPBSに添加し、氷中0℃にて5分以上冷却することにより0℃にて測定し、それに続いて25μlの[H]MTXを添加して2μMの終濃度を達成し、2アリコート(100μL)を即座に氷冷生理食塩水に取り出し、処理した。各実験内の対照は、[H]MTX取り込みがこれらの条件下、類似体の不在下で5分間線形であったことを示した。対照取り込みは、一般に12pmol/107細胞/5分であった。IC50値を決定したので、これを下の表6に示す。
分析的HPLCを、Rainin Instruments HPLCシステムで、Macintoshコンピュータで実行されるDynamaxコントローラおよびデータ獲得モジュール、例えば参照によりその全文が本明細書に援用される、McGuire JJ,et al.,J Biol Chem 1990;265:14073−9に記載されるものなどを用いて行った。C18逆相(0.4×25cm;Rainin Microsorb、5μ)HPLCを25℃で行った。検出は、280および/または254nmの吸光度によった。MTX(tr、約31.6分)および7−OH−MTX(tr、約35.2分)に関して、勾配は、1ml/分にて41分間の0.1M酢酸ナトリウム中4〜13% ACN、pH5.5であった。化合物はこれらの条件下で溶離しなかった。勾配を、41分間の0.1M酢酸ナトリウム中4〜20% ACN、pH5.5に調整した。
Figure 2011516560
表6に示すように、鏡像異性的に純粋な形態のCH−1504(L−CH−1504)は、試験したその他の化合物と比較して、還元型葉酸キャリア(RFC)を発現している細胞に、より効率的に輸送されることが示された。
[実施例12]
細胞培養および増殖阻害
ヒトTリンパ芽球性白血病細胞系CCRF−CEM(Foley GF,et al.,Cancer 1965;18:522−9に記載)を、McCloskey DE、et al.,J Biol Chem 1991;266:6181−7(両方とも、参照によりその全文が本明細書に援用される)に記載されるように培養し、マイコプラズマ汚染に対して陰性であることを検証した(Mycoplasma Plus PCRプライマー,Stratagene,La Jolla,CA)。継続的な(120時間)薬物曝露によるCCRF−CEM細胞の増殖阻害を、FoleyおよびMcGuire JJ,et al.,Oncology Res 1997;9:139−47に記載される通りアッセイした。EC50値(細胞増殖を50%阻害するのに効果的な薬物濃度)は、50%相対増殖の両側で2つのデータポイントの直線回帰を行うこと、および50%相対増殖に対応する阻害剤濃度を計算することにより、薬物濃度の対数に対する溶媒処理対照培養物に対して増殖パーセントのプロットから内挿した。結果を表7に記載する。
Figure 2011516560
表7に示すように、CH−1504のL体は、D体またはラセミ体と比較してより大きな増殖阻害を示す。
[実施例13]
血漿濃度
ラセミ化合物のCH−1504を、絶食した雌ルイスラットに10mg/kg(ビヒクル:0.11% カルボキシメチルセルロース/0.45%)TWEEN80、製剤:懸濁液)の用量で1回経口投与した。投与後1時間および3時間に、約750μLの血液を頚静脈から採取した。その後、投与後6時間にジエチルエーテル麻酔下で、血液の全てを大腿静脈から採取した。採取した血液を即座に遠心して血漿サンプルを得た。L−およびD−CH−1504を、固相抽出により血漿から抽出し、次にLC/MS/MSによって決定した。各々のサンプルでのL−およびD−CH−1504の血漿濃度を表8に示す。L−およびD−CH−1504の血漿濃度は同等でなく、各々の鏡像異性体の薬物動態パラメータに差を示した。特に、表8に示されるように、CH−1504のL体は、D体と比較して、あらゆる採取間隔で有意に高い血漿濃度を示し、より高いバイオアベイラビリティを明らかに示した。
Figure 2011516560
[実施例14]
血漿濃度
L−またはD−CH−1504を、絶食していない雌ルイスラットに10mg/kg(ビヒクル:0.11% カルボキシメチルセルロース/0.45% TWEEN80、製剤:懸濁液)の用量で1回経口投与した。投与後1時間および3時間に、約750μLの血液を頚静脈から採取した。その後、投与後6時間にジエチルエーテル麻酔下で、血液の全てを大腿静脈から採取した。採取した血液を即座に遠心して血漿サンプルを得た。L−およびD−CH−1504を、固相抽出により血漿から抽出し、次にLC/MS/MSによって決定した。各々のサンプルでのL−およびD−CH−1504の血漿濃度を表9に示す。全てのサンプルにおいて、CH−1504の異性化は、各々の鏡像異性体の投与後6時間で確認されなかった。これらの結果もやはり、薬物のL体に関して有意に高い血漿濃度を例証する。
Figure 2011516560
本明細書に記載される本発明の多くの変更形態およびその他の実施形態は、前述の説明で提示される教示の利益を有するこれらの発明の属する分野の当業者に思い浮かぶ。したがって、本発明が開示される具体的な実施形態に限定されないこと、ならびに変更形態およびその他の実施形態が添付される特許請求の範囲の中に含められることが意図されることは、当然理解される。具体的な用語が本明細書中で用いられているが、それらは一般的かつ説明的な意味でのみ使用され、限定を目的とするものではない。

Claims (39)

  1. 式(6):
    Figure 2011516560
    (式中、
    Xは、CHRまたはNRであり、
    、Y、およびYは、独立に、OまたはSであり、
    およびVは、独立に、O、S、またはNZであり、
    Zは、H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、またはアルカリールであり、
    およびRは、独立に、H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、またはアルカリールであり、
    は、H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、場合により置換されているアルコキシ、ヒドロキシル、またはハロであり、かつ
    、R、R、R、およびRは、独立に、H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、アシル、−C(O)−アルキル、−C(O)−アルケニル、または−C(O)−アルキニルである)に従う葉酸拮抗化合物、あるいはその製薬上許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物、鏡像異性体、またはプロドラッグを含み、かつ
    前記葉酸拮抗化合物の溶解度とバイオアベイラビリティの一方または両方を増大させる賦形剤をさらに含む、医薬組成物であって、前記賦形剤がシクロデキストリン、ポリグリコール化グリセリド、およびそれらの組合せからなる群から選択される、医薬組成物。
  2. 前記賦形剤がポリグリコール化グリセリドを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記ポリグリコール化グリセリドの融点が約50℃未満である、請求項2に記載の医薬組成物。
  4. 前記ポリグリコール化グリセリドのHLB値が約8より大きい、請求項2に記載の医薬組成物。
  5. 前記ポリグリコール化グリセリドがC14−C20脂肪酸エステルを含む、請求項2に記載の医薬組成物。
  6. 前記脂肪酸エステルがグリセリルエステルである、請求項5に記載の医薬組成物。
  7. 前記ポリグリコール化グリセリドが、約1,200〜約2,500Daの数平均分子量を有するポリエチレングリコールエステルを含む、請求項2に記載の医薬組成物。
  8. 前記ポリグリコール化グリセリドが、融点が44℃であり、HLBが14である、ラウリン酸グリセリルのPEG1500エステルである、請求項2に記載の医薬組成物。
  9. 前記ポリグリコール化グリセリドと前記葉酸拮抗化合物が約1:1〜約50:1の比で存在する、請求項2に記載の医薬組成物。
  10. 前記賦形剤がシクロデキストリンを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
  11. 前記葉酸拮抗化合物が、式(7):
    Figure 2011516560
    (式中、
    Xは、CHRまたはNRであり、
    は、H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、場合により置換されているアルコキシ、ヒドロキシル、またはハロであり、かつ
    、R、R、R、およびRは、独立に、H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、アシル、−C(O)−アルキル、−C(O)−アルケニル、または−C(O)−アルキニルである)に従う化合物、あるいはその製薬上許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物、鏡像異性体、またはプロドラッグを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
  12. 前記葉酸拮抗化合物が、式(9):
    Figure 2011516560
    に従う化合物、あるいはその製薬上許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物、鏡像異性体、またはプロドラッグを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
  13. 前記葉酸拮抗化合物が、式(11):
    Figure 2011516560
    に従う化合物、あるいはその鏡像異性体を含み、各々のXが独立に塩形成対イオンである、請求項1に記載の医薬組成物。
  14. がアルカリ金属カチオンである、請求項13に記載の医薬組成物。
  15. がナトリウムである、請求項13に記載の医薬組成物。
  16. が、カリウムである、請求項13に記載の医薬組成物。
  17. 前記葉酸拮抗化合物が結晶塩である、請求項13に記載の医薬組成物。
  18. 前記葉酸拮抗化合物がラセミ塩である、請求項13に記載の医薬組成物。
  19. 前記葉酸拮抗化合物が、式(12):
    Figure 2011516560
    に従う化合物を含み、各々のXが独立に塩形成対イオンであり、かつ、前記葉酸拮抗化合物が前記(S)鏡像異性体形態である、請求項13に記載の医薬組成物。
  20. 前記葉酸拮抗化合物が、少なくとも約90%の前記(S)鏡像異性体の鏡像異性体純度を示す、請求項19に記載の医薬組成物。
  21. 前記葉酸拮抗化合物が、少なくとも約95%の前記(S)鏡像異性体の鏡像異性体純度を示す、請求項19に記載の医薬組成物。
  22. 前記葉酸拮抗化合物が、少なくとも約99%の前記(S)鏡像異性体の鏡像異性体純度を示す、請求項19に記載の医薬組成物。
  23. 前記葉酸拮抗化合物が、少なくとも約99%の前記(S)鏡像異性体の鏡像異性体純度を示す前記(S)鏡像異性体形態の結晶性二ナトリウム塩である、式(12)に従う化合物を含む、請求項19に記載の医薬組成物。
  24. 前記葉酸拮抗化合物が、少なくとも約99%の前記(S)鏡像異性体の鏡像異性体純度を示す前記(S)鏡像異性体形態の結晶性二カリウム塩である、式(12)に従う化合物を含む、請求項19に記載の医薬組成物。
  25. 増量剤をさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
  26. 前記増量剤がマンニトールを含む、請求項25に記載の医薬組成物。
  27. 滑沢剤をさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
  28. 前記滑沢剤がステアリン酸マグネシウムを含む、請求項27に記載の医薬組成物。
  29. 抗付着剤をさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
  30. 前記抗付着剤が二酸化ケイ素を含む、請求項28に記載の医薬組成物。
  31. 前記組成物が、マンニトール、ステアリン酸マグネシウム、および二酸化ケイ素をさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
  32. 異常細胞増殖、炎症、喘息、および関節炎からなる群から選択される状態を治療するための方法であって、前記方法が、治療を必要とする被験体に請求項1に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
  33. (S)−2−{4−[2−(2,4−ジアミノ−キナゾリン−6−イル)−エチル]−ベンゾイルアミノ}−4−メチレン−ペンタン二酸のアルカリ金属塩を含む医薬組成物であって、前記化合物が、少なくとも約95%の前記(S)鏡像異性体の鏡像異性体純度を示し、かつ、前記アルカリ金属塩化合物の溶解度とバイオアベイラビリティの一方または両方を増大させる賦形剤をさらに含む、医薬組成物。
  34. 前記賦形剤が、グリセロールおよびポリエチレングリコールエステルの脂肪酸エステルを含む、請求項33に記載の医薬組成物。
  35. 前記賦形剤がシクロデキストリンを含む、請求項33に記載の医薬組成物。
  36. 前記塩が安定した結晶形態である、請求項33に記載の医薬組成物。
  37. 式(6):
    Figure 2011516560
    (式中、
    Xは、CHRまたはNRであり、
    、Y、およびYは、独立に、OまたはSであり、
    およびVは、独立に、O、S、またはNZであり、
    Zは、H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、またはアルカリールであり、
    およびRは、独立に、H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、またはアルカリールであり、
    は、H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、場合により置換されているアルコキシ、ヒドロキシル、またはハロであり、かつ
    、R、R、R、およびRは、独立に、H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、アシル、−C(O)−アルキル、−C(O)−アルケニル、または−C(O)−アルキニルである)に従う葉酸拮抗化合物、あるいはその製薬上許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物、鏡像異性体、またはプロドラッグを含む医薬組成物を製造する方法であって、
    前記方法が、
    前記葉酸拮抗化合物、溶融ポリグリコール化グリセリド、最初の量の増量剤、および最初の量の滑沢剤の混合物を形成する工程と、
    前記形成された混合物を粒状化する工程と、
    前記粒状混合物と第2の量の増量剤および第2の量の滑沢剤を混合する工程とを含む、方法。
  38. 前記葉酸拮抗化合物が、式(12):
    Figure 2011516560
    に従う化合物を含み、各々のXが独立に塩形成対イオンであり、かつ、前記葉酸拮抗化合物が前記(S)鏡像異性体形態である、請求項37に記載の方法。
  39. 前記葉酸拮抗化合物が少なくとも約90%の前記(S)鏡像異性体の鏡像異性体純度を示す、請求項38に記載の方法。
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