JP2010514706A5 - - Google Patents

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ホルシチアシド注射剤およびその調製方法
本発明は医薬技術領域に属し、具体的には、レンギョウの有効成分であるホルシチアシドから調製される注射製剤に関する。本発明はまた、当該ホルシチアシド注射製剤の調製方法に関する。
ホルシチアシド(Forsythoside A)は、モクセイ科レンギョウ属の植物であるレンギョウ(Fructus Forsythiae)から抽出される有効成分である。従来はホルシチン(Forsythin)がレンギョウ抽出工程の指標と考えられていたが、近年、レンギョウの有効成分に関する研究の進展に伴って、ホルシチンには抗菌活性がなく、抗菌活性を発揮するのはホルシチアシドであることが明らかになった。また、ホルシチアシド中ではホルシチアシドAの含有量が高く、かつ、抗菌作用を発揮するのはほとんどすべてホルシチアシドAであるが、ホルシチアシドAは単独で安定して存在することは難しい。そのため、習慣上、通常はホルシチアシドAを含むホルシチアシド類有効成分をホルシチアシドと称する。ホルシチアシド(A)の構造式は以下のとおりである:
Figure 2010514706
文献には、ホルシチアシドはカフェー酸の誘導体であって、分子構造中にはエステル結合とグルコシド結合とを有し、酸、アルカリ及び高温条件化で容易に分解し、分解後に生成されるカフェー酸、D−ブドウ糖、L−ラムノースおよび一次グルコシドの抗菌活性は大きく低下する、と示されている。従来この問題には注意が払われなかったため、銀翹解毒丸、銀翹解毒片(漢方薬の名称)等の製剤はカフェー酸のみを検出し、ホルシチアシド(A)は加工過程中で加水分解していた可能性がある。
研究を重ねた結果、発明者は、ホルシチアシドを最大限に分離して高純度のホルシチアシド有効成分を取得し、さらに注射薬剤として調製することができれば、必ずや現存の臨床用薬を補完すると考察するに至った。従来の技術研究において、発明者は高純度のホルシチアシドを抽出する工程方法を取得した。しかしながら、従来技術では、どのような種類の補助材料を選択するか、および、補助材料の用量等のホルシチアシド注射製剤に関する薬学技術について示されておらず、また、従来技術において既知であるホルシチアシドは不安定な特性を有していることも、ホルシチアシドを注射製剤とするうえで大きな困難となり、従来技術においてはこの問題を解決しうるいかなる示唆も認められない。しかしながら、ホルシチアシドの優良な薬効を考慮して、本願の発明者はやはり多くの科学的研究を行い、ホルシチアシドを注射製剤として調製することについて有益な探求を行い、予想しえない効果を得るに至った。
上記の従来技術の問題に対し、本発明が解決しようとする技術的課題の第一は、ホルシチアシドの注射製剤を提供することである。本発明が解決しようとする技術的課題の第二は、当該ホルシチアシド注射製剤の調製方法を提供することである。
本発明は以下の技術的解決手段によって、はじめて実現される:
本発明が提供するホルシチアシド注射製剤は、主にホルシチアシドと薬用補助材料とから調製され、ここで、ホルシチアシドと薬用補助材料との重量比は1:(0〜5)であり、最も好ましくは1:(0〜3)である。
本発明のホルシチアシド注射製剤は、凍結乾燥粉末注射剤、液体注射剤、輸液製剤である。
本発明で言及するホルシチアシドは、純度90%以上のホルシチアシド、または注射用に適するホルシチアシドであり、取得源としては、レンギョウ属植物中から抽出して取得してもよく、購入または合成して取得してもよい。
本発明のホルシチアシド凍結乾燥粉末注射剤に用いる薬用補助材料は構成剤と称され、マンニトール、ブドウ糖、ソルビトールのうちの、一種類または任意の二種類の混合物である。最も好ましい技術的解決手段としては、ホルシチアシド凍結乾燥粉末注射剤中に構成剤を加えない、つまり、ホルシチアシドと構成剤との重量比が1:0である。
本発明のホルシチアシド凍結乾燥粉末注射剤は以下の方法により調製される:ホルシチアシドと構成剤とを重量比に従って混合し、注射用水をホルシチアシドの重量の10〜50倍になるまで加えて溶解し、pH値を3.0〜6.0に調節し、精密ろ過、限外ろ過の後に充填し、表1に示すような凍結乾燥曲線に従って凍結乾燥して完成させる。
Figure 2010514706
本発明のホルシチアシド液体注射剤に用いる薬用補助材料は安定化剤と称され、エチレンジアミンテトラ酢酸ジナトリウム、エチレンジアミンテトラ酢酸ソーダカルシウム、エチレンジアミンテトラ酢酸カルシウム、ビタミンC、ピロ亜硫酸のうちの、一種類または数種類である。
本発明のホルシチアシド液体注射剤は以下の方法により調製される:注射用水中にホルシチアシドの0〜5倍に相当する重量の安定化剤を加えて攪拌し、完全に溶解させる;全量の0.5〜0.05%の活性炭を加え、攪拌、ろ過、脱炭する;ホルシチアシドを加えて完全に溶解させ、pH値を3.0〜6.0に調節する;全量の0.2〜0.02%の活性炭を加え、室温で攪拌し、ろ過脱炭し、ろ液中に注射用水を全量になるまで加えて、pH値および活性成分含有量を測定し、合格した後に、透明になるまで繰返しろ過し、充填、滅菌、包装する。本発明のホルシチアシド輸液製剤に用いる薬用補助材料は安定化剤と称され、エチレンジアミンテトラ酢酸ジナトリウム、エチレンジアミンテトラ酢酸ソーダカルシウム、エチレンジアミンテトラ酢酸カルシウム、ビタミンC、ピロ亜硫酸のうちの、一種類または数種類である。
本発明のホルシチアシド輸液製剤は以下の方法によって調製される:注射用水中に塩化ナトリウムまたはブドウ糖と、ホルシチアシドの0〜5倍に相当する重量の安定化剤を加えて攪拌し、完全に溶解させる;全量の0.5〜0.05%の活性炭を加え、攪拌、ろ過、脱炭する;ホルシチアシドを加え、攪拌して完全に溶解させる;pH値を3.0〜6.0に調節する;全量の0.2〜0.02%の活性炭を加え、均一に混ぜ、室温で攪拌し、ろ過脱炭する;ろ液中に注射用水を全量になるまで加えて、pH値および活性成分含有量を測定し、合格した後に、透明になるまで繰返しろ過し、充填、滅菌、包装する。
本発明に述べる液体注射剤および輸液製剤の調製において、加えられる活性炭の重量は全量体積に対する百分比の値である。
本発明は上記の技術的解決手段を採用することにより、以下の長所を有する:
1.ホルシチアシドを注射剤の活性成分として用いるのは、本発明が初めてである。ホルシチアシドの研究のホットスポットはその抗菌抗ウィルス作用であり、また、ホルシチアシドは薬物成分の検出指標として用いうると考えられてきたが、この点については実現されていない。従来技術では、ホルシチアシドを注射剤の活性成分として用いることは報告されておらず、どのような種類の補助材料を選択するか、および補助材料の用量等のホルシチアシド注射製剤に関する薬学技術について示されておらず、また、ホルシチアシドを活性成分とする注射剤に関する示唆も認められない。本発明は実験によって厳格にスクリーニングすることにより、薬用補助材料の種類と用量、および凍結乾燥粉末注射剤の凍結乾燥工程について特定した。
本発明はまた、通常の凍結乾燥粉末注射剤の調製においては、往々にして一定量の保護剤補助材料を加える必要があり、これによってはじめて形成しうるという技術的な偏見を克服した。本発明は、ホルシチアシド凍結乾燥粉末注射剤を直接凍結乾燥させれば良好な外形を得られ、かつ比較的容易に凍結乾燥し、補助材料を加えなくてもよいことを示している。ホルシチアシド凍結乾燥粉末注射剤にいかなる薬用補助材料を加えずとも注射剤としての要求を満たすことができることもまた、予期しえない技術的効果である。工程的な簡便性を実現し、コストを節約するとともに、補助材料がもたらす安全性の問題を回避することも可能である。
本発明はホルシチアシドの特性に完全に基づいて創造したものであり、ホルシチアシドの熱に対する不安定性のため、全工程で冷凍または低温を採用して、ホルシチアシドの活性成分の破壊を回避している。凍結乾燥粉末注射剤製品は目が粗く、水を加えた後の再溶解効果は良好である。輸液製剤および液体注射剤もまた、補助材料の作用のもとで、比較的良好な安定性を保持できる。
2.本発明は工業的な生産を実現できる。同時に、本発明は良好な治療効果を有し、解熱抗炎症方面での効果がとりわけ顕著である。また、多種の細菌やウィルスにも有効で、良好な市場展望と社会的実益を有している。従って、本発明は実用性を有する。
本発明のホルシチアシド凍結乾燥粉末注射剤の凍結乾燥工程を示す曲線グラフである。 本発明のホルシチアシド標準試料の液相クロマトグラフである。 本発明のホルシチアシド凍結乾燥粉末注射剤のサンプルの液相クロマトグラフである。
以下、実施例を組み合わせて本発明の内容をさらに説明する。実施例1〜9は凍結乾燥粉末注射剤に関し、実施例10〜14は液体注射剤に関し、実施例15〜18は輸液製剤に関する。
実施例1
ホルシチアシド75gを採取し、注射用水1200mlを加え、攪拌して溶解させ、0.22μmの微細孔ろ膜を用いて除菌ろ過し、さらに8000ダルトンの限外ろ過膜を用いて発熱原(pyrogen)を除いた。中間体検査で合格した後に、注射用水で体積を補い、1000本に分包し、フリーザーに入れ、凍結乾燥曲線に従って凍結乾燥して完成させた。ホルシチアシド標準試料の液相クロマトグラフを図2に示し、本実施例で調製して得られるホルシチアシド凍結乾燥粉末注射剤の液相クロマトグラフを図3に示す。
凍結乾燥曲線は以下の表1のとおり:
Figure 2010514706
実施例2
ホルシチアシド75g、マンニトール75gを採取して混合し、注射用水2000mlを加え、攪拌して溶解させ、酢酸−酢酸ナトリウム緩衝塩でpH値を5.5に調節し、0.22μmの微細孔ろ膜を用いて除菌ろ過し、さらに6000ダルトンの限外ろ過膜を用いて発熱原(pyrogen)を除いた。中間体検査で合格した後に、注射用水で体積を補い、1000本に分包し、フリーザーに入れ、凍結乾燥曲線に従って凍結乾燥して完成させた。凍結乾燥曲線は実施例1と同一である。
実施例3
ホルシチアシド50g、ブドウ糖100gを採取して混合し、注射用水1000mlを加え、攪拌して溶解させ、クエン酸−リン酸二水素ナトリウム緩衝塩でpH値を5.0〜6.0に調節し、0.22μmの微細孔ろ膜を用いて除菌ろ過し、さらに8000ダルトンの限外ろ過膜を用いて発熱原(pyrogen)を除いた。中間体検査で合格した後に、注射用水で体積を補い、1000本に分包し、フリーザーに入れ、凍結乾燥曲線に従って凍結乾燥して完成させた。凍結乾燥曲線は実施例1と同一である。
実施例4
ホルシチアシド100g、マンニトール75gとブドウ糖75gを採取して混合し、注射用水2500mlを加え、攪拌して溶解させ、酢酸塩緩衝塩でpH値を3.0に調節し、0.22μmの微細孔ろ膜を用いて除菌ろ過し、さらに8000ダルトンの限外ろ過膜を用いて発熱原(pyrogen)を除いた。中間体検査で合格した後に、注射用水で体積を補い、2000本に分包し、フリーザーに入れ、凍結乾燥曲線に従って凍結乾燥して完成させた。凍結乾燥曲線は実施例1と同一である。
実施例5
ホルシチアシド100g、マンニトール100gとソルビトール100gを採取して混合し、注射用水3000mlを加え、攪拌して溶解させ、クエン酸−リン酸水素二ナトリウム緩衝塩でpH値を6.0に調節し、0.22μmの微細孔ろ膜を用いて除菌ろ過し、さらに8000ダルトンの限外ろ過膜を用いて発熱原(pyrogen)を除いた。中間体検査で合格した後に、注射用水で体積を補い、2000本に分包し、フリーザーに入れ、凍結乾燥曲線に従って凍結乾燥して完成させた。凍結乾燥曲線は実施例1と同一である。
実施例6
ホルシチアシド150g、ブドウ糖150gを採取して混合し、注射用水5000mlを加え、攪拌して溶解させ、酢酸−酢酸ナトリウム緩衝塩でpH値を4.5に調節し、0.22μmの微細孔ろ膜を用いて除菌ろ過し、さらに8000ダルトンの限外ろ過膜を用いて発熱原(pyrogen)を除いた。中間体検査で合格した後に、注射用水で体積を補い、1000本に分包し、フリーザーに入れ、凍結乾燥曲線に従って凍結乾燥して完成させた。凍結乾燥曲線は実施例1と同一である。
実施例7
ホルシチアシド150g、ブドウ糖150gとソルビトール150gを採取して混合し、注射用水6000mlを加え、攪拌して溶解させ、クエン酸−リン酸水素二ナトリウム緩衝塩でpH値を5.5に調節した。0.22μmの微細孔ろ膜を用いて除菌ろ過し、さらに8000ダルトンの限外ろ過膜を用いて発熱原(pyrogen)を除いた。中間体検査で合格した後に、注射用水で体積を補い、1000本に分包し、フリーザーに入れ、凍結乾燥曲線に従って凍結乾燥して完成させた。凍結乾燥曲線は実施例1と同一である。
実施例8
ホルシチアシド200g、ソルビトール600gを採取して混合し、注射用水8000mlを加え、攪拌して溶解させ、クエン酸−リン酸水素二ナトリウム緩衝塩でpH値を6.0に調節し、0.22μmの微細孔ろ膜を用いて除菌ろ過し、さらに6000ダルトンの限外ろ過膜を用いて発熱原(pyrogen)を除いた。中間体検査で合格した後に、注射用水で体積を補い、4000本に分包し、フリーザーに入れ、凍結乾燥曲線に従って凍結乾燥して完成させた。凍結乾燥曲線は実施例1と同一である。
実施例9
ホルシチアシド75g、マンニトール200gとブドウ糖175gを採取して混合し、注射用水3750mlを加え、攪拌して溶解させ、クエン酸−リン酸水素二ナトリウム緩衝塩でpH値を6.0に調節し、0.22μmの微細孔ろ膜を用いて除菌ろ過し、さらに8000ダルトンの限外ろ過膜を用いて発熱原(pyrogen)を除いた。中間体検査で合格した後に、注射用水で体積を補い、1000本に分包し、フリーザーに入れ、凍結乾燥曲線に従って凍結乾燥して完成させた。凍結乾燥曲線は実施例1と同一である。
実施例10
注射用水中に2.5gのエチレンジアミンテトラ酢酸ソーダカルシウムを加えて攪拌し、完全に溶解させた。全量2Lの0.05%の活性炭を加え、攪拌、ろ過、脱炭した。75gのホルシチアシドを加えて完全に溶解させ、クエン酸−リン酸二水素ナトリウム緩衝塩溶液を加えてpH値を3.0〜6.0に調節し、全量2Lの0.02%の活性炭を加え、室温で攪拌し、ろ過脱炭し、ろ液中に注射用水を全量2Lになるまで加え、pH値を測定し、含有量が確認された後に、透明になるまで繰返しろ過し、1000本に分包し、滅菌、包装した。
実施例11
注射用水中に2.5gのピロ亜硫酸を加えて攪拌し、完全に溶解させた。全量5Lの0.5%の活性炭を加え、攪拌、ろ過、脱炭した。150gのホルシチアシドを加えて完全に溶解させ、クエン酸−リン酸二水素ナトリウム緩衝塩溶液を加えてpH値を3.0〜6.0に調節し、全量5Lの0.2%の活性炭を加え、室温で攪拌し、ろ過脱炭し、ろ液中に注射用水を全量5Lになるまで加え、pH値およびホルシチアシド含有量を測定し、合格した後に、透明になるまで繰返しろ過し、1000本に分包し、滅菌、包装した。
実施例12
注射用水中に2.5gのエチレンジアミンテトラ酢酸ジナトリウムを加えて攪拌し、完全に溶解させた。全量10Lの0.1%の活性炭を加え、攪拌、ろ過、脱炭した。150gのホルシチアシドを加えて完全に溶解させ、クエン酸−リン酸二水素ナトリウム緩衝塩溶液を加えてpH値を3.0〜6.0に調節し、全量10Lの0.1%の活性炭を加え、室温で攪拌し、ろ過脱炭し、ろ液中に注射用水を全量10Lになるまで加え、pH値およびホルシチアシド含有量を測定し、合格した後に、透明になるまで繰返しろ過し、1000本に分包し、滅菌、包装した。
実施例13
注射用水中に225gのビタミンCを加えて攪拌し、完全に溶解させた。全量5Lの0.4%の活性炭を加え、攪拌、ろ過、脱炭した。75gのホルシチアシドを加えて完全に溶解させ、クエン酸−リン酸二水素ナトリウム緩衝塩溶液を加えてpH値を3.0〜6.0に調節し、全量5Lの0.05%の活性炭を加え、室温で攪拌し、ろ過脱炭し、ろ液中に注射用水を全量5Lになるまで加え、pH値およびホルシチアシド含有量を測定し、合格した後に、透明になるまで繰返しろ過し、1000本に分包し、滅菌、包装した。
実施例14
注射用水中に375gのビタミンCを加えて攪拌し、完全に溶解させた。全量10Lの0.1%の活性炭を加え、攪拌、ろ過、脱炭した。75gのホルシチアシドを加えて完全に溶解させ、クエン酸−リン酸二水素ナトリウム緩衝塩溶液を加えてpH値を3.0〜6.0に調節し、全量10Lの0.2%の活性炭を加え、室温で攪拌し、ろ過脱炭し、ろ液中に注射用水を全量10Lになるまで加え、pH値およびホルシチアシド含有量を測定し、合格した後に、透明になるまで繰返しろ過し、1000本に分包し、滅菌、包装した。
実施例15
注射用水中に9.0gの水酸化ナトリウムと0.1gのエチレンジアミンテトラ酢酸ソーダカルシウムを加え、攪拌して完全に溶解させた。全量1Lの0.05%の活性炭を加え、攪拌、ろ過、脱炭した。0.6gのホルシチアシドを加えて攪拌して完全に溶解させた。クエン酸−リン酸二水素ナトリウム緩衝塩溶液を加えてpH値を3.0〜6.0に調節した。全量1Lの0.02%の活性炭を加え、均一に混ぜ、室温で攪拌し、ろ過脱炭した。ろ液中に注射用水を全量1Lになるまで加え、pH値およびホルシチアシド含有量を測定し、合格した後に、透明になるまで繰返しろ過し、4瓶に分包し、滅菌、包装した。
実施例16
注射用水中に9.0gの水酸化ナトリウムと0.1gのピロ亜硫酸を加えて攪拌し、完全に溶解させた。全量1Lの0.3%の活性炭を加え、攪拌、ろ過、脱炭した。0.3gのホルシチアシドを加え、攪拌して完全に溶解させた。クエン酸−リン酸二水素ナトリウム緩衝塩溶液を加えてpH値を3.0〜6.0に調節した。全量1Lの0.05%の活性炭を加え、均一に混ぜ、室温で攪拌し、ろ過脱炭した。ろ液中に注射用水を全量1Lになるまで加え、pH値およびホルシチアシド含有量を測定し、合格した後に、透明になるまで繰返しろ過し、4瓶に分包し、滅菌、包装した。
実施例17
注射用水中に50gのブドウ糖と0.9gのビタミンCを加えて攪拌し、完全に溶解させた。全量2Lの0.05%の活性炭を加え、攪拌、ろ過、脱炭した。0.3gのホルシチアシドを加え、攪拌して完全に溶解させた。クエン酸−リン酸二水素ナトリウム緩衝塩溶液を加えてpH値を3.0〜6.0に調節した。全量2Lの0.1%の活性炭を加え、均一に混ぜ、室温で攪拌し、ろ過脱炭した。ろ液中に注射用水を全量2Lになるまで加え、pH値およびホルシチアシド含有量を測定し、合格した後に、透明になるまで繰返しろ過し、4瓶に分包し、滅菌、包装した。
実施例18
注射用水中に100gのブドウ糖と1.5gのビタミンCを加えて攪拌し、完全に溶解させた。全量1Lの0.5%の活性炭を加え、攪拌、ろ過、脱炭した。0.3gのホルシチアシドを加え、攪拌して完全に溶解させた。クエン酸−リン酸二水素ナトリウム緩衝塩溶液を加えてpH値を3.0〜6.0に調節した。全量1Lの0.1%の活性炭を加え、均一に混ぜ、室温で攪拌し、ろ過脱炭した。ろ液中に注射用水を全量1Lになるまで加え、pH値およびホルシチアシド含有量を測定し、合格した後に、透明になるまで繰返しろ過し、4瓶に分包し、滅菌、包装した。
以下、薬理学実験を組み合わせて、本発明のホルシチアシド注射製剤が解熱および抗炎症について良好な治療効果を有することを説明する。ホルシチアシド輸液製剤の薬理学結果については、ホルシチアシド液体注射剤の結果を参照のこと。
1.1解熱薬理学実験(2,4-ジニトロフェノールで発熱させたラットの解熱試験)。
SDラット48匹を用意し、無作為に、NSグループ、双黄連(漢方薬の名称)コントロールグループ、実施例1〜9のうちいずれかの実施例で調製して得られたホルシチアシド凍結乾燥粉末注射剤グループ、実施例10〜14のうちいずれかの実施例で調製して得られたホルシチアシド液体注射剤グループの4グループに分けた。試験の前に、各個体について二回体温を測定し、平均値を取って基礎体温とした。一日あたりの臨床用量の6倍に相当する10ml/(kg・d)の薬剤を、尾に静脈注射して投与した直後に、用事調製した1.5mg/mlの2,4-ジニトロフェノール1ml/kgを背部に皮下注射し、0.5、1、1.5、2、3、4hでの個体の体温を測定して記録した。
投与後0.5hではホルシチアシド凍結乾燥粉末注射剤グループとNSコントロールグループとの間に顕著な差異(P<0.05)が現れ、投与後1h〜2hではホルシチアシド液体注射剤グループおよびホルシチアシド凍結乾燥粉末注射剤グループとNSコントロールグループとの間に、程度の異なる顕著な差異(P<0.05,P<0.01)が現れ、双黄連コントロールグループは投与後0.5h〜3hではNSコントロールグループと比較して差異(P<0.01,P<0.05)が現れ、投与後4hではNSコントロールグループと比較して差異は認められないことが、実験の結果示された。結果については表2を参照。
Figure 2010514706

注:NSグループと比較して、* P<0.05,** P<0.01
1.2 抗炎症薬理学試験。
1.2.1ホルシチアシド注射製剤の、キシレンで耳を腫脹させたマウスに対する作用
マウス48匹を用意し、上述した解熱薬理学試験と同様の4グループに無作為に分けた。一日あたりの臨床用量の10倍に相当する10ml/(kg・d)を注射により4日間投与し、最後の投与の30min後に各マウスの左耳にキシレン50ulを塗布し、右耳はブランクコントロールとした。炎症発症の15min後にマウスを絶命させ、両耳を切断して、穿孔器(直径7mm)で両耳の同一部位からそれぞれ耳片を採取し、計量して、腫脹度と腫脹抑制率を算出した。
Figure 2010514706
NSグループのマウスの左耳は紅く腫脹し、耳の腫脹度は0.0145±0.0037gに達した。それに対し、ホルシチアシドの各注射製剤のグループのマウスおよび双黄連コントロールグループの耳の腫脹度はいずれもNSコントロールグループより小さく、また、NSグループと比較して、程度の異なる顕著な差異(P<0.05,P<0.01)が認められることが、実験の結果示された。結果については表3を参照。
Figure 2010514706

注:NSグループと比較して、* P<0.05,** P<0.01
1.2.2 ホルシチアシド注射製剤の血管透過性に対する影響の実験
体重18〜22gのマウス(オスメス同数)48匹を準備し、上述した解熱薬理学試験と同様の4グループに無作為に分けた。マウスに投与して1h後に、0.1ml/体重10gの0.5% Evans Blue生理食塩水溶液を尾に静脈注射し、次いで0.20ml/個体の0.6%の酢酸を腹腔内注射した。20min後に頚椎脱臼によりマウスを絶命させ、腹部の皮膚および筋肉を切開し、6mlの生理食塩水で3回に分けて腹腔を洗浄し、ピペットで洗浄液を吸い出して、合わせた後生理食塩水を10mlになるまで加え、3000rpmで15min遠心分離した。上澄み液を取って590nm比色定量し、OD値を記録して統計分析を行った。
ホルシチアシド液体注射剤グループおよびホルシチアシド凍結乾燥粉末注射剤グループとNSグループとを比較すると顕著な差異(P<0.05)が認められ、双黄連コントロールグループとNSグループとを比較すると顕著な差異(P<0.05)が認められることが、実験の結果示された。結果については表4を参照。
Figure 2010514706

注:NSグループと比較して、* P<0.05,** P<0.01
以下、凍結乾燥粉末注射剤を例に、薬用補助材料の選択、調製方法におけるpHの選択、および凍結乾燥曲線の選択について具体的に説明し、あわせて、加速実験によりホルシチアシド凍結乾燥粉末注射剤の安定性について具体的に説明する。
2.1. 構成剤の選択
凍結乾燥粉末注射剤に常用される構成剤には、マンニトール、ブドウ糖、ソルビトール等があり、実験を設計して適切な構成剤の種類を選択した。試験の結果は表5のとおりであった:
Figure 2010514706
Figure 2010514706
構成剤の用量の検討により、ホルシチアシドとキャリア(構成剤)の重量比が1:(0〜5)のときには、凍結乾燥粉末はいずれも成形できるが、重量比が1:0〜3のときに、凍結乾燥粉末の望ましい成形性、溶解性、再溶解後の透明度が得られることが示された。本発明はキャリア(構成剤)を加えず、直接凍結乾燥しても、比較的良好な外形、望ましい溶解性と透明度を得ることができ、また凍結乾燥も比較的容易である。
2.2. pH選択
適量のホルシチアシドを採取し、水を加えて溶解し、pH値を3.0、3.5、4.0,4.5、5.0,5.5,6.0に調節し、HPLCを用いてホルシチアシドのピーク面積の値を測定して、pH値のホルシチアシド含有量に対する影響を考察した。試験の結果から、pH値が4.5のときホルシチアシドの含有量が最も高く、また、3.0〜6.0というpH値の範囲では、ホルシチアシド含有量の変化は明確ではないことが理解できた。表7を参照。従って、本発明の凍結乾燥粉末注射剤はpH値を3.0〜6.0の間に制御すると特定した。
Figure 2010514706
2.3. 凍結乾燥工程の曲線選択
2.3.1 冷凍温度
一般に、棚板の温度は製品の共晶点より5℃〜15℃低い。以上の測定の結果、当該製品の共晶点は−20℃であるため、冷凍温度は−35℃以下であるべきで、選択により−40℃と定めた。
2.3.2 冷凍時間
本発明の凍結乾燥粉末注射剤の分包量は1.5mlであり、試験の結果、本発明の凍結乾燥粉末注射剤は、室温から−40℃にまで温度を下げて完全に凍結するのに4時間を要した。
2.3.3 昇華速度と乾燥時間
試験により、−25℃の条件下で、第一段階の乾燥時間に約5時間を要し、第二段階の乾燥温度が30度未満で、時間が9時間であれば、本発明の凍結乾燥粉末注射剤の水分要求を満足しうることが示された。
以上でスクリーニングされた最適な工程によって凍結乾燥粉末注射剤を3ロット調製し、それぞれ1.5mlの分包を凍結乾燥して、初歩スクリーニングで凍結乾燥工程の曲線を得た(図1参照)。
上記凍結乾燥曲線により凍結乾燥して完成品10ロットを得て、凍結乾燥に関する水分等のデータを検証した。検証結果については表8を参照。結果は、凍結乾燥粉末注射剤が要求に適合していることを示し、当該曲線が実施可能であることが証明された。
Figure 2010514706
2.4 加速試験:
薬物の化学的または物理的変化を加速することにより、薬物製剤の安定性を探求し、処方の設計、工程の改良、品質の研究、包装の改善、輸送、貯蔵に必要な資料を提供する。考察条件は以下のとおり:
包装:市販包装を模す(バイアル+ブチルゴム栓)
温度:40℃±2℃
湿度:75%±5%
Figure 2010514706
加速試験の結果は表9に示すとおりであり、試験結果から、ホルシチアシド凍結乾燥粉末注射剤は、凍結乾燥粉末の状態で安定性を保つことができ、性状、含有量ともに明らかな変化はなく、注射製剤としての要求を満たしうることが理解できた。
以下、液体注射剤、輸液製剤を例に、薬用補助材料の選択および調製方法におけるpHの選択について具体的に説明し、あわせて、加速実験によりホルシチアシド液体注射およびホルシチアシド輸液製剤の安定性について具体的に説明する。
2.5.安定化剤の選択。
液体注射剤、輸液製剤に常用される安定化剤には、エチレンジアミンテトラ酢酸ジナトリウム、エチレンジアミンテトラ酢酸ソーダカルシウム、エチレンジアミンテトラ酢酸カルシウム、ビタミンC、ピロ亜硫酸等があり、実験を設計して適切な安定化剤の種類および用量を選択した。試験の結果は表10のとおりであった:
Figure 2010514706
研究結果により、ホルシチアシドと安定化剤との重量比が1:0〜5のときに、液体注射剤、輸液製剤ともに安定性が保証され、重量比が1:0〜3のときに比較的良好な安定性を保持できることが示された。
2.6. pH選択
凍結乾燥粉末注射剤のpH選択と同様に、本発明の剤はpH値を3.0〜6.0の間に制御すると特定した。
2.7. 加速試験:
薬物の化学的または物理的変化を加速することにより、薬物製剤の安定性を探求し、処方の設計、工程の改良、品質の研究、包装の改善、輸送、貯蔵に必要な資料を提供する。考察条件は以下のとおり:
包装:市販包装を模す(アンプルまたは輸液瓶)
温度:40℃±2℃
湿度:75%±5%
Figure 2010514706
加速試験の結果は表11に示すとおりであり、試験結果から、ホルシチアシド液体注射剤は、液体注射剤、輸液製剤の状態で安定性を保つことができ、性状、含有量ともに明らかな変化はなく、注射製剤としての要求を満たしうることが理解できた。

Claims (10)

  1. 主にホルシチアシドと薬用補助材料とから調製されてなり、ホルシチアシドと薬用補助材料との重量比が1:(0〜5)であることを特徴とする、ホルシチアシド注射製剤。
  2. ホルシチアシドと薬用補助材料との重量比が1:(0〜3)であることを特徴とする、請求項1に記載のホルシチアシド注射製剤。
  3. 注射製剤は、凍結乾燥粉末注射剤、液体注射剤または輸液製剤であることを特徴とする、請求項1または2に記載のホルシチアシド注射製剤。
  4. 凍結乾燥粉末注射剤に用いる薬用補助材料は、マンニトール、ブドウ糖、ソルビトールのうちの、一種類または任意の二種類の混合物であることを特徴とする、請求項3に記載のホルシチアシド注射製剤。
  5. ホルシチアシドと薬用補助材料との重量比が1:0であることを特徴とする、請求項4に記載のホルシチアシド注射製剤。
  6. ホルシチアシドと薬用補助材料とを所定の重量比で混合し、注射用水をホルシチアシドの重量の10〜50倍になるまで加えて溶解し、pH値を3.0〜6.0に調節し、精密ろ過、限外ろ過の後に充填し、以下に示すような凍結乾燥曲線に沿って凍結乾燥して得ることを特徴とする、請求項4または5に記載のホルシチアシド注射製剤の調製方法。
    Figure 2010514706
  7. 液体注射剤に用いる薬用補助材料は、エチレンジアミンテトラ酢酸ジナトリウム、エチレンジアミンテトラ酢酸ソーダカルシウム、エチレンジアミンテトラ酢酸カルシウム、ビタミンC、ピロ亜硫酸のうちの、一種類または数種類であることを特徴とする、請求項3に記載のホルシチアシド注射製剤。
  8. 注射用水中にホルシチアシドの0〜5倍に相当する重量の薬用補助材料を加えて攪拌し、完全に溶解させるステップと;
    全量の0.5〜0.05%の活性炭を加え、攪拌、ろ過、脱炭するステップと;ホルシチアシドを加えて完全に溶解させ、pH値を3.0〜6.0に調節するステップと;
    全量の0.2〜0.02%の活性炭を加え、室温で攪拌し、ろ過脱炭するステップと;
    ろ液中に注射用水を全量になるまで加え、pH値および活性成分含有量を測定し、合格した後に、透明になるまで繰返しろ過し、充填、滅菌、包装するステップ、
    を有することを特徴とする、請求項7に記載のホルシチアシド注射製剤の調製方法。
  9. 輸液製剤に用いる薬用補助材料は、エチレンジアミンテトラ酢酸ジナトリウム、エチレンジアミンテトラ酢酸ソーダカルシウム、エチレンジアミンテトラ酢酸カルシウム、ビタミンC、ピロ亜硫酸のうちの、一種類または数種類であることを特徴とする、請求項3に記載のホルシチアシド注射製剤。
  10. 注射用水中に塩化ナトリウムまたはブドウ糖と、ホルシチアシドの0〜5倍に相当する重量の薬用補助材料を加えて攪拌し、完全に溶解させるステップと;
    全量の0.5〜0.05%の活性炭を加え、攪拌、ろ過、脱炭するステップと;
    ホルシチアシドを加え、攪拌して完全に溶解させ、pH値を3.0〜6.0に調節するステップと;全量の0.2〜0.02%の活性炭を加え、均一に混ぜ、室温で攪拌し、ろ過脱炭するステップと;
    ろ液中に注射用水を全量になるまで加え、pH値および活性成分含有量を測定し、合格した後に、透明になるまで繰返しろ過し、充填、滅菌、包装するステップ、
    を有することを特徴とする、請求項9に記載のホルシチアシド注射製剤の調製方法。
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