明細書全体を通じ、同一の参照符号は、同一の部分を示している。
図1a及び図1bは、全体が参照符号1で示されたホース組立体のコンポーネントをひとまとめに示している。この実施形態では、ホース組立体は、一対のホース部分2a,2bを有するが、これよりも多くの部分を設けても良い。これらの図には、分かりやすくするためにホース部分2a,2bの短い区分しか示されていない。代表的には、ホース部分2a,2bは、非常に長いものである。各ホース部分2a,2bは、フレキシブルであり且つ強固な波形プラスチック材料の管から成っていて引き伸ばし可能である。ホース部分2a,2bは、一緒になって、流体流れ導管を形成する。
スリーブ3a,3bは、それぞれ、各ホース部分2a,2bの内部に沿って延びている。スリーブ3a,3bは、ホース部分2a,2bの直径と比較して比較的小さい直径のものである。スリーブ3a,3bは、各スリーブがこれを取り付けているホース部分の長手方向軸線に実質的に平行に延びるようホース部分2a,2bの内壁に取り付けられている。スリーブ3a,3bは、ホース部分2a,2bに接着され、これらに熱により溶接され、或いは任意的な手段によって取り付けられるのが良い。
各スリーブ3a,3bは、スリーブに沿って延びる電気導体のための保護ハウジングとなるよう構成されている。この実施形態では、ホース組立体1に沿う電力及び信号の伝送を可能にするために3つの電気導体4(4a,4b)、5(5a,5b)及び6(6a,6b)が設けられている。導体4a,5a,6aは、スリーブ3a内部に設けられ、導体4b,5b,6bは、スリーブ3bの内部を延びている。導体4,5,6は、プラスチックシースによって互いに電気的に絶縁されている。
ホース部分2aの一端のところに設けられたワンドコネクタ7により、ホース組立体1をワンドに接続することができ、かかるワンドについて本明細書において後で説明する。導体4a,5a,6aを外装しているスリーブ3aは、ワンドコネクタ7を越えて延びている。
他方のホース部分2bの反対側の端部のところには、本体コネクタ8が設けられており、この本体コネクタにより、ホースを電気器具、例えば真空掃除機の本体に連結することができる。コネクタ8は、電気コネクタブロック9を支持している。導体4,5,6の端部は、コネクタブロック9の端面に設けられた孔10,11,12内で終端している。他方の端面は、ブロック内の導体4,5,6に電気的に接続されたピン13,14,15を支持している。ピン13,14,15は、電気器具の本体に設けられた適当な雌型コネクタ内に挿入される雄型コネクタとなっている。カバー16が、コネクタ8及びコネクタブロック9に被さっており、それにより電気接続部が損傷又はいたずらから保護される。
本発明によれば、ホース部分2a,2b相互間に継手17が設けられている。継手17の一部が図1aに示され、一部が図1bに示されている。継手17により、ホース部分2aは、ホース部分2aに対して旋回することができる。第1のカフ18が、ホース部分2aに取り付けられており、この第1のカフは、導体4a,5a,6aの終端部となっている。導体4a,5a,6aの端部は、接触アーム19,20,21に電気的に接続されている。電気的接続は、導体の端部をアームを圧着することにより、これらをはんだ付けすることにより、又は任意他の適当な技術によって実現できる。接触アーム19,20,21は、カフ18に沿って半径方向と軸方向の両方向に位置が互い違いになっている。接触アーム19,20,21の構成は、図2に明確に見え、図2は、組み立てられた状態の継手17のコンポーネントを示している。カフ18及び接触アーム19,20,21は、ホース部分2aに対して静止状態のままであるよう構成されている。
継手17は、導電性の3つのスリップリング22,23,24を更に有している。スリップリング22,23,24は、支持リング25,26,27によって支持されており、これら支持リングは、スリップリングを互いに間隔を置いて位置させるのにも役立つ。継手17を組み立てると、図2で理解できるように、接触アーム19は、スリップリング22に接触し、アーム20は、リング23に接触し、アーム21は、リング24に接触する。このように、導体4a,5a,6aとリング22,23,24との間の電気的接続がそれぞれ確立される。
図3は、図2のA‐A′線矢視部分断面図であり、この図3は、アーム19,20,21とスリップリング構造体との間に作られた接触部又は接点を示している。接触アーム19,20,21の各々は、半径方向内方に弾性的に付勢されている。この実施形態では、これは、単に金属コネクタアーム10,20,21を半径方向内方に曲げることによって達成されている。他の付勢手段、例えばばねを設けても良い。各コネクタアーム19,20,21の下側は、それぞれ、金属パッド28,29,30を支持している。金属パッド28,29,30は、それぞれ、スリップリング22,23,24に押し付けられている。金属パッド28,29,30は各々、スリップリング22,23,24が時計回りの方向と反時計回りの方向の両方にコネクタアーム19,20,21に対して摺動可能に動くことができるような丸くなったプロフィールを有している。かくして、スリップリング構造体は、ホース部分2aに対して旋回することができる。このように、継手17は、ホース部分2a,2b相互間の相対回転運動を可能にする。
スリップリング22の内壁は、支持リング26,27の下を軸方向に延びる長い金属タブ31を支持している。スリップリング23の内壁は、支持リング27の下をタブ31に平行に延びる中程度の長さの金属タブ32を支持している。スリップリング24の内壁は、これ又タブ31,32と同一方向に軸方向に延びる短い金属タブ33を支持している。3つのタブ31,32,33は、第1のカフ18から見て継手17の反対側の端部のところに設けられた第2のカフ34で終端している。第2のカフ34は、ホースの第2の部分2bに連結されており、この第2のカフは、タブ31,32,33とこのホース部分2bと関連した導体4b,5b,6bとの間の電気的接続をもたらす。この電気的接続は、導体をタブを圧着することにより、これらをはんだ付けすることにより、又は任意他の適当な技術によって実現できる。かくして、導体4a,5a,6aと導体4b,5b,6bとの間の電気的接続がそれぞれ行われる。
導管35が、ホース部分2bに取り付けられており、この導管は、スリップリング22,23,24及び支持リング25,26,27から成る構造の下を軸方向に延びている。導管25は、第1のカフ18に当接したシール36内で終端している。導管35は、スリップリング構造体と一緒に回転するよう構成されており、したがって、カフ18に対して旋回する。導管35は、ホースの2つの部分2a,2b相互間の流体流れ経路を提供している。
最後に、継手17の電気的接続部を覆ってこれらを保護し、コンポーネントを結合することを目的として、2つのカバー部材37a,37bから成るカバー37が設けられている。カバー37は、例えば図4〜図8に示されている本発明の第2の観点に従って構成されたワンド・ホース組立体と共に用いられた場合にもう1つの目的を達成するのにも役立つ。
図4及び図5を参照すると、ワンド組立体は、全体が参照符号38で示されている。これらの図において分かりやすくするために、ホース組立体1のホース部分2a,2bは、これらの波形部が省かれた状態で示されている。ワンド組立体38は、直径が次第に減少する3本の管39,40,41を有し、これら管が互いに入れ子状に伸縮できるようになっている。3本の管39,40,41は、収納管42内に引っ込み可能に収容される。ユーザがワンド組立体38を操作することができるようにするための取っ手43が、収納管42に設けられている。
管39,40,41は、互いに内部で摺動可能であり、これら管を引っ込み位置(図4及び図6に示されている)と伸長位置(図5及び図7に示されている)との間で動かすことができる。完全伸長位置では、管39,40,41の端部のみが、互いにオーバーラップしている。完全引っ込み位置では、管39,40,41は、互いに内部に嵌まり込み、収納管42を占有する。
ロックレバー44が、収納管42に設けられている。ロックレバー44は、ワンド組立体38が引っ込み位置を占めたときに、最も小径の管41の遠位端部に設けられた切欠き45に嵌まり込むフック44aを支持している。フック44aと切欠き45の構成により、ロックレバー44がフック44aを解除するよう作動されるまで、管39,40,41は、収納管42内にしっかりと保持される。
管を伸長させたり引っ込めたりすることができる機構体は、本願の要旨ではないので、詳細には説明しない。管が互いに対して摺動可能に動いたり伸長位置でロックしたりすることができるようにする固定機構体の適当な構成が、本出願人の欧州特許第1365676号明細書に記載されている。かかるワンド構成を採用した場合の利点の1つは、ワンドの完全な伸縮をユーザが各固定機構体を別々に作動させる必要なく、1回の連続した迅速な動きで実施できるということにある。
ホース2は、管39,40,41が伸長位置を占めたときに、電気導体4a,5a,6aを収容しているホース部分2aがワンド組立体38の内部に沿って延びるよう管41に連結されている。かくして、ワンド組立体の入れ子部品相互間の連続的な電気的接続が容易に行われる。別の利点として、ワンド内部に沿って延びるホースを設けることにより、ワンドの管相互間の確実な密封的接続が不要になる。
ホース部分2aのワンドコネクタ7は、最も直径の小さな管41の端部に固定される。この実施形態では、ワンドコネクタ7は、管41の遠位端部ではなく、管41の近位端部、即ち、管40の近くに位置する端部に取り付けられる。これは、ホース2が管40,41相互間の連結部を越えて延びる必要がないからである。というのは、この箇所を越える摺動可能又は可動ワンド部分が存在しないからである。スリーブ3aは、管41の内壁に沿って延びるチャネル46内を延びている。管41の遠位端部に設けられたワンドコネクタブロック47が、導体4a,5a,6aとワンド組立体38の端部から突き出た対応のピン48との間の電気的接続部となっている。ワンドコネクタブロック47は、管41の遠位端部のところに設けられたラッパ形に広がったカフ49内に組み込まれている。ピン48は、例えば図7及び図8に示されている床用ツール50に連結可能な雄型コネクタを形成している。
床用ツール50は、ブラシバー52の形態をした攪拌器を支持するチャンバを備えたハウジング51を有している。チャンバの下方の床に向いた側は、空気入口スロット53を有し、ブラシバー52は、ブラシバーの剛毛が入口スロットを通って突き出ることができ、そして表面処理用ヘッドが通過する床面を攪拌することができるようチャンバ内に回転可能に設けられている。ブラシバー52は、ハウジング51の後部上に配置された専用モータ54によって回転可能に駆動される。
ホースの長さに沿って延び、それ故伸長位置にあるワンド組立体の長さに沿って延びる電気導体4,5,6は、電力をモータ54に供給すると共に床用ツール50に設けられているスイッチ又は他のコンポーネントと電子プロセッサ55との間で信号を送ることができ、電子プロセッサは、本発明のこの実施形態では、都合の良いことには、真空掃除機57の形態をした表面処理用電気器具の本体56に設けられている。
真空掃除機57の本体56は、分離装置58及び汚れ含有空気を分離装置内に引き込むことができる吸引空気流を発生させるモータ駆動式ファン59を収容している。この実施形態では、分離装置58は、汚れ、ほこり及びデブリを高速回転させて空気流から除去するサイクロン分離器から成っている。他形態の分離器、例えばフィルタバッグ、静電分離器又は液体を利用した分離器を用いることができる。分離装置58の形態は、本発明にとって重要ではない。本体56は、本体56を処理されるべき表面に沿って引くことができる車輪60を更に有している。
ホース組立体1のコネクタ8は、本体56に設けられた入口61によって本体56に連結可能である。掃除機57の本体56をユーザが部屋中を動いているときにホースによって引っ張っていくことができる。ホースは、この引っ張り作用及びホースが室内の障害物を擦ったときに生じる場合のある通常の擦り傷に耐えるほど頑丈な構造を有している。コネクタ8から突き出たピン13,14,15は、入口61内に設けられた対応の雌型コネクタ(これらの図では見えない)と電気的接触関係をなす。本体56内部の電気的接続部は、ホースの導体を電子プロセッサ55に接続する。
電子プロセッサ55は、種々の機能を実行するよう構成されているのが良い。例えば、攪拌器モータ54に供給された電力を処理されるべき表面の形式に従って調整するのが良い。プロセッサ55は、床用ツール50又は掃除機57が誤動作を起こした場合又はこれらを誤用している場合、攪拌器モータ54又は主モータを消勢するため、床用ツール及び真空掃除機と関連したスイッチの状態をモニタするよう構成されているのが良い。プロセッサは又、分析又は調査目的で掃除機57及び(又は)床用ツール50の使い方を記録するよう構成されているのが良い。電気器具の或る特定の動作パラメータ、例えば主モータが消勢により停止する動作温度を変更するためにデータをプロセッサ55にアップロードするのが良い。
真空掃除機57及び床用ツール50を掃除のために用いるためには、ユーザは、ワンド組立体38の管39,40,41を図6の引っ込み位置から図7の伸長位置に伸長させなければならない。このようにする再、ホース2は、上述したようにワンド組立体38の内部に沿って摺動する。この運動中、継手17は、ワンド組立体38に近づく。ワンド組立体が図7の完全伸長位置を占めると、継手17のカバー37は、収納管42の端部に当接する。収納管42の端部は、カバー37の端部の丸形輪郭を受け入れるラッパ形開口部62を有するのがよい。カバー37は、ホース2をワンド組立体38に対して旋回させることができ、しかも、もしカバーが設けられていなければホースが収納管42の開口部62と密な運動接触状態にあることに起因して受ける恐れのある摩耗及び引き裂きからホースを保護する。さらに、ワンド組立体38の近くへの継手37の配置場所は、ユーザにとって楽な位置である。
図8は、真空掃除機57及び床用ツール50を使用中の状態で示している。床用ツールは、ハウジング51に対して転動するよう構成された転動支持組立体63を更に有し、この転動支持組立体により、ヘッドを床面に沿って操縦することができる。転動支持組立体63は、中央ローラ64及び一対の外側ローラ65a,65bを有し、これら外側ローラは、転動支持面を構成するよう互いに対して配置されている。使用にあたり、ユーザは、取っ手42によってワンド組立体38をその長手方向軸線66回りに回転させる。これにより、転動支持組立体63の軸線は、床に対して傾く。ハウジング51と転動支持組立体63との間に設けられた回転可能な継手67により、ツール50のハウジングは、床と接触状態のままで方向転換することができる。ワンド組立体38が長手方向軸線65回りに回転する程度は、ツール50がその前方に向いた位置から右側又は左側に向かって動く程度を定める。
本発明の範囲から逸脱することなく変形例を構成できる。例えば、継手17の導電性部品は、接触アーム及びそれ故にこれら接触アームが取り付けられているホース部分が各スリップリングの外周部に沿って摺動可能な状態でスリップリングが静止したままであるよう構成されても良い。接触アームは、そのスリップリング又は各スリップリングの内面に接触するよう構成されているのが良い。
本発明を一方のホース部分がワンド組立体に取り付けられ、したがって静止状態のままである一方で、他方のホース部分がこの一方のホース部分に対して回転可能であるような継手に関して説明した。変形例として、継手は、両方のホース部分が互いに無関係に動くことができるよう構成されても良い。
継手は、所定の角度範囲にわたって相対的な旋回運動を与えるよう構成されても良く、この場合、停止部が所定の箇所を越える回転運動を阻止する。
本発明を2つのホース部分から成り、これらホース部分相互間に1つの継手が設けられたホースに関して説明した。これよりも多いホース部分及び各ホース部分相互間の継手を設けても良い。
ホース・ワンド組立体は、上述したよりも多い又は少ない導体及び上述したよりも多い又は少ない管を有することができる。ワンド組立体の管の全ては他の管に対する入れ子状運動を行うことができる必要はない。ホースを下行して延びるスリーブは、他のコンポーネントを収納するよう構成されていても良い。例えば水又は洗浄用流体がワンド及びホースに沿って流れることができるようにするよう構成された別の流体導管として別のスリーブを設けても良い。