JP2010511173A - 原子炉の制御可能な長期運転 - Google Patents

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Abstract

例示的実施形態は、自動核分裂炉およびその運転方法を提供する。例示的実施形態および態様は、限定するわけではないが、核燃料の再使用、代替の燃料、および、代替の燃料幾何形状配置、モジュラー燃料炉心、高速流体冷却、可変的な燃焼、プログラム可能な原子力サーモスタット、高速流束放射、温度で制御される表面領域/容積比中性子吸収、低冷却材温度炉心、および燃料補給などを含む。

Description

本発明は原子炉、原子力システム、原子力の用途、および、それらに係る装置に関する。
以下に、実施形態およびそれらの態様を、例示を意図したシステムおよび方法を用いて説明するが、権利範囲を限定するものではない。
例示的実施形態は、自動化された核分裂炉およびその運転方法を提供する。例示的実施形態および態様は、限定するわけではないが、核分裂性燃料(核燃料)の再使用、代替の燃料、および、代替の燃料幾何形状配置、モジュラー燃料核、高速流体冷却、可変的な燃焼度、プログラム可能な核のサーモスタット、高速流束放射、温度で制御される中性子吸収、低冷却材温度炉心、燃料補給などを含む。
上記の例示的実施形態および態様に加えて、さらなる実施形態および態様が、図面を参照し、以下の説明から明らかとなるであろう。
以下の図面を参照して例示的実施形態を説明する。ここで開示される実施形態および図面は、限定的なものではなく、むしろ例示として解釈されることを意図している。
概略的に核分裂炉の例を示す図である。 中性子エネルギーに対する断面積をプロットした図である。 中性子エネルギーに対する断面積をプロットした図である。 出力状態にある核分裂炉の運転時における相対的密度を示す図である。 出力状態にある核分裂炉の運転時における相対的密度を示す図である。 出力状態にある核分裂炉の運転時における相対的密度を示す図である。 出力状態にある核分裂炉の運転時における相対的密度を示す図である。 出力状態にある核分裂炉の運転時における相対的密度を示す図である。 核分裂炉炉心アセンブリの例を概略的に示す図である。 核分裂炉炉心アセンブリの例を概略的に示す図である。 核燃料集合体の例を概略的に示す図である。 核燃料集合体の例を概略的に示す図である。 核燃料集合体の例を概略的に示す図である。 核燃料の構造の例を概略的に示す図である。 核燃料の構造の例を概略的に示す図である。 核燃料の構造の例を概略的に示す図である。 核燃料の構造の例を概略的に示す図である。 非連続的な核燃料物質の例を概略的に示す図である。 モジュラー燃料核の例を概略的に示す図である。 モジュラー核分裂施設の例を概略的に示す図である。 モジュラー核分裂施設の例を概略的に示す図である。 モジュラー核分裂施設の例を概略的に示す図である。 高速流体冷却の例を概略的に示す図である。 核燃料の可変的な燃焼度の例を概略的に示す図である。 核燃料におけるプログラム可能なサーモスタットの例を概略的に示す図である。 運転温度の分析結果をプロットした図である。 物質の核放射の例を概略的に示す図である。 物質の核放射の例を概略的に示す図である。 核反応度における温度制御の例を概略的に示す図である。 核反応度における温度制御の例を概略的に示す図である。 核反応度における温度制御の例を概略的に示す図である。 低冷却材温度核分裂炉の例を概略的に示す図である。 核燃料の除去の例を概略的に示す図である。 核分裂爆燃波の再伝搬の例を概略的に示す図である。 核分裂爆燃波の再伝搬の例を概略的に示す図である。
概要として、実施形態に自動核分裂炉およびそれらの運転方法を示す。まず、いずれも非限定的なものであるが、原子炉の例、炉心原子工学の例、およびその運転を詳細に説明する。そして、いくつかの例示的な実施形態および態様、すなわち、限定するものではないが、核燃料、代替の燃料、および、代替の燃料幾何形状配置、モジュラー燃料核、高速流体冷却、可変的な燃焼度、プログラム可能な原子力サーモスタット、高速流束放射、温度で制御される中性子吸収、低冷却材温度炉心、燃料補給などを詳細に説明する。
ここで図1Aによると、あくまで例示であって限定するものではないが、ここで説明する実施形態およびその態様における主なホストとしては、原子炉(核分裂炉)10がその役割を果たす。一方、原子炉10の多くの実施形態を検討し、原子炉10について検討した多くの実施形態における共通の特徴として、核分裂爆燃波、すなわち「燃焼前線」の発生および伝搬を挙げることができる。
(検討事項)
原子炉10の詳細を述べる前に、原子炉10の実施形態の背後にあるいくつかの検討事項を、限定ではなく概要として説明する。原子炉10の実施形態の中には、後述の検討事項を全て満たす内容のものもある。一方、原子炉10の実施形態の中には、後述の検討事項のうち選択されたもののみを満たし、必ずしも全ての検討事項を満たす必要のないものもある。後述の説明には、以下の論文から引用された情報が含まれている:「Completely Automated Nuclear Power Reactors For Long-Term Operation: III. Enabling Technology For Large-Scale, Low-Risk, Affordable Nuclear Electricity」(Edward Teller, Muriel Ishikawa, Lowell Wood, Roderick Hyde, John Nuckolls);「PRESENTED AT the July 2003 Workshop of the Aspen Global Change Institute」、University of California Lawrence Livermore National Laboratory publication UCRL-JRNL-122708 (2003)。(この論文は、Energy, The International Journal(30 November 2003)に提出するために執筆されたものである)。これらの全ての内容はここに説明することによって本願に含まれる。
実施形態に係る原子炉10における使用が想定される核燃料は、概して広く利用可能であり、例えば、限定するわけではないが、ウラン(天然、劣化、濃縮)、トリウム、プルトニウム、または既に燃焼された使用済み燃料集合体まで挙げることができる。一方、実施形態に係る原子炉10では、広く利用可能でない核燃料として、例えば、限定するわけではないが、アクチニド元素またはその同位体を利用することもできる。実施形態に係る原子炉10では、約1/3世紀から約1/2世紀以上のフルパワー長期運転を検討するが、一部の実施形態に係る原子炉10の一態様では、核燃料補給は検討せず(寿命後の埋設処理は検討するが)、一方、原子炉10の他の態様では、核燃料補給を検討する。なお、シャットダウン中に行なわれる核燃料補給もあれば、出力状態で運転している間に行なわれる核燃料補給もある。核燃料再処理を避けることも検討し、これにより軍事使用や他の問題への転用の可能性を低減する。
実施形態に係る原子炉10の背後にある他の検討事項には、運転中に発生した長寿命の放射能を確実に安全な状態で廃棄することが含まれる。原子炉10は、冷却材流出事故(LOCA)などにつながる作業者のミスによるダメージを低減し得るということも想定される。いくつかの態様では、ローリスクで安価な廃棄を実現し得る。
その結果、原子炉10のいくつかの実施形態では、地下設置が不可欠となり、生活圏への大規模かつ突発的な放射能の流出、および定常的な放射能の流出への対応に取り組むこととなる。原子炉10のいくつかの実施形態では、作業者が行う制御の最小化を必要とし、これにより、実用的なだけ、これらの実施形態を自動化する。いくつかの実施形態では、生活サイクルを優先した設計が検討され、これらの実施形態に係る原子炉10は、起動時から寿命後のシャットダウンまで、実用に耐え得る程度に自動化された状態で運転することができる。いくつかの実施形態に係る原子炉10は、自身をモジュール化された構造に与える。最後に、いくつかの実施形態に係る原子炉10は、高出力密度に応じて設計され得る。
さまざまな実施形態に係る原子炉10のいくつかの特徴は、上記の検討事項のいくつかに由来する。例えば、1/3〜1/2世紀(またはそれ以上)を核燃料補給なしでフルパワー運転を達成することと、核燃料の再処理を避けることとを同時に実現しようとすると、高速中性子スペクトルを使用することが不可欠となる。他の例として、いくつかの実施形態では、原子炉10において、例えば高速中性子の強力な吸収体を用いて実現される局部的な反応度の負のフィードバックを介して、反応度(α)の負の温度係数が設定される。さらなる例として、いくつかの実施形態に係る原子炉10では、分散型サーモスタット(温度自動調節器)によって、核分裂爆燃波伝播方式による核燃料の燃焼が可能となる。上記方式は、天然ウランまたはトリウムなどの非濃縮アクチニド燃料の高平均燃焼度と、炉心の燃料チャージにおいて核分裂性物質の適度な同位体濃縮が行われる比較的小さな「核分裂点火部」領域の使用とを、同時に可能とする。他の例として、いくつかの原子炉10の実施形態では、第1の炉心冷却および2番目の炉心冷却において、多様な冗長性が与えられる。
(核分裂炉の例示的な実施形態)
原子炉10の実施形態の背後にあるいくつかの検討事項を述べたので、さらに、原子炉10の例示的な実施形態について詳述する。原子炉10の例示的実施形態についての以下の説明は、非限定的な例を挙げており、なんら限定するものではないことを強調しておく。上述したように、原子炉10のさらなる態様と同様に、原子炉10のいくつかの実施形態について検討する。原子炉10の例示的な実施形態についての詳細を説明した後、他の実施形態および態様を説明する。
図1Aをまた参照すると、原子炉10の例示的実施形態は、原子炉圧力容器12中に配置された核分裂炉炉心アセンブリ100を備える。後に説明する核分裂炉炉心アセンブリ100におけるいくつかの実施形態および態様について検討する。核分裂炉炉心アセンブリ100について後に詳細に説明する特徴のいくつかには、核燃料物質およびその原子工学、燃料集合体、燃料構造、核分裂爆燃波の誘起および伝搬が含まれる。
原子炉圧力容器12には、適宜、当該分野において知られている任意の許容可能な圧力容器を使用し、原子炉圧力容器12は、原子炉圧力容器における使用に許容できる任意の物質からなってもよい。例えば、限定するわけではないが、ステンレススチールからなってもよい。原子炉圧力容器12の中では、中性子反射体(図示せず)および放射線遮蔽材(図示せず)が核分裂炉炉心アセンブリ100を囲んでいる。いくつかの実施形態では、原子炉圧力容器12は地下に設置される。このような場合、原子炉圧力容器12は、核分裂炉炉心アセンブリ100用の埋設容器としても機能する。これらの実施形態では、原子炉圧力容器12は、長期間の環境隔離のため、乾燥した砂などの隔離物質の領域(図示せず)によって適宜囲まれる。隔離物質の領域(図示せず)は、直径が約100m程度の大きさであってよい。しかし、他の実施形態では、原子炉圧力容器12は地表上に、または地表に向けて設置される。
原子炉冷却材ループ14は、核分裂炉炉心アセンブリ100における核分裂からアプリケーション熱交換器16へ熱を伝達する。原子炉冷却材には、特定の用途のための要望によって選択されてもよい。いくつかの実施形態では、原子炉冷却材には適宜、ヘリウム(He)ガスが使用される。他の実施形態でも、原子炉冷却材としては、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなどの加圧不活性ガス、水もしくは気体などの他の流体、超流体の二酸化炭素、ナトリウムもしくは鉛などの液体物質、Pb−Biなどの合金、ポリフェニルなどの有機冷却材、または、フッ化炭素を適使用してもよい。原子炉冷却材ループは、適宜必要に応じて、タンタル(Ta)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、スチール、または、他の鉄または非鉄族合金、すなわちチタンもしくはジルコニウム系合金からなってもよいし、他の物質および合金からなってもよし、また他の構造物質または合成物からなってもよい。
いくつかの実施形態では、アプリケーション熱交換器16は、発電ステーション20の中のタービン発電機18などの回転機原動力となる蒸気を発生する蒸気発生器であってもよい。このような場合、核分裂炉炉心アセンブリ100は、高運転圧力、および1,000K程度以上の高運転温度にて適宜運転し、蒸気発生器で発生した蒸気は過熱蒸気でもよい。他の実施形態では、アプリケーション熱交換器16は、より低い圧力および低い温度で蒸気を発生させる(すなわち過熱蒸気である必要はない)任意の蒸気発生器であってもよく、核分裂炉炉心アセンブリ100は約550K未満の温度にて運転する。これらの場合、アプリケーション熱交換器16は、海水用の脱塩プラントなどに適用するために、またはエタノールなどへの蒸留によってバイオマスを処理するために、処理熱を供給してもよい。
任意の原子炉冷却材ポンプ22は、核分裂炉炉心アセンブリ100およびアプリケーション熱交換器16中を経由して原子炉冷却材を循環させる。なお、図解の実施形態ではポンプおよび重力駆動循環を示しているが、他のアプローチではポンプまたは循環構造を使用せずともよく、同様に限定された他の形態であってもよい。核分裂炉炉心アセンブリ100がアプリケーション熱交換器16と垂直方向の略同一平面上に設置される場合には、原子炉冷却材ポンプ22は適宜設けられ、その結果、熱駆動式水頭圧は発生しない。原子炉冷却材ポンプ22はまた、核分裂炉炉心アセンブリ100が地下に設置される場合に設けられてもよい。しかし、核分裂炉炉心アセンブリ100が地下に設置される、または核分裂炉炉心アセンブリ100がアプリケーション熱交換器16の下方に垂直に間隔をあけて設置される場合には、原子炉圧力容器12から出る原子炉冷却材と、原子炉圧力容器12から出る原子炉冷却材よりも低い温度でアプリケーション熱交換器16から出る原子炉冷却材との間において、熱駆動式水頭圧が生み出されてもよい。充分な熱駆動式水頭圧が存在する場合には、出力状態の運転中に核分裂から熱を除去するように原子炉冷却材を核分裂炉炉心アセンブリ100に充分循環させることのためには、原子炉冷却材ポンプ22を設ける必要はない。
いくつかの実施形態では、1つ以上の原子炉冷却材ループ14が、他の原子炉冷却材ループ14のうちの任意の1つに設けられてもよい。これによって、冷却材流出事故(LOCA)、流出事故(LOFA)、または一次〜二次漏れなどの事故にそなえて、予備のものを他の原子炉冷却材ループ14のいずれか1つに対して設ける。中には制約を受けないものがあってもよいが、原子炉冷却材ループ14の各々は概して、フルパワー運転を前提に定格されている。
いくつかの実施形態では、原子炉冷却材遮断弁などの一時遮断部24は、原子炉冷却材系14のライン中に設けられている。設けられている各原子炉冷却材ループ14において、遮断部24は、原子炉圧力容器12からの流出配管と、アプリケーション熱交換器16の流出口から原子炉圧力容器までの戻り配管とに設けられる。一時遮断部24は、原子炉冷却材において重大な核分裂生成物のエントレインメントを検知したなどという非常事態において即座に遮断する高速作動遮断部である。一時遮断部24は、従来の自動作動バルブ(図示せず)の予備システムに加えて備えられる。
ヒートダンプ熱交換器26は余熱(崩壊熱)の除去を行うため設けられている。ヒートダンプ熱交換器26は、核分裂炉炉心アセンブリ100に崩壊熱除去冷却材を循環させるよう構成された第1ループを有する。ヒートダンプ熱交換器26は、張り巡らされたヒートダンプ熱パイプネットワーク(図示せず)に接続される第2ループを有する。ある状況では、例えば、冗長性を持たせる目的で、1つ以上のヒートダンプ熱交換器26が設けられる。設けられたヒートダンプ熱交換器26の各々は、崩壊熱除去冷却材ポンプを必要とせずに崩壊熱除去冷却材の自然な流れを可能にするために充分な熱駆動式水頭圧を有するように、核分裂炉炉心アセンブリ100の上方に垂直な距離をおいて設置される。しかし、いくつかの実施形態では、崩壊熱除去ポンプ(図示せず)を設けてもよく、または、原子炉冷却材ポンプが設けられる場合には、該原子炉冷却材ポンプを崩壊熱除去のために適宜使用してもよい。
原子炉10の例示的実施形態の概要を説明したので、他の実施形態および態様を説明する。まず、核分裂炉炉心アセンブリ100の実施形態および態様を説明する。第1に、核分裂炉炉心アセンブリ100およびその原子工学および核分裂爆燃波の概要を説明し、続いて、核分裂炉炉心アセンブリ100の例示的実施形態および他の態様について説明する。
概要のための前提として、一般的には、炉心アセンブリ100構成要素は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re),または炭素合成物、セラミックスなどからなってもよい。核分裂炉炉心アセンブリ100が高温で運転するために、また、フルパワーでの運転を行った場合に予想される寿命の間のクリープ抵抗、機械的作業性、および耐食性を有するために、これらの物質は好適である。構成要素は、単一の物質または複数の物質の組み合わせ(例えば、コーティング、合金、多層、合成物など)からなってもよい。いくつかの実施形態では、アルミニウム(Al)、スチール、チタニウム(Ti)などの他の物質を単独または組み合わせて構成要素として使用し得るように、炉心アセンブリ100は充分低い温度で運転する。
核分裂炉炉心アセンブリ100は、小さい核分裂点火部および大きい核分裂爆燃波伝搬領域を有する。核分裂爆燃波の伝搬領域は適宜トリウムまたはウラン燃料を含み、高速中性子分裂増殖の一般的原則に基づいて機能する。いくつかの実施形態では、核分裂炉炉心アセンブリ100全体にわたる均一温度は、サーモスタットモジュールによって維持される。後述するが、サーモスタットモジュールは、局部的中性子束を調節し、それにより局部的な出力生成を制御する。
核分裂炉炉心アセンブリ100は、効率的な核燃料の利用ために、および同位体濃縮のための要件を最小限にするために、適宜、増殖炉として機能する。また、図1Bおよび1Cによると、熱中性子に対する核分裂生成物の高吸収断面積は、ウラン燃料を供給される実施形態において、核分裂生成物の除去なしに、約1%より多くのトリウム、またはより豊富なウラン同位体U238の利用を可能にしない。このため、核分裂炉炉心アセンブリ100は高速中性子スペクトルを利用する。
図1Bでは、Th232燃料が供給された実施形態に対して関与する、主要な中性子駆動型の核反応の断面積を、10−3〜10eVの中性子エネルギー範囲においてプロットしている。核分裂生成核における放射捕獲に至るまでの損失は、0.1eV近くの熱エネルギーにおける中性子経済を左右するが、共鳴捕獲領域(3〜300eV)の上では比較的無視してよいということが分かる。したがって、高利得に親物質から核分裂性物質へ転換する増殖炉を実現しようとする場合において、高速中性子スペクトルを用いて運転することは、燃料の再利用(すなわち、核分裂生成物を定期的にまたは連続して除去すること)を除外することができる。図示された核分裂生成物に対する放射捕獲の断面積は、無視可能な程度にまで引き続くベータ崩壊が行なわれた、高速中性子誘導性の核分裂に起因する中間Z核に対するものである。実施形態に係る核分裂炉炉心アセンブリ100の燃焼波の中央部分は幾分か崩壊を起こし、したがって幾分か高い中性子親和力を有する。しかし、パラメータ分析は、炉心における燃料の燃焼結果がそのような崩壊の正確な度合いを反映しない場合もあることを示している。
図1Cでは、Th232燃料が供給された実施形態に対して主に関与する、主要な中性子駆動型の核反応の断面積を、最も関与する範囲である10より大きく106.5eVより小さい間の中性子エネルギー範囲において、図1Cの上部にプロットしている。実施形態に係る原子炉10の中性子スペクトルは、≧10eVの中性子エネルギー領域においてピークに達する。図1Cの下部は、中性子エネルギーに対するこれらの断面積の比率を含み、親物質から核分裂性物質へ転換する増殖工程のTh232における中性子捕獲に対する断面積について示す(結果として、Th233はPa233へと迅速にベータ崩壊し、その後Pa233はU233へと比較的ゆっくりベータ崩壊し、同じように、U238による中性子捕獲時に、U239−Np239−Pu239へとベータ崩壊チェーンが起こる)。
関心の対象となる中性子エネルギー領域上では、核分裂生成物における放射捕獲に至るまでの損失は比較的無視できるものであり、さらに、Taなどの高性能構造物質の数十パーセントの原子断片が、核分裂炉炉心アセンブリ100における中性子経済に許容可能な負荷をもたらすであろうことが分かる。これらのデータはまた、50%を超す炉心平均の燃料燃焼度を実現することができ、また、反応度が核分裂生成物の蓄積によって最終的にマイナスに追い込まれた場合の核分裂爆燃波の後における核分裂生成物と核分裂原子との比率が約10:1となるであろうことを示唆する。
(原子核分裂爆燃波燃焼前線の誘起および伝搬)
核分裂炉炉心アセンブリ100の中の核分裂爆燃波について説明する。可燃性物質における爆燃波の伝搬によって、予測可能なレベルでエネルギーを解放することができる。さらに、物質構成が必要な時間不変的特徴を有する場合、その後の出力生産が安定したレベルとなる場合がある。最終的に、爆燃波が伝搬する速度を実用的な方法で外部より調節し得る場合、エネルギー解放率および出力生産は所望の状態に制御される。
いくつかの理由により、安定状態の核分裂爆燃波は、一般的に電力発電などの出力生産にはふさわしくない。また、爆燃波伝搬の初期段階におけるエネルギー開放の水力学的な成り行きとして、初期核燃料構造が分解してしまうことを防がなくてはならないため、核分裂爆燃波は事実上稀である。
しかし、実施形態に係る核分裂炉炉心アセンブリ100では、核分裂爆燃波は、圧力が温度とは実質的に独立している核分裂性燃料において、亜音速で誘起および伝搬され、その流体力学は実質的に「安定している」。核分裂炉炉心アセンブリ100の中における核分裂爆燃波の伝搬スピードは、実施形態に係る原子炉10のような電気生成反応システムなど、大規模な民間発電に類する状態で制御される。
核分裂爆燃波の原子工学を以下に説明する。任意のエネルギーの中性子を捕獲することによって、アクチニド元素(核分裂性)の選択された同位体の核分裂を誘発することは、任意の低温を含む、任意の物質温度における各結合エネルギーの解放を可能にする。実質的に任意のアクチニド同位体の核分裂によって捕獲された平均1つ以上の中性子が開放されると、このような物質において、放出中性子の媒介する核分裂連鎖反応が原則的に可能にする。いくつかのアクチニド同位体による核分裂によって(概して一定の中性子エネルギー領域において)捕獲された中性子ごとに、2つ以上の中性子が解放されると、最初の中性子捕獲によって(中性子捕獲およびその後のベータ崩壊を経て)、非核分裂性同位体原子から核分裂性原子への最初の転換が原則的に可能になる。その後、第2の中性子捕獲の過程で新しく作られた核分裂性同位体の中性子について、中性子核分裂が原則可能になる。
概して、発生した核分裂現象から得られた1つの中性子が、続いて核分裂性核種へ(例えばベータ崩壊を経て)転換する、非核分裂性であるが親物質である核種において放射捕獲され得る場合であって、同じ核分裂現象から得られた第2の中性子が核分裂性核種に捕獲され、それにより核分裂を誘発し得る場合、大抵の極めて高いZ(Z≧90)核種は、燃焼され得る。特に、これらの構成のいずれもが安定状態にある場合、与えられた物質において核分裂爆燃波を伝搬させるに充分な条件を満たすことができる。
親物質の原子核を核分裂性核種に変換するプロセスにおけるベータ崩壊に起因して、波の進行の特徴的速度は、親物質の原子核における放射捕獲に対する分裂発生から、親物質の原子核から核分裂性核種へと導くベータ崩壊(のチェーンにおける最長寿命の原子核)の半減期までの、中性子による移動距離の比率の状態に対応する。通常密度のアクチニドにおける、このように特徴的な分裂原子核移動距離は約10cmであり、ベータ崩壊の半減期は、対象となる大抵のケースにおいて10〜10秒であるので、特徴的な波速度は、10〜10cm sec−1、または核爆発波の速度の1013〜1014である。このような「無反応な」進行速度は、波が爆発波でなく爆燃波であることを明らかにする。
爆燃波は非常に遅いだけでなく非常に安定して伝搬する。このような波が加速しようとすると、波の中心よりも十分に先方に位置する核分裂性核種の濃度が急激に低くなるため、波の先端は常により純粋な(中性子の観点から非常に損失の多い)親物質と対向する。これにより、波の先端(本明細書では「燃焼前線」と称する)は失速する。反対に、波が減速すると、連鎖的なベータ崩壊に起因する核分裂性核種の局所的な濃度は増加し、核分裂および中性子生成の局所的な比率が上昇し、波の先端、すなわち燃焼前線は加速する。
最終的に、波が伝搬する初期の親物質の構造における全ての部分から、核分裂に関係する熱が極めて迅速に除去される場合、任意の低い物質温度にて伝搬が発生する。ただし、中性子および核分裂性核種の温度はともに約1MeV程度である。
核分裂爆燃波を誘起および伝搬するこのような条件は、入手可能な物質を用いて容易に実現することができる。アクチニド元素の核分裂性同位体は、地上では、これらの元素の親物質同位体に対して絶対的かつ相対的に希少であるが、核分裂性同位体は、収集、濃縮、および合成され得る。核分裂爆燃波の誘起および伝搬において、U235およびPu239など、天然物および人工物を使用することの両方がよく知られている。
適当な中性子断面積(図1Bおよび図1Cに示す)を考慮すると、核分裂爆燃波は、その波中の中性子スペクトルが「硬い」または「速い」場合に、Th232またはU238などの天然アクチニドによる炉心の大きな割合を燃焼し得ることが示唆される。すなわち、中性子が初期の核分裂片から蒸発するエネルギーである約1MeVと比較して、波中の連鎖反応をもたらす中性子がそれほど小さくないエネルギーを有する場合には、核分裂生成物の局所的に大量の断片が、親物質の断片に匹敵するようになったときに(1モルの核分裂性物質が核分裂変換して2モルの核分裂生成核になることを思い起こすとよい)、時空局所的な中性子経済に対する比較的大きな損失を避けることができる。望ましい高温特性を有するTaなどの典型的な中性子原子炉構造物質に対する中性子損失でさえも、≦0.1MeVの中性子エネルギーでは相当なものとなる場合がある。
他に考慮すべき事柄としては、中性子増倍核分裂の入射中性子エネルギーvの(比較的小さな)変化、および、(単なるγ光線放射よりもむしろ)核分裂を引き起こす全ての中性子捕獲現象による断片がある。関数α(v-2)の代数符号は、核分裂炉炉心アセンブリ100の核分裂性同位体のそれぞれについて、炉心からの中性子漏洩またはその炉心本体内部における(核分裂生成物などの上の)寄生吸収がない場合に、全体的な核分裂性同位体の大量の使用量と比された親物質における核分裂爆燃波伝搬の実現可能性のために必要な条件の構成要素となる。上記代数符号は、約1MeVの核分裂中性子エネルギーから共鳴捕獲領域に到るまで、所定の核分裂同位体全てについて、概してプラスである。
上記数量α(v-2)/vは、爆燃波の伝搬する間における、漏洩、寄生吸収、または幾何散乱に失われる全ての核分裂由来中性子の断片の上限となる。この断片は、実際的な対象となる、事実上減速されていない、全てのアクチニド同位体構造中に広がる中性子エネルギーの範囲(約0.1〜1.5MeV)に渡って、主要な分裂製同位体に対して0.15〜0.30であることを注意しなければならない。熱(外)エネルギーの中性子に対する主な状況(図1Cを参照)では、核分裂生成物による寄生損失が、1〜1.5の少数点の桁の付近で、親物質から核分裂性物質への変換における損失の重要な部分を占めている。このような状況とは対照的に、親物質の同位体における捕獲による核分裂性元素の生成は、0.1〜1.5MeVの中性子エネルギー範囲上の0.7〜1.5の桁の付近で、核分裂生成物捕獲に好適とされる。前者の状況は、親物質から核分裂性物質への変換が、熱中性子エネルギーで、またはその付近で、1.5〜5%の程度にしか実現可能ではないことを示唆しており、一方、後者の状況は、近核分裂エネルギー中性子スペクトルについて、50%を超える上記変換が期待されることを示唆している。
核分裂爆燃波の伝搬についての条件を考察するとき、中性子漏れは、非常に大きな「自己反射の」アクチニド構造に対して、効果的に無視され得る。図1C、および、アクニチド原子核上で全体的に散乱することによる中性子の減速程度についての分析的推定値を参照すると、爆燃波の伝搬は、地上で比較的豊富な2種類のアクチニドの充分に大きな構造において行われ得るということが分かるだろう。上記2種類のアクチニドとは、すなわち、Th232およびU238であり、それぞれ自然発生のトリウムおよびウランの独占的かつ主要な(すなわち最も寿命の長い)同位体要素である。
具体的には、これらのアクチニド同位体における分裂中性子は、中性子エネルギーが0.1MeV以下に著しく低下する前に(また、その上、核分裂生成物原子核における捕獲に対する無視のできない可能性にさらされる前に)、親物質の同位体原子核における捕獲または核分裂性核種の核分裂のいずれかを招く傾向にある。図1Bを参照すると、核分裂生成物原子核の濃度は、親物質の原子核の濃度を著しく上回るに違いなく、また、核分裂性核種の濃度は、量的に問題的なものとなる以前に、核分裂生成物または親物質の濃度うちより低い方よりも低い程度になり得ることが分かるであろう。適当な中性子散乱の断面積を考察すると、アクチニドの直円柱構造は、半径方向の寸法において、核分裂中性子に対して効果的に限りなく密になるように、すなわち自己反射するように、十分に広がっており、当該アクチニドの直円柱構造は、密度半径積>>200gm/cmを有する、すなわち、半径10〜20cmの固相密度U238〜Th232を有するだろうことが示唆される。
例として、検討によると、25cmの半径を有し、(グラファイトとして)15cmのC12の環状殻で被覆された固相密度Th232の円柱は、当初の存在したTh232の≧70%の燃焼度とともに、核分裂爆燃波を伝搬し得る。さらに、検討によると、Th232を半分の密度のU238と取り替えても、同様の結果を招き得る。すなわち、(図1Cの検討から期待できるように)≧80%の親物質の同位体燃焼度が実現される。
増殖‐燃焼波の「局部的」形態における基本的な条件は、燃焼波の中心における局部的な核分裂プロセスに対する中性子過剰の流束経歴が、一貫して、未燃焼燃料中に、核分裂性原子密度の1〜2つの平均自由行路を少なくとも再生するために、量的に充分であることである。燃焼波のピーク後の「灰」は、そのような体系において、実質的に「中性子的に中立」である。これは、核分裂片の中性子反応が、漏れに加えて、構造上の寄生吸収および核分裂生成物の蓄積によって、ちょうど平衡を保つためである。波の伝搬の時に、波の中心およびその直前における核分裂原子の蓄積が時間的に定常状態にある場合、波は確かに安定しており、より少ない場合、波は「末期」であり、また、より多い場合、波は「加速している」と見なされる。
したがって、核分裂爆燃波は、自然発生のアクチニド同位体の構造において、長い時間間隔にわたって実質的に安定な状態で、伝搬および維持され得る。
上記の説明では、非限定的な例を挙げることにより、1メートル程度またはそれよりも小さい直径の(効率的な中性子反射体が採用される場合には実質的により小さな直径の)、天然ウランまたはトリウム金属の円柱について、その円柱が、任意の大きな軸方向距離に向かって、核分裂爆燃波を安定的に伝搬させ得ることを考察した。しかし、核分裂爆燃波の伝搬は、円柱、対象形状、または単一連続形状に限定するものと解釈されてはならない。このため、核分裂炉炉心アセンブリ100の別の形状についての追加的実施形態を以下に説明する。
核分裂爆燃波の伝搬は、実施形態に係る原子炉10に対する影響を有する。最初の例として、部分的な物質温度のフィードバックを、爆燃波の中性子経済において許容できるコストで局部的な核反応率に与えることができる。中性子反応度におけるこのような大きな負の温度係数は、爆燃波の進行速度を制御する能力を実現する。燃焼している燃料から極微量の熱出力を抽出すると、その温度は上昇し、温度依存反応度は低下し、波の中心における核分裂率はこれに応じて小さくなり、波の均時差は、極わずかな軸の伸び率のみを反映する。同様に、熱出力除去率が大きければ、物質温度は低下し、中性子反応度は上昇し、波中の中性子経済は相対的に衰えず、波は比較的速く軸方向に前進する。実施形態に係る核分裂炉炉心アセンブリ100内における温度フィードバックの実行例についての詳細を以下に説明する。
実施形態に係る原子炉10における核分裂爆燃波の伝搬の影響についての第2の例としては、原子炉10における全体的な核分裂中性子生成の全部に満たない割合を利用することができる。例えば、局部的物質温度サーモスタットモジュールは、原子炉10における全体的な核分裂中性子生成のうち5〜10%を使用し得る。原子炉10における全体的な核分裂中性子生成のうちの他の≦10%は、原子炉10の構成要素に採用された、高性能、高温度の構造物質(Ta、W、またはRe)の比較的大きな量に寄生吸収されて失われる。この損失は、電気への変換における≧60%の熱力学的効率を実現し、また高いシステム安全性の性能指数を獲得するために発生する。Ta、W、およびReなど、これらの物質におけるZは、アクチニドのZに対して約80%である。このため、図1Bおよび1CのTaについて示すように、高エネルギー中性子に対する放射捕獲の断面積は、アクチニドに対する断面積と比べて特に小さいわけでもない。原子炉10における全体的な核分裂中性子生成のうちの最後の5〜10%は、核分裂生成物において寄生吸収されて失われる。上述したように、中性子経済は特徴として充分豊富な状態にあるので、漏れや急速な幾何学的発散がない限り、全体的な核分裂中性子生成のうちの約0.7が、爆燃波伝搬を充分に維持することができる。これは、設計および運転において中性子経済の加減が厳密でなければならない低濃縮燃料を用いる熱(外)中性子原子炉とは著しく対照的である。
実施形態に係る原子炉10における核分裂爆燃波の伝搬の影響についての第3の例として、核分裂爆燃波の特徴である初期アクチニド燃料蓄積の高い燃焼率(約50%〜約80%台)によって、未処理の、さらには再処理の必要がない燃料を、高効率で使用することができる。ここで、図1D〜1Hによると、実施形態に係る核分裂炉炉心アセンブリ100における燃料チャージの特徴は、原子炉の全出力が1/3世紀の時間間隔で継続的に要求される予定計画において、核分裂爆燃波の発生(「核分裂点火」とも称する)の後の、原子炉の運用年数における4つの等間隔時間において表現される。ここで示す実施形態では、2つの核分裂爆燃波が、起点28(核分裂炉炉心アセンブリ100の中央付近)から核分裂炉炉心アセンブリ100の終端に向かって伝搬する。核分裂炉炉心アセンブリ100の燃料チャージでの完全点火の後のさまざまな時点における対の核分裂爆燃波の先端に対応する位置を図1Dに示す。図1E、1F,1G,および1Gは、核分裂点火後の概算の時、すなわち約7.5年、15年、22.5年、および30年のそれぞれにおける、非限定的例な10メートル長さの燃料チャージに沿った軸位置を横軸値とし、表示された軸位置における燃料比出力(W/g)のセットを縦軸値として、代表的な一群の軸近傍領域における様々な同位体元素の量を示している(軸方向の炉心長さ(cm)に対する総量(kg)にて示している)。中央の摂動は、起点28(図1D)によって示される核分裂点火モジュールの存在に起因する。
燃焼前線の後の最も激しく燃焼している領域からの中性子束は、燃焼前線の先端における、核分裂性同位体の豊富な領域を増殖させ、これにより、核分裂爆燃波の前進に役立つということが分かるだろう。核分裂爆燃波の燃焼前線が所定量の燃料に押し寄せた後、進行中の核分裂がより大量の核分裂生成物を生成する。この一方で、利用可能な親物質の原子核における中性子の放射捕獲が核分裂生成物原子核におけるものよりも著しく発生しやすい限り、核分裂性原子濃度は上昇し続ける。どの瞬間においても、原子力生成濃度は燃料チャージ領域にてピークに達する。上記実施形態では、点火モジュールの左側および右側における2つの微妙に異なった種類のサーモスタットユニットの異なる作用によって、これに応じて微妙に異なった出力生成レベルが発生することが分かる。
また、図1D〜1Hによると、核分裂爆燃波の進行する燃焼前線の真後ろにおいて、核分裂性核種に対する核分裂生成物原子核の集中度は、核分裂生成物の捕獲断面積(図1B)に対する核分裂性分裂の比率に相等する値にまで上昇し、このときの「局部的中性子反応度」はわずかにマイナスになりことが分かる(上記核分裂生成物の原子核の量は平均して核分裂性核種の半量近くになる)。また、燃焼と増殖の両方が、核分裂爆燃波の燃焼前線のはるか後にて効果的に停止することが分かる。これは、図1E,1F,1G,および1Hを互いに比較することからも分かるだろう。
いくつかの実施形態に係る原子炉10では、これまでに原子炉において使用された全ての核燃料は、核分裂炉炉心アセンブリ100の製造中に搭載され、使用済み燃料は核分裂炉炉心アセンブリ100から決して除去されず、核分裂点火後、核分裂炉炉心アセンブリ100は決してアクセスされない。しかし、いくつかの実施形態に係る原子炉10では、核分裂点火後に、さらなる核燃料が核分裂炉炉心アセンブリ100に追加される。しかし、いくつかの実施形態に係る原子炉10では、使用済み燃料が炉心アセンブリから除去される(また、いくつかの実施形態では、核分裂炉炉心アセンブリ100からの使用済み燃料の除去は、原子炉10が出力状態で運転している間に行ってもよい)。核分裂爆燃波が所定の軸方向のアクチニド元素の「燃焼」にわたって通過し、核分裂生成物の「灰」へ変換するように、使用済み燃料が除去されるか否かに関わらず、搭載された直後の燃料の予備拡張は、高濃度アクチニドが燃料元素の全体的な量変化なしに低濃度核分裂生成物へと変換することを可能にする。
核分裂爆燃波をTh232またはU238燃料チャージへ導入することは、核分裂性同位体中で濃縮された「核分裂点火モジュール」を用いて容易に達成される。より高濃度にすると、より小型なモジュールとなる。また、最少質量のモジュールは、減速材濃度勾配を用いてもよい。さらに、核分裂点火モジュールの設計は、さまざまな計画における軍事目的のための材料転用に対する否定など、技術的でない事柄への配慮から決定してよい。このようなモジュールは、例えば、技術的により適したTh232におけるPu239とは対照的に、U238におけるU235を用いてもよい。このとき、どのような量または構造においても効果的に非爆発性となるように、例えば≦20%などの充分に低い濃度において、U238におけるU235を用いてもよい。軍事用備蓄に対しては過剰に過ぎるU235の量は、≧10のこのような核分裂点火モジュールには充分であり、100億人に、一人あたりにつきキロワット台の電気を供給するに充分な全ての核分裂炉に相当する。
前述した実施形態において説明された核分裂点火部は、燃焼波面の伝搬を誘発するように構成された核分裂性物質を含んでいたのに対して、他のアプローチでは、核分裂点火部は、前述した反応源に加えて、または当該反応源の代りに、他の種類の反応源を有してもよい。例えば、核分裂点火部は、核分裂爆燃波の伝搬する原子炉内で中性子に暴露されて核分裂同位体中で濃縮された核燃料などの「燃えさし」を有してもよい。このような「燃えさし」は、さまざまな量の核分裂生成物の「灰」が存在するにもかかわらず、核分裂点火部として機能し得る。例えば、核分裂点火部は、中性子を順に生成し得る、高エネルギーイオン(プロトン、デューテロン、もしくはα粒子など)または電子についての電気的駆動源を用いた中性子源を有してもよい。ある例示的アプローチでは、線形加速装置などの粒子加速装置が、このような中性子を(例えば破砕によって)順に与え得る中間物質に、高エネルギープロトンを与えるように配置されてもよい。他の例示的アプローチでは、線形加速装置などの粒子加速装置が、このような中性子を(例えば高Z元素の電気核分裂および/または光核分裂よって)順に与え得る中間物質に、高エネルギー電子を与えるように配置されてもよい。または、電気的に誘発される融合アプローチなど、他の公知の中性子放射プロセスおよび構造が、伝搬する核分裂波を誘起し得る中性子(例えば、D-T融合からの14Mev中性子)を与えてもよい。
燃料チャージの原子工学および核分裂爆燃波について説明したため、「核分裂点火」および核分裂爆燃波の維持についてのより詳細な説明をする。中央に配置され、かつ、U235などの核分裂性物質において適度に濃縮された核分裂点火部は、(例えば、操作者に操作された電気的加熱により)核分裂性物質から除去された中性子吸収物質(ホウ化水素など)を有し、また核分裂点火部は中性子的に臨界になる。局部的燃料温度は設計目標値まで上昇し、その後、局部的サーモスタットモジュール(後に詳述)によって規制される。U235の高速核分裂からの中性子は概して、まず、局部的U238またはTh232において捕獲される。
核分裂点火部のウラン濃縮は、グラファイトなど、半径方向に密度勾配を有する耐熱減速材を、核分裂点火部へ導入し、それを燃料領域が速やかに囲むことによって、軽水炉(LWR)燃料のレベルより極端に大きくないレベルまで減少し得ることが分かる。高い密度の減速材は、低濃縮燃料が満足に燃焼されることを可能にし、一方、低い密度の減速材は、効率的な核分裂増殖が起こることを可能にする。したがって、最適な核分裂点火部の設計は、初期臨界から、炉心において充分に点火された燃料チャージによって充分な定格の出力が有効性を有するまでの、最小潜伏性と増殖堅牢性との間のトレードオフを含み得る。核分裂点火部の濃縮度が低いほど、必然的に増殖発生は多くなり、潜伏性も長くなる。
分裂性同位体の総量は単調に増加するが、この総量はより空間的に分散されていくので、核分裂炉炉心アセンブリ100の最大(規制されていない)反応度は、核分裂点火プロセスの第1段階にてゆっくりと減少する。初期燃料形態、場所に対する燃料の濃縮、および燃料密度の選択の結果、最大反応度の最小値が達成される時点においても、最大反応度がわずかにプラスになるように準備されてもよい。その後すぐに、核分裂点火部に残存する、実質的に過度な増殖領域における分裂性同位体量に応じて、最大反応度はその最大値に向けて急速に増加し始める。その後、準球形の環状殻は最大比出力の生成を行う。この時点において、核分裂炉炉心アセンブリ100の燃料チャージが「点火された」と称する。
核分裂炉炉心アセンブリ100の燃料チャージが「点火された」ので、「核分裂燃焼」とも称する核分裂爆燃波の伝搬について説明する。最大比出力による原子力生産のための球状に発散する殻(shell)は、核分裂点火部から燃料チャージの外面に向かって急速に前進し続ける。殻がこの外面に到達すると、殻は自然に割れて2つの球帯状表面になり、各表面は円筒の軸に沿った2つの対向する方向にそれぞれに伝搬する。この時点において、炉心における全熱出力生成のポテンシャルが作られる。この事象は、2つの軸方向に伝搬する核分裂爆燃波燃焼前線の開始により特徴付けられる。いくつかの実施形態では、炉心の燃料チャージの中央が点火され、これにより対向して伝搬する2つの波が生成される。この構成により、所定の時間に出力生成が行われる炉心の質量と体積が2倍になり、炉心におけるピークの比出力生成は半分に減少し、これにより熱輸送の課題を量的に最小にする。しかし、他の実施形態では、特定の用途に対する要望に応じて、炉心の燃料チャージが一方の端部で点火される。他の実施形態では、炉心の燃料チャージは複数箇所において点火されてもよい。さらに他の実施形態では、特定の用途に対する要望に応じて、炉心中の任意の3次元位置において点火される。いくつかの実施形態では、2つの伝搬核分裂爆燃波は核分裂点火部位から誘起され伝搬するが、形状、核燃料組成、中性子修正制御構造の作用または他の検討材料に応じて、異なる数の(例えば1つ、3つ、またはそれ以上の)核分裂爆燃波が誘起され伝搬されてもよい。しかし、理解を促すため、限定するわけではないが、ここでは2つの核分裂爆燃波の伝搬について説明する。
2つの波の発生を経過して、当該2つの波が2つの対向する端部に到達する時まで、原子力発生の物理的過程は図1E〜1Hに示すようにどちらの波のフレームにおいても効果的に時間的安定状態にある。燃料を通過して前進する波の速度は、局部的中性子束と比例する。上記局部的中性子束は、順に、サーモスタットモジュール(図示せず)の核分裂爆燃波の中性子量における集合作用を介して、核分裂炉炉心アセンブリ100から必要とされる熱出力に直線的に依存する。
炉心を流れる低温度冷却材を介して、原子炉がより多くの出力を必要とするとき、炉心の2つの端部の温度は、サーモスタットモジュールの設計目標値よりわずかに下回るほど減少する(上記炉心は、いくつかの実施形態では冷却材注入口の最も近くに位置する)。これにより、中性子吸収体が、炉心のサーモスタットモジュールにおける対応する亜母集団から引き出される。また、これにより、局部的中性子束は、局部的熱出力生成を、局部的物質温度を局部的サーモスタットモジュールの目標値へと押し上げるレベルにまで至らせるように、増加することが可能になる。
しかし、この2つの燃焼前線実施形態では、このプロセスは、2つに分割された流れが2つの核燃焼前線へと移動するまで、充分に冷却材を加熱するに際して効果的ではない。炉心の燃料チャージにおけるこれら2つの部分は、サーモスタットモジュールの中性子吸収体によって抑制されなければ、著しいレベルの原子力を生成することが可能であるが、上記2つの部分は、(炉心に到達した冷却材の温度に関係なく)核燃料温度が過剰にならなければ、それらのモジュールの設計目標値によって示される温度へと冷却材を加熱する作用を起こす。その後、2つの冷却材の流れは、2つの燃焼前線による燃焼済み燃料の中央における2つの区域を通過し、そこから残余の核分裂および余熱の熱出力を除去し、いずれも燃料チャージの中央から流出する。この構成により、図1E〜1Hに示すように、主に各前線の後縁から過剰な中性子を「削除する」ことによって、2つの燃焼前線が燃料チャージの2つの端部に向けて伝搬し得る。
したがって、炉心の中性子は実質的に自己制御されると考えられる。例えば、円柱形炉心の実施形態について、円柱型の炉心の燃料密度半径生成物が≧200gm/cmであるとき、炉心の中性子は実質的に自己制御するものと考えられる(すなわち、合理的に高速な中性子スペクトルに対して、典型的な組成の炉心における中性子誘発核分裂の平均自由行路が1〜2つである)。このような炉心設計における中性子反射体の主な機能は、放射能遮蔽体、構造支持体、サーモスタットモジュール、および最外側の殻など、原子炉の外側部分付近に確認される高速中性子フルエンスを、著しく低減することである。炉心の性能に及ぼされる付随的影響は、この数値が原子炉経済の効率を高める主要なものであるが、燃料の最外側部分における増殖効果および比出力を向上させる。燃料チャージの中心から離れた部分は、低い総合的エネルギー効率では使用されないが、燃料チャージの中心における同位体燃焼レベルに匹敵する同位体燃焼レベルを有する。
原子炉における中性子反応度の最終的かつ不可逆的な無効は、アプリケーション熱交換器16(図1A)まで伸長される主要なループ、または原子炉10(図1A)とヒートダンプ熱交換器26(図1A)とを接続する余熱ダンピングループのいずれか一方を介して、冷却材の流れに中性子毒を注入することによって、任意の時間に行われてもよい。例えば、所望により、BFなどの物質を、場合によってはHなどの揮発性還元剤と共に、冷却材の流れに少しばかり装填すると、そこで見られる高温により、別の点では他の遅い化学反応(2BF+3H->2B+6HF)の急加速を介して、原子炉炉心を貫通する冷却材管の内壁全体にわたって実質的に均一に、金属ボロンが堆積する。ボロンは、同様に、高抵抗性の非金属であり、その堆積位置から移動することはない。炉心における<100kg量のボロンの実質的に均一な存在によって、原子炉の近傍において動力を備えた機構の使用を必要とせず、無制限に長期にわたる炉心の中性子反応度を打ち消し得る。
(原子炉炉心アセンブリの例示的実施形態および態様)
核分裂炉炉心アセンブリ100およびそこに配置される例示的核燃料チャージの例示的実施形態および態様を説明する。
図1Iによると、核分裂炉炉心アセンブリ100は、高速中性子スペクトル核分裂炉での使用に適している。図1Iには核分裂炉炉心アセンブリ100を概略的に示していることが分かるだろう。それ自体は、核分裂炉炉心アセンブリ100の形状について、何ら幾何学形状の限定を意図するものではない。上記では、核分裂爆燃波が任意の大きな軸方向距離を安定的に伝搬し得る、円柱状の天然ウランまたはトリウム金属について、詳細を説明した。しかし、核分裂爆燃波の伝搬は、円柱、金属核燃料、または純粋ウランもしくはトリウム核燃料物質に限定されて形成されるものではないことを再度強調しておく。そこで、核分裂炉炉心アセンブリ100およびそこに配置される燃料チャージの、代替の幾何形状配置についての追加的実施形態を後述する。
中性子反射体/放射能シールド120は、核燃料130を囲む。核燃料130は核分裂性物質であり、すなわち、核分裂炉において核分裂を行うにふさわしい物質であり、それらの例としては、アクチニドまたは超ウラン元素が挙げられる。上述したように、核燃料130の核分裂性物質としては、限定するものではないが、Th232またはU238が挙げられる。しかし、以下に説明する他の実施形態では、核燃料130として他の核分裂性物質を用いてもよい。いくつかの実施形態では、核燃料130は連続的である。他の実施形態では、核燃料130は非連続的である。
核分裂点火部110は、核分裂爆燃波燃焼前線(図示せず)を誘起する核燃料130の中で作用する。核分裂点火部110は、上記に論じた原則および詳細に応じて、形成され運転する。したがって、核分裂点火部110の構成および運転の詳細は、簡潔にするために繰り返す必要はない。
ここで、図1Jによると、核燃料130(図1I)が核分裂点火部110によって(上記に説明した方法で)点火された後、伝搬燃焼前線140(すなわち、上記に説明したような、伝搬する核分裂爆燃波燃焼前線)が誘起され、矢印144で示される方向に、核燃料130(図1I)を通過し伝搬する。上記に説明したように、最大反応度の領域150は、伝搬燃焼前線140の周囲に形成される。伝搬燃焼前線140は、矢印144で示される方向に、未燃焼の核燃料154を経て伝搬し、伝搬燃焼前線140の後には、核分裂生成物164(上記説明では「核分裂生成物の灰」と称される)を含む燃焼済みの核燃料160を残していく。核分裂生成物164としては、ヨウ素、セシウム、ストロンチウム、ゼノン、および/またはバリウムの同位体などがある。燃焼済み核燃料(使用済み燃料)および未燃焼の核燃料を検討する中で、「燃焼」(核燃料に適用される)という用語は、核燃料の少なくともいくつかの要素が中性子媒介核分裂を起こすことを意味する。核分裂爆燃波の伝搬を検討する中で、「燃焼」および「燃焼済み」という用語はまた、核燃料の少なくともいくつかの要素が「増殖」を起こすことを意味する。これにより、中性子吸収の後には1つ以上の分裂性同位体への複数の第2半減期ベータ崩壊変換が引き続いて起こり、その後、中性子媒介核分裂してもよいし、またはしなくてもよい。
したがって、未燃焼核燃料154は、第1の中性子環境パラメータセットを有する第1中性子環境と考えられる。同様に、燃焼済み核燃料160は、第1の中性子環境パラメータセットとは異なる第2の中性子環境パラメータセットを有する第2中性子環境と考えられる。「中性子環境」という用語は、時間、空間、方向、およびエネルギーに対する変化を含む詳細な中性子の分布を指す。中性子環境は、それぞれが異なる時間に異なる場所で発生し、異なる動作方向と異なるエネルギーを有する、複数の個別の中性子についての総計を含む。いくつかの状況では、中性子環境は、これらの詳細な特性についての部分集合によって特徴付けられている。ある例では、部分集合は、所定の空間、時間、方向、ならびに、特定の時間、空間、方向、およびエネルギー値のエネルギー範囲の中における、全ての中性子の集合体を含んでもよい。他の例では、時間、空間、方向、もしくはエネルギー集合のうちのいくつか、または全てが、数値依存重み関数を含んでもよい。他の例では、部分集合は、方向およびエネルギー値の全範囲に対する重み付け集合体を含んでもよい。他の例では、エネルギーに対する集合体は、特定のエネルギー関数によるエネルギー依存重み付けを含んでもよい。このような重み付け関数の例としては、中性子吸収または核分裂に対する断面積など、物質およびエネルギー依存断面積が挙げられる。
いくつかの実施形態では、伝搬燃焼前線140のみが誘起され、未燃焼核燃料154を通過して伝搬される。このような実施形態では、核分裂点火部110は所望により配置される。例えば、核分裂点火部110は、核燃料130(図1I)の中央に配置されてもよい。他の実施形態では(図示せず)、核分裂点火部110は、核燃料130の端部に配置されてもよい。
他の実施形態では、伝搬燃焼前線140に加えて、伝搬燃焼前線141が誘起され、矢印145で示される方向に沿って他の燃料154を通過して伝搬される。最大反応度の領域151は、偏性の燃焼前線141のまわりに形成される。伝搬燃焼前線141は、その後に燃焼済み核燃料160および核分裂生成物164を残していく。伝搬燃焼前線141の誘起および伝搬の原則および詳細は、伝搬燃焼前線140で先に述べたものと同様である。したがって、伝搬燃焼前線141の誘起および伝搬の詳細は、簡潔にするために、説明する必要はない。
ここで図2Aによると、高速中性子スペクトル核分裂炉などの核分裂炉200は、そこに配置される核燃料集合体210を有する。以下では、核分裂炉200において使用し得る核燃料集合体210の詳細な例を説明する。核分裂炉200についての、核分裂爆燃波燃焼前線(すなわち、核燃料の「燃焼」)の誘起および伝搬を含む他の詳細は、原子炉10(図1A)と同様であり、簡潔にするために、繰り返す必要はない。
ここで図2Bおよび非限定的な例によると、ある実施形態では、核燃料集合体210は、燃焼済み核燃料集合体220を適宜有する。燃焼済み核燃料集合体220は、被覆材224を用いて被覆される。被覆材224は、前もって燃焼された核燃料集合体220を被覆していた「元の」被覆材である。「燃焼済」という用語は、核燃料集合体の少なくともいくつかの要素が中性子媒介核分裂を起こし、核燃料の同位体組成が変換されたことを意味する。すなわち、核燃料集合体は、中性子スペクトルまたは中性子束(高速または低速)に侵入され、少なくともいくつかの要素が中性子媒介核分裂を起こし、その結果、核燃料の同位体組成が変化する。したがって、燃焼済み核燃料集合体220は、限定するわけではないが軽水炉のような任意の原子炉において、予め燃焼されていてもよい。燃焼済み核燃料集合体220は、限定するわけではないが、核分裂炉において核分裂を起こすに適したものならどのような種類の核分裂性物資を含んでいてもよく、例えば、天然トリウム、天然ウラン、または濃縮ウランなどの、アクチニド元素または超ウラン元素を含んでいてもよい。いくつかの他の実施形態では、燃焼済み核燃料集合体220は、「元の」被覆材224で被覆されなくてもよく、これらの実施形態では、燃焼済み核燃料集合体220は、核分裂炉200において予め燃焼した後に化学的に処理される。
ここで図2Cによると、燃焼済み核燃料集合体220およびその「元の」被覆材224は、被覆材230を用いて被覆される。したがって、燃焼済み核燃料集合体220は、元の被覆材224内に残留し、被覆材230は被覆材224の外部の周りに配置される。被覆材230は膨潤を許容し得る。例えば、燃焼済み核燃料集合体220が軽水炉において燃焼されたとき、被覆材224は、燃焼済み核燃料集合体220の約3%の燃焼度における膨潤を収容するのに充分であった。限定しない実施形態では、被覆材230は、被覆材224の周りの方位角的に対称的な円筒状の面において、被覆材224と接触している。このような構成によって、被覆材224の少なくとも半分が、被覆材224と被覆材230との間の隙間にまで膨張することを許容され、一方、接触している面を介して熱を除去することができる。
いくつかの実施形態では、被覆材230は、上述したように、その隙間に膨潤を許容するのに役立つように構成されている被覆部(図示せず)からなっている。他の実施形態では、被覆材230は、被覆材224の外側と原子炉冷却材(図示せず)との間に設けられる、管のような障壁として設けられていてもよい。
いくつかの実施形態では、燃焼済み核燃料集合体220は、核燃料集合体210として核分裂炉200中で燃焼される。すなわち、燃焼済み核燃料集合体220は、被覆材230を用いて被覆されなくてもよい。この実施形態は、軽水炉、高速中性子スペクトル核分裂炉、または他の形態に係る核分裂炉中で燃焼されたものなどの、燃焼済み核燃料集合体220を燃焼すること、ならびに、(a)膨潤による被覆材224の破壊を許容する、または許容しようとすることか、それとも(b)燃焼済み核燃料集合体220を高速中性子スペクトル核分裂炉220中で燃焼し、同位体空乏より著しく低いレベルにすること(この場合において、膨潤は許容できる規模のもであり得る)のいずれかを想定している。
ここで、図3A,3B,3C,および3Dを参照し、核燃料構造310、320、330、および340における別の核燃料の形態をそれぞれ説明する。核燃料構造310、320、および340のそれぞれは、核分裂点火部300を有し、伝搬核分裂爆燃波302は、矢印304に示す方向に伝搬される。
球形核燃料構造310(図3A)では、核分裂点火部300は、球形核燃料構造310の中央に配置される。伝搬燃焼前線302は、矢印304に示すように、核分裂点火部300から外側に放射状に伝搬する。
平行六面体の核燃料構造320では、核分裂点火部300が所望により配置される。上述したように、2つの伝搬燃焼前線302は、矢印304に示す方向に沿って、平行六面体の核燃料構造320の端部に向けて、誘起および伝搬されてもよい。または、核分裂点火部300は、平行六面体の核燃料構造320の端部に配置されてもよく、この場合、1つの伝搬燃焼前線302は、矢印304に示す方向に沿って、平行六面体の核燃料構造320の他端部に向かって、誘起および伝搬される。
環状核燃料構造330(図3C)では、核分裂点火部300は所望により配置される。2つの伝搬燃焼前線302は、核分裂点火部300から遠ざかるように、かつ矢印304に示す方向に沿って互いに向かって、誘起および伝搬される。このような場合、環状核燃料構造330は、伝搬燃焼前線302が互いにぶつかるときに「燃焼」すると見られており、伝搬燃焼前線の伝搬が停止し得る。または、伝搬燃焼前線302が1つのみの誘起される場合、伝搬燃焼前線302は、矢印304に示す方向に沿って、環状核燃料構造330の周りを伝搬される。このような場合、環状核燃料構造330は、伝搬燃焼前線302が核分裂点火部300の位置に戻ったときに「燃焼」すると考えられ、伝搬燃焼前線302の伝搬は停止または再開し得る。
他の実施形態では、環状構造の周りを燃焼前線が伝搬する間、核分裂生成物の除去または崩壊に起因して、伝搬燃焼前線302が「再開」する。他の実施形態では、後述するように、中性子修正構造の制御に起因して、伝搬燃焼前線302が「再開」する。他の実施形態では、環状核燃料構造330は、「幾何学的な」環状ではなく、より一般的な凹角構造を有する、「論理的な」環状である。
上述したように、核分裂爆燃波燃焼前線は、所望の任意の形状を有する核燃料において誘起され伝搬され得る。例えば、不規則な形状の核燃料構造340では、核分裂点火部300は、所望により配置される。伝搬燃焼前線302は、特定の用途のための所望に応じて、矢印304に示す方向に沿って、誘起され伝搬する。
あるアプローチでは、予め燃焼された、もしくは修正された核燃料の中性子作用の修正、または、灰の除去、燃料の追加、もしくは再燃焼における他のパラメータに起因し得る他のパラメータの変化など、運転上のパラメータにおける任意の変化に対して適切な熱制御を提供するように、熱管理が調整されてもよい。
これらの形状例では、核分裂点火部300は、先に述べた核分裂点火部の様々な形態のいずれであってもよい。ここに示される核分裂点火部300は、核分裂点火が発生する部位であるが、いくつかの実施形態では(例えば、電気中性子源)、核分裂点火部の追加的要素が存在してもよく、物理的に異なる位置に存在してもよい。
ここで図4によると、核燃料構造400は、核分裂点火部410と、核燃料物質の非連続的な断片420とを有する。核燃料物質の非連続的な断片420を用いた核分裂爆燃波の動きは、連続的な核燃料物質について先に説明したものと同様である。非連続的な断片420が、物理的に連結するのではなく、「中性子的に」連結した状態になることのみが重要である。
ここで図5によると、モジュラー燃料核500は、中性子反射体/放射能シールド510と、モジュラー核燃料集合体520とを有する。モジュラー核燃料集合体520は、燃料集合体容器530の中において所望により配置される。
モジュラー核分裂炉心500は、任意の数の方法で運転してもよい。例えば、モジュラー燃料核500における燃料集合体容器530の全ては、初期運転に先立って(例えば、モジュラー核燃料集合体520の中およびモジュラー核燃料集合体520を経る核分裂爆燃波燃焼前線の初期誘起および伝搬に先立って)、モジュラー核燃料集合体520で満たされてもよい。
他の例として、核分裂爆燃波燃焼前線が、モジュラー核燃料集合体520を経て完全に伝搬した後、このような「燃焼済み」のモジュラー核燃料集合体520は、それらの各燃料集合体容器530から除去され、所望によりモジュラー核燃料集合体540と交換されてもよい。この交換は、矢印544で示される。核分裂爆燃波燃焼前線は、未使用のモジュラー核燃料集合体540において誘起される。これによって、所望により、モジュラー燃料核500の継続または延長運転が可能となる。
他の例として、モジュラー燃料核500は、初期運転に先立って、モジュラー核燃料集合体520で満たされている必要はない。例えば、全ての燃料集合体容器530より少ない個数にモジュラー核燃料集合体520を満たしてもよい。このような場合、モジュラー燃料核500の中に配置されるモジュラー核燃料集合体の数は、モジュラー燃料核500に課される、ワット数で示される電気装荷など、出力要求に基づいて決定される。核分裂爆燃波燃焼前線は、先にも説明したように、モジュラー核燃料集合体520を経て、誘起および伝搬される。
あるアプローチでは、挿入された燃料集合体容器530を適温に保つために適切な熱制御を行うように、熱管理が調整されてもよい。
他の例として、モジュラー燃料核500はまた、初期運転に先立って、モジュラー核燃料集合体520で満たされる必要はない。設けられるモジュラー核燃料集合体520の数は、使用可能なモジュラー核燃料集合体520の数に基づいて、または、他の理由に基づいて決定してもよい。核分裂爆燃波燃焼前線は、モジュラー核燃料集合体520を経て、誘起および伝搬される。核分裂爆燃波が、満たされていない燃料集合体容器530に近づいた時、この満たされていない燃料集合体容器530は、基本的にはジャストインタイムなどで、モジュラー核燃料集合体520を満たされることができる。この据え付けは、矢印544で示される。したがって、モジュラー燃料核500の継続または延長運転は、モジュラー核燃料集合体520を用いてモジュラー燃料核500を先に燃料供給しなくても行うことができる。
モジュール性の概念は拡大できるということが分かる。例えば、他の実施形態では、モジュラー核分裂炉は、モジュラー核分裂炉心500が任意の数のモジュラー核燃料集合体520で満たされ得るのと同じ方法にて、任意の数の核分裂炉炉心で満たされ得る。このため、モジュラー核分裂炉はモジュラー燃料核500と見立て、核分裂炉炉心は核燃料集合体520と見立てることができる。モジュラー燃料核500について上記で検討したいくつかの運転モードは、モジュラー核分裂炉との類似点によって適用される。
モジュラー設計の用途を、図6A〜6Cに示す。図6Aによると、核分裂施設600は、炉心サブシステム結合部630(限定するわけではないが、例えば一次ループのような原子炉冷却材システム、および、必要であれば、蒸気発生器を有する二次ループ)を介して、運転サブシステム620(限定するわけではないが、電力発生設備など)に運転可能に結合される高速中性子スペクトル核分裂炉炉心アセンブリ610を有する。
図6Bによると、他の高速中性子スペクトル核分裂炉炉心アセンブリ610は、核分裂施設600に備えられてもよい。追加の高速中性子スペクトル核分裂炉炉心アセンブリ610は、他の炉心サブシステム結合部630によって、他の運転サブシステム620に運転可能に結合される。運転サブシステム620は互いに、サブシステム間結合部640を介して結合される。サブシステム間結合部640は、運転サブシステム620の間において原動力または他のエネルギー伝達媒体を提供し得る。このため、炉心アセンブリ610のうちのいずれかによって生成されるエネルギーは、必要に応じて、任意の運転サブシステム620に伝達され得る。
ここで図6Cによると、第3高速中性子スペクトル核分裂炉炉心アセンブリ610、関連する運転サブシステム620、および炉心サブシステム結合部630が、核分裂施設600に配置されている。また、上述したように、高速中性子スペクトル核分裂炉炉心アセンブリ610のうちのいずれかによって生成されたエネルギーは、所望により、任意の運転サブシステム620に伝達される。他の実施形態では、この連結プロセスは、上記に説明する以上に一般化し得るものであり、核分裂施設600はN個の高速中性子スペクトル核分裂炉炉心アセンブリ610および同じ個数または異なるM個の運転サブシステム620からなっていてもよい。
個々の核高速中性子スペクトル核分裂炉炉心アセンブリ610は、互いに同一である必要はなく、運転サブシステム620も互いに同一である必要もないことは分かるだろう。同様に、炉心サブシステム結合部630は、互いに同一である必要はなく、サブシステム間結合部640も、互いに同一である必要はない。上記の実施形態に係る運転サブシステム620に加えて、他の実施形態に係る運転サブシステム620は、限定するわけではないが、原子炉冷却材システム、電気核分裂点火部、寿命後ヒートダンプ、および原子炉部施設(基地設置および安全確保など)等を含む。
ここで図7によると、熱エネルギーは、他の実施形態に係る核分裂炉炉心から抽出され得る。核分裂炉700では、核分裂爆燃波燃焼前線は、上述したような方法で、燃焼波面熱発生領域720において誘起され、伝搬される。凝縮相密度流体(例えば、水、液体物質、テルフェニル、ポリフェニル、フッ化炭素、およびFLIBE(2LiF-BeF2))などの熱吸収物質710は、矢印750に示すように領域720の中を流れ、熱は伝搬燃焼前線分裂から熱吸収物質710に伝達される。いくつかの高速分裂スペクトル原子炉では、熱吸収物質710は、中性子スペクトルの摂動を最小にするよう、原子核不活性物質(たとえばHe4)になるよう選択される。いくつかの実施形態に係る核分裂炉700では、中性子含有量が充分に豊富であるため、原子核不活性でない熱吸収物質710の利用が容認され得る。熱吸収物質710は、燃焼波面熱発生領域720と実質的に熱接触をしない熱除去領域730へ流れる。エネルギー740は、熱除去領域730において、熱吸収物質710から除去される。熱除去領域730において熱エネルギー740を除去するとき、熱吸収物質710は、液体状、多相状、または実質的に気体状で存在し得る。
ここで図8によると、いくつかの実施形態では、核分裂爆燃波燃焼前線は、所望により、核燃料の領域へと駆動され、これによって、核燃料の燃焼度は可変となり得る。伝搬燃焼前線核分裂炉800では、核分裂爆燃波燃焼前線810は、上述したように誘起され伝搬される。活性制御可能な中性子修正構造830は、領域820で示される方向に燃焼前線810を導き動かす。一実施形態では、活性制御可能な中性子修正構造830は、限定するわけではないが、Li6、B10,またはGdなどの中性子吸収体を、燃焼前線810の後にある核燃料に挿入する。これによって、燃焼前線810の前における中性子反応度に比較して、燃焼前線810によって燃焼されつつある燃料の中性子反応度を押し下げ低減することができ、核分裂爆燃波の伝搬速度を上昇させることができる。他の実施形態では、活性制御可能な中性子修正構造830は、燃焼前線810の前にある核燃料に中性子吸収体を挿入し、これによって、核分裂爆燃波の伝搬の速度を落とす。他の実施形態では、活性制御可能な中性子修正構造830は、燃焼前線810の範囲内または横側における、核燃料に中性子吸収体を挿入し、これによって、燃焼前線810の有効な大きさを変化させる。
他の実施形態では、活性制御可能な中性子修正構造830は、限定するわけではないが、炭化水素またはLi7などの中性子減速材を挿入し、これによって、中性子エネルギースペクトルを修正し、燃焼前線810の前または後にある核燃料の中性子反応度に比較して、燃焼前線810によって燃焼されつつある核燃料の中性子反応度を変化させることができる。いくつかの実施形態では、中性子減速材の効果は、中性子エネルギースペクトル(例えば、衝突または欠損の断面積共鳴)の詳細な変化と関連し、他の場合では、上記効果は中性子環境の平均中性子エネルギーを低下(例えば、「高速」中性子エネルギーから、熱外中性子または熱中性子エネルギーへの低下)させることと関連する。さらに他の実施形態では、中性子減速材の効果は、選択された場所へ、または、選択された場所から中性子をそらせる。いくつかの実施形態では、中性子減速材の上記効果の一つが非常に重要である。一方、他の実施形態では、複数の効果が設計の同程度の重要さを示す。他の実施形態では、活性制御可能な中性子修正構造830は、中性子吸収体および中性子減速材を含む。非限定的な例では、中性子減速物質の場所に対する中性子吸収物質の場所は、(例えば、吸収体を遮蔽するもしくは遮蔽しないことによって、または吸収体の吸収量を増加もしくは減少させるようにスペクトルシフトを行うことによって)制御に影響を及ぼすように変更され、他の実施形態では、中性子吸収物質および/または中性子減速物質の量を変化させることによって制御に影響を及ぼす。
燃焼前線810は、選択された伝搬パラメータに基づいて、必要に応じて導かれる。例えば、伝搬パラメータは、燃焼前線810の伝搬方向もしくは位置付け、燃焼前線810の伝搬速度、熱発生密度など出力要求パラメータ、または燃焼前線810が伝搬される燃焼領域における断面積容積(例えば燃焼前線810の伝搬の軸に対する燃焼領域の軸方向または横方向の容積)などを含む。例えば、伝搬パラメータは、燃焼前線810の空間的または時間的配置を制御するため、また、要素(例えば中性子修正構造またはサーモスタット)の制御の失敗または誤動作などを避けるために選択されてもよい。
ここで図9Aおよび9Bによると、核分裂炉は、プログラム可能なサーモスタットを用いて制御することが可能であり、これによって、パラメータ操作の変化に対応する時、原子炉の燃料チャージの温度を変化させることができる。
温度プロフィール940は、核分裂炉900の燃料チャージを通過する位置の関数として決定される。核分裂炉900全体の運転温度における運転温度プロフィール942は、予想出力引き込み、構造物質の熱変形など、第1運転パラメータセットに対応して規定される。他のときは、または他の状況では、運転パラメータは変更されてもよい。このため、核分裂炉900全体の、変更された運転温度における変更された運転温度プロフィール944が規定される。
核分裂炉900は、プログラム可能な温度応答性中性子修正構造930を有する。プログラム可能な温度応答性中性子修正構造930(この例は後に詳細に説明する)は、中性子吸収材または中性子減速材を、核分裂炉900の燃料チャージへ導入し、また該燃料チャージから除去する。核分裂爆燃波燃焼前線910は、核分裂炉900の燃料チャージにおいて誘起され伝搬される。変更された運転温度プロフィール944に対応して、プログラム可能な温度応答性中性子修正構造930は、核分裂炉900における運転温度を下げるために中性子吸収材または減速材を核分裂炉900の燃料チャージに導入するか、または、核分裂炉900における運転温度を上げるために中性子吸収材または減速材を核分裂炉900の燃料チャージから除去する。
運転温度プロフィールは、プログラム可能な温度応答性中性子修正構造930の制御設定を決めるために用いることのできる制御パラメータの一例にすぎず(これらは選択された制御パラメータに対応する場合のものである)、必ずしも温度に対応する場合のものではないことが分かるだろう。プログラム可能な温度応答性中性子修正構造930の制御設定を決めるために用いることのできる他の制御パラメータの非限定的な例には、出力レベル、中性子レベル、中性子スペクトル、中性子吸収、および燃料燃焼レベルなどが含まれる。1つの例では、他の核分裂炉で使用するための燃焼済み核燃料の高い増殖率を達成するために、または、伝搬核分裂爆燃波原子炉における核分裂爆燃波の次の再伝搬のための燃焼済み核燃料の安定性を向上させるため、中性子修正構造930は、比較的に低い(例えば<50%)レベルに燃料燃焼度を制御するために使用される。異なる制御パラメータは、異なる時、または原子炉の異なる分部において、使用することができる。中性子修正構造930を検討する上で先に説明した様々な中性子修正方法はまた、プログラム可能な温度応答性中性子修正構造930において使用することができることは分かるだろう。上記中性子修正方法には、限定をするわけではないが、中性子吸収体、中性子減速材、中性子吸収体および/または中性子減速材の組み合わせ、および可変形状中性子修正物などの使用が含まれる。
他の実施形態と、図10Aおよび図10Bによると、物質は原子核を処理され得る。図10Aに示すように、核プロセス可能な物質1020(非照射特性セットを有する)は、伝搬核分裂爆燃波原子炉1000の中に配置される。核分裂爆燃波伝搬燃焼前線1030は、上述したように、矢印1040で示す方向に沿って誘起され伝搬される。核分裂爆燃波伝搬燃焼前線1030が物質1020の近傍中にまたは当該近傍を介して伝搬することによって、物質1020を照射し、所望の修正特性セットを物質1020に付与するとき、物質1020は最大反応度領域1010と中性子により連結されて配置される、すなわち、該物質は中性子照射される。
一実施形態では、物質1020の中性子放射は、核分裂爆燃波伝搬燃焼前線1030の持続および/または範囲によって制御されてもよい。他の実施形態では、物質1020の中性子放射は、中性子修正構造を介して、中性子環境(例えば、Np237処理のための中性子エネルギースペクトル)を制御することによって制御されてもよい。他の実施形態では、物質1020の核プロセスのための核分裂生成中性子の一部を用いつつ、伝搬燃焼前線1030を維持するための中性子の外部源に依存して、伝搬核分裂爆燃波原子炉1000は、「安全な」臨界未満の状態で制御されてもよい。いくつかの実施形態では、物質1020は、伝搬核分裂爆燃波原子炉1000の中で核分裂点火が発生する前に存在していてもよく、他の実施形態では、物質1020は核分裂点火の後で添加されてもよい。いくつかの実施形態では、物質1020は伝搬核分裂爆燃波原子炉1000から除去され、他の実施形態では、該物質1020はそこに残される。
または、図10Bに示すように、核分裂爆燃波伝搬燃焼前線1030は、矢印1040で示す方向に沿って、伝搬核分裂爆燃波原子炉1000において誘起され伝搬される。非放射特性セットを有する物質1050は、伝搬核分裂爆燃波原子炉1000に装填される。1052にて概略的に示されるように、核分裂爆燃波伝搬燃焼前線1030が物質1050を通過するとき、物質1050は、最大反応度領域の物理的近傍に、中性子により該領域と連結するように搬送される。物質1050が、所望の修正特性セットを有する物質1056へ変換されるように、該物質1050は充分な時間間隔で、中性子により連結さる。物質1050が物質1056へ変換されると、物質1056は、概略的に1054において示されるように、原子炉1000の外に物理的に移動されてもよい。除去1054は、伝搬核分裂爆燃波原子炉1000の運転中または「遮断」した後に起こり得、継続的、連続的、または一括処理で行うことができる。一実施形態では、限定するわけではないが、LWRまたは伝搬核分裂爆燃波原子炉など、他の核分裂炉において、核プロセスを経た物質1056が引き続き、核燃料として使用してもよい。他の非限定的な例では、伝搬核分裂爆燃波原子炉における核分裂点火部の中で、核プロセスを経た物質1056が引き続き使用されてもよい。あるアプローチでは、変更された物質または構造に応じて、運転パラメータの任意の変化にも適した熱制御が行えるように、熱管理を調節してもよい。
さらなる実施形態によると、核分裂炉を制御するために温度制御型の中性子吸収を用いることができ、これによって、反応度(α)の本質的に安定したマイナス温度係数を「設定」できる。ここで図11Aによると、核分裂炉1100は、限定するわけではないが、熱電対などの温度検知器1110を備える。この実施形態では、核分裂炉1100は適宜、どんな種類の核分裂炉でもよい。このため、核分裂炉1100は、特定の用途に対する所望により、熱中性子スペクトル核分裂炉または高速中性子スペクトル核分裂炉であり得る。
温度検知器は、核分裂炉1100における局部温度を検知し、検知した局部温度を示す信号1114を生成する。信号1114は、限定するわけではないが、流体継手、電気継手、光継手、高周波伝達、音響継手、磁気継手など、許容できる任意の方法で制御システム1120に伝達される。
検知した局部温度を示す信号1114に応じて、制御システム1120は、核分裂炉1100を所望の運転パラメータ(フルパワーの原子炉に対する所望の局部温度など)に戻すため、核分裂炉1100における局部中性子反応度に対する適切な補正(プラスまたはマイナス)を決定する。このため、制御システム1120は、局部中性子反応度に対する所望の補正を指示する制御信号1124を生成する。
制御信号1124は、中性子吸収物質のディスペンサー1130へ伝達される。信号1124は適宜、信号1114と同様に伝達される。中性子吸収物質は、限定するわけではないが、Li6、B10、またはGdなど、特定の用途に対する所望により、どのような中性子吸収物質でもよい。ディスペンサー1130は適宜、所望の用途に適応する任意の貯蔵器および分配機構であればよく、また、例えば、ディスペンス機構1130から離れた(例えば、核分裂炉1100の中性子反射体の外側に)貯蔵器を有していてもよい。ディスペンサー1130は、制御信号1124に応じて、核分裂炉炉心の中に中性子吸収物質を分配し、これによって、局部中性子反応度を変化させる。
ここで図11Bおよび非限定的な例によると、例示的な熱制御を、中性子吸収流体を用いて行ってもよい。熱結合流体含有構造1140は、核分裂炉1100の局部的領域と熱伝達を行う流体を含む。構造1140の中の流体は、局部温度の変動に応じて膨張または縮小する。流体の膨張および/または縮小は、限定するわけではないが、核分裂炉1100の外に配置されるピストンなどの力結合構造1150に、運転可能なように伝達される。力結合構造1150によって伝達される最終的な力は、中性子吸収流体含有構造1160の中の中性子吸収流体にかかる。中性子吸収流体は、これに応じて構造1160から分配され、これによって局部中性子反応度を変化させることができる。他の例では、中性子減速流体が、中性子吸収流体の代りに、または、中性子吸収流体に加えて使用されてもよい。中性子減速流体は、中性子エネルギースペクトルを変化させ、局部中性子環境における平均中性子エネルギーを低下させ、これによって、核分裂炉1100の中の核燃料の中性子反応度を引き下げる、または低下させることができる。他の例では、中性子吸収流体および/または中性子減速流体は、多相組成(例えば、液体中の固体小球)を有していてもよい。
図11Cは、図11Bに示す構成を実行する詳細な例を示す。ここで図11Cによると、中性子束の非常に大きな変化、中性子スペクトルの大きな変化、燃料組成の大きな変化、および原子炉における出力要求の大規模な変化について、核分裂炉1100’における燃料出力密度は、独立して作用するサーモスタットモジュールの分散セットの集合的作用によって、継続的に規制される。この作用によって、核分裂炉1100’の設計温度ちょうどにおける反応度の大きなマイナス温度係数が実現される。
三次元格子(均一または不均一な配列を形成し得るもの)の核分裂炉1100’における燃料チャージ全体にわたって配置されるため、これらのモジュールのそれぞれは、一対の区画室1140’および1160’を有し、各区画室には導管が備えられている。なお、三次元格子の局所間隔は、核分裂のための中エネルギー中性子の平均自由行路にほぼ該当する(または冗長性目的で縮小され得る)。核燃料中に位置する小さなサーモスタットバルブ区画室1160’は、限定するわけではないが、対象となる中性子エネルギーに対して中性子吸収断面積が低いLiなど、熱高感度性物質を含んでおり、その一方、異なる位置(例えば冷却管の壁)に配置された比較的大きな区画室1140’は、限定するわけではないが、比較的大きな中性子吸収断面積を有するLiなど、可変量の中性子吸収物質を含んでもよい。リチウムは453Kで融解し、1615Kで1バール沸騰するので、核分裂炉1100’の典型的運転温度の範囲にわたって液体である。燃料温度が上昇するにつれて、サーモスタットバルブ1160’に含まれる熱高感度性物質が膨張し、その少量(Liにおける100Kの温度変化に対して約10−3)は、場合によってはキロバール圧力の下、導管へ放出される。なお、上記導管は、離れて配置され(例えば、放射能シールドの外側)、かつ(重力を利用する場合において)中性子吸収物質の炉心内部の区画室1140’よりも物理的に低い位置に配置された、シリンダー/ピストンアセンブリ1150’の底部で終結する。そこで、アセンブリ1150’において、高圧力熱高感度性物質の適度な容積によって、大容量増倍ピストンが駆動される。該アセンブリ1150’は、潜在的に3桁多い容積の中性子吸収物質を、炉心貫通導管を介して、流れを駆動するサーモスタットバルブに近接する炉心内区画室へ押し出す。そこで、中性子吸収物質は、局部中性子束を吸収して低減するように作用し、これにより、局部燃料出力密度を低減する。なお、中性子吸収物質の最小寸法が中性子平均自由行路よりも小さければ、その空間的構成は無形である。局部燃料温度が低下すると、中性子吸収物質は、(例えば、重力圧力ヘッドの作用によって)シリンダー/ピストンアセンブリ1150’に戻り、これによって、熱高感度性物質を、現時点で低い熱機械圧力よって受け止められるサーモスタットバルブ1160’に戻す。
サーモスタットモジュールの稼動は、上記で例示した実行における特定の流体(Li6およびLi7)に依存しない。一例示的実施形態では、熱高感度性物質は、中性子吸収物質と同位体が異なるのではなく、化学的に異なっていてもよい。他の例示的実施形態では、熱高感度性物質は、中性子吸収物質と同位体が同じでもよく、物質の組成の違いではなく、中性子に暴露された物質の容積の違いに起因する差動中性子吸収特性を有する。
ここで図12によると、他の実施形態では、伝搬核分裂爆燃波原子炉1200は、他の実施形態に係る核分裂炉の炉心温度よりも著しく低い炉心温度にて運転する。一方、他の実施形態の核分裂炉は、(例えば、電力変換効率を向上させるために)約1,000K程度の炉心温度にて運転してもよく、伝搬核分裂爆燃波原子炉1200は、約550K未満の炉心温度にて運転し、いくつかの実施形態は、約400K〜約500Kの間の炉心温度にて運転する。原子炉冷却材1210は、伝搬核分裂爆燃波原子炉1200における核分裂から熱を伝達する。次に、熱エネルギー1220は、原子炉冷却材1210から熱駆動アプリケーションに伝達される。非限定的な例によると、例示する熱駆動アプリケーションには、海水の淡水化、バイオマスのエタノールへの処理、および空間加熱などが含まれる。他の実施形態では、伝搬核分裂爆燃波原子炉1200は、550Kを上回る炉心温度にて運転してもよく、電力生成アプリケーションの代りに、または電力生成アプリケーションに加えて、熱駆動アプリケーションのための原子炉冷却材1210からの熱エネルギー1220を使用してもよい。非限定的な例によると、熱駆動アプリケーションの例には、水の熱分解、熱炭化水素処理などが含まれる。
ここで図13によると、他の実施形態では、核燃料は、燃焼後に除去することができる。核分裂爆燃波伝搬燃焼前線1310は、モジュラー核分裂炉炉心1300において、矢印1320で示す方向に沿って、核燃料物質モジュール1340に向けて誘起され伝搬される。これによって、上述したように、最大反応度領域1330を形成することができる。上述したように、伝搬燃焼前線1310が核燃料物質モジュール1340を介して最大反応度領域1330を伝搬した後、核燃料物質モジュール1340は「燃焼済」と見なされ得る。すなわち、最大反応度領域1330の「後ろ」の核燃料物質モジュール1340は「燃焼済」と見なされ得る。任意の所望量の、「燃焼済」核燃料物質モジュール1340(最大反応度領域1330の後のもの)は、概略的に1350にて示すように除去される。概略的に1360にて示すように、核燃料物質は、核分裂炉炉心1300から除去される。
ここで図14Aおよび14B、また他の実施形態によると、核燃料は、再処理することなく、その場で再燃焼することができる。図14Aに示すように、伝搬核分裂爆燃波原子炉1400は領域1410および1420を有する。核分裂爆燃波燃焼前線1430は、領域1410を経て領域1420に向かうように、誘起および伝搬される。核分裂爆燃波燃焼前線1430は、核分裂爆燃波燃焼前線1440として領域1420を経て伝搬する。核分裂爆燃波1440が領域1420に伝搬した後、かつ、核分裂爆燃波1440が伝搬核分裂爆燃波原子炉1400の終端に到達する前または後、核分裂爆燃波1440は再誘導または再誘起され、伝搬路を伝搬核分裂爆燃波原子炉1400の終端から領域1410へと戻される。核分裂爆燃波1440は、領域1420から遠ざかり、伝搬核分裂爆燃波原子炉1400の終端に向かって、核分裂爆燃波1450として、領域1410を通過して伝搬する。分裂性同位体の量および核分裂生成物の「灰」の量における変化に起因して、領域1410および1420における核燃料は、核分裂爆燃波燃焼前線1430および1440の伝搬が前に起こった時と核分裂爆燃波燃焼前線1440および1450の再伝搬が起こった時とで異なる。限定するわけではないが、中性子修正構造の制御にあり得る変更、または熱除去レベルなどの要因に加えて、核燃料における上記の違いに起因して、伝搬が起こっている時と再伝搬が起こっている時とで、中性子環境が異なり得る。
図14Bに示すように(および図3Cで簡単に述べたように)、伝搬核分裂爆燃波原子炉1400の実施形態の形状は、略環状形など、閉じたループ状である。この例示的実施形態では、伝搬核分裂爆燃波原子炉1400は、領域1410および1420、ならびに、領域1410および1420とは異なる第3領域1460を有している。核分裂爆燃波燃焼前線1430は、領域1410を経て領域1420に向かうように、誘起および伝搬される。核分裂爆燃波燃焼前線1430は、核分裂爆燃波燃焼前線1440として領域1420を通過して伝搬する。核分裂爆燃波燃焼前線1440は、核分裂爆燃波燃焼前線1470として領域1460を通過して伝搬する。
核分裂爆燃波燃焼前線1430、1440、1470が、それぞれ領域1410、1420、1460を完全に通過して伝搬するとき、領域1410、1420、1460における核燃料物質は「燃焼済み」と見なし得る。核燃料物質が燃焼した後、核分裂爆燃波燃焼前線1430は、核分裂爆燃波燃焼前線1450として再誘起され、領域1410を通過して伝搬される。領域1410における再誘起は、限定するわけではないが、先に述べたような核分裂点火部の作用によって行われてもよく、または、領域1410における核燃料物質からの核分裂生成物の崩壊および/または除去の結果行われてもよく、または、中性子または核分裂性物質の他の源に由来して行われてもよく、または、先にのべたように、中性子修正構造の制御によって行われてもよい。
他の例示的実施形態では、核分裂爆燃波は、複数の方向に伝搬する可能性がある。1つ以上の伝搬路が形成されてもよく、また、その後、1つ以上の独立した伝搬路に分離されてもよい。伝搬路の分離は、限定するわけではないが、核燃料物質の構造、および上述したような中性子修正構造の作用などの方法によって行われてもよい。伝搬路は別個であってもよく、またはリエントラント(再突入可能)であってもよい。核燃料物質は、一度燃焼されたものでも、全く燃焼されていないものでも、または複数回燃焼されたものでもよい。核燃料物質の領域を介する複数回の核分裂爆燃波の伝搬は、同じ伝播方向、または異なる伝搬方向を有してもよい。
上述した実施形態のいくつかは、化学的および/または同位体的に略一定の物質の燃料核を説明しているが、あるアプローチでは、均一でない物質の燃料核を用いてもよい。例えば、あるアプローチでは、燃料核は、ウランおよびトリウムの割合が異なる領域を有してもよい。他のアプローチでは、燃料核は、限定するわけではないが、トリウムにおける異なる同位体またはウランにおける異なる同位体など、異なるアクチニドまたは超ウランの同位体の領域を有してもよい。さらに、このような異なる組み合わせの混合物もまた適切であり得る。例えば、トリウムおよび異なるウラン同位体の比率の混合物は、異なる燃焼率、温度、伝搬特性、局在化、またはその他の特徴を実現し得る。他のアプローチでは、燃料核は、他の分裂性アクチニドまたは超ウラン元素に加えて、限定するわけではないが、ウラン、プルトニウム、およびアメリシウムなど、「増殖可能な」同位体(Th232またはU238など)の混合物を有してもよい。さらに、化学物質、同位体、断面積、密度、または燃料における他の態様におけるこのような変化は、他の様々な空間様式において、放射状に、または軸方向に変化してもよい。例えば、このような変化は、エネルギー需要における予想し得る変化、経年変化、または他の予想し得る変化によって規定される。一態様では、ある領域におけるエネルギー需要の成長が合理的に予想される場合、該領域において予想される需要拡大と関連するように燃料または物質を規定することは有用であり得る。
さらに他の態様では、ここで説明した他のアプローチに応じてこのような変化を実行してもよい。例えば、ここで説明したモジュラーアプローチまたはここで説明した多重通路アプローチを用いて燃焼を開始した後に、これらの変化を規定してもよい。他のアプローチでは、物質の一部が移動することによって、適切な物質濃度、配置、比率、またはその他の特徴を与え得る。
上記の実施形態は、核分裂爆燃波面を、固定された、または可変の燃料炉心において伝搬することを説明したが、一態様では、燃料炉心または燃料炉心の一部が波面に対して移動する一方、核分裂爆燃波面の伝搬は略空間的に固定されたままでもよい。このようなアプローチでは、伝搬核分裂爆燃波面の配置された位置を実質的に維持するための燃料核の動きが、冷却または熱伝達システムとの熱的結合を安定化し、最適化し、または制御し得る。または、他の態様では、核燃料を物理的に移動することによって伝搬核分裂爆燃波面の位置を制御すると、例えば冷却システム、中性子遮蔽、または中性子密度制御の他の態様など、核分裂炉の他の態様に対する制約を単純化または低減し得る。
多数の例示的実施形態および態様を説明してきたが、当業者であれば特定の変更、置換、追加、およびそれらの組み合わせに気付くであろう。それゆえ、添付の請求項および以下に紹介する請求項は、全てのそのような変更、置換、追加、組み合わせは、本発明の精神および範囲内であると解釈されるべきである。

Claims (29)

  1. 核分裂施設を修正する方法であって、
    第1型の第1運転サブシステムを備える第1高速中性子スペクトル核分裂炉心アセンブリを用意する工程と、
    上記第1型の第2運転サブシステムを備える第2高速中性子スペクトル核分裂炉心アセンブリを据え付ける工程と、
    上記第2高速中性子スペクトル核分裂炉心アセンブリの上記第2運転サブシステムを、上記第1運転サブシステムと連結する工程とを含む方法。
  2. 第1型の上記第1運転サブシステムは第1冷却システムであり、上記第1型の上記第2運転サブシステムは第2冷却システムである、請求項1に記載の方法。
  3. 上記第1運転サブシステムを上記第2運転サブシステムと連結する工程は、上記第1高速中性子核分裂炉心アセンブリを上記第1冷却システムから切り離すことなしに、上記第1冷却システムを上記第2冷却システムと連結する工程を含む、請求項2に記載の方法。
  4. 上記第2高速中性子スペクトル核分裂炉心アセンブリの上記第2冷却アセンブリと上記第1冷却システムとを連結した後に、上記第1冷却システムに応答する出力生成ユニットを設定する工程を、さらに含む、請求項1に記載の方法。
  5. 上記第2冷却アセンブリを上記第1冷却システムと連結した後に、上記第1冷却システムに応答する出力生成ユニットを設定する工程は、上記第1冷却システムからエネルギーを抽出する出力生成ユニットを設定する工程を含む、請求項4に記載の方法。
  6. 核分裂原子炉炉心から熱を伝達する方法であって、
    核分裂原子炉炉心における伝搬核分裂爆燃波による核分裂から熱を発生させる工程と、
    伝搬核分裂爆燃波による核分裂から凝縮相密度流体へと熱を伝達する工程とを含む方法。
  7. 上記凝縮相密度流体は、水、液体金属、テルフェニル、ポリフェニル、フッ化炭素、およびFLIBEを含む群から選択された少なくとも1つの凝縮相密度流体を含む、請求項6に記載の方法。
  8. 伝搬核分裂爆燃波原子炉を冷却する方法であって、
    液状の熱吸収物質を、伝搬核分裂爆燃波熱発生領域と熱的接触するように導く工程と、
    上記伝搬核分裂爆燃波熱発生領域との熱的接触が実質的にない領域に上記熱吸収物質を流す工程と、
    上記伝搬核分裂爆燃波熱生成領域との熱的接触が実質的にない上記領域において、上記熱吸収物質から熱エネルギーを抽出する工程とを含む方法。
  9. 伝搬核分裂爆燃波原子炉を冷却する方法であって、
    非核不活性物質を含む熱吸収物質を、伝搬核分裂爆燃波熱生成領域と熱的接触するように導く工程と、
    上記伝搬核分裂爆燃波熱生成領域との熱的接触が実質的にない領域に上記熱吸収物質を流す工程と、
    上記伝搬核分裂爆燃波熱生成領域との熱的接触が実質的にない上記領域において、上記熱吸収物質から熱エネルギーを抽出する工程とを含む方法。
  10. 上記非核不活性物質は、上記伝搬核分裂爆燃波熱生成領域との熱的接触が実質的にない上記領域において上記熱吸収物質から熱エネルギーを抽出する際に、実質的に液体状態になるように選択される、請求項9に記載の方法。
  11. 上記非核不活性物質は、上記伝搬核分裂爆燃波熱生成領域との熱的接触が実質的にない上記領域において熱吸収物質から熱エネルギーを抽出する際に、実質的に気体状態で存在するように選択される、請求項9に記載の方法。
  12. 核分裂原子炉における反応度を制御する方法であって、
    核分裂原子炉の炉心における少なくとも一つの場所の温度を検出する工程と、
    検出された上記温度に対応する信号を生成する工程と、
    上記検知された温度に対応する上記信号を、制御システムへ送信する工程と、
    送信された上記信号に対応する上記少なくとも一つの場所に近接する中性子吸収物質の吸収特性を変化させる工程とを含む方法。
  13. 上記中性子吸収物質はリチウムを含む、請求項12に記載の方法。
  14. 上記リチウムはLi6を含む、請求項13に記載の方法。
  15. 上記リチウムは液体リチウムを含む、請求項13に記載の方法。
  16. 上記中性子吸収物質は液体リチウムを含まない、請求項13に記載の方法。
  17. 核分裂原子炉の炉心における少なくとも一つの場所の温度を検知する工程は、上記少なくとも一つの場所を、熱電対と熱的に結合する工程を含む、請求項12に記載の方法。
  18. 検知された上記温度に対応する上記信号を制御システムへ送信する工程は、電気信号を上記制御システムへ送信する工程を含む、請求項12に記載の方法。
  19. 検知された上記温度に対応する上記信号を制御システムへ送信する工程は、光信号を制御システムへ送信する工程を含む、請求項12に記載の方法。
  20. 検知された上記温度に対応する上記信号を制御システムへ送信する工程は、高周波信号を制御システムへ送信する工程を含む、請求項12に記載の方法。
  21. 検知された上記温度に対応する上記信号を制御システムへ送信する工程は、音響信号を制御システムへ送信する工程を含む、請求項12に記載の方法。
  22. 検知された上記温度に対応する上記信号を制御システムへ送信する工程は、磁気信号を制御システムへ送信する工程を含む、請求項12に記載の方法。
  23. 核分裂原子炉の炉心における少なくとも一つの場所の温度を検出する工程は、上記少なくとも一つの場所を、流体と熱的に結合する工程を含む、請求項12に記載の方法。
  24. 上記流体は液体を含む、請求項23に記載の方法。
  25. 上記液体は中性子吸収物質を含む、請求項24に記載の方法。
  26. 核分裂原子炉用の温度制御装置であって、
    炉心領域と、
    炉心領域と熱的に結合し、かつ第1流体を含む、第1流体含有構造と、
    上記炉心領域から中性子を吸収するように調整され、上記第1流体とは異なる第2流体を含む、第2流体含有構造とを備えた装置。
  27. 核分裂原子炉用の温度制御装置であって、
    炉心領域と、
    炉心領域と熱的に結合し、第1流体を含む、第1流体含有構造と、
    炉心領域から中性子を吸収するように調整され、第1流体と実質的に同位体が同じである第2流体を含む、第2流体含有構造とを備えた装置。
  28. 上記第2流体と上記第1流体との間に連結される圧力転換炉をさらに備える、請求項27に記載の温度制御装置。
  29. 上記圧力転換炉は減圧機構を含む、請求項28に記載の温度制御装置。

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