JP2010507907A - 垂直磁化及び相互作用相殺中間層を備えた磁気デバイス - Google Patents

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Abstract

本磁気デバイスが、非磁気材料から形成された少なくとも1つの中間層によって分離された磁気材料から形成された少なくとも2つの層を備える。磁気材料から形成された前記層のそれぞれが、前記層の平面に実質的に垂直に配向された磁化を有する。非磁気材料の前記層が、磁気材料から形成された前記層の間に反強磁性結合磁場を生じることが可能であり、この磁場の方向及び大きさにより、前記磁気層の間に生じる静磁気源の強磁性結合磁場の効果を弱めることが可能である。

Description

本発明は、磁気特性を備えた微細構造の分野に関する。これは、層の平面に垂直な磁化を有する薄い磁気層、及びこれらの磁気層を分離する非磁気中間層を含む磁気デバイスを取り扱うものである。
その潜在用途には、マルチ−抗電界(multi−coercive fields)若しくは磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)を備えた磁気メモリ、リプログラマブル論理ゲート、スピンバルブ、又は磁気トンネル接合が含まれ、本発明に従って磁気デバイスに組み込まれる。
非磁気材料から形成された中間層によって分離された磁気材料から形成された少なくとも2つの層を含む磁気デバイスの使用は、磁気メモリ及び磁気記録媒体の分野において周知である。一般的に、これらの様々な層及びこれらの接触面は、平面であり、互いに平行である。
このような磁気デバイスの能力を高めるために、これらのメモリの構造をますます小型化する試みが行われている。これを達成するために、磁気デバイスが、より小さな寸法を有する強磁性層を使用する。特に、これらの層が、ますます薄くなり、これらの磁気デバイスを形成するスタックが、ますます短く且つ狭くなる。
定義により、層の厚さ又は薄さが、様々な層がスタックされた方向に垂直に定義され、一方で、ますます狭い幅及び短い長さのそれぞれが、横方向の寸法、すなわち、層の平面に平行であり、従って積層方向に垂直な平面として定義される。
磁気記録媒体又はメモリを含む用途に関連し、それぞれの積層された磁気層が、磁気的に他の磁気層と独立していることが重要である。
磁気デバイスが、大きな横方向の寸法を備えた層を含む場合、スタックを構成する様々な層の間の磁気相互作用(それぞれの磁気層によって放射された磁場による)は、ごくわずかなままである。
しかしながら、磁気構造が、蒸着(例えば陰極スパッタリングのような、PVDと呼ばれる技術)を使用することにより形成される場合、静磁気電荷が、発生し、非磁気中間層とそれぞれの磁気層との間の接触面のレベルに蓄積されうる。接触面の表面粗度が大きくなるにつれ、これらの静磁気電荷がさらに多くなる。
特に、非磁化層が、一定の厚さを有するが、層が積層される方向に従って変化する平均的位置を有する場合、その結果、中間層が、“波形”状の断面を有する。この場合において、“相関粗度(correlated roughness)”という用語が使用される。中間層が、この種のトポロジーを有する場合、発生した磁荷が、非磁気中間層の両側に位置された磁気層の間の磁気結合磁場を生じさせる。
平面磁化(すなわち、磁化方向が、層平面と平行である)を有する磁気層の場合、この結合磁場が、互いに平行な磁気層の磁化をそろえる傾向にあることが知られている。その結果、非磁気中間層の両側に位置された磁気層は、もはや、磁気的に互いに独立しない。この結合が、通常、ニール(Neel)“オレンジ−ピール カップリング(orange−peel coupling)”と呼ばれ、第一近似として、スタックの横方向の寸法に依存しない。
さらに、スタックの横方向の寸法を、わずか数十又は数百ナノメートルにまで減らすことにより、磁気デバイスを小型化した場合、いまだなお平面磁化を有すると考えられるそれぞれの強磁性体層によって放射された電場が、これらの層の間における静磁気相互作用を引き起こす。
2つの磁化バーが、接近して移動される場合にこれらが互いに引き付けあうことから類推して、図1aに図式的に示されるように、第1バーのS極が、優先的に、第2バーのN極に引き付けられ、逆の場合も同じである。従って、この静磁気相互作用が、反平行な形の磁気層の磁化を配向させる傾向がある。
結果として、形成されるそれぞれの静磁場の符号が反対である結果、この静磁気相互作用の効果、スタックの横方向の寸法に依存する力は、中間層の相関粗度による結合磁場の効果と反対である。
従って、これらの2つの効果の強度を注意深く調整し、例えば中間層の粗度を意図的に修正することにより、比較的小型の磁気記録媒体、実質的には磁気的に互いに独立した磁気層を製造することが可能である。特許文献1及び特許文献2には、この方法により形成された磁気記録媒体であって、好ましくない磁気効果が、互いに相殺することが記載されている。
その一方、特許文献3に説明されているように、平面磁化を有する磁気媒体の小型化に対する障害が存在し、この障害が、現在入手可能な書き込みヘッドにより情報が書き込まれることを複雑化する又は妨げる。これは、超常磁性の制限、すなわち、通常、大気下において10年の期間にわたり、システムの磁化がもはや安定した状態を保たないサイズに満たない横方向のサイズに対応する制限である。
特許文献3に記載されているように、それらの平面に垂直な磁化配向を有する層を備えた磁気デバイスが、サイズが減少するにつれて縮小する超常磁性の制限を有するが、これは磁気デバイスの小型化が進むにつれて反磁界が減少するためである。
さらに、生成された磁場の大きさ及び空間分解能に関し、書き込みヘッドは、現在、平面記録よりはむしろ垂直記録に有効である。このような理由で、現在は、前記磁気層の平面に垂直な磁化を有する層を備えた記録媒体を開発する試みが行われている。
平面磁化を有するデバイスと同様に、それらの磁気層の平面に垂直な磁化を有するデバイもまた、中間層の相関粗度に関連する強磁性相互作用による影響を受ける。従って、この強磁性相互作用が、非磁気中間層の両側に位置する磁気層の間における強磁性結合磁場を形成する。
垂直磁化を有するデバイスの横方向の寸法が大きい場合、中間層の一側に位置する磁気層によって放射された磁場が、他側に位置する磁気層とのごくわずかな相互作用を引き起こす。それにもかかわらず、平面磁化を有する磁気デバイスの場合と同様に、積層された層の横方向の寸法が減少された場合、その結果、1つの磁気層によって放射された磁場が、他の磁気層との無視できない静磁気相互作用を引き起こす。
一方、図1bに図式的に示されるように、平面磁化を有するデバイスとは異なり、静磁気相互反応による結合磁場は、反強磁性というよりはむしろ強磁性である。結果として、粗さの相互作用(roughness interaction)(オレンジ−ピール カップリング)及び静磁気相互作用が、もはや互いに相殺せず、互いに重なり、中間層の両側に位置する磁気層は、これらの2つの形の結合が相殺することにより、もはや、磁気的に、互いに独立したものではなくなる。
図2は、磁気ヒステリシスループ又は大きな横方向の寸法を有する2つの多層磁気構造、すなわち、静磁気相互作用が全く存在しない構造間の磁化曲線を示す。
この場合、磁気デバイスを形成するスタックが、コバルト及び白金から形成された2つの重畳多層構造を含み、白金の厚い非磁気中間層によって分離され、(Pt1.8/Co0.6/Pt15/(Co0.6/Pt1.8の式を有する。数字1.8、0.6及び15は、それらが取付けられる、(それらの化学元素によって指定される)化学的均質層の厚さをナノメートル単位で示す。係数2及び4が、中間層の両側に繰り返される(Co/Pt)又は(Pt/Co)多層構造パターンの数を示す。
このスタックに対し、使用される層の小さな厚さ(この例では、白金及びコバルトに対し1.8及び0.6nm)を踏まえれば、それぞれの多層構造を、磁気的な均質層と考えることが出来る。これらの多層構造の使用により、それらのそれぞれの磁化が、層の平面に垂直であることを確保することが可能となるが、いくつかの場合、例えば、純粋なコバルト層の場合には当てはまらない。
これらの(Co/Pt)多層構造は、他のいずれの材料、合金又はその平面に垂直な磁化特性も有する多層構造によって置換されることが出来、及びこれらの(Co/Pt)多層構造は、利用される物理現象を説明するためだけに使用される。また、例えば、(Co/Pd)多層構造又は化学的規則合金FePt又はFePdを使用することが出来る。本願明細書の以下において、この2つの多層構造のそれぞれは、“磁気層”と呼ばれる。
同様に、中間層の種類は、白金及び他のいずれの非磁気材料に限定されず、この中間層が、スタックの構造的完全性及びそれらの平面に垂直な様々な磁気層の磁化配向を保つならば、合金又は多層構造を使用することが出来る。その厚さは、使用される材料に依存し、この中間層を介した2つの磁気層間におけるいずれの磁気結合が、それぞれの多層構造内におけるコバルトの層間の結合よりも極めて強くないことが確保されるように選択されうる。
図2に示される磁気ヒステリシスループでは、矢印が、x軸上に示された磁気励起Hが起こされた場合における磁気ヒステリシスループの方向を示す。単方向の矢印が、不可逆のループ変化を表し、双方向の矢印が、可逆のループ変化を表す。磁化レベルが、y軸上の任意単位において示される。
点線曲線が、いわゆる大(major)磁気ヒステリシスループ、すなわち、磁気励起場の変化の大きさが、2つの磁気層の磁化方向を連続的に逆転させるために十分であるループに対応し、一方、実線で示される曲線が、加えられた小さな磁場が軟磁気層の逆転のみをもたらす場合の、いわゆる小(minor)磁気ヒステリシスループに対応する。
磁気“硬度(hardness)”(又は“軟度(softness)”)は、それぞれの磁気層の磁化を逆転させるために必要とされる、抗電界と呼ばれる磁場の値に関して定義される。従って、特定の磁気層は、その抗電界が比較的大きい場合、“硬い(hard)”といわれている。
及びHが、加えられた増加する及び減少するそれぞれの磁場に対する軟磁気層の逆転磁場を示す場合(図2参照)、この層の抗電界の値は、
c1=|H−H|/2
によって与えられ、記号||が、逆転磁場における差の絶対値を示す。図2における点1及び2が、“硬い”層の磁化が上向き(正の磁化)であることを示すのに対し“軟い”磁気層の磁化が上向き(1)又は下向き(2)のいずれかを示すという状況に対応する。
同様に、点3及び4が、“硬い”層の磁化が下向き(負の磁化)であることを示すのに対し“軟い”磁気層の磁化が上向き(3)又は下向き(4)のいずれかを示すという状況に対応する。従って、“硬い”磁気層の磁化が負である場合、軟磁気層の抗電界が、上記のように決定されることも出来る。
小磁気ヒステリシスループが、ゼロ磁場に対して対象的である場合、|H|=|H|であり、2つの層の磁気独立を示す。その一方、ゼロ磁場に対するいわゆる小磁気ヒステリシスループの変位が、非磁気中間層を介した2つの磁気層間の相互作用を明らかにし、この変位が、正の電場又は負の電場のいずれかに向かうものであり、相互作用の符号(sign)に依存する。
上記と同じ定義を使用し、2つの磁気層間の結合磁場Hcplが、
cpl=(H+H)/2
によって計算される。
cplが負(平行磁化)である場合、相互作用が強磁性と呼ばれ、Hcplが正(反平行磁化)である場合、相互作用が反強磁性と呼ばれることになる。
図2において、軟磁気層の磁気ヒステリシスループが、実質的に、ゼロ磁気励起電場(H=0kOe)に関して中心となることが分かる。上記のように、負の電場に向かう5Oeのわずかなオフセットが、2つの層の磁化の平行な配向を安定化させる傾向がある中間層の小さな表面粗度の存在を示す。抗電界の値と比較して弱いこの強磁性結合を無視する場合、従って、中間層の両側の2つの磁気層が、本質的に、磁気的に互いに独立する。
周知の方法において、例えば、記憶装置型デバイスを含む用途の場合において、中間層の両側に異なる磁気硬度の2つの層を使用した場合、ゼロ励起場を備えた4つの安定状態を決定することが出来、これにより、2つのみの安定ゼロ−磁場状態を有する1つのみの磁気層を使用する場合と比較して、記憶される情報量を2倍にすることが可能である。
白金から形成されるこの例において、磁気層を分離する中間層は、15nmであるため、比較的厚い。それぞれのコバルト及び白金多層構造の構成は(層厚さ、基本Co/Ptパターンの繰り返し数)、著しく異なる値を有する2つの磁気層の抗電界Hc1及びHc2をもたらす。
上記に説明したように、この場合では、スタックの横方向の寸法が大きく、中間層が厚いため、磁気層間の静磁気相互作用は、ごくわずかである。中間層の表面粗度によって生じる上記のわずかな寄与のみが残る。
従って、上記に定義したような垂直な磁化を有する層を備えた磁気デバイスが、4つの磁気安定ゼロ−磁場状態、すなわち、デバイスに磁場がかけられない状態を有する。これらの4つの磁気状態は、それぞれ、上向き−上向き、上向き−下向き、下向き−上向き及び下向き−下向き状態であり、図2における点1、2、3及び4に対応する。
及びMが2つの磁気層のそれぞれの磁化を示し、Mが、例えば、磁気的に硬い層の磁化を示す場合、それぞれのこれらの状態に対応する結果として生じる磁化は、図2における状態1、2、3及び4に対して(M+M)、(M−M)、(−M+M)及び(−M−M)であろう。M=Mの場合、状態2及び3の場合では、全磁化に関して同等でありうるため、3つの特有の状態のみが、可能であることは明らかである。
これらの4つの安定状態のそれぞれを達成するために、MがMと異なる場合、磁気デバイスが、以下の連続する磁気励起電場にさらされなければならない(記載された数値が、図2において想定される場合に対応し、2つの磁気層の抗電界Hc1及びHc2の値、従ってそれぞれの磁気層の特定の構造に当然依存する):
−状態1、H=+0.6kOe、その後H=0kOe;
−状態2、H=+0.6kOe、その後H=−0.3kOe、最後にH=0kOe;
−状態3、H=−0.6kOe、その後H=+0.3kOe、最後にH=0kOe;
−状態4、H=−0.6kOe、その後H=0kOe;。
上記考察は、“マルチ(multi)抗電界磁気記憶”といわれる用途のタイプをベースしたものであり、4つの特有の磁化状態により、一つの磁気層を備え、従って2つの磁化状態(上向き又は下向き)のみを有する従来のメモリと比較して、記憶される情報の密度を2倍にすることが可能である。
他のタイプの用途、例えば、不揮発性磁気メモリ又はリプログラマブル論理ゲートにおいて、2つの磁気層の磁気独立性を確保することを目的とした非磁気金属又は絶縁層によって分離された2つの磁気層から構成されるスピンバルブタイプ又は磁気トンネル接合タイプの層のスタックを使用する。
この場合、メモリ状態が、電流を層の平面に垂直な方向に流すことによって、その電気抵抗を測定することにより読み取られる。2つの層の磁化が、平行よりも反平行である場合、この電気抵抗が、より高い。非磁気分離層が金属である場合、この現象は、“巨大磁気抵抗”と呼ばれ、又は、非磁気分離層が絶縁体である場合、この現象は、“トンネル磁気抵抗”と呼ばれ、文献において周知のとおり、2つの層の磁化の相対配向にのみ依存する。
図2において、従って、状態2と3を識別することが不可能であるのと同様に、状態1と4を識別することは不可能であるが、これは、これらが、同じ相対磁化配向に対応するためである(状態1及び4に対しては平行であり、状態2及び3に対しては反平行である)。これらの状態は、“縮退状態(degenerate states)”と呼ばれるだろう。信号がスタックの電気抵抗であるいずれの用途において(例えば、メモリ、論理ゲート)、使用される情報は、磁性状態の数ではなく、最高値の半分である縮退状態の数のみである。
これは正しくはあるが、このようなメモリ又は論理ゲートが機能するために、それぞれ2つの磁気層の平行及び反平行磁化方向に対応する2つの縮退状態(1、4)及び(2、3)の両方が、ゼロ磁場、すなわち、デバイスがいずれの外部磁場にもさらされない場合において安定していることがそれでもなお必要である。上記考察と比較し、従って、層間における結合磁場が、“軟い”磁気層の抗電界よりも完全に弱いことが必要である。
図3は、それらの平面に垂直な磁化を有し、非磁気層によって分離された2つの磁気層の配置図である。M及びMは、2つの層の磁化であり、アウトライン矢印が、これらの層の磁化方向を表し、実線矢印が、一方の層から他方に放射され、互いに平行な2つの磁気層の磁化を整列させる傾向がある磁場を図式的に示す。横方向の寸法を減らすことにより、磁気層の接触面に現われる正及び負の静磁気電荷が生じ、2つの磁気層の磁化の平行配列を促進する静磁気結合が引き起こされる。
図4では、図3に関して記載したような磁気デバイスの横方向の寸法を減らす効果を説明し、曲線が、与えられた磁場に応じた磁化の変化を示す。この場合、上記に説明したように、静磁気相互作用の効果により、強磁性タイプの結合磁場が、中間層の両側に位置された磁気層間に現われる。
結果として、図4に示されるように、軟磁気層の磁化曲線(実線)が、負の磁場に向かうy軸上のゼロ磁場に対して変位させられる。この強磁性結合の効果により、2つの層の磁化が、できるだけ長く互いに平行なままである傾向がある。その結果、軟い層の磁化を逆にするために、図2の場合(抗電界Hc1と結合磁場Hcplの合計と等しい)よりも大きな大きさを有する磁場Hを与えることが必要となる。
さらに、図4の場合のように、この変位を引き起こす強磁性結合磁場が、軟磁気層の抗電界Hc1を上回る場合、中間の上向き−下向き及び下向き−上向き状態(図2の点2及び3)が、ゼロ磁場においてもはや安定ではなくなる。図4から明らかなように、書き込みヘッドによって生成されるような励起場に磁気デバイスをさらすことをいったん停止すると、それぞれ点1及び4に対応する2つの極度の上向き−上向き及び下向き−下向き状態のみが、安定であることが可能である。
結果として、このような磁気記録媒体を使用することにより、記録されることが出来る情報量が、図2に関して記載されたデバイスと比較して半分となる。
このようなスタックが、ゼロ磁場(上向き−上向き及び下向き−下向き)において安定である2つの磁気状態を有し、いずれも2つの磁気層の磁化の同じ相対配向に対応するため、これは、不揮発性メモリ又は論理ゲートのようなデバイス用の機能的な用途を有さず、これは、ゼロ磁場において安定である唯一の状態が、磁化が平行である(低抵抗状態)状況に対応する縮退状態でありうるためである。
磁場パルスを用いることにより反平行状態(高抵抗)にアクセスすることが可能となりうるが、いったん磁場パルスが衰え、不揮発性が失われると、この状態は、維持されなくなる。
米国特許第6727105号明細書 米国特許出願公開第2004/013880号明細書 仏国特許出願公開第2859306号明細書
Systematic variation of the strength and oscillation period of indirect magnetic exchange coupling through the 3d, 4d, and 5d transition metals, S. S. P. Parkin et al, Physical Review Letters 67, 3598−3601 (1991) Interlayer magnetic coupling interactions of two ferromagnetic layers by spin polarized tunneling, J. Faure−Vincent et al, Physical Review Letters, Vol. 89, No. 10, 107206 (2002)
本発明の目的は、磁気層の平面に垂直な磁化を有する磁気層を備えた磁気デバイスを提案することであり、非磁気層の両側に位置されたこれらの磁気層の間の結合磁場が、軟磁気層の抗電界よりも弱いままである。
従って、本発明は、非磁気材料から形成された少なくとも1つの中間層によって分離された、磁気材料から形成された少なくとも2つの層を備えた磁気デバイスに関する。
本発明によると、磁気材料から形成された層のそれぞれが、層の平面に実質的に垂直に配向された磁化を有する。さらに、非磁気材料から形成された層が、当該材料及びその厚さに依存して、磁気材料から形成されたこれらの層の間に反強磁性結合磁場を生じさせることが可能であり、分離層の両側の接触面が特定の表面粗度を有する及び/又はデバイスの横方向の寸法が減らされる場合に、それらの間に生成される強磁性結合磁場の効果を弱める。
換言すると、反強磁性結合効果が、磁気層の間に生じる強磁性相互作用を妨害する。従って、この付加的な結合磁場の大きさが適切である場合、中間層の両側に位置された磁気材料から形成された層が、実質的に又は完全に磁気的に互いに独立する。従って、異なる磁気相互作用が、互いに相殺される。
実際には、中間層が、ルテニウム(Ru)、クロム(Cr)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、バナジウム(V)、ニオビウム(Nb)、又はシリコン、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、タンタル、クロム、ルテニウム若しくはアルミニウム酸化物を含む群から選択された絶縁合金さえも含む群から選択された材料から構成され、又は、より一般的に言えば、文献において、この非磁気層の厚さに応じた大きさを有する反強磁性結合磁場を生じさせることが可能であるとされているいずれの材料から構成され、静磁気結合磁場の大きさと同じ桁の値がセットされることが可能であり、この結果、前記磁気独立性を達成する。
実際には、中間層が、0.2nmから10nmの厚さを有してよい。
“厚さ”という用語は、様々な層が積層される方向、すなわち、層の平面に垂直な方向における寸法を意味する。この方法で構造化された中間層が、このような中間層の両側に位置された磁気層の間に生じる強磁性結合の全体又は一部を相殺することが可能な反強磁性結合を促進する。
実際には、層の平面に平行な平面で定義されたこの磁気デバイスの横方向の寸法が、通常、10μm未満である場合、磁気層の間に存在する強磁性結合磁場が、相対的に強いが、これが、非磁気材料から形成された中間層を介して生じる反強磁性結合磁場によって、相殺されることが出来る。
本発明の1つの実施形態によると、強磁性及び反強磁性結合磁場の合力を、軟磁気層の抗電界よりも弱くすることが出来る。
換言すると、磁気デバイスが、ゼロ励起場にさらされた場合に、4つの安定状態をなお有するように、硬及び軟磁気層の磁化曲線が、過度に変位されない。
事実上、反強磁性結合磁場の強度が、少なくとも部分的に、磁気材料から形成される層の間の静磁気相互作用及び前記接触面のレベルで生じる強磁性相互作用の結果として生じる強磁性結合磁場の強度を相殺してよく、これらの結合磁場の合力が、軟磁気層の抗電界よりも弱くなる。
従って、表面粗度及び横方向の寸法の小ささにより、様々な電場、相互作用によって生じる効果の少なくとも部分的な相互の相殺が達成される。従って、外部磁場が存在しない場合には、磁気層の間の相互作用により、決定された反強磁性結合が、強磁性結合の効果を実質的に弱め、相対磁化配向の2つの状態(平行及び反平行)を安定化することが可能となる。
本発明の他の実用的な実施形態によると、この反強磁性結合磁場の強度及び配向が、ほぼ正確に、静磁気相互作用の結果として生じる強磁性結合磁場の強度を相殺してよく、このような相殺の結果生じる結合磁場が、軟磁気層の抗電界の、少なくとも10分の1以下の弱さである。
従って、決定された反強磁性結合により、磁気層の間の強磁性結合効果を抑えることが可能となり、非磁気中間層の両側に位置された磁気層を完全に磁気的に独立させる。
本発明の1つの特定の実施形態によると、磁気材料から形成された層が、第一に、鉄、コバルト及びニッケルを含む群から選択された材料から構成された合金、第二に、白金、パラジウム、銅又はランタニド系列若しくは磁気転移金属族に属する1つ以上の元素を含む群から選択された材料、から形成された複数の層を含んでよく、層の平面に実質的に垂直に配向された磁化を有する。
この方法で構造化された磁気層が、磁気デバイスが現在達成可能である磁気励起場に反応するためには十分に弱いが、弱い又はゼロ励起場に対して安定状態を有するためには十分に高い抗電界を有する。
実際には、付加的な層が、中間層と少なくとも1つの磁気材料の層との間に挿入されることが可能であり、この層は薄く、通常、1nm未満の厚さを有し、磁気材料から形成される前記層の垂直磁気異方性を高めることが出来る白金又はパラジウムのような材料から構成される。
本発明の1つの特定の実施形態によると、磁気デバイスが、非磁気材料の前記層の両側の磁気材料のそれぞれの2つの層及び4つの層によって形成された多層構造を含んでよく、磁気材料から形成された層の残留磁化が、ゼロ励起場において、それぞれ、上向き−上向き、上向き−下向き、下向き−上向き及び下向き−下向きである4つの安定状態を有するように、磁気層が、異なる磁気硬度を有する。
従って、非磁気中間層の両側に位置された磁気多層構造が、磁気的に相互に独立しているため、このような磁気デバイスが、ゼロ励起場において、少なくとも4つの安定状態を有する。
本発明のこの特定の実施形態の1つの実用的な実装によると、磁気デバイスの連続する層が、
−4つの0.6nmのコバルト層と結合させる、交互に連続した4つの1.8nmの白金層、
−1nmの非磁気ルテニウム層、
−2つの1.8nmの白金層と結合させる、交互に連続した2つの0.6nmのコバルト層から構成されてよい。
また、本発明は、ランダムアクセス磁気メモリ、マルチ(multi)−抗電界を有する磁気記録媒体、又は上記のような磁気デバイスを含むリプログラマブル論理ゲートに関する。
従って、このようなデバイスを、接触面の表面粗度又は大きさを減らすようなことの結果として生じる静磁気磁場によってそれらの配向を乱すことなく、従来技術による同様なデバイスと比較してそれらの小型化することが可能である、極めてコンパクトなものにすることが出来る。さらに、磁気層の磁化ループの安定状態が、安定性を高め、これにより、これらのデバイスが、共通の磁気の乱れにほとんど反応しないようにする。
2つの棒磁石の間における相互作用の略図である。この図が、この技術の従来の状況を参照してすでに記載されている。 2つの棒磁石の間における相互作用の略図である。この図が、この技術の従来の状況を参照してすでに記載されている。 従来技術による磁気デバイスの磁化曲線の概略図である。この図も、この技術の従来の状況を参照してすでに記載されている。 非磁気中間層によって分離された2つの積層磁気層の概略図である。この図も、この技術の従来の状況を参照してすでに記載されている。 従来技術による磁気デバイスの磁化曲線の概略図である。この図も、この技術の従来の状況を参照してすでに記載されている。 横方向の寸法が大きな磁気デバイスの磁化曲線の概略図である。 本発明による磁気デバイスの磁化曲線の概略図である。 本発明による6つのMRAMセルのアセンブリの概略図である。 非磁気中間層の厚さの関数として、磁気的な軟い層上の磁気的に硬い層によって放射された磁場の変化を示すグラフである。
本発明が実施されうる方法及びその結果として生じる利点が、添付の図面を参照し、単に例示を目的として与えられる以下の実施形態の記載から、より容易に理解出来るものになるだろう。
上記の磁気相互作用のタイプの中で、研究により、特に、非磁気金属中間層によって分離された2つの薄い磁気層の間に生じる結合のタイプが明らかにされてきた(非特許文献1)。これは、RKKY結合(研究者Ruderman, Kittel, Kasuya and Yosidaにちなんで名付けられた)を含む。
このRKKY結合が、中間層の両側に位置された磁気層の磁化の平行配列又は反平行配列を促進することが可能であり、中間層の特性及び厚さに依存する。これらの磁化の配列が、非磁気金属材料の特性及び、小さいままでなければならないもののその厚さによって決定される。さらに、このRKKY結合が、本質的に、積層された層の横方向の寸法に依存しない。
また、他のタイプの間接反強磁性結合が、金属酸化物をベースとした分離層に対して明らかにされてきた。これは、特に、マグネシウム酸化物MgOをベースとした磁気トンネル接合に適応される(非特許文献2)。
図5は、横方向の寸法が大きな磁気デバイスの場合に観察されることが出来る磁気曲線を示す。この磁気デバイスが、図2に関連して記載されたスタックを構成するそれに相当する2つの積層された磁気層から構成される。その一方、これらの磁気多層構造を分離する非磁気中間層を形成する材料及びその厚さが、これらの磁気層の間に反強磁性結合磁場を生成するように選択され、この場合、1nmの厚さのルテニウム層である。
従って、磁気層を備えたこのデバイスの典型的なスタックが、
−4つの0.6nmのコバルト層と結合させる、交互に連続した4つの1.8nmの白金層、
−1nmの非磁気ルテニウム層、
−2つの1.8nmの白金層と結合させる、交互に連続した2つの0.6nmのコバルト層から構成される。
さらに、この磁気デバイスの横方向の寸法が、十分に大きい場合、層によって放射された磁場による静磁気結合磁場及び接触面における表面粗度によって生じる強磁性結合磁場の合計が、反強磁性結合磁場の値と比較してわずかなものになる(数桁分小さい)。これが、軟磁気層の磁化曲線のさらに正の磁場の値に向かう変位を生じることになる(図5の実線)。
従って、図4に示された場合とは対照的に、この磁気状態が、反強磁性結合の優位性によって促されるため、中間層の両側に位置された2つの磁気層の磁化が、出来る限り長く、互いに反平行のままである傾向がある。その結果、軟い層の磁化の逆転が、図2の場合よりも弱い与えられた磁場(実際には、抗電界Hc1と結合磁場Hcplとの間の差である)によって生じることになる。
この方法で構造化された磁気デバイスが、マルチ−抗電界記録媒体を形成するために使用される場合、図5に示されるように、ゼロ磁場における安定記憶状態が、上向き−下向き及び下向き−上向き(点2及び3)であり、一方、磁気デバイスがゼロ励起場にさらされた場合、極端な上向き−上向き及び下向き−下向き状態(点1及び4)は、もはや安定ではない。類推すると、“不揮発性メモリ”又は“論理ゲート”タイプのアプリケーションに対し、この結果、ゼロ磁場における唯一の安定状態は、図4に関して記載された場合とは対照的に、磁化が反平行である状態(高−抵抗状態)である。
一方、図6に示された本発明による磁気デバイスが、ゼロ磁場における4つの安定状態を有する。そのスタック構造は、その磁気ヒステリシスループが図5に示されるデバイスのそれと同様である。しかしながら、図6に示される磁気デバイスでは、静磁気相互作用、及び表面粗度による相互作用により、非磁気中間層の両側に位置された磁気多層構造間の強磁性結合磁場を生じるように、本発明の1つの実施形態に従い横方向の寸法が減らされている。
この場合、ルテニウム中間層による反強磁性結合磁場の効果と、この強磁性結合磁場の効果とが互いに相殺し、これが、軟磁気層の磁化ループを“再中央化(re−centers)”する。“再中央化”という用語は、磁気ヒステリシスループのゼロ磁場(H=0kOe)に関して対称な位置への変位を示すために使用される。
結果として、2つの極端な状態(点1及び4)が、ゼロ励起場において再度安定化する。この磁気デバイスが、いずれの励起場にさらされない場合、4つの安定状態(1、2、3及び4)を有するように、2つの中間の状態(点2及び3)が、安定なままである。
縮退状態のみが、“不揮発性メモリ”又は“論理ゲート”タイプのアプリケーションに関連する。従って、ゼロ磁場において、2つの磁気層の平行及び反平行磁化方向にそれぞれ対応する2つの縮退状態(1、4)及び(2、3)を再度安定化する。
従って、このような磁気デバイスが、極めて小型であり、比較的磁気の乱れに影響を受けないという利点を有する。さらに、磁気層の磁化が、層の平面に垂直であるので、平面磁化を備えた構造において潜在的に制限される寸法よりも小さな寸法にまでデバイスを小型化することが可能になる。実際には、垂直磁化を有する層の場合、超常磁性の限界が、平面磁化を有する層を使用するシステムと比較して小さな寸法の方へ押し戻される。
これらの事実から考えると、本発明による磁気デバイスの構造に関して、多数の変化形を得ることが可能であることに注目すべきである。そして、磁気デバイスの適切な特徴の選択が、所望の用途及び性能によって決まる。
従って、例えば、図7は、本発明による6つのMRAMセルのアセンブリを図式的に示す。磁気トンネル接合の構成は、通常、PtMn/Co/(Pt 1.5nm/Co 0.6nm)/MgO 0.7nm/(Co 0.6nm/Pt 1.5nm)である。2つの多層構造(Co/Pt)の磁化が、層の平面に関し垂直に配向される。MgO酸化物バリアの厚さが、2つの磁気多層構造の磁化の間の反平行結合が存在するように選択され、この結合が、これらの2つの多層構造の間の静磁気結合を相殺する。
下部電極(参照層)の磁化が、有利に、例えばPtMnから形成される隣接する反強磁性層によって支持されてよい。上部多層構造(貯蔵層)の磁化が、上向き又は下向きのいずれかに配向されてよい。トンネル接合が、2つの多層構造の磁化が、平行か、又は反平行かによって決まる2つの異なる電気抵抗レベルを有する(トンネル磁気抵抗)。
3つの電流パルス:1)アドレスされた接合の上に位置されたビットラインにおける電流パルスであって、貯蔵層のレベルにおける層の平面に平行な電場を生成する電流パルス、2)及び3)接合の両側に位置された2つのワードラインにおける反対方向の2つの電流パルスであって、これらの2つのラインにおける電流の方向によって決まる上向き又は下向きの面外の電場を生成するためのものである電流パルスを組み合わせることによってデータが書き込まれる。Stoner−Wolfarthアステロイドに対するものと同じ方法において、平面磁場と面外の磁場を組み合わせることにより、このタイプのメモリにおける書き込み選択性を得ることが可能になる。
アドレスされた接合と直列に接続された選択トランジスタをターンオンすることによりデータが読み出される。接合を通して流れる電流により、電気抵抗レベルを決定することが可能となり、これから、接合の磁場配位を推測することが可能となる。
本発明による磁気デバイスの実施に左右するパラメータ(材料、厚さ及び横方向の寸法)の選択を容易にするノモグラフを準備するために、比較的に直接的な実験が、使用されることが出来る。
例えば、図8におけるダイアグラムが、100nm×100nmの横方向の寸法を有する立方体の磁気セルに対し、硬い及び軟い層を分離する非磁気中間層の厚さeの関数として、軟磁気層上の硬い磁気層によって放射された磁場B(層の平面に垂直な方向における)の変化を示す。
この場合、中間層を形成する材料が、ルテニウムであり、その厚さeが、0.2nmから5nmで変化する。図7における曲線が示すように、中間層の厚さeを減らした場合、層の間に放射された磁場B、すなわち、強磁性結合磁場が、おおげさなほどに増加する。我々の場合、放射された磁場が、任意単位で表現され、5nmの厚さに対して1の値が正規化されている。
同様に、中間層の厚さeの関数として、間接結合磁場の値の変化を測定することが出来る。次に、得られた2つの曲線を重ね合わせることにより、強磁性及び反強磁性磁場が互いに相殺する場合の最適な厚さを決定することが出来、この結果、その後磁気的に独立することになる磁気層間の結合を相殺する。
本発明による磁気デバイスを生成するために、積層された磁気及び非磁気層を製造する従来の技術が、使用されることが出来る。様々な層の堆積物を得るために、陰極スパッタリング又は蒸着を使用することが出来る。多層構造を構成するいくつかの層を成長させるために、エピタキシーが使用されることが出来る。
他の方法による本発明の実施が、それによって本発明の範囲を逸脱することなく可能である。
1 上向きの“硬い”層の磁化に対する、上向きの“軟い”磁気層の磁化
2 上向きの“硬い”層の磁化に対する、下向きの“軟い”磁気層の磁化
3 下向きの“硬い”層の磁化に対する、上向きの“軟い”磁気層の磁化
4 下向きの“硬い”層の磁化に対する、下向きの“軟い”磁気層の磁化

Claims (13)

  1. 非磁気材料から形成された少なくとも1つの中間層によって分離された磁気材料から形成された少なくとも2つの層を備えた磁気デバイスであって、
    磁気材料から形成された前記層のそれぞれが、前記層の平面に実質的に垂直に配向された磁化を有し、
    非磁気材料から形成された前記層が、磁気材料から形成された前記層の間に反強磁性結合磁場を生じることが可能であり、この磁場の方向及び大きさにより、前記磁気層の間に生じる静磁気源の強磁性結合磁場の効果を弱めることが可能であり、
    及び、非磁気材料から形成された前記層が、ルテニウム、クロム、金、銀、バナジウム、ニオビウム、又はシリコン、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、タンタル、クロム、ルテニウム若しくはアルミニウム酸化物を含む群から選択された絶縁合金を含む群から選択された材料から構成され、より一般的に言えば、前記磁気独立性を生成する反強磁性結合磁場を生じるように、前記磁気層の間に反強磁性結合を生じることが出来るとされているいずれの材料から構成されるという特徴を有する磁気デバイス。
  2. 前記層の平面に平行な平面に定義されたその横方向の寸法が、10μm未満であることを特徴とする請求項1に記載の磁気デバイス。
  3. いずれの外部磁場も存在しない場合において、前記磁気層の2つの相対磁化配向(平行及び反平行)が安定であるように、前記強磁性及び反強磁性結合磁場の合力が、磁気材料から形成された前記層の抗電界の弱さよりもさらに弱いことを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気デバイス。
  4. 前記強磁性及び反強磁性結合磁場の合力が、磁気材料から形成された前記層の抗電界の弱さの少なくとも1/10以下の弱さであることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気デバイス。
  5. 前記中間層が、0.2nmから10nmの厚さを有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の磁気デバイス。
  6. 前記層の平面に実質的に垂直に配向された磁化を得るように、磁気材料から形成された前記層が、第一に、純元素、合金、又は鉄、コバルト及びニッケルを含む群から選択された材料から構成された複数の層、第二に、白金、パラジウム、銅又はランタニド系列若しくは磁気転移金属族に属する元素を含む群から選択された材料、を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の磁気デバイス。
  7. 付加的な層が、前記中間層と磁気材料から形成された少なくとも1つの前記層との間に挿入され、白金又はパラジウムのような材料から構成された前記層が、磁気材料から形成された前記層の垂直磁気異方性を高めることが出来ることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の磁気デバイス。
  8. 磁気材料から形成された前記層の残留磁化が、ゼロ励起場において4つの安定状態、それぞれ、上向き−上向き、上向き−下向き、下向き−上向き及び下向き−下向きを有するように、磁気材料から形成された前記層が、異なる全磁化及び異なる磁気硬度を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の磁気デバイス。
  9. その連続する層が、
    −一般式(Pt/Co)を有する磁気白金/コバルト多層構造
    −約1nmの非磁気ルテニウム層、
    −一般式(Co/Pt)を有する磁気コバルト/白金多層構造から構成され、繰り返し数n及びmが異なることを特徴とする請求項8に記載の磁気デバイス。
  10. 請求項1から9のいずれか一項に記載の磁気デバイスを含むマルチ−抗電界磁気記録媒体。
  11. 請求項1から9のいずれか一項に記載の磁気デバイスを含むスピンバルブ又は磁気トンネル接合。
  12. 請求項11に記載の磁気デバイスを含むランダムアクセス磁気メモリ。
  13. 請求項11に記載の磁気デバイスを含むリプログラマブル論理ゲート。
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