図面の説明
図1はプラスミドpHPLT-ASP-C1-2の地図である。
図2はプラスミドpXX-KpnIの地図である。
図3はプラスミドpHPLTの地図である。
図4はプラスミドpUC18の地図である。
図5はプラスミドpUC18-ASPの地図である。
図6はHEPES緩衝液のない条件で行ったターゴットメーター(tergotometer)試験の結果を示す表である(酵素量は0.55ppm)。
図7はHEPES緩衝液の存在下で行ったターゴットメーター(tergotometer)試験の結果を示す表である(酵素量は0.55ppm)。発明の説明
本願発明は、多数の置換を受けた新規のミクロコッカス種(Micrococcineae spp)セリンプロテアーゼを提供する。特に、本願発明は、多数の置換を受けたセリンプロテアーゼ、これらのプロテアーゼをコードするDNA、これらのプロテアーゼをコードするDNAを含むベクター、このベクターDNAにより形質転換された宿主細胞、この宿主細胞により産生される酵素を提供する。本願発明はまた、これらのセリンプロテアーゼ変異種を含む洗浄剤組成物(例.洗剤組成物)、動物飼料組成物、布地及び皮革の処理剤組成物も提供する。特に、好ましい実施態様では、本願発明は、本明細書に記載の野生型プロテアーゼ由来の突然変異(つまり、変異種)プロテアーゼを提供する。これらの変異プロテアーゼは、また多くの用途がある。
本願発明は多数の置換を受けている変異したプロテアーゼ酵素を提供する。これらの変異酵素が安定性が高く、タンパク質分解活性を有していることは重要である。これらの変異種の酵素は洗浄剤組成物、動物飼料、布地処理等を非限定的に含む、種々の用途がある。本願発明は、またこれらの酵素を産生する手段も提供する。いくつかの好ましい実施態様では、本願発明のこの変異プロテアーゼは純粋な又は比較的純粋なものである。
本願発明はまた、組換え生物中に本願発明の変異プロテアーゼを産生するに適したヌクレオチド配列も提供する。いくつかの実施態様では、組換え体の調製は、商業的利用が可能な数量で変異種プロテアーゼを生産する手段を与える。
別途記載が無い限り、本願発明の実施は、分子生物学、微生物学及び組換えDNAで普通に使用されている従来の技術であり、本願技術分野に含まれる技術を用いている。そのような技術は本願技術分野の技術者に知られ、多くのテキストや参考文献に記載されている(例えば、Sambrookら、”Molecular Cloning: A Laboratory Manual”、第2版(Cold Spring Harbor)、[1989]);及びAusubelら”Current Protocols in Molecular Biology”[1987]引用)。本明細書に記載した全ての特許、特許出願、論文及び出版物は、既述の又はこれ以降に記載するもの両者ともに、引用により本明細書に明確に組み入れられる。
本明細書で別途記載が無い限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本願発明が属する技術分野の通常の技術をもつ者により一般的に理解されているのと同一の意味をもつ。例えば、SingletonとSainsbury、Dictionary of Microbiology and Molecular biology、第2版、John Wiley and Sons, NY (1994);HaleとMarham、The Harper Collins Dictionary of Biology, Harper Perennial, NY (1991)は本発明で使用される用語の多くに関する一般的な辞書を本願技術分野の技術者に提供するものである。本明細書記載されたものに類似するまたは同等の方法や材料は本願発明の実施に用いることができるが、好ましい方法と材料は本明細書に記載されている。従って、直ぐ後に定義される用語は、全体として本明細書を参照することにより、より十分に明らかにされる。また、本明細書では、単数で記載されていても、文脈が明らかに単数を示す場合のほかは、複数のものを示す。数値の範囲はその範囲を定義する数字を含む。別途記載が無い限り、核酸は、左から右へ、5’から3’の方向へ、アミノ酸配列は左から右へ、アミノ基からカルボキシ基の方向へそれぞれ記載されている。本発明は、記載されている特定の方法論、実験手順及び試薬に限定されず、これらのものが本願発明分野の技術者により、使用される状況により変わり得ることを理解すべきである。
本願発明の実施は、別途記載が無い限り、タンパク質の精製、分子生物学、微生物学、組換えDNA技術及びタンパク質のアミノ酸配列決定を用いるが、これらは全て本願技術分野の技術に属する。
さらに、本願明細書に記載された見出しは、全体として本明細書を参照することにより得られる発明の種々の側面又は実施態様を限定するものではない。従って、直ぐ後に定義される用語は全体として明細書を参照することにより十分に定義される。それにもかかわらず、本発明の理解を促進するために、多くの用語が下記に定義される。米国特許出願Ser. No. 10/576,331に与えられている定義も加えられる。これらの出願は引用により全体が組み入れられる。
1. 定義
本明細書に使用する場合、用語「プロテアーゼ」と「タンパク質分解活性」はペプチド又はペプチド結合をもつ基質を加水分解する能力を示すタンパク質又はペプチドをいう。タンパク質分解活性を測定するために多くの良く知られた方法がある(Kalisz, “Microbial Proteinases” In :Fiechter (編)、Advanced in Biochemical Engineering/Biotechnology[1988])。例えば、タンパク質分解活性は市販されている基質を加水分解するそれぞれのプロテアーゼの能力を分析する比較分析により確認しても良い。プロテアーゼまたはタンパク質分解活性の分析に有用な基質の例は、ジメチルカゼイン(di-methyl casein(Sigma C-9801)、ウシのコラーゲン(Sigma C-9879)、ウシエラスチン(Sigma E-1625)及びウシのケラチン(ICN Biomedical 902111)があるが、これらに限定されない。これらの基質を利用する色度分析(colorimetric assys)は本願技術分野で良く知られている(例えば、WO99/34011及び米国特許第6,376,450号参照。両者は引用により本明細書に組み入れられる。)。pNA分析(例えば、Del Mar ら、Anal Biochem.,99:316-320[1979]参照)は、グラジエント溶出(gradient elution)により収集された分画の活性酵素濃度を決定する際にも用いられる。この分析法は、酵素が可溶性の合成基質、コハク酸−アラニン−アラニン−プロリン−フェニルアラニン−p-ニトロアニリド(sAAPF-pNA)を加水分解するときにp-ニトロアニリンが遊離される速度を測定する。加水分解反応から黄色の生成速度は、分光光度計で410nmで測定され、かつ活性な酵素濃度に比例する。加えて、280nmでの吸光度測定は総タンパク質濃度を決定するために使用できる。活性酵素/総タンパク質比は酵素純度を与える。
本明細書で使用されているように、用語「ASPプロテアーゼ」、「Aspプロテアーゼ」と「Asp」は本明細書に記載のセリンプロテアーゼをいう。いくつかの好ましい実施態様では、Aspプロテアーゼは本明細書では、セルロモナス株 (Cellulomonas) 69B4から得られる69B4プロテアーゼとして意図されているプロテアーゼである。つまり、好ましい実施態様では、用語「69B4プロテアーゼ」は、SEQID NO:8 で与えられているものと実質的に同一のアミノ酸配列をもつセルロモナス株(Cellulomonas 株)69B4(DSM 16035)由来の天然の成熟したプロテアーゼをいう。別の実施態様では、本願発明は、ASPプロテアーゼの一部分を与える。
用語「セルロモナスプロテアーゼ相同体(homologue)」は、セルロモナス株69B4由来の成熟したプロテアーゼと実質的に同一のアミノ酸配列をもつ天然のプロテアーゼ、またはそのような天然のプロテアーゼをコードしたポリヌクレオチド配列であって、そのプロテアーゼがそのような核酸によりコードされたセリンプロテアーゼの機能的特徴を保持しているものをいう。いくつかの実施態様では、これらのプロテアーゼ相同体は「セルロモナディンス(cellulomonadins)」といわれている。
本明細書で使用する場合、用語「プロテアーゼ変異種」、「ASP変異種」、「ASPプロテアーゼ変異種」及び「69Bプロテアーゼ変異種」は、野生型のASPと、特にその機能において類似し、しかし野生型のプロテアーゼと配列を異なったものにするアミノ酸配列の突然変異(つまり、置換)をもつプロテアーゼに関して使用されている。置換を確認されたアミノ酸残基のいくつかは保存された残基であるが、他は保存された残基ではない。いくつかの実施態様では、本願発明のこのプロテアーゼ変異種は、プロテアーゼ変異種の成熟したものを含み、他の実施態様では、本願発明はそのようなプロテアーゼ変異種の代替種(pro-forms)または代替種の前駆体(prepro-forms)を提供する。
本明細書では、「セルロモナス種(Cellulomonas ssp)」は、放線細菌綱(Class Actinobacteria)、放線菌目(Order Actinomycetales)、ミクロコッカス亜目(Suborder Micrococcineae)、セルロモナス科(Family Cellulomonadaceae)として分類されるグラム陽性菌である、セルロモナス(Cellulomonas)属に属する種の全てをいう。セルロモナス属は分類学の再編成を継続して受けていることが知られている。よって、この属は、再編成された種を含むことが予定されている。
本明細書では「ストレプトマイセス種(Streptomyces ssp)」は、放線細菌綱(Class Actinobacteria)、放線菌目(Order Actinomycetales)、ストレプトマイセス亜目(Suborder Streptomycineae)、ストレプトマイセス科(Family Streptomycetaceae)として分類されるグラム陽性菌である、「ストレプトマイセス」属に属する種の全てをいう。ストレプトマイセス属は分類学の再編成を継続して受けていることが知られている。よって、この属は、再編成された種を含むことが予定されている。
本明細書では、「バシラス属(genus Bacillus)」は、「バシラス属(genus Bacillus)」に属する全ての種を含み、本願技術分野の技術者に知られているところでは、B.スブチリス(B.subtilis)、B. リケニフォルミス(B.licheniformis)、B.レンタス(B.lentus)、B.ブレビス(B.brevis)、B.ステアロテルモフィラス(B.stearothermophilus)、B.アルカロフィラス(B.alkaophilus)、B.アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)、B.クラウシ(B.clausii)、B.ハロデュランス(B.halodurans)、B.メガテリウム(B.megaterium)、B.コアグランス(B.coagulans)、B.サーキュランス(B.circulans)、B.ラウタス(B.lautus)及びB.スリンギエンシス(B. thuringiensis)が含まれるが、これらに限定されない。バシラス属(genus Bacillus)は、分類学の再編成を継続して受けていることが知られている。よって、この属は、現在、「ゲオバシラス ステアロテルモフィラス(Geobacillus stearothermophilus)」と命名されているB.ステアロテルモフィラス(B.stearothermophilus)のような生物種を非限定的に含む再編成された種を含むことが予定されている。酸素存在下で耐性をもつ内胞子の産生、この特徴は、最近命名された、アリシクロバシラス(Alicyclobacillus)、アンフィバシラス(Amphibacillus)、アネウリニバシラス(Aneurinibacillus)、アノキシバシラス(Anoxybacillus)、ブレビバシラス(Brevibacillus)、フィロバシラス(Filobacillus)、グラシリバシラス(Gracilibacillus)、ハロバシラス(Halobacillus)、パエニバシラス(Paenibacillus)、サリバシラス(Salibacillus)、テルモバシラス(Thermobacillus)、ウレバシラス(Urebacillus)及びビルギバシラス(Virgibacillus)にもあてはまるが、バシラス(Bacillus)属の特徴を定めるものと考えられている。
用語「ポリヌクレオチド」及び「核酸」は、本明細書では相互に入れ替えて使用されているが、どのような長さであれ、ヌクレオチドの重合体であり、リボヌククレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドのいずれかの重合体である。これらの用語は、単鎖の、二重鎖の、又は三重鎖DNA、ゲノムDNA、cDNA、RNA、DAN-RNAハイブリッド体、又はプリンとピリミジン塩基を含むポリマー又は他の天然の、化学的に、生化学的に修飾された、非天然型又は誘導体化されたヌクレオチド塩基を含むがこれらに限定されない。以下は、ポリヌクレオチドの非限定的な例である。:遺伝子、遺伝子断片、染色体断片、発現遺伝子標識群(EST)、エキソン、イントロン、mRNA、tRNA、rRNA、リボゾーム、cDNA、組換ポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、いずれかの配列の単離されたDNA、いずれかの配列の単離されたRNA、核酸プローブ及びプライマー。いくつかの実施態様では、ポリヌクレオチドは修飾されたヌクレオチドを含む。例えば、メチル化されたヌクレオチド及びヌクレオチド類似化合物、ウラシル、他の糖及びフッ化リボースとチオエート(thioate)のような結合基を含む。別の実施態様では、ヌクレオチドの配列はヌクレオチドではない成分により中断される。
本明細書では、用語「遺伝子」は、ポリヌクレオチド(例.DNA断片)をいい、ポリペプチドをコード化し、個々のコード領域(エキソン)の間の介在配列(イントロン)のほか、コード領域の前と後ろの領域を含む。
本明細書では、「相同遺伝子」は、異なってはいるが、しかし通常類縁の種由来の遺伝子の組(pair)をいう。これらは、互いに対応し、互いに同一、又は非常に類似している。この用語は、遺伝子重複により分離された遺伝子(例.パラロガス遺伝子)のほか、分化(つまり、新しい種の出現)(例.オルソロガス遺伝子)により分離された遺伝子を含む。
本明細書では、「相同性」は、配列の類似又は同一をいい、同一であることが好まれる。この相同性は本願技術分野で知られている標準的技術を用いて決定される。(例えば、Smith及びWaterman、Adv. Appl. Math., 2:482[1981]; Needleman and Wunsch, J.Mol.Biol., 48, 443[1970];Pearson and Lipman, Proc. Natl. Acad Sci. USA 85:2444[1988];プログラム、例えば、ウィスコンシン遺伝子学ソフトウェアパッケージ(Genetics Computer Group, Madison, WI)のGAP、BESTFIT、FASTA及びTFASTA.,また、DevereuxらNucl.Acid Res., 12: 387-395[1984]参照)
本明細書では、「相同配列」は、遺伝子の機能がセルロモナス株(Cellulomonas strain)69B4 プロテアーゼに基づく遺伝子と本質的に同一であるものである。加えて、相同遺伝子は、少なくとも45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%又は100%、セルロモナス株(Cellulomonas strain)69B4 プロテアーゼの配列と同一の配列を含む。または、相同配列は、セルロモナス株(Cellulomonas strain)69B4 プロテアーゼ領域に見出される遺伝子の70から100%の一致度(alignment)をもち、及び/またはセルロモナス株(Cellulomonas strain)69B4 染色体の遺伝子と一致する領域において少なくとも5−10の遺伝子を有する。他の実施態様では上記の性質のうち1より多くがこの配列にあてはまる。相同配列は、既知の配列一致法(sequence alignment)により決定される。上記及び下記のとおり、配列を一致させる際に用いられる他の方法もあるが、一般に用いられる一致法は、BLASTである。
本明細書では、「組換え体」は、異種の核酸配列の導入により修飾された、細胞又はベクターをいい、又は、そのように修飾を受けた細胞に由来する細胞である。つまり、例えば、組換え細胞は、その細胞の本来(非組み換え体)の細胞内に同一の形で見出されない遺伝子を発現するかまたは、意図的なヒトの介入の結果、介入のない場合なら異常な場合に発現される本来の遺伝子を、発現しまたは完全に非発現とする。「組換え」、(recombination,recombining)及び「組み換えられた」核酸の作製は一般的に2以上の核酸断片を組み合わせることであり、この組合せによりキメラ遺伝子が生じる。
好ましい実施態様では、突然変異DNA配列群は少なくとも1コドンでのサイトサチュレーション(site saturation) 突然変異により生じる。別の好ましい実施態様では、サイトサチュレーション突然変異は2以上のコドンについて行われる。他の実施態様では、突然変異DNA配列は50%より多く、55%より多く、60%より多く、65%より多く、70%より多く、75%より多く、80%より多く、85%より多く、90%より多く、95%より多く又は98%より多く野生型の配列と相同性をもつ。別の実施態様では、突然変異DNAは、例えば、照射、ニトロソグアニジンなどのいずれかの既知の突然変異発生方法を用いて生体内で生じる。所望のDNA配列はその後単離され、本明細書に記載の方法で使用される。
本明細書では「アミノ酸」はペプチドまたはタンパク質の配列または、その一部をいう。
本明細書では、「目的タンパク質」と「目的ポリペプチド」は、所望の及び/または評価を受けるタンパク質/ポリペプチドをいう。いくつかの実施態様では、目的タンパク質は、細胞内に発現し、一方他の実施態様では、それは分泌を受けるポリペプチドである。特に好ましい実施態様では、これらの酵素は本願発明のセリンプロテアーゼを含む。いくつかの実施態様では、目的タンパク質はシグナルペプチドに融合した(つまり、分泌を受けるタンパク質のアミノ基末端に結合する)分泌されるポリペプチドである。殆ど全ての分泌を受けるタンパク質は、前駆体タンパク質の膜の方への移動、透過において決定的な役割を果たすアミノ基末端へのタンパク質結合をもっている。この結合は膜透過の間、または直後にシグナルペプチダーゼによるタンパク質分解により除去される。
本明細書では、用語「異種タンパク質」は、宿主細胞で天然に存在しないタンパク質またはポリペプチドをいう。異種タンパク質の例は、プロテアーゼ等の加水分解酵素のような酵素を含む。いくつかの実施態様では、このタンパク質をコードしている遺伝子は、天然の遺伝子であるが、他方、他の実施態様では、突然変異を受けた及び/または合成遺伝子が使用される。
本明細書では、「相同タンパク質」は、細胞内に本来存在する、または天然に生じるタンパク質又はポリペプチドをいう。好ましい実施態様では、この細胞はグラム陽性細胞であり、特に好ましい実施態様では、この細胞はバシラス(Bacillus)宿主細胞である。別の実施態様では、相同タンパク質は、大腸菌(E.coli)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、トリコデルマ(Trichoderma)及びアスペルギルス(Aspergillus)を含む、しかしこれらに限定されない他の生物により産生される固有のタンパク質である。本願発明は組換えDNA技術を用いて相同タンパク質を産生する宿主細胞を含む。
用語「タンパク質」と「ポリペプチド」は、本明細書では相互に入れ替えて使用される。生化学の命名に関するIUPAC-IUB 共同委員会(IUPAC-IUB Joint Commission on Biochemical Nomenclature(JCBN))に従い定義されたアミノ酸を表す3文字のコードが本開示で用いられている。遺伝子コードの縮重によりポリペプチドは1より多いヌクレオチド配列によりコードできることが理解される。
「天然の酵素」は、自然に見出されるものと同一の非修飾アミノ酸配列をもつ酵素をいう。天然の酵素とは細胞本来の酵素を含み、これらの酵素は、個別の微生物に自然に発現され又は見出される。
用語「由来の」と「から得られる」は、問題の生物の株により産生される、または産生され得るプロテアーゼをいうばかりではなく、そのような株から単離されるDNA配列によりコードされたプロテアーゼ及びそのようなDNA配列を含む宿主生物内に産生されるプロテアーゼもいう。加えて、この用語は、合成の及び/またはcDNA起源のDNA配列によりコードされ、問題のプロテアーゼの同定のための特徴を有すプロテアーゼをいう。
例えば、「セルロモナス(Cellulomonas)由来のプロテアーゼ」は、セルロモナス(Cellulomonas)により天然に産生されるタンパク質分解活性をもつ酵素をいう。またセルロモナス (Cellulomonas) 源により産生されるものに類似のセリンプロテアーゼであるが、遺伝子工学の使用によりセリンプロテアーゼをコードする核酸により形質転換された非-セルロモナス生物により産生される酵素もいう。
本定義の範囲では「誘導体」は、この誘導体が野生型酵素、天然の酵素または元の酵素と同様に、類似の目的に有用である限度で、野生型酵素、天然の酵素又は元の酵素で観察される特徴的なタンパク質分解活性を保持している。セリンプロテアーゼの機能的誘導体は、天然の、合成のまたは組換え遺伝子により産生される本願発明のセリンプロテアーゼの一般的特徴をもつペプチド又はペプチド断片を含む。
用語「機能的誘導体」は、セリンプロテアーゼをコードした核酸の機能的特徴をもつ核酸の誘導体をいう。本願発明のセリンプロテアーゼをコードする核酸の機能的誘導体は天然の、合成の又は組換えにより作成された核酸または断片を含み、本願発明のセリンプロテアーゼの特徴をコードしている。本願発明によりセリンプロテアーゼをコードする野生型の核酸には、天然の対立遺伝子や、本願発明の技術分野で既知の遺伝子コードの縮重に基づく相同体を含む。
2個の核酸又はポリヌクレオチド配列について述べる場合、用語「同一」は、2個の配列において、以下の配列比較または分析アルゴリズムの一つを用いて評価するときに最大の一致が得えられるように位置合わせをしたとき同一である残基をいう。
用語「最適の位置合わせ」とは、最高のパーセント同一性スコアを与える位置合わせである。
2個のアミノ酸、ポリヌクレオチド、及び/又は遺伝子配列(適当な場合)に関し「パーセント配列同一性」、「パーセントアミノ酸配列同一性」「パーセント遺伝子配列同一性」及び/又は「パーセント核酸/ポリヌクレオチド配列同一性」とは、これら配列の最適の位置合わせをした場合に、この2個の配列において同一である残基のパーセンテージをいう。従って、80%アミノ酸配列同一性は2個の最適な位置合わせをされたポリペプチド配列において80%のアミノ酸が同一であることをいう。
2個の核酸又はポリペプチドについて述べる場合には、用語「実質的に同一」は、従って、標準パラメーターを使用して、プログラムまたはアルゴリズム(例.BLAST,ALIGN、CLUSTAL)を用いて対照配列と比較したとき、少なくとも70%の配列同一性、好ましくは少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%、好ましくは少なくとも99%の配列同一性を含むポリヌクレオチド、又はポリペプチドをいう。2個のポリペプチドが実質的に同一であることの指標は第1のポリペプチドが第2のポリペプチドと免疫学的に交叉反応をすることである。通常、保存アミノ酸置換により異なるポリペプチドは、免疫学的に交叉反応性である。よって、2個のペプチドが保存アミノ酸置換によってのみ異なる場合には、あるポリペプチドは第2のポリペプチドと実質的に同一である。2個の核酸配列が実質的に同一であることの別の指標は2個の分子が、厳格な条件(例えば、中程度から高い厳格さの範囲内)で互いにハイブリダイズすることである。
この文脈において用語「等価」は、中程度から最大の厳格な条件下、SEQ ID NO:1に示されるような配列をもつポリヌクレオチドにハイブリダイズできるポリヌクレオチドによりコードされたセリンプロテアーゼ酵素をいう。例えば、等価であるとは、等価な成熟したセリンプロテアーゼが、SEQID:8のアミノ酸配列をもつ成熟したセルロモナス(Cellulomonas)セリンプロテアーゼと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%及び/または少なくとも99%、同一な配列を含むことを意味する。
用語「単離された」または「精製された」とは、その元来の環境(例.それが、天然のものであるときは、自然環境)から取り出された物質をいう。例えば、物質が天然の又は野生型の生物に存在するときよりも高い濃度である組成物中に存在するとき、または天然のまたは野生型の生物から発現するときに正常には存在しない成分と組み合わされて存在するときは、「精製された」といわれる。例えば、生きている動物に存在する天然のポリヌクレオチドまたはポリペプチドは単離されていない。しかし自然体系において共存する物質のいくつか又は全てから分離された、同一のポリヌクレオチドまたはポリペプチドは単離されている。そのようなポリヌクレオチドは、ベクターの一部であり得、及び/またはそのようなポリヌクレオチドまたはポリペプチドは組成物の一部であり得、そしてそのようなベクターまたは組成物がその自然環境の一部でない点において、なお単離されているのである。好ましい実施態様では、例えば、電気泳動ゲルで本来1バンド又は1点を生じる場合、核酸又はタンパク質は精製されているといわれる。
用語「単離された」を、DNA配列に関して使用するときは、その自然の遺伝的環境から取り出され、従って他の余分なまたは望ましくないコード配列がなく、遺伝子工学的に調製されたタンパク質産生システム内での使用に適した形体のDNA配列をいう。このような単離された分子はその自然環境から分離された分子であって、cDNA及びゲノムのクローンを含む。本願発明の単離されたDNA分子は、DNA分子が元来連結していた他の遺伝子を含まず、しかし、天然の5’及び3’位のプロモーターとターミネーターのような翻訳を受けない領域を含んでも良い。連結した領域の特定は本願分野の通常の技術をもつ者には明らかであるだろう(Dynan及びTijan, Nature 316:774-78[1985]引用)。
用語「単離されたDNA配列」は、「クローン化されたDNA配列」と言い換えられる。
用語「単離された」は、タンパク質に関して使用される場合、その本来の環境とは異なる条件で見出されるタンパク質をいう。好ましい形体では、単離されたタンパク質は、実質的に他のタンパク質を含まず、特に他の相同タンパク質を含まない。単離されたタンパク質は、SDS-PAGEで測定するとき、純度は10%より高く、好ましくは純度は20%より高く、より好ましくは純度は30%より高い。本願発明の他の特徴は、SDS-PAGEで測定するとき、高い純度のタンパク質を含むことである(つまり、純度が40%より高い、60%より高い、80%より高い、90%より高い、95%より高い、97%より高い、乃至99%より高い)。
本明細書では、用語「組合せ突然変異誘発(combinatorial mutagenesis)」は、初期配列の変異種のライブラリーを作成する方法をいう。これらのライブラリーでは、変異種は、予め定めた組合せの突然変異から選ばれた1またはいくつかの突然変異(例.置換)を含む。さらに、この方法は予め定められた組の突然変異(例.置換)に属さない無作為な突然変異を導入する手段を与える。いくつかの実施態様では、この方法は、2000年10月26日付けの米国特許出願Ser.No.09/699.250に記載されたものを含み、これは本明細書に引用により組み入れる。別の実施態様では、組合せ突然変異誘発法は市販のキット(例.QuikChanger(登録商標)Multisite,Stratagene, San Diego,CA)を含む。
本明細書において、「突然変異種のライブラリー」はそのゲノムの大部分が同一だが、1以上の遺伝子について異なる相同体を含む細胞集団をいう。そのようなライブライーは、例えば、改良された特徴をもつ遺伝子またはオペロンを特定するために用いることができる。
本明細書において、用語「初期遺伝子(starting gene)」は、本願発明を用いて改良及び/又は変換される予定の目的タンパク質をコードする目的遺伝子をいう。
本明細書では、用語「多数配列アライメント(multiple sequence alignment)(MSA)」はアルゴリズム(例.Clustal W)を用いて位置合わせされた、初期遺伝子の多数の相同遺伝子の配列群をいう。
本明細書では、用語「コンセンサス配列(consensus sequence)」と「正統配列(canonical sequence)」は、目的とする個々のタンパク質または配列の全ての変異種を比較する対象となる原型アミノ酸配列をいう。この用語はまた、目的のDNA配列に最も頻繁に存在するヌクレオチドを決める配列をも意味する。遺伝子の各位置について、コンセンサス配列はMSAにおいてその位置で最も多く現れるアミノ酸を与える。
本明細書では、用語「コンセンサス突然変異」は、初期遺伝子の配列とコンセンサス配列の違いをいう。コンセンサス突然変異は、MSAから得られる初期遺伝子の配列とコンセンサス配列の比較により特定される。いくつかの実施態様では、コンセンサス突然変異は、コンセンサス配列に一層類似するように初期遺伝子に導入される。コンセンサス突然変異はまた、初期遺伝子のアミノ酸に替えて、初期遺伝子のアミノ酸の頻度と比較してその位置においてMSAでより頻繁に見出されるアミノ酸とするアミノ酸の変更も含む。つまり、用語コンセンサス突然変異は初期遺伝子のアミノ酸を、MSAにおいてそのアミノ酸よりも頻繁に現れるアミノ酸と置換する全ての単一のアミノ酸の変更を含む。
本明細書では、用語「イニシャルヒット(initial hit)」は、組合せコンセンサス突然変異ライブラリーをスクリーニングすることにより特定された変異種をいう。好ましい実施態様では、イニシャルヒットは、初期遺伝子と比較して改良された性能をもつ。
本明細書では、用語「改良ヒット(improved hit)」は、精度を高めた組合せコンセンサス突然変異ライブラリーをスクリーニングすることにより特定された変異種をいう。
本明細書では、用語「改良突然変異」及び「性能改良突然変異」(「改良置換」及び「性能改良置換」)は、初期遺伝子へ導入されたときに改良された性能を与える突然変異(例.置換)をいう。いくつかの好ましい実施態様では、これらの突然変異(例.置換)は、本方法のスクリーニングの段階で、選ばれた配列により特定される。大部分の実施態様では、スクリーニングにより選ばれた配列(hit)でより頻繁に見出される突然変異(例.置換)は、スクリーニングされていない組合せコンセンサス突然変異ライブラリーと比較したとき、改良的な突然変異(例.置換)である可能性がある。
本明細書では、用語「精度を高めた組合せコンセンサス突然変異ライブラリー」は、CCM突然変異及びスクリーニングの初期段階のスクリーニング及び/又は配列決定の結果に基づいて設計、構築されたCCMライブラリーをいう。いくつかの実施態様では、精度を高めたCCMライブラリーは、CCMの初期段階から得られたイニシャルヒットの配列に基づいている。他の実施態様では、精度を高めたCCMは、突然変異誘発とスクリーニングの初期段階から得られるイニシャルヒットで頻繁に観察された突然変異が優先されるように設計される。いくつかの実施態様では、これは、機能を低減する突然変異をコードするプライマーを除去することにより、または前段階のCCMライブラリーで使用された他のプライマーと比較して、機能を増強する突然変異をコードするプライマーの濃度を増加させることにより達成される。
本明細書で使用するとき、用語「機能低減突然変異」は、スクリーニングを受けていない組合せコンセンサス突然変異誘発ライブラリーと比較したとき、スクリーニングを受けた配列に頻度がより小さく現れる組合せコンセンサス突然変異誘発ライブラリーの突然変異をいう。好ましい実施態様では、本スクリーニング過程は、「機能低減突然変異」を含む変異種を除去及び/又は減少させる。
本明細書で使用するとき、用語「機能分析」はタンパク質の活性の指標を与える分析を言う。特に好ましい実施態様では、この用語は、タンパク質がその通常の能力範囲において、機能する能力を分析する分析系をいう。例えば、酵素の場合、機能分析は、反応を触媒する酵素の効率の決定を含む。
本明細書では、用語「対象性質(target property)」は、変更が行われる予定の初期遺伝子の性質をいう。本願発明では何らかの特定の対象性質に限定することは意図していない。しかし、ある好ましい実施態様では、対象性質は遺伝子産生物の安定性(例.変性、タンパク質分解、又は他の分解因子に対する耐性)であり、一方、他の実施態様では産生宿主の産生水準が変えられる。実際、初期遺伝子の如何なる性質も本願発明において用いられると考えられている。
核酸に関する記述において用語「性質」又はそれと文法的に等しい用語は、本明細書では、選択又は検出を受け得る核酸のいずれかの特徴又は属性をいう。これらの性質等は、ポリペプチドへの結合に影響を及ぼす性質、特定の核酸を含む細胞に与えられた性質、遺伝子の転写に影響を及ぼす性質(例.プロモーター含量、プロモーター認識、プロモーター調節、エンハンサー機能)、RNA処理に影響を及ぼす性質(例.RNAスプライシング、RNA安定性、RNAコンホメーション、転写後の修飾)、翻訳に影響を及ぼす性質(例.水準、調節、リボソームタンパク質へのm-RNAの結合、翻訳後の修飾)を含むがこれらに限定されない。例えば、核酸の転写因子、ポリメラーゼ、調節因子の結合部位などは所望の特徴をもたらすようにまたは、好ましくない特徴を特定するよう変え得る。
ポリペプチドに関する記述において用語「性質」又はそれと文法的に等しい用語は、本明細書では、選択又は検出を受け得るポリペプチドのいずれかの特徴又は属性をいう。これらの性質等は、酸化安定性、基質特異性、触媒活性、熱的安定性、アルカリ安定性、pH活性プロファイル、タンパク質分解に対する耐性、KM,kcat,kcat / kM 比、タンパク質の折りたたみ、免疫反応の誘導、配位子への結合性、受容体への結合性、分泌される能力、細胞表面上に呈示される能力、オリゴマー化する能力、シグナルを出す能力、細胞増殖を刺激する能力、細胞増殖を抑制する能力、アポトーシスを誘起する能力、リン酸化またはグリコシレーションにより修飾される能力、疾病を治療する能力を含むがこれらに限定されない。
本明細書では、用語「スクリーニング」は本願技術分野の普通の意味をもち、一般に多段階の方法である。第1段階は、突然変異の核酸又はその核酸に由来する変異ポリペプチドが作成される。第2段階では、突然変異核酸又は変異種ポリペプチドの性質が決定される。第3段階では、決定された性質が対応する前駆体核酸の性質、対応する天然のポリペプチド、又は突然変異核酸生成のための初期物質(例.最初の配列)の性質と比較される。
変えられた性質をもつ核酸又はタンパク質を得るスクリーニング方法は、初期物質の性質により変わることは当業者には明らかであろう。初期物質の修飾は突然変異を受けた核酸の生成を促進することを意図している。当業者はそのため本発明がスクリーニングを受ける特定の性質に限定されないこと、及び性質に関する以下の記述が説明用の例のみを列挙していることを正しく理解するであろう。いずれかの特定の性質についてスクリーニングする方法は本願技術分野では一般的に述べられている。例えば、突然変異前、変異後に結合、pH、特異性等を測定できるが、その変化は変異を示す。好ましくは、スクリーニングは、チップ、ファージディスプレイ及び多数の基質及び/又は指示薬を利用した分析を、非限定的に含む多数のサンプルが同時にスクリーニングされる等の高効率的な方法で行われる。
本明細書では、いくつかの実施態様では、スクリーニングは目的の変異種が変異種の集団中でその数を増加する選別段階を含む。これらの実施態様の実施例は、変異種が、その結合性又は触媒性能に基づき変異種の集団から捕捉されうるファージディスプレイ又はいずれか他のディスプレイの方法のほか、宿主生物に増殖の優位性を与える変異種の選別を含む。好ましい実施態様では、変異種のライブラリーはストレス(例.熱、タンパク質分解酵素、変性など)に暴露され、続いて依然、損傷のない変異種がスクリーニングにより特定されまたは、選別により高密度化される。この用語は選別のいずれかの適当な手段を含むことを意図している。実際、本願発明はスクリーニングのいずれか特定の方法に限定することを意図していない。
本明細書では、用語「意図的無作為化」は、1或いはいくつかの位置が無作為化された複数の配列を生じさせる方法をいう。ある実施態様では、無作為化は完全(つまり、4個全てのヌクレオチド、A,T,G及びCが無作為化された位置で発生しうる。)である。別の実施態様では、ヌクレオチドの無作為化は4個のヌクレオチドのうちのある組み合わせに限定される。意図的無作為化は1又はいくつかの配列、1またはいくつかの目的タンパク質、のコードに適用できる。発現されるときは、得られたライブラリーは、無作為化されたコドンを得るための無作為化の方法により決まる、1以上のアミノ酸の位置に20個全てのアミノ酸を含み得るか、またはアミノ酸のある組合せを含み得るタンパク質群を産生する。ある実施態様では、意図的無作為化から得られる集団の個々の配列は、コドンの意図的又は無作為の挿入又は欠失により、アミノ酸の数が異なる。さらに別の実施態様では、合成アミノ酸が、産生されるタンパク質集団に含まれる。ある好ましい実施態様では、意図的無作為化から得られる集団の多くの部分が初期遺伝子よりもコンセンサス配列と相同性の高い配列を示す。ある実施態様では、この配列群は1以上の目的タンパク質をコードしている。別の実施態様では、このタンパク質群は異なる生物学的機能をもつ。いくつかの好ましい実施態様では、加わった配列は少なくとも1個の選択マーカーを含む。
用語「修飾された配列」と「修飾された遺伝子」は、本明細書では、相互に入れ替えて、天然の核酸配列の欠失、挿入又は中断を含む配列をいうために使用される。いくつかの好ましい実施態様では、修飾された配列の発現産生物は、短縮タンパク質である(例、修飾が配列の欠失又は中断の場合)。いくつかの特に好ましい実施態様では、短縮されたタンパク質は生物学的活性を保持している。別の実施態様では、修飾された配列の発現産生物は延長されたタンパク質である(例.核酸配列への挿入を含む修飾)。いくつかの実施態様では、挿入は短縮されたタンパク質を与える(例.この挿入が終止コドンとなる場合)。従って、挿入は発現タンパク質として短縮されたタンパク質又は延長されたタンパク質を与えるだろう。
本明細書では、用語「置換」は、あるアミノ酸配列の1個のアミノ酸をそのアミノ酸配列のその位置で別のアミノ酸と置き換えることを含む。従って、この用語はあるアミノ酸配列中の別のアミノ酸の挿入及び/又は欠失がその配列におけるアミノ酸の相対的位置を変える状況を含む。よって、あるアミノ酸が特に置換(例.本明細書に記載された方法を用いての)対象ではないかも知れないが、そのアミノ酸は、配列中の相対的位置が変わることによりその配列の別のアミノ酸により「置換」されえる。例えば、SEQID NO:8の1番目及び2番目のアミノ酸の間にあるアミノ酸を挿入することにより、得られる配列は1アミノ酸だけ移動する(つまり、元来2番目にあったアミノ酸は、現在3番目にあるなど)。この用語はアミノ酸配列中の1個変化のほか、複数の変化を含むことが意図されている(つまり、単一又は複数の置換)。本明細書では、アミノ酸置換は、天然のアミノ酸の表示、その後ろの置換位置の表示、その後ろの置換したアミノ酸の表示により表されることにも留意されたい。例えば、N024E(N24Eとも表される)は、SEQ IDNO:8の24番目のアスパラギン酸がグルタミン酸により置換されたことを示す。本明細書では、複数の置換は「/」又は「−」により示される。従って、「R127A−G65Q」と「R127A/G65Q」両者は127番目と65番目でアミノ酸が置換されたことを示す(つまり、127番目のアルギニンがアラニンにより、65番目のグリシンがグルタミンにより置換された)。
本明細書では、用語「突然変異配列」と「突然変異遺伝子」は相互に入れ替えて使用され、宿主細胞の野生型の配列に生じる少なくとも1個のコドンが変化している配列をいう。突然変異配列の発現産生物は、野生型と比べて変化したアミノ酸配列をもつタンパク質である。発現産生物は性能が変わっている場合がある(例.増強された酵素活性)。
本明細書では、用語「アップ突然変異(up mutation)」は、ある性質のΔΔGが、親タンパク質より良い突然変異をいう(ΔΔG値、<0)。
本明細書では、用語「ダウン突然変異(down mutation)」は、ある性質のΔΔGが、親タンパク質より悪い突然変異をいう(ΔΔG値、>0)。
本明細書では、用語「生産的位置」とは、所与の性質に関し少なくとも1個のアップ突然変異をもつ位置をいう。
本明細書では、用語「非生産的位置」は、所与の形質に関しアップ突然変異をもたない位置をいう。
用語「突然変異性プライマー」又は「突然変異性オリゴヌクレオチド」(本明細書では相互に入れ替えて使用)は、テンプレート配列の一部に対応し、それへハイブリダイズするオリゴヌクレオチド組成物をいう。突然変異性プライマーでは、このプライマーはテンプレート核酸に正確には適合しないだろうが、このプライマーのこの組合せの誤りが核酸ライブラリーに目的とする突然変異を導入するために使用される。本明細書では、「非突然変異性プライマー」又は「非突然変異性オリゴヌクレオチド」はテンプレート核酸に正確に適合するオリゴヌクレオチド組成物をいう。本願発明のある実施態様では、突然変異性プライマーのみが使用される。本願発明の別の好ましい実施態様では、プライマー群は、少なくとも1領域に突然変異性プライマーが含まれ、またこのオリゴヌクレオチド混合物に非突然変異性プライマーも含まれるように設計される。突然変異性プライマーと、これら突然変異性プライマーの少なくとも一つに対応する非突然変異性プライマーの混合物を加えることにより、種々の組合せの突然変異パターンを有する核酸ライブラリーを作成することが可能である。例えば、突然変異核酸ライブラリーの核酸一部がある位置でその変異前の配列を保持し、他の核酸がその位置で突然変異をもっていることが望ましいときは、その非突然変異性プライマーは、所与の残基に関し、その核酸ライブラリー内に、特定の水準で、非突然変異性の核酸を含むようにすることができる。本願発明の方法は、長さが一般的に10−50塩基、より好ましくは、長さが15−45塩基の間にある突然変異性と非突然変異性のオリゴヌクレオチドを使用する。しかし、望む突然変異を得るために、10塩基よりも短い又は50塩基よりも長いプライマーを用いることが必要かもしれない。対応する突然変異性及び非突然変異性プライマーに関し、対応するオリゴヌクレオチドの長さが同一であるある必要は無く、加えられる突然変異に対応する領域が重複していれば良い。
本願発明に従いプライマーはある定めた割合で加えられても良い。例えば、得られたライブラリーがある特定の突然変異を相当の水準でもち、同一又は異なる位置で他の突然変異をより少なくもつことを望む場合、加えるプライマーの量を調節することにより、望む範囲のライブラリーを作成することが可能である。または、非突然変異性のプライマーをより少なく又は多く加えることにより、対応する突然変異が突然変異核酸ライブラリーに生じる頻度を調節することができる。
本明細書では、用語「連続的突然変異」は同一のオリゴヌクレオチドプライマーにより生じる突然変異をいう。例えば、連続的突然変異は互いに隣接又は近接していても良いが、同一のプライマーによって突然変異テンプレート核酸に導入される。
本明細書では、用語「非連続的突然変異」は、別のオリゴヌクレオチドプライマーで生じる突然変異をいう。例えば、非連続的突然変異は、別に作成されたオリゴヌクレオチドプライマーによりテンプレート核酸に導入される。
用語「野生型配列」又は「野生型遺伝子」は本明細書では相互に入れ替えて使用され、宿主細胞内に固有の又は天然に存在する配列をいう。いくつかの実施態様では、野生型の配列はタンパク質工学プロジェクトの出発点である目的配列をいう。この野生型配列は相同または異種タンパク質をコードしても良い。相同タンパク質は、宿主細胞が介入を受けずに産生するものである。異種タンパク質は宿主細胞は産生しないが、介入があったときは産生するものである。
本明細書では、用語「抗体」は、免疫グロブリンをいう。抗体は抗体を産生することが望まれているいずれかの種から直接に得られる免疫グロブリンを含むが、これらに限定されない。加えて、本願発明は、修飾された抗体を含む。この用語はまた、完全な抗体が結合するエピトープに結合する能力を保持している抗体の断片もいい、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、抗イディオタイプ(抗-ID)抗体を含む。抗体のフラグメントは、相補性決定領域(CDR)、単一鎖フラグメント可変領域(scFv)、重鎖可変領域(VH)、軽鎖可変領域(VL)を含むがこれらに限定されない。ポリクローナルとモノクローナル抗体も本願発明に含まれる。抗体はモノクローナル抗体が好ましい。
用語「酸化に安定」は、本願発明のタンパク質分解、加水分解、洗浄又は他の処理において一般的な条件、例えば、漂白剤又は酸化剤に暴露または接触するとき、所定の時間、指定した酵素活性を保持する本願発明のプロテアーゼをいう。いくつかの実施態様では、このプロテアーゼは、所定の時間、例えば、少なくとも1分、3分、5分、8分、12分、16分、20分等にわたり、漂白剤又は酸化剤と接触した後、少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、92%、95%、96%、97%、98%又は99%タンパク質分解活性を保持する。いくつかの実施態様では、安定性は実施例で記載されたように測定される。
用語「キレート剤に安定」は、本願発明のタンパク質分解、加水分解、洗浄又は他の処理において一般的な条件、例えば、キレート剤に暴露または接触するとき、所定の時間、指定した酵素活性を保持する本願発明のプロテアーゼをいう。いくつかの実施態様では、このプロテアーゼは、所定の期間、例えば、少なくとも10分、20分、40分、60分、100分等、キレート剤と接触した後に、少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、92%、95%、96%、97%、98%、又は99%のタンパク質分解活性を保持する。いくつかの実施態様では、キレート剤への安定性は実施例で記載されているように測定される。
用語「熱的安定性」と「熱安定性」は、本願発明のタンパク質分解、加水分解、洗浄又は他の処理において一般的な条件、例えば、温度変化に晒されたとき、所与の時間、特定の温度に暴露された後、指定した酵素活性を保持する本願発明のプロテアーゼをいう。温度変化は温度の上昇又は低下である。いくつかの実施態様では、このプロテアーゼは、所与の時間、例えば、少なくとも60分、120分、180分、240分、300分等の間、温度変化にさらされた後、少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%タンパク質分解活性を保持する。いくつかの実施態様では、熱安定性は実施例に記載されているように決定される。
酸化、キレート剤、熱的に、及び/又はpHに安定なプロテアーゼについて述べるとき、用語「高められた安定性」とは他のセリンプロテアーゼ(例.スブチリシンプロテアーゼ)及び/または野生型の酵素と比較して経時的に比較的高く保持されたタンパク質分解活性をいう。
酸化、キレート剤、熱的に、及び/又はpHに安定なプロテアーゼについて述べるとき、用語「低下した安定性」は、他のセリンプロテアーゼ(例.スブチリシンプロテアーゼ)及び/または野生型の酵素と比較して経時的に比較的低く保持されたタンパク質分解活性をいう。
用語「洗浄活性」は、本願発明のタンパク質分解、加水分解、洗浄又は他の処理において一般的な条件で、プロテアーゼにより達成される洗浄成績をいう。いくつかの実施態様では、洗浄成績は、酵素に感受性のある汚れ、例えば、草、血液、ミルク、卵のタンパク質に関し、標準的洗浄条件をその汚れに適用した後、種々のクロマトグラフ、分光学的又は他の定量的方法により決定されるように、種々の洗浄分析の適用により決定される。分析法の例には、実施例に含まれる方法のほか、WO99/34011と米国特許第6,605,458号(両者ともに引用により本明細書に組み込む)で記載された分析法を含むがこれらに限定はされない。
プロテアーゼについて用語「洗浄有効量」は、特定の洗浄剤組成物において酵素活性の望ましい水準を達成する、すでに明細書で述べたプロテアーゼの量をいう。このような有効量は本願技術分野において通常の技術をもつ者により容易に確認され、使用する特定のプロテアーゼ、洗浄実施態様と、洗浄剤組成物の特定の組成及び液状又は乾燥(例.顆粒、塊)組成物が必要とされるかなど、多くの因子に基づく。
用語「洗浄添加物質」は、本明細書で使用するとき、所期の特定の洗浄剤組成と製品形態(例.液体、顆粒、粉末、塊、のり、スプレー、錠剤、ゲル又は泡の組成物)について選択された液体、固体又は気体の物質であり、好ましくはその組成物で使用されるプロテアーゼ酵素に悪影響を及ぼさないものである。いくつかの実施態様では、顆粒組成物は「コンパクト」な形態にされ、他方、他の実施態様では、液体組成物は「濃縮」された形態である。
洗浄活性について「向上した活性」は、1回の標準的洗浄サイクル及び/または複数の洗浄サイクルの後、通常の評価により決定されたとき、卵、ミルク、草または血液のような、ある酵素に感受性のある汚れについて、増大した又は大きい洗浄活性をいう。
洗浄活性について用語「低減された性能」は、1回の標準的洗浄サイクルの後、通常の評価により決定されたとき、卵、ミルク、草または血液のような、ある酵素に感受性のある汚れについて、減少したまたは低くされた洗浄活性をいう。
洗浄活性に関し用語「同程度の性能」は、OPTIMASETMプロテアーゼ(Genencor)、PURAFECTTMプロテアーゼ製品(Genencor)、SAVINASETMプロテアーゼ(Novozymes)、BPN’-変異種(米国特許番号第Re34,606号参照)、RELASETM、DURAZYMETM、EVERLASETM、KANNASETMプロテアーゼ(Novozymes)、MAXACALTM、MAXAPEMTM、PROPERASETMプロテアーゼ(Genencor、米国特許第Re34,606号、米国特許第5,700,676号、5,955,340号、6,312,936号、及び第6,482,628号も参照)、及びB.レンタス(B.lentus)変異種プロテアーゼ製品(例.WO92/21760、WO95/23221、及び/又はWO97/07770に記載された製品)を含み、これらに限定されない、比較対象のスブチリシン(subtilisin)プロテアーゼ(例.市販のプロテアーゼ)、の洗浄活性の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%をいう。スブチリシンプロテアーゼの変異種の例は、BPN’の76番目、101番目、103番目、104番目、120番目、159番目、167番目、170番目、194番目、195番目、217番目、232番目、235番目、236番目、245番目、248番目及び/または252番目に対応する残基の位置で置換、欠失をもつ変異種を含むがこれらに限定されない。洗浄性能は、草、血液又はミルクのような酵素に感受性のある汚れについて、標準的洗浄サイクルを経た後、通常の分光学的又は分析的方法により決定されるような、種々の洗浄分析において、これらスブチリシンプロテアーゼと本願発明のプロテアーゼを比較することにより決定できる。
本明細書では、「低洗剤濃度」系は約800ppm未満の洗剤組成物が洗浄に用いる水に含まれる洗剤を含む。日本の洗剤は、洗浄に用いる水に普通約667ppmの洗剤組成物を含むので、通常は、低洗剤濃度系であると考えられている。
本明細書では、「中程度の洗剤濃度」系は、約800ppmと約2000ppmの間の洗剤組成物が洗浄用の水に含まれる洗剤を含む。北アメリカの洗剤は、普通約975ppmの洗剤組成物が洗浄用の水に含まれるので、一般的に中程度の洗剤濃度系であると考えられている。ブラジルの洗剤は、洗浄用の水に約1500ppmの洗剤組成物を含む。
本明細書では、「高洗剤濃度」系は約2000ppmより高濃度の洗剤組成物が洗浄用の水に含まれる洗剤を含む。ヨーロッパの洗剤は一般的に、約3000−8000ppmの洗剤組成物を洗浄用の水に含むので一般的に高洗剤濃度系であると考えられている。
本明細書では、「布地洗浄組成物」は、洗濯用添加剤組成物と汚れた布地(例.布、リネン及び他の布製品)の浸漬及び/または前処理での使用に適した組成物とを含む手洗い用及び洗濯機用組成物を含む。
本明細書では、「非布地洗浄組成物」は、皿洗い洗剤組成物、口内洗浄組成物、義歯洗浄組成物、人の体を洗う組成物を含み、これらに限定されない、織物(textile, fabric)でないものの表面を洗浄する組成物を含む。
本明細書の洗浄剤組成物のコンパクトな形態は密度に最も良く反映され、組成に関しては増量用無機塩の量に反映される。増量用無機塩は、粉末形態の洗剤組成物の従来からの成分である。従来の洗剤組成物では、増量用塩は相当量、全組成物の重量の通常、17−35%で含まれる。他方、コンパクト組成物では増量用塩は組成物の総量に対し10%をこえない。いくつかの実施態様では、増量用塩は、組成物の重量の10%を超えない量、より好ましくは5%を超えない量が含まれている。いくつかの実施態様では、増量用無機塩は硫酸塩と塩化物のアルカリ金属とアルカリ土類金属の塩から選ばれる。好ましい増量用塩は硫酸ナトリウムである。
II.本願発明のセリンプロテアーゼ酵素とそのための配列
本願発明は、変異プロテアーゼをコードするアミノ酸配列をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。米国特許出願第Ser.No. 10/576,331号(この全体を引用により本明細書に組み込む)は多くの変異プロテアーゼ、シグナルペプチドをコードした配列、アミノ酸配列のほか野生型セルロモナス(Cellulomonas)セリンプロテアーゼを含んでいる。本願発明のいくつかの好ましい実施態様では、セルロモナス種. は米国特許出願Ser. No 10/576,331号に記載されているように、セルロモナス株69B4(DSM16035)である。
A. セリンプロテアーゼ
所与の種の生物中の天然の酵素の配列に変動があるかもしれないが、一般的に同一の種の生物により産生される特定のタイプの酵素は、所与の条件(例.温度、pH、水の硬度、酸化条件、配位条件及び濃度)における基質特異性、及び/またはタンパク質分解活性水準等に関し実質的に同一である。従って、本願発明の目的では、セルロモナス(Cellulomonas)の他の株と種も本願発明のセルロモナス(Cellulomonas)プロテアーゼを産生し、本願発明のプロテアーゼの有用な源を与えると考えられている。実際、本明細書に記載されているように、ミクロコッカス亜目(Micrococcineae)の他の菌は本願発明に用途があるだろうと考えられている。
いくつかの実施態様では、この発明のタンパク質分解性ポリペプチドは、物理化学的に特徴づけられ、一方、他の実施態様ではそれらはその機能に基づき特徴付けられ、更に他の実施態様では、それらは、両性質を用いて特徴付けられる。物理化学的な特徴づけはSDS 電気泳動、ゲルろ過、アミノ酸組成、質量分析(例.MALDI−TPF−MS、LC-ES-MS/MS等)、タンパク質の分子量を決定するための沈降、タンパク質のpIを決定するため等電点電気泳動、タンパク質のアミノ酸配列を決定するためのアミノ酸配列決定、タンパク質の3次構造を決定するための結晶学的研究、タンパク質にある抗原性エピトープを決定するための抗体結合のような良く知られた技術を利用する。
いくつかの実施態様では、機能的特徴はこのプロテアーゼの分野で技術者に良く知られている技術により決定され、これらの技術はジメチルカゼイン(“DMC”)及び/またはAAPF-pNAのような種々の市販の基質の加水分解を含むがこれに限定されない。機能的特徴づけの好ましい技術はさらに詳細に本明細書中の実施例に、さらに詳細に記載されている。
成熟したプロテアーゼは、またDMCのようなタンパク質の分解活性(例.ペプチド結合をもつ基質に対する加水分解活性)も示す。別の実施態様では、本願発明のプロテアーゼは、特定の条件で洗浄性能が向上する。本願発明は本明細書に記載されているプロテアーゼ69Bを含むが、いくつかの実施態様では、本願発明のプロテアーゼは、69B4のタンパク質分解活性と比較して少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%のタンパク質分解活性を示す。いくつかの実施態様では、このプロテアーゼは、同一の条件下、SAVINASE(登録商標)(Novzymes)またはPURAFECT(登録商標)(Genencor)の販売名で販売されているプロテアーゼのタンパク質分解活性と比較して、少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、92%、95%、96%、97%、98%、または99%のタンパク質分解活性を示す。いくつかの実施態様では、本願発明のプロテアーゼは、特定の条件で、同一の条件の69B4と比較して、同程度または向上した洗浄性能を示す。いくつかの実施態様では本願発明のプロテアーゼは特定の条件下、同一条件で、SAVINASE(登録商標)(Novzymes)またはPURAFECT(登録商標)(Genencor)の販売名で販売されているプロテアーゼと比較して、同程度または向上した洗浄性能を示す。
さらに別の実施態様では、このプロテアーゼ及び/または本願発明のプロテアーゼをコードするポリヌクレオチドは精製されて提供され(つまり、天然で存在する又は野生型の生物に存在するより高いまたは低い濃度で特定の組成物に存在する)、または天然のまたは野生型の生物から発現するとき正常には存在しない成分と組み合わせて提供される。しかし、本願発明は、いずれかの特定の精製水準のプロテアーゼに限定することを意図していない。なぜならプロテアーゼの純度の種々の範囲で、本願発明のプロテアーゼが適している種々の用途が見出されるからである。
B. セリンプロテアーゼの核酸とアミノ酸配列
セルロモナス株69B4(DSM16035)由来のasp 遺伝子のDNA配列(SEQID NO:1)が下記に示されている。セルロモナス株69B4(DSM16035)プロテアーゼのシグナルペプチドをコードする開始ポリヌクレオチドは太字(ATG)である。この配列はまたシグナルペプチドと前駆体セリンプロテアーゼも含む。
以下のDNA配列(SEQID NO:2)は、セルロモナス株69B4(DSM16035)由来の前駆体プロテアーゼ(SEQID NO:7)に機能的に連結されたシグナルペプチド(SEQID NO:9)をコードしている。セルロモナス株69B4(DSM16035)プロテアーゼのシグナルペプチドをコードする開始ポリヌクレオチドは太字(ATG)である.終止コドンは残基1486から始まる。残基85、595、及び1162はN末端のプロ配列、成熟配列、及びカルボン酸末端のプロ配列の最初の残基にそれぞれ関係するが、太字で下線が付されている。
以下のDNA配列(SEQID NO:3)は、セルロモナス株69B4(DSM16035)由来の前駆体プロテアーゼをコードしている。
以下のDNA配列(SEQ ID NO:4)はセルロモナス株69B4(DSM16035)由来の成熟プロテアーゼをコードする。
以下のDNA配列(SEQ ID NO:5)は、セルロモナス株69B4(DSM16035)由来のシグナルペプチドをコードする。
以下の配列は、シグナル配列のアミノ酸配列(SEQ ID NO:6)とセルロモナス株69B4(DSM16035)由来の前駆体プロテアーゼであり、SEQIDNO:1、2、3及び4に定められたDNA配列によりコードされたシグナル配列[セグメント1a-1c](残基1−28[−198から−171])、N末端プロ配列[セグメント2a-r](残基29−198[−170から−1])、成熟プロテアーゼ[セグメント3a-t](残基199から387[1−189])、及びC末端プロ配列[セグメント4a-4l](残基388−495[190−398])を含む。成熟プロテアーゼアミノ酸配列のN末端配列は太字で表している。
以下の配列(SEQIDNO:7)はセルロモナス株69B4(DSM16035)(SEQIDNO:7)由来の前駆体プロテアーゼのアミノ酸配列である。
以下の配列は(SEQIDNO:8)はセルロモナス株B69B4(DSM16035)由来の成熟プロテアーゼのアミノ酸配列である。H32,D56及びS132の触媒活性のある3残基は、太字で下線を付している。
以下の配列(SEQIDNO:9)はセルロモナス株B69B4(DSM16035)由来のプロテアーゼのシグナルペプチドのアミノ酸配列である。
いくつかの実施態様では、本願発明はSEQ.IDNO:1の長さが約1621塩基対のポリヌクレオチドの少なくとも一部を含む変異種を含む。いくつかの特に好ましい実施態様では、本願発明は野生型の(例.「親」)セリンプロテアーゼと比較して多数の突然変異をもつ変異種を提供する。これらのさらに特に好ましい実施態様のいくつかでは、野生型の(例.「親」)セリンプロテアーゼと比較したとき、これらの多数の突然変異をもつ変異種は性能が向上している。
技術者により理解されるところでは、遺伝子コードの縮重のため、種々のポリヌクレポチドが、本明細書に記載され及び/または米国特許出願Ser.No.10/576,331号(これは全体を引用により組み込む)に記載のシグナルペプチド、前駆体プロテアーゼ及び/または成熟プロテアーゼ(例.米国特許出願Ser.No.10/576,331号のSEQID NO6、7、及び/又は8)または、上記に特定した%配列一致をもつプロテアーゼをコードすることができる。本願発明の別の実施態様は、それぞれ、SEQID NO2,3及び/または4のポリヌクレオチド配列と、少なくとも70%の配列一致、少なくとも75%の配列一致、少なくとも80%の配列一致、少なくとも85%の配列一致、少なくとも90%の配列一致、少なくとも92%の配列一致、少なくとも95%の配列一致、少なくとも97%の配列一致、少なくとも98%の配列一致、少なくとも99%の配列一致をもつヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含み、それぞれ、シグナルペプチドと前駆体プロテアーゼ、前駆体プロテアーゼ及び/または成熟プロテアーゼをそれぞれコードする。
他の実施態様では、コードされた断片がタンパク質分解活性を保持する条件で、本願発明はプロテアーゼをコードするDNAの断片又は一部分を与える。、本願発明の別の実施態様は、SEQIDNO:1のポリヌクレオチド配列の少なくとも20%の配列長、少なくとも30%の配列長、少なくとも40%の配列長、少なくとも50%の配列長、少なくとも60%の配列長、70%の配列長、少なくとも75%の配列長、少なくとも80%の配列長、少なくとも85%の配列長、少なくとも90%の配列長、少なくとも92%の配列長、少なくとも95%の配列長、少なくとも97%の配列長、少なくとも98%の配列長、少なくとも99%の配列をもつポリヌクレオチドを含み、前駆体プロテアーゼをコードしている。別の実施態様では、この配列長のこれらのフラグメント群または一部分は、この配列長をもつ隣接した部分であり、組換えDNA配列群において、このDNA配列の無作為な切断(shuffling)に有用である(例.米国特許第6,132,970号参照)。
発明の別の実施態様は、本明細書に記載のDNA断片を含むが、これは、セルロモナス(Cellulomonas)69B4由来の本明細書に記載の成熟したプロテアーゼ酵素、またはタンパク質分解活性をもつその断片をコードするポリヌクレオチドを単離または特定するために使用できるDNA断片を得る際に、認知された技術に従い使用される。
さらに、SEQIDNO:1に与えられたDNAは他の種、特にセルロモナス 種(Cellulomonas spp.)からのDNAの相同断片を特定する際に使用される。
加えて、本願発明は、SEQIDNO:1から構築されるプライマーまたはプローブまたは、適当な一部またはその断片(例.少なくとも約5−20個または10−15個の連続するヌクレオチド)を、遺伝子またはcDNA由来の核酸をスクリーニングするプローブまたはプライマーとして使用することを含む。いくつかの実施態様では、本願発明はSEQIDNO:1中の配列に基づいて、望む長さ(つまり、一般的に長さが100と1000塩基の間)のDNAプローブを与える。
いくつかの実施態様では、DNAフラグメントは電気泳動により単離され、ゲルから切り出され、ゲルの寒天組織から回収される。好ましい実施態様では、この精製されたDNAのフラグメントは、次にラベルされ(例えば、製造業者の指図に従いメガプライム(Megaprime)ラベリングシステムを用いて)、DNA中にP32を組み込む。ラベルされたプローブは所与の時間(例.約5分)95℃まで加熱することにより変性され、すぐに膜とプレハイブリダイゼーション溶液に加えられる。ハイブリダイゼーション反応は、穏やかに振とう又は回転しながら適当な時間、適当な条件(例.37℃で18時間)下で進行する。この膜は濯ぎを受け(例.SSC/0.3% SDSで2度)、次に、穏やかに撹拌しながら適当な洗浄液で洗浄される。望む厳密度は膜(フィルター)が洗浄される条件を反映している。本明細書のいくつかの実施態様では、「低い程度に厳密な」条件とは、20℃で15分間、0.2XSSC/0.1%SDS溶液で洗浄することを含み、一方、他の実施態様では「中程度の厳密」な条件とは、37℃で30分間、0.2XSSC/0.1%SDS溶液で洗浄することを含む洗浄作業が加わり、他の実施態様では、「高度に厳密な」条件は、37℃で45分間、0.2XSSC/0.1%SDS溶液で洗浄することを含む洗浄作業をさらに含み、さらに別の実施態様では、「最高度に厳密な」条件は、37℃で60分間、0.2XSSC/0.1%SDS溶液で洗浄する作業をさらに含む。従って、本願発明の種々の実施態様は、中程度に、高度に及び/又は最高度に厳密な条件で、SEQIDNO:1又は2に提供されているヌクレオチド配列に由来するプローブへハイブリダイズできるポリヌクレオチドを提供する。
洗浄後、膜は乾燥され、結合したプローブか検出される。P32または別の放射性同位元素が、ラベル試薬として使用される場合、結合したプローブはオートラジオグラフィーにより検出される。他のプローブを可視化する他の技術は本願技術分野の技術者に良く知られている。結合したプローブの検出は、核酸配列が望む相同性をもつことを示し、したがって本明細書に記載の、目的とするいずれかの配列との同一性が本願発明に含まれていることを示す。従って、本願発明は、本願発明に含まれるプロテアーゼをコードする核酸を検出する方法を提供するが、これは核酸配列SEQIDNO:1の一部又は全てをゲノム又はcDNA由来の他の核酸とハイブリダイズさせることを含む、。
上記のように、他の実施態様では、ハイブリダイゼーション条件は、核酸結合複合体(nucleic acid binding complex)の融解温度(Tm)に基づき、以下に説明されるように定義された「厳密度」を与える。「最高度の懸密さ」(maximum stringency)は通常、約Tm−5℃(プローブのTmより5℃下)で起こる。「高度な現密さ」(high stringency)はTmの下、約5℃から10℃で起こる。「中程度の厳密さ(intermediate stringency)」は、Tmの下、約10℃から20℃で起こる。そして、「低い程度の厳密さ(low stringency)」はTmの下、約20℃から25℃で起こる。本願の技術分野の技術者に理解されるように、高度な及び/又は最高度に厳密なハイブリダイゼーションは、作業条件がポリヌクレオチド配列相同体又は等価なポリヌクレオチド配列を特定し又は検出するため最適であるように選ばれる。
さらに別の実施態様では、本願発明は本願発明のプロテアーゼをコードするポリヌクレオチドを含む核酸構造体(つまり、発現ベクター)を提供する。さらに別の実施態様では、本願発明はこれらのベクターの少なくとも1個により形質転換された宿主細胞を提供する。
さらに別の実施態様では、本願発明は米国特許出願Ser.No.10/576,331号に記載されているような、シグナル配列をさらにコードするポリヌクレオチド配列を提供する。この出願は全内容を引用により組み入れる。これらの実施態様のいくつかでは、本願発明はシグナル配列とみなされている配列をもつ配列及び、中程度、高度及び/または最高度に厳密な条件でSEQIDNO:1に開示されているヌクレオチド配列に由来するプローブとハイブリダイズできるポリヌクレオチドを提供する。この場合このシグナル配列は本願発明のポリヌクレオチドによりコードされたシグナル配列と実質的に同一のシグナル活性をもつ。
いくつかの実施態様では、米国特許出願Ser.No.10/576,331号に記載されているように、シグナル活性は、初期物質と実質的に同一水準で、このプロテアーゼが醗酵培地へ分泌されることにより示される。グラム陽性宿主細胞に異種の又は相同のタンパク質を分泌する水準を決定する、及び分泌されたタンパク質を検出する別の方法は、このタンパク質に特異的なポリクローナル又はモノクローナル抗体の使用を含む。実施例は、本願技術分野ではよく知られているような、酵素結合免疫吸着結合法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)及び蛍光活性化細胞選別法(FACS)を用いる。
本願発明のさらなる態様は、SEQIDNO7又は8と、65%アミノ酸配列が一致、少なくとも70%配列が一致、少なくとも75%アミノ酸配列が一致、少なくとも80%アミノ酸配列が一致、少なくとも85%アミノ酸配列が一致、少なくとも90%アミノ酸配列が一致、少なくとも92%アミノ酸配列が一致、少なくとも95%アミノ酸配列が一致、少なくとも97%アミノ酸配列が一致、少なくとも98%アミノ酸配列が一致、少なくとも99%アミノ酸配列が一致し、本明細書及び米国特許出願第Ser.No.10/576,331号に記載されているタンパク質分解活性をもつポリペプチドを含む。これらのポリペプチドのタンパク質分解活性は、本願技術分野で知られている方法を使用して決定され、洗剤の機能を評価するために使用するような方法を含む。さらに別の実施態様では、このポリペプチドは単離される。
III.本願発明のミクロコッカス亜目(Micrococcinea)(例.Cellulomonas)プロテアーゼをコードするポリヌクレオチドの取得
いくつかの実施態様では、本願発明のプロテアーゼをコードする核酸は本願技術分野で知られている標準的手順により得られる。例えば、クローンDNA(例.DNA「ライブラリー」)、化学合成、cDNAクローニング、PCR,ゲノムDNAまたはその断片のクローニング、または細菌又は菌類の種のような望む細胞から精製される(例えば、Sambrookら 上記[1989]; 及びGloverとHames(編)、DNA Cloning:A Pratical Approach,1、2巻、第2版参照)ポリヌクレオチド配列の合成は、自動合成装置(Needham-VanDevanterらNucl.Acids Res., 12:6159-6168[1984]参照)の使用を含め本願技術分野では良く知られている(例.Beaucage とCaruthers, Tetrahedron Lett.,22,:1859-1862[1981]参照)。DNA配列も、希望に応じ作ることができ種々の販売業者に注文できる。本明細書にさらに詳細に述べられているように、いくつかの実施態様では、ゲノムDNA由来の核酸配列はコードする領域に加えて調節領域を含む。
ゲノムDNA由来の遺伝子の分子クローニングを含むいくつかの実施態様では、DNA断片が作成され、そのいくつかは、望む遺伝子の少なくとも一部を含む。いくつかの実施態様では、DNAは種々の制限酵素を用いて特定の位置で切断される。いくつかの別の実施態様では、DNAを切断するため、DNA分解酵素がマンガン存在下で使用され、またはDNAが物理的に切断される(例.超音波処理による)。作成された線状のDNA断片は次に、アガロース及びポリアクリルアミドゲル電気泳動、PCR及びカラムクロマトグラフィーを含むがこれらに限定されない標準的方法により、大きさにより分離され、増幅される。
核酸断片が生じたら、プロテアーゼをコードする特定のDNA断片の同定は多くの方法で達成できよう。例えば、いくつかの実施態様では、タンパク質分解性加水分解酵素をコードするasp遺伝子またはその特異的RNA、または、プローブやプライマーのようなそれらの断片が単離され、ラベルされ、次に本願技術分野の技術者に良く知られているハイブリダイゼーション分析で使用され、生じた遺伝子を検出する(例えば、Benton及びDavis、Science 196:180[1977]参照)。好ましい実施態様では、このプローブと類似する相当の配列を共有するDNA断片群は、中程度から高度に厳密な条件でハイブリダイズする。
いくつかの好ましい実施態様では、増幅は本願技術分野で知られているように、PCRを用いて達成される。いくつかの好ましい実施態様では、SEQIDNO:1−5由来の少なくとも約4個のヌクレオチドと約60個ものヌクレオチドの核酸配列、(つまり断片)、好ましくは約12個から30個のヌクレオチド、及びより好ましくは約25個のヌクレオチドの核酸配列がPCRプライマーとして、いずれかの適当な組合せで使用される。これら同一の断片はまたハイブリダイゼーション及び生成物検出法でもプローブとして使用される。
いくつかの実施態様では、cDNAまたはゲノムライブラリーから本願発明の核酸構造体の単離はこのタンパク質のアミノ酸配列に基づいて調製された縮重したオリゴヌクレオチドプライマー群によるPCRを利用する。これらのプライマーはどのような断片長でも良く、例えば、長さは少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも8個、少なくとも15個、少なくとも20個のヌクレオチド長である。
上記の点から、本明細書に記載のポリヌクレオチド配列で、SEQIDNO1−5のヌクレオチド配列に基づくものが、他の種、特にプロテアーゼB69B4により発現されるセリンプロテアーゼ活性をもつ酵素をコードする細菌由来のポリヌクレオチドと同一の又は相同な断片を得るのに有用であると評価されるであろう。その他の配列は米国特許出願第Ser.No.10/576,331号に記載されている。
IV.本願発明のセリンプロテアーゼの多数の突然変異を受けた変異種
本明細書に記載されているように、特に好ましい実施態様では、本願発明はセリンプロテアーゼの多数の突然変異を受けた変異種を提供する。いくつかの最も好ましい実施態様では、これらの変異種は親(例.野生型)プロテアーゼと比較して性能が向上している。これらの最も好ましい実施態様のいくつかでは、変異種は洗浄性能、LAS安定性、及び/またはタンパク質分解活性が向上している。従って、これらの変異種は皿洗い用洗剤、洗濯用洗剤、及び表面洗浄剤を含むがこれらに限定されない多くの用途がある。
V.本願発明のセリンプロテアーゼの発現と回収
本願発明のセリンプロテアーゼの発現と回収のいずれの適切な方法も本明細書で使用できる。実際、本願発明の技術分野の技術者は、他の追加の酵素(例.プロテアーゼのようなタンパク質分解活性をもつ第2のペプチド、セルラーゼ、マンナナーゼ又はアミラーゼ等)とともに、タンパク質分解活性をもつセルロモナス由来のポリペプチドをクローニングするために適した多くの方法を知っている。追加することを望む配列と組み合わせて本願発明の酵素をコードするポリヌクレオチドの少なくとも1個の(例.多数の)コピーを宿主細胞の遺伝子又はゲノムに導入するための、多くの方法もまた本技術分野で知られている。
一般に、遺伝子をクローニングし、外因性のプロテアーゼをコードする領域(外因性のコード領域の多数のコピーを含む)を前記遺伝子へ導入する標準的手順はセルロモナス(Cellulomonas)69B4プロテアーゼ誘導体またはその相同体を得る際に使用される。実際に、本願明細書は、実施例を含め、そのように教示している。しかし、本願技術分野で知られている他の方法もまた適当である(例えば、Sambrook ら 上記(1989);Ausbelら、上記[1995];及びHarwoodとCutting(編) Molecular Biological Methods for Bacillus John Wiley and Sons,[1990]及びWO96/34946参照)。
いくつかの好ましい実施態様では、本願発明のポリヌクレオチド配列は、適当な発現ベクターの中で発現調節配列にこのポリヌクレオチド配列を機能的に連結することにより発現され、本願技術分野で良く確立されている技術に従い適当な宿主を形質転換するためこの発現ベクターにより使用される。いくつかの実施態様では、本願発明のDNA配列の発現時に産生されるポリペプチドは、本願技術分野で良く確立された技術に従い種々の方法で細胞培養をする醗酵から単離され、精製される。本願技術分野の技術者は最も適した単離及び精製技術を選ぶことができる。
特に、本願発明は、本明細書に記載のポリヌクレオチドを含む構造体、ベクター、そのようなベクターで形質転換された宿主細胞、そのような宿主細胞で発現されたプロテアーゼ、微生物、(特にミクロコッカス亜目(Micrococcinea)に属するもの、セルロモナス(Cellulomonas)種を含むがこれらに限定されない)由来のセリンプロテアーゼ酵素を産生する発現方法とシステムを提供する。いくつかの実施態様では、セリンプロテアーゼをコードするポリヌクレオチドは、セリンプロテアーゼの発現に適した組換え宿主細胞を作成すりために試用される。いくつかの実施態様では、この発現宿主は商業的利用が可能な量でプロテアーゼを産生することができる。米国特許出願第Ser.No.10/576,331号にさらに詳細が記載されている。
VI.組換えベクターと宿主細胞
先に示したように、いくつかの実施態様では、本願発明は先に述べたポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。いくつかの実施態様では、このプロテアーゼをコードするこの発明のベクター(つまり、構造体)は、ゲノム由来である(例.ゲノムのライブラリーを使用し、標準的技術により合成オリゴヌクレオチドのプローブを使用してハイブリダイゼーションによりこのプロテアーゼの全て又は一部をコードするDNA配列のスクリーニングにより調製される)。これらのベクターは米国特許出願Ser.No.10/576,331号に、より詳細に記載されている。
先に示したように、いくつかの実施態様では、本願発明は、また上記のベクターにより形質転換された宿主細胞も提供する。他の宿主細胞は米国特許出願Ser.No.10/576,331号に、より詳細に記載されている。
VII.セリンプロテアーゼ酵素の用途
本明細書にさらに詳細に記載されているように、本願発明のプロテアーゼはある用途に非常に適するようにする重要な特徴を持っている。例えば、本願発明のプロテアーゼは熱的安定性が向上している。いくつかの実施態様では、この酵素は、いくつかの現在使用されているプロテアーゼと比較して、酸化安定性もまた向上し、キレート剤安定性も向上している。従って、これらのプロテアーゼは洗浄組成物に用途がある。実際、ある洗浄条件では、このプロテアーゼは現在使用されているスブチリシン(subtilisin)プロテアーゼと比較して、同程度または向上した洗浄性能を示す。従って、本願発明の洗浄及び/または酵素組成物は種々の洗浄剤組成物に提供されると考えられている。いくつかの実施態様では、本願発明のプロテアーゼはスブチリシンプロテアーゼ(つまり、現在使用されているプロテアーゼ)と同一の方法で利用されている。従って、本願のプロテアーゼは動物飼料、皮革処理(例.なめし剤)、タンパク質加水分解、及び織物産業での用途のほか、種々の洗浄剤組成物に用途がある。
従って、本願発明のプロテアーゼは、多くの産業的用途があり、特に洗浄、殺菌、動物飼料、及び織物/皮革産業に用途がある。いくつかの実施態様では、本願発明のプロテアーゼは、洗剤、研磨剤、漂白剤及び他の従来の成分と組み合わされて、洗濯及び他の洗浄技術、例えば、洗濯洗剤(粉末及び液体)、洗濯用予浸剤、全ての布地漂白剤、自動皿洗機用洗剤(液体及び粉末)、家庭用洗浄剤、特に棒状と液状の石鹸及び排水管洗浄剤等、で有用な種々の新規な組成物洗剤を形成する。加えて、このプロテアーゼは、コンタクトレンズや他の製品を、この洗浄剤組成物の水性溶液と接触させることにより洗浄する用途がある。加えて、これらの天然のプロテアーゼは、例えば、ペプチド加水分解、廃棄物処理、織物産業用途、医療機器洗浄、バイオフィルム除去に、及びタンパク質生産における融合-切断酵素として使用できる。プロテアーゼが、使用条件でその機能を維持する限り、これらの製品群の組成は、本願発明には決定的ではない。いくつかの実施態様では、この組成物は洗浄に効果的な量のプロテアーゼ、またはこのプロテアーゼの酵素剤を含む酵素組成物を、酵素組成物の従来の成分とこの技術分野で認められている量で組み合わせることにより容易に調製される。
実際、種々の洗剤の調合、洗浄用の水量、洗浄用の水温、洗浄時間等、洗浄に使用するプロテアーゼが晒される種々の洗浄条件がある。加えて、異なる地域で使用される洗剤組成物は異なる濃度の関係成分を洗浄用の水に溶かす。例えば、ヨーロッパの洗剤は通常、洗浄用の水に約4500−5000ppmの洗剤成分を溶かす。一方、日本の洗剤は、通常、約667ppmの洗剤成分を洗浄用の水に溶かす。北アメリカ、特に米国では、洗剤は通常、約975ppmの洗剤成分を洗浄用の水に溶かす。
低洗剤濃度システムは、約800ppm未満の洗剤成分を洗浄用の水に溶かす洗剤を含む。日本の洗剤は、約667ppmの洗剤成分を洗浄用の水に溶かすので、通常低洗剤濃度システムである。
中程度の洗剤濃度は約800ppmと約2000ppmの間で、洗剤成分を洗浄用の水に溶かす洗剤を含む。北アメリカの洗剤は、約975ppmの洗剤成分を洗浄用の水に溶かすので、一般的に中程度の洗剤濃度システムであると考えられている。ブラジルのものは約1500ppmの洗剤成分を洗浄用の水に溶かす。
高洗剤濃度システムは約2000ppmより高濃度の洗剤成分が洗浄用の水に溶かす洗剤を含む。ヨーロッパの洗剤は、約4500−5000ppmの洗剤成分を洗浄用の水に溶かすので高洗剤濃度システムであると一般的に考えられている。
ラテンアメリカの洗剤は高濃度石鹸水リン酸研磨剤洗剤(high suds phosphate builder detergent)であり、ラテンアメリカで使用される洗剤の範囲は、1500ppmから6000ppmの洗剤成分が洗浄用の水に溶けるので、中程度及び高洗剤濃度の両者に属し得る。先に述べたように、ブラジルのものは通常、約1500ppmの洗剤成分を洗浄用の水に溶かす。しかし、他のラテンアメリカ諸国に限らず、他の高濃度石鹸水リン酸研磨剤洗剤地域は、約6000ppmまでの洗剤成分を洗浄用の水に溶かす高洗剤濃度システムをもつかもしれない。
先に述べたことから、世界中の通常の洗浄溶液の洗剤成分の濃度は、約800ppm未満の洗剤組成物(「低洗剤濃度地域」)、例えば日本では約667ppm、から約800ppmと約2000ppmの間(「中程度の洗剤濃度地域」)、例えば米国で約975ppm、及びブラジルで約1500ppm、さらに約2000ppmより高濃度(「高洗剤濃度地域」)、例えば、ヨーロッパで約4500ppmから約5000ppm及び高濃度石鹸水リン酸研磨剤洗剤地域で約6000ppm、に及ぶことが明らかである。
通常の洗浄液の濃度は実験的に決定される。例えば、米国では、通常の洗濯機は約64.4Lの容量の洗濯液を保持する。従って、約975ppmの洗剤濃度を洗浄液に得るためには約62.79gの洗剤組成物64.4Lの洗浄液に加えられなければならない。この量は洗剤に付けられた秤量カップを使用して消費者が洗浄用の水に量り入れる通常の量である。
別の例として、異なった地域では異なる洗濯温度を用いる。日本では洗濯水の温度は通常、ヨーロッパで使用されるよりも通常低い。例えば、北アメリカと日本の洗濯水の温度は10℃と30℃の間(例えば、約20℃)であり得るが、ヨーロッパの洗濯水の温度は通常30℃と60℃の間である(例.約40℃)。
別の例として、地域性は、通常、水の硬度の違いを含む。水の硬度は普通、ガロン(gallon)当たりのCa2+/Mg2+を併せたグレイン(grain)により表される。硬度は水に含まれるカルシウム(Ca2+)とマグネシウム(Mg2+)の量の尺度である。米国の大部分の水は硬水であるが、硬度はかわる。中程度の硬水(60−120ppm)から硬水(121−181ppm)は、60から181ppm(ppmのUSガロン当たりのグレインへの変換は、17.1でppmを割って得られる)の硬度の鉱物を含む(表13−1参照)。
ヨーロッパの水の硬度は通常、Ca2+/Mg2+総量がガロン当たり10.5(例.10.5−20.0)グレインより大きい(例.Ca2+/Mg2+総量がガロン当たり約15グレイン)。北アメリカの水の硬度は通常日本の水の硬度より大きく、ヨーロッパの水の硬度より小さい。例えば、北アメリカの水の硬度は3から10グレインの間、3−8グレイン又は約6グレインでありうる。日本の水の硬度は通常、北アメリカの水の硬度より低く、普通、4より小さく、例えばガロン当たり3グレインのCa2+/Mg2+総量である。
従って、いくつかの実施態様では、本願発明は少なくとも一組の洗浄条件(例.水温、水の硬度、及び/または洗剤濃度)で驚くべき洗浄性能を示すプロテアーゼを提供する。いくつかの実施態様では、本願発明のプロテアーゼは洗浄性能においてスブチリシン(subtilisin)プロテアーゼに匹敵する。いくつかの実施態様では、本願発明のプロテアーゼはスブチリシンプロテアーゼと比較して向上した洗浄性能を示す。従って、本願発明のいくつかの好ましい実施態様では、本明細書に記載のプロテアーゼは、向上した酸化安定性、向上した熱的安定性、及び/または向上したキレート安定性を示す。
いくつかの実施態様では、本願発明はこのプロテアーゼの相同種及び変異種のほか、ASPプロテアーゼを提供する。特に好ましい実施態様では、このASP変異種は野生型ASPプロテアーゼ配列に多くの置換を受けている。これらのプロテアーゼは布地からタンパク質に基づく汚れを洗浄するためことを望むいずれの用途にも使える。
いくつかの実施態様では、本願発明の洗浄剤組成物は、皿洗いのほか、洗濯用添加物組成物、汚れた布地の前処理での使用に適した組成物、すすぎで加えられる柔軟剤組成物、及び家庭内の硬い表面一般の洗浄作業で使用する組成物を含む手洗い及び機械洗い用洗剤組成物として調合されている。本願技術分野の者は洗浄剤組成物として使用しうる種々の調合についてよく知っている。好ましい実施態様では、本願発明のプロテアーゼは洗剤組成物で、同程度又は向上した性能をもつ(つまり、他のプロテアーゼと比較したとき)。いくつかの実施態様では、洗浄性能は、標準的方法である、タマゴ、草、血液、牛乳等の酵素に感受性のある汚れを用いる種々の洗浄分析において、本願発明のプロテアーゼをスブチリシン(subtilisin)プロテアーゼと比較して評価される。実際、本願技術分野の者は、標準的洗浄サイクル条件下、洗浄剤性能を評価するために使用される分光学的及び他の分析的方法を良く知っている。
本願発明に使用される分析はWO99/34011及び米国特許第6,605,458号(例えば実施例3を参照)で記載された分析を含むがこれらに限定されない。米国特許第6,605,458号、実施例3においては、撹拌子を使用した150mLのガラスビーカー中で、pH10.5で3.0g/l洗剤量、15℃で15分の洗濯時間、水の硬度6°dH,10nMの酵素濃度、50ml中に5枚の布地片(ファイ2.5cm)、試験物質センター、オランダ(Center for Test Material Holland)のEMPA117試験物質が使用されている。試験物質に関し反射率“R”の測定はMacbeth ColorEye 7000光度計を用いて460nmで行われた。その他の方法は本明細書の実施例に記載されている。このように、これらの方法もまた、本願発明で使用されている。
従来の洗浄剤組成物に本発明のプロテアーゼを添加することにより、特に用途が限定されることはない。言い換えれば、pHが本明細書に記載した範囲内にある限り、温度が記載されているプロテアーゼの変性温度より低い限り、その洗剤に適したどのような温度、pHもまた、本願の組成物に適している。加えて、本願発明のプロテアーゼは洗剤を含まない、プロテアーゼのみの、又は研磨剤、安定剤と組み合わされた組成物に使用できる。
洗浄剤組成物又は洗剤において使用する場合、酸化に対する安定性がさらに考慮される。つまり、種々の用途に安定性は求められるが、いくつかの用途では、安定性は、向上し、低下し又はスブチリシン(subtilisin)プロテアーゼに匹敵する。いくつかの好ましい実施態様では、酸化安定性は向上することが求められる。本願発明のプロテアーゼのいくつかはそのような用途に特に用いられる。
洗浄剤組成物または洗剤の中で使用されるときは、熱的安定性がさらに考慮される。つまり、種々の用途に安定性は求められるが、いくつかの用途では、安定性は向上し、低下しまたはスブチリシン(subtilisin)プロテアーゼに匹敵する。いくつかの好ましい実施態様では、熱的安定性が向上することが望ましい。本願発明のプロテアーゼのいくつかはそのような用途に特に用いられる。
洗浄剤組成物又は洗剤の中で使用される場合、キレート剤に対する安定性がさらに考慮される。つまり、種々の用途に安定性は求められるが、いくつかの用途では、この安定性は向上し、低下しまたはスブチリシン(subtilisin)プロテアーゼに匹敵する。いくつかの好ましい実施態様では、キレート剤安定性は向上することが求められる。本願発明のプロテアーゼのいくつかはそのような用途に特に使用される。
本願発明のいくつかの実施態様では、スブチリシンプロテアーゼと比較したとき異なるpHで修飾された酵素活性を示す天然のプロテアーゼが提供される。pH-活性プロファイルは酵素活性対pHのプロットであり、実施例に記載されているように作成されても良く、及び/または本願発明の技術分野で知られている方法で作成されても良い。いくつかの実施態様では、より広いプロファイル(つまり、比較のスブチリシンプロテアーゼよりpHの範囲で高い活性をもつもの)をもつ天然のプロテアーゼを得ることが望ましい。他の実施態様では、この酵素はいずれのpHでも有意に高い活性をもたない、またはより鋭いプロファイル(つまり、所与のpHでは、スブチリシンプロテアーゼと比較したとき活性が向上し、他の領域では活性が低いもの)をもつ天然の相同体である。つまり、種々の実施態様では、本願発明のプロテアーゼ群は最適なpH及び/またはpH範囲が異なっている。本願発明はいずれか特定のpHまたはpH範囲に限定することを意図していない。
本願発明のいくつかの実施態様では、洗浄剤組成物は、69B4及び/または本願発明の他のプロテアーゼをこの組成物の重量に対し0.00001%から10%の水準で、本願発明のプロテアーゼを含み、この組成物の重量の残部(例.99.999%から90.0%)は、洗浄添加剤を含む。本願発明の他の面では、本願発明の洗浄剤組成物は69B4と/または他のプロテアーゼを、この組成物の重量に対し0.0001%から10%、0.001%から5%、0.001%から2%、0.005%から0.5%の水準で含み、洗浄剤組成物の残部(例.重量で99.9999%から90.0%、99.999%から98%、99.995%から99.5%)は洗浄添加剤を含む。
いくつかの実施態様では、好ましい洗浄剤組成物は、本発明のプロテアーゼ調合剤に加え、洗浄性能を与え、及び/または布地を保護する効果を与える1以上の追加の酵素または酵素誘導体を含む。そのような酵素は、他のプロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、パーオキシダーゼ、オキシダーゼ(例.ラッカーゼ)と/またはマンナナーゼを含むがこれらに限定されない。
アルカリ溶液での使用に適するいずれか他のプロテアーゼは本願発明の組成物で使用される。適当なプロテアーゼは動物、植物または微生物由来のものを含む。特に好ましい実施態様では、微生物のプロテアーゼが使用される。いくつかの実施態様では、化学的にまたは遺伝学的に修飾された突然変異体が含まれる。いくつかの実施態様では、このプロテアーゼはセリンプロテアーゼであり、好ましくはアルカリ性微生物プロテアーゼまたはトリプシン様プロテアーゼである。アルカリ性プロテアーゼの例はスブチリシン類(subtilisins)、特にバシラス(Bacillus)属由来(例.スブチリシン、レンタス(lentus)、アミロリケファシエンス(amyloliquefaciens)、スブチリシンカールスベルク(subtilisin Carlsberg)、スブチリシン309、スブチリシン147とスブチリシン168)のものである。その他の例は米国特許第 RE34,606号、5,955,340号、5,700,676号、6,312,936号及び6,482,628号で記載されているこれらの突然変異プロテアーゼを含み、これらの全ては引用により本明細書に含める。その他のプロテアーゼの例は、トリプシン(例.ブタまたはウシの)、及びWO89/06720に記載のヒプロテアーゼ(hprotease)を含むがこれらに限定されない。好ましい市販のプロテアーゼ酵素は、MAXATASE(登録商標)、MAXACALTM、MAXAPEMTM、OPTICLEAN(登録商標)、OPTIMASE(登録商標)、PROPERASE(登録商標)、PURAFECT(登録商標)及びPURAFECT(登録商標)OXP(Genencor)の製品名で販売されているもの、ALCALASE(登録商標)、SAVINASE(登録商標)、PRIMASE(登録商標)、DURAZYMTM、RELASE(登録商標)及びESPERASE(登録商標)(Novozymes) の製品名で販売されているもの、BLAPTM(Henkel Kommanditgesellschaft auf Akiten, Dusseldorf, Germany)の製品名で販売されているものを含む。 種々のプロテアーゼがWO95/23221、WO92/21760及び米国特許第5,801,039号、5,340、735号、5,500,364号、5,855,625号に記載されている。他のBPN‘変異種(「BPN‘変異種1」と本明細書では記載する)は米国特許第RE34,606号に記載されている。別のGC36変異種(「GC36変異種1」と本明細書では記載する)は米国特許第5,955,340号、5,700,676号に記載されている。さらに、GG-36変異種は、米国特許第6,312,936号及び第6,482,628号に記載されている。本願発明の一面では、本願発明の洗浄剤組成物はこの組成物の重量に対し0.00001%から10%までの水準で別のプロテアーゼ酵素を含み、重量に対し99.999%から90.0%の洗浄添加剤を含む。本願発明の他の実施態様では、本願発明の洗浄剤組成物はまた、この組成物の重量で0.0001%から10%、0.001%から5%、0.001%から2%、0.005%から0.5%の水準で69B4プロテアーゼ(またはその相同体または変異種)を含み、洗浄剤組成物の残部(例.重量で99.9999%から90.0%、99.999%から98%、99.995%から99.5%)は洗浄添加剤を含む。
加えて、アルカリ溶液での使用に適したどのようなリパーゼも本願発明に使用される。適したリパーゼは細菌または菌類に由来するものを含むが、これらに限定されない。化学的にまたは遺伝子学的に修飾された突然変異体は本願発明に含まれる。有用なリパーゼの例は、ヒューミコラ・ラヌギノザ(Humicola lanuginose)リパーゼ(例.EP258068とEP305216参照)、リゾムコール・ミヘイ(Rhizomucor miehei)リパーゼ(例.EP238023参照)、カンジダ(Candida)リパーゼ、例えばC.アンタークチカリパーゼ(例えば、C.アンタークチカ(C.antarctica)リパーゼAまたはB;EP214716参照)、シュードモナス(Pseudomonas)リパーゼ、例えばP.アルカリゲネス(P.alcaligenes)と、P.シュードアルカリゲンス(P.pseudoalcaligenes)リパーゼ(例えばEP218272号参照)、P.セパシア(P.cepacia)リパーゼ(例えばEP331376号参照)、P.スタットゼリ(P.stutzeri)リパーゼ(GB1,372,034号参照)、P.フルオレセンス(P.fluorescence)リパーゼ、バシラス(Bacillus)リパーゼ(例.B.スブチリス(B.subtilis)リパーゼ[Dartoisら、Biochem. Biophys. Acta 1131:253-260[1993]])、B.ステアロテルモフィラス (B.stearothermophilus) リパーゼ[例えばJP64/744992参照]及びB.パミラス(B.pumilus)リパーゼ[例えばWO91/16422参照])を含む。
さらに、多くのクローンされたリパーゼが本願発明のいくつかの実施態様で使用される。ペニシリウム・カメンベルチ (Penicillium camembertii) リパーゼ(Yamaguchiら、Gene 103:61-67[1991]参照)、ゲオトリカム・カンジダム(Geotricum candidum)リパーゼ(Schimadaら、J.Biochem.,106:383-388[1989])及び種々のリゾパス(Rhizopus)リパーゼ、例えば、R.ニベウス(R.niveus)リパーゼ(Kugimiyaら、Biosci.Biotech.Biochem.56:716-719[1992])及びR・オリゼ(R. oryzae)リパーゼを含むがこれらに限定されない。
他の種類の、クチナーゼ(cutinase)のような脂肪分解酵素もまた、本願発明のいくつかの実施態様で使用され、シュードモナス・メンドシナ(Pseudomonas mendocina)由来のクチナーゼ(cutinase)(WO88/09367参照)、またはフザリウム・ソラニ・ピシ(Fusarium solani pisi)由来のクチナーゼ(WO90/09446参照)を含むが、これらに限定されない。
その他の適したリパーゼは、M1 LIPASETM、LUMA FASTTM及びLIPOMAXTM(Genencor)、LIPOLASE(登録商標)とLIPOLASE(登録商標)ULTRA(Novozymes)及びLIPASE PTM”Amano”(アマノ薬品株式会社、日本)のような市販のリパーゼを含む。
本願発明のいくつかの実施態様では、本願発明の洗浄組成物はさらに、この組成物の重量に対して0.00001%から10%の水準で別のリパーゼを含み、残部は洗浄添加剤である。本願発明の他の面では、本願発明の洗浄組成物は、この組成物の重量に対し0.0001%から10%、0.001%から5%、0.001%から2%、0.005%から0.5%の水準でリパーゼも含む。
アルカリ溶液での使用に適したいずれのアミラーゼ(アルファ及び/またはベータ)も、本願発明のいくつかの実施態様で使用される。適したアミラーゼは、細菌又は菌類由来のものを含むがこれらに限定されない。化学的にまたは遺伝学的に修飾された突然変異体がいくつかの実施態様に含まれる。本願発明に使用されるアミラーゼは、B.リケニホルミス(B. licheniformis)(例えば、GB1,296,839参照)から得られるα−アミラーゼを含むがこれに限定されない。本願発明に使用される市販のアミラーゼは、DURAMYL(登録商標)、TERMAMYL(登録商標)、FUNGAMYL(登録商標)、STAINZYME(登録商標)とBANTM(Novozymes)とRAPIDASE(登録商標)とMAXAMYL(登録商標)P(Genencor International)を含むがこれらに限定されない。本願発明のいくつかの実施態様では、本願発明の洗浄剤組成物は、組成物の重量に対しさらに0.00001%から10%の水準で別のアミラーゼを含み、残部は洗浄添加剤である。本願発明の他の面では、本願発明の洗浄剤組成物はまた、組成物の重量に対し0.0001%から10%、0.001%から5%、0.001%から2%、0.005%から0.5%の水準でアミラーゼを含む。
アルカリ溶液での使用に適したいずれかのセルラーゼも、本願発明の実施例で使用される。適したセルラーゼは、細菌または菌類由来の物を含むがこれらに限定されない。化学的にまたは遺伝学的に修飾された突然変異体はいくつかの実施態様に含まれる。適したセルラーゼは、ヒューミコラ・インソレンス(Humicola insolens)セルラーゼ(米国特許第4,435,307号参照)を含むがこれに限定されない。特に適したセルラーゼは色を保護する利点をもつセルラーゼである(例えば、EP0495257参照)。
本願発明に用途のある市販のセルラーゼは、CELLUZYME(登録商標)(Novozymes)とKAC−500(B)TM(Kao Corporation)を含むがこれらに限定されない。いくつかの実施態様では、セルラーゼは成熟した野生型または変異セルラーゼの一部又は断片として組み入れられ、N末端の一部が切断されている(米国特許第5,874,276号参照)。
いくつかの実施態様では、本願発明の洗浄組成物は、組成物の重量に基づき0.0001%から10%の水準でさらに別のセルラーゼを含み、残部は洗浄添加剤である。本願発明の他の面では、本願発明の洗浄剤組成物は、組成物の重量に基づき0.0001%から10%、0.001%から5%、0.001%から2%、0.005%から0.5%の水準でセルラーゼをも含む。
洗剤組成物及びまたはアルカリ溶液での使用に適したいずれのマンナナーゼも本願発明で使用される。適したマンナナーゼは細菌または菌類由来のものを含むがこれらに限定されない。化学的にまたは遺伝学的に修飾された突然変異体はいくつかの実施態様に含まれる。本願発明に用途のある種々のマンナナーゼが知られている(米国特許第6,566,114号、米国特許第6,602,842号、米国特許第6,440,991号を参照。これら全ては引用により本明細書に組み入れられる。)
いくつかの実施態様では、本願発明の洗浄剤組成物はさらに組成物の重量に基づき0.00001%から10%の水準で別のマンナナーゼを含むことができ、残部は洗浄添加剤である。本願発明の他の面では、本願発明の洗浄剤組成物は、また、組成物の重量に基づき、0.0001%から10%、0.001%から5%、0.001%から2%、0.005%から0.5%の水準でマンナナーゼをも含む。
いくつかの実施態様では、ペルオキシダーゼが過酸化水素またはその発生源(例.過炭酸塩、過ホウ酸塩、過硫酸塩)と組み合わせて使用される。別の実施態様では、酸化酵素が酸素と組み合わされて使用される。両タイプの酵素は、「溶液漂白(solution bleaching)」(つまり、洗濯液中で共に洗濯するとき染色された布地から他の布地へ布地の染料が移ることを防ぐ)のために、好ましくは強化剤(例えば、WO94/12621及びWO95/01426参照)とともに使用される。適したペルオキダーゼ/酸化酵素は、植物、細菌または菌類由来のものを含むがこれらに限定されない。化学的または遺伝学的に修飾された突然変異体がいくつかの実施態様に含まれる。
いくつかの実施態様では、本願発明の洗浄剤組成物はさらにペルオキシダーゼ及び/または酸化酵素を、組成物の重量を基準に0.00001%から10%の水準でペルオキシダーゼ及び/または酸化酵素を追加して含み、残部は組成物の重量を基準として洗浄添加剤である。本願発明の他の面では、本願発明の他の洗浄剤組成物はまた、組成物の重量を基準に、0.0001%から10%、0.001%から5%、0.001%から2%、0.005%から0.5%のペルオキシダーゼ及び/または酸化酵素をも含む。
上述した酵素の混合物は、本明細書含まれ、特に69B4酵素、1以上の他のプロテアーゼ、少なくとも1個のアミラーゼ、少なくとも1個のリパーゼ、少なくとも1個のマンナナーゼ、及び/または少なくとも1個のセルラーゼからなる混合物が含まれる。実際に、種々のこれらの酵素混合物は本願発明での使用が考慮されている。
種々の水準のプロテアーゼと1以上の別の酵素は両者ともそれぞれ10%までの範囲であっても良く、洗浄剤組成物の残部は洗浄剤添加剤である。洗浄剤添加剤の種類の選択は、洗浄を受ける表面、製品又は布地、使用時の洗浄条件に適した望ましい形態(例えば、洗剤用)を考慮することにより容易に行われる。
適した洗浄添加剤の例は、界面活性剤、研磨剤、漂白剤、漂白活性剤、漂白触媒、他の酵素、酵素を安定化する系、キーラント(chelant)、漂白蛍光剤(optical brightener)、土剥離ポリマー(soil release polymers)、染料転移剤(dye transfer agents)、懸濁剤(dispersant)、発泡抑制剤(suds suppressors)、染料、香料、色素、増量剤である塩、ヒドロトロープ(hydrotrope)、光活性化剤、蛍光剤、布地の柔軟剤、加水分解性界面活性剤、保存料、抗酸化剤、抗収縮剤、しわの防止剤、殺菌剤、抗かび剤、カラースペクル(color speckle)、シルバーケア(silvercare)、曇り防止剤(anti-tarnish)及び/または腐食防止剤、アルカリ性供与剤(alkalinity sources)、溶解剤、担体、処理助剤、顔料、及びpH調整剤(米国特許第6,610,642号、6,605,458号、5,705,464号、5,710、115号、5,698、504号、5,695,679号、5、686、014号及び5、646、101号、これら全ては引用により本明細書に組み入れられる。)特定の洗浄剤組成物の実施態様は下記に詳細に例示されている。
洗浄添加剤が、洗浄剤組成物の中で、本願発明のプロテアーゼと合わせることができない場合、両成分を合わせることが適当であるときまで、洗浄添加剤とプロテアーゼを分離(つまり、互いに接触しない)しておく方法が使用される。そのような分離は本願発明の技術分野(つまり、ゲルキャップ、カプセル化、錠剤、物理的分離など)で知られているいずれか適当な方法を含む。
好ましくは、本明細書に与えられている1以上のプロテアーゼの有効量が、タンパク質性の汚れの除去が必要な種々の表面を洗浄するために有用な組成物中に含まれている。そのような洗浄剤組成物は硬い表面、布地、皿の洗浄のような用途のための洗浄剤組成物を含む。実際、いくつかの実施態様では、本願発明は布地洗浄剤組成物を提供するが、他方、他の実施態様では、本願発明は布地以外の製品の洗浄剤組成物を提供する。特に、本願発明は、また、口の衛生管理(入れ歯洗浄剤組成物のほか、デントリフィス(dentrifice)、練歯磨き、口腔洗浄液など)、皮膚、髪の洗浄組成物等の人に適した洗浄剤組成物も提供する。本願発明は、いずれの形態の洗浄剤組成物も含むことが意図されている(つまり、液体、顆粒、塊状、半固体、ゲル、懸濁液、錠剤、カプセルなど)。
例によって、本願発明のプロテアーゼが使用されるいくつかの洗浄剤組成物が下記にさらに詳細に述べられている。本願発明の洗浄剤組成物が洗濯機による洗濯での使用に適した組成物として調合されている実施態様においては、本願発明の組成物は、有機ポリマー化合物、漂白剤、他の酵素、発泡抑制剤、懸濁剤、石灰―石鹸懸濁剤、土懸濁(soil suspension)及び再付着防止剤(anti-redeposition agent)及び腐食抑制剤から好ましくは選択される1以上の洗浄添加剤のほか、好ましくは少なくとも1個の界面活性剤と少なくとも1個の研磨剤化合物を含む。いくつかの実施態様では、洗濯組成物は、また柔軟剤(つまり、追加の洗浄添加剤として)も含む。
本願発明の組成物はまた、固体または液体で洗浄剤添加物としても使用される。そのような添加物は従来の洗浄剤組成物の性能を補う及び/または促進することが意図され、洗浄のいずれの段階にも加えることができる。
手洗いによる皿の洗浄に用いられる組成物として調合された実施態様では、本発明の組成物は好ましくは、少なくとも1個の界面活性剤、好ましくは、有機ポリマー化合物、発泡促進剤(suds enhancing agent)、第II族金属イオン、溶媒、ヒドロトロープス及び他の酵素から選択される少なくとも1の洗浄添加剤が追加される。
いくつかの実施態様では、本明細書の洗濯用洗剤組成物の密度は、20℃で測定された場合、400から1200g/リットルの範囲であり、一方、他の実施態様では、500から950g/リットルの範囲にある。
いくつかの実施態様では、米国特許第6,605,458号に記載されているような種々の洗浄剤組成物は、本願発明のプロテアーゼとともに使用される。つまり、いくつかの実施態様では、本願発明の少なくとも1のプロテアーゼを含む組成物は、コンパクトな顆粒状布地洗浄剤組成物であり、一方、他の実施態様では、この組成物は色のついた布地の洗濯に有用な顆粒状布地洗浄剤組成物であり、さらに他の実施態様では、この組成物は、洗浄性能を通じて柔軟化する顆粒状布地洗浄剤組成物であり、別の実施態様では、この組成物は過酷な条件に耐える液体布地洗浄組成物である。
いくつかの実施態様では、本願発明の少なくとも1のプロテアーゼを含む組成物は米国特許第6、610、642号及び米国特許第6,376,450号で記載されたような布地洗浄剤組成物である。加えて、本願発明のプロテアーゼはヨーロッパ又は日本の洗濯条件で特に有用な顆粒状洗剤組成物に使用される(例 米国特許第6,610,642号参照)。
別の実施態様では、本願発明は、本明細書に記載されている少なくとも1個のプロテアーゼを含む硬い表面の洗浄剤組成物を提供する。つまり、いくつかの実施態様では、少なくとも1の本願発明のプロテアーゼを含む組成物は、米国特許第6,610、642号、米国特許第6、376、450号、米国特許第6、376、450号で記載されているような硬い表面の洗浄剤組成物である。
さらにいくつかの実施態様では、本願発明は、本明細書に記載されている少なくとも1のプロテアーゼを含む皿洗い組成物を提供する。つまり、いくつかの実施態様では、本願発明の少なくとも1のプロテアーゼを含む組成物は米国特許第6、610、642号及び米国特許第6,376、450号の組成物のような硬い表面の洗浄剤組成物である。
さらに他の実施態様では、本願発明は本明細書に記載された少なくとも1のプロテアーゼを含む皿洗い洗浄剤組成物を提供する。つまり、いくつかの実施態様では、本願発明の少なくとも1のプロテアーゼを含む組成物は米国特許第6,376,450号と米国特許第6,376,450号の組成物のような口内衛生用組成物を含む。
本組成物と洗浄添加剤の処方と性状は先に述べた米国特許第6,376,450号、第6,605,458号に含まれている。米国特許第6,605,458号と第6,610,642号は、引用により本明細書に明示的に組み入れられる。さらに他の例は下記の実施例に記載されている。
さらに、本願発明は、プロテアーゼが、本願発明に従い食品又は動物飼料と混合されている点で特徴のある、食品又は動物飼料の組成物と生産方法を提供する。いくつかの実施態様では、プロテアーゼは加工前に乾燥した製品として加えられ、一方、他の実施態様では、加工前又は後に液体として加えられる。乾燥粉末が使用されるいくつかの実施態様では、この酵素は、粉にした穀物のような乾燥した担体上に液体として加えられ希釈される。本願発明のプロテアーゼは、米国特許第5,612,055号、米国特許第5,314,692号及び米国特許第5,147,642号で記載されているような動物飼料の成分及び/または添加剤の成分として使用される。これらの特許全ては引用により本明細書に組み入れられる。
本願発明による酵素飼料添加物は、多くの方法で調製するのに適している。例えば、いくつかの実施態様では、酵素混合物を生産するため、適した活性をもつ異なる酵素を単に混合することにより調製される。いくつかの実施態様では、この酵素混合物は、直接に飼料と混合され、一方、他の実施態様では、これは粉砕された小麦粉、トウモロコシ粉、大豆の粉のような穀物加工食品(cereal)の担体に混合される。、これらの酵素が添加された穀物加工食品の担体は、酵素飼料添加剤として用途があるので、本願発明はまた、これらの酵素が添加された担体も含む。
いくつかの別の実施態様では、穀物加工食品の担体(例.小麦粉又はトウモロコシの粉)は、適当な活性をもつ酵素群と同時にまたは連続的に混合される。例えば、いくつかの実施態様では、小麦粉である担体は最初にキシラナーゼにより、二番目にプロテアーゼにより噴霧され、そして任意に、β―グルカナーゼにより噴霧される。本願発明は、また、これらの混合された担体が、酵素飼料添加物として使用されるので、これらの混合された担体も含む。好ましい実施態様では、これらの混合された担体は、本願発明の少なくとも1のプロテアーゼを含む。
いくつかの実施態様では、本願発明の飼料添加物は動物飼料と直接に混合される。一方、別の実施態様では、ビタミン飼料添加物、無機物飼料添加物、及び/またはアミノ酸飼料添加物のような1以上の他の飼料添加物と混合される。いくつかの異なる種類の成分を含む得られた飼料添加物は次に適量が飼料と混合される。
いくつかの好ましい実施態様では、本願発明の飼料添加剤は、穀物加工食品の担体を含め、通常、飼料1キログラム当たり0.01−50gで混合され、より好ましくは、0.1−10g/キログラム、最も好ましくは約1g/キログラムで混合される。
別の実施態様では、本願発明の酵素飼料添加剤は、望ましい相対量で望ましい酵素を産生する組換え微生物群の構築を含む。いくつかの実施態様では、これは本願発明の少なくとも1のプロテアーゼをコードする遺伝子のコピー数を増やすこと、及び/またはプロテアーゼをコードするポリヌクレオチドに機能的に連結している適度に強いプロモーターを使用することにより達成される。別の実施態様では、組換え微生物株は、望みに応じ、ある酵素活性(例.セルラーゼ、エンドグルカナーゼなど)が削除されている。
他の実施態様では、本願発明により与えられる酵素飼料添加剤は、また少なくとも1つのキシラナーゼ、α−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、α−ガラクトシダーゼ、フィターゼ、及び/またはリパーゼを含むがこれらに限定されない他の酵素も含む。いくつかの実施態様では、望ましい活性をもつ酵素は、これらが穀物加工食品の担体と混合される前にキシラナーゼとプロテアーゼと混合され、またはこれらの酵素が穀物加工食品の担体上に同時に又は連続的に混合される。この担体は次に、穀物加工食品を材料とする飼料と混合され、目的の飼料を作る。別の実施態様では、この酵素飼料添加剤は、各酵素の活性をもつ溶液として調製され、次に小球またはマッシュ(mash)にされた飼料と混合される。
さらに別の実施態様では、この酵素飼料添加剤は、第二の(つまり、異なる)飼料または動物の飲料水に混合することにより動物のえさに混合される。従って、穀物加工食品を材料にする飼料との混合は、本願発明の特に好ましい実施態様ではあるが、本願発明により提供される酵素混合物がそのように混合されることが、必須であるわけではない。
1gの飼料添加剤当たりのキシラナーゼ活性対1gの飼料添加剤当たりのプロテアーゼ活性の比は好ましくは、1:0.001−1,000、より好ましくは1:0.01−100、及び最も好ましくは1:0.1−10である。上記に示すように、本願発明により提供される酵素混合物は、好ましくは穀物加工食品を材料とする飼料の調製において飼料添加剤として使用される。
いくつかの実施態様では、穀物加工食品を材料とする飼料は重量で少なくとも25%の、より好ましくは、重量で少なくとも約35%の、小麦又はトウモロコシ又は両者の穀物加工食品の組合せを含む。この飼料は更に、プロテアーゼ(つまり、少なくとも本願発明の少なくとも1のプロテアーゼ)を、1kg当たり100−100,000単位のプロテアーゼ活性を飼料が含むような量で含む。
本願発明に与えられている穀物加工食品を材料とする飼料は、本願発明に従い、家禽(例.七面鳥、ガチョウ、アヒル、にわとりなど)、家畜(例.ブタ、羊、ウシ、ヤギなど)及び愛玩用動物(例.馬、犬、猫、ウサギ、ねずみなど)等の種々の動物用の飼料として使用される。この飼料は特に、家禽とブタに、特にブロイラー用にニワトリに適している。
本願発明はまた、本願発明のプロテアーゼのうち少なくとも1つを含む布地の処理用の組成物も与える。いくつかの実施態様では、本願発明の少なくとも1つのプロテアーゼは、絹又は羊毛の処理に適した組成物の成分である(米国再発行 特許第216,034号、EP134,267号、米国特許第4,533,359号及びEP344,259号参照)。
加えて、本願発明のプロテアーゼはフィチン酸塩からリンを分離することが望ましい種々の用途に使用される。従って、本願発明は、また、性質が改善された羊毛や動物の毛を生産する方法もまた与える。いくつかの好ましい実施態様では、これらの方法は羊毛、羊毛繊維または動物の毛からなる物質をプラズマ処理やDelhey処理からなる群から選択される工程で前処理する段階と、前処理された羊毛又は動物の毛が、その性質を改善するために効果のある量でタンパク質分解性酵素(例.少なくとも本願発明の1のプロテアーゼ)による処理を受ける段階を含む。いくつかの実施態様では、タンパク質分解酵素による処理はプラズマ処理の前に行い、一方、他の実施態様では、プラズマ処理の後に行う。さらにいくつかの実施態様では、それは分離した段階として行われるが、他の実施態様では、羊毛又は動物の毛の洗浄または染色と組み合わせて行われる。別の実施態様では、少なくとも1の界面活性剤及び/または少なくとも1の柔軟剤が、この酵素処理段階に加えられるが、他の実施態様では、界面活性剤及び/または柔軟剤は、羊毛と動物の毛が柔軟化処理を受ける別の段階に加えられる。
いくつかの実施態様では、本願発明の組成物は、羊毛繊維を縮みにくくする方法において使用される(JP 4−327274参照)。いくつかの実施態様では、本組成物は羊毛繊維を低温プラズマ処理し、続いてブロック-ウレタン樹脂、ポリアミドエポクロロヒドリン樹脂、グリオキシル酸樹脂、エチレンーウレア樹脂またはアクリル樹脂のような、縮みにくい樹脂による処理を受け、次いで柔軟化効果を得るために重量を減量させるタンパク質分解酵素による処理を施すことによる羊毛繊維を縮みにくくする処理法で使用される。いくつかの実施態様では、プラズマ処理段階は低温処理、好ましくはコロナ放電処理又はグロー放電処理である。
いくつかの実施態様では、低温プラズマ処理はガス、好ましくは空気、酸素、窒素、アンモニア、ヘリウム又はアルゴンからなる群から選択されるガスを用いて行われる。
従来から、空気が使用されているが、他の示したガスのいずれかを使用することが有利かもしれない。
好ましくは、低温プラズマ処理は約0.1torrと5torrの間の圧力で約2秒から約300秒、好ましくは約5秒から約100秒、より好ましくは約5秒から約30秒行われる。
上記のように、本願発明はDelhay処理(例えば、DE−A−4332692号参照)のような方法と組み合わせて使用される。この処理では、羊毛は可溶性タングステン酸塩の存在下、過酸化水素の水溶液中で処理を受け、任意に、羊毛の耐フェルト化性(anti-felting properties)を向上させるため合成ポリマーの溶液または懸濁液中で処理を受ける。本法では、羊毛は過酸化水素水溶液中(0.1−35%(w/w)、好ましくは2−10%(w/w))で、2−60%(w/w)、好ましくは8−20%(w/w)の触媒(好ましくは、Na2WO4)存在下、そして非イオン性湿潤剤存在下で、処理される。好ましくは、本処理はpH8−11で、室温で実施される。処理時間は過酸化水素と触媒濃度に依存する。しかし、好ましくは2分またはそれ未満である。酸化処理の後、羊毛は水で濯ぎを受ける。残存過酸化水素の除去のため、そして任意に漂白を追加して行うため、羊毛はさらに還元剤(例.亜硫酸塩、ホスホン酸塩等)の酸性溶液で処理を受ける。
いくつかの実施態様では、本酵素処理は約1分から約120分の間で行われる。本段階は好ましくは、約20℃から約60℃の温度で実施され、より好ましくは約30℃から約50℃の間で行われる。または、羊毛は水性の酵素溶液に浸漬されまたは、これを含ま(pad)され、従来の温度と圧力、通常約30秒から約3分で蒸気処理される。いくつかの実施態様では、タンパク質分解酵素処理は、緩衝剤を含みうる酸性、中性またはアルカリ性の溶媒中で行われる。
別の実施態様では、本酵素処理段階は、1以上の従来のアニオン性、非イオン性(例.ドバノール(Dobanol );Henkel AG)またはカチオン性の界面活性剤の存在下で行われる。有用な非イオン性界面活性剤の例はドバノール(;Henkel AG製)である。さらに別の実施態様では、羊毛または動物の毛は、タンパク質分解性酵素での処理の前または同時に超音波処理を受ける。いくつかの実施態様では、この超音波処理は、約50℃の温度、約5分で実施される。いくつかの好ましい実施態様では、酵素処理段階で使用されるタンパク質分解性酵素の量は、羊毛または動物の毛の重量に基づいて約0.2w/w%と約10w/w%の間である。いくつかの実施態様では、酵素処理は、染色、すすぎ、及び/または洗浄槽に単にプロテアーゼを加えることにより、羊毛または動物の毛の染色及び/または洗浄の間に実施される。いくつかの実施態様では酵素処理はプラズマ処理の後に実施され、しかし、他の実施態様では、この2処理が反対の順序で実施される。
従来より羊毛について使用されている柔軟剤は、普通カチオン性柔軟剤で、有機カチオン性柔軟剤またはシリコーンをベースとした製品であり、しかし、アニオン性または非イオン性柔軟剤もまた有用である。有用な柔軟剤の例はポリエチレン柔軟剤とシリコーン柔軟剤(つまり、ジメチルポリシロキサン(シリコーンオイル))、H-ポリシロキサン、シリコーンエラストマー、アミノ基をもつジメチルポリシロキサン、アミノ基をもつシリコーンエラストマー、エポキシ基をもつジメチルポリシロキサン及び有機カチオン柔軟剤(例.アルキル4級アンモニウム誘導体)を含むがこれらに限定されない。
別の実施態様では、本願発明は少なくとも本願発明の1プロテアーゼを含む動物の皮の処理用の組成物を与える。いくつかの実施態様では、本願発明のプロテアーゼはWO03/00865(Insect Biotech Co., Taejeon-Si, 韓国)に記載されているもののような、動物の皮の処理用の組成物に用途がある。他の実施態様では、本願発明は、皮を本願発明のプロテアーゼにより酵素的に処理することを含む、皮をなめし皮とする処理法を提供する(例.WO96/11285参照)。他の実施態様では、本願発明は本願発明の少なくとも1のプロテアーゼを含む、動物の皮をなめし皮にする処理のための組成物を与える。
皮は普通、塩を加えたまたは乾燥された生の皮の形態でなめし皮工場に受け入れられる。皮をなめし皮にする処理は、浸漬、毛の除去、なめし剤への浸漬からなる工程を含むいくつかの異なる工程を含む。これらの工程は湿式処理の一部であり、ビームハウス(beamhouse)で行われる。本願発明のプロテアーゼを用いる酵素処理は皮の処理に含まれる工程中のいつにおいても適用できる。しかし、プロテアーゼは、湿式処理(つまり、浸漬、毛の除去及び/またはなめし剤への浸漬)の間、普通使用される。このように、いくつかの好ましい実施態様では本願発明のプロテアーゼの少なくとも1つによる酵素処理は、湿式処理の工程において行われる。
いくつかの実施態様では、本願発明の浸漬処理は従来の浸漬条件(例.pH6.0-11の範囲のpH)で行われる。いくつかの好ましい実施態様では、この範囲はpH7.0-10.0である。別の実施態様では、この温度は20−30℃であり、一方、他の実施態様では、24−28℃の範囲にあることが好ましい。さらに別の実施態様では、反応時間は2−24時間の範囲であり、一方好ましい範囲は4−16時間である。他の実施態様では、界面活性剤及び/または保存剤が、好ましいときには加えられる。
なめし剤への浸漬工程である第二工程はなめし剤を添加することにより始まる。いくつかの実施態様では、酵素処理はなめし剤への浸漬の間に行われる。いくつかの好ましい実施態様では、脱灰(deliming phase)後、酵素処理はなめし剤への浸漬において行われる。いくつかの実施態様では、本願発明のなめし液への浸漬工程は従来の条件(例.pH6.0−9.0の範囲のpH)を用いて行われる。いくつかの実施態様では、pHの範囲は6.0−8.5である。他の実施態様では、温度は20−30℃の範囲であるが、好ましい実施態様では温度は25−28℃の範囲である。いくつかの実施態様では、反応時間は20−90分の範囲であり、他の実施態様では40−80分の範囲である。皮革を製造する工程は本願発明の技術者に良く知られている(例えば、WO94/069429、WO90/1121189、米国特許第3,840、433号、EP505920,GB2233665及び米国特許第3,986,926号参照。これら全ては引用により本明細書に組み入れられる。)
さらにいくつかの実施態様では、本願発明は、本願発明の少なくとも1個のプロテアーゼを含むなめし剤を提供する。なめし剤はビームハウスの工程、特に皮革の製造工程であるなめし液浸漬工程において使用される化学的に活性な成分を含む試薬または酵素含有剤である。いくつかの実施態様では、本願発明はプロテアーゼと適した添加物を含むなめし剤を提供する。いくつかの実施態様では、試薬は、本願発明の技術分野で知られ、使用されている化学物質、例えば、希釈剤、乳濁剤(emulgator)、脱灰剤及び担体を含むがこれに限定されない。いくつかの実施態様では、本願発明の少なくとも1プロテアーゼを含むなめし剤は、本願発明の技術分野で知られているように処方される(GB−A2250289、WO96/11285及びEP0784703参照)。
いくつかの実施態様では、本願発明のなめし剤は、1g当たりのなめし剤に対し0.00005から0.01gの活性プロテアーゼを含み、他方、他の実施態様では、なめし剤は、1g当たりのなめし剤に対し0.0002から0.004gの活性プロテアーゼを含む。
このように、本願発明のプロテアーゼは多数の用途と条件で使用される。
実施例
本願発明は特許を請求した発明の範囲を限定する意図を伴わない以下の実施例でさらに詳細に説明される。添付した図面は本発明の規格と説明の一部であると考えられることを意図している。引用した全ての引用文献は、引用文献に記載した全てについて、引用により指定されて本明細書に組み入れられる。以下の実施例は、特許を請求した発明を説明するために提供され、限定するためではない。
以下の実施例では、下記の略号を用いる。PI (プロテイナーゼ 阻害物質、インヒビター);ppm (百万分の一);M (モル濃度);mM (ミリモル);μM (マイクロモル);nM(ナノモル);mol(モル);mmol(ミリモル);μmol(マイクロモル);nmol(ナノモル);gm(グラム);mg(ミリグラム);μg(マイクログラム); pg(ピコグラム);L(リットル);mlとmL(ミリリットル);μlとμL(マイクロリットル);cm(センチメートル);mm(ミリメートル);μm(マイクロメートル);nm(ナノメートル);U(単位 ユニット);V(ボルト);MW(分子量);sec(秒);min(s)(分);h(s)とhr(s)(時間); ℃(摂氏);QS(十分な量);ND(実施せず);NA(適用せず、該当なし);rpm(毎分回転数);H2O(水);dH2O(脱イオン水);HCl(塩酸);aa(アミノ酸);bp(塩基対);kb (キロ塩基対);kD(キロダルトン);cDNA(相補または相補的DNA);DNA(デオキシリボ核酸);ssDNA(単鎖DNA);dsDNA(二本鎖DNA);dNTP(デオキシリボヌクレオチド三リン酸);RNA(リボ核酸);MgCl2(塩化マグネシウム);NaCl(塩化ナトリウム); w/v(重量対容積);v/v(容積対容積); g(重力);OD(光学濃度);ダルベッコ−リン酸緩衝液(DPBS);SOC(2%バクト−トリプトン,0.5%バクト−酵母エキス,10mM NaCl,2.5mM KCl);Terrific培地(TB;12g/lバクト−トリプトン,24 g/l グリセロール,2.31g/l KH2PO4,および12.54g/l K2HPO4);OD280(280nmでの光学濃度);OD600(600nmでの光学濃度);A405(405nmでの吸光度);Vmax(酵素による触媒反応の最大初期反応速度); PAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動);PBS(リン酸緩衝生理食塩水[150mM NaCl,10mM リン酸ナトリウム緩衝液,pH7.2]);PBST(PBS+0.25% TWEEN(登録商標)20);PEG(ポリエチレングリコール);PCR(ポリメラーゼ連鎖反応);RT-PCR(逆転写PCR);SDS(ドデシル硫酸ナトリウム);Tris(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン);HEPES(N−[2−ヒドロキシエチル]ピペラジン−N−[2−エタンスルホン酸]);HBS(HEPES緩衝食塩水);Tris-HCl (トリス[ヒドロキシメチル]アミノメタン−塩酸塩); Tricine (N−[トリス−(ヒドロキシメチル)−メチル]− グリシン);CHES(2−(N−シクロ−ヘキシルアミノ) エタンスルホン酸);TAPS (3−{[トリス−(ヒドロキシメチル)− メチル]−アミノ}−プロパンスルホン酸);CAPS(3−(シクロ−ヘキシルアミノ)−プロパン−スルホン酸;DMSO(ジメチルスルホキシド);DTT(l,4−ジチオ−DL−トレイトール);SA(シナピン酸(s,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸);TCA(トリクロロ酢酸);GlutとGSH(還元グルタチオン);GSSG(酸化グルタチオン);TCEP(トリス[2−カルボキシエチル]ホスフィン);Ci(キュリー);mCi(ミリキュリー);μCi(マイクロキュリー); HPLC(高圧液体クロマトグラフィー);RP-HPLC(逆相高圧液体クロマトグラフィー);TLC(薄層クロマトグラフィー);MALDI-TOF(マトリクス支援レーザー脱離イオン化質量分析法);Ts(トシル);Bn(ベンジル);Ph(フェニル);Ms(メシル);Et(エチル), Me(メチル); Taq(好熱菌DNAポリメラーゼ);Klenow(DNAポリメラーゼI ラージ(クレノー)フラグメント);EGTA(エチレングリコール−ビス(β−アミノエチルエーテル) N,N,N’,N’−四酢酸);EDTA(エチレンジアミン四酢酸);bla(β−ラクタマーゼまたは抗アンピシリン遺伝子);HDL(高密度液体);MJ Research(MJ Research社,Reno,ネバダ);Baseclear(Baseclear BV, Inc社,Leiden,オランダ);PerSeptive(PerSeptive Biosystems社,Framingham,マサチューセッツ);ThermoFinnigan(ThermoFinnigan社,San Jose,カリフォルニア);Argo(Argo BioAnalytica社,Morris Plains,ニュージャージ);Seitz EKS(SeitzSchenk Filtersystems GmbH社,Bad Kreuznach,ドイツ);Pall(Pall Corp.社,East Hills,ニューヨーク);EMPA Testmaterialien AG (EMPA Testmaterialien AG社,St. Gallen-Winkeln,スイス);Warwick Equest(Warwick Equest Limited社,Durham,イギリス);Minolta (コニカミノルタ社,日本);United States Testing (United States Testing Co, Inc社,Hoboken,ニュージャージ);Spectrum(Spectrum Laboratories社,Dominguez Rancho,カリフォルニア);Molecular Structure(Molecular Structure Corp社,Woodlands,テキサス);Accelrys(Accelrys,Inc.社,San Diego,カリフォルニア); Chemical Computing (Chemical Computing Corp.社,Montreal,カナダ);New Brunswick (New Brunswick Scientific, Co.社,Edison,ニュージャージ);CFT (Center for Test Materials社,Vlaardingen,オランダ);Procter & Gamble (Procter & Gamble, Inc.社,Cincinnati, オハイオ);GE Healthcare (GE Healthcare社, Chalfont St. Giles,イギリス);DNA2.0 (DNA2.0社,Menlo Park,カリフォルニア);OXOID (Oxoid社,Basingstoke,Hampshire,イギリス);Megazyme (Megazyme International Ireland Ltd社, Bray Business Park, Bray, Co.社,Wicklow,アイルランド);Finnzymes (Finnzymes Oy社,Espoo,フィンランド);Kelco (CP Kelco社,Wilmington,デラウエア);Corning (Corning Life Sciences社,Corning,ニューヨーク);NEN (NEN Life Science Products社,Boston,マサチューセッツ);Pharma AS (Pharma AS社,Oslo,ノルーウェイ);Dynal (Dynal社,Oslo, ノルーウェイ);Bio-Synthesis (Bio-Synthesis社,Lewisville,テキサス);ATCC (American Type Culture Collection社,Rockville, メリーランド);Gibco/BRL (Gibco/BRL社,Grand Island,ニューヨーク);Sigma (Sigma Chemical Co. 社,St. Louis,ミズーリ);Pharmacia (Pharmacia Biotech社,Piscataway,ニュージャージ);NCBI (National Center for Biotechnology Information);Applied Biosystems (Applied Biosystems社,Foster City,カリフォルニア);BD Biosciencesおよび/またはClontech (BD Biosciences CLONTECH Laboratories社,Palo Alto,カリフォルニア);Operon Technologies (Operon Technologies, Inc.社,Alameda,カリフォルニア);MWG Biotech (MWG Biotech社,High Point,ノースカロライナ);Oligos Etc (Oligos Etc. Inc社,Wilsonville,オレゴン);Bachem (Bachem Bioscience, Inc. 社,King of Prussia,ペンシルベニア);Difco (Difco Laboratories社,Detroit,ミシガン);Mediatech (Mediatech社,Hemdon,ヴァージニア);Santa Cruz (Santa Cruz Biotechnology, Inc. 社,Santa Cruz,カリフォルニア);Oxoid (Oxoid Inc. 社,Ogdensburg,ニューヨーク);Worthington (Worthington Biochemical Corp.社,Freehold,ニュージャージ);GIBCO BRLまたはGibco BRL (Life Technologies, Inc.社,Gaithersburg,メリ−ランド);Millipore (Millipore社,Billerica,マサチューセッツ);Bio-Rad (Bio-Rad社,Hercules,カリフォルニア);lnvitrogen (Invitrogen Corp.社,San Diego,カリフォルニア);NEB (New England Biolabs社,Beverly,マサチューセッツ);Sigma (Sigma Chemical Co.社,St. Louis,ミズーリ);Pierce (Pierce Biotechnology社,Rockford,イリノイ);Takara (タカラバイオ社,大津,日本);Roche (Hoffmann-La Roche社,Basel,スイス);EM Science (EM Science社,Gibbstown,ニュージャージ);Qiagen (Qiagen, Inc.社,Valencia,カリフォルニア);Biodesign (Biodesign Intl.社,Saco,メイン);Aptagen (Aptagen, Inc.社,Herndon,ヴァージニア);Sorvall (Sorvallブランドの製品,Kendro Laboratory Products社製,Asheville,ノースカロライナ);Molecular Devices (Molecular Devices, Corp.社,Sunnyvale,カリフォルニア);R&D Systems (R&D Systems社,Minneapolis,ミネソタ);Stratagene (Stratagene Cloning Systems社,La Jolla,カリフォルニア);Marsh (Marsh Biosciences社,Rochester,ニューヨーク);Geneart (Geneart GmbH社,Regensburg,ドイツ);Bio- Tek (Bio-Tek Instruments社,Winooski,バーモント);Biacore (Biacore, Inc.社,Piscataway,ニュージャージ);PeproTech (PeproTech社,Rocky Hill,ニュージャージ);SynPep (SynPep社,Dublin,カリフォルニア);New Objective (New Objectiveブランドの製品;Scientific Instrument Services, Inc.社製,Ringoes,ニュージャージ);Waters (Waters, Inc.社,Milford,マサチューセッツ);Matrix Science (Matrix Science社,Boston,マサチューセッツ);Dionex (Dionex, Corp.社,Sunnyvale,カリフォルニア);Monsanto (Monsanto Co.社,St. Louis,ミズーリ);Wintershall (Wintershall AG社,Kassel,ドイツ);BASF (BASF Co.社,Florham Park,ニュージャージ);Huntsman (Huntsman Petrochemical Corp.社,Salt Lake City,ユタ);Enichem (Enichem Iberica社,Barcelona,スペイン);Fluka Chemie AG (Fluka Chemie AG社,Buchs,スイス);Gist-Brocades (Gist-Brocades,NV社,Delft,オランダ);Dow Corning (Dow Corning Corp.社,Midland,ミシガン); および、Microsoft (Microsoft, Inc.社,Redmond,ワシントン)。
以下の実施例で使用される野生型のセリンプロテアーゼは、US04/39006とUS04/39066で詳細に記載され、両者は引用により全体が本明細書に組み入れられる。加えて、米国特許出願Ser.No.10/576,331の実施例2はグラム陽性好アルカリ性細菌69B4由来の69B4プロテアーゼの産生について詳細を記載している。本出願全体で示すところにより、この優先権の基礎となった出願は引用により全体が、本明細書に組み入れられる。
実施例1
分析法
以下の実施例において、タンパク質の決定、用途に基づく試験及び安定性に基づく試験のような、種々の分析が使用された。読みやすいように、以下の分析は下記に記載され、各実施例で言及されている。本願発明の開発中に行われた試験のいずれかにおいて、下記の試験実施計画からのいずれの逸脱も実施例に示されている。
以下の実施例で使用される洗剤のいくつかは以下の組成を持っていた。組成IとIIにおいては、残部(100%まで)は香料/染料及び/または水である。これらの組成物のpHは、組成Iについては約5から約7であり、組成IIについては約7.5から約8.5であった。組成IIIでは、残部(100%まで)は水及び/または少量の香料、染料、漂白剤/SPRI/カルボキシメチルセルロースナトリウム/蛍光剤(photobleach)/MgSO
4/PVPV/発泡抑制剤(suds suppressor)/高分子PEG/クレーからなる。
A.96穴ミクロタイタープレートでのタンパク質含量を決定するTCA分析
本分析は、33℃で4日230RPMで振とうし、加湿した空気を供給して培養したミクロタイタープレートからろ過して得た培地上澄み液を使用して始めた。新しい96穴の平らなプレートが分析のために使用された。最初に、100μL/穴の0.25N塩酸を穴に加えた。そして、50μLのろ過した培養液をこの穴へ加えた。「ブランク」の測定値を得るため、405nmでの光散乱/吸光度(プレートリーダーで5秒混合モード)が次に決定された。
本試験に関し、100μL/穴15%(w/v)TCAがこのプレートに加えられ、5と30分の間で、室温で維持した。405nmで光散乱/吸光度(プレートリーダーで5秒混合モードを使用)が次に決定された。
TCAのある試験の測定値からブランク(つまりTCAがない)測定値を差し引いて計算された。望む場合には、既知の変換係数をもつクローンのAAPF分析によるTCA測定値を調節することにより検量線を作成できる。しかし、50から500ppmのタンパク質の濃度に関しTCAの結果は直線であり、そのため、性能の高い変異種を選択する目的では、酵素の性能に対し直接にプロットすることができる。
B.96穴のミクロタイタープレートにおけるsuc−AAPF−pNA分析
この分析システムでは、使用した試薬溶液は、
1. 0.005%TWEEN(登録商標)-80(トリス緩衝液)を含む100mM Tris/HCl,pH8.6
2. 10mMCaCl2と0.005%TWEEN(登録商標)-80(トリス緩衝液)を含む100mM Tris緩衝液,pH8.6
3. DMSO中の160mM suc-AAPF−pNA(suc−AAPF−pNA原液)(Sigma:S−7388)
suc−AAPF−pNA標準希釈液を調製するために、1mlのAAPF原液を100mLのトリス緩衝液に加え、少なくとも10秒間良く混合する。
本分析は各穴に10μLの希釈したプロテアーゼ溶液を加え、続いて190μlの1mg/mlAAPF−希釈標準液を(すばやく)添加することにより行われた。この溶液は、5秒混合され、吸光度の変化がMTPリーダーで、25℃で410nmで測定された。プロテアーゼの活性はAU(活性度=ΔODmin−1ml−1)で表された。
C.ケラチン加水分解分析
本分析系で、使用された化学の及び試薬溶液は、
ケラチン ICN902111
洗剤 1.6gの洗剤が1000mlの水に溶解された(pH=8.2)。
10,000gpgの0.6mlCaCl2/MgCl2も、1190mgHEPESとともに、加えられ、それぞれ硬度と緩衝液濃度を6gpgと5mMとした。pHはNaOHにより8.2に調整された。
ピクリルスルホン酸(TNBS)
Sigma P−2297(5%水溶液)
試薬A 45.4gNa2B4O7・10H2O(Merck 6308)及び15mlの4N NaOHがともに溶解され最終容量1000mlとされた(必要な場合加熱)
試薬B 35.2gNaHPO41H2O(Merck 6346)と0.6gNa2SO3(Merck6657)がともに溶解され最終容量1000mlとされた。
方法
恒温槽で反応する前に、ケラチンは、一度に少量ずつ100μmの篩をかける。次に、100μmより小さいケラチン10gが室温で少なくとも20分、pHを規則的に8.2に調節しながら洗剤の溶液で撹拌された。最後に、この懸濁液は室温で20分間遠心分離された(Sorvall,GSArotor、13,000rpm)。この手順がつぎに繰り返された。最後に、湿った沈殿が洗剤中に懸濁され総容量200mlとされ、この懸濁液はピペットによる秤量のあいだ撹拌された。恒温槽に入れる前に、ミクロタイタープレート(MTP)は、Biohitマルチチャンネルピペットと1200μl(200μlで6回の添加で、チップ内にケラチンが付着することを防ぐためできるだけ速く添加する。)チップで1穴当たり200μlの基質が加えられた。次に、10μlのろ過した培地がMTPの基質に加えられた。このプレートはテープでカバーし、恒温槽に置かれ、20℃で3時間350rpm(Innova 4330[New Brunswick])で反応を受けた。反応に続き、このプレートは3000rpmで3分間遠心分離(iSigma6K 15遠心分離機)を受けた。恒温槽から1番目のプレートを取り出す約15分前に、TNBS試薬が50mlの試薬A当たり1mlTNBS溶液を混合することにより調製された。
MTPは、1穴当たり60mμlTNBS試薬が加えられた。恒温槽で反応を受けたプレートから、10μlがTNBS試薬を加えたMTPへ移された。このプレートはテープで覆われ、ベンチ振とう器(BMG Thermostar)で20分間、室温、500rpmで振とうされた。最後に200μlの試薬Bが穴に加えられ、振とう器で1分混合され、405nmでの吸光度がMTPリーダーで測定された。
ケラチンの加水分解活性の計算
得られた吸光度はブランク値(酵素のない基質)について修正された。その結果の吸光度は加水分解活性の尺度を与える。各サンプル(変異種)について、性能指数(performance index)が計算された。性能指数は、同一のタンパク質濃度について、変異種(実際の値)の性能と標準酵素(理論値)の性能を比較するものである。加えて、理論値は標準酵素のラングミュアの式(Langmuir equation)のパラメータを使用して、計算されえる。1より大きい(PI>1)性能指数(PI)は、改善された変異種(標準[例えば、野生型]と比較したとき)、一方1のPI(PI=1)は標準と同じ性能の変異種であり、1より小さいPI(PI<1)は標準より性能の劣る変異種を示す。
従って、PIは、ある環境での使用に余り望ましくない変異種と、望ましいものを特定する。
D.プロテアーゼの性能を試験する微小布見本(Microswatch)分析
これらの分析で使用される全ての洗剤は酵素を含まない。
洗剤の調製
1. 冷水液体洗剤(米国の条件)
ミリQ水(Milli−Q water)は6gpg水硬度(Ca/Mg=3/1)に調整され、1.60g/lの洗剤が加えられ、洗剤溶液は少なくとも15分間激しく撹拌された。その後、5mMHepes緩衝液が加えられ、pHが8.2に調節された。洗剤は分析で使用する前に、0.22μmのフィルター(例.Nalgene top bottle filter)でろ過された。
2.低pH液体洗剤(米国の条件)
ミリQ水は、6gpg水硬度(Ca/Mg=3/1)、1.60g/l洗剤TIDE(登録商標)−LVJ−1またはTIDE(登録商標)2005に、または1.50g/l洗剤(TIDE(登録商標)-SNOW)が加えられ、洗剤溶液は少なくとも15分間激しく撹拌された。pHが1NNaOH溶液を用いて、6.0に調整された。洗剤は分析で使用する前に0.22μmのフィルター(例.Nalgene top bottle filter)でろ過された。
微小布見本
1/4インチの直径の円形の微小布見本を注文し、CFT Vlaardingenにより納入を受けた。微小布見本は、下記に述べた固定法を用いて前処理を受けた。96穴のミクロタイタープレートの各穴に、1枚の微小布見本が、全表面が外に出るよう垂直に置かれた(つまり、穴の底に平に置かれていない)。
「3K」布見本(swatch)固定
この布見本固定は室温で行われた。しかし、30%H2O2を加える量は、ヨーロッパの条件で60℃で行われるスーパーフィックススウォッチ固定法、(つまり、ヨーロッパの条件について使用される、60℃で行われる)の10倍より多い。泡形成(frothing)が見えるので、これを考慮して比較的大きなビーカーを使用することが必要である。最初に、8リットルの蒸留水を10リットルビーカーに入れ、80mlの30%過酸化水素を加える。水と過酸化水素を、しゃくで良く混ぜる。その後、40枚のEMPA116布見本は、均一な固定が確実になるように、その溶液に加える前に広げて扇型にする。この布見本はこの溶液中で(しゃくを使って)30分間、最初の5分は連続して、残り25分は時折、撹拌する。この溶液を捨て、布見本は、各回約6リットルの蒸留水で6回濯いだ。布見本は紙タオルの上に置かれて乾燥された。風乾された布見本はパンチで1/4インチの円をくりぬいた。1枚の微小布見本は、96穴のミクロタイタープレートの各穴に垂直に置かれ全表面を外に出した(つまり、穴の底に平に置いたのではない。)
酵素サンプル
酵素サンプルはそれぞれの地域にふさわしい濃度で試験され、10mM NaCl、0.005%TWEEN(登録商標)-80溶液で希釈された。
試験法
恒温槽は、望む温度に設定された。冷水条件については20℃または低pH液条件については30℃である。前処理を受け、予め切っておいた布見本が、上記のように96穴MTPの穴に置かれた。必要な場合、酵素サンプルは、10mMNaCl,0.005%TWEEN(登録商標)-80で、目的濃度の20へ希釈された。目的の洗剤溶液は上記のように調製された。次に、190μlの洗剤溶液がMTPの各穴へ加えられた。この混合物へ、10μlの酵素溶液が各穴に加えられた(総容量は200ml/穴とした)。MTPはプレートシール剤で密封され、350rpmで振とうしながら、60分間恒温槽に置かれた。適当な条件で恒温槽で反応後、各穴の100μl溶液が取られ、新しいMTPに移された。100μlの溶液/穴を含むMTPが、MTPリーダーにより405nmで測定された。対照サンプルが、微小布見本と洗剤を含むが、酵素を含まない対照サンプルとともに、測定された。原液は15,000gpgCa/Mg 3:1(1.92MCa
2+=282.3g/L CaCl
22H
2O;0.64M Mg
2+=30.1g/L MgCl
26H
2O)で使用された。
BMI性能の計算
得られた吸光度は、(酵素のない条件で微小布見本を反応して得られた)ブランクの値により修正する。その結果の吸光度は加水分解活性の尺度となった。各サンプル(変異種)について、性能指数が計算された。性能指数は、同一のタンパク質濃度で変異種の性能(実測値)と標準酵素の性能(理論値)を比較する。また、理論値は標準酵素のLangmuir式のパラメータを使用して計算できる。1より大きい(PI>1)性能指数(PI)は、性能の向上した変異種を示し(標準と比較したとき[例.野生型])が、1のPI(PI=1)は標準と同一の性能のある変異種を示し、1より小さい(PI<1)PIは標準より低い性能の変異種を示す。
従って、PIは、ある環境での使用に望ましくない変異種とともに、適した変異種を示す。
D.ジメチルカゼイン加水分解分析(96穴)
本分析システムでは、使用する化学試薬と試薬溶液は、以下のとおり。
ジメチルカゼイン(DMC): SigmaC−9801
TWEEN(登録商標)-80: SigmaP−8074
PIPES 緩衝液(酸を含まない) SigmaP−1851;15.1gが約960ml水に溶解される。pHが、4NNaOHで7.0に調整される。1ml5%TWEEN(登録商標)-80が加えられ、容量が1000mlにされる。PIPESとTWEEN(登録商標)-80の最終濃度は、それぞれ50mMと、0.005%である。
ピクリルスルホン酸(TNBS)
Sigma P−2297(5%水溶液)
試薬A 45.4gNa2B4O7・10H2O(Merck 6308)及び15mlの4N NaOHがともに溶解され最終容量1000mlとされた(必要な場合加熱)
試薬B 35.2gNaHPO41H2O(Merck 6346)と0.6gNa2SO3(Merck6657)がともに溶解され最終容量1000mlとされた。
方法
基質を調製するため、4gDMCが400mlPIPES緩衝液に溶解された。ろ過された培養液の上澄み液は、PIPES緩衝液で希釈された。培養プレート(growth plate)内の対照サンプルの最終濃度は20ppmであった。次に、希釈上澄み液10μlがMTPの穴にいれた200μlの基質に加えられた。MTPプレートはテープで覆い、数秒振とうされ、振とうせずに37℃で2時間オーブンに置かれた。
オーブンから1番目のプレートを取り出す約15分前に、TNBS試薬が50mlの試薬A当たり1mlTNBS溶液を混合することにより調製された。MTPは、1つの穴当たり60μlTNBS試薬Aが加えられた。反応を受けたプレートは数秒振とうされ、その後10μlが、TNBS試薬Aを加えたMTPに移された。このプレートはテープで覆われ、室温、500rpmでベンチシェイカー(bench shaker BMG Thermoster)で20分間振とうされた。最後に、200μlの試薬Bがこの穴に加えられ、シェイカー上で1分間混合され、405nmでの吸光度が、MTPリーダーを使用して決定された。
ジメチルカゼイン加水分解活性の計算
得られた吸光度はブランク値(酵素なく基質のみ)で修正された。その結果の吸光度は加水分解活性の尺度である。サンプルの(任意の)固有の活性はこの吸光度を決定されたタンパク質濃度で割ることに計算された。
E.熱的安定性分析
この分析は、緩衝化された培養上澄み液を加熱する前と加熱した後のジメチルカゼイン加水分解に基づいている。ジメチルカゼイン加水分解分析で述べられたものと同一の化学試薬と試薬溶液が使用された。
方法
ろ過された培養上澄み液がPIPES緩衝液で20ppmに希釈された(培養プレートの対照サンプルの濃度に基づく)。最初に、10μlの各稀釈酵素サンプルが取られジメチルカゼイン分析で初期活性が決定され、下記のように処理された。次に、50μlの各希釈上澄み液がMTPの空の穴に加えられた。MTPプレートは60℃、400rpmで90分間iEMSincubator/shakerHT(Thermo Labsystems)に置かれた。このプレートは氷で5分間冷却された。次に、加熱後の最終活性を決定するため、10μlのこの溶液が200μlのジメチルカゼイン基質/穴を含む新しいMTPへ加えられた。このMTPはテープで覆われ、数秒振とうされ、撹拌せずに2時間37℃でオーブンに置かれた。DMC加水分解分析に用いた同じ検出法が使用された。
熱的安定性の計算
サンプルの残存活性は、ブランクで修正された後の初期吸光度と最終吸光度の比率として表される。
F.LAS 安定性分析
LAS安定性は0.06%LAS(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)の存在下での試験サンプルのプロテアーゼの反応後に測定された。残存活性はAAPF分析を用いて決定された。
試薬
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(=LAS):Sigma D−2525
TWEEN(登録商標)−80:SigmaP−8074
TRIS buffer(酸を含まない):Sigma T−1378;6.35gが約960ml水に溶解される;pHは、4NHClで8.2に調整される。TRISの最終濃度は52.5mMである。
LAS原液:MQ水の10.5%LAS溶液を調製(100mlMQ当たり10.5g)
TRIS緩衝液−100mM/pH8.6(100mM TRIS/0.005% TWEEN80)
TRIS−Ca緩衝液、pH8.6(100mM Tris/10mM CaCl2/0.005% Tween80)
機器
平底MTP:Costar(#9017)
Biomek FX
ASYS Multipipettor
Spectramax MTP Reader
iEMS Incubator/Shaker
Innova 4330 Incubator/Shaker
Biohit multichannel pipette
BMG Thermoster Shaker
方法
0.063%LAS溶液が52.5mM Tris緩衝液pH8.2で調製された。AAPF希釈標準液が1mlの100mg/ml AAPF原液(DMSO中)を100ml(100mM)TRIS緩衝液、pH8.6に加えて調製された。上澄み液を希釈するため、平底のプレートに希釈緩衝液が加えられ、上澄み液の一部が加えられ、良く混合された。希釈比率は培養プレートでのASP対照サンプルの濃度で決定した。目的タンパク質濃度は80ppmであった。
10μlの希釈上澄み液が190μlの0.063%LAS緩衝液/穴に加えら得た。MTPはテープで覆われ、2,3秒振とうされ、25℃または35℃で、60分間200rpmの振とう下、恒温槽(Innova 4230)に入れられた。初期活性(t=10分)は、恒温槽に入れて10分後、190μlAAPF希釈標準液を含む新しいMTPへ、各穴の10μlの反応混合物を移すことにより決定された。これらの溶液は十分に混合され、AAPF活性はMTPリーダー(5分、25℃で20回の読み)を使用して測定された。
最終活性(t=60分)が恒温槽に入れて60分後に、恒温槽に入れたプレートからさらに10μl溶液を採取して決定された。そしてAAPF活性は上記のように決定された。計算が次のように行われた。
%残存活性は[t-60での値]*100/[t-10での値]であった。
実施例2
B.subtilisでのASPプロテアーゼの産生
本実施例では、B・スブチリス(B.subtilis)に69B4プロテアーゼ(本明細書では、「ASP」、「Asp」、「ASPプロテアーゼ」及び「Aspプロテアーゼ」ともいわれる)を産生させるために行われた実験を述べる。本実施例では、プラスミドpHPLT−ASP−Cl−2(図1参照)のB・スブチリスへの導入による形質転換が述べられる。形質転換は本願技術分野で知られているように行われた(WO02/14490、引用により本明細書に組み入れる)。B・スブチリスでのASP発現を最適化するため、DNA2.0により合成DNA配列が作成され、これらの発現試験で利用された。下記のこのDNA配列(合成ASP DNA配列)は、バシラス属の種に用いられているコドンの用法により、野生型のASP前駆体タンパク質をコードしている。
上記の配列では、太字は成熟したプロテアーゼをコードするDNAを示し、標準的な字体はリーダー部位の配列、下線はN末端とC末端のプロ配列を示す。
合成ASP遺伝子の発現
Asp発現カセットはpXX−KpnI(図2参照)ベクターに構築され、続いてB.subtilisでASPを発現するためにpHPLTベクター(図3参照)にクローンされる。pXX−KpnIは、cat遺伝子を発現するaprEプロモーター(B.スブチリス)、及びB.スブチリスで、コピー数を増幅させるためさらに重複したaprEプロモータをもつpUCに基づくベクターである。bla遺伝子は、大腸菌内での選択的な増殖を促す。KpnIは、リボソーム結合部位に導入され、aprEプロモーター領域の下流に位置し、HindIII部位とともにpXX−KpnI中にAsp発現カセットのクローニングを可能にする。
pHPLT−EBS2c2、pHPLTの誘導体(Solingenら、Extremophiles 5:333−341[2001])はバシラス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)の熱的に安定なアミラーゼLATプロモーター(PLAT)を含み、ASP発現構造体をクローニングするためのXbaIとHpaI制限部位が続いている。
Asp発現カセットは、5個のスブチリシンAprE N末端シグナルペプチドアミノ酸が25個のAspのC末端シグナルペプチドアミノ酸に結合したものからなるハイブリッドシグナルペプチド(MRSKKRTVTRALAVATAAATLLAGGMAAQA;SEQID:NO:11)をコードするDNAを含むpXX−KpnIベクターにクローンされた。pXX−KpnIベクターにクローンされたAsp発現カセットは、大腸菌(E.coli)に導入され形質転換する(Electromax DH10B,Invitrogen,Cat.No.12033−15)。使用されたプライマーとクローニング法は表3−1に与えられている。続いて、この発現カセットはこれらのベクターから複製され、B.スブチリス(ΔaprE、ΔnprE、oppA、ΔspoIIE、degUHy32、ΔamyE::(xylR,pxylA−comK)株を形質転換するためのpHPLT発現ベクターに導入された。pHPLTにクローニングされたASP発現カセットのプライマーとクローニング法は表3−2に与えられている。B.スブチリスの形質転換はWO02/14490に記載されているように行われた。この出願は引用により本明細書に組み入れられる。
プライマーはMWGとインビトロゲン(Invitrogen)から得られた。Invitogen Platinum Taq DNA polymerase High Fidelity(Cat.No.11304−029)が、インビトロゲンの指示書に従いPCR増幅(0.2μMプライマー、25から30回)のために使用された。ASP発現カセットと宿主ベクターのリガーゼ反応は、結合末端の一般的クローニングについて推奨されているインビトロゲンの指示書を使用し、インビトロゲンT4DNAリガーゼ(Cat.No.15224−025)を使用して達成された。
asp遺伝子の発現がB・スブチリス(B.subtilis)株(ΔaprE、ΔnprE、oppA,ΔspoIIE,degUHy32,ΔspoIIE,degUHy32,ΔamyE::(xylR,pxylA-comK)で試験された。プラスミドpHPLT−ASP−Cl−2(表3−2、及び図1を参照)がB・スブチリス(ΔaprE、ΔnprE、oppA,ΔspoIIE,degUHy32,ΔspoIIE,degUHy32,ΔamyE::(xylR,pxylA-comK)に導入され、形質転換された。形質転換は本願発明の技術分野で知られている方法で行われた(例えばWO02/14490参照、引用により本明細書に含める)。
pHPLT−ASP−Cl−2ベクターを含むB・スブチリス(ΔaprE、ΔnprE、oppA,ΔspoIIE,degUHy32,ΔspoIIE,degUHy32,ΔamyE::(xylR,pxylA-comK)の選択的培養は、20mg/L
ネオマイシン(neomycin)を加え、0.5g/lCaCl2の代わりに0.97g/l CaCl2・6H2Oを含む、25mlの合成マキシターゼ培地(Synthetic Maxatase Medium,SMM)(米国特許第5,324,653号参照、引用により本明細書に組み入れる)を含む振とうフラスコ内で行われた。この培養はタンパク質分解活性をもつ分泌ASPプロテアーゼを産生した。ゲル分析がNuPage Novex 10%Bis−Trisゲル(インビトロゲン、Cat.No.NP0301BOX)を用いて行われた。分析用サンプルを調製するために、2倍量の上澄み液が1倍量の1MHCl、1倍量の4xLDSサンプル緩衝液(インビトロゲン、Cat.No.NP0007)、及び1%PMSF(20mg/ml)と混合され、続いて、70℃で10分加熱された。次に、25μLの各サンプルが、10μLのSeeBlue plus 2pre−stained タンパク質標準(インビトロゲン、Cat.No.LC5925)とともにゲルに加えられた。結果は、明確に実施例に記載されたaspクローニング法が、B・スブチリスにより産生された活性Aspを生成することを実証した。
さらに、同一の醗酵培地のサンプルが以下のように分析された。:10μlの稀釈した上澄み液を取り、190μlのAAPF基質溶液(濃度 1mg/ml 0.1Mトリス/0.005%TWEEN(登録商標)、pH8.6)に加えられた。p−ニトロアニリンの遊離による410nmの吸光度の増大速度は、産生されるASP濃度の尺度となり、モニターされた(25℃)。これらの結果は、B・スブチリスのpHPLT−ASP−C1−2による形質転換株が、測定しうるほどのASPプロテアーゼを産生することを示した。
実施例3
組換え突然変異体の作成
本実施例では、ASP変異種の多数の突然変異ライブラリーからなる構造体について述べる。多数の突然変異ライブラリーの基礎として使用されるASP変異種はR014I−A064K−T086K−T116E−R123Fの置換を受けている。この変異種はpHPLTベクターでクローンされた。QuickChange(登録商標)多部位指向突然変異(QCMS)キット(Stratagene)がライブラリーを構築するために使用された。このライブラリーを作成するために使用される5‘リン酸化プライマーが表4−1に示されている。HPLC,PAGEまたはいずれかの他のタイプで精製されたプライマーは、プライマーが含むエラーを相当減少するほか、全長のプライマーの組み込みの点ではるかに良い結果を与えた。しかし、これらの実験では、精製されたプライマーは使用されなかった。
pUC18-ASP 調製
R014I−A064K−T086K−T116E−R123Fの置換を含むASP変異種は、PstIとHindIII制限酵素認識部位を使い、pHPLTベクターからpUC18ベクター(インビトロゲン、cat.no 15363013、図1参照)にクローンされた。続いて、pUC18−ASPプラスミド(図2参照)が電気反応性(electrocompetent)大腸菌細胞(インビトロゲン C4040−52、OneShot(登録商標) TOP10 ElectrocompTM E.coli,dam+)に電気穿孔法で導入され、100mg/Lのアンピシリンを含む寒天プレート上で選別的培養を受け、pUC18−ASPプラスミドを含む大腸菌群を得た。pHPLT−ASP−Cl−2プラスミドは、大腸菌内で増殖しないのでこの方法が使用され、QCMS法を行うため必要なGATC部位でのASP DNAのメチル化を確実にするようにした。
pUC18−ASPプラスミドを含む大腸菌細胞からMiniprepDNAが調製された。詳しくは、この株は100ppmのアンピシリンを含む10mlの2xTY培地において一夜培養され、その後この細胞は遠心分離された。Qiagen spinminitrep DNAキット(cat.No.27106)が、Qiagen minitrepキットマニュアルに概要が記載されている手順によりプラスミドDNAを調製するために使用された。minitrepDNAはキットに付いている50μLのQiagen緩衝液EBで溶出された。
多数突然変異ライブラリーの構築
多数突然変異ライブラリー構造体に使用予定の部位は以下のように選択された。最終分子に求められる各性質について、発現性とされた位置に関し、突然変異が「増強」又は「減弱」と評価された。少なくとも、組み合わされる位置は、望む各性質について、少なくとも最も重要な性質について、発現性をもつべきである。このライブラリーが全ての重要な性質を改良または維持する可能性を確実に最大するために、以下の基準が使用された。
各性質に関し、ΔΔGについて足切り値(cut−off value)が定められた。例えば、25℃で起こるプロセスについて、ΔΔG値<0.06Kcalは親のタンパク質活性の90%より低くない突然変異種を表し、ΔΔG値>1.13Kcalは親タンパク質の活性の125%である突然変異種を表す。
多数突然変異ライブラリーは、反応に使用するプライマー濃度を除き、StratageneQMCSキットに概略が記載されている方法で構築された。詳しくは、1μLのメチル化された精製pUC18−ASPプラスミド(約70ng)が15μLの無菌蒸留水、1.5μLのdNTP、2.5μLの10x緩衝液、1μLの酵素混合物と1.0μLの突然変異プライマー混合物(総量100pmolのプライマー)と混合された。このプライマー混合物は、各10μLの18の突然変異プライマー(100pmol/μL)を使用して調製された。以前の突然変異誘起では、Stratageneが推奨するように、各プライマー50ngを、ライブラリー用に加えると、殆ど変異が得られなかった。
そのため、各反応において総量100pmolのプライマーを含むように、今回の突然変異誘起では、試験計画が修正された。thin−walled 0.2mL PCR管を使用して、MJ Research PTC−200 thermocyclerで、1サイクルの条件は95℃、1分間、続いて、95℃、1分間、55℃、1分間及び65℃、12分間を30サイクル繰り返した。反応生成物は37℃で一夜恒温槽に入れて、QMCSキットの1μLのDpnIで切断させた。さらに0.5μLのDpnIが加えられ、反応が1時間恒温槽で行われた。
続いて、ライブラリーDNA(突然変異を受けた1本鎖のpUC18−ASP)が、電気反応性の大腸菌細胞へ電気穿孔法(インビトロゲン C4040−52、OneShot(登録商標) TOP10 ElectrocompTM E.coli,dam+)で導入され、100mg/Lアンピシリンを含む寒天培地上で選別的培養により、大腸菌細胞にASPの多数突然変異のライブラリーが形成された。コロニー(数万個)が培養され、Qiagen spin miniprep DNAキットマニュアルに概要が記載された手順によりプラスミドDNAを調製するため、Qiagen spin miniprepDNAキット(cat.No.27106)が用いられた。miniprepDNAがキットに付属の50μLのQiagen緩衝液EBにより溶出された。
MiniprepDNAは、PStI及びHindIIIDNA制限酵素を使用して切断された。ASPライブラリー断片混合物(PStI x HindIII)がゲルにより精製され、結合末端について一般的クローニングに関し推奨されるインビトロゲンの指示書を使用し、インビトロゲンT4DNAリガーゼを用いたリガーゼ(Cat.No.15224−025)の反応により4154塩基対のHindIIIxPstIpHPLTベクター断片にクローンされた。別の方法では、合成ASPライブラリー断片がGeneArt.により作成された。これらのASPライブラリー断片も、PStI と HindIIIにより切断され、精製され、リガーゼの反応により4154塩基対のPStI x HindIIIpHPLTベクター断片にクローンされた。
バシラス属(Bacillus)の細胞に直接に、リガーゼの反応を受けた混合物を導入し形質転換するために、ライブラリーDNA(pHPLTにクローンされたASPライブラリー断片)が、TempliPhi キット(Amersham cat.#25−6400)を用いて増幅された。これを行うため、1μLのリガーゼの反応を受けた混合物が、TempliPhi キットの5μLのサンプル緩衝液と混合され、95℃で3分加熱されこのDNAを変性した。反応混合物は2分間氷冷され、短時間遠心分離された。次に、Templiキット付属の5μLの反応緩衝液と0.2μLのphi29ポリメラーゼが加えられ、反応混合物は4時間、MJ Research PCR Machineで30℃で反応を受けた。phi29酵素は、このPCR装置で10分間65℃に加熱され、反応混合物中で熱的に不活性化された。
バシラス属へこのライブラリーを導入して形質転換するため、0.1μLのTempliPhiによる増幅反応生成物が500μLの適したB・スブチリス細胞(ΔaprE、ΔnprE、oppA,ΔspoIIE,degUHy32,ΔamyE::(xylR,pxylA-comK)と混合され、37℃で1時間激しく振とうされ、20ppm硫酸ネオマイシン(Sigma,Cat.No.N−1876;1mg当たり732μgのネオマイシンを含む)と0.5%スキムミルクを含むHI−寒天培地上に100及び500μLが加えられた。
わずか14%のクローンが基礎配列(R014I−A064K−T086K−T116E−R123F)と等しく、約3%のクローンに更に突然変異が加えられていた点で、突然変異誘起は良好に進んだ。配列を決められたクローンのうち残り(72%)は全て突然変異種であり、これらの約94%は他にみられない突然変異種であった。
このライブラリーの配列決定の結果は、以下の表4−2に示されている。
実施例4
ASP変異種の未精製酵素サンプルの調製
Asp変異種のタンパク質はB・スブチリス形質転換株(上記及び米国特許出願Ser.10/576,331号)をMBD培地(MOPSに基づいて調製された培地)で37℃68時間、96穴のMTPで培養することにより産生された。MBD培地は、NH4Cl、FeSO4とCaCl2が基本培地から除かれ、3mMのK2HPO4が使用された点以外は、本質的に本願の技術分野で知られている方法(Neidhartら、J.Bacteriol.,119:736−747[1974])で調製された。この基本培地に60mM尿素、75g/Lブドウ糖、及び1%ソイトン(soytone)が添加された。また、1リットルに400mgFeSO4・7H2O、100mg MnSO4・H2O、100mgZnSO4・7H2O、50mgCuCl2・2H2O、100mgCoCl2・6H2O、100mgNaMoO42H2O、100mgNa2B4O710H2O,10mlの1MCaCl2及び10mlの0.5Mクエン酸ナトリウムを含む原液が100倍希釈され微量栄養素が調製された。
以下の実施例は、種々の突然変異種のASPについて行われた試験を述べている。実施例1で先に述べた方法が使用された。以下の表で、「変異種コード」は、野生型のアミノ酸、アミノ酸配列での位置及び置換したアミノ酸を示している(つまり、「F001A」は、ある変異種において、アミノ酸配列の1番目のフェニルアラニンがアラニンにより置換されたことを示す)。
実施例5
多数の置換を受けた変異種のカゼイン加水分解活性
本実施例では、種々の複数の置換を受けたASP変異種のカゼイン分解活性を決定するため行われた実験を述べる。これらの実験では、使用された試験手順は実施例1、上記に記載されている。以下の表は、野生型ASPの活性に1標準偏差を加えたもの(≧1.13活性単位)より大きい活性をもつ株のカゼイン分解活性とともに、各変異種の突然変異を含めて変異種を示している。
以下の表は、野生型のASPの活性に1標準偏差を加えた値(>0.85活性単位)より大きい活性をもつ変異種のカゼイン活性とともに、各変異種の突然変異を含めて突然変異種を示す。
これらの結果により示されているとおり、多数の置換を受けている変異種はこの分析系において野生型よりも良好な性能を示す。
実施例6
多数の置換を受けた変異種のケラチン加水分解活性
本実施例では、種々の複数の置換を受けたASP変異種のケラチン分解活性を決定するため行われた実験について述べる。これらの実験では、使用された試験手順は、上記実施例1で述べられたものである。以下の表は、野生型ASPの活性に1標準偏差を加えたもの(≧1.1性能指数)より大きい活性をもつ変異種のケラチン加水分解活性とともに、各変異種の突然変異を含めて変異種を示している。
以下の表は野生型ASPの活性に1標準偏差を加えた値(>1.2性能指数)より大きい活性を持つ変異種のケラチン分解活性とともに、各変異種の突然変異を含め、変異種を示す。
これらの結果に示されるように、多くの、多数置換を受けた変異種が、本分析系において野生型ASPより良好な性能を示した。
実施例7
多数置換を受けた変異種の熱的安定性
本実施例では、種々の多数置換を受けたASP変異種の熱的安定性を決定するため行った実験について述べる。これらの実験では使用された試験手順は,上記、実施例1に記載されている。以下の表は、野生型ASPの活性に1標準偏差を加えた値(≧48%残存活性)より大きい活性を持つ変異種の残存カゼイン活性とともに、各変異種の突然変異を含め、変異種を示す。
これらの結果に示されるように、多くの多数置換変異種は,この分析系において野生型のASPより良好な性能を示した。
実施例8
多数置換変異種のLAS安定性
本実施例では、種々の多数置換ASP変異種のLAS安定性を決定するため行われた実験について述べる。これらの実験では、使用された手順は、25℃の温度を使用し、上記実施例1に記載されている。以下の表は、野生型ASPの活性に1標準偏差を加えた値(≧10%残存活性)より大きい活性を持つ変異種の残存AAPF活性とともに、各変異種の突然変異を含め、変異種を示す。
他の実験では、多数の置換を受けた変異種のLAS安定性が試験された。最初の組の実験では、実施例1で記載された試験条件が25℃の温度で使用された。以下の表では、野生型の種の活性に1標準偏差を加えた値より大きい活性(>20%残存活性)を持つ変異種が示されている。
他の実験では、さらに別の条件が使用された。一組の実験では、LAS安定性が実施例1に記載された試験手順を用いて、より高い温度(35℃)で試験された。以下の表には、野生型の活性に1標準偏差を加えたもの(>5%残存活性)より大きい活性を示す変異種に関するパーセント残存活性が示されている。
他の実施例では、実施例1で述べた試験手順を使って、変異種は35℃で試験された。以下の表はG12D及びR35Eをもつ変異種に関する結果で、>70%残存活性をもつものが示されている。
他の実験では、さらに異なる条件が使用された。1組の試験では、多数置換変異種の性能指数が、実施例1の試験手順を使用し、25℃で決定された。以下の表には、野生型の活性に1標準偏差を加えたより大きい(>1.1性能指数)残存活性をもつ変異種の性能指数(PI)が示されている。
他の実験では、多くの変異種のLAS安定性が実施例1に記載されている試験手順を使用し、25℃で試験された。上記と同様、選択基準はWT+1標準偏差(>1.1性能指数)より大きい残存活性である。
これらの結果により示されているように、多くの多数置換変異種は、本分析系において野生型ASPより良好な性能を示した。
実施例9
多数置換変異種の汚れ除去性能
これらの実験では、上記の実施例1に記載した試験手順が使用された。以下の表は変異種を示し、野生型に1標準偏差を加えたもの(>1.1性能指数「PI」)より大きい活性をもつ変異種の突然変異型を含めて示している。これらの結果が示すように、多くの多置換変異種は、本分析系で、野生型ASPより良好な性能を示した。
液体洗剤を使用する他の実験では、以下の結果が得られた。以下の表に示される変異種は野生型に1標準偏差を加えたもの(>1.1性能指数)より大きい活性を呈した。
他の実施例では、以下の結果が得られた。これらの実験では、変異種は、対照品としての野生型ASP0.5ppmと比較された。以下の表の結果は、1標準偏差を野生型の活性に加えた値(1.1>性能指数)より大きい活性を持っていた変異種について示されている。
他の実験では、以下の結果が得られた。以下の表に示された変異種は野生型の活性に1標準偏差を加えた(>1.1性能指数)よりも大きい活性を示した。
実施例10
多数の置換を受けた突然変異種の汚染除去性能
本実施例では、種々の多数置換を受けたASP変異種の汚染除去性能を決定するため行われた実験について述べる。これらの実験では、以下の試験手順と物質が使用された。
最初に、105ppmの水(約6gpg)が、11.020g/Lの塩化カルシウム脱水物(CaCl22H2O)MW147.01g/molと5.08g/L塩化マグネシウム・6水和物(MgCl2・6H2O)MW203.3g/molを1000mlの脱イオン水に溶かし10,000ppm原液(3/1 Ca2+/Mg2+)を最初に調製することにより、調製された。この105ppm溶液はこの10,000ppm原液の10.50mlを989.50mlの脱イオン水で稀釈することにより調製された。
TIDE(登録商標)2005洗剤溶液(1.6gm/L)が7リットルの105ppmの水に11.2gmのTIDE(登録商標)2005を溶かすことにより、105ppmの水に調製された。
これらの試験で使用された、血液ーミルクーインク(BMI)で汚れをつけた布見本EPMA116(11x8cm)、EMPA117(11x8cm)(両者はEMPA Testmaterialien AGより入手)と草の汚れをつけた布見本EMPA164(10x7.5cm)(EMPA Testmaterialien AGより入手)及びWarwick Equest LimitedのEquestの植物液で汚れをつけたもの(10x7.5cm)が水耐性ペンで番号を付された(汚れをつけた側)。この布見本の汚れのついた側は白色を背景に、Tristimulus Minolta Meter CR−300(Minolta)を使い、式L(L*a*b)、D65 Std.Illuminateで分析された。布見本ごとに3回測定された。草による汚れは光に非常に敏感であるため、草で汚れをつけた布見本は、使用するまで覆いをつけられ、暗所で保存された。各洗浄実験は二回繰り返して行われた。
試験の間、バラスト(ballast) (比較的強い機械的操作)が使用された。このバラストは2枚の10x10cmEPMA221(汚れのない綿、EMPA Testmaterialien AG製)を1ビーカーにいれた。これらのEMPA221布見本は番号もつけられず、測定もされなかった。
洗濯性能試験は6ポット、卓上Tergotometer(TOM)モデル7243S(米国試験)を使用して行われた。温度が15℃または60°Fに調整された。TOMの内側の半分を氷で満たした。洗浄時間は12分に設定された。試験のビーカーに1リットルの洗剤溶液(上記のように、105ppmの水)を入れた。溶液が15℃または60°Fに達したら、TOMが100rpmの撹拌で始動した。変異種のサンプルが下記のようにしてこの混合物へ加えられた。対照サンプルとして、TIDE(登録商標)2005洗剤溶液(Procter&Gamble)が、酵素を加えずに使用された。変異種は2種の異なる濃度(つまり、0.55ppmと2.75ppm)で試験された。
6枚の布見本(同じ汚れを付着)が同時に各ビーカーへ加えられた。さらに、2枚のEMPA221布見本が加えられた。例えば、BMIの汚れを付けた3枚のEMPA116と3枚のEMPA117+2枚のEMPA布見本(総重量 約13.25グラム)、または草の汚れを付けた3枚の布見本EMPA164と3枚のEquestの植物液で汚れを付けたもの+2枚のEMPA221(総重量約13.22グラム)が加えられた。洗浄時間は12分に設定された。12分の洗浄後、全てのEMPA116とEMPA117布見本がバケツに浸され、全ての草の汚れを付着させた布見本が、冷たい水道水が流れている別のバケツに3分間浸された。EMPA221布見本はその後捨てた。布見本は2分間遠心脱水機にかけられた(EMPA116とEMPA117布見本は草の汚れを付けた布見本と別に乾燥された)。次に、草の汚れを付けた布見本は、光をあてず、アイロンをかけずに風乾され、EMPA116とEMPA117はアイロンで乾燥された。
乾燥後、布見本の汚れのついた側は白色を背景に、Tristimulus Minolta Meter CR−300(Minolta)を使い、式L(L*a*b)、D65 Std.Illuminateで分析された。布見本ごとに3回測定された。汚れ除去のパーセントは、下記式を用いて計算された。
汚れ除去のパーセント=(洗浄後のL値−洗浄前のL値)/(L0 白綿−洗浄前のL値)x100%
各変異種の汚れ除去の測定値を得るため、次に汚れ除去のデルタパーセンテージが変異種を含まないTIDE(登録商標)2005洗剤溶液の汚れ除去のパーセントを、各変異種の存在下での汚れ除去のパーセントから差し引く(デルタ%SR)ことにより計算された。結果は表10.1に示されている。
他の実験で、種々の多数置換ASP変異種の汚れ除去性能が試験された。上記の試験条件が用いられたが、以下の変更を行った。これらの試験では、TIDE(登録商標)2005SNOW洗剤溶液(1.5gm/L)が、25Lの105ppmの水に37.5グラムのTIDE(登録商標)2005SNOWを溶解して調製された。さらに、EMPA116BMIの汚れを付着した布見本が10x7.5cmの小片に切り分けられた。EMPA117布見本は、EMPA116BMI固定布見本(CFT)に置き換えられ、また、10x7.5cmの小片へ切り分けられた。EMPA164布見本はこれらの実験では使用されなかった。変異種が0.55ppmの1濃度で試験された。6枚の布地見本(つまり、6枚のEMPA116、6枚のEMPA116固定又は6Equest)が各ビーカーへ同時に加えられた。さらに、2枚のEMPA221布地見本が加えられた。対照として、TIDE(登録商標)2005SNOW洗剤溶液(Procter&Gamble)が、酵素を加えずに使用された。各洗浄性能試験は4回繰り返された。結果(平均デルタ%SR,標準偏差(STD)及び繰り返し回数(n))は図6に示されている。
別の組の実験では、多くの多数置換を受けたASP変異種の汚れを除去する性能が試験された。上記の試験条件は、以下の変更を加えて行われた。これらの試験では、HEPES緩衝液を含むTIDE(登録商標)2005 SNOW洗剤溶液(1.5gm/L)が37.5gmのTIDE(登録商標)2005 SNOWを25リットルの105ppmの水に溶解することにより105ppmの水に調製された。次に、30gHepes(=5mM;C8H18N2O4S)が加えられ、この溶液が撹拌され、±19ml4N NaOHでpHが7.8に調整された。この溶液は室温で36時間貯蔵できることが分かった。これらの試験では、10x7.5cmのEMPA116BMIの汚れ付着布地見本と10x7.5cmのEquest草溶液汚れ付着布地見本が使用された。変異種は0.55ppmの1濃度で試験された。6枚の布地見本(6枚のEMPA116、または6枚のEquest草溶液汚れ付着布地見本)が各ビーカーに同時に加えられた。さらに2枚のEMPA221布地見本が加えられた。対照サンプルとして、HEPES緩衝液を含むTIDE(登録商標)2005 SNOW洗剤溶液(Procter&Gamble)で酵素を含まないものが使用された。各洗浄性能試験は4度繰り返された。結果(平均%SR、標準偏差(STD)及び繰り返し回数(n))が図7に示されている。
これらの結果に示されているように、本分析系では、多くの多数置換を受けた変異種は、野生型ASPよりも良好な性能を示した。
実施例11
低pHで試験を受けた多数置換突然変異種の汚れ除去性能
本実施例では、種々の多数置換ASP変異種の汚れ除去性能を決定するため行われた実験について述べる。これらの実験では、使用した試験手順は、上記、実施例1に述べられている。以下の表は野生型ASPの活性に1標準偏差を加えたもの(1.1性能指数)より大きい活性を持つ各変異種の突然変異型を含め、変異種を示している。
液体洗剤を使用する別の実験では、以下の結果が得られた。以下の表に示された変異種は野生型に1標準偏差を加えた(>1.1性能指数)より大きい活性を示した。
これらの結果で示されるように、本分析システムでは、多くの多数置換変異種は、野生型ASPよりも良好な性能を示した。
実施例12
自動皿洗いにおけるASP変異種の洗浄性能
本実施例では、自動皿洗浄(ADW)用TABLET ACTION PACK(登録商標)洗剤におけるASP変異種の、すでに述べたプロテアーゼに感受性のある汚れに対する洗浄性能を標準セリンプロテアーゼ(「プロテアーゼB」)と比較して決定するために行われた実験について述べる。下記の表に示すように、ASP変異種はプロテアーゼBより良く汚れを落とした。
24穴の微小洗浄試験が実施された。ステンレス鋼の円盤がハンマーと穿孔機を使って打ち抜かれた。この円盤が初期重量を得るため洗浄され、秤量された。卵汚れは下記のように調製された(「いり卵調製」と「黄身調製」)。次に、50μLの調製卵が各円盤に載せられた。この調製物は室温で30分間乾燥され、ついで80℃で2時間オーブンで焼かれた。この円盤は室温に冷やされた。汚れ付着後、この円盤は、汚れが付着した円盤の重量を得るため秤量された。汚れの付着した円盤はNUNCLON(登録商標)24穴ポリスチレンプレートに入れられた。自動皿洗い洗剤溶液が、酵素を含まない適量のADW(例.粉末4500ppm)を40℃で11gpg水1Lに十分に混合させて調製された。硬度を持つ溶液は188.57gCaCl2・2H2Oと86.92gMgCl2・6H2Oを1LのDI水へ混合して調製された。この試験では、2mlの予め加熱したADW溶液が55℃で各穴へ加えられた。適量の酵素が次に各穴へ加えられた。いくつかの実施態様では、6種の試験が4回繰り返して行われ、他の実施例では4種の試験が6回繰り返して行われる。このプレートは次にフィルムで密封された。プレートは予熱した恒温/振とう機に入れられ、フラスコクランプで固定された。プレートは適温(例.ヨーロッパの洗浄条件については55℃)で180RPMで30分間洗浄された。洗浄後、プレートは、それらを暖かい水浴に3回浸すことにより注意深く濯いだ。円盤をプレートから取り除き80℃で1時間オーブンで乾燥した。乾燥後、洗浄円盤の重量を得るために秤量された。以下のようにして、重量によるおよそのパーセント除去を計算した。
%除去=(汚れの付着した重量―洗浄後の重量)/(汚れの付着した重量―汚れの付着していない重量)x100
除去指数=%除去/標準プロテアーゼ(プロテアーゼB)による%除去
いり卵の調製
試験酵素を含むプロテアーゼ及び/または洗剤組成物の試験で使用する卵は以下のように調製された。最初に、100mlの10%脂肪乳を3個の卵の全成分と混合する。この混合物は、混合物が少し液状になるまで続けて撹拌する。次に、40mlのミルクを加え、塊がなく滑らかになるまで、混合物を手動でかき混ぜるか、ブレンダーを高速(high)にして混ぜた。この卵混合物を、汚れ付着に使用する前に、室温まで冷やした。
黄身の調製
水浴がホットプレートの温度検知器を60℃に設定して加熱された。パルプ製のろ過器がビーカーの上に置かれた。卵の黄身を調製するために、6−9個の黄身が取り出され、黄身は白身から分離された。黄身に付着した残存物は除去されたが、黄身は潰されなかった。黄身を静かに冷水中で洗った。黄身はろ過器とビーカーの上で静かに潰された。全ての黄身がろ過された後、ろ過した黄身を含むビーカーが水浴に置かれた。黄身は、60℃で30分間撹拌された。黄身は水浴から移され、30分間冷たい水浴に入れられた。表面に生成した皮が静かに取り除かれた。
ステンレス鋼のスライドを使用した卵の汚れの調製(1x3インチ)
各金属スライドがいり卵又は黄身調製物(上記のように調製された)へ一度浸して上げられ、一度軽くたたき、各スライド上にほぼ同量の卵が付くようにした。このスライドの背側はテッシュペーパーで拭ってきれいにした。このスライドは次に番号順に2段のオーブンの棚に置かれた。スライドは室温で30分間放置され乾燥された。次にスライドは80℃(+/-1℃)で2時間処理されが、1時間で上の棚と下の棚が交換され、180°(+/-1℃)だけ回転された。冷却され、汚れの付着したスライドが、1−96の順に秤量された。
洗浄のため、8枚の汚れの付着したスライドが洗浄機の最上段の棚と底の棚の両方に置かれた。予備洗浄と主洗浄は、予備洗浄についてWhirlpool840カップによる秤量で40ml、主洗浄について60mlで行った。通常1試験で、4製品が、4台のGE500機を使用して試験された。試験サイクルについては、汚れの付着したスライドが洗浄機に入れられ、試験製品が予備洗浄及び主洗浄カップに入れられた。水温は120°Fに設定され、洗浄機は正常の洗浄サイクルで稼動した。スライドが最終すすぎ終了時に秤量のため洗浄機から取り出された。このスライドは乾燥サイクルには進まなかった。4回の繰り返しの終了までに、各製品は各洗浄機で一度使用された。一日で全4回の繰り返しが行われた。翌日、同一の手順が新しい汚れの付着したサンプルを使って繰り返され、各製品当たり合計8回の繰り返しに達し、これらは次に平均値が出され最終結果とされた。およそのパーセント除去を示す重量評価が以下のように計算された。
%除去=(汚れの付着したものの重量―洗浄されたものの重量)/(汚れの付着したものの重量―汚れのないものの重量)x100
除去指数=%除去/標準プロテアーゼ(プロテアーゼB)による%除去
これらの性能試験の結果は、下記表12−1に示されている・
実施例13
粉末洗濯洗剤におけるASP変異種の洗浄性能
本実施例では、洗濯用粉末洗剤ARIEL(登録商標)でASP変異種の洗浄性能を決定するために実施された実験について述べる。これらの実験では、変異種の性能は、実製品の洗濯(RIC)に対して、標準セリンプロテアーゼ(例.「プロテアーゼC」)と比較された。
この試験は以下の条件を用いて、Meile洗濯機を使って行われた。温度40℃、硬度21gpg、洗剤7300ppm、プロテアーゼ0.88ppm、実製品(RI)0.75kg、全バラストとRIの合計重量2.5kg、水13L、洗濯時間20分、すすぎ時間3x5分。
これらの実験では、大型サイズのシーツ、汚れのない靴下(J&RCoordinating Service)が汚れのないバラスト用に4分割される。加えて、ソックス、t−シャツ、まくらカバー、タオル、フキン等の消費者用実製品(RI)が試験された。酵母とASI(人工の汚れ1;Equest)がこれらの実験で使用された。ASIの組成は下記の表13−1に与えられている。
均一な汚れがついているよう選択された服は、試験用に等しい大きさとなるよう切断された。この2枚の服の半分は、表示した一対の順序で符号が付された(例.服の左/右)。
服1 服2 服3 服4 服5 服6 服7 服8
AB BA BA AB BA AB AB BA
「A」と表示された服の部分はASP変異種で洗浄され、「B」と表示された服の部分はプロテアーゼCで洗浄される。試験は4x4x2で行われた。(各処理が、RIの2回の繰り返しを含む4台の洗濯機で繰り返された。)
試験手順
汚れの付着していない4分割されたベッドシーツのバラストとRIが合わされ2.5kgの総仕込重量とされ、マニュアルMeile洗濯機へ仕込む準備がなされ、前パネルの「21gpg」仕込みがオンにされる。洗濯機は、それからオンにされる。温度は40℃、短洗濯サイクルに設定される。次に、バラストとRIが洗濯機へ入れられる。さらに、20gのASIと17gのパン酵母で汚したソックスが各繰り返し試験に加えられた。次に、洗剤(95g)が洗濯機の洗剤トレーに加えられ、洗浄サイクルが開始された。洗剤がトレーから流し出されたら、添加予定の液体が加えられる。洗濯機はその後にそのサイクルを終える。洗濯サイクルが終了したとき、内容物が乾燥器に移され、30分間乾燥された。洗濯物はその後、目視で評価されLSGプログラムのPSU結果と優先番号が与えられる。
試験の等級付け
試験品の洗濯との乾燥の72時間以内に全試験が一度に等級付けがされる。切断した服がパネルルーム(panel room)に広げられ、Scheffe スケールを用いて少なくとも3人の判定者により等級付けられる。加えて、汚れA対汚れBの比較は少なくとも2人の判定者により等級付けられる。
結果の取り扱い
等級付けは洗濯試験ソフトウェアを入れた携帯Psionセットへ入力される。全ての切断された製品の等級づけが終了したとき、データはパーソナルコンピュータへ移され平均PSUグレード、AとBの処理の間での%優位性、各服のLSDが計算される。製品の間での有意差は90%の信頼限界で求められる。
PSU等級付け体系は2つの製品(調合)を比較するために使用される。2つの調合が性能に関して試験される(例.洗濯後の汚れの残存)。これらの実験では、両製品で洗濯された(例.製品Aと製品B)、いく枚かの布地が比較される。2名以上の判定者が等級を付けるが、その場合以下のSchelleスケールが使用される。
0:優位性なし
1:私はこの製品が少し良い(better)と思う(確かではない)。
2:私はこの製品が少し良いと思う。
3:この製品はより良い。
4:この製品はずっと良い。
実施例14
ASP変異種の貯蔵安定性
本実施例は、液体TIDE(登録商標)洗剤中で試験された種々のASP変異種の貯蔵安定を野生型(WT)ASPと比較して決定するため行われた実験について述べる。変異種及び野生型ASPのプロテアーゼ活性はHitachi911自動分析機を使用して試験された。これらの試験では、、スクシニル−L−Ala−L−Pro−L−Phe−p-ニトロアニリド(pNA)がプロテアーゼの活性を評価するために基質として使用された。この試験では、末端カルボキシアミド結合は活性なプロテアーゼにより切断されp-ニトロアニリンを生じる。その結果生じる、415nm/450nmで測定される黄色の強度はSAVINASE(登録商標)プロテアーゼ標準品で調整されたサンプル中のプロテアーゼ活性に比例する。
以下の表に示されているとおり、野生型ASPと比較して、工学的に操作の行われた変異種の貯蔵安定性は有意な向上を示した。この表では、「保持活性%」は、以下の式を使って決定された。保持活性%=活性/初期活性x100%
実施例15
ASP洗濯活性の決定
本実施例では、種々の洗濯条件の性質と種々の条件下での洗濯活性を決定するために行われた実験について述べる。
洗剤の調合、水量、水温、洗濯時間等、洗濯条件には広い範囲の条件がある。従って、プロテアーゼのような洗剤組成物は悪い環境条件に耐え、機能できなければならない。例えば、異なる領域で使用される洗剤調合物は、異なる濃度の成分を水に溶かす。例えば、ヨーロッパの洗剤は通常、3000−8000ppmの洗剤組成物を水に溶かすが、日本の洗剤は通常800未満(例.667ppm)の洗剤成分を水に溶かす。北アメリカ、特に米国では、洗剤は通常約800−2000(例.975ppm)の洗剤組成物を水に溶かす。
ラテンアメリカの洗剤は一般的に高含量の石鹸水燐酸研磨剤洗剤(suds phosphate builder detergents)であり、1500−6000ppmの洗剤成分を水に溶かすので、ラテンアメリカで使用される洗剤の範囲は中及び高洗剤濃度に属す。ブラジルの洗剤は通常約1500ppmの洗剤組成物を水に溶かす。しかし、他のラテンアメリカの諸国に限らない、他の高含量の石鹸水燐酸研磨剤洗剤使用地域は、約6000ppmまでの洗剤成分を水に溶かす高洗剤濃度系をもつであろう。
先に述べたことから、世界中の通常の洗浄溶液の洗剤成分の濃度は、約800ppm未満の洗剤組成物(「低洗剤濃度地域」)、例えば日本では約667ppm、から約800ppmと約2000ppmの間(「中程度の洗剤濃度地域」)、例えば米国で約975ppm、及びブラジルで約1500ppm、さらに約2000ppmより高濃度(「高洗剤濃度地域」)、例えば、ヨーロッパで約3000ppmから約8000ppm、及び高濃度石鹸水リン酸研磨剤洗剤地域で約6000ppm、に及ぶことが明らかである。
通常の洗浄溶液の濃度は実験的に決定される。例えば、米国では、通常の洗濯機は約64.4Lの洗濯水を入れる。従って、洗濯水に約975ppmの洗剤濃度を得るために約62.79gの洗剤成分が64.4Lの洗濯溶液に加えられなければならない。この量は洗剤に添付されている秤量カップを使用して消費者が洗濯水へ秤り入れる通常量である。
別の例として、異なった地域では異なる洗濯温度を用いる。日本では洗濯水の温度は通常、ヨーロッパで使用されるよりも低い。例えば、北アメリカと日本の洗濯水の温度は10℃と30℃の間(例えば、約20℃)であり得るが、ヨーロッパの洗濯水の温度は通常30℃と50℃の間である(例.約40℃)。
別の例として、地域が異なれば、水の硬度が異なるだろう。水の硬度は通常、ガロン(gallon)当たりのCa
2+/Mg
2+を併せたグレイン(grain)により表される。硬度は水に含まれるカルシウム(Ca
2+)とマグネシウム(Mg
2+)の量の尺度である。米国の大部分の水は硬水であるが、硬度は、地域ごとに変わる。中程度の硬水(60−120ppm)から硬水(121−181ppm)は、60から181ppm(つまり、ppmのUSガロン当たりのグレインへの変換は、17.1でppmを割って得られる)の硬度の鉱物を含む。表15−1は水の硬度の範囲を示す。
ヨーロッパの水の硬度は通常、Ca2+/Mg2+総量がガロン当たり10.5(例.10.5−20.0)グレインより大きい(例.Ca2+/Mg2+総量がガロン当たり約15グレイン)。北アメリカの水の硬度は通常、日本の水の硬度より大きく、ヨーロッパの水の硬度より小さい。例えば、北アメリカの水の硬度は3から10グレインの間、3−8グレイン又は約6グレインでありうる。日本の水の硬度は通常、北アメリカの水の硬度より低く、普通、4より小さく、例えばガロン当たり3グレインのCa2+/Mg2+総量である。
本願発明は少なくとも1組の洗濯条件で、通常は多数の洗濯条件で洗濯性能が向上したプロテアーゼ変異種を提供する。
本明細書では、プロテアーゼ変異種は、微小布地見本分析を使用した異なる種類の洗剤と洗濯条件について試験される(上記参照、及び米国特許出願Ser.第09/554,992、及びWO99/34011号参照、両者は引用により本明細書に組み込む。)プロテアーゼ変異種は、他の汚れのついた材料についても同様に試験される。
実施例16
液体布地洗濯組成物
本実施例は本願発明とともに使用される液体布地洗濯組成物を提供する。これらの組成物は、精巧な及び/又は繊細な布地の洗濯を含む用途のほか、日本の洗濯機による洗濯条件で特に有用であると考えられている。表13−1は適した組成を示している。しかし、多くの他の調合が本願発明と合わせて使用できるので、本願発明をこの特定の調合に限定することを意図するものではない。
実施例17
液体皿洗い組成物
本実施例は本願発明とともに使用する液体皿洗い組成物を提供する。これらの組成物は、日本の洗浄条件で特に用途があると考えられている。しかし、多くの他の調合が本願発明とともに使用されるので、本願発明をこの特定の調合に限定することは意図していない。
以下のコンパクト高密度皿洗い洗剤組成物が、本願発明により提供される。
以下の皿手洗い用液体洗剤組成物が本願発明により提供される。
以下の液体自動皿洗い洗剤組成物が本願発明により提供される。
以下の錠剤型洗剤組成物が本願発明により提供される。これらの組成物は標準12ヘッドロータリープレス(standard 12head rotary press)を使い、13KN/cm
2の圧力で顆粒皿洗い洗剤組成物を圧縮して調製される。
以下の皿洗い組成物は日本の洗濯条件で特に有用である。
実施例18
布地洗濯組成物
本願発明のプロテアーゼは、洗濯組成物に特に有用である。例えば、日本の洗濯機による洗濯条件で特に有用な液体布地洗濯組成物が、本願発明に従い調製されると考えられる。いくつかの好ましい実施態様では、これらの組成物は表18−1に示す以下の成分を含む。
実施例19
顆粒状布地洗濯組成物
本実施例では、本願発明とともに使用される種々の顆粒状布地洗濯組成物が提供される。以下の表は適当な組成物を示す。しかし、多くの他の調合が本願発明に関し使用されるので本願発明をこれらの特定の調合に限定することは意図していない。
以下の洗濯組成物は、本願発明により提供される。これらの組成物は顆粒または錠剤として使用するのに適している。
以下の洗濯用洗剤組成物は、特にヨーロッパの洗濯機による洗濯条件で使用されるよう考えられている。
実施例20
硬い表面の洗浄剤組成物
本願発明は、また硬い表面の洗浄に適した組成物を提供する。
実施例21
ASPを含む動物飼料
本願発明はまた、ASP変異種を含む動物飼料組成物もまた提供する。本実施例では、家禽に適した1飼料が提供される。しかし、本願発明のプロテアーゼが多くの他の飼料の処方に使用されるから本願発明をこの特定の処方に特定することは意図していない。さらに本願発明の飼料は、愛玩用動物(例.イヌ、ネコ、ウマ、齧歯類等)のほか、家畜(例.ウシ、ブタ、ヒツジ等)等を含み、これらに限定されないいずれかの動物への投与にも適すことを意図している。以下の表は、マッシュ、つまり3週までの七面鳥への投与に適したトウモロコシを基本とする初期飼料の処方を示す。
いくつかの実施態様では、この飼料調合物は本願発明の種々の濃度のプロテアーゼ(例.2,000単位/kg、4,000単位/kg及び6,000単位/kg)が加えられている。
明細書に記載された全ての特許と刊行物は、発明の属する技術分野の技術者の水準を示す。全ての特許と刊行物は、各個の刊行物が、特定されかつ個別に引用により組み込まれる場合と同程度に引用により本明細書に組み入れられる。
本願発明の好ましい実施態様を述べたので、本願発明の技術分野の通常の技術者には、開示された実施例に種々の変更が行われることができることが明らかであろう。そしてそのような変更は本願発明の範囲内にあることを意図している。
本願発明の技術者は、本願発明が対象物を扱い、対象物が固有に備えているもののほか、記述された目的と利点を得るに十分に適していることが分かるであろう。本明細書に記載された組成物と方法は好ましい実施態様の代表、典型であり、本発明の範囲に関し限定することは意図していない。発明の範囲と本質から逸脱せず本明細書に開示されている発明に種々の置換と変更が行われ得ることは、本願発明の技術分野の技術者には容易に明らかである。
本明細書に説明のため述べられた発明は、本明細書に特定して開示されていないいずれの発明特定事項、限定もない条件で実施できる。使用された用語及び表現は記述のための用語として使用されており、限定のためではなく、かつそのような用語と表現の使用は、明らかにされかつ述べられた特徴と等価なものまたはその一部と等価なものを排除する意図はなく、むしろ、特許を請求する発明の範囲内で種々の変更が可能であることが認識される。従って、本願発明は好ましい実施態様と任意の特徴により具体的に開示されているが、本明細書に開示された概念の修飾、変更は本願発明の技術分野の技術者に委ねられ、且つそのような修飾と変更が、添付の特許請求により定義されている発明の範囲内にあることが理解されるべきである。
本発明は本明細書に広く、属に関して述べられてきた。属の開示の範囲内にあるより狭い範囲の種及び属より下位の分類のそれぞれもまた本発明の一部を形成する。これには、除外されるものが本明細書で特定して記載されていたか否かに拘らず、当該属からいずれかのものを除外する条件または否定的限定(negative limitation)を付した発明についての属に関する記述が含まれる。