JP2010500523A - ホースに関する改良 - Google Patents

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Abstract

内側管状構造(10)と、外管(30)と、断熱層とを含むホース(100)であって、内側管状構造(10)が、内側把持部材と外側把持部材との間に配設された管状本体を備え、管状本体が、密閉層を含み、かつ極低温の温度に耐えることができる材料から形成されており、外管(30)が、ゴム層(32)とゴム層(32)の周りに配設された補強層(34、36)とを含み、断熱層が、内側管状構造内に組み込まれ、かつ/又は内側管状構造と外管との間に配設される、ホース。
【選択図】図1

Description

本発明は、ホースに関し、より詳細には、極低温用途における使用に適したホースに関する。
船又は他のプラットフォームなどの海洋構造物と海底パイプラインとの間で流体を輸送するためのシステムは、数多く存在する。そのようなシステムの例として、以下があげられる:
(1)多点係留(conventional multi-buoy mooring)(CMBM)システム。このシステムでは、ライザー(riser)が、海洋構造物から下方のパイプラインまで直接通っており、支持ブイが、ホースの長さに沿って間隔を置いて配置されている。
(2)単一点係留塔(single tower mono-mooring)(STM)システム。このシステムでは、1棟の係留塔が、海底に固定され、海面に延在している。係留塔は、海面からパイプラインまで延在するライザーを支持する。ホース又は他のパイプが、海洋構造物から延び、係留塔の頂部においてホースの端部に連結されることが可能である。
(3)単錨係留(single anchor-leg mooring)(SALM)システム。このシステムでは、ブイは、海洋構造物に近接して配置されており、海底上又は海底近傍に配置された連結ユニットに取り付けられ、それを支持している。ライザーは、海洋構造物から連結ユニット、次いで連結ユニットからパイプラインまで延びている。別のパイプセクションが、連結ユニットからパイプラインまで通っている。
(4)懸垂式錨係留(catenary anchor-leg mooring)(CALM)システム。このシステムでは、ブイは、海洋構造物に近接して配置されている。ライザーは、ブイから、たいてい海底上又は海底近傍に配置される水中連結ユニットまで通っている。別のパイプセクションが、連結ユニットからパイプラインまで通っている。ホース又は他のパイプは、海洋構造物から延び、ブイにおいてホースの端部に連結されることが可能である。「スティープS(Steep S)」システム、「レイジーS(Lazy S)」システム及び「チャイニーズランタン(Chinese Lantern)」システムを含む、CALMシステムの様々な構成が存在している。
上述のシステムすべてが、当技術分野ではよく知られており、他にも上述されていない、たとえば中間海洋構造物の使用などのシステムが存在し得る。これらのシステムすべての本質的な特徴は、流体を船などの海洋構造物からパイプラインなどの水中構造物に運搬するためにライザーが設けられることである。ライザー及びライザー用の支持構造物の正確な構成は、特定の海洋場所における現状に応じて変更することができる。システムの特定の詳細に応じて、ライザーは、水没セクション、浮遊セクション及び空中セクションを含む。
たとえばWO96/36592に記載されているように水没式ブイの使用を伴うシステムも存在する。また、WO93/24731や、より最近では極低温流体を輸送するためにWO93/24731に記載されたシステムの使用を基本的に伴うWO2006/044053に記載されているような垂直に移動可能な水没式ブイの使用を伴うシステムも存在している。
これらのタイプのシステムすべてが、ゴムホースをライザーとして使用する。一般的なゴムホースは、以下の構造を有する:
(1)ゴム製のライニング層。
(2)渦巻状に付着された高強度鋼又はポリマー強化コードの複数の補強層-これらは圧力及び外部負荷に対する耐性をもたらす。
(3)ゴム基材(matrix)内に埋め込まれた、補強層外側のらせん形の鋼ワイヤ。
(4)渦巻状に付着された高強度鋼又はポリマー強化コードの更なる補強層。
(5)ゴムカバー。
この構造には、没水度の深さを増大するための耐破壊性金属カーカス、内部流体と海の間に2重障壁を提供するための環状部、浮力及び断熱をもたらすための材料の含有、及び過剰湾曲の防止を助けるためにホース長さに沿って様々な剛性をもたらすための外側カバーの形成(build up)など、様々なバリエーションが存在することが理解されよう。
ゴムホースは、普通、接着構造のものとして分類される。可能なバリエーションは、特にライザーの水没部分に非接着構造の従来の可撓性管を使用することである。典型的な可撓パイプは、以下の構造を有する:
(1)耐破壊性のための内部ステンレス鋼金属カーカス。
(2)たとえばポリエチレン又はポリアミドなどの熱可塑性物質製のライニング層。
(3)渦巻状に付着された高強度鋼ワイヤの複数の補強層-これらは圧力及び外部負荷に対する耐性をもたらす。
(4)渦巻状に付着された断熱材の任意選択の層。
(5)たとえばポリエチレン又はポリアミドなどの適切な熱可塑性材料製の外側カバー。
可撓性パイプのための米国石油協会勧告実行策(The American Petroleum Institute's Recommended Practice For Flexible Pipe)は、接着及び非接着型のホース構造並びに海洋環境におけるその使用について一部詳細を記載している。
ゴムホースは、非常に破れにくく頑丈であるため、上述のシステムにおける使用に非常に好適であり、ゴムホースが働くことが予想される過酷な状況に耐え得ることが知られている。ゴムホースはまた、可撓性であり、その外径に比べ小さな曲げ半径(small bend radii)に曲げられることが可能である。しかし、ゴムホースには、それらが効果的に働くことができる最低温度に限界があるという問題が存在する。通常のゴムの場合、最低使用温度は、約-60℃である。最低約-100℃の温度で働くことができる特別なゴムが入手可能である。しかし、ゴムホースは、約-100℃を下回る温度では効果的に働くことができない。
これは、ゴムホースが、約-100℃を下回る温度の流体の輸送を伴う用途には適さないことを意味する。特に、そのようなホースは、通常、約-162℃程度の低温で働く能力を要する液化天然ガス(liquefied natural gas)(LNG)の輸送には適さない。
上記で指摘したように、WO2006/044053は、垂直に移動するブイを利用するシステムを用いて船から水中場所まで極低温流体を運ぶためのシステムを開示している。この特許は、特に以下の、このシステムと共に使用するためのいくつかの可能なタイプのライザーを想定している:
(1)INVAR(登録商標)として知られているニッケル合金でライニングされた(lined with)従来の海底パイプの使用。
(2)水圧に耐えるように構造的に補強された従来の極低温貨物ホースの使用。
(3)2つの同心の金属管の使用を基本的に伴うパイプインパイプ(pipe-in-pipe)構造。
(4)一般的には高ニッケル合金、オーステナイトステンレス鋼及び/又はアルミニウムである、断熱された硬質のパイプセクションの配置。
しかし、この特許は、海面下における極低温流体の輸送に使用するのに適した実用的なライザーの特有の構造については詳細に示していない。更に、この特許は、部分的には、従来のゴムホースを用いて極めて効果的に輸送可能である-28.9℃〜-100℃の範囲の温度を有する非極低温流体の輸送に関するものである。
極低温海底パイプラインの問題に関する他の特許としては、EP1428748A1、GB2186657A、GB2408307A、US4826354A1及びWO2005/119150A2があげられる。
海面下で極低温流体を運搬することができるホースの構造は、長年にわたる技術的課題である。上記で述べたような特許は、一般論としてこの問題に対する解決策を開示しているが、実際には、ライザー構造に関連する困難及びコストにより、商業化が可能な解決策は存在していない。
本発明の目的は、極低温流体の運搬に使用するための改良されたホースを提供することである。
本発明の特定の目的は、海面下で極低温流体を輸送することができるホースを提供することである。
広く言えば、本発明は、内側管状構造の周りに配置された外管を備えるホースに関する。外管は、ゴムホースであり、一方で内側管状構造は、外管内に提供された全体構造に関するものである。特に、内側管状構造は、内側管状構造内を流れる極低温流体の低温から外管を保護するために必要な任意の特別な断熱材と組み合わせた、いわゆる複合ホース又はベローズホースを含む。内側管状構造は、複合ホースによってもたらされた断熱効果に加えて断熱材を含むことができ、また、外管と内側管状構造との間に画定された任意の環状空間も含む。
本発明の第1の態様によれば、内側管状構造と、外管とを備えるホースであって、内側管状構造が内部把持部材と外部把持部材との間に配設された管状本体を備え、管状本体が密閉層を含み、かつ極低温に耐えることができる材料から形成されており、外管がゴム層とゴム層の周りに配設された補強層とを含み、内側管状構造が内側管状構造内を流れる極低温流体の低温から外管を保護するのに十分な断熱特性を有する、ホースを提供する。
本発明のこの態様では、内側管状構造は、基本的に複合ホースを備えるが、外管はゴムホースを備える。複合ホース及びゴムホースのいずれも当技術分野ではよく知られている。本発明以前には、水中における極低温流体の輸送に関する問題を解決するために、2つのタイプのホースを一緒にすることを誰も企図していなかった。複合ホースの例は、たとえばWO01/96772、WO2004/044472、及びWO2004/079248に記載されている。複合ホースは、極低温流体の輸送における使用が知られているが、ゴムホースに関連する頑丈さは有しておらず、したがって海面と海底との間での流体の輸送における使用には適していない。
本発明の重要な特徴は、外管内のゴム層が内側管状構造内を通って輸送される極低温流体の温度から適切に保護されることである。最低-60℃の使用温度を有する通常のゴムの場合、外管の最も内側のゴム層における表面温度は、-60℃を下ってはならない。最低-100℃の使用温度を有する特別なゴムの場合、外管の最も内側のゴム層における表面温度は、-100℃を下ってはならない。
必要とされる断熱は、いくつかの方法で達成可能である。1つの方法は、内側管状構造の管状本体によってもたらされる断熱のみに依存することである。管状本体の材料は、必要とされる断熱をもたらすようなものであることができる。更に、好ましい実施態様では、管状本体の材料は、更なる断熱をもたらす一定量の空気を層内に残す方法で、マンドレルの周りに複数の層を巻き付けることによって形成される。
別の実施態様では、内側管状構造に、断熱材料から形成された断熱層が設けられる。断熱層は、管状本体の特別な層でよく、或いは外側把持部材の周りに形成された層でもよい。
別の実施態様では、断熱材料から形成された断熱層が、内側管状構造と外管との間に設けられる。
別の実施態様では、断熱は、内側管状構造と外管との間の空間に配設された粒子状の断熱材料(たとえばビーズ)によって提供される。断熱粒子は、通常、ガラス微小球、パーライト、ポリスチレン粒子を含むことができる。粒子は、それらを内側管状構造と外管との間に注入することにより空間内に配置させることができる。
必要とされる断熱は、上記に説明した特有の技術の任意の組合せによって提供することができる。
好ましくは、管状本体は、密閉層を挟む少なくとも2つの補強層を含む。
好ましくは、外側把持部材と軸方向強化手段との間に別の補強層が設けられる。
補強層の極限強度は、直径8"(200mm)の内側管状構造に対して100と700kNとの間であることが好ましい。補強層の破壊時の曲げひずみ(bend strain)は、2%〜15%の範囲にあることが好ましい。
内側管状構造は、軸方向強化手段を更に含むことが好ましい。好ましくは、軸方向強化手段は、管形状で提供される材料のシートから形成された略管状のシース(sheath)を備え、それにより、シースは、軸力を受けたときにその管形状の完全性を維持できるようになる。内側管状構造には、軸力下における内側管状構造の性能を更に向上させるために、2つ以上の管状シースを設けることができる。軸方向強化手段は、略管状のブレード(braid)の形態で設けられることが特に好ましい。本明細書では、「ブレード」という用語は、細長構造を形成するために互いに絡み合う2つ以上の繊維又は糸(yarns)で形成された材料を指す。ブレードの特徴は、軸力を受けたときに伸長することができることである。ブレードの別の特徴は、管状形態で提供されるとき、ブレードが軸力を受けたときにその直径が小さくなることである。したがって、管状本体の周り又は管状本体の構造内部に管状ブレードを設けることにより、ブレードは、軸力を受けたときに管状本体の少なくとも一部に半径方向内向きの力を及ぼすことになる。管状シース全体は、ブレードの形態で提供されることが好ましい。しかし、管状シースの長さの1つ以上の部分のみがブレードの形態で提供されることも可能である。また、ブレードは、管状シースの円周全域にわたって延在することも好ましい。しかし、管状シースの円周の一部のみがブレードの形態で提供されることも可能である。ブレードは、2軸(biaxial)形態(即ちブレードが、2本だけの絡み合う繊維又は糸から形成される)又は3軸(triaxial)形態(即ち軸方向の強度の増大のために長手方向に延びる繊維又は糸も存在する)で提供されてよい。
軸方向強化手段をブレードの形態で提供することが好ましいが、この軸方向強化手段は、上記で指定した機能的要件を満たす他の形態で設けられてよい。したがって、軸方向強化手段は、管状本体の周りにらせん状に巻き付けられたコード又はロープの適切な配置として設けられてよい。
したがって、代替的に又は追加的に、軸方向強化手段は、内側管状構造の長さに沿って延在する複数の軸方向強化ストリップ(strips)を備える。軸方向強化ストリップは、内側管状構造の円周の周りに等置されることが好ましい。ストリップは、2、3、4、5、6、7、8本又はそれ以上存在することができる。より好ましくは、3、4、5、又は6本のストリップが存在し、4又は6本のストリップが最も好ましい。好ましくは、各々の軸方向強化ストリップは、縦糸及び横糸を有する布製である。より好ましくは、各々の軸方向強化ストリップの縦糸は、内側管状構造の長手方向軸に対して0°〜10°の角度で配置される。更により好ましくは、各々の軸方向強化ストリップの縦糸は、内側管状構造の長手方向軸に対して0°〜5°の角度で配置される。最も好ましくは、各々の軸方向強化ストリップの縦糸は、内側管状構造の長手方向軸に対して0°〜2°の角度で配置される。
軸方向強化手段は、外側把持部材と管状本体との間に配設することができる。或いは、軸方向強化手段は、管状本体内、即ち補強層と密閉層との間に組み込むことができる。
内側管状構造の構築材料は、意図される環境において機能することができるように選択されなければならない。したがって、内側管状構造は、加圧された流体を内側管状構造の壁から漏らすことなくその中を輸送できるようにする必要がある。また、内側管状構造は、繰返し曲げに耐え、内側管状構造及び流体重量の組合せによって引き起こされる軸応力に耐える必要もある。該補強層又は各補強層の主要な目的は、内側管状構造内を通る流体の輸送中に内側管状構造が晒されるフープ応力に耐えることである。したがって、必要とされる柔軟度を有し、必要な応力に耐えることができる補強層であれば適切である。また、内側管状構造が極低温流体を輸送することが意図されている場合、該補強層又は各補強層は、極低温の温度に耐えることができなければならない。
該補強層又は各補強層は、シート材料をらせん状に巻き付けることによって管状形態に巻かれた材料のシートから形成されることが好ましい。これは、軸方向の力をかけると巻き部分が引き離される傾向があるため、該補強層又は各補強層は、軸力に対して十分な耐性を有していないことを意味する。該補強層又は各補強層は、シート材料の1つの単一連続層を含むことができ、或いはシート材料の2つ以上の単一連続層を含むことができる。しかし、より一般的には(及び内側管状構造の長さに応じて)、シート材料の該層又は複数の層は、内側管状構造の長さに沿って配置された複数の別個の長さのシート材料から形成される。
好ましい実施態様では、該補強層又は各補強層は、布、最も好ましくは織布を含む。該補強層又は各補強層は、天然又は合成材料でよい。該補強層又は各補強層は、ポリエステル、ポリアミド又はポリオレフィンなどの合成ポリマーから形成されることが好都合である。合成ポリマーは、繊維又は糸の形態で提供され、そこから布が作製される。
該補強層又は各補強層がポリエステルを含むとき、これは、ポリエチレンテレフタラートであることが好ましい。該補強層又は各補強層がポリアミドを含むとき、これは、ナイロンなどの脂肪族ポリアミドでよく、或いはアラミド化合物などの芳香族ポリアミドでもよい。たとえば、該補強層又は各補強層は、KEVLAR(登録商標)などのポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)でよい。
該補強層又は各補強層がポリオレフィンを含むとき、これは、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリブチレンホモポリマー、又はそのコポリマー又はターポリマーでよく、1軸又は2軸配向(monoaxially or biaxially oriented)であることが好ましい。より好ましくは、ポリオレフィンは、ポリエチレンであり、最も好ましくは、ポリエチレンは高分子量ポリエチレン、特にUHMWPEである。好ましい実施態様では、軸方向強化手段もまた、UHMWPEである。
本発明で使用されるUHMWPEは、一般には400,000を上回る、通常は800,000を上回る、普通は1,000,000を上回る重量平均分子量を有する。重量平均分子量は、普通、約15,000,000を越えないものである。UHMWPEは、約1,000,000〜6,000,000の分子重量を特徴とすることが好ましい。本発明で最も有用なUHMWPEは、高度に延伸され、たいてい一方の方向において少なくとも2〜5倍、他方の方向において少なくとも10〜15倍に伸張されているはずである。
本発明の最も有用なUHMWPEは、一般に、80%を越える、より一般的には90%を越える、好ましくは95%を越える平行配向を有する。結晶化度は、一般に50%を越え、より一般的には70%を越える。85〜90%までの結晶化度が可能である。
UHMWPEは、たとえばUS-A-4344908、US-A-4411845、US-A-4422993、US-A-4430383、US-A-4436689、EP-A-183285、EP-A-0438831、及びEP-A-0215507に記載されている。
該補強層又は各補強層が、DYNEEMAの商標名でDSM High Performance Fibres BV(オランダの企業)から市販されているもの、又はSPECTRAの商標名で米国企業のAlliedSignal社から市販されているものなどの高度に配向されたUHMWPEを含むことが特に有利である。DYNEEMAについての更なる詳細は、DSM High Performance Fibers BVによって発行された「DYNEEMA;繊維における最高性能;特性及び用途(DYNEEMA;the top performance in fibers;properties and application)」というタイトルの取引用パンフレット02/98版に開示されている。SPECTRAについての更なる詳細は、AlliedSignal社によって発行された「Spectra性能材料(Spectra Performance Materials)」というタイトルの取引用パンフレット5/96版に開示されている。これらの材料は、1980年代から市販されている。
好ましい実施態様では、該補強層又は各補強層は、横糸及び縦糸方向に配置された繊維から形成された織布を含む。本発明者は、該補強層又は各補強層が、布の縦糸方向が内側管状構造の軸方向に対して20°未満の角度になるように配置されれば特に有利であることを見出した。本発明者らはまた、この角度が5°を越えることが好ましいと考える。好ましい実施態様では、該補強層又は各補強層は、布の縦糸方向が内側管状構造の軸方向に対して10°〜20°の角度、最も好ましくは約15°の角度になるように配置される。
密閉層の目的は、主に、輸送された流体が管状本体から漏れるのを防止することである。したがって、必要とされる柔軟度を有し、望ましい密閉機能をもたらし得る密閉層であれば適切である。また、内側管状構造が極低温流体を輸送することが意図されている場合、密閉層は、極低温の温度に耐えることができなければならない。
密閉層は、該補強層又は各補強層と同じ基本材料、特にUHMWPEから作り出すことができる。代替策として、密閉層は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフルオロポリマー、Teflon FEPの商標名でDuPont Fluoroproductsから市販されているヘキサフルオロプロピレンとテトラフルオロエチレンとのコポリマー(テトラフルオロエチレン-ペルフルオロプロピレン)、又はTeflon PFAの商標名でDuPont Fluoroproductsから市販されているフッ素化炭化水素-ペルフルオロアルコキシでよい。このようなフィルムは、押し出し成形又はブローイング成形によって作り出すことができる。
本発明者らは、密閉層が、シート材料をらせん状に巻き付けることによって管状形態に巻かれている材料のシートから形成されることが好ましいと考える。補強層と同様に、これは、軸方向の力をかけると巻き部分が引き離される傾向があるため、該密閉層又は各密閉層は、軸力に対して十分な耐性を有していないことを意味する。密閉層は、シート材料の単一の連続層を含むことができ、或いはシート材料の2つ以上の単一連続層を含むことができる。しかし、より一般的には(及び内側管状構造の長さに応じて)、シート材料の該層又は各層は、内側管状構造の長さに沿って配置された複数の別個の長さのシート材料から形成される。所望の場合、密閉層は、内側補強層上に配置された1つ以上の熱収縮密閉スリーブ(即ち管状の形態)を含むことができる。
本発明者らは、密閉層は、複数のフィルムの重なり合う層を含むことが好ましいと考える。好ましくは、少なくとも2層、より好ましくは少なくとも5層、更により好ましくは少なくとも10層が存在する。実際に、密閉層は、20、30、40、50又はそれ以上のフィルムの層を含むことができる。層の数の上限は、内側管状構造の全体のサイズによって決まるが、100を越える層が必要とされることはあまりないであろう。普通は、せいぜい50層で十分である。フィルムの各々の層の厚さは、通常、50〜100マイクロメートルの範囲である。
当然ながら、2つ以上の密閉層が提供されてよいことが理解されよう。
上記で論じたように、別個の断熱層が存在する場合、この別個の断熱層は、外管の内側に付着させる、即ちゴム層の内側に配設することができる。或いは、断熱層は、内側管状構造と外管との間に、内側管状構造及び外管から分離した層として配設することができる。
しかし、断熱層は、内側管状構造内に組み込まれることが好ましい。断熱層は、内側管状構造の外側に付着させる、即ち外側把持部材の外側に配設することができ、或いは外側把持部材と管状本体の密閉層との間の外側把持部材内に配設することができる。断熱層は、極低温装置に断熱をもたらすために従来使用されている任意の材料、たとえば合成発泡材料などを含むことができる。
1つの好ましい実施態様では、断熱層は、断熱材料製であり、対向する長手方向の端部を有する細長部材を含み、この細長部材は、層の対向する長手方向の端部が隣接する又は重なり合う配置になるように管状本体の周りにらせん状に巻かれており、この場合、各々の長手方向の端部は、対向する長手方向の端部上の、協働する構造と相互係合することができる構造を含む。細長部材は、外側把持部材の外側に配設されることが好ましく、それによって外側層のカバーを形成する。適切な細長部材は、WO2004/044472により詳細に記載されている。
別の好ましい実施態様では、断熱層は、玄武岩繊維から形成された布を含む。適切な玄武岩繊維は、BT-5、BT-8、BT-10、BT-11及びBT-13の取引名称でSudaglass Fiber社から市販されている。布の好ましい厚さは、約0.1mm〜約0.3mmまでである。所望であれば、玄武岩繊維の複数の層を使用することができる。
2つ以上の断熱層を設けることができること、及び内側管状構造が2つ以上の異なるタイプの断熱層を含むことができることが理解されよう。
内側管状構造の各々の端部には、エンドフィッティング(end fitting)が設けられることが好ましい。エンドフィッティングは、WO01/96772又はWO2004/079248に記載されているタイプのものが好ましい。
内側管状構造の内側及び外側把持部材は、らせん形の把持部材であることが好ましく、らせん形のワイヤであることがより好ましい。したがって、把持部材は、それぞれが管状本体を把持し保持するコイル及び任意の他の介在層を形成することが好ましい。好ましくは、内側及び外側コイルは、同じピッチを有するらせん形の構成で装着され、外側コイルのコイルの位置は、内側コイルのコイルの位置からピッチ長の半分だけずらして配置される。
有利には、内側管状構造の構成要素はすべて、互いに対して移動可能であり、即ち接着されていない、或いは互いに固定接着されていない。このため、内側管状構造の層は、それらの屈曲中に互いに対して移動することが可能になる。
本発明の第2の態様によれば、内側管状構造と、外管と、断熱層とを備えるホースであって、内側管状構造が、管状ベローズを含み、外管が、ゴム層とゴム層の周りに配設された補強層とを含み、断熱層が、内側管状構造内に組み込まれ、かつ/又は内側管状構造と外管との間に配設され、内側管状構造が、ホースの屈曲中、外管に対して移動可能であり、内側管状構造が、内側管状構造内を流れる極低温流体の低温から外側層を保護するのに十分な断熱特性を有する、ホースを提供する。
本発明のこの態様では、内側管状構造は、基本的にベローズホースを備え、一方で外管は、ゴムホースを備える。ベローズホース及びゴムホースのいずれも当技術分野ではよく知られている。本発明以前には、水中における極低温流体の輸送に関する問題を解決するために、2つのタイプのホースを一緒にすることを誰も企図していなかった。外側のゴム層を含むベローズホースの例は存在するが、これらの例では、ゴム層は、ベローズと一体化しており、それにより、その2つの間の相対運動が不可能になることに留意されたい。ベローズホースの例は、US2004112454及びUS2004146676に記載されている。
本発明の重要な特徴は、外管内のゴム層が、内側管状構造内を通って輸送される極低温流体の温度から適切に保護されることである。最低-60℃の使用温度を有する通常のゴムの場合、外管の最も内側のゴム層における表面温度は、-60℃を下ってはならない。最低-100℃の使用温度を有する特別のゴムの場合、外管の最も内側のゴム層における表面温度は、-100℃を下ってはならない。
必要とされる断熱は、いくつかの方法で達成可能である。1つの実施態様では、内側管状構造に、断熱材料から形成された断熱層が設けられる。断熱層は、管状本体の特別な層でよく、或いは外側把持部材の周りに形成された層でもよい。
別の実施態様では、断熱材料から形成された断熱層が、内側管状構造と外管との間に設けられる。
別の実施態様では、断熱は、内側管状構造と外管との間の空間に配設された粒子状の断熱材料(たとえばビーズ)によって提供される。断熱粒子は、通常、ガラス微小球、パーライト、ポリスチレン粒子を含むことができる。粒子は、それらをホースの一方の端部から内側管状構造と外管との間に注入することにより空間内に配置させることができる。
必要とされる断熱は、上記に説明した特有の技術の任意の組合せによって提供することができる。
内側管状構造は、管状ベローズの各々の端部にエンドフィッティングを含むことが好ましい。管状ベローズは、回旋(convolutions)又は波形の形状を有する。回旋又は波形は、正弦曲線、U字形、又はギリシャ文字のオメガΩのような形状のものでよい。回旋は、円周方向でよく、或いはらせん状に配置されてもよい。一般には、正弦曲線の回旋のみが、らせん状に配置されている。
管状ベローズが密閉層として働くように設計されることが理解されよう。
1つの実施態様では、内側管状構造は、第1のベローズの周りに配置された第2の管状ベローズを含む。
内側管状構造のベローズは、更なる強化をもたらすように補強されることが好ましい。これは、ベローズ自体の強化によって、或いは内側管状構造に別個の補強層を設けることによって達成することができる。更なる強化をもたらす1つの手段は、管状ベローズ上にステンレス鋼ワイヤ又はポリマー高強度繊維の管状ブレードを設けることである。更なる強化をもたらす別の手段は、管状ベローズ上にらせん状に巻かれたロープ又はコードを装着することである。通常、強化された層(armoured layer)が、ホースの外側層として設けられる。
2つの管状ベローズが設けられるとき、2つのベローズの間に断熱層を設けることができる。更に又はその代わりに、断熱を助けるために2つの層の間の空間内に真空が提供されてもよい。
第1及び/又は第2の管状ベローズは、金属、好ましくはステンレス鋼製とすることができる。
本発明の第1及び第2の態様の両方の有利な利点によれば、内側管状構造は、外管と一体化せず、それにより、内側管状構造は、ホースが屈曲されるときに外管に対して移動することができる。
好ましい実施態様では、内側管状構造と外管の間に環状空間が設けられる。外管を内側管状構造に対して離間した関係に維持するために、内側管状構造と外管との間に1つ以上のスペーサが設けられることが好ましい。該スペーサ又は各スペーサは、内側管状構造の外側の周りを延在するリングを備えることが好ましい。複数の前記リングは、内側管状構造の長さに沿って設けられてよい。該スペーサ又は各スペーサのリングは、たとえばポリウレタン、PTFE、又はバルサ若しくはコルクなどの木材でよい。該スペーサ又は各スペーサのリングは、内側管状構造内を通って輸送される極低温流体の温度からゴムスペーサを保護するのに十分な基礎となる断熱が存在すれば、ゴムでもよい。
別の実施態様では、スペーサは、内側管状構造と外管との間にらせん状に巻き付けられたロープ又はロッドの形態でよい。巻き付けは、長いピッチ及び/又は近接なピッチでよい。ロープ又はロッドは、たとえばポリエステルロープ、矩形の断面を有するポリウレタンストリップ、又は円形の断面を有するゴムでよい。
本発明の第1及び第2の態様のいずれにおいても、内側管状構造内の材料の断熱特性は、外側ホースのゴムが晒される温度がゴムの最低使用温度を上回るように選択されねばならない。ほとんどのゴムに関しては、この温度は約-60℃になるが、-100℃を上回る温度で効果的に働く特別なゴムもある。また、内側管状構造と外管の間に環状空間が存在するとき、この空間は、必要とされる断熱の一部をもたらし得ることも理解されよう。
外管は、本発明の第1及び第2の態様のいずれにおいても同じものでよい。
内側ゴム層は、天然又は合成ゴムでよいライナー層である。たとえば、ゴム層は、エチレンプロピレンジエン単量体から作り出すことができる。ゴムは、ネオプレンゴム又はアクリロニトリルブタジエンゴムなどのニトリルゴムでよい。シリコーンゴムなどの特別なゴムは、外管が-100℃程度の低温で働くことができることが望まれる場合に使用することができる。ゴム層の組成は、全体的に従来のものでよい。ゴム層は、継ぎ目の無いライナー、長手方向の継ぎ目を有するライナー及び巻き付けられた構造のライナーの公知の方法によって構築することができる。製造方法の結果として接合部を有するライナー構造は、硬化又は加硫プロセスによって防水加工される。
ゴムホースの補強層は、布又は金属のものでよく、或いはゴムホースの補強層は、金属部分を組み込む布でもよい。布及び/又は金属は、内側ゴム層の周りに巻かれてよい。
その代わりに、補強層は、追加の金属補強を任意選択で組み込むポリマー材料を含むことができる。
2つ以上の補強層が設けられてよい。更に、異なるタイプの補強層が設けられてよい。
低温度での使用に適したポリマー材料及びオーステナイトステンレス鋼を補強層に使用することが好ましい。したがって、補強層は、ポリエステル、又はKevlar(登録商標)などのアラミド、又はUHMWPEなどの材料製であることが望ましい。そのような材料を提供する目的は、極めて低温の流体に接触することによってホースのゴム部分に破壊が生じた場合の更なる保護のためである。
外管はまた、らせん形ワイヤ、好ましくは鋼製ワイヤを含むこともできる。らせん形ワイヤは、ゴム基材又は別のポリマー材料の基材に埋め込まれてよい。
外管は、通常はゴム製である外側カバー層を更に含むことができる。
一体化された外管を提供するために、外管の層を従来のエンドフィッティング又はニップルを用いて組み合わせ、次いで硬化又は加硫することができ、この外管内では、すべての層は、密接に一緒に接着されており、外管の端部でニップルに接着されている。このため、外管の層が互いに対して滑動することが防止される。これは、一緒に接着されないことが好ましく、互いに対して移動することができる内側管状構造の層とは反対である。同様に、内側管状構造は、外管に接着されないことが好ましく、それにより、内側管状構造は外管に対して移動することができるようになる。
内側ゴム層は、押し出し成形によって形成された継ぎ目の無いゴム管でよく、或いは加硫によって封止された継ぎ目を有してよい。
エンドフィッティング又はニップルは、低温における使用に適した金属製である。-100℃を下回る温度に適したオーステナイトステンレス鋼などの金属を使用することが好ましい。
海洋環境に曝されるエンドフィッティングの表面は、耐食性を有する、又は耐食性の保護層を有することが好ましい。
内側管状構造及び外管の寸法は、内側管状構造及び外管が接触するように、或いは、好ましくは内側管状構造と外管との間に空隙が存在するように選択することができる。内側管状構造と外管との間に空隙が存在する場合、内側管状構造と外管との間に所望の間隔を維持するために空隙内にスペーサを設けることができる。
内側管状構造又は外管又はその両方の漏れの兆候に対して空隙を監視することが好ましい。この目的のために、本発明によるホースには、空隙内の漏れを検出するための漏れ検出手段が設けられてもよい。複数の漏れ検出手段が、設けられてよい。たとえば加圧された液体の内側管状構造内から空隙内への侵入によって引き起こされる圧力の上昇を検知するために、圧力検知器を設けることができる。更に又はその代わりに、空隙内の特定のガス又は液体(たとえばメタン又は海水)の存在を検知するために、化学検知器を設けることができる。本発明によるホースは、広い範囲の用途に有用であるが、極低温流体、特に-100℃を下回る温度の流体、より好ましくは、約-104℃(即ちエチレンの沸点)又はそれ以下の温度の流体、最も好ましくは約-150℃又はそれ以下の温度の流体の輸送に特に有用である。ホースは、約-162℃の温度のLNGを効果的に輸送することができ、それぞれ約-183℃又は-196℃の温度の液体酸素又は液体窒素を効率的に輸送することができる。そのような流体は、従来のゴムホースでは効率的に運搬することはできない。ホースが使用される最低実用温度は、約-200℃〜-220℃である。
外管の内径は、少なくとも150mmであることが好ましい。より好ましくは、内側管状構造の内径(即ち、実際にはホース自体の内径)は、少なくとも150mmであることが好ましい。ホースの内径は、400mm程度の大きさ又は更には600mm若しくは800mm程度の大きさであってよい。内側管状構造及び外管は、内側管状構造が、所望の空隙を残して外管内に嵌合するように寸法設定されることが理解されよう。通常、この空隙は、約10mm〜約100mm、最も好ましくは約50mmである。内側管状構造の厚さは、通常、約10〜20mmであり、外管の厚さは、通常、約75〜100mmである。
ホースは、通常、5m〜20mの長さで供給されるが、それよりも長い又は短い長さのホースを提供することが可能である。ホースは、一般に、約11mの長さで供給されているが、これは、ゴムホースの市販されている長さとしては一般的なサイズであるためである。任意の特定の用途に必要とされるホースの全長が、個々の部分の長さを越える場合、所望の長さが提供されるまで2つ以上の長さのホースを一緒に固定することができる。一部の用途では、ホースは、内側管状構造列及び外管列の端部が位置合わせされ、必要とされるホース長さになるまで、内側管状構造列を外管列内に貫通させることによって組み立てられる。内側管状構造及び外管の個々の長さは、同一である必要はないことが理解されよう。
内側管状構造の材料は、極低温流体が構造内を流れるとき、内側管状構造全域の温度降下が少なくとも4℃、好ましくは少なくとも20℃、より好ましくは少なくとも50℃、最も好ましくは少なくとも60℃であるように選択されることが好ましい。
内側管状構造及び外管の端部はそれぞれ、その各々の端部で適切なエンドフィッティングを用いて終端される。内側管状構造及び外管のエンドフィッティングは、同じ終端である(co-terminus)、即ち内側管状構造及び外管が、ほぼ同じ長さのものであることが可能である。しかし、内側管状構造のエンドフィッティングを、外管のエンドフィッティングに対して長手方向にずらすこともできる。
本発明の別の態様によれば、端部同士が接続された上述の複数のホースセクションを備えるホース列を提供する。
本発明の別の態様によれば、上述のように内側管状構造を形成すること、上述のように外管を形成すること、内側管状構造を外管内に挿入すること、及び内側管状構造を外管内の予め選択された位置に到達するまで外管内を移動させることを含む、ホースの製造方法を提供する。
本発明の別の態様によれば、上述のように複数の内側管状構造を形成すること、上述のように複数の外管を形成すること、内側管状構造列を形成するために内側管状構造を端部同士で連結させること、外管列を形成するために外管を端部同士で連結させること、内側管状構造列を外管列の一方の端部内に挿入すること、及び内側管状構造列を外管列内の予め選択された位置に到達するまで外管列内を移動させることを含む、ホースの製造方法を提供する。
一般に、ホースの使用圧力は、約500kPaゲージ〜約2000kPaゲージまでの範囲であり、或いは約2500kPaゲージ以下でも可能である。このような圧力は、ホースの運転圧力に関し、破裂圧力(これは数倍大きいものであるに違いない)ではない。体積流量は、液体媒体、圧力及び内径に依存している。1000m3/h〜12000m3/hまでの流量が一般的である。
本発明によるホースは、流体、特に極低温流体を、水面上海洋構造物から別の水面上海洋構造物及び/又は水面下海洋構造物に、又は水面下海洋構造物から水面に輸送することを含む用途に特に有用である。特に、ホースは、ホースが水面上に浮遊する用途、ホースが水中に延在する用途、及びホースが空中に延在する用途に有用であり得る。ホースはまた、このような用途の組合せにも使用することができる。
水面上海洋構造物は、永久的構造物でも暫定的構造物でもよく、水面上に配設される。通常の状況では、構造物の一部は水面上に延在し、構造物の一部は水没されることが理解されよう。永久的構造物は、取り付け後、海底上方の適所に永久的に固定されたままのものである。永久的構造物の例は、鋼製ジャケット式支持構造物(steel jacket support structure)及び重力式支持構造物(gravity base support structure)を含む。暫定的構造物は、場所から場所に移動することができるものである。暫定的構造物の例は、一般的には船又はバージ船又は半潜水形海洋掘削装置(semisubmersible)又はテンションレッグ方式プラットフォームなどの鋼製又はコンクリート製の船体を有する浮遊可能な船舶である。暫定的構造物の別の例は、浮遊式生産貯蔵積出装置(floating production storage and off-loading unit)である。水面上海洋構造物は、海底下方から油又はガスを生成する手段を有することができる。更に又はその代わりに、水面上海洋構造物は、油又はガスを貯蔵する手段を有することもでき、ガスは液状であってもよい。
水面下海洋構造物は、水面下に配置され、即ち水中に水没される。水面下海洋構造物は、海底上に配置されてよい。水面下海洋構造物の一例は、通常は海底上に設けられる水中パイプラインである。
したがって、本発明の別の態様によれば、水面上海洋構造物と水面下海洋構造物の間で流体を輸送するためのシステムであって、流体が水面上海洋構造物から水面下海洋構造物に、又は水面下海洋構造物から水面上海洋構造物に流れることができるように水面上海洋構造物及び水面下海洋構造物に動作可能に連結されたライザーを備え、ライザーの少なくとも一部が、上述の本発明によるホースである、システムを提供する。
本発明の別の態様によれば、2つの水面上海洋構造物の間で流体を輸送するためのシステムであって、流体が水面上海洋構造物の一方から他方に、又は他方から一方に流れることができるように水面上海洋構造物に動作可能に連結されたパイプを備え、パイプの少なくとも一部が、上述の本発明によるホースである、システムを提供する。
1つの実施態様では、システムは、水面に配置されたブイを含み、ライザーは、ブイから水面下海洋構造物に延び、ホースは、ブイによって支持される。上述のCALMシステムは、そのようなシステムの一例である。
しかし、本発明によるシステムは、CMBMシステムでよく、このCMBMシステムでは、本発明によるホースは、水面上海洋構造物から水面下海洋構造物に直接延びている。
その代わり、本発明によるシステムは、SALMシステムでもよく、このSALMシステムでは、水面ブイは、海底に配置された水面下連結器に取り付けられ、ホースは、水面上海洋構造物から水面下連結器に直接延びている。
上述のシステムでは、ブイによって支持された流体連結器が更に設けられることが好ましい。流体連結器は、水面下海洋構造物から延びているライザーの上端と流体連通して連結されるように、並びに水面下海洋構造物から延びているパイプと流体連通して連結されるように適合される。このようにして、流体は、連結器を通ってパイプからライザーに流れることができる。連結器は回転可能であることが好ましく、それによって水面上海洋構造物は、ブイの周りを回転することができる。連結器のこの形態は、普通、「スイベル連結器」(swivel connector)として知られている。極低温流体の輸送に適したスイベル連結器の一例は、EP0833769に開示されている。
本発明によるシステムは、水没可能なブイが提供されるWO2006/044053に記載されたタイプのシステムで使用することもできる。したがって、本発明の別の態様によれば、水面上海洋構造物と水面下海洋構造物との間で極低温流体を輸送するためのシステムであって、a)第1の端部及び第2の端部を有する第1の極低温ライザーであって、第1のライザーの縦位置が、調整可能であり、前記第1のライザーの前記第2の端部が、水域において前記水面下海洋構造物と流体連通して配置されている、第1の極低温ライザーと、b)前記第1のライザーの前記第1の端部に連結された第1の水没可能なタレット連結器であって、前記水面上海洋構造物と前記第1のライザーの前記第1の端部との間で極低温流体が連通可能になるように水面上海洋構造物の水に開放可能に連結するように適合され、前記第1の連結器の縦位置が変更可能になるように前記水域の底部に係留される、第1の水没可能なタレット連結器とを備え、第1の連結器が、前記第1の船舶が前記第1の連結器に連結されている間、前記水域の水面上において前記水面上海洋構造物が前記第1の連結器の周りを回転することが可能になるように適合され、第1のライザーが、上述の本発明によるホースである、システムを提供する。
水面上及び水面下海洋構造物は、海洋、即ち海、大洋、湖、港又は他の水域に配設されることが理解されよう。しかし、岸から構造物の距離に関する特定の制約は存在せず、この距離は、たとえば数メートル、数百メートル、数キロメートル又は数百キロメートルでよい。
本発明の別の態様によれば、-100℃以下、好ましくは-104℃以下の温度を有する流体を輸送する方法を提供し、この方法は、上述の本発明によるホースを用いて、流体を水面上海洋構造物(船など)から水面下海洋構造物(パイプラインなど)に運搬することを含む。
本発明により、安価で効率的な方法で、極低温材料、特にLNGを海中の場所に輸送することが可能になる。本発明は、非極低温流体の輸送に何年もの間使用されてきた従来のゴムホースを利用する。これは、管のオペレータが、極めてなじみのあるゴムホースに類似すると思われるホースを用いて本発明を使用することができるという利点を有する。更に、本発明によるホースを提供するために、既存のゴムホースを内側管状構造に容易に後付けすることができる。
次に、添付の図を参照する。
本発明によるホースの一部の横断面図である。 図1に示したホースの内側管状構造の横断面図である。 図1に示したホースの内側管状構造の代替の実施態様を示す図である。 本発明によるシステムを示す概略図である。
最初に図1及び2を参照すると、本発明によるホースが、概して100で示されている。ホースは、内側管状構造10及び外管30を含む。
内側管状構造10は、内側補強層14、外側補強層16、及び層14と16との間に挟まれた密閉層18を含む管状本体12を含む。軸方向の強化をもたらすブレードの形態の略管状のシース20が、外側補強層16の外面の周りに配設される。
管状本体12及び管状シース20は、内側のらせん状コイルワイヤの形態の把持部材22と外側のらせん状コイルワイヤの形態の把持部材24の間に配設される。内側及び外側ワイヤ、22及び24は、それらがコイルのらせんのピッチ長さの半分に相当する距離だけ互いにずれるように配設される。
断熱層26が、外側ワイヤ24の周りに配設される。断熱層26は、たとえば発泡プラスチックなどの従来の断熱材料でよい。
補強層14及び16は、UHMWPE又はアラミド繊維などの合成材料の織布を含む。
密閉層18は、内側補強層14と外側補強層16との間に流体密封封止をもたらすために内側補強層14の外面の周りに巻き付けられた複数のプラスチックフィルムの層を含む。
エンドフィッティング28が、内側管状構造10の各々の端部に設けられ、管10を終端させるように働く。エンドフィッティング28は、たとえばWO01/96772又はWO2004/079248に記載されたタイプのエンドフィッティングでよい。
内側管状構造10は、内側ワイヤ22をマンドレルの周りに巻き付け、内側補強層14を内側ワイヤ22の周りに巻き付け、密閉層18を内側補強層14の周りに巻き付け、外側補強層16を密閉層16の周りに巻き付け、管状シースを、外側補強層16を覆うように引っ張り、外側ワイヤ24をシース20の周りに巻き付け、断熱層26を外側ワイヤ24及びシース20を覆うように装着させることにより、形成することができる。
外管30は、内側ゴム層32と、第1及び第2の補強層34及び36と、外側ゴムカバー38とを含む。層32、34、36及び38は、すべての層が隣接する層と一体化して接着される構造を形成するために同時加硫される。
ホースニップル40が、外管30の端部に設けられ、外管30を終端させるように働く。エンドフィッティング28及びホースニップル40は、互いに連結することができる。ホース100の隣接する長さは、ホース100の隣り合う長さのエンドフィッティング28を固定し、ホース100の隣り合う長さのホースニップル40を固定することによって連結される。しかし、ホース100の隣接する長さは、ホース100の隣り合う長さのエンドフィッティング28を固定するか、或いはホース100の隣り合う長さのホースニップル40を固定するかのいずれかによって連結されることが好ましい。ホース内側管状構造10の端部は、必ずしも外管40の端部と同じ終端である必要はないことに留意されたい。外管30と内側管状構造10との間には、環状部42が形成されている。環状部は、空き領域として残されてよく、或いは断熱材料(図示せず)が部分的に又は完全に充填されてよい。環状部が空き領域として残される場合、内側管状構造10を外管30に対して定位置に保持するために、スペーサ44を設けることができる。スペーサは、内部環状構造10を受ける内側円形開口を有するディスク形状でよい。
輸送される流体は、内側管状構造10内のほぼ円筒形の空間46を通って流れることができる。
図3は、210で示された内側管状構造10の代替の実施態様を示す。内側管状構造210は、内側管状ベローズ212及び外側管状ベローズ214を備え、その各々には、正弦曲線(又はU字形又はΩ形状)の波形が設けられている。ベローズ212と214との間には、断熱層216が設けられる。更に、ベローズ212と214との間の空間は、断熱を更に向上させるために真空で配置される。断熱を更に向上させるために、外側ベローズ214の周りに外装層218が設けられる。真空を生成するために、層212と214との間から空気を排出するための排気ポート220が設けられる。ホース210はまた、ベローズホースの各々の端部にエンドフィッティング222(図3ではエンドフィッティング222は1つしか示していない)を含む。
図4は、本発明によるホース100を利用する例示的なシステムの図である。図4に示すシステムは、CALMシステムであるが、ホース100は、SALMシステム、CMBMシステム、及びSTMシステムなどの他のシステムにも同様に良好に適用することができる。
図4では、LNG貯蔵ユニット(図示せず)を含む船300が、海面上302に浮遊している。海底パイプライン304は、海底306に沿って通っている。水面係留ブイ308は、船300からいくらか距離を離して水面上に浮遊している。ブイ308は、その上部に、ブイ308の基底部分に対してスイベル回転することができるスイベル連結器310を含む。係留ロープ312は、船300からターンテーブル310に延びており、アンカーチェーン314は、ブイ308の底部から海底306に延びている。
ホース316は、船300からスイベル連結器310に延びている。ホース316は、高い浮力を有しており、それによって水面上に浮遊することが可能になる。ホース316は、上述のホース100から構築され、必要な場合、ホースの浮力を向上させるために追加の層が設けられる。
ホース318の形態のライザーは、スイベル連結器310からパイプライン304に延びている。ホース318は、ホース316に連結され、それによって流体が船302上の貯蔵ユニットからパイプライン304(又はパイプライン304から貯蔵ユニット)に流れることができる。ホース318は、上述のホース100から構築される。必要であれば、ブイ308から船300に及び/又はブイ308からパイプライン304に達するために、複数の長さのホース100を共に接合することができる。
スイベル連結器310は、流体がホース316からホース318に及びホース318からホース316に流れることを可能にする流体通路を提供する。スイベル連結器は、EP0833769に示された構造を有することができる。
上述の本発明は、特許請求の範囲内において改変されてよいことが理解されよう。

Claims (48)

  1. 内側管状構造と外管とを備えるホースであって、該内側管状構造が、内側把持部材と外側把持部材との間に配設された管状本体を備え、該管状本体が、密閉層を含み、かつ極低温の温度に耐えることができる材料から形成されており、該外管が、ゴム層と該ゴム層の周りに配設された補強層とを含み、該内側管状構造が、該内側管状構造内を流れる極低温流体の低温から該外管を保護するのに十分な断熱特性を有する、前記ホース。
  2. 前記管状本体が、前記密閉層を挟む少なくとも2つの前記補強層を含む、請求項1記載のホース。
  3. 前記内側管状構造が、軸方向強化手段を更に含む、請求項1又は2記載のホース。
  4. 前記軸方向強化手段が、管形状で提供される材料のシートから形成された略管状のブレードを備える、請求項3記載のホース。
  5. 前記軸方向強化手段が、前記ホースの長さに沿って延在する複数の軸方向強化ストリップを備える、請求項3又は4記載のホース。
  6. 前記補強層又は各補強層が、前記内側管状構造内で管状形態に巻かれた材料のシートから形成される、請求項1〜5のいずれか記載のホース。
  7. 前記密閉層が、前記内側管状構造内で管状形態に巻かれた材料のシートから形成される、請求項1〜6のいずれか記載のホース。
  8. 断熱層が、前記内側管状構造内に組み込まれる、請求項1〜7のいずれか記載のホース。
  9. 前記断熱層が、前記内側把持部材と外側把持部材の間に配設される、請求項8記載のホース。
  10. 前記断熱層が、前記外側把持部材上に重なる、請求項8記載のホース。
  11. 前記断熱層が、対向する長手方向の端部を有する断熱材料製の細長部材を備え、該細長部材が、該層の該対向する長手方向の端部が隣接する又は重なり合う配置になるように前記管状本体の周りにらせん状に巻かれており、各々の長手方向の端部が、該対向する長手方向の端部上の、協働する構造と相互係合することができる構造を含む、請求項10記載のホース。
  12. 前記断熱層が、玄武岩繊維から形成された布を含む、請求項8、9又は10記載のホース。
  13. 前記内側管状構造の各々の端部に配設されたエンドフィッティングを更に備える、請求項1〜12のいずれか記載のホース。
  14. 前記内側管状構造の前記内側及び外側把持部材が、らせん形の把持部材である、請求項1〜13のいずれか記載のホース。
  15. 前記内側管状構造の前記内側及び外側把持部材が、らせん形のワイヤであることが好ましい、請求項1〜14のいずれか記載のホース。
  16. 前記内側管状構造が、前記ホースの屈曲中、前記外管に対して移動可能である、請求項1〜15のいずれか記載のホース。
  17. 内側管状構造と、外管と、断熱層とを含むホースであって、該内側管状構造が、管状ベローズを含み、該外管が、ゴム層と該ゴム層の周りに配設された補強層とを含み、該断熱層が、該内側管状構造内に組み込まれ、かつ/又は該内側管状構造と該外管との間に配設され、該内側管状構造が、該ホースの屈曲中、該外管に対して移動可能であり、該内側管状構造が、該内側管状構造内を流れる極低温流体の低温から該外管を保護するのに十分な断熱特性を有する、前記ホース。
  18. 前記内側管状構造が、前記管状ベローズの各々の端部にエンドフィッティングを含む、請求項17記載のホース。
  19. 前記内側管状構造が、前記第1のベローズの周りに配置された第2の管状ベローズを含む、請求項17又は18記載のホース。
  20. 断熱層が、前記内側管状構造内に組み込まれる、請求項17、18又は19記載のホース。
  21. 前記断熱層が、前記2つのベローズの間に設けられる、請求項19に従属する場合の請求項20記載のホース。
  22. 前記外管の内側ゴムが、天然又は合成ゴムを含むライナー層である、請求項1〜21のいずれか記載のホース。
  23. 前記外管の補強層が、布層又は金属層、或いは金属部分を組み込む布である、請求項1〜22のいずれか記載のホース。
  24. 前記外管の補強層が、追加の金属補強を光学的に組み込むポリマー材料である、請求項1〜23のいずれか記載のホース。
  25. 前記外管が、らせん形のワイヤを更に含む、請求項1〜24のいずれか記載のホース。
  26. 前記らせん形のワイヤが、ゴム基材又は他のポリマー材料の基材に埋め込まれる、請求項1〜25のいずれか記載のホース。
  27. 前記外管が、外側カバー層を更に含む、請求項1〜26のいずれか記載のホース。
  28. 前記外側カバー層が、ゴムである、請求項27記載のホース。
  29. 前記外管の層が、組立後に硬化されており、それによって該層の全てが該外管の層が互いに移動するのを防止するように密接に接着される、請求項1〜28のいずれか記載のホース。
  30. 前記内側管状構造及び前記外管が、該内側管状構造の外面が該外管の内面と接触するように寸法設定される、請求項1〜29のいずれか記載のホース。
  31. 前記内側管状構造及び前記外管が、該内側管状構造の外面と該外管の内面との間に環状空間が存在するように寸法設定される、請求項1〜29のいずれか一項記載のホース。
  32. スペーシング手段が、前記内側管状構造と前記外管との間に所望の間隔を維持するために前記環状空隙内に設けられる、請求項31記載のホース。
  33. 前記内側管状構造が、前記環状空隙内に配設された断熱材料を更に含む、請求項32記載のホース。
  34. 前記外管の内径が、少なくとも150mmである、請求項1〜33のいずれか記載のホース。
  35. 前記内側管状構造の内径が、少なくとも150mmである、請求項1〜34のいずれか記載のホース。
  36. 端部同士で連結された請求項1〜35のいずれか記載の複数のホースを備える、ホース列。
  37. -100℃を下回る温度の流体を輸送するための請求項1〜36のいずれか記載のホースの使用。
  38. -150℃を下回る温度の流体を輸送するための請求項1〜37のいずれか記載のホースの使用。
  39. 流体を水面上海洋構造物から水面下海洋構造物に輸送するためのシステムであって、該水面上海洋構造物から該水面下海洋構造物に、又は該水面下海洋構造物から該水面上海洋構造物に該流体が流れることができるように該水面上海洋構造物及び該水面下海洋構造物に動作可能に連結されたライザーを備え、該ライザーの少なくとも一部が、請求項1〜35のいずれか一項に定義されたホースから形成される、前記システム。
  40. 水面に配置されたブイを更に備え、前記ライザーが、該ブイから前記水面下海洋構造物に延びており、該ブイによって支持される、請求項39記載のシステム。
  41. 前記ライザーが、前記水面上海洋構造物から前記水面下海洋構造物に直接延びている、請求項39記載のシステム。
  42. 水面ブイが、海底に配置された水面下連結器に取り付けられ、前記ホースが、前記水面上海洋構造物から前記水面下連結器に直接延びている、請求項39記載のシステム。
  43. 前記水面上海洋構造物が、船又は浮遊式プラットフォームである、請求項39〜42のいずれか一項記載のシステム。
  44. 前記水面下海洋構造物が、海底パイプラインである、請求項39〜43のいずれか一項記載のシステム。
  45. -100℃の温度を有する流体を輸送する方法であって、請求項1〜35のいずれか一項記載のホースを使用して該流体を水面上海洋構造物から水面下海洋構造物に運搬することを含む、前記方法。
  46. 実質的に、添付の図を参照して本明細書で説明し、添付の図に示すホース。
  47. 実質的に、図4の図を参照して本明細書で説明し、図4に示すシステム。
  48. 実質的に、添付の図を参照し、添付の図に示すように本明細書で説明する流体を輸送する方法。
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