JP3556278B2 - コンポジットホース - Google Patents

Description

【０００１】
【産業上の利用分野】
この発明はコンポジットホースに関し、具体的にはコンポジットホースの形成部材である内螺旋輪の接液面を平坦面に形成して圧力損失（Ｐｒｅｓｓｕｒｅ ｄｒｏｐ）を減少させ、しかも前記螺旋輪の軽量化をはかることによりホース全体の軽量化を行うようにしたコンポジットホースに係る。
【０００２】
【従来の技術】
従来のコンポジットホースは図７に示すように内螺旋輪１’と外螺旋輪２’とを必須の構成部材としており、前記両螺旋輪間には積層体３’が挟持状に保持されており、このホース内部の積層体表面より波型状に突出している内螺旋輪のために該ホース中を流通する液体は内螺旋輪の近傍Ｆで乱流（ＴｕｒｂｕｌｅｎｔＦｌｏｗ）現象を起こし流体全体の圧力損失を増大させていた。また、内，外螺旋輪１’，２’はいずれもステンレス等の無垢金属線が用いられておりホース全体の重量は必然的に重くなっていた。
【０００３】
この問題を解決するための技術手段が実開平２−２９３８３号公報中で技術開示されているが、この開示技術は、内螺旋輪全体を被覆するように筒状シートをホース内部に取付けるようにしたものである。
【０００４】
また実開平２−７６２８７号公報には付加的効果として内螺旋輪を外螺旋輪より細くすることで内部の圧力損失を小さくするようにした技術が開示されている。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
上記した公知の開示技術は前者の場合は合成樹脂シートをホース内部に貼付するため、製造工程が多くなり、またホースとしてのフレキシビリティが減少し、後者の場合は内側螺旋輪を細くしたため、ホースに繰返しの折曲が加えられた場合いわゆるワイヤ乱れ（外螺旋輪が内螺旋輪をのり越えてピッチの乱れが生じその部分にくびれが生ずる現象）を生じさせるものであった。
この発明は上記欠点を解消したコンポジットホースを提供しようとするものである。また水，石油，溶剤等のさらさらした液体は乱流となり、燃料油，塗料などを粘度の高い液体でレイノズル数が２０００以下の場合は層流となることは良く知られているが、この発明は乱流，層流の各液に対応できるコンポジットホースに関するものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
この発明の基本構成を図１を参照しながら説明すれば次のとおりである。図１はこの考案に係るコンポジットホースを符号１０として示し、符号１は内螺旋輪、２は外螺旋輪、３は内布、４は外被、５は積層体をそれぞれ表わす。
同図から明らかなように、内螺旋輪１は断面半円形であり螺旋輪の内側（接液面）１１を平坦状に形成されており、このためコンポジットホースの内周面全体６はほぼ平坦状に構成されている。
【０００７】
【作用】
この発明に係る断面半円型の内螺旋輪１を用いた場合にはホース内表面６と断面半円型の平坦部１１とはほぼ同一平面として形成されるのでホース内表面近傍の流路Ｗ_１ の場合でも層流状態を維持するので波状の流路抵抗を生ずることがなく流体全体の圧力損失（Ｐｒｅｓｓｕｒｅ ｄｒｏｐ）を増大させることがない。
また、内螺旋輪１は従来のコンポジットホースに使用されている内螺旋輪に比べて断面形でほぼ１／２であり、全体の重量も必然的にそれに比例するもので軽量化がはかられるものである。
【０００８】
【実施例】
この発明の実施例を図２により説明すれば次のとおりである。
同図において、１０はこの発明に係るコンポジットホースであり、１は内螺旋輪、２は外螺旋輪、５は積層体、７はスリーブ、８はニップルを示す。
【０００９】
内螺旋輪１は図３に示すように、ステンレスの線材１２で形成されており、断面形状は半円形で底面１１は平坦形にしかも内部には前記断面形にほぼ類似する中空部Ｅが形成されている。
【００１０】
積層体５は図４に示すように、内螺旋輪１とステンレス製の断面円形の外螺旋輪２とで挟持状に保持されている。内螺旋輪を芯としてこの芯に直接接触して内布５１が巻着されている。この内布表面にはポリプロピレン製のフィルムを右または左方向に螺旋巻して形成されるフィルム層５２が形成されている。
【００１１】
また前記フィルム層５２表面にはポリプロピレン製のチューブ５３が挿着され、このチューブ５３表面にはポリプロピレン製のフィルム５４、このフィルム５４の表面にはポリプロピレン製の補強布５５が巻着されており、更にこの補強布表面にはポリプロピレン製のフィルムを所望厚に巻着してフィルム層５６が形成されている。このフィルム層５６にポリプロピレン製の補強布５７を巻着し、この補強布５７表面に外被５８を被覆した段階で積層体が形成される。
【００１２】
この発明に係るコンポジットホースと継手具との結合状態を説明すれば次のとおりである。
図２に示すように、スリーブ７とニップル８で形成される継手金具２０に対してこの発明に係るコンポジットホースを接続する場合には、積層体５の形成部材である内螺旋輪１と外螺旋２と内布５１を先端から所望長さＬにわたって除去して露積層体Ｘとし、この露積層体Ｘに、特に図示しないが、シール部材を介在させてニップル８とスリーブ７間に挿入し、前記両部材に挿着されている他の部位のうち内螺旋輪１は平坦面１１をニップル表面に形成した鋸歯状突起面８１に対接させ、外螺旋輪はスリーブ８に形成されている２条螺旋溝７１，７２の一方の螺旋溝７１に係合した状態で結合が行なわれている。なお他の一方の螺旋溝７２には内螺旋輪１によって押圧された積層体の外表面が嵌装状に保持されている。
【００１３】
この発明に適用される他の内螺旋輪を図５により示せば次のとおりである。
同図中；（ａ）は三角形の金属線、（ｂ）は半円形の金属線、（ｃ）は三角形の金属線Ｓに同形状の合成樹脂材Ｐを被覆したもの、（ｄ）は半円形金属線Ｓに同形状の合成樹脂材Ｐを被覆したもの、（ｅ）は断面円形の金属線Ｓに合成樹脂材Ｐを被覆したもの。
【００１４】
この発明に適用される其の他の内螺旋輪を図６により示せば次のとおりである。この内螺旋輪の場合はいずれも中空体として形成されている。
同図中；（ａ）は三角形の金属パイプ、（ｂ）は半円形の金属パイプ、（ｃ）は三角形の金属パイプＳに同形状の合成樹脂部材Ｐを被覆したもの、（ｄ）は半円形の金属パイプＳ１０の表面に合成樹脂材Ｐを被覆したもの、（ｅ）は円形の金属パイプＳに三角形の合成樹脂材Ｐを被覆したもの、（ｆ）円形の金属性パイプＳに円半形の合成樹脂材Ｐを被覆したもの。このように合成樹脂材を被覆したものは耐化学，耐薬品に対応できるもので多目的ホースとして使用できる。
【００１５】
なお前記した各内螺旋輪はいずれも平坦面を持つものである。
この発明は上記実施例に限定されるものでなく、例えば積層体に関しては内布フィルム，チューブ，中間布，補強布，外被等の材料および内布，フィルムの巻着層，チューブと外被以外の形成部材についてはコンポジットホースの使用目的に応じて、例えばフッ素樹脂などの付加変更を任意に行なえるものであり、また内螺旋輪については一辺に平坦面を持つものであれば、他の形状と例えばアルミ材鋼材などの材料についても任意に選択設計できるものである。
【００１６】
【発明の効果】
この発明は内螺旋輪の表面を平坦面として形成し、前記平坦面を流体側に向けてホース積層体に巻着した場合には前記平坦面と積層体表面とは、ほぼ同一平面を形成するのでホース内を流通する流体に対して積層体表面部においても層流状態を現出させるので流体全体の流体抵抗を均一にし、結果として流体の送り量を増加させることができ、しかも圧力損失を少なくすることができる。
【００１７】
またホース内面の平滑化により残液は極めて少量となり液切れが改善されることになる。
その上この発明は内螺旋輪の形状が従来のものに比べて中空になっているので軽量化されており、そのため重量もそれに比例して減少するのでコンポジットホース全体の軽量化に寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明に係るコンポジットホースの要部断面図である。
【図２】この発明の実施例を示す要部断面図である。
【図３】内螺旋輪の説明図である。
【図４】積層体の要部断面図で構成部材の説明図である。
【図５】内螺旋輪の他の実施例の説明図である。
【図６】内螺旋輪の其の他の実施例の説明図である。
【図７】従来のコンポジットホースの要部断面図である。
【符号の説明】
１ 内螺旋輪
２ 外螺旋輪
３ 内布
４ 外被
５ 積層体
７ スリーブ
８ ニップル
１０ コンポジットホース
１１ 平坦面

Claims (1)

1. 内螺旋輪（１）を芯として当該芯を中心に積層体（５）を形成し、当該積層体（５）の外表面に外螺旋輪（２）を設け、前記内螺旋輪（１）の内側を流体が流通するコンポジットホースにおいて、
   円筒形状の積層体（５）と、
   前記積層体（５）の外周に外被（４）を介して巻き付けられたステンレス製の断面円形の外螺旋輪（２）と、
   前記積層体（５）の内周側に設けられ、内布（３）を介して、前記外螺旋輪（２）との間に前記積層体（５）を挟持状に保持する内螺旋輪（１）であって、当該内螺旋輪（１）の内側の前記流体に接する接液面が平坦面となる断面形状を持つ前記内螺旋輪（１）と、
   ニップル（８）と、
   スリーブ（７）と
   を有し、
   前記積層体（５）、前記外螺旋輪（２）および前記内螺旋輪（１）の先端側の前記ニップル（８）と前記スリーブ（７）との間に挿着された部位における前記内螺旋輪（１）の前記平坦面を、前記ニップル（８）表面に形成した鋸歯状突起面に対接させて保持し、
   前記挿着された部位において、第１の螺旋溝（７１）と第２の螺旋溝（７２）とが前記スリーブ（８）に形成されており、
   前記外螺旋輪（２）が前記第１の螺旋溝（７１）に係合した状態で前記スリーブ（７）に結合され、前記内螺旋輪（１）によって押圧された前記積層体（５）の外表面が前記第２の螺旋溝（７２）に嵌装状に保持されている
   コンポジットホース。

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