JP3864200B2 - 合成樹脂管 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、地中に埋設してまたは地上において上下水道管・各種流体輸送管・電線保護管等として用いられる管であって、管の内壁と外壁とが略平滑円筒状に形成されている合成樹脂管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、合成樹脂管の耐圧偏平性能を高める手段として、金属帯板を断面U字形状に形成して合成樹脂管の管壁の中に埋め込んだ管は、本出願人によって既に提案しており、この出願は既に公開され一般にも知られるようになっている。(例えば、実開昭61ー141889号公報参照)
【0003】
このような合成樹脂管の管壁の中に断面U字形とした金属補強帯板を埋め込んだ管は、耐圧偏平性に優れた合成樹脂管として商品化され、既に上下水道管や電線保護管のほか各方面で重用され広く使用されるに至っている。
【0004】
しかしながら、このように管壁の中に断面U字形とした金属補強帯板を埋め込んだ管は、耐圧偏平強度に極めて優れた管ではあるが、金属補強帯板そのものを前記のように断面U字形に加工形成しなければならず、また、このような加工を施すために複雑な加工装置や加工工程を必要とし、かつ、高度な螺旋状巻回技術を必要とするという問題を有しているものである。また、そのため管の高速製造が困難であり、製造コストの低廉化を図ることが困難であるという問題点をも有しているものであった。
【0005】
また、このような管にあっては、管壁の外周面が通常凹凸波形状に形成されているため外壁の形状を平滑な円筒状とするためには、凹凸波形の上に更に外壁を形成しなければならないという問題点をも有していた。他方、管径(管の内径)が例えば300mmとか500mmという中口径以上の大口径の管の場合には、合成樹脂素材だけでは耐圧偏平強度が不充分であるという課題を有しているのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記のような管壁の中に断面U字形の金属補強帯板を埋め込んだ合成樹脂管が有する製造上における問題点を解決することができ、同管と対比すると耐圧偏平強度の低下は免れないとしても、合成樹脂素材だけで形成された管と対比すれば充分な耐圧偏平性能を有する合成樹脂管であって、内外壁が略平滑な円筒状となっている合成樹脂管を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために講じた本発明にいう合成樹脂管の構成は、管壁1を形成する帯状素材10を断面中空三角状とし、その底壁11が内壁2を形成する帯状素材10Aと、その底壁11が外壁3を形成する上下逆三角状の帯状素材10Bとからなり、これら両帯状素材10A,10Bを交互に螺旋状に巻回させて隣合う斜壁12,13どうしを互いに連結させ、内外壁2,3の間をつなぐ連結壁4を互いに傾斜方向の異なる傾斜連結壁4a,4bに形成してある構成としたものである。
【0008】
本発明にいう合成樹脂管の管壁1は、単層状のものに限らず、二層状・三層状等必要に応じて複数層重層状に形成してもよい。該管壁1を形成する帯状素材10は、管径と耐圧性を考慮して任意の横幅と高さと肉厚とをもつ断面中空の三角形状の帯とし、その形成素材はポリエチレンやポリ塩化ビニール・ポリプロピレンその他任意の合成樹脂素材を選択使用する。また、管壁1の損壊防止のために三角帯状素材10の底壁11に硬質金属帯板を埋め込んだり内面側に張り付けたりすることによって配設してある構造のものとして使用することもできる。ここにいう硬質金属帯板5は、所要幅に裁断された厚さ0.2mm〜2.0mm厚の鉄板・スチール鋼板・ステンレス鋼板等の硬質金属帯板がよく、耐圧変形強度に乏しい所謂「いろもの」と呼ばれる非鉄金属は除かれる。また、鉄板の場合において帯状素材10の底壁11の内面側に張り付けた構造とする場合には、亜鉛メッキや錫メッキその他焼付け塗装や樹脂コーテイング等の防錆処理を施したものが好ましい。
【0009】
【作用】
このような構成とした本発明の合成樹脂管は、管の外壁1に大きな圧力が作用したとき、管の外壁1を構成する上下方向逆三角の帯状素材10Bが外力を直接受け止め、かつ同時に、当該三角帯状素材10Bにおける斜壁12,13を介してその両側に位置する三角帯状素材10A,10Aにおける斜壁13,12に伝達し、外壁3を形成する三角帯状素材10Bと内壁2を形成する両側の三角帯状素材10A,10Aとによって共同して外圧と対抗し、管の偏平化を阻止する働きをする。
【0010】
【実施例】
次に、本発明の実施例について、添付の図面に基づいて説明する。図1乃至図3は本発明の第1実施例を示した図である。図1は合成樹脂管Pの一部を破断した外形を示した図であり、図2は管壁1部分の構造を拡大して示した断面図、図3は同管壁1部分を分解して示した断面図である。
【0011】
該実施例に示した合成樹脂管Pの構造は、図2に見られるように、管壁1の形状を、略直線円筒状に形成した内壁2と、同様に略直線円筒状に形成した外壁3と、これら内外両壁2,3の間をつなぐ連結壁4が左方向に傾斜した連結壁4aと右方向に傾斜した連結壁4bとからなっている合成樹脂管である。該合成樹脂管Pの管壁1は、内部を中空とし底壁11と両斜壁12,13との肉厚を均等肉厚とした正三角形状の2本の長尺の帯状素材10A,10Bによって形成されている構造、即ち、図3において分解して示したように、底壁11を下側にした通常姿勢の三角状帯状素材10Aと、底壁11を上側にした上下方向逆三角状帯状素材10Bとが交互に螺旋巻きされて、互いに隣接するそれぞれの斜壁12,13どうしが接着剤5によって接着連結されている構造となっている。
【0012】
而して、該構造の管Pを製造するに当たっては、図外の管形成用軸の周面上において、図3にみられるように、まず、底壁11を下側にした通常姿勢の三角状帯状素材10Aを所定の間隔を隔てて螺旋状に巻回させ、次いで、下向き矢印aで示したように、この間隔上に、底壁11を上側にした上下方向逆三角状帯状素材10Bを螺旋巻きし、互いに隣接するそれぞれの斜壁12,13どうしを接着剤5によって接着連結させればよい。
【0013】
この帯状素材10A,10Bどうしの連結手段としては、図3にみられるように、先行巻回する下側帯状素材10Aにおける両斜壁12,13に予め接着剤を塗布する方法、上側の帯状素材10Bにおける両斜壁12,13に接着剤を塗布する方法、若しくはその双方に接着剤を塗布する方法、接着剤ではなく接着シートを貼着する方法、接着面を加熱熔融する方法、その他適宜の手段を用いることができる。
【0014】
このようにして製造した図1〜3に示す構造の管50本について耐圧偏平試験をした。その結果は、次の通りであった。
管Pの長さ1m、合成樹脂素材=ポリエチレン,管の外径338mm,内径300mm,三角帯状素材10の肉厚4.0mm,(内壁2,外壁3の肉厚4.0mm,傾斜連結壁4の肉厚8.4mm,)の管に、外圧1000kg/mの荷重をかけた結果、無荷重状態(真円状態)からの変形量(沈み量)は平均17mmであった。したがって、この管Pを地中に埋設して使用しても充分に外圧に耐え得るものであることが確認された。
【0015】
図4に示した合成樹脂管Pは、前記第1実施例において示した管Pの別実施例を示す第2実施例の管であって、その相違点は、管壁1を構成する三角帯状素材10の形状が、斜壁12,13の長さに比して底壁11の長さが短い二等辺三角形状であること、内壁2を形成する帯状素材10Aの底壁11の肉厚を斜壁12,13の肉厚に比して少し厚肉としてあること、外壁3を形成する帯状素材10Bの底壁11の肉厚を更に厚肉として連結壁4の肉厚と略同程度にしてあることである。
【0016】
図5に示した合成樹脂管Pは、更に別の実施例を示す第3実施例の管構造を示したものであって、前記第1実施例との相違点は、管壁1を構成する三角帯状素材10の形状が、斜壁12,13の長さに比して底壁11の長さを長くした二等辺三角形状としてあること、内壁2を形成する帯状素材10Aの底壁11の肉厚を斜壁12,13の肉厚に比して薄肉としてあること、外壁3を形成する帯状素材10Bの底壁11に0.4〜0.6mm厚の鉄帯板6をその肉厚内部に埋設してある構造としてあることである。必要であれば、管Pの内壁2側に、または内外両壁2,3に金属帯板6を配設してもよいことは言うまでもない。
【0017】
このように、帯状素材10の肉厚は各辺の肉厚が均等である必要はなく任意に変化をもたせてある形状のものとすることができ、必要ならば左右の斜壁12,13の肉厚についても変化をもたせることもできる。また、この斜壁12,13の肉厚は両壁を接合した連結壁4の耐圧性能を考慮して設定すればよい。
【0018】
管Pの耐圧偏平性能を高めるためには、帯状素材10の形状を、前記第2実施例の帯状素材10のように、斜壁12,13の長さに比して底壁11の長さを短いものとしておくとよく、また、逆に管Pの耐圧偏平性能があまり求められない管にあっては、前記第3実施例の帯状素材10のように、斜壁12,13の長さに比して底壁11の長さを長いものとしておくと、管の製造速度を速め能率よく管を製造することができる。また、第3実施例において例示したように、帯状素材10の底壁11に補強用の硬質金属帯板6を配設してある構造としておくことによって、管Pの耐圧偏平性能の向上と管壁2,3の内圧抵抗または外部破壊からの保護に役立たせることができる。
【0019】
また、管Pの耐圧偏平性能を高めるための他の手段としては、図6に示した第4実施例の合成樹脂管Pのように、管壁1を二重に重ね合わせて形成した重層状の管壁として実施することができる。該実施例の管Pは、例えば前記第1実施例において示した管Pの外周面上に塗布した接着剤5aを介してもう一層管壁を重ね合わせて二重層構造としたものである。勿論、二重層構造に限らず、必要であれば三重層構造またはそれ以上の多層構造として実施してもよいことは言うまでもない。
【0020】
本発明にいう管壁を形成する合成樹脂素材の硬度は、製造する管の種類によって任意の硬度のものを選定使用することができる。しかしながら、外壁3に受ける外圧を内壁2側に伝達させて両傾斜壁12,13によって共同して耐圧偏平強度をもつようにするためには硬度のある素材で形成することが好ましい。また、内壁2を形成する帯状素材10Aと外壁3を形成する帯状素材10B、または、内層を形成する帯状素材10と外層を形成する帯状素材10等を異なる素材で形成してもよい。この場合例えば、内壁2側の帯状素材10Aまたは内層形成帯状素材10の樹脂素材を、管内を流通させる物質の種類や性質によって、耐摩耗性に優れた素材とか、耐薬品性に優れた素材とかを選択使用し、外壁3側の帯状素材10Bまたは外層形成帯状素材10の樹脂素材を、耐水性・耐候性等に優れた素材を使用することが好ましい。
【0021】
更にまた、帯状素材10は全体を同一素材で形成すれば製造が容易であるが、必要によっては、底壁11と傾斜壁12,13との樹脂素材を変えて、底壁11の素材だけを前記のように耐摩耗性や耐候性のあるものとし傾斜壁12,13を耐圧縮性に富んだ素材とする等として実施してもよい。
【0022】
以上本発明の代表的な実施例について説明したが、本発明は必ずしもこれらの実施例構造のみに限定されるものではなく、例えば、補強用硬質金属帯板6は、必ずしも管壁1を形成する帯状素材10の肉厚の内部に埋め込まれている必要はなく、片方の面の一部または全面が中空部に面して配置されている構造として実施してもよく、また、帯状素材10を内壁形成用,外壁形成用ともに2本宛を用いてダブルピツチ状に巻回してある管を得る等、本発明にいう前記の構成要件を備え、かつ、本発明にいう目的を達成し、以下にいう効果を有する範囲内において適宜改変して実施することができるものである。
【0023】
【発明の効果】
本発明は以上の説明から既に明らかなように、管壁を形成する帯状素材として、帯状素材それ自体が押圧変形性能に最も優れた断面中空三角状のものとし、その底壁で管の内壁形成する帯と、その底壁で外壁を形成する帯とで、これら両帯を交互に螺旋状に巻回させて隣合う斜壁どうしを互いに連結させることによって、内外壁の間をつなぐ連結壁を形成してある構成としたものであるから、合成樹脂素材だけで形成した管であっても耐圧偏平性能に極めて優れた合成樹脂管を得ることができるという顕著な効果を有し、併せて、管の成形に当たっては、高度で複雑な技術を必要とすることなく、高速で効率よく製造することができ、製造コストの大幅な低廉化を図ることができるという製造上における効果をも充分に期待することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例を示す管の一部切欠き正面図。
【図2】同管の管壁部分の断面図。
【図3】同管壁部分の分解断面図。
【図4】第2実施例を示す管壁部分の断面図。
【図5】第3実施例を示す管壁部分の断面図。
【図6】第4実施例を示す管壁部分の断面図。
【符号の説明】
1 管壁
2 内壁
3 外壁
4 連結壁
4a,4b 傾斜連結壁
10,10A,10B 帯状素材
11 底壁
12,13 傾斜壁
【産業上の利用分野】
本発明は、地中に埋設してまたは地上において上下水道管・各種流体輸送管・電線保護管等として用いられる管であって、管の内壁と外壁とが略平滑円筒状に形成されている合成樹脂管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、合成樹脂管の耐圧偏平性能を高める手段として、金属帯板を断面U字形状に形成して合成樹脂管の管壁の中に埋め込んだ管は、本出願人によって既に提案しており、この出願は既に公開され一般にも知られるようになっている。(例えば、実開昭61ー141889号公報参照)
【0003】
このような合成樹脂管の管壁の中に断面U字形とした金属補強帯板を埋め込んだ管は、耐圧偏平性に優れた合成樹脂管として商品化され、既に上下水道管や電線保護管のほか各方面で重用され広く使用されるに至っている。
【0004】
しかしながら、このように管壁の中に断面U字形とした金属補強帯板を埋め込んだ管は、耐圧偏平強度に極めて優れた管ではあるが、金属補強帯板そのものを前記のように断面U字形に加工形成しなければならず、また、このような加工を施すために複雑な加工装置や加工工程を必要とし、かつ、高度な螺旋状巻回技術を必要とするという問題を有しているものである。また、そのため管の高速製造が困難であり、製造コストの低廉化を図ることが困難であるという問題点をも有しているものであった。
【0005】
また、このような管にあっては、管壁の外周面が通常凹凸波形状に形成されているため外壁の形状を平滑な円筒状とするためには、凹凸波形の上に更に外壁を形成しなければならないという問題点をも有していた。他方、管径(管の内径)が例えば300mmとか500mmという中口径以上の大口径の管の場合には、合成樹脂素材だけでは耐圧偏平強度が不充分であるという課題を有しているのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記のような管壁の中に断面U字形の金属補強帯板を埋め込んだ合成樹脂管が有する製造上における問題点を解決することができ、同管と対比すると耐圧偏平強度の低下は免れないとしても、合成樹脂素材だけで形成された管と対比すれば充分な耐圧偏平性能を有する合成樹脂管であって、内外壁が略平滑な円筒状となっている合成樹脂管を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために講じた本発明にいう合成樹脂管の構成は、管壁1を形成する帯状素材10を断面中空三角状とし、その底壁11が内壁2を形成する帯状素材10Aと、その底壁11が外壁3を形成する上下逆三角状の帯状素材10Bとからなり、これら両帯状素材10A,10Bを交互に螺旋状に巻回させて隣合う斜壁12,13どうしを互いに連結させ、内外壁2,3の間をつなぐ連結壁4を互いに傾斜方向の異なる傾斜連結壁4a,4bに形成してある構成としたものである。
【0008】
本発明にいう合成樹脂管の管壁1は、単層状のものに限らず、二層状・三層状等必要に応じて複数層重層状に形成してもよい。該管壁1を形成する帯状素材10は、管径と耐圧性を考慮して任意の横幅と高さと肉厚とをもつ断面中空の三角形状の帯とし、その形成素材はポリエチレンやポリ塩化ビニール・ポリプロピレンその他任意の合成樹脂素材を選択使用する。また、管壁1の損壊防止のために三角帯状素材10の底壁11に硬質金属帯板を埋め込んだり内面側に張り付けたりすることによって配設してある構造のものとして使用することもできる。ここにいう硬質金属帯板5は、所要幅に裁断された厚さ0.2mm〜2.0mm厚の鉄板・スチール鋼板・ステンレス鋼板等の硬質金属帯板がよく、耐圧変形強度に乏しい所謂「いろもの」と呼ばれる非鉄金属は除かれる。また、鉄板の場合において帯状素材10の底壁11の内面側に張り付けた構造とする場合には、亜鉛メッキや錫メッキその他焼付け塗装や樹脂コーテイング等の防錆処理を施したものが好ましい。
【0009】
【作用】
このような構成とした本発明の合成樹脂管は、管の外壁1に大きな圧力が作用したとき、管の外壁1を構成する上下方向逆三角の帯状素材10Bが外力を直接受け止め、かつ同時に、当該三角帯状素材10Bにおける斜壁12,13を介してその両側に位置する三角帯状素材10A,10Aにおける斜壁13,12に伝達し、外壁3を形成する三角帯状素材10Bと内壁2を形成する両側の三角帯状素材10A,10Aとによって共同して外圧と対抗し、管の偏平化を阻止する働きをする。
【0010】
【実施例】
次に、本発明の実施例について、添付の図面に基づいて説明する。図1乃至図3は本発明の第1実施例を示した図である。図1は合成樹脂管Pの一部を破断した外形を示した図であり、図2は管壁1部分の構造を拡大して示した断面図、図3は同管壁1部分を分解して示した断面図である。
【0011】
該実施例に示した合成樹脂管Pの構造は、図2に見られるように、管壁1の形状を、略直線円筒状に形成した内壁2と、同様に略直線円筒状に形成した外壁3と、これら内外両壁2,3の間をつなぐ連結壁4が左方向に傾斜した連結壁4aと右方向に傾斜した連結壁4bとからなっている合成樹脂管である。該合成樹脂管Pの管壁1は、内部を中空とし底壁11と両斜壁12,13との肉厚を均等肉厚とした正三角形状の2本の長尺の帯状素材10A,10Bによって形成されている構造、即ち、図3において分解して示したように、底壁11を下側にした通常姿勢の三角状帯状素材10Aと、底壁11を上側にした上下方向逆三角状帯状素材10Bとが交互に螺旋巻きされて、互いに隣接するそれぞれの斜壁12,13どうしが接着剤5によって接着連結されている構造となっている。
【0012】
而して、該構造の管Pを製造するに当たっては、図外の管形成用軸の周面上において、図3にみられるように、まず、底壁11を下側にした通常姿勢の三角状帯状素材10Aを所定の間隔を隔てて螺旋状に巻回させ、次いで、下向き矢印aで示したように、この間隔上に、底壁11を上側にした上下方向逆三角状帯状素材10Bを螺旋巻きし、互いに隣接するそれぞれの斜壁12,13どうしを接着剤5によって接着連結させればよい。
【0013】
この帯状素材10A,10Bどうしの連結手段としては、図3にみられるように、先行巻回する下側帯状素材10Aにおける両斜壁12,13に予め接着剤を塗布する方法、上側の帯状素材10Bにおける両斜壁12,13に接着剤を塗布する方法、若しくはその双方に接着剤を塗布する方法、接着剤ではなく接着シートを貼着する方法、接着面を加熱熔融する方法、その他適宜の手段を用いることができる。
【0014】
このようにして製造した図1〜3に示す構造の管50本について耐圧偏平試験をした。その結果は、次の通りであった。
管Pの長さ1m、合成樹脂素材=ポリエチレン,管の外径338mm,内径300mm,三角帯状素材10の肉厚4.0mm,(内壁2,外壁3の肉厚4.0mm,傾斜連結壁4の肉厚8.4mm,)の管に、外圧1000kg/mの荷重をかけた結果、無荷重状態(真円状態)からの変形量(沈み量)は平均17mmであった。したがって、この管Pを地中に埋設して使用しても充分に外圧に耐え得るものであることが確認された。
【0015】
図4に示した合成樹脂管Pは、前記第1実施例において示した管Pの別実施例を示す第2実施例の管であって、その相違点は、管壁1を構成する三角帯状素材10の形状が、斜壁12,13の長さに比して底壁11の長さが短い二等辺三角形状であること、内壁2を形成する帯状素材10Aの底壁11の肉厚を斜壁12,13の肉厚に比して少し厚肉としてあること、外壁3を形成する帯状素材10Bの底壁11の肉厚を更に厚肉として連結壁4の肉厚と略同程度にしてあることである。
【0016】
図5に示した合成樹脂管Pは、更に別の実施例を示す第3実施例の管構造を示したものであって、前記第1実施例との相違点は、管壁1を構成する三角帯状素材10の形状が、斜壁12,13の長さに比して底壁11の長さを長くした二等辺三角形状としてあること、内壁2を形成する帯状素材10Aの底壁11の肉厚を斜壁12,13の肉厚に比して薄肉としてあること、外壁3を形成する帯状素材10Bの底壁11に0.4〜0.6mm厚の鉄帯板6をその肉厚内部に埋設してある構造としてあることである。必要であれば、管Pの内壁2側に、または内外両壁2,3に金属帯板6を配設してもよいことは言うまでもない。
【0017】
このように、帯状素材10の肉厚は各辺の肉厚が均等である必要はなく任意に変化をもたせてある形状のものとすることができ、必要ならば左右の斜壁12,13の肉厚についても変化をもたせることもできる。また、この斜壁12,13の肉厚は両壁を接合した連結壁4の耐圧性能を考慮して設定すればよい。
【0018】
管Pの耐圧偏平性能を高めるためには、帯状素材10の形状を、前記第2実施例の帯状素材10のように、斜壁12,13の長さに比して底壁11の長さを短いものとしておくとよく、また、逆に管Pの耐圧偏平性能があまり求められない管にあっては、前記第3実施例の帯状素材10のように、斜壁12,13の長さに比して底壁11の長さを長いものとしておくと、管の製造速度を速め能率よく管を製造することができる。また、第3実施例において例示したように、帯状素材10の底壁11に補強用の硬質金属帯板6を配設してある構造としておくことによって、管Pの耐圧偏平性能の向上と管壁2,3の内圧抵抗または外部破壊からの保護に役立たせることができる。
【0019】
また、管Pの耐圧偏平性能を高めるための他の手段としては、図6に示した第4実施例の合成樹脂管Pのように、管壁1を二重に重ね合わせて形成した重層状の管壁として実施することができる。該実施例の管Pは、例えば前記第1実施例において示した管Pの外周面上に塗布した接着剤5aを介してもう一層管壁を重ね合わせて二重層構造としたものである。勿論、二重層構造に限らず、必要であれば三重層構造またはそれ以上の多層構造として実施してもよいことは言うまでもない。
【0020】
本発明にいう管壁を形成する合成樹脂素材の硬度は、製造する管の種類によって任意の硬度のものを選定使用することができる。しかしながら、外壁3に受ける外圧を内壁2側に伝達させて両傾斜壁12,13によって共同して耐圧偏平強度をもつようにするためには硬度のある素材で形成することが好ましい。また、内壁2を形成する帯状素材10Aと外壁3を形成する帯状素材10B、または、内層を形成する帯状素材10と外層を形成する帯状素材10等を異なる素材で形成してもよい。この場合例えば、内壁2側の帯状素材10Aまたは内層形成帯状素材10の樹脂素材を、管内を流通させる物質の種類や性質によって、耐摩耗性に優れた素材とか、耐薬品性に優れた素材とかを選択使用し、外壁3側の帯状素材10Bまたは外層形成帯状素材10の樹脂素材を、耐水性・耐候性等に優れた素材を使用することが好ましい。
【0021】
更にまた、帯状素材10は全体を同一素材で形成すれば製造が容易であるが、必要によっては、底壁11と傾斜壁12,13との樹脂素材を変えて、底壁11の素材だけを前記のように耐摩耗性や耐候性のあるものとし傾斜壁12,13を耐圧縮性に富んだ素材とする等として実施してもよい。
【0022】
以上本発明の代表的な実施例について説明したが、本発明は必ずしもこれらの実施例構造のみに限定されるものではなく、例えば、補強用硬質金属帯板6は、必ずしも管壁1を形成する帯状素材10の肉厚の内部に埋め込まれている必要はなく、片方の面の一部または全面が中空部に面して配置されている構造として実施してもよく、また、帯状素材10を内壁形成用,外壁形成用ともに2本宛を用いてダブルピツチ状に巻回してある管を得る等、本発明にいう前記の構成要件を備え、かつ、本発明にいう目的を達成し、以下にいう効果を有する範囲内において適宜改変して実施することができるものである。
【0023】
【発明の効果】
本発明は以上の説明から既に明らかなように、管壁を形成する帯状素材として、帯状素材それ自体が押圧変形性能に最も優れた断面中空三角状のものとし、その底壁で管の内壁形成する帯と、その底壁で外壁を形成する帯とで、これら両帯を交互に螺旋状に巻回させて隣合う斜壁どうしを互いに連結させることによって、内外壁の間をつなぐ連結壁を形成してある構成としたものであるから、合成樹脂素材だけで形成した管であっても耐圧偏平性能に極めて優れた合成樹脂管を得ることができるという顕著な効果を有し、併せて、管の成形に当たっては、高度で複雑な技術を必要とすることなく、高速で効率よく製造することができ、製造コストの大幅な低廉化を図ることができるという製造上における効果をも充分に期待することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例を示す管の一部切欠き正面図。
【図2】同管の管壁部分の断面図。
【図3】同管壁部分の分解断面図。
【図4】第2実施例を示す管壁部分の断面図。
【図5】第3実施例を示す管壁部分の断面図。
【図6】第4実施例を示す管壁部分の断面図。
【符号の説明】
1 管壁
2 内壁
3 外壁
4 連結壁
4a,4b 傾斜連結壁
10,10A,10B 帯状素材
11 底壁
12,13 傾斜壁
Claims (4)
- 管壁(1)が略円筒状の内壁(2)と、同じく略円筒状の外壁(3)と、これら内外両壁(2),(3)間をつなぐ連結壁(4)とからなる合成樹脂管であって、該管壁(1)を形成する帯状素材(10)が断面中空三角状で、その底壁(11)が内壁(2)を形成する帯状素材(10A)と、その底壁(11)が外壁(3)を形成する上下逆三角状の帯状素材(10B)とからなり、これら両帯状素材(10A),(10B)が交互に螺旋状に巻回され隣合う斜壁(12),(13)どうしが互いに連結され、前記連結壁(4)が順次傾斜方向の異なる傾斜連結壁(4a),(4b)に形成されている合成樹脂管。
- 前記中空三角状帯状素材(10)が正三角形または二等辺三角形の何れかである請求項1に記載の合成樹脂管。
- 前記中空三角状帯状素材(10)の底壁(11)に補強用硬質金属帯板(6)が配設されいるものである請求項1または2に記載の合成樹脂管。
- 前記管壁(1)が複数層重層状に形成されている請求項1乃至3の何れかに記載の合成樹脂管。
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