JP2010500428A - ブテン−1コポリマー - Google Patents

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Abstract

(a)1〜7モル%のエチレン誘導単位;及び、(b)3〜20モル%の、一般式:HC=CHR(式中、Rは、メチル、或いは線状又は分岐のC〜Cアルキル基である)を有する1種類以上のα−オレフィンから誘導される単位;を含み、4以下の
Figure 2010500428

の比(I)の分子量分布、及び2.3以上の(b)/(a)のモル比を有するブテン−1コポリマー。

Description

本発明は、27モル%以下の、エチレン及び少なくとも1種類の更なるα−オレフィンコモノマーから誘導される単位を含むブテン−1コポリマー、並びにかかるブテン−1コポリマーを製造する方法に関する。
ブテン−1コポリマーは、当該技術において周知であり、広範囲の適用性を有する。特に、低いコモノマー含量(1〜3モル%)を有するブテン−1コポリマーは、一般に、耐圧性、耐クリープ性、衝撃強さの点で良好な特性を有することを特徴とし、金属パイプと置き換えるためのパイプの製造において用いることができる。更に、より高いコモノマー含量を有するブテン−1コポリマーは、例えば、プラスチック材料のシール強度、可撓性、及び柔軟性のような特定の特性を変化させるための他のポリオレフィン又はポリマー生成物とのブレンドの成分として用いることができる。
ブテン−1と他のα−オレフィンとのコポリマーは、プロピレンの結晶性コポリマーとブレンドして、包装用のプロピレンベースのフィルムのヒートシール特性を向上させる変性剤として作用する。かかるコポリマーは、従来法(溶液重合)によって製造すると一般に狭い分子量分布を有する傾向があり、したがってプロピレンポリマーとブレンドして加えると加工性が低減する傾向がある。他方、一部の従来法でない方法(気相)によって得られるコポリマーにおけるコモノマーの劣ったランダム分布によって、かかるコポリマーを用いて製造されるフィルムの透明性が低下する傾向がある。米国特許4,943,615においては、2〜8個の炭素原子を有するα−オレフィンコモノマーを含むブテン−1コポリマーが開示されている。かかるコポリマーは、GPC分析によって測定して4〜15の
Figure 2010500428
の分子量分布(MWD)、及び2つの吸熱ピークを特徴とする示差走査熱量測定(DSC)の熱プロファイルを有する。ここでは、ブテン−1コポリマーの製造において単一のコモノマーだけでなく複数のコモノマーの組み合わせを用いる可能性も開示されている。米国特許4,726,999においては、積層構造体におけるヒートシール層を形成するために結晶性ランダムプロピレンコポリマーとブレンドして用いる、コモノマーとして40モル%未満のプロピレンを有するランダムブテン−1コポリマーが開示されている。ランダムブテン−1コポリマーは、更に少量の他のα−オレフィンコモノマーを含んでいてよい。上記の特許文献では、第2のコモノマーを加える効果については言及されていないままであり、第2のコモノマーの好ましい添加量の目安を与える実施例は与えられていない。ヨーロッパ特許EP−0135358においては、コモノマーとしてプロピレンを有するブテン−1コポリマーが開示されており、ここでは、第2のコモノマーを存在させることは、非常に少量で存在していない場合には材料の総合的な所望の特性に対して不利である可能性があると示されている。
24重量%より高いコモノマー含量を有するブテン−1の高度にアモルファスのターポリマーは、米国特許4,309,522から公知である。
本発明は、それらを、種々の用途のために、特に、ブレンドのヒートシール特性を改良するため、特にかくして得られるブレンドの加工性に悪影響を与えることなくシール開始温度(SIT)を低下させるためにポリプロピレン結晶性マトリクスに加える変性剤として好適な特性の最適なバランスを有する新規なブテン−1コポリマーを提供する。
本発明者らは、この効果は、27モル%以下のエチレン及び1種類以上のα−オレフィンコモノマーのバランスのとれた含量を有するブテン−1コポリマーによって達成されることを見出した。
したがって、本発明の目的は、
(a)1〜7モル%、好ましくは1.5〜5モル%のエチレン誘導単位;及び
(b)3〜20モル%、好ましくは10〜15モル%の、一般式:HC=CHR(式中、Rは、メチル、或いは線状又は分岐のC〜Cアルキル基である)を有する1種類以上のα−オレフィンから誘導される単位;
を含み、以下に説明する方法に従うGPC分析によって測定して、4以下、好ましくは3.7以下、より好ましくは3.5以下の
Figure 2010500428
の比の分子量分布(MWD)、及び2.3以上、好ましくは2.5以上の(b)/(a)のモル比(ここで、(b)及び(a)は、上記に規定したα−オレフィン及びエチレンの誘導単位である)を有するブテン−1コポリマーを提供することである。
上記の規定から、コポリマーという用語は、本明細書においては2種類以上のコモノマーを含むポリマー、特にターポリマーを定義するために用いることが明らかである。
通常、本発明のコポリマーの熱挙動は、70〜110℃の温度範囲の広範なDSCプロファイルを有することを特徴とする。ポリブテン−1の2種類の結晶形態の融点(Tm)は、一般に、実験部分において記載する特定の条件(2つの加熱運転を用いる)下で行う熱分析によってのみ区別することができる。
更に、コモノマー含量、及び概して0℃において60重量%より高く、好ましくは97重量%より高い極めて高いキシレン可溶フラクションにもかかわらず、本発明のコポリマーは、概して33%より高く、好ましくは35%より高い極めて高いX線結晶化度、及び200MPa未満、好ましくは195以下の曲げ弾性率を示す。低い曲げ弾性率の値は、改良された引張り特性、特に400%以上、好ましくは450%以上の破断点伸びと組み合わさる。更に、本発明のコポリマーは、−10℃より低く、好ましくは−12℃より低いガラス転移温度の値を示し、これによって低温におけるより良好な衝撃特性が導かれる。
好ましいα−オレフィン(b)はプロピレンである。
プロピレンがα−オレフィン(b)である場合には、本発明のコポリマーに関する13C−NMRスペクトルは、以下の関係:
≦1
≦1.5
≦2
を保持することを示す。
ここで、反応性比の積は実施例の説明において規定する。特に少量のコモノマー(即ちエチレン及びプロピレン)に関しては、r≦1の関係は、非常に十分にランダム化されているか、或いは主コモノマー(ブテン−1)に対して両方の少量のコモノマーがほぼ交互に分布していることのいずれかを示す。
本発明のコポリマーは、ポリマー組成物とブレンドすると、特に、ポリマーマトリクスの溶融温度を低下させることなく、且つ組成物の全体的な加工性を低下させることなく、シール開始温度を低下させる変性剤として作用する。これは、通常、包装用のフィルムのシール層の必要要件である。本発明のコポリマーは、二軸配向フィルム(特に二軸配向ポリプロピレンフィルムBOPP)及びキャストフィルム用途の両方、並びにブローンフィルムにおいて特に有利であることが証明された。
特に、本発明のコポリマーは、ポリマーマトリクス中にブレンドすると、ブレンドの他の機械特性に悪影響を与えることなく、或いは場合によってはこれらの特性を改良しながら、柔軟な材料を与える。本発明のコポリマーのガラス転移挙動のために、低温において高い耐衝撃性が見られる。
したがって、本発明の更なる対象は、
(A)1〜99重量%、好ましくは5〜40重量%の本発明のブテン−1コポリマー;及び
(B)99〜1重量%、好ましくは60〜95重量%の他のポリマー成分;
を含み、かかる割合は(A)及び(B)の合計を基準とするものである、ポリマー組成物である。
好ましくは、成分(B)はオレフィン(コ)ポリマーを含む。特に、成分(B)は、エチレン含有(コ)ポリマー、プロピレン含有(コ)ポリマー、及びこれらの混合物から選択することができる。
(A)1〜99重量%、好ましくは5〜40重量%の本発明のブテン−1コポリマー;及び
(B)99〜1重量%、好ましくは60〜95重量%の、プロピレンホモポリマー、或いは1〜30モル%のエチレン及び/又は式:CH=CHR(式中、Rは、C〜C10炭化水素基である)のα−オレフィンを含むコポリマー;
を含み、かかる割合は(A)+(B)の合計を基準とするものである、ポリマー組成物が特に興味深い。
好ましくは、該α−オレフィンはブテン−1である。(B)が、(a)エチレン及びブテン−1の両方を含み、エチレンの含量が1〜10%であり、ブテン−1の含量が1〜10%であるプロピレンコポリマー;及び(b)2〜15モル%のブテン−1を含むプロピレンコポリマー;から選択される組成物が特に興味深い。
かかる組成物は、低いシール開始温度(SIT)が求められている用途において特に有用であり、SIT及び機械特性に関して、従来技術のブテン−1コポリマーを用いる組成物に対してより良好な特性を示す。
120MPa以下の曲げ弾性率を有する本発明によるブテン−1コポリマーが、二軸配向フィルム用途において用いるのに好ましい。2.9〜7モル%、好ましくは2.9〜5モル%のエチレン含量を有し、プロピレンがα−オレフィン(b)であって7〜18モル%の量で存在しているコポリマーが、この用途のために特に好ましい。
120〜195MPaの曲げ弾性率を有する本発明によるブテン−1コポリマーが、キャスト又はブローンフィルム用途において用いるのに好ましい。1〜2.9モル%、好ましくは1.5〜2モル%のエチレン含量を有し、プロピレンがα−オレフィン(b)であって7〜15モル%の量で存在しているコポリマーが、この用途のために特に好ましい。
上記の用途においては、α−オレフィン(b)(即ちプロピレン)の含量を変動させても、エチレンの含量よりは、機械特性及び引張り特性、特に曲げ弾性率に少ししか影響を与えない。
本発明のコポリマーは、予めシールされている2つの層の間に特定範囲の剥離力を必要とする用途(シール−剥離用途)において用いるポリマー組成物の製造において用いることもできる。
本発明のブテン−1コポリマーは、立体特異性チーグラー・ナッタ触媒の存在下でモノマーを重合することによって製造することができる。このプロセスは、ブテン−1を、
(A)MgCl上に担持されている、Ti化合物及び内部電子ドナー化合物を含む固体成分;(B)アルキルアルミニウム化合物;及び場合によっては(C)外部電子ドナー化合物;を含む立体特異性チーグラー・ナッタ触媒の存在下において、
(a)1〜7モル%、好ましくは1.5〜5モル%のエチレン;及び
(b)3〜20モル%、好ましくは10〜15モル%の、一般式:HC=CHR(式中、Rは、メチル、或いは線状又は分岐のC〜Cアルキル基である)を有する1種類以上のα−オレフィン;
と共重合することを含む。
好ましくは、活性形態の二塩化マグネシウムを担体として用いる。活性形態の二塩化マグネシウムがチーグラー・ナッタ触媒のための担体として特に適していることは、特許文献から広く知られている。特に、米国特許4,298,718及び米国特許4,495,338は、チーグラー・ナッタ触媒においてこれらの化合物を使用することを最初に記載したものである。オレフィン重合用の触媒の成分において担体又は共担体として用いられる活性形態の二ハロゲン化マグネシウムは、非活性ハロゲン化物のスペクトルにおいて見られる最も強い回折線が、強度低下して、その最大強度がより強い線のものよりも低い角度に向かって転置しているハロによって置き換えられていることが、これらの特許から知られている。
本発明の触媒成分において用いられる好ましいチタン化合物は、TiCl及びTiClであり;更には、式:Ti(OR)n−y(式中、nはチタンの価数であり、Xはハロゲン、好ましくは塩素であり、yは1〜nの間の数である)のTi−ハロアルコラートを用いることもできる。
内部電子ドナー化合物は、好ましくはエステル、より好ましくはモノカルボン酸、例えば安息香酸、又はポリカルボン酸、例えばフタル酸若しくはコハク酸のアルキル、シクロアルキル、又はアリールエステルから選択され、ここで、該アルキル、シクロアルキル、又はアリール基は、1〜18個の炭素原子を有する。かかる電子ドナー化合物の例は、ジイソブチルフタレート、ジエチルフタレート、及びジヘキシルフタレートである。一般に、内部電子ドナー化合物は、MgClに対して0.01〜1、好ましくは0.05〜0.5のモル比で用いる。
固体触媒成分の製造は、幾つかの方法にしたがって行うことができる。
これらの方法の1つによれば、無水状態の二塩化マグネシウム及び内部電子ドナー化合物を、二塩化マグネシウムの活性化が起こる条件下で一緒に粉砕する。かくして得られた生成物を、80〜135℃の間の温度において、過剰のTiClで1回以上処理することができる。この処理に続いて、塩化物イオンが消失するまで炭化水素溶媒で洗浄する。更なる方法によれば、無水状態の二塩化マグネシウム、チタン化合物、及び内部電子ドナー化合物の共粉砕によって得られた生成物を、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロメタン等のようなハロゲン化炭化水素で処理する。この処理は、40℃乃至ハロゲン化炭化水素の沸点の温度において、1〜4時間行う。次に、得られた生成物を一般にヘキサンのような不活性炭化水素溶媒で洗浄する。
他の方法によれば、二塩化マグネシウムを周知の方法にしたがって予め活性化し、次に約80〜135℃の温度において、溶液中に内部電子ドナー化合物を含む過剰のTiClで処理する。TiClによる処理を繰り返し、未反応のTiClを除去するために固体をヘキサンで洗浄する。
更なる方法は、マグネシウムのアルコラート又はクロロアルコラート(特に米国特許4,220,554にしたがって製造されるクロロアルコラート)と、溶液中に内部電子ドナー化合物を含む過剰のTiClとを、約80〜120℃の温度で反応させることを含む。
好ましい方法によれば、固体触媒成分は、式:Ti(OR)n−y(式中、nはチタンの価数であり、yは1〜nの間の数である)のチタン化合物、好ましくはTiClを、式:MgCl・pROH(式中、pは0.1〜6、好ましくは2〜3.5の数であり、Rは1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基である)の付加体から誘導される塩化マグネシウムと反応させることによって製造することができる。この付加体は、好適には、付加体と非混和性の不活性炭化水素の存在下において、付加体の融点(100〜130℃)において撹拌条件下で操作して、アルコールと塩化マグネシウムとを混合することによって、球状形態で製造することができる。次に、エマルジョンを速やかに急冷し、それによって球状粒子の形態で付加体の固化を起こさせる。この手順によって製造される球状付加体の例は、米国特許4,399,054及び米国特許4,469,648に記載されている。かくして得られる付加体は、Ti化合物と直接反応させることができ、或いは、アルコールのモル数が概して3よりも低く、好ましくは0.1〜2.5である付加体を得るために、予め熱制御脱アルコール化(80〜130℃)にかけることができる。Ti化合物との反応は、付加体(脱アルコール化又はそのまま)を冷TiCl(概して0℃)中に懸濁し;混合物を80〜130℃に加熱し、この温度に0.5〜2時間保持することによって行うことができる。TiClによる処理は1回以上行うことができる。内部電子ドナー化合物は、TiClによる処理中に加えることができる。電子ドナー化合物による処理は1回以上繰り返すことができる。球状形態の触媒成分の製造は、例えば、ヨーロッパ特許出願EP−A−395083、EP−A−553805、EP−A−553806、EPA−601525、及びWO−98/44001に記載されている。
上記の方法にしたがって得られる固体触媒成分は、概して20〜500m/g、好ましくは50〜400m/gの表面積(BET法による)、及び0.2cm/gより高く、好ましくは0.2〜0.6cm/gの全孔隙率(BET法による)を示す。10,000Å以下の半径を有する孔による孔隙率(Hg法)は、概して0.3〜1.5cm/g、好ましくは0.45〜1cm/gの範囲である。
アルキル−Al化合物(B)は、好ましくは、例えばトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウムのようなトリアルキルアルミニウム化合物の中から選択される。また、トリアルキルアルミニウムと、アルキルアルミニウムハロゲン化物、アルキルアルミニウム水素化物、又はアルキルアルミニウムセスキクロリド、例えばAlEtCl及びAlEtClとの混合物を用いることもできる。
外部ドナー(C)は、好ましくは、式:R Si(OR(式中、a及びbは0〜2の整数であり、cは1〜3の整数であり、(a+b+c)の合計は4であり;R、R、及びRは、場合によってはヘテロ原子を有する、1〜18個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、又はアリール基である)のケイ素化合物の中から選択される。ケイ素化合物の特に好ましい群は、aが0であり、cが3であり、bが1であり、Rが、場合によってはヘテロ原子を有する分岐アルキル又はシクロアルキル基であり、Rがメチルであるものである。かかる好ましいケイ素化合物の例は、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、及びテキシルトリメトキシシランである。ジシクロペンチルジメトキシシランを用いることが特に好ましい。
電子ドナー化合物(C)は、0.1〜500、好ましくは1〜300、より好ましくは3〜100の有機アルミニウム化合物と該電子ドナー化合物(c)との間のモル比を与える量で用いる。
触媒を重合工程のために特に好適にするために、予備重合工程においてかかる触媒を予備重合することができる。かかる予備重合は、液体(スラリー又は溶液)中、又は気相中で、概して100℃より低く、好ましくは20〜70℃の温度において行うことができる。予備重合工程は、少量のモノマーを用いて、固体触媒成分1gあたり0.5〜2000g、好ましくは固体触媒成分1gあたり5〜500、より好ましくは10〜100gの量のポリマーを得るのに必要な時間行う。
重合プロセスは、公知の技術、例えば希釈剤として液体不活性炭化水素を用いるスラリー重合、或いは反応媒体として例えば液体ブテン−1を用いる溶液重合によって行うことができる。更に、重合プロセスを、1以上の流動床又は機械撹拌床反応器内で操作して気相中で行うこともできる。反応媒体として液体ブテン−1中で行う重合が非常に好ましい。
重合は、概して20〜120℃、好ましくは40〜90℃の温度において行う。重合は、分子量調整剤の濃度、コモノマー濃度、温度、圧力などが同一か又は異なる反応条件下で操作することができる1以上の反応器内で行うことができる。異なる条件下で1つより多い反応器内で操作することは、最終ポリマーの特性を適切に調整するために種々の重合工程を適切に調節することができるという有利性を有する。
上記に記載したように、本発明のコポリマーは、多くの用途において用いるため、特にキャスト及び二軸配向フィルム、二軸配向ポリプロピレンフィルム(BOPP)のため、及びブローンフィルムのためにも好適である。
慣例として、これらの用途のそれぞれに関係する熟練者は、発明の要旨から逸脱することなく、更に、ポリマー成分、添加剤(例えば、安定剤、酸化防止剤、腐食防止剤、成核剤、加工助剤等)、及び特定の特性を与えることができる有機充填剤及び無機充填剤の両方を加えることができる。
本発明を制限することなく本発明をより良好に示すために以下の実施例を与える。
特性:
コモノマー含量:
実施例のコポリマーの13C−NMRスペクトル分析を、ジ重水素化1,1,2,2−テトラクロロエタン中のポリマー溶液(8〜12重量%)について120℃において行った。90°のパルス、H−13Cカップリングを除去するためのパルスとCPD(WALTZ16)との間の遅延15秒を用い、120℃においてフーリエ変換モードで100.61MHzで操作するBruker DPX-400分光計において、13C−NMRスペクトルを得た。60ppmのスペクトルウィンドウ(0〜60ppm)を用いて約1000の過渡スペクトルを32Kのデータ点で保存した。
コポリマーの組成:
以下の関係式:
PP=100 I/Σ
PB=100 I/Σ
BB=100(I−I19)/Σ
PE=100(I+I)/Σ
BE=100(I+I10)/Σ
EE=100(0.5(I15+I+I10)+0.25(I14))/Σ
(ここで、Σ=I+I+I−I19+I+I+I+I10+0.5(I15+I+I10)+0.25(I14))
を用いて、13C−NMRスペクトルからダイアド分布を算出した。
以下の関係式:
P(モル%)=PP+0.5(PE+PB)
B(モル%)=BB+0.5(BE+PB)
E(モル%)=EE+0.5(PE+BE)
を用いて、ダイアドからモル含量を得た。
、I、I、I、I、I、I、I10、I14、I15、I19は、13C−NMRスペクトルにおけるピークの積分値である(参照として29.9ppmにおけるEEEシーケンスのピーク)。J.C. Randal, Macromol. Chem. Phys., C29, 201 (1989)、M.Kakugo, Y.Naito, K.Mizunuma, 及びT.Miyatake, Macromolecules 15, 1150 (1982)、及びH.N. Cheng, Journal of Polymer Science, Polymer Physics Edition, 21, 57 (1983)にしたがってこれらのピークの割り当てを行った。これらを表Aにまとめる(命名は、C.J.Carman, R.A.Harrington, 及びC.E.Wilkes, Macromolecules 10, 536 (1977)にしたがう)。
Figure 2010500428
コモノマー分布:
反応性比の積を用いてターポリマー中のコモノマー分布を求めた。3種類のコモノマーが存在するので、Kakugo式(M.Kakugo, Y.Naito, K.Mizunuma, 及びT.Miyatake, Macromolecules, 15, 1150, (1982))の変化形を用いることによって、それぞれのコモノマーに関して他の2つに対する3つの異なる反応性比の積:rを求めた。
1.r=4 XX EE/(XE)
ここで、XX=BB+PP+BP,XE=PE+BE及びEE=EE
2.r=4 YY BB/(BY)
ここで、YY=PP+EE+PE,BY=BE+BP,BB=BB
3.r=4 ZZ PP/(PZ)
ここで、ZZ=BB+EE+BE,PZ=PE+BP,PP=PP
ダイアド分布(EE,BB,PP,XX,YY,ZZ,XE,YE,ZE)の合計、及び反応性比の積の値を、13C−NMRスペクトルから計算した。
メルトフローレート(MFR)の測定:
ISO 1133の方法にしたがって測定した。
密度:
ISO 1183の方法にしたがって、密度勾配を示す液体カラム内で試験片が沈降するレベルを観察することに基づいて測定した。
グレーダーから押出したストランドから標準的な試験片を切り出した(MFR測定)。ポリブテンの転移相を促進させるために、試験片を、2000bar、室温において、オートクレーブ内に10分間配置した。この後、試験片を勾配カラム内に挿入し、ISO 1183にしたがって密度を測定した。
多分散指数(PI)の測定:
この特性は、試験対象のポリマーの分子量分布に密接に関係する。特に、これは溶融状態のポリマーの耐クリープ性に反比例する。低弾性率値(500Pa)における弾性率分離と呼ばれるかかる抵抗値は、0.1rad/秒から100rad/秒に上昇する振動数で操作するRHEOMETRICS(米国)によって販売されている平行プレート流動計モデルRMS-800を用いることによって、200℃の温度において測定した。弾性率分離の値から、次式:
PI=54.6・(弾性率分離)−1.76
(式中、弾性率分離は、
弾性率分離=(G’=500Paにおける振動数)/(G”=500Paにおける振動数)
(ここで、G’は貯蔵弾性率であり、G”は損失弾性率である)
である)
によってPIを誘導することができる。
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によるMWD及び
Figure 2010500428
の測定:
1mL/分の流速で溶媒として1,2−ジクロロベンゼン(ODCB)(0.1容積%の2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)で安定化)を用い、135℃において操作する、TSKカラムセット(タイプGMHXL-HT)を備えたWaters 150-C ALC/GPCシステムを用いて、MWD、及び特に比:
Figure 2010500428
を測定した。140℃の温度において1時間連続的に撹拌することによって試料をODCB中に溶解した。
0.45μmのテフロン膜を通して溶液を濾過した。濾液(濃度0.08〜1.2g/L、注入容積300μL)をGPCにかけた。ポリスチレンの単分散フラクション(Polymer Laboratoriesによって提供)を標準試料として用いた。PS及びPBに関するMark-Houwink定数[PS(K=7.11×10−5dL/g;a=0.743)及びPB(K=1.18×10−4dL/g;α=0.725)]の線形結合を用いることによって、PBコポリマーに関する普遍較正を行った。
X線結晶化度の測定:
固定スリットを有するCu−Kα1放射線を用い、6秒毎に0.1°の段階で2Θ=5°と2Θ=35°の回折角の間のスペクトルを収集するX線回折粉末回折計を用いて、X線結晶化度を測定した。
厚さ約1.5〜2.5mmで直径2.5〜4.0cmのディスクの形態の圧縮成形試験片について測定を行った。これらの試験片は、200℃±5℃の温度において、感知できる圧力を加えないで10分間、圧縮成形プレス内で得た。次に、約10kg/cmの圧力をおよそ数秒間加え、この最後の操作を3回繰り返した。
回折パターンを用い、全スペクトルに関する好適な線形ベースラインを画定し、スペクトルプロファイルとベースラインとの間の計数値/秒・2Θで表される全面積(Ta)を算出することによって、結晶化度に関して必要な全ての要素を誘導した。
次に、全スペクトルに沿って、二相モデルにしたがって結晶質領域からアモルファス領域を分離する好適なアモルファスプロファイルを画定した。而して、アモルファスプロファイルとベースラインとの間の面積として計数値/秒・2Θで表されるアモルファス面積(Aa)、及びCa=Ta−Aaとして計数値/秒・2Θで表される結晶面積(Ca)を算出することができる。
次に、式:
%Cr=100×Ca/Ta
にしたがって試料の結晶化度を算出した。
融点の測定:
予めインジウム及び亜鉛の融点に対して較正したPerkin Elmer DSC-1熱量計上での示差走査熱量測定(DSC)によって、実施例のポリマーの融点(T)を測定した。各DSCるつぼ内の試料の重量を6.0±0.5mgに保持した。
本発明のコポリマーに関しては、DSC溶融温度グラフにおいてポリブテンの2つの異なる結晶形態(即ち形態I及び形態II)を区別することができる。これは、これらが異なる融点を有しているからである。即ち、形態Iは常に形態IIよりも高い温度で溶融する。更に、形態IIは結晶化する間に溶融体から析出するが、より安定な形態Iは特定量の時間室温でアニールすることによって形成される。
連続加熱モードでのデータの獲得は以下のようにして行った。
(a)秤量した試料をアルミニウム皿中に密封し、10℃/分で180℃に加熱した。試料を180℃において5分間保持して全ての結晶を完全に溶融させ、次に10℃/分で−20℃に冷却した。−20℃において2分間静置した後、10℃/分で180℃への試料の2回目の加熱を行った。この2回目の加熱運転において、ピーク温度を形態IIの融点(TmII)としてとり、ピークの面積をその溶融エンタルピー(ΔHf)としてとった;
(b)試料を室温において異なる時間(数時間から数日間まで)アニールした;
(c)10℃/分の加熱速度で室温から180℃に加熱走査して、形態II→形態Iの固体−固体転移の進行を測定するのに必要な温度グラフを得て、これによって形態Iの融点(TmI)を測定した。
DMTA分析によるTgの測定:
76mm×13mm×1mmの成形試験片を引張り応力測定用のDMTA機に固定した。試料の引張り及び緩和の周波数を1Hzに固定した。DMTAによって−100℃から出発して130℃までの試験片の弾性応答を求めた。これによって、弾性応答対温度をプロットすることができる。粘弾性材料に関する弾性率は、E=E’+iE”として定義される。DMTAは、2つの要素E’とE”とを、それらの共鳴及びプロットE’対温度及びE’/E”=tan(δ)対温度によって分割することができる。
ガラス転移温度Tgは、曲線E’/E”=tan(δ)対温度の最大点での温度とみなす。
引張り特性:
ISO 8986−2にしたがい、試験片タイプASTM−D638を用いて、Brabender内において対応するコポリマー試料を1%の2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)と180℃において混合することによって得られたポリマー組成物を圧縮成形(200℃、30℃/分の冷却を行う)することによって得られた厚さ1.9mmのプラークについて測定した。
試験前に、PBの相転移を促進するために、厚さ1.9mmのプラークを室温において200barのオートクレーブ中に10分間配置した。
組成物のシール開始温度(SIT):
約200℃においてポリマー組成物を押出すことによって厚さ50μmのフィルムを調製することによって測定した。かくして得られたそれぞれのフィルムを、4重量%のキシレン可溶分、2g/10分のメルトフローレートを有するポリプロピレンのプラーク上に載置した。プレートプレス内において、200℃で、9000kgの負荷を用いて、載置したフィルムとプラークを接合した。この負荷を5分間保持した。次に、得られた接合試験片を、TM LONGフィルム延伸機を用いてその長さ及び幅方向に7倍に延伸して、約20μmの厚さのフィルムを得た。かかるフィルムから20×50mmの試験片を得た。ヒートシール試料に2Nの負荷を加えることによってシール値を得た。それぞれの測定に関して、2枚の上記の試験片を、実施例の組成物で形成したヒートシール層を用い、互いに接触させて重ね合わせた。次に、かかる重層試験片を、Xentinel複合実験用シール機モデル12-12 ASを用いて20mmの側部に沿ってシールした。シール時間は5秒であり、圧力は約0.13MPa(1.3気圧)であり、シールの幅は20mmであった。測定するそれぞれの試料に関してシール温度を2℃ずつ上昇させた。シールされていない端部を動力計に取り付け、2Nの負荷を加えたときにシールが破断しない最低シール温度を測定した。この温度はシール開始温度を示す。
実施例:
固体触媒成分の調製:
窒素でパージした500mLの四つ口丸底フラスコ中に、0℃において225mLのTiClを導入した。撹拌しながら、6.8gの微細球状MgCl・2.7COH(米国特許4,399,054の実施例2の記載にしたがうが、10,000rpmに代えて3,000rpmで操作して調製した)を加えた。フラスコを40℃に加熱し、直ちに4.4ミリモルのジイソブチルフタレートを加えた。温度を100℃に上昇させ、2時間保持し、次に撹拌を停止し、固体生成物を沈降させ、上澄み液を吸い出した。
200mLの新しいTiClを加え、混合物を120℃において1時間反応させ、次に上澄み液を吸い出し、得られた固体を60℃において無水ヘキサン(6×100mL)で6回洗浄し、次に真空下で乾燥した。触媒成分は、2.8重量%のTi及び12.3重量%のフタレートを含んでいた。
実施例1〜5:ブテン−1/プロピレン/エチレンコポリマーの調製:
実施例1〜4においては、予備接触工程を行った後に、液体ブテン−1が液体媒体を構成する液相撹拌反応器(R1)中で重合を行った。予備接触工程においては、固体触媒成分、Al−アルキル化合物であるTIBAL(即ちトリイソブチルアルミニウム)、及び外部ドナーであるジシクロペンチルジメトキシシランを、表1に報告する条件下で予備混合した。次に、同じ表1に報告する条件下で操作する反応器中に触媒系を注入した。
8時間後に、触媒を失活させ、重合物を揮発分除去工程に移すことによって重合を停止した。
実施例5においては、重合は、予備接触工程の後に、液体ブテン−1が液体媒体を構成する直列に接続された2つの液相撹拌反応器(R1、R2)内で行った逐次重合であった。触媒系を、表1に報告する条件下で操作する第1の反応器中に注入した。
第1の重合工程の後、第1の反応器の内容物を第2の反応器中に移し、同じ表1に報告する条件下で重合を続けた。
実施例1〜4と同様に、触媒を失活させ、重合物を揮発分除去工程に移すことによって重合を停止した。
プロセスの詳細な説明は、国際特許出願WO−04/000895において見られる。
上記に記載した方法にしたがって計算した反応性比の積からコモノマー分布を求めた。
実施例1〜4のポリマーに関する、ダイアド分布(EE,BB,PP,XX,YY,ZZ,XE,YE,ZE)の合計値、及び反応性比の積の値を、表1bに報告する。
得られたコポリマーに関して行った特性測定の他の結果を表2に報告する。
比較例6(6C):ブテン−1/エチレンコポリマーの調製:
比較用の変性剤として、Basell Polyolefinsによって製造されたブテン−1とエチレンとのランダムコポリマーであるポリブテン−1 DP 8220M(MFR=190℃/2.16kgにおいて2.5g/10分、曲げ弾性率=140MPa)を試験した。
コポリマーの特性を表2に報告する。
比較例7(7C):ブテン−1/プロピレンコポリマー:
比較用の変性剤として、Mitsui Chemicals Inc.によって製造された市販製品であるTafmer BL2481について特性測定及び試験を実施した。コポリマーの特性を表2に報告する。
実施例7Cと実施例4及び5とを比較すると、本発明のコポリマーの低温における衝撃挙動は、曲げ弾性率を低下させることなく、且つ他の引張り特性に実質的に悪影響を与えることなく、より良好(より低いTgの値が見られる)であることが分かる。
シール開始温度(SIT)試験:
−実施例1〜5及び比較例6〜7のブテン−1コポリマー20重量%;及び
−3.2重量%のエチレン、6重量%のブテン−1、及び90.8重量%のプロピレンを含み、105℃のSIT(シール開始温度)及び132℃の融点を有するアイソタクチックターポリマーマトリクス80%;
を含む機械的ブレンドを調製した。
上記に記載したTM LONGフィルム延伸機を用いて、7×7の延伸比で、上記のブレンド組成物からBOPPフィルムを得た。次に、種々の温度でシールし、標準的なInstron引張機を用いてシール強度を試験することによって、SITの測定のための試験を行った。2N/2cmのシール強度における温度をSITとしてとった。結果を表2に報告する。
Figure 2010500428
Figure 2010500428
Figure 2010500428

Claims (9)

  1. (a)1〜7モル%のエチレン誘導単位;及び
    (b)3〜20モル%の、一般式:HC=CHR(式中、Rは、メチル、或いは線状又は分岐のC〜Cアルキル基である)を有する1種類以上のα−オレフィンから誘導される単位;
    を含み、4以下の
    Figure 2010500428
    の比の分子量分布、及び2.3以上の(b)/(a)のモル比を有するブテン−1コポリマー。
  2. 33%より高いX線結晶化度及び200MPa未満の曲げ弾性率を有する、請求項1に記載のブテン−1コポリマー。
  3. (A)1〜99重量%の請求項1に記載のブテン−1コポリマー;及び
    (B)99〜1重量%の他のポリマー成分;
    を含み、かかる割合は(A)及び(B)の合計に対するものである、ポリマー組成物。
  4. 成分(B)がオレフィン(コ)ポリマーを含む、請求項3に記載のポリマー組成物。
  5. 成分(B)が、エチレン含有(コ)ポリマー、プロピレン含有(コ)ポリマー、又はこれらの混合物である、請求項3に記載のポリマー組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のブテン−1コポリマー又は組成物から得られる製造物品。
  7. (A)MgCl上に担持されている、Ti化合物、及びフタレートから選択される電子ドナー化合物を含む固体触媒成分;(B)アルキルアルミニウム化合物;及び(C)式:R Si(OR(式中、a及びbは0〜2の整数であり、cは1〜3の整数であり、(a+b+c)の合計は4であり;R、R、及びRは、場合によってはヘテロ原子を含む1〜18個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、又はアリール基である)の外部電子ドナー化合物;を含む立体特異性チーグラー・ナッタ触媒の存在下において、ブテン−1を、
    (a)1〜7モル%のエチレン;及び
    (b)3〜20モル%の、一般式:HC=CHR(式中、Rは、メチル、或いは線状又は分岐のC〜Cアルキル基である)を有する1種類以上のα−オレフィン;
    と共重合することを含む、請求項1又は2に記載のブテン−1コポリマーの製造方法。
  8. 外部ドナーがジシクロペンチルジメトキシシランである、請求項7に記載の方法。
  9. 液体ブテン−1中で行う、請求項7又は8に記載の方法。
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