JP2010500375A - 活性剤の多段階送達 - Google Patents

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Abstract

第1段階粒子および第2段階粒子を含む多段階送達ビヒクルが開示される。第1段階粒子は、第2段階粒子を含有するマイクロ粒子またはナノ粒子である。第2段階粒子は、治療剤または造影剤などの活性剤を含む。この多段階送達ビヒクルにより、生物学的バリアーの連続的な克服または迂回が可能になる。この多段階送達ビヒクルは、複数のビヒクルを含む組成物の一部として投与される。この多段階送達ビヒクルを作製する方法も提供される。

Description

連邦支援の研究または開発に関する陳述
米国政府は、DOD助成番号W81XWH−04−2−0035プロジェクト16;NASA助成番号SA23−06−017;およびNIH助成番号NC1 1R21CA1222864−01の条件によって提供されるように、本発明における支払済みライセンスおよび限定された状況において権利を有し、特許権者に、他者に適当な条件で実施許諾することを要求する。
本発明は、一般に、ナノテクノロジーの分野、特に、治療剤および造影剤などの活性剤の送達用にマイクロ粒子および/またはナノ粒子を利用する組成物、ならびにそのような組成物を作製する方法および使用する方法に関する。
健康および疾患の基礎的な理解における過去四半世紀の進歩は、臨床医学において匹敵する進展につながっていない。わずかな損傷しか伴わず、または付帯的損傷を伴うことなく所望の標的に選択的に到達するように治療成分を投与する能力の不足が、この不一致の主な理由である。例えば、Langer,R.Nature 392、5〜10(1998);およびDuncan,R.Nature Rev.Drug Discov.2、347〜360(2003)を参照されたい。
理想的には、治療剤または造影剤などの活性剤は、脈管構造を通って移動し、十分な濃度で意図された標的に到達し、次いで望まれない副作用を引き起こすことなく、患部細胞および患部組織のみに選択的に作用するべきである。残念ながら、現在の最良の療法でさえ、この理想的な挙動に到達することに大きく失敗している。
「ナノベクター(nanovector)」としても知られている、ナノスケールおよびマイクロスケール薬物送達システムは、健康に有害な副作用を低減しながら、治療についての治療指数を最適化する、すなわち効力を最大にするという課題に対する解決策を提供するための有望な候補である。この目標に向けた比較的小さな量の進歩でさえ、医学の多数の分野にわたって実質的な利益を歴史的に生じさせている。例えば、腫瘍学のサブフィールドから、感染症の治療ほどのかけ離れた分野への転用可能性は、その進歩が根底の技術基盤において1つの共通点を有していたという事実によって可能にされる。例えばリポソームは、カポジ肉腫の治療用に10年を超える前に健康管理の結実に到る最初のナノベクター療法であるが、乳癌および卵巣癌、ならびに真菌感染の治療においても進展をもたらした。
現在、数千でなくとも、数百の異なるナノベクター技術基盤が、リポソームに加わっており、それぞれは、異なる性質、長所、および短所を有する。様々なナノベクター基盤として、ポリマーベースの基盤、デンドリマー、金ナノシェル、半導体ナノ結晶、フラーレン、生物学的に誘導されたナノコンストラクト、シリコンおよびシリカベースのナノシステム、ならびに超常磁性ナノ粒子が挙げられ、文献に記載されている49〜75
ある特定の実施形態では、マイクロ粒子またはナノ粒子であり、(i)本体、(ii)少なくとも1つの表面、および(iii)本体内部に少なくとも1つの貯蔵部を有する少なくとも1種の第1段階粒子であって、この貯蔵部が、少なくとも1種の活性剤を含む少なくとも1種の第2段階粒子を含有する第1段階粒子を含む組成物が提供される。
ある特定の実施形態では、マイクロ粒子またはナノ粒子であり、(i)本体、(ii)少なくとも1つの表面、および(iii)本体内部に少なくとも1つの貯蔵部を有する少なくとも1種の第1段階粒子であって、この貯蔵部が、少なくとも1種の活性剤を含む少なくとも1種の第2段階粒子を含有する第1段階粒子を含む組成物を対象に投与するステップを含む方法が提供される。
さらに別の実施形態では、(A)マイクロ粒子またはナノ粒子であり、(i)本体、(ii)少なくとも1つの表面、および(iii)本体内部に少なくとも1つの貯蔵部を有する、少なくとも1種の第1段階粒子を提供するステップと、(B)少なくとも1種の第2段階粒子を提供するステップと、(C)この少なくとも1種の第2段階粒子を、第1段階粒子の貯蔵部内部に装填するステップとを含む、多段階送達システムを作製する方法が提供される。これらおよび他の実施形態、特徴、および利点は、以下の説明および図面を参照して明らかとなろう。
本発明の実施形態による多段階送達ビヒクルを例示する図である。第1段階粒子は、第2段階粒子を内部に含有する。第2段階粒子は、治療剤または造影剤などの、少なくとも1種の活性剤を含むことができる。第1段階粒子は、追加の作用剤、例えば、透過エンハンサー、または造影剤もしくは治療剤であってもよい、追加の活性剤なども内部に含有する。場合により、第2段階粒子は、第3段階粒子を含有する。標的化部分、例えば、第1段階粒子表面に結合した抗体、アプタマーまたはリガンドなどは、選択された身体部位で局在化を促進する。 実施形態により、血管内に投与される多段階送達ビヒクルの作用の原理を例示する図である。第1段階粒子は、標的の脈管構造の位置で局在化する。局在化すると、この粒子は、脈管構造中に開窓を生成する透過エンハンサーを放出する。第2段階部分は、抗体などの標的化部分を担持する。第2段階粒子は、開窓を通じて浸透し、抗体を使用して、表面マーカー抗原を担持する特定の細胞を標的にすることができる。 実施形態により、血管内に投与される多段階送達ビヒクルの作用の原理を例示する図である。第1段階粒子は、標的の脈管構造の位置で局在化する。局在化すると、この粒子は、脈管構造中に開窓を生成する透過エンハンサーを放出する。第2段階部分は、抗体などの標的化部分を担持する。第2段階粒子は、開窓を通じて浸透し、抗体を使用して、表面マーカー抗原を担持する特定の細胞を標的にすることができる。 パネルAは、APTES修飾「粗孔」LPおよび「細孔」ナノ多孔質シリコン第1段階粒子中の、アミノおよびカルボキシ修飾量子ドット(q−ドット)の時間依存性を示すグラフである。パネルBは、第2段階PEG−FITC−SWNTナノ粒子濃度の、ナノ多孔質シリコン第1段階粒子中へのその装填への効果を示すグラフである。パネルAおよびBにおいて、Y軸は平均蛍光量を示す。 パネルA〜Dは、ナノ多孔質シリコン第1段階粒子中への第2段階ナノ粒子の装填の時間ダイナミクスを示すグラフである。パネルAは、「粗孔」(LP)酸化シリコン第1段階粒子についてであり、パネルBは、LP APTES修飾シリコン第1段階粒子についてであり、パネルCは、「細孔」(SP)酸化シリコン第1段階粒子についてであり、パネルDは、SP APTES修飾シリコン第1段階粒子についてである。パネルA〜Dにおいて、Y軸は平均蛍光量を示す。 LP酸化ナノ多孔質シリコン第1段階粒子(パネルA)およびLP APTES修飾ナノ多孔質シリコン第1段階粒子(パネルB)からの、第2段階ナノ粒子の放出の時間ダイナミクスを示すグラフである。パネルAおよびパネルBにおいて、Y軸は放出されたペイロード(%)を示す。 パネルAは、カルボキシ修飾量子ドットおよびFITC結合単一壁カーボンナノチューブ(SWNT)の装填の濃度効果を示すグラフである。パネルAのY軸は平均蛍光(%)を示す。パネルBは、フルオレッセインイソチオシアネート(FITC)結合単一壁カーボンナノチューブ(SWNT)の蛍光消光を示すグラフである。 第2段階粒子をナノ多孔質シリコン粒子中に装填するための化学的条件の最適化に関するグラフである。ナノ多孔質シリコン粒子を、漸増濃度のTRISの存在下で、第2段階ナノ粒子(図6BのパネルCおよびパネルDにおいてQ−ドット;パネルEおよびパネルFにおいてPEG−FITC−SWNT)と混合した。高濃度のTRISにより、第1段階シリコン粒子中に装填されるQ−ドットの量を増加させることが助長された(パネルCおよびパネルD)。一方、PEG−FITC−SWNTの装填効率は、20MmのTRISでそのピークに到達し、次いでより高いTRIS濃度で減少した(パネルEおよびパネルF)。パネルB〜FのY軸は平均蛍光量を示す。 それぞれSWNT第2段階粒子に結合されたFITCの、LPナノ多孔質シリコン第1段階粒子中への装填および放出についてのデータを示すグラフである。パネルAは、装填カラムを示し、洗浄の前にFITC−SWNT溶液に暴露した後の、ナノ多孔質シリコン第1段階粒子中に最初に装填されたFITC−SWNTの量に相当する。パネルA中の洗浄カラムは、第1段階粒子を洗浄した後のFITC−SWNTの量に相当する。第1段階粒子中のFITC−SWNTの実際の装填量は、洗浄後に第1段階粒子中に保持されたFITC−SWNTの量、すなわち、装填カラムと洗浄カラムのそれぞれの値の間の差である。パネルBは、時間に対する、第1段階粒子からのFITC−SWNTの放出についてのデータを示す。時間とともに第1段階粒子から放出されたFITC−SWNTの全量、すなわち、パネルB中のすべてのカラムの合計は、パネルA中のそれぞれの装填および洗浄カラムの間の差に実施的に対応する。パネルAおよびBのY軸はFITC−SWNTの量(ng)を示す。 ナノ多孔質シリコン第1段階粒子中への、脂質ベース第2段階粒子の装填についてのデータを示す図である。図8Aにおいて、パネルA〜Cは、1ミクロンのナノ多孔質シリコン第1段階粒子中に装填された陽イオン性および中性リポソームについてのデータを示す。パネルAは、中性リポソーム(左)および陽イオン性リポソーム(右)の共焦点顕微鏡像を示す。パネルBおよびCは、それぞれ、1ミクロンのナノ多孔質シリコン第1段階粒子中への、中性および陽イオン性リポソームの装填のFACS分析およびExcel定量化を示す。パネルBのY軸は粒子数を示し、パネルCのY軸は緑色蛍光量(対数値)を示す。 ナノ多孔質シリコン第1段階粒子中への、脂質ベース第2段階粒子の装填についてのデータを示す図である。図8Bにおいて、パネルDは、3.5ミクロンのナノ多孔質酸化シリコン第1段階粒子中に、Alexa555標識SiRNAを含有するリポソームを装填する時間ダイナミクスを示す。パネルDのY軸は平均蛍光量を示す。パネルEおよびパネルFは、3.5ミクロンのナノ多孔質酸化シリコン第1段階粒子中のAlexa555標識SiRNAを含有するリポソームに関連する蛍光を可視化する蛍光顕微鏡像を示す。 パネルA〜Dは、「粗孔」(LP)ナノ多孔質シリコン第1段階粒子の走査電子顕微鏡(SEM)像を示す図である。 パネルA〜Dは、「細孔」(SP)ナノ多孔質シリコン第1段階粒子の走査電子顕微鏡(SEM)像を示す図である。 パネルA〜Dは、Z2Coulter(登録商標)粒子計数器を使用して測定した、ナノ多孔質シリコン粒子の分解を示すグラフである。パネルAおよびBのY軸は、粒子の数を示す。パネルCおよびDのY軸は、粒子の体積を示す。 誘導結合プラズマ原子発光分析を使用して測定した、ナノ多孔質シリコン粒子の分解を示すグラフである。図12AのパネルAは、LP酸化シリコン粒子についてであり、パネルBは、SP酸化シリコン粒子についてである。図12A〜12BのY軸は、シリコンの濃度(ng/mL)を示す。 誘導結合プラズマ原子発光分析を使用して測定した、ナノ多孔質シリコン粒子の分解を示すグラフである。図12BのパネルCは、LP APTES修飾シリコン粒子についてである。パネルDは、SP APTES修飾シリコン粒子についてである。図12A〜12BのY軸は、シリコンの濃度(ng/mL)を示す。 選択したナノ多孔質シリコン粒子およびヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)の明視野顕微鏡像を示すことによって、ナノ多孔質シリコン第1段階粒子の生体適合性を示す図である。特に、パネルAは、細孔酸化シリコンナノ粒子についての像を示し、パネルBは、細孔APTES修飾シリコンナノ粒子についての像を示し、パネルCは、粗孔酸化シリコンナノ粒子についての像を示し、パネルDは、粗孔APTES修飾シリコンナノ粒子についての像を示す。パネルA〜Dのそれぞれにおいて、左から右に、第1の像は0日目(粒子を添加して2時間後)であり、第2の像は1日目であり、第3の像は2日目であり、第4の像は3日目である。 ナノ多孔質シリコンナノ粒子と共にインキュベートしたHUVEC細胞への乳酸脱水素酵素(LDH)毒性アッセイについてのデータを示すことによって、ナノ多孔質シリコン粒子の生体適合性を示すグラフである。パネルA〜FのY軸は、490nmでの吸光度を示す。 ナノ多孔質シリコンナノ粒子と共にインキュベートしたHUVEC細胞への乳酸脱水素酵素(LDH)毒性アッセイについてのデータを示すことによって、ナノ多孔質シリコン粒子の生体適合性を示すグラフである。パネルA〜FのY軸は、490nmでの吸光度を示す。 ナノ多孔質シリコンナノ粒子と共にインキュベートしたHUVEC細胞へのMTT増殖アッセイについてのデータを示すグラフである。図15AのパネルA〜BのY軸は、570nmでの吸光度を示す。 ナノ多孔質シリコンナノ粒子と共にインキュベートしたHUVEC細胞へのMTT増殖アッセイについてのデータを示すグラフである。図15BのパネルC〜FのY軸は、570nmでの吸光度を示す。 パネルA〜Cは、ナノ多孔質シリコン粒子と共にインキュベートし、そのサイズおよび形状を分析したHUVEC細胞のFACS 3次元プロファイルを示す図である。 細胞周期を研究するために、ナノ多孔質シリコン第1段階粒子と共にインキュベートし、ヨウ化プロピジウムで染色したHUVEC細胞のFACS 3次元プロファイルを示す図である。 細胞周期を研究するために、ナノ多孔質シリコン第1段階粒子と共にインキュベートし、ヨウ化プロピジウムで染色したHUVEC細胞のFACS 3次元プロファイルを示す図である。 細胞周期を研究するために、ナノ多孔質シリコン第1段階粒子と共にインキュベートし、ヨウ化プロピジウムで染色したHUVEC細胞のFACS 3次元プロファイルを示す図である。 細胞周期を研究するために、ナノ多孔質シリコン第1段階粒子と共にインキュベートし、ヨウ化プロピジウムで染色したHUVEC細胞のFACS 3次元プロファイルを示す図である。 ナノ多孔質シリコン第1段階粒子に暴露された細胞の細胞周期の異なる位相の統計分析を示すグラフである。図18AのパネルA〜CのY軸は、全細胞集団の%を示す。 ナノ多孔質シリコン第1段階粒子に暴露された細胞の細胞周期の異なる位相の統計分析を示すグラフである。図18BのパネルD〜GのY軸は、全細胞集団の%を示す。 ナノ多孔質シリコン第1段階粒子に暴露された細胞の細胞周期の異なる位相の統計分析を示すグラフである。図18CのパネルH〜KのY軸は、全細胞集団の%を示す。 パネルaおよびbは、多孔質シリコン粒子のSEM像を示す図である。「粗孔」(LP、図19a)および「細孔」(SP,パネルb)の粒子像であり、(左から右に)裏面、前面、断面、裏面上の孔および断面内の孔のさらなる近接視野を示している。LPおよびSP粒子のサイズおよび形状は同じであるが、孔のサイズおよび構造は著しく異なる。 ナノ多孔質シリコン粒子中への、蛍光標識Q−ドットおよびPEG−FITC−SWNTの装填のフローサイトメトリーおよび蛍光顕微鏡観察の結果を示す図である。装填溶液中のナノ粒子量の増加により、フローサイトメトリー(パネルAおよびB)によって測定される、シリコン粒子の平均蛍光量が増加する(◆LP APTES+カルボキシルQ−ドット ●LP酸化+アミノQ−ドット ■SP APTES+カルボキシルQ−ドット ▲SP酸化+アミノQ−ドット)。蛍光顕微鏡観察(パネルCおよびD)により、使用されるナノ粒子の量がより少ない場合、第1段階粒子に関連する蛍光は、より弱いことが確認された。パネルAおよびBのY軸は、平均蛍光量を示す。 ナノ多孔質シリコン第1段階粒子中の第2段階粒子の時間依存性の装填および放出を示すグラフである。4つの異なる種類のナノ多孔質シリコン第1段階粒子(LP酸化(パネルa)、LP APTES(パネルb)、SP酸化(パネルc)、およびSP APTES(パネルd))に、異なる第2段階ナノ粒子(●カルボキシルq−ドット、■アミノq−ドット、▲PEG−FITC−SWNT)を装填し、その蛍光をフローサイトメトリーによって測定した。パネルe〜hのヒストグラムは、時間の経過とともに、第1段階シリコン粒子から放出された第2段階粒子のパーセンテージを表す。 シリコン粒子の裏面の非常に多孔質な領域における、Q−ドットの集中した装填を示す共焦点顕微鏡像を示す図である。パネルaは、様々な視点を表示すために回転した1個の多孔質シリコン粒子を示す、一連の3次元投影で復元した共焦点顕微鏡像を示す。パネルbは、パネルaに示したような粒子の回転を例示する、コンピューターで作製した3次元モデルを示す。 ナノ多孔質シリコン第1段階粒子中のQ−ドットおよびPEG−FITC−SWNT第2段階粒子の同時の装填および放出を例示する図である。LP APTES粒子のバックグラウンド緑色および赤色蛍光(未装填;それぞれ図23AのパネルAおよびパネルB)ならびにPEG−FITC−SWNT(+SWNT)、Q−ドット(+Q−ドット)および両方(+Q−ドット+SWNT)と共にインキュベートした後の蛍光シグナルのシフトを示すフローサイトメトリー分析。フローサイトメトリー分析により、PEG−FITC−SWNTは、急速に装填され、安定化し、一方、Q−ドットは、徐々に装填された後にプラトーに到達することが示される。図23BのパネルCを参照されたい。Q−ドットおよびPEG−FITC−SWNTの放出プロファイルは両方とも、別の種類のナノ粒子の存在によって変化せず、両方とも時間とともに持続される。図23BのパネルD。共焦点顕微鏡像により、1個の多孔質シリコン粒子中のQ−ドット(赤色)およびPEG−FITC−SWNT(緑色)の局在化が示される。図23CのパネルE、パネルFおよびパネルGは、それぞれ、明視野、緑色および赤色蛍光を示し、パネルhは、3つのチャネルの重ね合わせを示すことを示す。黄色の表示により、緑色および赤色蛍光シグナルの共局在化が示された。図23BのパネルDのY軸は、平均蛍光量を示し、パネルDのY軸は、放出されたペイロードを示す。 ナノ多孔質シリコン第1段階粒子中のQ−ドットおよびPEG−FITC−SWNT第2段階粒子の同時の装填および放出を例示する図である。LP APTES粒子のバックグラウンド緑色および赤色蛍光(未装填;それぞれ図23AのパネルAおよびパネルB)ならびにPEG−FITC−SWNT(+SWNT)、Q−ドット(+Q−ドット)および両方(+Q−ドット+SWNT)と共にインキュベートした後の蛍光シグナルのシフトを示すフローサイトメトリー分析。フローサイトメトリー分析により、PEG−FITC−SWNTは、急速に装填され、安定化し、一方、Q−ドットは、徐々に装填された後にプラトーに到達することが示される。図23BのパネルCを参照されたい。Q−ドットおよびPEG−FITC−SWNTの放出プロファイルは両方とも、別の種類のナノ粒子の存在によって変化せず、両方とも時間とともに持続される。図23BのパネルD。共焦点顕微鏡像により、1個の多孔質シリコン粒子中のQ−ドット(赤色)およびPEG−FITC−SWNT(緑色)の局在化が示される。図23CのパネルE、パネルFおよびパネルGは、それぞれ、明視野、緑色および赤色蛍光を示し、パネルhは、3つのチャネルの重ね合わせを示すことを示す。黄色の表示により、緑色および赤色蛍光シグナルの共局在化が示された。図23BのパネルDのY軸は、平均蛍光量を示し、パネルDのY軸は、放出されたペイロードを示す。 ナノ多孔質シリコン第1段階粒子中のQ−ドットおよびPEG−FITC−SWNT第2段階粒子の同時の装填および放出を例示する図である。LP APTES粒子のバックグラウンド緑色および赤色蛍光(未装填;それぞれ図23AのパネルAおよびパネルB)ならびにPEG−FITC−SWNT(+SWNT)、Q−ドット(+Q−ドット)および両方(+Q−ドット+SWNT)と共にインキュベートした後の蛍光シグナルのシフトを示すフローサイトメトリー分析。フローサイトメトリー分析により、PEG−FITC−SWNTは、急速に装填され、安定化し、一方、Q−ドットは、徐々に装填された後にプラトーに到達することが示される。図23BのパネルCを参照されたい。Q−ドットおよびPEG−FITC−SWNTの放出プロファイルは両方とも、別の種類のナノ粒子の存在によって変化せず、両方とも時間とともに持続される。図23BのパネルD。共焦点顕微鏡像により、1個の多孔質シリコン粒子中のQ−ドット(赤色)およびPEG−FITC−SWNT(緑色)の局在化が示される。図23CのパネルE、パネルFおよびパネルGは、それぞれ、明視野、緑色および赤色蛍光を示し、パネルhは、3つのチャネルの重ね合わせを示すことを示す。黄色の表示により、緑色および赤色蛍光シグナルの共局在化が示された。図23BのパネルDのY軸は、平均蛍光量を示し、パネルDのY軸は、放出されたペイロードを示す。 パネルa〜mは、第2段階粒子を装填したナノ多孔質シリコン粒子を、HUVEC細胞を用いて、37Cで1時間インキュベートすることに関係する、蛍光分光像を示す図である。図24のパネルa〜dでは、第2段階粒子はQ−ドットであり、パネルe〜hでは、第2段階粒子はPEG−FITC−SWNTであり、パネルj〜mでは、第2段階粒子は、Q−ドットとPEG−FITC−SWNTである。図24のパネルd、hおよびmは、粒子の形態の詳細を示す明視野像である。 パネルA〜Cは、第1段階シリコン担体中の第2段階ナノ粒子の装填および放出に関与する、3つの主要な物理的、化学的および静電気的機構を表すコンピュータモデルを示す図である。(パネルA)サイズ依存性:孔のサイズにより、シリコン粒子中に装填されるのが好ましいナノ粒子の種類が決定される。(パネルB)適用量依存性:装填溶液中のより多い数のナノ粒子により、孔中に装填される粒子の数が増加する。(パネルB)電荷依存性:適合性に帯電したナノ粒子は、孔中に引きつけられることになるが、不適合な電荷は、ナノ粒子にある程度反発することになり、したがってナノ粒子が孔に入ることを妨げる。 パネルA〜Bは、ナノ多孔質シリコン第1段階粒子中に装填された、SiRNAを含有するリポソームについてのデータを示すグラフである。パネルA:Alexa555蛍光標識siRNAをナノリポソーム中に被包し、第1段階ナノベクター中に装填した。データは、多孔質シリコン担体に関連する蛍光は、ナノリポソームの量とともに増加したことを示す。パネルAにおいて、Y軸は平均蛍光量を示す。図26のパネルBは、第1段階ナノ多孔質シリコン粒子から放出されるリポソームの相対量を示すグラフを示す。Y軸は、放出されたリポソームの全量の%を示す。第1段階担体からのナノリポソームの放出を試験するために、集合多段階粒子を、10%のウシ胎児血清(pH7.4)と共にインキュベートし、第1段階粒子からのナノリポソームの放出を、蛍光定量法を使用して時間とともに追跡した。完全な除去は、約36時間で達成された。 量子ドットおよびPEG−FITC−SWNTを装填するための物理的条件の最適化を示すグラフである。パネルaおよびパネルbのY軸は、平均蛍光量を示す。多孔質シリコン粒子は、デシケーター中で一晩乾燥させ、次いで第2段階ナノ粒子を含有する装填溶液と混合した。乾燥状態での装填効率は、湿潤環境での装填効率と有意に異なっていなかった(p値>0.5)。
定義
別段の指定のない限り、「a」または「an」は、1つまたは複数を意味する。
「標的身体部位の生化学的環境」は、粒子内容物の放出を開始し、促進するのに有効な、標的部位での1つまたは複数の固有の生理的条件、例えば、pH、塩濃度、温度、または標的特異的部分の存在などを指す。
「生分解性」は、生理的媒質中で溶解もしくは分解することのできる材料、または生理的酵素および/もしくは化学的条件によって生理的条件下で分解することのできる生体適合性ポリマー材料を指す。
「粘膜付着性」は、粒子の、小腸および大腸内の表面全体を裏打ちする粘膜層に付着する能力を指す。付着性は、ムチンまたは腸上皮細胞表面中に存在する化学受容体に結合する、粒子の表面にグラフトされたリガンドによって媒介される。
「標的化部分」は、粒子による特定の部位の標的化を促進することのできる任意の要素である。例えば、標的化部分は、化学的標的化部分、物理的標的化部分、幾何学的標的化部分、またはその組合せとすることができる。化学的標的化部分は、粒子表面上の化学基または分子とすることができる。物理的標的化部分は、粒子の特定の物理的性質、例えば、そのような表面または疎水性などとすることができる。幾何学的標的化部分には、粒子のサイズおよび形状が含まれる。
「マイクロ粒子」は、1ミクロンから1000ミクロン、または1ミクロンから100ミクロンの特有の最大サイズを有する粒子を意味する。「ナノ粒子」は、1ミクロン未満の特有の最大サイズを有する粒子を意味する。
「生体適合性」は、生細胞に暴露された場合、細胞中の望まれない作用、例えば、細胞の生存周期の変化、細胞の増殖速度の変化、および細胞毒性作用などを引き起こすことなく、細胞の適切な細胞活性を補助する材料を指す。
詳細な説明
本発明の実施形態では、後段階の粒子(より小さいサイズの粒子)が前段階の粒子(より大きい粒子)中に含まれているような、2つ以上の段階の粒子を含む組成物により、血液系を有する任意の動物とすることのできる対象(例えば、対象は、ヒトを含めた哺乳動物などの温血動物とすることができる)において、疾患などの生理的状態を治療、予防および/画像化するために1つまたは複数の利点が潜在的に提供されることになる。そのような多段階組成物の実施形態により、以下の特徴または利点のうちの1つまたは複数が提供される。(1)治療剤または造影剤などの活性剤は、対象の身体の特定の標的部位に優先的に送達され、かつ/または局在化する。優先的な送達および/または局在化は、標的部位に送達される、かつ/または標的部位で局在化する活性剤の量または濃度が、対象の身体中の他の部位に送達される、かつ/またはこの他の部位で局在化する活性剤の量または濃度よりも高いことを意味する。(2)多段階組成物により、対象の身体中の多数の生物学的バリアーが連続的に克服される。および(3)多段階組成物により、多数の活性剤の、同じまたは異なる標的部位での同時の送達および局在化が可能になる。
生物学的バリアー
投与後、従来法またはナノベクターで製剤化された、治療剤または造影剤などの活性剤は、作用剤の、所望の濃度で意図された標的に到達する能力に不利に影響する、多種多様な生物学的バリアーに遭遇する。生物学的バリアーには、例えば、タイトジャンクションに基づき、活性剤のパラ型細胞輸送(para-celluar transport)を妨害または制限する、上皮バリアーまたは内皮バリアー、例えば、血液脳関門または腸管腔内皮などである場合がある。内皮/上皮バリアーのそれぞれには、分子識別を1種または複数種の閉鎖帯タンパク質のおかげとするタイトジャンクションバリアーなどの複数の連続したサブバリアー(subbarrier)、および血管内皮基底膜もしくは腸内皮の粘膜層などの1種または複数種の追加の生体膜が含まれる。細網内皮系の細胞も、ナノ粒子内部に被包された活性剤に対して生物学的バリアーとして作用する場合があるが、これはそのような細胞が、ナノ粒子を隔離する/取り込むためである。生物学的バリアーは、活性剤が通過しなければならない細胞中の細胞膜または核膜によって代表され得る。
多段階送達ビヒクル
生物学的バリアーは連続的であるので、そのようなバリアーの克服または迂回も連続的でなければならない。したがって、実施形態では、多段階で作用する送達ビヒクルが開発された。ビヒクルの各段階は、別々の意図される機能を有する粒子によって画定され、この機能は、別の段階の粒子の意図される機能と異なっていてもよい。例えば、一段階の粒子は、別の段階の粒子によって標的にされる部位と異なっていてもよい、特定の身体部位を標的とし、こうして、別の段階の粒子によって克服または迂回される生物学的バリアーと異なる、特定の生物学的バリアーを克服または迂回するように設計される。それぞれの引き続く段階の粒子は、直前の段階の粒子内部に含まれている。任意の特定の段階の粒子は、この特定の段階で使用するために意図された、治療剤または造影剤などの活性剤を含有することができる。
好ましい実施形態では、最終段階の粒子は、ナノ粒子として製剤化された活性剤であり、あるいは、最終段階の粒子は、内部に活性剤を含有するが、任意の前段階の粒子は、それ自体活性剤を含んでいても、含んでいなくてもよい。いくつかの実施形態では、特定の身体部位を標的にすることに加えて、各段階の粒子は、その内容物の標的放出を実施することができるように設計される。実施形態では、多段階送達ビヒクル中の段階の数および種類は、活性剤についての投与経路および意図された最終標的を含めた、いくつかのパラメーターに依存する。多段階送達ビヒクルの実施形態を図1に例示する。
第1段階粒子
いくつかの実施形態では、第1段階の粒子は、マイクロ粒子またはナノ粒子である。いくつかの実施形態では、第1段階粒子は、少なくとも500ミクロンまたは少なくとも1mmの特有のサイズを有する。そのような粒子は、少なくとも1種のマイクロ粒子またはナノ粒子を内部に含有するように構成することができ、この粒子はさらには、より小さいサイズの少なくとも1種の粒子を内部に含有することができる。第1段階粒子は、より小さいサイズの粒子を内部に含有することができる、任意の粒子である。
いくつかの実施形態では、第1段階粒子は、トップダウン加工された粒子、すなわち、トップダウンマイクロ加工またはナノ加工法、例えば、フォトリソグラフィー、電子ビームリソグラフィー、X線リソグラフィー、深紫外線リソグラフィーまたはナノプリントリソグラフィーなどによって調製される粒子である。トップダウン加工法を使用することの強力な利点は、そのような方法により、寸法が均一な粒子の大規模な製造が提供されることである。
第1段階の粒子は、以下の生物学的バリアー、すなわち、ヘモレオロジー(hemo-rheology)バリアー、細網内皮系バリアー、内皮バリアー、血液脳関門、腫瘍関連浸透圧性間質圧(osmotic interstitial pressure)バリアー、イオンおよび分子ポンプバリアー、細胞膜バリアー、酵素分解バリアー、核膜バリアー、またはその組合せのうちの少なくとも1つを克服するように構成することができる。
第1段階粒子は、粒子のサイズおよび形状によって画定される本体、およびこの本体内部に1つまたは複数の貯蔵部を有することができる。1つまたは複数の第2段階粒子を、この貯蔵部内部に入れることができる。
第1段階粒子の本体は、任意の適切な材料を含む。第1段階粒子の本体の材料は、生体適合性であることが好ましい。いくつかの実施形態では、第1段階粒子の本体は、酸化物材料、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、もしくは酸化鉄など;シリコンなどの半導体材料;ポリマーもしくはポリマー酸化物材料;またはセラミック材料を含む。いくつかの実施形態では、第1段階粒子の本体は、例えば、ナノ多孔質シリコンなどの生分解性材料を含む。生分解性材料は、ケイ酸などの生理的媒質に暴露されると分解するようなものとすることができる。
いくつかの実施形態では、第1段階粒子の本体の材料は、本体の異なる領域において実質的に同じである。第1段階粒子の形状は、投与経路に依存し得る。例えば、形状は、第1段階粒子と標的部位の表面、例えば、血管内投与のための内皮表面、または経口投与のための腸管上皮などとの間の接触を最大にするように構成することができる。したがって、経口および血管内投与については、第1段階粒子は、粒子と内皮表面との間の接触を最大にするように構成された、選択された非球形状を有することができる。適切な形状の例には、それだけに限らないが、偏球または円盤が含まれる。経肺投与、すなわち、対象の肺への投与については、第1段階粒子は、粒子と肺中の上皮組織の1つとの間の接触を最大にするように構成された、選択された非球形状を有することもできる。
経肺投与、すなわち、対象の肺を通じた粒子の通過を伴う投与経路については、第1段階粒子は、針状形状も有することができ、これは、必ずしも血液循環を通じてではなく、肺から身体組織中への粒子の侵入を促進することができる。
トップダウン加工により、50nmから最大数ミリメートルまでの広い範囲のサイズを有する粒子を製造することが可能になるが、ある特定の投与経路については、特定の粒径が好ましい場合がある。例えば、血管内投与については、粒子の特有の最大サイズ、例えば、円盤形状の粒子についての直径は、最小の毛細血管の半径よりも十分に小さいことが好ましい。ヒトでは、そのような半径は約4から5ミクロンである。したがって、粒子の特有の最大サイズは、いくつかの実施形態では、約3ミクロン未満、約2ミクロン未満、または約1ミクロン未満である。
実施形態では、第1段階粒子の特有の最大サイズは、500nmから3ミクロン、または700nmから2ミクロンである。さらに、腫瘍の用途における血管内投与についてのいくつかの実施形態では、第1段階粒子の特有の最大サイズは、この第1段階粒子が、血管の癌内皮中の開窓を貫通することなく、標的とした脈管構造部位で局在化することができるようなものである。そのような用途では、第1段階粒子の特有の最大サイズは、約100nm超、または約150nm超、または約200nm超である。
さらに、血管内投与についてのいくつかの実施形態では、第1段階粒子のサイズは、この粒子が開窓を貫通することができるようなものである。したがって、そのような用途における特有の最大サイズは、約200nm未満、または約150nm未満、または約200nm未満であることが好ましい。いくつかの実施形態では、第1段階粒子のサイズを選択することができ、これは、Paolo DecuzziおよびMauro Ferrariへの、2006年9月27日に出願された、PCT特許出願第PCT/US2006/038916号「Methods and Compositions for Targeting Fenestrated Vasculature」に詳述されているように、有窓脈管構造を標的にするための、通常の非有窓脈管構造の臨界半径であるように選択される。
経口投与については、約2ミクロン超、または約5ミクロン超、または約10ミクロン超の特有の最大サイズを有する第1段階粒子を使用することが好ましい場合がある。経口投与のためにそのようなサイズの第1段階粒子を使用することの一利点は、そのような粒子は、大きすぎて腸上皮細胞によってエンドサイトーシスできないことである。腸上皮細胞によるエンドサイトーシスは、以下のような少なくとも2つの潜在的な不利点を有する。1)第1段階粒子の内容物は、所望の標的に到達する前に、内皮細胞によって処理されるので、不活性化される場合がある。2)特定の担体、例えば、粒子の材料の潜在的な毒性は、消化管を通じて除かれる場合よりも、エンドサイトーシスされる場合のほうが大きな懸念となる。
いくつかの実施形態では、経口投与については、第1段階粒子は、500ミクロンから数センチメートル、または1mmから2cmの範囲のサイズを有する。
経肺投与については、標的部位が、肺の気道に位置している場合、第1段階粒子の特有の最大サイズは、約20ミクロン未満であるが、約5ミクロン超であることが好ましい。肺胞中の部位を標的にする場合、特有の最大部位は、約5ミクロン未満とすることができる。
いくつかの実施形態では、皮下投与については、第1段階粒子の特有のサイズは、50ミクロンから1mm、または100ミクロンから1mmである。
第1段階粒子の機能のうちの1つは、実施形態では、特定の標的部位での局在化である。血管内投与については、そのような標的部位は、特定の脈管構造部位とすることができる。例えば、抗癌用途では、標的脈管構造部位は、腫瘍の脈管構造、例えば、血管新生の脈管構造、組み込まれた(coopted)脈管構造または再正常化された脈管構造などとすることができる。標的部位での第1段階粒子の局在化は、粒子のサイズおよび形状などの幾何学的要因によって促進することができる。
血管内投与については、標的部位での局在化は、第1段階粒子表面上の1つまたは複数の認識因子によっても促進することができる。認識因子は、化学的標的化部分、例えば、デンドリマー、抗体、アプタマーなどとすることができ、これは、標的部位上の特定の受容体を結合する、チオアプタマー(thioaptamer)、リガンドまたは生体分子とすることができる。経口送達については、化学的部分は、米国特許第6,355,270号の表1に記載されているように、1つまたは複数の粘膜付着性リガンドを含むことができる。
標的化の選択性は、粒子表面の化学的部分を変更することによって調整することができる。例えば、組み込まれた脈管構造は、アンジオポエチン2に対する抗体を使用して、特定的に標的にされる。血管新生の脈管構造は、血管内皮成長因子(VEGF)、塩基性線維芽細胞成長因子(FGFb)またはαvβ3インテグリンなどの内皮マーカーに対する抗体を使用して認識され、一方、再正常化された脈管構造は、癌胎児抗原関連細胞接着分子1(CEACAM1)、エンドセリン−B受容体(ET−B)、血管内皮成長因子阻害剤グラビン(gravin)/AKAP12、プロテインキナーゼAおよびプロテインキナーゼCの足場形成(scallofldoing)タンパク質を使用して認識される。例えば、Robert S.Korbel「Antiangiogenic Therapy:A Universal Chemosensitization Strategy for Cancer?」、Science 2006年5月26日、312巻、5777号、1171〜1175を参照されたい。
非循環脈管構造細胞に標的化するために、第1段階粒子と標的脈管構造部位の分子マーカーとの間の結合は、血流によって及ぼされる抵抗力を克服するために、十分強くするべきである。この目的は、特異的結合のための比較的大きな平面表面積および毛細血管の血流空間における比較的薄い外形を有することによって、すなわち、偏球または円盤などの選択された非球形状の粒子を有することによって満たすことができる。
認識因子は、表面電荷などの物理的認識部分とすることもできる。この電荷は、特殊な洗浄などの化学的処理を使用することによって、粒子製造中に導入することができる。例えば、多孔質シリカまたは酸化シリコンの表面を水中に浸漬すると、この表面上に負電荷を獲得することができる。例えば、BehrensおよびGrier、J.Chem.Phys.115(14)、(2001).6716〜6761ページを参照されたい。表面電荷は、粒子表面上の、追加の層またはポリマー鎖などの化学的鎖によっても提供することができる。例えば、ポリエチレングリコール鎖は、表面上の負電荷源となり得る。ポリエチレングリコール鎖は、P.K.Jal、S.Patel、B.K.Mishra、Talanta 62(2004)1005〜1028ページ;S.W.MetzgerおよびM.Natesan、J.Vac.Sci.Technol.A17(5)、(1999)2623〜2628ページ;ならびにM.Zhang、T.A.DesaiおよびM.Ferrari、Biomaterials、19、(1998)、953ページに記載されているように、表面にコーティングする、または共有結合的に結合させることができる。正電荷は、例えば、表面をポリリシンなどの塩基性ポリマーでコーティングすることによって、または表面に3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ含有分子を共有結合的に連結させることによって導入される。
いくつかの実施形態では、選択された標的部位の1つまたは複数の性質に基づく粒子の、サイズおよび形状などの幾何学的要因、ならびに/または化学的修飾および静電気的修飾などの表面修飾を選択するために、モデル化手法が適用される。そのようなモデル化手法は、例えば、1)Paolo DecuzziおよびMauro Ferrariへの、2006年10月11日に出願された、米国仮特許出願第60/829,075号「Particles for Cell Targeting」;2)Paolo DecuzziおよびMauro Ferrariへの、2007年2月26日に出願された、米国仮特許出願第60/891,584号「Endocytotic particle」;3)Decuzzi,P.、Causa,F.、Ferrari,M.&Netti,P.A.The effective dispersion of nanovectors within the tumor microvasculature.Ann Biomed Eng 34、633〜41(2006);4)Decuzzi,P.&Ferrari,M.The adhesive strength of non−spherical particles mediated by specific interactions.Biomaterials 27、5307〜14(2006);5)Decuzzi,P.&Ferrari,M.The role of specific and non−specific interactions in receptor−mediated endocytosis of nanoparticles.Biomaterials 28、2915〜22(2007);6)Decuzzi,P.、Lee,S.、Bhushan,B.&Ferrari,M.A theoretical model for the margination of particles within blood vessels.Ann Biomed Eng 33、179〜90(2005);Decuzzi,P.、Lee、S.、Decuzzi,M.&Ferrari,M.Adhesion of microfabricated particles on vascular endothelium:a parametric analysis.Ann Biomed Eng 32、793〜802(2004)に開示されている。
いくつかの実施形態では、第1段階粒子は、標的部位で、その貯蔵部から第2段階粒子を放出するように構成されている。第2段階粒子の放出は、それだけに限らないが、第1段階粒子の貯蔵部と表面を接続しているチャネルを通じた第2段階粒子の拡散、および第1段階粒子の本体の分解または浸食を含めた、様々な機構によって実施することができる。そのような目的のために、第1段階粒子は、対象に投与されたとき、その標的部位への第1段階粒子の特有の送達時間より長い特有の放出時間を有するように構成されている。
いくつかの実施形態では、第1段階粒子は、対象に投与されたとき、その標的部位への第1段階粒子の特有の送達時間より長い時間にわたって持続される、その貯蔵部からの第2段階の放出を実施するように構成されている。いくつかの実施形態では、第1段階粒子は、少なくとも0.5時間超、または少なくとも1時間超、または少なくとも2時間超、または少なくとも8時間超、または少なくとも15時間超、または30時間超の時間にわたって第2段階粒子を放出するように構成されている。
いくつかの実施形態では、第1段階粒子の物理的局在化および/または標的放出は、標的部位での1つまたは複数の固有の生理的条件、例えば、pH、塩濃度または温度などによって開始される。いくつかの実施形態では、第1段階粒子の物理的局在化および/または標的放出は、外部刺激によって開始される。外部刺激の例として、超音波による活性化などの機械的活性化;可視光、紫外光、近赤外光もしくは赤外光、高周波、またはX線照射による活性化などの電磁活性化;磁気照射が挙げられる。例えば、第1段階粒子は、スマートポリマー、すなわち、特定の刺激、例えば、光、温度またはpHなどに応答して収縮または伸張するポリマーを含むことができる。スマートポリマーは、例えば、「In Situ Activation of Microencapsulated Drugs(MSC−22866)」、NASA Tech Briefs、24巻、9号(2000年9月)、64ページ;「Externally Triggered Microcapsules Release Drugs In Situ(MSC−22939)」、NASA Tech Briefs、(2002年4月)、50ページ;および2000年8月8日にMorrisonおよびMosierに発行された米国特許第6,099,864号に記載されている。場合によっては、放出を活性化するために、1つを超える外部刺激が一緒に使用される。
局在化/標的化効率を増大させるために、第1段階粒子は、多数、すなわち、1つを超える認識/局在化/標的化要因を利用することができ、これは、互いに干渉しないことが好ましい。例えば、第1粒子は、上述したような選択された非球形状を有し、同時にその表面に腫瘍標的化抗体を担持することができる。
いくつかの実施形態では、第1段階粒子表面は、部分的または完全にポリマー鎖でコーティングすることができる。ポリマー鎖は、血管内段階粒子を作製した後に加えることができる。ポリマー鎖は、ポリエチレングリコール(PEG)鎖または合成糖衣鎖などの親水性鎖とすることができ、これは、細網内皮系の細胞による粒子の取り込みを克服し、したがって血管内段階粒子の血液循環を延長するために使用することができる。親水性基は、多段階送達デバイスの溶解度を高めるための役割も果たすことができる。
様々な材料をポリマー鎖で誘導体化することができる。例えば、粒子の表面材料がポリマーを含む場合、ポリマー鎖は、ポリマーのカルボン酸基、およびポリマー鎖中のアミンまたはヒドロキシル基を連結することによって結合することができる。粒子の表面材料が金などの金属を含む場合、ポリマー鎖は、チオールの化学的性質を介して表面に結合することができる。粒子の表面材料が酸化物、例えば、酸化ケイ素、酸化チタンまたは酸化アルミニウムなどを含む場合、ポリマー鎖は、シランの化学的性質を介して結合することができる。
1つまたは複数の第2段階粒子に加えて、第1段階粒子の貯蔵部は、1つまたは複数の追加の作用剤を含有することができる。そのような追加の作用剤として、治療剤もしくは造影剤などの追加の活性剤、標的化剤、1つもしくは複数の透過エンハンサーまたはその任意の組合せを挙げることができる。透過エンハンサーとして、表1に列挙した1つまたは複数の化合物を挙げることができる。
Figure 2010500375
血管内投与については、透過エンハンサーとして、基底膜に対して作用することのできる基底膜透過エンハンサー、および/またはタイトジャンクションタンパク質(TJP)に対して作用することのできる、1つもしくは複数の透過エンハンサーを挙げることができる。基底膜透過エンハンサーの例は、メタロプロテイナーゼ、例えば、コラゲナーゼIV、MMP−2、およびMMP−9などである。抗TJP透過エンハンサーの例は、閉鎖帯トキシンである。抗TJP透過エンハンサーおよびタイトジャンクションの透過性を調節するための方策は、例えば、Gonzalez−Mariscal,L.、Nava,P.およびHernandez,S.J.Membr.Biol.、2005.207(2):55〜68ページに詳述されている。
図2A〜Bは、実施形態により、標的脈管構造部位で第1段階粒子が局在化したときの透過エンハンサーの作用を例示する。第1段階粒子は、透過エンハンサーを放出し、これより標的脈管構造中に1つまたは複数の開窓が生じ、これを通じて第2段階粒子が脈管構造中に貫入する。
いくつかの実施形態では、第1段階粒子は、貯蔵部を表面と流体的に接続している1つまたは複数のチャネルを有し、これは、内皮細胞または上皮細胞と接触することができる。血管内投与については、そのような第1段階粒子は、米国特許出願公開第2003/0114366号および米国特許第6,107,102号に詳述されているものなどのマイクロまたはナノ加工粒子とすることができ、経口投与については、そのような第1段階粒子は、米国特許第6,355,270号に開示されているものなどのマイクロまたは加工粒子とすることができる。
いくつかの実施形態では、貯蔵部およびチャネルは、第1段階粒子の本体中の孔である。そのような場合では、第1段階粒子は、多孔質またはナノ多孔質材料を含むことができる。多孔質またはナノ多孔質の孔は、次段階粒子の所望の装填および所望の放出速度を達成するように制御することができることが好ましい。制御可能な孔径を有するナノ多孔質材料は、酸化物材料、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、または酸化鉄などとすることができる。ゾルゲル粒子としても知られている、ナノ多孔質酸化物粒子の製造は、例えば、Paik J.A.ら J.Mater.Res.、17巻、2002年8月に詳述されている。制御可能な孔径を有するナノ多孔質材料は、ナノ多孔質シリコンとすることもできる。ナノ多孔質シリコン粒子の製造の詳細については、Cohen M.H.ら Biomedical Microdevices 5:3、253〜259、2003を参照されたい。孔の密度、サイズ、形状および/または配向の制御は、非多孔質シリコンからナノ多孔質シリコンを形成する間に、電流およびエッチング時間を変更することによって達成することができる。孔の密度、サイズ、形状および/または配向の制御は、ナノ多孔質シリコンの形成に使用される非多孔質シリコン中のドーピングを変更することによっても達成することができる。こうして、ナノ多孔質の孔径、密度、サイズ、形状および/または配向は、第2段階粒子を効率的に装填するために構成することができる。
いくつかの実施形態では、ナノ多孔質第1段階粒子中の孔径は、例えば、約1nmから約200nm、または約2nmから約100nmとすることができる。場合によっては、ナノ多孔質第1段階粒子中の孔径は、約3から約10nm、または約5から約7nmとすることができる。さらに場合によっては、ナノ多孔質第1段階粒子中の孔径は、約10から約60nm、または約20から約40nmとすることができる。
いくつかの実施形態では、多孔質またはナノ多孔質材料の孔中への第2段階粒子の装填を促進するため、化学的および/または静電気的に修飾することによって、第2段階粒子の化学的および/または静電気的な表面性質に適合させることができる。例えば、負に帯電した第2段階粒子を装填するために、正に帯電した孔表面を使用することが好ましい場合がある。正電荷は、例えば、孔表面上に、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ含有分子を堆積させることによって達成することができる。正に帯電した第2段階粒子を装填するために、負に帯電した孔表面を使用することが好ましい場合がある。負の孔表面電荷は、例えば、孔表面を水で酸化することによって達成することができる。
いくつかの実施形態では、第1段階粒子は、チャネルをまったく有していない。そのような粒子は、例えば、生分解性材料を含むことができる。経口投与については、材料は、消化管中で浸食されるように設計することができる。例として、第1段階粒子は、金属、例えば、鉄、チタン、金、銀、白金、銅、ならびにその合金および酸化物などから形成することができる。生分解性材料は、生分解性ポリマー、例えば、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリアミド、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリホスファゼン、およびポリエステルなどとすることもできる。例示的な生分解性ポリマーは、例えば、米国特許第4,933,185号、同第4,888,176号、および同第5,010,167号に記載されている。そのような生分解性ポリマー材料の具体的な例として、ポリ(乳酸)、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート、ポリ(N−パルミトイル−trans−4−ヒドロキシ−L−プロリンエステル)およびポリ(DTHカーボネート)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、第1段階粒子の本体は、異なる集団の第2段階粒子を含有するように構成された2つ以上の領域を含む。例えば、第1段階粒子の本体は、第1集団の第2段階粒子を含有するように構成された第1領域と、第2集団の第2段階粒子を含有するように構成された第2領域とを有することができる。例えば、多孔質ナノ多孔質材料から形成された第1段階粒子は、その本体が、互いに異なる2つ以上の多孔質領域を有するようなものとすることができる。ナノ多孔質第1段階粒子の本体は、少なくとも1つの性質、例えば、孔密度、孔形状、孔電荷、孔表面の化学的性質、孔配向、またはその任意の組合せなどにおいて互いに異なる、第1多孔質領域と第2多孔質領域を含むことができる。そのような第1および第2領域は、それぞれ第1および第2集団の第2段階粒子を含有するように構成することができる。
いくつかの実施形態では、第1および第2集団の第2段階粒子は、少なくとも1つの性質、例えば、サイズ、形状、表面化学的修飾、表面電荷、またはその組合せが異なる。
いくつかの実施形態では、第1および第2集団の第2段階粒子は、同じ活性剤を含有する。さらに、いくつかの実施形態では、第1および第2集団の第2段階粒子は、それぞれ、互いに異なる第1の活性剤および第2の活性剤を含有する。
第1および第2集団の第2段階粒子は、異なる機能を実施するように構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1および第2集団は、それぞれ、互いに異なる第1および第2の標的部位を標的にするように構成することができる。
いくつかの実施形態では、第1集団は、対象の身体中の特定の部位を標的にするように構成されており、一方、第2集団は、対象の血液系中で自由に循環するように構成されている。
いくつかの実施形態では、第1および第2集団は、対象の身体中の同じ標的部位を標的にするが、その身体部位で異なる機能を実施する。例えば、第1集団は、標的部位に送達される治療剤を含有するが、第2集団は、標的部位を画像化または可視化するために標的部位に送達される造影剤を含有する。
第1段階粒子の本体の第1および第2領域は、そのうちの少なくとも1つが生分解性領域であるようにすることができる。第1段階粒子の本体の第1および第2領域の両方が、生分解性であることが好ましい。
第1段階粒子の本体の第1および第2領域は、第1および第2集団の第2段階粒子の放出に関して、異なる特有の時間を有することができる。いくつかの実施形態では、第1領域から第1集団の第2段階粒子を放出するための特有の時間と第2領域から第2集団の第2段階粒子を放出するための特有の時間の両方は、対象に投与されたとき、その標的部位での第1段階粒子の送達および/または局在化の特性よりも長くすることができる。
いくつかの実施形態では、第1段階粒子は、第1段階粒子の標的部位で存在し得る媒質などの生理的媒質に暴露されているとき、第1領域を含む第1の成分と第2領域を含む第2の成分とに分離するように構成されている。そのような暴露は、例えば、粒子が対象に投与される場合に起こり得る。
いくつかの実施形態では、第1段階粒子の本体の第1および第2領域は、粒子が対象に投与されたとき、異なる機能を実施するように構成されている。例えば、第1段階粒子の本体の第1および第2領域は、それぞれ、互いに異なる第1および第2の生物学的バリアーを克服するように構成することができる。そのような生物学的バリアーは、例えば、ヘモレオロジーバリアー、細網内皮系バリアー、内皮バリアー、血液脳関門、腫瘍関連浸透圧性間質圧バリアー、イオンおよび分子ポンプバリアー、細胞膜バリアー、酵素分解バリアー、核膜バリアー、またはその組合せからそれぞれ選択することができる。
第2段階粒子
第2段階粒子は、第1段階粒子の貯蔵部内部に装着し得る、任意のマイクロ粒子またはナノ粒子とすることができる。例えば、ある特定の実施形態では、経口または経肺投与については、第2段階粒子は、血管内投与のための第1段階粒子と同じである。
第2段階の粒子は、ヘモレオロジーバリアー、細網内皮系バリアー、内皮バリアー、血液脳関門、腫瘍関連浸透圧性間質圧バリアー、イオンおよび分子ポンプバリアー、細胞膜バリアー、酵素分解バリアー、核膜バリアー、またはその組合せから選択される、少なくとも1つのバリアーを克服するように構成することができる。
第2段階粒子の組成、サイズおよび形状は、特に限定されない。例えば、多くの投与経路については、第2段階粒子は、脂質ベースの粒子、例えば、リポソーム、ミセルもしくは脂質で覆われたペルフルオロカーボンエマルジョンなど;エソソーム(ethosome);単一壁カーボンナノチューブなどのカーボンナノチューブ;フラーレンナノ粒子;金属ナノ粒子、例えば、金ナノシェルもしくは三角形銀ナノ粒子など;半導体ナノ粒子、例えば、量子ドットもしくはホウ素ドープシリコンナノワイヤーなど;ポリマーナノ粒子、例えば、生分解性ポリマー製の粒子およびイオンドープポリアクリルアミド粒子など;酸化物ナノ粒子、例えば、酸化鉄粒子、ポリマー被覆酸化鉄ナノ粒子もしくは酸化ケイ素粒子など;ウイルス粒子、例えば、遺伝子操作(engineered)ウイルス粒子もしくは遺伝子操作ウイルス−ポリマー粒子など;結合ポリカチオン(leashed polycation)などのポリイオン粒子;シリカベースセラミックナノ粒子などのセラミック粒子、またはその組合せとすることができる。
いくつかの実施形態では、第2段階粒子は、対象の身体中の特定の標的部位を標的にするように構成されている。そのような標的部位は、第1段階粒子によって標的にされる標的部位と同じであっても、異なっていてもよい。
例えば、第2段階粒子表面は、ある特定の種類の細胞の表面マーカー抗原と結合することのできる1つまたは複数の抗体を有することができる。したがって、第2段階粒子は、そのようなマーカー抗原を担持する細胞を選択的に標的にすることができる。表面マーカー抗原を担持する細胞の例には、幹細胞またはクローン化可能細胞および腫瘍細胞が含まれる。幹細胞またはクローン化可能細胞上の表面マーカー抗原は、CD33抗体によって標的にされ得る。腫瘍特異的抗原に対するいくつかのモノクローナル抗体が入手可能である。例えば、CANCER、3版、De Vitaら編の301〜323ページ;Janewayら Immunology 5版、Garland Press、New York、2001;A.N.Nagappa、D.Mukherjee&K.Anusha「Therapeutic Monoclonal Antibodies」、PharmaBiz.com、2004年9月22日、水曜日を参照されたい。表2は、癌の治療用の、FDAに認可されたモノクローナル抗体を示す。
Figure 2010500375
いくつかの実施形態では、第2段階粒子は、第1段階粒子から放出されると、対象の血液系中で自由に循環するように構成されている。場合によっては、そのような第2段階粒子は、抗体などの標的化部分がない表面を有することができる。自由循環する第2段階粒子は、例えば、第1段階粒子自体に付随する治療剤の治療作用の報告に応じて使用することができる。
いくつかの実施形態では、第2段階粒子表面は、そこに配置される、ポリエチレングリコール(PEG)などの親水性ポリマー鎖を有していない。ある特定の場合では、このことは、多段階送達ビヒクルの利点となり得るが、これは、PEG鎖は、通常、リポソームおよび他のナノ粒子に結合することによって、細網内皮系のマクロファージによる認識および隔離を遅延させるためである。残念ながら、PEG鎖はまた、ナノ粒子表面上の抗体を隠し、したがって、抗体の標的化/局在化の能力を阻害する場合もある。多段階送達ビヒクルでは、第1段階粒子に結合したPEGは、RESマクロファージからの遮蔽を行う場合がある。PEGは、第1段階粒子上の抗体を隠す場合があるが、第1段階粒子の認識/局在化能力は、抗体に限定されない。これは、粒子のサイズおよび形状などの他の要因も、そのような能力に寄与することができるためである。いくつかの実施形態では、第2段階粒子表面は、そこに配置される、PEG鎖などの親水性ポリマー鎖を有する。
いくつかの実施形態では、第2段階粒子表面は修飾されることによって、例えば、第2段階粒子の、第1段階粒子の貯蔵部中に装填される能力が促進される、かつ/または第2段階粒子の、その標的部位に到達する能力が促進される。表面修飾として、第2段階粒子表面の化学的修飾、および/または第2段階粒子表面の静電気的修飾を挙げることができる。例えば、多孔質またはナノ多孔質第1段階粒子中への、第2段階粒子の装填を促進するために、第2段階粒子表面を修飾することによって、その性質が、多孔質またはナノ多孔質第1段階粒子の孔の表面性質と適合するようにすることができる。例えば、多孔質またはナノ多孔質第1段階粒子の孔が正に帯電している場合、第2段階粒子表面を修飾することによって、これらが静電気的に中性であるか、または負の表面電荷を有するようにすることが好ましい場合がある。一方、多孔質またはナノ多孔質第1段階粒子の孔が負に帯電している場合、第2段階粒子表面を修飾することによって、これらが静電気的に中性であるか、または正の表面電荷を有するようにすることが好ましい場合がある。第2段階粒子の化学的および/または静電気的表面修飾は、第1段階粒子に対して上記に詳述したのと同じ方法を使用して実施することができる。
リポソームまたはミセルなどの脂質含有第2段階粒子については、静電気的修飾は、その脂質層に、リポソームの静電気的電荷に影響し得る脂質を取り込むことによって実施することができる。例えば、正に帯電した陽イオン性脂質含有粒子を形成するために、1,2−ジオレイル−3−トリメチルアンモニウムプロパン(DOTAP)などの陽イオン性脂質を使用することができ、負に帯電した陰イオン性脂質含有粒子を形成するために、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)などの陰イオン性脂質を使用することができ、中性脂質含有粒子を形成するために、DOPCなどの中性脂質を使用することができる。
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の標的細胞に結合すると、第2段階粒子は、細胞の細胞質中にその内容物を放出することができる。いくつかの実施形態では、そのような放出は、電磁照射などの外部要因によって活性化される。フラーレンナノ粒子およびカーボンナノチューブについては、そのような照射は高周波照射とすることができ、金シェルナノ粒子については、照射は近赤外照射とすることができる。外部照射によるナノ粒子の活性化は、例えば、Hirsch,L.R.、Halas,N.J.&West,J.L.Anal.Chem.75、2377〜2381(2003);Hirsch,L.R.、Halas,N.J.&West,J.L.Proc.Natl Acad.Sci.USA 100、13549〜13554(2003);およびO’Neal,D.P.、Halas,N.J.&West,J.L.Cancer Lett.209、171〜176(2004)に詳述されている。
いくつかの実施形態では、第2段階粒子の内容物は、それ自体で1つまたは複数の活性剤である。いくつかの実施形態では、第2段階粒子は、第3段階粒子を内部に含有し、これはそれ自体、1つまたは複数の活性剤を内部に含有する。第3段階粒子は、例えば、標的細胞の核膜を通過することができるのに十分小さい粒子とすることができる。したがって、第3段階粒子は、活性剤を細胞の核に送達するために役割を果たすことができ、この活性剤は、核酸に対して作用する作用剤または遺伝子治療剤であってもよい。核膜を通過することができるために、第3段階粒子は、約3nmから約10nmの範囲とすることができる。3nmから10nmのサイズ範囲のナノ粒子を送達する能力は、多段階送達ビヒクルの利点の1つとなり得るが、これは、注射によるそのような粒子の従来の投与では、通常、その即時の球状クリアランス(globular clearance)がもたらされるためである。
いくつかの実施形態では、多段階ビヒクルは第3段階を含む。第3段階は、第2段階粒子内部に装着し得る任意のナノ粒子とすることができる。第2段階粒子と同様に、第3段階粒子は、脂質ベースの粒子、例えば、リポソーム、ミセルもしくは脂質で覆われたペルフルオロカーボンエマルジョンなど;エソソーム;単一壁カーボンナノチューブなどのカーボンナノチューブ;フラーレンナノ粒子;金属ナノ粒子、例えば、金ナノシェルもしくは三角形銀ナノ粒子など;半導体ナノ粒子、例えば、量子ドットもしくはホウ素ドープシリコンナノワイヤーなど;ポリマーナノ粒子、例えば、生分解性ポリマー製の粒子およびイオンドープポリアクリルアミド粒子など;酸化物ナノ粒子、例えば、酸化鉄粒子、ポリマー被覆酸化鉄ナノ粒子もしくは酸化ケイ素粒子など;ウイルス粒子、例えば、遺伝子操作ウイルス粒子もしくは遺伝子操作ウイルス−ポリマー粒子など;結合ポリカチオンなどのポリイオン粒子;シリカベースセラミックナノ粒子などのセラミック粒子、またはその組合せとすることができる。いくつかの実施形態では、第3段階粒子は、低分子干渉RNA(siRNA)粒子などの核酸ナノ粒子である。
前段階粒子の貯蔵部中への後段階粒子の装填
後段階粒子は、任意の適切な技法によって、前段階の前段階粒子中に導入することができる。いくつかの実施形態では、作製したナノ多孔質前段階粒子を、担持流体および後段階粒子を含有する溶液中に浸漬することができ、この後段階粒子は、毛管作用および/または拡散によって前段階粒子の孔に入ることができる。担持流体は、生物学的に無害であり、前段階粒子の材料に関して中性である液体とすることができる。担持流体の例は、リン酸緩衝食塩水(PBS)または脱イオン水とすることができる。この溶液は、第1段階粒子中に導入することが望まれている、1つまたは複数の追加の作用剤、例えば、1つまたは複数の追加の治療剤および1つまたは複数の適切な透過エンハンサーも含有することができる。後段階粒子の装填量を最大にするために、飽和濃度の後段階粒子を有する溶液を使用することができる。
前段階粒子は、懸濁液の形態で溶液中に導入することができる。ナノ多孔質粒子懸濁液の調製は、例えば、米国特許出願第2003/0114366号に記載されている。ナノ多孔質粒子の孔は、後段階粒子を含有する溶液中に浸漬する前に乾燥させることができる。
いくつかの実施形態では、後段階粒子の孔を含有する溶液は、前段階粒子を導入する前に脱気することができる。次いで、前段階粒子は、密閉チャンバー中で脱気溶液中に浸漬することができる。前段階粒子を減圧に曝すことによって、閉じ込められた空気が粒子の孔から追い出されるのを確実にすることができる。次いで、前段階粒子は、溶液中に完全に浸漬することができ、密閉チャンバー中の圧力を、大気圧よりわずかに上に上昇させることによって、溶液が前段階粒子の孔に入るのを確実にすることができる。次いで、前段階粒子をフィルター上に捕捉し、以下に説明する3つの方法のうちの1つを使用して乾燥させることができる。
いくつかの実施形態では、浸漬した前段階粒子中の貯蔵部内のあらゆる閉じ込められた空気を除去するために、チャンバー内の圧力が低減され、次いで大気圧よりわずかに上に上昇させられる。
いくつかの実施形態では、前段階粒子の孔中に溶液を満たした後、以下の3つの方法のうちの1つまたは複数によって乾燥が実現される。水は、真空チャンバー中で減圧下で蒸発させる、またはフィルター上に収集された表面粒子上に暖気もしくは窒素などの不活性ガス流を通過させる、または凍結乾燥させることによって除去することができる。凍結乾燥の場合、平らな熱交換器を、良好な熱接触状態で、例えば、前段階粒子が収集されたフィルターの直下に配置することができる。フレオンなどの−20℃から−60℃の範囲の温度の冷媒流体、または液体窒素などの冷液を、ポートに流入させ、ポートから排出して熱交換器を通過させることによって、孔内に残っているあらゆる水を凍結させることができる。次いですべての水が昇華するまで、圧力を低減することができる。
いくつかの実施形態では、後段階粒子をナノ多孔質前段階粒子中に装填するために、前段階ナノ多孔質粒子、後段階粒子および担体液体を含有する溶液が調製される。担体液体は、Tris−HClなどの生理的緩衝液とすることができる。担体液体の濃度は、標準的な技法を使用して選択することによって、ナノ多孔質前段階粒子中への後段階粒子の装填を最大にすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、Tris−HClについては、最適濃度は、1から500mMから選択することができる。
後段階粒子の幾何学的性質、例えばサイズおよび形状などは、ナノ多孔質前段階粒子の孔の性質、例えば、孔密度、孔径、および孔配向などと適合するように選択することができる。
いくつかの実施形態では、ナノ多孔質前段階粒子中への後段階粒子の装填は、後段階および前段階粒子の両方を含有する溶液を撹拌することによって促進される。そのような撹拌は、回転ホイール中で溶液を回転させることによって実施することができる。回転ホイールの回転速度などの撹拌条件は、所望の装填度および/または装填時間を達成するために、標準的な技法を使用して最適化することができる。
いくつかの実施形態では、前段階ナノ多孔質粒子中への後段階粒子の装填は、溶液中の後段階粒子の濃度を変更することによって制御される。いくつかの実施形態では、溶液中のより高い濃度の後段階粒子を使用することによって、より高い装填量を達成することができる。さらに、いくつかの実施形態では、溶液中の最も高い可能な濃度の後段階粒子よりも低い濃度の後段階粒子を使用することによって、後段階粒子のより高い装填量を達成することができる。ナノ多孔質前段階粒子中への後段階粒子の装填を最大にする濃度の決定は、標準的な方法を使用して実施することができる。
いくつかの実施形態では、前段階ナノ多孔質粒子中への後段階粒子の装填は、ナノ多孔質前段階粒子の孔表面および/または後段階粒子の表面を修飾して、これらをより適合性にすることによって制御される。そのような修飾は、いずれかの表面上の表面化学基を修飾する、かつ/またはいずれかの表面上の電荷を修飾することによって実施することができる。例えば、いくつかの実施形態では、後段階粒子のより高い装填量を達成するために、負に帯電した表面の後段階粒子と正に帯電した多孔質表面の前段階ナノ多孔質粒子、または正に帯電した表面の後段階粒子と負に帯電した多孔質表面の前段階ナノ多孔質粒子を使用することができる。いくつかの実施形態では、ナノ多孔質前段階粒子の孔表面および後段階粒子の表面は、互いに適合性の化学基で修飾される。例えば、ナノ多孔質前段階粒子の孔表面と後段階粒子の表面の一方は、カルボキシ基で修飾することができ、他方はアミノ基で修飾することができる。
活性剤
活性剤は、治療剤、造影剤、またはその組合せとすることができる。活性剤は、それを含有する粒子から放出することのできる、任意の適切な作用剤とすることができる。活性剤の選択は、用途に依存する。
活性剤が、それ自体でいずれの段階の粒子でもない場合、これは、任意の適切な技法を使用して粒子中に導入することができる。例えば、活性剤がドキソルビシンである場合、これは、実施例4に詳述されるプロトコルを使用して、リポソーム粒子中に導入することができる。
活性剤が、多段階送達ビヒクルの段階の1つの粒子である場合、この活性剤は、上記に開示した方法の1つを使用して導入することができる。
治療剤
治療剤は、哺乳動物またはヒトなどの動物における標的部位で所望の生物学的効果を生じることのできる、任意の生理的または薬理学的に活性な物質とすることができる。治療剤は、限定することなく、ペプチド、タンパク質、核酸、および小分子を含めた、任意の無機または有機化合物とすることができ、そのいずれも特徴付けられていても、特徴付けられていなくてもよい。治療剤は、様々な形態、例えば、未変化分子、分子複合体、薬理学的に許容可能な塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ラウリン酸塩、パルミチン酸塩、リン酸塩、亜硝酸塩、硝酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、サリチル酸塩などとすることができる。酸性治療剤については、金属の塩、アミンまたは有機陽イオン、例えば、四級アンモニウムを使用することができる。薬剤の誘導体、例えば、塩基、エステルおよびアミドも治療剤として使用することができる。水不溶性である治療剤は、その水可溶性誘導体である形態、またはその塩基誘導体として使用することができ、これは、いずれの場合も、またはその送達によって、酵素によって変換され、身体のpHもしくは他の代謝プロセスによって加水分解されることによって、最初の治療的に活性な形態になる。
治療剤は、化学療法剤、免疫抑制剤、サイトカイン、細胞毒性剤、核酸分解化合物、放射性同位元素、受容体、およびプロドラッグ活性化酵素とすることができ、これらは、天然に存在するもの、または合成もしくは組換え法によって作製されるもの、またはその組合せとすることができる。
古典的な多剤耐性によって影響される薬剤、例えば、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチンおよびビンクリスチン)、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシンおよびダウノルビシン)、RNA転写阻害剤(例えば、アクチノマイシン−D)および微小管安定化剤(例えば、パクリタキセル)などは、治療剤として特定の有用性を有する。
癌化学療法剤は好ましい治療剤となり得る。有用な癌化学療法剤として、ナイトロジェンマスタード、ニトロソ尿素、エチレンイミン、アルカンスルホネート、テトラジン、白金化合物、ピリミジン類似体、プリン類似体、代謝拮抗剤、葉酸類似体、アントラサイクリン、タキサン、ビンカアルカロイド、トポイソメラーゼ阻害剤およびホルモン剤が挙げられる。例示的な化学療法剤は、アクチノマイシン−D、アルケラン、Ara−C、アナストロゾール、アスパラギナーゼ、BiCNU、ビカルタミド、ブレオマイシン、ブスルファン、カペシタビン、カルボプラチン、カルボプラチナム(carboplatinum)、カルムスチン、CCNU、クロランブシル、シスプラチン、クラドリビン、CPT−11、シクロホスファミド、シタラビン、シトシンアラビノシド、シトキサン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デクスラゾキサン、ドセタキセル、ドキソルビシン、DTIC、エピルビシン、エチレンイミン、エトポシド、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルタミド、ホテムスチン、ゲムシタビン、ハーセプチン、ヘキサメチルアミン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキセート、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、ペントスタチン、プリカマイシン、プロカルバジン、リツキシマブ、ステロイド、ストレプトゾシン、STI−571、ストレプトゾシン、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシド、テトラジン、チオグアニン、チオテパ、トムデックス、トポテカン、トレオスルファン(treosulphan)、トリメトレキセート、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、VP−16、およびキセロダである。
有用な癌化学療法剤として、アルキル化剤、例えば、チオテパおよびシクロスホスファミド(cyclosphosphamide)など;アルキルスルホネート、例えば、ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファンなど;アジリジン、例えば、ベンゾドパ、カルボコン、メツレドパ(meturedopa)、およびウレドパ(uredopa)など;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスファオラミド(triethylenethiophosphaoramide)およびトリメチルオロメラミン(trimethylolomelamine)を含めたエチレンイミンおよびメチルアメラミン(methylamelamine);ナイトロジェンマスタード、例えば、クロランブシル、クロルナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベムビエヒン(novembiehin)、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなど;ニトロ尿素、例えば、カンヌスチン(cannustine)、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、およびラニムスチンなど;抗生物質、例えば、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アウスラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリケアミシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモイニシン(chromoinycin)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダムビシン(idambicin)、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、およびゾルビシンなど;代謝拮抗剤、例えば、メトトレキセートおよび5−フルオロウラシル(5−FU)など;葉酸類似体、例えば、デノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、およびトリメトレキセート;プリン類似体、例えば、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、およびチオグアニンなど;ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、および5−FUなど;アンドロゲン、例えば、カルステロン、ドロモスタノロンプロピオネート、エピチオスタノール、ルネピチオスタン(rnepitiostane)、およびテストラクトンなど;抗副腎剤(anti-adrenal)、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、およびトリロスタンなど;フロリン酸などの葉酸補充物質(replenisher);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート;デホファミン;デメコルシン;ジアジクオン;エルホルニチン;酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメト(phenamet);ピラルビシン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン;シゾフラン(sizofrran);スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2’,2’’−トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;thiotEPa;タキソイド、例えば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol−Myers Squibb Oncology、Princeton、NJ)およびドキセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhone−Poulenc Rorer、Antony、France);クロランブシル;ゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;白金類似体、例えば、シスプラチンおよびカルボプラチンなど;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;キセロダ;イバンドロネート;CPT−11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラミシン;カペシタビン;ならびに上記の任意の医薬として許容可能な塩、酸または誘導体も挙げられる。腫瘍へのホルモン作用を制御または阻害するために作用する抗ホルモン剤、例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害性4(5)−イミダゾール、4ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、オナプリストン、およびトレミフェン(ファレストン)を含めた抗エストロゲン剤;ならびに抗アンドロゲン、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、およびゴセレリンなど;ならびに上記の任意の医薬として許容可能な塩、酸、または誘導体も含まれる。
サイトカインも治療剤として使用することができる。そのようなサイトカインの例は、リンホカイン、モノカイン、および伝統的なポリペプチドホルモンである。サイトカインの中に含まれるのは、成長ホルモン、例えば、ヒト成長ホルモン、N−メチオニルヒト成長ホルモン、およびウシ成長ホルモンなど;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラキシン;プロリラキシン;糖タンパク質ホルモン、例えば、卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、および黄体形成ホルモン(LH)など;肝成長因子;線維芽細胞成長因子;プロラクチン;胎盤性ラクトゲン;腫瘍壊死因子−αおよび−β;ミュラー管抑制物質;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮成長因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);NGF−βなどの神経成長因子;血小板成長因子;トランスフォーミング成長因子(TGF)、例えば、TGF−αおよびTGF−βなど;インスリン様成長因子−Iおよび−II;エリスロポエチン(EPO);骨誘導因子;インターフェロン、例えば、インターフェロン−α、−βおよび−γなど;コロニー刺激因子(CSF)、例えば、マクロファージ−CSF(MCSF)、顆粒球−マクロファージ−CSF(GM−CSF)、および顆粒球−CSF(GCSF)など;インターロイキン(IL)、例えば、IL−1、IL−1a、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−11、IL−12、IL−15など;腫瘍壊死因子、例えば、TNF−αまたはTNF−βなど;ならびにLIFおよびキットリガンド(KL)を含めた他のポリペプチド因子である。本明細書で使用する場合、用語サイトカインには、天然源または組み換え細胞培養物からのタンパク質、および天然配列サイトカインの生物学的に活性な等価物が含まれる。
造影剤
造影剤は、哺乳動物またはヒトなどの動物の身体の標的部位についての画像情報を提供する任意の物質とすることができる。造影剤は、磁気共鳴画像法のための酸化鉄などの磁気材料を含むことができる。光学的画像法については、活性剤は、例えば、半導体ナノ結晶または量子ドットとすることができる。光コヒーレンストモグラフィー画像法については、造影剤は、金属、例えば、金または銀、ナノケージ粒子とすることができる。造影剤は、超音波造影剤、例えば、マイクロバブルもしくはナノバブルまたは酸化鉄マイクロ粒子もしくはナノ粒子でもよい。
投与
多段階送達ビヒクルは、疾患などの生理的状態を治療、予防および/またはモニターするために、任意の適当な投与方法によって、ヒトなどの対象に、複数のビヒクルを含む組成物の一部として投与することができる。具体的な用途に使用される特定の方法は、主治医によって決定される。一般に、組成物は、以下の経路、すなわち、局所、非経口、吸入/肺、経口、膣および肛門のうちの1つによって投与することができる。
多段階送達ビヒクルの実施形態は、腫瘍学的用途、すなわち、癌または癌に関連する腫瘍などの状態を治療および/またはモニターするために特に有用となり得る。例えば、皮膚癌は、好ましくは粘性懸濁液の局所適用によって治療および/またはモニターすることができ、肺癌は、エアロゾル化した水性微小デバイス懸濁液(microdevice suspension)の吸入によって治療および/またはモニターすることができ、子宮頸癌は、微小デバイス懸濁液の膣投与によって治療および/またはモニターすることができ、大腸癌は、そのような懸濁液の直腸投与によって治療および/またはモニターすることができる。治療用途の大部分は、いくつかの種類の非経口投与を伴う場合があり、これには、静脈内(i.v.)、筋肉内(i.m.)および皮下(s.c.)注射が含まれる。
多段階送達ビヒクルの投与は、全身性であっても局所性であってもよい。上記に列挙した投与のうちの非経口でない例、ならびにi.m.およびs.c.注射は、局所投与の例である。血管内投与は、局所性または全身性のいずれにもなり得る。局所血管内送達は、CATスキャンガイドカテーテルなどのガイドカテーテルシステムを使用することによって、既知の病変部の近傍に治療物質を導くのに使用することができる。一般的な注射、例えば、大量瞬時投与i.v.注射または連続/点滴供給i.v.注入は、一般的に全身性である。
静脈内投与については、多段階送達ビヒクルは、複数のビヒクルを含有する懸濁液として製剤化することができる。ビヒクルは、その寸法およびその内容物において均一であることが好ましい。懸濁液を形成するために、上述したようなビヒクルは、任意の適当な水性担体ビヒクル中に懸濁させることができる。適当な医薬担体は、使用される投与量および濃度でレシピエントに対して無毒性であり、製剤中の他の成分と適合性であるものである。マイクロ加工粒子の懸濁液の調製は、例えば、米国特許出願公開第20030114366号に開示されている。
経口投与については、多段階送達ビヒクルは、複数のビヒクルで構成されている経口組成物の一部として投与することができる。組成物中のビヒクルは、寸法において均一である、すなわち、各ビヒクルの第1段階粒子は、同じまたは実質的に同じ寸法を有し、各ビヒクルの第2段階粒子は、同じまたは実質的に同じ寸法を有することが好ましい。組成物は、ビヒクルを、適当な非水性担体、例えば、油または微粉化した粉末などと混合することによって作製し、標準的な腸溶カプセル中に単位投与量で満たす、あるいは、圧縮して錠剤にし、腸溶コーティング材料でコーティングすることができる。腸溶コーティングにより、ビヒクルが、胃の低(酸性)pH環境を通って乾燥形態で輸送され、小腸または大腸の事前に選択した領域で放出されることが保証される。
組成物は、保護ポリマーでコーティングすることができる。この材料は、錠剤またはカプセルのいずれかにフィルムコーティング技法により施すことによって、製品を胃環境の作用から保護し、または胃環境中での薬剤の放出を防止することができる。そのようなコーティングは、胃中で無傷のままであるが、小腸に到達すると溶解し、剤形の内容物を放出することができるものである。腸溶コーティングの目的は、第1段階粒子の内容物の放出を遅延させるためとすることができる。
最も広範に使用される腸溶ポリマーの1つは、セルロースアセテートフタレート(CAP)とすることができる。別の有用なポリマーは、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)とすることができ、これは、CAPよりも、水分に対して浸透性が低く、加水分解に対して安定であり、より低いpHでイオン化することができる。これらの性質により、十二指腸におけるより信頼できる放出が可能となり得る。現在使用されているポリマーの別の例は、酸イオン性基を有する、メタクリル酸−メタクリル酸エステルコポリマーに基づくものとすることができる。これの中で代表されるのは、Rohm Pharmaを通じて入手可能な、商品名Eudragitを有するポリマーである。一般に、腸溶コーティングは、錠剤またはカプセルの約0.5重量%から約10重量%で適用することができる。
いくつかの実施形態では、メチルセルロースなどの水溶性の低いポリマーを使用することによって、十二指腸中で粒子を放出した後の、チャンバーからの薬剤の放出を遅延させることができるであろう。ALZA Corporation(Mt.View、Calif.)によって開発されたChronSetRTM技法を使用することによって、胃から小腸中に通過した後に、指定された時間および標的部位に多段階送達ビヒクルを大量瞬時に放出することができる。この場合、ビヒクルの懸濁液を、ChronSetカプセル中に装填してもよい。嚥下した後、このカプセルは、無傷で胃を通過する。シェルは、システムの浸透圧透過性部分による水吸収の割合を制御するように設計することができる。浸透圧力(osmotic engine)は増大することによって、カプセルの2つの半分を押し、分離することができる。カプセルの半分の長さは、事前に選択した時間で分離するように特に設計することができる。各カプセルの内容物は、投与して2から20時間後に腸管腔中に排出することができる。内容物(この場合では、薬剤を満たしたマイクロ加工粒子の懸濁液)の80%超を、15分の時間枠内に排出することができる。この手法は、小腸また大腸の事前に選択した範囲で、ビヒクルの懸濁液を放出する手段を提供することができる。そのようなシステムは、粒子にグラフトされた粘膜付着性リガンドのための受容体を含有する範囲などの結合に最適な小腸または大腸中の部位、および/または第1段階粒子内部に含まれる透過エンハンサーに感受性である腸管上皮の領域などの吸収に最適な小腸または大腸中の部位で、多段階送達ビヒクルを放出するために使用することができる。
本明細書に説明した実施形態は、まったく限定されないが、以下の実施例によってさらに例示される。
以下の実験を行うことによって、ナノ多孔質シリコン第1段階マイクロ粒子中への選択された第2段階粒子の装填および放出を研究した。ナノ多孔質シリコン第1段階粒子の生分解および生体適合性も研究した。
材料および方法
Z2分析
粒子を、Z2 Coulter(登録商標)粒子計数器およびサイズ分析器(Beckman Coulter)でカウントした。粒子分析に使用した開口部のサイズは、50μmであった。分析のためのサイズの下限および上限を1.8および3.6μmに設定した。分析のために、装置(ISOTON(登録商標)II Diluent)の平衡化電解質溶液中に粒子を懸濁させ、カウントした。粒子の最初の懸濁液の全体積は、最終分析体積の0.3%を超えなかった。
シリコンマイクロ粒子の酸化
IPA中のシリコンマイクロ粒子を、ホットプレート(80〜90℃)上に維持したガラスビーカー中で乾燥させた。シリコン粒子を、ピラニア(1容量のHおよび2容量のHSO)中で酸化させた。Hを加えた後、粒子を超音波処理し、次いで酸を加えた。この懸濁液を断続的に超音波処理して粒子を分散させながら、100〜110℃に2時間加熱した。次いで、懸濁液のpHが約5.5〜6になるまで、この懸濁液をDI水中で洗浄した。次いで粒子を適切な緩衝液、IPAに移し、または水中に保管し、その後に使用するまで冷蔵した。
APTESでのSi粒子の表面修飾
シラン化プロセスの前に、酸化した粒子を1.5MのHNO酸中で約1.5時間(室温)ヒドロキシル化した。粒子は、DI水中で3〜5回洗浄した(洗浄には、水中での懸濁および遠心処理が含まれ、その後に上澄みを除去し、この手順を繰り返した)。
粒子は、IPA(イソプロピルアルコール)中で2回洗浄することによって、IPA中に懸濁させた。次いでこれらを、0.5%(v/v)のAPTES(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)を含有するIPA中に、室温で45分間懸濁させた。次いでこの粒子を、遠心によってIPAを用いて4〜6回洗浄し、冷蔵したIPA中に保管した。あるいは、この粒子をアリコートし、乾燥させ、その後に使用するまで真空および乾燥剤下で保管した。
APTES修飾粒子へのPEGの結合
PEGをマイクロ粒子に結合させることによって、抗VEGFR2抗体をさらにカップリングさせるためのスペーサーを提供した。Fmoc−PEG−NHSを使用した。これは、アミン基への急速なカップリングのためのNHSエステルおよびPEG上のアミンを保護するためのFmoc基を提供した。106〜109粒子/mlのAPTES修飾マイクロ粒子をPBS(pH約7.2)中に再懸濁させ、1〜10mMの濃度のFmoc−PEG−NHSをこの粒子に加えた。
カップリングは、室温で30分から1時間実施し、次いで、未反応のFmoc−PEG−NHS基を、PBS中で遠心によって3〜5回洗浄した。シリコンマイクロ粒子にカップリングしたPEGの遠位末端上のFmoc基を、ピペリジン(20%v/vで30分間)で脱保護することによって、抗体とさらにカップリングさせるためのPEG上の遊離アミンを提供した。
抗VEGFR2の蛍光タギング
Invitrogen Corp.からの抗体標識化キットを使用して、VEGFR2に対する抗体を、Alexa488と結合させた。蛍光タグは、このキットのマニュアルに提供された手順に従って抗体と結合させた。1mg/mlの抗体をタギングに使用した。蛍光タグに結合した抗体の量は、DU(登録商標)730UV/Vis分光光度計(Beckman Coulter Inc.、CA、USA)を用いて、280および494nmで抗体を分析することによって求めた。結合した抗体の量は、407μg/mlであることが判明した。
PEG修飾粒子への抗VEGFR2のカップリング
PBS中に再懸濁させたシリコン粒子を、ヘテロ二官能性架橋剤ANB−NOS(DMF中に溶解させ、10mMの最終濃度まで加えた)で30分から1時間処理した。反応を暗所で実施することによって、架橋剤上のニトロフェニルアジド基の光分解を防止した。次いで粒子をPBSで洗浄することによって、未反応の架橋剤を除去し、蛍光標識抗VEGFR2と混合した。各実験点について4.6×106個の粒子を使用した。使用した異なる量の抗体は、0.814、0.407、および0.163μgであり、それぞれ2.7、1.35、および0.54μg/mlに相当し、UV光に10〜15分間暴露することによって、抗体上に存在するアミン基を結合した架橋剤にカップリングさせた。
多孔質シリコンマイクロ粒子中へのアミノ−PEG量子ドット(Q−ドット)の装填のための緩衝液濃度の決定
低結合性(low binding)マイクロ遠心管中で、3.0×10個の粗孔(LP)および細孔(SP)酸化シリコン(300×10粒子/mlの濃度で保管した)またはAPTES修飾マイクロ粒子(200×10粒子/mlの濃度で保管した)、ならびに2μMのアミノ−PEG Q−ドットまたはカルボキシルQ−ドットを、10、20、50、100または200mMの、pH7.3のTRIS−HClを含有する溶液中で混合した。試料を、各実験点について20μlの最終体積で、25℃で15分間、回転ホイール(20rpm)中でインキュベートした。インキュベーション後、試料を20mM、pH7.3のTrisで希釈して150μlにし、FACScaliburフローサイトメーターで蛍光強度を即座に読み取った。図3のパネルAは、APTES修飾LPおよびSPシリコン粒子中への、カルボキシ修飾量子ドットおよびアミノ修飾量子ドットの装填についての時間ダイナミクスの結果を示す。図4のパネルA〜Dは、(パネルA)LP酸化シリコン粒子、(パネルB)LP APTES修飾シリコン粒子、(パネルC)SP酸化シリコン粒子、および(パネルD)SP APTES修飾シリコン粒子中への、カルボキシ修飾量子ドットおよびアミノ修飾量子ドットの装填についての時間ダイナミクスの結果を示す。パネルA〜Dのそれぞれは、以下に説明するように、PEG−FITC単一壁カーボンナノチューブの装填についての時間ダイナミクスも示す。
多孔質シリコンマイクロ粒子装填のためのアミノPEGおよびカルボキシルQ−ドットの濃度の決定
低結合性マイクロ遠心管中で、3.0×10個のLPもしくはSP酸化シリコン、またはAPTES修飾マイクロ粒子を、200mM、pH7.3のTRIS−HCl中で、それぞれ、0.01、0.1、1、10、100、1000および2000nMのアミノPEGまたはカルボキシルQ−ドットと混合した。試料を、各実験点について20μlの最終体積で、25℃で15分間、回転ホイール(20rpm)中でインキュベートした。インキュベーション後、試料を20mM、pH7.3のTrisで希釈して150μlにし、FACScaliburフローサイトメーターで蛍光強度を即座に読み取った。
多孔質シリコンマイクロ粒子中への、アミノPEGおよびカルボキシルQ−ドットの装填のための時間の決定
低結合性マイクロ遠心管中で、1.2×10個のLPおよびSP酸化シリコン、またはAPTES修飾マイクロ粒子を、80μlの最終体積で、200mM、pH7.3のTRIS−HCl中で、2μMのアミノ−PEG Q−ドットまたはカルボキシルQ−ドットと混合した。粒子およびQ−ドットを、回転ホイール(20rpm)中でインキュベートし、25℃で15、30、45および60分後にバイアルからサンプリングした。インキュベーション後、試料を20mM、pH7.3のTrisで希釈して150μlにし、FACScaliburフローサイトメーターで蛍光強度を即座に読み取った。
酸化およびAPTES修飾多孔質シリコンマイクロ粒子中への、アミノPEGおよびカルボキシルQ−ドットの装填
酸化またはAPTES修飾した、2.1×10個のLPシリコンマイクロ粒子を、200mM、pH7.3のTRIS−HCl溶液中で、それぞれ2μMのアミノ−PEG Q−ドットまたはカルボキシルQ−ドットと混合した。最終インキュベーション体積は、140μlであった。試料は、25℃で15分間、回転ホイール(20rpm)中でインキュベートした。次いで、このマイクロ粒子を1.4mLの脱イオン水(10倍希釈)中で洗浄し、Beckman Coulter Allegra X−22遠心機中、4200RPMで5分遠心した。粒子ペレットを70μlの脱イオン水中で懸濁させ、10μlをバイアルから採取し、20mM、pH7.3のTris溶液で希釈して150μlの最終体積にした。試料の蛍光をBecton Dickinson FACScaliburフローサイトメーターで直ちに読み取り、時間0または装填した蛍光として記録した。
酸化およびAPTES修飾多孔質シリコンマイクロ粒子からの、アミノPEGおよびカルボキシルQ−ドットの放出
残りの60μlを10倍希釈して600μLのTRIS−HCl 20mM NaCl 0.9%の放出緩衝液にした。100μlをこの溶液から取り出し、400μLのTRIS−HCl 20mM NaCl 0.9%の放出緩衝液で予め満たした管中に、試料をアリコートすることによってさらに5倍希釈した。この時点での最終希釈は、500倍であった。試料を、37℃で所定量の時間(15、45、90、180、360および1200分)、回転ホイール(20rpm)中に入れた。各時点で、アリコートを、Beckman Coulter Allegra X−22遠心機中、4200RPMで5分遠心した。次いで各ペレットを150μl、20mMのTRIS中で再懸濁させ、Becton Dickinson FACScaliburフローサイトメーターで、蛍光を直ちに読み取った。図5Aは、LP酸化シリコン粒子からの、アミノ修飾量子ドットの放出の時間ダイナミクスを示す。図5Bは、APTES修飾LPシリコン粒子からの、カルボキシ修飾量子ドットの放出の時間ダイナミクスを示す。
多孔質シリコンマイクロ粒子中への、ポリ(エチレングリコール)(PEG)フルオレセインイソチオシアネート(FITC)結合単一壁カーボンナノチューブ(SWNT)の装填のための緩衝液濃度の決定
低結合性マイクロ遠心管中で、3.0×10個の粗孔酸化シリコンまたはAPTES修飾マイクロ粒子を、異なるモル濃度(20、100、200mM)の、pH7.3のTRIS−HClを含有する溶液中で、20ng/μlのPEG−FITC−SWNTと混合した。各実験点について、最終体積は20μlであった。試料を、25℃で15分間、回転ホイール(20rpm)中でインキュベートした。インキュベーション後、試料を150μl、20mMのTRIS中で再懸濁させ、FACScaliburフローサイトメーターで蛍光強度を直ちに読み取った。
多孔質シリコンマイクロ粒子中へのPEG−FITC−SWNTの装填のための時間の決定
低結合性マイクロ遠心管中で、1.2×10個の粗孔酸化シリコンまたはAPTES修飾マイクロ粒子を、80μlの最終体積で、20mM、pH7.3のTRIS−HCl中で、20ng/μlのPEG−FITC−SWNTと混合した。粒子およびSWNTを、回転ホイール(20rpm)中でインキュベートし、25℃で15、30、45および60分後にバイアルからサンプリングした。インキュベーション後、試料を20mM、pH7.3のTrisで希釈して150μlにし、FACScaliburフローサイトメーターで蛍光強度を即座に読み取った。
多孔質シリコンマイクロ粒子装填のためのPEG−FITC−SWNTの濃度の決定
低結合性マイクロ遠心管中で、3.0×10個のLPもしくはSP酸化シリコン、またはAPTES修飾マイクロ粒子を、各実験点について20μlの最終体積で、20mM、pH7.3のTRIS−HCl中で、1、10、20および50ng/μlのPEG−FITC−SWNTと混合した。インキュベーション後、試料を20mM、pH7.3のTrisで希釈して150μlにし、FACScaliburフローサイトメーターで蛍光強度を即座に読み取った。
蛍光定量法を使用した、PEG−FITC−SWNTの蛍光強度および消光効果の判定
20mM、pH7.3のTRIS−HCl中のPEG−FITC−SWNTについての濃度曲線を、SPECTRAmax蛍光光度計を使用して求めた。35ng/μlから出発し、107pg/μlの最小検出可能量まで1:2の係数で下げ進めて、段階希釈を実施した。アリコートを96ウェルプレート中に入れ、485での励起および520での発光を使用して蛍光を読み取った。蛍光消光は、そのより低い蛍光によって示されるように、SWNTのより高い濃度で観察された。
酸化およびAPTES修飾多孔質シリコンマイクロ粒子中へのPEG−FITC−SWNTの装填
1.8×10個の「粗孔」(LP、約30nm)シリコンマイクロ粒子を、20mM、pH7.3のTRIS−HCl溶液中で、20ng/μlのPEG−FITC−SWNTと混合した。最終インキュベーション体積は、120μlであった。試料は、25℃で15分間、回転ホイール(20rpm)中でインキュベートした。次いで、このマイクロ粒子を1.2mLの脱イオン水(10倍希釈)中で洗浄し、Beckman Coulter Allegra X−22遠心機中、4200RPMで5分遠心した。インキュベーション後、上澄みを取り出し、96ウェルプレート中に入れ、SPECTRAmaxプレートリーダーを使用して蛍光を読み取った。
粒子ペレットを60μlの脱イオン水中で再懸濁させ、10μlをバイアルから採取し、20mM、pH7.3のTRIS溶液で希釈して150μlの最終体積にした。試料の蛍光を、Becton Dickinson FACScaliburフローサイトメーターで直ちに読み取り、時間0または蛍光添加として記録した。
酸化およびAPTES修飾多孔質シリコンマイクロ粒子からの、PEG−FITC−SWNTの放出
残りの50μlを10倍希釈して500μLのTRIS−HCl 20mM NaCl 0.9%の放出緩衝液にした。100μlをこの溶液から取り出し、400μLのTRIS−HCl 20mM NaCl 0.9%の放出緩衝液で予め満たした管中に、試料をアリコートすることによってさらに5倍希釈した。この時点での最終希釈は、500倍であった。試料を、37℃で所定量の時間(15、45、120、240および1200分)、回転ホイール(20rpm)中に入れた。各時点で、アリコートを、Beckman Coulter Allegra X−22遠心機中、4200RPMで5分遠心した。上澄みを取り出し、96ウェルプレート中に入れ、SPECTRAmaxプレートリーダーを使用して蛍光を読み取った。次いで、各ペレットを150μlの、20mMのTRIS中で再懸濁させ、Becton Dickinson FACScaliburフローサイトメーターで蛍光を即座に読み取った。図5Aは、LP酸化シリコン粒子からの、PEG−FITC−SWNTの放出の時間ダイナミクスを示す。図5Bは、APTES修飾LPシリコン粒子からの、PEG−FITC−SWNTの放出の時間ダイナミクスを示す。
酸化およびAPTES修飾多孔質シリコンマイクロ粒子中へのナノリポソームの装填
1.5×10個のLPおよびSP酸化シリコンマイクロ粒子を、20mM、pH7.3のTRIS−HCl溶液中で、Alexa fluo 555結合siRNAを含有する、10ng/μlのリポソームと混合した。粒子およびナノリポソームを、回転ホイール(20rpm)中でインキュベートし、25℃で15、30および60分後にバイアルからサンプリングした。インキュベーション後、試料を20mM、pH7.3のTrisで希釈して150μlにし、FACScaliburフローサイトメーターで蛍光強度を即座に読み取った。
分解
5×10個のLPおよびSP酸化シリコン粒子を、pH7.3で2.5mMのTRISおよび0.9%のNaClを含有する溶液(生理食塩水)中、または10%のFBSを補充した細胞培養培地(CCM)中のいずれかで混合した。この混合物を、37℃で回転ホイール(8rpm)中でインキュベートし、SEM、Z2およびICPのためのサンプリングを、時間0ならびに6、18および24時間後に実施した。
分解研究のための3種類の分析を同時に並行して実施するのに十分な材料を有するようにこの実験を設計し、これによって制御されない、または気づかない変数による差異を回避した。したがって、このプロトコルを、SEM、Z2およびICPのために得た試料に適用した。
追加の分解実験を実施することによって、HUVEC細胞での毒性実験のための材料を提供した。各実験点について、3×10個のLP、酸化もしくはAptes修飾、またはSP、酸化もしくはAptes修飾シリコン粒子を、37℃で、回転ホイール(8rpm)内のCCM中で24の間インキュベートした。
ICP
多孔質シリコン粒子が溶液から消失したかどうかを理解するために、これらをインキュベートし、この多孔質シリコン粒子をケイ酸中に溶解させ、誘導結合プラズマ原子発光分析(ICP−AES)と呼ばれる技法によって研究した。
この方法により、溶液中に存在する任意の所与の元素の絶対量を定量化することが可能になる。Z2およびSEM分析と同じ時点で十分な量を回収し、これらを遠心することによってまだ分解されていない粒子をペレット化した。0.450μmのフィルターユニットを通して濾過された上澄みを、ICPで分析した。
細胞培養
50万個の新たに単離したヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)(Clonetics(商標)Cambrex Bio Science Walkersville,Inc)を、完全培地と呼ばれる、100IU/mlのペニシリン(Sigma)、100g/mlのストレプトマイシン(Sigma)、7.5IU/mlのヘパリン(Sigma)、2ng/mlの上皮成長因子(EGF)(R&D system)および250pg/mlの内皮細胞成長因子(−ECGF)(BioSource、USA)を含有する、10%胎児ウシ血清(FCS、Gibco)を補充したM199培地(Gibco/Life Technologies Inc.)中に播種した。コンフルエントな細胞を、トリプシン(Sigma)を用いて剥がし、継代培養した。細胞は継代6まで展開し、生体適合性研究のために使用した。
顕微鏡観察
細胞を、40倍の拡大レンズを有するOlympus CKX41顕微鏡を用いて、明視野コントラストで分析した。SP−350 Olympus True−Pic TURBO画像プロセッサーカメラで画像を撮影した。
LDH毒性アッセイ
毒性アッセイの較正のために、異なる量の細胞(125、250、500、1000、2000)を3つの96ウェルプレート中に播種した。12、24および48時間後に、細胞培養培地を、1%のトリトンを含有する新鮮な培地と取り替えた。細胞を、室温(RT)で10分間インキュベートし、次いで1200rpmで3分間遠心沈殿させ、100μlの細胞培養培地を、氷上に維持したレプリカプレート中に移した。再構成した触媒および色素を含有する100μlの溶液(Biovision LDH Cytotoxicity Assay Kit)を各ウェルに加え、プレートをオービタルシェイカー上に移し、ホイルで覆い、RTで20分間振盪した。次いでこのプレートをSPECTRAmax蛍光光度計中に移し、490nmの吸光度を読み取った。すべての実験を3通り行い、結果を標準偏差とともに平均値として表した。
実験のために、1000個の細胞を播種し、細胞が表面に付着した後(約6時間)、2μlの滅菌脱イオンHO中に再懸濁させた、異なる量のLP酸化、SP酸化、LP APTESおよびSP APTESシリコン粒子(1000、5000および10000個であり、1:1、1:5、1:10の細胞:粒子の比に相当する)を、培地に加えた。陽性対照として、2μlの滅菌脱イオンHOを細胞に加え、一方、陰性対照として、50μg/mlのシス白金(cis-platinum)を細胞培養培地に加えた。
プレートを37℃でインキュベートし、12、24、48および72時間の時点で、トリトン添加を除外して、較正アッセイについて説明されるように毒性アッセイを実施した。すべての実験を3通り行い、結果を標準偏差とともに平均値として表した。
MTTアッセイ
MTTアッセイの較正のために、異なる量の細胞(125、250、500、1000、2000)を3つの96ウェルプレート中に播種した。12、24および48時間後に、細胞培養培地を、50μlのMTT色素を含有する新鮮な培地と取り替えた。細胞を37℃で4時間インキュベートし、次いで培地およびMTTを取り出し、200μlのDMSOおよび25μlの0.1M グリシン、0.1M NaClの、pH10.5の溶液を各ウェルに加え、プレートをRTで10分間インキュベートした。次いでこのプレートをSPECTRAmax蛍光光度計中に移し、570nmの吸光度を読み取った。すべての実験を3通り行い、結果を標準偏差とともに平均値として表した。
実験のために、1000個の細胞を播種し、細胞が表面に付着し、50%コンフルエントな細胞ベッドが生成した後(約6時間)、2μlの滅菌脱イオンHO中に再懸濁させた、異なる量のLP酸化、SP酸化、LP APTESおよびSP APTESシリコン粒子(1000、5000および10000個であり、1:1、1:5、1:10の細胞:粒子の比に相当する)を、培地に加えた。陽性対照として、2μlの滅菌脱イオンHOを細胞に加え、一方、陰性対照として、50μg/mlのシス白金を細胞培養培地に加えた。
プレートを37℃でインキュベートし、12、24、48および72時間の時点で、培地をウェルから取り出し、細胞を滅菌PBSで大規模に洗浄することによって、シリコン粒子を除去した。次いで較正アッセイについて説明されるように増殖アッセイを実施した。すべての実験を3通り行い、結果を標準偏差とともに平均値として表した。
ヨウ化プロピジウム染色
0.6×10個の細胞を25cmのフラスコ中に播種し、細胞が付着したとき(約6時間後、細胞が、60%コンフルエントな細胞ベッドを生成したとき)、20μlの滅菌脱イオンHO中に再懸濁させた、3×10個のLP酸化、SP酸化、LP APTESまたはSP APTESシリコン粒子(1:5の比)のいずれかを、各フラスコの培地に加えた。陽性対照として、20μlの滅菌脱イオンHOを細胞に加え、一方、陰性対照として、50μg/mlのシス白金を細胞培養培地に加えた。追加の対照として、同じ量のHUVEC細胞を75cmのフラスコ中に播種した。この細胞を自由に成長させたが、実験の間コンフルエンシーに到達することはなかった。
12、24、48および72時間後に、細胞を5mlの滅菌PBSで3回洗浄し、次いでトリプシン処理し、収集し、遠心した。PBSを用いた追加の洗浄ステップの後、各細胞ペレットを、250μlのPBS中で再懸濁させ、緩やかにボルテックスしながら、750μlの氷冷メタノールを細胞懸濁液に加えた。固定化を20分間実施し、次いで、細胞を遠心沈殿させ、PBSで2回洗浄した。次いで、(10mM Tris、5mM MgCl、pH7.3中の50μg/mlのヨウ化プロピジウムおよび75μg/mlのRNAse)を含有する溶液を細胞ペレットに加え、この懸濁液を暗所で、回転ホイール(5rpm)上で60分間インキュベートした。次いで試料を、FACS管中に移し、Becton Dickinsonフローサイトメーターで直ちに読み取った。
フローサイトメトリーのセットアップ
FACS Calibur(Becton Dickinson)を使用して、粒子を蛍光について評価した。対数のSSC対対数のFSCを定義する2変数ドットプロットを使用することによって、使用したシリコン粒子のサイズおよび形状(直径3ミクロン、高さ1.5)を評価し、分析から非特異的事象を除外した。対照のレインボー(rainbow)BD CalibriteTMビーズ(サイズ3.5ミクロン)を標準物質として分析した。
装置の雑音信号に近すぎる事象を除外して、集団の中心付近に多角形領域(polygonal region)(R1)を画定した。各試料について、R1領域内で検出された粒子の数は80%超であった。
平均蛍光強度(MFI)を求めるために、対数のFL1およびFL2対対数のFSCのドットプロットを、画定した領域(R1)内に入る事象に基づいてゲート設定することによって作製した。それぞれの試料によって生じたピークは、対応する蛍光ヒストグラムおよび記録される幾何平均値で分析した。
粒子の検出については、使用した検出器は、前方散乱(FSC)E−1、および474Vの電圧を設定した側方散乱(SSC)であった。蛍光検出器FL1は、800Vに設定した。
緑色蛍光(FITCおよびQ−ドット525)は、FL1の530/30nmバンドパスフィルターを使用して検出した。橙色および赤色蛍光(Q−ドットD565およびヨウ化プロピジウム)は、FL2を使用して検出した。単一色検出のみを分析していたので、補正はゼロに設定した。装置較正は、それぞれの一連の取得の前、間および後に、レインボーBD CalibriteTMビーズを使用して実施した。
細胞検出について使用した検出器は、4.59の増幅ゲインを有する線形前方散乱(FSC)E00、および1.07の増幅ゲインを有する、474Vに電圧を設定した線形側方散乱(SSC)であった。蛍光検出器FL2は、449Vに設定し、増幅ゲインを1.32に設定した。
細胞および粒子の残骸は、散乱性質に基づいて分析から電子工学的にゲート設定した。すべての実験において、少なくとも20,000個の粒子または細胞を分析した。すべての実験は3通り実施した。結果を、無傷の粒子または生細胞のみの平均蛍光強度として示した。データ分析は、CellQuestソフトウェア(BD Biosciences)を用いて実施した。
蛍光顕微鏡観察
粒子の蛍光画像法は、−30.1℃に維持したDQC−FS Nikon CCDカメラを備えるNikon Eclipse TE2000−Eで実施した。すべての試料は分析の直前に設置し、画像は63倍の油浸対物レンズで得た。顕微鏡の設定は、すべての実験全体を通して一定に維持した。開口数を1.4、屈折率を1.515、露光時間を500ms、読み出し速度を10MHz、変換利得を1/6倍に設定した。画像を、NIS Elements AR 2.3ソフトウェアを用いて分析し、測定した。
結果
抗体結合
APTES修飾粒子を抗VEGFR2と結合させるのに使用した粒子の総数は、約7.03×10個であった。以下の表3に列挙するように、2つの異なる量の抗VEGFR2を、結合のために使用した。
Figure 2010500375
異なる実験では、結合後に、粒子を0.5%トリトンX−100を含有するリン酸緩衝液中で6回洗浄、遠心し、その後に単純なリン酸緩衝液中で4回洗浄し、次いでプレートリーダーで読み取った。以下の表4に列挙するように、2つの異なる量の抗VEGFR2を、結合のために使用した。
Figure 2010500375
表4によって示したように、結合の間に、すべての場合において、粒子の数が著しく低減した。これは、溶液から非結合抗体を除去することに伴う多数の洗浄ステップに間に受けた損失に起因し得ると思われる。
Figure 2010500375
装填および放出
量子ドット(Qドット)および単一壁カーボンナノチューブ(SWNT)を、その独特で優れた性質の理由で、第2段階ナノベクターとして使用した。Q−ドットは、発光半導体ナノ結晶(CdSeまたはCdTe)であり、その高輝度、光安定性および色識別多重化の能力のために、in−vitroおよびin−vivoの分子および細胞の画像化に対して、多くの研究が行われている。Q−ドットは、親水性ポリエチレングリコール(PEG)でコーティングすることにより、生体適合性を増大させた。ζ電位は、20mMのTrs緩衝液中のアミノ−PEG Qドットについて−1mVであり、カルボキシルPEG Qドットについて−32.8mVであった。流体力学サイズは、散乱光ダイナミック光散乱法を使用して、溶液中のコロイドの拡散係数によって測定した。アミノおよびカルボキシルQ−ドットは、同様の流体力学サイズを示す(それぞれ13および17nm)。
SWNTは、秩序だった中空の「巻き上げ」構造であり、高いアスペクト比、大きな表面積、高い機械的強度、超軽量、優れた化学的/熱的安定性を有する。SWNT表面をペプチド、タンパク質および薬剤で官能化するために、多くのプロトコルが研究されている。本研究では、SWNTは、直径が2〜4nmであり、長さが30と100nmの間であり、表面をPEG−アミンで官能化して、水および生理的食塩水中での溶解性を提供し、蛍光画像法のためにFITCをさらに連結した。ζ電位測定は、20nMのTRIS緩衝液中で−9.2mVを示す。
量子ドットを粗孔粒子中に装填することへのTris濃度の効果を、最初に調査した。Trisを緩衝剤として選択したが、これは、Trisが他の緩衝剤と比較して、量子ドット(Q−ドット)に対して最も高い安定性を示すことができるためである。装填したQ−ドット粒子の平均蛍光量を、Tris濃度の関数として研究した。この粒子上の蛍光シグナルは、Tris濃度が増加するにつれて増大した。200mMの濃度のTrisは、装填に関して最良の効果を示し、したがって、その後のすべての実験のために選択した。
「大きな(粗い)多孔質」シリコン粒子の装填能力は、対照として「小さな(細かい)多孔質」シリコン粒子を使用することによって評価した。Q−ドットの流体力学サイズは、13〜15nmであり、細孔(5nm未満)中に入ることはできないが、その表面上に留まるはずである。装填についてのQ−ドットの濃度効果は、Q−ドットの量を10ピコモルから2マイクロモルに変更し、すべての反応を同じ最終体積(20μl)中でインキュベートすることによって実施した。試料の装填はFACSで分析し、2μMの量子ドット濃度により、最高レベルの装填がもたらされ、したがって、その後のすべての実験のために使用した。
Q−ドットでの粒子の装填時間/ダイナミクスは、異なるインキュベーション時間(15分、30分、および60分)によって研究した。Q−ドットの粒子中への装填は、15分以内にその最大に到達する非常に速いプロセスであった。その後、図21のパネルa〜dに示すように、蛍光シグナルは時間とともに徐々に低下する。
粒子の表面性質も、装填カイネティクスにおいて重要であることが判明した。図21のパネルa〜dに示すように、カルボキシルPEG Q−ドットは、酸化粒子中にわずかしか装填されないことを示した。これは、両粒子が負に帯電していたので、静電気力に起因し得る。シリコン粒子の表面をアミノ基(APTES)で修飾した場合、表5に示したように、ζ電位は、正(+5〜+6mV)になった。APTES処理粒子中へのカルボキシルQ−ドットの装填は、著しく増大した。アミノ−PEG Q−ドットの電荷は、ほとんど中性(−1〜+1mVのζ電位)であり、シリコン粒子のAPTES処理は、装填に軽微に影響しただけであった(ζ電位は、−11mVから+6mVに変化した)。
LP酸化粒子からのアミノ量子ドットの放出のカイネティクスは、指数関数様であり、20分後に装填ナノ粒子の量が33%減少し、45分後に67.5%減少した。20時間後では、最初の蛍光量の残りの1%のみが粒子に関連すると判明し、すべての量子ドットをナノ多孔質シリコン粒子から放出することができることを示した。
蛍光消光
35μg/mlのFITC結合単一壁カーボンナノチューブ(FITC−SWNT)を含有する溶液、およびそのmilliq純水中の段階希釈液(1:2から1:2048の範囲)の蛍光を測定した(図6AのパネルA)。最初の3つおよびより濃縮された試料(それぞれ、35、17.5および8.725μg/ml)の蛍光値は、濃度のより薄い溶液の値よりも低かった。これは、蛍光消光として知られる現象である。対照として、8μMから4nMの範囲のカルボキシペグ化量子ドットの一連の溶液を用いて同じ読み取りを実施し、これは、希釈とともに蛍光値の線形性減少を示した。APTES修飾LP粒子のFITC−SWNTでの装填における、蛍光消光ダイナミクスを評価した。実験は以前に説明した通りに実施した。曲線のプロファイルは、より多い量のFITC−SWNTの装填により、蛍光消光が誘発され、したがってシリコン粒子の蛍光の減少がもたらされることを示した。20μg/mlの濃度を、その後のすべての実験のために選択した(図6AのパネルBおよび図20のパネルB)。
粗孔粒子中にPEG−FITC−SWNTおよびq−ドットを装填することへのTris濃度の効果も調査した。図6BのパネルC〜Fを参照されたい。パネルEおよびパネルFは、Tris濃度の関数としての、LP APTES修飾およびLP酸化シリコン粒子中のPEG−FITC−SWNT装填粒子の平均蛍光量を示す。粒子上の蛍光シグナルは、Tris濃度が増加するにつれて減少した。20mMの濃度のTrisは、装填に関して最良の効果を示し、したがって、その後のすべての実験のために選択した。
カーボンナノチューブの装填
酸化およびAPTES修飾の両方のLPおよびSP粒子の、FITC−SWNTでの装填のダイナミクスを評価した。実験は、20μg/mlの蛍光ナノ粒子を使用して、以前に説明した通りに実施した(図4のパネルA〜Dを参照されたい)。この実験設定では、装填時間ダイナミクスは、LP APTES粒子の場合速く、これは、後の時点で同様の減少を示した(図4のパネルBおよび図21)。LP酸化粒子の装填については、異なるカイネティクスが観察され、これは、実験の全継続期間の間増加し、60分の時点でその最大に到達した(図4のパネルA、および図21)。
細孔粒子(SP)の装填の間に、同じ装填パターンが起きていた。APTES修飾粒子は、非常に急速に装填し、次いで時間を通じていくらかのその関連する蛍光を失ったが(図4のパネルD、および図21)、酸化SP装填は、LP粒子で起きたように時間とともに増加し、APTES修飾は、装填プロセスにおいて重要な役割を果たすことを示した(図4のパネルC、および図21)。
LP酸化粒子からのPEG−FITC−SWNTの放出のカイネティクスは、最初の時点では指数関数様であった。この放出は、後の時点では減速した。20時間後では、最初の蛍光量の残りの20%のみが粒子に関連すると判明し、ペイロードの一部は、ナノ多孔質シリコン粒子中に保持される場合があることを示した(図7Bおよび図21)。
ナノリポソームも、上述したのと同じダイナミクスでLP粒子中に装填された。シリコン粒子に関連する蛍光は、蛍光顕微鏡観察によって可視化した(図8AのパネルAおよびB、図8BのパネルEおよびF)。
分解
多孔質シリコン(PSi)は、完全に生分解性(Mayne 2000;Low,Williamsら、2006)であり、生体適合性(Canham 1995)であることが知られている。シリコンウェハーについてすでに説明されているプロトコル(Canham 1997)に従って実施した酸化プロセスにより、露出したシリコン表面上にヒドロキシル基(OH)を導入し、水の存在下でこれらの基を加水分解にかけ、こうして固体シリコンを非常に可溶性のケイ酸に変換した。
SEM
粒子のサイズ、形状および全体的なアスペクトにおける変化の研究を、走査電子顕微鏡(SEM)によって実施した(図9および10)。像により、粒子は、高い多孔性を有する範囲から開始して時間とともに分解し、次いで分解は、多孔性がより低く、孔のサイズがより小さい粒子縁部に広がることが示された。粒子の全体的な形状は、生じた分解プロセスの最後まで、ほとんど無傷のままであったことが認められるのは驚くべきことである。本発明は、その作用の理論によって限定されないが、この驚くべき観察結果は、酸化シリコン表面の浸食により、孔同士間の壁が進行的に消費され、こうして粒子の中心において欠陥および空孔が生じるという事実によって説明することができる。孔数がより少なく、孔同士間の壁がより厚い粒子側部を溶解するのに、同じプロセスでは、より多くの時間がかかった。
Z2 Coulter
ナノ多孔質シリコン粒子の分解の特徴付けを、いくつかの技法によって実施した。粒子数およびその体積の減少の測定は、Z2 Coulter(登録商標)粒子計数器およびサイズ分析器(Beckman Coulter)を用いて実施した。粒子は、回転ホイール(8rpm)内で、2つの異なる溶液、すなわち、pH7.3のTris 2.5mM、0.9% NaCl(生理食塩水)と10%のFBSを含む細胞培養培地(CCM)中、37℃で24時間維持した。孔のサイズが、分解カイネティクスにおいて役割を有するかどうかを理解するために、7〜10(SP)ナノメートルの小さい孔を有するシリコン粒子と20〜30ナノメートルの大きい孔(LP)を有する粒子の両方を使用した。
生理食塩水中でインキュベートした粒子では、LPおよびSPのいずれの場合でも、その中央値サイズ分布のいかなる有意な減少も示されなかった。一方、その数は、時間全体を通して漸次低下した(図11のパネルA)。これらの結果を一緒に合わせると、図11のパネルCに示したように、24時間で、LPおよびSP粒子の両方について、全体で50%以上のシリコン粒子質量の損失を意味し得る。
CCM中でインキュベートした粒子で実施した実験では、その中央値サイズおよび数の両方が減少した(図11のパネルB)。これらの結果を一緒に合わせると、LP粒子について60%、およびSP粒子について90%超の粒子質量の損失が示された。
ICP
ICPでの読み取り値は、分解後に存在するケイ素の量の線形性増加を示した。これらのデータにより、分解の検証についてのICP−AES法の能力が確認された。データは、規則的で、低い標準偏差を伴い、試験の間の粒子数および粒径のZ2の読み取り値との強い相関関係を有していた。TRIS緩衝液とは対照的に、細胞培養培地中で起きた分解の増大により、細胞培養条件下でのこれらの粒子の高い生分解性が示された(図12AのパネルA〜B、および図12BのパネルC〜D)。
生体適合性
シリコンナノ多孔質粒子は、乳酸脱水素酵素(LDH)毒性アッセイ(Biovision Inc.)による細胞毒性、MTTアッセイ(Promega)による細胞増殖、ならびにヨウ化プロピジウム染色によるアポトーシスおよび細胞周期を誘発した。
明視野顕微鏡観察
多孔質シリコン粒子の存在下で成長した細胞は、時間中にいずれの重大または異常な種類の形態変化も示さなかった(図13のパネルA〜D)。この細胞は、12時間後に50%のコンフルエンシーであり、これは、24時間後にほぼ100%のコンフルエンシーに到達した。図13のパネルA〜D中に白色矢印で示したように、48時間後に、アポトーシスまたはより一般的に、細胞死の何らかの徴候が明白であり、72時間後には、さらにより明白であった(明るく、丸みのある、反射性の(reflectant)細胞、または大きな多小葉核(multilobular nuclei)を有する、もしくは細胞体の高い狭小化を伴う細胞)。これは主に、細胞がすでにコンフルエンシーに到達し、さらに成長する空間を見つけることができず、したがって、細胞分解のいくつかのプロセスを起こしたという事実のためであった。
LDH毒性アッセイ
LDHは、細胞溶解すると細胞質中に放出される細胞質酵素である。したがって、LDHアッセイは、膜完全性の測定である。LDHアッセイの基本は、LDHによる乳酸のピルビン酸への酸化、テトラゾリウム塩とのピルビン酸反応によるホルマザンの形成、および水溶性ホルマザンの分光光度検出である。(Decker,T.& Lohmann Matthes,M.L.(1988)J.Immunol Methods 15:61〜69;Korzeniewski,C.&Callewaert,D.M.(1983)J.Immunol Methods 64:313〜320)。
毒性較正曲線(図14AのパネルA)を作成することによって、蛍光光度計で読み取った吸光度を、1%トリトンインキュベーションによって溶解した細胞数と相関させた。この較正曲線から、粒子のインキュベーションの間にLDH酵素を放出していた細胞の量を導出した。12および24時間では、毒性シグナルは非常に低く、トリプシン処理および播種から回収しなかった非結合細胞に主に起因し得ると思われる(バックグラウンド毒性)。これは、実験プレートに由来する毒性値を、対照プレートにおいて測定した毒性値と比較することによって確認した(図14AのパネルB)。いずれの粒子も含まない96ウェルプレート中で成長したHUVEC細胞の毒性(陽性対照)は、72時間で、470nmで0.496の平均吸光度を示した。これは、1:1の比でインキュベートした細胞からの値(0.507)とほとんど同じ値であった。より高い細胞:粒子の比(1:5および1:10)では、毒性についての平均値は、それぞれ0.55および0.57であった(図14AのパネルBおよび図14BのパネルC〜F)。すべての実験条件で同じ毒性パターンが観察され、したがって、多孔性および表面の化学的性質により細胞毒性は増加も減少もしなかったことを示している。すべて一緒にして、これらの結果により、細胞を粒子に暴露することによる、いかなる大きな毒性も示されなかった。
MTT増殖アッセイ
MTTは、黄色の水溶性テトラゾリウム色素であり、これは、生細胞によって還元されて水不溶性紫色のホルマザンになる。ホルマザンの量は、これをDMSO中に可溶化し、分光光度的に測定することによって求めることができる。処理細胞と未処理細胞のスペクトル間での比較は、細胞毒性の相対的推定を示すことができる(Alleyら(1988)Cancer Res.48:589〜601)。蛍光光度計で読み取った吸光度値を成長中細胞の数と相関させるための毒性較正曲線(図15のパネルA)。この較正曲線から、代謝的に活性であった細胞の量を導いた。
12、24および48時間では、粒子でインキュベートした細胞の増殖は、対照プレート中の増殖と正確に同じであった(図15のパネルB)。72時間では、570nmの平均吸光度は、いかなる粒子も用いないで培養したHUVEC細胞(陽性対照)について1.635であったが、1:1の比でインキュベートした細胞からは、1.623であった。より高い細胞:粒子の比(1:5および1:10)では、HUVECは、それぞれ1.46および1.41に等しい吸光度値を示した(図15のパネルB〜F)。これらの低い値は、細胞が多数の粒子の存在下で培養された場合の、細胞増殖のわずかな減少と相関した。これは、72時間で、LDHアッセイを用いて測定した毒性のわずかな増大と一致した(図14AのパネルB、および図14BのパネルC〜F)。
すべての実験条件で同じ増殖パターンが観察され、したがって、多孔性および表面の化学的性質により、細胞成長は増大も低下もしなかったことを示している。すべて一緒にして、これらの結果により、細胞を粒子に暴露することによる、細胞生存率のいかなる有意な変化も示されなかった。
細胞周期およびアポトーシス
1:5の比の粒子(酸化またはAPTES修飾したLPおよびSP)に12、24、48および72時間暴露したHUVEC細胞を、固定化およびヨウ化プロピジウム染色した後にFACSで分析した。ドットプロットおよび等高線プロットにおける、前方散乱(FSC)および側方散乱(SSC)を最初に分析した(図16のパネルA〜C)。FSCパラメーターは細胞サイズの情報を提供し、SSCは細胞形状の情報を提供した。各パネルの底部の3次元プロットは、z軸上でカウント数または事象を示し、FACSで分析した細胞の全体的な分布に関する情報を提供した。
より小さく、均一性の低い形状によって特徴付けられた、ネクローシス/アポトーシス細胞のピークを、赤色矢印で示す。図16のパネルA〜Cに報告したデータは、生理食塩水(対照)ならびにLPおよびSP酸化シリコン粒子と共にインキュベートしたHUVEC細胞に関係する。時間に伴う細胞分布は著しく変化し、48および72時間で、低SSC、低FSC領域で大幅に蓄積していた。3グループの中で細胞分布の有意な差異はまったく認められず、LPおよびSP APTES修飾粒子で処理した細胞から、同じ結果が得られた。本発明は、その作用の理論によって束縛されないが、後の時点での細胞死の誘発は、オーバーコンフルエンシー(overconfluency)に起因し得るであろう。これは予期することができたが、その理由は、粒子が毛細血管の内皮壁に接触すると思われる生理溶液にできるだけ近く実験を維持するために、播種した細胞が、0日目で60%のコンフルエンシーであったためである。
細胞周期の異なる位相における、処理したHUVEC細胞の分布も、定量的に測定した(図17A〜17D)。対照細胞に由来するデータ(図16のパネルA、HUVEC+生理食塩水)を、LPおよびSP処理した細胞に由来するデータと比較することによって、ナノ多孔質シリコン粒子への暴露は有毒ではなく、細胞死の量のいかなる有意な増加も誘発しないことが確認された。処理細胞と未処理細胞との間で、細胞周期の位相の変化はまったくないことも実証された。
無傷の粒子だけでなく、その分解産物もいかなる毒性も誘発しなかったことを実証するために、HUVEC細胞を、すべての粒子種の分解産物を含有するCCMでインキュベートし、これまで説明した結果を確認した(図17D)。細胞を、SP酸化、ならびにSPおよびLP APTES修飾粒子の分解産物と72時間インキュベートした場合、アポトーシス領域の細胞量のわずかな増加が測定された。分解プロセスの間に生じた、より小さいシリコン断片が、何らかの種類の毒性を誘発した可能性もあり得る45〜48
正確に制御して、多種類のナノ粒子を細胞中に装填し、担持、放出および送達することのできる第1段階担体として、特定のサイズのナノ孔を含む生分解性シリコン粒子に基づく多段送達システムを開発した。第1段階シリコンナノ多孔質粒子は、異なる種類の第2段階ナノ粒子を同時に装填することができ、この第2段階ナノ粒子は、時間とともに持続性様式で放出される。第2段階ナノ粒子の装填および放出を制御する、主な物理的、化学的、および静電気的機構を明確にした。最後に、多孔質シリコン担体は、第2段階ナノ粒子を細胞質中に局所的に送達することができることを示した。総合すると、これらの研究により、シリコンナノ多孔質粒子は、異なる種類のナノベクターを細胞中に同時に送達するためのカーゴとして使用することができるという証拠が提供される。このシステムは、多数の治療剤および/または造影剤の細胞内送達を達成するための前例のない方法を提供することができる。
緒言
過去10年におけるその開発以来、ナノテクノロジーは、疾患の検出、診断、および治療のための生物医学的研究における多種多様の用途において使用されている1〜3。このナノ粒子の開発および洗練を伴う多くの研究の目的は、器官、組織、および細胞に治療分子または造影分子を送達するための作用剤としての使用に焦点を当てている4,5。様々なサイズおよび組成のリポソーム6,7、量子ドット(Q−ドット)8,9、酸化鉄10、単一壁カーボンナノチューブ(SWNT)11、金ナノシェル12,13、ならびにいくつかの他の種類のナノ粒子14を含めた、いくつかの異なるナノベクターが、治療上の使用のために評価されてきた。これまでの進歩により、「分子標的治療剤」15〜18として定義される分野が発生したが、ナノベクターベース送達システムを使用して治療剤を選択的に送達することである、最初の目的の達成は、完全には実現されていない19,20
ナノベクターをナノ多孔質シリコン粒子中に組み込むことにより、このナノベクターが、通常その治療効果を遅延させ得る天然の生物学的バリアーをくぐり抜けることが可能になり得る。そのような手法は、治療剤を通常早早に分解する恐れのある周囲の体液および分子、ならびに細網内皮系(RES)による取り込みから治療剤を保護することができる。これは、標的組織への治療剤の送達の増大および投与量の集中を提供しながら、活性剤のより大きな安定性を導くことができる。
第1段階シリコンナノ多孔質粒子中への、第2段階ナノ粒子の多数および同時装填を達成した。第2段階粒子(Q−ドットおよびSWNT)は、第1段階粒子が、特定の生物学的標的部位に到達するのに十分な時間にわたって徐々に放出された。装填および放出プロセスを支配する、主な物理的、化学的および静電気的機構。ナノ送達システムは、そのペイロードを細胞中に局所的に放出することができた。
結果
第1および第2段階粒子
シリコンマイクロ粒子は、その体積、サイズおよび濃度を測定するために、Z2 Coulter(登録商標)粒子計数器およびサイズ分析器によって、ならびにその形態を詳細に評価するために走査電子顕微鏡(SEM)によって特徴付けた。図19のパネルaおよびbは、それぞれ、「粗孔」(LP)および「細孔」(SP)シリコン粒子の、裏面および前面、ならびに断面の代表的なSEM像を示す。これらの粒子は、非常に多孔質であり、形状が半球状である。LP粒子の直径は、約3.5μmであり、直線輪郭の孔を含み、これは、粒子をその外部表面まで垂直に横断し、20から30nmの範囲の孔径を有する(図19のパネルa)。SPシリコン粒子は、3.2μmの平均直径を有し、これらを作製するために使用した陽極酸化および電解研磨プロセスの結果として、LPシリコン粒子よりも扁平な形状を有し、10nm未満の孔径を伴っている(図19のパネルb)。LPおよびSPシリコン粒子の両方は、0.5〜0.6μmの厚さを有する。BET分析によれば、その表面積は、LP粒子については156m−1であり、SP粒子については294m−1である。孔体積は、LP粒子については0.542cm−1であり、SP粒子については0.383cm−1である。孔の密度、サイズ、形状および輪郭は、電流、エッチング時間、およびドーピングを変更することによって精密に調整することができ、これは、バッチ間で再現性がある。非酸化シリコンは疎水性材料であるが、シリコンベース材料を安定化させ、オリゴヌクレオチド27、生体分子28、抗体29,30、およびポリエチレングリコール(PEG)鎖31でさらに機能化するために、様々な表面処理プロトコルが利用可能である。酸化シリコン粒子は、粒子表面上にヒドロキシル基が存在するために、負のζ電位値(LPについては−10.1、SPについては−11〜25)を有する32。APTESで修飾された粒子は、その表面上にアミノ基を導入する結果として、正のζ電位値(LPについては6.52、SPについては6.45)を有する。Q−ドットの流体力学サイズを、ダイナミック光散乱法を使用して、溶液中のコロイドの拡散係数によって測定した。直径は、アミノ−PEG Q−ドットについては13nmであり、カルボキシルQ−ドットについては16nmであった。PEG−FITC−SWNTのサイズは、AFM顕微鏡観察によって評価した。非PEG化SWNTの直径は、約1nmであるが、ナノチューブを包囲しているPEGのために、本研究のために使用したPEG−FITC−SWNTは、4nmの平均直径、および30nmの平均長さを有していた。SWNTは、SWNT切断プロセスによって得たカルボン酸を介して、PEG−アミンを使用して機能化し、FITCに結合させることによって、その蛍光画像化を可能にした。蛍光性を有する第2段階粒子を選択することによって、確立した技法、例えば、フローサイトメトリー、蛍光定量法、ならびに蛍光および共焦点顕微鏡観察の両方などを使用して、シリコンナノ多孔質粒子中への装填およびこの粒子からの放出を定量化した。第1および第2段階粒子の物理的および化学的性質を、表6に要約する。
Figure 2010500375
第1段階シリコン粒子中への第2段階ナノ粒子の装填
ナノ粒子を第1段階シリコン粒子の孔内部に効率的に装填するためのプロトコルを開発した。装填プロセスに影響する要因の1つは、粒子を包囲している媒質中の第2段階粒子の量である。漸増量のQ−ドット(図20のパネルA)およびPEG−FITC−SWNT(図20のパネルB)の両方を装填したシリコン粒子の蛍光強度の分析により、粒子装填は、第2段階粒子濃度に直接相関することが実証された。第2段階粒子の濃度を上昇させることによって、フローサイトメトリー(図20のパネルAおよびB)および蛍光顕微鏡観察での直接可視化(図20のパネルCおよびD)によって評価したように、進行的により高いレベルの装填が達成された。
これらの研究により、第1段階シリコン粒子および第2段階粒子の両方の表面の化学的性質は、装填効率および集合多段階ナノ粒子担体システムの安定性に影響することも実証された。これらの観察結果は、図21のパネルaおよびパネルcに示した結果によって確認され、負の表面電荷(−32.8mVのζ電位)を有していたカルボキシルQ−ドット、および負の表面電荷(−9.21mVのζ電位)を有するPEG−FITC−SWNTは、負の表面電荷を有していたLP酸化シリコン粒子中よりも、LP APTES修飾シリコン粒子中に効率的に装填することができた。多孔質シリコンを修飾するのに利用可能な広範なプロトコルを考慮すると27,29〜35、第1および第2段階の表面の化学的性質を活用することによって、任意の種類の第2段階粒子を効率的に装填することが可能である。
第2段階ナノ粒子の装填は、非常に急速なプロセスであった。図21のパネルaおよびcは、LP酸化シリコン粒子およびLP APTES修飾シリコン粒子を、固定量のアミノQ−ドットおよびカルボキシルQ−ドットの両方、ならびにPEG−FITC−SWNTでインキュベートした場合に得られた結果を例示する。第1段階多孔質シリコン粒子の完全な装填は、第1段階多孔質シリコン粒子と第2段階粒子の組合せが、上述した静電気的基準に適合する場合、15分以内に起きた。SP酸化シリコン粒子およびSP APTES修飾シリコン粒子の、第2段階ナノ粒子での装填も評価した(それぞれ、図21のパネルcおよびd)。Q−ドットサイズは、13と16nmの間であり、したがって、これらは、SPシリコン粒子の孔(5〜7nm)中に装填することはできなかった。一方、LPシリコン粒子の孔(20〜40nm)は十分に大きいことによって、Q−ドットの装填を可能にした。結果として、SP粒子の平均蛍光量は、LP粒子のわずか6%であった。逆に、より小さいサイズのPEG−FITC−SWNTは、SP粒子の孔と適合し、装填の増大をもたらした(PEG−FITC−SWNTの25%がLPシリコン粒子中に装填された)。
第1段階シリコン粒子からの第2段階ナノ粒子の放出
薬剤送達のための手段として多段階送達システムを評価するために、ナノ多孔質シリコン第1段階粒子からの第2段階粒子の放出のカイネティクスを調査した。生理的条件を模倣するために、すべての実験を、緩衝生理食塩水中37℃で実施し、放出溶液を各時点で交換した。図21のパネルe〜hは、両種類の第2段階粒子が、時間とともに第1段階シリコン粒子から放出されたことを示す。驚いたことに、放出プロセスは持続され、完全な放出は20時間後に到達した。さらに、放出カイネティクスは、Q−ドットとPEG−FITC−SWNTの間で著しく異なり、Q−ドットは、SWNTよりも著しく速く放出された。
SP酸化シリコン粒子(図21のパネルf)およびSP APTES修飾シリコン粒子(図21のパネルh)を用いて実施した対照実験により、Q−ドットは、孔内部に装填されないことが確認された。SPシリコン粒子表面からのQ−ドットの脱離は、大量で急速であり(15分で80%超)、Q−ドットがシリコン粒子表面と緩く相互作用していたことを示している。対照的にLPおよびSPシリコン粒子からのPEG−FITC−SWNT第2段階ナノベクターの放出のカイネティクスは比較に値し、PEG−FITC−SWNTが、第1段階SP粒子の孔中に装填されたことを確認した。
共焦点顕微鏡観察を使用することによって、シリコン担体の孔中への第2段階ナノ粒子の装填をさらに特徴付けた。図22のパネルa〜bは、カルボキシルQ−ドットを装填したLP APTESシリコン粒子の、一連の3次元投影および回転を示す。より大きな孔が存在する、シリコン粒子の裏面の中心領域において、より強い蛍光シグナルが検出された。図19のパネルaを参照されたい。周囲範囲に由来する強度の弱いシグナルは、より小さい孔中への部分的な装填、またはQ−ドットのシリコン粒子表面との相互作用のいずれかによるものであった。
多重装填
赤色蛍光Q−ドット(565nmで発光)および緑色蛍光PEG−FITC−SWNT(510nmで発光)を、同じナノ多孔質シリコン粒子中に同時に装填した(図23AのパネルAおよびB)。これらの研究により、両種類の第2段階粒子を、同じナノ多孔質シリコン粒子担体中に装填することができることが実証された。多重装填のダイナミクスは、単一装填について説明したものと異なり、60分後に安定なプラトーに到達した。PEG−FITC−SWNTは、おそらくそのより小さいサイズの結果として、孔内部に滞在するのが最初であり、一方、より大きなQ−ドットは、より多くの時間がかかったが、より高いレベルの装填に到達した(図23BのパネルC)。シリコン担体からの両種類の第2段階粒子の放出プロファイルは、図21のパネルBに示した放出の観察結果と比較して、ほとんど変化しないままであった(図23BのパネルD)。図23CのパネルE〜Hに示した共焦点顕微鏡像は、2つの異なる第2段階ナノベクターが、シリコン粒子の異なる範囲に優先的に局在化したことを示す。その大きなサイズを考慮すると、Q−ドットは、より大きな孔と関連して中心範囲内に専ら見出された。PEG−FITC−SWNTは、粒子全体のまわりに見出され、より小さな孔と関連して、主に粒子の辺縁部に沿って蓄積していた。
装填したシリコン粒子を37℃で1時間、HUVEC細胞でインキュベートした場合、第2段階粒子は局所的に放出され、第1段階粒子が到達した細胞によって選択的に内部移行された。Q−ドット(図24のパネルa〜d)およびPEG−FITC−SWNT(図24のパネルe〜h)は、細胞の細胞質ゾルに入り、細胞質小胞内部にかなり蓄積した。次に、第1段階シリコン粒子中に両ナノ粒子を装填した後に、このナノ粒子を送達することを試みた。両ナノ粒子の内部移行は、蛍光シグナルの共局在化によって示されるように、同様のカイネティクスおよび同じ機構によって生じた(図24のパネルj〜m)。すべての場合において、3.5μmのシリコン粒子自体は、1時間以内に細胞によって内部移行されなかった。図24のパネルd、hおよびmの明視野像は、粒子形態の詳細を示し、シリコン粒子は、細胞によって内部移行されるよりも外部の細胞表面に会合されたことを示しており、これは、共焦点画像法によっても検証された。
考察
シリコンは、マイクロエレクトロニクス産業において広く使用されており、マイクロチップの大量生産、ならびにバイオセンサー、植込み可能デバイス、および薬剤送達システムの開発に関して、その能力を実証している36〜39。バルクシリコンは、生理的緩衝液中で不活性なままであるが、多孔質シリコンは、孔径密度によって、数時間から数日まで精密に調整することのできる分解カイネティクスを伴う、高度の生分解性を有する40,41。多孔質シリコン粒子は、分解してケイ酸になり、これは身体に対して無害であり、本発明者らは、無傷なシリコン粒子全体またはその分解産物のいずれも、細胞にとって細胞毒性ではないことを見出した。製造プロトコルは、任意の所望の形状、サイズ(100nmから数百μmの寸法)、孔径(5〜100nm)、および/または孔密度のシリコン粒子を製造することを可能にすることができる。
さらに、血漿タンパク質吸着、RES取り込みを低減するため、および薬剤送達システムとして粒子の循環時間を増加させるために、シリコン粒子表面にPEGを結合させること42(投稿準備中)のような、粒子を化学的に修飾するためのプロトコルを開発した。治療上重要なリガンド、例えば、血管内皮成長因子受容体2(VEGFR2)および上皮成長因子受容体(EGFR)などに向けられた特定の抗体へのシリコン粒子の結合の成功により、実施例1で上述したように、初代HUVECのin−vitro細胞培養モデルを使用して、その標的化および選択的細胞毒性が評価された。
本研究は、ナノ多孔質シリコン粒子に、異なる性質、サイズおよび形状の第2段階ナノ粒子を効率的に装填する能力の証拠を提供する。装填プロセスは、ナノ粒子濃度を調節する、かつ/または第1および第2段階粒子のいずれかもしくは両方の化学的表面性質を利用することによって制御することができる。本研究において、ナノ粒子放出のダイナミクス、およびナノ多孔質シリコン粒子の、多種類のナノ粒子で同時に装填される能力を示した。これらの研究により、第2段階粒子として使用したQ−ドットおよびPEG−FITC−SWNTが、第2段階粒子のサイズおよび化学的性質によって、第1段階シリコンナノ多孔質粒子担体の異なる区画に局在化することができることが明白に実証された。さらに、装填および放出プロセスに関与する重要な機構および原動力を特定し、分類した。シリコン粒子の孔と第2段階粒子との相対的サイズは一緒に、最も成功する構成の第1および第2段階粒子の組合せを決定することができる(図25のパネルA)。第2段階ナノベクターの濃度は、装填プロセスの効率に影響し、このプロセスは、シリコン粒子のナノ孔中への、第2段階粒子の受動拡散および毛管対流の両方によって制御することができる。第2段階ナノベクターの、シリコン粒子のナノ孔との流体力学的相互作用およびブラウン運動は、集合システムの安定性および第2段階粒子が第1段階シリコン粒子のナノ孔内部に装填されたままでいる時間に影響する(図25のパネルB)。最後に、考慮することのできる第3の機構は、第1段階シリコン粒子担体と第2段階ナノベクターの間の静電気的相互作用である(図25のパネルC)。総合すると、これらの特徴のそれぞれは、第1段階ナノ多孔質シリコン粒子中に装填することのできる第2段階ナノベクターの量の精密な調整を可能にすることができ、これは、薬剤送達の将来用途における特定の薬理学的要求に適合することができる。
多段階ナノ担体システムの本来の性質および独特の性質により、腫瘍を同時に検出し、次いで破壊するため、または他の病理学的状態を画像化し、次いで治療するために、多数の治療剤、透過エンハンサーまたは造影コントラスト剤を送達することが可能になり得る。
方法
多孔質シリコン粒子の製造
0.005オームcm−1の抵抗率を有する、高濃度ドープp++タイプSi(100)ウェハー(Silicon Quest International、Santa Clara、CA、USA)を、基材として使用した。低圧化学気相堆積(LPCVD)システムによって、200nmの窒化ケイ素層を堆積させた。標準的なフォトリソグラフィーを使用することによって、接触式アライナー(EVG 620アライナー)を使用してパターン形成した。小径(100〜500nm)のシリコン粒子を、フラッシュインプリントリソグラフィーによって得た。次いで、反応性イオンエッチング(RIE)によって、窒化物を選択的に除去した。フォトレジストは、ピラニア(HSO:H=3:1(v/v))で除去した。次いでウェハーを自作のテフロン(登録商標)セル中に置き、電気化学エッチングを行った。粗孔(LP)を有するシリコン粒子は、フッ化水素酸(49%のHF)とエタノールの混合物(3:7v/v)中で、80mAcm−2の電流密度を25秒間印加することによって形成した。高多孔性層は、320mAcm−2の電流密度を6秒間印加することによって形成した。細孔(SP)を有するシリコン粒子の製造については、HFとエタノールの溶液を1:1(v/v)の比で使用し、6mAcm−2の電流密度を1.75分間印加した。高多孔性層は、(2:5v/v)の比を有するHF:エタノール混合物中で、320mAcm−2の電流密度を6秒間印加することによって形成した。HFによって窒化物層を除去した後、イソプロプルアルコール(IPA)中、1分間の超音波によって粒子を放出した。多孔質シリコン粒子を含有するIPA溶液を収集し、4℃で保管した。
BET測定
77Kで得られる、窒素吸着脱着体積等温線(volumetric isotherm)を、Quantachrome Autosorb−3b BET表面分析装置で測定した。試料を、真空中、150℃で一晩ベーキングした。粒子表面積は、0.05から1のP/P0の圧力範囲で、BET線形化によって得た。LP粒子については、窒素吸着−脱着等温線測定を使用して、BET表面積は156m−1であり、孔体積は0.54cm−1であった。平均孔径は、約24.2nmであると推定した。SP粒子については、BET表面積は294m−1と測定し、孔体積は0.38cm−1であり、平均孔径は、7.4nmであった。
溶液中の粒径および濃度の分析
粒子を、50μmの開口部サイズを用いて、Z2 Coulter(登録商標)粒子計数器およびサイズ分析器(Beckman Coulter、Fullerton、CA、USA)を使用してカウントした。分析のためのサイズの上限および下限を1.8および3.6μmに設定した。分析のために、粒子を、平衡電解質溶液(ISOTON(登録商標)II Diluent、Beckman Coulter Fullerton、CA、USA)中に懸濁させ、カウントした。粒子の最初の懸濁液の全体積は、最終分析体積の0.3%を超えなかった。この粒子計数器は、溶液中の粒子の濃度ならびに粒径分布の分析結果を表示する。
シリコンマイクロ粒子の酸化
IPA中のシリコンマイクロ粒子を、ガラスビーカー中で加熱する(80〜90℃)ことによって乾燥させ、次いでこれらをピラニア溶液(1:2のH:濃HSO(v/v))中で酸化させた。この粒子をH(30%)の溶液に加え、5510R−MT超音波洗浄器(BRANSONIC、Danbury、CT、USA)で30秒間超音波処理し、次いでHSO(95〜98%)を加え、この懸濁液を断続的に超音波処理して粒子を分散させながら、100〜110℃に2時間加熱した。次いでこの粒子を脱イオン(DI)水で洗浄した。DI水中での粒子の洗浄は、粒子懸濁液の4,200rpmでの5分間の遠心、その後の上澄みの除去およびDI水中での粒子の再懸濁を伴う。酸化シリコン粒子は、その後に使用するまで4℃でDI水中に保管した。
3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)でのシリコン粒子の表面修飾
シラン化の前に、酸化シリコン粒子を、1.5MのHNO中で約1.5時間ヒドロキシル化した。次いでこの粒子をDI水で3〜5回洗浄し、その後にIPAで2回洗浄した。次いでこのシリコン粒子を、0.5%(v/v)のAPTESを含有するIPA中、室温で45分間懸濁させた。次いで粒子をIPAで洗浄し(4,200gで5分間、5回)、4℃でIPA中に保管した。
Q−ドットおよび水蛍光標識水溶性SWNT
Q−ドットは、Invitrogen(Carlsbad、CA、USA)から購入した。本研究では、525nmおよび565nmの発光波長を有するアミノ−PEG(それぞれ、カタログ番号Q21541MPおよびQ21531MP)および525nmおよび565nmの発光波長を有するカルボキシルQ−ドット(それぞれ、カタログ番号Q21341MPおよびQ21331MP)を使用した。大幅に側壁をカルボキシル化した(heavily sidewall carboxylated)超短(US)−SWNT43を作製するために、丸底フラスコ中、窒素下で、精製したHiPco SWNT(0.100g)に発煙硝酸(SOを含まない20%、25mL)を加え、この混合物を一晩撹拌することによって、SWNTを分散させた(HiPco SWNTは、Rice大学のHiPco研究室から得た)。精製するために、確立された手順を続けた44。別個のフラスコ中で、濃硝酸(18mL)に発煙硝酸(SOを含まない20%、25mL)を徐々に加えた。この混合物をSWNTに直ちに加え、このSWNTを60℃に2時間加熱した。次いで、この溶液を氷上に徐々に注ぎ、0.22μmのポリカーボネート膜によって濾過した。濾過ケーキを水で徹底的に洗浄した。真空を解除し、このケーキを最小量のメタノール中に溶解させ、その後、エーテルを加えてUS−SWNTを凝集させ、再度真空にした。洗液が中性のpHに達するまで、エーテルを連続的に加えた。US−SWNTのケーキを真空下で乾燥させた。PEG化SWNTを得るために、丸底フラスコ中で30分間、超音波処理(浴またはカップホーン、およびモデル)を使用して、無水DMF(30mL)中にUS−SWNT(0.034g、3.1meqC)を分散させた。これに、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(0.32g、1.5mmol)、および5,200MWのヒドロキシエチルフタルイミド末端PEG(0.32g)を加え、この混合物を窒素下で24時間撹拌した。この溶液を透析袋(CelluSep H1、50,000MWCO、品番:1−5050−34、Membrane Filtration Products)に5日(5d)間移し、生成物をグラスウールを通して濾過することによって、透析袋中で形成した任意の粒子を取り出した。透析袋の内容物からフタルイミド部分を除去すると、PEG−末端アミン(HH−PEG−US−SWNT)が露呈した。ヒドラジン一水和物(10mL)を加え、この溶液を窒素下で12時間加熱還流することによって、PEG化US−SWNTの末端上に末端一級アミンを得た。生成物は、DI水中で5日間透析によって精製した。次いで、この溶液をホイルで包んだ丸底フラスコに移し、少量のDMF中に予め溶解させたFITC(0.12g)をHH−PEG−US−SWNT溶液に加えた。反応物を室温で12時間撹拌した。この溶液を透析袋に移し、暗所で5日間、DI水を用いて連続透析を続け、その後にグラスウールを通して濾過することによって、溶解しなかった粒子を除去した。最終生成物のFITC−PEG−US−SWNTは、共有結合的に結合する代わりにPEG−US−SWNTに物理吸着したいくらかのFITCを含んでいた。物理吸着したFITCの大部分は、水中で数ヶ月透析した後も、依然としてSWNTと会合したままであった。
シリコン粒子、Q−ドット、およびSWNTのζ電位の測定
シリコン粒子、Q−ドット、およびFITC−PEG−US−SWNTのζ電位は、Zetasizer nano ZS(Malvern Instruments Ltd.、Southborough、MA、USA)を使用して分析した。分析のために、粒子を20mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS−HCL)緩衝液(PH約7.3)中に懸濁させた。
第1段階シリコン粒子中へのQ−ドットおよびSWNTの装填
多段階ナノデバイスの開発に使用したシリコンナノ多孔質粒子には、LP酸化多孔質シリコン、SP酸化多孔質シリコン、ならびにAPTES修飾LPおよびSP粒子が含まれる。第2段階粒子には、アミノ−PEG Q−ドット、カルボキシルQ−ドット、およびPEG−FITC−SWNTが含まれる。最初の実験は、第1段階シリコン粒子中への第2段階粒子の装填量を滴定するために実施した。滴定実験の各実験点については、3.0×105個のシリコン粒子を使用し、これは、3μlのDI水を含む低結合性ポリプロピレンマイクロ遠心管(VWR International、West Chester、PA、USA)中で再懸濁させた。実験毎に、所与のモル濃度のTRIS−HCl溶液を、pH7.3に調整した。2μMのQ−ドット(5μl)または20ng/μlのPEG−FITC−SWNT(9μl)のいずれかを、TRIS−HCl溶液に加え、装填実験のための最終体積として20μlを用いた。試料は、回転ホイール(20rpm)上に、25℃で15分間置くことによってインキュベートした。インキュベーション後、試料を20mM、pH7.3のTRIS−HClで希釈して150μの体積にし、FACScalibur(Becton Dickinson)フローサイトメーターを使用して、蛍光強度について即座に検査した。Q−ドットおよびPEG−FITC−SWNTの、シリコン粒子中への濃度依存的装填を評価するために、0.01、0.1、1、10、100、1,000および2,000nMのQ−ドット、または0.05、0,1、2.5、10および20ng/μlのPEG−FITC−SWNTのいずれかとともに、3.0×105個のシリコン粒子、ならびに15分のインキュベーション時間を使用した。時間依存装填を評価するために、15、30、45および60分のインキュベーション時間で、3.0×105個の第1段階粒子、2,000nMのQ−ドットまたは20ng/μlのPEG−FITC−SWNTを使用した。シリコン粒子のQ−ドットおよびPEG−FITC−SWNTの両方での装填を評価するために、3.0×105個のシリコン粒子、1,000nMのQ−ドット、および10ng/μlのPEG−FITC−SWNTを、インキュベーションの同じ最終体積で使用した。
第1段階シリコン粒子からのQ−ドットおよびSWNTの放出の研究
酸化またはAPTES修飾したLPシリコン粒子(2.1×106)を、200mM、pH7.3のTRIS−HCl溶液中で、2μMのアミノ−PEG Q−ドットもしくはカルボキシルQ−ドット、または20mM、pH7.3のTRIS−HCl溶液中で20ng/μlのPEG−FITC−SWNT、または50mM、pH7.3のTRIS−HCl溶液中で1μMのQ−ドットおよび10ng/μlのPEG−FITC−SWNTの両方と混合した。すべての研究について、最終インキュベーション体積は140μlであった。第1段階シリコン粒子担体および第2段階粒子の試料は、回転ホイール(20rpm)を使用して、25℃で15分間インキュベートした。次いで、第1段階シリコン粒子および第2段階粒子を含有する溶液を、1.4mLのDI HO中で洗浄し、次いで、Beckman Coulter Allegra X−22遠心機中、4,200rpmで5分間遠心した。次いで、遠心後に存在するペレットを、70μlのDI HO中で再懸濁させ、各バイアルから10μlを取り出すことによって、フローサイトメトリーを使用して試料の蛍光を評価した。蛍光は、時間0、次いで6つの時点にわたって記録し、この時点は、30、60、90、180、360、および1,200分を含んでいた。各バイアル中に残った、残りの60μlは、20mM TRIS−HCl 0.9% NaCl放出緩衝液で3mlに希釈し、その後に回転ホイール(20rpm)を使用して、37℃で所定量の時間(30、60、90、180、360、および1,200分)インキュベートした。各時点で、試料を4,200rpmで5分間遠心し、フローサイトメトリーを使用して蛍光を評価した。
フローサイトメトリーのセットアップ
FACScalibur(Becton Dickinson)を使用して、粒子を蛍光について評価した。対数の側方散乱(SSC)対対数の前方散乱(FSC)を定義する2変数ドットプロットを使用することによって、シリコン粒子のサイズおよび形状(直径3μm、高さ1.5μm)を評価し、分析から非特異的事象を除外した。対照のレインボーBD Calibrite(商標)ビーズ(サイズ3.5μm)を使用することによって、装置を較正した。サイトメーターの信号対雑音比の限界に近すぎる事象を除外し、対象の主要集団の中心付近の電子的ゲートとして多角形領域(R1)を画定した。各試料について、R1領域内で検出された粒子の数は90%超であった。幾何平均蛍光強度(GMFI)の分析のためにドットプロットを作成し、蛍光チャネル1(FL1)とFL2対対数のFSCを、R1として画定されるゲート領域内に入る事象の分析結果と比較した。試料のそれぞれにおいて同定されたピークは、対応する蛍光ヒストグラムおよび記録される幾何平均値で分析した。粒子の検出については、使用した検出器は、FSC E−1、および474ボルト(V)の電圧設定のSSCであった。蛍光検出器FL1は、800Vに設定した。緑色蛍光(FITCおよびQ−ドット525)は、530/30nmバンドパスフィルターを使用して、FL1を用いて検出した。赤色蛍光(Q−ドット565)は、FL2を使用して検出した。単一色検出のみを分析したとき、色補正はゼロに設定し、赤色−緑色の2色検出を実施したとき、FL1補正はFL2の25%に設定し、FL2補正はFL1の35%に設定した。装置較正は、データ取得のための各一連の実験の前、間、および後にBD CalibriteTMビーズを使用して実施した。
走査電子顕微鏡観察
シリカ粒子の形態を、走査電子顕微鏡(SEM,モデルLEO1530)を使用して取得した。粒子は、SEM試料ステージ上に直接置き、乾燥させた。高塩濃度緩衝液中で試験する粒子については、DI水中で穏やかに洗浄するステップを実施した後、ステージ上に置いた。加速電圧は10kVであった。
タッピングモード原子間力顕微鏡観察(AFM)
AFM試料を、新たに劈開した雲母表面上にDMFから堆積させることによって調製した。試料をスピンコートし、断面分析を使用することによって、各試料の高さを求めた。AFM試料は、タッピングモードを使用して得た。
明視野顕微鏡観察
粒子を、40倍の拡大レンズを有するOlympus CKX4I顕微鏡を用いて、明視野コントラストで分析した。SP−350 Olympus True−Pic TURBO画像プロセッサーカメラで画像を撮影した。
蛍光顕微鏡観察
粒子の蛍光画像法は、−30.1℃に維持したDQC−FS Nikon CCDカメラを有するNikon Eclipse TE2000−Eで実施した。すべての試料を分析の直前に設置し、画像を63倍の油浸対物レンズで得た。すべての実験全体を通して顕微鏡の設定を一定に維持した。開口数を1.4、屈折率を1.515、露光時間を500ms、読み出し速度を10MHz、変換利得を1/6倍に設定した。
NIS Elements AR 2.3ソフトウェアを用いて画像を解析し、測定した。
共焦点顕微鏡観察
粒子の共焦点画像法は、LEICA DM6000顕微鏡で実施した。すべての試料を分析の直前に設置し、1.4の開口数および1.52の屈折率にて、HCX PL APO CS 63倍の油浸対物レンズを用いて画像を得た。すべての取得について、ピンホールを95.6μm(1エアリー単位(Airy Unit))に設定し、488nmアルゴンおよび561nmレーザーの両方は、その最大出力の15%であり、走査速度を400Hzに設定した。単一の緑色蛍光画像化用光電子増倍管(green fluorescence imaging photomultiplier)の電圧を750Vに設定した。2色の画像化のために、赤色チャネル用のPMTを600Vに設定し、一方、緑色チャネル用のPMTを1000Vに設定した。画像品質を改善するために、取得の間、2フレーム蓄積、2ライン蓄積および4フレーム平均を実施した。最終的なボクセルの幅および高さは19.8nmであった。画像をデジタル処理で拡大し(10倍)、LAS AF 1.6.2ソフトウェアを使用しての後処理の間、中央値調整(3ピクセル、2ラウンド)を使用した。
3.5ミクロンのシリコン粒子中のリポソーム
蛍光標識siRNA装填1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスファチジルコリン(phosphaticholine)(DOPC)リポソームを、C.N.Landen Jr.ら Cancer Res.2005、65(15)、6910〜6918、およびJ.Clin.Cancer Res.2006;12(16)、4916〜4924に詳述されているように調製した。
第2段階粒子としての蛍光標識siRNA装填DOPCリポソーム(最初のsiRNA濃度:100ng/μl)を、第1段階粗孔「LP」酸化シリコン粒子(3.5ミクロン)と混合した。20mM、pH7.3のTris中、室温で30分間、インキュベーションを実施した。この溶液を室温で1分間、4,200rpmで遠心沈殿させた。上澄みを回収し、試料の蛍光を544nm/590nm(励起/発光)の設定を使用して蛍光定量法によって測定した。蛍光リポソームを取り込んだ第1段階粒子を含む粒子ペレットを、100μlの脱イオン水中で再懸濁させ、蛍光定量法の読みを取得した。3.5ミクロンのLPおよびSP粒子中への、蛍光標識siRNA装填DOPCリポソームの装填時間ダイナミクスを、図8BのパネルDに示す。図8Bにおいて、パネルEおよびFは、3.5ミクロンのナノ多孔質シリコン第1段階粒子のLP中の、Alexa555標識SiRNAを含有する第2段階リポソームを、それぞれ白地と赤地で可視化している蛍光顕微鏡像を示す。
Alexa555蛍光標識siRNAを、リポソーム中に被包し、第1段階多孔質シリコン粒子中に装填した。図26のパネルA中のデータは、多孔質シリコン担体に関連する蛍光が、ナノリポソームの量とともに増加したことを示す。
第1段階粒子からのリポソームの放出を試験するために、集合多段階システムを、10%のウシ胎児血清(pH7.4)でインキュベートし、第1段階粒子からのナノリポソームの放出を、蛍光定量法を使用して時間とともに追跡した。完全な除去は、約36時間で達成された。図26のパネルBを参照されたい。
シリコン粒子中のリポソーム
リポソームの調製:
それぞれ58:40:2(Mol%)のDPPC:コレステロール:DSPE−メトキシPEG(2000)の脂質組成を有するリポソームは、以下のような押出し法によって作製することができる。簡潔に、脂質は、55oCのエタノール中に溶解させることができる。次いで、溶解した脂質は、300mMの硫酸アンモニウム溶液で水和させることによって(15〜30分間)、ドキソルビシンの活発な装填を促進することができる。Liら Biochim et Biophys Acta 1415(1998)を参照されたい。リポソームは、一連の漸減孔径のNucleporeトラックエッチポリカーボネート膜を通して押出すことができる。次いでこのリポソームは、0.2μmの膜を通して5回押出すことができる。これは、その後に、0.1μmの膜(5回)、次いで0.05μmの膜(5回)を通して押出すことができる。最後の押出しは、0.03μmの膜(10回)を通すものとすることができる。この押出しは、55oCで実施することができる。
作製した蛍光標識リポソームは、30%のジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)脂質、30%のコレステロール、30%の1,2−ジオレイル−3−トリメチルアンモニウムプロパン(DOTAP)(陽イオン性リポソーム用)、または30%のジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)(陰イオン性リポソーム用)、または30%のジオレオイルホスファチジルコリン DOPC(中性リポソーム用)のいずれかと混合した、10%の蛍光標識脂質である、N−[7−ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾール−4−イル]ジパルミトイル−L−α−ホスファチジルエタノールアミン(NBD−PE)脂質を含んでいた。
中性リポソームは、動的光散乱(DLS)によって求めた場合、初期平均径が47.4nmであり、3日後の平均径が78.2nmであった。中性リポソームのζ電位は、−13.04±0.77mVであった。
陽イオン性リポソームは、DLSによって求めた場合、初期平均径が49.6nmであり、3日後の平均径が58.2nmであった。陽イオン性リポソームのζ電位は、30.30±2.55mVであった。
中性および陽イオン性リポソームを、1ミクロンの「粗孔」(LP)酸化ナノ多孔質シリコン粒子および1ミクロンの「粗孔」(XLP)酸化およびAPTES修飾シリコン粒子中に装填した。図8AのパネルAは、1ミクロンのXLP APTES修飾シリコン粒子中に装填した、中性(左)および陽イオン性(右)蛍光標識リポソームの共焦点顕微鏡像を示す。図8AのパネルBは、1ミクロンのXLP 酸化およびAPTES修飾シリコン粒子、ならびに1ミクロンのLP酸化粒子中に装填した、中性および陽イオン性蛍光標識リポソームについてのFACS分析を示す。図8AのパネルCは、蛍光標識リポソーム装填のExcel定量化を示す。
活性剤としてのドキソルビシンの装填:
リポソームを150mMのNaClに対して一晩透析することによって、被包されなかった硫酸アンモニウムを除去して、膜を横切る(trans-membrane)プロトン勾配を生じることができる。ドキソルビシン(約10mg/ml)を、このリポソームに60℃で1時間加えることができる。薬剤:脂質の比は0.2:1.0となり、最終脂質濃度は約25mMとなる。得られるリポソーム製剤は、氷上で15分間維持することによって、間接的な装填プロセスを停止することができる。このリポソームを150mMのNaClに対して一晩透析することによって、被包されなかったドキソルビシンを除去することができる。最終の被包されたドキソルビシンの濃度は、メタノール(最終体積の30%)で溶解し、480nmでUV吸光度を測定することによって求めることができる。
参考文献
以下の参考文献を前述の本文に引用する。
Figure 2010500375
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Figure 2010500375
Figure 2010500375
前述は、特定の好ましい実施形態を参照するが、本発明はそのように限定されないことが理解されよう。開示した実施形態に対して様々な改変を行うことができ、そのような改変は、本発明の範囲内であることが意図されることを、本開示に照らして当業者は考えつくであろう。本明細書に引用した、すべての刊行物、特許出願および特許は、これらが、本開示と一致し、本開示に補足的な詳細および説明を提供する程度に、参照により本明細書に組み込まれている。

Claims (85)

  1. マイクロ粒子またはナノ粒子であり、(i)本体、(ii)少なくとも1つの表面、および(iii)前記本体内部に少なくとも1つの貯蔵部を有する少なくとも1種の第1段階粒子であって、前記貯蔵部が、少なくとも1種の活性剤を含む少なくとも1種の第2段階粒子を含有する第1段階粒子
    を含む組成物。
  2. 前記第1段階粒子が選択された非球形状を有する、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記第1段階粒子の前記本体が生体適合性材料を含む、請求項1に記載の組成物。
  4. 前記第1段階粒子の前記本体が生分解性材料を含む、請求項1に記載の組成物。
  5. 前記第1段階粒子の前記本体が、シリコン、無機酸化物材料、ポリマー酸化物材料、またはセラミック材料を含む、請求項1に記載の組成物。
  6. 前記第1段階粒子の前記本体が、多孔質またはナノ多孔質材料を含む、請求項1に記載の組成物。
  7. 前記多孔質またはナノ多孔質材料がナノ多孔質シリコンである、請求項6に記載の組成物。
  8. 前記多孔質またはナノ多孔質材料がナノ多孔質酸化物材料である、請求項6に記載の組成物。
  9. 前記ナノ多孔質酸化物材料が、ナノ多孔質二酸化ケイ素、ナノ多孔質酸化アルミニウム、ナノ多孔質酸化チタン、ナノ多孔質酸化鉄またはその組合せである、請求項8に記載の組成物。
  10. 前記第1段階粒子の前記本体が、第1多孔質領域と、孔密度、孔形状、孔電荷、孔表面の化学的性質および孔配向からなる性質の群から選択される少なくとも1つの性質において前記第1多孔質領域と異なる第2多孔質領域とを含む、請求項6に記載の組成物。
  11. 前記第1多孔質領域が、第1集団の第2段階粒子を含有するように構成されており、前記第2多孔質領域が、第2集団の第2段階粒子を含有するように構成されている、請求項10に記載の組成物。
  12. 前記第1段階粒子の前記本体が、第1集団の第2段階粒子を含有する第1領域と、第2集団の第2段階粒子を含有する第2領域とを含む、請求項1に記載の組成物。
  13. 前記第1および第2領域が化学組成物を含み、前記第1領域の化学組成物が、前記第2領域の化学組成物と同じである、請求項12に記載の組成物。
  14. 前記第1集団が第1の活性剤を含有し、前記第2集団が、前記第1の活性剤と異なる第2の活性剤を含有する、請求項12に記載の組成物。
  15. 前記第1および第2集団が特有の放出時間を有し、前記第1領域からの前記第1集団の特有の放出時間が、前記第2領域からの前記第2集団の特有の放出時間と異なる、請求項12に記載の組成物。
  16. 前記第1領域および前記第2領域のうちの少なくとも1つが生分解性領域である、請求項12に記載の組成物。
  17. 前記第1段階粒子が、生理的媒質に暴露されるとき、前記第1領域を含む第1の成分と前記第2領域を含む第2の成分とに分離するように構成されている、請求項12に記載の組成物。
  18. 前記第1領域が、第1の生物学的バリアーを迂回するように構成されており、前記第2領域が、前記第1の生物学的バリアーと異なる、第2の生物学的バリアーを迂回するように構成されている、請求項12に記載の組成物。
  19. 前記第1の生物学的バリアーおよび前記第2の生物学的バリアーが、それぞれ独立して、ヘモレオロジーバリアー、細網内皮系バリアー、内皮バリアー、血液脳関門、腫瘍関連浸透圧性間質圧バリアー、イオンおよび分子ポンプバリアー、細胞膜バリアー、酵素分解バリアー、核膜バリアー、およびその任意の組合せからなる生物学的バリアーの群から選択される、請求項18に記載の組成物。
  20. 前記第1段階粒子が、ヘモレオロジーバリアー、細網内皮系バリアー、内皮バリアー、血液脳関門、腫瘍関連浸透圧性間質圧バリアー、イオンおよび分子ポンプバリアー、細胞膜バリアー、酵素分解バリアー、核膜バリアーまたはその組合せから選択される生物学的バリアーを迂回するように構成されている、請求項1に記載の組成物。
  21. 前記第1段階粒子が、(iv)前記貯蔵部と前記表面を接続している、少なくとも1つのチャネルを含む、請求項1に記載の組成物。
  22. 前記貯蔵部が前記表面に接続されたチャネルを含む、請求項1に記載の組成物。
  23. 前記第1段階粒子が少なくとも1つの標的化部分を含む、請求項1に記載の組成物。
  24. 前記少なくとも1つの標的化部分が、化学的標的化部分、物理的標的化部分、幾何学的標的化部分およびその任意の組合せからなる群から選択される、請求項23に記載の組成物。
  25. 前記少なくとも1つの標的化部分が、前記第1段階粒子の前記本体のサイズ、前記第1段階粒子の前記本体の形状、前記第1段階粒子の前記表面上の電荷、前記第1段階粒子の化学的修飾およびその任意の組合せからなる群から選択される、請求項23に記載の組成物。
  26. 前記少なくとも1つの標的化部分が前記第1段階粒子の前記表面上に配置された化学的標的化部分を含み、前記化学的標的化部分がデンドリマー、アプタマー、抗体、生体分子およびその任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの部分を含む、請求項23に記載の組成物。
  27. 前記少なくとも1つの貯蔵部が少なくとも1種の追加の作用剤を含有する、請求項1に記載の組成物。
  28. 前記少なくとも1種の追加の作用剤が、少なくとも1種の透過エンハンサー、少なくとも1種の追加の活性剤および少なくとも1つの標的化部分を含む、請求項27に記載の組成物。
  29. 前記少なくとも1種の透過エンハンサーが、基底膜透過エンハンサー、タイトジャンクションタンパク質(tjp)透過エンハンサーおよびその任意の組合せからなる群から選択される、請求項27に記載の組成物。
  30. 前記第1段階粒子が外部刺激に応答して前記少なくとも1種の第2段階粒子を放出するように構成されている、請求項1に記載の組成物。
  31. 前記第1段階粒子が前記第1段階粒子の環境の変化に応答して前記少なくとも1種の第2段階粒子を放出するように構成されている、請求項1に記載の組成物。
  32. 前記少なくとも1種の第2段階粒子が、リポソーム、ミセル、エソソーム、カーボンナノチューブ、フラーレンナノ粒子、金属ナノ粒子、半導体ナノ粒子、ポリマーナノ粒子、酸化物ナノ粒子、ウイルス粒子、ポリイオン粒子およびセラミック粒子からなる群から選択される少なくとも1つの成分を含む、請求項1に記載の組成物。
  33. 前記第2段階粒子が、前記活性剤を含む少なくとも1種の第3段階粒子を含有する、請求項1に記載の組成物。
  34. 前記第2段階粒子が前記活性剤を含む本体を有する、請求項1に記載の組成物。
  35. 前記第2段階粒子が本体および前記本体内部に貯蔵部を有し、前記第2段階粒子の前記貯蔵部が前記活性剤を含有する、請求項1に記載の組成物。
  36. 前記活性剤が、治療剤または造影剤またはその組合せを含む、請求項1に記載の組成物。
  37. 複数の第1段階粒子および担体を含み、前記複数の第1段階粒子が懸濁されている、請求項1に記載の組成物。
  38. マイクロ粒子またはナノ粒子であり、(i)本体、(ii)少なくとも1つの表面、(iii)前記本体内部に少なくとも1つの貯蔵部を有する少なくとも1種の第1段階粒子であって、前記貯蔵部が、少なくとも1種の活性剤を含む少なくとも1種の第2段階粒子を含有する第1段階粒子
    を含む組成物を対象に投与するステップ
    を含む方法。
  39. 前記第1段階粒子が、前記対象の身体中の第1標的部位に局在化するように構成されている、請求項38に記載の方法。
  40. 前記第1標的部位が血管新生の脈管構造または再正常化された脈管構造または組み込まれた脈管構造である、請求項38に記載の方法。
  41. 前記第2段階粒子が前記対象の身体中の第2標的部位に前記活性剤を送達するように構成されている、請求項38に記載の方法。
  42. 前記第2標的部位が細胞である、請求項41に記載の方法。
  43. 前記細胞が癌細胞である、請求項42に記載の方法。
  44. 前記癌細胞が幹細胞またはクローン化可能細胞である、請求項43に記載の方法。
  45. 前記第2標的部位が異質化した病変部を含む、請求項42に記載の方法。
  46. 前記第2標的部位が細胞の核である、請求項42に記載の方法。
  47. 前記第2段階粒子が、前記活性剤を含有する少なくとも1種の第3段階粒子を含有する、請求項38に記載の方法。
  48. 前記第1段階粒子が、ヘモレオロジーバリアー、細網内皮系バリアー、内皮バリアー、血液脳関門、腫瘍関連浸透圧性間質圧バリアー、イオンおよび分子ポンプバリアー、細胞膜バリアー、酵素分解バリアー、および核膜バリアー、およびその組合せからなる群から選択される生物学的バリアーを迂回するように構成されている、請求項38に記載の方法。
  49. 前記第1段階粒子が多孔質またはナノ多孔質材料を含む、請求項38に記載の方法。
  50. 前記多孔質またはナノ多孔質材料がナノ多孔質シリコンまたはナノ多孔質酸化物材料である、請求項49に記載の方法。
  51. 前記第1段階粒子の前記本体が、第1多孔質領域と、孔密度、孔形状、孔電荷、孔表面の化学的性質および孔配向からなる群から選択される少なくとも1つの性質において前記第1多孔質領域と異なる第2多孔質領域とを含む、請求項49に記載の方法。
  52. 前記第1段階粒子の前記本体が、第1集団の第2段階粒子を含有する第1領域と、第2集団の第2段階粒子を含有する第2領域とを含む、請求項38に記載の方法。
  53. 前記第1集団の第2段階粒子が第1の活性剤を含有し、前記第2集団の第2段階粒子が、前記第1の活性剤と異なる第2の活性剤を含有する、請求項52に記載の方法。
  54. 前記第1および第2集団が特有の放出時間を有し、前記第1領域からの前記第1集団の特有の放出時間が、前記第2領域からの前記第2集団の特有の放出時間と異なる、請求項52に記載の方法。
  55. 前記第1段階粒子が、前記対象に投与されるとき、前記第1領域を含む第1の成分と前記第2領域を含む第2の成分とに分離するように構成されている、請求項52に記載の方法。
  56. 前記第1領域が第1の生物学的バリアーを迂回するように構成されており、前記第2領域が前記第1の生物学的バリアーと異なる、第2の生物学的バリアーを迂回するように構成されている、請求項52に記載の方法。
  57. 前記少なくとも1つの貯蔵部が少なくとも1種の透過エンハンサーを含有する、請求項38に記載の方法。
  58. 前記対象を外部刺激に暴露することによって前記第1段階粒子から前記少なくとも1種の第2段階粒子を放出するステップをさらに含む、請求項38に記載の方法。
  59. 前記外部刺激が、機械的活性化、照射活性化または磁気活性化のうちの少なくとも1つである、請求項58に記載の方法。
  60. 前記少なくとも1種の第2段階粒子が、リポソーム、ミセル、エソソーム、カーボンナノチューブ、フラーレンナノ粒子、金属ナノ粒子、半導体ナノ粒子、ポリマーナノ粒子、酸化物ナノ粒子、ウイルス粒子、ポリイオン粒子およびセラミック粒子からなる群から選択される少なくとも1つの成分を含む、請求項38に記載の方法。
  61. 前記活性剤が、治療剤、造影剤またはその組合せを含む、請求項38に記載の方法。
  62. 前記組成物が複数の第1段階粒子を含む懸濁液である、請求項38に記載の方法。
  63. 前記第1段階粒子の前記本体が第1の活性剤を含有し、前記第2段階粒子が前記第1の活性剤と異なる第2の活性剤を含有する、請求項38に記載の方法。
  64. 前記第1段階粒子が、前記対象の身体中で自由に循環するための前記第2段階粒子を放出するように構成されている、請求項63に記載の方法。
  65. 前記投与するステップが前記組成物を血管内に注射するステップを含む、請求項38に記載の方法。
  66. 前記第1段階粒子が約700nmから約3ミクロンの特有の寸法を有する、請求項65に記載の方法。
  67. 前記投与するステップが前記組成物を皮下に注射するステップを含む、請求項38に記載の方法。
  68. 前記投与するステップが経口的に実施される、請求項38に記載の方法。
  69. 前記投与するステップが前記組成物を吸入するステップを含む、請求項38に記載の方法。
  70. 前記第1粒子が約5ミクロンから約20ミクロンの特有の寸法を有する、請求項69に記載の方法。
  71. 多段階送達組成物を作製する方法であって、
    (a)マイクロ粒子またはナノ粒子であり、(i)本体、(ii)少なくとも1つの表面、および(iii)前記本体内部に少なくとも1つの貯蔵部を有する、少なくとも1種の第1段階粒子を提供するステップと、
    (b)少なくとも1種の第2段階粒子を提供するステップと、
    (c)前記第2段階粒子を、前記第1段階粒子の前記貯蔵部内部に装填するステップと
    を含む方法。
  72. 前記少なくとも1種の第2段階粒子が少なくとも1種の活性剤を含有する、請求項71に記載の方法。
  73. 前記第1段階粒子の前記本体がナノ多孔質材料を含む、請求項71に記載の方法。
  74. 前記ナノ多孔質材料がナノ多孔質シリコンまたはナノ多孔質酸化物材料である、請求項73に記載の方法。
  75. 前記少なくとも1種の第1段階粒子を提供するステップおよび前記少なくとも1種の第2段階粒子を提供するステップが、前記少なくとも1種の第1段階粒子、前記少なくとも1種の第2段階粒子、および担体を含む溶液を提供するステップを含む、請求項73に記載の方法。
  76. 前記装填するステップが、受動拡散または毛管対流、またはこれらの組合せによって装填するステップを含む、請求項76に記載の方法。
  77. 前記第1段階粒子の前記本体の少なくとも1つの孔表面、または前記第2段階粒子の表面を修飾するステップをさらに含む、請求項76に記載の方法。
  78. 前記修飾するステップが、前記第1段階粒子の前記本体の少なくとも1つの前記孔表面、または前記第2段階粒子の前記表面を化学的に修飾するステップを含む、請求項77に記載の方法。
  79. 前記修飾するステップが、前記第1段階粒子の前記本体の少なくとも1つの前記孔表面、または前記第2段階粒子の前記表面上の表面電荷を改変するステップを含む、請求項77に記載の方法。
  80. 前記装填するステップが、前記溶液中の前記少なくとも1種の第2段階粒子の濃度を変更することによって、前記第1段階粒子の前記少なくとも1つの貯蔵部中で、前記第2段階粒子の所望の装填量を達成するステップを含む、請求項75に記載の方法。
  81. 前記少なくとも1種の第2段階粒子が、第1集団の第2段階粒子と第2集団の第2段階粒子とを含み、前記装填するステップが、前記第1集団の第2段階粒子を、前記第1段階粒子の前記本体の第1領域中に装填するステップと、前記第2集団の第2段階粒子を、前記第1段階粒子の前記本体の第2領域中に装填するステップとを含み、前記第1領域が前記第2領域と異なる、請求項71に記載の方法。
  82. 前記第1集団の第2段階粒子が第1の活性剤を含み、前記第2集団の第2段階粒子が、前記第1の活性剤と異なる第2の活性剤を含む、請求項81に記載の方法。
  83. 前記第2段階粒子が、リポソーム、ミセル、エソソーム、カーボンナノチューブ、フラーレンナノ粒子、金属ナノ粒子、半導体ナノ粒子、ポリマーナノ粒子、酸化物ナノ粒子、ウイルス粒子、ポリイオン粒子、およびセラミック粒子からなる群から選択される、少なくとも1つの成分を含む、請求項71に記載の方法。
  84. 前記第1段階粒子の前記貯蔵部内部に、少なくとも1種の追加成分を装填するステップをさらに含む、請求項71に記載の方法。
  85. 前記少なくとも1種の追加成分が、少なくとも透過エンハンサーまたは追加の活性剤、または両方を含む、請求項84に記載の方法。
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