JP2010286535A - 吸音材およびこれを用いた吸音構造 - Google Patents

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潔 増田
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Abstract

【課題】無響室の壁面に設置する吸音材の厚さを、従来の吸音楔(長さに相当する寸法)や積層形吸音材の厚さよりも薄くする。
【解決手段】本発明における吸音材1aは、シリコ−ンゴムから成る皮膜11が前面側(音源S側)に皮膜され、一体化した第1の多孔質体層12と、皮膜11の前面側(音源S側)に積層される第2の多孔質体層13とを備えており、第2の多孔質体層13は、剛壁側から音源S側に向かって密度が減少するように構成されている。
皮膜11は、燃焼時に有毒ガスを発生しにくい材料で形成されている。
第2の多孔質体層13は、それぞれ密度が異なる第1、第2の分割多孔質体層131、132で構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、吸音材およびこれを用いた吸音構造に係り、特に、工業製品の音響測定用の無響室および半無響室の壁面に貼設される吸音材およびこれを用いた吸音構造に関する。
近時、騒音に対する要求が厳しくなり、低騒音評価のため、外部から遮音された無響室が構築され、かかる無響室内で建築や工業製品等の音響実験や測定が行われている。
このような無響室の壁面に配置される吸音材としては、外部から遮音され、低周波帯域から高周波帯域に亘り広範囲の周波数帯域において高い吸音特性が求められている。
従来、このような無響室の吸音構造としては、図8に示すように、外部から遮音された室内の壁面全体に吸音楔100を配置したもの(例えば、特許文献1参照)や、図10に示すように、層ごとに嵩密度が異なる多孔質体層を積層配置した積層形吸音材200が知られている。
ここで、吸音楔100は、無響室の室壁面(不図示)に取り付けられる平面部110と、当該平面部110から平面部110と直交し音源側に向かって突設される3個のテーパ部120とを備えており、これらの平面部110およびテーパ部120は、例えばグラスウール等の連続気泡を有する多孔質材料で一体に形成されている。なお、当該テーパ部120は、側面視で三角状を呈しており、これらのテーパ部120の先端部120aは平行に離間して配置されている。
このような構成の吸音楔100は、無響室の壁面全体に、例えば図9に示すように、テーパ部120の方向を交互に直交するように変えて配置されている。
このような構成の吸音構造によれば、様々な方向からの音波を効果的に吸収することができる。
ここで、無響室の性能は、吸音率αや式(1)で示される音圧反射率γで表され、一般に吸音率αが「1」に近く、すなわち音圧反射率γが「0」に近いほど吸音特性が高くなる。
Figure 2010286535
そして、この吸音特性は、吸音楔の長さhで決定され、長さhが長いほど無響室の吸音特性が高くなる。
ところで、上記のように、無響室の吸音性能を向上させるためには、吸音楔の長さhを長くすることが有効であるところ、吸音楔の長さhは、例えば簡易評価用の無響室で300mm程度、本格的な無響室では650mm程度必要となる。従って、このような大きな吸音楔を無響室の壁面全体に配置する吸音構造では、無響室の有効容積が小さくなるという難点があった。このため、例えば自動車の音響測定等のように、一定の空間を確保するためには予め無響室を大容積にする必要があるところ、このような大容積の無響室ではコストが割高になると共に設置スペースの確保も困難になるという難点があった。
このため、吸音楔の長さhを変えることなく、低周波数領域の吸音率を向上させた吸音構造が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
このような吸音構造によれば、吸音楔の楔体の間にスリットを形成することで、吸音楔と無響室の壁面との間に形成された空気層と共に共鳴器を形成し、低周波数領域における吸音特性を向上させることができる。
しかしながら、このようなスリットが形成された吸音楔による吸音構造においては、吸音楔の据付施工が複雑になり、ひいては据付コストが高くなる難点があった。
また、吸音楔は、その構造上、無響室の壁面から凹凸状に突出する形になり、音響測定の際に吸音楔に接触したり、吸音楔がグラスウール等の連続気泡を有する多孔質材料で形成されることから、吸音楔自身が脆く、接触等で破損するおそれがあり、ひいては施工後のメンテナンスにも手間がかかるという問題があった。
次に、嵩密度の異なる多孔質体層を積層配置した積層形吸音材200は、例えば嵩密度の異なるグラスウール等の連続気泡を有する多孔質材料210、220、230を3層積層して形成され、無響室の壁面全体に配置されている。積層形吸音体は吸音楔のような無響室の壁面から凹凸状に突出した形状ではないため、接触等で破損するおそれは少ない。しかし、積層形吸音材200においても、無響室の吸音性能を低い周波数領域まで向上させるためには、吸音楔100と同様、積層形吸音材を厚くする必要があり、その結果、無響室の有効容積が小さくなるという問題が生じていた。
特開平10−124068号公報(図1、図3) 特開平3−125740号公報(第10図) 特公昭62−32480号公報(第4図)
本発明は、このような点に着目してなされたもので、無響室内において、空間の有効利用の観点から、厚さが薄くても、低周波数帯域から高周波数帯域に亘り広範囲の周波数帯域において高い吸音特性が得られる吸音材およびこれを用いた吸音構造を提供することを目的としている。
本発明の第1の態様である吸音材は、ゴムから成る皮膜と、皮膜の背面側に積層される第1の多孔質体層と、皮膜の前面側に積層される第2の多孔質体層とを備え、第2の多孔質体層は、剛壁側から音源側に向かって密度が減少するように構成されているものである。
本発明の第2の態様は、第1の態様である吸音材において、第2の多孔質体層は、密度が剛壁側から音源側に向かって段階的に減少するように構成されているものである。
本発明の第3の態様は、第1の態様である吸音材において、第2の多孔質体層は、密度が異なる複数の層を備え、複数の層は、剛壁側から音源側に向かって密度が順次小さくなるように配置されているものである。
本発明の第4の態様は、第1の態様である吸音材において、第2の多孔質体層は、剛壁側から音源側に向かって密度が連続的に減少するように構成されているものである。
本発明の第5の態様は、第1の態様乃至第4の態様の何れかの態様である吸音材において、ゴムは、シリコ−ンゴムから成るものである。
本発明の第6の態様は、第1の態様乃至第5の態様の何れかの態様である吸音材において、皮膜の厚さは、0.5mm以下とされているものである。
本発明の第7の態様である吸音構造は、第1の態様乃至第6の態様の何れかの態様である吸音材と、剛壁とを備え、吸音材は、吸音材を構成する第1の多孔質体層を剛壁側に向けて、剛壁と平行に設置されているものである。
本発明の第1の態様乃至第7の態様の吸音材およびこれを用いた吸音構造によれば、次のような効果がある。
第1に、第1の多孔質体層と第2の多孔質体層との間に皮膜を配置することで、皮膜の部分が付加質量、即ち錘の役割、第1、第2の多孔質体層がバネ、いわゆる空気バネの役割として作用し、剛壁(無響室壁)から反射した音波を膜状吸音により、特に低周波領域の音波を減衰させることができる。
第2に、剛壁(無響室壁)から反射した音波は、第2の多孔質体層の高密度層から低密度層に伝達することで、高密度部分が付加質量の役割を果たし、低密度部分がバネとして作用することにより吸音を行うことができる。
第3に、無響室内において、吸音体の厚さ(吸音楔の長さに相当する寸法)が薄くても低周波数帯域から高周波数帯域に亘り広範囲の周波数帯域において高い吸音特性を得ることができる。
本発明の第1の実施例における吸音材の断面図。 本発明の第1の実施例における吸音材の吸音特性を示す説明図。 本発明の第1の実施例における吸音材を使用した吸音構造の一部断面図。 本発明の第2の実施例における吸音材の断面図。 本発明の第2の実施例における吸音材の吸音特性を示す説明図。 本発明の第3の実施例における吸音材の断面図。 本発明の第4の実施例における吸音材の断面図。 従来の吸音楔の斜視図。 従来の吸音楔を配置した模式図。 従来の積層形吸音材の断面図。
以下、本発明の吸音材およびこれを用いた吸音構造を適用した最良の実施の形態例について、図面を参照して説明する。
[実施例1]
図1は、本発明における吸音材の断面図を示している。
同図において、本発明における吸音材1aは、シリコ−ンゴムから成る皮膜11と、皮膜11の背面側(剛壁側)に積層される第1の多孔質体層12と、皮膜11の前面側(音源S側)に積層される第2の多孔質体層13とを備えており、第2の多孔質体層13は、後述するように、剛壁側から音源S側に向かって密度が減少するように構成されている。
皮膜11は、燃焼時に有毒ガスを発生しにくい材料で形成されている。
皮膜11の厚さは0.5mm以下のもの、望ましくは0.1〜0.3mmのものを使用することが好ましい。皮膜11の厚さが0.5mmを越えると、皮膜11に剛性が生じ、皮膜11としての振動が減少することで所定の吸音特性が得られなくなるからである。
このような構成の皮膜11は、製品形態の自由度を向上させ、現場における施工を簡単にするため、接着やシリコーングラフト反応等により後述する第1の多孔質体層12と一体化することが好ましい。
次に、第1の多孔質体層12は、難燃性を有する材料で形成されている。具体的には、グラスウール、ロックウールの何れかまたはこれらの混合物から成るもので形成されている。
また、第2の多孔質体層13は、第1の多孔質体層12と同質の難燃性を有する材料されている。具体的には、グラスウール、ロックウールの何れかまたはこれらの混合物から成るもので形成されており、それ自身の密度が矢印Aで示すように剛壁側から音源S側に向かって減少するように構成されている。
ここで、第2の多孔質体層13の密度を剛壁側から音源S側に向かって減少するように構成したのは、このように多孔質体層の密度を音源側に向かって厚さ方向に低くなるよう傾斜させることで、音源側表面での音波の反射を低減させ、吸音率を向上させるためである。
この実施例では第2の多孔質体層13の密度が剛壁側から音源S側に向かって段階的に減少するように構成されている。
具体的には、第2の多孔質体層13は、密度が異なる複数の層、例えば、嵩密度が16kg/mのグラスウールから成る第1の分割多孔質体層131、嵩密度が24kg/mのグラスウールから成る第2の分割多孔質体層132を備えており、これらの第1、第2の分割多孔質体層131、132のうち、密度の小さい第1の分割多孔質体層131が音源S側に、密度の高い第2の分割多孔質体層132が剛壁側に配置され、全体として矢印Aで示すように、密度が剛壁側から音源S側に向かって段階的に減少するように構成されている。
なお、この実施例では、第2の多孔質体層13を第1、第2の分割多孔質体層131、132で構成しているが、第2の多孔質体層13として、密度の異なる層を増加させればさせるほど、すなわち、第2の多孔質体層13を分割する数が多くなればなるほど、剛壁側から音源側に向かう密度を連続的に減少させることができる。
ここで、前述の実施例では、皮膜11をシリコーンゴムのみで形成した場合について述べているが、硫酸バリウム等を混入することで、柔軟性がある上、所定の面密度を有する皮膜を形成することができる。
なお、第1の多孔質体層12の嵩密度および厚さは、所定の周波数領域で吸音がピークになるよう適宜設定される。
図2は、実施例1における50〜340Hzの垂直入射音圧反射率を比較例1とともに示した説明図である。ここで、図中、L1は、第1の実施の形態に係る吸音材(図1参照)の吸音特性、L2は、比較例1における吸音楔の吸音特性を示している。なお、第1の実施の形態に係る吸音材は、厚さ0.2mmのシリコーンゴムから成る皮膜11の背面側(剛壁側)に厚さ50mmで嵩密度が32kg/mのグラスウールから成る第1の多孔質体12を積層した皮膜一体の多孔質体層と、当該多孔質体層の皮膜11の前面側(音源S側)に積層した厚さが50mmで嵩密度が24kg/mのグラスウールから成る第2の分割多孔質体層132と、当該第2の分割多孔質体層132の前面側(音源S側)に積層した厚さが50mmで嵩密度が16kg/mのグラスウールから成る第1の分割多孔質体層131とで構成されている。また、比較例1に係る吸音楔(図8参照)は、長さhが250mmで嵩密度が32kg/mのグラスウールで構成されている。
無響室に適用できる吸音材の目安としては、垂直入射吸音率が0.9以上、すなわち垂直入射音圧反射率が0.32以下の特性を有することが条件となる。
同図より、比較例1に係る従来の吸音楔(L2)において、垂直入射音圧反射率が0.32以下となる周波数領域は230Hz以上となるのに対し、本発明の実施例1に係る吸音材(L1)においては、その厚さが比較例1に係る従来の吸音楔の約2/3の厚さ、すなわち、従来の吸音楔の長さh(250mm)に相当する寸法(厚さ)が150mmであるにもかかわらず、垂直入射音圧反射率が0.32以下となる周波数領域が200Hz以上となり、吸音楔より低い周波数領域から無響音室への適用が可能になる。
以上のように、図1に示す構成の吸音材1aによれば、空気の粘性抵抗を利用し、音波エネルギーを熱エネルギーに変換して吸音する多孔質吸音構造体において、密度分布が剛壁側から音源側に向かって減少するように調整された第2の多孔質体層13を積層することで、音源側表面での音波の反射を低減し、吸音率を向上させることができる。また、第2の多孔質体層13の高密度部分が付加質量の役割を担い、第2の多孔質体層13の低密度部分がバネの役割を担うという、いわゆる動吸振機と、シリコ−ンゴムから成る皮膜11を複合的に組み合わせることで、無響室の有効寸法を確保し、従来の吸音楔100や積層形吸音材200と比べて、その厚さが薄くても低周波数帯域から高周波数帯域に亘り広範囲の周波数帯域において高い吸音特性をえることができる。
さらに、吸音材自身に建築基準法における難燃の規格に適合する難燃性が付与されているので、当該吸音材を難燃性が必要とされる場所に設置することができ、また、難燃剤としてハロゲン系難燃剤や鉛系化合物が使用されていないので、吸音材が燃焼しても燃焼時に有毒ガスを発生する虞が少なく、さらに、皮膜11が第1の多孔質体層12と一体化することで、現場における施工を簡単に行なうことができる。
次に、このような構成の吸音材1aを無響室の壁面に設置する方法について説明する。
図3において、無響室は、コンクリートの遮音壁、遮音天井、床下部材および遮音扉を備えている。なお、図3には説明を簡単にするため遮音壁のみを図示している。
同図において、先ず、無響室の壁面21に例えば耐熱ボード22を多数本のビス23を介して取り付けると共に無響室の壁面21と耐熱ボード22との間にそれ自身の頭部が平板状とされた部位を配置した例えば多数本のスピンドルピン24の軸部の所定長を耐熱ボードの露出面より突出させる。この場合、スピンドルピン24の軸部の所定長、すなわち耐熱ボード22の露出面より突出させる長さは吸音材1aの厚さと略同等または吸音材1aの厚さより若干長くされている。なお、ビス23とスピンドルピン24は格子状に多数個配置されているが、図3には説明を簡単にするため、2本のビス23と2本のスピンドルピン24のみを図示している。
また、吸音材1aを構成する皮膜11は予め第1の多孔質体層12と一体化され、第2の多孔質体層13を構成する第1、第2の分割多孔質体層131、132はそれぞれ別体で準備されており、これらの皮膜11付きの第1の多孔質体層12、第1、第2の分割多孔質体層131、132の前記スピンドルピン24と対応する箇所には予めスピンドルピン24の軸部を貫通させるための貫通孔12a、11a、132a、131aが設けられている。
しかして、このように構成された皮膜11付きの第1の多孔質体層12の第1の多孔質体層12側を無響室の壁面21としての耐熱ボード22に向けると共に、皮膜11付きの第1の多孔質体層12に形成された貫通孔12a、11aにスピンドルピン24の軸部を挿通させる。同様にして、第2、第1の分割多孔質体層132、131に形成された貫通孔132a、131aに、順次、スピンドルピン24の軸部を挿通させることで、第2、第1の分割多孔質体層132、131を順次積層配置する。
このようにして実施例1に係る吸音材1aを無響室の壁面21に設置し、最後に、吸音材1aの外表面、すなわち第1の分割多孔質体層131の音源側(図中右側)を、通気性を有し不燃性の保護層(不図示)、例えばガラスクロスで覆うことで本発明の吸音構造が構築される。
なお、前述の実施例では、耐熱ボード22を介して吸音材1aを配設しているが、無響室の壁面21に外面にネジを有するシャフト(不図示)を植設し、当該シャフトに、前述の実施例と同様に、皮膜11付きの第1の多孔質体層12および第2、第1の分割多孔質体層132、131に形成された貫通孔12a、11a、132a、131aに貫通させることで、これらの皮膜11付きの第1の多孔質体層12および第2、第1の分割多孔質体層132、131を取り付けてもよい。この場合、シャフトの先端部(第1の分割多孔質体層131の図中右側)にナットを螺着することで皮膜11付きの第1の多孔質体層12および第2、第1の分割多孔質体層132、131を積層した状態で固定することができる。また、前述のシャフトに代えて、頭部を有するボルト(不図示)の軸部を前述の実施例と同様に、第1、第2の分割多孔質体層131、132、皮膜11付きの第1の多孔質体層12に形成された貫通孔131a、132a、11a,12aに貫通させた上で、当該ボルトの先端部(図中左側)を例えば壁面21に予め埋設された埋め込み金具(不図示)のネジ孔に螺着してもよい。
このような構成の吸音材1aを用いた吸音構造によれば、第1に、第1の多孔質体層12と第2の多孔質体層13との間に皮膜11を配置することで、皮膜11の部分が付加質量、即ち錘の役割、第1、第2の多孔質体層12、13がバネ、いわゆる空気バネの役割として作用し、剛壁(無響室壁)21から反射した音波を膜状吸音により、特に低周波領域の音波を減衰させることができ、第2に、剛壁(無響室壁)21から反射した音波は、第2の多孔質体層13の高密度層から低密度層に伝達することで、高密度部分が付加質量の役割を果たし、低密度部分がバネとして作用することにより吸音を行うことができ、第3に、無響室内において、厚さが薄くても低周波数帯域から高周波数帯域に亘り広範囲の周波数帯域において高い吸音特性を得ることができる。
[実施例2]
図4は、本発明の第2の実施例における吸音材1bの断面図を示している。なお、同図において、図1と共通する部分に同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図4において、本発明の第2の実施例における吸音材1bは、シリコ−ンゴムから成る皮膜11と、皮膜11の背面側(剛壁側)に積層される第1の多孔質体層12と、皮膜11の前面側(音源S側)に積層される第2の多孔質体層13とを備えている。また、第2の多孔質体層13は、嵩密度が12kg/mのグラスウールから成る第1の分割多孔質体層131、嵩密度が16kg/mのグラスウールから成る第2の分割多孔質体層132、嵩密度が24kg/mのグラスウールから成る第3の分割多孔質体層133を備えており、実施例1と同様に、密度の小さい第1の分割多孔質体層131が音源S側に、密度の高い層が第3の分割多孔質体層133が剛壁側に、密度が第1の分割多孔質体層131と第3の分割多孔質体層133との中間にある第2の分割多孔質体層132が第1の分割多孔質体層131と第3の分割多孔質体層133との間に配置され、全体として矢印Aで示すように、密度が剛壁側から音源側に向かって段階的に減少するように構成されている。
このような構成の吸音材1bにおいても、実施例1と同様に、音源側表面での音波の反射を低減し、吸音率を向上させることができる。また、難燃性が必要とされる場所に設置することができ、吸音材が燃焼しても燃焼時に有毒ガスを発生する虞が少なく、さらに、現場における施工を簡単に行なうことができる。
図5は、実施例2における50〜340Hzの垂直入射音圧反射率を比較例2とともに示した説明図である。ここで、図中、L3は、第2の実施の形態に係る吸音材(図4参照)の吸音特性、L4は、比較例2における積層形吸音材(図10参照)の吸音特性を示している。なお、第2の実施の形態に係る吸音材は、厚さ0.2mmのシリコーンゴムから成る皮膜11の背面側(剛壁側)に厚さ50mmで嵩密度が32kg/mのグラスウールから成る第1の多孔質体12を積層した皮膜一体の多孔質体層と、当該多孔質体層の皮膜11の前面側(音源S側)に積層した厚さが50mmで嵩密度が24kg/mのグラスウールから成る第3の分割多孔質体層133と、当該第3の分割多孔質体層133の前面側(音源S側)に積層した厚さが50mmで嵩密度が16kg/mのグラスウールから成る第2の分割多孔質体層132と、当該第2の分割多孔質体層132の前面側(音源S側)に積層した厚さが50mmで嵩密度が12kg/mのグラスウールから成る第1の分割多孔質体層131とで構成されている。また、比較例2に係る積層形吸音材(図10参照)は、各層210、220、230の厚さが100mmで音源側からの嵩密度がそれぞれ12kg/m、16kg/m、24kg/mのグラスウールから成るもので構成されている。
同図より、比較例2に係る従来の積層形吸音材(L4)において、垂直入射音圧反射率が0.32以下となる周波数領域は170Hz以上となるのに対し、本発明の実施例2に係る吸音材(L3)においては、その厚さが比較例2に係る従来の積層形吸音材の2/3の厚さ、すなわち、実施例2は、厚さが200mmであるにもかかわらず、垂直入射音圧反射率が0.32以下となる周波数領域が150Hz以上となり、従来の積層形吸音材(L4)より低い周波数領域から無響音室への適用が可能になる。
[実施例3]
図6は、本発明の第3の実施例における吸音材1cの断面図を示している。なお、同図において、図1と共通する部分に同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図6において、この実施例においては、図1に示す1層構成の第1の多孔質体層12に代えて、皮膜11の背面側(剛壁側)に積層される音源側多孔質体層121と、音源側多孔質体層121の背面側(剛壁側)に積層される背面側多孔質体層122とで構成される分割構成の多孔質体層が使用されている。この場合、音源側多孔質体層121と背面側多孔質体層122との嵩密度が異なるようにしても良い。
このような構成の吸音材1cにおいても、実施例1と同様に、音源側表面での音波の反射を低減し、吸音率を向上させることができる。また、難燃性が必要とされる場所に設置することができ、吸音材が燃焼しても燃焼時に有毒ガスを発生する虞が少なく、さらに、現場における施工を簡単に行なうことができる。
[実施例4]
図7は、本発明の第4の実施例における吸音材1dの断面図を示している。なお、同図において、図4と共通する部分に同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図7において、この実施例においては、図4に示す皮膜11付きの第1の多孔質体層12に代えて、実施例3と同様に、皮膜11の背面側(剛壁側)に積層される音源側多孔質体層121と、音源側多孔質体層121の背面側(剛壁側)に積層される背面側多孔質体層122とで構成される分割構成の多孔質体層が使用されている。この場合、音源側多孔質体層121と背面側多孔質体層122との嵩密度が異なるようにしても良い。
このような構成の吸音材1dにおいても、実施例2と同様に、音源側表面での音波の反射を低減し、吸音率を向上させることができる。また、難燃性が必要とされる場所に設置することができ、吸音材が燃焼しても燃焼時に有毒ガスを発生する虞が少なく、さらに、現場における施工を簡単に行なうことができる。
前述の実施例においては、図面に示した特定の実施の形態をもって本発明を説明しているが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、次のように構成してもよい。
第1に、前述の実施例においては、皮膜11としてシリコーンゴムを使用した場合について説明しているが、シリコーンゴムに代えて、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、多硫化ゴム、ポリオレフィンのうちから選択された何れかのゴムを使用してもよい。
第2に、前述の実施例においては、皮膜11を接着やシリコーングラフト反応等の手段により一体化させる場合について述べているが、皮膜11および/または第1の多孔質体層12を加熱し、皮膜11および/または第1の多孔質体層12、が軟化する温度(例えば、80℃)になったときに、多少の圧力を付与することで両者を一体化させてもよい。
第3に、前述の実施例3、4においては、音源側多孔質体層121の背面側(剛壁側)に1層の背面側多孔質体層122を積層した場合について述べているが、背面側多孔質体層122の背面側(剛壁側)にさらに1層もしくは複数層の背面側多孔質体層を積層してもよい。
1a・・・吸音材
11・・・シリコーンゴムから成る膜
12・・・第1の多孔質体層
121・・・音源側多孔質体層
122・・・背面側多孔質体層
13・・・第2の多孔質体層
131・・・第1の分割多孔質体層
132・・・第2の分割多孔質体層
21・・・無響室の壁面

Claims (7)

  1. ゴムから成る皮膜と、前記皮膜の背面側に積層される第1の多孔質体層と、前記皮膜の前面側に積層される第2の多孔質体層とを備え、
    前記第2の多孔質体層は、剛壁側から音源側に向かって密度が減少するように構成されていることを特徴とする吸音材。
  2. 前記第2の多孔質体層は、密度が剛壁側から音源側に向かって段階的に減少するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の吸音材。
  3. 前記第2の多孔質体層は、密度が異なる複数の層を備え、前記複数の層は、剛壁側から音源側に向かって密度が順次小さくなるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の吸音材。
  4. 前記第2の多孔質体層は、剛壁側から音源側に向かって密度が連続的に減少するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の吸音材。
  5. 前記ゴムは、シリコ−ンゴムから成ることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項記載の吸音材。
  6. 前記皮膜の厚さは、0.5mm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項記載の吸音材。
  7. 請求項1乃至請求項6の何れか1項記載の吸音材と、剛壁とを備え、前記吸音材は、前記吸音材を構成する第1の多孔質体層を前記剛壁側に向けて、前記剛壁と平行に設置されていることを特徴とする吸音構造。
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