JP2010285044A - 乗物用シート - Google Patents

乗物用シート Download PDF

Info

Publication number
JP2010285044A
JP2010285044A JP2009139670A JP2009139670A JP2010285044A JP 2010285044 A JP2010285044 A JP 2010285044A JP 2009139670 A JP2009139670 A JP 2009139670A JP 2009139670 A JP2009139670 A JP 2009139670A JP 2010285044 A JP2010285044 A JP 2010285044A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
frame
movable frame
gas cylinder
vehicle seat
base frame
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2009139670A
Other languages
English (en)
Inventor
Eiji Masutani
英二 増谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TS Tech Co Ltd
Original Assignee
TS Tech Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TS Tech Co Ltd filed Critical TS Tech Co Ltd
Priority to JP2009139670A priority Critical patent/JP2010285044A/ja
Priority to PCT/JP2010/058626 priority patent/WO2010134596A1/ja
Priority to US13/318,745 priority patent/US20120112503A1/en
Priority to DE112010002066T priority patent/DE112010002066T5/de
Priority to CN2010800223141A priority patent/CN102438859A/zh
Publication of JP2010285044A publication Critical patent/JP2010285044A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】前面衝突時に座面を後方に移動させるためのガスシリンダを備える乗物用シートにおいて、座面の移動の安定性を確保する。
【解決手段】ベースフレームと、ベースフレームに対し相対的に移動可能であり、左右のサイドフレーム41および当該左右のサイドフレーム41を前方で連結する板金からなるパンフレーム42を有する可動フレーム40と、可動フレーム40に設けられ、前面衝突時に作動する駆動力発生部材(第2のガスシリンダ61と、駆動力発生部材の駆動力を、可動フレーム40以外の部分に伝えることで、可動フレーム40をベースフレームに対し相対的に移動させる動力伝達部材(第2のワイヤ62)と、動力伝達部材の力の作用方向を転換させる方向転換部材(プーリ63)とを備え、方向転換部材は、サイドフレーム41に取り付けられる。
【選択図】図6

Description

本発明は、車両用シートなどの乗物用シートに関し、特に、前面衝突時に座面が後方に移動する構成の乗物用シートに関する。
車両が正面衝突するなどの前面衝突時に着座部の座面が後方に移動する構成の車両用シートが知られている。例えば、特許文献1に記載の車両用シートでは、左右方向に軸心を向けたプリテンショナ装置(ガスシリンダ)により、座面を後方に移動させる構成が開示されている。
一方、特許文献1および2には、プリテンショナ装置により、前面衝突時にシートベルトを即座に引き込む構成の車両用シートが開示されている。
特開2008−213546号公報 特開2008−195359号公報
しかし、特許文献1の車両用シートのように、前面衝突時に座面を後方に移動させるためのガスシリンダで左右方向にワイヤを引っ張り、この左右方向に延びるワイヤを後方に向けて配設すると、ガスシリンダの作動時に発生する大きなワイヤの張力により、シートフレームが撓み、座面の移動が安定しない可能性がある。
また、ベルトの作動用とシートの作動用の2つのガスシリンダをコンパクトに配置することが望まれる。
そこで、本発明は、前面衝突時に座面を移動させる構成の乗物用シートにおいて、座面の移動の安定性を確保することを目的とする。
前記した課題を解決する本発明の乗物用シートは、乗員を基準とした前面衝突時に着座部の座面が移動するように構成された乗物用シートであって、前記着座部のうち乗物の機体側に支持されるベースフレームと、前記ベースフレームに対し相対的に移動可能であり、左右のサイドフレームおよび当該左右のサイドフレームを前方で連結する板金からなるパンフレームを有する可動フレームと、前記可動フレームに設けられ、前面衝突時に作動する駆動力発生部材と、前記駆動力発生部材の駆動力を、前記可動フレーム以外の部分に伝えることで、前記可動フレームを前記ベースフレームに対し相対的に移動させる動力伝達部材と、前記動力伝達部材の力の作用方向を転換させる方向転換部材とを備え、前記方向転換部材は、前記サイドフレームに取り付けられたことを特徴とする。
このような構成によれば、可動フレームにおける、左右のサイドフレームと板金からなるパンフレームとのうち、剛性が高いサイドフレームに方向転換部材が設けられているので、方向転換部材が安定して動作することができる。そのため、駆動力発生部材の大きな駆動力が動力伝達部材を介して方向転換部材に加わっても、方向転換部材により安定的に力の作用方向が転換され、座面の移動の安定性を確保することができる。
前記した構成においては、前記方向転換部材の取付部と他の部分とを連結して当該取付部を補強する補強部材を設けるのが望ましい。
このような補強部材を設けることで、方向転換部材のサイドフレームに対する位置がより安定し、座面の移動の安定性をより向上することができる。
前記した課題を解決する本発明の乗物用シートは、乗員を基準とした前面衝突時に着座部の座面が移動するように構成された乗物用シートであって、前記着座部のうち乗物の機体側に支持されるベースフレームと、前記ベースフレームに対し相対的に移動可能であり、左右のサイドフレームおよび当該左右のサイドフレームを前方で連結する板金からなるパンフレームを有する可動フレームと、前記可動フレームに設けられ、前面衝突時に作動する駆動力発生部材と、前記駆動力発生部材の駆動力を、前記可動フレーム以外の部分に伝えることで、前記可動フレームを前記ベースフレームに対し相対的に移動させる動力伝達部材と、前記動力伝達部材の力の作用方向を転換させる方向転換部材とを備え、前記方向転換部材は、前記可動フレームにおいて左右に離れて配置され、前記左右の方向転換部材を繋ぐ補強部材を設けたことを特徴とする。
このような構成によれば、左右に離れて配置された方向転換部材は、方向転換部材間を繋ぐ補強部材により、お互いが近づいたり離れたりするのが抑制される。そのため、動力伝達部材の大きな力が左右の方向転換部材同士に加わっても、位置が補強部材により留められ方向転換部材により動力伝達部材の力が良好に方向転換される。これにより、座面の移動の安定性を向上することができる。
このような乗物用シートにおいては、前記補強部材は、前記可動フレームの側壁に固定され、かつ、前記左右の方向転換部材が取り付けられる左右の取付板と、当該左右の取付板同士を連結する連結部材とを含む構成とすることができる。
このような構成によれば、方向転換部材が取り付けられる取付板同士の間隔が連結部材により維持される上、取付板を可動フレームの側壁に取り付けることで、方向転換部材の位置をより強固に維持することができる。
また、前記乗物用シートにおいては、前記連結部材は、両端部で前記駆動力発生部材から離れる側に湾曲しており、前記取付板は、前記連結部材と前記側壁とが形成する鋭角の隅部に設けられた構成とすることができる。
このように、補強部材の両端を湾曲させてできた鋭角の隅部に取付板を設けることで、スペースを有効利用して、コンパクトに方向転換部材を配置することができる。
そして、この構成において、前記取付板は、前記連結部材に対し、前記連結部材のうちの両端の湾曲した部分にのみ接続した構成とすることができる。
前記した各乗物用シートにおいては、前記方向転換部材により方向を変えられて延びる前記動力伝達部材は、前記可動フレームの側壁と、前記ベースフレームの側壁の間に配置された構成とするのが望ましい。
これにより、可動フレームの側壁とベースフレームの側壁の間の空間を利用して、コンパクトに動力伝達部材を配置できるとともに、動力伝達部材がベースフレームおよび可動フレームから露出しにくいので、シートクッションなどに動力伝達部材が干渉するのが抑制され、動力伝達部材による座面の移動を安定させることができる。
また、2つのガスシリンダをコンパクトに設けるためには、乗物用シートは、前面衝突時に着座部の座面が後方へ移動するように構成された乗物用シートであって、前記着座部のうち前面衝突時に前後に移動しないベースフレームと、前記ベースフレームに対し前後に移動可能に設けられた可動フレームと、前面衝突時に収縮動作し、前面衝突時に前後に移動しない部分において左右方向に軸線を向けて設けられた第1のガスシリンダと、前記第1のガスシリンダの一端および他端をそれぞれシートベルトのアンカーおよびインナーバックルに接続する第1のワイヤと、前面衝突時に収縮動作し、前記可動フレームにおいて左右方向に軸線を向けて設けられた第2のガスシリンダと、前記第2のガスシリンダの一端および他端を、前面衝突時に前後に移動しない位置であるとともに当該第2のガスシリンダより後方の位置に接続する第2のワイヤとを備え、前記第2のガスシリンダは、前記第1のガスシリンダよりも上方に配置された構成とするとよい。
この構成によれば、前面衝突時にシートベルトを引き込むための第1のガスシリンダより座面を後方へ移動させるための第2のガスシリンダを上に配置したので、第1のワイヤおよび第2のワイヤの取り回しが良くなり、コンパクトに2つのガスシリンダを配置することができる。
前記した乗物用シートにおいては、第2のガスシリンダが前記第1のガスシリンダよりも前方に配置された構成とすることができる。
この構成によれば、着座部のうち、上部前方の空間を利用して第2のガスシリンダを配置するとともに、第2のガスシリンダよりも後方に配置される第1のガスシリンダは、相対的に低い位置とすることで、着座部のうち、特に後方において多く必要とされるクッションのストロークを大きめに確保することができる。
そして、この乗物用シートにおいては、前記可動フレームは、前記ベースフレームに対し後方に移動すると前部が上方に上がるように構成するのが望ましい。
この構成によれば、前面衝突時に可動フレームの前部が上方に上がることで、乗員が着座部に対しずれにくくなって、乗物用シートが乗員を保持しやすくなるとともに、可動フレームに設けられた第2のガスシリンダも上に上がりながら後方へ移動するため、第1のガスシリンダと第2のガスシリンダが干渉しにくい。そのため、第1のガスシリンダと第2のガスシリンダを比較的近づけて配置することも可能となり、これらをコンパクトに配置することができる。
前記した各乗物用シートにおいては、乗物の機体フロアに前記着座部を取り付けるため、前記着座部の下方で左右に設けられた取付ブラケットと、左右の前記取付ブラケットに回動可能に接続されるとともに、前記ベースフレームに対し回動可能に接続された左右のハイトアジャスト用リンクと、左右の前記ハイトアジャスト用リンクを連結する連結部材とを備え、前記第1のガスシリンダは、前記連結部材より後方に配置され、第2のガスシリンダは前記連結部材より前方に配置された構成とするのが望ましい。なお、ここでの取付ブラケットは、前後に延びるレールおよび当該レールに対しスライド移動するスライダを有するレールスライド機構を備える構成とすることができる。
この構成によれば、ハイトアジャスト用リンクを連結する連結部材に対し、第1のガスシリンダと第2のガスシリンダが前後に振り分けられ、これらの高さを抑制することができる。
そして、前記連結部材は、両端部より中央部が下方に位置するように湾曲していることが望ましい。
この構成によれば、連結部材が両端部より中央部が下方に位置するように湾曲していることで、連結部材と第2のガスシリンダとの干渉を避けることができ、連結部材と第2のガスシリンダをコンパクトに配置することができる。
前記した各乗物用シートにおいては、前記第1のガスシリンダおよび前記第2のガスシリンダは、それぞれシリンダとピストンロッドを有し、各ピストンロッドがシリンダから突出する方向が互いに左右逆になるように配置されるのが望ましい。
この構成によれば、2つのガスシリンダのシリンダ同士の干渉を抑制するとともに、前面衝突時の2つのシリンダの移動による質量の移動が左右で互いに逆になるので、不要な力を着座部に与えることが無い。
前記した各乗物用シートにおいては、前記第1のガスシリンダおよび前記第2のガスシリンダは、それぞれシリンダとピストンロッドを有し、各シリンダは、左右のいずれか一端に寄せて配置されるのが望ましい。
この構成によれば、シリンダが左右いずれか一端に寄せられて配置されるので、ピストンロッドの作動量を大きく確保できるとともに、第1または第2のワイヤにより吊られる各シリンダの振動の振幅を小さく抑えることができる。
前記した各乗物用シートにおいては、前記第1のガスシリンダは、シリンダとピストンロッドを有し、前記シリンダは、前記第1のワイヤにより前記インナーバックルに接続され、前記ピストンロッドは前記第1のワイヤにより前記アンカーに接続された構成とすることができる。
この構成によれば、引き込みにくいインナーバックルを作動量が小さいシリンダに接続し、引き込みやすいアンカーを作動量が大きいピストンロッドに接続したので、シートベルトの腰部に掛け渡される部分を効果的に締めることができる。
請求項1に記載の構成によれば、動力伝達部材の取付剛性を向上させ、座面の移動の安定性を確保することができる。
請求項2に記載の構成によれば、動力伝達部材の取付剛性をより向上させ、座面の移動の安定性を一層高めることができる。
請求項3に記載の構成によれば、動力伝達部材の大きな力が左右の方向転換部材同士に加わっても、位置が補強部材により留められ方向転換部材により動力伝達部材の力が良好に方向転換される。これにより、座面の移動の安定性を向上することができる。
請求項4に記載の構成によれば、方向転換部材が取り付けられる取付板同士の間隔が連結部材により維持される上、取付板を可動フレームの側壁に取り付けることで、方向転換部材の位置をより強固に維持することができる。
請求項5に記載の構成によれば、スペースを有効利用して、コンパクトに方向転換部材を配置することができる。
請求項6に記載の構成によれば、よりコンパクトに方向転換部材および取付板を配置することができる。
請求項7に記載の構成によれば、コンパクトに動力伝達部材を配置できるとともに、動力伝達部材がベースフレームおよび可動フレームから露出しにくいので、シートクッションなどに動力伝達部材が接触するのが抑制され、動力伝達部材を用いた座面の移動を安定させることができる。
車両用シートのシートフレームの全体斜視図である。 シートフレームの着座部の分解斜視図である。 ハイトアジャスト機構を説明する模式図であり、(a)シートを低くしたときと、(b)シートを高くしたときである。 図1のZ−Z断面図である。 リンク連結パイプとシート用ガスシリンダを前から見た図である。 可動フレームを下からみた図である。 (a)可動フレームの側面図と、(b)(a)のX−X断面図である。 図1のY−Y断面図である。 通常状態のスライダ、ベースフレームおよび可動フレームの位置関係を説明する平面図である。 通常状態のスライダ、ベースフレームおよび可動フレームの位置関係を説明する側面図である。 作動後状態のスライダ、ベースフレームおよび可動フレームの位置関係を説明する平面図である。 作動後状態のスライダ、ベースフレームおよび可動フレームの位置関係を説明する側面図である。 第1のガスシリンダを左右逆向きに配置した変形例である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
本発明の乗物用シートの一例としての車両用シートは、図1に示すようなシートフレーム1の外側に、ウレタンフォームなどからなるシートクッションを被せることで構成されている。シートフレーム1は、シートバックフレーム2と、着座部フレーム3を有する。なお、本発明において、前後、左右、上下は、シートに座る乗員を基準とする。
図2に示すように、着座部フレーム3は、車体フロアに着座部を固定する取付ブラケットの一例としてのレールスライダ装置10と、座面の高さを変更するハイトアジャスト機構20と、ベースフレーム30と、可動フレーム40と、前面衝突時にシートベルトを引き込むプリテンショナ装置50と、前面衝突時に可動フレーム40を後方へ移動させる座面移動装置60とを主として備えている。可動フレーム40は、前面衝突するとベースフレーム30に対して相対的に後方に移動するように構成され、この前面衝突による作動前の状態を通常状態といい、作動後の状態を作動後状態という。以下、特に断りが無いときは、通常状態の構成を説明する。
レールスライダ装置10は、レール11とスライダ15を主に有している。レール11は、前後に長く延びた形状を有し、左右に離れて同様のものが2つ平行に設けられている。各レール11は、フロントブラケット12とリアブラケット13により、車体フロア(機体フロアの一例である。図示せず。)に固定されている。
スライダ15は、前後に長く延びた形状を有し、レール11に対してスライド移動可能に構成されている。スライダ15は、ハイトアジャスト機構20を介してベースフレーム30を支持している。
ハイトアジャスト機構20は、フロントリンク21およびリアリンク23を有し、これらの下端21A,23Aがスライダ15に回動可能に接続され、これらの上端21B,23Bがベースフレーム30に回動可能に接続されていることで、4節リンク機構によりベースフレーム30をスライダ15に対して上下動させることができるようになっている。
具体的には、フロントリンク21は、左右に2つ設けられ、それぞれの下端21Aが各スライダ15の前端に設けられた金具91に軸支されている。左右のフロントリンク21は、各フロントリンク21中央付近で連結部材の一例としてのフロントリンク連結パイプ22により連結されている。これにより、左右のフロントリンク21は、双方が同時に回動するようになっている。
フロントリンク21の上端21Bは、後述するベースフレーム30に設けられたダイヤル27と同軸で、ピン92(一方のみ図示)により軸支されている。
各フロントリンク21は、下端21Aよりも上端21Bが後に位置するように後傾して配置されている。
フロントリンク連結パイプ22は、その長さの7割程度を占める中央部22Aが通常状態において両端部22Bよりも下方に位置するように湾曲している。
リアリンク23は、フロントリンク21と同様に、下端23Aが金具93を介してスライダ15に軸支され、上端23Bが後述するベースフレーム30に対し回転可能に係合したピン94に係合されている。また、リアリンク23は、フロントリンク21と同様に下端23Aよりも上端23Bが後に位置するように後傾して配置されている。
左右のリアリンク23は、各リアリンク23の中央付近で、リアリンク連結パイプ24により連結されている。これにより、左右のリアリンク23は、双方が同時に回動するようになっている。
リアリンク連結パイプ24は、その長さの7割程度を占める中央部24Aが、通常状態において、両端部24Bよりも下方かつ後方に位置するように湾曲している。
リアリンク23の上端23Bとピン94とは、回転不能に係合している。そして、ピン94は、上方に延びるリンク25と回転不能に係合している。さらに、図3(a),(b)に示すように、リンク25の上端は、前方に延びる操作リンク26と回動可能に連結しており、操作リンク26は、ベースフレーム30に対し回動する扇形のギヤ28に回動可能に連結している。ベースフレーム30には、ギヤを回転させるダイヤル27が設けられており、ダイヤル27のギヤと扇形のギヤ28とが歯合している。これにより、ダイヤル27を回転させると、この回転が扇形のギヤ28の回動に伝達され、扇形のギヤ28の回動が、操作リンク26を介してリンク25を回動させる。リンク25とリアリンク23とは、互いの角度がピン94により固定されているので、リンク25の移動がリアリンク23の回動となる。リアリンク23、ベースフレーム30およびフロントリンク21は4節リンク機構を構成しているので、リアリンク23が前方に向けて起きあがると、フロントリンク21も同様に前方に向けて起きあがり、ベースフレーム30は上方へ移動する。このようにして、ダイヤル27の正逆回転により、ベースフレーム30は上下に高さを調節することができるようになっている。
図2に示すように、ベースフレーム30は、左右の側壁を形成するサイドフレーム31と、左右のサイドフレーム31を前端で連結する連結パイプ32とを主に有している。右のサイドフレーム31には前端部にダイヤル27が回転可能に設けられている。ダイヤル27と同軸の位置には、左右のサイドフレーム31に、リフト用リンク43がピン92により回動可能に軸支されている。リフト用リンク43は、可動フレーム40が後方に移動するときに可動フレーム40を持ち上げるリンクであり、通常状態では、水平に対し約45°の前方に傾斜しており、上端は、可動フレーム40のサイドフレーム41に回動可能に連結されている。
左右のサイドフレーム31には、後端部にピン94が回転可能に係合している。
可動フレーム40は、左右の側壁を形成するサイドフレーム41と、左右のサイドフレーム41の前端を連結するクロスメンバであるパンフレーム42と、左右のサイドフレーム41の後端を連結する連結パイプ44と、補強部材の一例としての補強パイプ45と、取付板46とを備えている。
各サイドフレーム41の後端部には、前後方向に延びるガイド孔41Aが形成され、このガイド孔41Aには、前記したピン94が挿通されている。これにより、可動フレーム40がベースフレーム30に対して後方に移動するときには、可動フレーム40の後端部は、このガイド孔41Aが延びる方向に沿って移動するようになっている。
パンフレーム42は、図4に示すように、板金をプレス加工してなり、後方から順に、下から見て凹んだ凹部42A、突出した突部42Bを有している。そして、凹部42Aが位置する部分の上面には、板金の一部を起こして先端が前方へ向かうフック42Hが形成されている。このフック42Hと連結パイプ44の間には、シートスプリング81が張設されている。シートスプリング81の前端は、後述する第2のガスシリンダ61の上端よりも後に位置している。
図2に示すように、連結パイプ44は、その長さの7割程度を占める中央部44Aが両端部44Bよりも下方に位置するように湾曲している。各両端部44Bは、サイドフレーム41の後端のガイド孔41Aの真上で上方に突出した突出部41Bに連結されている。すなわち、連結パイプ44は、ガイド孔41Aの真上に位置している。これにより、ガイド孔41Aは、可能な限り後方に位置することができて可動フレーム40の後方移動量を十分に確保できる。また、連結パイプ44の中央部44Aは、乗員に当たり感を感じさせないようにするため所定の低さで配置する必要があるが、本実施形態においては、連結パイプ44は両端部44Bが中央部44Aに対し上方に位置するように湾曲しているので、乗員への当たり感を抑制しながらガイド孔41Aの真上の位置で左右のサイドフレーム41同士を連結することが可能となっている。
図6に示すように、取付板46および連結部材の一例としての補強パイプ45は、左右に離れて配置されたプーリ63を繋いでいる。補強パイプ45は、パンフレーム42の下方で左右の一端から他端まで延びている。補強パイプ45は、その長さの7割程度を占める中央部45Aが左右に真っ直ぐに延び、両端部45Bが第2のガスシリンダ61とは逆の後側へ向けて、左右方向からやや傾斜して湾曲している。取付板46は、パンフレーム42およびサイドフレーム41よりも厚い鋼板からなり、補強パイプ45の両端部45Bの形状に合わせて切り欠かれ、当該切り欠かれた部分に両端部45Bが嵌められた上、補強パイプ45と溶接されている。この取付板46は、サイドフレーム41と補強パイプ45の両端部45Bが形成する鋭角の隅部と、この隅部から両端部45Bの後方へ回り込んだ範囲に設けられている。また、取付板46は、サイドフレーム41の下面41Cに溶接されている。これにより、補強パイプ45は、取付板46を介して左右のサイドフレーム41を連結している。
なお、取付板46は、補強パイプ45の中央部45Aには接続せず、中央部45Aに対し湾曲した両端部45Bにのみ接続している。
プーリ63の取付剛性について説明すると、プーリ63は、図7(a)に示すように、可動フレーム40のサイドフレーム41に取付板46を介して固定されている。サイドフレーム41は、図8に示すように、上下方向に沿って延びる鉛直部41Rと、鉛直部41Rの上端から外側へ張り出すフランジ41Pと、鉛直部41Rの下端から外側へ張り出すフランジ41Qとを有し、概略コ字型の断面を有している。このため、サイドフレーム41は、パンフレーム42と比較して高い剛性を有しており、プーリ63は、高い取付剛性を有する。
また、図7(a),(b)に示すように、鉛直部41Rの外側の面には、鉛直部41Rのうち部分的に内側に凹んだ凹部41Sに対応して、補強板65が溶接により固定されている。補強板65は、下端がプーリ63の取付部の一部であるフランジ41Qに連結され、上端が鉛直部41Rのうち凹部41Sの上端に連結されている。これにより、補強板65と凹部41Sが閉じた断面を形成し、取付部の一部であるフランジ41Qの剛性を高くしている。
さらに、凹部41Sの内側の面と、取付板46の上面とに渡すように厚めの鋼板からなる補強リブ66が溶接により固定されている。これにより、取付板46と鉛直部41Rの角度が固定され、プーリ63の取付部が非常に剛性が高くなっている。
サイドフレーム41は、前述したようにパンフレームよりも剛性が高く、実施形態においては、サイドフレーム41はパンフレーム42よりも板厚が大きく、しかも、剛性が高い材質から構成されている。特に、可動フレーム40を構成するサイドフレーム41は、可動フレーム40を構成する部品の中で、最も高い剛性を備えるように設定してあるので、プーリ63の取付剛性が高く確保されている。
また、プーリ63は、可動フレーム40を構成するサイドフレーム41のうち、水平方向のフランジ41Qに取り付けられているので、取付後の安定性も良好である。さらに、サイドフレーム41は、パンフレーム42と比較してクッション形状の影響を受けにくいため、プーリ63の取付のための平面部を確保することも容易である。
図2に示すように、プリテンショナ装置50は、第1のガスシリンダ51と、2本の第1のワイヤ52と、2つのプーリ53と、補強パイプ54と、2つのプーリ55とを備えている。
第1のガスシリンダ51は、特許文献1のプリテンショナ装置と同様に、シリンダ51Aと、シリンダ51A内で移動するピストン(図示せず)と、ピストンからシリンダ51Aの外部へと軸方向に突出するピストンロッド51Bと、ガスジェネレータ51C(図4参照)とを有している。第1のガスシリンダ51は、その軸線が左右に向けられて配置されている。ガスジェネレータ51Cには、図示しない加速度センサが接続され、加速度センサから、所定値以上の車両の減速度が検出されると、電気信号が入力されることでシリンダ51A内にガスジェネレータ51Cからガスが供給されてピストンロッド51Bがシリンダ51A内に入り込み、第1のガスシリンダ51全体としては軸方向に収縮するようになっている。第1のガスシリンダ51のシリンダ51Aは、第1のワイヤ52によりシートベルトのアンカー56に接続され、ピストンロッド51Bは、もう一つの第1のワイヤ52によりインナーバックル57に接続されている。詳しくは、2つのスライダ15には、それぞれ、上下方向の軸線回りに回転可能なプーリ53がブラケット58を介して設けられ、シリンダ51Aおよびピストンロッド51Bに接続された2本の第1のワイヤ52は、左右方向外側に延びた後、プーリ53に掛け回されることで後方に向けられている。言い換えれば、第1のガスシリンダ51は、前面衝突時に前後に移動しない部分であるスライダ15に設けられた2つのプーリ53間に張設される態様で設けられている。なお、本実施形態において前面衝突時に前後に移動する部分というのは、可動フレーム40のことである。
そして、2つのスライダ15の後端に設けられた金具93に左右方向の軸線回りに回転可能なプーリ55がそれぞれ設けられ、後方に向いた第1のワイヤ52がプーリ55に掛け回されることで2本の第1のワイヤ52は、斜め上方の前方に向いており、その末端にそれぞれアンカー56とインナーバックル57が接続されている。
左右のブラケット58は、補強パイプ54により接続されている。これにより、2本の第1のワイヤ52に強い張力が掛かって左右のプーリ53にお互いが近づくような力が掛かっても、補強パイプ54がこの力に抗して突っ張ることで、左右のスライダ15の間隔を適正に維持できるようになっている。
座面移動装置60は、駆動力発生装置の一例としての第2のガスシリンダ61と、動力伝達部材の一例としての第2のワイヤ62と、方向転換部材の一例としての2つのプーリ63を有している。第2のガスシリンダ61は、第1のガスシリンダ51と同様に、シリンダ61A、ピストン、ピストンロッド61Bおよびガスジェネレータ61Cを有している(図5参照)。第2のガスシリンダ61は、その軸線が左右に向けられて配置されている。すなわち、第1のガスシリンダ51と平行に配置されている。シリンダ61Aは、第2のワイヤ62を介して、可動フレーム40以外の部材であり、第2のガスシリンダ61自体よりも後方に位置する左側のピン94に接続されている。ピストンロッド61Bは、もう一つの第2のワイヤ62を介して、前面衝突時に移動しない部分であり、また、第2のガスシリンダ61よりも後方に位置する右側のピン94に接続されている。
シリンダ61Aおよびピストンロッド61Bから延び出た2つの第2のワイヤ62は、第2のガスシリンダ61の左右方向外側に設けられた2つのプーリ63にそれぞれ巻き掛けられて後方の2つのピン94に向けて張られている。プーリ63は、図6に示すように、取付板46に設けられている。これにより、第2のガスシリンダ61が作動して第2のワイヤ62に大きな張力が発生し、左右のプーリ63同士が互いに近づくような力がプーリ63に掛かっても、補強パイプ45が左右の取付板46が近づくのを突っ張って押さえ、プーリ63の位置を維持することができる。プーリ63には、プーリ63の外周にやや隙間を空けて複数の爪部を突出させた金属板からなるワイヤリテーナ64が設けられており、これにより、プーリ63に巻き掛けられた第2のワイヤ62がプーリ63から脱落するのが防止されている。
図8に示すように、プーリ63により後方に向けられた第2のワイヤ62は、ベースフレーム30のサイドフレーム31と可動フレーム40のサイドフレーム41の間に配置されている。これにより、後方へ延びる第2のワイヤ62をコンパクトに配置できるとともに、フレーム類の外側に被せられるクッションなどと第2のワイヤ62の干渉を抑制することができる。特に、本実施形態においては、第2のワイヤ62は、サイドフレーム31の上下端の内側へ延びるフランジ31P,31Qと、サイドフレーム41の上下端の外側へ延びるフランジ41P,41Qとで囲まれた領域に位置しているので、第2のワイヤ62がこれらの外へはみ出しにくく、外部の部材との干渉が良好に抑制されている。
図4に示すように、第2のガスシリンダ61はパンフレーム42の下に、凹部42Aに対向して配置されている。このようにパンフレーム42の下面における凹部42Aに対向して第2のガスシリンダ61が配置されているので、第2のガスシリンダ61が多少振動してもパンフレーム42に干渉しにくく、かつ、パンフレーム42になるべく近づけてコンパクトに第2のガスシリンダ61が収められている。特に、第2のガスシリンダ61の上部の一部が凹部42Aに入り込んでいるので、第2のガスシリンダ61は、極めてコンパクトに収められている。
図5に示すように、第2のガスシリンダ61は、フロントリンク連結パイプ22との関係では、下方に位置した中央部22Aに対向するように配置されている。また、図4に示すようにフロントリンク連結パイプ22の中央部22Aの上方かつ前方に配置されている。見方を変えると、フロントリンク連結パイプ22の中央部22Aは、第2のガスシリンダ61の移動範囲に対応して下方に逃げるように湾曲している。このため、前面衝突時に可動フレーム40が後方に移動したときも、フロントリンク連結パイプ22と第2のガスシリンダ61および第2のガスシリンダ61から前方の下方に向けて突出したガスジェネレータ61Cとの干渉が抑制され、可動フレーム40のスムーズな移動が可能となっている。
フロントリンク連結パイプ22と、第1のガスシリンダ51および第2のガスシリンダ61の位置関係を説明すると、第1のガスシリンダ51は、フロントリンク連結パイプ22より後に配置され、第2のガスシリンダ61は、フロントリンク連結パイプ22より前に配置されている。これにより、3つの円柱状の部材が前後に分けて配置されているので、これらの部材を設けることによる高さの嵩ばりを抑制することができる。
図2および図9に示すように、第1のガスシリンダ51から突出するピストンロッド51Bと、第2のガスシリンダ61から突出するピストンロッド61Bは、互いに左右逆となるような向きで第1のガスシリンダ51と第2のガスシリンダ61は配置されている。詳しくは、第1のガスシリンダ51は、左右に離れた2つのプーリ53の間で、シリンダ51Aが右端に寄り、ピストンロッド51Bがシリンダ51Aの左端から左へ向けて突出するように配置され、第2のガスシリンダ61は、左右に離れた2つのプーリ63の間で、シリンダ61Aが左端に寄り、ピストンロッド61Bがシリンダ61Aの右端から右へ向けて突出するように配置されている。これにより、第1のガスシリンダ51と第2のガスシリンダ61とは、太い部分であるシリンダ51A,61Aが振動しても互いに干渉しにくいとともに、左右の重量バランスも良好となる。また、第1のガスシリンダ51と第2のガスシリンダ61が作動したときにも、それぞれの質量の移動が打ち消し合うので、不要な力を着座部に与えることが無い。また、シリンダ51Aとシリンダ61Aがそれぞれ左右方向の端部に寄せられているので、ピストンロッド61Bの作動量を大きく取ることができる。
以上のように構成された車両用シートの動作について説明する。
図9および図10に示すように、通常状態において、ベースフレーム30に対して可動フレーム40は通常の着座に適した位置(作動後状態よりも前の位置)に位置していて、リフト用リンク43が前方から45°程度上に向いている。第1のガスシリンダ51のシリンダ51Aは、プーリ53間の右端に位置していて、第2のガスシリンダ61のシリンダ61Aはプーリ63間の左端に位置している。
なお、図9から図12においては、スライダ15、ベースフレーム30および可動フレーム40を重ねて示し、これらを区別しやすくするため、部材ごとに線種を変えて表現してある。同様の理由で、第1のガスシリンダ51、第1のワイヤ52、プーリ53、第2のガスシリンダ61、第2のワイヤ62およびプーリ63も実線で表現してある。
車両が前面衝突したときに、所定値以上の大きな減速度が発生すると、図示しない加速度センサから信号が出力されて、ガスジェネレータ51C,61Cを作動させる。これにより、第1のガスシリンダ51および第2のガスシリンダ61が収縮動作して、第1のワイヤ52および第2のワイヤ62を引っ張る。
図11および図12に示すように、シリンダ51A,61A、ピストンロッド51B,61Bが移動して、第1のワイヤ52が引かれると、第1のワイヤ52に接続されたアンカー56とインナーバックル57が引き込まれる。これにより、シートベルトのうち、腰部の部分が締まり、乗員が車両用シートから離れるのが抑制される。
第2のワイヤ62が引かれると、第2のワイヤ62に接続されたピン94を、可動フレーム40に対して引き付けようとするので、この力によりベースフレーム30に対し可動フレーム40が後方へ移動する。このとき、可動フレーム40の後端部は、ガイド孔41Aがピン94に沿うように移動する。そして、可動フレーム40の前部は、リフト用リンク43によりベースフレーム30に支持されているので、可動フレーム40が後方に移動するのに伴い、リフト用リンク43が後方へ回ることでその先端が上方へ上がり、可動フレーム40の前部は、リフト用リンク43の先端の移動軌跡と同じように持ち上がる。これにより、図示しないクッション上の座面は後に移動しながら前部が上に上がり、乗員が慣性により前方に移動しようとするのを座面が受け止め易くなり、乗員を車両用シートから離れにくくする。
以上のような本実施形態の車両用シートにおいて、次の各効果を奏することができる。
プーリ63は、可動フーレム40のうち、剛性が高いサイドフレーム41に取り付けられているので、取付剛性が向上する。そのため、プーリ63が安定して動作し、ワイヤ62の大きな張力がプーリ63に加わっても、プーリ63により安定してワイヤ62の力の作用方向が転換され、座面の移動の安定性を確保することができる。
そして、プーリ63の取付部を補強する部材として、補強板65、補強リブ66、取付板46および補強パイプ45を設けたので、プーリ63の取付剛性が一層高くなっている。
特に、左右に延びる補強パイプ45が取付板46と連結され、この取付板46にプーリ63が取り付けられているので、第2のガスシリンダ61が作動することでプーリ63に巻き掛けられた第2のワイヤ62が引っ張られ、プーリ63同士が強く引き付けられるような力が掛かっても、補強パイプ45が突っ張ることで、プーリ63の位置を保持することができる。これにより、第2のワイヤ62の動作が安定し、座面の移動の安定性を確保することができる。
補強パイプ45の両端を湾曲させてできた鋭角の隅部に取付板46を設けることで、スペースを有効利用して、コンパクトにプーリ63を配置することができる。取付板46は、補強パイプ45の湾曲した両端部45Bにのみ接続されているので、プーリ63および取付板46のレイアウトを、よりコンパクトにすることができる。
可動フレーム40のサイドフレーム41とベースフレーム30のサイドフレーム31の間の空間を利用して、コンパクトに第2のワイヤ62を配置できるとともに、第2のワイヤ62がサイドフレーム31,41から露出しないので、シートクッションなど第2のワイヤ62が接触するのが抑制され、第2のワイヤ62による座面の移動を安定させることができる。
前面衝突時にシートベルトを引き込むための第1のガスシリンダ51より座面を後方へ移動させるための第2のガスシリンダ61を上に配置したので、第1のワイヤ52および第2のワイヤ62の取り回しが良く、コンパクトに2つのガスシリンダ51,61を配置することができる。
そして、着座部のうち、上部前方の空間を利用して第2のガスシリンダ61を配置するとともに、第2のガスシリンダ61よりも後方に配置される第1のガスシリンダ51は、相対的に低い位置とすることで、着座部のうち、特に後方において多く必要とされるクッションのストローク、つまり、シートスプリング81の下方への撓みのための空間を大きめに確保することができる。
また、前面衝突時に可動フレーム40の前部が上方に上がることで、乗員が着座部に対しずれにくくなって、車両用シートが乗員を保持しやすくなるとともに、可動フレーム40に設けられた第2のガスシリンダ61も上に上がりながら後方へ移動するため、第1のガスシリンダ51と第2のガスシリンダ61が干渉しにくい。そのため、第1のガスシリンダ51と第2のガスシリンダ61を比較的近づけて配置することも可能となり、これらをコンパクトに配置することができる。
そして、左右のフロントリンク21を連結するフロントリンク連結パイプ22に対し、第1のガスシリンダ51と第2のガスシリンダ61が前後に振り分けられ、これらを配設することによる高さの嵩みを抑制することができる。
フロントリンク連結パイプ22が両端部22Bより中央部22Aが下方に位置するように湾曲していることで、フロントリンク連結パイプ22と第2のガスシリンダ61との干渉を避けることができ、フロントリンク連結パイプ22と第2のガスシリンダ61をコンパクトに配置することができる。
2つのガスシリンダのシリンダ51A,61A同士の干渉を抑制するとともに、前面衝突時の2つのシリンダ51A,61Aの移動による質量の移動が左右で互いに逆になるので、不要な力を着座部に与えることが無い。
シリンダ51A,61Aが左右いずれか一端に寄せられて配置されるので、ピストンロッド51B,61Bの作動量を大きく確保できるとともに、第1のワイヤ52または第2のワイヤ62により吊られる各シリンダ51A,61Aの振動の振幅を小さく抑えることができる。
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明は、以下の他の形態に示すように、適宜変形して実施することが可能である。
例えば、前記実施形態においては、第1のガスシリンダ51のシリンダ51Aを右に配置したが、これを逆にして、図13に示すように左に寄せてシリンダ51Aを配置し、シリンダ51Aに接続された第1のワイヤ52をインナーバックル57に接続し、ピストンロッド51Bに接続された第1のワイヤ52をアンカー56に接続することもできる。このようにすれば、肩からのシートベルトと腰部のシートベルトの2つが繋がっていて引き込みにくいインナーバックル57を作動量が小さいシリンダ51Aに接続し、引き込み易いアンカー56を作動量が大きいピストンロッド51Bに接続したので、シートベルトの腰部に掛け渡される部分を効果的に締めることができる。
前記実施形態では、真っ直ぐな1本のパイプからなる補強パイプ45を例示したが、補強部材は、このような真っ直ぐな部材に限らず、湾曲したものや、2本の棒またはパイプがX字形に交差したものであってもよい。
前記実施形態では、第1のガスシリンダ51の両端(シリンダ51Aおよびピストンロッド51B)から延びる第1のワイヤ52を、シートベルトの端部(アンカー56およびインナーバックル57)に接続したが、これに限定されず、第1のワイヤ52をシートベルトの途中に接続して、第1のガスシリンダ51が作動したときに、シートベルトの途中を引っ張る構成としてもよい。
前記実施形態では、ガスシリンダ51,61の軸線を左右に向けて配置したが、これに限定されず、例えば、軸線を前後に向けて配置してもよい。また、2つのガスシリンダ51,61の軸線が向く方向は異なっていてもよい。
前記実施形態では、駆動力発生部材としてガスシリンダを例示したが、これに限定されず、例えば、バネやモータなどであってもよい。
前記実施形態では、動力伝達部材としてワイヤを例示したが、これに限定されず、例えば、チェーンやロッドなどであってもよい。
前記実施形態では、第1のワイヤ52および第2のワイヤ62の力の作用方向を転換させる部材として、回転可能なプーリを例示したが、これに限定されず、例えば、ワイヤなどが巻き掛けられる円筒状の面を有した回転しない部材であってもよいし、ワイヤなどを内部に通す筒状の部材であってもよい。
前記実施形態では、連結部材として、円筒状の連結パイプ44を例示したが、これに限定されず、例えば、円柱状や角柱状の連結部材であってもよい。
前記実施形態では、前面衝突時に可動フレーム(着座部の座面)が後方に移動する構成としたが、移動方向は後方に限定されず、例えば、前面衝突時において、着座部の前部が持ち上がったり、着座部の後部が下降したりする構成としてもよい。
前記実施形態では、前面衝突時に、可動フレーム40が移動し、ベースフレーム30が移動しない構成としたが、これに限定されず、前面衝突時において、機体に対しベースフレームも若干移動する構成としてもよい。
前記実施形態では、乗物用シートの適用例として車両用シートを示したが、本発明の乗物用シートは、その他の乗物用シート、例えば、船舶用や航空機用のシートに適用することもできる。なお、本発明において「前」とは、シートに座る乗員を基準としている。したがって、シート(シートに座る乗員)が乗物の進行方向に対して後方を向いている場合には、進行方向後方が乗員を基準として前方となり、例えば、乗物が後から追突されたときなどが前面衝突となる。
また、駆動力発生部材としては、前面衝突時に、左右方向外側に伸張するガスシリンダなどを採用してもよい。なお、この場合は、ガスシリンダのシリンダやロッドで左右方向外側に押されることで揺動して、動力伝達部材としてのロッドを前後方向に押す揺動部材を、方向転換部材として採用してもよい。また、この場合の方向転換部材として、ガスシリンダによって左右方向外側に押される楔形のカム部材と、カム部材の斜面によって前後方向に押される部材とを採用してもよい。
1 シートフレーム
2 シートバックフレーム
3 着座部フレーム
10 レールスライダ装置
11 レール
15 スライダ
20 ハイトアジャスト機構
21 フロントリンク
22 フロントリンク連結パイプ
22A 中央部
22B 両端部
23 リアリンク
24 リアリンク連結パイプ
30 ベースフレーム
31 サイドフレーム
32 連結パイプ
40 可動フレーム
41 サイドフレーム
41A ガイド孔
41B 突出部
42 パンフレーム
42A 凹部
43 リフト用リンク
45 補強パイプ
45A 中央部
45B 両端部
46 取付板
50 プリテンショナ装置
51 第1のガスシリンダ
51A シリンダ
51B ピストンロッド
51C ガスジェネレータ
52 第1のワイヤ
56 アンカー
57 インナーバックル
60 座面移動装置
61 第2のガスシリンダ
61A シリンダ
61B ピストンロッド
61C ガスジェネレータ
62 第2のワイヤ
63 プーリ

Claims (7)

  1. 乗員を基準とした前面衝突時に着座部の座面が移動するように構成された乗物用シートであって、
    前記着座部のうち乗物の機体側に支持されるベースフレームと、
    前記ベースフレームに対し相対的に移動可能であり、左右のサイドフレームおよび当該左右のサイドフレームを前方で連結する板金からなるパンフレームを有する可動フレームと、
    前記可動フレームに設けられ、前面衝突時に作動する駆動力発生部材と、
    前記駆動力発生部材の駆動力を、前記可動フレーム以外の部分に伝えることで、前記可動フレームを前記ベースフレームに対し相対的に移動させる動力伝達部材と、
    前記動力伝達部材の力の作用方向を転換させる方向転換部材とを備え、
    前記方向転換部材は、前記サイドフレームに取り付けられたことを特徴とする乗物用シート。
  2. 前記方向転換部材の取付部と他の部分とを連結して当該取付部を補強する補強部材が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
  3. 乗員を基準とした前面衝突時に着座部の座面が移動するように構成された乗物用シートであって、
    前記着座部のうち乗物の機体側に支持されるベースフレームと、
    前記ベースフレームに対し相対的に移動可能であり、左右のサイドフレームおよび当該左右のサイドフレームを前方で連結する板金からなるパンフレームを有する可動フレームと、
    前記可動フレームに設けられ、前面衝突時に作動する駆動力発生部材と、
    前記駆動力発生部材の駆動力を、前記可動フレーム以外の部分に伝えることで、前記可動フレームを前記ベースフレームに対し相対的に移動させる動力伝達部材と、
    前記動力伝達部材の力の作用方向を転換させる方向転換部材とを備え、
    前記方向転換部材は、前記可動フレームにおいて左右に離れて配置され、
    前記左右の方向転換部材を繋ぐ補強部材を設けたことを特徴とする乗物用シート。
  4. 前記補強部材は、前記可動フレームの側壁に固定され、かつ、前記左右の方向転換部材が取り付けられる左右の取付板と、当該左右の取付板同士を連結する連結部材とを含むことを特徴とする請求項3に記載の乗物用シート。
  5. 前記連結部材は、両端部で前記駆動力発生部材から離れる側に湾曲しており、前記取付板は、前記連結部材と前記側壁とが形成する鋭角の隅部に設けられたことを特徴とする請求項4に記載の乗物用シート。
  6. 前記取付板は、前記連結部材に対し、前記連結部材のうちの両端の湾曲した部分にのみ接続していることを特徴とする請求項5に記載の乗物用シート。
  7. 前記方向転換部材により方向を変えられて延びる前記動力伝達部材は、前記可動フレームの側壁と、前記ベースフレームの側壁の間に配置されたことを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の乗物用シート。
JP2009139670A 2009-05-22 2009-06-10 乗物用シート Pending JP2010285044A (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009139670A JP2010285044A (ja) 2009-06-10 2009-06-10 乗物用シート
PCT/JP2010/058626 WO2010134596A1 (ja) 2009-05-22 2010-05-21 乗物用シート
US13/318,745 US20120112503A1 (en) 2009-05-22 2010-05-21 Vehicle seat
DE112010002066T DE112010002066T5 (de) 2009-05-22 2010-05-21 Fahrzeugsitz
CN2010800223141A CN102438859A (zh) 2009-05-22 2010-05-21 交通工具用座椅

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009139670A JP2010285044A (ja) 2009-06-10 2009-06-10 乗物用シート

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010285044A true JP2010285044A (ja) 2010-12-24

Family

ID=43541102

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009139670A Pending JP2010285044A (ja) 2009-05-22 2009-06-10 乗物用シート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010285044A (ja)

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009069802A1 (ja) * 2007-11-29 2009-06-04 Ts Tech Co., Ltd. 車両用シート

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009069802A1 (ja) * 2007-11-29 2009-06-04 Ts Tech Co., Ltd. 車両用シート

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8585139B2 (en) Vehicle seat
JP3714039B2 (ja) シートベルト一体シート
JP2006015886A (ja) ヘッドレスト装置
US20120112503A1 (en) Vehicle seat
JP2003237533A (ja) 車両用シート
JP2013506595A (ja) ワンピース座席底部シャーシ
JP2016105868A (ja) 乗物用シート
WO2010134596A1 (ja) 乗物用シート
JP2024003231A (ja) 車両用シート
JP7216307B2 (ja) 乗物用シート
JP2010285029A (ja) 乗物用シート
JP5457728B2 (ja) 乗物用シート
JP2010285044A (ja) 乗物用シート
JP5317721B2 (ja) 乗物用シート
JP2010285046A (ja) 乗物用シート
JP2010285043A (ja) 乗物用シート
JP2010285026A (ja) 乗物用シート
JP2010269719A (ja) 乗物用シート
JP2014008846A (ja) 発電装置を備えた車両用シート
JP6140499B2 (ja) 乗物用駆動機構
JP6054713B2 (ja) 乗物用シート
JP5869390B2 (ja) 乗物用シート
WO2014003050A1 (ja) 発電装置及び発電装置を備えた車両用シート
JP2010167022A (ja) 乗物用シート
JP6383047B2 (ja) 乗物用駆動機構

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120208

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130827

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20140107