JP2010284100A - ステビア発酵液の製造方法 - Google Patents

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健一 菅
Ayuko Izuki
亜有子 伊月
Masatsugu Nasuhara
正嗣 茄子原
Mikio Kawagoe
幹男 河越
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B & L Kk
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Abstract

【課題】 ステビアからの熱水抽出液の発酵を、従来よりも短時間で実施すること及び安定した品質の発酵液を製造すること。
【解決手段】 ステビアの茎と葉又は茎の乾燥粉末を熱水抽出に供する工程、熱水抽出液を滅菌する工程、滅菌後の熱水抽出液に、8種のラクトバチルス属の菌及び1種のミクロバクテリウム属の菌からなる群から選択される少なくとも1種の菌を接種し、雑菌による汚染を排除した状態で発酵させる工程を備えてなることを特徴とするステビア発酵液の製造方法を採用する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ステビアの茎又は茎及び葉の粉末からの熱水抽出液を発酵させてステビア発酵液を製造する方法であって、熱水抽出液を滅菌した後、特定の菌を接種して雑菌の混入を排除して発酵させる方法及びそのような方法で製造されたステビア発酵液に関する。本発明によれば、従来の自然発酵法と比べて、品質管理が容易であり且つより短期間でステビア発酵液を製造することができる。
南米、パラグァイ原産の菊科植物、ステビアは、学名をステビア レバゥディアナ ベルトニー(Stevia Rebaudiana Bertoni)という。ステビアの葉はステビオサイト等のステビオール配糖体を含有し、これらステビオール配糖体は砂糖の約300倍の甘味を有し、しかも低カロリーである。そのため、砂糖代替甘味料として各種食品に使用されている。
一方、特許文献1には、ステビアの茎と葉の粉砕物から煮沸抽出を行って抽出液を得、これを濃縮し、その後に発酵させて得られるステビア濃縮発酵液を、園芸用肥料として使用することが開示されている。このようなステビア濃縮発酵液の製造に際しては、ステビアの葉及び茎を乾燥して微粉砕し、得られた粉末を熱水中で長時間煮沸して抽出液を得ている。得られた抽出液はそのまま放置すると腐敗するため、濃縮し、20〜25℃で自然に発酵させ、これ以上発酵しなくなった時点で市販している。本発明者らの知見によれば、発酵温度は25℃以下であることが好ましく、30℃を越えると腐敗菌が繁殖して好ましい発酵液を得ることができない。発酵の終了までには少なくとも6か月、通常は1年を要している。
特許文献1で得られたステビア濃縮発酵液を500〜1500倍に希釈して、植物に葉面散布或いは土壌灌水すると、農作物の糖度が高まり且つ収量が増加する。特許文献1には、適用作物として、メロン、スイカ、カボチャ、イチゴ、トマト、キュウリ、トウモロコシ、ピーマン、ナス、キャベツ、白菜等、更に、サツマイモ、ジャガイモ、里芋、大根、落花生、ミカン、ナシ、ブドウ、柿、桃、栗、キューイフルーツ、サトウキビ、マンゴ、パイナップル、お茶等が列挙されている。
特許文献2には、上記同様のステビア濃縮発酵液を散布することにより、モンパ菌の感染を予防できることと、ステビア濃縮発酵液を既にモンパ菌に感染した土壌に施すことにより、モンパ菌を駆除することができる旨が開示されている。
特許文献3には、ステビア濃縮発酵液が、インドール酢酸を始めとするオーキシン作用を有する物質との相乗効果により、植物の発芽、発根を促進する旨が開示されている。ステビア濃縮発酵液を使用することにより、発芽率の低い種子、或いは長期間保存したために発芽率が低下している種子であっても、良好な発芽率が得られる。更に、成長した植物の枝を切取り、切り口をステビア濃縮発酵液に浸漬した後に挿し木すると高い定植率が得られるため、ステビア濃縮発酵液を使用することにより、良好な植物個体の枝を挿し木によって効率よく増やしていくこともできる。
特許文献4には、ステビア濃縮発酵液を植物に散布することにより、果実の生育途中における果樹からの落下を防止し、農作物の根張りを促進し、日持ちを向上させる技術が開示されている。更に、特許文献5には、ステビア濃縮発酵液が、農作物の栽培にあたって農薬を使用した結果、農作物に残留した農薬を分解或いは資化する乳酸菌を含有している旨が開示されている。これらの乳酸菌は、有機塩素系、有機リン系、合成ピレスロイド系、カーバメイト系の農薬に対して耐性を有するのみならず、農薬の存在下で増殖率が向上する菌もあった。更に、本発明者らの知見によれば、ステビア濃縮発酵液は、植物の硝酸態窒素を減少させることも判明している。
ステビア濃縮発酵液は、植物に限らず、動物、人体にとっても有効である。特許文献6には、ステビア濃縮発酵液を内服液として服用すると、消化器系疾患、特に食欲不振、消化不良等に有効であることが開示されている。更に、ステビア濃縮発酵液は、茶葉の3倍の抗酸化活性を有し、II型糖尿病、C型肝炎、インフルエンザ、HIVウイルス、眼疾患等にも顕著な効果を示すことが判明している。
特許文献7には、ステビア濃縮発酵液由来の配糖体及びその類縁化合物が、標的細胞中のインスリン・リセプター・サブストレイト(Insulin receptor substrate)の総数を増加させ、チロシンリン酸化を促進し、インスリン・シグナルを上流から下流に向かって迅速に伝達し、インスリンの作用を大幅に向上させる旨が開示されている。
更に、ステビア濃縮発酵液を動物の飼料に配合することにより、動物の成長が早まり、食肉の味を低下させることなく脂肪分を低下させることができることも知られている。ステビア濃縮発酵液を魚類の養殖に使用すれば、魚類の食欲を増進させるため、養殖期間を短縮でき、しかも魚肉の味が向上する。また、魚類に与える飼料にヒスタミンが混入している場合には、ヒスタミンが魚類に与える悪影響を緩和することができる。
このように、ステビアの茎と葉の煮沸抽出物の濃縮発酵液は、人体用のサプリメント、農業用資材、飼料配合物として普及している。更に、ステビア濃縮発酵液を使用して栽培すると、農作物の収量が増すだけでなく、植物本来の味が保たれており、糖度が高く、日持ちがよく、硝酸態窒素も少ない優れた農作物が得られる。ステビア濃縮発酵液を飼料に配合すると、動物や魚類の発育が増進されるのみならず、得られた肉は脂肪が少なく、柔らかく、且つ優れた味である。
特開平03−220109号公報 特開2002−205907号公報 特開2004−143048号公報 特開2000−053515号公報 特開2008−273843号公報 特開平05−032555号公報 特開2006−265208号公報
しかしながら、特許文献1に示されるように、ステビアの茎と葉の煮沸抽出液を得ても、このままでは商品にすることができない。すなわち、ステビア煮沸抽出液には微生物の栄養源が含有されているため、腐敗菌が増殖し、商品にすることができない。腐敗菌の増殖を抑えて好ましい菌を増殖させるために、ステビア煮沸抽出液を濃縮した上で、20〜25℃の低温で自然発酵させた。これにより、乳酸菌が増殖し、腐敗菌の繁殖を抑制することができた。ステビア煮沸抽出液には糖分が含まれ、これらの糖の殆どすべてが分解された時点で発酵は終了する。これが熟成の完了である。熟成したステビア煮沸抽出液は、安定であり、放置しても腐敗することはない。発酵温度は20〜25℃であるため、乳酸菌の増殖も遅く、発酵の終了、即ち熟成には、半年から1年、通常は約1年の期間が必要であった。
本発明者らは、発酵初期のステビア煮沸抽出液中に存在する微生物に着目し、それらの微生物を使用して、ステビア煮沸抽出液の発酵期間を短縮できないかと考えた。そして、発酵初期のステビア煮沸抽出液中に存在する微生物を単離し、得られた各単離菌を滅菌されたステビア煮沸抽出液に接種し、培養し、発酵液を得た。得られた発酵液を味と香りで評価し、良好な発酵液が得られる菌を選別した。そして、選別した菌を使用してステビア発酵液を製造する方法に到達した。
即ち本発明は、ステビアの茎と葉又は茎の乾燥粉末を熱水抽出に供する工程、熱水抽出液を滅菌する工程、滅菌後の熱水抽出液に、それぞれ下記の性質を有する8種のラクトバチルス属の菌及び1種のミクロバクテリウム属の菌からなる群から選択される少なくとも1種の菌を接種し、雑菌による汚染を排除した状態で発酵させる工程を備えてなることを特徴とするステビア発酵液の製造方法に関する:
[ラクトバチルス属の菌A]
(形態的性質)
細胞の形態: 桿菌
細胞の大きさ: 0.2〜0.3×5.0〜7.2μm
運動性: なし
胞子形成: なし
(生育状況)
コロニーの形態: GYP白亜寒天培地で生育し、クリアゾーンを形成する。クリーム色を呈する。
生育温度: 15〜40℃で生育する。45℃では生育しない。
嫌気下での生育性: 生育する。
(生理学的性質)
グラム染色性: 陽性
カタラーゼ試験: 陰性
硝酸還元試験: 陰性
リトマスミルク試験: わずかに酸性化
ゼラチン液化試験: 陰性
グルコースからのガス発生: 炭酸ガスを発生する。
糖類資化: グルコース、ガラクトース、ラクトース、メリビオース資化性あり。アラビノース、マルトース、スクロース、ラフィノース資化性なし。
乳酸生成能: 有
耐塩性: 5%食塩耐性
生育pH: pH3.5〜8.5で生育する;
[ラクトバチルス属の菌B]
(形態的性質)
細胞の形態: 桿菌
細胞の大きさ: 0.4〜0.6×15.0〜17.0μm
運動性: なし
胞子形成: なし
(生育状況)
コロニーの形態: GYP白亜寒天培地で生育し、クリアゾーンを形成する。白色を呈する。
生育温度: 15〜40℃で生育する。45℃では生育しない。
嫌気下での生育性: 生育する。
(生理学的性質)
グラム染色性: 陽性
カタラーゼ試験: 陰性
硝酸還元試験: 陰性
リトマスミルク試験: 酸性化、黄変、凝固
ゼラチン液化試験: 陰性
グルコースからのガス発生: なし
糖類資化性: アラビノース、グルコース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、メリビオース、スクロース、ラフィノース資化性あり。
乳酸生成能: 有
耐塩性: 5%食塩耐性
生育pH: pH3.5〜9.0で生育する;
[ラクトバチルス属の菌C]
(形態的性質)
細胞の形態: 桿菌
細胞の大きさ: 0.4〜0.6×14.0〜17.0μm
運動性: なし
胞子形成: なし
(生育状況)
コロニーの形態: GYP白亜寒天培地で生育し、クリアゾーンを形成する。白色を呈する。
生育温度: 15〜40℃で生育する。45℃では生育しない。
嫌気下での生育性: 生育する。
(生理学的性質)
グラム染色性: 陽性
カタラーゼ試験: 陰性
硝酸還元試験: 陰性
リトマスミルク試験: 酸性化、ヨーグルト臭
ゼラチン液化試験: 陰性
グルコースからのガス発生: なし
糖類資化性: セルビオース、フラクトース、グルコース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、マンノース、トレハロース、タガトース資化性あり。
乳酸生成能: 有
耐塩性: 5%食塩耐性
生育pH: pH3.5〜5.0で生育する;
[ラクトバチルス属の菌D]
(形態的性質)
細胞の形態: 桿菌
細胞の大きさ: 約0.24×約6.1μm
運動性: なし
胞子形成: なし
(生育状況)
コロニーの形態: GYP白亜寒天培地で生育し、クリアゾーンを形成する。白色を呈する。
生育温度: 15〜40℃で生育する。45℃では生育しない。
嫌気下での生育性: 生育する。
(生理学的性質)
グラム染色性: 陽性
カタラーゼ試験: 陰性
硝酸還元試験: 陰性
リトマスミルク試験: 脱色、酸性化
ゼラチン液化試験: ±
グルコースからのガス発生: あり
糖類資化性: グルコース、ガラクトース、ラクトース、メリビオース、スクロース、
フラクトース、キシロースの資化性があり、リボースの資化性はややあり。
乳酸生成能: 有
生育pH: pH3.5〜8.0で生育する;
[ラクトバチルス属の菌E]
(形態的性質)
細胞の形態: 桿菌
細胞の大きさ: 約0.30×約5.9μm
運動性: なし
胞子形成: なし
(生育状況)
コロニーの形態: GYP白亜寒天培地で生育し、クリアゾーンを形成する。白色を呈する。
生育温度: 20〜45℃で生育する。15℃では生育しない。
嫌気下での生育性: 生育する。
(生理学的性質)
グラム染色性: 陽性
カタラーゼ試験: 陰性
硝酸還元試験: 陰性
リトマスミルク試験: 脱色、酸性化
ゼラチン液化試験: ±
グルコースからのガス発生: あり
糖類資化性: グルコース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、メリビオース、
スクロース、フラクトース、キシロースの資化性があり、リボース及びアラビノースの資化性はややある。
乳酸生成能: 有
生育pH: pH3.5〜8.0で生育する;
[ラクトバチルス属の菌F]
(形態的性質)
細胞の形態: 桿菌
細胞の大きさ: 約0.49×約16.6μm
運動性: なし
胞子形成: なし
(生育状況)
コロニーの形態: GYP白亜寒天培地で生育し、クリアゾーンを形成する。白色を呈する。
生育温度: 15〜40℃で生育する。45℃では生育しない。
嫌気下での生育性: 生育する。
(生理学的性質)
グラム染色性: 陽性
カタラーゼ試験: 陰性
硝酸還元試験: 陰性
リトマスミルク試験: 脱色、酸性化
ゼラチン液化試験: ±
グルコースからのガス発生: なし
糖類資化性: グルコース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、メリビオース、
スクロース、フラクトース、キシロース、アラビノースの資化性があり、リボースの資化性はややある。
乳酸生成能: 有
生育pH: pH3.5〜7.5で生育する;
[ラクトバチルス属の菌G]
(形態的性質)
細胞の形態: 桿菌
細胞の大きさ: 約0.66×約2.10μm
運動性: なし
胞子形成: なし
(生育状況)
コロニーの形態: GYP白亜寒天培地で生育し、クリアゾーンを形成する。白色を呈する。
生育温度: 15〜40℃で生育する。45℃では生育しない。
嫌気下での生育性: 生育する。
(生理学的性質)
グラム染色性: 陽性
カタラーゼ試験: 陰性
硝酸還元試験: 陰性
リトマスミルク試験: 脱色、酸性化
グルコースからのガス発生: あり
糖類資化性: グルコース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、メリビオース、
スクロース、フラクトース、キシロースの資化性があり、リボース及びアラビノースの資化性はややある。
乳酸生成能: 有
生育pH: pH3.5〜7.5で生育する;
[ラクトバチルス属の菌H]
(形態的性質)
細胞の形態: 桿菌
細胞の大きさ: 約0.35×約7.25μm
運動性: なし
胞子形成: なし
(生育状況)
コロニーの形態: GYP白亜寒天培地で生育し、クリアゾーンを形成する。白色を呈する。
生育温度: 15〜40℃で生育する。45℃では生育しない。
嫌気下での生育性: 生育する。
(生理学的性質)
グラム染色性: 陽性
カタラーゼ試験: 陰性
硝酸還元試験: 陰性
リトマスミルク試験: 脱色、酸性化
グルコースからのガス発生: あり
糖類資化性: グルコース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、メリビオース、
スクロース、フラクトース、キシロースの資化性があり、リボース及びアラビノースの資化性はややある。
乳酸生成能: 有
生育pH: pH4.0〜7.5で生育する;及び
[ミクロバクテリウム属の菌I]
(形態的性質)
細胞の形態: 桿菌
細胞の大きさ: 0.2〜0.3×4.0〜6.0μm
運動性: あり
胞子形成: なし
(生育状況)
コロニーの形態: GYP白亜寒天培地表面で生育する。光沢あり。クリーム色を呈する。
生育温度: 15〜40℃で生育する。45℃では生育しない。
嫌気下での生育性: 生育しない。
(生理学的性質)
グラム染色性: 陽性
カタラーゼ試験: 陽性
硝酸還元試験: 陰性
リトマスミルク試験: 脱色、黄変、凝固
ゼラチン液化試験: 陽性
糖類資化性: アラビノース、グルコース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、メリビオース、スクロース、ラフィノース資化性あり。
生育pH: pH8.0〜9.0でよく生育する。pH4.0以下では生育せず。
上記の本発明のステビア発酵液の製造方法において使用されるラクトバチルス属の菌Aは、その16S rDNAが配列番号1の塩基配列のものであることができ、ラクトバチルス属の菌Bは、その16S rDNAが配列番号2の塩基配列のものであることができ、ラクトバチルス属の菌Cは、その16S rDNAが配列番号3の塩基配列のものであることができ、ミクロバクテリウム属の菌Iは、その16S rDNAが配列番号4の塩基配列のものであることができる。
上記の本発明のステビア発酵液の製造方法において使用されるラクトバチルス属の菌Aは、受託番号がFERM P−21620である菌であることができ、ラクトバチルス属の菌Bは受託番号がFERM P−21621である菌であることができ、ミクロバクテリウム属の菌Iは受託番号がFERM P−21619である菌であることができる。
上記の本発明のステビア発酵液の製造方法において、滅菌後の熱水抽出液に接種される菌は、ラクトバチルス属の菌A、ラクトバチルス属の菌B及びミクロバクテリウム属の菌Iからなる群から選択される少なくとも1種であることができる。
上記の本発明のステビア発酵液の製造方法には、滅菌後の熱水抽出液にミクロバクテリウム属の菌Iを接種して発酵させた後、少なくとも1種のラクトバチルス属の菌を接種して発酵させる方法が包含される。
上記の本発明のステビア発酵液の製造方法において、滅菌後の熱水抽出液に接種される菌は、ラクトバチルス属の菌C、ラクトバチルス属の菌D、ラクトバチルス属の菌E、ラクトバチルス属の菌F、ラクトバチルス属の菌G及びラクトバチルス属の菌Hからなる群から選択される少なくとも1種であることができる。
発酵時の温度は、20〜40℃であることが好ましい。
固形分濃度が7〜30重量%の熱水抽出液を発酵させることが好ましい。
原料であるステビア粉末中の茎の割合が60重量%以上であることが好ましい。
熱水抽出液を得た後に濃縮工程を実施し、濃縮された熱水抽出液を滅菌してもよい。
また、本発明は、上記の本発明のステビア発酵液の製造方法で製造されたステビア発酵液に関する。
本発明により、ステビアからの熱水抽出液の発酵を、1乃至2ヶ月に短縮することが可能となる。また、管理された、安定した品質のステビア発酵液を製造することが可能となる。
1. ステビア熱水抽出液の製造
ステビアは蕾を持つ直前に刈り取る。次いで、乾燥させ、茎と葉をそれぞれ製粉装置で粉砕してステビア粉末を得、所定の重量比で配合する。両者の重量比率は、好ましくは茎100〜60:葉0〜40、さらに好ましくは茎95〜70:葉5〜30である。一般に茎の配合量が多いと作用効果が増大する傾向があるが、一方、発酵液の収率が低下する傾向もある。
熱水にステビア粉末を入れ、有効成分を抽出する。熱水の温度は、90〜100℃であることが好ましく、煮沸しながら及び/又は攪拌しながら抽出することがさらに好ましい。ステビア粉末に対する水の割合は、粉末1重量部に対し、水が好ましくは2〜15重量部、さらに好ましくは4〜10重量部である。
第1回の熱水抽出を行った残渣に、新しい水を加えて第2回の熱水抽出を行い、さらに第2回の抽出後の残渣に新しい水を加えて第3回の熱水抽出を行うというように、新しい水を用いて複数回の抽出を行ってもよい。あるいは、第1回の熱水抽出で得られた抽出液を、新しい粉末の抽出溶媒として用いてもよい。後者の方法によれば、少量の水で更なる濃縮の必要のない濃厚な抽出液を得ることができる。抽出により、原料ステビア粉末1kgから、通常は0.5〜2kg、好ましくは0.6〜1.8kgの抽出液が得られる。
2. ステビア熱水抽出液の濃縮
得られた熱水抽出液は、後工程において滅菌された後には雑菌による汚染を排除した状態で菌が接種され、発酵工程に供されるので、この工程以降での腐敗防止を目的として濃縮を行う必要はない。しかし、ステビア熱水抽出液の濃度が低い場合には、この工程で、即ち滅菌前の熱水抽出液を濃縮してもよい。なお、濃縮は、発酵工程の後に行ってもよい。濃縮方法は特に限定されず、水溶液の濃縮に適用されている公知の方法、例えば、加熱や減圧下で水分を蒸発させる方法によればよい。
発酵させるに適したステビア熱水抽出液の固形分濃度は、好ましくは3〜30重量%、さらに好ましくは7〜25重量%である。あまりに希薄な溶液は、発酵に大きな容積を要するため、産業上好ましくない。一方、固形分濃度が30重量%を超えると、ステビア熱水抽出液に粘りが生じ、取り扱い難くなり、最終商品としても好ましくない。なお、ステビア熱水抽出液の固形分濃度が高すぎる場合には、適宜希釈して発酵に供すればよい。
3. ステビア熱水抽出液又はその濃縮液(以下、両者を特に区別せず、「ステビア熱水抽出液」という)の滅菌
本発明では、後工程で植菌する特定の菌以外の微生物が実質的に存在しない状況下において、ステビア熱水抽出液の発酵を行う。従って、菌の接種工程の前に、滅菌を行う。滅菌方法は特に限定されないが、例えば、培養タンクにステビア熱水抽出液を投入後、加圧蒸気を吹き込むか又はジャケットに加熱蒸気を流すことによって回分殺菌を行う方法、あるいはプレート型熱交換器を用いてステビア熱水抽出液を殺菌しながら培養槽に投入する連続殺菌を行う方法がある。
4. 菌の接種
本発明では、滅菌後のステビア熱水抽出液に、ラクトバチルス属の菌A乃至Hとミクロバクテリウム属の菌Iからなる群から選択される少なくとも一種を接種する。菌の接種の際の菌の濃度は特に限定されないが、3千万〜2億個/mlであることが好ましく、5千万〜1.5億個/mlであることがさらに好ましい。
菌の接種までの工程は、例えば次のようにして行う。まず種菌培養として、250ml容フラスコに100mlのGYP液体培地を入れ、120℃で20分間殺菌し、放冷する。このGYP液体培地に、斜面培養した菌を1白金耳接種し、35℃で7日間培養する。次に、前前培養として、例えば、1L容フラスコ2個にそれぞれ500mlの適切な液体培地(例えばステビア熱水抽出液)を入れ、120℃で20分間殺菌し、放冷する。この液体培地に種菌培養で得た液をそれぞれ50mlずつ加え、35℃で30時間培養する。更に、前培養として、20L容小型通気攪拌培養槽(ジャー・ファーメンタ)により、ステビア熱水抽出液を用いて、35℃で30時間培養する。この前培養によって得られた液を、本培養の種培養液とする。本培養、即ち発酵のための菌の接種は、例えば、800Lのステビア熱水抽出液を1kL容の通気攪拌培養タンクにて加熱殺菌し、放冷後、これに種培養液10Lを添加することによって行う。
ここで、上記9種の菌は、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。2種以上を使用する場合には、同時に接種してもよいし、順次、即ち、ある菌を使用して発酵をスタートさせ、時間差を付けて他の菌を接種してもよい。特に、ミクロバクテリウム属の菌Iを使用する場合には、初めにミクロバクテリウム属の菌Iを接種して発酵をスタートさせ、その後、ラクトバチルス属の菌のいずれかを接種することが好ましい。なお、使用する菌の詳細については、後記する。
5. 発酵
菌を接種後のステビア熱水抽出液を、雑菌の混入がない条件下において、好ましくは20〜40℃、さらに好ましくは30〜40℃、さらにより好ましくは33〜38℃に保持し、発酵を行わせる。また、発酵中のステビア熱水抽出液のpHは、3.5〜9.0であることが好ましい。なお、ラクトバチルス属の菌を接種した場合には、pH3.5〜8.5が好ましく、pH4.0〜7.5がさらに好ましい。また、ミクロバクテリウム属の菌Iを接種した場合には、pH4.0〜9.0が好ましく、pH7.0〜9.0がさらに好ましい。
ステビア熱水抽出液は、攪拌してもしなくてもよいが、培養液が均一に混じり合う程度に攪拌することが望ましい。ラクトバチルス属の菌を接種した場合には、発酵は、好気的雰囲気で行っても嫌気的雰囲気で行ってもよい。ミクロバクテリウム属の菌Iを接種した場合には、発酵は好気的雰囲気で行う。この場合、培養液は発泡しやすいので、機械的消泡装置で泡を排除すると同時に発泡状態に応じて通気速度をコントロールする。また、発酵時間は、好ましくは、1ヶ月以上、さらに好ましくは2ヶ月以上であり、2〜4ヶ月が特に好ましい。グルコースを分解して炭酸ガスを発生する菌A、D、E、G及びHを使用した場合には、炭酸ガスの発生の終了により、発酵が終了したことがわかる。
雑菌による汚染を排除した状態で発酵させるための方法は、特に限定されない。発酵中に発酵槽に雑菌が混入しないような装置、設備を使用すればよい。例えば、その内部を密閉状態とすることができる通常の通気攪拌槽を使用する。この培養槽において、攪拌軸からの雑菌の侵入を防ぐため、例えばメカニカル・シールを採用し、通気を行う場合には、空気の除菌を行うための通常の方法(例えばエア・フィルターの使用)を採用すればよい。
6. ラクトバチルス属の菌A
本発明で使用するラクトバチルス属の菌Aは、前記した形態的性質、生育状況、及び生理学的性質を有するものである。菌Aは、グルコースを分解する際に炭酸ガス及び乳酸以外の有機酸(例えば酢酸)を産生することから、ヘテロの乳酸菌である。本発明では、前記した性質を有するヘテロの乳酸菌のいずれをも使用することができるが、菌Aとして、Lactobacillus buchneriに属する菌を使用することが好ましく、その16S rDNAが配列番号1の塩基配列を有するラクトバチルス属の菌を使用することがさらに好ましく、配列番号1の塩基配列において、第293番の塩基がtである及び/又は第1035番の塩基がtであるラクトバチルス属の菌を使用することがさらにより好ましく、受託番号FERM P−21620である菌を使用することが特に好ましい。なお、菌Aに属するLactobacillus sp. SIID5826−02は、平成20年7月24日に、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(〒305−8566茨城県つくば市東1−1−1 つくばセンター中央第6)に、受託番号FERM P−21620として寄託された。
7. ラクトバチルス属の菌B
本発明で使用するラクトバチルス属の菌Bは、前記した形態的性質、生育状況、及び生理学的性質を有するものである。菌Bは、グルコースを分解する際に炭酸ガスを発生しないことから、ホモの乳酸菌である。本発明では、前記した性質を有するホモの乳酸菌のいずれをも使用することができるが、菌Bとして、Lactobacillus pentosus又はLactobacillus plantarumに属する菌を使用することが好ましく、その16S rDNAが配列番号2の塩基配列を有するラクトバチルス属の菌を使用することがさらに好ましく、配列番号2の塩基配列において、(1)第150番の塩基がaである、(2)第240番の塩基がcである、(3)第274番の塩基がaである、からなる選択されるいずれか一つ以上を充足するラクトバチルス属の菌を使用することがさらにより好ましく、受託番号FERM P−21621である菌を使用することが特に好ましい。なお、菌Bに属するLactobacillus sp. SIID5826−03は、平成20年7月24日に、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(〒305−8566茨城県つくば市東1−1−1 つくばセンター中央第6)に、受託番号FERM P−21621として寄託された。
8. ラクトバチルス属の菌C
本発明で使用するラクトバチルス属の菌Cは、前記した形態的性質、生育状況、及び生理学的性質を有するものである。菌Cは、グルコースを分解する際に炭酸ガスを発生しないことから、ホモの乳酸菌である。本発明では、前記した性質を有するホモの乳酸菌のいずれをも使用することができるが、Lactobacillus patherisに属する菌を使用することが好ましく、菌Cとして、配列番号3(16S rDNAの一部(558bp))に示す塩基配列を有するラクトバチルス属の菌を使用することがさらに好ましい。
9. ラクトバチルス属の菌D
本発明で使用するラクトバチルス属の菌Dは、前記した形態的性質、生育状況、及び生理学的性質を有するものである。菌Dは、グルコースを分解する際に炭酸ガス及び乳酸以外の有機酸(例えば酢酸)を産生することから、ヘテロの乳酸菌である。本発明では、前記した性質を有するヘテロの乳酸菌のいずれをも使用することができるが、菌Dとして、Lactobacillus buchneri又はLactobacillus brevisに属する菌を使用することが好ましい。
10. ラクトバチルス属の菌E
本発明で使用するラクトバチルス属の菌Eは、前記した形態的性質、生育状況、及び生理学的性質を有するものである。菌Eは、グルコースを分解する際に炭酸ガス及び乳酸以外の有機酸(例えば酢酸)を産生することから、ヘテロの乳酸菌である。本発明では、前記した性質を有するヘテロの乳酸菌のいずれをも使用することができるが、菌Eとして、Lactobacillus fermentumに属する菌を使用することが好ましい。
11. ラクトバチルス属の菌F
本発明で使用するラクトバチルス属の菌Fは、前記した形態的性質、生育状況、及び生理学的性質を有するものである。菌Fは、グルコースを分解する際に炭酸ガスを発生しないことから、ホモの乳酸菌である。本発明では、前記した性質を有するホモの乳酸菌のいずれをも使用することができるが、菌Fとして、Lactobacillus plantarumに属する菌を使用することが好ましい。
12. ラクトバチルス属の菌G
本発明で使用するラクトバチルス属の菌Gは、前記した形態的性質、生育状況、及び生理学的性質を有するものである。菌Gは、グルコースを分解する際に炭酸ガス及び乳酸以外の有機酸(例えば酢酸)を産生することから、ヘテロの乳酸菌である。本発明では、前記した性質を有するヘテロの乳酸菌のいずれをも使用することができるが、菌Gとして、Lactobacillus brevisに属する菌を使用することが好ましい。
13. ラクトバチルス属の菌H
本発明で使用するラクトバチルス属の菌Hは、前記した形態的性質、生育状況、及び生理学的性質を有するものである。菌Hは、グルコースを分解する際に炭酸ガス及び乳酸以外の有機酸(例えば酢酸)を産生することから、ヘテロの乳酸菌である。本発明では、前記した性質を有するヘテロの乳酸菌のいずれをも使用することができるが、菌Hとして、Lactobacillus buchneri又はLactobacillus brevisに属する菌を使用することが好ましい。
14. ミクロバクテリウム属の菌I
本発明で使用するミクロバクテリウム属の菌Iは、前記した形態的性質、生育状況、及び生理学的性質を有するものである。本発明では、前記した性質を有するミクロバクテリウム属の菌のいずれをも使用することができるが、Microbacterium oxydansに属する菌を使用することが好ましく、その16S rDNAが配列番号4の塩基配列を有するミクロバクテリウム属の菌を使用することがさらに好ましく、受託番号FERM P−21619である菌を使用することが特に好ましい。なお、菌Iに属するMicrobacterium sp. SIID5826−01は、平成20年7月24日に、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(〒305−8566茨城県つくば市東1−1−1 つくばセンター中央第6)に、受託番号FERM P−21619として寄託された。
以下、実施例を挙げて説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1(ステビア熱水抽出液の製造)
刈り取ったステビア草を茎と葉に分けて乾燥した。次いで、乾燥された茎と葉をそれぞれ製粉装置で50〜70タイラーメッシュの大きさとなるように粉砕した。茎80重量部に対し、葉20重量部の割合で配合した混合粉末1kgに対し、水7リットルを加え、得られた混合物をニーダーで混ぜながら加熱し、煮沸抽出を行った。遠心分離機を用いて熱水抽出液と残渣とに分離した。真空濃縮機を使用し、熱水抽出液をその容量が約1/6となるまで濃縮した。濃縮後のステビア熱水抽出液のブリックス糖度は19.1、固形分濃度は20%であった。この熱水抽出液をオートクレーブに入れ、120℃で20分間滅菌した。これを冷蔵保存し、実験用ステビア熱水抽出液とした。
実施例2(菌の分離、選択)
別に、従来の方法でステビア濃縮発酵液を製造している工場から、培養0日目、10日目、16日目、17日目及び42日目のステビア熱水抽出液(発酵途中のもの)を入手した。これらの液から、希釈平板法を用いて菌を分離した。その際、GYP白亜寒天培地、グルコース・酵母エキス寒天培地、BCP加プレートカウント寒天培地及びYM寒天培地を用い、30℃で3〜7日培養した。得られたコロニーを更に分離培養する操作を繰返し、各菌を分離した。なお、用いた培地の組成は、以下に示すとおりである。
GYP白亜寒天培地(pH6.8)
グルコース 4.0g
ペプトン 2.0g
イースト・エキストラクト 2.0g
塩溶液*1 1.0ml
CaCO 2.0g
寒天 3.0g
水 200ml
*1: 塩溶液の配合
MgSO・7HO 8.0g
MnSO・4HO 0.4g
NaCl 0.4g
FeSO・7HO 0.4g
濃塩酸 0.1ml
水 200ml
グルコース・酵母エキス寒天培地(pH無調整)
グルコース 4.0g
イースト・エキストラクト 1.0g
ペプトン 2.0g
寒天 4.0ml
BCP加プレートカウント寒天培地(pH6.8)
グルコース 0.2g
イースト・エキストラクト 0.5g
ペプトン 1.0g
L−システイン 0.02g
BCP 0.008ml
ツィーン80溶液 0.2ml
寒天 4.0g
水 200ml
YM寒天培地(pH6.2)
グルコース 2.0g
ペプトン 1.0g
イースト・エキストラクト 0.6g
マルト・エキストラクト 0.6ml
寒天 4.0g
水 200ml
実施例2で分離した菌の各々を、予め、以下に処方を示すGYP液体培地で増殖させた。液体培地を遠心分離に供し、増殖後の菌を沈澱させた。沈澱した菌を実施例1で調製した実験用ステビア熱水抽出液で洗浄し、洗浄後の菌を、実施例1で調製した実験用ステビア熱水抽出液に分散させて懸濁液とした。この懸濁液を、菌数20億個/30mlになるように実施例1で調製した実験用ステビア熱水抽出液に接種し、ジャー・ファーメンタ内で培養した。培養温度は約35℃、培養期間は2ヶ月であった。
GYP液体培地
グルコース 4.0g
ペプトン 2.0g
イースト・エキストラクト 2.0g
塩溶液*1 1.0ml
水 200ml
*1: 塩溶液の配合
MgSO・7HO 8.0g
MnSO・4HO 0.4g
NaCl 0.4g
FeSO・7HO 0.4g
濃塩酸 0.1ml
水 200ml
従来の方法でステビア濃縮発酵液を製造している工場のベテラン勤務者をパネリストとして、培養後の発酵液の一部について、官能試験を行った。その結果は次の通りであった。
本発明菌Aを使用した発酵液……味、香り共従来品とほぼ同じである。
本発明菌Bを使用した発酵液……従来品にやや劣るが、味、香り共に問題なし。
本発明菌Iを使用した発酵液……味、香り共に従来品と異なるが、味はよい。
実施例3(生化学的試験による菌A乃至Iの同定)
選択した菌について、生化学的同定試験を行った。細胞形態の観察(直接検鏡法、運動性試験等)、生育状況の観察(コロニーの形態や生育温度等)、生理学的性質(グラム染色性試験、カタラーゼ試験、硝酸還元試験、リトマスミルク試験、ゼラチン液化試験、糖類発酵性試験、最適pH試験等)を行った。試験方法は、次の通りであった。
(1)細胞形態の観察
(1−1)細胞の形態及び大きさ
菌をGYP白亜寒天培地に生育させ(30℃、7日間)、直接検鏡法で、細胞の形態を観察した。即ち、600倍で検鏡(US−3,ケニス)した。また、ミクロメーターを用いて、細胞の大きさを測定した。
(1−2)運動性
GYP白亜寒天培地に生育した菌を、下記の運動性試験培地に穿刺し、30℃で2〜3日間培養後、穿刺ラインから外に向かって拡散して生育していたら運動性あり、穿刺ラインに沿って生育していたら運動性なしと判定した。
運動性試験培地(pH6.8)
グルコース 4.0g
ペプトン 2.0g
イースト・エキストラクト 2.0g
寒天 0.3g
水 200ml
(1−3)胞子形成
菌をGYP培地5mlにて十分に生育させ(接種後20〜24時間)、遠心分離により菌体を沈め、上澄みを捨てた。菌体の上に、下記の胞子形成試験培地5mlをよく攪拌してから注ぎ入れた。胞子形成試験培地にて、37℃で7日間培養した。
胞子形成試験培地(pH6.8)
ミートエキス 0.5g
イーストエキス 0.1g
α−メチルグルコシド 0.5g
トマトジュース上澄液 20ml
硫安 1.0g
水 80ml
胞子の検出は、80℃ヒート・ショック法にて行った。培養後の胞子形成試験培地2mlを試験管にとり、これを正確に80℃に沸かした湯浴中に浸し、10分間保持した。対照として、同じ菌を生育培地(GYP培地など)で生育させ、培養20時間後の細胞についても、同時にヒート・ショック処理を行った。この目的はヒート・ショックの完全性を調べるためである。ヒート・ショック処理に供されたものと未処理のものにつき、10倍希釈を数回繰り返した。各段希釈液1mlにつき、GYP白亜寒天培地を用いて平板培地を作製した。これらの平板培地を培養してコロニーを形成させた。ヒート・ショック処理をしたものと未処理のものとでコロニーの出現数を比較し、胞子の形成率を算出した。
(2)生育状況の観察
(2−1)コロニーの形態
菌をGYP白亜寒天培地で生育させ(30℃、7日間)、培地中での生育場所(表面か、内部か)と、色調を観察した。
(2−2)生育温度
菌をGYP白亜寒天培地に接種し、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃及び45℃で7日間培養し、生育の有無を観察した。
(2−3)嫌気下での生育性
菌をGYP白亜寒天培地に接種し、酸素を窒素で置換した環境下において、30℃で7日間培養し、生育の有無を観察した。
(3)生理学的性質
(3−1)グラム染色性試験
GYP白亜寒天培地に生育した菌を、1白金耳量採取し、スライドガラスに塗布した。グラム染色液neo−B&Mワコー(和光純薬工業株式会社製)を用いて菌を染色した。青く染色された菌をグラム陽性、赤く染色された菌をグラム陰性とした。
(3−2)カタラーゼ試験
GYP白亜寒天培地に生育した菌を、1白金耳量採取し、スライドガラスに塗布した。3%過酸化水素水1滴を滴下し、発泡の有無を観察した。
(3−3)硝酸還元試験
継代培養液(培地はGYP液体培地)3滴を、下記の硝酸還元試験培地に接種し、30℃で5日間培養した。培養終了後、培地に、NO 検出用試薬のA液(N,N−ジメチル−1−ナフチルアミン0.1mlを蒸留水20mlと混和し、ろ過し、そのろ液に30%酢酸水溶液180mlを加えたもの)とB液(スルファニル酸0.5gを30%酢酸水溶液150mlも溶解したもの)を各1ml添加し、30分間静置後、判定を行った。変化なしを陰性、赤色に変色した場合を陽性と判定した。
硝酸還元試験培地(pH無調整)
ペプトン 1.0g
NaCl 1.0g
KNO 0.1g
水 100ml
(3−4)リトマスミルク試験
継代培養液(培地はGYP液体培地)2滴を、下記のリトマスミルク培地に接種し、30℃で5〜7日間培養した。培養終了後、培地色が赤色に変色している場合を酸性化、培地色が白色乃至は透明に変色している場合を脱色、ミルクがヨーグルト状に凝固している場合を凝固、ミルクが溶けて黄褐色に変色している場合を液化と判定した。
リトマスミルク試験培地(pH6.8〜7.0)
スキムミルク 10g
リトマス溶液 1ml
水 100ml
110℃にて10分間滅菌した。
(3−5)ゼラチン液化試験
GYP白亜寒天培地に生育した菌を、白金耳にて下記のゼラチン液化試験培地に線を引くように接種(画線培養)し、30℃で10〜15日間培養を行った。培養終了後、試験培地を冷蔵庫で冷却し、その後、シャーレを傾けた際の挙動を観察した。
ゼラチン液化試験培地(pH6.8)
グルコース 4.0g
ペプトン 2.0g
イースト・エキストラクト 2.0g
塩溶液*1 1.0ml
ゼラチン 40g
水 200ml
*1: 塩溶液の配合
MgSO・7HO 8.0g
MnSO・4HO 0.4g
NaCl 0.4g
FeSO・7HO 0.4g
濃塩酸 0.1ml
水 200ml
(3−6)糖類資化性試験
継代培養液(培地はGYP液体培地)1滴を、下記の糖類発酵性試験培地に接種し、30℃で3日間培養した。培養終了後、目視にて、その生育度を判定した。
糖類発酵性試験培地(pH6.8〜7.0)
糖 1.0g
イースト・エキストラクト 0.5g
ペプトン 0.5g
塩溶液*1 0.5ml
水 100ml
*1: 塩溶液の配合
MgSO・7HO 8.0g
MnSO・4HO 0.4g
NaCl 0.4g
FeSO・7HO 0.4g
濃塩酸 0.1ml
水 200ml
糖としてアラビノースを使用した場合のみ、滅菌フィルター(DISMIC−25cs、アドバンテック社)を用いてろ過滅菌を行った。
(3−7)耐塩性
基本的には、供試菌毎に、その生育に最適の培地を基本培地として用いた。基本培地(例えばGYP液体培地)に食塩を加えて培地を調製した。培地の食塩濃度は、0%(w/v)、3%(w/v)、4%(w/v)、6.5%(w/v)、7.5%(w/v)、10%(w/v)、12.5%(w/v)、15%(w/v)、18%(w/v)及び20%(w/v)の10通りとした。
十分に生育した前培養液(基本培地で、菌の接種後20〜24時間培養したもの)1滴を、上記の培地5mlに接種した。これを、供試菌の至適温度で3〜10日間培養した。
培養後の各培地について、濁度(OD700)を測定し、食塩無添加の培地で生育した培養液の濁度に対するそれぞれの食塩濃度で生育した培養液の濁度の比を用いて0.7 以上を生育と判定した。供試菌が生育した上限の食塩濃度をとって、x%食塩耐性と表現した。
(3−8)生育pH
GYP液体培地を、最終pHが3.0、3.5、4.0、8.0、8.5、9.0となるように調製した。即ち、滅菌した2倍濃度のGYP液体培地(下記の通り)に、別に滅菌しておいた水酸化ナトリウム水溶液(0.03〜0.08N)又は塩酸(0.025〜0.08N)と等量混合し、上記pHに近い6種類を試験に供した。継代培養液1滴を各試験培地に接種後、30℃で3日間培養した。培養終了後、目視にて、その生育度を判定した。
2倍濃度のGYP液体培地
グルコース 8.0g
ペプトン 4.0g
イースト・エキストラクト 4.0g
塩溶液*1 2.0ml
水 200ml
*1: 塩溶液の配合
MgSO・7HO 8.0g
MnSO・4HO 0.4g
NaCl 0.4g
FeSO・7HO 0.4g
濃塩酸 0.1ml
水 200ml
結果を以下に示す。
(I)菌A
(I−1)形態的性質
細胞の形態: 桿菌
細胞の大きさ: 0.2〜0.3×5.0〜7.2μm
運動性: なし
胞子形成:なし
(I−2)生育状態
コロニーの形態: GYP白亜寒天培地で生育し、クリアゾーン形成。クリーム色を呈する。
生育温度:15〜40℃で生育する。45℃で生育しない。
嫌気下での生育性: 生育する。
(I−3)生理学的性質
グラム染色性: 陽性
カタラーゼ試験: 陰性
硝酸還元試験: 陰性
リトマスミルク試験: 変化なし
ゼラチン液化試験: 陰性
グルコースからのガスの発生: ガス発生あり
糖類資化性: グルコース、ガラクトース、ラクトース、メリビオース資化性あり。アラビノース、マルトース、スクロース、ラフィノース資化性なし。
乳酸生成能: 有
耐塩性: 5%食塩耐性
生育pH: pH3.5〜8.5で生育する。
(II)菌B
(II−1)形態的性質
細胞の形態: 桿菌
細胞の大きさ: 0.4〜0.6×15.0〜17.0μm
運動性: なし
胞子形成: なし
(II−2)生育状態
コロニーの形態: GYP白亜寒天培地で生育し、クリアゾーン形成。白色を呈する。
生育温度: 15〜40℃で生育する。45℃で生育しない。
嫌気下での生育性: 生育する。
(II−3)生理学的性質
グラム染色性: 陽性
カタラーゼ試験: 陰性
硝酸還元試験: 陰性
リトマスミルク試験: 酸性化、凝固
ゼラチン液化試験: 陰性
グルコースからのガスの発生: なし
糖類資化性:アラビノース、グルコース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、メリビオース、スクロース、ラフィノース資化性あり。
乳酸生成能: 有
耐塩性: 5%食塩耐性
生育pH: pH3.0〜9.0で生育する。
(III)菌C
(III−1)形態的性質
細胞の形態: 桿菌
細胞の大きさ: 0.4〜0.6×14.0〜17.0μm
運動性: なし
胞子形成: なし
(III−2)生育状況
コロニーの形態: GYP白亜寒天培地で生育し、クリアゾーンを形成する。白色を呈する。
生育温度: 15〜40℃で生育する。45℃では生育しない。
嫌気下での生育性: 生育する。
(III−3)生理学的性質
グラム染色性: 陽性
カタラーゼ試験: 陰性
硝酸還元試験: 陰性
リトマスミルク試験: 酸性化、ヨーグルト臭
ゼラチン液化試験: 陰性
グルコースからのガス発生: なし
糖類資化性: セルビオース、フラクトース、グルコース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、マンノース、トレハロース、タガトース資化性あり。
乳酸生成能: 有
耐塩性: 5%食塩耐性
生育pH: pH3.5〜5.0で生育する。
(IV)菌D
(IV−1)形態的性質
細胞の形態: 桿菌
細胞の大きさ: 約0.24×約6.1μm
運動性: なし
胞子形成: なし
(IV−2)生育状況
コロニーの形態: GYP白亜寒天培地で生育し、クリアゾーンを形成する。白色を呈する。
生育温度: 15〜40℃で生育する。45℃では生育しない。
嫌気下での生育性: 生育する。
(IV−3)生理学的性質
グラム染色性: 陽性
カタラーゼ試験: 陰性
硝酸還元試験: 陰性
リトマスミルク試験: 脱色、酸性化
ゼラチン液化試験: ±
グルコースからのガス発生: あり
糖類資化性: グルコース、ガラクトース、ラクトース、メリビオース、スクロース、
フラクトース、キシロースの資化性があり、リボースの資化性はややあり。
乳酸生成能: 有
生育pH: pH3.5〜8.0で生育する。
(V)菌E
(V−1)形態的性質
細胞の形態: 桿菌
細胞の大きさ: 約0.30×約5.9μm
運動性: なし
胞子形成: なし
(V−2)生育状況
コロニーの形態: GYP白亜寒天培地で生育し、クリアゾーンを形成する。白色を呈する。
生育温度: 20〜45℃で生育する。15℃では生育しない。
嫌気下での生育性: 生育する。
(V−3)生理学的性質
グラム染色性: 陽性
カタラーゼ試験: 陰性
硝酸還元試験: 陰性
リトマスミルク試験: 脱色、酸性化
ゼラチン液化試験: ±
グルコースからのガス発生: あり
糖類資化性: グルコース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、メリビオース、
スクロース、フラクトース、キシロースの資化性があり、リボース及びアラビノースの資化性はややある。
乳酸生成能: 有
耐塩性: 5%食塩耐性
生育pH: pH3.5〜8.0で生育する。
(VI)菌F
(VI−1)形態的性質
細胞の形態: 桿菌
細胞の大きさ: 約0.49×約16.6μm
運動性: なし
胞子形成: なし
(VI−2)生育状況
コロニーの形態: GYP白亜寒天培地で生育し、クリアゾーンを形成する。白色を呈する。
生育温度: 15〜40℃で生育する。45℃では生育しない。
嫌気下での生育性: 生育する。
(VI−3)生理学的性質
グラム染色性: 陽性
カタラーゼ試験: 陰性
硝酸還元試験: 陰性
リトマスミルク試験: 脱色、酸性化
ゼラチン液化試験: ±
グルコースからのガス発生: なし
糖類資化性: グルコース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、メリビオース、
スクロース、フラクトース、キシロース、アラビノースの資化性があり、リボースの資化性はややある。
乳酸生成能: 有
生育pH: pH3.5〜7.5で生育する。
(VII)菌G
(VII−1)形態的性質
細胞の形態: 桿菌
細胞の大きさ: 約0.66×約2.10μm
運動性: なし
胞子形成: なし
(VII−2)生育状況
コロニーの形態: GYP白亜寒天培地で生育し、クリアゾーンを形成する。白色を呈する。
生育温度: 15〜40℃で生育する。45℃では生育しない。
嫌気下での生育性: 生育する。
(VII−3)生理学的性質
グラム染色性: 陽性
カタラーゼ試験: 陰性
硝酸還元試験: 陰性
リトマスミルク試験: 脱色、酸性化
グルコースからのガス発生: あり
糖類資化性: グルコース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、メリビオース、
スクロース、フラクトース、キシロースの資化性があり、リボース及びアラビノースの資化性はややある。
乳酸生成能: 有
生育pH: pH3.5〜7.5で生育する。
(VIII)菌H
(VIII−1)形態的性質
細胞の形態: 桿菌
細胞の大きさ: 約0.35×約7.25μm
運動性: なし
胞子形成: なし
(VIII−2)生育状況
コロニーの形態: GYP白亜寒天培地で生育し、クリアゾーンを形成する。白色を呈する。
生育温度: 15〜40℃で生育する。45℃では生育しない。
嫌気下での生育性: 生育する。
(VIII−3)生理学的性質
グラム染色性: 陽性
カタラーゼ試験: 陰性
硝酸還元試験: 陰性
リトマスミルク試験: 脱色、酸性化
グルコースからのガス発生: あり
糖類資化性: グルコース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、メリビオース、
スクロース、フラクトース、キシロースの資化性があり、リボース及びアラビノースの資化性はややある。
乳酸生成能: 有
生育pH: pH4.0〜7.5で生育する。
(IX)菌I
(IX−1)形態的性質
細胞の形態: 桿菌
細胞の大きさ: 0.2〜0.3×4.0〜6.0μm
運動性: あり
胞子形成: なし
(III−2)生育状態
コロニーの形態: GYP白亜寒天培地表面で生育する。クリーム色を呈する。
生育温度: 15〜40℃で生育する。45℃で生育しない。
嫌気下での生育性: 生育しない。
(III−3)生理学的性質
グラム染色性: 陽性
カタラーゼ試験: 陽性
硝酸還元試験: 陰性
リトマスミルク試験: 脱色、凝固
ゼラチン液化試験: 陽性
糖類資化性: アラビノース、グルコース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、メリビオース、スクロース、ラフィノース資化性あり。
生育pH: pH8.0〜9.0で生育する、pH4.0以下では生育せず。
実施例4(菌A、B、C及びIの属、種の同定)
菌A乃至C及びIのそれぞれについて、常法によって菌を増殖させ、DNAを抽出し、PCRを行った後、16S rDNAの解析を行った。具体的には、次のような操作を行った。
(1)培養条件
(1−1)培地
菌A乃至C: MRS寒天培地(Oxoid,Hampshire,England)
菌I: 標準寒天培地(日水製薬株式会社製)
(1−2)培養温度 30℃
(1−3)培養時間 4日間
(1−4)その他の条件 好気培養
(2)DNAの抽出から配列決定まで
(2−1)DNA抽出 InstaGene Matrix(BIO RAD,CA,USA)
(2−2)PCR PrimeSTAR HS DNA Polymerase(タカラバイオ株式会社)
(2−3)サイクルシークエンス BigDye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems,CA,USA)
(2−4)使用プライマー 9F,339F,785F,1099F,536R,802R,1242R,1510R
(2−5)シークエンス ABI PRISM 3130 xl Genetic Analyzer System(Applied Biosystems,CA,USA)
(2−6)配列決定 ChromasPro 1.4(Technelysium Pty Ltd.,Tewantin,AUS)
(3)結果
菌Aの16S rDNAは配列番号1に記載のとおりであり、菌Bの16S rDNAは配列番号2に記載のとおりであり、菌Cの16S rDNA(一部)は配列番号3に記載のとおりであり、菌Iの16S rDNAは配列番号3に記載のとおりであった。
また、上記4種の菌の16S rDNAを、国際塩基配列データベース(GenBank/DDBJ/EMBL)BLAST検索及びアポロンDB−BA 4.0(株式会社テクノスルガ・ラボ)BLAST検索に供したところ、以下の結果となった。
菌A: Lactobacillus buchneri(相同率:99.7%以上)
菌B: Lactobacillus pentosus(相同率:99.7%以上)又はLactobacillus plantarum(相同率:99.7%以上)
菌C: Lactobacillus pantheris(相同率:99.8%以上)
菌I: Microbacteriumu oxydans(相同率:99.8%以上)
実施例5(菌D乃至Hの属、種の同定)
菌D乃至Hのそれぞれについて、乳酸菌用細菌同定検査キットのアピ50CHL(日本ビオメリュー株式会社製)を用い、そのプロトコールに従って同定を行った。結果は次のとおりであった。
菌D: Lactobacillus buchneri(75.5%)又はLactobacillus brevis(30.0%)
菌E: Lactobacillus fermentum(80.5%)
菌F: Lactobacillus plantarum(70.5%)
菌G: Lactobacillus brevis(85.5%)
菌H: Lactobacillus buchneri(60.5%)又はLactobacillus brevis(38.0%以上)
実施例6(ステビア発酵液1の製造)
微生物としてラクトバチルス属の菌AであるFERM P−21620を、実施例1で調製した実験用ステビア熱水抽出液に接種し、3リットル容量のジャー・ファーメンタにて、培養温度35℃にて2ヶ月間培養した。グルコース等からの乳酸及び酢酸の生成に伴って、pHは急速に低下した。培養終了後、培地中のグルコース及びフラクトースは資化され、菌体細胞と乳酸と酢酸に変化していた。また、ステビア粉末に含有されていたステビオシドやレバウディオシドのグルコース残基の一部が加水分解されたために、ステビオシドやステビオールなどの濃度も変化していた。得られた発酵液を、ステビア発酵液1とした。この発酵液は、従来の方法で低温で自然発酵して得られた発酵液と極めて類似していた。
実施例7(ステビア発酵液2の製造)
微生物としてラクトバチルス属の菌BであるFERM P−21621を用いた以外は、実施例6と同様にしてステビア発酵液2を製造した。
実施例8(ステビア発酵液3の製造)
微生物としてラクトバチルス属の菌Cであって、配列表の配列3に示す遺伝子配列を有するLactobacillus plantarumを用いた以外は、実施例6と同様にしてステビア発酵液3を製造した。
実施例9(ステビア発酵液4の製造)
微生物としてラクトバチルス属の菌Dを用いた以外は、実施例6と同様にしてステビア発酵液4を製造した。
実施例10(ステビア発酵液5の製造)
微生物としてラクトバチルス属の菌Eを用いた以外は、実施例6と同様にしてステビア発酵液5を製造した。
実施例11(ステビア発酵液6の製造)
微生物としてラクトバチルス属の菌Fを用いた以外は、実施例6と同様にしてステビア発酵液6を製造した。
実施例12(ステビア発酵液7の製造)
微生物としてラクトバチルス属の菌Gを用いた以外は、実施例6と同様にしてステビア発酵液7を製造した。
実施例13(ステビア発酵液8の製造)
微生物としてラクトバチルス属の菌Hを用いた以外は、実施例6と同様にしてステビア発酵液8を製造した。
実施例14(ステビア発酵液9の製造)
微生物としてミクロバクテリウム属の菌IであるFERM P−21619を用い、緩やかに酸素供給しながら培養したこと以外は、実施例6と同様にしてステビア発酵液9を製造した。菌Iは、ラクトバチルス属の菌と比べて発酵中の乳酸の生成量が少ないため、発酵中におけるpHの低下は穏やかであった。
実施例15(小松菜の栽培試験)
実施例6、7、8、10、12、13及び14で得られたステビア発酵液1、2、3、5、7、8及び9の、農作物の成長に及ぼす影響を観察した。ステビア発酵液4は使用した菌Dが菌Hと近似しているため、ステビア発酵液6は使用した菌Fが菌Bと近似しているため、それぞれ割愛した。
植物の成長に及ぼす土壌の影響を排除するために、水耕栽培を行った。栽培用水槽は横400mm、縦300mm、高さ50mmのプラスチック製容器であった。この容器に含水させたスポンジを敷き詰め、小松菜種子を播種した。発芽後、長さ5cmの苗を選び、1区画10本を定植した。
定植は、次のようにして行った。横400mm、縦300mm、高さ50mmのプラスチック製容器に、液肥1リットルを注入した。次いで、そのプラスチック製容器内に嵌入容易なサイズのメッシュ状容器(横380mm、縦280mm、高さ150mm)に市販のバーミキュライトを10mm厚に敷き、その上に発芽した小松菜をスポンジ培地ごと載せ、これを1区画とした。
各試験区では、異なるステビア発酵液を添加した液肥を使用した。試験区1は、市販の家庭用水耕栽培液ハイポニカ(商標名、協和社製、濃縮液体肥料)の希釈液のみで栽培を行った。この希釈液は、A液6ml及びB液6mlに水を加えて全量3リットルとしたもの(A液及びB液の各々が500倍希釈)である。
試験区2〜8は、上記のハイポニカの希釈液に、実施例6、7、8、10、12、13及び14で得られたステビア発酵液のいずれかを添加したものである。また、試験区9(参考)には、市販のステビア抽出発酵液、「ファームA」(商品、株式会社ビーアンドエル製)を用いた。実施例6、7、8、10、12、13及び14で得られたステビア発酵液は「ファームA」より高濃度であったため、固形分濃度を指標として「ファームA」と同一濃度になるように水道水で希釈して用いた。各試験区の液肥の条件をまとめると、次の通りである。
試験区1: ハイポニカの希釈液のみを使用した。
試験区2: 濃度調節した本発明ステビア発酵液1を、ハイポニカの希釈液1リットルに対して1ml添加したものを使用した。
試験区3: 濃度調節した本発明ステビア発酵液2を、ハイポニカの希釈液1リットルに対して1ml添加したものを使用した。
試験区4: 濃度調節した本発明ステビア発酵液3を、ハイポニカの希釈液1リットルに対して1ml添加したものを使用した。
試験区5: 濃度調節した本発明ステビア発酵液5を、ハイポニカの希釈液1リットルに対して1ml添加したものを使用した。
試験区6: 濃度調節した本発明ステビア発酵液7を、ハイポニカの希釈液1リットルに対して1ml添加したものを使用した。
試験区7: 濃度調節した本発明ステビア発酵液8を、ハイポニカの希釈液1リットルに対して1ml添加したものを使用した。
試験区8: 濃度調節した本発明ステビア発酵液9を、ハイポニカの希釈液1リットルに対して1ml添加したものを使用した。
試験区9: 「ファームA」をハイポニカの希釈液1リットルに対して1ml添加したものを使用した。
上記の方法で栽培を開始した。栽培は3〜4月に行った。気温が低かったため、発育が遅かった。定植から50日後に茎の付け根より切断して収穫した。収穫後の地上部重量、個体長さ、個体葉数を測定し、10株の平均値を表1に記載した。成長中の観察では、ステビア発酵液を添加した試験区は、試験区1(対照区)と比して明らかに生育がよく、丈も高く、葉の勢いもよく、逞しい印象であった。
Figure 2010284100
実施例16(血糖値低下作用)
4週齢の実験用マウス40匹を購入した。1群8匹として、5群に分け、購入直後から全マウスに市販の実験用高脂肪食(オリエンタル酵母工業株式会社製)を与えて飼育した。第1群を除く第2〜5群には、飼育1週間後にストレプトゾトシンとニコチナミドを与えてII型糖尿病マウスを得た。投与量は膵臓のランゲルハンス島の細胞を大量に破壊するが、なお、インスリン生成機能を有する程度の量である。これらのマウスに高脂肪食を与えながら、さらに3週間飼育した。
飼育5週目に入った日から、第3群には、実施例6で製造したステビア発酵液1を水道水で10倍に希釈したものを、0.1ml/10g体重/回の量で1日2回、7日間、ゾンデを用いて強制経口投与した。第4群には、実施例8で製造したステビア発酵液3を水道水で10倍に希釈したものを、0.1ml/10g体重/回の量で1日2回、7日間、ゾンデを用いて強制経口投与した。第5群には市販のステビア発酵濃縮エキス「ステビアの恵」(商標名、株式会社ビーアンドエル製)を同じく水道水で10倍に希釈したものを、0.1ml/10g体重/回の量を1日2回、7日間、ゾンデを用いて強制経口投与した。マウスに与えるストレスを同等とするため、第1群と第2群には、水道水を、0.1ml/10g体重/回の量で1日2回、7日間、ゾンデを用いて強制経口投与した。各群のマウスに施した処置をまとめると、次の通りである。
第1群……高脂肪食
第2群……高脂肪食+II型糖尿病化処置
第3群……高脂肪食+II型糖尿病化処置+本発明方法で製造したステビア発酵液1を投与 第4群……高脂肪食+II型糖尿病化処置+本発明方法で製造したステビア発酵液3を投与
第5群……高脂肪食+II型糖尿病化処置+市販のステビア濃縮発酵液を投与
7日後に全群のマウスにグルコース1g/kg体重をゾンデを用いて強制経口投与し、投与後、15分、30分、60分、120分後の血糖値を測定し、各群8匹の平均値を表2に示す。表2より、本発明方法で製造されたステビア発酵液1及びステビア発酵液3を投与されたマウスでは、市販のステビア発酵濃縮エキス「ステビアの恵」を投与されたマウスと同様に、グルコース投与30分後と60分後との間で血糖値の低下率が高く、これらがII型糖尿病マウスに対して有効であることが判明した。
Figure 2010284100
実施例17(ブロイラー雛の飼育)
孵化した雛の消化器系は生後5日以内に形成されるといわれている。そこで、生後1週間まで飲料水にステビア発酵液を添加し、以後は添加することなくブロイラーを育成した。安全な鶏肉を年間10万羽生産している養鶏場で試験を行った。この養鶏場では孵化10週間後に出荷している。
各試験区は、オス、メス各10羽、合計20羽とし、対照区では飼育場と同様の飼料、飲み水を与えて飼育した。試験区1では、孵化後1週間のみ、実施例6で製造したステビア発酵液1の原液を0.1%濃度で含有する希釈水を飲み水として与えた以外は、対照区と同様にして飼育した。試験区2では、孵化後1週間のみ、実施例8で製造したステビア発酵液3の原液を0.1%濃度で含有する希釈水を飲み水として与えた以外は、対照区と同様にして飼育した。参考区では、孵化後1週間のみ、市販のステビア濃縮発酵エキス「ファームA」(商品名、株式会社ビーアンドエル製)を0.1%濃度で含有する希釈水を飲み水として与えた以外は、対照区と同様にして飼育した。なお、ステビア発酵液1及び3の原液とは、実施例15の方法に従って、固形分濃度が「ファームA」と同等となるように希釈したものである。
孵化後、1週間毎に各雛の体重を測定し、各区毎の体重の平均値を表3に示した。表3より、本発明の方法で製造したステビア発酵液1及び3は、鶏の飼育にも有効であることが判明した。
Figure 2010284100
FERM P−21619
FERM P−21620
FERM P−21621

Claims (11)

  1. ステビアの茎と葉又は茎の乾燥粉末を熱水抽出に供する工程、熱水抽出液を滅菌する工程、滅菌後の熱水抽出液に、それぞれ下記の性質を有する8種のラクトバチルス属の菌及び1種のミクロバクテリウム属の菌からなる群から選択される少なくとも1種の菌を接種し、雑菌による汚染を排除した状態で発酵させる工程を備えてなることを特徴とするステビア発酵液の製造方法:
    [ラクトバチルス属の菌A]
    (形態的性質)
    細胞の形態: 桿菌
    細胞の大きさ: 0.2〜0.3×5.0〜7.2μm
    運動性: なし
    胞子形成: なし
    (生育状況)
    コロニーの形態: GYP白亜寒天培地で生育し、クリアゾーンを形成する。クリーム色を呈する。
    生育温度: 15〜40℃で生育する。45℃では生育しない。
    嫌気下での生育性: 生育する。
    (生理学的性質)
    グラム染色性: 陽性
    カタラーゼ試験: 陰性
    硝酸還元試験: 陰性
    リトマスミルク試験: わずかに酸性化
    ゼラチン液化試験: 陰性
    グルコースからのガス発生: 炭酸ガスを発生する。
    糖類資化性: グルコース、ガラクトース、ラクトース、メリビオース資化性あり。アラビノース、マルトース、スクロース、ラフィノース資化性なし。
    乳酸生成能: 有
    耐塩性: 5%食塩耐性
    生育pH: pH3.5〜8.5で生育する;
    [ラクトバチルス属の菌B]
    (形態的性質)
    細胞の形態: 桿菌
    細胞の大きさ: 0.4〜0.6×15.0〜17.0μm
    運動性: なし
    胞子形成: なし
    (生育状況)
    コロニーの形態: GYP白亜寒天培地で生育し、クリアゾーンを形成する。白色を呈する。
    生育温度: 15〜40℃で生育する。45℃では生育しない。
    嫌気下での生育性: 生育する。
    (生理学的性質)
    グラム染色性: 陽性
    カタラーゼ試験: 陰性
    硝酸還元試験: 陰性
    リトマスミルク試験: 酸性化、黄変、凝固
    ゼラチン液化試験: 陰性
    グルコースからのガス発生: なし
    糖類資化性: アラビノース、グルコース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、メリビオース、スクロース、ラフィノース資化性あり。
    乳酸生成能: 有
    耐塩性: 5%食塩耐性
    生育pH: pH3.5〜9.0で生育する;
    [ラクトバチルス属の菌C]
    (形態的性質)
    細胞の形態: 桿菌
    細胞の大きさ: 0.4〜0.6×14.0〜17.0μm
    運動性: なし
    胞子形成: なし
    (生育状況)
    コロニーの形態: GYP白亜寒天培地で生育し、クリアゾーンを形成する。白色を呈する。
    生育温度: 15〜40℃で生育する。45℃では生育しない。
    嫌気下での生育性: 生育する。
    (生理学的性質)
    グラム染色性: 陽性
    カタラーゼ試験: 陰性
    硝酸還元試験: 陰性
    リトマスミルク試験: 酸性化、ヨーグルト臭
    ゼラチン液化試験: 陰性
    グルコースからのガス発生: なし
    糖類資化性: セルビオース、フラクトース、グルコース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、マンノース、トレハロース、タガトース資化性あり。
    乳酸生成能: 有
    耐塩性: 5%食塩耐性
    生育pH: pH3.5〜5.0で生育する;
    [ラクトバチルス属の菌D]
    (形態的性質)
    細胞の形態: 桿菌
    細胞の大きさ: 約0.24×約6.1μm
    運動性: なし
    胞子形成: なし
    (生育状況)
    コロニーの形態: GYP白亜寒天培地で生育し、クリアゾーンを形成する。白色を呈する。
    生育温度: 15〜40℃で生育する。45℃では生育しない。
    嫌気下での生育性: 生育する。
    (生理学的性質)
    グラム染色性: 陽性
    カタラーゼ試験: 陰性
    硝酸還元試験: 陰性
    リトマスミルク試験: 脱色、酸性化
    ゼラチン液化試験: ±
    グルコースからのガス発生: あり
    糖類資化性: グルコース、ガラクトース、ラクトース、メリビオース、スクロース、フラクトース、キシロースの資化性があり、リボースの資化性はややあり。
    乳酸生成能: 有
    生育pH: pH3.5〜8.0で生育する;
    [ラクトバチルス属の菌E]
    (形態的性質)
    細胞の形態: 桿菌
    細胞の大きさ: 約0.30×約5.9μm
    運動性: なし
    胞子形成: なし
    (生育状況)
    コロニーの形態: GYP白亜寒天培地で生育し、クリアゾーンを形成する。白色を呈する。
    生育温度: 20〜45℃で生育する。15℃では生育しない。
    嫌気下での生育性: 生育する。
    (生理学的性質)
    グラム染色性: 陽性
    カタラーゼ試験: 陰性
    硝酸還元試験: 陰性
    リトマスミルク試験: 脱色、酸性化
    ゼラチン液化試験: ±
    グルコースからのガス発生: あり
    糖類資化性: グルコース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、メリビオース、スクロース、フラクトース、キシロースの資化性があり、リボース及びアラビノースの資化性はややある。
    乳酸生成能: 有
    生育pH: pH3.5〜8.0で生育する;
    [ラクトバチルス属の菌F]
    (形態的性質)
    細胞の形態: 桿菌
    細胞の大きさ: 約0.49×約16.6μm
    運動性: なし
    胞子形成: なし
    (生育状況)
    コロニーの形態: GYP白亜寒天培地で生育し、クリアゾーンを形成する。白色を呈する。
    生育温度: 15〜40℃で生育する。45℃では生育しない。
    嫌気下での生育性: 生育する。
    (生理学的性質)
    グラム染色性: 陽性
    カタラーゼ試験: 陰性
    硝酸還元試験: 陰性
    リトマスミルク試験: 脱色、酸性化
    ゼラチン液化試験: ±
    グルコースからのガス発生: なし
    糖類資化性: グルコース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、メリビオース、スクロース、フラクトース、キシロース、アラビノースの資化性があり、リボースの資化性はややある。
    乳酸生成能: 有
    生育pH: pH3.5〜7.5で生育する;
    [ラクトバチルス属の菌G]
    (形態的性質)
    細胞の形態: 桿菌
    細胞の大きさ: 約0.66×約2.10μm
    運動性: なし
    胞子形成: なし
    (生育状況)
    コロニーの形態: GYP白亜寒天培地で生育し、クリアゾーンを形成する。白色を呈する。
    生育温度: 15〜40℃で生育する。45℃では生育しない。
    嫌気下での生育性: 生育する。
    (生理学的性質)
    グラム染色性: 陽性
    カタラーゼ試験: 陰性
    硝酸還元試験: 陰性
    リトマスミルク試験: 脱色、酸性化
    グルコースからのガス発生: あり
    糖類資化性: グルコース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、メリビオース、スクロース、フラクトース、キシロースの資化性があり、リボース及びアラビノースの資化性はややある。
    乳酸生成能: 有
    生育pH: pH3.5〜7.5で生育する;
    [ラクトバチルス属の菌H]
    (形態的性質)
    細胞の形態: 桿菌
    細胞の大きさ: 約0.35×約7.25μm
    運動性: なし
    胞子形成: なし
    (生育状況)
    コロニーの形態: GYP白亜寒天培地表面で生育し、クリアゾーンを形成する。白色を呈する。
    生育温度: 15〜40℃で生育する。45℃では生育しない。
    嫌気下での生育性: 生育する。
    (生理学的性質)
    グラム染色性: 陽性
    カタラーゼ試験: 陰性
    硝酸還元試験: 陰性
    リトマスミルク試験: 脱色、酸性化
    グルコースからのガス発生: あり
    糖類資化性: グルコース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、メリビオース、スクロース、フラクトース、キシロースの資化性があり、リボース及びアラビノースの資化性はややある。
    乳酸生成能: 有
    生育pH: pH4.0〜7.5で生育する;及び
    [ミクロバクテリウム属の菌I]
    (形態的性質)
    細胞の形態: 桿菌
    細胞の大きさ: 0.2〜0.3×4.0〜6.0μm
    運動性: あり
    胞子形成: なし
    (生育状況)
    コロニーの形態: GYP白亜寒天培地表面で生育する。光沢あり。クリーム色を呈する。
    生育温度: 15〜40℃で生育する。45℃では生育しない。
    嫌気下での生育性: 生育しない。
    (生理学的性質)
    グラム染色性: 陽性
    カタラーゼ試験: 陽性
    硝酸還元試験: 陰性
    リトマスミルク試験: 脱色、黄変、凝固
    ゼラチン液化試験: 陽性
    糖類資化性: アラビノース、グルコース、ガラクトース、ラクトース、マルトース、メリビオース、スクロース、ラフィノース資化性あり。
    生育pH: pH8.0〜9.0でよく生育。pH4.0以下では生育せず。
  2. ラクトバチルス属の菌Aは、その16S rDNAが配列番号1の塩基配列のものであり、ラクトバチルス属の菌Bは、その16S rDNAが配列番号2の塩基配列のものであり、ラクトバチルス属の菌Cは、その16S rDNAが配列番号3の塩基配列のものであり、ミクロバクテリウム属の菌Iは、その16S rDNAが配列番号4の塩基配列のものである、請求項1に記載のステビア発酵液の製造方法。
  3. ラクトバチルス属の菌Aが、受託番号がFERM P−21620である菌、ラクトバチルス属の菌Bが、受託番号がFERM P−21621である菌及びミクロバクテリウム属の菌Iが受託番号がFERM P−21619である菌である、請求項1又は2に記載のステビア発酵液の製造方法。
  4. 滅菌後の熱水抽出液に接種される菌が、ラクトバチルス属の菌A、ラクトバチルス属の菌B及びミクロバクテリウム属の菌Iからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のステビア発酵液の製造方法。
  5. 滅菌後の熱水抽出液にミクロバクテリウム属の菌Iを接種して発酵させた後、少なくとも1種のラクトバチルス属の菌を接種して発酵させる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のステビア発酵液の製造方法。
  6. 滅菌後の熱水抽出液に接種される菌が、ラクトバチルス属の菌C、ラクトバチルス属の菌D、ラクトバチルス属の菌E、ラクトバチルス属の菌F、ラクトバチルス属の菌G及びラクトバチルス属の菌Hからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のステビア発酵液の製造方法。
  7. 発酵時の温度が20〜40℃である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のステビア発酵液の製造方法。
  8. 固形分濃度が7〜30重量%の熱水抽出液を発酵させる、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のステビア発酵液の製造方法。
  9. 原料であるステビア粉末中の茎の割合が60重量%以上である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のステビア発酵液の製造方法。
  10. 熱水抽出液を得た後に濃縮工程を実施し、濃縮された熱水抽出液を滅菌する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のステビア発酵液の製造方法。
  11. 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法で製造されたステビア発酵液。
JP2009139723A 2009-06-11 2009-06-11 ステビア発酵液の製造方法 Withdrawn JP2010284100A (ja)

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