JP2010281607A - 基板検査用プローブ及び基板検査用治具 - Google Patents
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Abstract
【課題】電鋳により製造した、螺旋形状のスプリング構造を一部に有する両端開口の筒形状で、優れたばね特性を有し、耐久性が向上し、100万回以上の測定にも十分耐え得る基板検査用プローブ及び、基板検査用治具を提案する。
【解決手段】螺旋形状のスプリング構造を一部に有する電鋳製のニッケル合金パイプからなる基板検査用プローブであって、組成成分にFeを2〜25重量%含み、外径が20μm乃至250μm、肉厚が2.5μm乃至50μmで、荷重とそれに応じた変位が100万回の繰り返し試験で比例関係を保つばね特性を有する基板検査用プローブとこれを使用した基板検査用治具。
【選択図】図1
【解決手段】螺旋形状のスプリング構造を一部に有する電鋳製のニッケル合金パイプからなる基板検査用プローブであって、組成成分にFeを2〜25重量%含み、外径が20μm乃至250μm、肉厚が2.5μm乃至50μmで、荷重とそれに応じた変位が100万回の繰り返し試験で比例関係を保つばね特性を有する基板検査用プローブとこれを使用した基板検査用治具。
【選択図】図1
Description
この発明は、電気鋳造(本明細書において「電鋳」という)法により製造した超微細なNi電鋳製の基板検査用プローブに関し、特に、螺旋形状のスプリング構造を一部に備えていて、優れたばね特性を有し、同時に、耐久性に優れた基板検査用プローブ及びこの基板検査用プローブを用いる基板検査用治具に関する。
従来からLSI等の集積回路の製造において半導体パターンが設計通りに出来上がり、電気的導通が良好であるかどうかを検査する際に基板検査用プローブが使用されている。
近年、一枚の基板から多くの半導体集積回路を製造したり、検査する半導体集積回路の導電パッド間隔を狭めたり、一個の半導体集積回路に設ける導電パッドの数を増加させる等の傾向が強まっている。
そこで、検査対象物上の導電パッドに接触させて導通させる基板検査用プローブについてもその微細化が要請され、線径を細くし、単位面積当たりに配備されるコンタクトプローブの数を増やし、コンタクトプローブ間の間隔もより狭くできるようにすることが求められている。
このように微細化が要請される下でも基板検査用プローブには導電パッドにある程度の接触圧で接触し、また、変形等することなしに数万回にも及ぶ測定に耐え得る物性を有することが要請されている。
このような中で、より細い垂直コイルスプリングプローブであっても確実に接触荷重を確保し、数十万回のオーバードライブの使用に耐え得ることを目的として垂直コイルスプリングプローブが提案されている(特許文献1)。
また、本件特許出願人はスプリング構造を一部に備えている超微細なNi電鋳パイプからなる基板検査用プローブを提案している(特許文献2)。
「合金めっき」(日刊工業新聞社(1987)p128
Ricoh Technical Report No.33 (December, 2007)
本願の発明者は特許文献2で提案したスプリング構造を一部に備えている超微細なNi電鋳パイプからなる基板検査用プローブについて更に検討を進め、優れたばね特性を有している一方で、引っ張り、圧縮の双方に対して高い耐性を示し、耐久性が一層向上し、数十万回を越える繰り返し測定に耐え得る基板検査用プローブの開発に取り組んだ。
本発明は、電鋳により製造した、螺旋形状のスプリング構造を一部に有する両端開口の筒形状で、優れたばね特性を有し、耐久性が向上し、100万回以上の測定にも十分耐え得る基板検査用プローブ及び、基板検査用治具を提案することを目的にしている。
請求項1記載の発明は、
螺旋形状のスプリング構造を一部に有する電鋳製のニッケル合金パイプからなる基板検査用プローブであって、
組成成分にFeを2〜25重量%含み、
外径が20μm乃至250μm、肉厚が2.5μm乃至50μmで
荷重とそれに応じた変位が100万回の繰り返し試験で比例関係を保つばね特性を有する
基板検査用プローブである。
螺旋形状のスプリング構造を一部に有する電鋳製のニッケル合金パイプからなる基板検査用プローブであって、
組成成分にFeを2〜25重量%含み、
外径が20μm乃至250μm、肉厚が2.5μm乃至50μmで
荷重とそれに応じた変位が100万回の繰り返し試験で比例関係を保つばね特性を有する
基板検査用プローブである。
請求項2記載の発明は、
検査対象となる基板上に形成される配線の電気的特性を検査するために、配線上に予め設定される検査点と該配線の電気的特性を検査する検査装置を電気的に接続する基板検査用治具であって、
前記検査装置と電気的に接続される電極部を有する接続電極体と、
一方端が前記検査点に圧接され、他方端が前記電極部に圧接されるプローブと、
前記プローブを保持する保持体とを備え、
前記プローブは、
電鋳によるニッケル合金で形成された、外径10〜250μm、肉厚2.5〜50μmの両端開口の筒形状であって、
螺旋形状のスプリング構造を一部に有し、
前記ニッケル合金がFeを2〜25重量%含むことを特徴とする基板検査用治具である。
検査対象となる基板上に形成される配線の電気的特性を検査するために、配線上に予め設定される検査点と該配線の電気的特性を検査する検査装置を電気的に接続する基板検査用治具であって、
前記検査装置と電気的に接続される電極部を有する接続電極体と、
一方端が前記検査点に圧接され、他方端が前記電極部に圧接されるプローブと、
前記プローブを保持する保持体とを備え、
前記プローブは、
電鋳によるニッケル合金で形成された、外径10〜250μm、肉厚2.5〜50μmの両端開口の筒形状であって、
螺旋形状のスプリング構造を一部に有し、
前記ニッケル合金がFeを2〜25重量%含むことを特徴とする基板検査用治具である。
請求項3記載の発明は、
前記プローブは、
所望の外径と長さを有する円柱形状の芯線に、絶縁被膜を該芯線の周面を被覆するように形成し、
前記絶縁被膜の所望の部位を、レーザーにより露光・現像・加熱処理して螺旋状のマスクを形成し、
周面に前記マスクが形成された芯線にニッケルめっきを実施し、
前記ニッケルめっきを実施された芯線の前記マスクを除去した後、前記芯線を引き抜くことで形成したことを特徴とする請求項2記載の基板検査用治具である。
前記プローブは、
所望の外径と長さを有する円柱形状の芯線に、絶縁被膜を該芯線の周面を被覆するように形成し、
前記絶縁被膜の所望の部位を、レーザーにより露光・現像・加熱処理して螺旋状のマスクを形成し、
周面に前記マスクが形成された芯線にニッケルめっきを実施し、
前記ニッケルめっきを実施された芯線の前記マスクを除去した後、前記芯線を引き抜くことで形成したことを特徴とする請求項2記載の基板検査用治具である。
請求項4記載の発明は、
前記プローブは、
所望の外径と長さを有する円柱形状の芯線に、ニッケル合金を所望の厚さにめっきして、ニッケル合金めっき層を形成し、
前記ニッケル合金めっき層の表面にフォトレジスト被膜を形成し、
前記フォトレジスト被膜の所望の部位を、レーザーにより露光・現像・加熱処理して螺旋状のマスクを形成し、
前記螺旋状のマスクが形成された芯線のニッケル合金めっき層をエッチング除去した後、前記マスクを除去し、前記芯線を引き抜くことで形成することを特徴とする請求項2記載の基板検査用治具である。
前記プローブは、
所望の外径と長さを有する円柱形状の芯線に、ニッケル合金を所望の厚さにめっきして、ニッケル合金めっき層を形成し、
前記ニッケル合金めっき層の表面にフォトレジスト被膜を形成し、
前記フォトレジスト被膜の所望の部位を、レーザーにより露光・現像・加熱処理して螺旋状のマスクを形成し、
前記螺旋状のマスクが形成された芯線のニッケル合金めっき層をエッチング除去した後、前記マスクを除去し、前記芯線を引き抜くことで形成することを特徴とする請求項2記載の基板検査用治具である。
この発明によれば、優れたばね特性を有し、耐久性が向上し、100万回以上の測定にも十分耐え得る、螺旋形状のスプリング構造を一部に備えている電鋳製の超微細な基板検査用プローブを提供できる。
また、この基板検査用プローブを備えることにより、高い耐久性と狭ピッチと多ピン化に対応できる基板検査用治具を提供できる。
本発明の基板検査用プローブは、螺旋形状のスプリング構造を一部に有する電鋳製のニッケル合金パイプからなり、
組成成分にFeを2〜25重量%含み、
外径が20μm乃至250μm、肉厚が2.5μm乃至50μmで
荷重とそれに応じた変位が100万回の繰り返し試験で比例関係を保つばね特性を有する。
組成成分にFeを2〜25重量%含み、
外径が20μm乃至250μm、肉厚が2.5μm乃至50μmで
荷重とそれに応じた変位が100万回の繰り返し試験で比例関係を保つばね特性を有する。
本発明の基板検査用プローブに使用されるNi電鋳製微細管は、本願の発明者等が提案している国際公開WO2003/018879号(特許文献3)や、特開2004−115838号公報(特許文献4)に記載されているNi電鋳製微細管の製造方法を応用して製造できる。
特許文献3、4に記載されているNi電鋳製微細管の製造方法は、電解液がオーバーフローする部分を設けた電解槽のオーバーフロー部に、所望の均一な線径を持つ芯材を保持し、電解液に触れぬように設置した電極に当該心材を接続し、電流密度を制御して、当該心材に電鋳法で所望の厚さまで均一にニッケルを電着させ、その後、前記芯材のみを引き抜くものである。
本発明の電鋳製のニッケル合金パイプからなる基板検査用プローブは、前記のNi電鋳製超微細管の製造方法における芯材として、スプリング構造部分に対応する形状の絶縁皮膜(例えば、合成樹脂製の絶縁皮膜やレジスト被膜)が外周に形成されている芯材を用いることによって製造できる。このような芯材を用いて前記のNi電鋳製超微細管の製造方法を適用することにより、芯材外周の絶縁皮膜が形成されていない部分に、電鋳法で所望の厚さまで均一にニッケル合金を電着させる。その後、絶縁皮膜を除去し、前記芯材のみを引き抜いて、螺旋形状のスプリング構造を一部に有する電鋳製のニッケル合金パイプかららなる本発明の基板検査用プローブを製造できる。
あるいは、所望の外径と長さを有する円柱形状の芯線に、ニッケル合金を所望の厚さにめっきしてニッケル合金めっき層を形成した後、当該ニッケル合金めっき層の表面をフォトレジスト被膜で被覆し、当該フォトレジスト被膜の所望の部位をレーザーにより露光・現像・加熱処理して螺旋状のマスクを形成し、当該螺旋状のマスクが形成された芯線のニッケル合金めっき層をエッチング除去した後、前記マスクを除去し、前記芯線を引き抜くことで製造できる。
本発明の基板検査用プローブは、前記に例示した工程で製造することにより、外径が20μm乃至250μm、肉厚2.5μm乃至50μmという超微細径で、肉薄の構造になる。
なお、芯材の線径の選択、芯材の外周に形成する電着物の厚さを調整することにより、外径を20μm乃至250μmで、肉厚が2.5μm乃至50μmになるように調整できる。
本発明の基板検査用プローブは、前述したようにして製造されるので、スプリング構造部分は、断面円形の極細線を極細径の棒状体の外周に巻きつけてコイル状スプリングにしたものとは異なり、図3に符号3bでその断面が表わされるように、局所的には板バネ構造を持つものとなる。
本発明の基板検査用プローブは、前述したようにして製造されるので、芯材の線径の選択、芯材の外周に形成する電着物の厚さ調整による内径:r・外径:Rの大きさの調整、ピッチpの大きさの調整及び、所定の長さ(図1、図3の上下方向の大きさ)におけるピッチpの大きさ・間隔の調整による肉厚調整などにより、所望のバネ圧を得ることのできる自在性がある。
本発明の基板検査用プローブは、組成成分にFeを2〜25重量%含んでいるという特徴を有する。
電解液(電鋳液)は、スルファミン酸ニッケル液に光沢剤、ビット防止剤を加えて調製するが、この際、製造する基板検査用プローブのFeの成分組成がFeを2〜25重量%含んだものになるように電解液(電鋳液)を調整し、組成成分にFeを2〜25重量%含んだ電鋳物(ニッケル合金)とする。
本願の発明者は、優れたばね特性を有している一方で、引っ張り、圧縮の双方に対して高い耐性を示し、耐久性が一層向上し、数十万回を越える繰り返し測定に耐え得る電鋳製の基板検査用プローブを製造するため、種々の検討を行ない、組成成分におけるFeの割合が影響を有することを確認した。
従来からニッケル−鉄合金めっきにおいて鉄の含有量が10〜25%で硬度が最も高くなることが知られていた(非特許文献1)。
また、ニッケルと鉄がおよそ80:20で共析するニッケル−鉄合金めっきにより製造した板バネ状スプリング(幅40μm、厚さ:100μm)がニッケルと比較してばね定数が30%ほど高く、降伏荷重が3倍以上になることが知られている(非特許文献2)。
本願の発明者は、螺旋形状のスプリング構造を一部に有する電鋳製のニッケル合金パイプからなり、外径が20μm乃至250μm、肉厚が2.5μm乃至50μmという非常に微細径で、肉薄であっても、荷重とそれに応じた変位が100万回の繰り返し試験で比例関係を保つばね特性を有するような、優れたばね特性、耐久性を発揮できるものをNi電鋳によって製造するべく種々検討した。そして、前記のように、組成成分にFeを2〜25重量%含んでいるものにすることが望ましいことを確認し、本願発明を完成させたものである。
本発明の基板検査用治具は、プローブとして前述した本発明の基板検査用プローブを採用しているものである。
本発明の基板検査用プローブは前述したように、外径が20μm乃至250μm、肉厚が2.5μm乃至50μmという非常に微細径で、肉薄であっても、優れたばね特性を有し、耐久性が向上し、100万回以上の測定にも十分耐え得るものである。そこで、本発明の基板検査用治具は、高い耐久性と狭ピッチと多ピン化に対応できる。
(Ni電鋳パイプの製造)
本発明の基板検査用プローブの製造に使用されるNi電鋳パイプについてその製造工程の一例を説明する。
本発明の基板検査用プローブの製造に使用されるNi電鋳パイプについてその製造工程の一例を説明する。
Ni電鋳パイプは、Ni電鋳製超微細管の製造方法を応用した以下に説明する電鋳法によって製造できる。
図4、図5に例示する電鋳装置は電鋳槽7と、電鋳槽7を内側に収容する外槽8とを備えている。
電鋳槽7は上部に開口部を有し、電鋳槽7内には電解液(電鋳液)9が充填される。これにより、電鋳槽7からあふれ出した電解液9は外槽8内に流入する。
電鋳槽7は上部に開口部を有し、電鋳槽7内には電解液(電鋳液)9が充填される。これにより、電鋳槽7からあふれ出した電解液9は外槽8内に流入する。
電鋳槽7には、図5図示のように、供給配管10が接統される。この供給配管10を通って管理槽11の供給室11Aからの電解液9が循環ポンプ12により電鋳槽7に供給される。外槽8には、排出配管13が接続される。外槽8内の電解液9は排出配管13を通って管理槽11の回収室11Bに回収される。
回収室11Bに回収された不純物を含む電解液9は濾過器14で濾過された上で供給室11Aに供給される。
供給室11A内の電解液9は、液温、水素イオン濃度、添加剤、等が適切に調整される。また、管理槽11の部分において、電解液9における添加剤の組成・量も調節できる。
供給室11Aからは、適切に調整された濾過済みの電解液9が、電鋳槽7に、継続的に供給され続ける。この結果、電鋳槽7の上部開口部7Aからは、常時、電解液9があふれ出した状態となる。電鋳槽7の開口部7A上方の電解液9(電鋳槽7からあふれ出していく電解液9)は、オーバーフロー部15を形成する。このオーバーフロー部15において電鋳が行われ、これにより電解液の均一な条件下で電鋳を行うことを容易にし、電鋳管の精度を高めることができる。
電鋳に使用された不純物を含む電解液9は外槽8内に流れ出し、管理槽11の回収室11Bに回収されて濾過される。
電鋳槽7の下部には、水平アジャスター装置16が備えられる。この水平アジャスター装置16は、電鋳槽7を水平に維持し、これにより、電鋳槽7の上部全域に水平なオーバーフロー部15が形成され、オーバーフロー部15内の各所に電解液9が均一に分布するようになっている。
電鋳槽7の上方には、治具搬送装置17が備えられる。この治具搬送装置17は、一対のローラ18、19と、これらのローラ18、19に掛け回されたベルト20を備えている。ベルト20は、電鋳槽7の長手方向(図5の左右方向)に沿って循環する。
ベルト20の外周には、複数の保持治具22が固定されている。各保持治具22には、母線21が取り付けられる。母線21は、電鋳用の型部材となる、所望の均一な線径を持つ芯材の外周にスプリング構造に対応する形状の絶縁皮膜が形成されているものである。
図5ではベルト20は反時計回りに循環しており、保持治具22への母線21の取り付けは、取り付け位置Xにおいてなされる。
図4に示すように、保持治具22は、電鋳槽7の長手方向と垂直な方向(図4の左右方向)に延びる板状の基部23と、この基部23の両端付近に取り付けられた一対の側板24A、24Bとを備えている。側板24A、24Bは、保持治具22が電鋳槽7の上方に配置されたときに、ちょうど電鋳槽7の左右両側に配置されるようになっている。
側板24A、24Bには、それぞれ、母線保持軸25A、25Bが、軸回りで回転可能に支持されている。母線保持軸25A、25Bには、母線21の両端部が保持される。これにより、母線21は、電鋳槽7上方のオーバーフロー部15に配置される。
母線保持軸25Aの電鋳槽7側を向く端部には、電極27が設けられている。この電極27に、母線21の一端が固定される。一方、母線保持軸25Bの電鋳槽7側を向く端部には、テンション装置28が設けられる。このテンション装置28は、母線21の端部が固定される電極29と、バネ30とを備えている。バネ30は、電極29と母線保持軸25Bの先端部との間に介装され、電極27と電極29の間に保持された母線21に所定のテンションを付与する。
そのため、非常に細い線径の芯材の微妙なテンション調整がしやすく、芯材の両端に電極を容易に接続することが出来て、電流密度の制御が安定して行える。
図4及び図5に示すように、側板24A、24Bには、回転軸40が軸回りで回転自在に支持されている。回転軸40は、駆動モータ31により回転駆動される。この回転軸40の外周には、歯車34A、34Bが固定されている。
歯車34Aは、母線保持軸25Aの外周に固定された歯車26Aに、歯車34Bは、母線保持軸25Bの外周に固定された歯車26Bに、それぞれ噛合する。これにより、回転軸40の回転は母線保持軸25A、25Bに伝達され、母線保持軸25A、25Bに保持された母線21が、軸回りで回転する。
母線21の回転は電鋳の間、例えば、15rpm以下の適切な値に制御される。母線21の回転により母線21周囲に付着する電着物の均一性を高めることができる。
母線保持軸25A、25Bには、それぞれ導電性の電極ローラ32A、32Bが固定されている。これらの電極ローラ32A、32Bは、保持治具22が電鋳槽7の上方に配置されたときに内槽7の左右両側に張り渡された導電性の電極ワイヤ33A、33Bと接触する。電極ワイヤ33A、33Bは、いずれもプログラマブル電源36のマイナス極に接続されているもので、これにより、電極ローラ32A、32Bはプログラマブル電源36のマイナス極と電気的に接続される。
母線保持軸25A、25Bには、それぞれ、電極ローラ32Aを電極27に電気的に接続する導電性部材(例えば電線)、電極ローラ32Bをバネ30及び電極29に電気的に接続する導電性部材(例えば電線)が備えられている(図示せず)。
母線保持軸25A、25Bの各導電性部材には、それぞれスイッチ手段(図示せず)が備えられ、導電性部材による電極ローラ32Aと電極27の電気的接続、導電性部材による電極ローラ32Bとバネ30及び電極29の電気的接続を、このスイッチ手段によって断続(オン/オフ)できるようになっている。
このような構成により、電極27、29は、プログラマブル電源36のマイナス極と電気的に接続され、カソード電極となる。また、この電気的接続は、スイッチ手段によって保持治具22毎にオン/オフされる。つまり、母線21への電圧印加は、オーバーフロー部15内の一つ一つの母線21毎にオン/オフすることができ、この結果、各母線21ヘの電鋳を個別に制御できるようになっている。
一方、図4及び図5に示すように、プログラマブル電源36のプラス極に接続されたアノード電極37は、電鋳槽7の底部に配設される。アノード電極37は、例えばチタン鋼からなるメッシュ状又は穴あきのケース内に、電鋳用の金属ペレット(例えば、ニッケルペレット)を収納して構成されている。
プログラマブル電源36は、オーバーフロー部15に発生する電流密度が適切な値に保持されるように、アノード電極37とカソード電極27、29間に電圧を印加する。これにより、母線21周囲に電着物が付着し、一部にスプリング構造を有するNi電鋳パイプが母線21周囲に形成される。
以上のように、図4、図5に例示した電鋳装置を用いた、Ni電鋳製超微細管の製造方法を応用した電鋳方法により、オーバーフロー部15において電鋳が行われるので、母線21の両端部に電極を設けることが安易となり、周囲での電流密度が安定し、母線21の周囲に一部にスプリング構造を有するNi電鋳パイプを精度よく形成することができる。
なお、図4、図5に例示した電鋳装置以外の電鋳装置を用いることもできる。
すなわち、電解液(電鋳液)の調製及び電鋳中におけるその濃度の調整を適宜に行ないつつ、スプリング構造に対応する箇所の絶縁被膜が外周に形成されている芯材への電解液の影響を均一にし、また、芯材に与える張力を調整し、当該芯材に対して電解液に触れぬように設置されているカソード電極と、電解液内に配置されているニッケルペレットなどからなるアノード電極との間に所定の電圧を印加し、芯材が配置されている領域における電流密度を制御することによって、芯材の外周に一部にスプリング構造を有するNi電鋳物を形成することが可能である。
そして、この状態から、一部にスプリング構造を有するNi電鋳物が芯材(母線21)の外周に電着されている状態で、絶縁被膜を除去し、その後、芯材(母線21)のみを引き抜く、あるいは、芯材(母線21)が溶解除去可能なものであれば、溶解除去することにより、本発明の一部にスプリング構造を有する電鋳製のニッケル合金パイプからなる基板検査用プローブを製造できる。
なお、同様にして、所望の外径と長さを有する円柱形状の芯線に、ニッケル合金を所望の厚さにめっきしてニッケル合金めっき層を形成した後、当該ニッケル合金めっき層の表面をフォトレジスト被膜で被覆し、当該フォトレジスト被膜の所望の部位をレーザーにより露光・現像・加熱処理して螺旋状のマスクを形成し、当該螺旋状のマスクが形成された芯線のニッケル合金めっき層をエッチング除去した後、前記マスクを除去し、前記芯線を引き抜いて本発明の一部にスプリング構造を有する電鋳製のニッケル合金パイプからなる基板検査用プローブを製造することもできる。
前述した製造方法により、本発明の一部にスプリング構造を有する電鋳製のニッケル合金パイプからなる基板検査用プローブを製造する例を説明する。
直径30μmのSUS線60(図6(a))の外周に、電着によって2〜15μmの厚さでポリイミド製、アクリル樹脂製、あるいはエポキシ樹脂製、等の絶縁被膜61を形成する(図6(b))。
この際、最終製品の一部にスプリング構造を有するNi電鋳パイプ1(図1)おける筒状部2となる部分には絶縁被膜61を形成しない。
なお、SUS線60は、製造するNi電鋳パイプの外径、肉厚を考慮して所望の太さ(例えば、直径20μm〜250μm)にすることができる。
次いで、SUS線60を矢印63a方向に回転させつつ、矢印63b方向に前進させ(図6(c))、レーザー62により螺旋状の溝64を絶縁被膜61に形成する(図6(d))。すなわち、最終製品の一部にスプリング構造を有するNi電鋳パイプ1における筒状部2となる部分はSUS線60の外周が露出し、スプリング構造部3が形成される箇所には、スプリング構造部3に対応する螺旋状の溝64を形成して絶縁被膜61を剥離し、絶縁被膜61の符号61a、61b、61nで示されている部分が残った状態となる(図6(d))。
この図6(d)図示のものを前述した電鋳方法における母線21として使用した。
図6(d)図示のものを前述した電鋳方法における母線21として使用し、図4、図5に概略構成を示した電鋳装置を用い、前述した電鋳方法によりSUS線60の外周にNi合金皮膜65を電着させる(図6(e))。
この際、電解液(電鋳液)9は、スルファミン酸ニッケル液に光沢剤、ビット防止剤を加えるとともに、製造するニッケル合金製の基板検査用プローブにおけるFeの成分組成が5重量%程度になるように調整したものを使用した。また、電鋳の間、液温、水素イオン濃度を供給室11A内において、前述したようにして、調製時の状態に維持した。
テンション装置28により、電鋳の間、電極27と電極29の間に保持されたSUS線60が、常に、水平状態を維持するようにSUS線60に与えるテンションを調整した。
プログラマブル電源36により、アノード電極37とカソード電極27、29間に電圧を印加し、SUS線60を電鋳の間15rpmで回転させつつ、電鋳槽7の長手方向(図5の左右方向)に移動させた。
こうして、図6(d)における溝条64の部分を含めたSUS線60の外周に所望の厚さまで均一にニッケル合金を電着させた。一方、絶縁被膜61が形成されている部分は絶縁部としてニッケル合金が電着しない。これによって、SUS線60の外周に、一部にスプリング構造を有するNi合金電鋳物が形成される。
次いで、薬剤処理などによって、熱を加えないようにして絶縁被膜61を除去し、SUS線60を引き抜いて一部にスプリング構造を有する電鋳製のニッケル合金パイプとした(図6(f))。
最後に、長さ(図6(f)における左右方向の長さ)を所望の長さに切断し、所望の長さを有する、一部にスプリング構造を有する電鋳製のニッケル合金パイプからなる基板検査用プローブを製造した(図6(g))。
なお、基板検査用プローブ1の先端5a、後端5bは図2(b)図示のように所望の形状に形成できる。
また、図2(a)、(b)図示のように筒状部2の外周に必要に応じてストッパー皮膜4を形成することもできる。
この実施例では、母線21として使用するものを、SUS線60(図6(a))の外周に絶縁被膜61を形成して準備したが、絶縁被覆としてレジスト被膜(膜厚は、例えば、1〜5μm)を形成して次のように準備することもできる。レジスト被膜は噴霧又は浸漬等によって形成できる。
SUS線60の傍にSUS線60が延びている方向に移動可能な光源であって、所定間隔を空けて設けられている孔からSUS線60に向けて光を照射する光源を配備し、外周にレジスト被膜が形成されているSUS線60を直線性を保つように張力を調整して保持しつつSUS線60の中心軸の周りで回転させる。
これによって、所望の部分のレジスト被膜を除去し、すなわち、前記の図6(d)にて説明したように、SUS線60の外周に形成されているレジスト被膜中スプリング構造が形成される部分に対応する部分のレジスト被膜を除去し、スプリング構造部分に対応する形状のレジスト被膜が外周に形成されている母線を準備する。
SUS線60を中心軸の周りで回転させる回転速度、光源の絞り、SUS線60が延びている方向に光源を移動させる速度を適宜に調整することにより、スプリング構造部分のピッチ間隔を調整することができる。
なお、図4、図5に概略構成を示した電鋳装置を用いた前述の電鋳方法において、母線21は、図5において符号Xで示される位置において保持治具22に取り付けられた後、テンション装置28によって直線性を保つように張力を調整して保持され、同時に、軸回りで回転される。そこで、図5において符号Xで示される位置において、外周にレジスト被膜が形成されているSUS線60を保持治具22に取り付け、その後、SUS線60がオーバーフロー部15内に入るまでの間に、前記で説明したように光源からの光照射により所望の部分のレジスト被膜を除去するようにもできる。
レジスト被膜は、SUS線60の外周に電鋳した後、レジスト剥離液に浸漬して除去する。その後、SUS線60を引き抜いて一部にスプリング構造を有する電鋳製のニッケル合金パイプを製造する。
なお、UV硬化レジスト膜を用い、芯材(SUS線60)の外周に、噴霧又は浸漬等によってUV硬化レジスト膜を形成し、所望の部分に対して光照射して、その部分のUV硬化レジスト膜を硬化させて固定し、その後、レジスト剥離剤に浸漬して、前記の光によって硬化、固定されていなかった部分のレジスト膜を除去し、スプリング構造部分に対応する箇所のレジスト皮膜が外周に形成されている母線を準備することもできる。
(試験例1)
実施例1で製造した基板検査用プローブ1(図1の上下方向長さが6mmで、筒状部2の上下方向長さがそれぞれ1mm、上下方向長さ4mmのスプリング構造部3における巻き数が約100回、図3に符号pで示すピッチ間隔が0.04mm、外径が50μm、肉厚10μm、Feの成分割合:5重量%程度)について次のようにしてばね特性、耐久性を評価した。
実施例1で製造した基板検査用プローブ1(図1の上下方向長さが6mmで、筒状部2の上下方向長さがそれぞれ1mm、上下方向長さ4mmのスプリング構造部3における巻き数が約100回、図3に符号pで示すピッチ間隔が0.04mm、外径が50μm、肉厚10μm、Feの成分割合:5重量%程度)について次のようにしてばね特性、耐久性を評価した。
評価には荷重試験機を用い、スプリング構造部3のストローク量を最大0.3mm、荷重:2g/0.3mmで繰り返し荷重試験を行った。その結果は図7(a)の通りであった。
初期の荷重曲線(行き:110、帰り:111)、100万回の耐久試験後(行き:112、帰り:113)とも、荷重とそれに応じた変位は比例関係を保ち、変形は生じず、優れたばね特性と、耐久性を有することを確認できた。
一方、外径50μmの従来のワイヤープローブについて同様の試験を行ったところ、図7(b)の結果となった。実施例1で製造した基板検査用プローブ1は、従来のワイヤープローブと比較するとヒステリシスが殆どみられず、本発明の基板検査用プローブ1の優れた機械的特性が確認された。
図8、図9を用いて、本発明の基板検査用プローブを用いた基板検査用治具について説明する。図8は、本発明にかかる基板検査用治具100の概略構成図であり、図9は基板検査用治具100の一部を拡大した概略構成図である。なお、実施例1、図1、2で説明した本発明の基板検査用プローブ1と共通する部材には共通する符号を付けてその説明を省略する。
また、本発明の基板検査用治具は、基板検査用プローブとして実施例1で説明した本発明の基板検査用プローブ1を採用している点に特徴を有するものであるので、その特徴的な構造について以下に説明する。
基板検査用治具100は、複数の基板検査用プローブ102と、これら複数の基板検査用プローブ102を保持する保持体103と、複数の基板検査用プローブ102の他端と接触して導通状態となるとともに検査装置(図示せず)と電気的に接続される電極部105と、この電極部105を保持する接続電極体104を備えている。
複数の基板検査用プローブ102には実施例1で製造した本発明の基板検査用プローブ1を使用している。
この基板検査用プローブは、図9に示すように、符号4で示すストッパー被膜4を2つ有している。このストッパー被膜4は絶縁性を有し、スプリング構造部3を挟む位置に固着されていて、基板検査用プローブの外径よりも大きい径を有している。
基板検査用プローブは、図9で示される如く、保持体103で保持されている。保持体103は、第一保持部103aと第二保持部103bを有している。第一保持部103aは、検査用プローブの他方端(図9中、下側端)を電極部105へ案内している。第一保持部103aは、ストッパー被膜4よりも径の大きい第一孔部103dと、ストッパー被膜4よりも径の小さく且つ筒状部2よりも径の大きい第二孔部103cを有している。
第二保持部103bは、図9で示される如く、ストッパー被膜4よりも径の大きい第一孔部103dと、ストッパー被膜4よりも径の小さく且つ筒状部2よりも径の大きい第三孔部103eを有している。
第一保持部103a、第二保持部103bが上記の如く構成されるため、基板検査用プローブは、第三孔部103eから筒状部2が突出して配置される。この第三孔部103eから突出している筒状部2の先端(図9中、上側端)が、配線上にあらかじめ設定される検査点に圧接される。電極部105は、その端面が検査用プローブの筒状部2の図9中下側端と接触するように接続電極体104に保持されている。電極部105の材料は、例えば、銅導線を用いることができ、接続電極体104は絶縁材料を用いて形成されている。
この基板検査用治具100における、第一保持部103aと第二保持部103bとの間の第一孔部103dの長さD1は、スプリング構造部3の自然長の長さと2つのストッパー被膜4の長さよりも短い長さを有するように形成されている。このように形成されることにより、スプリング構造部3が絶えず付勢状態となり、常時電極部105の端面を筒状部2が押圧することになる。
以上、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態、実施例を説明したが、本発明はかかる実施形態、実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々の形態に変更可能である。
1 基板検査用プローブ
2 筒状部
3 スプリング構造部
100 基板検査用治具
104 電極部
105 接続電極体
2 筒状部
3 スプリング構造部
100 基板検査用治具
104 電極部
105 接続電極体
Claims (4)
- 螺旋形状のスプリング構造を一部に有する電鋳製のニッケル合金パイプからなる基板検査用プローブであって、
組成成分にFeを2〜25重量%含み、
外径が20μm乃至250μm、肉厚が2.5μm乃至50μmで
荷重とそれに応じた変位が100万回の繰り返し試験で比例関係を保つばね特性を有する
基板検査用プローブ。 - 検査対象となる基板上に形成される配線の電気的特性を検査するために、配線上に予め設定される検査点と該配線の電気的特性を検査する検査装置を電気的に接続する基板検査用治具であって、
前記検査装置と電気的に接続される電極部を有する接続電極体と、
一方端が前記検査点に圧接され、他方端が前記電極部に圧接されるプローブと、
前記プローブを保持する保持体とを備え、
前記プローブは、
電鋳によるニッケル合金で形成された、外径10〜250μm、肉厚2.5〜50μmの両端開口の筒形状であって、
螺旋形状のスプリング構造を一部に有し、
前記ニッケル合金がFeを2〜25重量%含むことを特徴とする基板検査用治具。 - 前記プローブは、
所望の外径と長さを有する円柱形状の芯線に、絶縁被膜を該芯線の周面を被覆するように形成し、
前記絶縁被膜の所望の部位を、レーザーにより露光・現像・加熱処理して螺旋状のマスクを形成し、
周面に前記マスクが形成された芯線にニッケルめっきを実施し、
前記ニッケルめっきを実施された芯線の前記マスクを除去した後、前記芯線を引き抜くことで形成したことを特徴とする請求項2記載の基板検査用治具。 - 前記プローブは、
所望の外径と長さを有する円柱形状の芯線に、ニッケル合金を所望の厚さにめっきして、ニッケル合金めっき層を形成し、
前記ニッケル合金めっき層の表面にフォトレジスト被膜を形成し、
前記フォトレジスト被膜の所望の部位を、レーザーにより露光・現像・加熱処理して螺旋状のマスクを形成し、
前記螺旋状のマスクが形成された芯線のニッケル合金めっき層をエッチング除去した後、前記マスクを除去し、前記芯線を引き抜くことで形成することを特徴とする請求項2記載の基板検査用治具。
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