JP2008202135A - 中空部材の製造方法及び陽極酸化処理用治具 - Google Patents

中空部材の製造方法及び陽極酸化処理用治具 Download PDF

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Abstract

【課題】中空部材の陽極酸化処理により生成される皮膜の厚みを、均一にすることができる中空部材の製造方法及び陽極酸化処理用治具を提供する。
【解決手段】中空部材100の製造方法は、中空部を有した中空部材100の製造方法であって、中空部材100を電解液62に浸す浸液工程と、中空部材100の中空部内に補助電極50を配置し、電解液62に浸された中空部材100を陽極とし、中空部材100の中空部内に配置された補助電極50と電解液62とを陰極として通電し、前記中空部材100に陽極酸化処理を施す通電工程とを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、中空部材の製造方法及び陽極酸化処理用治具に関するものである。
中空部を有した中空部材の陽極酸化処理などの表面処理は、さまざまな手法が提案、実行されている(例えば、特許文献1)。
しかし、特許文献1に記載の方法は、積層された複数の中空部材の中で、中央に位置する中空部材の中空部の皮膜の厚みが、端部に位置する中空部材の中空部に比べ薄くなり、積層位置に応じて中空部材の膜厚が不均一になってしまう問題があった。
特開2003−339178号公報
本発明の課題は、中空部材の表面処理により生成される皮膜の厚みを、均一にすることができる中空部材の製造方法及び陽極酸化処理用治具を提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を括弧内に付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1の発明は、中空部を有した中空部材(100)を電解液(62)に浸す浸液工程と、前記中空部材(100)の前記中空部内に補助電極(50)を配置し、前記電解液(62)に浸された前記中空部材(100)を陽極とし、前記補助電極(50)を陰極として通電し、前記中空部材(100)に陽極酸化処理を施す通電工程と、を含む中空部材(100)の製造方法である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の中空部材(100)の製造方法において、前記補助電極(50)は、表面の少なくとも一部に、導電性を低下させる及び/又は導電性を無くす絶縁部(50−2)を有すること、を特徴とする中空部材の製造方法である。
請求項3の発明は、請求項2に記載の中空部材(100)の製造方法において、前記通電工程では、前記中空部材(100)の前記中空部の両端部に前記絶縁部(50−2)が位置するように、前記補助電極(50)を配置すること、を特徴とする中空部材(100)の製造方法である。
請求項4の発明は、請求項3に記載の中空部材(100)の製造方法において、前記補助電極(50)は、前記絶縁部(50−2)と導電性のある導電部(50−3)との比率が略2:3で形成されていること、を特徴とする中空部材(100)の製造方法である。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の中空部材(100)の製造方法において、前記浸液工程では、導電性を有した陽極治具(20、30、40)により前記中空部材(100)を固定し、前記通電工程では、前記中空部材(100)と導通した前記陽極治具(20、30、40)を陽極として通電すること、を特徴とする中空部材(100)の製造方法である。
請求項6の発明は、請求項5に記載の中空部材(100)の製造方法において、前記陽極治具(20、30、40)は、チタンで形成されていること、を特徴とする中空部材(100)の製造方法である。
請求項7の発明は、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の中空部材(100)の製造方法において、前記通電工程は、前記電解液(62)を攪拌する攪拌工程を含むこと、を特徴とする中空部材(100)の製造方法である。
請求項8の発明は、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の中空部材(100)の製造方法において、前記通電工程は、前記電解液(62)に浸されている前記中空部材(100)を揺動させる揺動工程を含むこと、を特徴とする中空部材(100)の製造方法である。
請求項9の発明は、請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の中空部材(100)の製造方法において、前記浸液工程及び前記通電工程では、複数の前記中空部材(100)を、前記中空部の中心を軸として複数個重ねて配置すること、を特徴とする中空部材(100)の製造方法である。
請求項10の発明は、中空部材(100)の一方の面側に設けられ、前記中空部材(100)の中空部へ続く第1の孔部(20−2)が設けられ、導電性を有する第1の部材(20)と、前記中空部材(100)の他方の面側に設けられ、前記中空部材(100)の中空部へ続く第2の孔部(30−2)が設けられ、導電性を有する第2の部材(30)と、前記中空部材(100)を挟むように、前記第1の部材(20)と前記第2の部材(30)とを結合させる、導電性を有する結合部材(40)と、前記中空部材(100)の前記中空部を通り、前記第1の孔部(20−2)から前記第2の孔部(30−2)まで延在して設けられる電極部(50)とを備えること、を特徴とする陽極酸化処理用治具(10)である。
請求項11の発明は、請求項10に記載の陽極酸化処理用治具(10)において、前記電極部(50)は、表面の少なくとも一部に、導電性を低下させる及び/又は導電性を無くす絶縁部(50−2)を備えること、を特徴とする陽極酸化処理用治具(10)である。
請求項12の発明は、請求項11に記載の陽極酸化処理用治具(10)において、前記絶縁部(50−2)は、前記中空部材(100)の前記中空部の両端部に対応する位置に設けられること、を特徴とする陽極酸化処理用治具(10)である。
請求項13の発明は、請求項12に記載の陽極酸化処理用治具(10)において、前記電極部(50)は、前記絶縁部(50−2)と非絶縁部である導電部(50−3)との比率が略2:3であること、を特徴とする陽極酸化処理用治具(10)である。
請求項14の発明は、請求項10から請求項13までのいずれか1項に記載の陽極酸化処理用治具(10)において、前記第1の部材(20)、前記第2の部材(30)及び前記結合部材(40)は、チタンで形成されること、を特徴とする陽極酸化処理用治具(10)である。
請求項15の発明は、請求項10から請求項14までのいずれか1項に記載の陽極酸化処理用治具(10)において、前記結合部材(40)は、複数個重ねた状態の前記中空部材(100)を挟むように、前記第1の部材(20)と前記第2の部材(30)とを結合させること、を特徴とする陽極酸化処理用治具(10)である。
本発明によれば、中空部材の表面及び中空部に生成される皮膜の厚みを均一にすることができ、中空部材の寸法を精度よく管理することができる。
(第1実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態をあげて、さらに詳しく説明する。
図1は、本発明による中空部材の陽極酸化処理用治具の第1実施形態を示す模式図である。
陽極酸化処理用治具10は、図1に示すように、第1の陽極治具20、第2の陽極治具30、結合治具40及び3本の補助電極50を備え、中空部を有し、アルミニウム材で形成された中空部材100に陽極酸化処理(アルマイト処理)を、後述の陽極酸化処理装置60で施すための治具である。具体的には、陽極酸化処理用治具10は、中空部の中心を軸として複数個(図1では12個)積層させた中空部材100を、第1の陽極治具20及び第2の陽極治具30で挟んで結合治具40で隙間なく結合し、各中空部材100と陽極酸化処理用治具10の各部とを導通させて陽極とし、後述の陽極酸化処理装置60から供給される電流が流される。
第1の陽極治具20は、チタンで形成された断面が円形状の板材であり、円形状の中心部に結合治具40を貫通させる孔部20−1が設けられており、また、孔部20−1の周囲を120度間隔で扇形の孔部20−2が3箇所設けられている。各扇形の孔部20−2には、補助電極50が挿入され、中空部材100の中空部に対して補助電極50が等間隔に配置されている。また、各扇形の孔部20−2は、後述の電解液62の中空部材100の中空部内への流出入、及び、後述の散気管63から放出される空気の中空部からの通過に使用される。
第2の陽極治具30は、第1の陽極治具20と外形が同寸法のチタンで形成された断面が円形状の板材であり、中心部に、後述の結合治具40の第2のネジ部41−2と螺合されるように、ネジ穴部30−1が設けられている。また、ネジ穴部30−1の周囲には、第1の陽極治具20と同様に、120度間隔で扇形の孔部30−2が3箇所設けられている。各扇形の孔部30−2は、補助電極50を等間隔に配置させるとともに、後述の電解液62の中空部材100の中空部内への流出入、及び、後述の散気管63から放出される空気の中空部内への通過に使用される。
結合治具40は、結合棒41、結合ナット42及びかぎ部材43を有し、複数の中空部材100、第1の陽極治具20及び第2の陽極治具30を結合するチタンで形成された部材である。
結合棒41は、両端部に第1のネジ部41−1及び第2のネジ部41−2が設けられた断面が円形の棒材であり、複数の中空部材100、第1の陽極治具20及び第2の陽極治具30を結合する。
図2は、図1のA−A断面図である。複数の中空部材100、第1の陽極治具20及び第2の陽極治具30の結合は、まず、図2に示すように、第2のネジ部41−2とネジ穴部30−1とを螺合することにより、結合棒41と第2の陽極治具30とを結合させる。続いて、結合棒41を結合した第2の陽極治具30上に、複数の中空部材100を挟むようにして、第1の陽極治具20を重ねる。このとき、第1の陽極治具20は、孔部20−1に結合棒41を通過させて中空部材100に重ねられ、通過した結合棒41の先端に形成された第1のネジ部41−1に結合ナット42を螺合させる。結合ナット42を第1のネジ部41−1に螺合することで、中空部材100、第1の陽極治具20及び第2の陽極治具30が隙間なく結合される。
かぎ部材43は、断面が円形の棒材の一端部をかぎ(略コの字)状に形成し、他端部に結合棒41の第1のネジ部41−1に螺合されるようにネジ穴43−1が設けられた部材であり、後述の陽極酸化処理装置60の治具固定部64に陽極酸化処理用治具10を吊り下げる。
補助電極50は、カーボンで形成された断面が円形の棒材であり、図1及び図2に示すように、第1の陽極治具20及び第2の陽極治具30に設けられた扇形の孔部20−2及び扇形の孔部30−2により、結合棒41及び中空部材100の中空部に対して等間隔に配置される。また、隣り合う補助電極50同士も等間隔に配置され、第1の陽極治具20及び第2の陽極治具30に対して、不図示のゴム材などで形成されるリング状の部材によって固定される。
補助電極50は、後述の直流電源67の陰極に接続して通電されるので、陽極として通電される中空部材100の中空部内への電流を、効率よく流すことができる。また、各補助電極50は、上述したように、中空部に対して等間隔に配置されているので、中空部材100の中空部における電流の流れを均一にすることができる。
なお、補助電極50は、第1の陽極治具20及び第2の陽極治具30に接触する補助電極50の両端部に、第1の絶縁部50−1が設けられ、それと隣接して第2の絶縁部50−2が設けられている。また、第2の絶縁部50−2は、絶縁部が設けられていない導電部50−3との比率が略2:3になるように形成されている。
第1の絶縁部50−1及び第2の絶縁部50−2は、導電性を無くす絶縁部であり、樹脂を主材料とした溶剤を塗布したり、絶縁性の高いテープを巻きつけたりすることで補助電極50上に形成される。
図3は、本実施形態の陽極酸化処理装置を説明する図である。
陽極酸化処理装置60は、図3に示すように、電解槽61、電解液62、散気管63、治具固定部64、揺動部65、陰極板66及び直流電源67を有している。陽極酸化処理装置60は、電解液62中に陽極酸化処理用治具10と結合した中空部材100を3組浸し、直流電源67で通電し、中空部材100の表面に酸化皮膜を生成させる装置である。
電解槽61は、硫酸水溶液である電解液62を溜める容器であり、その容器の底部に、散気管63を配置している。
散気管63は、無数の微小な孔部を有した多孔質セラミクスであり、容器外部から送られる圧縮空気を無数の孔部から微細に放出し、電解槽61に溜められた電解液62を攪拌することにより、陽極酸化処理時の反応熱で電解液62が部分的に温度上昇するのを防止することができる。
治具固定部64は、銅線などの導電体で略矩形状に形成され、矩形状の上辺部の両端にかぎ状の接続部64−1を形成したフレームである。治具固定部64は、上辺部に陽極酸化処理用治具10のかぎ部材43を吊り下げることで、中空部材100を電解液62中に浸すことができる。
揺動部65は、不図示の駆動機構を有し、直流電源67の陽極と接続された導電性を有した銅棒であり、治具固定部64及びそれに吊り下げられた陽極酸化処理用治具10で結合された中空部材100を吊り下げて、駆動機構により水平方向(矢印B)に揺り動かす機構である。揺動部65は、吊り下げた中空部材100を揺り動かすことで、散気管63より放出された微細な圧縮空気が、陽極酸化処理用治具10及び中空部材100の凹凸部に停滞するのを防止し、中空部材100の陽極酸化処理の仕上がりを安定させることができる。
陰極板66は、電解液62を陰極として通電させるための導電板であり、直流電源67の陰極に接続されている。なお、図3では、説明を明確にするために図示を省略しているが、陽極酸化処理装置60の陰極板66は、陽極酸化処理用治具10を挟むように、図3の紙面の手前側にも配置されている。
直流電源67は、一定の電流を供給することができる電源アンプであり、揺動部65、治具固定部64及び陽極酸化処理用治具10を介して中空部材100を陽極とし、電解液62に浸されている補助電極50及び陰極板66を陰極として電流が流される。
次に、中空部材100の製造方法について説明する。
まず、作業者は、円柱形状の部材を切削加工機(不図示)により加工することで、中空部を有した中空部材100を形成する(加工工程)。次に、図1に示すように、複数の中空部材100を重ねて、重ねられた中空部材100を第1の陽極治具20及び第2の陽極治具30で挟んで結合治具40により隙間なく結合する。そして、第1の陽極治具20の扇形の孔部20−2及び第2の陽極治具30の扇形の孔部30−2に補助電極50を通し、等間隔に配置されるように固定する。
このようにして、補助電極50は、中空部材100によって形成される中空部内に配置される。そして、補助電極50は、第1の陽極治具20の孔部20−2から第2の陽極治具30の孔部30−2までの間を延在するように配置される。このとき、補助電極50の両端に設けられている第1の絶縁部50−1と第2の絶縁部50−2は、中空部材100によって形成される中空部の端部付近(すなわち、孔部20−2、孔部30−2付近)に配置されるようにする。
続いて、図3に示すように、陽極酸化処理用治具10で結合された中空部材100を、陽極酸化処理装置60の治具固定部64に吊り下げて、電解液62に浸す(液浸工程)。
陽極酸化処理用治具10に結合された中空部材100が治具固定部64に吊り下げられ、さらに、それが揺動部65に吊り下げられたら、揺動部65の一端部を陽極とし、補助電極50及び陰極板66を陰極として直流電源67に接続する。次に、陽極酸化処理装置60は、散気管63の無数の孔部から微細な圧縮空気を放出して(攪拌工程)、電解槽61内の電解液62を攪拌する。また、同時に、揺動部65を水平方向(矢印B)に駆動する(揺動工程)。
続いて、作業者により直流電源67の電源が投入されると、中空部材100を陽極とし、電解液62に浸された補助電極50及び陰極板66を陰極として電流が流れ、中空部材100の表面及び中空部に酸化皮膜が形成される(通電工程)。このとき、中空部材100の中空部内には補助電極50が等間隔に配置され、また、揺動部65による揺動動作と散気管63の攪拌動作とにより、中空部に空気が停滞することなく、中空部内の電解液62に対して電流が均一に流れるので、中空部材100の表面及び中空部に生成される皮膜の厚みを、均一にすることができる。
ここで、本実施形態の陽極酸化処理による中空部材100に生成された皮膜の厚みの測定結果を表1に示し、また、その測定条件及び測定点を図4に示す。表1は、補助電極50を設けたことによる中空部材100の膜厚の変化と、補助電極50の第2の絶縁部50−2及び導電部50−3の比率(絶縁比率)を変化させたときの中空部材100の膜厚の変化とをまとめた表である。表1の1列目は測定番号を、2列目は補助電極50の有無を、3列目は補助電極50の絶縁比率を、4〜9列目は、部位Cの厚みを基準値としたときの、その他の部位との比率を示している。
Figure 2008202135
また、図4は、図4(a)〜(d)に、表1内の測定番号2〜5における、補助電極50の絶縁比率を変更したときの図を示し、図4(e)、(f)に、積層された中空部材100の測定点を示す。具体的には、図4(e)に、複数個重ねられた中空部材100の上端部に位置する中空部材100−Tの膜厚の測定点(部位A〜C)を示し、図4(f)に、複数個重ねられた中空部材100の中央部に位置する中空部材100−Mの膜厚の測定点(部位D〜F)を示す。なお、中空部材100の部位A及び部位Dを中空部材100の上面部と呼び、部位B及び部位Eを中空部と呼び、部位C及び部位Fを表面部と呼ぶ。
まず、表1の測定番号1及び2により、補助電極50の有無による皮膜の膜厚変化による効果が確認できる。補助電極50を設けなかった測定番号1では、中空部材100−T及び中空部材100−Mは、中空部(部位B及び部位E)及び上面部(部位A及び部位D)の膜厚が、表面部(部位C及び部位F)の膜厚に比べ3分の1以下となっている。特に、中空部材100−Mの中空部(部位E)及び上端部(部位D)の膜厚は、表面部(部位E)の膜厚の10分の1になっている。これは、積層する中空部材100の上面部(部位A及び部位D)及び中空部(部位B及び部位E)が、中空部材100の表面部(部位C及び部位F)に比べ陰極板66との距離が遠いので、中空部材100の中空部内の電解液62に対する電流の流れが悪くなり、酸化皮膜が表面に比べ生成しにくい状態になるためである。
これに対して、中空部材100の中空部内に図4(a)に示すような補助電極50を設けた測定番号2では、中空部材100−T及び中空部材100−Mの中空部(部位B及び部位E)及び上面部(部位A及び部位D)は、表面部(部位C及び部位F)の皮膜と遜色ない厚みを有した皮膜が形成される。しかし、膜厚を厳密に考察すると、測定番号2の皮膜は、中空部材100−Tの中空部(部位B)及び上面部(部位A)の膜厚は、その表面部(部位C)よりも厚くなっているが、中空部材100−Mの中空部(部位E)及び上面部(部位D)の膜厚は、その表面部(部位F)よりも薄くなっている。これは、積層する中空部材100の上端に位置する中空部材100―Tは、陰極板66及び補助電極50からの電流が流れるが、中央に位置する中空部材100−M付近は、補助電極50の影響を受けるものの、陰極板66が中空部材100−Tに比べ遠い位置にあるので、電流が流れにくくなり、端部に位置する中空部材100−T付近で、より多くの電流が流れる傾向になるためである。
そこで、表1の測定番号3〜5は、各中空部材100の中空部内への電流の流れを均一にするために、補助電極50に第2の絶縁部50−2を設け、第2の絶縁部50−2及び導電部50−3の比率(絶縁比率)を変更した。
図4(b)に示すように、絶縁比率を1:4にした測定番号3では、中空部材100−Tの中空部(部位B)及び上面部(部位A)の膜厚が、その表面部(部位C)よりも厚くなり、中空部材100−Mの中空部(部位E)が、その表面部(部位F)よりも薄くなる。これは、中空部材100−Mの上面部(部位D)以外は、測定番号2と同様の傾向であるので、さらに、第2の絶縁部50−2の面積を広げる必要がある。
そのため、測定番号4では、図4(c)に示すように、測定番号3よりも第2の絶縁部50−2を多くし、絶縁比率を2:3とした。表1に示す結果より、生成された皮膜の厚みは、中空部材100の積層位置に関係なく、中空部材100の各部位(A〜F)の膜厚が均一となり、中空部材100の最適な陽極酸化処理の条件となる。
なお、図4(d)に示すように、絶縁比率を3:2にした測定番号5では、測定番号2とは逆に、中空部材100−Tの中空部(部位B)及び上面部(部位A)の膜厚が、その表面部(部位C)よりも薄くなり、中空部材100−Mの中空部(部位E)の膜厚が、その表面部(部位F)よりも厚くなる。これは、積層した中空部材100の上端部に対して、中央部の電流の流れが強いことを示しており、膜厚を均一にするには、第2の絶縁部50−2の比率を下げる必要がある。
以上、本実施形態の測定では、積層する中空部材100の端部として、上端に位置する中空部材100−Tの測定結果を用いたが、下端に位置する中空部材100−Bも中空部材100−Tと同様な皮膜生成の傾向を示す。
以上より、本実施形態の中空部材の製造方法及び陽極酸化処理用治具には以下のような効果がある。
(1)中空部材100を電解液62に浸し、電解液62に浸された中空部材100を陽極とし、電解液62に浸され、中空部材100の中空部内に配置された補助電極50と中空部材100の周囲に配置された陰極板66とを陰極として通電するので、中空部材の表面及び中空部に生成される皮膜の厚みを均一にすることができ、中空部材の寸法を精度よく管理することができる。
(2)補助電極50は、両端部に第2の絶縁部50−2を設けて通電しているので、複数個積層した中空部材100の積層位置に関係なく、中空部材100の各部位の皮膜の膜厚を均一に生成することができる。
(3)複数の中空部材100を、剛性の高い中空部の中心軸方向に積層させて第1の陽極治具20、第2の陽極治具30及び結合治具40によって固定するので、薄肉状の中空部材に対しても、中空部材100を変形させることなく陽極酸化処理を実施することができる。
(4)第1の陽極治具20、第2の陽極治具30及び結合治具40をチタンで形成しているので、チタンの硬度が高い特性を活用して、皮膜の除去が容易な耐久性のある陽極酸化処理用治具10を提供することができる。具体的には、第1の陽極治具20、第2の陽極治具30及び結合治具40にチタンを用いることで、陽極酸化処理後に各治具に付着した酸化皮膜を、各治具の寸法精度を狂わすことなく、研磨などの作業により除去することができ、各治具を繰り返し使用することができる。
(5)電解液62を散気管63で攪拌しているので、陽極酸化処理時の中空部材100の中空部に対する電流の流れを均一にすることができる。
(6)揺動部65が中空部材100を揺動しているので、散気管63から放出される微細な圧縮空気が、中空部材100の中空部や第1の陽極治具20などの凹凸部に停滞するのを防止することができる。
(第2実施形態)
図5は、補助電極の第2実施形態を示す図である。なお、第2実施形態の説明では、前述した実施例1と同様な機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に統一した符号を付して、重複する説明や図面を適宜省略する。
第2実施形態と第1実施形態との相違点は、第1実施形態の補助電極50が、断面が円形の棒材であったのに対し、第2実施形態の補助電極50aは、図5に示すように、3枚の円弧状の板を使用している点である。
補助電極50aは、第1実施形態と同様に、カーボンで形成され、第1の陽極治具20及び第2の陽極治具30の扇形の孔部20−2及び扇形の孔部30−2に挿入される。
以上より、本実施形態の中空部材の製造方法及び陽極酸化処理用治具は、円弧状の板で形成された補助電極50aを用いているので、補助電極50aを中空部材100の中空部の内面に沿って等間隔に配置することができ、中空部材100の大きさによっては、第1実施形態よりも均一に皮膜を生成することができる。また、補助電極50aは、電極としての表面積が第1実施形態の補助電極50よりも広いので、より短時間で中空部材100に皮膜を生成することができる。
(変形例)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。図6は、第1実施形態の補助電極の変形例を示す図である。図7は、第2実施形態の補助電極の変形例を示す図である。
(1)第1実施形態では、補助電極50に断面が円形の棒材を用いたが、それ以外の断面、例えば、矩形、三角形状などの棒材を用いてもよい。また、補助電極50は、3本に限定されることなく、それ以外の本数を用いてもよい。例えば、中空部材100の中空部の皮膜を生成する面積が広い場合は、補助電極50の本数を増やして、面積に応じた適正な量の電流を中空部内の電解液62に流すことができる。
また、断面が矩形の棒材の側面の一部が、図6(a)及び(b)に示すように、円弧状又は三角状に形成された補助電極50cを使用することもできる。円弧状又は三角状にすることで、積層した中空部材100のうち、中央付近に位置する中空部材100の中空部に対して陰極を近づけることができ、第2の絶縁部50−2を設けなくても中空部内の電流の流れを変更することができる。
(2)第2実施形態では、補助電極50aは、3枚の円弧状の板を用いたが、それ以外の形状を用いてもよい。例えば、図7に示すような薄肉円筒形状で形成された補助電極50bを、第1の陽極治具20及び第2の陽極治具30で挟むように配置させることも可能である。
(3)各実施形態では、第2の絶縁部50−2は、導電性を無くしたが、部分的に導電性を変化するように形成してもよい。例えば、溶剤で薄めた樹脂を補助電極50に付着(例えば、塗布、浸漬など)させることで第2の絶縁部50−2が形成されている場合では、溶剤の塗布する厚みを変化させることで、導電性を変化させることができる。また、第2の絶縁部50−2を縞状に設けても、同様な効果が得ることができる。第2の絶縁部50−2の導電性を部分的に変化させることで、積層した中空部材100の中空部の積層位置に応じた電流の流れを、より精細に調節することが可能になる。
(4)各実施形態では、第1の陽極治具20、第2の陽極治具30及び結合治具40は、チタンであったが、その他の導電性のある部材を使用してもよい。
(5)各実施形態では、複数の中空部材100を積層させて、中空部の中心軸方向に長い状態で陽極酸化処理を施したが、例えば、中空部の中心軸方向に長い1つの中空部材に対して陽極酸化処理を施すことも可能である。
(6)本実施形態では、補助電極50にカーボンを使用したが、その他の材料、例えば、チタンや鉛など導電性のある部材を適宜選択して使用してもよい。
(7)各実施形態では、アルミニウムで形成された中空部材100に陽極酸化処理を施したが、チタンやマグネシウム、又は、それらの合金などに施してもよい。
(8)各実施形態では、陽極酸化処理について述べたが、被処理体及び電解液に通電するような手法を用いる他の表面処理に使用してもよい。
本発明による中空部材の陽極酸化処理用治具の第1実施形態を示す模式図である。 図1に示す陽極酸化処理用治具のA−A断面図である。 本発明による陽極酸化処理装置の模式図である。 中空部材に生成された皮膜の測定する測定条件及び測定点を示す図である。 本発明による中空部材の陽極酸化処理用治具の補助電極の第2実施形態を示す図である。 本発明による第1実施形態の補助電極の変形例を示す図である。 本発明による第2実施形態の補助電極の変形例を示す図である。
符号の説明
10:陽極酸化処理用治具、20:第1の陽極治具、30:第2の陽極治具、40:結合治具、50、50a:補助電極、60:陽極酸化処理装置、61:電解槽、62:電解液、63:散気管、64:治具固定部、65:揺動部、66:陰極板、67:直流電源、100、中空部材

Claims (15)

  1. 中空部を有した中空部材を電解液に浸す浸液工程と、
    前記中空部材の前記中空部内に補助電極を配置し、前記電解液に浸された前記中空部材を陽極とし、前記補助電極を陰極として通電し、前記中空部材に陽極酸化処理を施す通電工程と、
    を含む中空部材の製造方法。
  2. 請求項1に記載の中空部材の製造方法において、
    前記補助電極は、表面の少なくとも一部に、導電性を低下させる及び/又は導電性を無くす絶縁部を有すること、
    を特徴とする中空部材の製造方法。
  3. 請求項2に記載の中空部材の製造方法において、
    前記通電工程では、前記中空部材の前記中空部の両端部に前記絶縁部が位置するように、前記補助電極を配置すること、
    を特徴とする中空部材の製造方法。
  4. 請求項3に記載の中空部材の製造方法において、
    前記補助電極は、前記絶縁部と導電性のある導電部との比率が略2:3で形成されていること、
    を特徴とする中空部材の製造方法。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の中空部材の製造方法において、
    前記浸液工程では、導電性を有した陽極治具により前記中空部材を固定し、
    前記通電工程では、前記中空部材と導通した前記陽極治具を陽極として通電すること、
    を特徴とする中空部材の製造方法。
  6. 請求項5に記載の中空部材の製造方法において、
    前記陽極治具は、チタンで形成されていること、
    を特徴とする中空部材の製造方法。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の中空部材の製造方法において、
    前記通電工程は、前記電解液を攪拌する攪拌工程を含むこと、
    を特徴とする中空部材の製造方法。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の中空部材の製造方法において、
    前記通電工程は、前記電解液に浸されている前記中空部材を揺動させる揺動工程を含むこと、
    を特徴とする中空部材の製造方法。
  9. 請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の中空部材の製造方法において、
    前記浸液工程及び前記通電工程では、複数の前記中空部材を、前記中空部の中心を軸として複数個重ねて配置すること、
    を特徴とする中空部材の製造方法。
  10. 中空部材の一方の面側に設けられ、前記中空部材の中空部へ続く第1の孔部が設けられ、導電性を有する第1の部材と、
    前記中空部材の他方の面側に設けられ、前記中空部材の中空部へ続く第2の孔部が設けられ、導電性を有する第2の部材と、
    前記中空部材を挟むように、前記第1の部材と前記第2の部材とを結合させる、導電性を有する結合部材と、
    前記中空部材の前記中空部を通り、前記第1の孔部から前記第2の孔部まで延在して設けられる電極部とを備えること、
    を特徴とする陽極酸化処理用治具。
  11. 請求項10に記載の陽極酸化処理用治具において、
    前記電極部は、表面の少なくとも一部に、導電性を低下させる及び/又は導電性を無くす絶縁部を備えること、
    を特徴とする陽極酸化処理用治具。
  12. 請求項11に記載の陽極酸化処理用治具において、
    前記絶縁部は、前記中空部材の前記中空部の両端部に対応する位置に設けられること、
    を特徴とする陽極酸化処理用治具。
  13. 請求項12に記載の陽極酸化処理用治具において、
    前記電極部は、前記絶縁部と非絶縁部である導電部との比率が略2:3であること、
    を特徴とする陽極酸化処理用治具。
  14. 請求項10から請求項13までのいずれか1項に記載の陽極酸化処理用治具において、
    前記第1の部材、前記第2の部材及び前記結合部材は、チタンで形成されること、
    を特徴とする陽極酸化処理用治具。
  15. 請求項10から請求項14までのいずれか1項に記載の陽極酸化処理用治具において、
    前記結合部材は、複数個重ねた状態の前記中空部材を挟むように、前記第1の部材と前記第2の部材とを結合させること、
    を特徴とする陽極酸化処理用治具。
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