JP2010280196A - セラミックシート形成用離型ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 溶剤にセラミック粉末を分散させたセラミックスラリーを塗布した後のセラミックグリーンシートが、セラミックグリーンシート非塗布面へ付着することを防止することのでき、セラミックシート形成用として好適な離型ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 片面に離型層を有するポリエステルフィルムであり、当該離型層と反対側のフィルム表面の剥離力が1900mN/cm以下であることを特徴とするセラミックシート形成用離型フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、離型ポリエステルフィルムに関するものであり、詳しくはセラミックシートの形成用として好適な離型フィルムに関するものである。
ポリエステルフィルムを基材とする離型フィルムは、例えばセラミック積層コンデンサー、セラミック基板等の各種セラミックの離型用途において、使用されている。
当該用途においては、溶剤にセラミック粉末を分散させたセラミックスラリーを離型フィルムの離型層面の上に、ドクターブレード法などでキャスティングして、その後、乾燥し、離型フィルムの上にセラミックグリーンシートを得る。このセラミックグリーンシートから離型フィルムを剥離し、得られたセラミックグリーンシートを焼結して、セラミックシートを得るというものである。
セラミックグリーンシートを塗布した離型フィルムは、焼結工程の前に、ロール状にいったん巻き取られて保管されることが多い。このときに、セラミックグリーンシート塗布面の反対面となる、セラミックグリーンシート非塗布面に、塗布したセラミックグリーンシートが付着すると、塗布されたセラミックグリーンシートの平滑性や均質性が損なわれてしまう。セラミックスラリーは、離型フィルムに塗布された後に乾燥されるが、製造時の温度湿度条件に起因する工程の振れによって、セラミックスラリーの乾燥が不十分なまま、ロール状に巻き取ることがあり、セラミックグリーンシート非塗布面に、塗布したセラミックグリーンシートが付着し問題となる。
塗布した後のセラミックグリーンシートが、セラミックグリーンシート非塗布面へ付着することを防止するため、一般的には、セラミックグリーンシート非塗布面にも、あらかじめ離型層を塗布しておき、両面に離型性を付与したポリエステル離型フィルムが用いられる。しかしながら、ポリエステルフィルム両面に離型層を塗布することは、ポリエステル離型フィルムを製造する工程において、塗布工程が2つ必要となり、極めて非効率的であるとともに、製造コストも増大する。一方で、いったん乾燥工程を経たセラミックグリーンシートの、セラミックグリーンシート非塗布面への付着防止に求められる剥離力は、重剥離であっても構わない。
特開2005−47175号公報 特開2005−47177号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その解決課題は、溶剤にセラミック粉末を分散させたセラミックスラリーを塗布した後のセラミックグリーンシートが、セラミックグリーンシート非塗布面へ付着することを防止することのでき、セラミックシート形成用として好適な離型ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者は、上記実状に鑑み、鋭意検討した結果、特定の構成を有する離型フィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、片面に離型層を有するポリエステルフィルムであり、当該離型層と反対側のフィルム表面の剥離力が1900mN/cm以下であることを特徴とするセラミックシート形成用離型フィルムに存する。
本発明の離型フィルムを、セラミックシート形成用の離型ポリエステルフィルムに用いれば、その工業的価値は極めて高い。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のポリエステルフィルムに使用する原料ポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルを用いる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等が例示される。
一方、共重合ポリエステルを用いる場合は、30モル%以下の第三成分を含有する共重合体であることが好ましい。共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。
いずれにしても本発明でいうポリエステルとは、通常80モル%以上、好ましくは90モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート単位であるポリエチレン−2,6−ナフタレート等であるポリエステルを指す。
本発明におけるポリエステルフィルム中には、易滑性付与を主たる目的として粒子を配合することが好ましい。
配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらにポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
使用する粒子の平均粒径は、0.1〜5μmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜5μmの範囲である。平均粒径が0.1μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分となる傾向があり、一方、5μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、後工程において離型層を設ける場合等に不具合を生じることがある。
さらにポリエステル中の粒子含有量は、0.01重量%以上の範囲であることが好ましい。粒子含有量が0.01重量%未満の場合には、フィルムの易滑性が不十分になる場合がある。
ポリエステル中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において粒子を添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応を進めてもよい。
また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
本発明の離型フィルムを構成するポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではないが、通常9〜250μm、好ましくは12〜188μmの範囲である。
次に、本発明におけるポリエステルフィルムの製造例について具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
すなわち、先に述べたポリエステル原料を使用し、ダイから押し出された溶融シートを冷却ロールで冷却固化して未延伸シートを得る方法が好ましい。
この場合、シートの平面性を向上させるためシートと回転冷却ドラムとの密着性を高める必要があり、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
次に得られた未延伸シートを二軸方向に延伸する。その場合、まず、前記の未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃であり、延伸倍率は、通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する延伸温度は通常130〜170℃であり、延伸倍率は通常3.0〜7倍、好ましくは3.5〜6倍である。そして、引き続き、180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る。
上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。また、前記の未延伸シートを面積倍率が10〜40倍になるように同時二軸延伸を行うことも可能である。さらに、必要に応じて熱処理を行う前または後に再度縦および/または横方向に延伸してもよい。
上述のポリエステルフィルムの延伸工程中にフィルム表面を処理する、いわゆる塗布延伸法(インラインコーティング)を施すことができる。それは以下に限定するものではないが、例えば、逐次二軸延伸においては特に1段目の延伸が終了して、2段目の延伸前にコーティング処理を施すことができる。上述の塗布延伸法にてポリエステルフィルム上に塗布層が設けられる場合には、延伸と同時に塗布が可能になると共に塗布層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造できる。
また、本発明における離型フィルムを構成するポリエステルフィルムにおいて、中心線最大粗さRaを有するフィルム表面を形成する手法としては、粒子練り込み法、粒子塗布法、エンボス法、サンドブラスト法、エッチング法、放電加工法等の方法を用いることができる。本発明においては上記の何れの方法を採用してもよく、特に限定されるものではない。
次に代表的な方法に関して具体的に説明するが、以下の製造例に何ら限定されるものではない。
粒子練り込み法は、ポリエステルフィルムを製造する過程において、原料配合時に、酸化チタン、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン等の無機微粒子を添加するか、または、ポリエステル中に触媒残査の析出微粒子を残存させてフィルム表面を粗面化する方法である。
エンボス法は、目的の凹凸形状を有するエンボスロールとバックアップロールからなる装置を使用し、所定の温度にてエンボス加工を行ってフィルム表面を粗面化する方法である。
粒子塗布法は粒子と結合剤と溶剤とから調製された適当粘度の塗布液をフィルム表面に塗布して粗面化された表面をフィルムに形成する方法である。粒子としては、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、酸化チタン等の無機微粒子、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などの有機粒子が挙げられる。結合剤としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ラジカル重合性二重結合を含有する化合物などが挙げられる。塗布装置としては、グラビアコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター等が挙げられる。なお、塗布液中には、必要に応じ、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、粒子分散安定化樹脂などを添加することができる。
本発明の離型フィルムを構成する離型層は、離型性を有する材料を含有していれば、特に限定されるものではない。硬化型シリコーン樹脂を主成分とするタイプでもよいし、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ等を使用してもよい。そのような材料の中でも、縮合反応硬化型シリコーン樹脂を用いることにより、離型性が特に良好となり、また、離型層非塗布面への離型層の移行が容易となる。
硬化型シリコーン樹脂の具体例を挙げると、信越化学工業(株)製KS−705F、KS708、KS709、ダウ・コーニング・アジア(株)製FSXF−2560、DKQ3−3061、東芝シリコーン(株)製XS56−A3075、YSR−3022、東レ・ダウ・コーニング(株)製SRX290、SRX244、SYLOFF23等が挙げられる。
本発明の離型フィルムを構成する離型層の塗布量は、通常0.01〜5g/m、さらには0.01〜2g/m、特に0.01〜1g/mの範囲が好ましい。離型層の塗布量が0.01g/m未満の場合、塗工性の面より安定性に欠け、均一な塗膜を得るのが困難な場合がある。一方、塗工量が5g/mを超える場合、離型層自体の塗膜密着性、硬化性等が低下する場合がある。
本発明において、ポリエステルフィルムに離型層を設ける方法として、リバースロールコート、グラビアコート、バーコート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。
本発明における離型フィルムに関して、離型層が設けられていない面に、接着層、帯電防止層等の塗布層を設けてもよく、また、ポリエステルフィルムにはコロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を施してもよい。さらに離型層の剥離性等を調整するために、剥離コントロール剤を併用してもよい。
ポリエステルフィルムには、前述の塗布延伸法(インラインコーティング法)により、あらかじめ、接着層、帯電防止層等の塗布層が設けられていてもよい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの固有粘度の測定
サンプル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
(3)離型フィルムの剥離力(F)の評価
測定試料の離型層に両面粘着テープ(日東電工製「No.502」)の片面を貼り付け、50mm×300mmのサイズにカットし、室温にて1時間放置後の剥離力を測定した。剥離力は、引張試験機((株)インテスコ製「インテスコモデル2001型」)を使用し、引張速度300mm/分の条件下、180°剥離を行った。なお、測定は20±2℃、65±5%RHにて行った。
実施例および比較例で用いた原料ポリエステルの製造方法は以下のとおりである。
〈ポリエステルの製造〉
製造例1(ポリエチレンテレフタレートA1)
テレフタル酸86部、エチレングリコール70部を反応器にとり、約250℃で4時間エステル交換反応を行った。三酸化アンチモンを0.03部およびリン酸0.01部、平均粒径3.2μmの二酸化珪素粒子を3部加え、250℃から285℃まで徐々に昇温すると共に圧力を徐々に減じて0.5mmHgとした。4時間後、重合反応を停止し、極限粘度0.65のポリエチレンテレフタレートA1を得た。
(ポリエステルフィルムの製造〉
製造例2(PETフィルムF1)
製造例1で製造したポリエチレンテレフタレートA1を180℃で4時間不活性ガス雰囲気中で乾燥し、溶融押出機により290℃で溶融し、口金から押出し静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。得られたシートを85℃で3.5倍縦方向に延伸した。次いで、フィルムをテンターに導き、100℃で3.7倍横方向に延伸した後、230℃にて熱固定を行い、厚さ50μmのPETフィルムF1(Ra=0.03μm)を得た。
実施例1:
製造例2で得られたポリエステルフィルムF1に下記離型剤組成からなる離型層を塗布量が0.05g/m(乾燥後)になるように設け、巻き取り張力を10kg/mとしてロール状に巻き取り、離型フィルムロールを得た。
《離型剤組成》
・縮合反応硬化型シリコーン樹脂(東レダウ製:FSXF−2560) 45部
・触媒(東レダウ製:SRX67) 0.24部
・添加剤(東レダウ製:SH21PA) 0.3部
・トルエン/MEK混合溶媒(配合比率は1:1) 525部
比較例1:
製造例2で得られたポリエステルフィルムフィルムF1に下記離型剤組成からなる離型層を塗布量が0.07g/m(乾燥後)になるように設け、巻き取り張力を10kg/mとしてロール状に巻き取り、離型フィルムロールを得た。
《離型剤組成》
・縮合反応硬化型シリコーン樹脂(信越化学製:KS−723A) 100部
・縮合反応硬化型シリコーン樹脂(信越化学製:KS−723B) 50部
・触媒(信越化学製:PS−3) 5部
・トルエン/MEK混合溶媒(配合比率は1:1) 3300部
上記実施例および比較例で得られた各フィルムの特性を下記表1に示す。
Figure 2010280196
本発明のフィルムは、例えば、セラミックシート形成用の離型フィルムとして好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. 片面に離型層を有するポリエステルフィルムであり、当該離型層と反対側のフィルム表面の剥離力が1900mN/cm以下であることを特徴とするセラミックシート形成用離型フィルム。
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