JP2010280117A - 積層体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】軽量であり、且つ、高剛性であることを特徴とする積層体を提供する。
【解決手段】基材層と、この基材層に積層された表皮材層と、を有する積層体であって、前記表皮材層は、ポリビニルアルコール繊維(A)と、ポリオレフィン樹脂(B)と、を含有するポリオレフィン樹脂組成物Aからなる層であり、前記基材層は、前記ポリオレフィン樹脂組成物A以外のポリオレフィン樹脂組成物Bからなる発泡体であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は基材層と、この基材層の少なくとも片面に積層された表皮材層と、を有する積層体及びその製造方法に関する。
ポリオレフィン樹脂は、機械的性質、耐薬品性等に優れ、経済性とのバランスにおいて極めて有用なため各成形分野に広く用いられている。ポリオレフィン樹脂を発泡させた発泡体に、表皮材層等を積層させた積層体(発泡積層体)は、軽量であることから、様々な用途に用いられている。
従来用いられている発泡積層体としては、特許文献1に開示されているように、耐熱性樹脂を基材樹脂とする発泡層の両面に、有機繊維成分を包含した熱可塑性樹脂を基材樹脂とする非発泡層が積層された積層体が挙げられる。また特許文献2には、熱可塑性樹脂100重量部に対して充填剤を10〜400重量部含有し、かつ押出成形時に非発泡層を構成する第1の熱可塑性樹脂と、発泡剤を含有し、且つ押出成形時に発泡層を構成する第2の熱可塑性樹脂とを、それぞれ溶融混練して積層し、Tダイより押出成形された積層体が開示されている。
特開2005−350055公報 特開昭63−252715公報
しかしながら、特許文献1に記載の積層体は、ポリフェニレンエーテルに代表される耐熱性樹脂を用いるために、比重が大きく軽量性に乏しい。また、表皮材として使用する有機繊維の種類によっては剛性に乏しいため、積層体の軽量化と高剛性化を両立することは困難である。同様に、特許文献2に記載の積層体においても、使用する充填剤の種類によっては、軽量化と高剛性化を両立できないことがあった。
以上の課題に鑑み、本発明では軽量であり、且つ、高剛性であることを特徴とする積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは、以下の構成を採用することにより本発明の課題を達成し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、基材層と、この基材層に積層された表皮材層と、を有する積層体であって、
前記表皮材層は、ポリビニルアルコール繊維(A)と、ポリオレフィン樹脂(B)と、を含有するポリオレフィン樹脂組成物Aからなる層であり、
前記基材層は、前記ポリオレフィン樹脂組成物A以外のポリオレフィン樹脂組成物Bからなる発泡体であることを特徴とする積層体及びその製造方法を提供するものである。
本発明によれば、軽量且つ高剛性であることを特徴とする積層体を提供することが可能となる。
本発明で好ましく使用されるダイの断面を示す図である。
〔積層体〕
本発明に係る積層体は、基材層と、この基材層に積層された表皮材層と、を有する。表皮材層は、ポリビニルアルコール繊維(A)と、ポリオレフィン樹脂(B)と、を含有するポリオレフィン樹脂組成物Aからなる層であり、基材層は、ポリオレフィン樹脂組成物A以外のポリオレフィン樹脂組成物Bからなる発泡体である。以下、各構成について説明する。
なお、本発明における「積層体」とは、特に断りがない限り後述する一次発泡積層体及び二次発泡積層体の両方を含む。また、「一次発泡積層体」とは、後述の膨張工程を経る前の積層体をいい、「二次発泡積層体」とは、膨張工程を経た積層体をいう。
<表皮材層>
本発明における表皮材層は、ポリオレフィン樹脂組成物Aからなる。ポリオレフィン樹脂組成物Aは、ポリビニルアルコール繊維(A)と、ポリオレフィン樹脂(B)と、を含有し、好ましくは不飽和カルボン酸で変性された変性ポリオレフィン樹脂及び/又は不飽和カルボン酸誘導体で変性された変性ポリオレフィン樹脂(C)を更に含有するものである。
[ポリビニルアルコール繊維(A)]
本発明におけるポリビニルアルコール繊維(A)とは、ポリビニルアルコールフィラメント(A−I)に、収束剤(A−II)を付与した複合繊維をいう。
ポリビニルアルコールフィラメント(A−I)に収束剤を付与する方法は、特に限定されないが、例えば、収束剤を入れた槽にフィラメントを浸漬し、ニップ後に熱風炉、ホットローラーあるいはホットプレートで乾燥する方法が挙げられる。
ポリビニルアルコールフィラメント(A−I)の製法は特に限定されない。例えば、ポリビニルアルコール系ポリマーを水又は有機溶剤に溶解して調整した紡糸原液を、ポリビニルアルコール系ポリマーに対して固化能を有する水又は有機溶媒を含有する固化浴に湿式防止方法又は乾式紡糸方法にて繊維を製造する方法が挙げられる。なお、湿式紡糸方法とは、紡糸口金から直接固化浴に紡糸原液を吐出する方法のことをいう。一方乾式紡糸方法とは、紡糸口金から一旦空気や不活性ガス中に紡糸原液を吐出し、それから固化浴に導入する方法のことをいう。
上記ポリビニルアルコール系ポリマーの構成は特には限定されないが、表皮材層の機械的特性、耐熱性等の点からは平均重合度1000以上、さらに1200以上であることが好ましく、5000以下、特に4000以下であることが好ましい。また、同様の理由からケン化度は99モル%以上であることが好ましく、99.8モル%以上であることがより好ましい。繊維を構成するポリビニルアルコール系ポリマーは、ポリビニルアルコールの他に加水分解等の処理によりポリビニルアルコールが生成する重合体であってもよく、ポリビニルアルコール系ポリマーがカルボン酸等の酸及び/又はそれらの誘導体により変性されたり、共重合されたりして生じた生成物であってもよい。なお、ポリビニルアルコール系ポリマーの平均重合度及びケン化度は、JIS K 6726に準拠して測定した値を用いる。
収束剤(A−II)としては、後述するポリオレフィン樹脂(B)及び変性ポリオレフィン樹脂(C)、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、澱粉、植物油等が挙げられる。中でも、ポリオレフィン樹脂(B)、変性ポリオレフィン樹脂(C)、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を用いることが好ましく、ポリオレフィン樹脂(B)及び変性ポリオレフィン樹脂(C)を用いることがより好ましく、ポリプロピレン樹脂、変性ポリプロピレン樹脂が更に好ましい。変性ポリオレフィン樹脂としては、例えば、酸変性ポリオレフィンが挙げられる。なお、これらの樹脂は、単独又は2種以上併用して用いてもよい。
ポリビニルアルコールフィラメント(A−I)に対する、収束剤(A−II)の付与量は、ポリビニルアルコールフィラメント(A−I)100重量部に対し、収束剤(A−II)0.1〜10重量部であり、好ましくは0.1〜7重量部であり、より好ましくは0.2〜5重量部である。
収束剤(A−II)の添加量を0.1重量部以上とすることにより、十分な収束性を付与することができ、後述するプルトルージョン法でペレット状樹脂組成物を製造する際に、ポリビニルアルコール繊維が縺れたり、たくれたりすることを防止することが可能となる。また、収束剤が有する官能基が、ポリビニルアルコールフィラメント(A−I)とポリオレフィン樹脂組成物(I)との界面の結合性を強化しているためと推定しているが、付与量を0.1重量部以上とすることにより、表皮材層を製造した場合に、十分な強度物性を得ることが可能となる。
収束剤(A−II)の付与量を10重量以下とすることにより、表皮材層を製造した場合に、十分な強度物性を得ることが可能となる。
なお、収束剤(A−II)には、ポリビニルアルコールフィラメント(A−I)を、後述する変性ポリオレフィン樹脂(C)で濡らす際の濡れ性や接着性等を改良するために、表面処理剤を配合してもよい。この表面処理剤としては、例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、クロム系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤、ボラン系カップリング剤等が挙げられ、好ましくはシラン系カップリング剤又はチタネート系カップリング剤であり、より好ましくはシラン系カップリング剤である。
シラン系カップリング剤としては、例えば、トリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシランが挙げられる。このうち、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン類を用いることが好ましい。
また、収束剤(A−II)は、上記の表面処理剤以外にも、パラフィンワックス等の潤滑油を配合することもできる。
ポリオレフィン樹脂組成物A中のポリビニルアルコール繊維(A)の含有量は、得られる表皮材層の剛性や衝撃強度等の機械的強度という観点や、ポリオレフィン樹脂組成物Aの製造安定性の観点から、ポリオレフィン樹脂組成物A全体を100重量%としたとき1〜70重量%であることが好ましく、10〜40重量%であることがより好ましい。
[ポリオレフィン樹脂(B)]
ポリオレフィン樹脂組成物A中のポリオレフィン樹脂(B)は、オレフィンの単独重合体又は2種類以上のオレフィンの共重合体からなる樹脂である。即ち、後述する不飽和カルボン酸や不飽和カルボン酸誘導体で変性された変性ポリオレフィン樹脂(C)以外のポリオレフィン樹脂をいう。具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等が挙げられる。ポリオレフィン樹脂として好ましくは、ポリプロピレン樹脂である。これらは、単独又は2種以上を併用してもよい。
ポリエチレン樹脂としては、例えば、エチレン単独重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体等が挙げられる。
ポリプロピレン樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレンを単独重合した後にエチレンとプロピレンを共重合して得られるプロピレン系ブロック共重合体等が挙げられる。表皮材層の耐熱性の観点から、ポリプロピレン樹脂として好ましくは、プロピレン単独重合体、プロピレンを単独重合した後にエチレンとプロピレンを共重合して得られるプロピレン系ブロック共重合体を用いることが好ましい。
なお、プロピレン−エチレンランダム共重合体に含有されるエチレンの含有量(ただし、プロピレンとエチレンの合計量を100モル%とする)、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体に含有されるα−オレフィンの含有量(ただし、プロピレンとα−オレフィンの合計量を100モル%とする)、プロピレン−エチレン−α−オレフィンランダム共重合体に含有されるエチレンとα−オレフィンの合計含有量(ただし、プロピレンとエチレンとa−オレフィンの合計量を100モル%とする)は、いずれも50モル%未満であることが好ましい。
前記エチレンの含有量、α一オレフィンの含有量及びエチレンとα−オレフィンの合計含有量は、新版高分子分析ハンドブック(日本化学会、高分子分析研究懇談会編 紀伊国屋書店 (1995))に記載されているIR法又はNMR法を用いて測定された値を用いる。
なお、エチレン−プロピレンランダム共重合体に含有されるプロピレンの含有量(ただし、エチレンとプロピレンの合計量を100モル%とする)、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体に含有されるα−オレフィンの含有量(ただし、エチレンとα−オレフィンの合計量を100モル%とする)、エチレン−プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体に含有されるプロピレンとα−オレフィンの合計含有量(ただし、エチレンとプロピレンとα−オレフィンの合計量を100モル%とする)は、いずれも50モル%未満である。
ポリオレフィン樹脂(B)を構成するα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、2−メチル−1一プロペン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1一ペンテン、トリメチル−1一ブテン、メチルエチル−1−ブテン、1−オクテン、メチル−1−ペンテン、エチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ヘキセン、プロピル−1−ヘプテン、メチルエチル−1−ヘプテン、トリメチル−1−ペンテン、プロピル−1−ペンテン、ジエチル−1−ブテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン等が挙げられる。好ましくは、炭素数4〜8のα−オレフィン(例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン)である。
ポリオレフィン樹脂(B)は、溶液重合法、スラリー重合法、バルク重合法、気相重合法等によって製造することができる。また、これらの重合法を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
ポリオレフィン樹脂(B)のより具体的な製造方法の例としては、例えば、“新ポリマー製造プロセズ(佐伯康治編集、工業調査会(1994年発行))、特開平4−323207号公報、特開昭61−287917号公報等に記載されている重合法が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂(B)の製造に用いられる触媒としては、マルチサイト触媒やシングルサイト触媒が挙げられる。好ましいマルチサイト触媒として、チタン原子、マグネシウム原子及びハロゲン原子を含有する固体触媒成分を用いて得られる触媒が挙げられ、また、好ましいシングルサイト触媒として、メクロセン触媒が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂(B)としてのポリプロピレン樹脂の製造に用いられる好ましい触媒として、上記のチタン原子、マグネシウム原子及びハロゲン原子を含有する固体触媒成分を用いて得られる触媒が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂(B)のメルトフローレート(MFR)は、ポリオレフィン樹脂組成物A中のポリビニルアルコール繊維(A)の分散性の低下、得られる表皮材層の外観不良や衝撃強度の低下を防止するという観点から、好ましくは1〜500g/10分であり、より好ましくは10〜400g/10分であり、さらに好ましくは20〜300g/10分であり、一層好ましくは50〜200g/10分である。なお、MFRは、A.S.T.M,D1238に従い、230℃、21.2N荷重で測定した値である。
本発明で用いられるポリオレフィン樹脂(B)がプロピレン単独重合体の場合、アイソタクチックペンタッド分率は、好ましくは0.95〜1.0であり、より好ましくは0.96〜1.0であり、さらに好ましくは0.97〜1.0である。アイソタクチックペンタッド分率とは、A.ZambelliらによってMacromolecules,第6巻,第925頁(1973年)に発表されている方法、すなわち13C−NMRを使用して測定されるプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖、換言すればプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である。ただし、NMR吸収ピークの帰属に関しては、Macromolecules,第6巻,第925頁(1973年)に基づいて行うものである。
また、本発明で用いられるポリオレフィン樹脂(B)がプロピレンを単独重合した後にエチレンとプロピレンを共重合して得られるプロピレンブロック共重合体の場合、前記プロピレン単独重合体部のアイソタクチックペンタッド分率は、好ましくは0.95〜1.0、より好ましくは0.96〜1.0であり、さらに好ましくは0.97〜1.0である。
ポリオレフィン樹脂組成物A中のポリオレフィン樹脂(B)の含有量は、得られる表皮材層の剛性や衝撃強度等の機械的強度という観点や、ポリオレフィン樹脂組成物Aの製造安定性の観点から、ポリオレフィン樹脂組成物A全体を100重量%としたとき20〜98.5重量%であることが好ましく、50〜89重量%であることがより好ましい。ポリオレフィン樹脂(B)の含有量を上記の範囲とすることにより充分な剛性や衝撃強度を有する表皮材層を得ることができる。
[不飽和カルボン酸で変性された変性ポリオレフィン樹脂及び/又は不飽和カルボン酸誘導体で変性された変性ポリオレフィン樹脂(C)]
ポリオレフィン樹脂組成物Aは、不飽和カルボン酸で変性された変性ポリオレフィン樹脂及び/又は不飽和カルボン酸誘導体で変性された変性ポリオレフィン樹脂(C)を含有していてもよい。
この変性ポリオレフィン樹脂(C)の原料となるポリオレフィン樹脂は、1種類のオレフィンの単独重合体又は2種類以上のオレフィンの共重合体からなる樹脂である。変性ポリオレフィン樹脂(C)は、換言すれば、1種類のオレフィンの単独重合体又は2種類以上のオレフィンの共重合体に、不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸誘導体を反応させて生成した樹脂であって、分子中に不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸誘導体に由来する部分構造を有している樹脂である。具体的には、次の(C−a)〜(C−c)の変性ポリオレフィン樹脂が挙げられる。これらは単独又は2種以上を併用してもよい。
(C−a):オレフィンの単独重合体に、不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸誘導体をグラフト重合して得られる変性ポリオレフィン樹脂
(C−b):2種以上のオレフィンを共重合して得られる共重合体に、不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸誘導体をグラフト重合して得られる変性ポリオレフィン樹脂
(C−c):オレフィンを単独重合した後に2種以上のオレフィンを共重合して得られるブロック共重合体に、不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸誘導体をグラフト重合して得られる変性ポリオレフィン樹脂
上記不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
また、不飽和カルボン酸誘導体としては、不飽和カルボン酸の酸無水物、エステル化合物、アミド化合物、イミド化合物、金属塩等が挙げられる。具体的には、無水マレイン酸、無水イタコン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸モノアミド、マレイミド、N−ブチルマレイミド、メタクリル酸ナトリウム等が挙げられる。
これらのうち、不飽和カルボン酸としてはマレイン酸、アクリル酸を用いることが好ましく、不飽和カルボン酸誘導体としてはメタクリル酸グリシジル、無水マレイン酸、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルを用いることが好ましい。
上記変性ポリオレフィン樹脂(C)として、好ましくは、(C−c)である。(C−c)のうち、次の(C−d)を用いることがより好ましい。
(C−d)エチレン及び/又はプロピレンのオレフィンに由来する単位を主な構成単位として含有するポリオレフィン樹脂に、無水マレイン酸又はメタクリル酸グリシジルエステル又はメタクリル酸2−ヒドロキシエチルをグラフト重合することによって得られる変性ポリオレフィン樹脂
変性ポリオレフィン樹脂(C)に含有される不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸誘導体に由来する構成単位の含有量は、表皮材層の衝撃強度、疲労特性、剛性等の向上という観点から、好ましくは0.1〜10重量%であり、より好ましくは、0,1〜5重量%であり、さらに好ましくは、0.2〜2重量%であり、特に好ましくは、0.4〜1重量%である。なお、不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸誘導体の化合物に由来する構成単位の含有量は、赤外吸収スペクトル又はNMRスペクトルによって、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物に基づく吸収を定量した値を用いる。
これらの変性ポリオレフィン樹脂(C)は、溶液法、バルク法、溶融混練法等によって製造することができる。また、これらの2種以上の方法を併用してもよい。
溶液法、バルク法、溶融混練法等の具体的な例としては、例えば、“実用ポリマーアロイ設計”(井出文雄著、工業調査会(1996年発行))、Prog.Pоlym.Sci.,24,81−142(1999)、特開2002−308947号公報、特開2004−292581号公報、特開2004−217753号公報、特開2004−217754号公報等に記載されている方法が挙げられる。
変性ポリオレフィン樹脂(C)は、市販されている変性ポリオレフィン樹脂を用いてもよい。例えば、商品名モディパー(日本油脂(株)製)、商品名ブレンマーCP(日本油脂(株)製)、商品名ボンドファースト(住友化学(株)製)、商品名ボンダイン(住友化学(株)製)、商品名レクスパール(日本ポリエチレン(株)製)、商品名アドマー(三井化学(株)製)、商品名モディックAP(三菱化学(株)製)、商品名ポリボンド(クロンプトン(株)製)、商品名ユーメックス(三洋化成(株)製)等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂組成物A中の変性ポリオレフィン樹脂(C)の含有量は、得られる表皮材層の剛性や衝撃強度等の機械的強度という観点や、ポリオレフィン樹脂組成物Aの製造安定性の観点から、ポリオレフィン樹脂組成物A全体を100重量%としたとき0.5〜40重量%であることが好ましく、0.5〜20重量%であることがより好ましい。変性ポリオレフィン樹脂(C)の含有量を上記の範囲とすることにより充分な剛性や衝撃強度を有する表皮材層を得ることができる。
ポリオレフィン樹脂組成物Aの製造方法としては、例えば、次の(1)〜(3)の方法が挙げられる。
(1)各成分の全部を混合して混合物とした後、その混合物を溶融混線する方法
(2)各成分を任意に祖み合わせて、それぞれを個別に混合して混合物とした後、その混合物を溶融混練する方法
(3)プルトルージョン法又は電線被覆法
上記の(1)又は(2)の方法において、混合物を得る方法としては、例えば、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、ブレンダー等によって混合する方法が挙げられる。そして、溶融混線する法としては、バンバリーミキサー、プラストミル、ブラベンダープラストグラフ、一軸又は二軸押出機等によって溶融混練する方法が挙げられる。
上記(1)〜(3)の製造方法のうち、製造のしやすさや、得られる表皮材層の機械的強度の観点から、(3)の方法を用いることが好ましく、プルトルージョン法を用いることがより好ましい。ここで、プルトルージョン法とは、基本的には連続した繊維束を引きながら、繊維束に樹脂を含浸させる方法であり、例えば、次の(3−1)〜(3−3)の方法が挙げられる。
(3−1)樹脂と溶媒とからなるエマルジョン、サスペンジョンあるいは溶液を入れた含浸槽の中に繊維束を通し、繊維束に該エマルジョン、サスペンジョン又は溶液を含浸させた後、溶媒を除去する方法
(3−2)樹脂の粉末を繊維束に吹き付けたのち、又は樹脂の粉末を入れた槽の中に繊結束を通し繊維に樹脂粉末を付着させたのち、該粉末を溶融して繊維束に樹脂を含浸させる方法
(3−3)クロスヘッドの中に繊維束を通しながら、押出機等からクロスヘッドに溶融樹脂を供給し、繊維束に該樹脂を含浸させる方法
このうち上記(3−3)のクロスヘッドを用いるプルトルージョン法を用いることが好ましく、特開平3−272830号公報等に記載されているクロスヘッドを用いるプルトルージョン法を用いることがより好ましい。
また、上記のプルトルージョン法において、樹脂の含浸操作は1段で行なってもよく、2段以上に分けて行ってもよい。また、プルトルージョン法によって製蹟されたペレットと溶融混練法によって製造されたペレットをブレンドしてもよい。
上記のような方法により得られたポリオレフィン樹脂組成物A中のポリビニルアルコール繊維(A)の重量平均繊維長は、表皮材層の剛性や衝撃強度等の機械的強度を向上させるという観点や、樹脂組成物の製造の容易性という観点から、好ましくは2〜50mmであり、より好ましくは3〜20mmであり、特に好ましくは5〜15mmである。
なお、ポリビニルアルコール繊維(A)の前記重量平均繊維長は、ポリオレフィン樹脂組成物Aのペレット1個中に含まれるポリビニルアルコールフィラメント(A−I)の平均長と同じである。ポリビニルアルコールフィラメント(A−I)の重量平均繊維長は、溶媒抽出等公知の技術により、ペレット状のポリビニルアルコール繊維(A)からポリビニルアルコールフィラメント(A−I)を分離した後、特開2002−5924号公報に記載されている方法(ただし、灰化工程は除く)により、分離したポリビニルアルコールフィラメント(A−I)の長さを1本ずつ測定し、平均値を算出した値を用いている。
ポリオレフィン樹脂組成物Aには、必要に応じて、1種又は複数種のエラストマーを配合してもよい。エラストマーとしては、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、PVC系エラストマー、これらの混合物等が挙げられる。
また、一般のポリオレフィン樹脂に添加される公知の物質、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、中和剤、紫外線吸収剤等の安定剤、気泡防止剤、難燃剤、難燃助剤、分散剤、帯電防止剤、滑剤、シリカ等のアンチブロッキング剤、染料や顔料等の着色剤、可塑剤、造核剤や結晶化促進剤を必要に応じて配合してもよい。また、ガラスフレーク、マイカ、ガラス粉、ガラスビーズ、タルク、クレー、アルミナ、カーボンブラック、ウォルスナイト等の板状、粉粒状の無機化合物や、ウィスカー等を配合してもよい。
<基材層>
本発明における基材層とは、ポリオレフィン樹脂組成物Bからなる発泡体をいう。ここで、ポリオレフィン樹脂組成物Bとしては、上記ポリオレフィン樹脂(B)、具体的にはポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブテン樹脂等が挙げられる。これらは単独又は2種以上併用して用いてもよい。
ポリエチレン樹脂としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレンと炭素原子数4以上のα−オレフィンとの共重合体、エチレンと炭素原子数4以上の環状オレフィンとの共重合体、及び、これらの混合物等が挙げられる。
ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレン単独重合体に、少量のエチレン及び/又はα−オレフィンのコモノマーを共重合させた共重合体、
プロピレン単独重合体に、少量のエチレン及び/又はα−オレフィンのコモノマーを共重合させた共重合体としては、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレンを単独重合した後にエチレンとプロピレンを共重合して得られるプロピレン系ブロック共重合体等が挙げられる。
表皮材層の耐熱性の観点から、ポリプロピレン樹脂として好ましくは、プロピレン単独重合体、プロピレンを単独重合した後にエチレンとプロピレンを共重合して得られるプロピレン系ブロック共重合体を用いることが好ましい。
これらのうち、基材層の軽量性や剛性の観点から、ポリオレフィン樹脂組成物Bを構成する樹脂の50重量%以上にポリプロピレン系樹脂を用いることが好ましい。そしてこのポリプロピレン系樹脂の5重量%以上が、190℃におけるメルトテンション(MT(190))と230℃におけるメルトフローレート(MFR(230))とが下記[式1]を満足するプロピレン系重合体であることが好ましい。
MT(190)≧7.52×MFR(230)(−0.576)・・・・[式1]
ここで、230℃におけるメルトフローレート(MFR(230))とは、A.S.T.M,D1238に従い、230℃、21.2N荷重で測定した値をいう(単位:g/10分)。また、190℃におけるメルトテンション(MT(190))とは、市販のメルトテンションテスターを用いて、サンプル量5g、加熱温度190℃、加熱時間5分間、ピストン降下速度5.7mm/分で、長さ8mm、直径2mmのオリフィスからストランドを押出し、該ストランドを直径50mmのローラーを用いて巻取速度100rpmで巻き取ったときの張力をいう(単位:g)。
上記[式1]を満足するプロピレン系重合体としては、特開昭62−121704号公報や、特開平11−228629号公報に開示されているような分岐状プロピレン系樹脂や高分子量成分を含有する直鎖状プロピレン系樹脂が挙げられる。分岐状プロピレン系樹脂としては、特開昭62−121704号公報に開示されたような直鎖状プロピレン系樹脂に放射線を照射して得られる樹脂を挙げることができる。このような分岐状プロピレン系樹脂は、株式会社サンアロマより商品名PF814、SD632として上市されているものが挙げられる。
また、直鎖状プロピレン系樹脂としては、特開平11−228629号公報に開示されたような超高分子量成分を導入したプロピレン系重合体、すなわち極限粘度が5dl/g以上の結晶性プロピレン系重合体部分を製造する工程及び極限粘度が3dl/g未満の結晶性プロピレン系重合体部分を製造する工程を含む重合方法により得られ、極限粘度が3dl/g未満であり、結晶性プロピレン系重合体部分の割合が0.05重量%以上35重量%未満であるプロピレン系重合体が挙げられる。
また、ポリオレフィン樹脂組成物Bは、無機フィラー、有機フィラー、顔料、滑材、帯電防止剤、安定剤、等の充填剤及び/又は添加剤を含有していてもよい。
ポリオレフィン樹脂組成物Bは、上記ポリオレフィン樹脂組成物Aと同様の方法により製造することができる。
上記ポリオレフィン樹脂組成物Bの発泡体からなる基材層の製造方法は、特に限定されるものではなく、押出発泡法、ビーズ型発泡法、電子線架橋発泡方法、化学架橋発泡法、バッチ式発泡方法等の公知の製造方法が挙げられる。このうち、基材層の生産性やリサイクル性の観点から押出発泡法を用いることが好ましい。
押出発泡法を用いた場合の基材層の製造は、まず、ポリオレフィン樹脂組成物Bと発泡剤等とを押出機中で溶融混練して溶融樹脂組成物とし、この溶融樹脂組成物を、押出機に接続したダイ内へと送り出す。次いでダイ内へ送り込まれた溶融樹脂組成物は、ダイ出口から大気中に押出されるとともに発泡する。次いで発泡した平板状のシートを冷却し、切断機によって所望のサイズに切断することにより基材層を得る。
ここでダイの形状としては、マルチマニホールド方式のTダイやサーキュラーダイ等が挙げられる。基材層の生産性の観点から、マルチマニホールド方式のTダイを採用することが好ましい。
基材層を製造する際にポリオレフィン樹脂組成物Bに添加される発泡剤としては、物理発泡剤、化学発泡剤、これらの混合物等が挙げられる。物理発泡剤としては、炭酸ガス、窒素ガス、空気、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ジクロルエタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロモノフルオロメタン、トリクロロモノフルオロメタン等が挙げられる。これらは単独又は2種以上組み合わせて用いることが可能である。このうち窒素ガス、炭酸ガス、空気等を用いることが好ましい。
化学発泡剤としては、重曹、重曹とクエン酸、クエン酸ナトリウム、ステアリン酸等の有機酸との混合物;アゾジカルボン酸アミド、トリレンジイソシアネート、4,4’ジフェニルメタンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;アゾビスブチロニトリル、バリウム・アゾジカルボキシレート、ジアゾアミノベンゼン、トリヒドラジノトリアジン等のアゾ、ジアゾ化合物;ベンゼン・スルホニル・ヒドラジド、P,P’−オキシビス(ベンゼンスルホニル・ヒドラジド)、トルエン・スルホニル・ヒドラジド等のヒドラジン誘導体;N,N’−ジニトロソ・ペンタメチレン・テトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソ・テレフタルアミド等のニトロソ化合物;P−トルエン・スルホニル・セミカルバジド、4,4’オキシビスベンゼンスルホニルセミカルバジド等のセミカルバジド化合物;アジ化合物;トリアゾール化合物;等の化合物等が挙げられる。このうち、重曹、クエン酸、アゾジカルボン酸アミド等を用いることが好ましい。
発泡剤として物理発泡剤を使用する場合には、押出機中で溶融混練している熱可塑性樹脂に物理発泡剤を圧入してポリオレフィン樹脂組成物Bとし、これをさらに溶融混練することが必要である。圧入する物理発泡剤の量は、ポリオレフィン樹脂組成物B100重量部に対し0.1〜10重量部であることが好ましい。
発泡剤として化学発泡剤を使用する場合には、その添加量はポリオレフィン樹脂組成物B100重量部に対し0.1〜20重量部であることが好ましい。
また、発泡剤として物理発泡剤を使用する場合には、気泡核剤を添加することが好ましい。気泡核剤としては、タルク、シリカ、珪藻土、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、ケイ酸カルシウム、ゼオライト、マイカ、クレー、ワラストナイト、ハイドロタルサイト、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、PMMA等のポリマービーズ、合成アルミノシリケートや下記の化学発泡剤等を使用することができ、その添加量は熱可塑性樹脂100重量部に対し0.1〜10重量部であることが好ましい。
また発泡剤として化学発泡剤を使用する場合には、その分解温度・速度を調整するために酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、尿素等の発泡助剤を添加してもよい。
〔積層体の製造方法〕
本発明に係る積層体は、基材層に表皮材層を積層することにより得られる。基材層に表皮材層を積層する方法としては、例えば多層ダイを具備した押出機を用いてポリオレフィン樹脂組成物Bとポリオレフィン樹脂組成物Aを共押出しすることにより基材層と表皮材層を積層する方法や、基材層と表皮材層をそれぞれ別々に作成し、その後の工程で両者をラミネートする方法等が挙げられるが、積層体の生産性の観点から共押出発泡法を用いることが好ましい。
なお、本発明に係る製造方法により得られる積層体は、基材層に表皮材層が積層されたものであるが、表皮材層は基材層の両面に積層されていてもよい。基材層及び表皮材層はそれぞれ1層であっても2層以上であっても構わない。また、基材層と表皮材層の間に第三の層を積層しても構わない。第三の層としては、例えばポリオレフィン架橋発泡シート(東レ株式会社商品名トーレペフ)が挙げられる。
共押出法は、発泡剤を含有するポリオレフィン樹脂組成物Bと、ポリオレフィン樹脂組成物Aと、をそれぞれ溶融混練する混練工程と、混練された発泡剤を含有するポリオレフィン樹脂組成物Bと、ポリオレフィン樹脂組成物Aと、をダイ内で積層して、押し出す押出工程と、押し出された発泡剤を含有するポリオレフィン樹脂組成物Bを発泡させる発泡工程と、を有する。
混練工程では、ポリオレフィン樹脂組成物Bと、ポリオレフィン樹脂組成物Aと、をそれぞれ別個に溶融混練する。ポリオレフィン樹脂組成物Bを溶融混練する際は、発泡剤を添加して混練する。発泡剤として化学発泡剤を用いる場合には、ポリオレフィン樹脂組成物Bと化学発泡剤を一緒に押出機内に投入して混練する。発泡剤として物理発泡剤を用いる場合には、まずポリオレフィン樹脂組成物Bを押出機内で混練し、完全に溶融状態となった時点で押出機に接続された注入口より物理発泡剤を注入し、溶融状態のポリオレフィン樹脂組成物Bに溶解させる。
ポリオレフィン樹脂組成物Bと、ポリオレフィン樹脂組成物Aと、を混練する際の混練温度は、1〜30℃であることが好ましく、10〜20℃であることがより好ましい。
混練工程を経た後の押出工程では、混練された前記発泡剤を含有するポリオレフィン樹脂組成物Bと、前記ポリオレフィン樹脂組成物Aと、をダイ内で積層して押し出す。押出機から供給される溶融状の樹脂組成物をダイ内で積層し、共押出しすることができる構造を有するダイを用いることが好ましい。具体的には、マルチマニホールド方式のダイやフィードブロック方式のダイ等が挙げられる。このうち、マルチマニホールド方式のTダイを用いることが好ましい。
フィードブロック方式のダイは、マニホールドが1つであり、ダイ中心の入口にフィードブロックと呼ばれるものが設けられている。このフィードブロックの幅はダイの幅に比べてかなり狭く、このブロック内で各溶融状の樹脂組成物が合流し、積層され、この積層物がダイに導入されてマニホールドを流れてダイ幅方向に広げられる。マニホールドの下流には、チョークバーが設けられており、積層物全体について幅方向の流量、厚みが調整され、ダイ外へ押し出される。フィードブロック方式のダイを用いることにより、5層以上の層数を有する積層体を製造することが可能となる。
このようにしてダイより押し出された両樹脂組成物は、積層され、一体化されたシート状となって出てくる。その際、発泡剤を含有するポリオレフィン樹脂組成物Bは、発泡剤の膨張により発泡し、発泡体となっている(発泡工程)。
なお、両樹脂組成物をダイより押し出す際の押出温度は、ポリオレフィン樹脂組成物Bの押出温度よりもポリオレフィン樹脂組成物Aの押出温度の方が高い温度であることが好ましい。このように各樹脂組成物の押出温度に差をつけることによって得られる積層体の外観を良好にすることが可能となる。
従って、ダイの吐出口近傍にはポリオレフィン樹脂組成物Aを加熱するための加熱手段が設けられていることが好ましい。この加熱手段は、ポリオレフィン樹脂組成物Aを加熱することができる位置に設けられていれば特に限定されるものではない。例えば、ダイの吐出口付近にヒーターを用いて加熱することが好ましい。例えば、図1に記載されているようなダイを用いることが好ましい。
図1は本実施形態で好ましく用いられるマルチマニホールド方式のダイ1を示す。このダイ1は多層共押出用のTダイを用いている。ダイ1は、マニホールドを有するダイ本体2と、リップ部3と、からなる。ダイ本体2には、複数のマニホールド21,22,23と、それに繋がる流路210,220,230が設けられている。そしてこれらの流路210,220,230をそれぞれ挟むようにヒーター24が設けられている。ヒーター24の温度は、ポリオレフィン樹脂組成物Aの温度がポリオレフィン樹脂組成物Bの温度よりも高くなるように設定されていることが好ましい。例えば、ヒーター24a及びヒーター24dの温度を、ヒーター24b及びヒーター24cよりも高く設定することが好ましい。
一方、リップ部3は、各流路210,220,230から流出した溶融状の樹脂組成物が合流するための流路25a及び流路25bを形成するようにダイ本体2の先端に設けられている。そしてこのリップ部3の略中央には、合流点Aで合流した樹脂組成物を吐出するための吐出路32及び吐出口320が設けられている。さらにこの吐出路32を挟むようにして加熱手段31が設けられている。本実施形態では加熱手段として、ヒーターを用いている。
各押出機(図示せず)で溶融されたポリオレフィン樹脂組成物B及びポリオレフィン樹脂組成物Aはそれぞれマニホールド22及びマニホールド21,23に貯留される。そして流路25a及び25bを通過して合流点Aで合流し、積層される。積層した樹脂組成物は吐出路32を通過して吐出口320から押出される。
ポリオレフィン樹脂組成物B及びポリオレフィン樹脂組成物Aが合流し、積層した後は、温度差をつけた両者の熱移動(温度の均一化)が始まる。熱移動を最小限に留めるために、合流点Aと吐出口320の距離は近い方が好ましい。例えば、合流点Aと吐出口320の距離は10〜100mmとすることが好ましく、40〜60mmとすることがより好ましい。
ポリオレフィン樹脂組成物Aは、ポリオレフィン樹脂組成物Bを両側から挟むようにして各マニホールド21〜23に収納され、合流点Aでポリオレフィン樹脂組成物Bと合流し、吐出路32を通過する際に更に加熱される。このため、吐出口320から吐出する際にはポリオレフィン樹脂組成物Bよりも高い樹脂温度になっている。具体的にはポリオレフィン樹脂組成物B及びポリオレフィン樹脂組成物Aの温度の差が、好ましくは1〜20℃、より好ましくは5〜10℃となるように加熱される。
なお、ポリオレフィン樹脂組成物B及びポリオレフィン樹脂組成物Aの温度は、ヒーター24の設定温度を調整することにより調節される。ポリオレフィン樹脂組成物Bの温度は吐出路32、もしくは合流点Aの直前に熱電対を内挿することで測定が可能となるが、ダイ1の構造的に上記位置に熱電対を内挿することは困難であることが多い。そこで、ポリオレフィン樹脂組成物Bの温度はヒーター24b、24cの設定温度と同等とみなしてもよい。
ポリオレフィン樹脂組成物Aについても上記ポリオレフィン樹脂組成物Bの温度測定と同様に吐出路32に熱電対を内挿することは困難である場合が多い。そこで、本発明ではポリオレフィン樹脂組成物Aの温度は、ダイ1の先端に設けられたヒーター31の設定温度、又は吐出直後の表皮材層の表面温度を用いている。吐出直後の非発泡層の表面温度は非接触式の温度計やサーモグラフィーによって測定することができる。
このようにして得られる積層体(一次発泡積層体)は、良好な外観を有し、かつ、均一なセルを有するものとなる。
積層体(一次発泡積層体)中の基材層の発泡倍率は、2〜10倍であることが好ましく、3〜9倍であることがより好ましい。基材層の厚みは、具体的には2〜10mmが好ましく、3〜9mmであることがより好ましい。表皮材層の厚みは10〜500μmが好ましく、50〜200μmであることがより好ましい。そして基材層の厚みに対する表皮材層の厚みの比(表皮材層/基材層)は、0.001〜0.25であることが好ましく、0.006〜0.07であることがより好ましい。このような厚み比となるように、基材層や表皮材層の厚みを設計することで、積層体(一次発泡積層体)の軽量化と高剛性化を両立することが可能となる。
本発明に係る積層体の製造方法では、押出発泡工程を経て得られた一次発泡積層体を真空チャンバー内に配置し、真空チャンバーの内部を減圧して、積層体中の基材層を更に膨張させる膨張工程を有していてもよい。膨張工程を経ることにより得られる二次発泡積層体は、基材層が更に高厚み化され、剛性がより向上する。
二次発泡積層体中の基材層の発泡倍率は、6〜10倍であることが好ましい。
膨張工程の膨張温度は、特に限定されるものではなく、基材層を構成するポリオレフィン樹脂組成物Bの組成によって適宜変更設定すればよい。具体的には、ポリオレフィン樹脂組成物Bの融点付近の温度に設定することが好ましい。膨張温度が融点よりも高すぎると基材層を構成する発泡体が破泡しやすく、発泡倍率が高い二次発泡体や独立気泡率の高い二次発泡体が得られにくい。また、膨張温度が融点よりも低すぎると結晶化温度付近では弾性が強すぎ、発泡倍率の高い二次発泡体は得られにくい。
真空チャンバー内を減圧する方法としては、真空チャンバーに真空ポンプを接続して新旧吸引する方法が挙げられる。真空ポンプは真空チャンバー内の空気を短時間で排気できる能力を有するものを用いることが、発泡体の発泡倍率と独立気泡率の向上の観点から好ましい。また、使用する真空チャンバーの大きさによっては、排気を速やかに行うために真空タンクを備え付けることが好ましい。膨張工程における真空チャンバー内の圧力は、発泡体の発泡倍率向上の観点から、真空に近いほど好ましい。真空チャンバー内の絶対圧力は0.01MPa以下、減圧速度としては0.01MPa/s以上とすることが好ましい。
上記工程により得られた積層体(一次発泡積層体及び二次発泡積層体)は、包装容器、通函、仕切り板、食品容器、文具、建材、自動車内装材等に使用することができる。また、積層体は、その表面に対し、コロナ処理、オゾン処理や帯電防止剤塗布等の従来積層体の表面に施されている表面処理を施してもよい。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[物性の測定]
(1)発泡倍率
基材層の発泡倍率は、以下のようにして算出した。まず、JIS K7112に記載されている水中置換法による測定方法を使用して基材層の密度ρ(水)を求めた。次に、基材層を構成する樹脂の密度ρを用いて下記[式2]により発泡倍率Xを算出した(単位は無次元)。なお、本実施例では、樹脂としてプロピレン系樹脂を用いているため、ρ(PP)=0.90g/cmとした。
X=ρ/ρ(水)・・・・・・・・[式2]
ρ:樹脂密度(g/cm
ρ(水):発泡シート又は発泡成形体の密度(g/cm
(2)基材層及び表皮材層の曲げ弾性勾配及び曲げ弾性率の算出方法
基材層及び表皮材層の曲げ弾性率は、以下のようにして測定し、算出した。
JIS K7203に準拠して、オートグラフ(島津製作所製 型式AGS−10kNG)を用いて、曲げ弾性勾配及び曲げ弾性率を測定した。測定方法としては、試験片を水平に2点で支え、支点間中央に荷重を負荷して、荷重とたわみの相関性を測定した。基材層及び表皮材層の曲げ弾性勾配は荷重−たわみ曲線の最小荷重側直線部の傾きからそれぞれ求めた。また、曲げ弾性率は得られた曲げ弾性勾配を基に下記[式3]により算出した。
E=l/4bh×p/y・・・・・・・・[式3]
[式中、E:曲げ弾性率(MPa)、l:スパン距離(100mm)、b:試験片幅(50mm)、h:試験片厚さ(mm)、p/y:曲げ弾性勾配(N/cm)、荷重速度:50mm/minである。]
(3)曲げ弾性勾配及び曲げ弾性率の計算方法
積層体の曲げ弾性率は以下の[式4]により算出した。
Et=Es(1―(hf/ht))+Ef(hf/ht)・・・・・・・・[式4]
また、積層体の曲げ弾性勾配は以下の[式5]により算出した。
p/y=(4×Et×b×ht)/l・・・・・・・・[式5]
[式中、Et:積層体の曲げ弾性率(MPa)、Es:上記[式3]を用いて算出した基材層の非発泡時の曲げ弾性率(MPa)、Ef:上記[式3]を用いて算出した表皮材層の曲げ弾性率(MPa)、hf:基材層の厚み(mm)、ht:積層体の厚み(mm)、b:試験片幅(50mm)、l:スパン距離(100mm)、p/y:曲げ弾性勾配(N/cm))
[実施例1]
(1)基材層の作製
〔ポリオレフィン樹脂組成物B〕
まず、基材層を構成するポリオレフィン樹脂組成物Bとして、下記式Aを満足するプロピレン系重合体(PP1)を25重量%、一般用のプロピレン系樹脂(PP2)を60重量%、直鎖状低密度ポリエチレン(PE1)を15重量%配合て溶融混練したものを使用した。
PP1は、以下の方法で製造した。
まず、特開平11−228629号公報に開示された方法により、プロピレン系重合体粉末を製造した。このプロピレン系重合体粉末は、極限粘度7.7dl/gの結晶性プロピレン重合体部分Aと、極限粘度1.2dl/gの結晶性プロピレン重合体部分Bを有するものであった。なお、AとBの重量比は11:89であり、プロピレン系重合体全体の極限粘度は1.9dl/gであった。
上記プロピレン系重合体粉末100重量部に対して、ステアリン酸カルシウム0.1重量部、商品名イルガノックス1010(チバガイギー株式会社製)0.05重量部、商品名スミライザーBHT(住友化学工業株式会社製)0.2重量部を加えて混合し、230℃で溶融混練し、メルトフローレートMFRが12g/10分であるペレット(プロピレン系樹脂PP1)を得た。このペレットのメルトテンションMTを測定したところ、4.7gであり、[式1]の右辺7.52×MFR(230)(−0.576)は1.80となり、[式1]を満足するものであった。
MT(190)≧7.52×MFR(230)(−0.576)・・・[式1]
[式中、MT(190)は、190℃におけるメルトテンションであり、MFR(230)は、230℃におけるメルトフローレートである。]
PP2として、住友化学株式会社製、商品名ノーブレンAW161Cを用いた。このPP2は、MFR(230)が11g/10分、MT(190)が0.9gであり、式Aの右辺が1.89のため、式Aを満足していなかった。
PE1として、住友化学株式会社製、商品名エクセレンFX、CX3502を用いた。なお、PE1のMFRは190℃で同様に測定して4g/10分であった。
〔基材層の作製〕
基材層の作製には押出機を用いた。押出機として、先端にギアポンプが設けられた104mmφ同方向回転2軸押出機(L/D=32、Lはスクリュ有効長さ、Dはスクリュ径)を用いた。
上記のポリオレフィン樹脂組成物B100重量部に対して、下記の組成を有する気泡核剤を0.3重量部添加して、定量フィーダーを経て発泡層用押出機ホッパーに投入して押出機中で溶融混錬を行った。そして溶融が進んだ位置(スクリュ長さLとスクリュ直径Dの比率L/D=20)で、ポリオレフィン樹脂組成物B100重量部に対して液化炭酸ガス0.35重量部を、ダイヤフラム式定量ポンプを用いて高圧で注入した。溶融樹脂と炭酸ガスを十分溶融混練したのち、吐出量200Kg/hでギアポンプを用いて安定してTダイ内に導入した。
ダイの吐出口から押出された平板状の溶融シートを、ダイ直後に設置した約60℃に冷却温調された多数の210φロールにより冷却成形し、ニップロールを備えた引取機で引取ったのち、切断機にて所定寸法に切断した。このような方法により得られた基材層は、発泡倍率が3倍、厚みが3mmであり、単位平米あたりの重量(目付け)は0.9kg/m2であった。また、基材層の曲げ弾性率を測定したところ、350MPaであった。
(2)表皮材層の作製
〔ポリオレフィン樹脂組成物A〕
表皮材層を構成するポリオレフィン樹脂組成物Aとして、下記の方法で製造したポリビニルアルコール繊維(A)を15重量%、ポリオレフィン樹脂(B)を81重量%、変性ポリオレフィン樹脂(C)を4重量%含有する樹脂組成物を用いた。この樹脂組成物は特開平3−121146号公報に記載されているプルトルージョン法に従って製造した。即ち、所定の張力をかけたポリビニルアルコール繊維(A)を、通路を波状に加工したクロスヘッドダイに通す。クロスヘッドダイは一部が押出機に接続されており、溶融状のポリオレフィン樹脂(B)及び変性ポリオレフィン樹脂(C)がクロスヘッドダイの通路内に供給されている。そのため、前記ポリビニルアルコール繊維(A)は溶融樹脂を含浸しながらクロスヘッドダイ内を通過していく。溶融樹脂を含浸したポリビニルアルコール繊維(A)は、賦形ダイを通してストランドとして引取られ、細断されポリオレフィン樹脂組成物Aとなる。なお、含浸温度は200℃、引取り速度は13m/分で行った。また得られたポリオレフィン樹脂組成物A中のポリビニルアルコールフィラメントの長さは11mmであった。
ポリビニルアルコール繊維(A)は、以下の方法で得た。
ポリビニルアルコールフィラメント(A−I)として、株式会社クラレ製、商品名ビニロン(登録商標)(5501−2(繊維径14μm))を用いた、収束剤(A−II)として、カルボン酸変性ポリプロピレンエマルジョン(東邦化学製、HYTEC P−6000)を5重量部用いた。ポリビニルアルコールフィラメント(A−I)を収束剤(A−II)の入った槽に浸漬させ、ニップ後に熱風炉にて120℃及び160℃の2段で乾燥し、ポリビニルアルコール繊維(A)を得た。
ポリオレフィン樹脂(B)としてポリプロピレン単独重合体(住友化学社製、商品名ノーブレン(グレード名U501E1))(MFR=120g/10分)を用いた。
変性ポリオレフィン樹脂(C)として、特開2004−197068公報の実施例1に記載された方法に従って作製した無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を用いた。この無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂の230℃におけるMFRは60g/10分であり、無水マレイン酸グラフト量は、0.6重量%であった。
なお、無水マレイン酸グラフト量は、以下のような手順で測定した。まず、上記無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂100gを、キシレン100mlに溶解した。これをメタノール1000mlに攪拌しながら滴下し、再沈殿物を回収した。回収した再沈殿物を80℃で8時間真空乾燥した後、熱プレスを行って厚さ100μmのフィルムを作成した。このフィルムの赤外吸収スペクトルを測定し、1780cm−1付近の吸収から無水マレイン酸のグラフト量を算出した。
これらを溶融混練し、得られたポリオレフィン樹脂組成物Aのペレットの曲げ弾性率を測定するために、厚み3.2mmの試験片を作製した。この試験片は、日本製綱所成形機J150E型射出成形機を用いて成形温度200℃、金型冷却温度50℃、射出時間20秒、冷却時間25秒で射出成形を行い、得られたものである。得られた試験片の曲げ試験を実施したところ、曲げ弾性率は3350MPaであった。
〔表皮材層の作製〕
表皮材層の作製には20mmφ単軸押出機を使用した。押出機のバレル温度及びTダイ温度を200℃に設定した。またTダイのリップギャップは1.8mmとし、スクリュー回転数80rpmで押出した。
ダイ吐出口から押出された平板状の溶融フィルムを、ダイの吐出口に近接して設置した約30℃のチルロールにより冷却成形し、引取速度0.5m/分に設定した引取機により引き取った。このような方法により得られたフィルムの厚さは1.1mmであった。
得られたフィルムを熱プレス機によって、190℃で溶融させ、100kg/cm圧力を加えることで、さらに115μmまで薄膜化した。
(3)積層体の作製
上記の方法により得られた基材層と表皮材層とを用いて積層体を作製した。作製方法としては、発泡シートの両面にスキン層を重ねた状態で熱プレス機にて熱融着する方法を用いた。熱プレス機の温度は190℃、加熱時間は1分であった。また、得られた積層体の厚みは3.23mmであり、スキン層の厚みは115μmであった。なお、重量は1.1g/mであった。
(4)曲げ弾性勾配の測定及び計算
得られた積層体の曲げ弾性勾配を測定した結果、64N/cmであり、軽量且つ高剛性であることが判った。なお、[式4]、[式5]から曲げ弾性勾配を計算すると、表1及び2に記載したように、62N/cmとなり、測定結果と計算結果はほぼ一致することが判った。本結果を踏まえ、以下では計算に基づいた曲げ弾性勾配について述べる。
[実施例2]
基材層は実施例1と同様の方法で作製した。
表皮材層に用いられるポリオレフィン樹脂組成物Aとして、実施例1と同じ樹脂を用い、組成比のみを変更したポリオレフィン樹脂組成物を作製した。上記組成物は、ポリビニルアルコール繊維(A)を30重量%、変性ポリオレフィン樹脂(B)を3重量%、ポリプロピレン樹脂(C)を67重量%含有しており、ペレット長が11mmのペレットであった。また得られたペレット中のポリビニルアルコールフィラメントの長さは11mmであった。
実施例1と同様に、得られた繊維強化ペレットから曲げ試験片を作製し、曲げ弾性率を測定した結果、曲げ弾性率は5000MPaであった。
実施例1と同様の方法で曲げ弾性勾配を計算すると82N/cmとなり、軽量且つ高剛性であることが判った。なお、計算に用いた表皮材層の厚みは実施例1と同様の重量となるように、109μmと設定した。
[比較例1]
基材層は実施例1と同様の方法で作製した。
表皮材層に用いられるポリオレフィン樹脂組成物Aとして、実施例1及び2で使用したポリプロピレン単独重合体(MFR=120g/10分)を用いた。そして実施例1と同様の方法で曲げ試験片を作製し、曲げ弾性率を測定した結果、曲げ弾性率は1900MPaであった。
実施例1及び2と同様の方法で曲げ弾性勾配を計算すると46N/cmとなり、実施例と比較して、剛性が劣る結果となった。なお、計算に用いた表皮材層の厚みは実施例1と同様の重量となるように、121μmと設定した。
[比較例2]
基材層は実施例1と同様の方法で作製した。
表皮材層に用いられるポリオレフィン樹脂組成物Aとして、タルクを含有するプロピレン樹脂組成物を用いた。実施例1及び2で使用したポリプロピレン単独重合体(MFR=120g/10分)57重量%に、タルクを70重量%及びポリプロピレンブロックコポリマーを70重量%含有するタルクマスターバッチ(住友化学社製、商品名ノーブレンMF110)43重量%を添加し、20mmφ単軸押出機で溶融混練を行った。得られたペレットから実施例1と同様に曲げ試験片を作製し、曲げ弾性率を測定した結果、曲げ弾性率は4000MPaであった。
なお、タルクマスターバッチ中のタルクの含有量は70重量%であるため、得られた樹脂組成物中のタルク含有量は30重量%であった。
実施例1、2及び比較例1と同様の方法で曲げ弾性勾配を計算すると61N/cmとなり、実施例1及び2と比較して、剛性が劣る結果となった。なお、計算に用いたスキン層の厚みは実施例1と同様の重量となるように、95μmと設定した。
Figure 2010280117
1 ダイ
2 ダイ本体
21,22,23 マニホールド
210,220、230 流路
24 ヒーター
25a,25b 流路
3 リップ部
31 加熱手段
32 吐出路
320 吐出口

Claims (10)

  1. 基材層と、この基材層に積層された表皮材層と、を有する積層体であって、
    前記表皮材層は、ポリビニルアルコール繊維(A)と、ポリオレフィン樹脂(B)と、を含有するポリオレフィン樹脂組成物Aからなる層であり、
    前記基材層は、前記ポリオレフィン樹脂組成物A以外のポリオレフィン樹脂組成物Bからなる発泡体であることを特徴とする積層体。
  2. 前記ポリオレフィン樹脂組成物Aは、前記ポリビニルアルコール繊維(A)1〜70重量%と、ポリオレフィン樹脂(B)20〜98.5重量%と、不飽和カルボン酸で変性された変性ポリオレフィン樹脂及び/又は不飽和カルボン酸誘導体で変性された変性ポリオレフィン樹脂(C)0.5〜40重量%と(但し、前記ポリビニルアルコール繊維(A)、前記ポリオレフィン樹脂(B)、前記変性ポリオレフィン樹脂(C)の合計を100重量%とする)、を含有する請求項1記載の積層体。
  3. 前記ポリビニルアルコール繊維(A)は、ポリビニルアルコールフィラメント(A−I)100重量部及び収束剤(A−II)0.1〜10重量部を含有する請求項1又は2記載の積層体。
  4. 前記収束剤(A−II)は、ポリプロピレン樹脂及び/又は変性ポリプロピレン樹脂である、請求項3に記載の積層体。
  5. 前記ポリオレフィン樹脂組成物Aは、プルトルージョン法で製造されたものである請求項1から4いずれかに記載の積層体。
  6. 前記基材層の厚みに対する前記表皮材層の厚みの比(表皮材層/基材層)は、0.001〜0.15であることを特徴とする請求項1から5いずれかに記載の積層体。
  7. 前記基材層を構成する発泡体の発泡倍率は3〜10倍である請求項1から6いずれかに記載の積層体。
  8. 請求項1〜7いずれかに記載の積層体の製造方法であって、
    前記ポリオレフィン樹脂組成物Aと、発泡剤が添加された前記ポリオレフィン樹脂組成物Bと、をそれぞれ溶融混練する混練工程と、
    混練された前記発泡剤が添加されたポリオレフィン樹脂組成物Bと、前記ポリオレフィン樹脂組成物Aと、をダイ内で積層して、押し出す押出工程と、
    押し出された前記発泡剤が添加されたポリオレフィン樹脂組成物Bを発泡させる発泡工程と、を有する積層体の製造方法。
  9. 前記押出発泡工程における前記ポリオレフィン樹脂組成物Aの押出温度は、前記発泡剤が添加されたポリオレフィン樹脂組成物Bの押出温度よりも高い温度である請求項8記載の積層体の製造方法。
  10. 前記押出発泡工程により得られた一次発泡積層体を真空チャンバー内に配置し、前記真空チャンバーの内部を減圧して、前記一次発泡積層体中の基材層を更に膨張させて二次発泡積層体を得る膨張工程を更に有する請求項8又は9記載の積層体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016030772A (ja) * 2014-07-28 2016-03-07 東レ株式会社 発泡体、それからなる積層体、成形体及び自動車内装材

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