(第1実施形態)以下、図1から図3に基づいて、本発明を車両に搭載された速度計からなる指針式計器に適用した一実施形態を説明する。
図1、図2において、指針式計器Mは、車両の速度を表示する速度計からなり、表示器10と、表示板20と、縁部材30と、導光体40と、回路基板50と、駆動装置60と、指針70と、発光体80とから主に構成されている。
表示器10は、例えば液晶パネルからなり、表示板20の後述する第1の窓部の形状に対応した円形の外形形状を有し、回路基板50を通じて電気的に駆動されることにより走行距離情報や燃費情報等をはじめとする各種情報を表示する。
表示板20は、表示器10側に配置される第1の表示板21と、この第1の表示板21よりも観察者(運転者)に近い位置に配置される第2の表示板22とに分割形成されてなる。これら表示板21、22は、例えば透光性基板の表面に周知のスクリーン印刷等の印刷技術を用いて後述する指標部とこの指標部の背景となる背景部とを印刷してなる。
第1の表示板21は、例えば円形の平板として形成され、前記印刷技術を用いて、透光性を有する速度数字からなる白色の第1の指標部21aと、遮光性を有する黒色の第1の背景部21bとが形成されてなる。
この第1の表示板21は、表示器10の外形端部並びに表示器10の情報表示を行わない周囲領域を取り巻いて覆うように表示器10の前方側(前記観察者に対面する側)に配置されるとともに、表示器10の情報表示エリアを視認可能とする第1の窓部21cが形成されている。かかる第1の窓部21cは、本例では表示器10の情報表示エリアを露出する円形の開口部として形成されているが、例えば前記情報表示エリアを覆う透明な透視部として形成すること可能である。
第2の表示板22は、第1の表示板21側となる深部から前記観察者側に向けて徐々にラッパ形に拡径する(径が広がる)とともに第1の表示板21よりも大きな円錐部22aとその外周部とを有している。かかる第2の表示板22は、前記印刷技術を用いて、例えば透光性を有する速度目盛からなる白色の第2の指標部22bと、遮光性を有する黒色の第2の背景部22cとが形成されているとともに、周知の絞り加工技術を用いて円錐部22a等の立体造形部が形成されている。なお、上述した第1、第2の指標部21a、22bは、後述する本願発明の請求項1における指標部に相当する。
また第2の表示板22は、第1の表示板21の外形端部並びにその周囲領域を取り巻いて覆うように第1の表示板21の前方側に配置されるとともに、前記情報表示エリアや第1の表示板21の第1の指標部21aを視認可能とする円形の第2の窓部22dが形成されている。
なお、これら第1、第2の表示板21、22は、第1、第2の窓部21c、22dが後述する回転中心に対し同心関係になるように、空間部23を介して前記観察者の視線方向に積層され、この空間部23に指針70の後述する迂回部の一部が位置する構成となっている。
縁部材30は、例えば断面略三角形状で正面視形状が円形の合成樹脂材の表面に金属調のメッキまたは塗装を施した装飾部材からなり、第1の窓部21cの内縁に沿うように表示器10の前面側に配置されることにより、表示器10の前記情報表示エリアを縁取るものである。
導光体40は、例えば透光性合成樹脂からなり、表示器10並びに第1の表示板21の背面(前記観察者側とは反対側に位置する面)に沿うように配置され、発光体80からの照明光を受けて表示器10及び第1、第2の表示板21、22(第1、第2の指標部21a、22b)を背後側(前記観察者側とは反対側)からバックライト照明する。
回路基板50は、例えばガラスエポキシ系基材に配線パターン(図示せず)を施した硬質回路基板からなり、この回路基板50上には、発光体80と、第1のコイルユニット51とが載置(搭載)されてなる。
また回路基板50は、発光体80と、第1のコイルユニット51に備えられる後述する第1のコイルと、駆動装置60の駆動・制御を行う駆動回路(図示せず)と、表示器10の表示制御を行う表示器駆動回路(図示せず)と、発光体80の発光制御を行う発光体駆動回路(図示せず)と、抵抗、コンデンサ等の各種回路部品(図示せず)とが前記配線パターンに導通接続されている。
第1のコイルユニット51は、図3に示すように第1のコイル52と、第1の枠体53と、第1の磁気シールド部材54とを備えている。
第1のコイル52は、同一平面内で渦巻き状に形成された平面コイル(扁平コイル)で構成されており、回路基板50側となる駆動装置60に備えられる後述する指針軸の末端部分を取り巻くように、駆動装置60側となる回路基板50上に設けられている。
第1の枠体53は、前記指針軸の末端部分を取り巻く第1の貫通部53aを有する概略円環形状の板材からなり、その材質は合成樹脂からなる。かかる第1の枠体53は、回路基板50上に配設され、内側環状突出部53bと、外側環状突出部53cと、内側環状突出部53bの下端側と外側環状突出部53cの下端側とを繋ぐ略円環板状の第1の円環板部53dとを備えている。
内側環状突出部53bは、第1の貫通部53aを取り巻くように表示器10側(導光体40側)に突出している。また外側環状突出部53cは、内側環状突出部53bの外側に位置し、且つ内側環状突出部53bと同様に表示器10側(導光体40側)に突出している。なお、第1の円環板部53dとこれに対応する回路基板50箇所とは、両面テープ等(図示せず)により密着固定され、これにより第1のコイルユニット51(第1の枠体53)が回路基板50上に固定(配設)された状態となる。
そして、内側環状突出部53bと外側環状突出部53cと第1の円環板部53dとで囲まれる窪み部分に渦巻き状に形成された平面コイルからなる第1のコイル52が埋設された構成となっている。つまり、このことは、第1のコイル52が、第1の枠体53内に収納された状態であることを意味してなる。
第1の磁気シールド部材54は、例えば強磁性体において軟磁性体に分類されるSPC(冷間圧延鋼板)からなり、第1のコイル52と第1の円環板部53dとの間に介在するように第1の枠体53内に収容される。かかる第1の磁気シールド部材54は、後述する第2のコイルの配設位置とは反対側(つまり回路基板50側となる第1のコイルユニット51の背後側)への磁力線の放出を遮断する機能を備えてなる。これにより、例えば回路基板50に備えられる各種回路(前記表示器駆動回路や前記発光体駆動回路等)の誤動作が防止されるというメリットがある。
なお、第1の磁気シールド部材54を、前記冷間圧延鋼板ではなく、例えば詳細図示は省略するがPETフィルム等の樹脂フィルム上に強磁性金属薄膜からなる強磁性膜を被膜形成した構成を適用することも可能である。この場合、強磁性膜が第1のコイル52側に位置するように、第1の磁気シールド部材54が第1の枠体53内に配置される。
駆動装置60は、可動磁石式計器またはステッピングモータからなり、導光体40(表示器10)の背後に配置され、指針軸61が表示器10側に突出している。かかる駆動装置60は、その本体部が回路基板50の背面側に位置し、指針軸61は、回路基板50を貫通して導光体40側(表示器10側)に突出する構成となっている。なお、この場合、指針軸61は、その回転より回転中心軸R1を形成するように前方側(表示器10側)に延びている。
指針70は、例えば透光性合成樹脂からなり、表示器10の背面側から側面側を通り表示器10の前方側(前記観察者側)を回転中心軸R1側となる回転中心方向(図2中、矢印C1方向)に折れ曲がる基部である迂回部71と、第2の表示板22の前方側を反回転中心方向(矢印C1方向とは逆方向)に延び第1、第2の指標部21a、22bを指示する指示部72とを備えている。
迂回部71は、略コの字状に形成され、表示器10の背面側を回転中心軸R1を横切るように表示器10の長手方向に沿って外側に延び、指針軸61に連結されるとともに指針軸61の周囲に位置する腕片からなる第1の指針部73と、この第1の指針部73の端部から所定角度(この場合、略90度)折れ曲がり、表示器10の側面側を前方に向けて回転中心軸R1と平行に延びる第2の指針部74と、この第2の指針部74の端部から所定角度(この場合、略90度)折れ曲がり、表示器10及び第1の表示板21の前面側と第2の表示板22の背面側との間にて規定される空間部23内を回転中心軸R1方向(つまり矢印C1方向)に向けて延びる第3の指針部75とを備えている。
そして、指針軸61側となる第1の指針部73の根本部分には、指針軸61の末端部分62とは反対側に位置する指針軸61の先端部分63を貫通させるための略円形の孔部73aが形成され(図3参照)、前記根本部分とは反対側となる第1の指針部73の先端箇所には、第2の指針部74の内周面に連なる挿通孔部73bが形成されている。この挿通孔部73bは、第2の指針部74の内周面に対応する第1の指針部73箇所の表裏を貫通する貫通孔からなり、後述する可撓性基板を第1の指針部73背面から第1の指針部73前面へと挿通させるために設けられたものである。
また、第1の指針部73における孔部73aの底面側周縁には、末端部分62と先端部分63との間に位置する指針軸61箇所を取り巻くように第2のコイルユニット90が配設されている(図3参照)。この第2のコイルユニット90は、第1のコイル52と電磁誘導が可能なように配設された第2のコイル91と、第2の枠体92と、第2の磁気シールド部材93とを備えている。
第2のコイル91は、第1のコイル52と同様に同一平面内で渦巻き状に形成された平面コイル(扁平コイル)で構成されており、末端部分62と先端部分63との間に位置する指針軸61箇所を取り巻くように、第1の指針部73側(迂回部71側)に設けられてなる。
かかる第2のコイル91は、指針式計器Mの厚み方向(換言すれば回路基板50の板面とは直交する方向)において、第1のコイル52と向かい合う(第1のコイル52に対応する)ように第1の指針部73側(迂回部71側)に設置された構成となっている。
第2の枠体92は、末端部分62と先端部分63との間に位置する指針軸61箇所を取り巻く第2の貫通部92aを有する概略円環形状の板材からなり、その材質は合成樹脂からなる。かかる第2の枠体92は、内側環状垂下部92bと、外側環状垂下部92cと、内側環状垂下部92bの上端側と外側環状垂下部92cの上端側とを繋ぐ略円環板状の第2の円環板部92dとを備えている。
内側環状垂下部92bは、第2の貫通部92aを取り巻くように回路基板50側に突出形成されている。外側環状垂下部92cは、内側環状垂下部92bの外側に位置し、且つ内側環状垂下部92bと同様に回路基板50側に突出している。また、外側環状垂下部92cには、第2のコイル91の末端部Dを通過させるための孔92eが形成されている。これにより第2のコイル91は、その末端部Dが孔92eから導出されて前記可撓性基板側に延び、前記可撓性基板に備えられる導電体と電気的に接続されるようになっている。
なお、第2の円環板部92dとこれに対応する第1の指針部73の背面箇所とは、両面テープ等(図示せず)により密着固定され、これにより第2のコイルユニット90(第2の枠体92)が第1の指針部73背面(つまり迂回部71)に固定(配設)された状態となる。
そして、内側環状垂下部92bと外側環状垂下部92cと第2の円環板部92dとで囲まれる窪み部分に渦巻き状に形成された平面コイルからなる第2のコイル91が埋設された構成となっている。つまり、このことは、第2のコイル91が、第2の枠体92内に収納された状態であることを意味してなる。なお、この際、第2のコイル91の脱落を防止すべく、第2のコイル91が、第2の枠体92に適宜固定手段により固定保持されていることは言うまでもない。
第2の磁気シールド部材93は、例えばSPC(冷間圧延鋼板)からなり、第2の円環板部92dと第2のコイル91との間に介在するように第2の枠体92内に収容される。かかる第2の磁気シールド部材93は、第1のコイル52から第2のコイル91へと至る磁力線の第1の指針部73側(迂回部71側)への放出を遮断する機能を備えてなる。
なお、第2の磁気シールド部材93を、前記冷間圧延鋼板ではなく、例えば詳細図示は省略するがPETフィルム等の樹脂フィルム上に強磁性金属薄膜からなる強磁性膜を被膜形成した構成を適用することも可能である。この場合、強磁性膜が第2のコイル91側に位置するように、第2の磁気シールド部材93が第2の枠体92内に配置される。
また、本例では、第2の指針部74と第3の指針部75との境界部に曲面部S1を設けた構成としている。
一方、指示部72は、迂回部71に連結され、第2の表示板22の前面に沿って前記反回転中心方向に直線状に延び、駆動装置60の作動に伴って指針軸61が回転すると、指針軸61(回転中心軸R1)を回転中心として第2の表示板22上を旋回し、第1、第2の指標部21a、22bを指示する。そして、この指示部72と第3の指針部75との境界部には、空所76が設けられ、かかる空所76に光源77が配設されてなる。
この光源77は、適宜色を発する発光ダイオードからなり、指示部72に照明光を供給し指示部72を発光させるための発光体であり、可撓性基板78(つまり可撓性基板78に備えられる前記導電体)上に実装されてなる。
このように光源77と電気的に接続される可撓性基板(配線部材)78は、例えばポリイミド等の軟質の絶縁基板上に図示しない導電体(信号伝送ライン)が設けられたフレキシブル配線板からなる。
この可撓性基板78は、その一端側が第2のコイル91の末端部D付近となる第1の指針部73の底面箇所に位置するとともに、その他端側が光源77を保持するように迂回部71に固定(配設)された構成となっている。なお、可撓性基板78は、第1の指針部73底面側に位置する前記導電体箇所と第2のコイル91の末端部Dとが半田付け等の適宜導通手段により電気的に接続される。従って、可撓性基板78は、光源77と第2のコイル91とを電気的に接続する接続部材としての機能を有していることになる。
また、可撓性基板78は、迂回部71に密着しており、第1の指針部73の底面、第2の指針部74の内周面並びに第3の指針部75の底面に沿うように配設されるとともに、その途中にて(つまり第1の指針部73の底面から第1の指針部73表面を経て第2の指針部74の内周面に至る際に)、第1の指針部73の表裏を貫通する挿通孔部73bに挿通されるようになっている。
すなわち、可撓性基板78は、その一部が挿通孔部73bに挿通された状態で、一端側が第2のコイル91の末端部Dに電気的に接続されるとともに、他端側が光源77に電気的に接続されてなる。
また可撓性基板78は、迂回部71に密着した状態で光源77と第2のコイル91との間に位置し、第1の指針部73に対応するように配設される(つまり第1の指針部73底面に密着している)第1の配線部78aと、挿通孔部73b及び第2の指針部74に対応するように配設される(つまり挿通孔部73bを通って第2の指針部74の内周面に密着している)第2の配線部78bと、第3の指針部75に対応するように配設される(つまり第3の指針部75底面に密着している)第3の配線部78cとを備えている。
そして、第1の配線部78aと第2の配線部78bとの第1境界部分には、第1の指針部73底面と離間させた弛み配線部からなる第1の曲面配線部T1が形成され、第2の配線部78bと第3の配線部78cとの第2境界部分には、曲面部S1の内周面に密着するように配設される曲面形状からなる第2の曲面配線部T2が形成されている。
ところで、回路基板50に設けられた電源回路(図示せず)が動作した場合、前記電源回路の動作に伴い、前記電源回路と接続された第1のコイル52に交流電流が供給される。
すると、第2のコイル91には電磁誘導作用によって電力(前記交流電流)が伝送され、かかる電力は、第2のコイル91、第2のコイル91(末端部D)に導通接続された可撓性基板78(前記導電体)を経て、可撓性基板78(前記導電体)に導通接続された光源77へと伝送される。これにより光源77が点灯し、指示部72が光輝(発光)することになる。つまり、このことは、第1のコイル52に前記交流電流が供給されると、第1のコイル52と第2のコイル91との間の前記電磁誘導作用により、第2のコイル91と電気的に接続された可撓性基板78を介して光源77に給電がなされ、指示部72が光輝することを意味してなる。
ここで、例えば前記第1、第2境界部分に第1の曲面配線部T1、第2の曲面配線部T2を設けずに可撓性基板78を第1〜第3の配線部78a〜78cのみで構成し、第2の配線部78bが第1の配線部78aに対し直角に折れ曲がり、第3の配線部78cが第2の配線部78bに対し直角に折れ曲がっている場合(換言すれば、図2の状態で各曲面配線部T1、T2を廃止し、前記第1、第2境界部分に角張った形状からなる第1、第2角部が各々形成されている場合)、前記信号伝送ラインを伝わる伝送信号(つまり前記交流電流である交流波形信号)が、第1の配線部78aから前記第1角部を経て第2の配線部78bへと伝送される際に、前記第1角部にて前記伝送信号の特性インピーダンスの値が不連続となることが知られている。
そして、このような前記伝送信号の特性インピーダンスの不連続点では、前記伝送信号が反射伝送信号として前記第1角部から第1の配線部78a側へと反射されることにより、例えば第1の配線部78aから前記第1角部へと向かう前記伝送信号と前記反射伝送信号とが波形歪を有するように強め合うように合成されると、第1の配線部78aにおける信号伝送ラインから不要な電磁波(ノイズ)が輻射される。また、前記伝送信号の反射に伴い第2の配線部78b側(光源77側)に伝送信号が伝わりにくくなる。
ところが、本実施形態では、第1配線部78aにおける前記伝送信号の特性インピーダンスの値と第1の曲面配線部T1における前記伝送信号の特性インピーダンスの値とを略一致させるべく、第1配線部78aとこれに直交している第2配線部78bとの前記第1境界部分において、前記特性インピーダンスの不連続点となるような前記第1角部を形成するのではなく前述した第1の曲面配線部T1が形成されている。
これにより第1の配線部78a、第1の曲面配線部T1並びに第2の配線部78bでの三者の特性インピーダンスが略一致することで、前述した輻射ノイズの発生原因となっていた前記反射伝送信号の生成が抑制される。
また、同様にして第2配線部78bと第3配線部78cとの境界となる前記第2境界部分においても、特性インピーダンスの不連続点となるような角張った形状からなる前記第2角部を形成するのではなく前述した第2の曲面配線部T2を形成すれば、結果的に前記第1、第2境界部分での前記反射伝送信号の生成が抑制される(つまり第1、第2の配線部78a、78bにおける各信号伝送ラインからの不要な電磁波輻射が抑制される)ことに伴い、可撓性基板78から光源77へと前記伝送信号が良好に伝送されることになる。
発光体80は、適宜色を発する発光ダイオードからなり、表示器10及び第1、第2の表示板21、22をバックライト照明するものである。
以上のように、本実施形態では表示器10と、指標部21a、22bを有し表示器10の周囲を取り巻くとともに表示器10を視認可能に配置される表示板21、22と、表示器10の背後に配置される駆動装置60と、この駆動装置60の指針軸61に連結され指針軸61を回転中心として旋回することにより指標部21a、22bを指示する指針70とを有し、指針70が、指針軸61の周囲に位置する基部である迂回部71と、表示板21、22の前面側を前記反回転中心方向に延び指標部21a、22bを指示する指示部72とを備えてなる指針式計器Mにおいて、駆動装置60側に設けられる第1のコイル52と、第1のコイル52に対応するように迂回部71側に設けられる第2のコイル91と、指示部72を発光させるべく指針70に配設される光源77と、第2のコイル91と光源77とを電気的に接続するための可撓性基板78とを備え、第1のコイル52と第2のコイル91との間の電磁誘導作用により、可撓性基板78を介して光源77に給電がなされる構成である。また、可撓性基板78が基部である迂回部71に密着するように固定(配設)されているものである。
従って、従来のように可撓性基板を駆動装置の指針軸に巻き付け、指針の動き(回動)に連動して、可撓性基板の指針軸への巻き付き状態が時々刻々と変化する構成ではなく、第1のコイル52と第2のコイル91との間の電磁誘導作用を利用し、第2のコイル91と導通接続可能に迂回部71に固定された可撓性基板78を介して光源77に電力供給を行う構成であるから、可撓性基板78が断線する虞がなくなる。これにより光源77に安定した電力を供給することが可能な指針式計器を提供することができる。
また本実施形態では、第1の指針部73(迂回部71)には、可撓性基板78の一部を挿通させる挿通孔部73bが設けられ、可撓性基板78は、その一部が挿通孔部73bに挿通された状態で、一端側が第2のコイル91に接続されるとともに他端側が光源77に接続されてなることにより、光源77に安定した電力を供給することができると同時に第2のコイル91と光源77とを容易に導通接続することが可能となる。
なお本実施形態では、第2のコイル91と光源77とを電気的に接続するための配線部材として可撓性基板78を用いた例について説明したが、例えば可撓性基板78に代えてリード線を用いて第2のコイル91と光源77とを電気的に接続するようにしてもよい。
この場合、前記リード線を用いて第2のコイル91と光源77とを電気的に接続する手段として、詳細図示は省略するが、前記リード線が、第1の指針部73底面、第1の指針部73底面とこの底面と相対する第1の指針部73表面とを繋ぐ第1の指針部73の側面部、第1の指針部73表面、第2の指針部74の内周面並びに第2の指針部75底面に沿うように、前記リード線を引き回し配設する手段が一例として挙げられる。
なお、この一例では、前記リード線が第1の指針部73底面から第1の指針部73表面に至る際に第1の指針部73の側面部を迂回している例となっているが、例えば前記リード線の一部を第1の指針部73の側面部を迂回させずに前記第1実施形態にて採用した挿通孔部73bに挿通させる構成としてもよいし、第1の指針部73の側面部に前記リード線の形状に対応した溝形状からなる窪み部を設け、かかる窪み部の内部に前記リード線の一部を収容(配設)した状態にて、光源77が前記リード線により第2のコイル91と導通接続されるようにしてもよい。
(第2実施形態)次に、本発明の第2実施形態を図4に基づいて説明するが、前述の第1実施形態と同一もしくは相当個所には同一の符号を用いてその詳細な説明は省略する。この第2実施形態においては、前記第1実施形態にて採用した第2のコイルユニット90における第2の枠体92を廃止するとともに、迂回部71(第1の指針部73)に第2のコイル91と第2の磁気シールド部材93とでなる第2のコイルユニット90を保持するための保持部79を一体形成した構成となっている。
保持部79は、指針軸61を取り巻くように第1の指針部73の底面から回路基板50側に向けて垂下形成(突出形成)され、末端部分62と先端部分63との間に位置する指針軸61箇所を取り巻く内側環状垂下部である第1の筒状部79aと、この第1の筒状部59aをさらに取り巻くように第1の筒状部79aの外側に位置する外側環状垂下部である第2の筒状部79bとを有している。
この第2の筒状部79bには、第2のコイル91の末端部Dを通過させるための孔79cが形成されている。これにより第2のコイル91は、その末端部Dが孔79cから導出されて可撓性基板78側に延び、可撓性基板78に備えられる前記導電体と電気的に接続されるようになっている。
そして、第1の筒状部79aと第2の筒状部79bとこれら第1の筒状部79aと第2の筒状部79bとの間に位置する第1の指針部73の底面箇所とで囲まれる略円環溝形状からなる窪み部分に第2のコイル91及び第2の磁気シールド部材93が埋設された構成となっている。なお、この際、第2のコイル91の脱落を防止すべく、第2のコイル91が、保持部79に適宜固定手段により固定保持されていることは言うまでもない。これにより第2の磁気シールド部材93は、第1の指針部73の前記底面箇所と第2のコイル91との間に挟持される。
かかる第2実施形態においても、第1のコイル52と第2のコイル91との間の電磁誘導作用を利用し、第2のコイル91と導通接続可能に迂回部71に固定された可撓性基板78を介して光源77に電力供給を行う構成であるから、前記第1実施形態と同様に光源77に安定した電力を供給することが可能な指針式計器を提供することができる。
(第3実施形態)次に、本発明の第3実施形態を図5、図6に基づいて説明するが、前述の第1実施形態と同一もしくは相当個所には同一の符号を用いてその詳細な説明は省略する。この第3実施形態においては、前述の第1実施形態に対して、第2のコイルユニット100を迂回部71における第1の指針部73の表面側に配置した構成とし、さらに前記第1実施形態にて採用した可撓性基板78の一部を挿通させるために設けられていた挿通孔部73bを廃止し、可撓性基板78における第1の配線部78aを第1の指針部73の表面側に配置した構成としている。
なお、本第3実施形態においては、図5に示すように第1の指針部73と第2の指針部74との境界部に曲面部S2を設け、且つ、可撓性基板78が、迂回部71に密着した状態で光源77と第2のコイル101との間に位置し、第1の指針部73に対応するように配設される(つまり第1の指針部73表面に密着している)第1の配線部78aと、第2の指針部74に対応するように配設される(つまり第2の指針部74の内周面に密着している)第2の配線部78bと、第3の指針部75に対応するように配設される(つまり第3の指針部75底面に密着している)第3の配線部78cとから構成されている。
そして、第1の配線部78aと第2の配線部78bとの前記第1境界部分には、曲面部S2の内周面に密着するように配設される曲面形状からなる第3の曲面配線部T3が形成されている。
一方、第2のコイルユニット100は、前記第1実施形態にて採用した第2のコイル91と同一材質、同一形状の第2のコイル101と、前記第1実施形態にて採用した第2の枠体92と同一材質、同一形状の第2の枠体102と、前記第1実施形態にて採用した第2の磁気シールド部材93と同一材質、同一形状の第2の磁気シールド部材103とから構成される。
第2のコイル101は、平面コイル(扁平コイル)で構成されており、第1のコイル52と電磁誘導が可能なように、導光体40(表示器10)と迂回部(基部)71における第1の指針部73との間に配置(配設)される。具体的には、本第3実施形態における第2のコイル101は、図6に示すように指針軸61の先端部分63を取り巻くように第1の指針部73上に設けられた構成となっている。
第2の枠体102は、指針軸61の先端部分63を取り巻く第2の貫通部102aを有する概略円環形状の板材からなり、先端部分63を取り巻くように第1の指針部73上に配設され、内側環状突出部102bと、外側環状突出部102cと、内側環状突出部102bの下端側と外側環状突出部102cの下端側とを繋ぐ略円環板状の第2の円環板部102dとを備えている。
内側環状突出部102bは、第2の貫通部102aを取り巻くように表示器10側(導光体40側)に突出している。また外側環状突出部102cは、内側環状突出部102bの外側に位置し、且つ内側環状突出部102bと同様に表示器10側(導光体40側)に突出している。この外側環状突出部102cには、第2のコイル101の末端部Fを通過させるための孔102eが形成されている。これにより第2のコイル101は、その末端部Fが孔102eから導出されて第1の指針部73表面に密着している可撓性基板78の第1の配線部78a側に延び、第1の配線部78aに備えられる導電体と電気的に接続されるようになっている。
なお、第2の円環板部102dとこれに対応する第1の指針部73箇所とは、両面テープ等(図示せず)により密着固定され、これにより第2のコイルユニット100(第2の枠体102)が第1の指針部73上に固定(配設)される。この際、内側環状突出部102bと外側環状突出部102cと第2の円環板部102dとで囲まれる窪み部分に第2のコイル101が埋設される構成となる。
また、第2の磁気シールド部材103は、SPC等からなり、第2のコイル101を覆うように第2の枠体102内に収容され、第1のコイル52から第2のコイル101へと至る磁力線の導光体40側への放出を遮断する機能を備えてなる。なお、第2の磁気シールド部材103を、SPCではなく、例えば詳細図示は省略するがPETフィルム等の樹脂フィルム上に強磁性金属薄膜からなる強磁性膜を被膜形成した構成を適用することも可能である。この場合、強磁性膜が第2のコイル101側に位置するように、第2の磁気シールド部材103が第2の枠体102内に配置される。
かかる第3実施形態においても、第1のコイル52と第2のコイル101との間の電磁誘導作用を利用し、第2のコイル101と導通接続可能に迂回部71に固定された可撓性基板78を介して光源77に電力供給を行う構成であるから、前記各実施形態と同様に光源77に安定した電力を供給することが可能な指針式計器を提供することができる。
また前記各実施形態では、第2の表示板22を略円錐形状としたが、例えば第1の表示板21と同じ平板状に形成し、第1の表示板21と平行に配置してもよい。
また前記各実施形態では、第1の表示板21に速度数字としての第1の指標部21aを設けるとともに第2の表示板22に速度目盛としての第2の指標部22bを設けた例について説明したが、例えば第1の表示板21と第2の表示板22のうち、何れか一方の表示板にのみ全ての指標部21a、22bを形成し、他方の表示板は背景部21b、22cのみを有した背景板として使用することも可能である。
また前記各実施形態では、第1、第2の配線部78a、78bにおける各信号伝送ラインからの不要な電磁波輻射を抑制すべく、前記第1境界部分に位置する第1の曲面配線部T1が第1の指針部73底面と離間するような弛み配線部からなる(もしくは前記第1境界部分に位置する第3の曲面配線部T3が第1の指針部73と第2の指針部74とを繋ぐ曲面部S2の内周面に密着している)とともに前記第2境界部分に位置する第2の曲面配線部T2が第2の指針部74と第3の指針部75とを繋ぐ曲面部S1の内周面に密着している例について説明したが、例えば第2の曲面配線部T2が曲面部S1と離間するような弛み配線部となっている場合であっても前記電磁波輻射の発生を抑制することができる。
さらには、曲面部S1が曲面壁形状ではなく傾斜壁にて形成されている場合には、前記第2境界部分に前記傾斜壁に密着するような傾斜配線部を設けるか、または前記第2境界部分に前記傾斜壁と離間するような弛み配線部を設けることによっても前記電磁波輻射の発生を抑制することができる。これは、前記第3実施形態にて採用した曲面部S2についても同様のことが言え、曲面部S2を前記傾斜壁としたとき、前記第1境界部分に前記傾斜配線部または前記弛み配線部を設けることによっても前記電磁波輻射の発生を抑制することができる。また、前記第1、第2実施形態における前記第1境界部分においても、第1の指針部73底部側となる挿通孔部73b箇所の内壁面に所謂、R面やC面からなる面取り部を設け、前記第1境界部分に前記R面に密着する曲面配線部や前記C面に密着する傾斜配線部を設けることで、前記電磁波輻射の発生を抑制することができることは言うまでもない。
また前記第1、第2実施形態では、可撓性基板78が、第2のコイル91と光源77とを電気的に接続するために、第1の指針部73底面、挿通孔部73b、第2の指針部74の内周面及び第3の指針部75底面に沿って配設されている例について説明したが、例えば可撓性基板78の一部を挿通孔部73bに挿通させるのではなく、第3の指針部75底面に連なる第2の指針部74箇所に設けた挿通孔部(以下、挿通部という)に挿通させて、可撓性基板78を用いて第2のコイル91と光源77とを電気的に接続する構成としてもよい。
つまり、この場合、可撓性基板78は、第1の指針部73底面、第2の指針部74の外周面、前記挿通部及び第3の指針部75底面に沿って配設されることになる。なお、可撓性基板78は、第1の指針部73底面から第2の指針部74の外周面に至る際、並びに第2の指針部74の外周面から前記挿通部に至る際に、前述した電磁波輻射の発生を抑制するような配線部形状(例えば曲面配線部や撓み配線部)となっている必要がある。
なお前記各実施形態では、基部である迂回部71が略コの字状に形成されるとともに指示部72が第2の表示板22の前面側に位置している例について説明したが、例えば指示部72を廃止して第3の指針部75に指示部としての機能を持たせ、且つ指針軸61の周囲に位置する第1の指針部73に前記基部としての機能を持たせるべく指針70を略コの字状とするとともに、第2の指針部74と第3の指針部75との境界付近に位置する第3の指針部75の背面箇所に凹部形状からなる空所を設け、この空所に可撓性基板78を介して第2のコイル91、101と導通接続可能な光源を配設する構成としてもよい。なお、この場合、光源は、その発光面が第3の指針部75先端側に向くように空所に配設され、また第1の表示板21に全ての指標部21a、22bを形成する必要がある。