JP2010275754A - 建物における鋼製胴縁の施工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】防食のための塗装工程や溶接を削減でき、しかも、閉鎖断面材からなる鋼製胴縁同士を簡素な構造で、かつ、精度良く接合でき、加えて、建物に対する鋼製胴縁の取付けに必要な現場でのボルト接合作業の負担を軽くできる、建物における鋼製胴縁の施工方法を提供する。
【解決手段】第1,第2の鋼製胴縁1,2が、閉鎖断面の、高耐食溶融Zn−Al−Mg合金プレめっき鋼板の成形加工品からなり、取付け金物3が高耐食溶融Zn−Al−Mg合金プレめっき鋼板の成形加工品からなる。第1鋼製胴縁1にワンサイドボルト5で取り付けられた取付け金物3が第2鋼製胴縁2にワンサイドボルト5で取り付けられて第1,第2の鋼製胴縁1,2が連結された鋼製胴縁組物4を製作した後、該鋼製胴縁組物4を建物に組み付ける。
【選択図】 図1

Description

本発明は、建物における鋼製胴縁の施工方法に関する。
工場、倉庫、店舗等の鉄骨造建物において、外装材等の取付けの下地となる鋼製胴縁として角パイプ材などの閉鎖断面材が用いられる場合は、該鋼製胴縁は、工場において、その外面部に、ボルト接合用の孔の明けられた取付け金物が溶接で取り付けられた後、防食のために塗装がなされ、しかる後、建築現場に搬送され、現場で、柱、梁などの鉄骨躯体構造部や他の鋼製胴縁などの取付け側に、上記の取付け金物を利用してボルト・ナットによるボルト接合で取り付けられ、現場では仕上げ塗装も行われていた。
特開平10−219883号公報
しかしながら、上記のような方法では、鋼製胴縁に対して工場で取付け金物の溶接を行った後、上に延べたように防食のための塗装が必要で手間を要すると共に、取付け金物を鋼製胴縁に取り付けるための溶接技能者が必要であるという問題があった。
また、建物に対する鋼製胴縁の取付けの施工において、鋼製胴縁を、柱、梁などの鉄骨躯体構造部や他の鋼製胴縁に取り付けるためのボルト接合箇所が多く、建築現場でのボルト接合のための作業負担が大きいという問題もあった。
本発明は、上記のような問題点に鑑み、防食のための塗装等の工程や、溶接を削減することができ、しかも、閉鎖断面材からなる鋼製胴縁同士を簡素な構造で、かつ、精度良く接合することができ、加えて、建物に対する鋼製胴縁の取付けに必要な現場でのボルト接合作業の負担を軽くすることができる、建物における鋼製胴縁の施工方法を提供することを課題とする。
上記の課題は、第1,第2の鋼製胴縁がそれぞれ、閉鎖断面の、高耐食溶融Zn−Al−Mg合金プレめっき鋼板の成形加工品からなると共に、取付け金物が同じく高耐食溶融Zn−Al−Mg合金プレめっき鋼板の成形加工品からなり、前記第1鋼製胴縁に対し、鋼製胴縁の外からワンサイドボルトで取り付けられた前記取付け金物が、前記第2鋼製胴縁に対し、鋼製胴縁の外からワンサイドボルトで取り付けられることで、第1,第2の鋼製胴縁が互いに連結されている鋼製胴縁組物を製作した後、該鋼製胴縁組物を建物に組み付けることを特徴とする、建物における鋼製胴縁の施工方法によって解決される(第1発明)。
この方法では、鋼製胴縁組物を構成している第1,第2の鋼製胴縁及び取付け金物がそれぞれ、高耐食溶融Zn−Al−Mg合金プレめっき鋼板の成形加工品からなり、第1鋼製胴縁と取付け金物、及び、取付け金物と第2鋼製胴縁がそれぞれワンサイドボルトで接合された構造となっていて、第1,第2の鋼製胴縁及び取付け金物には、ボルト接合のための通孔を明けるだけでよいので、第1,第2の鋼製胴縁や取付け金物を製作する過程で行われる切断や、接合のための孔明けを行っても、めっき層による犠牲腐食作用が強く働き、それらの部分が原因で後に腐食を生じてしまうというようなことはなく、そのため、第1,第2の鋼製胴縁や取付け金物に対して、塗装や後めっきをする必要がなく、第1,第2の鋼製胴縁や取付け金物に対する防食のための工程をなくすことができると共に、溶接を排除することができる。
しかも、第1鋼製胴縁と取付け金物、及び、該取付け金物と第2鋼製胴縁をワンサイドボルトで接合することとしているので、これら閉鎖断面材からなる第1,第2の鋼製胴縁同士を、一つの取付け金物によって、簡素な構造で接合することができる。
加えて、第1,第2の鋼製胴縁を取付け金物とワンサイドボルトとで接合して鋼製胴縁組物を製作した後、該鋼製胴縁組物を建物に組み付けるというようにして建物における鋼製胴縁を施工するものであるから、鋼製胴縁組物の製作は建物への組付け前に工場等で行うことができ、そのため、ワンサイドボルトは、ボルト・ナットを用いたボルト接合と異なり、一旦締め込んだ後は、緩めて締め直すということのできない性質をもつものであるがゆえ、現場での部材同士の接合にワンサイドボルトを用いることは、高い取付け精度の確保が困難であったことから、ほとんど行われることはなかったのであるが、建物への組付け前であれば、工場等において、第1,第2の鋼製胴縁及び取付け金物相互間の取付けのための相対的位置関係の正確な設定を容易に行うことができて、位置関係の正確な設定を行った後にワンサイドボルトによる接合を行うことができ、位置関係に関する精度の良い接合をワンサイドボルトで実現することができる。それによりまた、これまで上記のような理由から使用が制限されていたワンサイドボルトの促進的な普及も実現可能になる。
更に、第1,第2の鋼製胴縁を取付け金物とワンサイドボルトとで接合して鋼製胴縁組物を製作した後、該鋼製胴縁組物を建物に組み付けるというようにして建物における鋼製胴縁を施工するものであるから、建物に組み付ける際には、第1,第2の鋼製胴縁は既に互いに接合された状態となっており、そのため、建物に対する鋼製胴縁の取付けに必要な現場でのボルト接合箇所を削減することができて、現場での作業負担を軽くすることができる。
本発明の建物における鋼製胴縁の施工方法は、以上のとおりのものであるから、防食のための塗装等の工程や、溶接を削減することができ、しかも、閉鎖断面材からなる鋼製胴縁同士を簡素な構造で、かつ、精度良く接合することができ、加えて、建物に対する鋼製胴縁の取付けに必要な現場でのボルト接合作業の負担を軽くすることができる。
図(イ)は実施形態の施工方法において用いる鋼製胴縁組物の正面図、図(ロ)は図(イ)のA部拡大正面図である。 図(イ)は第1鋼製胴縁と取付け金物とを分離状態にして示す一部断面斜視図、図(ロ)は、取付け金物が取り付けられた第1鋼製胴縁と、第2鋼製胴縁とを分離状態に示す一部断面斜視図、図(ハ)は接合状態に一部断面斜視図である。 図(イ)及び図(ロ)はワンサイドボルトの全体斜視図と分解一部断面正面図、図(ハ)〜図(ホ)は同ワンサイドボルトの使用方法を示す一部断面正面図である。
次に、本発明の実施形態の施工方法を説明する。
施工に用いる鋼製胴縁組物4は、図1(イ)に示すように、左右に間隔をおいて配置された垂直な第1鋼製胴縁1,1と、これら左右の第1鋼製胴縁1,1間に配置され、該第1鋼製胴縁1,1同士をつなぐ上下の水平な第2鋼製胴縁2,2とを備え、これら鋼製胴縁1,1,2,2は、図1(ロ)に示すようなアングル形をした取付け金物3…を用いて連結され、これら鋼製胴縁1,1,2,2で囲まれた内部を建物における窓等の開口部6とすることができるようになされている。
この鋼製胴縁組物4において、第1,第2の各鋼製胴縁1,2は、各パイプ状をした閉鎖断面の、高耐食溶融Zn−Al−Mg合金プレめっき鋼板の成形加工品からなっており、また、各取付け金物3も、同じく高耐食溶融Zn−Al−Mg合金プレめっき鋼板の成形加工品からなっている。この高耐食鋼板には、例えば、ZAM(登録商標)として知られる高耐食溶融Zn−6%Al−3%Mg合金めっき鋼板などが用いられる。
そして、図2(イ)に示すように、第1鋼製胴縁1の側面部に対し、取付け金物3の垂直辺側のプレート部3aが該鋼製胴縁の外からワンサイドボルト5…で取り付けられると共に、図2(ロ)に示すように、該取付け金物3の水平辺側のプレート部3bが、第2鋼製胴縁2の端部の上面部又は下面部に対し、該鋼製胴縁の外からワンサイドボルト5…で取り付けられることで、図2(ハ)に示すように、第1,第2の鋼製胴縁1,2が互いに連結され、図1(イ)に示すような鋼製胴縁組物4が構成されている。
ワンサイドボルト5は、図3(イ)(ロ)に示すように、ボルト体8とスリーブ9とで構成されている。ボルト体8は、外周部を雄ネジ部8aとした軸部8bの基端部に頭部8cを備え、該頭部8cの頂面部中心位置に回転操作用の内周異形、例えば内周六角の穴8dを備えたものからなっており、スリーブ9は、基端部に外フランジ部9aを備え、該外フランジ部9aは、ボルト体8の頭部8cよりも平面サイズが大きく、かつ、外周は異形、例えば六角形状をしている。そして、スリーブ9の先端側の半部9bの内周部には、ボルト体8の雄ネジ部8aと螺合する雌ネジ部9cが設けられ、基端側の半部9dは、その内径がボルト体8の軸部8bの外径よりも大きく、かつ、肉厚寸法が先端側半部9bよりも小さく形成されている。
ボルト体8の先端部をスリーブ9にその基端側の開口を通じて挿入し、ボルト体8の雄ネジ部8aとスリーブ9の雌ネジ部9cとを螺合させることでワンサイドボルト5が構成され、
該ワンサイドボルト5は、図3(ハ)〜(ホ)に示すように、重ね合わせ状態にしたプレート部10,11の一方の側からボルト通孔10a,11aに挿入し、スリーブ9の外フランジ部9aを前記一方の側の部材10のボルト通孔10aの周囲面に当接させた状態にし、工具で、外フランジ部9aの回転を阻止しながらボルト体8の頭部8cを螺進回転させていけば、スリーブ9の基端側半部9dが塑性変形をして半径線方向外方に膨らんでいき、もう一方の側のプレート部11のボルト通孔11aの出口部にバルジ部9eが形成されて、両プレート部10,11が、このバルジ部9eと、ボルト体8の頭部8cないしはスリーブ9の外フランジ部9aとで挟み込まれて接合状態が形成されるようになされている。
施工は、上記の鋼製胴縁組物4を工場等で製作した後、該鋼製胴縁組物4を建築の現場で建物に組み付けるというようにして行う。建物への組付けは、上記の鋼製胴縁組物4を、建物における柱、梁などの鉄骨構造部に溶接された取付け金物や、建物に既に取り付けられた鋼製胴縁にボルト・ナットでボルト接合することなどにより行う。
上記の施工方法では、施工に用いる鋼製胴縁組物4を構成している第1,第2の鋼製胴縁1,1,2,2及び取付け金物3…がそれぞれ、高耐食溶融Zn−Al−Mg合金プレめっき鋼板の成形加工品からなり、第1鋼製胴縁1と取付け金物3、及び、取付け金物3と第2鋼製胴縁2がそれぞれワンサイドボルト5…で接合された構造となっていて、第1,第2の鋼製胴縁1,2及び取付け金物3には、ワンサイドボルト5による接合のための通孔7…を明けるだけでよいので、第1,第2の鋼製胴縁1,2や取付け金物3を製作する過程で行われる切断や、接合のための孔明けを行っても、めっき層による犠牲腐食作用が強く働き、それらの部分が原因で後に腐食を生じてしまうというようなことはなく、そのため、第1,第2の鋼製胴縁1,2や取付け金物3に対して、塗装や後めっきをする必要がなく、第1,第2の鋼製胴縁1,2や取付け金物3に対する防食のための工程をなくすことができると共に、溶接を排除することができる。
しかも、第1鋼製胴縁1と取付け金物3、及び、該取付け金物3と第2鋼製胴縁2をワンサイドボルト5で接合することとしているので、これら閉鎖断面材からなる第1,第2の鋼製胴縁1,2同士を、一つの取付け金物3によって、簡素な構造で接合することができる。
加えて、第1,第2の鋼製胴縁1,2を取付け金物3とワンサイドボルト5とで接合して鋼製胴縁組物4を製作した後、該鋼製胴縁組物4を建物に組み付けるというようにして建物における鋼製胴縁を施工するものであるから、鋼製胴縁組物4の製作は建物への組付け前に工場等で行うことができ、そのため、工場等において、第1,第2の鋼製胴縁1,2及び取付け金物3相互間の取付けのための相対的位置関係の正確な設定を容易に行うことができて、精度の良い接合をワンサイドボルト5で実現することができる。
更に、第1,第2の鋼製胴縁1,2を取付け金物3とワンサイドボルト5とで接合して鋼製胴縁組物4を製作した後、該鋼製胴縁組物4を建物に組み付けるというようにして建物における鋼製胴縁を施工するものであるから、建物に組み付ける際には、第1,第2の鋼製胴縁1,2は既に互いに接合された状態となっており、そのため、建物に対する鋼製胴縁の取付けに必要な現場でのボルト接合箇所を削減することができて、現場での作業負担を軽くすることができる。
1…第1鋼製胴縁
2…第2鋼製胴縁
3…取付け金物
4…鋼製胴縁組物
5…ワンサイドボルト
7…ボルト通孔

Claims (1)

  1. 第1,第2の鋼製胴縁がそれぞれ、閉鎖断面の、高耐食溶融Zn−Al−Mg合金プレめっき鋼板の成形加工品からなると共に、取付け金物が同じく高耐食溶融Zn−Al−Mg合金プレめっき鋼板の成形加工品からなり、前記第1鋼製胴縁に対し、鋼製胴縁の外からワンサイドボルトで取り付けられた前記取付け金物が、前記第2鋼製胴縁に対し、鋼製胴縁の外からワンサイドボルトで取り付けられることで、第1,第2の鋼製胴縁が互いに連結されている鋼製胴縁組物を製作した後、該鋼製胴縁組物を建物に組み付けることを特徴とする、建物における鋼製胴縁の施工方法。
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