JP2004100159A - 鋼管柱と鋼梁の接合部および接合方法 - Google Patents
鋼管柱と鋼梁の接合部および接合方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】上下の鋼管柱の板厚が異なる場合や、仕口部に板厚の大きい鋼管を用いることで鋼管柱の接合部に段差が生じる場合においても、鋼管柱相互および鋼管柱と鋼梁の接合をボルト接合により簡単に行うことができ、経済性にも優れた接合部構造および接合方法を提供する。
【解決手段】板厚tu の上側の角形鋼管柱1u と、板厚tl (tu <tl )の下側の角形鋼管柱1l の接続位置Aを、H形鋼梁2a,2b,2c,2dをボルト接合するための上側のスプリットティー4のウェブ高さとする。上側の鋼管柱1u の下端内面側に、上下の鋼管柱1u ,1l の板厚差(tl −tu )に対応する板厚のフィラープレート6を介在させ、上側の補強金物3と上側のスプリットティー4で鋼管柱1u ,1l の管壁とフィラープレート6を挟み込み、ボルト5の締め付けにより上下の鋼管柱1u ,1l を接合する。
【選択図】 図1
【解決手段】板厚tu の上側の角形鋼管柱1u と、板厚tl (tu <tl )の下側の角形鋼管柱1l の接続位置Aを、H形鋼梁2a,2b,2c,2dをボルト接合するための上側のスプリットティー4のウェブ高さとする。上側の鋼管柱1u の下端内面側に、上下の鋼管柱1u ,1l の板厚差(tl −tu )に対応する板厚のフィラープレート6を介在させ、上側の補強金物3と上側のスプリットティー4で鋼管柱1u ,1l の管壁とフィラープレート6を挟み込み、ボルト5の締め付けにより上下の鋼管柱1u ,1l を接合する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、上下に接続される鋼管柱と1または複数の鋼梁との接合部の構造および接合方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鋼管柱と鋼梁の接合部の構造で一般的なものは、図7に示すような外ダイアフラム形式または内ダイアフラム形式であるが、これらは切断、開先加工、仮組立、溶接、歪矯正、溶接部の非破壊試験等の工程があり、工期及び品質の確保のためにかなりの労力を費やす。
【0003】
これらの問題点を解決する接合部構造として、特許文献1には、鋼管柱の長手方向の一部に管壁を増肉した増厚部を形成し、その増厚部にスプリットティー等の接合金物をワンサイドボルト等で固定して鋼梁を接合する構造や、鋼梁の端部に溶接したエンドプレートをワンサイドボルト等で鋼管柱の増厚部に固定する構造が記載されている。
【0004】
その場合の増厚方法としては、柱の主材となる鋼管と同心に補強用鋼管を設けて一体化し、高周波誘導加熱等を利用して増肉する方法などが記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、鋼管柱の内側または外側に補強金物を当て、その外側に梁端部の接合金物を当て、これらをワンサイドボルトで締結した構造が記載されている。
【0006】
さらに、特許文献3には、角形鋼管柱の角部にL字状鋼製補強部材を当ててこれを溶接し、鋼梁の接合金具としてスプリットティーをワンサイドボルトで固定した構造が記載されている。
【0007】
なお、これらの構造は、いずれも鋼管柱と鋼梁の接合部に鋼管柱どうしの接合部がないことが前提となっている。
【0008】
一方、当て板とワンサイドボルトを利用して角形鋼管柱を上下方向に接合する構造が、特許文献4や特許文献5に記載されている。
【0009】
特許文献1記載の発明の場合、柱梁接合部の補強のために、高周波誘導加熱等を利用して柱肉厚を増厚しているが、製造コストが嵩む他、加熱により鋼材特性が変性する恐れがある。
【0010】
特許文献2記載の発明では、角形鋼管と補強金物及び梁端部の接合金物を重ね合わせ、ワンサイドボルトで締結しているが、補強金物を内側に設ける場合には補強金物の角形鋼管内への挿入が難しく、またワンサイドボルトを貫通させるためのボルト孔の位置合わせ、仮組みなどの作業も容易ではない。
【0011】
同じワンサイドボルトを用いる特許文献3記載の発明の場合、角形鋼管柱の外側角部にL字状鋼製補強部材を当てて補強しているが、角形鋼管柱四隅の直角度やR部の公差を考えると、実際の施工現場ではボルト孔が合わない恐れがある。また、L字状鋼製補強部材を角形鋼管柱に溶接により固着させなければならず、却って手間がかかる。
【0012】
一方、上下に接続される鋼管柱どうしの接合も従来工法だと、図8および図9に示すような現地溶接に頼るため、品質確保や工程面で問題が多く、前述した特許文献4や特許文献5記載の発明では、ワンサイドボルトにより上下の角形鋼管柱を接続しているが、加工工数や価格面、施工性の面で課題がある。
【0013】
本願出願人は、先にこれらの課題の解決を図り、簡易な補強金物を用いて上下の鋼管柱相互の接合および鋼管柱と鋼梁の接合をボルト接合により簡単に行うことができる鋼管柱と鋼梁の接合部を提供することを目的として、特願2001−65097号の鋼管柱と鋼梁の接合部および接合方法を出願している。
【0014】
上記鋼管柱と鋼梁の接合部は、上下に接続される2本の鋼管柱と1または複数の鋼梁との接合部であって、前記上下の鋼管柱に跨がって前記鋼管柱の内面側に配置された補強金物と、前記鋼管柱の外面側に配置された鋼梁接合部材とが、前記鋼管柱の管壁を挟み込んだ状態で前記管壁を貫通する複数のボルトによって接合されており、かつ前記上下の鋼管柱の接続位置を前記ボルトのうちの最上部のボルトと最下部のボルトの高さの範囲内としてあることを特徴とするものである。
【0015】
【特許文献1】
特許第2898586号公報
【特許文献2】
特許第2731352号公報
【特許文献3】
特開平7−216987号公報
【特許文献4】
特許第2702882号公報
【特許文献5】
特許第2702887号公報
【特許文献6】
特開平11−132218号公報
【特許文献7】
特開2000−154815号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
鋼管柱と鋼梁の接合部は構造物の経済性と耐力特性を大きく左右する部位であるが、上述のように種々の原理、方式のものが開発されている。
【0017】
一方、多層建築物等では、下層の柱が負担すべき荷重と上層の柱が負担すべき荷重で大きな差が生ずるため、下層に比べ上層の柱断面あるいは柱の板厚が小さくてよいことになる。
【0018】
しかし、従来の鋼管柱と鋼梁の接合部、特に主としてボルト接合を利用して接合して行く形式では、鋼管柱の断面変化に対処させるのが難しい。また、上層と下層の柱断面を同一とすると上層の鋼管柱は耐力に余力が生じ、不経済となる。
【0019】
また、耐力特性上、重要な仕口部の耐力を上げるために、仕口部に板厚の大きい鋼管を用いることが考えられるが、その場合も仕口部の鋼管と上下の鋼管柱との間に段差が生じ、ボルト接合等による接合が困難となる。
【0020】
そのため、上下あるいは下階のみ鋼管柱の板厚を上げることとすると、やはり不経済となる。また、仕口部のみに板厚の大きい鋼管を用いて仕口部だけの大量生産など効率的な生産を行うことも難しい。
【0021】
本願発明は、このように上下の鋼管柱の板厚が異なる場合や、仕口部に板厚の大きい鋼管を用いることで鋼管柱の接合部に段差が生じる場合などにおいても、鋼管柱相互の接合および鋼管柱と鋼梁の接合をボルト接合により簡単に行うことができ、無駄な板厚の増加を避け、経済性にも優れた接合部構造および接合方法を提供することを目的としたものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1に係る発明は、上下に接続される鋼管柱と1または複数の鋼梁との接合部であって、上側の鋼管柱の板厚tu が下側の鋼管柱の板厚tl より小さく、その板厚差tl −tu に相当する段差をフィラープレートを介在させることで調整し、前記上下の鋼管柱に跨がって鋼管柱の内面側に配置された補強金物と、前記鋼管柱の外面側に配置された鋼梁接合部材とが、前記上下の鋼管柱の管壁および前記フィラープレートを挟み込んだ状態で前記管壁を貫通する複数のボルトによって接合されていることを特徴とするものである。
【0023】
鋼梁としては、H形鋼梁が一般的であるが、溝形鋼梁、ボックス型の鋼梁、その他特に限定されない。
【0024】
補強金物は、最も簡単なものは鋼板にボルト孔(ねじ孔でもよい)を形成したものであるが、必要に応じて剛性を高めるための補強リブを設けたり、ボルト孔部分にナットを固定させたものなどを用いることができる。
【0025】
この補強金物は、鋼梁からの荷重を鋼管柱にスムーズに伝達する機能と、柱梁接合部に設けた上下の鋼管柱どうしを連結する機能の両者の機能を有しており、上下の鋼管柱どうしの接合に関しては鋼管柱の端部の管壁および上側の鋼管柱についてはさらにフィラープレートをこの補強金物と鋼梁接合部材とで挟み込み、これらを貫通するボルトを締め込むことで接合している。
【0026】
二面せん断により軸力の偏心を生じさせない安定した接合部が得られる条件として、上下の鋼管柱の接続位置を最上部のボルトと最下部のボルトの高さの範囲内とする必要があり、かつ接続位置の外面が鋼梁接合部材で面的にカバーされていることが望ましい。
【0027】
鋼梁接合部材としては、ウェブとフランジとからなり、ウェブに鋼梁をボルト接合するようにしたスプリットティーが一般的であるが、その他山形鋼などからなる接合部材や、あらかじめ鋼梁の端部に溶接などにより一体化したエンドプレートの場合もある。
【0028】
請求項2は、請求項1に係る鋼管柱と鋼梁の接合部において、前記上下の鋼管柱の下側の鋼管柱が前記鋼梁との接合部としての仕口部において上下に鋼管柱どうしの接続位置を有する仕口部鋼管柱である場合を限定したものである。
【0029】
すなわち、仕口部に少なくとも2箇所の接続箇所がある場合であり、鋼管柱の仕口部のみ別部材とすることで、耐力特性上も重要な仕口部について、仕口部鋼管柱として大量生産等、効率的な生産が可能となる。
【0030】
請求項3は、請求項1または2に係る鋼管柱と鋼梁の接合部において、前記フィラープレートと前記補強金物または前記上側の鋼管柱が一体になっている場合を限定したものである。
【0031】
なお、一体というのは一体成形の場合に限らず、あとから何らかの接合方法で一体化した場合を含む。フィラープレートを何れかの部材と一体化しておくことで、現場作業をさらに簡略化することができる。
【0032】
請求項4は、請求項1、2または3に係る鋼管柱と鋼梁の接合部において、前記補強金物と前記鋼梁接合部材とを接合する前記複数のボルトのうち、少なくとも前記上下の鋼管柱の接続位置より上側のボルトについてワンサイドボルトを用いている場合を限定したものである。
【0033】
本願発明では鋼管柱の接続位置が柱梁接合部にあるため、下側の鋼管柱の上端部に補強金物と鋼梁接合部材を取り付ける際には、通常、鋼管柱内に手が届くため、一般的なボルトとナットなどによるボルト接合を行うことができる。
【0034】
その状態で、下側の鋼管柱の上端部に取り付けた補強金物と鋼梁接合部材との間に上側の鋼管柱の下端部を挿入することができるが、その場合は、鋼管柱の内側からの接合は通常困難であり、ワンサイドボルトによる接合など、外側からの接合が容易な手段を用いることで、溶接等を必要としない上下の鋼管柱どうしおよび鋼梁との接合を行うことができる。
【0035】
また、組立手順として、スプリットティーなどの鋼梁接合部材を鋼梁の下フランジと上フランジの位置にそれぞれ用いる場合において、上側の鋼梁接合部材を鋼管柱を設置した後にその外面側に当ててボルト接合する場合もあり、その場合には上側の鋼梁接合部材と下側の鋼管柱およびその内側の補強金物との間においてもワンサイドボルトを用いることが考えられる。
【0036】
さらに、下側の鋼梁接合部材についても施工条件によって通常のボルトとナットによる接合が不便な場合には、全てをワンサイドボルトとすることも可能である。
【0037】
ワンサイドボルト以外の外側からの接合手段としては、例えば特許文献6や特許文献7に記載されているようなナット等をキャップ状の部材を利用してボルト挿入方向と反対側の部材に取り付けておくものなどがある。
【0038】
なお、鋼製接合部材として、スプリットティーその他、鋼梁とは別部品となる接合部材を用いる場合には、下側の鋼管柱への補強金物および鋼製接合部材の取付けをあらかじめ工場で行い、現場作業を簡略化することも可能である。
【0039】
本願の請求項5に係る発明は、請求項1、2、3または4に係る鋼管柱と鋼梁の接合部の接合方法であって、前記上下の鋼管柱の一方の内面側に前記補強金物の一端が該鋼管柱の端部より突出するように配置し、該鋼管柱の外面側に前記鋼梁接合部材を配置し、前記補強金物と前記鋼梁接合部材とを該鋼管柱の管壁を挟み込む形でボルトによって接合し、次いで、前記補強金物の外側に他方の鋼管柱を配置し、前記補強金物と鋼梁接合部材を該他方の鋼管柱の管壁を挟み込む形でボルトによって接合することを特徴とするものである。
【0040】
請求項5は、請求項1〜4に係る鋼管柱と鋼梁の接合部を形成するための一方法を与えるものであり、一方の鋼管柱の端部において、端部より突出する補強金物と鋼梁接合部材が向き合う状態にあり、その間に他方の鋼管柱を嵌め込むようにして接合する場合を想定している。
【0041】
この場合には、鋼管柱どうしの接続位置を境に他方の鋼管柱については鋼管柱の外側からの接合手段が必要となるが、それ以外については、通常は一般的なボルトとナットによる接合が可能となる。
【0042】
なお、先に上側の鋼管柱の端部に補強金物と鋼梁接合部材が向き合うように配置しておく場合には、あらかじめフィラープレートも挟み込む形でボルト接合しておく。
【0043】
また、接合部における接合の一部または全部を工場で行う場合には、必ずしも鋼管柱どうしを上下に接続せず、横倒しで接合することができる。
【0044】
本願の請求項6に係る鋼管柱と鋼梁の接合部は、上下に接続される鋼管柱と1または複数の鋼梁との接合部であって、前記上下の鋼管柱の間には上下に鋼管柱どうしの接続位置を有する仕口部鋼管柱が介在し、前記仕口部鋼管柱の板厚tm が上側の鋼管柱の板厚tu および下側の鋼管柱の板厚tl より大きく、その板厚差tm −tu 、tm −tl に相当する段差をそれぞれフィラープレートを介在させることで調整し、前記上下の鋼管柱および仕口部鋼管柱の各鋼管柱のうちの2以上に跨がって鋼管柱の内面側に配置された補強金物と、前記各鋼管柱の外面側に配置された鋼梁接合部材とが、前記各鋼管柱の管壁および前記フィラープレートを挟み込んだ状態で前記管壁を貫通する複数のボルトによって接合されていることを特徴とするものである。
【0045】
請求項6に係る発明は、請求項2に係る発明と同様、仕口部に少なくとも2箇所の接続箇所がある場合であるが、請求項6は仕口部に耐力を上げるため、仕口部鋼管柱の板厚tm が上側の鋼管柱の板厚tu および下側の鋼管柱の板厚tl より大きくなるようにしたものであり、その板厚差tm −tu 、tm −tl に相当する段差に対し、フィラープレートを介在させることでボルト接合による上下の鋼管柱および仕口部鋼管柱の接続を可能としている。
【0046】
請求項7は、請求項6に係る鋼管柱と鋼梁の接合部において、前記フィラープレートと前記補強金物または前記上下の鋼管柱のいずれかが一体になっている場合を限定したものである。
【0047】
請求項7は請求項6に係る発明に対し、請求項3と同様の限定を加えたものであり、フィラープレートを何れかの部材と一体化しておくことで、現場作業をさらに簡略化することができる。
【0048】
請求項8は、請求項6または7に係る鋼管柱と鋼梁の接合部において、前記補強金物と前記鋼梁接合部材とを接合する前記複数のボルトのうち、少なくとも前記仕口部鋼管柱と前記上側の鋼管柱の接続位置より上側のボルトについてワンサイドボルトを用いている場合を限定したものである。
【0049】
この請求項8は、請求項6または7に係る発明に対し、請求項4と同様の限定を加えたものであり、原理や効果も請求項4の場合と同様である。
【0050】
本願の請求項9に係る発明は、請求項6、7または8記載の鋼管柱と鋼梁の接合部の接合方法であって、前記仕口部鋼管柱の内面側に前記補強金物の端部が該仕口部鋼管柱の端部より突出するように配置し、該仕口部鋼管柱の外面側に前記鋼梁接合部材を配置し、前記補強金物と前記鋼梁接合部材とを該仕口部鋼管柱の管壁を挟み込む形でボルトによって接合し、次いで、前記補強金物の外側に前記上下の鋼管柱を配置し、前記補強金物と鋼梁接合部材を該上下の鋼管柱の管壁および前記フィラープレートを挟み込む形でボルトによって接合することを特徴とするものである。
【0051】
請求項9は、請求項6〜8に係る鋼管柱と鋼梁の接合部を形成するための一方法を与えるものであるが、原理は請求項5に係る発明と同様である。
【0052】
【発明の実施の形態】
図1は本願の請求項1に係る鋼管柱と鋼梁の接合部の一実施形態を示したもので、板厚tu の上側の角形鋼管柱1u と、板厚tl (tu <tl )の下側の角形鋼管柱1l と、4方向のH形鋼梁2a,2b,2c,2dを、角形鋼管柱1u ,1l の内面側に位置する上下の補強金物3と、角形鋼管柱1u ,1l の外面側に位置する鋼梁接合部材としての上下のスプリットティー4を介して、ボルト接合により、無溶接で接合している。
【0053】
本実施形態において、上下の鋼管柱1u ,1l の接続位置Aは上側のスプリットティー4のウェブ高さにあり、上側の鋼管柱1u の下端内面側に、板厚(tl −tu )のフィラープレート6を介在させて調整し、上側の補強金物3とスプリットティー4で鋼管柱1u ,1l の管壁とフィラープレート6を挟み込み、ボルト5の締め付けにより上下の鋼管柱1u ,1l を接合している。なお、この例では補強金物3として、ボルト孔を有する鋼板を用いている。
【0054】
上下の鋼管柱1u ,1l の接続位置Aは、上下方向にメタルタッチとすることで、軸力伝達上有利となる。また、補強金物3は上下分離せず、上下一体のものであってもよい。
【0055】
図2は、図1の鋼管柱と鋼梁の接合部の現場での組立手順の一例を示したものであり、請求項5に係る発明の一実施形態となる。
【0056】
この例では、まず、下側の鋼管柱1u の上部内面側に、H形鋼梁(図では、2方向の鋼梁2a,2bが示されている)のフランジ高さに対応する上下の補強金物3を添接し、外面側に上下のスプリットティー4を添接し、これらを貫通するボルト5の仮締めにより仮固定する。
【0057】
その状態で、フィラープレート6および上側の鋼管柱1u の下端を、上側の補強金物3と上側のスプリットティー4との間の隙間に落とし込み、ワンサイドボルトなど鋼管柱1u の外面側からボルト固定可能なボルトを用いて締め付けを行い、上下の鋼管柱1u ,1l を接続する。
【0058】
続いて、H形鋼梁2a,2bを上下のスプリットティー4間に差し込み、ボルト接合を行い、各ボルトの本締めにより、強固な柱梁接合部を形成することができる(図1参照)。
【0059】
図3は、請求項1に係る発明の他の実施形態の要部(一方向のH形鋼梁2の接合部のみ)を示したもので、図1に示した実施形態では、スプリットティー4を用いてH形鋼梁を接合していたのに対し、本実施形態では鋼梁接合部材としてH形鋼梁2の端部に溶接等により一体的に固着させたエンドプレート7を用い、接続される上下の鋼管柱1u ,1l に跨がる補強金物3とエンドプレート7とで、鋼管柱1u ,1l の管壁およびフィラープレート6を挟み込み、これらを貫通するボルト5によりボルト接合している。
【0060】
図4は、請求項2に係る発明の一実施形態の要部を示したもので、図1に示したものでは、鋼管柱の接続位置Aが上側のスプリットティー4のウェブ高さの1箇所であるのに対し、この例では仕口部鋼管柱1m が介在することで、鋼管柱の接続位置A,Bが上下のスプリットティー4のウェブ高さ2箇所にある。
【0061】
この例では、下側の鋼管柱1l の板厚tl と仕口部鋼管柱1m の板厚tm は等しく(すなわち、tm =tl )、接続位置Bについては、下側の補強金物3と下側のスプリットティー4で、これらの鋼管柱1l ,1m の管壁を挟み込み、ボルト5の締め付けにより下側の鋼管柱1l と仕口部鋼管柱1m を接合している。
【0062】
また、上側の鋼管柱1u の板厚tu は仕口部鋼管柱1m の板厚tm より小さく(すなわち、tu <tm =tl )、接続位置Aについては、上側の鋼管柱1u の下端内面側に、板厚(tm −tu )のフィラープレート6を介在させて調整し、上側の補強金物3と上側のスプリットティー4で鋼管柱1u ,1m の管壁とフィラープレート6を挟み込み、ボルト5の締め付けにより上側の鋼管柱1u と仕口部鋼管柱1m を接合している。
【0063】
各鋼管柱1u ,1m ,1l の接続位置A,Bは、上下方向にメタルタッチとすることで、軸力伝達上有利となる。また、補強金物3は上下分離せず、上下一体のものであってもよい。
【0064】
図5は、請求項6に係る発明の一実施形態の要部を示したもので、この例では仕口部の耐力を上げることに主眼があるため、仕口部に上下の鋼管柱1u ,1l の板厚tu ,tl より大きい板厚tm (すわなち、tm >tu ,tl )の仕口部鋼管柱1m が介在し、鋼管柱の接続位置A,Bが上下のスプリットティー4のウェブ高さ2箇所にある。
【0065】
この例では、接続位置Bについては、下側の鋼管柱1l の上端内面側に、板厚(tm −tl )のフィラープレート6l を介在させて調整し、下側の補強金物3と下側のスプリットティー4で、これら下側の鋼管柱1l と仕口部鋼管柱1m の管壁および板厚のフィラープレート6l を挟み込み、ボルト5の締め付けにより下側の鋼管柱1l と仕口部鋼管柱1m を接合している。
【0066】
また、接続位置Aについては、上側の鋼管柱1u の下端内面側に、板厚(tm −tu )のフィラープレート6u を介在させて調整し、上側の補強金物3と上側のスプリットティー4で、これら仕口部鋼管柱1m と上側の鋼管柱1u の管壁およびフィラープレート6u を挟み込み、ボルト5の締め付けにより仕口部鋼管柱1m と上側の鋼管柱1u を接合している。
【0067】
各鋼管柱1u ,1m ,1l の接続位置A,Bは、上下方向にメタルタッチとすることで、軸力伝達上有利となる。また、補強金物3は上下一体のものでなく、上下に分離したものであってもよい。
【0068】
図6は、図5の鋼管柱と鋼梁の接合部の現場での組立手順の一例を示したものであり、請求項9に係る発明の一実施形態となる。
【0069】
この例では、まず、仕口部鋼管柱1m の下部内面側および上部内面側に、H形鋼梁(図では、1方向の鋼梁2が示されている)の仕口部鋼管柱1m の両端から突出する補強金物3を添接し、外面側に上下のスプリットティー4を添接し、これらを貫通するボルト5の仮締めにより仮固定する。
【0070】
その状態で、上下のフィラープレート6u ,6l および上下の鋼管柱1u ,1l の端部を、補強金物3と上下のスプリットティー4との間の隙間に挿入し、上下の鋼管柱1u ,1l の外面側からボルト固定可能なボルトを用いて締め付けを行い、仕口部鋼管柱1m を介在させて上下の鋼管柱1u ,1l を接続する。
【0071】
また、H形鋼梁2は上下のスプリットティー4間に差し込み、ボルト接合を行い、各ボルトの本締めにより、強固な柱梁接合部を形成することができる(図5参照)。
【0072】
なお、仕口部鋼管柱1m と上下の鋼管柱1u ,1l 、およびH形鋼梁2の接合順序は任意である。
【0073】
【発明の効果】
本願発明の鋼管柱と鋼梁の接合部によれば、鋼管柱の内側に補強金物を取り付け、上下の鋼管柱の板厚差による段差に対してはフィラープレートを介在させてボルト接合することにより、従来のダイアフラム方式(図7参照)のような煩雑な加工工程を省略でき、必要に応じ、補強金物の板厚、材質を変えたり、水平リブを付けるなどして、柱梁接合部に求められる剛性と耐力に応じ、性能を容易に調整することができる。
【0074】
上下方向に接続される鋼管柱の接合位置が仕口部の高さ内またはその近傍であるため、接合前に補強金物を設置することで、補強金物の取付けが極めて容易になる。
【0075】
仕口部鋼管柱を用いて、仕口部に少なくとも2箇所の接続箇所を設ける場合には、仕口部鋼管柱を大量生産することができるなどの経済的な効果に加えて、必要に応じた耐力特性を得ることができるという効果もある。
【0076】
また、従来、鋼管柱の上下方向の接合は、柱梁接合部から外れた位置で現場溶接(図8、9参照)を行うか、特許文献4または特許文献5記載の発明のように、ワンサイドボルトにより接合部を新たに設ける必要があるが、本願発明によれば、上下鋼管柱の接続と鋼梁の接合を同時に極めて簡便に行うことができる。
【0077】
上下の鋼管柱どうしの接合も鋼梁の接合も現場溶接なしで行うことができ、大幅な省力化が図れる他、溶接箇所をなくすことで、非破壊検査も不要となり、品質的にも安定した接合部構造が得られる。また、上下の鋼管柱どうしをメタルタッチさせることで、軸力の伝達がスムーズになり、効果がより高まる。
【0078】
さらに、補強金物や鋼梁接合部材の取付けをあらかじめ工場で行うようにすれば、現場作業では、補強金物と鋼梁接合部材の隙間に上側の鋼管柱の下端を落とし込み、ワンサイドボルトなどで接合すればよいので、現場作業がさらに簡略化され、施工性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に係る発明の一実施形態を示したもので、(a) は鉛直断面図、(b) は水平断面図である。
【図2】請求項5に係る発明の一実施形態を示す鉛直断面図である。
【図3】請求項1に係る発明の他の実施形態を示す要部の鉛直断面図である。
【図4】請求項2に係る発明の一実施形態を示す要部の鉛直断面図である。
【図5】請求項6に係る発明の一実施形態を示す要部の鉛直断面図である。
【図6】請求項9に係る発明の一実施形態を示す鉛直断面図である。
【図7】従来の外ダイアフラム形式の鋼管柱のH形鋼梁の接合部を示す正面図である。
【図8】従来の角形鋼管柱の現場溶接継手の構造を示す説明図である。
【図9】従来の各種鋼管柱の現場溶接継手の構造と開先形状例を示す説明図である。
【符号の説明】
A,B…鋼管柱の接続位置、
1u …上側の鋼管柱,1l …下側の鋼管柱、1m …仕口部鋼管柱、2,2a,2b,2c,2d…H形鋼梁、3…補強金物、4…スプリットティー、5…ボルト、6,6l ,6u …フィラープレート、7…エンドプレート、
11…鋼管柱、12…H形鋼梁、13…外ダイアフラム、14…エレクションピース、15…形状保持ダイアフラム、16…トッププレート、17…裏当て、17a…面取り部
【発明の属する技術分野】
本願発明は、上下に接続される鋼管柱と1または複数の鋼梁との接合部の構造および接合方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鋼管柱と鋼梁の接合部の構造で一般的なものは、図7に示すような外ダイアフラム形式または内ダイアフラム形式であるが、これらは切断、開先加工、仮組立、溶接、歪矯正、溶接部の非破壊試験等の工程があり、工期及び品質の確保のためにかなりの労力を費やす。
【0003】
これらの問題点を解決する接合部構造として、特許文献1には、鋼管柱の長手方向の一部に管壁を増肉した増厚部を形成し、その増厚部にスプリットティー等の接合金物をワンサイドボルト等で固定して鋼梁を接合する構造や、鋼梁の端部に溶接したエンドプレートをワンサイドボルト等で鋼管柱の増厚部に固定する構造が記載されている。
【0004】
その場合の増厚方法としては、柱の主材となる鋼管と同心に補強用鋼管を設けて一体化し、高周波誘導加熱等を利用して増肉する方法などが記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、鋼管柱の内側または外側に補強金物を当て、その外側に梁端部の接合金物を当て、これらをワンサイドボルトで締結した構造が記載されている。
【0006】
さらに、特許文献3には、角形鋼管柱の角部にL字状鋼製補強部材を当ててこれを溶接し、鋼梁の接合金具としてスプリットティーをワンサイドボルトで固定した構造が記載されている。
【0007】
なお、これらの構造は、いずれも鋼管柱と鋼梁の接合部に鋼管柱どうしの接合部がないことが前提となっている。
【0008】
一方、当て板とワンサイドボルトを利用して角形鋼管柱を上下方向に接合する構造が、特許文献4や特許文献5に記載されている。
【0009】
特許文献1記載の発明の場合、柱梁接合部の補強のために、高周波誘導加熱等を利用して柱肉厚を増厚しているが、製造コストが嵩む他、加熱により鋼材特性が変性する恐れがある。
【0010】
特許文献2記載の発明では、角形鋼管と補強金物及び梁端部の接合金物を重ね合わせ、ワンサイドボルトで締結しているが、補強金物を内側に設ける場合には補強金物の角形鋼管内への挿入が難しく、またワンサイドボルトを貫通させるためのボルト孔の位置合わせ、仮組みなどの作業も容易ではない。
【0011】
同じワンサイドボルトを用いる特許文献3記載の発明の場合、角形鋼管柱の外側角部にL字状鋼製補強部材を当てて補強しているが、角形鋼管柱四隅の直角度やR部の公差を考えると、実際の施工現場ではボルト孔が合わない恐れがある。また、L字状鋼製補強部材を角形鋼管柱に溶接により固着させなければならず、却って手間がかかる。
【0012】
一方、上下に接続される鋼管柱どうしの接合も従来工法だと、図8および図9に示すような現地溶接に頼るため、品質確保や工程面で問題が多く、前述した特許文献4や特許文献5記載の発明では、ワンサイドボルトにより上下の角形鋼管柱を接続しているが、加工工数や価格面、施工性の面で課題がある。
【0013】
本願出願人は、先にこれらの課題の解決を図り、簡易な補強金物を用いて上下の鋼管柱相互の接合および鋼管柱と鋼梁の接合をボルト接合により簡単に行うことができる鋼管柱と鋼梁の接合部を提供することを目的として、特願2001−65097号の鋼管柱と鋼梁の接合部および接合方法を出願している。
【0014】
上記鋼管柱と鋼梁の接合部は、上下に接続される2本の鋼管柱と1または複数の鋼梁との接合部であって、前記上下の鋼管柱に跨がって前記鋼管柱の内面側に配置された補強金物と、前記鋼管柱の外面側に配置された鋼梁接合部材とが、前記鋼管柱の管壁を挟み込んだ状態で前記管壁を貫通する複数のボルトによって接合されており、かつ前記上下の鋼管柱の接続位置を前記ボルトのうちの最上部のボルトと最下部のボルトの高さの範囲内としてあることを特徴とするものである。
【0015】
【特許文献1】
特許第2898586号公報
【特許文献2】
特許第2731352号公報
【特許文献3】
特開平7−216987号公報
【特許文献4】
特許第2702882号公報
【特許文献5】
特許第2702887号公報
【特許文献6】
特開平11−132218号公報
【特許文献7】
特開2000−154815号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
鋼管柱と鋼梁の接合部は構造物の経済性と耐力特性を大きく左右する部位であるが、上述のように種々の原理、方式のものが開発されている。
【0017】
一方、多層建築物等では、下層の柱が負担すべき荷重と上層の柱が負担すべき荷重で大きな差が生ずるため、下層に比べ上層の柱断面あるいは柱の板厚が小さくてよいことになる。
【0018】
しかし、従来の鋼管柱と鋼梁の接合部、特に主としてボルト接合を利用して接合して行く形式では、鋼管柱の断面変化に対処させるのが難しい。また、上層と下層の柱断面を同一とすると上層の鋼管柱は耐力に余力が生じ、不経済となる。
【0019】
また、耐力特性上、重要な仕口部の耐力を上げるために、仕口部に板厚の大きい鋼管を用いることが考えられるが、その場合も仕口部の鋼管と上下の鋼管柱との間に段差が生じ、ボルト接合等による接合が困難となる。
【0020】
そのため、上下あるいは下階のみ鋼管柱の板厚を上げることとすると、やはり不経済となる。また、仕口部のみに板厚の大きい鋼管を用いて仕口部だけの大量生産など効率的な生産を行うことも難しい。
【0021】
本願発明は、このように上下の鋼管柱の板厚が異なる場合や、仕口部に板厚の大きい鋼管を用いることで鋼管柱の接合部に段差が生じる場合などにおいても、鋼管柱相互の接合および鋼管柱と鋼梁の接合をボルト接合により簡単に行うことができ、無駄な板厚の増加を避け、経済性にも優れた接合部構造および接合方法を提供することを目的としたものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1に係る発明は、上下に接続される鋼管柱と1または複数の鋼梁との接合部であって、上側の鋼管柱の板厚tu が下側の鋼管柱の板厚tl より小さく、その板厚差tl −tu に相当する段差をフィラープレートを介在させることで調整し、前記上下の鋼管柱に跨がって鋼管柱の内面側に配置された補強金物と、前記鋼管柱の外面側に配置された鋼梁接合部材とが、前記上下の鋼管柱の管壁および前記フィラープレートを挟み込んだ状態で前記管壁を貫通する複数のボルトによって接合されていることを特徴とするものである。
【0023】
鋼梁としては、H形鋼梁が一般的であるが、溝形鋼梁、ボックス型の鋼梁、その他特に限定されない。
【0024】
補強金物は、最も簡単なものは鋼板にボルト孔(ねじ孔でもよい)を形成したものであるが、必要に応じて剛性を高めるための補強リブを設けたり、ボルト孔部分にナットを固定させたものなどを用いることができる。
【0025】
この補強金物は、鋼梁からの荷重を鋼管柱にスムーズに伝達する機能と、柱梁接合部に設けた上下の鋼管柱どうしを連結する機能の両者の機能を有しており、上下の鋼管柱どうしの接合に関しては鋼管柱の端部の管壁および上側の鋼管柱についてはさらにフィラープレートをこの補強金物と鋼梁接合部材とで挟み込み、これらを貫通するボルトを締め込むことで接合している。
【0026】
二面せん断により軸力の偏心を生じさせない安定した接合部が得られる条件として、上下の鋼管柱の接続位置を最上部のボルトと最下部のボルトの高さの範囲内とする必要があり、かつ接続位置の外面が鋼梁接合部材で面的にカバーされていることが望ましい。
【0027】
鋼梁接合部材としては、ウェブとフランジとからなり、ウェブに鋼梁をボルト接合するようにしたスプリットティーが一般的であるが、その他山形鋼などからなる接合部材や、あらかじめ鋼梁の端部に溶接などにより一体化したエンドプレートの場合もある。
【0028】
請求項2は、請求項1に係る鋼管柱と鋼梁の接合部において、前記上下の鋼管柱の下側の鋼管柱が前記鋼梁との接合部としての仕口部において上下に鋼管柱どうしの接続位置を有する仕口部鋼管柱である場合を限定したものである。
【0029】
すなわち、仕口部に少なくとも2箇所の接続箇所がある場合であり、鋼管柱の仕口部のみ別部材とすることで、耐力特性上も重要な仕口部について、仕口部鋼管柱として大量生産等、効率的な生産が可能となる。
【0030】
請求項3は、請求項1または2に係る鋼管柱と鋼梁の接合部において、前記フィラープレートと前記補強金物または前記上側の鋼管柱が一体になっている場合を限定したものである。
【0031】
なお、一体というのは一体成形の場合に限らず、あとから何らかの接合方法で一体化した場合を含む。フィラープレートを何れかの部材と一体化しておくことで、現場作業をさらに簡略化することができる。
【0032】
請求項4は、請求項1、2または3に係る鋼管柱と鋼梁の接合部において、前記補強金物と前記鋼梁接合部材とを接合する前記複数のボルトのうち、少なくとも前記上下の鋼管柱の接続位置より上側のボルトについてワンサイドボルトを用いている場合を限定したものである。
【0033】
本願発明では鋼管柱の接続位置が柱梁接合部にあるため、下側の鋼管柱の上端部に補強金物と鋼梁接合部材を取り付ける際には、通常、鋼管柱内に手が届くため、一般的なボルトとナットなどによるボルト接合を行うことができる。
【0034】
その状態で、下側の鋼管柱の上端部に取り付けた補強金物と鋼梁接合部材との間に上側の鋼管柱の下端部を挿入することができるが、その場合は、鋼管柱の内側からの接合は通常困難であり、ワンサイドボルトによる接合など、外側からの接合が容易な手段を用いることで、溶接等を必要としない上下の鋼管柱どうしおよび鋼梁との接合を行うことができる。
【0035】
また、組立手順として、スプリットティーなどの鋼梁接合部材を鋼梁の下フランジと上フランジの位置にそれぞれ用いる場合において、上側の鋼梁接合部材を鋼管柱を設置した後にその外面側に当ててボルト接合する場合もあり、その場合には上側の鋼梁接合部材と下側の鋼管柱およびその内側の補強金物との間においてもワンサイドボルトを用いることが考えられる。
【0036】
さらに、下側の鋼梁接合部材についても施工条件によって通常のボルトとナットによる接合が不便な場合には、全てをワンサイドボルトとすることも可能である。
【0037】
ワンサイドボルト以外の外側からの接合手段としては、例えば特許文献6や特許文献7に記載されているようなナット等をキャップ状の部材を利用してボルト挿入方向と反対側の部材に取り付けておくものなどがある。
【0038】
なお、鋼製接合部材として、スプリットティーその他、鋼梁とは別部品となる接合部材を用いる場合には、下側の鋼管柱への補強金物および鋼製接合部材の取付けをあらかじめ工場で行い、現場作業を簡略化することも可能である。
【0039】
本願の請求項5に係る発明は、請求項1、2、3または4に係る鋼管柱と鋼梁の接合部の接合方法であって、前記上下の鋼管柱の一方の内面側に前記補強金物の一端が該鋼管柱の端部より突出するように配置し、該鋼管柱の外面側に前記鋼梁接合部材を配置し、前記補強金物と前記鋼梁接合部材とを該鋼管柱の管壁を挟み込む形でボルトによって接合し、次いで、前記補強金物の外側に他方の鋼管柱を配置し、前記補強金物と鋼梁接合部材を該他方の鋼管柱の管壁を挟み込む形でボルトによって接合することを特徴とするものである。
【0040】
請求項5は、請求項1〜4に係る鋼管柱と鋼梁の接合部を形成するための一方法を与えるものであり、一方の鋼管柱の端部において、端部より突出する補強金物と鋼梁接合部材が向き合う状態にあり、その間に他方の鋼管柱を嵌め込むようにして接合する場合を想定している。
【0041】
この場合には、鋼管柱どうしの接続位置を境に他方の鋼管柱については鋼管柱の外側からの接合手段が必要となるが、それ以外については、通常は一般的なボルトとナットによる接合が可能となる。
【0042】
なお、先に上側の鋼管柱の端部に補強金物と鋼梁接合部材が向き合うように配置しておく場合には、あらかじめフィラープレートも挟み込む形でボルト接合しておく。
【0043】
また、接合部における接合の一部または全部を工場で行う場合には、必ずしも鋼管柱どうしを上下に接続せず、横倒しで接合することができる。
【0044】
本願の請求項6に係る鋼管柱と鋼梁の接合部は、上下に接続される鋼管柱と1または複数の鋼梁との接合部であって、前記上下の鋼管柱の間には上下に鋼管柱どうしの接続位置を有する仕口部鋼管柱が介在し、前記仕口部鋼管柱の板厚tm が上側の鋼管柱の板厚tu および下側の鋼管柱の板厚tl より大きく、その板厚差tm −tu 、tm −tl に相当する段差をそれぞれフィラープレートを介在させることで調整し、前記上下の鋼管柱および仕口部鋼管柱の各鋼管柱のうちの2以上に跨がって鋼管柱の内面側に配置された補強金物と、前記各鋼管柱の外面側に配置された鋼梁接合部材とが、前記各鋼管柱の管壁および前記フィラープレートを挟み込んだ状態で前記管壁を貫通する複数のボルトによって接合されていることを特徴とするものである。
【0045】
請求項6に係る発明は、請求項2に係る発明と同様、仕口部に少なくとも2箇所の接続箇所がある場合であるが、請求項6は仕口部に耐力を上げるため、仕口部鋼管柱の板厚tm が上側の鋼管柱の板厚tu および下側の鋼管柱の板厚tl より大きくなるようにしたものであり、その板厚差tm −tu 、tm −tl に相当する段差に対し、フィラープレートを介在させることでボルト接合による上下の鋼管柱および仕口部鋼管柱の接続を可能としている。
【0046】
請求項7は、請求項6に係る鋼管柱と鋼梁の接合部において、前記フィラープレートと前記補強金物または前記上下の鋼管柱のいずれかが一体になっている場合を限定したものである。
【0047】
請求項7は請求項6に係る発明に対し、請求項3と同様の限定を加えたものであり、フィラープレートを何れかの部材と一体化しておくことで、現場作業をさらに簡略化することができる。
【0048】
請求項8は、請求項6または7に係る鋼管柱と鋼梁の接合部において、前記補強金物と前記鋼梁接合部材とを接合する前記複数のボルトのうち、少なくとも前記仕口部鋼管柱と前記上側の鋼管柱の接続位置より上側のボルトについてワンサイドボルトを用いている場合を限定したものである。
【0049】
この請求項8は、請求項6または7に係る発明に対し、請求項4と同様の限定を加えたものであり、原理や効果も請求項4の場合と同様である。
【0050】
本願の請求項9に係る発明は、請求項6、7または8記載の鋼管柱と鋼梁の接合部の接合方法であって、前記仕口部鋼管柱の内面側に前記補強金物の端部が該仕口部鋼管柱の端部より突出するように配置し、該仕口部鋼管柱の外面側に前記鋼梁接合部材を配置し、前記補強金物と前記鋼梁接合部材とを該仕口部鋼管柱の管壁を挟み込む形でボルトによって接合し、次いで、前記補強金物の外側に前記上下の鋼管柱を配置し、前記補強金物と鋼梁接合部材を該上下の鋼管柱の管壁および前記フィラープレートを挟み込む形でボルトによって接合することを特徴とするものである。
【0051】
請求項9は、請求項6〜8に係る鋼管柱と鋼梁の接合部を形成するための一方法を与えるものであるが、原理は請求項5に係る発明と同様である。
【0052】
【発明の実施の形態】
図1は本願の請求項1に係る鋼管柱と鋼梁の接合部の一実施形態を示したもので、板厚tu の上側の角形鋼管柱1u と、板厚tl (tu <tl )の下側の角形鋼管柱1l と、4方向のH形鋼梁2a,2b,2c,2dを、角形鋼管柱1u ,1l の内面側に位置する上下の補強金物3と、角形鋼管柱1u ,1l の外面側に位置する鋼梁接合部材としての上下のスプリットティー4を介して、ボルト接合により、無溶接で接合している。
【0053】
本実施形態において、上下の鋼管柱1u ,1l の接続位置Aは上側のスプリットティー4のウェブ高さにあり、上側の鋼管柱1u の下端内面側に、板厚(tl −tu )のフィラープレート6を介在させて調整し、上側の補強金物3とスプリットティー4で鋼管柱1u ,1l の管壁とフィラープレート6を挟み込み、ボルト5の締め付けにより上下の鋼管柱1u ,1l を接合している。なお、この例では補強金物3として、ボルト孔を有する鋼板を用いている。
【0054】
上下の鋼管柱1u ,1l の接続位置Aは、上下方向にメタルタッチとすることで、軸力伝達上有利となる。また、補強金物3は上下分離せず、上下一体のものであってもよい。
【0055】
図2は、図1の鋼管柱と鋼梁の接合部の現場での組立手順の一例を示したものであり、請求項5に係る発明の一実施形態となる。
【0056】
この例では、まず、下側の鋼管柱1u の上部内面側に、H形鋼梁(図では、2方向の鋼梁2a,2bが示されている)のフランジ高さに対応する上下の補強金物3を添接し、外面側に上下のスプリットティー4を添接し、これらを貫通するボルト5の仮締めにより仮固定する。
【0057】
その状態で、フィラープレート6および上側の鋼管柱1u の下端を、上側の補強金物3と上側のスプリットティー4との間の隙間に落とし込み、ワンサイドボルトなど鋼管柱1u の外面側からボルト固定可能なボルトを用いて締め付けを行い、上下の鋼管柱1u ,1l を接続する。
【0058】
続いて、H形鋼梁2a,2bを上下のスプリットティー4間に差し込み、ボルト接合を行い、各ボルトの本締めにより、強固な柱梁接合部を形成することができる(図1参照)。
【0059】
図3は、請求項1に係る発明の他の実施形態の要部(一方向のH形鋼梁2の接合部のみ)を示したもので、図1に示した実施形態では、スプリットティー4を用いてH形鋼梁を接合していたのに対し、本実施形態では鋼梁接合部材としてH形鋼梁2の端部に溶接等により一体的に固着させたエンドプレート7を用い、接続される上下の鋼管柱1u ,1l に跨がる補強金物3とエンドプレート7とで、鋼管柱1u ,1l の管壁およびフィラープレート6を挟み込み、これらを貫通するボルト5によりボルト接合している。
【0060】
図4は、請求項2に係る発明の一実施形態の要部を示したもので、図1に示したものでは、鋼管柱の接続位置Aが上側のスプリットティー4のウェブ高さの1箇所であるのに対し、この例では仕口部鋼管柱1m が介在することで、鋼管柱の接続位置A,Bが上下のスプリットティー4のウェブ高さ2箇所にある。
【0061】
この例では、下側の鋼管柱1l の板厚tl と仕口部鋼管柱1m の板厚tm は等しく(すなわち、tm =tl )、接続位置Bについては、下側の補強金物3と下側のスプリットティー4で、これらの鋼管柱1l ,1m の管壁を挟み込み、ボルト5の締め付けにより下側の鋼管柱1l と仕口部鋼管柱1m を接合している。
【0062】
また、上側の鋼管柱1u の板厚tu は仕口部鋼管柱1m の板厚tm より小さく(すなわち、tu <tm =tl )、接続位置Aについては、上側の鋼管柱1u の下端内面側に、板厚(tm −tu )のフィラープレート6を介在させて調整し、上側の補強金物3と上側のスプリットティー4で鋼管柱1u ,1m の管壁とフィラープレート6を挟み込み、ボルト5の締め付けにより上側の鋼管柱1u と仕口部鋼管柱1m を接合している。
【0063】
各鋼管柱1u ,1m ,1l の接続位置A,Bは、上下方向にメタルタッチとすることで、軸力伝達上有利となる。また、補強金物3は上下分離せず、上下一体のものであってもよい。
【0064】
図5は、請求項6に係る発明の一実施形態の要部を示したもので、この例では仕口部の耐力を上げることに主眼があるため、仕口部に上下の鋼管柱1u ,1l の板厚tu ,tl より大きい板厚tm (すわなち、tm >tu ,tl )の仕口部鋼管柱1m が介在し、鋼管柱の接続位置A,Bが上下のスプリットティー4のウェブ高さ2箇所にある。
【0065】
この例では、接続位置Bについては、下側の鋼管柱1l の上端内面側に、板厚(tm −tl )のフィラープレート6l を介在させて調整し、下側の補強金物3と下側のスプリットティー4で、これら下側の鋼管柱1l と仕口部鋼管柱1m の管壁および板厚のフィラープレート6l を挟み込み、ボルト5の締め付けにより下側の鋼管柱1l と仕口部鋼管柱1m を接合している。
【0066】
また、接続位置Aについては、上側の鋼管柱1u の下端内面側に、板厚(tm −tu )のフィラープレート6u を介在させて調整し、上側の補強金物3と上側のスプリットティー4で、これら仕口部鋼管柱1m と上側の鋼管柱1u の管壁およびフィラープレート6u を挟み込み、ボルト5の締め付けにより仕口部鋼管柱1m と上側の鋼管柱1u を接合している。
【0067】
各鋼管柱1u ,1m ,1l の接続位置A,Bは、上下方向にメタルタッチとすることで、軸力伝達上有利となる。また、補強金物3は上下一体のものでなく、上下に分離したものであってもよい。
【0068】
図6は、図5の鋼管柱と鋼梁の接合部の現場での組立手順の一例を示したものであり、請求項9に係る発明の一実施形態となる。
【0069】
この例では、まず、仕口部鋼管柱1m の下部内面側および上部内面側に、H形鋼梁(図では、1方向の鋼梁2が示されている)の仕口部鋼管柱1m の両端から突出する補強金物3を添接し、外面側に上下のスプリットティー4を添接し、これらを貫通するボルト5の仮締めにより仮固定する。
【0070】
その状態で、上下のフィラープレート6u ,6l および上下の鋼管柱1u ,1l の端部を、補強金物3と上下のスプリットティー4との間の隙間に挿入し、上下の鋼管柱1u ,1l の外面側からボルト固定可能なボルトを用いて締め付けを行い、仕口部鋼管柱1m を介在させて上下の鋼管柱1u ,1l を接続する。
【0071】
また、H形鋼梁2は上下のスプリットティー4間に差し込み、ボルト接合を行い、各ボルトの本締めにより、強固な柱梁接合部を形成することができる(図5参照)。
【0072】
なお、仕口部鋼管柱1m と上下の鋼管柱1u ,1l 、およびH形鋼梁2の接合順序は任意である。
【0073】
【発明の効果】
本願発明の鋼管柱と鋼梁の接合部によれば、鋼管柱の内側に補強金物を取り付け、上下の鋼管柱の板厚差による段差に対してはフィラープレートを介在させてボルト接合することにより、従来のダイアフラム方式(図7参照)のような煩雑な加工工程を省略でき、必要に応じ、補強金物の板厚、材質を変えたり、水平リブを付けるなどして、柱梁接合部に求められる剛性と耐力に応じ、性能を容易に調整することができる。
【0074】
上下方向に接続される鋼管柱の接合位置が仕口部の高さ内またはその近傍であるため、接合前に補強金物を設置することで、補強金物の取付けが極めて容易になる。
【0075】
仕口部鋼管柱を用いて、仕口部に少なくとも2箇所の接続箇所を設ける場合には、仕口部鋼管柱を大量生産することができるなどの経済的な効果に加えて、必要に応じた耐力特性を得ることができるという効果もある。
【0076】
また、従来、鋼管柱の上下方向の接合は、柱梁接合部から外れた位置で現場溶接(図8、9参照)を行うか、特許文献4または特許文献5記載の発明のように、ワンサイドボルトにより接合部を新たに設ける必要があるが、本願発明によれば、上下鋼管柱の接続と鋼梁の接合を同時に極めて簡便に行うことができる。
【0077】
上下の鋼管柱どうしの接合も鋼梁の接合も現場溶接なしで行うことができ、大幅な省力化が図れる他、溶接箇所をなくすことで、非破壊検査も不要となり、品質的にも安定した接合部構造が得られる。また、上下の鋼管柱どうしをメタルタッチさせることで、軸力の伝達がスムーズになり、効果がより高まる。
【0078】
さらに、補強金物や鋼梁接合部材の取付けをあらかじめ工場で行うようにすれば、現場作業では、補強金物と鋼梁接合部材の隙間に上側の鋼管柱の下端を落とし込み、ワンサイドボルトなどで接合すればよいので、現場作業がさらに簡略化され、施工性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1に係る発明の一実施形態を示したもので、(a) は鉛直断面図、(b) は水平断面図である。
【図2】請求項5に係る発明の一実施形態を示す鉛直断面図である。
【図3】請求項1に係る発明の他の実施形態を示す要部の鉛直断面図である。
【図4】請求項2に係る発明の一実施形態を示す要部の鉛直断面図である。
【図5】請求項6に係る発明の一実施形態を示す要部の鉛直断面図である。
【図6】請求項9に係る発明の一実施形態を示す鉛直断面図である。
【図7】従来の外ダイアフラム形式の鋼管柱のH形鋼梁の接合部を示す正面図である。
【図8】従来の角形鋼管柱の現場溶接継手の構造を示す説明図である。
【図9】従来の各種鋼管柱の現場溶接継手の構造と開先形状例を示す説明図である。
【符号の説明】
A,B…鋼管柱の接続位置、
1u …上側の鋼管柱,1l …下側の鋼管柱、1m …仕口部鋼管柱、2,2a,2b,2c,2d…H形鋼梁、3…補強金物、4…スプリットティー、5…ボルト、6,6l ,6u …フィラープレート、7…エンドプレート、
11…鋼管柱、12…H形鋼梁、13…外ダイアフラム、14…エレクションピース、15…形状保持ダイアフラム、16…トッププレート、17…裏当て、17a…面取り部
Claims (9)
- 上下に接続される鋼管柱と1または複数の鋼梁との接合部であって、上側の鋼管柱の板厚tu が下側の鋼管柱の板厚tl より小さく、その板厚差tl −tu に相当する段差をフィラープレートを介在させることで調整し、前記上下の鋼管柱に跨がって鋼管柱の内面側に配置された補強金物と、前記鋼管柱の外面側に配置された鋼梁接合部材とが、前記上下の鋼管柱の管壁および前記フィラープレートを挟み込んだ状態で前記管壁を貫通する複数のボルトによって接合されていることを特徴とする鋼管柱と鋼梁の接合部。
- 前記上下の鋼管柱の下側の鋼管柱が前記鋼梁との接合部としての仕口部において上下に鋼管柱どうしの接続位置を有する仕口部鋼管柱である請求項1記載の鋼管柱と鋼梁の接合部。
- 前記フィラープレートと前記補強金物または前記上側の鋼管柱が一体になっている請求項1または2記載の鋼管柱と鋼梁の接合部。
- 前記補強金物と前記鋼梁接合部材とを接合する前記複数のボルトのうち、少なくとも前記上下の鋼管柱の接続位置より上側のボルトについてワンサイドボルトを用いている請求項1、2または3記載の鋼管柱と鋼梁の接合部。
- 請求項1、2、3または4記載の鋼管柱と鋼梁の接合部の接合方法であって、前記上下の鋼管柱の一方の内面側に前記補強金物の一端が該鋼管柱の端部より突出するように配置し、該鋼管柱の外面側に前記鋼梁接合部材を配置し、前記補強金物と前記鋼梁接合部材とを該鋼管柱の管壁を挟み込む形でボルトによって接合し、次いで、前記補強金物の外側に他方の鋼管柱を配置し、前記補強金物と鋼梁接合部材を該他方の鋼管柱の管壁を挟み込む形でボルトによって接合することを特徴とする鋼管柱と鋼梁の接合方法。
- 上下に接続される鋼管柱と1または複数の鋼梁との接合部であって、前記上下の鋼管柱の間には上下に鋼管柱どうしの接続位置を有する仕口部鋼管柱が介在し、前記仕口部鋼管柱の板厚tm が上側の鋼管柱の板厚tu および下側の鋼管柱の板厚tl より大きく、その板厚差tm −tu 、tm −tl に相当する段差をそれぞれフィラープレートを介在させることで調整し、前記上下の鋼管柱および仕口部鋼管柱の各鋼管柱のうちの2以上に跨がって鋼管柱の内面側に配置された補強金物と、前記各鋼管柱の外面側に配置された鋼梁接合部材とが、前記各鋼管柱の管壁および前記フィラープレートを挟み込んだ状態で前記管壁を貫通する複数のボルトによって接合されていることを特徴とする鋼管柱と鋼梁の接合部。
- 前記フィラープレートと前記補強金物または前記上下の鋼管柱のいずれかが一体になっている請求項6記載の鋼管柱と鋼梁の接合部。
- 前記補強金物と前記鋼梁接合部材とを接合する前記複数のボルトのうち、少なくとも前記仕口部鋼管柱と前記上側の鋼管柱の接続位置より上側のボルトについてワンサイドボルトを用いている請求項6または7記載の鋼管柱と鋼梁の接合部。
- 請求項6、7または8記載の鋼管柱と鋼梁の接合部の接合方法であって、前記仕口部鋼管柱の内面側に前記補強金物の端部が該仕口部鋼管柱の端部より突出するように配置し、該仕口部鋼管柱の外面側に前記鋼梁接合部材を配置し、前記補強金物と前記鋼梁接合部材とを該仕口部鋼管柱の管壁を挟み込む形でボルトによって接合し、次いで、前記補強金物の外側に前記上下の鋼管柱を配置し、前記補強金物と鋼梁接合部材を該上下の鋼管柱の管壁および前記フィラープレートを挟み込む形でボルトによって接合することを特徴とする鋼管柱と鋼梁の接合方法。
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CN114960947A (zh) * | 2022-06-29 | 2022-08-30 | 福建江夏学院 | 一种装配式钢结构类加强环板式法兰梁柱节点及使用方法 |
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2002
- 2002-09-05 JP JP2002259802A patent/JP2004100159A/ja active Pending
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