JP2010275548A - 高い導電率を有するポリ(3,4−アルキレンジオキシチオフェン)の製造方法 - Google Patents

高い導電率を有するポリ(3,4−アルキレンジオキシチオフェン)の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い導電率を有するポリ(3,4−アルキレンジオキシチオフェン)が得られるとともに、簡便であり、安全性(水性媒体)も確保され、使用する試薬も安価な調製方法を提供することにある。
【解決手段】本発明の芳香族スルホン酸アニオンがドープされたポリ(3,4−アルキレンジオキシチオフェン)の製造方法は、水性媒体に、芳香族スルホン酸塩、下記式(1)で表される3,4−アルキレンジオキシチオフェンおよび硫酸第二鉄(III)を配合し、該3,4−アルキレンジオキシチオフェンを酸化重合して重合生成物を得る工程[I]と、工程[I]により得られた重合生成物を水によって洗浄する工程[II]と、工程[II]により洗浄された重合生成物を加熱する工程[III]とを含むことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、導電性高分子の製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、高い導電率を有するポリ(3,4−アルキレンジオキシチオフェン)およびその誘導体(たとえば1000S/cm以上の導電率を有するポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン))の製造方法に関する。なお、本明細書において「ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)」を「PEDOT」ともいう。
金属および無機化合物と比較した導電性高分子の主な長所としては、高い可塑性および弾性、低い密度、低い熱膨張係数、高い耐化学薬品性および耐腐食性が挙げられる。さらに、フォトクロマティック特性も挙げられる。導電性高分子は、現在、たとえば、フォトクロミックを利用したデバイス、可撓性スクリーン、耐食および静電気防止コーティング、生物学的および化学センサ、電源などに広く使われている。
主要な導電性高分子は、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレン、ポリアセチレンおよびポリフェニレンビニレンである。これらの中で、ポリチオフェンおよびその誘導体は、特に高い熱安定性を有する。しかしながら、それらは、比較的低い電気伝導率を有し、また、製造には大きな労力を必要とする。誘導体の中で最も有望なものは、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)である。その理由は、以下のとおりである。そのモノマー3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)は水に部分的に溶解するため、水媒体中でのPEDOTの合成を可能とする。このように、人々や環境に有害な有機溶媒を使用しなくても合成できる。また、EDOT分子は平面であるため、長い共役鎖、すなわち極めて高い導電率が得られる。
従来、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)など、ポリチオフェンの調製方法について種々の方法が知られている。
米国特許第4987042号、4959430号および5035926号(特許文献1〜3)には、たとえば、有機溶媒中でのEDOTの酸化重合により、PEDOTを調製する方法が記載されている。ここでは、約2.3S/cmの導電率を有するPEDOTが調製されている。この方法の主な不利な点は、形成されたPEDOTの低い電気伝導率および有機溶媒の使用にある。
米国特許第5300575号(特許文献4)には、ポリアニオンの存在下、アルコール、水−アルコールや水−有機溶媒を用いたPEDOTの安定な分散液を調製する方法が記載されている。しかしながら、導電率の値は示されない。
米国特許第6852830号(特許文献5)には、化学重合または電気化学的重合による置換されたPEDOT誘導体の調製方法が記載されている。この方法によるPEDOTの導電率は、それぞれ600および400S/cmである。しかしながら、置換モノマーの使用は、原料モノマーの合成コストがかさみ、このためPEDOT誘導体の合成コストも増加させる。また、電気化学的重合ではフィルムおよびコーティングのみが得られる。これにより、生産量が制限され、また、用途が制限される。
米国特許第7048874号(特許文献6)には、不活性雰囲気中、ポリアニオンの存在下、水および非水溶媒を用いたPEDOTの分散液を調製する方法が記載されている。調製されたPEDOTの導電率は600S/cmである。この調製方法は複雑であり、コストがかかる。この方法の実質的な不利な点として、PEDOT分散液からの固体生成物の単離が困難なことも挙げられる。
米国特許第7320813号(特許文献7)には、加熱下、酸化剤、調節剤および溶媒の混合物中で、EDOTの重合により、PEDOTを調製する方法が記載されている。ここでは、10、500および700S/cmの導電率を有するPEDOTが調製されている。しかしながら、この特許では、PEDOTは薄膜(200nm以下)の形態のみで得られる。これにより、生産量が制限され、また、用途が制限される。
米国特許第7053174号(特許文献8)には、スルホン酸基を含む化合物および相転移触媒の存在下、溶解または分散したPEDOTを調製する方法が記載されている。しかし、相転移触媒の使用は、生産コストを増加させる。
米国特許第11580505号(特許文献9)には、PEDOT/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)の導電性組成物の導電率を増加させる方法が記載されている。ここでは、100S/cmまで、またそれ以上の導電率を有する導電性組成物が調製されている。導電率を増加するため、有機溶媒による処理が行なわれている。しかし、有機溶媒の使用は調製方法の安全性を低下させる。
米国特許第11784791号(特許文献10)には、炭素ナノチューブおよび/または金属粒子を添加して、PEDOT−ポリスチレンスルホン酸複合体を含む導電性組成物を調製する方法が記載されている。ここでは、300S/cmの導電率を有する導電性組成物が調製されている。得られた製品の十分高い導電率にもかかわらず、この方法では複雑な組成物が得られ、それは生産コストを上昇させる。
本発明に最も近いPEDOTの調製方法は文献(Y. Lei, H. Oohata, S. Kuroda, S. Sasaki, T. Yamamoto, Synth. Met., 2005, 149, p. 211-217、非特許文献1)に記載されている。水分散液中、2−ナフタレンスルホン酸のナトリウム塩および硫酸第二鉄(III)の存在下で、EDOTを酸化重合し、重合生成物を洗浄する方法である。
米国特許第4987042号公報 米国特許第4959430号公報 米国特許第5035926号公報 米国特許第5300575号公報 米国特許第6852830号公報 米国特許第7048874号公報 米国特許第7320813号公報 米国特許第7053174号公報 米国特許第11580505号公報 米国特許第11784791号公報
Y. Lei, H. Oohata, S. Kuroda, S. Sasaki, T. Yamamoto, Synth. Met., 2005, 149, p. 211-217
しかしながら、非特許文献1で、著者らは、上記導電率を有するPEDOTを得るために、重合生成物を洗浄する際のやり方や特徴は開示していない。
なお、PEDOTの誘導体においても、上述したPEDOTと同様の問題がある。
したがって、本発明の目的は、高い導電率を有するポリ(3,4−アルキレンジオキシチオフェン)およびその誘導体(たとえば高い電気伝導率(1000S/cm以上)を有するPEDOT)が得られるとともに、簡便であり、安全性(水性媒体)も確保され、使用する試薬も安価な調製方法を提供することにある。
本発明は、たとえば以下の(1)〜(4)に関する。
(1)水性媒体に、芳香族スルホン酸塩、下記式(1)で表される3,4−アルキレンジオキシチオフェンおよび硫酸第二鉄(III)を配合し、該3,4−アルキレンジオキシチオフェンを酸化重合して重合生成物を得る工程[I]と、
工程[I]により得られた重合生成物を水によって洗浄する工程[II]と、
工程[II]により洗浄された重合生成物を加熱する工程[III]とを含むことを特徴とする芳香族スルホン酸アニオンがドープされたポリ(3,4−アルキレンジオキシチオフェン)の製造方法。
Figure 2010275548
式(1)において、Aは置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基を表す。
(2)工程[II]が、工程[I]により得られた重合生成物を、工程[I]に用いた芳香族スルホン酸塩4.4ミリモル当たり210〜290mlの量の水によって洗浄する工程であることを特徴とする上記(1)に記載の芳香族スルホン酸アニオンがドープされたポリ(3,4−アルキレンジオキシチオフェン)の製造方法。
なお、芳香族スルホン酸塩として2−ナフタレンスルホン酸ナトリウム(2−NaCH)を用いる場合、「芳香族スルホン酸塩 4.4ミリモル」は、「2−NaCH 1g」の物質量に相当する。)
(3)工程[III]が、工程[II]により洗浄された重合生成物を、115℃〜200℃で80〜200時間加熱する工程であることを特徴とする上記(2)に記載の芳香族スルホン酸アニオンがドープされたポリ(3,4−アルキレンジオキシチオフェン)の製造方法。
(4)水性媒体に、芳香族スルホン酸塩、下記式(1)で表される3,4−アルキレンジオキシチオフェンおよび硫酸第二鉄(III)を配合し、該3,4−アルキレンジオキシチオフェンを酸化重合して重合生成物を得る工程[I]と、
工程[I]により得られた重合生成物を水によって洗浄する工程[II]と、
工程[II]により洗浄された重合生成物を加熱する工程[III]とにより得られることを特徴とする芳香族スルホン酸アニオンがドープされたポリ(3,4−アルキレンジオキシチオフェン)。
Figure 2010275548
式(1)において、Aは置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基を表す。
本発明によって得られたポリ(3,4−アルキレンジオキシチオフェン)およびその誘導体は高い導電率を有する。たとえばPEDOTは1000S/cm以上の導電率を有する。
図1は、電気伝導率について、生成物の洗浄に使用した蒸留水の量に対する依存性を表す図である。
本発明について以下に詳細に説明する。
本発明の芳香族スルホン酸アニオンがドープされたポリ(3,4−アルキレンジオキシチオフェン)の製造方法は、工程[I]〜[III]を含む。
〔工程[I]〕
工程[I]では、水性媒体に、芳香族スルホン酸塩、下記式(1)で表される3,4−アルキレンジオキシチオフェンおよび硫酸第二鉄(III)を配合し、該3,4−アルキレンジオキシチオフェンを酸化重合して重合生成物を得る。
Figure 2010275548
式(1)において、Aは置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基を表す。
水性媒体としては、水が好適に用いられる。
芳香族スルホン酸塩は、ドーパント剤としての役割を有し、具体的には、最終的に得られるポリ(3,4−アルキレンジオキシチオフェン)において、芳香族スルホン酸塩から生成する芳香族スルホン酸アニオンは重合体中にドープされる。
芳香族スルホン酸塩における芳香族スルホン酸としては、ベンゼン環、ナフタレン環、テトラリン環、またはアントラキノン環を有するスルホン酸が挙げられ、たとえばp−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メトキシベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ナフタレントリスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、テトラリンスルホン酸、フェノールスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸およびその誘導体などが挙げられる。これらのうちで、1−ナフタレンスルホン酸および2−ナフタレンスルホン酸等のナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ナフタレントリスルホン酸、テトラリンスルホン酸、フェノールスルホン酸は高い導電性が得られるため好ましい。芳香族スルホン酸塩における塩としては、たとえばナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、4級アンモニウム塩などが挙げられる。
芳香族スルホン酸塩としては、より具体的にはp−トルエンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム、2−ナフタレンスルホン酸ナトリウムが好適に用いられる。
芳香族スルホン酸塩は単独で用いても二種以上を混合して用いてもよい。
上記式(1)で表される3,4−アルキレンジオキシチオフェンにおいて、Aは置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基を表す。置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基(ここで、炭素数は置換基の炭素数を含まないアルキレン基の炭素数である。)としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブテン基が挙げられ、置換基としては、炭素数1〜9のアルキル基などが挙げられる。
これらのうちで、上記式(1)で表される3,4−アルキレンジオキシチオフェンとしては、Aが置換基を有していてもよいエチレン基である3,4−アルキレンジオキシチオフェン、いいかえると下記式(2)で表される3,4−アルキレンジオキシチオフェンが好適に用いられる。
Figure 2010275548
上記式(2)において、R1、R2は、それぞれ水素原子または炭素数1〜9のアルキル基を表すか、あるいは、R1は水素原子を表し、R2は−CH2−OR3を表す。ここで、R3は水素原子、炭素数1〜9のアルキル基、シクロアルキル基またはアリールアルキル基を表す。
上記炭素数1〜9のアルキル基としては、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基が挙げられる。上記炭素数1〜9のシクロアルキル基としては、たとえばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。上記炭素数1〜9のアリールアルキル基としては、たとえばベンジル基、2-フェニルエチル基が挙げられる。
上記式(2)で表される3,4−アルキレンジオキシチオフェンとしては、具体的には以下の化合物が挙げられる。なお、IUPAC命名法により記載する。
1がHであり、R2がHまたは炭素数1〜9のアルキル基である化合物;2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン、2−メチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン、2−エチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン、2−n−プロピル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン、2−n−ブチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン、2−n−ペンチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン、2−n−ヘキシル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン、2−n−ヘプチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン、2−n−オクチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン、2−(2−エチルヘキシル)−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン、2−ノニル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン。
これらのうちで、2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン、2−メチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン、2−エチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]−ジオキシン、2−n−プロピル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン、2−n−ブチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン、2−n−ペンチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンが好適に用いられ、2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]−ジオキシン、2−メチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン、2−エチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンがより好適に用いられ、2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンがさらに好適に用いられる。
1およびR2がそれぞれ炭素数1〜9のアルキル基である化合物;2,3−ジメチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン、2,3−ジエチル−2,3−ジヒドロチエノ−[3,4−b][1,4]ジオキシン、2,3−ジ−n−プロピル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン、2,3−ジ−n−ブチル−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン。
1がHであり、R2が−CH2−O−R3である化合物;2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン−2−イルメタノール、2−(メトキシメチル)−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン、2−(エトキシメチル)−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン、2−(n−プロポキシメチル)−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン、2−(n−ブトキシメチル)−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン、2−(n−ペンチルオキシメチル)−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン、2−(n−ヘキシルオキシメチル)−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン、2−(n−ヘプチルオキシメチル)−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン、2−(n−オクチルオキシメチル)−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン、2−(2−エチルヘキシルオキシメチル)−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン、2−(n−ノニルオキシメチル)−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン、2−(シクロペンチルオキシメチル)−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン、2−(シクロヘキシルオキシメチル)−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン、2−(ベンジルオキシメチル)−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン。
これらのうちで、2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]−ジオキシン−2−イル−メタノール、2−(メトキシメチル)−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン、2−(エトキシ−メチル)−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン、2−(n−プロポキシメチル)−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン、2−(n−ブトキシメチル)−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン、2−(n−ペンチルオキシメチル)−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシンが好適に用いられ、2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b]−[1,4]ジオキシン−2−イルメタノール、2−(メトキシメチル)−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン、2−(エトキシメチル)−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン、2−(n−プロポキシメチル)−2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]ジオキシン、2−(n−ブトキシメチル)2,3−ジヒドロチエノ[3,4−b][1,4]−ジオキシンがより好適に用いられる。
上記式(1)で表される3,4−アルキレンジオキシチオフェンは単独で用いても二種以上を混合して用いてもよい。
硫酸第二鉄(III)は、酸化剤としての役割を有する。
工程[I]においては、たとえば非特許文献1に記載されているように酸化重合を行なう。具体的には、水性媒体に芳香族スルホン酸塩を配合し、次いで上記式(1)で表わされる3,4−アルキレンジオキシチオフェンを配合し、さらに攪拌しながら硫酸第二鉄の水溶液を滴下して、3,4−アルキレンジオキシチオフェンの重合体を含む反応液を得る。
ここで、3,4−アルキレンジオキシチオフェン100質量部に対して、芳香族スルホン酸塩を4〜5ミリモルの量で、硫酸第二鉄を300〜400質量部の量で用いることが好ましい。反応液において、3,4−アルキレンジオキシチオフェン100質量部に対して、水性媒体は1000〜2000質量部の量で用いることが好ましい。この水性媒体は,最初に芳香族スルホン酸塩を配合するときの水性媒体と、後から滴下する硫酸第二鉄の水溶液中の水性媒体との合計量である。
工程[I]は、通常室温で行われ、硫酸第二鉄の水溶液を滴下した後、上記温度で6〜18時間さらに撹拌することが好ましい。
なお、上記反応液を調製する際には、分散剤などの添加剤を用いてもよい。この場合は、3,4−アルキレンジオキシチオフェン100質量部に対して、添加剤を0.1〜5質量部の量で用いることが好ましい。
このようにして黒い重合生成物を含む反応液が得られる。重合生成物は、たとえば遠心分離または濾過などの適切な方法によって反応液から分離され、乾燥される。分離された重合生成物は、アセトンなどの有機溶媒によって洗浄した後、乾燥してもよい。
分離された重合生成物は、3,4−アルキレンジオキシチオフェンが重合され、芳香族スルホン酸塩由来の芳香族スルホン酸アニオンがドープされたポリ(3,4−アルキレンジオキシチオフェン)と、芳香族スルホン酸と鉄(II)との塩とを含む混合物であると考えられる。
〔工程[II]〕
工程[II]では、工程[I]により得られた重合生成物を水によって洗浄する。ここでは、工程[I]により得られた重合生成物を、工程[I]に用いた芳香族スルホン酸塩4.4ミリモル当たり210〜290mlの量の水によって洗浄することが好ましい。導電率を大きくする観点からは、工程[I]に用いた芳香族スルホン酸塩4.4ミリモル当たり230〜260mlの量の水によって洗浄することがより好ましい。
この工程[II]により、工程[I]で重合されたポリ(3,4−アルキレンジオキシチオフェン)の導電率を大きくできる。たとえば、PEDOTの場合、230〜260mlの量の水によって洗浄すると通常70〜160S/cmの範囲まで導電率を大きくできる。
水としては、蒸留水、超純水、イオン交換水など通常の合成反応で使用される水であれば、いずれを用いてもよい。
水による洗浄は、たとえば工程[I]により得られた重合生成物を攪拌しながら水中に分散させて行なう。洗浄は、通常室温で0.5〜4時間撹拌することが好ましい。
洗浄後、重合生成物は、たとえば遠心分離または濾過などの適切な方法によって水と分離され、乾燥される。分離された重合生成物は、アセトンなどの有機溶媒によって洗浄した後、乾燥してもよい。
工程[II]においても、IR−スペクトルの結果から、分離された重合生成物は、3,4−アルキレンジオキシチオフェンが重合され、芳香族スルホン酸塩由来の芳香族スルホン酸アニオンがドープされたポリ(3,4−アルキレンジオキシチオフェン)と、芳香族スルホン酸と鉄(II)との塩とを含む混合物であると考えられる。Fe(III)からFe(II)への還元は、重合時の酸化−還元反応の結果であると考えられる。
なお、3,4−エチレンジオキシチオフェンを重合したPEDOTの場合は、芳香族スルホン酸アニオンがドープされたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)は、下記式(3)で表される構造となっていると考えられる。
Figure 2010275548
上記式(3)中、B-は、芳香族スルホン酸アニオンを表す。
〔工程[III]〕
工程[III]では、工程[II]により洗浄された重合生成物を加熱する。ここでは、工程[II]により洗浄された重合生成物を、115〜200℃で80〜200時間加熱することが好ましい。導電率を大きくする観点からは、少なくとも125℃以上、具体的には125〜200℃で、少なくとも125時間、具体的には125〜200時間加熱することがより好ましい。
この工程[III]により、工程[II]で洗浄されたポリ(3,4−アルキレンジオキシチオフェン)の導電率をさらに大きくできる。たとえば、PEDOTの場合、工程[II]において230〜260mlの量の水によって洗浄し、工程[III]において115〜200℃で80〜200時間加熱すると、通常500S/cm以上に導電率を大きくできる。また、工程[II]において230〜260mlの量の水によって洗浄し、工程[III]において125〜200℃で125〜200時間加熱すると、通常1000S/cm以上に導電率を大きくできる。
加熱は、試料に十分な熱が伝達する方法であればよく、例えば、実験用オーブンや電気炉、ホットプレートなどを用いても良い。
工程[III]で得られた重合生成物は、IR−スペクトルの結果から、3,4−アルキレンジオキシチオフェンが重合され、芳香族スルホン酸塩由来のアニオンがドープされたポリ(3,4−アルキレンジオキシチオフェン)と、微量の硫酸第二鉄(II)とを含む混合物であると考えられる。
また、加熱による導電率の増加は、加熱に用いられる重合生成物が芳香族スルホン酸(具体的にはナフタレンスルホン酸など)と鉄(II)との塩を含有するためであると考えられる。すなわち、加熱により、ナフタレンスルホン酸は脱スルホンし、ナフタレンが形成される。このナフタレンは溶解し、重合体の結晶化および規則性が高い構造の形成を促進する。その後の長時間の加熱により、ナフタレンは昇華して系から取り除かれる。このことは、IR−スペクトルにおいて、工程[III]による加熱後の重合生成物では、工程[II]による洗浄後の重合生成物で確認された芳香族スルホン酸と鉄(II)との塩ではなく、微量の硫酸第二鉄(II)が含まれていることからも分かる。
上述したような本発明の製造方法によれば、高い導電率を有するポリ(3,4−アルキレンジオキシチオフェン)(たとえば1000S/cm以上の導電率を有するPEDOT)が得られる。さらにこの製造方法は簡便であり、安全性(水性媒体)も確保され、使用する試薬も安価であるという利点を有する。
また、上述したような本発明の製造方法によって得られたポリ(3,4−アルキレンジオキシチオフェン)は、機能性高分子コンデンサー、電池、防食塗料、インキ、透明導電塗料、導電接着剤、電磁波シールド材、帯電防止剤、センサー、有機EL素子、半導体デバイスなどに好適に用いられる。
本発明のより具体的な態様について以下に説明する。
本発明者らは、1000S/cm以上の導電率を有するPEDOTを調製するために、以下の工程が重要であることを見出した(これは、上記文献からは想到できない。):1)重合して得られた生成物を特定の体積の水により洗浄する工程。ここで、非特許文献1に記載されているように、PEDOTは、2−ナフタレンスルホン酸および硫酸第二鉄(III)を含む分散液中で、EDOTの酸化重合によって得られる。得られた生成物は、70〜160S/cmの導電率を有する。2)約115℃〜約200℃の温度範囲で、好ましくは125℃で、120時間以上、上記洗浄された生成物を加熱する工程。
本発明の1000S/cm以上の導電率を有するPEDOTの製造方法について、図1を参照しながら、以下に詳述する。この図は、導電率について、生成物の洗浄に使用した蒸留水の量に対する依存性を表している。
本発明は、以下の工程を含む:
[工程1] 2−ナフタレンスルホン酸を含む水分散液中、硫酸第二鉄(III)の存在下で、EDOTの酸化重合による重合生成物の調製
本発明での洗浄および熱処理を行なうための重合生成物は、例えば、Y. Lei, H. Oohata, S. Kuroda, S. Sasaki, T. Yamamoto, Synth. Met., 2005, 149, p. 211-217に記載されている方法で得られる。具体的には、3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)を2−ナフタレンスルホン酸のナトリウム塩(NaHC)の水懸濁液に混合する。この懸濁液に、攪拌しながらFe2(SO43の水溶液を滴下する。室温で、約9時間、反応混合物を撹拌する。得られた黒い重合生成物は、例えば遠心分離または濾過などの適切な方法によって集められる。重合生成物をアセトンによって洗浄してもよく、次いで空気により乾燥する。
[工程2] 2−ナフタレンスルホン酸がドープされたPEDOT、2−ナフタレンスルホン酸と鉄(II)との塩を含む混合物を得るための工程1で得られた重合生成物の洗浄
工程1で得られた重合生成物を、蒸留水を用いた標準的な方法によって洗浄する。本発明において、重合生成物を洗浄する好ましい態様としては、例えば、マグネチックスターラーによる攪拌などの適切な方法によって、蒸留水中に重合生成物を分散させることが挙げられる。洗浄水は、重合生成物に対して3〜10回に分けて添加することが好ましい。
発明者らは、予期せぬことに、重合生成物の電気伝導率がその洗浄に使用する蒸留水の量に依存することを見出した(図1)。
本発明によれば、重合生成物を洗浄するための蒸留水の総量は、工程1において重合生成物を得るための原料試薬として使用した2−ナフタレンスルホン酸のナトリウム塩1g(4.4ミリモル)当たり約210〜290ml、好ましくは約230〜260mlである。
図1から分かるように、重合生成物の洗浄において、大量の蒸留水の使用は、洗浄された重合生成物の導電率が減少するため、得策ではない傾向にある。
得られた混合物を洗浄した後は、例えば遠心分離などの適切な方法によって、洗浄に用いた媒体から分離される。アセトンによって、混合物を洗って脱水してもよい。
最適な水の量によって洗浄して得られた生成物の電気伝導率は、約70〜160S/cmである。
IR−スペクトルによれば、最適な水の量(2−ナフタレンスルホン酸のナトリウム塩1g当たり約230〜260ml)によって洗浄して得られ、70〜160S/cmの導電率を有する生成物は、2−ナフタレンスルホン酸がドープされたPEDOT、2−ナフタレンスルホン酸と鉄(II)との塩を含む混合物である。Fe(III)からFe(II)への還元は、EDOT重合での酸化−還元反応の結果であると考えられる。
[工程3] 水分散液中でのEDOTの酸化重合(工程1)および重合生成物の洗浄(工程2)により得られた混合物の加熱処理
本発明者らは、予期せぬことに、工程2に記載したようにして得られた混合物を、約115℃〜約200℃の温度範囲で、約80時間〜200時間、好ましくは125℃で少なくとも120時間加熱すると、約1000S/cm以上に導電率が増加することを見出した。
上記範囲より高い温度での混合物の加熱処理は、生成物の破壊につながることがある。上記範囲より低い温度での混合物の加熱処理では、導電率は充分増加しないことがある。加熱処理時間が長いとPEDOT生産のコストがかさむ傾向にあり、加熱処理時間が短いとPEDOTの導電率が増加しない傾向にあるため、加熱処理の時間は、適宜選択する。
いかなる理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、1000S/cm以上までの導電率の増加は、加熱される混合物が2−ナフタレンスルホン酸と鉄(II)との塩を含有するという事実に密接に結びついていると考える。すなわち、加熱されると脱スルホンし、ナフタレンが形成される。このナフタレンは溶解し、PEDOTの結晶化および規則性が高い構造の形成を促進する。ナフタレンを長時間加熱すると、ナフタレンは昇華して系から取り除かれる。IR−スペクトルによれば、加熱したサンプルは、ドープされたPEDOTおよび微量の硫酸第二鉄(II)を含む。
このように、最適な水の量によって洗浄して得られ、70〜160S/cmの導電率を有する混合物を加熱処理することよって、1000S/cm以上の高い電気伝導率を有する伝導性PEDOTが得られる。
上述したより具体的な本発明の態様は、たとえば以下の(1)〜(3)に関する。
(1)室温で、2−ナフタレンスルホン酸ナトリウムおよび酸化剤としての硫酸第二鉄(III)を含む水分散液中で、モノマーとしての3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)を酸化重合した後、得られた重合生成物を蒸留水によって洗浄し、次いで、洗浄された重合生成物を加熱する工程を含むことを特徴とする高い導電率を有するポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)の製造方法。
(2)得られた重合生成物を、酸化重合に用いた2−ナフタレンスルホン酸ナトリウム1g当たり約210〜290mlの量の蒸留水によって洗浄することを特徴とする(1)に記載の高い導電率を有するポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)の製造方法。
(3)洗浄された重合生成物を、約115℃〜200℃で約80〜200時間、好ましくは約125℃で少なくとも120時間加熱することを特徴とする(2)に記載の高い導電率を有するポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)の製造方法。
本発明は、以下の実施例によって例示されるが、これに制限されない。
[参考例1]
2−ナフタレンスルホン酸のナトリウム塩(2−NaHC)(H2O10ml中に2.286g)の水懸濁液を、マグネチックスターラーにより攪拌しながら3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT、1ml)と混合した。Fe2(SO4)3xH2O(H2O5ml中に3.276g)の水溶液を、撹拌しながら懸濁液に滴下した。反応混合物を、室温で、9時間撹拌した。
得られた黒い析出−重合生成物−を、遠心分離により集め、アセトン(12mlで2回)により洗浄し、一晩空気で乾燥した。得られた粉末は、水圧プレスにより圧力15MPaで直径10mmの錠剤5つに成形した。錠剤の厚みは、マイクロメーター(MKC―25、「Ethalon」、ロシア)により測定した。各錠剤の電気伝導率は、「Loresta GP」(三菱化学、日本)により両側を測定した。錠剤の両側について、電極の位置を変えて少なくとも10回測定した。電気伝導率は、1〜5S/cmであった。
[参考例2]
重合生成物は参考例1に記載されている手順により調製した。得られた粉末を、室温で蒸留水500ml(2−NaHC 1g当たり220mlの蒸留水)によって、攪拌しながら洗浄した。沈殿物を遠心分離により分離し、アセトン(12mlで2回)により洗浄し、一晩空気で乾燥した。粉末から錠剤(5つ)を成形した。導電率は参考例1のように測定した。電気伝導率は、55〜65S/cmであった。
[参考例3]
重合生成物は参考例1に記載されている手順により調製した。得られた粉末を、蒸留水600ml(2−NaHC 1g当たり260mlの蒸留水)によって洗浄し、次いで、アセトンによって洗浄し、空気で乾燥した。粉末から錠剤(5つ)を成形した。導電率は参考例2のように測定した。電気伝導率は、130〜160S/cmであった。
[参考例4]
重合生成物は参考例1に記載されている手順により調製した。得られた粉末を、蒸留水700ml(2−NaHC 1g当たり約305mlの蒸留水)によって洗浄し、次いで、アセトンによって洗浄し、乾燥した。粉末から錠剤(5つ)を成形した。導電率は参考例2のように測定した。電気伝導率は、50〜60S/cmであった。
参考例2〜4より、2−NaHCの水分散液中でEDOTを重合した生成物を洗浄して得られた混合物の電気伝導率は、洗浄のために使用した蒸留水の量に依存する。最適量は、工程1で重合生成物の調製のために使われる2−NaHC 1g当たり230〜260mlの蒸留水である。
[実施例5]
混合物は参考例2に記載されている手順により調製した。錠剤は、参考例1のように混合物を成形して得た。錠剤を、125℃で120時間加熱した。錠剤の電気伝導率は、「Loresta GP」(三菱化学、日本)により両側を測定した。錠剤の両側について、電極の位置を変えて少なくとも10回測定した。PEDOTの電気伝導率は、30〜40S/cmであった。
[実施例6]
混合物は参考例3に記載されている手順により調製した。錠剤は、参考例1のように混合物を成形して得た。得られた錠剤を、115℃で150時間加熱した。実施例5のように測定したPEDOTの電気伝導率は、500〜700S/cmであった。
[実施例7]
混合物は参考例3に記載されている手順により調製した。錠剤は、参考例1のように混合物を成形して得た。得られた錠剤を、125℃で120時間加熱した。実施例5のように測定したPEDOTの電気伝導率は、1100〜2000S/cmであった。
[実施例8]
混合物は参考例3に記載されている手順により調製した。錠剤は、参考例1のように混合物を成形して得た。得られた錠剤を、150℃で100時間加熱した。実施例5のように測定したPEDOTの電気伝導率は、600〜1100S/cmであった。
[実施例9]
混合物は参考例3に記載されている手順により調製した。錠剤は、参考例1のように混合物を成形して得た。得られた錠剤を、190℃で90時間加熱した。実施例5のように測定したPEDOTの電気伝導率は、850〜950S/cmであった。
[実施例10]
混合物は参考例4に記載されている手順により調製した。錠剤は、参考例1のように混合物を成形して得た。得られた錠剤を、125℃で120時間加熱した。実施例5のように測定したPEDOTの電気伝導率は、30〜40S/cmであった。
このように、実施例5〜10より、1000S/cmまでのPEDOTの導電率の増加は、洗浄により特定の導電率、すなわち70〜160S/cmとなったPEDOTを加熱して達成されることが分かる。一方、最適水量よりも低いサンプル(実施例5のような)や最適水量よりも高いサンプル(実施例10のような)は、導電率がわずかに減少することが分かる。従って、実施例にて説明したように、得られた結果は、本発明が新規で、進歩性の要件を満たしており、産業上利用できることを示している。

Claims (4)

  1. 水性媒体に、芳香族スルホン酸塩、下記式(1)で表される3,4−アルキレンジオキシチオフェンおよび硫酸第二鉄(III)を配合し、該3,4−アルキレンジオキシチオフェンを酸化重合して重合生成物を得る工程[I]と、
    工程[I]により得られた重合生成物を水によって洗浄する工程[II]と、
    工程[II]により洗浄された重合生成物を加熱する工程[III]とを含むことを特徴とする芳香族スルホン酸アニオンがドープされたポリ(3,4−アルキレンジオキシチオフェン)の製造方法。
    Figure 2010275548
    (式(1)において、Aは置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基を表す。)
  2. 工程[II]が、工程[I]により得られた重合生成物を、工程[I]に用いた芳香族スルホン酸塩4.4ミリモル当たり210〜290mlの量の水によって洗浄する工程であることを特徴とする請求項1に記載の芳香族スルホン酸アニオンがドープされたポリ(3,4−アルキレンジオキシチオフェン)の製造方法。
  3. 工程[III]が、工程[II]により洗浄された重合生成物を、115〜200℃で80〜200時間加熱する工程であることを特徴とする請求項2に記載の芳香族スルホン酸アニオンがドープされたポリ(3,4−アルキレンジオキシチオフェン)の製造方法。
  4. 水性媒体に、芳香族スルホン酸塩、下記式(1)で表される3,4−アルキレンジオキシチオフェンおよび硫酸第二鉄(III)を配合し、該3,4−アルキレンジオキシチオフェンを酸化重合して重合生成物を得る工程[I]と、
    工程[I]により得られた重合生成物を水によって洗浄する工程[II]と、
    工程[II]により洗浄された重合生成物を加熱する工程[III]とにより得られることを特徴とする芳香族スルホン酸アニオンがドープされたポリ(3,4−アルキレンジオキシチオフェン)。
    Figure 2010275548
    (式(1)において、Aは置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基を表す。)
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