JP2010274690A - 車両用シートのリクライニング装置 - Google Patents

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卓 今城
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Abstract

【課題】シートバックの傾動回転に伴ってロック装置とストライカとの間に生じる相対的な位置ずれ移動量を吸収するための機構をロック装置に構成が大型化しないように設ける。
【解決手段】シートバック2は、その背裏側上方部に設けられたロック装置5を車体側部に設けられたストライカ8に係合ロックさせて、ストライカ8をスライドレール6に沿って直線状に前後スライドさせることにより、シートクッション3とのヒンジ連結点4を中心に傾動して背凭れ角度が変えられる。このとき、シートバック2の傾動回転に伴って、ストライカ8との移動軌跡の差異により、ロック装置5とストライカ8との間に相対的な上下方向の位置ずれ移動が生じるが、この位置ずれ移動量は、ロック装置5がシートバック2に対してその上部と下部が上下スライド可能に連結されて組み付けられていることによって吸収されるようになっている。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両用シートのリクライニング装置に関する。詳しくは、シートバックに設けられたロック装置を車体側部に設けられたストライカに係合ロックさせ、ストライカを車体側部に設けられたスライドレールに沿って前後スライドさせることによりシートバックをその移動させた方向に傾動させ、ストライカのスライドレールに対する移動を規制することによりシートバックの傾動を規制して傾動角度を固定した状態に保持する車両用シートのリクライニング装置に関する。
この種のリクライニング装置としては、例えば下記特許文献1に開示された技術が知られている。この開示では、車両用シートのシートバックがシートクッションに回転可能にヒンジ連結されており、シートバックの背裏部に設けられたロック装置を車体側部に設けられたストライカに係合ロックさせることにより、シートバックの背凭れ角度が固定されるようになっている。
詳しくは、上記したストライカは、車体側部に設置された直線状のスライドレールにスライド移動可能に装着されており、そのスライド移動に伴って車体側部における前後位置が変えられるようになっている。そして、このストライカの前後スライドによって、シートバックの背凭れ角度が変えられて、所望の角度位置に調整されるようになっている。なお、シートバックの背凭れ角度の固定は、ストライカのスライド移動をロックするロック機構によって行われている。
ところで、上記したスライドレールは、車両前後方向に直線状に延びて形成されており、ストライカは、このスライドレールのレール形状に沿って真っ直ぐにスライド運動するようになっている。一方、ストライカと係合ロックして傾動運動するシートバックは、シートクッションとヒンジ連結された下端部を中心に円弧運動するようになっている。したがって、このような運動軌跡の異なる両者が一緒になって動くと、両者の間には相対的な上下方向の位置ずれが生じるため、この位置ずれを吸収するために、ストライカには首振り機構が設けられている。
特開2008−94227号公報
しかし、上記開示の従来技術では、ストライカに首振り機構を設定できない場合には、ロック装置に首振り機構を設定することが考えられるが、このような大掛かりな構造物に首振り機構を設定すると、装置全体が大型化したり首振りスペースが張り出したりするなどの問題がある。
本発明は、上記した問題を解決するものとして創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、シートバックの傾動回転に伴ってロック装置とストライカとの間に生じる相対的な位置ずれ移動量を吸収するための機構をロック装置に構成が大型化しないように設けることにある。
上記課題を解決するために、本発明の車両用シートのリクライニング装置は次の手段をとる。
先ず、第1の発明は、シートバックに設けられたロック装置を車体側部に設けられたストライカに係合ロックさせ、ストライカを車体側部に設けられたスライドレールに沿って前後スライドさせることによりシートバックをその移動させた方向に傾動させ、ストライカの前後スライドを規制することによりシートバックの傾動を止めて保持する車両用シートのリクライニング装置である。シートバックは、車体フロア上に固定されたベース体に回転可能にヒンジ連結されている。シートバックがストライカの前後スライドに追従してベース体とのヒンジ連結点を中心に傾動すると、ストライカとの移動軌跡の差異により、ロック装置とストライカとの間に相対的な上下方向の位置ずれ移動が生じる。ロック装置は、シートバックに対してその上部と下部が上下スライド可能に連結されて組み付けられている。このロック装置の上下スライド可能な連結構造により、ロック装置とストライカとの間に生じる相対的な上下方向の位置ずれ移動量が吸収されるようになっている。
この第1の発明によれば、シートバックがストライカの前後スライドに伴ってその傾き角度を変えることにより、この両者の移動軌跡の差異によってロック装置とストライカとの間には相対的な上下方向の位置ずれ移動が生じる。しかし、この位置ずれ移動量は、ロック装置の上部と下部がシートバックに対して上下スライドする動きによって吸収される。このように、ロック装置のシートバックに対する連結構造を上下スライド式にした簡素な構成により、ロック装置を大型化することなく、相対的な位置ずれ移動量を吸収できる構成を得ることができる。
次に、第2の発明は、上述した第1の発明において、ロック装置をシートバックに上下スライド可能に連結する各連結部には、ロック装置がストライカとの係合ロックから外された時の上下スライド位置を摺動摩擦抵抗力により保持する保持手段が設けられている。
この第2の発明によれば、ロック装置は、ストライカとの係合ロック状態から外されても、保持手段によって、ストライカとの上下位置が合わされた状態に保持される。したがって、ロック装置とストライカとの係合ロック状態をどの位置で外しても、ロック装置を再びストライカと係合ロックさせることのできる位置状態に保持することができる。
実施例1の車両用シートのリクライニング装置の構成を表した側面図である。 ストライカを後方スライドさせた状態を表した側面図である。 ロック装置の斜視図である。 ロック装置をストライカに係合ロックさせた状態を表した部分断面図である。 ロック装置をストライカとの係合ロックから外した状態を表した部分断面図である。 図4のVI-VI線断面図である。 図4のVII-VII線断面図である。
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
始めに、実施例1の車両用シートのリクライニング装置の構成について、図1〜図7を用いて説明する。本実施例の車両用シートのリクライニング装置は、図1〜図2に示されるように、車両用シート1のシートバック2の背凭れ角度を調整するための機構構造となっている。具体的には、図1に示されるように、シートバック2の背裏側上方部に設けられたロック装置5を車体側部に設けられたストライカ8に係合ロックさせることにより、シートバック2の背凭れ角度を固定させられるようになっている。
そして、図2に示されるように、上記したシートバック2を係合させたストライカ8を車体側部に設けられたスライドレール6に沿って前後スライドさせることにより、この動きに追従させてシートバック2をその移動させた方向に傾動させて背凭れ角度の調整を行えるようになっている。なお、シートバック2の背凭れ角度の固定は、上述したストライカ8の前後スライドを後述するスライドロック装置によってロックすることによって行っている。以下、上記した車両用シートのリクライニング装置を構成する各部の構成について詳しく説明していく。
ここで、図1に示されるように、シートバック2は、車体フロア上に固定されたシートクッション3に回転可能にヒンジ連結されており、このヒンジ連結された連結点4を中心に車両前後方向に自由に回転してその傾動角度を変えられるようになっている。ここで、シートクッション3が本発明のベース体に相当する。また、上述したシートバック2の背裏側上方部に設けられたロック装置5は、シートバック2を前方側から後方側に倒し込む動作によって、スライドレール6上にスライドロックされて保持されたストライカ8に押し込まれて係合ロックする構成となっている。
そして、このロック装置5のストライカ8に対する係合ロック状態は、車両用シート1に設けられた図示しない解除レバーの操作を行うことによって解除されるようになっている。ここで、ストライカ8は、U字形に形成されており、その両端部が、スライドレール6にスライド移動可能に装着されたスライダ7に一体的に結合されて設けられている。そして、このスライダ7に結合された一方側の脚部が、ロック装置5によって係合ロックされる係合部8Aとして形成されている。
ここで、図示は省略されているが、上記したスライダ7には、スライドレール6に形成された係合孔に係合して、スライダ7のスライド移動を規制するスライドロック装置が設けられている。この図示しないスライドロック装置は、常時はスライドレール6の係合孔内に係合爪を入り込ませる方向に附勢されており、スライダ7のスライド移動によって係合爪と係合孔とが合致する位置に合わされることにより、係合爪を係合孔内に入り込ませてスライダ7のスライド移動を規制した状態に保持するようになっている。そして、このスライドロック装置のスライドロック状態は、車体側部に設けられた図示しないスライド解除レバーの操作を行うことによって、係合爪が係合孔から外し出されて解除されるようになっている。
ここで、上述したスライドレール6に形成された係合孔は、スライドレール6の長手方向に一定間隔毎に複数形成されており、スライダ7を前後スライドさせた各位置において、スライドロック装置の係合爪を入り込ませて係合させられるようになっている。これにより、スライダ7を前後スライドさせた各位置においてスライドロックさせられるようになっており、シートバック2の背凭れ角度を所望の角度位置に調整して保持できるようになっている(図2参照)。
なお、上記したスライダ7やスライドレール6や図示しないスライドロック装置の基本的構成は、特開2008−94227号公報に開示されたものと同じものとなっているため、これらの詳細な説明は省略することとする。ところで、図2に示されるように、上記したシートバック2は、シートクッション3とヒンジ連結された連結点4を中心に前後方向に傾動回転するが、ストライカ8(スライダ7)の前後スライドを案内するスライドレール6は、車両後方側に向かって下方側に斜めに真っ直ぐに延びる直線状のレール形状に形成されている。
したがって、シートバック2がストライカ8の前後スライドに追従して傾動すると、シートバック2の移動軌跡T1とストライカ8の移動軌跡T2との差異により、ロック装置5とストライカ8との間に、相対的な上下方向の位置ずれ移動が生じることとなる。そこで、本実施例では、ロック装置5をシートバック2に対して上下スライド可能に連結して、上記したストライカ8との間に生じる上下方向の位置ずれ移動量を吸収できるようにしている。
以下、ロック装置5のシートバック2に対する組み付け構造について、ロック装置5の具体的構成と併せて説明していく。ここで、ロック装置5は、図3に示されるように、シートバック2(図1〜図2参照)の骨格フレームに連結される板状のベースプレート10と、ベースプレート10に第1の支軸21によって回転可能に軸支されたフック20と、ベースプレート10に第2の支軸31によって回転可能に軸支されたポール30と、ポール30とフック20との間に掛けられてこれらを互いに引き寄せる方向に回転附勢する引張バネ40とが組み付けられて構成されている。
ここで、先ず、上記した各構成部品の概略構成について説明すると、フック20は、図5と図4とを対比して分かるように、ストライカ8がベースプレート10に形成された凹部12内に入り込んでくることにより、このストライカ8によって上顎部22が上方側に押し動かされて回転する。これにより、フック20は、下顎部23をストライカ8の背後側に回し込んで、ストライカ8を上顎部22と下顎部23との間の受入口24に受け入れる格好で、下顎部23によって凹部12を閉鎖するようになっている。そして、フック20は、この閉鎖によって、下顎部23と凹部12との間でストライカ8を挟持した状態(図4参照)を形成するようになっている。
また、ポール30は、上記図4で示したように、フック20がストライカ8を挟持した状態となる位置まで回転することにより、引張バネ40の附勢力作用を受けて回転し、その角部34をフック20の角部26に係合させて、引張バネ40の附勢力作用によるフック20の戻り回転方向の移動を規制したロック状態となる構成となっている。以下、上記した各構成部品の詳細な構成について説明する。
すなわち、図3に示されるように、ベースプレート10は、板状の蓋プレート11と二枚一組で構成されており、これらの間に挟持されてフック20やポール30等の各作動部品が組み付けられるようになっている(図7参照)。そして、図3に示されるように、このベースプレート10には、ストライカ8を受け入れ可能な凹部12が三角形に切り抜かれた形で形成されており、この凹部12には、凹部12内に受け入れられたストライカ8を弾性的に受け止められるようにするための樹脂カバー12Aが装着されている。
そして、上記した蓋プレート11には、そのベースプレート10に結合される図示上方側の折り曲げられた部分に、フック20のロック前の回転止めをするストッパ11Aが形成されている(図5参照)。上記したベースプレート10は、その上部と下部に、それぞれ、上下方向に真っ直ぐに延びる長孔13,14が形成されており、これら長孔13,14内に挿通された各ボルトB1,B2によってシートバック2に対して上下スライド可能な状態に連結されている。
詳しくは、上記した各ボルトB1,B2は、それらの軸部にリング状の座金W1,W2とフランジ状の座面部のついた円筒状のキャップM1,M2とがそれぞれ装着された状態で各長孔13,14内に挿通されており、シートバック2の骨格フレームに固定された各ナット2A1,2A2(図6参照)に締結されて固定されている。ここで、図3に示されるように、上記した各長孔13,14には、それらの内周面を被覆する樹脂カバー13A,14Aが装着されている。
これにより、上記した各樹脂カバー13A,14Aの厚みによって各長孔13,14の実質的な孔幅(横幅)が狭められており、各長孔13,14内に挿通された各キャップM1,M2の円筒部が、各樹脂カバー13A,14Aによって弾性的に挟み込まれた状態となって保持されるようになっている。そして、これら樹脂カバー13A,14Aが各キャップM1,M2の円筒部を弾性的に挟持する保持力により、各長孔13,14が各キャップM1,M2に対して相対的に上下スライドしようとする動きに対して摺動による摩擦抵抗力が付与されるようになっており、ベースプレート10(ロック装置5)の自由状態時における落下移動(下方側へのスライド移動)が規制されてその上下方向のスライド位置が保持されるようになっている。
ここで、図2に示されるように、上記した各長孔13,14は、それらの配置点間を結ぶ延長線Lが、前述したシートバック2とシートクッション3とをヒンジ連結する連結点4を通るように配置形成されている。そして、各長孔13,14は、それらの孔形状が、連結点4に向かって真っ直ぐに延びるように形成されている。これにより、上記した各長孔13,14の配置点間を結ぶ延長線Lが連結点4を通らない構成となっている場合と比べると、各長孔13,14がシートバック2の回転運動に伴って各キャップM1,M2に対して上下スライドする移動量が、連結点4を中心とした半径方向への移動のみで済んで最小限に抑えられるため、各長孔13,14の孔形状がより小さく済むようになっている。
ここで、上記した各樹脂カバー13A,14Aが各キャップM1,M2の円筒部を挟持して摺動による摩擦抵抗力を発生させる構成が、本発明の保持手段に相当する。続いて、図3に戻って、フック20について説明する。すなわち、フック20は、第1の支軸21によってベースプレート10に回転可能に軸連結されて設けられている。このフック20は、図5に示されるように、ストライカ8がベースプレート10の凹部12内に入り込んでくる前の常時は、ポール30との間に掛着された引張バネ40の附勢力によって、図示反時計回り方向に回転附勢されており、ベースプレート10(蓋プレート11)に形成されたストッパ11Aと当接した初期の回転位置状態に保持されている。
ここで、引張バネ40は、その一端部がフック20の図示左方側の外周縁部に突出形成された掛部25に掛着され、他端部がアーム状に形成されたポール30の先端部(図示左方側の端部)に形成された掛部33に掛着されて設けられている。ところで、上記したフック20には、図5で示した初期の回転位置状態時に、ベースプレート10の凹部12内に張り出す上顎部22と、この上顎部22が図4で示したようにストライカ8の入り込み移動によって図示時計回り方向に押し動かされた時に、凹部12を閉鎖するように回し込まれる下顎部23とが形成されている。
また、フック20の図示下方側の外周縁部には、段差状に突出した角部26が形成されている。この角部26は、図4に示されるように、フック20の下顎部23が凹部12を閉鎖する位置まで回し込まれることにより、その段差下にポール30の角部34が落とし込まれるようになっており、この落とし込みによってフック20がポール30に対して図示反時計回り方向に突き当てられた状態となって同方向への回転移動が係止されるようになっている。
ここで、上記したフック20は、掛部25を残す形状全体が樹脂カバー20Aによって覆われて構成されている。これにより、ストライカ8が上顎部22や下顎部23と当接したりポール30が角部34と当接したりする際の当たりが和らげられるようになっている。次に、図3に戻って、ポール30について説明する。すなわち、ポール30は、第2の支軸31によってベースプレート10に回転可能に軸連結されて設けられている。
このポール30は、図5に示されるように、ストライカ8がベースプレート10の凹部12内に入り込んでくる前の常時は、フック20との間に掛けられた引張バネ40の附勢力によって図示時計回り方向に回転附勢されて、フック20の角部26に押し当てられた初期の回転位置状態に保持されている。そして、ポール30は、ストライカ8がベースプレート10の凹部12内に入り込み、フック20がその下顎部23によって凹部12を閉鎖する位置まで回転することにより、フック20の角部26との当接状態から外される(図4参照)。
これにより、ポール30は、そのアーム形状の中腹部に形成された角部34が、引張バネ40の附勢力によってフック20の角部26の段差下に落とし込まれ、同角部34をフック20の角部26に突き当てて、フック20が引張バネ40の附勢力によって図示反時計回り方向に戻されようとする動きを係止させるようになっている。以上により、ロック装置5がストライカ8に係合ロックした状態となる。
そして、このロック装置5のストライカ8に対する係合ロック状態は、図3に示されるように、ポール30と一体的に連結されている操作アーム32の先端部に掛着されたケーブルCaが、前述した車両用シート1(図1参照)に設けられた図示しない解除レバーの操作に伴って牽引操作されることにより解除されるようになっている。ここで、操作アーム32は、前述したポール30と共に第2の支軸31と一体的に連結されており、第2の支軸31がベースフレームに回転可能に軸連結されていることで、ポール30と一体的となって回転できるように構成されている。
したがって、図3に示されるように、上記構成の操作アーム32がケーブルCaの牽引操作に伴って第2の支軸31を中心に図示反時計回り方向に回転操作されると、ポール30も同方向に回される。これにより、図5に示されるように、ポール30の角部34がフック20の角部26に突き当てられていた状態(図4参照)から外されて、フック20がポール30によって回転ロックされていた状態が解かれる。
そしてこれにより、フック20は、引張バネ40の附勢力によって図示反時計回り方向に回されて、その上顎部22によってストライカ8をベースプレート10の凹部12の外へ吐き出す格好でストライカ8との係合状態から外される。そして、上記したケーブルCa(図3参照)の牽引操作状態が解かれることにより、ポール30が再びフック20の角部26に押し当てられた初期の状態に戻される。これにより、ロック装置5が、再び、ストライカ8の凹部12内への入り込み移動によってストライカ8と係合ロックすることのできるロック可能状態に戻される。
続いて、本実施例の車両用シートのリクライニング装置の使用方法について説明する。先ず、シートバック2の背凭れ角度を調整する操作方法について説明する。ここで、シートバック2は、図1の仮想線状態で示されているように、その背裏側上方部に設けられたロック装置5をストライカ8と係合ロックさせる前の状態時には、シートクッション3との連結点4を中心に自由に回転移動させることができる状態となっている。したがって、この状態時には、シートバック2をシートクッション3の上面部に倒し込んで車両用シート1を畳み込んだ姿勢状態にしておくことができる。
そして、この状態から、シートバック2を後方側に起こし上げるように操作することにより、ロック装置5が、スライドレール6上にスライドロックされているストライカ8に押し込まれて係合ロックする。このとき、ストライカ8のスライドレール6上におけるスライド位置は、前回、ロック装置5との係合ロックが外された時のスライド位置に保持されている。また、ロック装置5のシートバック2における上下方向のスライド位置も、前回、ストライカ8との係合ロックが外された時のスライド位置に保持されている。
したがって、ロック装置5とストライカ8とが互いに前回係合ロックしていた時の高さ位置に合わされた状態となっているため、シートバック2を後方側に起こし上げていく単純な操作によって、ロック装置5をストライカ8に押し込んで係合ロックさせることができる。そして、ロック装置5をストライカ8に係合ロックさせたら、次に、図示しないスライド解除レバーを操作して、スライダ7のスライドロック状態を解除して、スライダ7(ストライカ8)を前後スライドさせることによってシートバック2の傾動角度を変化させる。
このとき、図2に示されるように、シートバック2がストライカ8の前後スライドに追従して傾動すると、シートバック2の移動軌跡T1とストライカ8の移動軌跡T2との差異により、ロック装置5とストライカ8との間に相対的な上下方向の位置ずれ移動が生じる。しかし、この相対的な上下方向の位置ずれ移動量は、ロック装置5がシートバック2に対して上下スライドすることによって吸収されるため、このように移動軌跡に差異があっても、シートバック2を円滑に傾動させることができる。
そして、シートバック2の背凭れ角度を所望の角度位置に合わせたところで、スライド解除レバーの操作をやめてスライダ7をスライドロックさせた状態に戻すことにより、シートバック2の背凭れ角度がその調整した背凭れ角度位置に保持することができる。
このように、本実施例の車両用シートのリクライニング装置によれば、シートバック2がストライカ8の前後スライドに伴ってその傾き角度を変えることにより、この両者の移動軌跡の差異によってロック装置5とストライカ8との間には相対的な上下方向の位置ずれ移動が生じる。しかし、この位置ずれ移動量は、ロック装置5の上部と下部がシートバック2に対して上下スライドする動きによって吸収される。このように、ロック装置5のシートバック2に対する連結構造を上下スライド式にした簡素な構成により、ロック装置5を大型化することなく、相対的な位置ずれ移動量を吸収できる構成を得ることができる。
また、ロック装置5は、ストライカ8との係合ロック状態から外されても、ベースプレート10の上部と下部に形成された各長孔13,14と、これら長孔13,14内に挿通された各キャップM1,M2との嵌合構造により、ベースプレート10(ロック装置5)がシートバック2に対して上下スライドしようとする動きに摺動摩擦による抵抗力が付与されて、ストライカ8との上下位置が合わされた状態に保持される。したがって、ロック装置5とストライカ8との係合ロック状態をどの位置で外しても、ロック装置5を再びストライカ8と係合ロックさせることのできる位置状態に保持することができる。
以上、本発明の実施形態を一つの実施例を用いて説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施できるものである。例えば、ロック装置5がストライカ8との係合ロック状態から外された時の、シートバック2に対する上下方向のスライド位置を保持する保持手段として、ロック装置5のベースプレート10に形成された各長孔13,14に樹脂カバー13A,14Aを装着して、これら樹脂カバー13A,14Aによって、各長孔13,14内に挿通されるボルトB1,B2の軸部に装着されたキャップM1,M2に弾性的な挟持力をかけて、各キャップM1,M2の長孔13,14内での上下スライドに摺動摩擦抵抗力を付与するようにした構成を例示したが、樹脂カバーに代えて、ゴム等の摺動摩擦抵抗力を付与することのできる他の弾性部材を採用することもできる。また、各キャップM1,M2を樹脂やゴム等の摺動摩擦抵抗力を付与することのできる弾性部材で構成したものであってもよい。
1 車両用シート
2 シートバック
2A1 ナット
2A2 ナット
3 シートクッション(ベース体)
4 連結点
5 ロック装置
6 スライドレール
7 スライダ
8 ストライカ
8A 係合部
10 ベースプレート
11 蓋プレート
11A ストッパ
12 凹部
12A 樹脂カバー
13 長孔
13A 樹脂カバー
14 長孔
14A 樹脂カバー
20 フック
20A 樹脂カバー
21 第1の支軸
22 上顎部
23 下顎部
24 受入口
25 掛部
26 角部
30 ポール
31 第2の支軸
32 操作アーム
33 掛部
34 角部
40 引張バネ
Ca ケーブル
B1,B2 ボルト
W1,W2 座金
M1,M2 キャップ
T1,T2 移動軌跡
L 延長線

Claims (2)

  1. シートバックに設けられたロック装置を車体側部に設けられたストライカに係合ロックさせ、該ストライカを車体側部に設けられたスライドレールに沿って前後スライドさせることにより前記シートバックをその移動させた方向に傾動させ、前記ストライカの前後スライドを規制することにより前記シートバックの傾動を止めて保持する車両用シートのリクライニング装置であって、
    前記シートバックは車体フロア上に固定されたベース体に回転可能にヒンジ連結されており、該シートバックが前記ストライカの前後スライドに追従して前記ベース体とのヒンジ連結点を中心に傾動すると前記ストライカとの移動軌跡の差異により前記ロック装置と前記ストライカとの間に相対的な上下方向の位置ずれ移動が生じるようになっており、前記ロック装置は前記シートバックに対してその上部と下部が上下スライド可能に連結されて組み付けられており、このロック装置の上下スライド可能な連結構造により前記ロック装置と前記ストライカとの間に生じる相対的な上下方向の位置ずれ移動量が吸収されるようになっていることを特徴とする車両用シートのリクライニング装置。
  2. 請求項1に記載の車両用シートのリクライニング装置であって、
    前記ロック装置を前記シートバックに上下スライド可能に連結する各連結部には、前記ロック装置が前記ストライカとの係合ロックから外された時の上下スライド位置を摺動摩擦抵抗力により保持する保持手段が設けられていることを特徴とする車両用シートのリクライニング装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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