JP2010274417A - 樹脂成形体の製造方法、その製造方法により得られる樹脂成形体、光デバイス、マイクロレンズ、マイクロレンズアレイ、及びマイクロ流体デバイス - Google Patents

樹脂成形体の製造方法、その製造方法により得られる樹脂成形体、光デバイス、マイクロレンズ、マイクロレンズアレイ、及びマイクロ流体デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】光硬化性樹脂組成物の溶融等する温度を調整することにより、熱インプリントや光インプリントによる生産性を高め、また安価に、高精度な微細成形品を製造する方法を提供する。
【解決手段】固体エポキシ化合物と液状エポキシ化合物と光重合開始剤とを含有し、加熱により溶融又は軟化する、固体光硬化性樹脂組成物を用いて、(a)基材上に未硬化樹脂層41を形成する工程、(b)未硬化樹脂層41を溶融又は軟化する温度に加熱した状態で、型39を押圧接触させ、押圧接触状態を保持したまま再固形化する温度に冷却した後、離型して一次成形体41′を形成する工程、(c)一次成形体41′にフォトマスク7を介して選択露光して選択硬化させる工程、(d)未露光部分を除去して樹脂成形体6を形成する工程を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、基材上に光導波路、マイクロレンズ,マイクロプリズム,マイクロ流体デバイス等の微細な成形体を形成するための樹脂成形体の製造方法、及び、その製造方法により得られる樹脂成形体等に関する。
従来、回折格子やレリーフホログラム等の光学部品や光学素子を形成するために、精密な金型を用いて透明樹脂を成形するような製法が用いられている。光学部品や光学素子においては、ミクロンからナノメートルの形状精度、表面粗度が要求され、このような超微細な樹脂成形体を成形するためにナノインプリント法と呼ばれる方法が用いられている。
ナノインプリント法としては、使用される樹脂の硬化方法により、熱ナノインプリント法と、光ナノインプリント法とが知られている。
熱ナノインプリント法は、液状の熱硬化性樹脂や、常温では固体であるが加熱により軟化する熱可塑性樹脂を用いる。熱硬化性樹脂を用いる場合は、液状の熱硬化性樹脂に金型を押圧接触させた状態で加熱硬化させることにより形状を付与(インプリント)し、また、熱可塑性樹脂を用いる場合には、加熱して軟化した状態の樹脂に金型を押圧接触させた状態で常温まで冷却し、形状を付与する。
一方、光ナノインプリント法は、石英等の高UV透過性ガラスからなる透明型を、紫外線等の光で硬化する液状の光硬化性樹脂に押圧接触させた後、光を照射することにより光硬化性樹脂を硬化させて形状を付与する。
熱ナノインプリント法を用いて、微細な樹脂成形体を形成する方法を、図15を参照して説明すると、例えば、半導体素子等を実装するための電極162が形成された基板160に、未硬化の熱硬化性樹脂163を載置し(図15(a))、金型164で熱硬化性樹脂163の成形及び加熱による硬化を行い(図15(b))、離型することにより基板160上に樹脂成形体163´を形成する(図15(c))。
また、熱ナノインプリント法の変形例としては、例えば、特許文献1には、半導体装置等の製造に用いられる厚膜の永久成形体用レジスト材料(例えば、MicroChem社製の商品名NANO SU−3等)を用いることにより、このレジスト材料の、常温では固形であり、加熱することにより低粘度化し、UV照射することにより硬化する特性を利用して、熱ナノインプリント法により低粘度状態のレジスト層に型形状を転写した後、レジスト層が冷却により再固形化する温度で離型し、その後、必要部分だけをフォトマスクを介したUV露光によって選択硬化し、現像によって硬化部のみを残して樹脂成形体を形成する方法が開示されている。
特開2004−200577号公報
従来の熱ナノインプリント法を用いた場合、図15に示すように、金型164で成形を行うときに、液状の熱硬化性樹脂163が基材160の上に溢れて電極162を覆ったままで硬化することがある(図15(c))。この場合には、電極162に半導体等を実装できなくなるために、電極162を覆っている樹脂をエキシマレーザー等により除去していた。しかしながら、エキシマレーザー等の影響が電極162にも及んで、電極162の密着性が低下するという問題があった。また、熱硬化は温度の昇温、硬化温度到達後の一定時間の保持、さらに常温までの降温と、そのサイクルに長い時間がかかり、生産性が悪いという問題があった。
また、光ナノインプリント法では、通常、光硬化は常温で可能なため、成形サイクルが短く生産性が良いという長所を持っているが、離型時に液状の未硬化樹脂が型に付着し、この未硬化樹脂が硬化した樹脂成形体に再付着して、形状不良により品質歩留まりが低下するという問題があった。また、型が石英等を加工して作製されるため、型コストが高くなるという問題があった。
一方、前述した特許文献1に開示された熱ナノインプリント法の変形例では、熱ナノインプリント法と光ナノインプリント法の問題の解決を図っている。
しかしながら、市販の半導体装置製造用のレジスト材料は高価であった。また、市販のレジスト材料を用いる場合、インプリント時の温度に対する流動性や離型時のタック性を両方満たすものが得られにくいという問題があった。
また、インプリント時の温度と常温付近であるような離型時の温度との差が大きいために、熱膨張率の差により、離型性が悪く、成形品が型に取られてしまい、基板から外れやすくなるという問題があった。また、このようなレジスト材料を単に利用するだけでは、例えば、より微細な成形品を成形する場合などにおいてはクラックの発生が問題となるが、このような場合に、クラックの発生を抑制することができなかった。さらに、光デバイスの光導波路のような光学用途に用いる成形体を成形する場合には、屈折率等の光学特性の調整ができなかった。
本発明は前記課題を解決する樹脂成形体の製造方法等を提供するものである。
本発明の樹脂成形体の製造方法は、常温で固体のエポキシ化合物(以下、単に、固体エポキシ化合物とも呼ぶ)と常温で液状のエポキシ化合物(以下、単に、液状エポキシ化合物とも呼ぶ)とを所定の比率で含有し、さらに光重合開始剤を含有し、且つ、加熱により溶融又は軟化する、常温で固体の光硬化性樹脂組成物を用いて、下記(a)〜(d)の工程:(a)基材上に前記光硬化性樹脂組成物からなる未硬化樹脂層を形成する工程、(b)前記未硬化樹脂層を溶融又は軟化する温度に加熱した状態で、所望の転写形状を有する金型を押圧接触させ、続いて押圧接触状態を保持したまま再固形化する温度にまで冷却した後、該金型を離型することにより一次成形体を形成する工程、(c)前記一次成形体にフォトマスクを介して所望の領域のみを選択露光することにより、選択硬化する工程、(d)未露光部分を除去することにより、樹脂成形体を形成する工程、を行うことを特徴とするものである。本発明によれば、固体エポキシ化合物と液状エポキシ化合物との混合比率を調整することにより、溶融又は軟化する温度を適宜調整することにより、溶融時の流動性を高めることができる。また、インプリント時の温度と離型時の温度の差を小さくすることにより、熱膨張率の差による離型性の低下を抑制することができる。
また、前記光硬化性樹脂組成物は、フェノキシ樹脂をさらに含有することが、樹脂成形体に柔軟性を持たせて、離型時や切断等の機械加工時や熱衝撃試験等の環境試験時においてクラックの発生を抑制することができる。さらにタック性が抑制されるために離型性が高まり、そのために、樹脂成形体が基材から剥離することを抑制することができる。
また、前記光硬化性樹脂組成物は、カップリング剤をさらに含有することが、基材との密着性を向上させて、樹脂成形体が基材から剥離するのを抑制することができる点から好ましい。
また、前記未硬化樹脂層を形成する工程(a)が、前記光硬化性樹脂組成物のワニスを前記基材上に載置した後、前記ワニス中の溶媒を除去することにより前記未硬化樹脂層を形成する工程であることが好ましい。この工程は、スピンコート、ディップコート、バーコート、スプレーコート等のコーティング方法、若しくはディスペンサやインクジェットによる滴下方法等により前記ワニスを基材上に載置した後、光重合開始剤が失活しないような温度範囲で加熱して溶媒を揮発させて乾燥させる等の方法により、平面状の基材や溝等の三次元形状を有する基材にも、容易に未硬化樹脂層を形成することができる。
また、前記基材に、前記ワニスが充填される、溝等の三次元形状が予め形成されている場合には、所定の形状に形成された三次元形状部分にワニスを充填して乾燥して未硬化樹脂層を形成することにより、例えば、精密な光導波路型の光デバイス等を製造することができる点から好ましい。
本発明の樹脂成形体は、前記製造方法により得られるものである。
また、前記樹脂組成物は、透明であり、且つ、前記固体エポキシ化合物及び前記液状エポキシ化合物の少なくともいずれか一方が脂環式エポキシ化合物であることが好ましい。脂環式エポキシ化合物の硬化物は屈折率が低い透明樹脂であるために、光導波路のクラッドのように、低屈折率が要求される光学部品の材料として好適に使用される。
また、本発明の光デバイスは、前記樹脂成形体からなる、光導波路のクラッド及び/又はコアを備えるものである。
また、本発明のマイクロレンズは、前記樹脂成形体からなるマイクロレンズであり、周囲にバリが少ない高精度な形状を備えるものである。
また、本発明のマイクロレンズアレイは、前記樹脂成形体からなるマイクロレンズを備えるものであり、各レンズ間で迷光のやり取りがない、高精度な複数のレンズを備えるものである。
また、本発明のマイクロ流体デバイスは、前記樹脂成形体からなる、流体流路が形成されたものである。
本発明によれば、固体エポキシ化合物と液状エポキシ化合物との混合比率を調整することにより、溶融又は軟化する温度を適宜調整することができる。従って、両者の配合比により溶融温度、または溶融粘度を適宜調整することにより流動性を調整することができる。また、インプリント時の温度と離型時の温度の差を小さくすることができるために、優れた離型性が得られる。
はじめに、本発明で用いられる光硬化性樹脂組成物について説明する。
本発明で用いられる光硬化性樹脂組成物は、固体エポキシ化合物と液状エポキシ化合物とを所定の比率で含有し、さらに光重合開始剤を含有し、且つ、加熱により軟化又は溶融する、常温で固体の光硬化性樹脂組成物である。このような、光硬化性樹脂組成物は、固体エポキシ化合物と液状エポキシ化合物を所定の割合で溶媒に溶解し、さらに光重合開始剤を配合することにより得られるワニスを乾燥して溶媒を除去することにより得られる。
エポキシ化合物は、タイプや分子量(繰り返し単位)等により、常温で液状のものと固体のものが存在する。常温で液状、または常温で固体のエポキシ化合物を溶媒中で、所定の配合比で配合し、さらに、光重合開始剤を配合することにより得られるワニスを乾燥して溶媒を除去することにより得られる樹脂組成物においては、前記2種のエポキシ化合物の配合比を調整しながら分子レベルで混合することにより、溶融又は軟化する温度を比較的自由に制御することができる。
本発明における常温で固体又は液状のエポキシ化合物は、常温で固体又は液状である限り、その種類は特に限定されない。また、各エポキシ化合物のエポキシ基数としては、一分子中に2個以上であれば特に限定されない。
このようなエポキシ化合物の具体例としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物等のビスフェノール型エポキシ化合物;フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物等のノボラック型エポキシ化合物;脂環式エポキシ化合物;ナフタレン骨格型エポキシ化合物等が挙げられる。これらは、単独で用いても2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらの中では、固体のビスフェノール型エポキシ化合物と液状の脂環式エポキシ化合物との組み合わせが好ましく用いられる。
また、特に、光導波路のような光学用途に用いる場合には、透明性の固形エポキシ化合物と透明性の液状エポキシ化合物を配合してなる透明性の光硬化性樹脂組成物を用いることが好ましい。この場合の組み合わせとしては、例えば、芳香環を有するために高い屈折率を有するビスフェノール型エポキシ化合物と、低い屈折率を有する脂環式エポキシ化合物との組み合わせは、配合比を適宜調整することにより、所望の屈折率の透明樹脂成形体が得られる点から好ましい。例えば、光導波路のクラッドとして用いる場合には、屈折率の低い脂環式エポキシ化合物の割合を高めることにより、低屈折率のクラッドが得られる。
液状エポキシ樹脂と固体エポキシ樹脂の配合割合は、目的や組み合わせるエポキシ化合物の種類に応じて適宜調整されるが、例えば、固体エポキシ化合物/液状エポキシ化合物として、95/5〜40/60(質量比)、さらには、80/20〜50/50であることが好ましい。
本発明で用いられる光硬化性樹脂組成物には、樹脂成分として、前記エポキシ化合物に加えて、フェノキシ樹脂をさらに配合することが好ましい。フェノキシ樹脂は、例えば、ビスフェノール型エポキシ化合物とエピクロルヒドリンとから合成される、エポキシ基を持つポリヒドロキシポリエーテルであり、分子中の水酸基により架橋可能な熱可塑性樹脂である。光硬化性樹脂組成物に、フェノキシ樹脂を配合することにより、脆性が低減して離型時等におけるクラッキングや欠けの発生を抑制することができる。これにより、露光及び現像時のパターン欠けを防止することができる。また、表面タック性が低減することにより、離型性がさらに向上するために、基材との密着性も向上させることができる。
前記フェノキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、40000〜60000程度のものが好ましく用いられる。このようなフェノキシ樹脂の具体例としては、例えば、ジャパンエポキシレジン(株)製の商品名エピコート1256(ビスフェノールA型でMw約5万)、東都化成(株)製の商品名フェノートYP−50(ビスフェノールA型でMw約6万)等が挙げられる。
フェノキシ樹脂の配合割合としては、光硬化性樹脂組成物中、1〜30質量%程度であることが、溶融時の流動性を充分に維持しながら、充分な配合効果を発揮する点から好ましい。前記配合割合が多すぎる場合には、流動性が低下するために、成形が困難になったり、気泡を巻き込むことによりボイドが生成しやすくなる。また、光硬化させた後、架橋密度をさらに向上させるために加熱(アフターキュア)する場合があるが、熱可塑性のために硬化物が変形しやすくなる傾向がある。
本発明の光硬化性樹脂組成物に配合される光重合開始剤は、光照射によって前記エポキシ化合物のエポキシ基を開環自重合させるための開始剤である。その具体例としては、例えば、陰イオンとしてPF 、AsF 、SbF 、SbCl 2−、BF 、SnCl 、FeCl 、BiCl 2−等をもつアリールジアゾニウム塩、また、陰イオンとしてPF 、AsF 、SbF 、SbF 、SbCl 2−、BF 、ClO 、CFSO 、FSO 、FPO 、B(C 等をもつジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、トリアリールセレノニウム塩、さらに、陰イオンとしてPF 、AsF 、SbF 等を持つジアルキルフェナシルスルホニウム塩、ジアルキル−4−ヒドロキシルフェニルスルフォニウム塩、また、α−ヒドロキシメチルベンゾインスルホン酸エステルや、N−ヒドロキシイミドスルホネート、α−スルホニロキシケトンやβ−スルホニロキシケトン等のスルホン酸エステル、さらに鉄のアレン化合物、シラノール−アルミニウム錯体、o−ニトロベンジル−トリフェニルエーテル等が挙げられる。また、市販のものとして、アデカオプトマーSP−170、アデカオプトマーSP−150(アデカ製)等も好ましく用いられる。
本発明に用いられる熱硬化性樹脂組成物には、上記以外の成分として、本発明の目的を損なわない範囲で、カップリング剤、流動改質剤、滑剤、着色剤等の添加剤を必要に応じて添加してもよい。
カップリング剤は、基材表面と樹脂成形体との密着性を向上するために配合される成分であり、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤等が挙げられる。このような、カップリング剤の具体例としては、例えば、信越化学工業(株)製の商品名シランカップリング剤KBM−403等が挙げられる。カップリング剤の配合割合としては、光硬化性樹脂組成物全量中に0.1〜5質量%程度であることが好ましい。
本発明で用いられる光硬化性樹脂組成物は、前記固体エポキシ化合物と前記液状エポキシ化合物と光重合開始剤と、さらに必要に応じて用いられるフェノキシ樹脂等を溶媒に溶解したワニスを乾燥して溶媒を除去して、常温で固体になるような熱硬化性樹脂組成物を選択することにより得られる。
なお、熱硬化性樹脂組成物の性状としては、室温では完全に固体であり、表面タック性がなく、型離れが容易にでき、またできるだけわずかな加熱で溶融又は液状化するものがよい。溶融又は軟化する温度は型形状の転写性や生産性に大きく影響する。また、固化時と離型時との温度差が少ないほど形状転写精度が向上し、かつスループットが向上する点から好ましい。
前記ワニスを形成するための溶媒としては、固形エポキシ化合物、液状エポキシ化合物、光重合開始剤、フェノキシ樹脂等を溶解できるものが好ましく用いられる。このような溶媒としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)等が挙げられる。これらは、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ワニス中の光硬化性樹脂組成物成分と溶媒との混合比率は特に限定されないが、基材上にワニスの状態で載置するのに適度な粘度になる限り、特に限定されない。一例としては、1:1を基準として微調整するような比率が挙げられる。
次に、上記のようにして調製されたワニスを用いて、基材上に樹脂成形体を形成する方法について説明する。
本発明の樹脂成形体の製造方法は、前記ワニスから溶媒を除去することにより得られる光硬化性樹脂組成物を基材上に載置して、上記(a)〜(d)の工程を行うものである。
前記基材の具体例としては、例えば、シリコン基材、ガラス基材、アルミナ基材、窒化アルミ基材等の無機基材や、ポリカーボネート基材、アクリル基材、ポリアミド基材、シリコーン樹脂基材、エポキシ樹脂基材等の有機基材が用いられる。
また、型の材質も特に限定されないが、Ni電鋳型のような金型や、石英、シリコン等から形成される型等が用いられる。
本発明の樹脂成形体の製造方法を図1を参照しながら説明する。
例えば、実装用の電極36が形成された基材3に、前記ワニスを載置し、溶媒を乾燥させることにより未硬化樹脂層41を形成する(図1(a))。
未硬化樹脂層41は、基材3に前記ワニスをスピンコート、ディップコート、バーコート、スプレーコート等のコーティング方法による塗布や、ディスペンサやインクジェットによる滴下方法で基板上に載置した後、光重合開始剤が失活しないような温度範囲で溶媒を乾燥除去することにより形成することができる。なお、溶媒を除去するための加熱条件を最適化することによって、気泡のない高品質な樹脂層を容易に形成することができる。この溶媒は、光硬化性樹脂組成物を溶解するものであるが、その割合によって光硬化性樹脂組成物の粘度を任意に調整できるため、被塗布体の状態、例えば凹凸の大きさや微細度、塗布方法によって最適に設定することが可能となる。また、溶媒の揮発温度(沸点)を適切に選択することで、様々な塗布方法が選択できるようになるとともに、脱泡性も適正に持たせることができ、均質な樹脂成形体を得ることができる。
次に、未硬化樹脂層41を加熱することにより溶融又は軟化させた後、所望の転写形状を有する金型39を押圧接触させ、続いて押圧接触状態を保持したまま再固形化する温度にまで冷却した後(図1(b))、金型39を離型することにより一次成形体41′を形成し(図1(c))、一次成形体41′にフォトマスク7を介して所望の領域のみを選択露光することにより、選択硬化し、(図1(d))、未露光部分を除去することにより、樹脂成形体6を形成する(図1(e))。なお、図1に示した製造方法においては、基材として平板基材を用いた例を示したが、基材に、溝を形成し、該溝部分にワニスを充填するような方法で、前記製造方法を行ってもよい。なお、このような工程によれば、平面状の基材はもちろん、凹凸のある成形体表面を有する基材であっても、所望の平滑性、選択性、充填性を有する未硬化樹脂層を形成することができる。
本発明の製造方法の具体的な応用例として、下記第1実施形態に光導波路の製造、下記第2実施形態にマイクロレンズアレイの製造、下記第3実施形態にマイクロ流体デバイスの製造について、それぞれ詳しく説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態として、光導波路を備える光デバイスの製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
はじめに、図2(a)に示すような、実装用の電極36及び導波路形成用溝32を備えたマウント基板20を用意する。導波路形成用溝32は、例えばシリコン基材を用いた場合にはエッチングにより形成され、特に光導波路に45°ミラーを形成する場合には、シリコン結晶のエッチング速度の違いを利用した異方性エッチングにより形成することができる。また、電極36は、マウント基板20上に金を蒸着することによりパターンニングを行うことにより形成される。このとき、形成された45°ミラーにも金(反射率が高い)を同時に蒸着する。なお、使用する波長にもよるが、45°ミラーに金を蒸着しないことも可能である。
そして、導波路形成用溝32に、調製した光硬化性樹脂組成物のワニスを充填する。なお、ワニスの充填は、ディスペンサやインクジェットによる滴下方法を用いて行う。
次に、充填されたワニスを、光重合開始剤が失活しない温度範囲で加熱して溶媒を揮発乾燥させることにより、導波路形成用溝32に光硬化性樹脂組成物からなる未硬化樹脂層41が形成される。
そして、図2(b)に示すように、未硬化樹脂層41を加熱溶融させた後、金型39を押圧接触させて、コア用溝37のエンボス成型を、例えば、温度75℃、押圧力 約20N/cm 約30分等の条件で行う。このとき、マウント基板20の上に溢れた光硬化性樹脂組成物が電極36を覆うようになる。
続いて、押圧接触状態を保持したまま、常温程度にまで冷却した後、図2(c)の工程のように、光硬化性樹脂組成物が再固形化した状態で離型する。この工程により、未硬化の状態の一次成形体41′が形成される。
次に、図2(d)の工程のように、フォトマスク42により一次成形体41´をマスキングして、マスキング開口部分42aに紫外線等のエネルギー線(例えば、3000〜10000mj/cm)を照射することにより、マスキング開口部分42aに相当する部分を選択硬化させる。そして、最後に、図2(e)の工程のように、現像することにより未露光部分の光硬化性樹脂組成物を除去する。これにより、電極36を覆っていた光硬化性樹脂組成物も除去される。この結果、マウント基板20上に、樹脂成形体である光導波路のクラッド31bが形成される。
その後は、図3を参照すれば、コア用溝37にコア用樹脂(光硬化性樹脂)を充填してコア31aを形成し、最後にコア31aの上に上クラッド樹脂(光硬化性樹脂)43を塗布して、クラッド31bを形成することにより、光導波路31が形成された光回路基板が得られる。
なお、図4に示すように、光硬化性樹脂組成物によって、光導波路31の形成と同時に、外部の光導波路との光学的に結合の精度を高めるための嵌合部3bをマウント基板20の上に形成することもできる。
また、図2〜図4の実施形態は、マウント基板20に形成した導波路形成用溝32内に光導波路31を形成したものであったが、図5の実施形態のように、マウント基板20の上に光導波路31を形成することもできる。
すなわち、図5(a)の工程のように、マウント基板20の上にクラッド用の光硬化性樹脂組成物からなる未硬化樹脂層41を形成する。
次いで、図5(b)の工程のように、金型39でコア用溝37のエンボス成型(例えば、時間約10分)を行い、図5(c)の工程のように、常温まで冷却して離型し、図5(d)の工程のように、コア用溝37を維持した状態で、未硬化樹脂層41に接触もしくは極近接させたフォトマスク42によりマスキングして、マスキング開口部分42aのコア用溝37付近に紫外線(エネルギー線)UVを照射することで、クラッド31bを硬化させると共にコア用溝37を形成し、図5(e)の工程のように、マウント基板20との密着性の向上のために、恒温槽46でポストベーク(例えば、約120℃ 約30分)し、図5(f)の工程のように、現像によって未硬化の未硬化樹脂層41を除去し、図5(g)の工程のように、恒温槽46でアフターキュア(約120℃ 約30分)をする。その後は、図3を参照すれば、コア用溝37にコア用樹脂(光硬化性樹脂)を充填してコア31aを形成し、最後にコア31aの上に上クラッド樹脂(光硬化性樹脂)43を塗布して、クラッド31bを形成することで、光導波路31が形成されるようになる。
次に、このような光回路基材を用いた光電気変換装置51について、図6および図7を参照して説明する。
図6および図7は、光デバイスの一例である光電気変換装置51の基本構造であり、この光電気変換装置51は、発光側光電気変換部51Aと、受光側光電気変換部51Bと、これらの変換部51A,51Bを光学的に連結する外部の光導波路9とを備えている。なお、図6において、図6の上下方向を上下方向、紙面と直交する方向を左右方向というとともに、発光側光電気変換部51Aに対しては図6の右側を前方、左側を後方といい、受光側光電気変換部51Bに対しては図6の左側を前方、右側を後方という。
発光側光電気変換部51Aは、配線基板52と、この配線基板52の上面に所定の間隔を隔てて実装されるマウント基板20とを備えている。また、マウント基板20の下面20aには、電気信号を光信号に変換する発光素子24Aと、この発光素子24Aに電気信号を送信するためのIC回路50Aが形成されたIC基材55Aとが実装されている。そして、マウント基板20には、発光素子24Aと光学的に結合する光導波路31が形成されている。
発光素子24Aとしては、上面から上方に発光する平面視で300μm□の大きさのVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)が採用されている。IC基材55Aは、VCSELを駆動させるドライバICであり、発光素子24Aの近傍に配置されている。そして、発光素子24AおよびIC基材55Aは、金バンプ11(図7参照)でマウント基板20の下面20aに形成された図略の配線パターン(実装用の電極36)に接続されている。なお、発光素子24Aとしては、LED等も採用可能であるが、LED等は指向性がなく、光導波路31に光結合する割合が小さいので、光の効率に余裕があることが条件となり、その場合には低価格という点で有利である。
マウント基板20は、平面視で前後方向に延びる長方形状をなしており、半田バンプ10で配線基板52の上面に形成された図略の配線パターンに接続されている。このマウント基板20は、実装時の熱の影響や使用環境による応力の影響を避けるために、剛性が必要である。また、光伝送の場合は、発光素子から受光素子までの光伝送効率が必要になるので、光素子を高精度に実装することや使用中の位置変動を極力抑制する必要がある。このため、マウント基板20としては、シリコン基材が採用されている。また、マウント基板20は、発光素子24Aと線膨張係数の近い材料で構成されていることが好ましく、シリコン以外には、VCSEL材料と同系統のGaAs等の化合物半導体で構成されていてもよい。
また、マウント基板20には、発光素子24Aの真上となる位置に、光路を90°屈曲させるための45°ミラー33が形成されている。
光導波路31は、45°ミラー33から前方に延在していて、マウント基板20の前端面と略面一となる端面を有している。この光導波路31は、図7に示すように、断面略正方形状のコア31aと、コア31aを周囲から覆うクラッド31bとからなっており、マウント基板20に形成された導波路形成用溝32内に配設されている。
コア31aおよびクラッド31bのサイズは、発光素子24Aから光導波路31までの距離、発光素子24Aの発散角度および後述する受光素子24Bのサイズから光効率を優先して決定される。
例えば、5〜10Gbps以上の高速伝送に使用される一般的なVCSELや受光素子24BであるPD(フォトダイオード)では、VCSELの発光径が5〜10μm、発散角度が20°程度であり、PDの受光径が60μm程度であるので、コア31aのサイズを40μm□、クラッド31bの厚みを2〜10μmとする。
マウント基板20の前端部には、下面20aに光導波路31を挟んで離間する左右一対の樹脂構造部16が設けられているとともに、アダプタ17Aが取り付けられている。そして、アダプタ17Aに、外部の光導波路9の端部に設けられた光コネクタ18Aが着脱可能に装着されることによって、外部の光導波路9がマウント基板20の光導波路31に光学的に結合されるようになっている。
外部の光導波路9は、所定幅を有したフレキシブルなフィルム状のものであり、具体的に図示しないが、下クラッドの上にコアが載置され、このコアが上クラッドで覆われた構成となっている。
そして、光コネクタ18Aがアダプタ17Aに装着されると、マウント基板20の光導波路31のコア31aの位置と外部の光導波路9のコアの位置とが合致するようになる。
受光側光電気変換部51Bの基本的な構成は、発光側光電気変換部51Aと同様であるため、詳細な説明は省略する。なお、発光側光電気変換部51Aと異なる点としては、マウント基板20の下面20aに、光信号を電気信号に変換する受光素子24Bと、この受光素子24Bから電気信号を受信するためのIC回路50Bが形成されたIC基板55Bとが実装されている点である。受光素子24Bとしては、PDが採用されており、IC基板55Bは、電流・電圧の変換を行うTIA(Trans−impedance Amplifier)素子である。また、マウント基板20には、アンプ素子が実装されることもある。
マウント基板20に発光素子24Aを実装する時は、発光素子24Aに、スタッドバンプボンディングにより金バンプ11を形成し、マウント基板20と発光素子24Aを200℃に加熱して、発光素子24Aをマウント基板20の電極36に超音波接合等で実装する。なお、IC基板55Aは、発光素子24Aと同時にマウント基板20に実装される。
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態として、マイクロレンズアレイの製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
マイクロレンズアレイは、液晶パネルの集光力向上手段、コンパクトディスク、光磁気ディスク等の光ピックアップの集光手段、光ファイバと受発光素子との結合のための集光手段、CCD等の固体撮像素子への集光手段または結像手段等として幅広く用いられている集光素子である。
図8(a)に従来のマイクロレンズアレイ70の斜視模式図、図8(b)にマイクロレンズアレイ70のM−M´‘断面の模式図を示す。
図8においては、基材上に一定間隔で複数のマイクロレンズ71が形成されている様子が示されている。マイクロレンズ71の大きさは用途によって異なるが、例えば直径100μm、高さ10〜50μm程度の大きさが例示される。
従来、このようなマイクロレンズアレイの製法として、基材表面に屈折率が調整された透明樹脂からなる透明樹脂層を形成し、該透明樹脂層を熱により溶融させた後、その表面に金型を押圧することによって複数のマイクロレンズを同時に形成するような、熱インプリント法を用いた方法が一般的に知られていた。しかしながら、このような方法を用いた場合、型で押圧した際に、型と基材とのクリアランスを完全になくすことは困難であるために、図8(c)に示すように個々のマイクロレンズ間に数ミクロンから数十ミクロンの樹脂層72が形成される。そして、このような樹脂層72は隣接するマイクロレンズ間の光導波路となって、1つのレンズの迷光成分が隣のレンズに導かれ、これがノイズとなってレンズのS/Nに悪影響を及ぼす。
本実施形態の製造方法により得られるマイクロレンズアレイによれば、このようなマイクロレンズ間の光導波路となるような樹脂層72を除去することができる。すなわち、加熱により軟化又は溶融する、常温で固体の光硬化性樹脂組成物を用いて複数のマイクロレンズ形状を一次成形した後、一次成形後に、紫外光を用いて選択露光(パターニング)することによりマイクロレンズ部分のみを硬化させて、その後、未硬化の部分を選択的に除去することにより、不要な樹脂層を形成せずに基材上に複数のマイクロレンズを形成することが可能になる。
以下に、本発明にかかる実施形態のマイクロレンズアレイの製造方法を図9を参照して詳しく説明する。
はじめに、図9(a)に示すような、基板75を用意する。基板75の材料としては、ガラス基板等の透明基板の他、透過させる光の波長によってはシリコン基板等も用いられうる。そして、基板75の表面に前記説明したような光硬化性樹脂組成物のワニスを塗布する。なお、ここで用いられるワニスは、透明性の光硬化性樹脂組成物を形成するものである。ワニスの塗布は既に説明したようなスピンコート等の各種コーティング方法が用いられる。
次に、塗布されたワニスを、光重合開始剤が失活しないような温度範囲で乾燥させることにより、透明性光硬化性樹脂組成物からなる未硬化樹脂層76が形成される。
次に、図9(b)の工程に示されるように、熱ナノインプリント法によって、未硬化樹脂層を加熱溶融させた後、半円状の凹部が多数形成されたマイクロレンズアレイ用金型77を押圧接触させ、押圧接触状態を保持したまま、常温程度にまで冷却した後、図9(c)の工程のように、光硬化性樹脂組成物が再固形化した状態で離型する。この工程により、未硬化の状態の一次成形体76′が形成される。
次に、図9(d)の工程に示されるように、フォトマスク78により一次成形体をマスキングして、マスキング開口部分78aに紫外線等のエネルギー線(例えば、3000〜10000mj/cm)を照射することにより、マスキング開口部分78aに対応する部分を選択硬化させる。そして、最後に、図9(e)の工程のように、現像することにより未露光部分を除去する。これにより、マイクロレンズアレイ80が形成される。
なお、図9(e)で得られたマイクロレンズアレイ80を、レーザー加工やダイサー加工により、レンズ間を切り離してそれぞれのレンズを独立させることにより、単体のマイクロレンズ81を得ることもできる。この場合においては、前記図9(e)の現像工程において、マイクロレンズ81周辺の不要な樹脂層が除去されているために、個々のマイクロレンズの周囲にバリがない、高精度なマイクロレンズが得られる。
さらに、別の例として、3次元形状を有する基材に形成されたマイクロレンズアレイ90を図10を参照して説明する。図10(a)は基材の中央に凹部を設け、その凹部表面に複数のマイクロレンズを形成してなるマイクロレンズアレイ90の模式図であり、図10(b)はそのR−R′断面図である。このような構成のマイクロレンズアレイによれば、デバイス全体の低背化が可能であり、また、凹部にレンズ保護用の封止剤92を充填したり、上面に蓋をすることでレンズの保護がしやすくなる点である。ここでいう封止剤とは、屈折率を調整した弾性率の低いシリコーン樹脂(ゴム性状あるいはゲル性状のもの)やエポキシ樹脂が適当である。蓋の材料としては、(石英)ガラスやシリコンなど使用する光の波長が透過する材料を適当に選定すればよい。
さらに、別の例としては、マイクロレンズの断面形状が略半円構造ではなく、LED構造でよく適用されている図11に示すような砲弾型であってもよい。従来の製法によれば、このような形状の場合、図12に示すように光源95からの放射光が、樹脂層96を通じて、隣のレンズ部に入り込んで、LEDとしての指向性が悪くなるという欠点があったが、本実施形態の製造方法によれば、図11に示すような、それぞれのマイクロレンズ97が独立したマイクロレンズアレイが得られるため、優れた指向性のLEDが得られる。
[第3実施形態]
図13(a)は同様の手段を用いて形成したマイクロ流体デバイス100の斜視模式図であり、図13(b)は、そのD−D′断面を示す模式図である。
マイクロ流体デバイス100は、表面に電極またはヒータ回路が形成された基板110に、前記光硬化性樹脂組成物のワニスを塗布した後、熱インプリントによってマイクロ流路101cおよび検体投入部101aおよび検体反応部101bを形成する。この場合の基板材料は、シリコン、SiO、BKガラス、アルミナ、窒化アルミなどが用いられうる。基板110の表面には、ヒータ等を接続するための電極や、検体に電圧印加して電気泳動させるための電極があるため、この部分は開口する必要がある。
マイクロ流路デバイスは、バイオチップと呼ばれる生体分析チップ、化学分析チップ、免疫分析チップ、コンビナトリアル化学チップ等に用いられうる。図13は生体分析チップを例示したものである。基板110に形成した検体投入部101aと検体反応部101bと流路101cとなる溝部に光硬化性樹脂を塗布し、前述のナノインプリント法によって、金型で検体投入部101aと複数(本例では4個)の試薬投入部101b(検体反応部のこと)と、流路101cとを一連に形成する。
この場合、基板110の上には、ヒータ等を接続するための電極136が有るので、基板110の上に溢れた光硬化性樹脂組成物141が電極136を覆うようになる。
そこで、選択露光により、検体投入部101aと試薬投入部101bとマイクロ流路101cとを硬化させ、現像によって硬化していない光硬化性樹脂組成物を除去する。これにより、電極136を覆っていた光硬化性樹脂組成物も除去されるようになる。
このようにして製造された生体分析チップは、検体投入部101aに血液等を入れると、毛細管現象により血液等がマイクロ流路101cから各試薬投入部101bに流し込まれるので、血液等を分析することができる。
図14は平坦な基板上に形成されたマイクロ流体デバイス120の一例であり、基板上に形成した凹部内に流路111cおよび検体投入部111aおよび検体反応部111bを形成したマイクロ流体デバイスの一例である。このような基材凹部内への流路形成の効果は、マイクロ流体デバイスの低背化である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
はじめに、本実施例で用いた原材料を以下にまとめて示す。
(固体エポキシ樹脂)
・脂環式エポキシ樹脂 EHPE3150(ダイセル化学工業(株))
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂 1006FS(ジャパンエポキシレジン(株))
(液状エポキシ樹脂)
・脂環式エポキシ樹脂 セロキサイド2021P(ダイセル化学工業(株))
(フェノキシ樹脂)
YP50(東都化成(株)、メチルエチルケトン(MEK)溶解品)
(光重合開始剤)
・SP170((株)アデカ)
(カップリング剤)
・KBM303(信越化学工業(株))
(実施例1〜8、比較例1〜3)
表1に記載した組成になるように、各種成分を配合しワニスを調製した。なお、ワニスの調整は、まず常温で溶媒を秤量した後、固形エポキシ化合物、液状エポキシ化合物、フェノキシ樹脂の順に混合し、密閉容器中で50℃にて加熱溶解、攪拌した後、常温で光重合開始剤とカップリング剤を混合、攪拌した。
次に、インプリント装置の上下ステージに固定されたシリコン基材の表面に、得られたそれぞれの樹脂ワニスを、適量載置した。そして、ステージ温度を80〜90℃にまで上昇させることにより、ワニス中の溶媒を乾燥するとともに、形成された光硬化性樹脂組成物を溶融させた。そして、溶融させた状態で、マイクロレンズ金型を0.3〜0.4MPa程度の一定圧で押圧して、約5分間保持した。その後、押圧したままステージ温度を25℃にまで下げて、型開き(離型)を行った。
次に、フォトマスクを使ったUVパターニングによりマイクロレンズ部のみを選択的に硬化させた。このときのUV照射エネルギーは2000〜3000mJ/cmであった。その後、硬化を促進させて、樹脂と基材との密着性を向上させる目的で、140℃/30分間のベーキングを行った。
そして、冷却後、50℃の界面活性剤(パインアルファ、荒川化学工業(株)製)溶液中に基材を浸して、超音波洗浄を行うことにより、未硬化部を除去した。この後、得られた基材を純水洗浄し、樹脂の吸湿水を除去するために、120℃/30分間のアフターキュアを行うことにより複数のマイクロレンズを有するマイクロレンズ金型が得られた。
なお、前記製造工程において用いた熱硬化性樹脂組成物及び成形品について以下の評価を行った。
[常温(25℃)における熱硬化性樹脂組成物の状態観察]
調製した樹脂ワニス中の溶媒を乾燥して得られた熱硬化性樹脂組成物の状態を観察し、固形か又は液状かを判定した。
[熱硬化性樹脂組成物の流れ性]
高さ50μm,底辺40μm,上面50μmの逆台形の断面形状を有する、長さ10mmの閉じた溝から形成される溝部を備えたシリコン基材の該溝部に、樹脂ワニスを充填し、その溝形状に嵌合する台形のコアを有する金型を嵌合させた場合に、溝からあふれ出た樹脂組成物の厚みで評価した。前記厚みが10μm未満であった場合を○、10μm以上であった場合を×とした。
[タック性]
調製した樹脂ワニス中の溶媒を乾燥して得られた熱硬化性樹脂組成物を指触評価した。強く指を押し付けた場合、粘着性が無く全く指紋が付かないものを◎、わずかに指紋の痕跡が付くものを○、明瞭に指紋痕が残り、指を離すときに粘着性を感じるが樹脂の分離がないものを△、指に樹脂が付くものを×と定義した。このような乾燥後タック性は離型性の指標になるだけでなく、加熱して液状化した樹脂が再固形化する温度(固化点)を間接的に把握することができる。
[硬化物の屈折率]
平坦基板(Siウェハ)上にワニスを載置し、80℃に加熱することにより溶媒を乾燥除去した。そして、常温まで冷却したのち、UV照射することにより樹脂硬化膜を形成し、プリズムカップリング装置(Metricon社製 Model2010)で屈折率を測定した。
[離型性及び密着性]
マイクロレンズ用金型を離型した際に基材から剥離することなく離型できたものを○、基材からわずかに剥離したものを△、樹脂が金型に一部もしくは全部が付着して、剥離したものを×とした。
[耐クラック性]
得られた成形品にクラックが全く生じなかったものを○、一箇所わずかなクラックのみ発生したものを△、形状を損なう大きなクラックが発生したものを×とした。
[形状転写性]
得られた成形品が、全く崩れなく型の形状が転写できているものを◎、一部コーナー等でわずかに丸みが出ているものを○、全体的にエッジにわずかに丸みが出ているものを△、型形状の反映が見られないものを×とした。
Figure 2010274417
本発明に係る実施例1〜8の常温で固形の熱硬化性樹脂組成物は、液状エポキシ化合物と固形エポキシ化合物等の配合割合を調整して溶融粘度及び溶融温度を調整することにより、何れも流動性に優れているものであった。また、インプリンティングの温度と常温付近である離型時の温度とを近接させることにより、熱膨張係数差による離型性の低下が抑制された。また、実施例2と実施例4のように、得られる透明性成形体の屈折率を自由に調整することもできた。さらに、実施例1、2、4、5、6、8のようにフェノキシ樹脂を配合することにより、耐クラック性が改善された。なお、シランカップリング剤を含有しない実施例8は基板との密着性がやや低かった。
一方、比較例1〜3は、液状エポキシ樹脂を配合していないものである。何れも、溶融粘度が高く流れ性が悪いものであった。このようなものは成形がほとんどできないか、生産性が悪かった。
(a)〜(e)は、本発明の実施形態に係る樹脂成形体の製造方法の工程図である。 (a)〜(e)は、本発明に係る第1実施形態の光導波路の製造方法の工程図である。 光導波路を形成した基材であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線断面図、(c)は(a)のC−C線断面図である。 第1実施形態の嵌合部を形成した基材の斜視図である。 (a)〜(g)は、第1実施形態の変形例の基材に光導波路を形成する工程図である。 本発明に係る光電気変換装置の基本構造の側面図である。 (a)はマウント基板の側面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。 従来のマイクロレンズアレイの模式図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のM−M′線断面図である。 (a)〜(e)は、本発明に係る第2実施形態のマイクロレンズアレイの製造方法の工程図である。 第2実施形態のマイクロレンズアレイの変形例の模式図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のM−M′線断面図である。 第2実施形態のマイクロレンズアレイの変形例の模式断面図である。 従来のマイクロレンズアレイの変形例の模式断面図である。 第3実施形態のマイクロ流体デバイスの模式斜視図である。 第3実施形態のマイクロ流体デバイスの変形例の模式斜視図である。 (a)〜(c)は、従来の熱ナノインプリント法を示す工程図である。
符号の説明
3,55A,55B,75,110,160 基材(基板)
3b 嵌合部
6,163 樹脂成形体
7,42,78 フォトマスク
9,31 光導波路
10 半田バンプ
11 金バンプ
16 樹脂構造部
17A アダプタ
18A 光コネクタ
20 マウント基板
20a 下面
24A 発光素子
24B 受光素子
31a コア
31b クラッド
32 導波路形成用溝
33 ミラー
36,162 電極
37 コア用溝
39,164 型(金型)
41′、76 一次成形体
41 未硬化樹脂層
42a マスキング開口部分
46 恒温槽
50A,50B IC回路
51 光電気変換装置
51A 発光側光電気変換部
51B 受光側光電気変換部
52 配線基板
70,80,90 マイクロレンズアレイ
71,81,97 マイクロレンズ
72 樹脂層
76 未硬化樹脂層
77 マイクロレンズアレイ用金型
78a マスキング開口部分
95 光源
96 樹脂層
100,120 マイクロ流体デバイス
101c,111c 流路
101a 検体投入部
101b 検体反応部
111a 検体投入部
111b 検体反応部
112b 電極

Claims (11)

  1. 常温で固体のエポキシ化合物と常温で液状のエポキシ化合物とを所定の比率で含有し、さらに光重合開始剤を含有し、且つ、加熱により溶融又は軟化する、常温で固体の光硬化性樹脂組成物を用いて、下記(a)〜(d)の工程:
    (a)基材上に前記光硬化性樹脂組成物からなる未硬化樹脂層を形成する工程、(b)前記未硬化樹脂層を溶融又は軟化する温度に加熱した状態で、所望の転写形状を有する型を押圧接触させ、続いて押圧接触状態を保持したまま再固形化する温度にまで冷却した後、該型を離型することにより一次成形体を形成する工程、(c)前記一次成形体にフォトマスクを介して所望の領域のみを選択露光することにより、選択硬化する工程、(d)未露光部分を除去することにより、樹脂成形体を形成する工程、
    を行うことを特徴とする樹脂成形体の製造方法。
  2. 前記光硬化性樹脂組成物が、フェノキシ樹脂をさらに含有する請求項1に記載の樹脂成形体の製造方法。
  3. 前記光硬化性樹脂組成物が、カップリング剤をさらに含有する請求項1または2に記載の樹脂成形体の製造方法。
  4. 前記未硬化樹脂層を形成する工程(a)が、前記光硬化性樹脂組成物のワニスを前記基材上に載置した後、前記ワニス中の溶媒を除去することにより前記未硬化樹脂層を形成する工程である請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂成形体の製造方法。
  5. 前記基材に、前記ワニスが充填される三次元形状が予め形成されている請求項4に記載の樹脂成形体の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法により得られることを特徴とする樹脂成形体。
  7. 透明であり、且つ、前記常温で固体のエポキシ化合物及び前記常温で液状のエポキシ化合物の少なくともいずれか一方が脂環式エポキシ化合物を含有する請求項6に記載の樹脂成形体。
  8. 請求項6または7に記載の樹脂成形体からなる光導波路のクラッド及び/又はコアを備えることを特徴とする光デバイス。
  9. 請求項6または7に記載の樹脂成形体からなることを特徴とするマイクロレンズ。
  10. 請求項9に記載のマイクロレンズを備えることを特徴とするマイクロレンズアレイ。
  11. 請求項6または7に記載の樹脂成形体からなる、流体流路が形成されていることを特徴とするマイクロ流体デバイス。
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