JP2010270193A - 難燃性に優れた床材 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃焼時に有害ガスを発生しにくく燃焼安全性に優れると共に、難燃性に優れ、かつ耐ヒールマーク性にも優れた床材を提供する。
【解決手段】この発明に係る床材10は、化学構造中に塩素原子を有しない樹脂と、層状珪酸塩と、金属水酸化物とを含有してなる樹脂組成物からなる層を備えてなり、化学構造中に塩素原子を有しない樹脂として、オレフィン系樹脂及びスチレン系樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上の第1樹脂成分と、酸変性樹脂からなる第2樹脂成分とが少なくとも用いられ、第1樹脂成分を樹脂成分全体に対して30〜99.9質量%含有し、第2樹脂成分を樹脂成分全体に対して0.1〜20質量%含有し、前記樹脂組成物は、前記化学構造中に塩素原子を有しない樹脂100質量部に対して層状珪酸塩を0.5〜10質量部、金属水酸化物を50〜200質量部含有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

この発明は、燃焼時の有害ガスの発生が少なく燃焼安全性に優れると共に、難燃性に優れた床材に関する。
なお、この明細書及び特許請求の範囲において、「オレフィン系樹脂」の語は、オレフィン系樹脂のみならず、オレフィン系エラストマー及びオレフィン系ゴムも含む意味で用いている。
また、この明細書及び特許請求の範囲において、「スチレン系樹脂」の語は、スチレン系樹脂のみならず、スチレン系エラストマー及びスチレン系ゴムも含む意味で用いている。
従来、ビル、マンション、家屋、商業施設等の建築物の床材、或いは鉄道、バス等の車輌の床材としては、難燃性、耐摩耗性、耐熱性に優れ、加工が容易で経済的にも優れていることから、可塑剤を多量に含有せしめた塩化ビニル樹脂(PVC)からなる床材が多く採用されていた。
しかしながら、PVC製床材は、燃焼時において多量の発煙と共に塩化水素等の有害ガスを発生することから、火災時において避難者が該有害ガス等を吸入してしまう等の防災上の問題、また焼却廃棄処理によって環境汚染をもたらすという問題があった。また、PVC製床材は、可塑剤を多量に含有しているので、特有の臭気があるし、このような可塑剤による臭気はシックハウス症候群の原因の1つとも言われている。また、長年の使用により可塑剤が表面にブリードしてきて曇りを生じやすく外観体裁が悪くなるという問題もあった。
そこで、近年では、次のような材料を床材の構成材料として用いることが提案されている。
例えば、特許文献1では、上地層と下地層を備えた床材であって、上地層は、ポリオレフィン30〜70重量部、エチレン−酢酸ビニル共重合体69〜5重量部、酸変性オレフィン系樹脂1〜25重量部及び無機充填材50〜300重量部からなる樹脂層であり、下地層は、ポリオレフィン25〜70重量部、エチレン−酢酸ビニル共重合体74〜15重量部、酸変性オレフィン系樹脂1〜15重量部及び無機充填材50〜300重量部からなる樹脂層である構成からなる床材を用いることが提案されている。
また、特許文献2では、実質的にハロゲンを含有しない材料からなるバッカー材の上面に、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂フィルム、ポリエステル樹脂フィルム、ポリエステルエラストマーフィルム、アクリル樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム及びポリウレタン樹脂フィルムからなる群より選ばれたフィルムが積層されてなる床材を用いることが提案されている。
これら提案された床材では、燃焼時における有害ガス発生の問題、可塑剤由来の特有の臭気の発生と曇り発生の問題は、ほぼ解決されている。
特開平11−48416号公報 特開2000−110339号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載の床材は、難燃性能が不十分であった。また、床材の上をハイヒールのような細い踵の靴で歩行した際に体重が細い踵に集中することによって床材に靴跡が残りやすいという問題もあった。即ち、特許文献1、2に記載の床材は、耐ヒールマーク性が不十分であった。
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、燃焼時に有害ガスを発生しにくく燃焼安全性に優れると共に、難燃性に優れ、かつ耐ヒールマーク性にも優れた床材を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
[1]化学構造中に塩素原子を有しない樹脂と、層状珪酸塩と、金属水酸化物とを含有してなる樹脂組成物からなる層を少なくとも備えてなり、
前記化学構造中に塩素原子を有しない樹脂として、オレフィン系樹脂及びスチレン系樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上の第1樹脂成分と、酸変性樹脂からなる第2樹脂成分とが少なくとも用いられ、
前記第1樹脂成分を樹脂成分全体に対して30〜99.9質量%含有し、前記第2樹脂成分を樹脂成分全体に対して0.1〜20質量%含有し、
前記樹脂組成物は、前記化学構造中に塩素原子を有しない樹脂100質量部に対して層状珪酸塩を0.5〜10質量部、金属水酸化物を50〜200質量部含有することを特徴とする難燃性に優れた床材。
[2]化学構造中に塩素原子を有しない樹脂と、層状珪酸塩と、金属水酸化物とを含有してなる樹脂組成物からなる層を少なくとも備えてなり、
前記化学構造中に塩素原子を有しない樹脂として、少なくとも下記第1樹脂成分、第2樹脂成分及び第3樹脂成分が用いられ、
前記第1樹脂成分を樹脂成分全体に対して30〜98.9質量%含有し、前記第2樹脂成分を樹脂成分全体に対して0.1〜20質量%含有し、前記第3樹脂成分を樹脂成分全体に対して1〜20質量%含有し、
前記樹脂組成物は、前記化学構造中に塩素原子を有しない樹脂100質量部に対して層状珪酸塩を0.5〜10質量部、金属水酸化物を50〜200質量部含有することを特徴とする難燃性に優れた床材。
第1樹脂成分:オレフィン系樹脂及びスチレン系樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上の樹脂
第2樹脂成分:酸変性樹脂
第3樹脂成分:脂環族飽和炭化水素樹脂、テルペン系樹脂、脂肪族系石油樹脂、水添ロジンエステル及びパラフィン系オイルからなる群より選ばれる1種または2種以上の樹脂
[3]前記樹脂組成物において、前記化学構造中に塩素原子を有しない樹脂100質量部に対する金属水酸化物の含有量が75〜200質量部である前項1または2に記載の難燃性に優れた床材。
[4]前記樹脂組成物は、前記化学構造中に塩素原子を有しない樹脂100質量部に対して、さらに鱗片状充填剤を1〜50質量部含有する前項1〜3のいずれか1項に記載の難燃性に優れた床材。
[5]前記鱗片状充填剤として鱗片状ガラスが用いられている前項4に記載の難燃性に優れた床材。
[6]前記鱗片状ガラスは、平均粒径が50〜1000μm、平均厚さ0.1〜20μmである前項5に記載の難燃性に優れた床材。
[7]前記酸変性樹脂として、カルボン酸変性スチレン系エラストマーが用いられている前項1〜6のいずれか1項に記載の難燃性に優れた床材。
[8]全体厚さが1.0〜4.0mmである前項1〜7のいずれか1項に記載の難燃性に優れた床材。
[1]の発明では、構成材料として化学構造中に塩素原子を有しない樹脂が用いられているから、燃焼時の有害ガスの発生が少なく燃焼安全性に優れて防災面で好都合であると共に環境保全にも十分に貢献できる。また、樹脂成分として、オレフィン系樹脂及びスチレン系樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上の第1樹脂成分と、酸変性樹脂からなる第2樹脂成分とが少なくとも用いられているから、耐摩耗性、耐汚染性、耐ヒールマーク性に優れたものとなる。また、前記化学構造中に塩素原子を有しない樹脂100質量部に対して層状珪酸塩を0.5〜10質量部含有するから、難燃効果を得ることができ、さらに同樹脂100質量部に対して金属水酸化物を50〜200質量部含有するから、前記難燃効果をさらに高めることができる。本願発明では、酸変性樹脂(第2樹脂成分)を樹脂成分全体に対して0.1〜20質量%含有せしめており、これによって金属水酸化物を50〜200質量部という高い充填量でありながら均一に分散させることが可能になったものである。即ち、酸変性樹脂は極性基を有するので、樹脂全体として、極性基を有する金属水酸化物との相性が良くなり、これによって金属水酸化物を高い充填量でありながら均一に分散させることが可能になった。更に、可塑剤を含有させる必要がないので、これ特有の臭気が発生することもなく、また長年使用しても表面に曇りが発生することもない。
なお、樹脂成分として酸変性樹脂を含有しない場合には、高充填された金属水酸化物は分散不良を生じ(均一に分散されない)、床材としての力学的強度が大きく低下する。
[2]の発明では、構成材料として化学構造中に塩素原子を有しない樹脂が用いられているから、燃焼時の有害ガスの発生が少なく燃焼安全性に優れて防災面で好都合であると共に環境保全にも十分に貢献できる。また、樹脂成分として、オレフィン系樹脂及びスチレン系樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上の第1樹脂成分と、酸変性樹脂からなる第2樹脂成分とが少なくとも用いられているから、耐摩耗性、耐汚染性、耐ヒールマーク性に優れたものとなる。また、前記化学構造中に塩素原子を有しない樹脂100質量部に対して層状珪酸塩を0.5〜10質量部含有するから、難燃効果を得ることができ、さらに同樹脂100質量部に対して金属水酸化物を50〜200質量部含有するから、前記難燃効果をさらに高めることができる。本願発明では、酸変性樹脂(第2樹脂成分)を樹脂成分全体に対して0.1〜20質量%含有せしめており、これによって金属水酸化物を50〜200質量部という高い充填量でありながら均一に分散させることが可能になったものである。即ち、酸変性樹脂は極性基を有するので、樹脂全体として、極性基を有する金属水酸化物との相性が良くなり、これによって金属水酸化物を高い充填量でありながら均一に分散させることが可能になった。更に、脂環族飽和炭化水素樹脂、テルペン系樹脂、脂肪族系石油樹脂、水添ロジンエステル及びパラフィン系オイルからなる群より選ばれる1種または2種以上の樹脂を含有し、該樹脂を樹脂成分全体に対して1〜20質量%含有するので、樹脂組成物の流動性、溶融張力等の加工性を改善することができ、耐ヒールマーク性を損なうことなく、金属水酸化物や層状珪酸塩の分散性をより向上させることができる。更に、可塑剤を含有させる必要がないので、これ特有の臭気が発生することもなく、また長年使用しても表面に曇りが発生することもない。
[3]の発明では、化学構造中に塩素原子を有しない樹脂100質量部に対する金属水酸化物の含有量が75〜200質量部である(高充填量である)から、より優れた難燃性能を得ることができる。
[4]の発明では、化学構造中に塩素原子を有しない樹脂100質量部に対して、さらに鱗片状充填剤を1〜50質量部含有するので、床材の熱寸法安定性を向上させることができる。
[5]の発明では、鱗片状充填剤として鱗片状ガラスが用いられているから、床材の熱寸法安定性をより向上させることができる。
[6]の発明では、鱗片状ガラスは、平均粒径が50〜1000μm、平均厚さ0.1〜20μmであるから、床材の熱寸法安定性をより一層向上させることができる。
[7]の発明では、酸変性樹脂として、カルボン酸変性スチレン系エラストマーが用いられているが、このエラストマーは、極性の強いカルボン酸成分、極性の弱いビニル成分、中間的な極性を持つスチレン成分を含有した構成であり、中間的な極性を持つスチレン成分の存在が、他の樹脂との親和性を向上させるので、樹脂組成物の分散性が顕著に向上する。また、このカルボン酸変性スチレン系エラストマーは、極性の関係から、金属水酸化物や層状珪酸塩の表面部分に存在してこれらフィラーとの界面を形成するが、カルボン酸変性スチレン系エラストマーは柔軟であるので、衝撃力等に対する破壊じん性が向上する。
[8]の発明では、床材の全体厚さが1.0〜4.0mmであるから、上記諸効果(燃焼安全性、難燃性、耐ヒールマーク性等に優れている)を十分に確保できる。
この発明の床材の一実施形態を示す断面図である。 この発明の床材の他の実施形態を示す断面図である。 この発明の床材のさらに他の実施形態を示す断面図である。
この発明に係る床材(10)の一実施形態を図1に示す。この床材(10)は、化学構造中に塩素原子を有しない樹脂と、層状珪酸塩と、金属水酸化物とを含有してなる樹脂組成物からなる基材層(1)の片面に、樹脂製の表面保護層(2)が積層されたものである。この発明では、前記表面保護層(2)が設けられていない構成を採用しても良い。即ち、図2に示すように、化学構造中に塩素原子を有しない樹脂と、層状珪酸塩と、金属水酸化物とを含有してなる樹脂組成物の単層(基材層)(1)からなる構成を採用しても良い。
前記基材層(1)は、化学構造中に塩素原子を有しない樹脂と、層状珪酸塩と、金属水酸化物とを含有してなる樹脂組成物からなり、前記化学構造中に塩素原子を有しない樹脂として、オレフィン系樹脂及びスチレン系樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上の第1樹脂成分と、酸変性樹脂からなる第2樹脂成分とが少なくとも用いられ、前記第1樹脂成分を樹脂成分全体に対して30〜99.9質量%含有し、前記第2樹脂成分を樹脂成分全体に対して0.1〜20質量%含有し、前記樹脂組成物は、前記化学構造中に塩素原子を有しない樹脂100質量部に対して金属水酸化物を50〜200質量部、層状珪酸塩を0.5〜10質量部含有するものである。
前記化学構造中に塩素原子を有しない樹脂としては、オレフィン系樹脂及びスチレン系樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上の第1樹脂成分と、酸変性樹脂からなる第2樹脂成分とを少なくとも用いる。
前記第1樹脂成分としてのオレフィン系樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレン−αオレフィン共重合体、ランダム型ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−ブテン−ジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体等が挙げられる。なお、前記第1樹脂成分としてのオレフィン系樹脂には、酸変性樹脂は包含されない。
前記第1樹脂成分としてのスチレン系樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、水素添加スチレン−ブタジエンゴム(HSBR)、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)等が挙げられる。なお、前記第1樹脂成分としてのスチレン系樹脂には、酸変性樹脂は包含されない。
前記第1樹脂成分は、樹脂成分全体に対して30〜99.9質量%含有せしめる。30質量%未満では十分な柔軟性が得られなくなる。中でも、前記第1樹脂成分は、樹脂成分全体に対して50〜99.9質量%含有せしめるのが好ましく、特に好ましい範囲は70〜99.9質量%である。
前記第2樹脂成分としての酸変性樹脂(酸で変性した樹脂)としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、スチレン−ブタジエンゴム等に、マレイン酸、オレイン酸等の酸や、酸無水物をグラフトしたもの等が挙げられる。具体的には、例えば、マレイン酸をグラフトしたポリプロピレン、マレイン酸をグラフトしたポリエチレン、マレイン酸をグラフトしたスチレン−ブタジエンゴム、マレイン酸をグラフトしたスチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)、無水マレイン酸をグラフトしたポリプロピレン、無水マレイン酸をグラフトしたポリエチレン、無水マレイン酸をグラフトしたスチレン−ブタジエンゴム、無水マレイン酸をグラフトしたスチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)等が挙げられる。
前記酸変性樹脂としては、酸変性エラストマーを用いるのが好ましく、この場合には、シートの柔軟性をより一層向上させることができる利点がある。中でも、酸変性スチレン系エラストマーを用いるのがより好ましく、特に好ましいのはカルボン酸変性スチレン系エラストマーである。なお、前記「カルボン酸」の語は、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、酸無水物等を含む意味で用いている。
前記第2樹脂成分としての酸変性樹脂は、樹脂成分全体に対して0.1〜20質量%含有せしめる。0.1質量%未満では、金属水酸化物を50〜200質量部という高い充填量において均一に分散させることが困難になってシートの強度が低下して耐ヒールマーク性が低下するし、20質量%を超えると十分な柔軟性が得られなくなる。中でも、前記第2樹脂成分としての酸変性樹脂は、樹脂成分全体に対して0.1〜10質量%含有せしめるのが好ましく、より好ましいのは0.5〜5質量%である。
前記樹脂組成物には、前記第1樹脂成分及び前記第2樹脂成分以外に、化学構造中に塩素原子を有しない樹脂として、脂環族飽和炭化水素樹脂、テルペン系樹脂、脂肪族系石油樹脂、水添ロジンエステル及びパラフィン系オイルからなる群より選ばれる1種または2種以上の樹脂(第3樹脂成分)を含有せしめるのが好ましい。この場合には、耐ヒールマーク性を損なうことなく、金属水酸化物や層状珪酸塩の分散性をより向上させることができる。前記第3樹脂成分を含有せしめる場合には、第3樹脂成分を樹脂成分全体に対して1〜20質量%含有せしめる。1質量%以上とすることで金属水酸化物や層状珪酸塩の分散性を向上させることができ、20質量%以下とすることで樹脂組成物の成形加工性が良好なものとなる。中でも、前記第3樹脂成分を樹脂成分全体に対して3〜15質量%含有せしめるのが好ましい。
前記テルペン系樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えばテルペン樹脂、水添テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂(芳香族化合物で変性したテルペン樹脂)等が挙げられる。
なお、前記第3樹脂成分には、酸変性樹脂は包含されない。
前記樹脂組成物には、前記第1樹脂成分及び前記第2樹脂成分以外に、又は前記第1樹脂成分及び前記第2樹脂成分並びに前記第3樹脂成分以外に、化学構造中に塩素原子を有しない樹脂を1種又は2種以上含有せしめても良い。
前記樹脂組成物の樹脂組成は、次のような構成であるのが特に好ましい。即ち、前記化学構造中に塩素原子を有しない樹脂として、少なくとも下記第1樹脂成分、第2樹脂成分及び第3樹脂成分が用いられ、
第1樹脂成分:オレフィン系樹脂及びスチレン系樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上の樹脂
第2樹脂成分:酸変性樹脂
第3樹脂成分:脂環族飽和炭化水素樹脂、テルペン系樹脂、脂肪族系石油樹脂、水添ロジンエステルおよびパラフィン系オイルからなる群より選ばれる1種または2種以上の樹脂
前記第1樹脂成分を樹脂成分全体に対して30〜98.9質量%含有し、前記第2樹脂成分を樹脂成分全体に対して0.1〜20質量%含有し、前記第3樹脂成分を樹脂成分全体に対して1〜20質量%含有し、
前記第1樹脂成分、前記第2樹脂成分及び前記第3樹脂成分の合計が樹脂成分全体に対して50質量%以上である構成が特に好ましい。
また、前記第1樹脂成分、前記第2樹脂成分及び前記第3樹脂成分の合計は、樹脂成分全体に対して65質量%以上であるのがさらに好ましく、中でも80質量%以上であるのが最も好ましい。
前記層状珪酸塩としては、特に限定されるものではないが、例えばモンモリロナイト、マイカ、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、ノントロナイト、カオリナイト、バーミキュライト、ハロイサイト、パイロフィライト等が挙げられる。これらの中でも、モンモリロナイト又は/及びマイカを用いるのが好ましい。
前記層状珪酸塩としては、有機化処理されたものを用いるのが好ましい。前記有機化処理は、層状珪酸塩の層間を有機オニウム塩等を用いて拡張するものである。層状珪酸塩の層間に有機オニウムイオン構造を存在させると、負に帯電した珪酸塩の層間に樹脂等の分子間力の小さい物質を挿入させることができ、層状珪酸塩の樹脂中への分散性を向上させることができる。前記有機オニウム塩としては、特に限定されるものではないが、アルキルオニウム塩を用いるのが好ましい。中でも、炭素数1〜32のアルキル基を少なくとも1個有する4級アンモニウム塩を用いるのがより好ましく、炭素数1〜18のアルキル基を少なくとも1個有する4級アンモニウム塩を用いるのが特に好ましい。前記4級アンモニウム塩としては、特に限定されるものではないが、例えばテトラエチルアンモニウム,テトラブチルアンモニウム,テトラオクチルアンモニウム,トリメチルオクチルアンモニウム,トリメチルデシルアンモニウム,トリメチルドデシルアンモニウム,トリメチルテトラデシルアンモニウム,トリメチルヘキサデシルアンモニウム,トリメチルオクタデシルアンモニウム,トリメチルエイコサニルアンモニウム,トリメチルオクタデセニルアンモニウム,トリメチルオクタデカジエニルアンモニウム,トリエチルドデシルアンモニウム,トリエチルテトラデシルアンモニウム,トリエチルヘキサデシルアンモニウム,トリエチルオクタデシルアンモニウム,トリブチルドデシルアンモニウム,トリブチルテトラデシルアンモニウム,トリブチルヘキサデシルアンモニウム,トリブチルオクタデシルアンモニウム,ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジデシルアンモニウム,ジメチルジテトラデシルアンモニウム,ジメチルジヘキサデシルアンモニウム,ジメチルジオクタデシルアンモニウム,ジメチルジオクタデセニルアンモニウム,ジメチルジオクタデカジエニルアンモニウム,ジエチルジドデシルアンモニウム,ジエチルジテトラデシルアンモニウム,ジエチルジヘキサデシルアンモニウム,ジエチルジオクタデシルアンモニウム,ジブチルジドデシルアンモニウム、ジブチルジテトラデシルアンモニウム,ジブチルジヘキサデシルアンモニウム,ジブチルジオクタデシルアンモニウム,メチルベンジルヘキサデシルアンモニウム,ジベンジルジヘキサデシルアンモニウム,トリオクチルメチルアンモニウム、トリドデシルメチルアンモニウム、トリテトラデシルメチルアンモニウム,トリオクチルエチルアンモニウム,トリドデシルエチルアンモニウム,トリオクチルブチルアンモニウム、トリドデシルブチルアンモニウム,トリメチルベンジルアンモニウム,トリメチルフェニルアンモニウム等が挙げられる。
前記層状珪酸塩としては、前記有機化処理により、その層間距離が2.0nm以上になっているものを用いるのが好ましい。この場合には、層状珪酸塩の樹脂中への分散性を向上させることができる利点がある。中でも、前記層状珪酸塩としては、前記有機化処理により、その層間距離が3.0nm以上になっているものを用いるのがより好ましい。
前記層状珪酸塩の含有量は、前記前記化学構造中に塩素原子を有しない樹脂100質量部に対して0.5〜10質量部(有機化処理されたものである場合には有機物の量を含む)とする。0.5質量部未満では十分な難燃性を付与することができない。また10質量部を超えると樹脂組成物が脆くなり、引張強さ、引張伸び等の力学特性が低下する。中でも、前記化学構造中に塩素原子を有しない樹脂100質量部に対する層状珪酸塩の含有量は2〜8質量部であるのが好ましい。
前記金属水酸化物としては、特に限定されるものではないが、例えば水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン等が挙げられる。これらの中でも、より難燃効果を高めることができる点で、水酸化マグネシウムを用いるのが好ましい。前記金属水酸化物の平均粒径は0.1〜50μmであるのが好ましい。
前記金属水酸化物としては、脂肪酸処理またはシラン化合物処理されたものを用いるのが好ましい。このような物質で処理(接触処理)されていることで樹脂との分散性を向上させることができるという利点がある。前記脂肪酸としては、特に限定されるものではないが、例えばステアリン酸、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、オレイン酸アミドが挙げられ、中でもステアリン酸が好適に用いられる。前記シラン化合物としては、特に限定されるものではないが、例えばビニルトリクロルシラン,ビニルトリメトキシシラン,ビニルトリエトキシシラン,2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン,3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン,p−スチリルトリメトキシシラン,p−スチリルトリメトキシシラン,3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン,3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン,3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン,3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン,N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン,N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン,N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン,3−アミノプロピルトリメトキシシラン,3−アミノプロピルトリエトキシシラン,3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミンとその部分加水分解物,3−トリメトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミンとその部分加水分解物,N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
前記金属水酸化物の含有量は、前記化学構造中に塩素原子を有しない樹脂100質量部に対して50〜200質量部(脂肪酸処理またはシラン化合物処理されたものである場合には脂肪酸やシラン化合物の量を含む)とする。50質量部未満では十分な難燃性を付与することができない。また200質量部を超えると、樹脂組成物が脆くなり、引張強さ、引張伸び等の力学特性が低下する。中でも、前記化学構造中に塩素原子を有しない樹脂100質量部に対する金属水酸化物の含有量は75〜200質量部であるのが好ましい。
前記樹脂組成物には、さらに鱗片状充填剤を含有せしめるのが好ましい。この場合、前記化学構造中に塩素原子を有しない樹脂100質量部に対して鱗片状充填剤を1〜50質量部含有せしめるのが好ましい。1質量部以上であることで床材の熱寸法安定性を向上させることができると共に、50質量部以下であることで十分な引張強さ、十分な引張伸びを有するものとなり、耐ヒールマーク性を十分に確保できる。中でも、前記化学構造中に塩素原子を有しない樹脂100質量部に対して鱗片状充填剤を10〜30質量部含有せしめるのが特に好ましい。
前記鱗片状充填剤としては、特に限定されるものではないが、例えば鱗片状ガラス、鱗片状黒鉛、鱗片状タルク等が挙げられる。中でも、鱗片状ガラスを用いるのが好ましく、これにより床材の熱寸法安定性をより向上させることができる。
前記鱗片状ガラスとしては、平均粒径が50〜1000μm、平均厚さ0.1〜20μmであるものを用いるのが好ましく、この場合には床材の熱寸法安定性をさらに向上させることができる。
前記鱗片状ガラスとしては、有機化処理されたものを用いるのが好ましい。有機化処理されることで、樹脂との界面の接着性が向上し、熱寸法安定性向上効果をより高めることができる。前記有機化処理の有機物質としては、特に限定されるものではないが、例えば、ビニルトリクロルシラン,ビニルトリメトキシシラン,ビニルトリエトキシシラン,2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン,3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン,p−スチリルトリメトキシシラン,p−スチリルトリメトキシシラン,3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン,3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン,3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン,3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン,N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン,N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン,N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン,3−アミノプロピルトリメトキシシラン,3−アミノプロピルトリエトキシシラン,3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミンとその部分加水分解物,3−トリメトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミンとその部分加水分解物,N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のシラン化合物などが挙げられる。
前記表面保護層(2)を構成する樹脂としては、化学構造中に塩素原子を有しない樹脂を用いる。前記表面保護層(2)を構成する化学構造中に塩素原子を有しない樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えばポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体、オレフィン系エラストマー等が挙げられる。前記表面保護層(2)は、単層で構成されていても良いし、多層で構成されていても良い。このような表面保護層(2)を積層することにより、耐摩耗性と耐汚染性の向上した床材(10)を提供することができる。なお、前記表面保護層(2)の厚さは0.1〜1.0mmに設定されるのが好ましい。
前記床材(10)の意匠性等を向上させるために、例えば、前記表面保護層(2)の下面又は/及び前記基材層(1)の上面に印刷層が形成されていても良い。前記印刷層形成のための印刷方法としては、特に限定されるものではないが、例えばインクジェット法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、転写印刷法等が挙げられる。
なお、前記基材層(1)及び前記表面保護層(2)のいずれにも、ステアリン酸、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ポリエチレンワックス、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、熱安定剤、光安定剤、耐候安定剤、難燃剤、着色剤、帯電防止剤、抗菌防黴剤、柄剤(意匠性向上目的等)等の各種添加剤を適宜含有せしめても良い。
また、必要に応じて、床材(10)表面に処理剤を塗工する等して皮膜を形成しても良い。図1の構成を例にすれば、表面保護層(2)の上面に処理剤を塗工する等して皮膜を形成しても良い。例えば耐摩耗性を向上させる観点から、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂を主成分とする皮膜を前記表面保護層(2)上面に形成しても良い。なお、このような皮膜は50μm以下の厚さに形成するのが一般的である。
また、図3に示すように、上面に表面保護層(2)が積層された基材層(1)の下面に、化学構造中に塩素原子を有しない樹脂からなる布が加熱溶融により積層一体化されて裏打繊維層(3)が形成された構成を採用しても良い。前記布としては、特に限定されないが、例えば編布、織布、不織布等が挙げられる。前記裏打繊維層(3)が設けられていることで、床材(10)の施工時に接着剤が裏打繊維層(3)に十分に含浸されるものとなり、このアンカー効果によって床材(10)が敷設面に十分に固定されるものとなる。前記編織布としては例えば寒冷紗が挙げられ、前記不織布としては例えばポリプロピレン不織布、ポリエステル不織布、ナイロン不織布等が挙げられる。中でも、薄層化しうるスパンボンドタイプ不織布が好ましく、特に好適なのはポリプロピレンスパンボンド不織布である。
前記床材(10)のJIS K7171−1994(プラスチック曲げ特性の試験方法)に準拠して測定された曲げ弾性率は300MPa以下であるのが好ましく、この場合には柔軟性をさらに向上し得て床材の施工性をさらに向上できる。
また、床材(10)のJIS A1454−2005の6.6残留へこみ試験のA法に準拠して測定された残留へこみ率は8.0%以下であるのが好ましく、この場合には耐ヒールマーク性をより一層向上させることができる。
この発明の床材(10)の厚さは、全体厚さ(T)として1.0〜4.0mmに設定されるのが好ましい(図1〜3参照)。中でも、前記床材(10)の全体厚さ(T)は1.5〜3.0mmに設定されるのが特に好ましい。
また、この発明の床材(10)は、タイル状床材(例えば500mm角のタイル等)として構成しても良いし、シート状床材(例えば幅600〜2500mm程度の長尺シート等)として構成しても良く、特に限定されない。また、床材(10)の表面に凹凸模様を形成することにより滑り止め機能を付与しても良い。
なお、この発明に係る床材(10)や基材層(1)の製造方法としては、特に限定されず、例えばカレンダ加工機、押出加工機等の公知の装置により製造することができる。
次に、この発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
<実施例1>
水素添加スチレン−ブタジエンゴム(エラストマー)80質量部、マレイン酸変性スチレン−ブタジエンゴム(マレイン酸をグラフトしたスチレン−ブタジエンゴム)10質量部、水素添加テルペン樹脂10質量部、平均粒径5μmの水酸化マグネシウム(ステアリン酸で処理されたもの)100質量部、モンモリロナイト(有機化処理されたモンモリロナイト、株式会社ホージュン製「エスベンWX」)5質量部、鱗片状ガラス(日本板硝子株式会社製「ガラスフレークREF−160A」、平均厚さ5μm、平均粒径160μm)20質量部からなる樹脂組成物をバンバリーミキサーで混練し、設定温度160℃、直径25cmの2本ロール試験機を用いて厚さ1.7mmの基材シートを作成した。
次に、下面(重ね合わせ面)に柄印刷が施された厚さ300μmのポリプロピレン系アロイフィルム(表面保護層)を準備し、下側から、基材シート、アロイフィルムの順に重ね、この重ね合わせ状態でプレス機を用いて160℃、1.0MPaの条件で5分間圧縮成形を行うことによって、厚さ(T)が2.0mmの床材を得た。
なお、上記アロイフィルムは、ポリプロピレンと水素添加スチレン−ブタジエンゴムとがポリマーアロイされてなる透明樹脂である。
<実施例2〜6、比較例1〜3>
樹脂組成物の組成を表1、2に示す構成とした以外は、実施例1と同様にして床材を得た。なお、実施例2のみ表面保護層を設けない構成とした。
また、実施例6において、マイカとしては、コープケミカル社製「ソマシフMAE−100」(有機化処理されたマイカ)を用いた。
また、実施例1〜5、比較例1、3で用いたモンモリロナイトの層間距離は、2nm以上であった。また、実施例6で用いたマイカの層間距離は、2nm以上であった。前記層間距離は、MAC Science社製のX線回折装置を用いて、管球:Cu、電圧:40kV、電流:100mA、ゴニオメータ:広角、の条件でX線回折測定して得られた値である。
上記のようにして得られた各床材に対して、下記の試験、評価を行った。これらの結果を表1、2に示す。
Figure 2010270193
Figure 2010270193
<曲げ弾性率の測定法>
JIS K7171−1994(プラスチック曲げ特性の試験方法)の3点曲げ試験に準拠して床材の曲げ弾性率(MPa)を測定した。試料サイズ:20mm×40mm、支点間距離:34mm、クロスヘッド速度:10mm/分の条件で測定した。この曲げ弾性率が300MPa以下であるのが望ましい。
<残留へこみ率の測定>
JIS A1454−2005の6.6残留へこみ試験のA法に準拠して残留へこみ率(%)を測定した。この残留へこみ率は8.0%以下であるのが望ましい。
<難燃性評価A(自己消火性)>
国土交通省が定める鉄道車両用材料燃焼試験に準拠して床材の燃焼試験を行った。下記判定基準に基づき評価した。
(判定基準)
「○」…5個のサンプルについて燃焼試験を行った結果、5個のサンプル全てが「難燃性」評価であった
「△」…5個のサンプルについて燃焼試験を行った結果、「難燃性」評価のサンプルが3個または4個であった
「×」…5個のサンプルについて燃焼試験を行った結果、「難燃性」評価のサンプルが2個以下であった。
<難燃性評価B(アンチドロップ性)>
国土交通省が定める鉄道車両用材料燃焼試験に準拠して床材の燃焼試験を行った後、試験後の試料(サンプル)を水平な平坦面の上に載置し、燃焼試験による床材の変形量を平坦面からの垂直距離(最大値を採用)(mm)で求めた。下記判定基準に基づきアンチドロップ性を評価した。
(判定基準)
「○」…変形量が10mm未満であった
「△」…変形量が10mm以上15mm未満であった
「×」…変形量が15mm以上であった。
<熱寸法安定性評価法>
厚さ0.25mmのステンレス板の片面に大きさ400mm×400mmの床材をニトリルゴム系接着剤を用いて接着した後、これを20℃の環境下で72時間養生した。次に、60℃のオーブン内に4時間入れた後、床材を取り出して目視により観察し、下記判定基準に基づき熱寸法安定性を評価した。
(判定基準)
「◎」…膨れ発生がなく、変形も認められなかった
「○」…膨れ発生がなく、変形も殆ど認められなかった
「×」…膨れを発生した。
また、基材シート(基材層)(1.7mm)の破断強さ、破断伸び、熱膨張率は次のようにして測定した。
<破断強さ測定法>
JIS K6251−2004(加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方)に準拠して破断時の引張応力(MPa)を測定した。
<破断伸び測定法>
JIS K6251−2004(加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方)に準拠して破断時の引張伸び(%)を測定した。
<熱膨張率測定法>
セイコーインスツル社製の熱応力分析装置EXSTAR TMA/SS6000を用い、JIS K7197−1991に準拠して熱膨張率(1/K)を測定した。
表1、2から明らかなように、この発明の実施例1〜6の床材は、十分な柔軟性を有し、難燃性に優れると共に、残留へこみ率が小さく耐ヒールマーク性にも優れていた。更に、実施例1〜4、6の床材は、鱗片状充填剤の鱗片状ガラスも含有するので、熱寸法安定性にも優れていた。
これに対し、樹脂成分として酸変性樹脂を含有しない比較例1の床材では、金属水酸化物である水酸化マグネシウムを高充填しているので、均一分散を実現できず、このために十分な強度が得られないので、残留へこみ率が大きく、耐ヒールマーク性に劣る。また、層状珪酸塩を含有しない比較例2の床材では、難燃性が不十分であった。また、比較例3の床材では、金属水酸化物の含有量がこの発明の規定範囲よりも少ないので、難燃性が不十分であった。
この発明に係る床材は、十分な柔軟性を有し、燃焼時に有害ガスを発生しにくく燃焼安全性に優れると共に、難燃性に優れ、かつ耐ヒールマーク性にも優れているので、例えば、建築物の床材、車輌(鉄道、バス等)の床材として好適に用いられる。
1…基材層
2…表面保護層
3…裏打繊維層
10…床材

Claims (8)

  1. 化学構造中に塩素原子を有しない樹脂と、層状珪酸塩と、金属水酸化物とを含有してなる樹脂組成物からなる層を少なくとも備えてなり、
    前記化学構造中に塩素原子を有しない樹脂として、オレフィン系樹脂及びスチレン系樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上の第1樹脂成分と、酸変性樹脂からなる第2樹脂成分とが少なくとも用いられ、
    前記第1樹脂成分を樹脂成分全体に対して30〜99.9質量%含有し、前記第2樹脂成分を樹脂成分全体に対して0.1〜20質量%含有し、
    前記樹脂組成物は、前記化学構造中に塩素原子を有しない樹脂100質量部に対して層状珪酸塩を0.5〜10質量部、金属水酸化物を50〜200質量部含有することを特徴とする難燃性に優れた床材。
  2. 化学構造中に塩素原子を有しない樹脂と、層状珪酸塩と、金属水酸化物とを含有してなる樹脂組成物からなる層を少なくとも備えてなり、
    前記化学構造中に塩素原子を有しない樹脂として、少なくとも下記第1樹脂成分、第2樹脂成分及び第3樹脂成分が用いられ、
    前記第1樹脂成分を樹脂成分全体に対して30〜98.9質量%含有し、前記第2樹脂成分を樹脂成分全体に対して0.1〜20質量%含有し、前記第3樹脂成分を樹脂成分全体に対して1〜20質量%含有し、
    前記樹脂組成物は、前記化学構造中に塩素原子を有しない樹脂100質量部に対して層状珪酸塩を0.5〜10質量部、金属水酸化物を50〜200質量部含有することを特徴とする難燃性に優れた床材。
    第1樹脂成分:オレフィン系樹脂及びスチレン系樹脂からなる群より選ばれる1種または2種以上の樹脂
    第2樹脂成分:酸変性樹脂
    第3樹脂成分:脂環族飽和炭化水素樹脂、テルペン系樹脂、脂肪族系石油樹脂、水添ロジンエステル及びパラフィン系オイルからなる群より選ばれる1種または2種以上の樹脂
  3. 前記樹脂組成物において、前記化学構造中に塩素原子を有しない樹脂100質量部に対する金属水酸化物の含有量が75〜200質量部である請求項1または2に記載の難燃性に優れた床材。
  4. 前記樹脂組成物は、前記化学構造中に塩素原子を有しない樹脂100質量部に対して、さらに鱗片状充填剤を1〜50質量部含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の難燃性に優れた床材。
  5. 前記鱗片状充填剤として鱗片状ガラスが用いられている請求項4に記載の難燃性に優れた床材。
  6. 前記鱗片状ガラスは、平均粒径が50〜1000μm、平均厚さ0.1〜20μmである請求項5に記載の難燃性に優れた床材。
  7. 前記酸変性樹脂として、カルボン酸変性スチレン系エラストマーが用いられている請求項1〜6のいずれか1項に記載の難燃性に優れた床材。
  8. 全体厚さが1.0〜4.0mmである請求項1〜7のいずれか1項に記載の難燃性に優れた床材。
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